JP7842324B1 - メタン貯蔵素子、発電装置及びメタン貯蔵素子の製造方法 - Google Patents

メタン貯蔵素子、発電装置及びメタン貯蔵素子の製造方法

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Abstract

【課題】間接的にメタンを貯蔵して必要な時にメタンを発生させるメタン貯蔵素子と、これを利用した発電装置を提供する。
【解決手段】メタン貯蔵素子1aは、基体10と、基体10の表面に積層したアルミニウム膜11と、アルミニウム膜11の表面に積層した炭素膜12と、炭素膜12の側から照射したレーザー光によりアルミニウム膜11と炭素膜12の界面に形成したAl4 3 層13を有している。素子1aの表面から浸透させた水がAl4 3 層13に接触するとメタンが発生する。アルミニウム膜11と炭素膜12の外端面に露出したAl4 3 層13から素子1a外に出たメタンを燃料電池3に供給して発電する(図2)
【選択図】図4

Description

本発明は、発電のエネルギーとして利用される物質を化合物の形で蓄えるエネルギー貯蔵素子とその製造方法、及びこのエネルギー貯蔵素子を応用した発電装置に関するものである。具体的には、発電のエネルギーとして利用可能な物質であるメタンを、メタンそのものではなく他の化合物の形態で貯蔵し、必要に応じてメタンを発生させて供給できる小型のメタン貯蔵素子とその製造方法に係り、さらには当該メタン貯蔵素子を利用した発電装置に関するものである。
あらゆるものがネットにつながるIoT(Internet of Things)時代を迎え、種々のセンサによるデジタルデータの取得が至る所で行われている。センサを動作させるには微小電力が必要であるため、これを発生させる発電装置と、当該発電装置にエネルギーを供給するエネルギー貯蔵技術の研究開発が、現在盛んに進められている。このような技術開発の現状の中で、本願発明者は、多数の小さなセンサに電力を供給するために「間接的エネルギー貯蔵素子」を利用するという発想を得た。ここで用いた間接的エネルギー貯蔵素子とは本願発明者が命名した用語であり、利用目的に適したエネルギーをそのままの形で貯蔵するのではなく、別の安定した形態にして貯蔵し、必要に応じて元の形態に戻して供給することができる素子を意味している。特に電源利用を目的としたエネルギー貯蔵は極めて重要な技術であり、例えば二次電池、電気二重層キャパシタ、水素電力貯蔵等は、大規模な電力を供給する発電設備は勿論のこと、比較的小さい個々の電子機器においても必要な技術とされている。
本願発明者は、IoTで用いられる多数の小型のセンサに電力を供給する発電装置のエネルギー源としては、メタンが適していると考えた。そこで、本願発明者は、小型の発電装置へのエネルギー供給を目的として、エネルギー源であるメタンを間接的に、すなわち安定した化合物の形態で貯蔵できるメタン貯蔵素子と、これを利用してセンサやウエアラブル端末に安定的に電力を供給する手段・方法について多角的に検討してきた。その結果、本願発明者は、メタンを間接的に貯蔵し、必要な時にメタンを発生できるメタン貯蔵素子と、メタンの直接利用が可能な発電素子とを組み合わせた発電装置、さらには当該メタン貯蔵素子と、メタンから水素を製造する水素製造素子と、水素の利用が可能な水素発電素子とを組み合わせた発電装置が、種々の用途において有用であり、特にIoTで用いられる多数の小型のセンサに電力を供給する手段として有望な技術であると考えるに至った。ところが、当該技術分野においては、メタンを安定的に貯蔵できる小型のエネルギー貯蔵素子を実現するために必要な構造や、その製造方法に関する具体的及び実用的な解決手段は知られていないため、本願発明者はその後さらに鋭意、研究を進めてきた。
本発明は、以上説明した当該技術分野における課題と、本願発明者の知見と研究成果に基づいてなされたものであり、間接的にメタンを貯蔵して必要な時にメタンを発生させる小型のメタン貯蔵素子とその製造方法、またメタン貯蔵素子とメタン発電素子を組み合わせた発電装置、さらにはメタン貯蔵素子と水素製造素子と水素発電素子を組み合わせた発電装置を提供することを目的としている。
請求項に記載された発電装置は、Al 4 3 に水を接触させてメタンを発生させるメタン貯蔵素子と、メタンから水素を製造する水素製造素子と、水素により発電を行なう水素発電素子を有することを特徴としている。
請求項に記載されたメタン貯蔵素子は、
基体と、前記基体の一方の表面に任意の順序で積層したアルミニウム膜及び炭素膜と、前記アルミニウム膜と前記炭素膜の界面に形成されたAl 4 3 層とを有し、前記基体から遠い側にある前記アルミニウム膜又は前記炭素膜の表面と前記基体の他方の表面の少なくとも一方から浸透させた水を前記Al 4 3 層に接触させてメタンを発生させることを特徴としている。
請求項に気合されたメタン貯蔵素子は、
基体と、前記基体の一方の表面に任意の順序で積層したアルミニウム膜及び炭素膜と、前記アルミニウム膜と前記炭素膜の界面に形成されたAl 4 3 層と、前記基体から遠い側にある前記アルミニウム膜又は前記炭素膜の表面のうち少なくとも一部に形成されて水分の浸透を阻止する保護膜を有し、前記基体から離れた側にある前記アルミニウム膜又は前記炭素膜の表面のうち保護膜が形成されていない部分と前記基体の他方の表面の少なくとも一方から浸透させた水を前記Al 4 3 層に接触させてメタンを発生させることを特徴としている。
請求項に記載されたメタン貯蔵素子は、
任意の順序で積層したアルミニウム膜及び炭素膜と、前記アルミニウム膜と前記炭素膜の界面に形成されたAl 4 3 層とを有し、前記アルミニウム膜又は前記炭素膜の表面から浸透させた水を前記Al 4 3 層に接触させてメタンを発生させることを特徴としている。
請求項に記載されたメタン貯蔵素子は、
任意の順序で積層したアルミニウム膜及び炭素膜と、前記アルミニウム膜と前記炭素膜の界面に形成されたAl 4 3 層と、前記アルミニウム膜又は前記炭素膜の一方の表面の少なくとも一部に形成されて水分の浸透を阻止する保護膜を有し、前記アルミニウム膜又は前記炭素膜の一方の表面のうち保護膜が形成されていない部分と、前記アルミニウム膜又は前記炭素膜の他方の表面の少なくとも一方から浸透させた水を前記Al 4 3 層に接触させてメタンを発生させることを特徴としている。
請求項に記載された発電装置は、
請求項2乃至4の何れか一つに記載のメタン貯蔵素子と、メタンにより発電を行なうメタン発電素子を有することを特徴としている。
請求項に記載された発電装置は、
請求項2乃至5の何れか一つに記載のメタン貯蔵素子と、メタンから水素を製造する水素製造素子と、水素により発電を行なう水素発電素子を有することを特徴としている。
請求項に記載されたメタン貯蔵素子は、
請求項2乃至5の何れか一つに記載のメタン貯蔵素子において、前記Al 4 3 層と外部が中空構造で接続されていることを特徴としている。
請求項に記載されたメタン貯蔵素子は、
任意の順序で積層したアルミニウム膜及び炭素膜と、前記アルミニウム膜と前記炭素膜の界面に形成されたAl 4 3 層とを有する構造を構成単位とし、複数の前記構成単位が積層して構成されており、水を前記Al 4 3 層に接触させてメタンを発生させることを特徴としている。
請求項10に記載されたメタン貯蔵素子は、
基体と、前記基体に含まれたAl 4 3 の粒子を有し、前記基体の表面から浸透させた水を前記Al 4 3 に接触させてメタンを発生させることを特徴としている。
請求項11に記載されたメタン貯蔵素子は、
請求項10記載のメタン貯蔵素子であるメタン貯蔵フィルムと、前記メタン貯蔵フィルムを巻装した繰出ロールと、前記繰出ロールから繰り出された前記メタン貯蔵フィルムを巻き取る巻取ロールとを有し、前記繰出ロールから繰り出された前記メタン貯蔵フィルムに水を接触させてメタンを発生させることを特徴としている。
請求項12に記載されたメタン貯蔵素子の製造方法は、請求項記載のメタン貯蔵素子を製造する製造方法であって、
前記基体の一方の表面に任意の順序で前記アルミニウム膜及び前記炭素膜を積層し、前記アルミニウム膜と前記炭素膜に透過性を有する光を前記アルミニウム膜と前記炭素膜の側から照射することにより、前記Al 4 3 層を形成することことを特徴としている。
請求項13に記載されたメタン貯蔵素子の製造方法は、請求項記載のメタン貯蔵素子を製造する製造方法であって、
前記基体の一方の表面に任意の順序で前記アルミニウム膜及び前記炭素膜を積層し、前記アルミニウム膜と前記炭素膜に透過性を有する波長200nm以下の光を前記アルミニウム膜と前記炭素膜の側から照射することにより、前記保護膜及び前記Al 4 3 層を形成することを特徴としている。
請求項14に記載されたメタン貯蔵素子の製造方法は、請求項記載のメタン貯蔵素子を製造する製造方法であって、
前記アルミニウム膜及び前記炭素膜を形成する際の減圧雰囲気よりも低い蒸気圧の分離液体を基体の一方の面に塗布し、前記基板の一方の面に前記アルミニウム膜及び前記炭素膜を形成した後に前記Al 4 3 層を形成し、積層した前記アルミニウム膜及び前記炭素膜から前記基体を除去することを特徴としている。
請求項15に記載されたメタン貯蔵素子の製造方法は、請求項記載のメタン貯蔵素子を製造する製造方法であって、
前記アルミニウム膜及び前記炭素膜を形成する際の減圧雰囲気よりも低い蒸気圧の分離液体を基体の一方の面に塗布し、前記基板の一方の面に前記アルミニウム膜及び前記炭素膜を形成した後に前記Al 4 3 層及び前記保護膜を形成し、積層した前記アルミニウム膜及び前記炭素膜から前記基体を除去することを特徴としている。
請求項16に記載されたメタン貯蔵素子の製造方法は、請求項2乃至5の何れか一つに記載のメタン貯蔵素子を製造する製造方法であって、
前記アルミニウム膜と前記炭素膜の外端面に露出するように被エッチング層を前記界面に形成し、前記被エッチング層と接するように前記Al 4 3 層を前記界面に形成し、前記被エッチング層をエッチングで除去することにより前記Al 4 3 層と外部を連通させる前記中空構造を形成することを特徴としている。
請求項乃至11に記載された本願発明のメタン貯蔵素子によれば、Al 4 3 と水の接触でメタンを発生させる化学反応を利用するために小型化が可能であり、小型の電子素子であるセンサ等の電源(発電装置)にエネルギーを供給するコンパクトなエネルギー供給源として利用することができる。また、水は比較的容易に得られるため、このメタン貯蔵素子をエネルギー供給源として利用しうる様々な状況が想定でき、適用可能な例は多岐に渡る。例えば、メタン貯蔵素子をウエアラブル端末用の小型電源のエネルギー源とした場合には、ウエアラブル端末を装着した者が皮膚から分泌する汗を利用してAl 4 3 からメタンを発生させて発電装置に供給することができる。また、環境中に多数のセンサを配置してデータを取得するために、センサに搭載された発電装置のエネルギー源としてメタン貯蔵素子を使用した場合には、環境中の水分を利用してメタンを発生させることができるため、センサによるデータの取得を継続的に行なうことができる。
請求項に記載された発電装置によれば、Al 4 3 に水を接触させてメタンを発生させるメタン貯蔵素子と、メタンから水素を製造する水素製造素子と、水素により発電を行なう水素発電素子を組み合わせることで、ウエアラブル端末用等に有用な小型電源として利用することができる。
請求項に記載されたメタン貯蔵素子及び請求項14に記載されたメタン貯蔵素子の製造方法によれば、基体の一方の表面に任意の順序で積層されたアルミニウム膜及び炭素膜と、アルミニウム膜と炭素膜の界面に形成されたAl 4 3 層を有する薄型のメタン貯蔵素子を実現できる。Al 4 3 層に対する水の供給は、基体から遠い側にあるアルミニウム膜又は炭素膜の表面と、基体の他方の表面の少なくとも一方から行なうことができる。薄型であるためフィルム状の部品として構成することができるとともに、アルミニウム膜又は炭素膜の表面と基体の他方の表面の何れからでもAl 4 3 層に水を供給できるため、発電装置のエネルギー源として利用する場合には装置内での配置を含めたデザイン上の自由度が高く、小型・薄型の発電装置を実現できる。
請求項に記載されたメタン貯蔵素子及び請求項13に記載されたメタン貯蔵素子の製造方法によれば、基体の一方の表面に任意の順序で積層されたアルミニウム膜及び炭素膜と、アルミニウム膜と炭素膜の界面に形成されたAl 4 3 層と、基体から遠い側にあるアルミニウム膜又は炭素膜の表面のうち少なくとも一部に形成された保護膜を有する薄型のメタン貯蔵素子を実現できる。Al 4 3 層に対する水の供給は、基体から離れた側にあるアルミニウム膜又は炭素膜の表面のうち保護膜が形成されていない部分と、基体の他方の表面の少なくとも一方から行なうことができる。薄型であるためフィルム状の部品として構成することができるとともに、アルミニウム膜又は炭素膜の表面のうち保護膜がない部分と基体の他方の表面の何れからでもAl 4 3 層に水を供給することができるため、発電装置のエネルギー源として利用する場合には装置内での配置を含めたデザイン上の自由度が高く、小型・薄型の発電装置を実現できる。
請求項に記載されたメタン貯蔵素子及び請求項14に記載されたメタン貯蔵素子の製造方法によれば、任意の順序で積層されたアルミニウム膜及び炭素膜と、アルミニウム膜と炭素膜の界面に形成されたAl 4 3 層を有する薄型のメタン貯蔵素子を実現できる。Al 4 3 層に対する水の供給は、アルミニウム膜又は炭素膜の何れの表面から行なうことができる。アルミニウム膜又は炭素膜を形成する際の土台となる膜がなく薄型であるためフィルム状の部品として構成することができ、アルミニウム膜又は炭素膜の表面の何れからでもAl 4 3 層に水を供給できるため、発電装置のエネルギー源として利用する場合には装置内での配置を含めたデザイン上の自由度が高く、小型・薄型の発電装置を実現できる。
請求項に記載されたメタン貯蔵素子及び請求項15に記載されたメタン貯蔵素子の製造方法によれば、任意の順序で積層されたアルミニウム膜及び炭素膜と、アルミニウム膜と炭素膜の界面に形成されたAl 4 3 層と、アルミニウム膜又は炭素膜の一方の表面の少なくとも一部に形成された保護膜を有する薄型のメタン貯蔵素子を実現できる。Al 4 3 層に対する水の供給は、基体から離れた側にあるアルミニウム膜又は炭素膜の表面のうち保護膜が形成されていない部分と、アルミニウム膜又は炭素膜の他方の表面の少なくとも一方から行なうことができる。アルミニウム膜又は炭素膜を形成する土台となる膜がなく薄型であるためフィルム状の部品として構成することができ、アルミニウム膜又は炭素膜の一方の表面のうち保護膜が形成されていない部分と、アルミニウム膜又は炭素膜の他方の表面の少なくとも一方からAl 4 3 層に水を供給することができるため、発電装置のエネルギー源として利用する場合には装置内での配置を含めたデザイン上の自由度が高く、小型・薄型の発電装置を実現できる。
請求項に記載された発電装置によれば、請求項乃至に記載されたメタン貯蔵素子を、メタンの直接利用が可能なメタン発電素子と組み合わせることで、ウエアラブル端末用等に有用な小型電源として利用することができる。
請求項に記載された発電装置によれば、請求項乃至に記載されたメタン貯蔵素子と、メタンから水素を製造する水素製造素子と、水素により発電を行なう水素発電素子を組み合わせることで、ウエアラブル端末用等に有用な小型電源として利用することができる。
請求項に記載されたメタン貯蔵素子によれば、請求項乃至に記載されたメタン貯蔵素子において、アルミニウム膜及び炭素膜の界面にあるAl 4 3 層が素子の外部と中空構造で連通しているため、発生したメタンを中空構造で導いて外部の所要箇所に集めて利用することができる。
請求項に記載されたメタン貯蔵素子によれば、積層されたアルミニウム膜と炭素膜の界面にAl 4 3 層が設けられてなる構成単位を複数積層させて構成されているため、構成単位が一層の場合に比べてメタンの発生量が多く、又は発生量が同じなら発生時間を延ばすことができるため、発電装置のエネルギー源として利用した場合には発電時間を長くすることができる。
請求項10に記載されたメタン貯蔵素子によれば、水透過性の基体内に市販のAl 4 3 の粒子(又は市販のAl 4 3 を加工した粒子)を設けるだけで構成できる。Al 4 3 は、アルミニウム膜と炭素膜を積層して所定のエネルギーの電磁波を照射することで両膜の界面に生成することができるが、請求項12に記載されたメタン貯蔵素子はこのような高価な設備を要する工程を経てAl 4 3 を生成する必要がなく、より安価に製造することができる。
請求項11に記載されたメタン貯蔵素子によれば、請求項10記載のメタン貯蔵素子をフィルム状にしたメタン貯蔵フィルムを繰出ロールに巻装し、これを引きだして巻取ロールに巻き取る構成とし、繰り出されたメタン貯蔵フィルムに水を接触させることでメタンを発生させることができる。メタンが発生しなくなったら古いメタン貯蔵フィルムを巻き取りつつ、新たなメタン貯蔵フィルムを繰り出して水と反応させることにより、最初に繰出ロールに巻装したメタン貯蔵フィルムの量に対応する量のメタンを継続的に発生させることができる。
請求項16に記載されたメタン貯蔵素子の製造方法によれば、請求項に記載されたメタン貯蔵素子の中空構造を、エッチングの技術を用いることにより精密かつ速やかに、そして任意のデザインで製造することができる。
第1実施形態に係るメタン貯蔵素子の構成を模式的に示す図である。 第1実施形態に係るメタン貯蔵素子を利用したメタン発電装置の構成を模式的に示す図である。 第1実施形態に係るメタン貯蔵素子を利用した水素発電装置の構成を模式的に示す図である。 第2実施形態に係るメタン貯蔵素子の構成と製造方法を模式的に示す図である。 第3実施形態に係るメタン貯蔵素子の構成と製造方法を模式的に示す図である。 第2実施形態及び第3実施形態に係るメタン貯蔵素子を利用したメタン発電装置の構成を模式的に示す図である。 第2実施形態及び第3実施形態に係るメタン貯蔵素子を利用した水素発電装置の構成を模式的に示す図である。 第4実施形態に係るメタン貯蔵素子の構成と製造方法を模式的に示す図である。 第5実施形態に係るメタン貯蔵素子の構成と製造方法を模式的に示す図である。 第6実施形態に係るメタン貯蔵素子の構成を模式的に示す図である。 第7実施形態に係るメタン貯蔵素子の要部の構成を模式的に示す部分拡大断面図である。 第7実施形態に係るメタン貯蔵素子の全体の構成を模式的に示す図である。
本発明の第1実施形態を、図1~図3を参照して説明する。
第1実施形態は、メタン貯蔵素子(図1)と、これをエネルギー供給源として利用する2種類の発電装置(図2及び図3)に関するものである。
図1は、第1実施形態のメタン貯蔵素子1の基本的構造と作用を模式的に示している。メタン貯蔵素子1は、メタンそのものを貯蔵しているのではなく、炭化アルミニウム化合物の一例であるAl4 3 化合物(以下、明細書においては単にAl4 3 と呼ぶ。)を有している。Al4 3 は安定した化合物であるが、水を接触させると次式(1)で示す化学反応によりメタンが発生する。
Al4 3 +12H2 O→3CH4 +4Al(OH)3 … (1)
発生したメタンは、後で図2及び図3を参照して説明するように発電装置に利用することができる。
このメタン貯蔵素子1におけるAl4 3 の形状や素子内での保持構造については特に限定はなく、図1においてメタン貯蔵素子1は正方形状の図形で模式的に示している。しかしながら、このメタン貯蔵素子1には、Al4 3 に水を反応させてエネルギー源としてのメタンを発生させ、これを素子外の所定位置に供給できるだけの機能が必要である。従って、このような機能を実現するため、少なくとも素子の内部にAl4 3 を閉じ込めて保持する保持構造と、保持構造の外部から内部に水を浸透させてAl4 3 に接触させうる透水構造(又は材質)又はAl4 3 に水を供給する供給手段と、発生したメタンを保持構造の外部の所定位置に導く案内供給構造等が必要である。
図1に示すように、メタン貯蔵素子1のAl4 3 と反応する水は、水(H2 O)を成分として含む気体、液体又は固体でもよいし、水そのものでもよい。メタン貯蔵素子1に与えられる水と、水を含む気体、液体又は固体は、環境中で得られるものでもよいし、これを装着する人に由来するもの(例えば汗等)でもよい。
図2は、図1に示した第1実施形態のメタン貯蔵素子1をエネルギー供給源として利用する第1の発電装置2を模式的に示している。水又は水を含む気体、液体若しくは固体をメタン貯蔵素子1に供給し、Al4 3 と水を反応させて発電に利用可能なメタンを発生させ、このメタンをメタンの直接利用が可能なメタン発電素子としての燃料電池3に供給し、発電を行ない、電力を得る。
図3は、図1に示した第1実施形態のメタン貯蔵素子1をエネルギー供給源として利用する第2の発電装置4を模式的に示している。水又は水を含む気体、液体若しくは固体をメタン貯蔵素子1に供給し、Al4 3 と水を反応させて発電に利用可能なメタンを発生させ、このメタンを、メタンから水素を製造する水素製造素子としての水素製造装置5に供給し、水素製造装置5が製造した水素を、水素を用いて発電ができる水素発電素子としての燃料電池に供給し、発電を行ない電力を得る。
図1に示すメタン貯蔵素子1によれば、炭化アルミニウムと水の化学反応でメタンを発生させるため、複雑な化学反応器や機械装置、制御用の電子回路等は不要であり、小型化が可能である。そして図2に示す第1の発電装置2は、メタンを直接利用する燃料電池3で電力を発生するため、発電装置としての全体構成をコンパクトにまとめることができる。また、図3に示す第2の発電装置4は、メタンから製造した水素を利用する燃料電池6で電力を発生するため、発電装置としての全体構成をコンパクトにまとめることができる。
従って、図2及び図3に示す発電装置2,4は、小型のセンサに電力を供給するコンパクトな発電装置として利用することができる。特に、水はありふれた物質であり比較的容易に得られるため、この発電装置2,4を備えたセンサ等の電子機器は、様々な状況で好適に使用できる。例えば、これらの発電装置2,4をウエアラブル端末用の電源とすれば、ウエアラブル端末を装着した者が皮膚から分泌する汗の水分を利用して炭化アルミニウムからメタンを発生させ、ウエアラブル端末の電子機器に電力を供給することができる。また、環境中に多数のセンサを配置してデータを取得するために、これらの発電装置2,4をセンサに搭載した場合には、環境中の水分を利用してメタンを発生させることができるため、センサによるデータの取得を継続的に行なうことができる。
以上説明した図1のメタン貯蔵素子1と、図2及び図3の発電装置2,4により得られる効果は、以下に説明する他の実施形態においても同様に得ることができる。
本発明の第2実施形態を、図4を参照して説明する。第2実施形態のメタン貯蔵素子1aは、第1実施形態のメタン貯蔵素子1(図1)をより具体化したものである。
図4(a)に示すように、基体10の一方の表面(図示上側の表面)上に炭素膜11を形成し、その上にアルミニウム膜12を形成する。後に説明する第3実施形態から第6実施形態では、炭素膜11とアルミニウム膜12の積層順序は第2実施形態の場合と同じであるが、これとは逆に、基体10の一方の表面上にアルミニウム膜12を形成し、その上に炭素膜11を形成してもよい。すなわち、炭素膜11とアルミニウム膜12の積層順序は任意である。
図4(a)に示すように、積層した炭素膜11とアルミニウム膜12に対し、上側にあるアルミニウム膜12の側から、2本の縦の破線で示す光照射領域に、これらの膜に透過性を有する光としてレーザー光を照射する。この工程では、基体10にも透過性を有するレーザー光であれば、基体10の他方の表面(図示下側の表面)からレーザー光の照射を行ってもよい。
図4(b)に示すように、レーザー光を照射した結果、炭素膜11とアルミニウム膜12の界面の光照射領域に、Al4 3 層13が形成される。Al4 3 層13が形成された後、図4(b)の上側にある下向きの矢印で示すように、アルミニウム膜12の表面から水又は水を含む気体若しくは液体を浸透させれば、Al4 3 層13内において前記式(1)で示す化学反応が起こり、メタンが発生する。メタンは必要なときに発生させることができる。また、基体10が、水又は水を含む気体若しくは液体が浸透可能な材料(例えば親水性を呈する多孔質材料)であれば、図4(b)の下側にある上向きの矢印で示すように、基体10の他方の表面(図示下側の表面)から水又は水を含む気体若しくは液体を浸透させて、必要な時にメタンを発生させることができる。
本実施形態では、Al4 3 層13の少なくとも一部が炭素膜11とアルミニウム膜12の外端面に達するようにAl4 3 層13が形成されているので、Al4 3 層13で発生したメタンを素子外に導くことができ、発電のエネルギー源として利用することができる。すなわち、図4(a)中に2本の縦の破線で示した光照射領域は、左右の両端が炭素膜11とアルミニウム膜12の外端面よりも内方に位置しているため、Al4 3 層13は炭素膜11とアルミニウム膜12の間に閉じ込められているように見えるが、同図の奥行き方向においては、Al4 3 層13は炭素膜11とアルミニウム膜12の外端面に達しており、図の奥行き方向におけるAl4 3 層13の外端面は、炭素膜11とアルミニウム膜12の外端面の間から素子外に露出した構造となっている。このため、Al4 3 層13で発生したメタンは素子外に出ることができる。以下に説明する他の実施形態のメタン貯蔵素子も同様の上記「露出した構造」を備えているが、中空構造を備えた第5実施形態のメタン貯蔵素子1d(図9参照)においては上記「露出した構造」は必ずしも必要ない。
本発明の第3実施形態を、図5を参照して説明する。第3実施形態のメタン貯蔵素子1bは、第1実施形態のメタン貯蔵素子1(図1)の他の具体例である。
図5(a)に示すように、基体10の一方の表面(図示上側の表面)上に炭素膜11を形成し、その上にアルミニウム膜12を形成する。
図5(a)において、2本の縦の破線で示す光照射領域に波長200nm以下のレーザー光を照射すると、図5(b)に示すように、炭素膜11とアルミニウム膜12の界面の光照射領域に、Al4 3 層13が形成されるとともに、水又は水を含む気体若しくは液体の浸透を定常的に抑制できる保護膜14がアルミニウム膜12の表面の光照射領域に光化学的に形成される。Al4 3 層13及び保護膜14が形成された後、図5(b)の上側にある下向きの矢印で示すように、アルミニウム膜12の表面から水又は水を含む気体若しくは液体を浸透させようとしても、保護膜14があるため水分は浸入を阻止され、水分はAl4 3 層13には到達しない。本実施形態では、基体10を、水又は水を含む気体若しくは液体が浸透可能な材料(例えば親水性を呈する多孔質材料)で形成しておき、Al4 3 層13に水等を供給する場合には、図5(b)の下側にある上向きの矢印で示すように、基体10の他方の表面(図示下側の表面)から水等を浸透させて、必要な時にAl4 3 層13内において前記式(1)で示す化学反応を起こし、メタンを発生させることができる。なお、Al4 3 層13で発生したメタンを素子外に導く構造は図4を参照して説明した第2実施形態のメタン貯蔵素子1aと同様である。
前記保護膜14の形成は、波長157nmのフッ素レーザーを、単一パルスのフルエンス10mJ/cm2 、パルス繰り返し周波数10Hz、照射時間15~90minの条件で照射することにより行なう。これにより、アルミニウム膜12の表面に透明なAl2 3 の保護膜14が膜厚約10nmで形成される。なお、基体10の一方の表面上にアルミニウム膜12を形成し、その上に炭素膜11としてアモルファス炭素膜11を形成した場合には、同様の工程で透明なダイヤモンド状炭素の保護膜14が膜厚約10nmで形成される。
図6は、図4に示した第2実施形態のメタン貯蔵素子1a又は図5に示した第3実施形態のメタン貯蔵素子1bをエネルギー供給源として利用する第1の発電装置2aを模式的に示している。水又は水を含む気体、液体若しくは固体をメタン貯蔵素子1a又は1bに供給し、Al4 3 と水を反応させて発電に利用可能なメタンを発生させ、このメタンをメタンの直接利用が可能なメタン発電素子としての燃料電池3に供給し、発電を行ない、電力を得る。
図7は、図4に示した第2実施形態のメタン貯蔵素子1a又は図5に示した第3実施形態のメタン貯蔵素子1bをエネルギー供給源として利用する第2の発電装置4aを模式的に示している。水又は水を含む気体、液体若しくは固体をメタン貯蔵素子1a又は1bに供給し、Al4 3 と水を反応させて発電に利用可能なメタンを発生させ、このメタンを、メタンから水素を製造する水素製造素子としての水素製造装置5に供給し、水素製造装置5が製造した水素を、水素を用いて発電ができる水素発電素子としての燃料電池6に供給し、発電を行ない、電力を得る。
本発明の第4実施形態を、図8を参照して説明する。第4実施形態のメタン貯蔵素子1cは、第1実施形態のメタン貯蔵素子1(図1)の他の具体例である。
図8(a)に示すように、基体10の一方の表面(図示上側の表面)に、蒸気圧の低いシリコーンオイルやイオン液体を予め極薄く塗布して犠牲層(図示せず)とし、この犠牲層の上に炭素膜11を形成し、炭素膜11の上にアルミニウム膜12を形成する。炭素膜11とアルミニウム膜12の形成は減圧下で行う場合が多いが、犠牲層のシリコーンオイルやイオン液体は蒸気圧が低いため減圧下でも蒸発することなく残存している。
図8(a)に示すように、アルミニウム膜12の側から、2本の縦の破線で示す光照射領域に、アルミニウム膜12及び炭素膜11に透過性を有する光としてレーザー光を照射する。この工程では、基体10にも透過性を有するレーザー光であれば、基体10の他方の表面(図示下側の表面)からレーザー光の照射を行ってもよい。
図8(b)に示すように、レーザー光を照射した結果、炭素膜11とアルミニウム膜12の界面の光照射領域に、Al4 3 層13が形成される。
図8(c)に示すように、積層した炭素膜11及びアルミニウム膜12と基体10を分離する。炭素膜11及びアルミニウム膜12と、基体10との間には犠牲層があるため、分離は容易に行なうことができ、これによって基体10のないメタン貯蔵素子1c1が実現できる。
図8(d)の上側にある下向きの矢印で示すように、アルミニウム膜12の表面から水又は水を含む気体若しくは液体を浸透させ、Al4 3 層13内において前記式(1)で示す化学反応を起こし、必要なときにメタンを発生させることができる。また図8(d)の下側にある上向きの矢印で示すように、炭素膜11の表面から水又は水を含む気体若しくは液体を浸透させることで必要なときにメタンを発生させることもできる。なお、Al4 3 層13で発生したメタンを素子外に導く構造は図4を参照して説明した第2実施形態のメタン貯蔵素子1aと同様である。
また、第4実施形態のメタン貯蔵素子1cは、基体10がなく保護膜14も持たないタイプであったが、図5を参照して説明した基体10及び保護膜14を有する第3実施形態のメタン貯蔵素子1bの製造工程において、第4実施形態と同様の手法で基体10を除去すれば、基体10がなく保護膜14を有するメタン貯蔵素子を得ることができる。
なお、基体10及び保護膜14がない第4実施形態のメタン貯蔵素子1cと、基体10がなく保護膜14を有するメタン貯蔵素子をエネルギー供給源として利用すれば、図6及び図7に示したような第1の発電装置2a及び第2の発電装置4aを構成することができる。
本発明の第5実施形態を、図9を参照して説明する。第5実施形態のメタン貯蔵素子1dは、は、第1実施形態のメタン貯蔵素子1(図1)の他の具体例である。
図9(a)において、基体10の一方の表面(図示上側の表面)に、蒸気圧の低いシリコーンオイルやイオン液体からなる犠牲層(図示せず)を予め極薄く塗布しておき、この犠牲層の上に炭素膜11を形成する。この炭素膜11の表面の一部に、膜厚10~30nm程度の厚さでシリカガラス(SiO2 )膜15を所定の位置に所定の形状で形成する。シリカガラス膜15を形成した後、シリカガラス膜15と炭素膜11の上にアルミニウム膜12を形成する。
前記シリカガラス膜15は、後のエッチング工程で除去されて空洞となり、後工程で形成されるAl4 3 層13から発生するメタンを素子の外部に導く供給路となる部分である(図9(b)、(c)、(d)参照)。従って、シリカガラス膜15を形成すべき位置と、その形状は、例えば次のようなものとなる。すなわち、後工程でアルミニウム膜12と炭素膜11の界面にレーザー光で形成されるAl4 3 層13の外端面と、アルミニウム膜12と炭素膜11の外端面の間の位置において、Al4 3 層13の外端面の少なくとも一部を、炭素膜11及びアルミニウム膜12の外端面と結び付けるような形状(又はパターン)で形成する必要がある。すなわち、後工程でAl4 3 層13を形成したとき、Al4 3 層13とシリカガラス膜15が必ず接するとともに、シリカガラス膜15が除去されて生じた空洞は、素子の外端面に開口していなければならない。
図9の各図は、炭素膜11及びアルミニウム膜12の厚さ方向(紙面に平行な縦方向)に対して直交する奥行き方向(紙面に垂直な方向)を視線とした場合の断面図であり、図9(a)に示すシリカガラス膜15は横長の線状に現れているが、紙面と平行な方向を視線とした場合に、シリカガラス膜15の前記形状は、図9(a)に現れるシリカガラス膜15と同じ線状の1本又は並んだ複数本のパターンであるものとする。すなわちシリカガラス膜15は、素子の真上から見て1本又は並んだ複数本の細線状とする。但し、紙面に垂直な方向に関する寸法(奥行きの寸法)が、紙面に平行な方向に関する寸法(前記厚さ)に比べて大きい任意の形状でもよい。すなわちシリカガラス膜15は、素子の真上から見てある程度の広がりを有する面状のパターンでもよい。
図9(a)に示すように、アルミニウム膜12の側から、2本の縦の破線で示す光照射領域に、アルミニウム膜12及び炭素膜11に透過性を有する光としてレーザー光を照射する。光照射領域の一方の外端は、シリカガラス膜15の内端に接するものとするが、シリカガラス膜15はレーザー光の照射による影響を受けないので、レーザー光はシリカガラス膜15の端部に少し照射されるくらいでもよい。この工程では、基体10にも透過性を有するレーザー光であれば、基体10の他方の表面(図示下側の表面)からレーザー光の照射を行ってもよい。
図9(b)に示すように、レーザー光を照射した結果、炭素膜11とアルミニウム膜12の界面の光照射領域に、Al4 3 層13が形成される。その結果、形成されたAl4 3 層13の外端面と、炭素膜11及びアルミニウム膜12の外端面が、シリカガラス膜15によって結ばれた構造が得られる。その後、炭素膜11とアルミニウム膜12の外端面の側からフッ化水素ガス乃至はフッ化水素酸を暴露し、シリカガラス膜15のみを化学エッチングして除去すれば、元に存在していたシリカガラス膜15と同様な形状及びパターンの中空構造16が得られる。図9(b)においては、該当個所にシリカガラス膜15と中空構造16の両方の符号を付した。なお、本実施形態ではシリカガラス膜15をフッ化水素ガス等で化学エッチングしたが、エッチングの原理乃至手法及びこれに用いる材料は任意である。
本実施形態では、Al4 3 層13の外端面と、炭素膜11及びアルミニウム膜12の外端面が、炭素膜11及びアルミニウム膜12の間に形成された中空構造16によって結ばれており、Al4 3 層13の外端面の少なくとも一部が中空構造16を介して素子外に露出している。このため、Al4 3 層13で発生したメタンを、中空構造16を経て素子外に導出することができる。従って本実施形態では、図4を参照して先に説明した第2実施形態のメタン貯蔵素子1aのように、Al4 3 層13の少なくとも一部が炭素膜11とアルミニウム膜12の外端面に達して素子外に露出した構造を採用する必要はないが、中空構造16が形成された部分以外の箇所で前記「露出した構造」を作製することを妨げるものではない。

なお、本実施形態では、中空構造16を細線状に形成したが、その数を1本又はメタンの発生量に対して少ない本数とすれば、発生するメタンが多くなくても、素子外に供給される際のメタンの濃度を高くすることができる。また、細線状の中空構造16が素子外に開口する部分の形状や、素子の外端面に開口する位置は、メタンの供給先である発電素子(燃料電池等)の配置や燃料供給口のサイズ、形状等に合わせて設定すればよい。
図9(c)に示すように、積層した炭素膜11及びアルミニウム膜12と基体10を分離する。炭素膜11及びアルミニウム膜12と基体10との間には犠牲層があるため、分離は容易に行なうことができ、これによって基体10がなく中空構造16を備えたメタン貯蔵素子1が実現できる。
図9(d)の上側にある下向きの矢印で示すように、アルミニウム膜12の表面から水又は水を含む気体若しくは液体を浸透させ、Al4 3 層13内において前記式(1)で示す化学反応を起こし、必要なときにメタンを発生させることができる。また図9(b)の下側にある上向きの矢印で示すように、炭素膜11の表面から水又は水を含む気体若しくは液体を浸透させることで必要なときにメタンを発生させることもできる。
図9(d)の右側にある右向きの矢印で示すように、Al4 3 層13で発生したメタンは、中空構造16を経て素子外へ導かれ、発電のエネルギーとして利用することができる。第5実施形態のメタン貯蔵素子1dをエネルギー源として利用した発電装置の構造は、図6に示した第1の発電装置2aや、図7に示した第2の発電装置4aと同様である。
本発明の第6実施形態を、図10を参照して説明する。第6実施形態のメタン貯蔵素子1eは、第1実施形態のメタン貯蔵素子1(図1)の他の具体例である。
第6実施形態のメタン貯蔵素子1eは、基体10の一方の表面(図示上側の表面)上に炭素膜11とアルミニウム膜12からなる膜構造を3層重ね、各層の界面にAl4 3 層13を形成したものであり、従ってメタンの発生源であるAl4 3 層13を3つ備えている。膜構造の材質、寸法等が同じであれば、第6実施形態のメタン貯蔵素子1は、図4に示した第2実施形態のメタン貯蔵素子1aに比べて3倍のメタン発生能力が見込めるので、発電装置のエネルギー源として利用した場合、同条件であれば発電継続時間が3倍となる。なお、膜構造の層数は3とは限らず、目的に応じて2層でもよいし、4層以上としてもよく、何れにしても複数層にすることで単層の場合に比べてメタンの発生寿命を延ばすことができる。
第6実施形態のメタン貯蔵素子1eの製造は次のように行なう。まず、基体10の一方の表面(図示上側の表面)上に炭素膜11を形成し、その上にアルミニウム膜12を形成する工程を3回行い、炭素膜11とアルミニウム膜12の膜構造を3層積層して形成する。その後、これら3層の膜構造に対して透過性を有するレーザー光を、最上位のアルミニウム膜12の上面から所定の光照射領域に照射し、各膜構造の界面にAl4 3 層13を形成する。水等によりAl4 3 層13からメタンを発生させる手法、及びAl4 3 層13から発生したメタンを素子外に導いて発電装置のエネルギーとして利用するための構造、手法等は、前述した他の実施形態と同様である。
本発明の第7実施形態を、図11及び図12を参照して説明する。第7実施形態のメタン貯蔵素子1eは、第1実施形態のメタン貯蔵素子1(図1)をより具体化したものである。
第2~第6実施形態のメタン貯蔵素子1a,1b,1c,1d,1eが有するAl4 3 層13は、積層した炭素膜11とアルミニウム膜12にレーザー光を照射することにより界面に形成した層状の物質であったが、本発明の炭化アルミニウム化合物はこのような手法で作製する必要はなく、また層状にもならない。拡大断面図である図11に示すように、第7実施形態のメタン貯蔵素子は、市販のAl4 3 粒子か、市販のAl4 3 を加工して得たAl4 3 粒子20を、フィルム状かつ連続帯状の基体10fの内部に分散させたメタン貯蔵フィルム1fである。このようなメタン貯蔵フィルム1fを製造するには、適度な粘性を有する基体10fの材料に適量のAl4 3 粒子20を添加して原材料とし、これを連続帯状のフィルムに加工して固化させればよい。但し、基体10fの材料は、固化してフィルム状となった後は、水分を透過する性質が必要である。
図11中に上下2つの矢印で示すように、メタン貯蔵フィルム1fの両表面(上面及び下面)又は一方の表面から水又は水を含む気体若しくは液体を浸透させ、Al4 3 粒子20において前記式(1)で示す化学反応を起こせば、必要なときにメタンを発生させることができる。
図12は、図11のメタン貯蔵フィルム1fの具体的な利用形態例を模式的に示す図である。メタン貯蔵素子1fは繰出ロール21に巻装されており、繰出ロール21から繰り出されたメタン貯蔵フィルム1fは巻取ロール22に巻き取られるように構成されている。巻取ロール22を図示しない駆動手段により駆動すれば、メタン貯蔵フィルム1fは繰出ロール21から矢印方向に引き出されて巻取ロール22に巻き取られる。引きだされたメタン貯蔵フィルム1fに図示しない加水手段(図示せず)で水等を接触させれば、メタン貯蔵フィルム1fに含まれるAl4 3 粒子20が前記式(1)で示す化学反応を起こし、必要なときにメタンを発生させることができる。
なお、第7実施形態のメタン貯蔵フィルムを用いたメタン貯蔵素子1をエネルギー供給源として利用すれば、図6及び図7に示したような第1の発電装置2a及び第2の発電装置4a余同様の発電装置を構成することができる。
第7実施形態のメタン貯蔵フィルム1fによれば、減圧環境下で基体10上にアルミニウム膜12及び炭素膜11を形成する装置や、レーザー光を照射する装置が必要なく、市販の安価な炭化アルミニウム化合物を用いて製造できるので低コストで製造することができる。また、メタンが発生しなくなったら古いメタン貯蔵フィルム1fを巻き取りつつ、新たなメタン貯蔵フィルム1fを繰り出して水と反応させることにより、最初に繰出ロール21に巻装したメタン貯蔵フィルム1fを使い切るまでメタンを継続的に発生させることができる。
以上説明した実施形態では、炭化アルミニウム化合物としてAl4 3 を示したが、これは例示であり、AlとCの原子数が異なる他の炭化アルミニウム化合物でも本発明の炭化アルミニウム化合物として利用し、メタンを発生させることが可能である。
1,1a,1b,1c,1d,1e…メタン貯蔵素子
1f…メタン貯蔵素子としてのメタン貯蔵フィルム
2,2a…第1の発電装置
3…メタン発電素子としての燃料電池
4,4a…第2の発電装置
5…水素製造素子としての水素製造装置
6…水素発電素子としての燃料電池
10…基体
11…炭素膜
12…アルミニウム膜
13…Al4 3
14…保護膜
15…シリカガラス膜
16…中空構造
20…Al4 3 粒子
21…繰出ロール
22…巻取ロール

Claims (16)

  1. Al 4 3 に水を接触させてメタンを発生させるメタン貯蔵素子と、メタンから水素を製造する水素製造素子と、水素により発電を行なう水素発電素子を有することを特徴とする発電装置。
  2. 基体と、前記基体の一方の表面に任意の順序で積層したアルミニウム膜及び炭素膜と、前記アルミニウム膜と前記炭素膜の界面に形成されたAl 4 3 層とを有し、前記基体から遠い側にある前記アルミニウム膜又は前記炭素膜の表面と前記基体の他方の表面の少なくとも一方から浸透させた水を前記Al 4 3 層に接触させてメタンを発生させることを特徴とするメタン貯蔵素子。
  3. 基体と、前記基体の一方の表面に任意の順序で積層したアルミニウム膜及び炭素膜と、前記アルミニウム膜と前記炭素膜の界面に形成されたAl 4 3 層と、前記基体から遠い側にある前記アルミニウム膜又は前記炭素膜の表面のうち少なくとも一部に形成されて水分の浸透を阻止する保護膜を有し、前記基体から離れた側にある前記アルミニウム膜又は前記炭素膜の表面のうち保護膜が形成されていない部分と前記基体の他方の表面の少なくとも一方から浸透させた水を前記Al 4 3 層に接触させてメタンを発生させることを特徴とするメタン貯蔵素子。
  4. 任意の順序で積層したアルミニウム膜及び炭素膜と、前記アルミニウム膜と前記炭素膜の界面に形成されたAl 4 3 層とを有し、前記アルミニウム膜又は前記炭素膜の表面から浸透させた水を前記Al 4 3 層に接触させてメタンを発生させることを特徴とするメタン貯蔵素子。
  5. 任意の順序で積層したアルミニウム膜及び炭素膜と、前記アルミニウム膜と前記炭素膜の界面に形成されたAl 4 3 層と、前記アルミニウム膜又は前記炭素膜の一方の表面の少なくとも一部に形成されて水分の浸透を阻止する保護膜を有し、前記アルミニウム膜又は前記炭素膜の一方の表面のうち保護膜が形成されていない部分と、前記アルミニウム膜又は前記炭素膜の他方の表面の少なくとも一方から浸透させた水を前記Al 4 3 層に接触させてメタンを発生させることを特徴とするメタン貯蔵素子。
  6. 請求項2乃至5の何れか一つに記載のメタン貯蔵素子と、メタンにより発電を行なうメタン発電素子を有することを特徴とする発電装置。
  7. 請求項2乃至5の何れか一つに記載のメタン貯蔵素子と、メタンから水素を製造する水素製造素子と、水素により発電を行なう水素発電素子を有することを特徴とする発電装置。
  8. 請求項2乃至5の何れか一つに記載のメタン貯蔵素子において、前記Al 4 3 層と外部が中空構造で接続されていることを特徴とするメタン貯蔵素子。
  9. 任意の順序で積層したアルミニウム膜及び炭素膜と、前記アルミニウム膜と前記炭素膜の界面に形成されたAl 4 3 層とを有する構造を構成単位とし、複数の前記構成単位が積層して構成されており、水を前記Al 4 3 層に接触させてメタンを発生させることを特徴とするメタン貯蔵素子。
  10. 基体と、前記基体に含まれたAl 4 3 の粒子を有し、前記基体の表面から浸透させた水を前記Al 4 3 に接触させてメタンを発生させることを特徴とするメタン貯蔵素子。
  11. 請求項10記載のメタン貯蔵素子であるメタン貯蔵フィルムと、前記メタン貯蔵フィルムを巻装した繰出ロールと、前記繰出ロールから繰り出された前記メタン貯蔵フィルムを巻き取る巻取ロールとを有し、前記繰出ロールから繰り出された前記メタン貯蔵フィルムに水を接触させてメタンを発生させることを特徴とするメタン貯蔵素子。
  12. 前記基体の一方の表面に任意の順序で前記アルミニウム膜及び前記炭素膜を積層し、前記アルミニウム膜と前記炭素膜に透過性を有する光を前記アルミニウム膜と前記炭素膜の側から照射することにより、前記Al 4 3 層を形成することを特徴とする請求項記載のメタン貯蔵素子の製造方法。
  13. 前記基体の一方の表面に任意の順序で前記アルミニウム膜及び前記炭素膜を積層し、前記アルミニウム膜と前記炭素膜に透過性を有する波長200nm以下の光を前記アルミニウム膜と前記炭素膜の側から照射することにより、前記保護膜及び前記Al 4 3 層を形成することを特徴とする請求項記載のメタン貯蔵素子の製造方法。
  14. 前記アルミニウム膜及び前記炭素膜を形成する際の減圧雰囲気よりも低い蒸気圧の分離液体を基体の一方の面に塗布し、前記基板の一方の面に前記アルミニウム膜及び前記炭素膜を形成した後に前記Al 4 3 層を形成し、積層した前記アルミニウム膜及び前記炭素膜から前記基体を除去することを特徴とする請求項記載のメタン貯蔵素子の製造方法。
  15. 前記アルミニウム膜及び前記炭素膜を形成する際の減圧雰囲気よりも低い蒸気圧の分離液体を基体の一方の面に塗布し、前記基板の一方の面に前記アルミニウム膜及び前記炭素膜を形成した後に前記Al 4 3 層及び前記保護膜を形成し、積層した前記アルミニウム膜及び前記炭素膜から前記基体を除去することを特徴とする請求項記載のメタン貯蔵素子の製造方法。
  16. 前記アルミニウム膜と前記炭素膜の外端面に露出するように被エッチング層を前記界面に形成し、前記被エッチング層と接するように前記Al 4 3 層を前記界面に形成し、前記被エッチング層をエッチングで除去することにより前記Al 4 3 層と外部を連通させる前記中空構造を形成することを特徴とする請求項2乃至5の何れか一つに記載のメタン貯蔵素子の製造方法。
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