JP7743050B2 - 難燃助剤顆粒、該顆粒の製造方法及び該顆粒を含む難燃剤配合樹脂組成物 - Google Patents

難燃助剤顆粒、該顆粒の製造方法及び該顆粒を含む難燃剤配合樹脂組成物

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本発明は、単独では難燃性に殆ど効果はないが、他の難燃剤と組み合わせると相乗効果で難燃効果を発揮する難燃助剤に関する。
三酸化二アンチモン等の難燃助剤は無機粉体であり、難燃剤組成物を製造する際に、該無機粉体が飛散し、作業者の作業環境が悪化し、健康に悪影響を及ぼすおそれがある。特に三酸化二アンチモンは特定化学物質障害予防規則にいう特定化学物質の対象(管理第二類物質)に新たに追加された。このため、飛散防止性を向上させて規制に対応することが急務となっている。
このような飛散防止性を向上させる技術としては、特定樹脂中に特定難燃剤とともに難燃助剤を高濃度に配合したマスターバッチ組成物(特許文献1~3)が知られている。
また、熱硬化性アクリルメラミン樹脂、熱硬化性水溶性メチロールポリビニルウレタン樹脂、熱硬化性水溶性メラミン樹脂、熱硬化性水溶性フェノール樹脂などの硬化性樹脂で被覆した難燃剤組成物が提案されている(特許文献4)。
また、アンチモン酸化物を必須成分とする無機系難燃剤と、脂肪酸アミド(ハードバインダー)と、滑剤(脂肪酸アミドより低融点;例えば脂肪酸、金属石鹸またはそのエステル)と、を含有する粒状物からなる難燃剤組成物が提案されている(特許文献5)。
特開2020-105432号公報 特開2020-105433号公報 特開2015-218204号公報 特開昭60-8338号公報 特開平6-256763号公報
しかし、特定樹脂に包含された高濃度マスターバッチ組成物では、分散性が該特定樹脂の分散性により支配され汎用性に欠ける。たとえば、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂と、ポリエチレンテレフタレート樹脂とは非相溶であるため、特定樹脂としてたとえば、ポリプロピレン樹脂を採用して高濃度マスターバッチ組成物をポリエチレンテレフタレート樹脂に用いた場合、凝集が生じ、難燃性及び機械的強度が、マスターバッチ組成物を用いない場合より低下する。
また、メラミン樹脂などの硬化性樹脂で三酸化二アンチモンを被覆した場合でも、樹脂膜と三酸化二アンチモンとの密着性、機械的強度などで改良の余地がある。さらにメラミン樹脂などは一般に難燃性とされているが、必ずしも十分なものとは言い難い。
また、脂肪酸アミド/滑剤により酸化アンチモンを粒状物とすることは、可燃性物質を用いて粒状物とすることになり、難燃助剤顆粒としては難燃性を低下させることになる。
したがって、本願発明は、三酸化二アンチモン等の無機難燃助剤の飛散を防止すると共に、汎用性があり、難燃性を低下させない難燃助剤顆粒を提供することを課題とする。より好ましくは更に、被覆膜の密着性、機械的強度、分散性、のいずれか一以上において優れる難燃助剤顆粒を提供することを課題とする。
本願発明の第一の態様は、
(A)難燃助剤無機酸化物、難燃助剤無機酸塩及び難燃助剤無機硫化物からなる群から選択される一種以上の難燃助剤無機粒子と、(B)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤とを含み、
(B)/(A)の重量比が1/99~50/50であり、
(A)難燃助剤無機粒子の少なくとも一部の表面が、(B)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤で被覆されている、難燃助剤顆粒である。
本願発明の第二の態様は、
(I)
(A)難燃助剤無機酸化物、難燃助剤無機酸塩及び難燃助剤無機硫化物からなる群から選択される一種以上の難燃助剤無機粒子に、(B)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤を加えて混合する工程であって、(B)/(A)の重量比が1/99~50/50である工程;及び
(II)
工程(I)で得られた顆粒を乾燥する工程を含む、難燃助剤顆粒の製造方法である。
本願発明の第三の態様は、
本願発明の第一の態様の難燃助剤顆粒、難燃剤、及び樹脂を含み、前記難燃助剤顆粒が、前記樹脂及び前記難燃剤の合計量100重量部に対して、0.1~50重量部であることを特徴とする、難燃剤配合樹脂組成物である。
本願発明の難燃助剤顆粒は、無機難燃助剤の飛散を防止できると共に、汎用性があり、難燃性を低下させない。より好ましくは更に、被覆膜の密着性、機械的強度、分散性のいずれか一以上において優れる。
原料の未処理三酸化二アンチモンの走査電子顕微鏡写真(倍率:1万倍)である。 ハロゲン化エポキシ樹脂(NF-300VLG)と三酸化二アンチモンを重量比(50/50)で200℃、1時間混合粉砕して得られた難燃助剤顆粒表面の走査電子顕微鏡写真(倍率:1万倍)である。
(1)本願発明の第一の態様
(A)難燃助剤無機酸化物、難燃助剤無機酸塩及び難燃助剤無機硫化物からなる群から選択される一種以上の難燃助剤無機粒子と、(B)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤とを含み、
(B)/(A)の重量比が1/99~50/50であり、
(A)難燃助剤無機粒子の少なくとも一部の表面が、(B)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤で被覆されている、難燃助剤顆粒である。
(1-1)
本態様の難燃助剤顆粒は、ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤で被覆されているため、難燃助剤の飛散を防止できる。
また、ハロゲン化エポキシ樹脂は多くの樹脂との相溶性が良好であるため、難燃剤含有樹脂組成物を製造する上で汎用性良く使用することができる。
また、被覆材がハロゲン系難燃剤であるため、被覆することにより難燃性に不利に働かない。
また、より好ましくは更に、被覆膜の密着性、機械的強度、分散性のいずれか一以上において良好である。
(i) 本態様の難燃助剤顆粒の飛散濃度は、好ましくは難燃助剤無機粒子中の金属原子換算で0.1mg/m以下、より好ましくは難燃助剤無機粒子換算で0.1mg/m以下である。
開封時あるいは投入時の飛散濃度の測定は、具体的には原子吸光分析法によって行う。
(ii)
被覆膜の密着性は、熱トルエン抽出後の固形分維持率や熱水抽出後の固形分残存率により評価することができる。すなわち、JIS K6229:2015のC法に準じて、ソックスレー抽出器により抽出する。本態様の難燃助剤顆粒では、熱トルエン抽出後の固形分が、60%以上維持するのが好ましく、80%以上維持することがより好ましい。また、JIS K6229:2015のC法に準じて、本態様の難燃助剤無機顆粒では、熱水抽出後の固形分が、70%以上維持することが好ましく、90%以上維持することがより好ましい。
上記固形分残存率は、被覆維持率に換算することもできる。
ここで、被覆維持率とは、熱トルエン抽出前の難燃助剤顆粒の重量から該難燃助剤顆粒中に含まれる難燃助剤無機粒子の重量を差し引いて得られる抽出前被覆相当重量を100として、熱トルエン抽出後の難燃助剤顆粒の重量から該難燃助剤顆粒中に含まれる難燃助剤無機粒子の重量を差し引いて得られる抽出後被覆相当重量を重量%で表わしたものである。かかる被覆維持率は、0.1%以上であることが好ましく、1%以上であることがより好ましく、3%以上であることが更に好ましく、4%以上であることが特に好ましい。 あるいは、被覆維持率とは、熱水抽出前の難燃助剤顆粒の重量から該難燃助剤顆粒中に含まれる難燃助剤無機粒子の重量を差し引いて得られる抽出前被覆相当重量を100として、熱水抽出後の難燃助剤顆粒の重量から該難燃助剤顆粒中に含まれる難燃助剤無機粒子の重量を差し引いて得られる抽出後被覆相当重量を重量%で表わしたものである。かかる被覆維持率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤で構成される被膜と難燃助剤無機粒子との密着性は良好である。理論に束縛されるものではないが、難燃助剤無機酸化物、難燃助剤無機酸塩及び難燃助剤無機硫化物中の酸素原子あるいは硫黄原子と、被覆剤中のハロゲン化エポキシ樹脂のエポキシ基との相互作用により、密着性が向上するものと考えている。
なお、被覆膜の密着性は、良好な被覆率や接触角のデータからも推認できる。
(iii)
また、本態様の難燃助剤顆粒の顆粒強度は、圧縮試験(テクスチャ―アナライザーによる錠剤硬度試験)を行い、どの程度の圧力で顆粒断面に破断が生じるかを測定することにより評価することができる(破断強度)。
砕けやすいが、取り扱い中は破損しない顆粒が好ましいとの観点からは、最初にメッシュ2(線径2.0)の平織り金網を通過し、次いで、メッシュ4(線径2.0)の平織り金網で残存する顆粒を選別して得られる1個の顆粒について、圧縮試験に適したできるだけ平板ないし柱状の顆粒を選択して、破損の際の圧力が1~300Nであることが好ましく、10~200Nであることがより好ましい。難燃助剤と樹脂との界面から破損が始まる。
(1-2)
本発明にいう難燃助剤無機粒子としては、難燃助剤無機酸化物、難燃助剤無機酸塩及び難燃助剤無機硫化物からなる群から選択される一種以上の難燃助剤無機粒子を用いる。
ここで、難燃助剤とは、単独では難燃性に殆ど効果はないが、他の難燃剤と組み合わせると相乗効果で難燃効果を発揮する剤のことをいう。
本願発明で用いる難燃助剤無機粒子としては、具体的には、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、硫化亜鉛、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛及び活性アルミナからなる群から選択される一種以上を例示できる。
このうち、酸化アンチモンには、三酸化二アンチモン(III)Sb、五酸化二アンチモン(V)Sb、及び四酸化二アンチモン Sbが知られている。四酸化二アンチモンはSbIIIとSnの混合酸化物とみられている。
特に、特定化学物質障害予防規則にいう特定化学物質の対象(管理第二類物質)に新たに追加され飛散防止規制に対応することの要求される三酸化二アンチモンを含む難燃助剤無機粒子を、本態様の難燃助剤無機粒子として用いることが便宜である。
(1-3)
(i)
ハロゲン化エポキシ樹脂とは、ハロゲン化されることで難燃性を付与されたエポキシ樹脂である。そして、エポキシ樹脂とは、1分子中に二つ以上のエポキシ基を有する樹脂を表し、その中で1分子中のエポキシ基の数が平均で二つより多い多官能型エポキシ樹脂(たとえばノボラック型エポキシ樹脂、特にクレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のように1分子中のエポキシ基の数が二つである2官能型エポキシ樹脂との二つに分類される。多官能型エポキシ樹脂は硬化物が架橋する際に3次元的な架橋を組めることからネットワークは強固なものとなり,高温状態でも分子の動きが制限されるため2官能エポキシ樹脂と比較して耐熱性に優れる。
例えば2官能型エポキシ樹脂としては、ハロゲン化ビスフェノール誘導体と、エピクロロヒドリンとの共重合体を含む樹脂を例示でき、かかるハロゲン化ビスフェノール誘導体としては、下記構造式:
(式中、
は、単結合または炭素数2~13の二価の炭化水素基であり、前記炭化水素基にフェニル基が含まれる場合、該フェニル基は水酸基を置換基として含んでいてもよく、
は、互いに同一でも異なっていてもよい、HまたはCHCHOHであり、
Xは、互いに同一でも異なっていてもよい、メチル、塩素または臭素であり、少なくとも一つ以上のXは塩素または臭素であり、
nは、互いに同一でも異なっていてもよい、1~4の整数である。)が例示できる。
市販品としては、ハロゲン化ビスフェノール誘導体として、四臭化ビスフェノールA:

を用い、エピクロロヒドリンとの共重合体とした樹脂を入手できる[エス・ケー・ファイン社製のNFシリーズ、坂本薬品工業(株)のSR-Tシリーズなど]。
(ii)
ハロゲン化エポキシ樹脂の数平均分子量は、好ましくは1,000~50,000である。加工性の観点から、1,000以上が好ましく、3,000以上がより好ましい。他方、安全の観点から、50,000以下が好ましく、30,000以下がより好ましい。
また、ハロゲン化エポキシ樹脂のエポキシ当量は好ましくは100~1,000g/当量である。酸化アンチモンとの密着性の観点から、100g/当量以上が好ましく、150g/当量以上がより好ましい。他方、ポットライフ(エポキシ基の失活時間)の観点から、1,000g/当量以下が好ましく、800g/当量以下がより好ましい。
また、ハロゲン化エポキシ樹脂のハロゲン含有率は、十分な難燃性及びコストの観点から、1~50重量%であることが好ましい。 また、ハロゲン化エポキシ樹脂の融点は50~350℃であることが好ましい。加工性時の溶融性の観点から50℃以上であり、ハロゲン化エポキシ樹脂の分解点は、加工時の分解抑制の観点から300℃以上であることが好ましい。
(iii)
ハロゲン化エポキシ樹脂を含むハロゲン系難燃剤(B)/難燃助剤無機粒子(A)の重量比は、1/99~50/50である。
難燃効果の観点から、(B)/(A)は1/99以上であり、更に2/98以上であることが好ましく、3/97以上であることがより好ましい。他方、コストの観点から、50/50以下であり、更に40/60以下であることが好ましく、30/70以下であることがより好ましい。
また、ハロゲン系難燃剤(B)中のハロゲン化エポキシ樹脂の含量は、ハロゲン系難燃剤被膜の密着性の観点から、50重量%以上が好ましく、70重量%であることがより好ましく、100重量%であることが最も好ましい。
ハロゲン化エポキシ樹脂以外でハロゲン系難燃剤(B)中に含まれていてもよい、ハロゲン化難燃剤としては、反応基(たとえば、OH基)をもつハロゲン化難燃剤(たとえば、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレートなど)、比較的高分子量、たとえば1,000~10,000の数平均分子量をもつハロゲン化難燃剤(たとえば臭素化カーボネートオリゴマー)を好ましいものとして挙げることができる。
(iv)
難燃助剤無機粒子(A)の少なくとも一部の表面が、ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤(B)で被覆されている。
被覆されているかどうかは、難燃助剤顆粒の水との接触角を測定することにより、確認することができる。ハロゲン置換基の存在によりハロゲン化エポキシ樹脂が撥水性であることに基づく。より具体的には、FT-IR測定に用いられるKBr錠剤法技術を応用し、難燃助剤顆粒を擦り潰し、難燃助剤顆粒のみで測定用の難燃助剤薄膜を調製し、得られた薄膜を接触角測定器にて接触角を測定する。
ハロゲン系難燃剤(B)による十分な被覆といえるためには、難燃助剤顆粒で形成された薄膜表面の水との接触角が90°以上であることが好ましく、100°以上であることがより好ましい。
ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤で被覆されていることにより、顆粒表面の凹凸が少なくなり表面がより平滑になる。このため、本態様の難燃助剤顆粒を用いて混錬を行う場合、混練時の顆粒同士の衝突による発熱が抑制され、混合容易となる。すなわち、本態様の難燃助剤顆粒の分散性は良好である。また、ハロゲン化エポキシ樹脂も多くの樹脂と相溶性が良好なため、これも分散性を良好にする。
(1-4)
本態様の難燃助剤顆粒のうち、好ましくは、(B)/(A)の重量比を1/99~20/80とすることで[ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤(B)を比較的少なめに用いる態様]、難燃助剤無機粒子(A)の表面を効果的に被覆して、本願発明の難燃助剤顆粒を得ることができる。
更に本態様の難燃助剤顆粒のうち、(B)/(A)の重量比を20/80を超え、かつ50/50以下とすることで[ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤(B)を比較的多めに用いる態様]、難燃助剤無機粒子(A)の表面を効果的に被覆すると共に、余分のハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤(B)が結着剤として機能して、顆粒同士を結び付け、より嵩密度の低いサイズの大きい難燃助剤顆粒を形成することができる。この態様の難燃助剤顆粒は、砕けやすいが、取り扱い中は破損しないという観点からはより好ましい。
(1-5)
被覆された難燃助剤顆粒の嵩密度は、好ましくは0.1~5.0g/cm、より好ましくは0.1~3.0g/cm、更に好ましくは0.5~3.0g/cm、更に好ましくは0.5~2.0g/cmである。
嵩密度は、JIS R9301-2-3:1999(ISO903:1976)に準拠して重装法によって測定する(重装嵩密度)。重装嵩密度とは一般には、静置した容積既知の容器中に、顆粒を自由に落下させて集めた後、顆粒の入った容器を所定の高さ(JIS R9301-2-3では約30mmの高さ)から所定回(JIS R9301-2-3では100回)落下させて顆粒を圧縮したときの容器中の顆粒の体積で、顆粒の質量を割った値をいう。
また、一つの難燃助剤顆粒中には、原料として用いる難燃助剤無機粒子(A)の状態にも依存して、一つないし複数の難燃助剤無機粒子(A)が含まれる。
難燃助剤顆粒の平均最大粒径は、0.01mm~30mmが好ましく、0.1mm~10mmであることがより好ましい。ここにいう平均粒径は一次粒子、二次粒子の区別なく、一つの塊として単独に空間的に分離して観察される顆粒の平均最大粒径を指す。具体的には、乾式分散法(レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置に、薬さじで直接、あるいは振動フィーダーを用いて乾燥粉体を均一に測定部へ落下させ、顆粒を壊さずにそのまま測定)によって求めることができる。
(2)
本発明の第二の態様は、
(I)
(A)難燃助剤無機酸化物、難燃助剤無機酸塩及び難燃助剤無機硫化物からなる群から選択される一種以上の難燃助剤無機粒子に、(B)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤を加えて混合する工程であって、(B)/(A)の重量比が1/99~50/50である工程;及び
(II)
工程(I)で得られた顆粒を乾燥する工程を含む、難燃助剤顆粒の製造方法である。
(2-1)
工程(I)では、好ましく密閉式ニーダー、もしくは押出機を用いて、難燃助剤粒子攪拌下に、ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤を徐々に加えながら攪拌する。
好ましくは、ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤は溶液ないし分散液にして加える。用いる溶媒としては、ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤に可溶性で、沸点が100℃以下の溶媒、たとえばヘキサンなどが好ましい。
砕けやすいが、取り扱い中は破損しない顆粒を得るという観点からは、用いる固形分の濃度は10重量%~95重量%であることが好ましく、15重量%~90重量%であることがより好ましい。
添加時間は、添加すべきハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤の量にも依存するが、加工時の分解抑制の観点から、1時間以下が好ましく、0.5時間以内がより好ましい。
ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤を徐々に添加して、(B)/(A)の重量比が20/80付近になるまでは、当該ハロゲン系難燃剤の大部分は難燃助剤無機粒子の表面を覆っていく。(B)/(A)の重量比が20/80を超えると、添加した当該ハロゲン系難燃剤が、それまでに生成した顆粒の結着剤として働く割合が大きくなり、よりサイズが大きく、より嵩密度の低い顆粒へと成長していくものと考えられる。
(2-2)
工程(II)では、工程(I)で得られた顆粒を、好ましくはサイクロン式乾燥装置などで乾燥する。好ましい乾燥条件は、120℃で5分間である。
(2-3)
添加すべき(B)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤を複数の部分に小分けして、工程(I)及び(II)を複数繰り返すこともできる。
たとえば、最初の工程(I)において、(B)/(A)の重量比1/99~20/80で(B)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤(第一のハロゲン化難燃剤)を添加し、次いで工程(II)を経た上で、再度、工程(I)を行って、残りの(B)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤(第二のハロゲン化難燃剤)を添加して、最終的に(B)/(A)の重量比が1/99~50/50となるようにすることもできる。
この場合、最初の工程(I)で用いる第一のハロゲン系難燃剤と、再度の工程(I)で用いる第二のハロゲン系難燃剤中のハロゲン化エポキシ樹脂の含有量を異ならせることができる。
最初の工程(I)では、難燃助剤無機粒子表面との密着性が重要となるため、ハロゲン化エポキシ樹脂含量の高い第一のハロゲン系難燃剤を用いることが好ましく、100重量%がハロゲン化エポキシ樹脂であることがより好ましい。
他方、再度の工程(I)では、加える第二のハロゲン系難燃剤が、それまでに形成された顆粒の結着剤として働く割合が高くなることから、最初の工程(I)ほどには、ハロゲン化エポキシ樹脂含量を高くする必要性は高くない。再度の工程(I)により、最初の工程(I)で得られた複数の顆粒が第二のハロゲン系難燃剤を結着剤として結着し、よりサイズの大きい、嵩密度の低い顆粒を得ることもできる。
(4)
本発明の第三の態様は、
本発明の第一の態様の難燃助剤顆粒、難燃剤、及び樹脂を含み、前記難燃助剤顆粒が、前記樹脂及び前記難燃剤の合計量100重量部に対して、0.1~50重量部であることを特徴とする、難燃剤配合樹脂組成物である。
本発明の第一の態様の難燃助剤顆粒は、汎用性があり、多くの樹脂との相溶性も良好であり、種々の樹脂を用いた難燃剤配合樹脂組成物の調製に好ましく用いることができる。
また、難燃剤配合樹脂組成物の調製に用いる樹脂として、リサイクルされた樹脂を用いることもでき、二酸化炭素低減の観点で有利である。
(4-1)
用いる難燃剤としては任意の難燃剤を用いることができるが、用いる難燃助剤と相乗効果を発揮する難燃剤、たとえば、用いる難燃助剤が三酸化二アンチモンである場合には、臭素系難燃剤を用いるのが好ましい。
用いる樹脂としては、多くの樹脂を用いることができるが、難燃効果の観点から、好ましくは臭素含有ポリマーある。
配合組成としては、樹脂及び難燃剤の合計量100重量部に対して、0.1~50重量部の難燃助剤顆粒を用いる。難燃助剤の効果を発揮させる観点から、0.1重量部以上であり、好ましくは5重量%以上である。他方、経済性の観点から、50重量%以下であり、好ましくは25重量%以下である。
(4-2)
本態様の組成物を調製する方法としては、本発明の第一の態様の難燃助剤顆粒、難燃剤、及び樹脂を加熱混合する第一の工程、次いで、第一の工程で得られた組成物を成形加工する第二の工程を含むことができる。
加熱混合には、コストの観点から、密閉式ニーダーや押出機を用いるのが好ましい。
成形加工する装置としては、好ましくは密閉式ニーダーや押出機を用いることができる。本成形加工工程により、たとえばペレット形状の難燃剤顆粒を得ることができる。
(1)難燃助剤顆粒の製造
表1-1~表1-3に表示される成分を用いて、本願発明品(実施例1~14)及び比較品(比較例1~4)の難燃助剤顆粒を製造した。
具体的には、基本的に以下の手順により製造した。
(i)
密閉式ニーダー(装置名:TD20-30/40 (株)トーシン製)中、ヘキサン5kgに分散させた10kg(100重量部)の三酸化二アンチモン(Sb)攪拌下に、所定量のハロゲン化エポキシ樹脂、及び任意選択的にその他の難燃剤(臭素化カーボネートオリゴマー又は臭素化トリフェニル誘導体)を、1分間かけて徐々に加えた(20rpm、60℃)。添加終了後、更に1分間攪拌後、ヘキサン脱気後、水蒸気洗浄して、取り出した。
(ii)
得られた顆粒を、サイクロン式乾燥装置を用いて、120℃、流入速度が15m/sの条件で乾燥した。
なお、実施例13~14では、ハロゲン化エポキシ樹脂以外の難燃剤である臭素化カーボネートオリゴマー又は臭素化トリフェニル誘導体も添加している。
また、比較例1は、上記の製造法を用いる前の三酸化二アンチモンそのもの(PATOX-M*1 平均粒径: 0.5μm)である。


(2)難燃助剤顆粒の物性測定
(2-1)
得られた実施例1~14及び比較例1~4それぞれの難燃助剤顆粒について、被覆維持率、接触角、嵩密度(重装嵩密度)、顆粒硬度、及び飛散濃度の測定を行った。
結果を表2-1~2-3に示す。


なお、それぞれの測定は以下のように行った。
(被覆維持率)
熱トルエン抽出による難燃助剤顆粒の被覆相当重量の維持率である。ここで、被覆相当重量とは、難燃助剤顆粒の重量から該難燃助剤顆粒中の難燃助剤無機粒子の重量を差し引いて得られる重量である。そして、被覆維持率は熱トルエン抽出前の被覆相当重量を100とした場合における、熱トルエン抽出後の被覆相当重量を重量%で表わしたものである。そして、熱トルエン抽出は、JIS K6229:2015のC法に準じて、ソックスレー抽出器により行う。
ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤は熱トルエンに可溶と考えられるため、上記定義による被覆維持率は、難燃助剤無機粒子とハロゲン化エポキシ樹脂との親和性ないし密着性を反映する。すなわち、用いるハロゲン系難燃剤中のハロゲン化エポキシ樹脂含有量を一定にした場合、難燃助剤無機粒子とハロゲン化エポキシ樹脂との親和性ないし密着性が高いほど、被覆維持率は高くなると考えられる。
(接触角)
FT-IR測定に用いられるKBr錠剤法を参考にして(但し、KBrは用いない)、得られた難燃助剤顆粒を錠剤成型器で加圧製錠して測定用の難燃助剤顆粒薄膜を調製した。より具体的には、必要量の難燃助剤顆粒をめのう製乳鉢で粉砕し、得られた粉末を錠剤成型器に入れて加圧製錠した。
得られた薄膜を接触角測定器(装置:KRUSS社製 全自動接触角計DSA30)にて脱イオン水との接触角を測定した(θ/2法)。
(嵩密度)
JIS R9301-2-3:1999(ISO903:1976)に準拠して重装法によって測定した(重装嵩密度)。より具体的には、静置した容積30cmの(除電済ステンレス製)容器中に、難燃助剤顆粒を自由に落下させて集めた後、難燃助剤顆粒の入った容器を所定の高さ(約30mmの高さ)から100回落下させることで難燃助剤顆粒を圧縮したときの容器中の難燃助剤顆粒の体積で、難燃助剤顆粒の全質量を割った値を嵩密度とした。
(顆粒硬度)
テクスチャ―アナライザー(装置:TA.XTplusC 、Stable Micro Systems社製)による圧縮試験を行い、どの程度の力で一個の顆粒についての顆粒断面に破断が生じるかを測定することにより評価した(破断強度)。測定される力は、顆粒断面が破断する直前の力を採用する。
測定は、最初にメッシュ2(線径2)の平織り金網を通過し、次いで、メッシュ4(線径2)の平織り金網で残存する顆粒を選別し、そのうち、圧縮試験に好適な、出来るだけ平板状ないし柱状の顆粒1個を取り出し、取り出した難燃助剤顆粒1粒を、装置測定部上ステージにおいて測定した。
(飛散濃度)
原子吸光分析法(装置:日立製作所Z-5010)により求めた。測定元素を原子蒸気化(原子化)し、これに測定元素特有の波長の光を透過させて基底状態の原子を励起状態に遷移させ、この光の吸収(吸光度)から元素濃度を測定する方法である。濃度既知の元素標準液により検量線を作成し、検量線法により定量を行う。表中の数値は、三酸化二アンチモン換算での値である。
具体的には、特定化学物質障害予防規則第36~36条の4を参照して、試料を採取したメンブランフィルターに塩酸4ml、過酸化水素1mlを加え約90℃で 30分加熱し。冷却後、3%塩酸を加えて 10mlの体積にする。
測定条件:測定波長217.63nm、温度条件:80~120℃、60秒で乾燥、試料注入量 10μl。その際、検量線は酸溶液(塩酸3%)で調整した。
(2-2)
表2-1~表2-3の結果から、難燃助剤である三酸化二アンチモン含有率が99.0~50.0重量%の範囲にある実施例の難燃助剤顆粒では、90°以上の接触角を有しておりハロゲン系難燃剤による十分な被覆がされていると共に、飛散濃度が非常に低く抑えられており、また、比較的低い適度な嵩密度及び顆粒硬度を有しており加工作業性が高い。被覆維持率の結果からも被覆の密着性が認められる。
これに対して、難燃助剤である三酸化二アンチモン含有率が本願発明の範囲を外れている比較例をみると、ハロゲン系難燃剤(ハロゲン化エポキシ樹脂)が欠如した比較例1、ないし少ない比較例2,4では、飛散濃度が高く、被覆維持率も十分ではない。ハロゲン系難燃剤(ハロゲン化エポキシ樹脂)を過剰に加えた比較例3では、被覆維持率は高くなるものの、嵩密度や顆粒硬度が高くなりすぎて加工作業性が悪い。
(3)難燃剤配合樹脂組成物の調製及び評価
表3-1~表3-3に表示される成分を用いて、本願発明品(実施例15~23)及び比較品(比較例5~13)の難燃剤配合樹脂組成物のペレットを製造した。
具体的には、基本的に以下の手順により製造した。
密閉式ニーダー(装置名:TD20-30/40 (株)トーシン製)中、樹脂、難燃助剤(難燃助剤顆粒も包含)、及びハロゲン化難燃剤を加えて、60℃で1分間加熱混合した。次いで、破砕機 KGC350 (株)カワタ製により、ペレットを調製した。


(4)難燃剤配合樹脂組成物の物性測定
得られた実施例15~23及び比較例5~13それぞれの難燃剤配合樹脂組成物のペレットについて、流動性、曲げ弾性率、シャルピー衝撃強度、及びUL-94燃焼試験時の発熱速度の測定を行った。
結果を表4-1~4-3に示す。


なお、それぞれの測定は以下のように行った。
(流動性)
JIS K 7210-1:2014 (ISO 1133-1:2011)に基づくメルト・マスフローレイト(MFR)として測定した。規定の温度(220又は250℃)及び荷重(5kg重)の条件下で,溶融した難燃剤顆粒配合樹脂組成物を,メルトインデックサ(装置:Gメルト 東洋精機製作所製)のシリンダから押し出すことで、10分間当たりのグラム数単位(g/10分)として,押出溶融速度を求めた。
(曲げ弾性率)
難燃剤顆粒配合樹脂組成物をK7171:2016(ISO 178:2010,Amd.1:2013)に基づき、射出成型機(NEX500-5E 日精樹脂工業社製)を用いて、曲げ弾性率を求めた。
(シャルピー衝撃強度)
難燃剤配合樹脂組成物をISO179-1を基として作成されたK7111-1:2012に基づき、射出成型してノッチ付き試験片を作製し、破壊時に吸収される衝撃エネルギーを試験片の初めの断面積で除した値として求めた。
一般的には、分散性良好であればシャルピー衝撃強度は増加し。凝集があれば低下する傾向がある。
(発熱速度)
難燃剤配合樹脂組成物をUL94 / IEC60695-11-10 / JIS K6911に基づき、射出成型にて試験片を作製した。その試験片を発熱速度が測定可能なUL-94V型垂直燃焼試験機(マルチカロリーメータ 東洋精機製作所製)を用いて、燃焼時の発熱速度(W)を測定した。
本願発明の好ましい難燃助剤顆粒は分散性が良好であるため、寸法の歪み防止が特に重要な電気・電子製品に好適に応用できる。すなわち、製品筺体が有する穴には、ネジ留め寸法が規定されているところ、環境変化により徐々に結晶化が進行し、寸法変化が生じると、ネジ留め部分に局部的応力が生じ、ワレなどの破損が生じる。特に光学部分であるとその寸法のゆがみは、画像特性に影響を与え、致命的損失となる。本願発明の難燃助剤顆粒は、部材の寸法精度向上に寄与できる。
また、本願発明の難燃助剤顆粒は、電気電子製品に限定されるものではなく、航空宇宙、車両、医療、レジャー等幅広い用途に使用できる。特に、リサイクルのため難燃性が低下した難燃樹脂への難燃性回復剤としての利用は有用である。

Claims (11)

  1. (A)難燃助剤無機酸化物、難燃助剤無機酸塩及び難燃助剤無機硫化物からなる群から選択される一種以上の難燃助剤無機粒子と、(B)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤とを含む難燃助剤顆粒であって
    (B)/(A)の重量比が1/99~50/50であり、
    (A)難燃助剤無機粒子の少なくとも一部の表面が、(B)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤で被覆されており、
    JIS R9301-2-3:1999に準拠して重装法によって測定した難燃助剤顆粒の嵩密度が0.1~3.0g/cm である、難燃助剤顆粒。
  2. (B)/(A)の重量比が1/99~20/80である、請求項1に記載の難燃助剤顆粒。
  3. (B)/(A)の重量比が20/80を超え、かつ50/50未満である、請求項1に記載の難燃助剤顆粒。
  4. (A)難燃助剤無機粒子が、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、硫化亜鉛、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛及び活性アルミナからなる群から選択される一種または二種以上である、請求項1に記載の難燃助剤顆粒。
  5. (A)難燃助剤無機粒子が、三酸化二アンチモンである、請求項4に記載の難燃助剤顆粒。
  6. ハロゲン化エポキシ樹脂の数平均分子量が1,000~50,000であり、エポキシ当量が100~1,000g/当量である、請求項1~5のいずれか一項に記載の、難燃助剤顆粒。
  7. ハロゲン化エポキシ樹脂のハロゲン含有率が30~60重量%である、請求項6に記載の、難燃助剤顆粒。
  8. KBr錠剤法に準拠し、前記難燃助剤顆粒を粉砕し、加圧製錠して調製した難燃助剤顆粒薄膜について、脱イオン水との接触角が90°以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の難燃助剤顆粒。
  9. (I)
    (A)難燃助剤無機酸化物、難燃助剤無機酸塩及び難燃助剤無機硫化物からなる群から選択される一種以上の難燃助剤無機粒子に、(B)ハロゲン化エポキシ樹脂を含む一種以上のハロゲン系難燃剤を加えて混合する工程であって、(B)/(A)の重量比が1/99~50/50である工程;及び
    (II)
    工程(I)で得られた顆粒を乾燥する工程を含む、難燃助剤顆粒の製造方法であって、
    JIS R9301-2-3:1999に準拠して重装法によって測定した難燃助剤顆粒の嵩密度が0.1~3.0g/cm である、製造方法
  10. 請求項1の難燃助剤顆粒、難燃剤、及び樹脂を含み、前記難燃助剤顆粒が、前記樹脂及び前記難燃剤の合計量100重量部に対して、0.1~50重量部であることを特徴とする、難燃剤配合樹脂組成物。
  11. 前記樹脂がリサイクルされた樹脂である、請求項10に記載の難燃剤配合樹脂組成物。
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