ところで、特許文献1では、熱媒体との接触面積を大きく得て、熱媒体による冷却面の冷却効率を向上させる目的で、外壁部材の内部にインナーフィンが収容されている。特許文献1では、効率的な両面冷却を目的として、外壁部材の内部空間が中間プレートによって一対の冷却壁部の対向方向に区分されており、中間プレートの両側にそれぞれインナーフィンが配された構造とされている。
しかしながら、特許文献1の構造では、中間プレートと2つのインナーフィンが必要になることから、部品点数が多くなって構造が複雑になるという問題があった。
また、冷却対象に近い位置を流れる熱媒体だけが冷却対象との熱交換によって高温となることで、冷却対象に近い位置を流れる熱媒体との熱交換による冷却性能が低下するおそれがあった。更に、冷却対象から遠い位置を流れる熱媒体は、中間プレートやインナーフィンを介して冷却対象を間接的に冷却することから、冷却対象から近い位置を流れる熱媒体に比して熱交換効率が低くなり易く、熱媒体全体の熱容量を有効に利用できずに、冷却性能が低下してしまうおそれがあった。
本発明の解決課題は、簡単な構造で両面に冷却面を備えた両面冷却構造を実現しつつ、優れた冷却性能を安定して得ることができる、新規な構造の冷却用熱交換器を提供することにある。
以下、本発明を把握するための好ましい態様について記載するが、以下に記載の各態様は、例示的に記載したものであって、適宜に互いに組み合わせて採用され得るだけでなく、各態様に記載の複数の構成要素についても、可能な限り独立して認識及び採用することができ、適宜に別の態様に記載の何れかの構成要素と組み合わせて採用することもできる。それによって、本発明では、以下に記載の態様に限定されることなく、種々の別態様が実現され得る。
第一の態様は、冷却用の熱媒体が流れる冷却流路が内部に形成されて、表面に設けられた冷却面に重ね合わされる冷却対象を冷却する冷却用熱交換器であって、内部に前記冷却流路を備えた中空の外壁部材が設けられて、該外壁部材における相互対向部分には表面に前記冷却面を備えた一対の冷却壁部が設けられており、該外壁部材の内部領域には、該内部領域を該一対の冷却壁部の対向方向で二分するプレート状のインナーフィンが配設されており、該インナーフィンには、各一方の面に突出する第一突起及び第二突起が一体的に形成されているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、冷却流路が1つのインナーフィンで一対の冷却壁部の対向方向に二分されていることにより、両面冷却に適するように区分された冷却流路を簡単な構造で実現することができる。また、例えば、インナーフィンが外壁部材の内部領域に設けられることによって、熱媒体との接触面積が大きくなることから、一対の冷却壁部がインナーフィンを介した熱媒体との間接的な熱交換によっても冷却されて、冷却対象に対する冷却性能の向上が図られる。
また、インナーフィンには、各一方の面に突出する第一突起及び第二突起が一体的に形成されている。それゆえ、インナーフィンの両側を流れる熱媒体が第一突起及び第二突起によって流れの方向を変えられて、例えば、渦流や乱流の発生、熱媒体がインナーフィンから離れて冷却壁部側へ導かれること等によって、熱媒体が撹拌される。そして、冷却対象との熱交換によって加温された冷却壁部に近い位置を流れる熱媒体と、比較的に低温に維持された冷却壁部から遠い位置(インナーフィンに近い位置)を流れる熱媒体とが撹拌されて、それら温度差のある熱媒体が混合される。これにより、熱媒体の部分的な温度上昇による冷却対象との熱交換効率の低下が防止されて、熱媒体全体の熱容量が冷却対象の冷却に有効に利用されることにより、冷却性能の向上が図られる。
第一突起と第二突起が冷却流路を仕切るインナーフィンの両面に突出して設けられていることから、少ない部品点数と製造工程数で、インナーフィンの両側の流路においてそれぞれ突起による撹拌作用を得ることができる。
第二の態様は、第一の態様に記載された冷却用熱交換器において、前記冷却流路は、前記インナーフィンで流路幅方向に区切られて隣り合って並列的に延びる複数の流路部で構成された並列流路部を備えており、該並列流路部を構成する該複数の流路部における前記熱媒体の流動方向が同じとされているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、インナーフィンを利用して並列的な複数の流路部からなる並列流路部を形成することにより、インナーフィンが熱媒体の流れを整える整流フィンとしても機能し得る。また、各流路部の流路断面積をインナーフィンによって容易に調節設定することが可能であり、各流路部における熱媒体の流量及び流速を調節することで、目的とする冷却性能を実現することができる。
インナーフィンが隣り合う流路部を仕切る壁部を構成することから、インナーフィンの熱媒体との接触面積がより大きくなって、インナーフィンを介した冷却面の間接的な冷却がより効率的に実現される。
複数の流路部からなる並列流路部の流路幅方向での大きさは、流路部の数によって調節可能であることから、例えば、並列流路部を冷却面と対応する位置に設けることにより、各流路部の流路断面積を適切に設定しつつ、流路幅方向における冷却面の大きさをより大きな自由度で設定することができる。
並列流路部を構成する複数の流路部は、熱媒体の流動方向が相互に同じ向きとされていることから、隣り合う流路部間での熱交換による冷却性能の低下が発生し難い。
第三の態様は、第一又は第二の態様に記載された冷却用熱交換器において、前記外壁部材は、前記一方の冷却壁部を構成する第一部材と、前記他方の冷却壁部を構成する第二部材とを、それら一対の冷却壁部の対向方向で相互に重ね合わせた構造とされており、前記インナーフィンがそれら第一部材と第二部材との対向間に配設されているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、第一部材と第二部材の重ね合わせ面間にインナーフィンを配することによって、インナーフィンを外壁部材の内部領域へ簡単に収容配置することができる。
第四の態様は、第一~第三の何れか1つの態様に記載された冷却用熱交換器において、前記インナーフィンは、前記一対の冷却壁部の対向方向でジグザグ状や波状に折り返す断面を有しており、前記第一突起と前記第二突起とが該インナーフィンにおける隣り合う折返しの頂部間に形成されているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、簡単な形状のインナーフィンによって外壁部材の内部領域を区分けすることができる。特に、インナーフィンがジグザグ状や波状の断面とされていることにより、インナーフィンによって仕切られた並列的な複数の流路部を形成することもできる。
また、インナーフィンがジグザグ状や波状に折り返す断面を有していることによって、インナーフィンの変形剛性を確保し易くなって、例えばインナーフィンの薄肉化を図ることも可能となる。しかも、インナーフィンにおける折返しの頂部間に第一突起と第二突起とが形成されることにより、インナーフィンの変形剛性を更に高めることができる。
第五の態様は、第一~第三の何れか1つの態様に記載された冷却用熱交換器において、前記インナーフィンは、前記外壁部材における前記一対の冷却壁部の両方から離れて配置されて、該一対の冷却壁部の対向面間を該一対の冷却壁部の対向方向で二分する中間仕切部を備えており、該中間仕切部に前記第一突起及び前記第二突起が形成されており、該インナーフィンは該中間仕切部から該一対の冷却壁部に向けて両側へ突出する隔壁部を備えており、該隔壁部によって該外壁部材の内部領域が前記冷却流路の流路幅方向で複数の流路部に区分されているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、外壁部材の内部領域が、1つのインナーフィンによって、一対の冷却壁部の対向方向で区分けされるだけでなく、冷却流路の流路幅方向でも複数に区分けされて複数の流路部が構成される。これにより、流路部の数や流路断面積等を、1つのインナーフィンに設けられる隔壁部の間隔や数によって、大きな自由度で簡単に設定することが可能となる。
中間仕切部に第一突起及び第二突起が設けられることから、各流路領域において突起による乱流促進作用が発揮されて、優れた冷却性能が実現される。
第六の態様は、第一~第五の何れか1つの態様に記載された冷却用熱交換器において、前記第一突起及び前記第二突起は、前記インナーフィンの面上でV字状とされて、前記冷却流路の上流側へ向けて幅狭とされているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、熱媒体は、V字状の第一突起又は第二突起を乗り越える際に、流動抵抗が小さくなるように流路幅方向でV字の中央側へ傾斜した方向に流れる。これにより、第一突起又は第二突起を乗り越えた熱媒体の流れが相互に合流して、第一突起又は第二突起の下流側において渦流や乱流を発生する。その結果、熱媒体がより効率的に撹拌されて、熱媒体の温度差の低減(温度の均一化)による冷却性能の向上が図られる。
第七の態様は、第一~第六の何れか1つの態様に記載された冷却用熱交換器において、前記インナーフィンが前記冷却流路の流路長さ方向で部分的に配されているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、例えば、両面冷却が不要な部分においてインナーフィンをなくすことによって、軽量化や低コスト化が図られる。両面冷却が必要な部分には、第一突起及び第二突起を備えたインナーフィンが配されることから、熱媒体の撹拌による高い冷却性能が期待できる。
第八の態様は、第一~第七の何れか1つの態様に記載された冷却用熱交換器において、前記冷却流路には、各複数の前記第一突起と前記第二突起との少なくとも一方によって前記熱媒体の流れを乱す作用が互いに異ならされた領域が設定されているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、例えば、冷却面において要求される冷却性能が異なる部分がある場合に、より高い冷却性能を求められる部分において熱媒体の流れを乱す作用を強くすることにより、乱流の促進による冷却性能の部分的な向上を図ることができる。
第九の態様は、第八の態様に記載された冷却用熱交換器において、前記熱媒体の流れを乱す作用が互いに異ならされた前記領域が、前記冷却流路において該熱媒体の流れ方向で異なる位置に設定されているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、熱媒体の流れを乱す乱流促進作用が熱媒体の流れ方向で異なることから、例えば、冷却対象から近い熱媒体と遠い熱媒体との温度差が大きくなり易い部分と、それら熱媒体の温度差が大きくなり難い部分とが、冷却流路の流れ方向で異なる位置にある場合に、冷却対象から近い熱媒体と遠い熱媒体との温度差が大きくなり易い部分に乱流促進作用の強い領域を設定することで、熱媒体の流れ方向での温度差を低減することができる。
また、冷却流路において冷却対象から近い位置の熱媒体と冷却対象から遠い位置の熱媒体との温度差が大きくなり難い部分では、熱媒体の流れの乱れが抑えられた領域を設定すれば、熱媒体のスムーズな流動が実現される。
第十の態様は、第九の態様に記載された冷却用熱交換器において、前記熱媒体の流れを乱す作用が互いに異ならされて前記冷却流路における該熱媒体の流れ方向で異なる位置に設定された前記領域は、下流側の該領域ほど該熱媒体の流れを乱す作用が強く設定されているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、冷却対象から近い位置を流れる熱媒体と冷却対象から遠い位置を流れる熱媒体との温度差が大きくなり易い下流側において、熱媒体の流れを乱すことによる撹拌作用によって、熱媒体の温度の均一化が図られて、高い冷却性能を発揮させることができる。
第十一の態様は、第八~第十の何れか1つの態様に記載された冷却用熱交換器において、前記冷却流路は、前記インナーフィンで区切られて隣り合って並列的に延びる複数の流路部で構成された並列流路部を備えており、該並列流路部を構成する該複数の流路部における前記熱媒体の流動方向が同じとされており、該並列流路部における少なくとも一組の隣り合う該流路部には、該熱媒体の流れを乱す作用が互いに異ならされた前記領域が設定されているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、例えば、冷却対象において流路幅方向で発熱量の違いがある場合に、冷却対象の発熱量が大きい部位では熱媒体の流れの乱れを強く設定すると共に、冷却対象の発熱量が小さい部位では熱媒体の流れの乱れを弱く設定することができて、冷却性能の安定化を図ることが可能となる。
第十二の態様は、第八~第十一の何れか1つの態様に記載された冷却用熱交換器において、前記熱媒体の流れを乱す作用が互いに異ならされた前記領域が、該熱媒体の流れ方向における複数の前記第一突起間の距離の違いと複数の前記第二突起間の距離の違いとの少なくとも一方によって設定されているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、例えば、熱媒体の流れ方向における第一突起間の距離及び/又は第二突起間の距離を短くすることで、熱媒体の流れを乱す作用(乱流促進作用)の強い領域を設定し、第一突起間の距離及び/又は第二突起間の距離を長くすることで、乱流促進作用の弱い領域を設定することができる。このように、第一突起及び/又は第二突起が設けられる間隔の違いによって、熱媒体の流れを乱す作用が相互に異なる領域を容易に設定することができる。
第十三の態様は、第八~第十二の何れか1つの態様に記載された冷却用熱交換器において、前記熱媒体の流れを乱す作用が互いに異ならされた前記領域が、複数の前記第一突起の相互間での高さの違いと複数の前記第二突起の相互間での高さの違いとの少なくとも一方によって設定されているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、例えば、第一突起及び/又は第二突起の高さを部分的に高くすることで、熱媒体の流れを乱す作用(乱流促進作用)の強い領域を設定し、第一突起及び/又は第二突起の高さを部分的に低くすることで、乱流促進作用の弱い領域を設定することができる。このように、複数の第一突起間及び/又は複数の第二突起間での高さの違いによって、熱媒体の流れを乱す作用が相互に異なる領域を容易に設定することができる。
第十四の態様は、第一~第十三の何れか1つの態様に記載された冷却用熱交換器において、前記冷却対象がバッテリーとされているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、例えば、出力端子部分等での局所的な温度上昇が発生し易いバッテリーを冷却する際に、第一突起及び/又は第二突起の配置を調節することによって、バッテリーの高温部分を効率的に冷却することが可能となる。また、例えば、複数のバッテリーからなるバッテリーユニットを冷却する場合に、第一突起及び/又は第二突起の配置を調節することにより、それら複数のバッテリーを何れも有効に冷却することができて、特定のバッテリーの劣化によるバッテリーユニット全体の性能低下を防ぐことができる。
第十五の態様は、第一~第十四の何れか1つの態様に記載された冷却用熱交換器において、前記インナーフィンには、弾性変形によって前記一対の冷却壁部の接近変形を許容する弾性変形部が設けられているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、例えば、冷却対象であるバッテリーが充放電による加熱等によって膨出変形する場合に、バッテリーの膨出変形に追従する一対の冷却壁部の相互接近側への変形が、一対の冷却壁部の対向面間に配されたインナーフィンの弾性変形部の弾性変形によって許容されている。それゆえ、一対の冷却壁部の対向面間にインナーフィンが配された構造であっても、冷却対象の変形によって冷却対象と冷却面との重ね合わせ面が離れてしまう等の不具合が、冷却対象の表面形状に対する冷却壁部の追従変形によって防止されて、安定した冷却性能が発揮される。
第十六の態様は、第一~第十五の何れか1つの態様に記載された冷却用熱交換器において、前記第一突起と前記第二突起は、それぞれ前記冷却流路の流路幅の全体に亘って延びて、両端部において該冷却流路の側壁部と連続しているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、第一,第二突起を迂回して冷却流路の側壁部と第一,第二突起との間を流れる熱媒体の流れを防ぐことができて、冷却性能の効率的な向上が図られる。また、第一,第二突起が冷却流路の側壁部から離れている場合には、冷却流路の側壁部と第一,第二突起との間を流れる熱媒体の流速が速くなり易く、それによって冷却流路の壁部や第一,第二突起の削れが発生するおそれがある。しかし、本態様に係る冷却用熱交換器では、第一,第二突起が流路幅全体に亘って延びて冷却流路の側壁部と連続していることにより、冷却流路の側壁部と第一,第二突起との間を熱媒体が流れるのを防ぐことができて、冷却流路の壁部や第一,第二突起の削れが防止される。
第十七の態様は、第一~第十六の何れか1つの態様に記載された冷却用熱交換器において、前記第一突起と前記第二突起との少なくとも一方は、突出高さが前記冷却流路の流路幅方向で変化しており、該流路幅方向の中央部分に突出高さの低い低突出部と突出高さの高い高突出部との何れか一方が位置していると共に、該第一突起及び該第二突起における該流路幅方向の両端部分に該低突出部と該高突出部との何れか他方がそれぞれ位置しているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、突起の流路幅方向の中央部分を乗り越えて流れる熱媒体の流れと、第一突起及び/又は第二突起の流路幅方向の両端部分を乗り越えて流れる熱媒体の流れとの間で、撹拌作用や流速等を異ならせることができる。それゆえ、流路幅方向の中央部分と両端部分との間で冷却性能に対する第一突起及び/又は第二突起の影響を相互に異ならせることができて、流路幅方向で冷却性能を調節することができる。
第十八の態様は、第十七の態様に記載された冷却用熱交換器において、前記冷却流路の流路長さ方向に並んで設けられた複数の前記第一突起と前記第二突起との少なくとも一方は、該冷却流路の流路幅方向の中央部分に前記低突出部が設定され且つ両端部分に前記高突出部が設定された中央低突起と、該冷却流路の流路幅方向の中央部分に該高突出部が設定され且つ両端部分に該低突出部が設定された中央高突起とが、該冷却流路の流路長さ方向で交互に配されて構成されているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、流路幅方向の中央部分に低突出部が設定された中央低突起と、流路幅方向の両端部分に低突出部が設定された中央高突起とが、流路長さ方向で交互に配されることにより、例えば、流動抵抗が抑えられ易い低突出部をつなぐ熱媒体の流れが流路幅方向で蛇行状となって、熱媒体を流路幅方向で撹拌する作用が発揮され得る。また、例えば、1つの突起の低突出部を通過した熱媒体が次の突起の高突出部に向かって流れることにより、低突出部を比較的に低い流動抵抗でスムーズに通過した熱媒体が、高突出部に衝突して効率的に撹拌されることも期待できる。
第十九の態様は、第一~第十八の何れか1つの態様に記載された冷却用熱交換器において、前記第一突起と前記第二突起との少なくとも一方は、前記冷却流路の流路長さ方向の断面において、突出先端に向けて先細となる断面形状とされており、円弧状の突起頂部と、該突起頂部から該冷却流路の底面側である突起基部へ向けて該冷却流路の上流側へ傾斜して延びる上流傾斜部と、該突起頂部から該突起基部へ向けて下流側へ傾斜して延びる下流傾斜部とが、角部なく滑らかに連続して設けられているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、突起の表面が流路長さ方向の断面において滑らかに連続していることにより、突起を乗り越える熱媒体の流れがスムーズに生じる。
第二十の態様は、第十九の態様に記載された冷却用熱交換器において、前記冷却流路の流路長さ方向の断面において、前記突起頂部の曲率半径が前記突起基部の長さ寸法に対して0.05~1.5倍の範囲内とされていると共に、該冷却流路の流路長さ方向の断面において、該冷却流路の前記底面に対する前記上流傾斜部の傾斜角度が20~70°の範囲内とされているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、突起頂部の曲率半径が突起基部の長さ寸法に対して0.05倍以上とされていることにより、突起頂部が実質的な角部となることなく滑らかな円弧状断面とされる。また、突起頂部の曲率半径が突起基部の長さ寸法に対して1.5倍以下とされていることにより、突起の流路長さ方向での長さ寸法が過度に長くなるのを防ぐことができると共に、突起頂部と滑らかに連続する上流傾斜部及び下流傾斜部の底面に対する傾斜角度を十分に大きく設定することができる。
冷却流路の底面に対する上流傾斜部の傾斜角度が20°以上とされていることにより、突起に向かう上流側からの熱媒体の流れが上流傾斜部によって効果的に乱されて、撹拌作用による冷却性能の向上が図られる。また、冷却流路の底面に対する上流傾斜部の傾斜角度が70°以下とされていることにより、熱媒体の流動が突起によって過度に制限されるのを防ぐことができる。
第二十一の態様は、第十九の態様に記載された冷却用熱交換器において、前記冷却流路の流路長さ方向の断面において、前記冷却流路の前記底面に対する前記上流傾斜部の傾斜角度が25°以下とされているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、冷却流路の底面に対する上流傾斜部の傾斜角度が25°以下とされていることにより、圧力損失を十分に小さく設定することが可能であり、例えば、より性能の低い安価なポンプを用いて熱媒体を流動させることも可能となる。
第二十二の態様は、第一~第二十一の何れか1つの態様に記載された冷却用熱交換器において、前記冷却流路において流路長さ方向に並ぶ前記第一突起と前記第二突起との少なくとも一方は、突出高さが下流へ向けて低くなっているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、流路長さ方向に並ぶ第一突起及び/又は第二突起の突出高さを下流へ向けて高くすることによって、突起による熱媒体の流れを乱す作用を下流側でより強く発揮させることができる。これにより、冷却対象に近い位置を流れる熱媒体が熱交換によって高温となり易い下流側において、突起による冷却性能の向上効果をより有利に得ることができる。
第二十三の態様は、第一~第二十二の何れか1つの態様に記載された冷却用熱交換器において、前記冷却流路において流路長さ方向に並ぶ前記第一突起と前記第二突起との少なくとも一方は、該冷却流路の流路長さ方向での間隔が下流へ向けて狭くなっているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、流路長さ方向に並ぶ第一突起及び/又は第二突起の間隔を下流へ向けて狭くすることによって、突起による熱媒体の流れを乱す作用を下流側でより強く発揮させることができる。これにより、冷却対象との熱交換によって高温となり易い下流側において、突起による冷却性能の向上効果をより有利に得ることができる。
第二十四の態様は、第一~第二十三の何れか1つの態様に記載された冷却用熱交換器において、前記冷却流路において流路長さ方向に並ぶ前記第一突起と前記第二突起との少なくとも一方は、突出高さが下流へ向けて低くなっていると共に、該冷却流路の流路長さ方向での間隔が下流へ向けて狭くなっているものである。
本態様に従う構造とされた冷却用熱交換器によれば、下流側へ向けて突起の高さが高くなると共に突起間の間隔(ピッチ)が狭くなることにより、突起による熱媒体の流れを乱す撹拌作用が下流側へ向けてより強く発揮される。それゆえ、本態様によれば、下流側での冷却性能の低下がより効果的に抑制される。
本発明によれば、冷却用熱交換器において、簡単な構造で両面に冷却面を備えた両面冷却構造を実現しつつ、優れた冷却性能を安定して得ることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1~図3には、本発明の第一の実施形態としての冷却用熱交換器10が示されている。冷却用熱交換器10は、図2,図3に示すように、中空の外壁部材12を備えており、外壁部材12が第一部材14及び第二部材16によって構成されている。以下の説明において、原則として、上下方向とは図2中の上下方向を、左右方向とは図2中の左右方向を、前後方向とは図3中の左右方向を、それぞれ言う。なお、ここで言う上下・左右・前後の各方向は、説明のための便宜的な方向である。従って、例えば、冷却用熱交換器10の使用状態における鉛直上下方向は、上述した本実施形態中の上下方向であってもよいし、左右方向又は前後方向であってもよいし、上下・左右・前後の何れとも一致しない方向であってもよい。
第一部材14は、略矩形平板形状とされており、左右方向の長さ寸法が前後方向の幅寸法よりも大きくされている。第一部材14は、熱伝導率の高い材料で形成されていることが望ましく、例えば、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅合金等で形成される。第一部材14は、例えば、基材に対してろう材が積層されたクラッド板とすることもできる。第一部材14がクラッド板である場合には、例えば、基材がアルミニウムにマンガンを添加したAl-Mn系のアルミニウム合金で形成され、ろう材がアルミニウムにケイ素を添加したAl-Si系のアルミニウム合金で形成される。また、第一部材14は、例えば、ステンレス鋼からなる基材と、ニッケル合金からなるろう材とを組み合わせたクラッド板とすることもできる。クラッド板は、基材とろう材の圧着や基材に対するろう材の吹付け等、公知の製造方法によって得ることができる。
第二部材16は、下方へ向けて開口する凹部18を備えた開放矩形箱状とされており、略矩形平板状の上底壁と、上底壁の外周端から下方へ向けて突出する矩形筒状の周壁とを、一体的に備えている。第二部材16は、第一部材14と同様に熱伝導率の高い材料で形成されていることが望ましく、例えば、アルミニウム合金、ステンレス鋼、銅合金等で形成される。
第二部材16の左端部分には、凹部18の上底壁を上下方向に貫通する供給孔20が形成されており、第二部材16の右端部分には、凹部18の上底壁を上下方向に貫通する排出孔22が形成されている。第二部材16は、供給孔20の開口周縁部において凹部18の上底壁から上方へ向けて突出する略円筒形状の供給ポート24と、排出孔22の開口周縁部において凹部18の上底壁から上方へ向けて突出する略円筒形状の排出ポート26とを備えている。
第一部材14と第二部材16は、図2,図3に示すように、上下方向で相互に重ね合わされて固着されている。第一部材14の外周端部には、第二部材16における凹部18の周壁の突出先端面が突き当てられており、例えば、クラッド板とされた第一部材14のろう材によってろう付けされることで、第一部材14と第二部材16とが相互に固着されている。このように、第一部材14と第二部材16とが相互に重ね合わされて固着されることにより、それら第一部材14と第二部材16とによって外壁部材12が形成される。
第二部材16の凹部18の開口が第一部材14で覆われることにより、外壁部材12の内部に冷却流路28が形成されている。冷却流路28は、例えば、水、エチレングリコール水溶液等の液体又は空気等の気体からなる熱媒体が流れる流路である。冷却流路28には、低温とされた熱媒体が供給孔20を通じて外部から供給されると共に、熱交換によって高温となった熱媒体が排出孔22を通じて外部へ排出される。従って、供給孔20は冷却流路28の上流側の端部に設けられており、排出孔22は冷却流路28の下流側の端部に設けられている。なお、外壁部材12の内部に熱媒体が流れる冷却流路28が形成されることから、第一部材14と第二部材16との接合部分は、熱媒体の漏出を防止可能な流体密性を有している。
外壁部材12には、一対の冷却壁部30,30が設けられている。即ち、第一部材14は、冷却流路28の壁部を構成する部分が、下側の冷却壁部30とされている。また、第二部材16における凹部18の底壁は、上側の冷却壁部30とされている。従って、外壁部材12における上下方向での相互対向部分が、一対の冷却壁部30,30とされている。冷却壁部30,30は、冷却流路28を流れる熱媒体との熱交換によって冷却される。冷却壁部30,30は、上下外面が上下方向と略直交して広がる平面とされており、それら上下外面がそれぞれ冷却面32とされている。
第一部材14と第二部材16における凹部18の底壁との対向面間に形成された冷却流路28には、インナーフィン34が収容されている。インナーフィン34は、図4,図5にも示すように、全体として左右長さ寸法が前後幅寸法よりも大きい略矩形板状とされている。インナーフィン34は、例えば、アルミニウム合金やステンレス鋼等の金属又は合成樹脂によって形成されている。本実施形態のインナーフィン34は、アルミニウム合金製のプレス金具とされている。インナーフィン34は、好適には、第一,第二部材14,16と同様に、熱伝導率の高い材質とされる。インナーフィン34は、第二部材16の凹部18に挿入可能な形状及び大きさとされている。
インナーフィン34の前後方向の両端部には、上下方向に突出する端壁部35がそれぞれ設けられている。端壁部35は、上方へ向けて突出した先で下向きに折り返して、下方へ突出することで、上下両側へ突出している。より具体的には、端壁部35は、上方へ向けて突出する端壁連結部36と、端壁連結部36の上端部から下向きに折り返して延び出した端壁本体部37とを、一体的に備えている。端壁連結部36は、端壁本体部37から前後方向で離隔する向きに傾斜している。端壁本体部37は、上下方向に対して略非傾斜とされている。端壁本体部37は、端壁連結部36の下端よりも更に下方まで延び出している。なお、端壁部35は、端壁連結部36が下方へ向けて突出しており、端壁本体部37が端壁連結部36の下端部から上向きに延び出すように設けられていてもよい。
インナーフィン34における端壁部35,35の間には、中間仕切部38が設けられている。中間仕切部38は、端壁連結部36の前後方向内側の端部において一体的に連続している。そして、端壁部35は、中間仕切部38に対して上下方向の両側に突出している。また、中間仕切部38は、端壁本体部37の上下方向の中間に位置しており、上下方向に対する略直交方向に広がっている。本実施形態の中間仕切部38は、後述する2つの隔壁部42,42によって3つの突起形成部40,40,40に区切られている。
インナーフィン34における中間仕切部38の前後方向の中間には、中間仕切部38から上下方向の両側へ突出する2つの隔壁部42,42が設けられている。隔壁部42は、中間仕切部38に対して上下方向の両側へ突出する隔壁本体部44と、隔壁本体部44の上下両端と中間仕切部38とをつなぐ一対の隔壁連結部46,46とを、一体的に備えている。隔壁本体部44は、インナーフィン34の左右方向の全長に亘って連続して形成されており、上下方向に対して略非傾斜とされている。隔壁連結部46は、インナーフィン34の左右方向の全長に亘って連続して形成されており、隔壁本体部44の上下両端から上下方向の内側へ向けて折り返して延び出している。隔壁連結部46は、隔壁本体部44から前後方向で離隔する向きに傾斜している。隔壁本体部44の上下両端から延び出す隔壁連結部46,46は、前後方向で隣り合う2つの突起形成部40,40の各一方につながっており、それら2つの突起形成部40,40が隔壁部42によって一体的に連続している。
隔壁部42,42によって区分された中間仕切部38の突起形成部40,40,40には、それぞれ複数の突起48が形成されている。突起48は、図4に示すように、インナーフィン34の面上で略V字形状とされて、上下方向視において略V字形状とされており、後述するインナーフィン34の冷却流路28への配設状態で冷却流路28の上流側となる左方へ向けて前後方向で幅狭となっている。突起48は、冷却流路28の上流側となる左側部分が下流側へ向けて突出高さ寸法が大きくなる向きに傾斜した上流傾斜部としての上流側傾斜面50とされていると共に、下流側となる右側部分が下流側へ向けて突出高さ寸法が小さくなる向きに傾斜した下流傾斜部としての下流側傾斜面52とされている。これにより、上流側傾斜面50と下流側傾斜面52との接続部分である突起48の左右方向の中央部分には、突出高さ寸法が最大となる稜線54が上下方向視で略V字形状に連続している。
突起48は、左右方向で略等間隔に配置された複数が設けられている。突起形成部40,40,40には、同数の第一突起48a(後述)が左右方向で相互に略同じ位置に形成されている。同数の第二突起48b(後述)が左右方向で相互に略同じ位置に形成されている。突起48は、中間仕切部38の左右方向の略全長に亘って設けられている。突起48は、突起形成部40の前後方向の略全体に亘る領域に散在して設けられているが、本実施形態では、端壁部35,35及び隔壁部42,42に対して前後方向で僅かに離れており、突起形成部40の前後端部には突起48のない部分がある。これにより、端壁部35,35及び隔壁部42,42のプレス加工による成形に際して、突起48が端壁部35,35及び隔壁部42,42の成形の妨げになるのを防ぐことができる。なお、突起48は、突起形成部40の幅方向(前後方向)の全体に亘って連続的に設けられて、両端部が隔壁部42及び/又は端壁部35に直接的につながっていてもよい。
突起48は、図2,図5に示すように、中間仕切部38の下面に突出する第一突起48aと、中間仕切部38の上面に突出する第二突起48bとを、含んでいる。第一突起48aと第二突起48bは、図2に示すように、左右方向で交互に設けられている。第一突起48aと第二突起48bは、本実施形態では相互に略同じ形状及び大きさで逆向きに突出しているが、形状や大きさが相互に異なっていてもよい。3つの突起形成部40,40,40における第一突起48aと第二突起48bの左右方向での配置は、本実施形態では相互に同じとされているが、相互に異なっていてもよい。
インナーフィン34は、図1~図3に示すように、第一部材14と第二部材16との上下間に配されており、図2,図3に示すように、外壁部材12の内部領域を構成する冷却流路28に収容されている。インナーフィン34の左右方向の長さ寸法は、冷却流路28の左右方向の長さ寸法よりも小さくされており、インナーフィン34の左右両端面が外壁部材12から左右内側へ離れている。要するに、インナーフィン34は、冷却流路28の流路長さ方向で部分的に配されており、冷却流路28の略中央に位置している。従って、本実施形態において、インナーフィン34によって二分される外壁部材12の内部領域は、より詳しくは冷却流路28の左右方向の両端部分を除く左右方向の中央部分となる。本実施形態において、インナーフィン34は、冷却流路28の流路長さ方向の両端部分に形成された供給孔20及び排出孔22よりも左右方向の内側に位置しており、それら供給孔20及び排出孔22を覆うことなく配されている。
インナーフィン34は、端壁部35,35が第二部材16の側壁に対して前後方向で嵌め合わされることで外壁部材12に対して位置決めされていてもよいし、端壁部35,35と隔壁部42,42との少なくとも一方が第一部材14と第二部材16の底壁との間で挟み込まれることで外壁部材12に対して位置決めされていてもよい。なお、インナーフィン34と外壁部材12との間に、端壁部35,35と隔壁部42,42以外の位置決め構造を設けることもできる。具体的には、例えば、第二部材16における底壁と側壁の少なくとも一方にインナーフィン34の左右端面と左右方向で係止される凸部を設ける等すれば、端壁部35,35の凹部18への嵌め合わせや端壁部35,35及び/又は隔壁部42,42の第一,第二部材14,16間での挟み込みを要することなく、前後・左右・上下の各方向でインナーフィン34を外壁部材12に対して位置決めすることができる。なお、インナーフィン34は、外壁部材12に対して非固着とされていてもよいし、例えば、端壁部35,35と隔壁部42,42との少なくとも一方が、接着、ろう付け等の手段で外壁部材12に固着されていてもよい。
インナーフィン34が冷却流路28内に配されることによって、冷却流路28は、流路長さ方向の中間部分において、インナーフィン34で複数に区分されている。即ち、インナーフィン34の中間仕切部38は、端壁部35,35及び隔壁部42,42の上下方向の中間に位置することから、冷却壁部30,30の何れからも離隔している。これにより、冷却流路28がインナーフィン34によって上下両側に二分されており、冷却流路28におけるインナーフィン34よりも下側の領域が第一部材14の冷却壁部30を冷却する領域とされていると共に、インナーフィン34よりも上側の領域が第二部材16の冷却壁部30を冷却する領域とされている。
冷却流路28がインナーフィン34の中間仕切部38によって上下両側に二分されていることにより、上下両面に冷却面32がそれぞれ設けられた両面冷却構造の冷却用熱交換器10において、冷却面32,32(冷却壁部30,30)を冷却する冷却流路28の上下両側の領域の流路断面積を調節して、熱媒体の流量と流速とを制御することが容易となる。
なお、インナーフィン34が冷却流路28の流路長さ方向の中間部分に配されていることにより、供給孔20と排出孔22とが設けられた冷却流路28の流路長さ方向の両端部は、インナーフィン34によって上下に仕切られていない。従って、供給孔20から冷却流路28へ供給された熱媒体が、インナーフィン34に妨げられることなく、冷却流路28の上下何れの領域にも流れ込むようになっていると共に、冷却流路28の上下何れの領域を通過した熱媒体も、インナーフィン34に妨げられることなく、排出孔22から外部へ排出されるようになっている。
冷却流路28におけるインナーフィン34の上下両側の領域は、2つの隔壁部42,42によってそれぞれ前後方向で3つに区分されている。これにより、冷却流路28は、熱媒体が互いに同じ方向へ流動する6つの流路部56,56・・・,56に区分されており、並列的に設けられたそれら6つの流路部56,56・・・,56によって、本実施形態の並列流路部58が構成されている。
このように冷却流路28の上下両側領域が隔壁部42,42によって流路幅方向で各3つに区分されていることにより、各流路部56を流れる熱媒体の流量と流速を適切に制御しつつ、それら流路部56によって冷却作用が及ぼされる冷却面32,32の流路幅方向でのサイズを、より大きな自由度で設定することが可能となる。
図2,図3に示すように、第一突起48aと第二突起48bとの何れか一方が、インナーフィン34の中間仕切部38から各流路部56内へ突出している。第一突起48aは、下側の冷却壁部30に対して上方に離隔している。そして、第一突起48aと下側の冷却壁部30との間には、下側の流路部56において流路断面積が他の部分よりも小さくされた第一狭窄流路60aが形成されている。また、第二突起48bは、上側の冷却壁部30に対して下方に離隔している。そして、第二突起48bと上側の冷却壁部30との間には、上側の流路部56において流路断面積が他の部分よりも小さくされた第二狭窄流路60bが形成されている。第一狭窄流路60aと第二狭窄流路60bは、本実施形態では略同じ流路断面積及び流路断面形状とされているが、互いに異なっていてもよい。
かくの如き構造とされた冷却用熱交換器10は、図6に示すように、冷却対象としてのバッテリーパック62が装着される。バッテリーパック62は、例えば電気自動車やハイブリッドカー等の電動化車両に用いられるバッテリーである。バッテリーパック62は、例えば、全体として略直方体の外形を有しており、前後幅寸法が左右長さ寸法よりも大きくされている。また、バッテリーパック62の上下両端部分には、前方へ突出する端子部64が設けられている。端子部64は、図示しないバスバーを通じて大電流を出力するための出力用端子とされている。従って、本実施形態のバッテリーパック62は、使用状態において、端子部64を備える上下両端部分が上下中央部分よりも高温になり易い。
冷却用熱交換器10は、上下両面に冷却面32が設けられた両面冷却構造であることから、バッテリーパック62が冷却用熱交換器10の上下両側の冷却面32,32にそれぞれ重ね合わされている。本実施形態では、冷却用熱交換器10の上下両側に各複数のバッテリーパック62が冷却流路28の流路長さ方向である左右方向で並んで配されており、冷却面32,32に対して各複数のバッテリーパック62が重ね合わされている。
冷却用熱交換器10は、冷却流路28を流れる冷却用の熱媒体と第一,第二部材14,16の冷却壁部30,30との間での熱交換によって、冷却壁部30,30の表面に設定された冷却面32,32が低温とされる。そして、作動時に発熱するバッテリーパック62が冷却面32,32上にセットされており、冷却面32,32を備えた第一,第二部材14,16と各冷却面32に重ね合わされるバッテリーパック62との間での熱交換によって、バッテリーパック62が冷却される。換言すれば、バッテリーパック62と冷却流路28内を流れる熱媒体との間で、第一,第二部材14,16を介した熱交換が行われることにより、バッテリーパック62が冷却されるようになっている。
冷却流路28には、インナーフィン34が配されており、インナーフィン34が外壁部材12(第一,第二部材14,16)と接触している。それゆえ、外壁部材12と熱媒体との実質的な接触面積がインナーフィン34によって大きくされており、冷却面32,32が熱媒体で効率的に冷却される。
熱媒体は、バッテリーパック62の熱を受け取ることにより温度が上昇する。特に、冷却壁部30,30に近い位置を流れる熱媒体は、バッテリーパック62の熱で温められて温度が高くなる。一方、冷却壁部30,30から遠い位置、換言すればインナーフィン34に近い位置を流れる熱媒体は、バッテリーパック62の熱が及ぼされ難く、温度上昇が比較的に抑えられて低温に維持され易い。これにより、冷却流路28内の熱媒体には、バッテリーパック62との熱交換によって、上下両側へ向けて温度が高くなる温度分布が生じ易い。その結果、冷却壁部30,30の近傍を流れる高温の熱媒体とバッテリーパック62との温度差が小さくなって、バッテリーパック62と熱媒体との間での熱交換の効率低下が発生する。
そこで、冷却用熱交換器10では、インナーフィン34に冷却流路28内へ突出する第一,第二突起48a,48bが設けられており、熱媒体が第一,第二突起48a,48bを乗り越える際に撹拌されることで、熱媒体の上下方向の温度差が低減されるようになっている。これにより、バッテリーパック62の近くを流れる熱媒体だけが高温になるのを防いで、バッテリーパック62とその近傍を流れる熱媒体との温度差を大きく確保することで、バッテリーパック62と熱媒体との間での熱交換効率を高めることができる。
本実施形態では、インナーフィン34の左右方向の略全体に亘って第一,第二突起48a,48bが形成されている。これにより、インナーフィン34によって形成された並列流路部58において、第一,第二突起48a,48bによる熱媒体の撹拌作用が発揮されて、並列流路部58を流れる熱媒体によってバッテリーパック62が効率的に冷却される。なお、本実施形態の冷却用熱交換器10では、インナーフィン34がバッテリーパック62が重ね合わされる領域よりも左右方向の両側外方まで設けられており、インナーフィン34による熱交換効率を向上させる効果が、全てのバッテリーパック62に有効に作用するようになっている。
本実施形態の突起48は、インナーフィン34の面上で流路部56の上流側に向けて幅狭となるV字形状とされている。要するに、突起48は、平面視においてV字形状とされている。熱媒体は、突起48を乗り越える際に、流動抵抗が小さくなる突起48との直交方向へ流れようとすることから、流路部56の流路長さ方向(左右方向)に対して流路幅方向の内側へ傾斜した方向へ流れる。そして、流路幅方向の内側へ向かう熱媒体の流れが、突起48よりも下流側で合流することにより、突起48の下流側に渦流や乱流が発生して、熱媒体が渦流や乱流によって撹拌される。これにより、熱媒体の上下方向での温度差が低減されて、熱媒体がバッテリーパック62で温められることによる冷却性能の低下が抑制される。
ところで、バッテリーパック62は使用時の発熱によって表面が膨出するように変形する場合があるが、このような場合に、冷却面32,32を備えた冷却壁部30,30がバッテリーパック62の変形に追従して弾性的に変形可能とされている。即ち、平板状とされた冷却壁部30,30が弾性的な撓み変形を許容されていると共に、それら冷却壁部30,30に冷却流路28側から重ね合わされるインナーフィン34の各隔壁部42が、隔壁本体部44と隔壁連結部46,46との少なくとも一方において弾性的な撓み変形を許容されている。これにより、バッテリーパック62の表面が冷却面32に向けて膨出変形して、冷却面32が冷却流路28側へ押し込まれる場合に、冷却面32を備えた冷却壁部30の弾性的な撓み変形が、インナーフィン34の隔壁部42によって妨げられることなく生じるようになっている。このように、冷却面32がバッテリーパック62の表面の変形に追従して弾性的に変形することで、冷却面32とバッテリーパック62の重ね合わせ面間における隙間の発生や、冷却壁部30,30を有する第一,第二部材14,16の塑性変形、インナーフィン34の塑性変形等が防止される。上記からも分かるように、本実施形態のインナーフィン34において、隔壁部42,42は、弾性変形によって冷却壁部30,30の弾性的な変形による接近(接近変形)を許容する弾性変形部とされている。
隔壁部42,42が弾性的な撓み変形を許容されることにより、例えば、隔壁部42,42の上下高さ寸法が誤差によって凹部18の深さよりも僅かに大きかったとしても、隔壁部42,42が弾性的に撓み変形することで、隔壁部42,42を冷却流路28内に収めることができる。本実施形態では、インナーフィン34の端壁部35,35も隔壁部42,42と同様に弾性的な撓み変形を許容されていることから、端壁部35,35についても冷却流路28内への収容不良が回避される。従って、第二部材16及びインナーフィン34の公差による寸法差を許容しながら、インナーフィン34を冷却壁部30,30間で挟み込んで支持する構造も採用可能となる。
図7には、本発明の第二の実施形態としての冷却用熱交換器70が示されている。冷却用熱交換器70は、第一部材14と第二部材16との間にインナーフィン72が配された構造を有している。以下の説明において、前記実施形態と実質的に同一の部材及び部位については、図中に同一の符号を付すことにより、説明を省略する。
インナーフィン72は、金属や合成樹脂等で形成されており、薄肉の板状とされている。インナーフィン72は、上下方向でジグザグ状や波状に折り返す断面を有している。本実施形態では、上下方向及び前後方向と傾斜して広がる平板状の斜板部74の複数が、折返しの頂部76において前後方向で一体的に連続するように設けられたジグザグ状断面とされている。インナーフィン72は、ジグザグ状の断面形状で左右方向に直線的に延びている。なお、ジグザグ状や波状とされたインナーフィン72の折返しの数(頂部76の数)は、特に限定されるものではなく、例えば、冷却面の幅寸法とインナーフィン72によって区画される流路部の流路断面積等を考慮して適宜に設定される。
インナーフィン72には、突起78が形成されている。突起78は、インナーフィン72の面上で略V字形状とされており、冷却流路の上流側に向けて先細(幅狭)となっている。要するに、突起78は、上下方向視において略V字形状とされている。突起78は、インナーフィン72の上面側に突出する第一突起78aと、インナーフィン72の下面側に突出する第二突起78bとによって構成されている。第一突起78aと第二突起78bは、冷却流路の流路長さ方向である左右方向で相互に離隔して並ぶ位置に組をなすように配置されており、本実施形態では、冷却流路の流路幅方向である前後方向で2列に並んで、各列ごとに5組が設けられている。従って、本実施形態のインナーフィン72において、第一突起78aと第二突起78bは、各10個が形成されている。
V字形状の突起78は、幅狭とされた上流側の端部が斜板部74,74の連続部分であるインナーフィン72のジグザグの頂部76に位置するように形成されている。V字形状の突起78は、下流側の端部が斜板部74の端部までは達しておらず、前後方向で隣り合う突起78,78は、前後方向で相互に離れている。なお、突起78は、頂部76まで達するように設けられていてもよいし、頂部76を外れた部分に設けられていてもよい。突起78は、少なくとも隣り合う頂部76,76間の斜板部74に設けられていればよいが、インナーフィン72における前後方向の端部とそれに隣り合う頂部76との間の斜板部74にも形成されることが望ましい。
また、本実施形態では、インナーフィン72がプレス金具とされており、突起78がプレス加工によって形成されることから、突起78の突出側と反対の面には、V字状の凹みがある。なお、平板状の金属素板をプレス加工によってジグザグ断面に成形する際に、突起78を同時に形成すれば、加工工程数を少なくすることができる。
このようなインナーフィン72を備えた冷却用熱交換器70によれば、第一部材14と第二部材16との間に形成される図示しない冷却流路が、インナーフィン72によって流路高さ方向である上下方向で区分されている。しかも、インナーフィン72がジグザグ状に折り返された断面形状を有していることから、折返しの頂部76が第一部材14又は第二部材16に重ね合わされることによって、冷却流路が流路幅方向である前後方向でも複数に区分されている。これにより、第一部材14と第二部材16の上下外面にそれぞれ設けられた冷却面32が、区分された冷却流路の流路部によって、それぞれ有効に冷却される。
本実施形態のインナーフィン72は、第一の実施形態のインナーフィン34よりも更に簡単な形状で、冷却流路を上下に仕切るだけでなく、流路幅方向でも仕切ることができて、冷却性能の向上を図ることができる。なお、インナーフィン72は、第一部材14と第二部材16との間に非固着で配されていてもよいし、頂部76及び前後両端部が第一,第二部材14,16に固着されていてもよい。
さらに、冷却流路の流路領域に突出する第一,第二突起78a,78bがインナーフィン72に設けられていることにより、それら流路領域を流れる熱媒体が第一,第二突起78a,78bによって撹拌されて、各冷却面32に近い位置を流れる熱媒体だけが高温になるのを防ぐことで、冷却性能の向上を図ることができる。
インナーフィン72は、例えばバッテリーパックからの押圧力の作用によって、冷却壁部30,30が相互接近方向に変形する場合に、各斜板部74の弾性的な撓み変形等によって、冷却壁部30,30の変形を許容することができる。このように、斜板部74が弾性変形部としての機能を有することにより、冷却壁部30,30に設けられる各冷却面32のバッテリーパックに対する追従性の向上や、外部からの入力に対する意図しない塑性変形の防止などが図られる。
なお、図7では、ジグザグ状の断面を有するインナーフィン72を例示したが、例えば、平板状の斜板部74をもたずに全体が湾曲断面とされた波状断面のインナーフィンを採用することもできる。
図8には、本発明の第三の実施形態としての冷却用熱交換器80が示されている。冷却用熱交換器80は、第一部材14と第二部材16との間にインナーフィン82が配された構造を有している。
インナーフィン82は、第二の実施形態のインナーフィン72と同様に、ジグザグ状や波状の断面を有する板状の部材とされている。インナーフィン82は、第二の実施形態のインナーフィン72に比して、突起84(第一突起84a及び第二突起84b)の大きさが異なっている。本実施形態の突起84は、第二の実施形態の突起78と同様のV字形状とされており、斜板部74の前後方向の全体に亘って連続して設けられて、下流側の端部が斜板部74の前後端部まで達している。
本実施形態に示すように、突起84は、冷却流路の流路幅方向において、インナーフィン82の略全体に形成されていてもよい。なお、突起84は、インナーフィン82の折返しの頂部76にまで設けられていてもよいが、好適には、頂部76を外れた部分に設けられることで加工の容易化が図られる。
図9には、本発明の第四の実施形態としての冷却用熱交換器を構成するインナーフィン90が示されている。なお、本実施形態のインナーフィン90は、第一の実施形態におけるインナーフィン34と置き換えて採用可能であることから、以下の説明において、第一の実施形態と実質的に同一の部材及び部位には、分かり易さのために第一の実施形態と同一の符号を付す。
インナーフィン90の中間仕切部38(突起形成部40,40,40)には、複数の突起48(第一突起48a及び第二突起48b)が形成されている。本実施形態において、突起48は、冷却流路28の上流側に位置するインナーフィン90の左側部分には設けられておらず、冷却流路28の下流側に位置するインナーフィン90の右側部分だけに設けられている。これにより、突起48による熱媒体の流れを乱す作用は、冷却流路28の下流側において上流側よりも強く発揮されるようになっており、熱媒体の流れを乱す作用を相互に異ならされた領域が冷却流路28の流路長さ方向の異なる位置に設定されている。
また、本実施形態では、3つの突起形成部40,40,40において、突起48の形成数と配置が異なっている。具体的には、冷却流路28の流路幅方向で前方側に位置する突起形成部40ほど突起48の形成数が多くなっており、突起48の流路長さ方向での間隔が狭くされている。これにより、並列流路部58の下流側において、前方側に位置する流路部56ほど突起48による熱媒体の流れを乱す作用が強く発揮されるようになっており、熱媒体の流れを乱す作用を相互に異ならされた領域が冷却流路28の流路幅方向の異なる位置に設定されている。
このように、本実施形態に係るインナーフィン90を採用すれば、熱媒体の流れを乱して渦流や乱流を発生させる作用(乱流促進作用)が、並列流路部58において部分的に異なるように設定されることから、乱流促進作用が強く発揮される部分において、高い冷却性能を発揮させて、バッテリーパック62を効率的に冷却することが可能となる。
特に本実施形態では、乱流促進作用が冷却流路28(並列流路部58)の下流側においてより強く発揮されることから、バッテリーパック62との熱交換で冷却壁部30,30に近い部分を温められた下流側の熱媒体が撹拌されることによって、下流側でも有効な冷却性能を確保することができる。また、本実施形態では、乱流促進作用が前方においてより強く発揮されることから、端子部64が設けられて発熱量が大きくなり易いバッテリーパック62の前側部分を効率的に冷却することができる。
なお、本実施形態に示した突起48の配置は、あくまでも一例であって、例えば、バッテリーパック62の発熱の態様(温度分布)、要求される冷却性能等を考慮して、適宜に変更され得る。また、突起48による乱流促進作用は、突起48の数や配置だけでなく、突起48の高さを含む大きさ、形状、表面の摩擦抵抗等によっても異なることから、突起48の大きさ等の違いによっても乱流促進作用の異なる領域を設定することができる。
また、例えば、何れか一方の冷却面32に重ね合わされるバッテリーパック62に対してのみ乱流促進作用を相互に異ならされた領域を設定する必要がある場合には、本実施形態に示すような突起48の配置、数、形状、大きさ、表面摩擦抵抗等の違いによる乱流促進作用の異なる領域の設定を、第一突起48aと第二突起48bの何れか一方だけに適用してもよい。
図10~図13には、本発明の第五の実施形態としての冷却用熱交換器を構成するインナーフィン100が示されている。なお、本実施形態のインナーフィン100は、第二の実施形態におけるインナーフィン72と置き換えて採用可能である。また、図10中の左側が冷却流路の上流、図10中の右側が冷却流路の下流となる。
インナーフィン100は、金属や合成樹脂等で形成された薄肉の板状とされており、第二の実施形態のインナーフィン72と同様に、ジグザグ状や波状に折り返す断面形状で左右方向に延びている。本実施形態のインナーフィン100は、プレス金具とされている。
インナーフィン100には、突起102が形成されている。突起102は、インナーフィン100の面上で略V字形状に延びており、冷却流路の上流側に向けて先細(幅狭)とされている。突起102は、上下方向視において略V字形状とされている。突起102は、インナーフィン100の上面側に突出する第一突起102aと、インナーフィン100の下面側に突出する第二突起102bとによって構成されている。
図11には、1つの突起102の流路長さ方向の断面が拡大して示されている。突起102は、図11に示す断面において、突出先端へ向けて流路長さ方向で幅狭となる先細断面形状とされている。より詳細には、突起102は、図11に示す断面において、円弧状に湾曲した突起頂部104と、突起頂部104の上流側の端部から突起基部106(突起102における斜板部74との接続端部)へ向けて上流側へ傾斜して延びる上流傾斜部108と、突起頂部104の下流側の端部から突起基部106へ向けて下流側へ傾斜して延びる下流傾斜部110とを、連続的に備える断面外形とされている。なお、図11に示す突起102の断面は、流路幅方向の中央を通る流路長さ方向の断面であるが、突起102は、稜線54と直交する任意の断面が図11と同様の断面形状とされており、稜線54と直交する任意の断面に対して、図11の説明と同様の数値範囲等が好適に適用される。
図11に示す流路長さ方向の断面において、稜線54を含む突起頂部104の曲率半径Rは、突起基部106の流路長さ方向での長さ寸法Lに対して、0.05~1,5倍の範囲内とされており、より好適には0.2~1.45倍の範囲内とされている。突起頂部104の曲率半径Rが突起基部106の長さ寸法Lに対して0.05倍以上とされていることにより、突起頂部104が実質的な角部となることなく滑らかな円弧状断面とされる。また、突起頂部104の曲率半径Rが突起基部106の長さ寸法Lに対して1.5倍以下とされていることにより、突起102の流路長さ方向での長さ寸法が過度に長くなるのを防ぐことができると共に、突起頂部104と滑らかに連続する上流傾斜部108及び下流傾斜部110の傾斜角度α,βを十分に大きく設定することができる。なお、本実施形態では、突起頂部104の曲率半径Rが、突起基部106の長さ寸法Lに対して、0.05~0.5倍の範囲内とされている。
上流傾斜部108は、湾曲形状であってもよいが、本実施形態では直線的な形状とされている。上流傾斜部108の上端部は、突起頂部104の上流側の端部から接線方向に延び出しており、突起頂部104に対して角部なく滑らかに連続している。上流傾斜部108の下端部は、円弧状に湾曲していてもよく、その場合に冷却流路28の底面を構成する斜板部74に対して角部なく滑らかに連続していることが望ましい。
上流傾斜部108は、冷却流路28の底面を構成する斜板部74に対する傾斜角度αが20~70°の範囲内とされており、より好適には30~60°の範囲内とされている。なお、上流傾斜部108が湾曲形状の場合に、斜板部74に対する上流傾斜部108の傾斜角度αは、例えば、斜板部74に対する上流傾斜部108の傾斜角度の平均値として把握することができる。
上流傾斜部108の傾斜角度αが20°以上とされていることにより、突起102に向かう上流側からの熱媒体の流れが、熱媒体の流動方向に対して十分に大きな角度をなす上流傾斜部108によって効果的に乱されて、撹拌作用による冷却性能の向上が図られる。また、上流傾斜部108の傾斜角度αが70°以下とされていることにより、熱媒体の流動が突起102によって過度に制限されるのを防ぐことができる。
下流傾斜部110は、湾曲形状であってもよいが、本実施形態では直線的な形状とされている。下流傾斜部110の上端部は、突起頂部104の下流側の端部から接線方向に延び出しており、突起頂部104に対して角部なく滑らかに連続している。下流傾斜部110の下端部は、円弧状に湾曲していてもよく、その場合に冷却流路28の底面を構成する斜板部74に対して角部なく滑らかに連続していることが望ましい。
下流傾斜部110は、冷却流路28の底面を構成する斜板部74に対する傾斜角度βが20~70°の範囲内とされており、より好適には30~60°の範囲内とされている。なお、下流傾斜部110が湾曲形状の場合に、斜板部74に対する下流傾斜部110の傾斜角度βは、例えば、斜板部74に対する下流傾斜部110の傾斜角度の平均値として把握することができる。
下流傾斜部110の傾斜角度βが20°以上とされていることにより、突起102を乗り越える熱媒体の流れが下流傾斜部110から剥離し易く、それによって突起102の下流側に渦流等の乱れた流れが発生し易くなる効果が期待できる。また、下流傾斜部110の傾斜角度βが70°以下とされていることにより、下流傾斜部110に沿った熱媒体の流れも確保されて、下流傾斜部110から剥離した流れとの合流による熱媒体の効率的な撹拌が期待できる。
ところで、本実施形態の突起102は、図12,図13に示すように、突出高さ寸法が流路幅方向である前後方向で変化している。そして、複数の突起102が、前後中央が突出高さの低い低突出部112とされていると共に前後両端が突出高さの高い高突出部114とされた中央低突起116と、前後中央が突出高さの高い高突出部114とされていると共に前後両端が突出高さの低い低突出部112とされた中央高突起118とによって構成されている。第一突起102aと第二突起102bは、何れも、複数の中央低突起116と複数の中央高突起118とを含んで構成されている。なお、図11,図12では、見易さのために、各断面視で最も手前に位置する突起102だけを示す。
図10に示すように、流路長さ方向に並ぶ複数の第一突起102a及び第二突起102bは、何れも、中央低突起116と中央高突起118とが流路長さ方向である左右方向で交互に並んでいる。従って、流路部56の流路幅方向の中央部分には、中央低突起116の低突出部112と、中央高突起118の高突出部114とが、流路長さ方向で交互に並んで配されている。また、流路部56の流路幅方向の両端部分には、中央低突起116の高突出部114,114と、中央高突起118の低突出部112,112とが、流路長さ方向で交互に並んで配されている。
このような本実施形態のインナーフィン100によれば、突出高さ寸法の大きい高突出部114において、熱媒体の撹拌作用をより強く得ることができると共に、突出高さ寸法の小さい低突出部112によって、熱媒体の流動抵抗が抑制されて、圧力損失の低減が図られる。
本実施形態では、低突出部112と高突出部114とが流路長さ方向で隣り合って配されており、低突出部112をスムーズに流れた熱媒体が、当該低突出部112の下流側に位置する高突出部114で効率的に撹拌されることにより、冷却性能の効率的な向上が図られる。また、高突出部114によって流れを強く乱された熱媒体は、当該高突出部114の下流側に位置する低突出部112を比較的スムーズに流れることから、流れの停滞などが生じ難い。
また、熱媒体は、高突出部114よりも流動抵抗が小さい低突出部112を流れ易くなるが、中央低突起116と中央高突起118とが流路長さ方向で交互に配されることで、低突出部112は、流路長さ方向において流路幅方向の中央部分と両端部分とに交互に位置する。それゆえ、流路部56において、低突出部112をつなぐように流路幅方向に蛇行する熱媒体の流れも生じて、流路幅方向での熱媒体の温度分布の偏りを解消する効果も期待できる。
図14~図16には、本発明の第六の実施形態としての冷却用熱交換器を構成するインナーフィン120が示されている。インナーフィン120は、第五の実施形態のインナーフィン100と同様のジグザグ断面形状を有している。
インナーフィン120には、突起122が設けられている。突起122は、上面に突出する第一突起122aと、下面に突出する第二突起122bとの各複数によって構成されている。突起122は、インナーフィン100の突起102と同様に、全体として上下方向視でV字形状とされているが、上流側(図14中の左側)の端部において連続していない。即ち、本実施形態の突起122は、流路幅方向の中央から両側へ向けて下流側(図14中の右側)へ傾斜して延びる相互に離れた2つの凸部124,124によって構成されている。
本実施形態の突起122は、第五の実施形態の突起102と同様に、中央低突起116と中央高突起118とを含んでいる。また、本実施形態では、複数の中央低突起116と複数の中央高突起118とが流路長さ方向で交互に並んで配されている。なお、本実施形態の突起122は、流路幅方向の中央部分で相互に離れた2つの凸部124,124で構成されていることから、流路幅方向の中央側に位置する中央低突起116の低突出部112と中央高突起118の高突出部114とが、2つの凸部124,124にそれぞれ設けられている。
このような本実施形態に従う構造とされたインナーフィン120によっても、第五の実施形態のインナーフィン100と同様の効果を得ることができる。また、突起122が斜板部74だけに設けられて頂部76には形成されていないことから、突起122のプレス加工による成形の容易化が期待できる。
図17には、本発明の第七の実施形態としての冷却用熱交換器を構成するインナーフィン130の一部が示されている。インナーフィン130は、流路長さ方向に並んで設けられた複数の突起102の突出高さと間隔が変化している。
より詳細には、複数の突起102は、下流(図17中の右側)へ行くに従って突出高さ寸法が大きくなっていると共に、下流側へ行くに従って流路長さ方向で隣り合う突起102,102の間隔が狭くなっている。なお、突起102の突出高さ寸法の変化率と、突起102,102の間隔の変化率は、変化していてもよいが、本実施形態ではそれら変化率がそれぞれ一定とされている。突起102は、流路幅方向で突出高さ寸法が変化しているが、低突出部112同士及び/又は高突出部114同士の比較において、下流側ほど突出高さが高くなっている。
このように、突起102の突出高さ寸法を下流側へ行くに従って高くなるように設定すれば、熱交換によって上部の熱媒体と下部の熱媒体との温度差が大きくなり易い下流側において、突起102による撹拌作用がより効率的に発揮されて、冷却性能をより下流側まで維持することができる。また、突起102,102の間隔を下流側へ行くに従って狭くなるように設定することによっても、下流側において突起102による撹拌作用をより効率的に得ることができて、冷却性能をより下流側まで維持することができる。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、インナーフィンの具体的な形状は、第一~第四の実施形態に示す形状に限定されるものではなく、冷却流路28を一対の冷却壁部30,30の対向方向で二分して両面冷却構造を実現できる形状であれば、特に限定されない。また、インナーフィンは、好適には、冷却流路28を流路幅方向でも区分することが望ましいが、流路幅方向での区分は必須ではなく、第一部材14の冷却壁部30側と第二部材16の冷却壁部30側との2つの流路領域だけを画成するものであってもよい。
外壁部材は、必ずしも第一部材14と第二部材16とが重ね合わされた構造に限定されず、例えば、筒状とされて一対の冷却壁部を一体的に備えた外壁本体の両端部に、供給孔と排出孔との各一方を備えた一対の蓋体を取り付けた構造を採用することもできる。この構造では、例えば、外壁本体に蓋体を取り付ける前に、インナーフィンを外壁本体の軸方向で外壁本体の内周へ差し入れることにより、インナーフィンを外壁部材の内部領域に収容配置することができる。なお、筒状の外壁本体は、例えば、金属材の押出成形や引抜成形によって簡単に製造することができる。
インナーフィンは、弾性変形部を備えていなくてもよく、全体が剛体とされていてもよい。この場合には、インナーフィンに補強部材としての機能も期待できることから、冷却用熱交換器の変形剛性が高められて、耐荷重性の向上等が図られる。
突起は、必ずしもV字形状のものに限定されず、例えば、半球状、柱状、段差状等であってもよい。また、突起は、熱媒体の流れ方向に対して略直交する方向へ延びる突条によって構成することもできる。また、V字状の突起は、必ずしも厳密なV字形状だけに限定されるものではなく、インナーフィンの面上で全体としてV字状とされていれば、湾曲や部分的な分断、幅方向両側部分の流路方向に対する傾斜角度の違いなどは、何れも許容される。また、突起は、例えば、下流側へ向けて幅狭となる前記各実施形態とは逆向きのV字形状とすることもできる。
図11には、上流傾斜部108の傾斜角度が20~70°の範囲内とされた突起102を示したが、例えば、図18に示すような突起140を採用することもできる。即ち、図18の突起140は、突起頂部142の曲率半径が大きくされていると共に、上流側の側面である上流傾斜部144と、下流側の側面である下流傾斜部146とが、何れも湾曲面で構成されており、流路長さ方向の断面において突起頂部142と斜板部74とを角部なく滑らかに連続するようにつないで設けられている。従って、突起140は、流路長さ方向の断面外形の全体が、連続的な湾曲形状とされている。図18の突起140は、流路長さ方向の断面において円弧状とされた突起頂部142の曲率半径Rが、突起基部148の長さ寸法Lに対して、好適には0.7倍以上の大きさとされており、より好適には1倍以上の大きさとされている。また、図18に示す流路長さ方向の断面において、流路部56の底面に対する本実施形態の上流傾斜部144の傾斜角度αは25°以下とされており、本実施形態の下流傾斜部146の傾斜角度βは25°以下とされている。要するに、本実施形態の突起140は、図11に示した突起102に比して、流路長さ方向の断面において、突起基部148の長さ寸法Lに対する突出高さ寸法の比が小さくされた扁平な形状とされており、突起140による流路断面積の変化率が小さくされている。このような突起140によれば、熱媒体が突起140を乗り越えて流れることによる圧力損失が抑えられることから、比較的に性能の低い安価なポンプを用いて熱媒体を循環させることが可能となる。
突起は、必ずしも流路部の流路幅方向の全体に亘って連続して設けられている必要はないが、突起の流路幅方向での幅寸法は、流路部の流路幅寸法に対して、50%以上とされることが望ましく、より好適には70%以上とされる。これにより、突起を迂回する流れが制限されて、突起を乗り越える流れが生じ易くなることから、突起による熱媒体の流れを乱す作用が効率的に発揮される。なお、ジグザグ状のインナーフィンを採用する場合等、流路部の流路幅寸法が流路深さ方向で変化している場合には、流路部の最大幅寸法(ジグザグ状のインナーフィンでは頂部間の幅寸法)に対して、突起の幅寸法が50%以上とされることが望ましく、より好適には70%以上とされる。また、流路部の流路幅寸法が流路長さ方向で変化している場合には、突起が設けられた位置での流路幅寸法に対して、突起の幅寸法が上記範囲内に設定されることが望ましい。
第一,第二部材14,16は、合成樹脂製であってもよい。この場合、第一,第二部材14,16は、高い熱伝達率を確保するために、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の合成樹脂材料に、酸化アルミニウム(アルミナ)、シリカ、炭化ケイ素等の熱伝導フィラーを混合した、熱伝導性合成樹脂によって形成される。
図6に示した冷却用熱交換器10に対するバッテリーパック62の装着状態において、上側の冷却面32に重ね合わされたバッテリーパック62の上面に対して、別の冷却用熱交換器10の下側の冷却面32を重ね合わせることも可能であり、それによって、バッテリーパック62を上下両側から冷却することができる。同様に、図6において下側の冷却面32に重ね合わされたバッテリーパック62の下面に対して、別の冷却用熱交換器10の上側の冷却面32を重ね合わせることも可能である。要するに、冷却用熱交換器10とバッテリーパック62とを上下方向で交互に重ね合わせて積層状に配することによって、多数のバッテリーパック62をそれぞれ上下両側から冷却することができる。
なお、複数の冷却用熱交換器10を積層状に配置する場合には、例えば、第二部材16の左右両端部に供給孔と排出孔とを形成して、上下方向で隣り合って配される一方の冷却用熱交換器10における第一部材14の供給孔20及び排出孔22と、他方の冷却用熱交換器10における第二部材16の供給孔及び排出孔とを、相互に接続して連通させてもよい。これによれば、積層状態で配された複数の冷却用熱交換器10の各冷却流路28を1つの外部流路に接続することができて、それら冷却流路28に対して熱媒体を一括して供給/排出することができる。
冷却対象は、必ずしも電動化車両用のバッテリーに限定されず、例えば、産業用等の据置きタイプのバッテリー等であってもよい。また、前記第一の実施形態では、複数のバッテリーパック62が1つの冷却用熱交換器10の冷却面32上に配される場合を例示したが、例えば、1つの冷却用熱交換器10の冷却面32上に1つのバッテリーパック62が配されるようにしてもよい。また、例えば、1つのバッテリーパック62が複数の冷却用熱交換器10に跨って配されるようにもできる。