以下、本発明によるアクチュエータ制御装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態を図1~図11に示す。図1に示すように、電動アクチュエータ10は、パークロックシステム1に適用される。パークロックシステム1は、電動アクチュエータ10、ディテント機構20、および、パーキングロック機構30を備える。電動アクチュエータ10は、回転式であって、例えばブラシ付きDCモータおよび減速ギア機構等から構成される。電動アクチュエータ10は、出力軸15を回転させることで、ディテント機構20を駆動する。
ディテント機構20は、ディテントプレート21、および、ディテントスプリング25等を有し、電動アクチュエータ10から出力された回転駆動力を、パーキングロック機構30へ伝達する。
ディテントプレート21は、出力軸15に固定され、電動アクチュエータ10により駆動される。ディテントプレート21のディテントスプリング25側には、2つの谷部211、212、および、谷部211、212を隔てる山部215が設けられる。
付勢部材であるディテントスプリング25は、弾性変形可能な板状部材であり、先端にディテントローラ26が設けられる。ディテントスプリング25は、ディテントローラ26をディテントプレート21の回動中心側に付勢する。
ディテントプレート21に所定以上の回転力が加わると、ディテントスプリング25が弾性変形し、ディテントローラ26が谷部211、212間を移動する。ディテントローラ26が谷部211、212のいずれかに嵌まり込むことで、ディテントプレート21の揺動が規制され、パーキングロック機構30の状態が固定される。
パーキングロック機構30は、パーキングロッド31、円錐体32、パーキングレバー33、軸部34、および、パーキングギア35を有する。パーキングロッド31は、略L字形状に形成され、一端311側がディテントプレート21に固定される。パーキングロッド31の他端312側には、円錐体32が設けられる。円錐体32は、他端312側にいくほど縮径するように形成される。ディテントローラ26がPレンジに対応する谷部211に嵌まり込む方向にディテントプレート21が回転すると、円錐体32が矢印Pの方向に移動する。
パーキングレバー33は、円錐体32の円錐面と当接し、軸部34を中心に揺動可能に設けられる。パーキングレバー33のパーキングギア35側には、パーキングギア35と噛み合い可能な凸部331が設けられる。ディテントプレート21の回転により、円錐体32が矢印P方向に移動すると、パーキングレバー33が押し上げられ、凸部331とパーキングギア35とが噛み合う。一方、円錐体32が矢印notP方向に移動すると、凸部331とパーキングギア35との噛み合いが解除される。
パーキングギア35は、図示しないドライブシャフトと接続しており、パーキングレバー33の凸部331と噛み合い可能に設けられる。パーキングギア35と凸部331とが噛み合うと、ドライブシャフトの回転が規制される。シフトレンジがP以外のレンジであるnotPレンジのとき、パーキングギア35はパーキングレバー33によりロックされず、ドライブシャフトの回転は、パーキングロック機構30により妨げられない。また、シフトレンジがPレンジのとき、パーキングギア35はパーキングレバー33によってロックされ、ドライブシャフトの回転が規制される。
以下適宜、Pレンジのときにディテントローラ26が嵌まり込む谷部211を「P谷」、notPレンジのときにディテントローラ26が嵌まり込む谷部212を「notP谷」、谷部211、212の谷底を「最底部」とする。
図2に示すように、電動アクチュエータ10は、モータ40、減速機構42、ケース51、および、基板カバー57等を有する。モータ40は、モータ軸がケース51の底面と略平行になるように基板カバー57上に横置きされている。
減速機構42は、ウォームギア43、ヘリカルギア44、中間ギア45、ドリブンプレート46およびドリブンシャフト47を有する。ウォームギア43は、モータ40のモータ軸と一体に回転する。ヘリカルギア44は、ウォームギア43および中間ギア45の大径部と噛み合う。中間ギア45は大径部および小径部を有し、大径部はヘリカルギア44と噛み合い、小径部はドリブンプレート46と噛み合う。
ドリブンプレート46とドリブンシャフト47とは、一体に形成されているが、別体としてもよい。ドリブンシャフト47と出力軸15とは、スプライン軸継手にて接続されている。これにより、モータ40の回転は、ウォームギア43、ヘリカルギア44、中間ギア45、ドリブンプレート46およびドリブンシャフト47を経由し、出力軸15に伝達される。
ケース51は、例えば樹脂等で形成され、ドリブンシャフト47と対応する箇所に筒部54が形成されている。筒部54は、ドリブンシャフト47側に開口する筒状に形成されており、端面にてドリブンシャフト47と当接可能に設けられている。ドリブンシャフト47と筒部54とが当接することで、筒部54はドリブンシャフト47の軸方向の荷重を受ける。
ドリブンシャフト47には、図示しないセンサマグネットが設けられている。また、筒部54の内側であって、ドリブンシャフト47と対向する箇所には、位置センサ55(図3参照)が設けられている。本実施形態では、ドリブンシャフト47を「センサ軸」とし、位置センサ55により出力軸15の回転位置を検出している。基板カバー57は、ケース51に固定されており、内部に図示しない基板が設けられている。基板には、制御装置60を構成する各種電子部品が実装されている。
図3に示すように、制御装置60は、駆動回路61、および、制御部70等を有する。駆動回路61は、図示しない駆動素子を有する。制御部70は、マイコン等を主体として構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、RAM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御部50における各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。
制御部70は、要求シフトレンジを取得して目標レンジを設定し、ディテントローラ26が目標レンジに応じた谷部211、212に位置するように、電動アクチュエータ10の駆動を制御する。制御部70は、機能ブロックとして、信号取得部71、回転演算部72、位置判定部73、閾値設定部74、および、駆動制御部75等を有する。信号取得部71は、位置センサ55からの位置検出信号、図示しない上位ECU等からの要求シフトレンジに係る信号、モータ40の電流、電圧、温度等に係るセンサ信号等を取得する。
回転演算部72は、位置センサ55の検出値に基づき、ドリブンシャフト47の回転角であるセンサ角度θs、および、ドリブンシャフト47の回転数であるセンサ回転数Nsを演算する。センサ角度θsおよびセンサ回転数Nsは、ガタが詰まった状態にてドリブンシャフト47と出力軸15とが一体に回転している場合、出力軸15に係る値とみなせる。
位置判定部73は、ディテント機構20におけるディテントローラ26の位置を判定する。閾値設定部74は、ディテントローラ26の位置判定に係る閾値を設定する。ディテントローラ26の位置判定、および、位置判定に係る閾値設定については後述する。駆動制御部75は、駆動回路61の駆動素子のオンオフ作動を制御することで、モータ40の駆動を制御する。
図4は、モータ40と出力軸15との遊びを模式的に示しており、紙面左右方向を回転方向とみなし、ディテントローラ26が谷部211、212を移動する様子を表している。なお、実際には、出力軸15と一体に回転するディテントプレート21が回転することで、ディテントローラ26が谷部211、212間を移動する。図4では、モータ40等の動作を一点鎖線の矢印で示した。
モータ40と出力軸15との間には、減速機構42が設けられており、遊びが存在している。以下適宜、モータ軸とセンサ軸であるドリブンシャフト47との間の遊びの合計を内部ガタGm、ドリブンシャフト47と出力軸15との間のガタをスプラインガタGsとし、内部ガタGmおよびスプラインガタGsの合計を単に「ガタ」という。
シフトレンジをPレンジからnotPレンジに切り替えるとき、内部ガタGmおよびスプラインガタGsを進行方向側に詰め、モータ軸が先行する状態にてディテントローラ26を山部215側へ押し上げる。ディテントローラ26が山部215を超えると、ディテントスプリング25のスプリング力にて出力軸15が先行して谷部212側へ移動する。ディテントローラ26が山部215を超えるとき、トルクの向きが逆になり、ガタが反対側に一気に詰まるため、位置センサ55の検出値が急峻に変動する。
また、本実施形態では、減速機構42にウォームギア43を用いており、被駆動トルクが比較的大きい。詳細には、減速機構42における被駆動トルクは、ディテントスプリング25がディテントローラ26を谷底方向へ付勢する付勢トルクよりも大きい。そのため、レンジ切替時において、山部215を超えた後、最底部に到達する前にモータ40の通電をオフにすると、ガタの大きさによっては、通電をオフした位置にて停止し、ディテントローラ26を最底部まで落とし込めない虞がある。そこで本実施形態では、ディテントローラ26が最底部にて停止していると判定した後、通電をオフにする。
図5は、PレンジからnotPレンジへの切り替えを行った際のモータ角度θm、センサ角度θs、出力軸角度θdのシミュレーション結果であり、横軸を時間、縦軸を角度とする。
本実施形態では、出力軸15とセンサ軸との間にスプラインガタGsがあるため、ディテントローラ26が谷部212にて停止していても、スプラインガタGsの範囲でドリブンシャフト47が振動すると、位置センサ55の検出値が振動する。このような機械的な遊びの影響で、センサ軸が揺動してしまうと、揺動が収まるまで、正確な角度演算ができない。
ここで、ディテントローラ26が谷部212に落ちた後は、ドリブンシャフト47はスプラインガタGsの範囲以上は動かないことに着目し、ディテントローラ26が山部215を乗り越えた後のセンサ角度θsの最大値または最小値をホールドし、センサ軸がガタ幅以上動かないことを検出することで、ディテントローラ26が谷底に落ちていることを判定する。以下、センサ角度θsの最大値をセンサ角最大値θmax、センサ角度θsの最小値をセンサ角最小値θminとする。
図6は、PレンジからnotPレンジへの切替時のセンサ角度θsと、センサ角最大値θmaxを示しており、横軸を時間、縦軸を角度とする。図6の例では、内部ガタGmとスプラインガタGsの合計が、山部215と谷部212との間の角度より大きく、ディテントローラ26が山部215を乗り越えると、ガタ内部で出力軸15が回転することで、略無負荷状態にてディテントローラ26が谷部212へ移動する。
図6に示すように、PレンジからnotPレンジへの切替時、センサ角最大値θmaxをホールドし、センサ角最大値θmaxの変化量である最大値変化量Δθmaxが位置判定閾値Nthより小さくなった場合、ディテントローラ26が谷部212に落とし込まれたと判定する。また、notPレンジからPレンジへの切替時、出力軸15の回転に伴ってセンサ角度θsが小さくなるように設定されているため、センサ角最小値θminをホールドすることで、同様に判定する。
また、ディテントローラ26が山部215を越えてガタ詰め方向が反転すると、持っている運動エネルギによりドリブンシャフト47が振動するため、位置センサ55の検出値が振動する。本実施形態では、センサ軸がドリブンシャフト47であって、出力軸15の挙動を直接的に検出することができないため、ガタ詰め方向反転後にセンサ角度θsが振動すると、ディテントローラ26が谷底にあるか否かを誤判定する虞がある。そこで本実施形態では、ディテントローラ26が山部215を越えてガタ詰め方向が反転してから所定時間、谷位置判定を行わないマスク時間Xmcを設ける。
本実施形態の駆動モード切替処理を図7のフローチャートに基づいて説明する。図5等の処理は、制御部70にて所定の周期で実行される。以下、ステップS101等の「ステップ」を省略し、単に記号「S」と記す。
S101では、制御部70は、駆動モードがスタンバイモードか否か判断する。駆動モードがスタンバイモードでないと判断された場合(S101:NO)、S104へ移行する。駆動モードがスタンバイモードであると判断された場合(S101:YES)、S102へ移行する。
S102では、制御部70は、目標レンジが切り替わったか否か判断する。目標レンジが切り替わっていないと判断された場合(S102:NO)、スタンバイモードを継続する。目標レンジが切り替わったと判断された場合(S102:YES)、S103へ移行し、駆動モードをスタンバイモードから切替モードに変更し、モータ40の駆動を開始する。
駆動モードがスタンバイモードでないと判断された場合(S101:NO)に移行するS104では、制御部70は、駆動モードが切替モードか否か判断する。駆動モードが切替モードでないと判断された場合(S104:NO)、S107へ移行する。駆動モードが切替モードであると判断された場合(S104:YES)、S105へ移行する。
S105では、制御部70は、谷位置判定フラグFvjがオンされているか否か判断する。谷位置判定フラグFvjに係る処理の詳細は後述する。谷位置判定フラグFvjがオフであると判断された場合(S105:NO)、切替モードを継続する。谷位置判定フラグFvjがオンされていると判断された場合(S105:YES)、S106へ移行し、駆動モードを切替モードから停止モードに変更する。停止モードでは、逆起電流を還流させてブレーキ力を発生させる。
駆動モードが切替モードでないと判断された場合(S104:NO)に移行するS107では、制御部70は、駆動モードが停止モードか否か判断する。駆動モードが停止モードでないと判断された場合(S107:NO)、S108以降の処理をスキップする。駆動モードが停止モードであると判断された場合(S107:YES)、S108へ移行する。
S108では、制御部70は、停止モードを開始してから停止モード継続時間Xstが経過したか否か判断する。停止モード継続時間Xstが経過していないと判断された場合(S108:NO)、停止モード計時カウンタをインクリメントする。停止モード継続時間Xstが経過したと判断された場合(S108:YES)、S109へ移行し、駆動モードを停止モードからスタンバイモードに変更する。また、停止モード計時カウンタをリセットする。
本実施形態の谷位置判定処理を図8および図9のフローチャートに基づいて説明する。S201では、制御部70は、駆動モードが切替モードか否か判断する。駆動モードが切替モードでないと判断された場合(S201:NO)、S221へ移行する。駆動モードが切替モードであると判断された場合(S201:YES)、S202へ移行する。
S202では、位置判定部73は、山越え判定フラグFmjがオンか否か判断する。山越え判定フラグFmjがオンであると判断された場合(S202:YES)、図9中のS206へ移行する。山越え判定フラグFmjがオフであると判断された場合(S202:NO)、S203へ移行する。
S203では、位置判定部73は、位置センサ55の検出角度であるセンサ角度θsの前回値と今回値との変化量である角度変化量Δθが急変判定閾値θth以上か否か判断する。急変判定閾値θthは、ディテントローラ26が山部215を乗り越えるときガタが反対側に詰まるときの回転角度に応じた値であって、ディテントプレート21の形状やガタの大きさに応じて設定される。急変判定閾値θthは、ディテントプレート21の形状により、PレンジからnotPレンジへの切替時と、notPレンジからPレンジへの切替値とで異なる値であってもよい。角度変化量Δθが急変判定閾値θthより小さいと判断された場合(S203:NO)、ディテントローラ26は山上り中であって、現在の駆動状態を継続する。角度変化量Δθが急変判定閾値θth以上であると判断された場合(S203:YES)、S204へ移行する。
S204では、位置判定部73は、ディテントローラ26が山部215を乗り越えたと判定し、山越え判定フラグFmjをオンにする。また、制御部70では、山越え判定フラグFmjがオンされるまでのセンサ回転数Nsに係る情報が時刻情報と関連付けて記憶されており、S205では、制御部70は、山越え判定フラグFmjがオンになる所定時間Xc前におけるセンサ回転数Nsを、山上り中回転数Ncとして取得する。所定時間Xcは、ディテントローラ26の山上り中であって、センサ回転数Nsが安定しているときの値を山上り中回転数Ncとして、取得可能なように設定される。なお、ディテントローラ26の山越えにて回転数が急変する可及的直前の値を山上り中回転数Ncとして取得することが望ましい。また、センサ回転数Nsが安定している区間において取得される複数の値を用いた平均値等の演算値を山上り中回転数Ncとしてもよい。
図9に示すように、山越え判定フラグFmjがオンであると判断された場合(S202:YES)に移行するS206では、位置判定部73は、山越え判定フラグFmjがオンされてからマスク時間Xmcが経過したか否か判断する。マスク時間Xmcは、山越えにてガタが反転した際にドリブンシャフト47が持っている運動エネルギに起因するドリブンシャフト47の振動状態に応じて設定される。マスク時間Xmcは、モータ電流、電圧、温度、駆動方向等に応じて可変としてもよい。山越え判定フラグFmjがオンされてからマスク時間Xmcが経過していないと判断された場合(S206:NO)、S207へ移行し、マスク時間計時カウンタをインクリメントする。山越え判定フラグFmjがオンされてからマスク時間Xmcが経過したと判断された場合(S206:YES)、S208へ移行する。
S208では、位置判定部73は、現在の駆動方向が、センサ角度θsが増加する方向か否か判定する。本実施形態では、PレンジからnotPレンジへの切替時に肯定判断され、notPレンジからPレンジへの切替時に否定判断される。現在の駆動方向が、センサ角度θsが減少する方向であると判断された場合(S208:NO)、S214へ移行する。現在の駆動方向が、センサ角度θsが増加する方向であると判断された場合(S208:YES)、S209へ移行する。
S209では、位置判定部73は、センサ角度の今回値θs(n)が、ホールドされているセンサ角最大値θmaxより大きいか否か判断する。以下適宜、今回値に添え字(n)、前回値の添え字(n-1)を付す。センサ角度の今回値θs(n)がホールドされているセンサ角最大値θmaxより大きいと判断された場合(S209:YES)、S210へ移行し、センサ角度の今回値θs(n)をセンサ角最大値θmaxとしてホールドする。センサ角度の今回値θs(n)がホールドされているセンサ角最大値θmax以下であると判断された場合(S209:NO)、センサ角最大値θmaxを更新せず、S211へ移行する。
S211では、位置判定部73は、ホールドされているセンサ角最大値θmaxの今回値と前回値との差の絶対値である最大値変化量Δθmax(式(1-1)参照)が、位置判定閾値Nthより小さいか否か判定する。本実施形態では、レンジ切替ごとに、位置判定閾値Nthを設定している。位置判定閾値Nthは、山上り中回転数Ncに1より小さい値である安全係数kを乗じた値である(式(2)参照)。必要に応じ、スケールを合わせるための換算を行ってもよい。本実施形態では、レンジ切替ごとに、位置判定閾値Nthを設定している。
Δθmax=|θmax(n)-θmax(n-1)| ・・・(1-1)
Nth=Nc×k ・・・(2)
安全係数kは、1以下の任意の値(例えば0.7)とする。また、安全係数kは、任意の基準値(例えば0.7)以下の値となるように環境条件に応じて可変としてもよい。例えば、最大電圧降下した場合の安全係数を基準値とし、モータ40に印加される電圧が大きいほど小さい値となるように設定される。また、高温の場合、モータ40の回転数が大きくなるため、温度が高いほど安全係数kが小さい値となるように設定される。さらにまた、山越え前の負荷トルクが小さいほど、センサ回転数Nsが大きいため、負荷トルクが小さいほど安全係数kが小さい値となるように設定する。安全係数kは、例えば電圧、温度および負荷トルクに応じたマップから取得される。例えば、パラメータ毎に個別に設定されたマップを用いて値を取得し、最も小さい値を安全係数kとして設定する。
最大値変化量Δθmaxが位置判定閾値Nthより小さいと判断された場合(S211:YES)、S212へ移行し、判定待機時間Xhの計時に係るカウンタをインクリメントする。最大値変化量Δθmaxが位置判定閾値Nth以上であると判断された場合(S211:NO)、S213へ移行し、判定待機時間Xhの計時に係るカウンタをリセットする。
現在の駆動方向が、センサ角度θsが減少する方向であると判断された場合(S208:NO)に移行するS214では、位置判定部73は、センサ角度の今回値θs(n)がホールドされているセンサ角最小値θminより小さいか否か判断する。センサ角度の今回値θs(n)がホールドされているセンサ角最小値θminより小さいと判断された場合(S214:YES)、S215へ移行し、センサ角度の今回値θs(n)をセンサ角最小値θminとしてホールドする。センサ角度の今回値θs(n)がホールドされているセンサ角最小値θmin以上であると判断された場合(S214:NO)、センサ角最小値θminを更新せず、S216へ移行する。
S216では、位置判定部73はホールドされているセンサ角最小値θminの今回値と前回値との差である最小値変化量Δθmin(式(1-2)参照)が、位置判定閾値Nthより小さいか否か判断する。最小値変化量Δθminが位置判定閾値Nthより小さいと判断された場合(S216:YES)、S217へ移行し、判定待機時間Xhの計時に係るカウンタをインクリメントする。最小値変化量Δθminが位置判定閾値Nth以上であると判断された場合(S216:NO)、S218へ移行し、判定待機時間Xhの計時に係るカウンタをリセットする。
Δθmin=|θmin(n)-θmin(n-1)| ・・・(1-2)
S212、S213、S217またはS218に続いて移行するS219では、位置判定部73は、判定待機時間Xhが谷位置判定時間Xv以上か否か判定する。判定待機時間Xhが谷位置判定時間Xvより小さいと判断された場合(S219:NO)、S220をスキップする。判定待機時間Xhが谷位置判定時間Xv以上であると判断された場合(S219:YES)、S220へ移行し、谷位置判定フラグFvjをオンにする。
図8に戻り、駆動モードが切替モードではないと判断された場合(S201:NO)に移行するS221では、位置判定部73は、谷位置判定フラグFvjおよび山越え判定フラグFmjをオフにする。S222では、位置判定部73は、ホールドされているセンサ角最大値θmaxまたはセンサ角最小値θminをリセットする。また、位置判定部73は、判定待機時間Xhおよびマスク時間Xmcに係るカウンタをリセットする。
本実施形態の谷位置判定処理を図10および図11のタイムチャートに基づいて説明する。図10はPレンジからnotPレンジへの切替時であって、共通時間軸を横軸とし、上段から、目標シフトレンジ、回転角度、回転数、山越え判定フラグFmj、位置判定閾値Nth、センサ角最大値θmax、最大値変化量Δθmax、谷位置判定フラグFvj、デューティ指示値を示している。後述の図12も同様である。回転角度および回転数について、位置センサ55の検出値に基づくセンサ角度θsを実線、モータ40の挙動に応じたモータ角度θmを二点鎖線、出力軸15の挙動に応じた出力軸角度θdを破線で示し、ギア比換算によりスケールを揃えている。また、モータ40の回転数をモータ回転数Nmとする。また、ディテントローラ26が谷部211の最底部にあるときのモータ角度を「P」、谷部212の最底部にあるときのモータ角度を「notP」とした。
図10に示すように、時刻x10にて目標シフトレンジがPレンジからnotPレンジに切り替わると、モータ40が駆動され、ガタが詰まった時刻x11にてセンサ軸も回転を開始し、回転に伴ってセンサ角度θsが増加する。また本実施形態では、少なくとも山越え判定フラグFmjがセットされるまでの期間において、センサ回転数Nsを時刻情報と関連付けて記憶しておく。図10等では、モータ駆動時のデューティ指示値を100[%]としているが、任意の値としても差し支えない。
時刻x12にて、ディテントローラ26が山部215を乗り越えると、トルクが逆向きとなりガタが反対側に一気に詰まることにより、位置センサ55の検出値が大きく変化する。本実施形態では、センサ角度θsの前回値と今回値との差である角度変化量Δθが急変判定閾値θth以上となった場合、ディテントローラ26が山部215を乗り越えたと判定し、山越え判定フラグFmjをオンにする。また、時刻x12から所定時間Xc前のタイミングにおけるセンサ回転数Nsを、山上り中回転数Ncとして取得し、位置判定閾値Nthを設定する(式(2)参照)。
内部ガタGmとスプラインガタGsとの合計が、山部215と谷部212との間の角度より大きい場合、出力軸15がガタ幅の範囲内にて略無負荷状態にて回転することでディテントローラ26が谷底まで吸い込まれ、ディテントローラ26が谷底に到達しても、センサ角度θsが振動する。特に、ディテントローラ26が山部215を乗り越えた直後は振動が大きい。そのため、ディテントローラ26が山部215を乗り越えたと判定されてから、マスク時間Xmcが経過するまでの間は、センサ角最大値θmaxのホールドを行わない。
ディテントローラ26が山部215を乗り越えたと判定されてからマスク時間Xmcが経過した時刻x13にて、センサ角最大値θmaxのホールド処理を開始する。すなわち時刻x12から時刻x13の間のホールド処理をマスクするため、この期間に検出された最大値MAX1、MAX2はホールドされず、マスク時間Xmc経過後に検出された最大値MAX3がホールドされる。なお、マスク時間Xmc後、最初のピークまでの推移はなりゆきとなる。
時刻x14にて、最大値変化量Δθmaxが位置判定閾値Nthより小さくなると、判定待機時間Xhの計時を開始する。最大値変化量Δθmaxが位置判定閾値Nthより小さい状態が谷位置判定時間Xvに亘って継続した時刻x15では、谷位置判定フラグFvjをオンする。そして、デューティ指示値を0[%]とし、モータ40への通電をオフにする。時刻x15では、センサ角度θsに振動は収まっていないが、振動幅がスプラインガタGsの範囲内であれば、ディテントローラ26は動かないため、センサ角度θsの振動が収束を待つことなく、ディテントローラ26が谷部212の最底部で停止していることを判定することができる。
図11は、notPレンジからPレンジへの切替時であって、共通時間軸を横軸とし、上段から、目標シフトレンジ、回転角度、回転数、山越え判定フラグFmj、位置判定閾値Nth、センサ角最小値θmin、最小値変化量Δθmin、谷位置判定フラグFvj、デューティ指示値を示している。notPレンジからPレンジへの切替時の谷位置判定処理は、PレンジからnotPレンジへの切替時の処理と回転方向が異なる点を除き、概ね同様である。
時刻x20にて目標シフトレンジがnotPレンジからPレンジに切り替わると、モータ40が駆動され、ガタが詰まった時刻x21にてセンサ軸も回転を開始し、回転に伴ってセンサ角度θsが減少する。また、少なくとも山越え判定フラグFmjがセットされるまでの期間において、センサ回転数Nsを時刻情報と関連付けて記憶しておく。
時刻x22にて、ディテントローラ26が山部215を乗り越えると、センサ角度θsが大きく変化する。角度変化量Δθが急変判定閾値θth以上となった場合、ディテントローラ26が山部215を乗り越えたと判定し、山越え判定フラグFmjをオンにする。また、時刻x22から所定時間Xc前のタイミングにおけるセンサ回転数Nsを、山上り中回転数Ncとして取得し、位置判定閾値Nthを設定する(式(2))。
時刻x22からマスク時間Xmcが経過した時刻x23にて、センサ角最小値θminのホールド処理を開始する。すなわち、時刻x22から時刻x23の間のホールド処理をマスクするため、この期間に検出された最小値MIN1、MIN2はホールドされず、マスク時間Xmc経過後に検出された最小値MIN3がホールドされる。
時刻x24にて、最小値変化量Δθminが位置判定閾値Nthより小さくなり、谷位置判定時間Xvが経過した時刻x25にて、谷位置判定フラグFvjをオンにする。そしてデューティ指示値を0[%]とし、モータ40への通電をオフにする。
本実施形態では、ディテントローラ26が谷底に落ちた後はセンサ角度θsがガタ幅以上には更新されないため、センサ角度θsの進行方向に対するセンサ角最大値θmaxまたはセンサ角最小値θminを保持することで、ディテントローラ26が谷底に落ちたことを判定している。これにより、例えばガタが比較的大きく、ディテントローラ26が谷に落ちた後もセンサ軸が振動する場合であっても、ディテントローラ26が谷に落ちたことを適切に判定することができる。
以上説明したように、制御装置60は、モータ40を有する電動アクチュエータ10と、ディテント機構20と、位置センサ55と、を備えるパークロックシステム1において、モータ40の駆動によりディテント機構20の切り替えを制御する。
ディテント機構20は、ディテントプレート21、および、ディテントローラ26を有する。ディテントプレート21は、複数の谷部211、212および谷部211、212を隔てる山部215が形成されている。ディテントローラ26は、電動アクチュエータ10により出力軸15が駆動されることで谷部211、212間を移動可能である。位置センサ55は、出力軸15の位置を検出可能である。ここで、位置センサ55は、出力軸15の位置を直接的に検出するものに限らず、出力軸15と接続されるシャフトやギア比等で換算可能な検出対象を検出するものも含む。
制御装置60の制御部70は、位置判定部73を備える。位置判定部73は、ディテントローラ26を目標谷部へ移動させるとき、出力軸15の駆動方向に応じた位置センサ55の最進値に基づき、ディテントローラ26が目標谷部の最底部に落ちたことを判定する。「ディテントローラが目標谷部の最底部に落ちた」とは、センサ軸の状態によらず、ディテントローラ26の揺動が収束しており、谷底にて停止している状態とする。
本実施形態では、PレンジからnotPレンジへ切り替えるときの目標谷部は谷部212であり、最進値はセンサ角最大値θmaxである。また、notPレンジからPレンジへ切り替えるときの目標谷部は谷部211であり、最進値はセンサ角最小値θminである。これにより、例えば位置センサ55の検出部と出力軸15との間に遊びがあり、位置センサ55の検出値が揺動したとしても、ディテントローラ26の状態を速やかに判定することができる。
位置判定部73は、最進値を記憶し、最進値の変化量が位置判定閾値Nth以下の状態が谷位置判定時間Xvに亘って継続した場合、ディテントローラ26が目標谷部の最底部にて停止していると判定する。ディテントローラ26が目標谷部の最底部に落とし込まれている場合、センサ軸はスプラインガタGsの範囲内でしか動かないため、最進値を用いることで、位置センサ55の検出値が揺動していてもディテントローラ26の状態を適切に判定することができる。
位置判定部73は、位置センサ55の検出値の急変が検出されてからマスク時間Xmcが経過するまでの間、最進値の記憶を行わず、マスク時間Xmcが経過した後の最進値に基づいて位置判定を行う。これにより、ガタ反転による過渡的な変化を検出せず、適切に位置判定を行うことができる。
制御部70は、回転演算部72と、閾値設定部74と、を備える。回転演算部72は、位置センサ55の検出値に基づき、センサ回転数Nsを演算する。閾値設定部74は、位置判定閾値Nthを設定する。閾値設定部74は、ディテントローラ26が山部215を乗り越えるときに生じる位置センサ55の検出値の急変が検出されると、急変開始の変曲点以前におけるセンサ回転数Nsに基づいて位置判定閾値Nthを設定する。詳細には、閾値設定部74は、位置センサ55の検出値の急変が検出される所定時間Xc前におけるセンサ回転数Nsに係る値を用いて位置判定閾値Nthを設定する。
これにより、環境条件に応じた位置判定閾値Nthを適切に設定することができる。所定時間Xcは、出力軸15の初動時およびガタ反転時の過渡状態を除いたタイミングのセンサ回転数Nsを取得可能に設定される。好ましくは、ガタ反転直前のセンサ回転数Nsを取得可能に設定される。ガタ反転直前は、略無負荷状態となり、センサ回転数Nsが最も大きくなるため、位置判定閾値Nthを比較的大きい値に設定できるため、ディテントローラ26が谷底に落とし込まれたことを、より速やかに判定することができる。
位置センサ55は、電動アクチュエータ10と出力軸15との間に設けられる減速機構42を構成するドリブンシャフト47の位置を検出する。換言すると、位置センサ55の検出対象であるセンサ軸は、モータ軸と出力軸とも異なっている。位置センサ55の検出対象であるセンサ軸をモータ軸以外とし、センサ角度θsの急変によりモータ軸とセンサ軸とが共連れ状態になっていない状態を検出することで、ディテントローラ26の位置を適切に判定することができる。
(第2実施形態)
第2実施形態を図12に示す。本実施形態では、谷位置判定処理が上記実施形態と異なっているので、この点を中心に説明する。本実施形態では、ディテントローラ26が山部215を乗り越えた後、マスク時間を設けず、センサ角最大値θmaxまたはセンサ角最小値θminをホールドする。具体的には、図9中のS206およびS207の処理を省略する。または、S206のマスク時間Xmcを0にする。
本実施形態の谷位置判定処理を図12のタイムチャートに基づいて説明する。ここでは、図10と同様、シフトレンジをPレンジからnotPレンジへ切り替える場合について説明する。
時刻x30~時刻x32の処理は、図10の時刻x10~時刻x12の処理と同様である。時刻x32にて、ディテントローラ26が山部215を乗り越え、角度変化量Δθが急変判定閾値θth以上になると、山越え判定フラグFmjをオンにする。また、時刻x32から所定時間Xc前のタイミングにおけるセンサ回転数Nsを、山上り中回転数Ncとして取得し、位置判定閾値Nthを設定する。
本実施形態では、山越え判定後のマスク時間を設けないため、時刻x33にてセンサ角度θsの最大値MAX1をセンサ角最大値θmaxとしてホールドするが、この時点での最大値変化量Δθmaxは、位置判定閾値Nthより大きいため、谷位置判定に係る計時を行わない。
時刻x34にて、最大値変化量Δθmaxが位置判定閾値Nthより小さくなると、判定待機時間Xhの計時を開始する。時刻x35にて、センサ角最大値θmaxが更新されるが、最大値変化量Δθmaxは位置判定閾値Nthより小さいため、判定待機時間Xhの計時を継続する。
時刻x34から、谷位置判定時間Xvが経過した時刻x36では、谷位置判定フラグFvjをオンにする。そして、デューティ指令値を0[%]としてモータ40への通電をオフにする。本実施形態では、マスク時間を省略することで、ディテントローラ26が谷底に落ちたことを、より速やかに判定することができる。また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
実施形態では、パークロックシステム1が「駆動システム」、電動アクチュエータ10が「アクチュエータ」、ディテントプレート21が「ディテント部材」、ディテントローラ26が「係合部材」、モータ40が「駆動源」、ドリブンシャフト47が「被検出部品」、制御装置60が「アクチュエータ制御装置」、回転演算部72が「変化率演算部」に対応する。また、センサ回転数Nsが「駆動変化率」に対応する。
PレンジからnotPレンジへ切り替えるとき、目標谷部は谷部212であり、最進値はセンサ角最大値θmaxであり、最進値の変化量は最大値変化量Δθmaxである。また、notPレンジからPレンジへ切り替えるとき、目標谷部は谷部211であり、最進値はセンサ角最小値θminであり、最進値の変化量は最小値変化量Δθminである。
(他の実施形態)
上記実施形態では、モータ印加電圧、モータ電流および負荷トルクに応じて位置判定閾値を可変にしている。他の実施形態では、これらの一部を省略してもよいし、他のパラメータにより位置判定閾値を変更するようにしてもよい。
上記実施形態では、レンジ切替毎に位置判定閾値を設定している。他の実施形態では、例えば車両のイグニッションスイッチ等である始動スイッチがオンされた後の初回のレンジ切替時に位置判定閾値を設定し、始動スイッチがオフされるまでの間は初回に設定された位置判定閾値を用いる、といった具合に、レンジ切替毎に位置判定閾値を設定しなくてもよい。
上記実施形態では、減速機構は、ウォームギア、ヘリカルギアおよび中間ギア等によって構成されている。他の実施形態では、減速機構の構成や減速段数は、上記実施形態と異なっていてもよい。上記実施形態では、駆動源は、ブラシ付きDCモータである。他の実施形態では、駆動源は、ブラシ付きDCモータ以外のモータであってもよいし、ソレノイド等であってもよい。上記実施形態では電動アクチュエータは回転式であるが、他の実施形態では直動式のものであってもよい。
上記実施形態では、電動アクチュエータはパークロックシステムに適用される。他の実施形態では、電動アクチュエータをパークロックシステム以外の車載システム、または、車載以外の駆動システムに適用してもよい。
本発明の特徴は、例えば以下の通りとしてもよい。「位置センサは、駆動源と出力軸との間に設けられる減速機構を構成する被検出部品の位置を検出する請求項1~5のいずれか一項に記載のアクチュエータ制御装置」である。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。