JP7634830B2 - 気体感知材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は気体感知材及びその製造方法に関する。
〔関連技術〕
本願は、特願2020-030315号〔出願日:2020年(令和2年)2月26日〕に基づく日本国特許法第41条に規定する国内優先権主張を伴ったものであり、本発明は当該特許出願に開示された内容に基づくものである。参考のために、当該特許出願の明細書及び図面に記載された内容は本願明細書の一部に包摂されるものである。
気体感知材は、生産環境、住生活環境、医療保健環境、公害又は薬物等、様々な分野において利用されている。取り分け、気体感知材は、動植物に対する有害ガスの検出及びモニタリング、住生活環境(室内環境)、医療保健環境、家電製品における保存環境(冷蔵庫/空気清浄機等)におけるVOCG(Volatile Organic Compounds Gas)の感知及び検出、並びに健康モニタリング技術として関心が高まっている。
近年、気体感知材は、様々な分野及び環境に合致させたものが提案されている。例えば、1)半導体金属酸化物、例えば、SnO2、TiO2等は、最も応用化されている感知材であり、動作温度が高温(300℃以上)領域で使用されるものである。2)導電性高分子、例えば、ポリピロール(PPy)、ポリアニリン(PANI)、ポリチオフェン(PTH)等は、室温(約25℃)近傍で使用可能であり、感知材設計容易性、加工容易性を有するものである。例えば、非特許文献1「Fabrication of polypyrrole-phenylalanine nano-films with NH3 gas sensitivity」では、アンモニア感受性を示す、フェニルアラニンと複合体化したポリピロール(PPy)フィルム及びその合成方法が開示されている。3)有機半導体(例えば、フタロシアニン)は、半導体材料としても知られている。
近年、気体感知分野にあっては、高感度、高選択性、低温度から常温、水分存在、及び多湿下での使用稼働性が要求され、かつ、可撓性、薄膜化、小型化、簡便性、安価性を兼ね備えた気体感知材及びその製造方法が要求されている。
従って、今尚、優れた多種多様な機能性を備えた気体感知材及び簡易及び低廉な気体感知材の製造方法の開発が要求されている。
「Fabrication of polypyrrole-phenylalanine nano-films with NH3 gas sensitivity」(Jin-Yeol Kim et.al、 Sensors and Actuators B: Chemical; Volume 153、 Issue 2、 20 April 2011、 Pages 421-426)
本発明は、高感度、高選択性、広範な使用可動性を有する気体感知材及びその製造方法を提案する。
〔本発明の一の態様〕
本発明は、その一の態様として以下のものを提案する。
〔1〕 気体感知材であって、
下記〔化学式I〕で表されるポリピロール誘導体と、炭素材料とを備えてなる、気体感知材。

〔前記化学式I中、
Aは、炭素数1~10個のアルキル基又はフェニル基であり、
Bは、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン化合物であり、
Sは、硫黄原子、窒素原子、酸素原子、又はこれら原子から構成される極性化合物であり、
A、B、及びSは、互いに異なる物質であり、
nは100以上100、000以下である。〕
〔2〕 気体感知材であって、
第1層と、第2層とを少なくとも備えてなり、
前記第1層又は前記第2層の何れか一方が下記〔化学式I〕で表されるポリピロール誘導体を含んでなり、
前記第1層又は前記第2層の何れか他方が炭素材料を含んでなる、気体感知材。

〔前記化学式I中、
Aは、炭素数1~10個のアルキル基又はフェニル基であり、
Bは、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン化合物であり、
Sは、硫黄原子、窒素原子、酸素原子、又はこれら原子から構成される極性化合物であり、
A、B、及びSは、互いに異なる物質であり、
nは100以上100、000以下である。〕
〔3〕 前記炭素材料が、天然又は合成の(立方晶系)ダイヤモン、ロンズデーライト、グラファイト、無定形炭素、ガラス状炭素、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバッド、カーボンナノファイバー、カーボンナノフォーム、及びカルビンからなる群から選択される一種又は二種以上の組み合わせである、〔1〕又は〔2〕に記載の気体感知材。
〔4〕 前記〔化学式I〕で表される化合物と、前記炭素材料とが直接又は結合基を介して結合したものである、〔1〕~〔3〕の何れか一項に記載の気体感知材。
〔5〕 前記結合基が、二価の結合基であり、-(C2)m(mは1以上10以下)-、-O-、-S-、-OCH2-、-CH2O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH2CH2-、-OCO-CH2CH2-、-CH2CH2-COO-、-CH2CH2-OCO-、-COO-CH2-、-OCO-CH2-、-CH2-COO-、-CH2-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、及び-C≡C-からなる群から選択されてなる一種又は二種以上の組み合わせである、〔5〕に記載の気体感知材。
〔6〕 気体感知材であって、
下記〔化学式II〕で表される、ポリピロール誘導体とカーボンナノチューブとによる構造体を備えてなる、気体感知材。

〔前記化学式II中、
Aは、炭素数1~10個のアルキル基又はフェニル基であり、
Bは、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン化合物であり、
Sは、硫黄原子、窒素原子、酸素原子、又はこれら原子から構成される極性化合物であり、
A、B、及びSは、互いに異なる物質であり、
nは100以上100、000以下である。〕
〔7〕 気体が、窒素系化合物、アルコール、ケトン、又はアルデヒドである、〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載の気体感知材。
〔8〕 気体が、チオール化合物である、〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載の気体感知材。
〔9〕 気体感知材であって、
気体が、アンモニアであり、
前記〔化学式I〕及び前記〔化学式II〕中、
Aは、フェニル基であり、
Bは、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン化合物であり、
Sは、窒素原子又は窒素原子含有官能基であり、
A、B、及びSは、互いに異なる物質であり、
nは100以上100、000以下である、〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載の気体感知材。
〔10〕 気体感知材であって、
気体がアセトンであり、
前記〔化学式I〕及び〔化学式II〕中、
Aは、メチル基又は酸素原子であり、
Bは、水素原子、又は硫黄原子であり、
Sは、-OH2+、-OH又は-COOHであり、
A、B、及びSは、互いに異なる物質であり、
nは100~100、000である、〔1〕~〔6〕の何れか一項に記載の気体感知材。
〔11〕 1気圧、10%以上100%以下の相対湿度で感知する、〔1〕~〔10〕の何れか一項に記載の気体感知材。
〔12〕 気体感知材であって、
下記〔化学式III〕で表される、ポリピロール誘導体とカーボンナノチューブとによる構造体を備えてなり、
気体が、アセトン、アンモニア、ホルムアルデヒド、又はメチルメルカプタンである、気体感知材。
〔化学式III〕
〔13〕 気体感知材であって、
下記〔化学式IV〕で表される、ポリピロール誘導体とカーボンナノチューブとによる構造体を備えてなり、
気体が、アセトンである、気体感知材。

〔14〕 1気圧、-50℃以上100℃以下の温度で感知する、〔1〕~〔13〕の何れか一項に記載の気体感知材。
〔15〕 気体センサーであって、
正極と、負極と、気体感知材とを備えてなり、
前記気体感知材が、〔1〕~〔14〕の何れか一項に記載されたものである、気体センサー。
〔16〕 気体感知材の製造方法であって、
(S1)共役系高分子単量体と、炭素材料と、遷移金属塩触媒と、乳化剤及び/又は分散剤と、機能性有機物質とを用意し、
(S2)炭素材料と、遷移金属塩と、乳化剤及び/又は分散剤とを混合して分散液を得てなり、
(S3)前記分散液に、前記共役系高分子単量体と、前記機能性有機物質とを添加し乳化重合させ、
(S4)重合生成物を精製分離し、前記気体感知材を得ることを含んでなる、製造方法。
〔17〕 〔1〕~〔14〕の何れか一項に記載の気体感知材であって、
前記気体感知材が、
(S1)共役系高分子単量体と、炭素材料と、遷移金属塩触媒と、乳化剤及び/又は分散剤と、機能性有機物質とを用意し、
(S2)炭素材料と、遷移金属塩と、乳化剤及び/又は分散剤とを混合して分散液を得てなり、
(S3)前記分散液に、前記共役系高分子単量体と、前記機能性有機物質とを添加し乳化重合させ、
(S4)重合生成物を精製分離する、ことによって得られるものである、気体感知材。
本発明による気体感知材によれば、高感度、高選択性、広範な使用可動性、小型化、及び小電力化を実現することができる。
特に、本発明による気体感知材によれば、ナノサイズの粒子体又は棒状体として構成され、特定の気体を高い選択性をもって感知する。また、下記化学式Iにおける官能基A、B、及びS(気体感知機能基とも云う)が炭素材料に結合して存在することから、特定気体の感知性を向上させることが可能となる。
また、本発明による気体感知材は薄膜(フィルム)化が容易であり、気体感知薄膜材として、十分な導電性で有し、数μA程度の微細な電流の抵抗でも十分に微量の気体成分を感知することができる鋭敏性をも兼ね備えている。
さらに、前記気体感知機能基の存在により、特定気体成分に対する高い選択性を付与し、1PPM以下の極微量の気体成分でも感知することができるという機能を有する。そして、本発明による気体感知材は、低温度から高温度領域、例えば、-50℃以上150℃以下、取り分け、一般的な使用時の温度(0℃以上40℃以下、特に、室温約25℃近傍)において、気体感知性を発揮することができる。そして、本発明による気体感知材は、高い湿度条件(相対湿度10%以上100%以下)でも安定的な感知性能を維持するということができるとの効果を発揮させることができる。また、これらナノセンシング構造物は水溶液又はアルコール等のような有機溶剤に分散した状態で存在するため、基材上に簡単にキャスティングすることができ、薄い薄膜を容易に生成できるという加工工程での便利性を有する。
本発明による製造方法によれば、簡便性、小型化、安価性を兼ね備えた気体感知材を得ることができる。特に、本発明による製造方法によれば、共役系高分子に、官能基(気体感知機能基)A、B、及びSを容易に導入させ、かつ、炭素材料(主として導電性を発揮する)と組み合わせることにより、電子移動チャンネルを確立し、外部から接触される気体成分に対して十分に接触反応(感知)を実現させることができる。特に、特定気体成分(窒素系物質、例えば、アンモニア)の接触により、電流密度を変化させることで特定気体成分に対する鋭敏性を実現させることが可能となる。
図1は気体感知材を備えた気体センサーを示した概念図である。 図2は気体感知材の表面構造を示した概略図である。 図3は特定気体感知機能基が表面に結合したポリピロールとカーボンナノチューブとのキャッピングによって結合した気体感知材を示した概略図である。 図4は本発明による気体感知材のナノ粒子を拡大撮影したSEM画像である。 図5は本発明による気体感知材のナノチューブを拡大撮影したSEM画像である。 図6は本発明による気体感知センサーのガス応答を表す抵抗変化を記載したものである。 図7は炭素材を用いていない気体感知センサーのガス応答を表す抵抗変化を記載したものである。 図8はアンモニアガスの感知性能を評価したグラフである。 図9は加湿下でアンモニアガスの応答性能を評価したグラフである。 図10は加湿下でアンモニアガスの応答性能を評価したグラフである。 図11は、相対湿度50%及び70%で測定した、アンモニアガスの応答性能を評価したグラフである。 図12は、加湿下、実施例と比較例におけるアンモニアガスの応答性能を評価したグラフである。 図13は、本発明による気体感知センサーのアセトンガス応答を表す抵抗変化を記載したものである。 図14は、本発明による気体感知センサーのアセトンガス応答を表す抵抗変化を記載したものである。 図15は、本発明による気体感知センサーのアンモニアガス応答を表す抵抗変化を記載したものである。 図16は、本発明による気体感知センサーのアンモニアガス応答を表す抵抗変化を記載したものである。 図17は、本発明による気体感知センサーのホルムアルデヒドガス応答を表す抵抗変化を記載したものである。 図18は、本発明による気体感知センサーのホルムアルデヒドガス応答を表す抵抗変化を記載したものである。 図19は、本発明による気体感知センサーのメチルメルカプタンガス応答を表す抵抗変化を記載したものである。
〔気体感知材〕
気体感知材は、その名称「感知」に拘泥することなく、気体を感知、検知、検出、確認等する材、例えば、気体感知材、気体検知材、気体検出材、気体確認材等の全ての範疇のものを包含する概念である。
本発明の一の態様では、気体感知材であって、下記〔化学式I〕で表されるポリピロールと、炭素材料とを備えてなるものである。
本発明による気体感知材は、高感度、高選択性、広範な使用可動性、薄膜化、可撓性を備えたものであり、感知デバイスとした際に、小型化、及び小電力化等を図ることも可能である。
本発明の一の態様では、気体感知材であって、
第1層と、第2層とを少なくとも備えてなり、
前記第1層又は前記第2層の何れか一方が下記〔化学式I〕で表される化合物を含んでなり、
前記第1層又は前記第2層の何れか他方が炭素材料を含んでなるものを提案することができる。
〔化学式I〕で表される化合物
本発明にあっては、下記〔化学式I〕で表されるポリピロール誘導体、即ち、官能基(気体感知機能基)A、B、Sを有するポリピロール誘導体を用いる。この化合物は、気体感知材材料として、高感度、高選択性、及び広範な使用可動性を付与するものである。
前記化学式I中、
Aは、炭素数1~10個のアルキル基又はフェニル基であり、
Bは、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン化合物であり、
Sは、硫黄原子、窒素原子、酸素原子、又はこれら原子から構成される極性化合物であり、
A、B、及びSは、互いに異なる物質であり、
nは100以上100、000以下である。
前記Aにおいて、炭素数1~10個のアルキル基は、例えば、CH3-、CH3CH2-、又はこれらの組み合せが挙げられる。また、前記フェニル基としては、C65-、C65CH2-、又はこれらの組み合せが挙げられる。
前記Bにおいて、ハロゲン原子は、周期表の17族に属する、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、臭素原子(Br)、ヨウ素原子(I)、及びアスタチン原子(At)からなる群から選択される一種又は二種以上の組み合わせが挙げられ、好ましくは、フッ素原子(F)、塩素原子(Cl)、及び臭素原子(Br)からなる群から選択される一種又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
前記Bにおいて、ハロゲン化合物は、例えば、H-、Cl-、及びF-からなる群から選択される一種又は二種以上の組み合わせが挙げられ、好ましくは、前記Aの機能と相違させるために、光学異性体の構造を有する異種の化合物で構成し、分子構造の配列又は方向性を付与する。
前記Sにおいて、硫黄原子、窒素原子、又は酸素原子から構成される極性化合物としては、例えば、-O-、-OCH2-、-CO-、-COO-、CO-NH-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH2-、-C=O、-NH3、-OH2+、-OH、及び-COOHからなる群から選択される一種又は二種以上の組み合わせが挙げられる。これらの基からなる前記Sの分子構造に基づいて、気体成分の選択性を区別するとの特徴を有する。例えば-NH3はアンモニアガス成分から選択的に感度があり、-C=O、-CH=CH-COO-、又は-COOHはアセトン又はアルデヒド(好ましくは、フォルムアルデヒド)等のガス成分に高い感度を持つことができる。無論、これらの記述は例示的であって、本発明にあっては、特定気体に対する前記Sの選択性又は官能性に限定して解釈されるものではない。
特に、気体感知材は図3に示すように、ナノ物質の表面構造における官能基SとAの構造は、検出するガスの選択性を決定するものとして機能する。そして、官能基SとAの基本構造は、カルボキシ基、アルコール基、ケトン基、アミン基、フェニル、及びC1-C6化合物を含むことができる。官能基SとAは互いに異なる物質で光学異性体としての構造的特性を持つことで構成されることが好ましい。
nは100以上100,000以下であり、好ましくは1,000以上10,000以下である。
(炭素材料)
炭素材料は、炭素原子により構成されてなるものであり、主として、炭素の同素体が用いられる。炭素材料は、気体感知材材料として、高導電性を付与し、高感知性を実現させるものである。
炭素材料は、例えば、天然又は合成の(立方晶系)ダイヤモン、ロンズデーライト(天然又は合成の六方晶ダイヤモンド)、グラファイト(板状のグラフェン積層体;例えば、黒鉛、石墨)、無定形炭素(木炭、活性炭、カーボンブラック又はアセチレンブラック等の炭素粉体)、ガラス状炭素、グラフェン、フラーレン(球状のグラフェン構造体)、カーボンナノチューブ(円筒状のグラフェン構造体)、カーボンナノホーン(円筒状のグラフェン構造体)、カーボンナノバッド、カーボンナノファイバー、カーボンナノフォーム、及びカルビンからなる群から選択される一種又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
本発明にあっては、炭素材料は、グラファイト、無定形炭素、ガラス状炭素、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバッド、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノフォーム等からなる群から選択される一種又は二種以上の組み合わせが挙げられる。好ましくは、炭素材料は、グラファイト、無定形炭素、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ(好ましくは、単一壁カーボンナノチューブ)、カーボンナノホーン、カーボンナノバッド、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノフォームからなる群から選択される一種又は二種以上の組み合わせが挙げられる。より好ましくは、炭素材料は、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ(好ましくは、単一壁カーボンナノチューブ)、カーボンナノホーン、カーボンナノバッド、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノフォームからなる群から選択される一種又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
(化学結合)
本発明の一の態様によれば、前記〔化学式I〕で表される化合物と、前記炭素材料とが直接又は結合基を介して結合(化学結合、物理結合又はこれらの混合結合、好ましくは化学結合)したものが好ましい。
前記結合基は、二価の結合基であり、-(C2)m〔mは1以上10以下〕-、-O-、-S-、-OCH2-、-CH2O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH2-、-CH2S-、-CF2O-、-OCF2-、-CF2S-、-SCF2-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CH2CH2-、-OCO-CH2CH2-、-CH2CH2-COO-、-CH2CH2-OCO-、-COO-CH2-、-OCO-CH2-、-CH2-COO-、-CH2-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、及び-C≡C-からなる群から選択されてなる一種又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
(感知条件)
本発明による気体感知材は、気圧は1気圧以上5気圧以下であり、好ましくは1気圧、常圧である。相対湿度は好ましくは10%以上100%以下であり、20%以上60%以下である。温度は好ましくは-50℃以上100℃以下の温度であり、10℃以上40℃以下である。また、これらの感知条件の組み合わせにおいて、気体を感知し検出する。特に、本発明にあっては、生体内呼吸排出気体の検出に使用される。
(気体:X群)
感知する気体(ガス)は、窒素系化合物、アルコール、ケトン、又は、アルデヒドが挙げられ、好ましくは、アンモニア、ウレア、アセトン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド又は炭素数1~5のアルコールである。
(他の気体:Y群)
本発明にあっては、感知する気体(ガス)は、チオール化合物(メルカプタン化合物)が挙げられ、具体的には、炭素数1~5のアルキルメルカプタンであり、好ましくはメチルメルカプタン、エチルメルカプタンである。
本発明による気体感知材は、前記広範な感知条件下において、1PPM以下レベルでの気体感知が可能であり優れた高感度性を達成でき、-50℃以上100℃以下、特に室温で気体感知することができ、相対湿度は10%以上100%以下で高感度性を実現し、500nmオーダー以下程度の薄膜化と低抵抗性を実現することが可能となる。
(製造例)
本発明の第1の態様によれば、気体感知材は、前記〔化学式I〕で表される化合物と、炭素材料とを混合することにより得られる。本発明の第2の態様によれば、気体感知材は、前記〔化学式I〕で表される化合物を含んでなる第1層又は第2層と、炭素材料を含んでなる第1層又は第2層と、をそれぞれ形成し、その後に形成させることにより得られる。また、本発明の第3の態様によれば、気体感知材は、前記〔化学式I〕で表される化合物と、炭素材料とを用意し、前記〔化学式I〕で表される化合物と、前記炭素材料とを直接又は結合基を介して化学結合させた複合体として得られる。製造方法の詳細は後記する。
〔気体感知材の態様:X群〕
本発明の一の態様によれば、気体感知材は、下記〔化学式II〕で表されるポリピロール誘導体(〔化学式I〕で表されたものである)とカーボンナノチューブとにより構成されてなるものが提案される。
前記化学式II中、
A、B、S、及び、nは、化学式Iで定義されたのと同様である。
前記化学式IIによる気体感知材は、前記化学式Iで表されたポリピロール誘導体と、カーボンナノチューブ(好ましくは、単一壁カーボンナノチューブ)とがカルボニル基を介して結合してなるものである。
〔アンモニア気体感知材〕
本発明の一の態様によれば、(アンモニア)気体感知材であって、
気体がアンモニアであり、
前記化学式I及び化学式II中、
Aは、フェニル基であり、
Bは、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン化合物であり、
Sは、窒素原子又は窒素原子含有官能基であり、
A、B、及びSは、互いに異なる物質であり、
nは100~100、000である、気体感知材を提案する。
前記Bにおいて、ハロゲン原子又はハロゲン化合物及び前記nは前記化学式Iにおいて定義したのと同様である。
前記Sにおいて、窒素原子含有官能基は、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ヒドラゾ基、ジアゾ基、及びシアノ基からなる群から選択されてなる一種又は二種以上の組み合わせが挙げられ、好ましくは、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、アゾ基、ヒドラゾ基、ジアゾ基、及びシアノ基からなる群から選択されてなる一種又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
(感知条件)
本発明による気体感知材は、気圧は1気圧以上5気圧以下であり、好ましくは常圧である。相対湿度は0%以上(良くは10%以上)100%以下であり、好ましくは20%以上60%以下である。温度は-30℃以上100℃以下の温度であり、好ましくは10℃以上40℃以下である。また、これらの組み合わせにおいて、アンモニア気体を感知し検出する。特に、本発明にあっては、生体内呼吸排出気体の感知に使用される。
〔アセトン気体感知材〕
本発明の一の態様によれば、(アセトン)気体感知材であって、
気体がアセトンであり、
前記化学式I及び化学式II中、
Aは、メチル基又は酸素原子であり、
Bは、水素原子、又は硫黄原子であり、
Sは、-OH2+、-OH又は-COOHであり、
A、B、及びSは、互いに異なる物質であり、
nは100~100、000である、気体感知材を提案する。
(感知条件)
前記気体感知材は、気圧は1気圧以上5気圧以下であり、好ましくは常圧である。相対湿度は0%以上(良くは10%以上)100%以下であり、好ましくは20%以上60%以下である。温度は-30℃以上100℃以下の温度であり、好ましくは10℃以上40℃以下である。また、これらの組み合わせにおいて、アンモニア気体を感知し検出する。特に、本発明にあっては、生体内呼吸排出気体の感知に使用される。
〔気体感知材の一の態様:Y群〕
〔気体感知材〕
本発明の一の態様によれば、気体感知材であって、
下記〔化学式III〕で表される、ポリピロール誘導体とカーボンナノチューブとによる構造体を備えてなり、
気体が、アセトン、アンモニア、ホルムアルデヒド、又はメチルメルカプタンである、気体感知材を提案する。
(感知条件)
本発明による気体感知材は、気圧は1気圧以上5気圧以下であり、好ましくは常圧である。温度は-30℃以上100℃以下の温度であり、好ましくは10℃以上40℃以下である。また、これらの組み合わせにおいて、アセトン、アンモニア、ホルムアルデヒド、又はメチルメルカプタンの各気体を感知し検出する。
〔(アセトン)気体感知材〕
本発明の一の態様によれば、(アセトン)気体感知材であって、
下記〔化学式IV〕で表される、ポリピロール誘導体とカーボンナノチューブとによる構造体を備えてなり、
気体が、アセトンである、気体感知材を提案する。
(感知条件)
本発明による気体感知材は、気圧は1気圧以上5気圧以下であり、好ましくは常圧である。温度は-30℃以上100℃以下の温度であり、好ましくは10℃以上40℃以下である。また、これらの組み合わせにおいて、アセトンを感知し検出する。
〔気体センサー:気体感知素子〕
本発明にあっては、電極と、本発明による気体感知材とを備えてなる、気体センサー(気体感知素子)を提案することができる。
本発明による気体センサーは、図1に示す通り、本発明による気体感知材を透明薄膜(フィルム)として構成し、透明電極に挟持して、構成することができる。
本発明による気体センサーは気体感知装置を構成する主たる構成材となる。特に、本発明にあっては、ガス、圧力、接触、及び温度等の多機能の感知センサーの一つとして採用され、活用されるものである。
〔気体感知材の製造方法〕
本発明の一の態様では、本発明による気体感知材の製造方法であって、
(S1)共役系高分子単量体と、炭素材料と、遷移金属塩触媒と、乳化剤及び/又は分散剤と、機能性有機物質とを用意し、
(S2)炭素材料と、遷移金属塩と、乳化剤及び/又は分散剤とを混合して分散液を得てなり、
(S3)前記分散液に、前記共役系高分子単量体と、前記機能性有機物質とを添加し乳化重合させ、
(S4)重合生成物を精製分離し、前記気体感知材を得ることを含んでなる、製造方法を提案する。
(S1)
(S1)では、共役系高分子単量体と、炭素材料と、遷移金属塩触媒と、乳化剤及び/又は分散剤と、機能性有機物質とを用意する。
〈共役系高分子の単量体〉
共役系高分子の単量体は、乳化重合により合成される共役系高分子を構成するモノマーである。共役系高分子の単量体は、ピロール、アニリン、チオフェン、3、4-エチレンジオキシチオフェン、及びチオフェンからなる群から選択される一種又は二種以上の組み合わせが挙げられ、好ましくはピロールである。共役系高分子は、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリ-3、4-エチレンジオキシチオフェン、及びポリチオフェンからなる群から選択される一種又は二種以上の組み合わせが挙げられ、好ましくはポリピロールである。
〈炭素材料〉
炭素材料は、〔気体感知材〕の項で説明したのと同様であってよい。本発明にあっては、好ましくは、カーボンナノチューブ、より好ましくは単一壁カーボンナノチューブを用いる。カーボンナノチューブの長さは、1μm以上が好ましく、10μm以上の長さを有するものがより好ましい。
〈遷移金属塩触媒〉
遷移金属塩触媒は、ピロール単量体の乳化重合を促進する触媒である。遷移金属塩触媒の具体例としては、塩化鉄(FeCl、及びFe(III) tosylateからなる群から選択される一種を使用することができる。
〈機能性有機物質:気体感知機能基導入有機化合物〉
機能性有機物質は、気体感知材における気体感知機能基を導入する物質である。機能性有機物質としては、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリルアミド(PAA)、ドデシルスルホン酸塩、カンファースルホン酸、及びヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩からなる群から選択される一種又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
機能性有機物質が特定の官能基として共役高分子に導入されることにより、例えば、前記化学式Iにおける官能基A、B、S(気体感知機能基)を実現することが可能となる。
(S2)
(S2)では、炭素材料と、遷移金属塩と、乳化剤及び/又は分散剤とを混合して分散液を得る。
〈分散液〉
分散液は、各材料を水、極性溶媒に溶解及び/又は分散させることで得ることができ。分散は様々な条件下で実行可能であり、実際、大気雰囲気下、室温(約25℃)程度で行ってよい。
(S3)
(S3)では、前記分散液に、前記共役系高分子単量体と、前記機能性有機物質とを添加し乳化重合させる。
(S3)
(S3)においては、前記共役系高分子単量体と、前記機能性有機物質とを乳化重合することにより、共役系高分子の表面に、官能基(気体感知機能基)A、B及び/又はS(例えば、カルボキシ基、アルコール基、ケトン基、又はアミン基等)を包含し、共役系高分子のナノ粒子又はナノ棒を構成する。共役系高分子のナノ粒子又はナノ棒の表面には、正電荷と気体感知機能基との間で、化学的結合関係を維持しながら連結(キャッピング)した形態の構造を有した気体感知材を生成することができる。気体感知材は、直径30nm以上100nm以下の粒子形状、直径が30nm以上100nm以下であり、長さが5nm以上100μm以下の円筒型、棒状として生成される。
(S3)において、生成される気体感知材は、図2及び図3に示した通りである。図2に示された通り、ナノ粒子の表面構造には気体感知機能基S及びAの構造によって特定ガスの選択性が決まり、気体感知機能基は、例えば、カルボキシ基、アルコール基、ケトン基、アミン基、フェニル、及びC1-6化合物の基であってよく、SとAは互いに異なる物質で光学異性体としての構造的特性を持つことを特徴とする。また、図3に示された気体感知基材(ナノ棒)の表面構造にある気体感知機能基S及びAの構造によって気体の選択性が決定される。
(S3)においては、乳化重合反応は、室温以下の低温であり、好ましくは0℃以下で行う。重合温度を制御することにより、ナノサイズの粒子又は棒状を形成し、かつ、導電性を向上させることが容易に行うことができる。
(S4)
(S4)では、重合生成物を精製分離し、前記気体感知材を得る。
(S4)においては、(S3)で得られたナノ構造である気体感知材は、例えば遠心分離法で精製及び分離して、原料残部、副生成物等を分離する。また、好ましくは、得られたナノ構造である気体感知材を溶媒(例えば、テトラヒドロフラン水溶液)に分散させて固液分離させて、未反応物質等の不純物をとり除く過程を2~3回繰り返すことによって行ってもよい。実際、テトラヒドロフランス溶液において分散させる、未反応物質等が個別に上層で分離され、ナノ構造のである気体感知材は比重差により下層で分離することが可能である。また、好ましい態様によれば、クロロホルム溶剤を利用しることで、未反応高分子を追加的に除去することができ、純粋なナノ構造である気体感知材を得ることができる。
得られた気体感知材は、直径が30nm以上100nm以下の球形粒子、直径が30nm以上100nm以下であり、長さが5nm以上100μm以下の棒状構造体として生産される。
(任意・追加工程)
得られた気体感知材は、水又はメタノール、ブタノール、イソプロパノール等の有機溶剤に二次分散させた分散液として調製し、その後、基材へコーティングして、気体感知薄膜(フィルム)材として得ることもできる。
〔気体感知材の製造方法によって得られた気体感知材〕
本発明の一の態様では、本発明による気体感知材の製造方法によって得られた気体感知材(気体感知センサー)が提案される。提案される本発明は、
(S1)共役系高分子単量体と、炭素材料と、遷移金属塩触媒と、乳化剤及び/又は分散剤と、機能性有機物質とを用意し、
(S2)炭素材料と、遷移金属塩と、乳化剤及び/又は分散剤とを混合して分散液を得てなり、
(S3)前記分散液に、前記共役系高分子単量体と、前記機能性有機物質とを添加し乳化重合させ、
(S4)重合生成物を精製分離することで得られる、気体感知材(気体感知センサー)である。
従って、気体感知材(気体感知センサー)の製造方法は、〔気体感知材の製造方法〕の項で説明したのと同様である。
本発明の内容を以下の実施例を用いて説明するが、本発明の範囲はこれら実施例に限定して解釈されるものではない。また、本明細書に開示された様々な本発明の態様は本実施例から当業者が容易に実施することができるものである。
〔実施態様:X群〕
〔気体感知材の製造〕
(気体感知材1)
反応器に分散剤として1重量%のPVP(ポリビニルピロリドン:分子量1,300,000)を脱イオン水に溶解分散させた後に、2.7gの塩化鉄(FeCl3)を添加した。
次に、ピロール単量体に対するモル比として0.3モル比のPA(フェニルアラニン)を入れて、60μmサイズのミセルを形成させた。2重量%のピロールモノマーを入れた後、0℃で5時間、乳化重合法により反応させた。反応が終わった後に、反応溶液とほぼ同量のメタノールを入れて分離収去した後、反応生成物の粒子を収去した。
合成されたナノ構造のセンシング物質を遠心分離法で2次精製及び分離し、球形のナノ粒子構造体(気体感知材1)を得た。
このナノ粒子構造体(気体感知材1)は図4に示す通り、フェニルアラニン官能基が表面に結合された導電性高分子ポリピロールのナノ粒子で平均直径は50nm以上80nm以下程度であった。
(気体感知材2)
気体感知材1において、0.003重量%の単一壁炭素ナノチューブ(SWCNT)、分散剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩(HDTMA)を使用し、約1000rpmに攪拌しながら重合を行った以外は、同様にして、気体感知材2を得た。
気体感知材2は、200nm以上10μm以下の棒状体であった。気体感知材2は、フェニルアラニン官能基が表面に結合した導電性高分子ポリピロールが単一壁炭素ナノチューブの表面を覆っている構造の共役系炭素ナノ物質であり、これらの電子顕微鏡写真は図5に示した通りである。
〔気体感知センサーの製造〕
(気体感知センサー1)
炭素材として、前記気体感知材2の製造に用いた単一層炭素ナノチューブ(SWCNT)を利用した。金属のくし形電極をガラス基板上に形成したくし形電極基板上へSWCNTと前記気体感知材1をスピンコート法で、室温(25℃)で成膜した。回転速度500-7000rpmで調整することで抵抗値10Ω以上1MΩ以下まで調整し、気体感知センサー1を得た。
(気体感知センサー2)
気体感知材2の分散液を、前記気体感知センサー1の製造と同様にして、スピンコート法で、室温(25℃)で成膜した。回転速度500rpm~7000rpmで調整することで抵抗値10Ω以上1MΩ以下まで調整し、気体感知センサー2を得た。
(気体感知センサー(比較例1))
比較例1として、気体感知センサー1から、炭素材のみを除外したものを用いた。
実施例1〔気体感知センサーの評価試験(アンモニア)〕
(試験)
気体感知センサー1を、ガス導入容器内に取り付けて、アンモニアガスの応答を室温(25℃)で測定した。純空気で希釈したアンモニアガス100ppbと純空気を交互に流した。いずれも流量は300sccmで、相対湿度0%であった。ガス応答は、エレクトロメータを用いてセンサーへ電圧を印加し電流を測定し、抵抗値でモニターした。その抵抗変化が図6である。
他方、比較の為、前記気体感知材1において炭素材を除外した気体感知センサー(比較例1)用いて、上記と同一条件において、同一濃度のアンモニアガスの応答を評価した。その結果を図7に示す。
(結果)
図6に示された通り、アンモニアによって抵抗が上昇し、純空気によって抵抗が戻る現象が確認できた。また、この時見られる抵抗の変化(ΔR)が十分に大きいことが確認できた。
他方、図7に示された通り、本発明の気体感知センサーの特性に比べ、ノイズが上昇し感度が低いことが確認できた。ここで、感度S(%)=ΔR(抵抗変化値)/R0(初期抵抗値)×100で表すが、R0が高いため感度の低下が見られた。
実施例2〔気体感知センサーの評価試験(アンモニア)〕
(試験)
気体感知センサー1を使用し、アンモニアガスの感知性能を評価した。
アンモニア濃度として、100ppb、500ppb、1ppmの抵抗変化を確認し、その変化量をSという指標として濃度に対してプロットした。その結果を図8に示す。
(結果)
図8において、外挿のSがノイズレベル(Noise level)より高い位置の濃度が、感知限度(LOD)と呼ばれるものである。本発明では、20ppbの感知感度が得られた。
実施例3〔気体感知センサーの評価試験(アンモニア)〕
(試験)
気体感知センサー2を使用し、アンモニアガスの感知性能を評価した。アンモニア濃度500ppbでの評価結果を図9に示す。また、アンモニア濃度として、100ppb、500ppb、1ppmの抵抗変化を確認し、その変化量をSという指標として濃度に対してプロットした。その結果を図10に示す。
(結果)
図10において、外挿のSがノイズレベル(Noise level)より高い位置の濃度が、感知限度(LOD)と呼ばれるものである。本発明では、20ppbの感知感度が得られた。
気体感知センサー1および気体感知材センサー2ともにアンモニアガスの感知限度が約20ppbの高感度特性が得られた。アンモニアガスは窒素原子を中心に3つの水素と1つのローンペアが存在する。比較例1の気体感知センサーを用いた場合、前記フェニルアラニン官能基における正電荷にアンモニアガスが吸着反応し、その結果、ドーピングされたポリピロールのポーラロン構造の導電性が低下することにより電気信号の変化として感知するものと思われる。
他方、本発明による気体感知センサー1(気体感知材1及び炭素材からなる)及び気体感知センサー2(気体感知材2からなる)では、アンモニアガスへ特異的反応を示すフェニルアラニン官能基を有する導電性高分子ポリピロールと高い導電性を示す炭素材とが電気的パスを形成する複合体を形成することから、含官能基導電性高分子ポリピロールに起こるガス吸着による微弱な電流変化が高伝導・低ノイズ性の炭素材によって、電気信号として敏感に読み取れることによって、感度が向上するものと思われる。
実施例4〔気体感知センサーの評価試験(アンモニア)〕
(試験)
気体感知センサー1を使用し、加湿下でアンモニアガスの応答を測定した。気体感知センサー1をガスを導入する容器内に取り付けて、アンモニアガスの応答を室温で測定した。純空気で希釈したアンモニアガス500ppbと、純空気を交互に流した。いずれも流量は300sccmである。湿度は、相対湿度50%と70%で測定した。その結果は、図11に示した通りであった。アンモニアによって抵抗が上昇し、空気によって抵抗が戻る現象を確認した。
本発明にあっては、湿度がRH50%及び70%であっても、RH0%同等以上の感知感度が得られた。
(結果)
前記気体感知センサー1を用いた結果と、フェニルアラニン官能基を有する導電性ポリピロールのみの気体感知センサー(比較例1)として用いた結果とを図12に示す。図12において、破線は、フェニルアラニン官能基を有する導電性ポリピロールのみの気体感知センサー(比較例1)を用いた測定値を示す。本発明による気体感知センサーによれば、導電性ポリピロール単独(比較例1)と比較して、より湿度抵抗性により優れていることが確認できた。
実施例5〔気体感知センサーの評価試験(アセトン)〕
(試験)
気体感知センサー1について、アセトンガスの感知性能を評価した。気体感知センサー1を、ガスを導入する容器内に取り付けて、アセトンガスの応答を室温で測定した。純空気で希釈したアセトンガス100ppmと、純空気を交互に流した。いずれも流量は300sccmである。湿度は、相対湿度0%で測定した。Acetone感度は約100ppmを確認できた。これより薄いアセトンガス濃度では応答を確認するのが困難であった。この結果よりアセトンに対して選択性があることがわかる。
(結果)
前記実施例の結果から、本発明によるガスセンサー製造法によって製造された製造物を利用する場合、40℃以下の室温条件でもアンモニアガスの感知特性を大幅に向上させた気体感知センサー(フィルム)を製造できることが分かる。また、本発明によれば、80%以上の高い湿度条件でも感度の変化がなく、これは商用化で求められる、非常に有効な効果を示すものであった。
〔実施態様:Y群〕
〔気体感知材の製造〕
(気体感知材3)
反応器に分散剤として1重量%のPVP(ポリビニルピロリドン:分子量1,300,000)を脱イオン水に溶解分散させた後に、2.7gの塩化鉄(FeCl3)を添加した。
次に、ピロール単量体に対するモル比として0.3モル比のLA(ラクティクアシッド)を入れて、60μmサイズのミセルを形成させた。2重量%のピロールモノマーを入れた後、0℃で5時間、乳化重合法により反応させた。反応が終わった後に、反応溶液とほぼ同量のメタノールを入れて分離収去した後、反応生成物の粒子を収去した。
合成されたナノ構造のセンシング物質を遠心分離法で2次精製及び分離し、球形のナノ粒子構造体(気体感知材3)を得た。
(気体感知材4)
気体感知材3において、0.003重量%の単一壁炭素ナノチューブ(SWCNT)、分散剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩(HDTMA)を使用し、約1000rpmに攪拌しながら重合を行った以外は、同様にして、気体感知材4(〔化学式III〕で表された構造体)を得た。
気体感知材4は、200nm以上10μm以下の棒状体であった。気体感知材4は、ラクティクアシッド官能基が表面に結合した導電性高分子ポリピロールが単一壁炭素ナノチューブの表面を覆っている構造の共役系炭素ナノ物質として得られた。
(気体感知材5)
反応器に分散剤として1重量%のPVP(ポリビニルピロリドン:分子量1,300,000)を脱イオン水に溶解分散させた後に、2.7gの塩化鉄(FeCl3)を添加した。
次に、ピロール単量体に対するモル比として0.3モル比のPLA(フェニルラクティクアシッド)を入れて、60μmサイズのミセルを形成させた。2重量%のピロールモノマーを入れた後、0℃で5時間、乳化重合法により反応させた。反応が終わった後に、反応溶液とほぼ同量のメタノールを入れて分離収去した後、反応生成物の粒子を収去した。
合成されたナノ構造のセンシング物質を遠心分離法で2次精製及び分離し、球形のナノ粒子構造体(気体感知材5)を得た。
(気体感知材6)
気体感知材5において、0.003重量%の単一壁炭素ナノチューブ(SWCNT)、分散剤としてヘキサデシルトリメチルアンモニウム塩(HDTMA)を使用し、約1000rpmに攪拌しながら重合を行った以外は、同様にして、気体感知材6(〔化学式IV〕で表された構造体)を得た。
気体感知材6は、200nm以上10μm以下の棒状体であった。気体感知材4は、フェニルラクティクアシッド官能基が表面に結合した導電性高分子ポリピロールが単一壁炭素ナノチューブの表面を覆っている構造の共役系炭素ナノ物質として得られた。
〔気体感知センサーの製造〕
(気体感知センサー3)
金属のくし形電極をガラス基板上に形成したくし形電極基板上へで、前記気体感知材4の分散液をドロップキャストし、室温(25℃)で成膜した。ドロップキャストの回数を調整することで抵抗値10Ω以上100MΩ以下まで調整し、気体感知センサー3を得た。
(気体感知センサー4)
金属のくし形電極をガラス基板上に形成したくし形電極基板上へで、前記気体感知材6の分散液をドロップキャストし、室温(25℃)で成膜した。ドロップキャストの回数を調整することで抵抗値10Ω以上100MΩ以下まで調整し、気体感知センサー4を得た。
実施例6〔気体感知センサーの評価試験(アセトン)〕
(試験)
気体感知センサー3を、ガス導入容器内に取り付けて、アセトンガスの応答を室温(25℃)で測定した。純空気で希釈したアセトンガス50ppbと純空気を交互に流した。いずれも流量は600sccmで、相対湿度0%であった。ガス応答は、エレクトロメータを用いてセンサーへ電圧を印加し電流を測定し、抵抗値でモニターした。その抵抗変化は図13に示した通りであった。
(結果)
図13に示された通り、アセトンによって抵抗が低下し、純空気によって抵抗が戻る現象が確認できた。この信号は数サイクルに渡って再現性が見られ、信号/ノイズ(S/N)比は5以上であった。
実施例7〔気体感知センサーの評価試験(アセトン)〕
(試験)
気体感知センサー4を、ガス導入容器内に取り付けて、アセトンガスの応答を室温(25℃)で測定した。純空気で希釈したアセトンガス50ppbと純空気を交互に流した。いずれも流量は600sccmで、相対湿度0%であった。ガス応答は、エレクトロメータを用いてセンサーへ電圧を印加し電流を測定し、抵抗値でモニターした。その抵抗変化は図14に示した通りであった。
(結果)
図14に示された通り、アセトンによって抵抗が低下し、純空気によって抵抗が戻る現象が確認できた。この信号は数サイクルに渡って再現性が見られ、信号/ノイズ(S/N)比は10以上であった。
実施例8〔気体感知センサーの評価試験(アンモニア)〕
(試験)
気体感知センサー3を、ガス導入容器内に取り付けて、アンモニアガスの応答を室温(25℃)で測定した。純空気で希釈したアンモニアガス1ppmと純空気を交互に流した。いずれも流量は300sccmで、相対湿度0%であった。ガス応答は、エレクトロメータを用いてセンサーへ電圧を印加し電流を測定し、抵抗値でモニターした。その抵抗変化は図15に示した通りであった。
同じく純空気で希釈したアンモニアガス100ppbと純空気を交互に流した。いずれも流量は300sccmで、相対湿度0%であった。ガス応答は、エレクトロメータを用いてセンサーへ電圧を印加し電流を測定し、抵抗値でモニターした。その抵抗変化は図16に示した通りであった。
(結果)
図15、16に示された通り、アンモニアによって抵抗が増加し、純空気によって抵抗が戻る現象が確認できた。この信号は数サイクルに渡って再現性が見られ、アンモニア1ppmの信号/ノイズ(S/N)比は60以上、100ppbの信号/ノイズ(S/N)比は10以上であった。
実施例9〔気体感知センサーの評価試験(ホルムアルデヒド)〕
(試験)
気体感知センサー3を、ガス導入容器内に取り付けて、ホルムアルデヒドガスの応答を室温(25℃)で測定した。純空気で希釈したホルムアルデヒド100ppbと純空気を交互に流した。いずれも流量は300sccmで、相対湿度0%であった。ガス応答は、エレクトロメータを用いてセンサーへ電圧を印加し電流を測定し、抵抗値でモニターした。その抵抗変化が図17である。
同じく純空気で希釈したホルムアルデヒド50ppbと純空気を交互に流した。いずれも流量は300sccmで、相対湿度0%であった。ガス応答は、エレクトロメータを用いてセンサーへ電圧を印加し電流を測定し、抵抗値でモニターした。その抵抗変化は図18に示した通りであった。
(結果)
図17、18に示された通り、ホルムアルデヒドによって抵抗が低下し、純空気によって抵抗が戻る現象が確認できた。この信号は数サイクルに渡って再現性が見られ、50ppbの濃度に対して感度S(%)=ΔR(抵抗変化値)/R0(初期抵抗値)×100が0.2以上、信号/ノイズ(S/N)比は10以上の高い性能が確認できた。
実施例10〔気体感知センサーの評価試験(メチルメルカプタン)〕
(試験)
気体感知センサー3を、ガス導入容器内に取り付けて、メチルメルカプタンガスの応答を室温(25℃)で測定した。純空気で希釈したメチルメルカプタン200ppbと純空気を交互に流した。いずれも流量は300sccmで、相対湿度0%であった。ガス応答は、エレクトロメータを用いてセンサーへ電圧を印加し電流を測定し、抵抗値でモニターした。その抵抗変化は図19に示した通りであった。
(結果)
図19に示された通り、メチルメルカプタンによって抵抗が低下し、純空気によって抵抗が戻る現象が確認できた。この信号は数サイクルに渡って再現性が見られ、200ppbの濃度に対して感度S(%)=ΔR(抵抗変化値)/R0(初期抵抗値)×100が0.3以上、信号/ノイズ(S/N)比は20以上の高い性能が確認できた。
本発明による気体感知材は、高感度、高選択性、広範な使用可動性、小型化、及び小電力化を実現することができる。本発明による製造方法によれば、簡便性、小型化、安価性を兼ね備えた気体感知材を得ることができる。その結果、本発明による気体感知材は多種多様な用途に用いることが可能である。

Claims (12)

  1. 気体感知材であって、
    下記〔化学式I〕で表されるポリピロール誘導体と、炭素材料とを備えてなり、
    気体がアンモニアである、気体感知材。

    〔化学式I〕
    〔前記化学式I中、
    Aは、ェニル基であり、
    Bは、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン化合物であり、
    Sは、素原子又は窒素原子含有官能基であり、
    A、B、及びSは、互いに異なる物質であり、
    nは100以上100、000以下である。〕
  2. 気体感知材であって、
    第1層と、第2層とを少なくとも備えてなり、
    前記第1層又は前記第2層の何れか一方が下記〔化学式I〕で表されるポリピロール誘導体を含んでなり、
    前記第1層又は前記第2層の何れか他方が炭素材料を含んでなり、
    気体がアセトンである、気体感知材。

    〔化学式I〕
    〔前記化学式I中、
    Aは、炭素数1~10個のアルキル基又はフェニル基であり、
    Bは、水素原子であり、
    Sは、素原子、酸素原子、又はこれら原子から構成される極性化合物であり、
    A、B、及びSは、互いに異なる物質であり、
    nは100以上100、000以下である。〕
  3. 前記炭素材料が、天然又は合成の(立方晶系)ダイヤモン、ロンズデーライト、グラファイト、無定形炭素、ガラス状炭素、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバッド、カーボンナノファイバー、カーボンナノフォーム、及びカルビンからなる群から選択される一種又は二種以上の組み合わせである、請求項1又は2に記載の気体感知材。
  4. 前記〔化学式I〕で表される化合物と、前記炭素材料とが直接又は結合基を介して結合したものである、請求項1又は2に記載の気体感知材。
  5. 前記結合基が、二価の結合基であり、-(C)m(mは1以上10以下)-、-O-、-S-、-OCH-、-CHO-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、-O-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-、-SCH-、-CHS-、-CFO-、-OCF-、-CFS-、-SCF-、-CH=CH-COO-、-CH=CH-OCO-、-COO-CH=CH-、-OCO-CH=CH-、-COO-CHCH-、-OCO-CHCH-、-CHCH-COO-、-CHCH-OCO-、-COO-CH-、-OCO-CH2-、-CH-COO-、-CH-OCO-、-CH=CH-、-N=N-、-CH=N-N=CH-、-CF=CF-、及び-C≡C-からなる群から選択されてなる一種又は二種以上の組み合わせである、請求項4に記載の気体感知材。
  6. 気体感知材であって、
    下記〔化学式II〕で表される、ポリピロール誘導体とカーボンナノチューブとによる構造体を備えてなる、気体感知材。
    〔化学式II〕
    〔前記化学式II中、
    Aは、炭素数1~10個のアルキル基又はフェニル基であり、
    Bは、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン化合物であり、
    Sは、硫黄原子、窒素原子、酸素原子、又はこれら原子から構成される極性化合物であり、
    A、B、及びSは、互いに異なる物質であり、
    nは100以上100、000以下である。〕
  7. 気体感知材であって、
    下記〔化学式I〕で表されるポリピロール誘導体と、炭素材料とを備えてなり、
    気体がチオール化合物である、気体感知材。

    〔化学式I〕
    〔前記化学式I中、
    Aは、炭素数1~10個のアルキル基又はフェニル基であり、
    Bは、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン化合物であり、
    Sは、硫黄原子、窒素原子、酸素原子、又はこれら原子から構成される極性化合物であり、
    A、B、及びSは、互いに異なる物質であり、
    nは100以上100、000以下である。〕
  8. 気体感知材であって、
    第1層と、第2層とを少なくとも備えてなり、
    前記第1層又は前記第2層の何れか一方が下記〔化学式I〕で表されるポリピロール誘導体を含んでなり、
    前記第1層又は前記第2層の何れか他方が炭素材料を含んでなり、
    気体がチオール化合物である、気体感知材。

    〔化学式I〕
    〔前記化学式I中、
    Aは、炭素数1~10個のアルキル基又はフェニル基であり、
    Bは、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン化合物であり、
    Sは、硫黄原子、窒素原子、酸素原子、又はこれら原子から構成される極性化合物であり、
    A、B、及びSは、互いに異なる物質であり、
    nは100以上100、000以下である。〕
  9. 1気圧、10%以上100%以下の相対湿度で感知する、請求項1~の何れか一項に記載の気体感知材。
  10. 1気圧、-50℃以上100℃以下の温度で感知する、請求項1~の何れか一項に記載の気体感知材。
  11. 気体センサーであって、
    正極と、負極と、気体感知材とを備えてなり、
    前記気体感知材が、請求項1~10の何れか一項に記載されたものである、気体センサー。
  12. 気体感知材の製造方法であって、
    (S1)共役系高分子単量体と、炭素材料と、遷移金属塩触媒と、乳化剤及び/又は分散剤と、機能性有機物質とを用意し、
    (S2)炭素材料と、遷移金属塩と、乳化剤及び/又は分散剤とを混合して分散液を得てなり、
    (S3)前記分散液に、前記共役系高分子単量体と、前記機能性有機物質とを添加し乳化重合させ、
    (S4)重合生成物を精製分離し、前記気体感知材を得ることを含んでなる、製造方法。
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