JP7563232B2 - コネクタカバー - Google Patents

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Description

本発明は、オスコネクタに着脱可能なコネクタカバーに関する。
患者に輸液や輸血を行ったり、手術において体外血液循環を行ったりする場合に、輸液や血液などの液体が流れる流路を形成する必要がある。流路は、一般に複数の部材(例えば中空の柔軟なチューブ)を順次接続して構成される。異なる部材を接続するために、オスコネクタ及びメスコネクタが使用される。オスコネクタは、メスコネクタに挿抜可能なオス部材を備える。オスコネクタとメスコネクタとの接続状態を維持するために、メスコネクタに係合する爪が設けられたレバーを備えたレバーロック型のオスコネクタが知られている。このオスコネクタは、オス部材を取り囲む中空円筒形状のフードを備え、オスコネクタにメスコネクタを接続したとき、メスコネクタはフードに収納される(例えば特許文献1~3参照)。
特開2013-252165号公報 特開2015-073664号公報 特開2017-200534号公報
オスコネクタのフードは、薄肉の略円筒形状の部材である。このため、オスコネクタが周囲の部材(例えば、患者が寝ているベッドに設けられた金属製の手すり)に衝突すると、フードにひび割れが生じる等、オスコネクタが破損することが起こりうる。
本発明の目的は、オスコネクタの意図しない破損を防止することにある。
本発明のコネクタカバーは、略円筒形状のフードを備えたオスコネクタに着脱可能に装着されうる。前記コネクタカバーは、前記フードを収納可能な中空の筒本体を備える。前記筒本体は、前記筒本体の軸方向の両端を結ぶスリットと、前記フードに係合可能なように、前記筒本体の内周面から半径方向内向きに突出した一対の突起とを備える。前記一対の突起は、前記筒本体の前記内周面からの突出高さが異なる。
本発明のコネクタカバーは、オスコネクタのフードを収納可能な中空の筒本体を備える。したがって、コネクタカバーをオスコネクタに装着することにより、オスコネクタが周囲の部材に衝突することによってオスコネクタが意図せずに破損するのを防止することができる。
オスコネクタのフードに係合可能なように、コネクタカバーの筒本体の内周面から半径方向内向きに、高さが異なる一対の突起が突出している。これにより、コネクタカバーのオスコネクタに対する着脱容易性を確保しながら、コネクタカバーがオスコネクタから意図せずに分離してオスコネクタが衝突等により破損してしまうのを防止することができる。
図1Aは、本発明の一実施形態に係るコネクタカバーの斜視図である。 図1Bは、本発明の一実施形態に係るコネクタカバーの別の方向から見た斜視図である。 図1Cは、本発明の一実施形態に係るコネクタカバーの断面斜視図である。 図1Dは、本発明の一実施形態に係るコネクタカバーの別の方向から見た断面斜視図である。 図1Eは、本発明の一実施形態に係るコネクタカバーの平面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係るコネクタカバーと、オスコネクタと、メスコネクタとを示した分解斜視図である。 図3Aは、オスコネクタの斜視図である。 図3Bは、オスコネクタの断面図である。 図3Cは、オスコネクタの断面図である。 図4は、メスコネクタの断面図である。 図5Aは、オスコネクタをメスコネクタに接続した状態を示した斜視図である。 図5Bは、互いに接続されたオスコネクタ及びメスコネクタの断面図である。 図6Aは、メスコネクタに接続したオスコネクタに装着した本発明の一実施形態に係るコネクタカバーの斜視図である。 図6Bは、図6Aの平面図である。 図6Cは、図6Bの6C-6C線を含む面に沿った矢視断面図である。 図6Dは、図6Bの6D-6D線を含む面に沿った矢視断面図である。 図7は、カバーのより高い突起のみがオスコネクタのフードに係合した状態を示した断面図である。 図8は、本発明の一実施形態に係るコネクタカバーと、オスコネクタと、メスコネクタとしての混注ポートとを示した分解斜視図である。 図9は、混注ポートに接続したオスコネクタに装着した本発明の一実施形態に係るコネクタカバーの斜視図である。
本発明のコネクタカバーの一態様では、前記筒本体は、前記一対の突起が設けられた一対の筒片と、前記一対の筒片を連結する連結部とを備えていてもよい。かかる態様によれば、一対の突起の間隔が拡大するように筒本体は弾性変形可能である。これは、オスコネクタに対するコネクタカバーの着脱を容易にするのに有利である。
本発明のコネクタカバーの一態様では、前記一対の筒片の前記スリットとは反対側端から一対のグリップ片が延びていてもよい。前記一対のグリップ片の間に前記連結部が設けられていてもよい。かかる態様によれば、一対のグリップ片を把持して、オスコネクタに対してコネクタカバーを着脱することができる。一対のグリップ片は、オスコネクタに対するコネクタカバーの着脱を容易にするのに有利である。
本発明のコネクタカバーの一態様では、前記筒本体の先端に、基端に向かって延びた一対の切り欠きが設けられていてもよい。かかる態様は、混注ポートに接続されたオスコネクタに、本発明のコネクタカバーを装着するのに有利である。
本発明のコネクタカバーの一態様では、前記オスコネクタに当接することにより前記筒本体に対する前記フードの挿入深さを制限する当接部材が、前記筒本体の内周面に設けられていてもよい。かかる態様は、本発明のコネクタカバーにオスコネクタのフードを深く挿入しすぎることによって、コネクタカバー又はオスコネクタが破損したり、オスコネクタからコネクタカバーを分離するのが困難になったりするのを回避するのに有利である。
本発明のコネクタカバーの一態様では、前記コネクタカバーの軸に平行に見たとき、前記一対の突起が前記コネクタカバーの軸を挟んで第1方向に対向して配置されていてもよい。前記軸と前記スリットとを結ぶ方向は前記第1方向に垂直であってもよい。かかる態様によれば、一対の突起の間隔が拡大するように筒本体は弾性変形可能である。これは、オスコネクタに対するコネクタカバーの着脱を容易にするのに有利である。
本発明の一態様では、前記オスコネクタは、前記オスコネクタをメスコネクタに接続したときに前記メスコネクタに係合する爪が設けられたレバーと、前記レバーから延びた操作アームであって、前記操作アームを半径方向内向きに押すと、前記爪の前記メスコネクタに対する係合が解除されるように前記爪を移動させることができる操作アームとを備えていてもよい。前記コネクタカバーは、一対のグリップ片を更に備えていてもよい。前記コネクタカバーを前記オスコネクタに装着したとき、前記操作アームは前記一対のグリップ片の間に収納されてもよい。かかる態様は、操作アームが周囲の部材に衝突することによって操作アームが破損するのを防止するのに有利である。
前記一対のグリップ片は、前記操作アームよりも半径方向外側に突出していてもよい。かかる態様は、操作アームが半径方向内向きに押されてオスコネクタの爪のメスコネクタに対する係合が意図せずに解除されてしまうという事態が起こる可能性を低減するのに有利である。
本発明の一態様では、前記オスコネクタは、前記オスコネクタをメスコネクタに接続したときに前記メスコネクタに係合する爪が設けられたレバーと、前記レバーから延びた操作アームであって、前記操作アームを半径方向内向きに押すと、前記爪の前記メスコネクタに対する係合が解除されるように前記爪を移動させることができる操作アームとを備えていてもよい。前記コネクタカバーは、前記コネクタカバーを前記オスコネクタに装着したとき、前記操作アームに対して半径方向内側に位置するように設けられたアームストッパーを更に備えていてもよい。前記アームストッパーは、前記操作アームの半径方向内向きの移動を制限してもよい。かかる態様は、操作アームが半径方向内向きに移動してオスコネクタの爪のメスコネクタに対する係合が意図せずに解除されてしまうという事態が起こる可能性を低減するのに有利である。
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する図面は、説明の便宜上、本発明の実施形態を構成する主要部材を簡略化して示したものである。従って、本発明は以下の図面に示されていない任意の部材を備え得る。また、本発明の範囲内において、以下の図面に示された各部材を変更または省略し得る。以下の説明で引用する図面において、先行する図面に示された部材に対応する部材には、当該先行する図面で付された符号と同じ符号が付してある。そのような部材については、重複する説明が省略されており、先行する図面の説明を適宜参酌すべきである。
本発明において、部材(例えば、コネクタカバー、オスコネクタ、メスコネクタ)の「軸」は、当該部材の中心軸を意味する。「軸」は、部材に含まれる円の中心を通り、且つ/又は、部材に含まれる円筒もしくは円錐(テーパ)の中心軸と一致する。図面を簡単化するため、いくつかの図面では軸が示されていない。軸に直交する直線に沿った方向を「半径方向」という。半径方向において、軸に近い側を「内」側、軸に遠い側を「外」側という。軸の周りを回転する方向を「周方向」という。
図1Aは、本発明の一実施形態に係るコネクタカバー(以下、単に「カバー」という)1の斜視図である。図1Bは、カバー1の別の方向から見た斜視図である。以下の説明の便宜のため、図示したようなXYZ直交座標系をカバー1に対して設定する。Z軸は、カバー1の軸1a(後述する図1E参照)に平行である。図1A及び図1Bにおいて、カバー1の上側(Z軸の矢印が向く側)をカバー1の「先端」側、カバー1の下側をカバー1の「基端」側という。図1Cは、カバー1の断面斜視図である。図1Dは、カバー1の別の方向から見た断面斜視図である。図1C及び図1Dの断面は、カバー1の軸1aを含み、且つ、YZ面に平行である。図1Eは、コネクタカバーの先端側から見た平面図である。
カバー1は、中空の略円筒形状の筒本体10を有する。筒本体10の中心軸は、カバー1の軸1aに一致する。筒本体10に、筒本体10の軸1a方向の両端(即ち、先端及び基端)を結ぶようにスリット19が設けられている。スリット19は、軸1a(またはZ軸)に平行に延びている。このため、図1Eに示されているように、軸1a(またはZ軸)に沿って見たとき、筒本体10(またはカバー1)は、スリット19にて周方向に分断された略「C」字の平面視形状を有する。スリット19は、軸1aから見てY軸方向に位置している。スリット19の幅(X軸方向寸法)は、制限されないが、オスコネクタ100に接続されたチューブ109(後述する図2参照)の外径より小さいことが好ましい。
より詳細には、筒本体10は、X軸方向に対向する筒片11,12と、筒片11と筒片12とを連結する連結部16とを備える。筒片11,12は、軸1aと同軸の円筒面にほぼ沿った形状を有している。図1Eに示されているように、軸1a(またはZ軸)に沿って見たとき、筒片11,12は、略円弧の平面視形状を有する。筒片11の周方向の一端と筒片12の周方向の一端とはスリット19を介してX軸方向に対向する。連結部16は、筒片11の周方向の他端と筒片12の周方向の他端とを連結している。筒片11,12の当該他端から、スリット19とは反対側に向かってグリップ片17,18が延びている。グリップ片17,18は、YZ面に略平行な板(好ましくは平板)であり、連結部16をX軸方向に挟む。図1C及び図1Dに示されているように、連結部16は、筒片11,12の先端(図1C及び図1Dにおいて筒片11,12の上端)からZ軸方向に所定距離だけ離れた位置からZ軸方向にほぼ沿って基端側に向かって延びている。連結部16は、そのY軸方向寸法(半径方向に沿ったの厚さ)が筒本体10の基端に向かって大きくなる略楔形状を有する。連結部16は、グリップ片17,18よりも半径方向内側に後退して配置されている。
図1A及び図1Bに示されているように、筒片11,12の先端に略「U」形状の切り欠き13,14が設けられている。切り欠き13,14は、筒片11,12の先端から軸1aと平行に基端に向かって所定長さで延びている。切り欠き13及び切り欠き14は、軸1aを挟んでX軸方向に対向して配置されている。
図1C~図1Eに示されているように、筒本体10(または筒片11,12)の内周面から、突起21,22、4本のリブ(第1リブ)23、2本のリブ(第2リブ)24が、半径方向内向きに突出している。
突起21,22は、筒片11,12に設けられ、軸1a方向においては、筒本体10の軸1a方向の長さの略中央に配置されている。4本のリブ23は、筒本体10の先端から、突起21,22よりもわずかに基端側の位置まで、Z軸(軸1a)に平行に延びている。2本のリブ24は、突起21,22よりもわずかに基端側の位置から、筒本体10の基端まで、Z軸(軸1a)に平行に延びている。リブ24は、その上端(筒本体10の先端側の端)に当接面24aを有する。当接面24aは、本実施形態ではXY面に略平行な平坦面であるが、傾斜面、凸曲面、凹曲面等の任意の形状を有していてもよい。
図1Eに示されているように、4本のリブ23は、軸1aに対して略等角度間隔に配置されている。4本のリブ23のうちの2本は筒片11に設けられ、残りの2本は筒片12に設けられている。筒片11において、2本のリブ23が周方向に離間して配置され、当該2本のリブ23の間に突起21が配置されている。同様に、筒片12において、2本のリブ23が周方向に離間して配置され、当該2本のリブ23の間に突起22が配置されている。4本のリブ23に内接する内接円(図示せず)は、軸1aと同軸であり、当該内接円の直径は、筒本体10に挿入されるオスコネクタ100のフード120(後述する図2、図3A参照)の外径よりわずかに大きい。本発明では、リブ23の数、配置、形状は任意である。リブ23を省略してもよい。
図1Eに示されているように、軸1a(またはZ軸)に沿って見たとき、第1突起21及び第2突起22は、軸1aを通りX軸に平行な直線上に配置され、当該直線方向に互いに対向している。第1突起21の筒本体10(または第1筒片11)の内周面からの半径方向の突出高さは、第2突起22の筒本体10(または第2筒片12)の内周面からの半径方向の突出高さより高い。即ち、第1突起21の頂部(第1突起21の軸1aに最も近い箇所)は、第2突起22の頂部(第2突起22の軸1aに最も近い箇所)より、軸1aに接近している。突起21,22は、4本のリブ23に内接する内接円よりも内側(軸1a側)にまで突出している。
2本のリブ24は、突起21,22よりも連結部16側に配置されている。2本のリブ24に内接し且つ軸1aと同心の内接円(図示せず)の半径は、オスコネクタ100のフード120の外径より小さい。
カバー1は、突起21,22を除いて、軸1aを含むYZ面に対して対称である。
カバー1は、制限はないが、好ましくは樹脂材料からなる。使用しうる樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリアミド、硬質ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、スチレンエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ブチレンスチレンブロック共重合体等を用いることができる。カバー1は、オスコネクタ100に対する繰り返しの着脱や、周囲部材に対する衝突によって破損することがないように、靭性を有することが好ましい。この観点から、カバー1は、ポリプロピレンで構成されることが好ましい。カバー1は、上記の樹脂材料を射出成形することにより全体を同一材料で一体的に製造された単一部品で構成されていることが好ましい。
図2は、カバー1の使用方法を説明する分解斜視図である。カバー1は、オスコネクタ100に繰り返し装着及び分離が可能である。オスコネクタ100は、メスコネクタ200に繰り返し接続及び分離が可能である。オスコネクタ100は、中空の柔軟なチューブ109(二点鎖線で示してある)の一端に設けられている。メスコネクタ200は、中空の柔軟なチューブ209(二点鎖線で示してある)の一端に設けられている。チューブ109は、カバー1の筒本体10を貫通している。オスコネクタ100をメスコネクタ200に接続することにより、チューブ109とチューブ209とが連通する。チューブ109,209は、例えば輸液や血液などの液体が流れる流路を形成する。図示したように、XYZ直交座標系をオスコネクタ100及びメスコネクタ200にも適用する。Z軸は、オスコネクタ100の軸(図示せず)及びメスコネクタ200の軸(図示せず)と平行である。
図3Aは、オスコネクタ100の斜視図である。図3B及び図3Cは、オスコネクタ100の断面図である。図3Bの断面と図3Cの断面とは、オスコネクタ100の軸(図示せず)を含み、当該軸にて直交する。図3B及び図3Cに示されているように、オスコネクタ100は、コネクタ本体110と、シールド140と、固定部材150とを備える。
コネクタ本体110は、オスコネクタ100の軸に沿って延びた細長い棒状のオス部材111を備える。オス部材111内には、その長手方向に沿って流路112が形成されている。オス部材111の先端の近傍に、半径方向に延びた2つの横孔113が設けられている。横孔113は、流路112と連通し、オス部材111の外周面で開口している。本実施形態では、2つの横孔113がオス部材111に設けられているが、横孔113の数は、1つ又は3つ以上であってもよい。横孔113ではなく、流路112に連通した縦孔(Z軸に沿って延びた孔)が設けられていてもよく、当該縦孔はオス部材111の先端で開口していてもよい。
円形の基板119が、オス部材111の基端部から外向きにフランジ状に突出している。基板119の外周端に、フード120が設けられている。フード120は、オス部材111と同軸の中空の円筒形状を有し、オス部材111から半径方向に離間して、オス部材111を取り囲む。
図3Aに示されているように、フード120に、切り欠き(開口)128が設けられている。切り欠き128は、フード120を半径方向に貫通する穴である。切り欠き128内にレバー130が設けられている。レバー130は、オス部材111にY軸方向に対向し、オス部材111と略平行に延びている。レバー130は、基板119に片持ち支持されている。レバー130の先端(自由端)またはその近傍から、オス部材111に向かって爪131が突出している(図3B参照)。レバー130のオス部材111とは反対側の面に、操作アーム135が設けられている。操作アーム135は、レバー130から半径方向外側に離間しながら基板119を越えて接続筒115側に延びている。操作アーム135の先端に操作部136が設けられている。操作部136を半径方向内向きに押すと、レバー130は弾性的に曲げ変形し、爪131がオス部材111から離れるように(即ち、半径方向外向きに)変位する。
基板119のオス部材111とは反対側に、中空の略円筒形状の接続筒115が設けられている。接続筒115は、オス部材111の流路112と連通している。接続筒115の外周面には雄ネジ116が設けられている。接続筒115に中空の柔軟なチューブ109(図2参照)が、直接的に、または、何らかの部材(図示せず)を介して間接的に、接続される。チューブ109は、オス部材111の流路112と連通する。
フード120の先端(フード120の接続筒115とは反対側端)に略「U」形状の切り欠き123,124が設けられている。切り欠き123,124は、フード120の先端(図3Aにおいてフード120の上端)からオスコネクタ100の軸と平行に基板119に向かって所定長さで延びている。切り欠き123及び切り欠き124は、オスコネクタ100の軸を挟んでX軸方向に対向して配置されている。
図3Cに示されているように、フード120の基板119の近傍の位置に、フード120に、フード120を半径方向に貫通する一対の孔121,122が形成されている。孔121及び孔122は、オスコネクタ100の軸を挟んでX軸方向に対向して配置されている。突起125,126が、孔121,122の上側(基板119とは反対側)の開口端から半径方向内向きに突出している。孔121,122は、コネクタ本体110を樹脂成形する際に突起125,126を形成するための入れ子によって必然的に形成される。
シールド140は、図3B及び図3Cに示されているように、フード120内に、オス部材111を覆うように配置されている。シールド140は、頭部141、周壁145、基部148をこの順に備える。シールド140は、外力によって比較的容易に変形可能であり、且つ、外力を取り除くと直ちに変形前の状態(初期状態)に回復するように、弾性(あるいは可撓性)を有する軟質材料(いわゆるエラストマー)からなる。使用しうる軟質材料としては、制限はないが、軟質ポリ塩化ビニル、熱可塑性エラストマー(例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等)、ゴム(例えばイソプレンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム等)を例示することができる。シールド140は、上記の材料を用いて、全体を一部品として一体的に製造することができる。
周壁145は、全体として中空の筒形状を有している。周壁145は、シールド140にZ軸方向の圧縮力が印加されると、そのZ軸方向寸法が短縮するように弾性的に圧縮変形し(後述する図5B参照)、圧縮力から解放されると直ちに初期状態に復帰するように構成される。基部148が、周壁145の下端から半径方向外向きに突出している。
頭部141は、周壁145の内部空間と連通した内腔142を有する。内腔142内に、オス部材111の先端が挿入されている。内腔142の内周面は、オス部材111の外周面に密着し、オス部材111に設けられた横孔113を液密に封止している。内腔142の最深部には、頭部141をZ軸方向に貫通するスリット143が形成されている。Z軸に沿って見たとき、スリット143は、「-」(マイナス)字の平面視形状を有する直線状の切り込みである。周壁145が圧縮変形していない初期状態では、スリット143が液密に封止されるように、スリット143を形成する互いに対向する縁(またはリップ)は接触している。
固定部材150は、円形の環状部材である。固定部材150は、シールド140をコネクタ本体110に固定するために用いられる。即ち、図3Bに示されているように、オス部材111を覆うようにシールド140をコネクタ本体110のフード120内に挿入する。次いで、固定部材150をフード120内に挿入する。シールド140は固定部材150内に挿入される。固定部材150を、フード120の内周面から突出した突起125,126に係合させる(図3C参照)。シールド140の基部148は、固定部材150と基板119とにZ軸方向に挟持される。
コネクタ本体110及び固定部材150のそれぞれは、制限はないが、好ましくは樹脂材料からなる。使用しうる樹脂材料としては、例えば、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル等の樹脂材料を用いることができる。コネクタ本体110及び固定部材150のそれぞれは、上記の樹脂材料を射出成形することにより全体を同一材料で一体的に製造された単一部品で構成されていることが好ましい。
オスコネクタ100は、例えば特許文献1~3で公知である。
図4は、メスコネクタ200の断面図である。メスコネクタ200は、基台210、円板状の隔壁部材(以下「セプタム」という)220、及び、キャップ230を備える。
基台210は、その一方の側に台座211を備え、他方の側に基管215及び外筒217を備える。台座211は、中空の略円筒形状を有する。台座211の外周面から、一対の係合爪213及び外周突起214が半径方向外向きに突出している。外周突起214は、周方向に沿って延び、係合爪213から外筒217側にわずかに離間している。
基管215は、中空の略円筒形状を有し、台座211の内腔212と連通している。基管215の外周面は、その先端に近づくにしたがって(即ち、台座211から離れるにしたがって)外径が小さくなるオステーパ面(円錐面)である。外筒217は、略円筒形状を有し、基管215と同軸に、基管215から半径方向に離間して基管215を取り囲んでいる。外筒217の基管215に対向する内周面には雌ネジ218が設けられている。基管215に中空の柔軟なチューブ209(図2参照)が、直接的に、または、何らかの部材(図示せず)を介して間接的に、接続される。チューブ209は、台座211の内腔212と連通する。
セプタム220は、円形の薄板形状を有する。セプタム220の中央には、セプタム220を厚さ方向(Z軸方向)に貫通する直線状のスリット(切り込み)221が形成されている。セプタム220は、外力によって比較的容易に変形可能であり、且つ、外力を取り除くと直ちに変形前の状態(初期状態)に復帰するように、弾性(あるいは可撓性)を有する軟質材料(いわゆるエラストマー)からなる。使用しうる軟質材料としては、制限はないが、軟質ポリ塩化ビニル、熱可塑性エラストマー(例えばスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー等)、ゴム(例えばイソプレンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム等)を例示することができる。セプタム220は、上記の材料を用いて、全体を一部品として一体的に製造することができる。
セプタム220は、台座211の開口を塞ぐように、台座211の先端に設けられている。キャップ230が、セプタム220を覆い、台座211の係合爪213に係止されている。セプタム220は、台座211の先端とキャップ230の天板231とによりその厚さ方向に挟持される。セプタム220のスリット221は、天板231の中央に形成された開口232内に露出する(図2参照)。図2及び図4は、初期状態のセプタム220を示している。初期状態では、スリット221は液密に閉じられている。セプタム200は、自閉式の弁体として機能する。
基台210及びキャップ230のそれぞれは、制限はないが、好ましくは樹脂材料からなる。使用しうる樹脂材料としては、例えば、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル等を用いうる。基台210及びキャップ230のそれぞれは、上記の樹脂材料を射出成形することにより全体を同一材料で一体的に製造された単一部品で構成されていることが好ましい。
スリット221が形成されたセプタム200を備えたメスコネクタ200は、例えば特許文献1,2で公知である。
カバー1の使用方法を説明する。
最初に、図2に示すように、カバー1を、オスコネクタ100に接続されたチューブ109に装着する。チューブ109は柔軟であるので、チューブ109を直径方向に圧縮しながらカバー1のスリット19を通過させることができる。チューブ109にオスコネクタ100を取り付けた状態で、チューブ109に対してカバー1を着脱可能である。スリット19の幅はチューブ109の外径より小さいので、一旦、カバー1をチューブ109に装着した後は、カバー1がチューブ109から脱落する可能性は低い。カバー1の先端は、オスコネクタ100側を向いている。なお、カバー1のチューブ109への装着は、後述するオスコネクタ100のメスコネクタ200に対する接続が完了した後に行ってもよい。
次に、オスコネクタ100をメスコネクタ200に接続する。即ち、メスコネクタ200(特にそのキャップ230)をオスコネクタ100のフード120に挿入する。図示を省略するが、メスコネクタ200をフード120に挿入すると、メスコネクタ200(特に、天板231及びセプタム220)は、シールド140の頭部141(図3B、図3C参照)に衝突し、頭部141を基板119側に移動させる。これと並行して、メスコネクタ200の天板231の外周縁が、レバー130の爪131(図3B参照)に衝突し、爪131がオス部材111から離れる向き(半径方向外向き)にレバー130を弾性的に曲げ変形させる。
図5Aは、オスコネクタ100をメスコネクタ200に接続した状態を示した斜視図である。図5Bは、互いに接続されたオスコネクタ100及びメスコネクタ200の断面図である。図5Bでは、カバー1及びチューブ109,209の図示を省略している。図5Bに示されているように、オス部材111は、シールド140のスリット143(図3B参照)、及び、セプタム220のスリット221(図4参照)を順に貫通している。セプタム220は、オス部材111及びシールド140によって台座211の内腔212内へ大きく変形されている。オス部材111の横孔113は、内腔212内に露出している。オス部材111の流路112はメスコネクタ200の内腔212と連通している。シールド140は、Z軸方向の圧縮力を受け、そのZ軸方向寸法が縮小するように、特に周壁145が圧縮変形されている。レバー130の爪131は、メスコネクタ200の外周突起214に係合している(ロック状態)。オスコネクタ100とメスコネクタ200との間に引張り力を加えても、オスコネクタ100をメスコネクタ200から分離することはできない。チューブ109、オスコネクタ100の流路112、メスコネクタ200の内腔212、チューブ209がこの順に連通する。
次に、オスコネクタ100にカバー1を装着する。即ち、図5Aにおいて、カバー1をオスコネクタ100に向かって移動させる。オスコネクタ100は、その基端側(接続筒115側)から、カバー1に挿入される。
図6Aは、メスコネクタ200に接続したオスコネクタ100にカバー1を装着した状態を示した斜視図である。図6Bは、図6Aの平面図である。図6Cは、図6Bの6C-6C線を含む面に沿った矢視断面図である。図6Dは、図6Bの6D-6D線を含む面に沿った矢視断面図である。図6Bの断面と図6Cの断面とは、カバー1の軸(図示せず)を含み、当該軸にて直交する。図6B~図6Dでは、チューブ109,209の図示を省略している。オスコネクタ100のフード120は、その先端近傍部分を除いてカバー1(特に筒本体10)内に収納されている。
図6Dに示されているように、筒本体10の内周面から突出した突起21,22が、オスコネクタ100(またはフード120)に設けられた孔121,122に嵌入している。
筒本体10の内周面から突出したリブ24の当接面24a(図1D参照)は、オスコネクタ100の基板119に軸方向(Z軸方向)に接近または当接している。当接面24aを備えたリブ24は、オスコネクタ100に軸1a方向に当接することによりカバー1(筒本体10)に対するフード120の挿入深さを制限する「当接部材」として機能する。当接部材としてのリブ24は、カバー1にフード120を深く挿入しすぎるのを防止する。このため、カバー1又はオスコネクタ100が破損したり、オスコネクタ100からカバー1を分離するのが困難になったりするのを回避できる。
図6A~図6Dの状態で、チューブ109、オスコネクタ100、メスコネクタ200 、及び、チューブ209を介して、輸液、輸血、体外血液循環等の必要な処置が行われる。
カバー1、オスコネクタ100、及びメスコネクタ200の分離は、上記とは概略逆の順序で行うことができる。即ち、図6A~図6Dの状態において、オスコネクタ100(またはフード120)に対する突起21,22の係合を解除して、カバー1をオスコネクタ100から分離する(図5A、図5B参照)。次に、操作アーム135の操作部136を半径方向内向きに押す。爪131がオス部材111から離れる向き(半径方向外向き)にレバー130が弾性的に曲げ変形し、爪131のメスコネクタ200(外周突起214)に対する係合が解除される。この状態で、オスコネクタ100とメスコネクタ200とを互いに離れる向きに引っ張れば、オスコネクタ100をメスコネクタ200から分離することができる。セプタム220は、オス部材111が抜き去られると直ちに弾性回復し、スリット221は液密に閉じられる。シールド140は自身の弾性回復力によって伸張する。オス部材111はシールド140内に収納され、横孔113はシールド140によって塞がれる。スリット143は、オス部材111が引き抜かれると直ちに液密に閉じられる。操作部136への力を解除すると、レバー130は初期状態に弾性回復する。カバー1、オスコネクタ100、及び、メスコネクタ200は初期状態(図2~図4参照)に戻る。
以上のように、本実施形態のカバー1は、オスコネクタ100に着脱可能である。カバー1をオスコネクタ100に装着したとき(図6A~図6D参照)、オスコネクタ100のフード120は筒本体10内に収納される。
一般に、輸液、輸血、または体外血液循環等の処置は、メスコネクタ200にオスコネクタ100を接続した状態で行われる。本実施形態とは異なり、オスコネクタ100にカバー1を装着しない場合(図5A参照)、オスコネクタ100が外界に露出されたままとなる。このため、上記の処置中に患者が動いたり、作業者がチューブ(109または209)に触れたりすることによってオスコネクタ100が周囲の部材(例えば、ベッドの金属製の手すり)に衝突すると、フード120にひび割れが生じる等、オスコネクタ100が破損する事態が起こりうる。
カバー1をオスコネクタ100に装着すると、フード120の大部分は筒本体10内に収納される。カバー1(特に筒本体10)は、オスコネクタ100(特にフード120)を保護することができる。オスコネクタ100(特にフード120)が周囲の部材に直接衝突する可能性は低い。このため、カバー1は、衝突等によるオスコネクタ100の意図しない破損を防止することができる。
図6Dに示されているように、カバー1をオスコネクタ100に装着したとき、カバー1の突起21,22は、オスコネクタ100の孔121,122に嵌入する。突起21,22がオスコネクタ100(フード120)に係合するので、カバー1がオスコネクタ100から意図せずに脱落する可能性は低い。カバー1は安定的にオスコネクタ100に装着され続ける。カバー1がオスコネクタ100から脱落して、露出されたオスコネクタ100が衝突等によって意図せずに破損してしまうという事態が起こる可能性は更に低減する。
本実施形態では、第1突起21は、第2突起22より筒本体10の内周面からの突出高さが高い。これによる作用を以下に説明する。
オスコネクタ100にカバー1を装着する際には、図7に示すように、オスコネクタ100に対してカバー1を傾けて、高い第1突起21を低い第2突起22より先にフード120に係合させることが好ましい。第1突起21を第1孔121に嵌入させた状態で、第1突起21を支点としてカバー1をオスコネクタ100に対してXZ面内で回転させる。第2突起22は、オスコネクタ100の基板119の外周縁を比較的容易に乗り越えて、第2孔122に嵌入することができる。
また、オスコネクタ100からカバー1を分離する際には、図7に示すように、オスコネクタ100に対してカバー1を傾けて、低い第2突起22を高い第1突起21より先にフード120との係合を解除することが好ましい。第2突起22は相対的に低いので、突起21,22が孔121,122に嵌入している状態(図6D参照)において、先に第1突起21を第1孔121から脱出させるのに比べて、先に第2突起22を第2孔122から脱出させる方が容易である。図7のように第2突起22をオスコネクタ100の基板119の外周縁に突き当てた状態で、第2突起22を支点としてカバー1をオスコネクタ100に対してXZ面内で回転させる。第1突起21を、第1孔121から比較的容易に脱出させることができる。
本実施形態と異なり、第1突起21及び第2突起22の筒本体10の内周面からの突出高さが同じである場合、以下の問題が生じる。突起21,22の両方が低い(即ち、突起21,22の孔121,122に対する嵌入深さが浅い)と、突起21,22は孔121,122から容易に脱出可能であるので、振動等によってカバー1がオスコネクタ100から意図せずに分離してしまう。これは、カバー1がオスコネクタ100を保護してオスコネクタ100の破損を防止するというカバー1の保護機能が得られない。一方、突起21,22の両方が高い(即ち、突起21,22の孔121,122に対する嵌入深さが深い)と、突起21,22の孔121,122に対する嵌入及び脱出が、オスコネクタ100に対してカバー1をどのように傾けたとしても困難になる。このように、第1突起21及び第2突起22の突出高さが同じである場合には、カバー1のオスコネクタ100からの意図しない分離の防止と、カバー1のオスコネクタ100に対する着脱容易性の確保とを両立させることが困難である。本実施形態のように第1突起21及び第2突起22の突出高さを異ならせることにより、カバー1のオスコネクタ100に対する着脱容易性を確保しながら、カバー1がオスコネクタ100から意図せずに分離してオスコネクタ100が衝突等により破損してしまう事態が生じるのを防止することができる。
カバー1の軸1aに平行に見たとき、第1突起21と第2突起22とは軸1aを挟んでX軸方向に対向して配置されており、スリット19と軸1aとを結ぶ方向はY軸方向に平行である(図1E及び図6B参照)。このため、図7のようにカバー1をオスコネクタ100に対して傾けたとき、筒片11,12がオスコネクタ100(特にフード120)に衝突して、第1突起21と第2突起22との間隔が拡大するように(即ち、スリット19の幅が拡大するように)、カバー1(または筒本体10)はわずかに弾性変形可能である。カバー1のこの変形は、オスコネクタ100に対するカバー1の着脱(フード120に対する突起21,22の係合及びその解除)を容易にするのに有利である。
図1E及び図6Bに示したように、突起21,22は、筒片11,12の内周面に設けられている。筒片11,12のスリット19とは反対側端からグリップ片17,18が延びている。グリップ片17,18の間に連結部16が設けられている。カバー1をオスコネクタ100に対して着脱するときには、グリップ片17,18をX軸方向に把持することができる。本実施形態とは異なり、カバー1がグリップ片17,18を備えない場合、カバー1をオスコネクタ100に対して着脱するとき、使用者は筒片11,12を把持する可能性が高い。筒片11,12をX軸方向に把持すると、突起21,22の間隔が狭くなるようにカバー1が弾性変形して、オスコネクタ100に対するカバー1の着脱(フード120に対する突起21,22の係合及びその解除)が困難になり得る。グリップ片17,18は連結部16で支持されているので、グリップ片17,18を把持してもグリップ片17,18は変形しない。グリップ片17,18を把持すれば、上述した突起21,22の間隔が拡大するような筒本体10の弾性変形が可能である。グリップ片17,18は、オスコネクタ100に対するカバー1の着脱(フード120に対する突起21,22の係合及びその解除)を容易にするのに有利である。
図6A及び図6Bに示されているように、オスコネクタ100にカバー1を装着したとき、オスコネクタ100の操作アーム135(操作部136を含む)は、カバー1のグリップ片17とグリップ片18との間に収納される。グリップ片17,18は、操作アーム135を保護することができる。グリップ片17,18は、操作アーム135が周囲の部材(例えば、ベッドの金属製の手すり)に衝突することによって操作アーム135が破損するのを防止することができる。
グリップ片17,18は、操作アーム135よりも半径方向外側に突出している(図6B及び図6C参照)。オスコネクタ100にカバー1が装着された状態では、操作アーム135や操作部136に指が触れたり、周囲の部材が衝突したりする可能性は更に低減する。操作アーム135が半径方向内向きに押されて爪131のメスコネクタ200に対する係合が意図せずに解除され、最悪の場合、オスコネクタ100がメスコネクタ200から分離するという事態が起こる可能性は低い。
図6Cに示されているように、オスコネクタ100にカバー1を装着したとき、カバー1の連結部16は、オスコネクタ100の操作アーム135に対して半径方向内側に配置される。連結部16は操作アーム135に対して半径方向に対向し、接近または当接している。このため、仮に操作アーム135(操作部136を含む)に半径方向内向きの力が加えられても、操作アーム135は半径方向内向きに変位することは困難である。連結部16は、操作アーム135の半径方向内向きの移動を制限する「アームストッパー」として機能する。アームストッパーとしての連結部16は、操作アーム135が半径方向内向きに移動して爪131のメスコネクタ200に対する係合が意図せずに解除され、最悪の場合、オスコネクタ100がメスコネクタ200から分離するという事態が起こる可能性を低減する。
上記の実施形態は例示に過ぎない。本発明は、上記の実施形態に限定されず、適宜変更することができる。
カバー1の構成は、本発明の範囲内において任意に変更することができる。
上記の実施形態では、スリット19は軸1aに平行に直線状に延びていたが、本発明はこれに限定されない。スリット19は、筒本体10を周方向に分断するように、筒本体10の軸1a方向の両端を結んでいればよく、スリット19が軸1aに平行な直線に沿っていなくてもよい。例えば、スリット19は、軸1aと同軸の螺旋に沿って延びていてもよく、あるいは、筒本体10の軸1a方向の両端間で蛇行しまたはジグザグ状に延びていてもよい。
上記の実施形態では、高い第1突起21が第1筒片11に設けられ、低い第2突起22が第2筒片22に設けられていたが、本発明はこれに限定されず、高い第1突起21が第2筒片12に設けられ、低い第2突起22が第1筒片21に設けられていてもよい。
上記の実施形態では、筒本体10に対するフード120の挿入深さを制限する当接部材として、リブ24が筒本体10の内周面に設けられていた。当接部材としてのリブ24の数、配置、形状は任意に変更できる。本発明では、当接部材の構成は、リブ24に限定されない。当接部材は、軸1a方向に延びている必要はなく、周方向に延びていてもよい。本発明では、当接部材を省略してもよい。
上記の実施形態では、カバー1をオスコネクタ100に装着したとき、操作アーム135はグリップ片17,18の間に収納されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、グリップ片17,18は、連結部16より半径方向外向きに突出するように延びている必要はない。この場合、カバー1をオスコネクタ100に装着したとき、操作アーム135はグリップ片17,18で覆われることはない。この場合であっても、連結部16が、操作アーム135の半径方向内向きの移動を制限するアームストッパーとして機能するので、爪131のメスコネクタ200に対する係合が意図せずに解除されてしまうという事態が起こる可能性は低い。
上記の実施形態では、カバー1をオスコネクタ100に装着したとき、連結部16が、操作アーム135の半径方向内向きの移動を制限するアームストッパーとして機能したが、本発明はこれに限定されない。例えば、カバー1をオスコネクタ100に装着したとき、連結部16と操作アーム135とが半径方向に離間していてもよい。この場合、連結部16は、操作アーム135の半径方向内向きの移動を制限することはできず、単に、筒片11と筒片12とを連結するに過ぎない。但し、グリップ片17,18が、連結部16より半径方向外向きに突出するように延びていれば、操作アーム135に半径方向内向きの外力を加えることは困難であるので、爪131のメスコネクタ200に対する係合が意図せずに解除されてしまうという事態が起こる可能性は低い。また、カバー1がアームストッパーを備えていない場合には、カバー1をオスコネクタ100に装着した状態でもレバー130の半径方向外向きの移動が比較的容易になるので、カバー1をオスコネクタ100に装着した状態で、オスコネクタ100をメスコネクタ200に接続することが可能である。
本発明では、グリップ片17,18が連結部16より半径方向外向きに突出しておらず、且つ、カバー1が操作アーム135の半径方向内向きの移動を制限するアームストッパーを備えていなくてもよい。
上記の実施形態では、カバー1をオスコネクタ100に装着したとき、オスコネクタ100の先端近傍がカバー1(筒本体10)の先端よりも軸方向に突出したが(図6A、図6C、図6D参照)、本発明はこれに限定されない。カバー1をオスコネクタ100に装着したとき、オスコネクタ100の先端よりもカバー1(筒本体10)の先端が軸方向に突出してもよい。更には、カバー1(筒本体10)は、メスコネクタ200の一部を収納してもよい。これは、オスコネクタ100(更にはメスコネクタ200)の衝突等による破損を防止するのに有利である。
カバー1が装着されるオスコネクタ100の構成は、上記の実施形態に限定されない。上記の実施形態では、カバー1の突起21,22はフード120の孔121,122の開口端に係合したが、本発明はこれに限定されない。例えば、フード120の外周面に、孔121,122とは別に、突起21,22が係合可能な凸部または凹部が設けられていてもよい。
オスコネクタ100に接続されるメスコネクタの構成も、上記の実施形態に限定されない。例えば、メスコネクタが、図8に示すように中空の柔軟なチューブ309(二点鎖線で示してある)の途中に設けられる、いわゆる混注ポート300(特許文献2の図17参照)であってもよい。混注ポート300から、X軸に沿って半径方向の両外側に向かって一対の基管313,314(メスコネクタ200の基管215に相当する)が延びている。基管313,314にチューブ309が接続される。図示を省略するが、基管313,314は、混注ポート300の内腔(図4の内腔212に相当する)と連通している。図8において、オスコネクタ100及びカバー1は、上記の実施形態と同じである。上記の実施形態と同様に、混注ポート300にオスコネクタ100が接続され、次いで、オスコネクタ100にカバー1が装着される(図9参照)。図9から分かるように、基管313,314が、フード120の切り欠き123,124、及び、カバー1の切り欠き13,14に嵌入している(図9では、基管313及び切り欠き13,123は見えない)。このように、切り欠き13,14は、混注ポート300に接続可能なオスコネクタ100に、基管313,314に干渉することなくカバー1を装着することを可能にする。
図9において、切り欠き13,14が設けられていなくてもカバー1が基管313,314に衝突しない場合には、カバー1が切り欠き13,14を備えている必要はない。また、本発明のカバーを、混注ポート300に接続されるオスコネクタに装着する必要がない場合にも、カバーが切り欠き13,14を備えている必要はない。
上記の実施形態では、オスコネクタをメスコネクタに接続した後、カバーをオスコネクタに装着したが、本発明はこれに限定されない。例えば、メスコネクタに接続されていないオスコネクタに本発明のカバーを装着してもよい。即ち、輸液、輸血、または体外血液循環等の処置を行っていないオスコネクタ(未使用状態のオスコネクタ)にも本発明のカバーを装着することができる。未使用状態のオスコネクタも周囲の部材に衝突する可能性がある。本発明のカバーは、未使用状態のオスコネクタの意図しない破損を防止することもできる。
本発明は、医療分野、なかでも輸液、輸血、体外血液循環などを行う際に使用されるオスコネクタに着脱可能なカバーとして好ましく利用することができる。オスコネクタを用いて構成される流路を流れる液体に制限はないが、抗がん剤などの危険薬液や血液など外界に漏れ出るのを防止する必要がある液体であることが好ましい。
1 コネクタカバー
1a コネクタカバーの軸
10 筒本体
11,12 筒片
13,14 筒本体の切り欠き
16 連結部(アームストッパー)
17,18 グリップ片
19 スリット
21,22 突起
24 リブ(当接部材)
100 オスコネクタ
120 フード
130 レバー
131 爪
135 操作アーム
200 メスコネクタ
300 混注ポート(メスコネクタ)
X軸 第1方向

Claims (9)

  1. 略円筒形状のフードを備えたオスコネクタに着脱可能に装着されるコネクタカバーであって、
    前記コネクタカバーは、前記フードを収納可能な中空の筒本体を備え、
    前記筒本体は、
    前記筒本体の軸方向の両端を結ぶスリットと、
    前記フードに係合可能なように、前記筒本体の内周面から半径方向内向きに突出した一対の突起とを備え、
    前記一対の突起は、前記筒本体の前記内周面からの突出高さが異なることを特徴とするコネクタカバー。
  2. 前記筒本体は、前記一対の突起が設けられた一対の筒片と、前記一対の筒片を連結する連結部とを備える請求項1に記載のコネクタカバー。
  3. 前記一対の筒片の前記スリットとは反対側端から一対のグリップ片が延びており、
    前記一対のグリップ片の間に前記連結部が設けられている請求項2に記載のコネクタカバー。
  4. 前記筒本体の先端に、基端に向かって延びた一対の切り欠きが設けられている請求項1~3のいずれか一項に記載のコネクタカバー。
  5. 前記オスコネクタに当接することにより前記筒本体に対する前記フードの挿入深さを制限する当接部材が、前記筒本体の内周面に設けられている請求項1~4のいずれか一項に記載のコネクタカバー。
  6. 前記コネクタカバーの軸に平行に見たとき、前記一対の突起が前記コネクタカバーの軸を挟んで第1方向に対向して配置されており、前記軸と前記スリットと結ぶ方向は前記第1方向に垂直である請求項1~5のいずれか一項に記載のコネクタカバー。
  7. 前記オスコネクタは、
    前記オスコネクタをメスコネクタに接続したときに前記メスコネクタに係合する爪が設けられたレバーと、
    前記レバーから延びた操作アームであって、前記操作アームを半径方向内向きに押すと、前記爪の前記メスコネクタに対する係合が解除されるように前記爪を移動させることができる操作アームとを備え、
    前記コネクタカバーは、一対のグリップ片を更に備え、
    前記コネクタカバーを前記オスコネクタに装着したとき、前記操作アームは前記一対のグリップ片の間に収納される請求項1~6のいずれか一項に記載のコネクタカバー。
  8. 前記一対のグリップ片は、前記操作アームよりも半径方向外側に突出している請求項7に記載のコネクタカバー。
  9. 前記オスコネクタは、
    前記オスコネクタをメスコネクタに接続したときに前記メスコネクタに係合する爪が設けられたレバーと、
    前記レバーから延びた操作アームであって、前記操作アームを半径方向内向きに押すと、前記爪の前記メスコネクタに対する係合が解除されるように前記爪を移動させることができる操作アームとを備え、
    前記コネクタカバーは、前記コネクタカバーを前記オスコネクタに装着したとき、前記操作アームに対して半径方向内側に位置するように設けられたアームストッパーを更に備え、前記アームストッパーは、前記操作アームの半径方向内向きの移動を制限する、請求項1~8のいずれか一項に記載のコネクタカバー。
JP2021029110A 2021-02-25 2021-02-25 コネクタカバー Active JP7563232B2 (ja)

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