関連出願への相互参照
本願は、2019年3月26日に出願された米国仮出願第62/823,892号の優先権を主張し、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本明細書に開示されるのは、置換されたアミノチオール及びアミノジスルフィド生体保護化合物、それらから製造された医薬組成物、及び、シスチンの結合、酸化ストレスの減少、アディポネクチンレベルの増加、及び/または脳由来神経栄養因子の増加を含むが、これらに限定されない、前記化合物の1つ以上の生体保護効果から恩恵を得ることができる被験者における任意の疾患または障害の治療を含むそれらの方法である。そのような疾患及び障害の例には、シスチン症、及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を含む脂肪肝疾患が含まれるが、これらに限定されない。
システアミンは、化学式HSCH2CH2NH2のアミノチオールである。内因的に、システアミンは補酵素Aの分解に由来するが、その血漿中濃度は低い。システアミンを薬物として希少疾患のシスチン症に使用され、そこで、システアミンがリソソーム内のシスチン蓄積を減少させるために製剤化される。しかし、これまでに、該薬物は、in vitro及びin vivoの両方で他のいくつかの用途に使用されてきた。シスタミンは、システアミンの酸化型及び二量体型である有機ジスルフィドである。シスタミンの臨床的な用途/適応症はまだない。
システアミンは、酒石酸水素塩の形態(MW 217)でのみ臨床使用が可能であり、徐放性(ProcysbiTM及び速放性(CystagonTM)の形態で販売されている。これらの製剤は、腸管に吸収された後に、全身に循環する遊離システアミンが大量に発生することにより、消化管症状、口臭、及び体臭を引き起こす。この自由に循環するシステアミンは、肝臓等の臓器で代謝を行い、DMS及びその他の揮発性硫黄を含む代謝物を生成する可能性がある。
システアミンは、多くの潜在的な治療効果を持つアミノチオール剤である。アミノ酸シスチンのリソソーム蓄積が起こるまれな代謝障害シスチン症の治療のためにFDAに承認されている。システアミン(酒石酸水素塩として投与される)はシスチン症に効果的であるが、口臭、体臭、及び消化管症状等の副作用を伴う。これらの影響は、治療への不順守と病状の急速な悪化の一因となる。
シスタミンと比較して、本開示のシスタミンの重水素化化合物は、重水素で同位体濃縮されている。重水素原子を利用して生まれた本開示の重水素化化合物は、非重水素化の形態よりも改善された特性(例えば、ADME-PK)を有する。これらの利点として、その分子の代謝が変化した。即ち、(1)活性薬物の作用期間が長くなり、かつ(2)システアミンの代謝経路が変化し、より活性の低いまたは不活性な代謝物になった(それにより、ジメチルスルフィド(DMS)やジメチルジスルフィド等の有害な揮発剤の生成による体臭や口臭の発生を抑えた)。本開示の化合物は、多くの疾患を治療するために使用することができ、速放性製剤、腸溶性製剤または持続性製剤として経口投与し、また吸入/噴霧による肺送達、鼻腔内送達または経皮送達によって投与することができる。本開示の化合物は、現在承認されているシステアミンの製剤と比較して、より良好な患者コンプライアンス、及び改善された薬物動態を有することが期待される。
特定の実施形態では、本開示は、
または
の構造を有する化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。ここで、R1~R12はHまたはDから独立して選択され、R1~R4の少なくとも1つはDであり、また、R5~R12の少なくとも1つはDである。ただし、前記化合物は、
及び
からなる群から選択されない。別の実施形態では、R1~R12の少なくとも1つは、独立して約10%以上の重水素濃縮を有する。さらに別の実施形態では、R1~R12の少なくとも1つは、独立して約50%以上の重水素濃縮を有する。さらなる実施形態では、R1~R12の少なくとも1つは、独立して約90%以上の重水素濃縮を有する。さらに別の実施形態では、R1~R12の少なくとも1つは、独立して約98%以上の重水素濃縮を有する。特定の実施形態では、それが、
からなる群から選択される構造式を有する前記化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグである。特定の実施形態では、それが、
または
の構造を有する前記化合物、あるいはそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグである。別の実施形態では、Dと表される各位置は、約10%以上の重水素濃縮を有する。さらに別の実施形態では、Dと表される各位置は、約50%以上の重水素濃縮を有する。さらなる実施形態では、Dと表される各位置は、約90%以上の重水素濃縮を有する。さらに別の実施形態では、Dと表される各位置は、約98%以上の重水素濃縮を有する。特定の実施形態では、前記化合物は、前記化合物の薬学的に許容される酒石酸水素塩形態である。別の実施形態では、システアミンまたはシスタミンと比較して、前記化合物は、(a)システアミンまたはシスタミンと比較して、前記化合物またはその代謝物の血漿レベルの個体間変動の減少;(b)システアミンまたはシスタミンと比較して、投与単位あたりの前記化合物の平均血漿レベルの増加;(c)システアミンまたはシスタミンと比較して、投与単位あたりの前記化合物の少なくとも1つの代謝物の平均血漿レベルの低下;(d)システアミンまたはシスタミンと比較して、投与単位あたりの前記化合物の少なくとも1つの代謝物の平均血漿レベルの増加;及び(e)システアミンまたはシスタミンと比較して、投与単位あたりにおいて、被験者における治療中の臨床効果の改善からなる群から選択される少なくとも1つの効果を示す。さらに別の実施形態では、シスタミンまたはシスタミンと比較して、前記化合物は、(a)システアミンまたはシスタミンと比較して、前記化合物またはその代謝物の血漿レベルの個体間変動の減少;(b)システアミンまたはシスタミンと比較して、投与単位あたりの前記化合物の平均血漿レベルの増加;(c)システアミンまたはシスタミンと比較して、投与単位あたりの前記化合物の少なくとも1つの代謝物の平均血漿レベルの低下;(d)システアミンまたはシスタミンと比較して、投与単位あたりの前記化合物の少なくとも1つの代謝物の平均血漿レベルの増加;及び(e)システアミンまたはシスタミンと比較して、投与単位あたりにおいて、被験者における治療中の臨床効果の改善からなる群から選択される少なくとも2つの効果を示す。さらに別の実施形態では、前記化合物は、システアミンまたはシスタミンと比較して、被験者において少なくとも1つの多形的に発現されたシトクロムP450イソ型によって、投与単位あたりの前記化合物の代謝の低下に影響を与える。さらなる実施形態では、前記シトクロムP450イソ型は、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、及びCYP2D6からなる群から選択される。別の実施形態では、前記化合物は、システアミンまたはシスタミンと比較して、投与単位あたりの被験者における少なくとも1つのシトクロムP450イソ型またはモノアミン酸化酵素イソ型の阻害の減少を特徴とする。さらに別の実施形態では、前記シトクロムP450イソ型またはモノアミン酸化酵素イソ型は、CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2G1、CYP2J2、CYP2R1、CYP2S1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、CYP3A5P2、CYP3A7、CYP4A11、CYP4B1、CYP4F2、CYP4F3、CYP4F8、CYP4F11、CYP4F12、CYP4X1、CYP4Z1、CYP5A1、CYP7A1、CYP7B1、CYP8A1、CYP8B1、CYP11A1、CYP11B1、CYP11B2、CYP17、CYP19、CYP21、CYP24、CYP26A1、CYP26B1、CYP27A1、CYP27B1、CYP39、CYP46、CYP51、MAOA、及び MAOBからなる群から選択される。特定の実施形態では、前記化合物は、システアミンまたはシスタミンと比較して、診断用肝胆道機能エンドポイントにおける有害な変化を低減する。さらなる実施形態では、前記診断用肝胆道機能エンドポイントは、アラニンアミノ基転移酵素(ALT)、血清グルタミン酸ピルビン酸アミノ基転移酵素(“SGPT)、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST、”“SGOT)、ALT/AST比、血清アルドラーゼ、アルカリ脱リン酸化酵素(ALP)、アンモニアレベル、ビリルビン、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(“GGTP“γ-GTP“GGT)、ロイシンアミノペプチダーゼ(“LAP)、肝生検、肝超音波検査、肝核スキャン、5'-ヌクレオチダーゼ、及び血液タンパク質からなる群から選択される。
特定の実施形態では、本開示はまた、本明細書に開示される化合物及び薬学的に許容される担体、希釈剤、及び/または結合剤を含む医薬組成物を提供する。別の実施形態では、前記医薬組成物は、経口投与のために製剤化される。別の実施形態では、前記医薬組成物は、顆粒剤、錠剤、カプセル、またはカプレットの形態である。さらに別の実施形態では、前記医薬組成物は、徐放用に製剤化される。さらなる実施形態では、前記医薬組成物は、腸溶コーティングを含む。さらに別の実施形態では、前記医薬組成物は、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、D&C黄色No.10アルミニウムレイク、FD&C青色No.1アルミニウムレイク、FD&C青色No.2アルミニウムレイク、FD&C赤色No.40アルミニウムレイク、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム、微結晶性セルロース、医薬品釉薬、アルファ化デンプン、二酸化ケイ素、ラウリル硫酸ナトリウム、合成黒酸化鉄、及び/または二酸化チタンを含む。代替の実施形態では、前記医薬組成物は、微結晶性セルロース、Eudragit(登録商標)L 30 D-55、ヒプロメロース、タルク、クエン酸トリエチル、ラウリル硫酸ナトリウム、精製水、ゼラチン、二酸化チタン、青インク、及び/または白インクを含む。さらに別の実施形態では、前記医薬組成物は、(i)請求項12に記載の化合物と結合剤との混合物を含むコア粒子、及び(ii)該コア粒子を取り囲む腸溶膜を含む。ここで、該粒子は、約0.7 mm~約2.8 mmの範囲のサイズ分布を有する。該腸溶膜は、約4.5~約6.5のpH範囲内で溶解し始め、前記コア粒子の重量の約25%~約35%範囲の量で存在する。代替の実施形態では、前記医薬組成物は、(i)請求項12に記載の化合物と結合剤との混合物を含むコア錠、及び(ii)該錠剤を取り囲む腸溶膜を含む。ここで、該腸溶コーティングの厚さは、前記化合物の基本用量50 mg~300 mgに対して、60 μm~130 μmである。かつ/または、該腸溶コーティングは、前記コア錠の重量の約9~約15%範囲の量で存在する。
特定の実施形態では、本開示は、治療を必要とする疾患または障害に罹患している被験者を治療する方法を提供する。該方法は、治療有効量の
または
の構造を有する化合物(ここで、R1~R12はHまたはDから独立して選択され、R1~R4の少なくとも1つはDであり、R5~R12の少なくとも1つはDである。)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物またはプロドラッグを該被験者に投与することを含む。別の実施形態では、前記化合物のR1~R12の少なくとも1つは、独立して約10%以上の重水素濃縮を有する。さらに別の実施形態では、前記化合物のR1~R12の少なくとも1つは、独立して約50%以上の重水素濃縮を有する。さらなる実施形態では、前記化合物のR1~R12の少なくとも1つは、独立して約90%以上の重水素濃縮を有する。さらに別の実施形態では、前記化合物のR1~R12の少なくとも1つは、独立して約98%以上の重水素濃縮を有する。さらなる実施形態では、それが、
からなる群から選択される構造式を有する前記化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグである。さらなる実施形態では、それは、
から選択される構造を有する前記化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグである。別の実施形態では、Dと表される各位置は、約10%以上の重水素濃縮を有する。さらに別の実施形態では、Dと表される各位置は、約50%以上の重水素濃縮を有する。さらなる実施形態では、Dと表される各位置は、約90%以上の重水素濃縮を有する。さらに別の実施形態では、Dと表される各位置は、約98%以上の重水素濃縮を有する。特定の実施形態では、前記化合物は、該化合物の薬学的に許容される酒石酸水素塩形態である。別の実施形態では、前記被験者は、シスチン症に罹患している。代替の実施形態では、前記疾患または障害は、脂肪肝疾患である。さらなる実施形態では、前記脂肪肝疾患は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝炎に起因する脂肪肝疾患、肥満に起因する脂肪肝疾患、糖尿病に起因する脂肪肝疾患、インスリン抵抗性に起因する脂肪肝疾患、高中性脂肪血症に起因する脂肪肝疾患、無βリポタンパク血症、グリコーゲン蓄積症、ウェーバー・クリスチャン病、ウォルマンス病、妊娠中の急性脂肪肝、及び脂肪異栄養症からなる群から選択される。特定の実施形態では、前記脂肪肝疾患はNASHである。さらなる実施形態では、本開示の方法は、アラニンアミノ基転移酵素(ALT)、アルカリ脱リン酸化酵素(ALP)、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)、及びトリグリセリドからなる群から選択される肝機能の1つまたは複数のマーカーを測定することをさらに含む。さらに別の実施形態では、約60~150単位/リットルのALTレベルは、脂肪肝疾患を示す。別の実施形態では、約150~250単位/リットルのALPレベルは、脂肪肝疾患を示す。さらに別の実施形態では、約40~100単位/リットルのASTレベルは、脂肪肝疾患を示す。さらなる実施形態では、50~100単位/リットルのGGTレベルは、脂肪肝疾患を示す。さらに別の実施形態では、150 mg/dLを超えるトリグリセリドレベル及び/または高いLDLレベルは、脂肪肝疾患を示す。本開示はまた、本開示の化合物またはその医薬組成物を、それを必要とする被験者に投与することを含む、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に関連する被験者の肝臓における線維症、脂肪含有量、または脂肪蓄積を低減する方法を提供する。
50 μM、100 μM、及び200 μMのシスタミンが用量反応的に細胞内のシスチンレベルを低下させるのに効果的である。特に、200 μMのシスタミンは効果的であり、応答時間が50 μM及び100 μMのシスタミンより速い。
(A)シスタミン(50、100、及び200 μM)の存在下でシスチン性線維芽細胞を培養した場合、細胞内シスチンのシステイン-システアミンの混合ジスルフィド(MD)への変換が、(B)システアミン(200 μM)の存在下で培養した場合と比べて、遅延した。これは、シスタミンの細胞内還元の遅延、及びそれによるシステアミン(活性型)の利用可能性は原因である可能性が最も高い。
シスチンの細胞内再蓄積の経時的変化。この図は、100 μMのシスタミンと3時間インキュベートした後に、シスチン性線維芽細胞プレートの洗浄後、細胞内シスチンレベルが上昇したことを示している。次に、洗浄後の細胞を、シスタミンを含まない培地で10、30、60、180分間、及び17時間インキュベートした。シスタミンに曝露されなかった2つのシスチン線維芽細胞プレートからシスタミンを抽出し、それらのシスチンレベルは17時間のシスチン測定と同一であった。該レベルが最初に定常に達する精確な時間は不明である。
100 μMのシステアミンに継続的に曝露された培地中のシスチン性線維芽細胞における(A)システアミン、(B)シスタミン、(C)シスチン、及び(D)システインの細胞内レベル。システアミンがシステアミンに酸化されて誤った測定値が得られるのを防ぐために、NEMシステアミンを測定した。3時間のシスタミンインキュベーションは、非常に大量のシステアミン(NEM結合として示されている)を示す。従って、15分の時点でシステアミンが比較的少ないため、システアミンは十分に減少しているが、ゆっくりと減少している。ただし、この時点ではシスチンはまだ高いように見えるため、15分で少量のシステアミンは混合ジスルフィドを介してシステインに結合すると予想される。シスチンレベルはどちらの場合も低いままであった。
100 μMのシスタミンまたは100 μMのd2-シスタミン曝露のいずれかを使用した、シスチン性線維芽細胞における薬物曝露の経時的なシスチン枯渇(NEM-システアミンの形でのシステアミン、及びシスタミンの測定)の比較。(A-C)細胞内シスチン枯渇の速度は、100 μMのシスタミンと比較して100 μMのd2-シスタミンの方が低かった。これは、シスタミンのNEM-システアミンへの還元の速度/程度と関連している可能性が最も高く、特に最初の10~15分間で、シスタミンとd2-シスタミンの方が速く/高く見える。この不安定で高レベルのシステアミンは、より多くの有害で揮発性の代謝物の生成と関連している可能性がある。
シスチン患者「シスチン線維芽細胞」から単離された真皮線維芽細胞におけるシスタミン、d2-シスタミン、及びd4-シスタミンを用いたシスチン枯渇に関する試験結果。示されたように、枯渇速度の違いは、シスタミンとd4-シスタミンの間でほぼ同じであった。d2-シスタミンはわずかに遅い動態を示した。
以前にシスタミン、d2-シスタミン、及びd4-シスタミンを投与された洗浄済みのシスチン線維芽細胞におけるシスチン再蓄積の結果。単相指数関連曲線がデータポイントの各セットに適合した(注:表中のTauはKの逆数を表す)。シスタミンとd4-シスタミンの間のシスチンの再蓄積は非常に類似している(A)。d2-シスタミンはわずかに速いように見える(B)が、これは、この後者の実験が他の2つとは異なる日に実行され、また、より集密な細胞を使用したことが原因である可能性がある。しかし、どちらの場合も、シスチンレベルがベースラインレベルに再蓄積するのに10~17時間かかり、これは、システアミンで予想される時間よりも長い。
一定のインキュベーション中にNEM-システアミンとNEM-システインを用いて実施された試験。(A)NEM-システアミン(またはNEM-d1-システアミンまたはNEM-d2-システアミン)をそれぞれのプレートについて測定し、d4-シスチンのシグナルに対して正規化した。重水素化分子のいずれかと比較して、システアミン後の早い時点で、より高いレベルのシステアミンが再び見られた(例えば、上記の図5Bを参照)。これは、より「制御された」細胞内システアミンの利用可能性及びより少ない有害代謝物へ変換するための「遊離システアミン」をもたらす可能性がある。5時間曝露の間、NEM-システアミンレベルは、3時間で谷に達したが、その後すべての薬物において再び上昇する。これは、以前に形成された(システアミン-システインの)MDSが後で減少し、また、システインレベルも3時間~5時間にスパイクを示す(B)ためである可能性がある。
薬物と3時間のインキュベーション及びウォッシュアウト後のNEM-システインレベル。示されたように、NEM-システインレベルは、シスタミン、d2-シスタミン、及びd4-シスタミンについて、ウォッシュアウト後にすべて増加する。
一定の薬物インキュベーション中のシスチン性線維芽細胞におけるシスタミン及び同位体濃縮シスタミンのレベル。一定のインキュベーション中、シスタミンレベルは急速に枯渇する。ほぼ飽和レベルで定常へ到達したことが観察される。
CDAFHDを与えられたマウスにおける8週間予防試験において、処置されたまたは処置されなかったマウスの平均ALTレベル。該マウスは、未処理か、または水に溶解した本開示の重水素化化合物(群あたりn=8)で処理された(飲まれた水の量は動物間で異なっていた)。対照群(g1)とD2処置群(g2)との間では、8週間のALTレベルに統計的に有意な差があったが、対照群とD4群(g3)との間では相違はなかった。また、8週間の処置でD2とD4間で、ALTレベルの統計的に有意な応答があった(p<0.01)。
1群の対照マウス(g1)と、(A)D2-シスタミンを投与された2群(g2)または(B)D4-シスタミンを投与された3群(g3)のマウスのALTレベルの統計分析。
治療段階で薬物の強制経口投与による制御された送達(C1=対照;C2=200 mg/kgのD2化合物を2週間投与;C3=200 mg/kgのD4化合物を2週間投与)を受けたマウスのコホートの結果。(A)は、体重(BW)と肝臓重量(LW)の比率を示している。(B)は、2週間処置された後のNAFLDマウスで測定されたALTレベルを示している。(C)は、2週間処置された後のシリウスレッド染色を示している。(D)は、2週間処置された後のコラーゲン1発現及びメタロプロテイナーゼの組織阻害剤(TIMP)のqPCR結果を示している。
以前の試験におけるシスタミンシスチン枯渇曲線と一致するD4n及びD8のシスチン枯渇に関する試験結果。
D4n及びD8シスタミンを用いたシスチン再蓄積曲線。
CDAHFD食餌で8週間処理した後、D2-シスタミンまたはD4シスタミンのいずれかで2週間強制飼養したマウスの肝臓組織のCD11b染色の結果。群:C1-対照;C2-200 mg/kg/日のD2-シスタミンで2週間;C3-200 mg/kg/日のD4-シスタミンで2週間。
細胞と脂肪球を示すH&Eで染色された肝臓画像。C1-対照;C2-200 mg/kg/日のD2-シスタミンで2週間;C3-200 mg/kg/日のD4-シスタミンで2週間。C2及びC3の切片は、特に静脈周辺の脂肪球の減少を示している。
発明の詳細な説明
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1つ」及び「該」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数の言及を含む。従って、例えば、「誘導体」への言及は、複数のそのような誘導体への言及を含み、「被験者」への言及は、一人または複数の被験者への言及等を含む。
また、「または」の使用は、特に明記しない限り、「及び/または」を意味する。同様に、「含む」、「含んでいる」、「包含する」、及び「包含している」は交換可能であり、限定を意図するものではない。
さらに理解されたいこととして、様々な実施形態の記述では、「含む」という用語が使用される場合、当業者は、いくつかの特定の場合において、ある実施形態を、代わりに「本質的にからなる」または「からなる」という表現を用いて記載してもよいことを理解するであろう。
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が属する当業者に一般に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の方法及び材料を、ここで開示される方法及び組成物の実施に使用できるが、本明細書には、例示的な方法、装置及び材料が記載されている。
上記及び本文全体で説明される刊行物は、本願の出願日より前の開示のためにのみ提供されている。本明細書のいかなるものも、発明者が事前の開示のためにそのような開示に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。
シスチン症の患者におけるシステアミンの使用で示されたとうに、疾患の制御(WBCシスチンレベルの低下)が薬物システアミンのAUC及びCmaxとよく関連している。これは、Dohilら(J Pediatr 2006:148:764-9)によって示された。本開示は、重水素化されたシステアミン及び/またはシスタミンがより頑強/安定であり、標的細胞作用の部位により多くの薬物を送達しうることを示している。本明細書のデータに示されたように、本開示の重水素化化合物が、ただ2週間の治療で、ALT、肝線維症、肝炎症、及び中心周囲脂肪肝を有意に軽減させることにより、NASHのCDAHFD誘発マウスモデルに有効である。例えば、本明細書に開示される重水素化化合物は、実質的に最大耐量を増加させ、毒性を減少させ、半減期を延長させ、最小有効量(MED)での最大血漿中濃度(Cmax)を低下させ、有効用量を減少させ、メカニズムに関連しない毒性を軽減させ、かつ/または薬物間相互作用の可能性を低下させながら、対応する非同位体濃縮分子の有益な側面を維持する。本開示の重水素化化合物のAUCが改善されている。例えば、シスタミンD4由来のD2-システアミンのAUC測定値は、シスタミン由来のシステアミン及びD2-シスタミン由来のD1-システアミンよりもはるかに高かった。以下に説明する肝細胞除去試験に示されように、D4-シスタミンが二量体化合物の中で最も安定である。また、該データに示されたように、D4-シスタミンは、D2-シスタミン及びシスタミンと比べて、AUC及びCmax(そのD2-システアミン単量体形態について)が高く、また、肝細胞除去試験における除去速度が低い。さらに、該データに示されたように、本開示の重水素化化合物が、脂肪肝表現型を有する肝臓組織中のマクロファージ及びミクログリア細胞を減少させる。例えば、以下のデータに示されたように、D2及びD4-シスタミンで処置したマウスの肝臓組織のCD11b陽性細胞の数が、対照群と比べて、統計的に有意に減少した(p<0.0001)。
本明細書で使用される「約」という用語は、値または範囲、例えば、記載された値または範囲の限界の10%以内、5%以内、または1%以内のある程度の変動を許すことができる。ある範囲または連続値のリストが与えられる場合、特に指定がない限り、該範囲内にあるいずれの値または該与えられた連続値内のいずれの値も開示される。
「活性成分」、「活性化合物」、及び「活性物質」という用語は、障害の1つまたは複数の症状を治療、予防、または改善するために、単独で、または1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤または担体と組み合わせて被験者に投与される化合物を指す。
構造上の位置の範囲を表す際に、「RxからRxxまで」または「Rx~Rxx」という表記を使用することができる。ここで、X及びXXは数字を表す。その場合、特に指定のない限り、該表記は、XとXX自体で表される番号だけでなく、XとXXで囲まれたすべての番号付きの位置を含むことを意図している。例えば、「R1からR4まで」または「R1~R4」は、特に指定がない限り、R1、R2、R3、及びR4と同等である。
「併用治療」という用語は、2つ以上の治療薬を投与して本開示に記載の障害を治療することを意味する。該投与には、これらの治療薬を実質的に同時投与することが含まれる。例えば、一定の比率の有効成分を有する単一のカプセル、または各有効成分についての複数の別個のカプセルの形での投与である。また、そのような投与には、各種の治療薬を連続に使用することも含まれる。いずれの場合も、治療レジメンは、本明細書に記載の障害の治療に薬物併用の有益な効果を提供するであろう。
「重水素濃縮」という用語は、分子内の特定の位置において、水素の代わりに重水素が取り込まれた割合を指す。例えば、所定の位置での1%の重水素濃縮は、所定の試料の中、分子の1%が特定の位置に重水素を含むことを意味する。重水素の自然発生分布は約0.0156%であるため、非濃縮の出発原料を用いて合成された化合物の任意の位置での重水素濃縮は約0.0156%である。重水素濃縮は、質量分析及び核磁気共鳴分光法を含む当業者に知られている従来の分析方法で測定することができる。
「重水素である」という用語は、R-Rまたは記号「D」のような分子内の所定の位置を表すために使用される場合や分子構造の図面内の所定の位置を表すために使用される場合、該特定の位置には、重水素が自然に発生する重水素の分布よりも多く含まれることを意味する。一実施形態では、特定の位置における重水素濃縮は、約1%以上、別の実施形態では約5%以上、別の実施形態では約10%以上、別の実施形態では約20%以上、別の実施形態では約50%以上、別の実施形態では約70%以上、別の実施形態では約80%以上、別の実施形態では約90%以上、または、別の実施形態では約98%以上である。
本明細書で使用される「障害」という用語は、「疾患」、「症候群」、及び(病状のような)「状態」という用語とは、すべて、人体または動物の体、または正常な機能を損なうその一部の異常な状態を反映し、通常、区別できる兆候と症状によって現れるという点において、一般に同義であり、交換可能に使用されることが意図されている。。
「薬物」及び「治療薬」という用語は、疾患または障害の1つまたは複数の症状を治療、予防、または改善するために被験者に投与される化合物またはその医薬組成物を指す。
化合物を説明するために使用される場合の「非重水素化」という用語は、活性重水素化のプロセスなしで自然に起こり得るものを超えて重水素化のレベルを高めるために製造されていない化合物を指す。いくつかの場合では、非重水素化の分子には重水素化の原子がない。
「同位体濃縮」という用語は、元素のより一般的な同位体の代わりに、分子内の所与の位置にある元素のより一般的でない同位体の取り込みの割合を指す。
「非同位体濃縮された」という用語は、その中に様々な同位体の割合が天然に存在する割合と実質的に同じである分子のことを指す。
「非徐放性賦形剤」という用語は、その主な機能には、従来の即時放出剤形と比較して、活性物質が剤形から放出される期間または場所の改変が含まない賦形剤を指す。
「薬学的に許容される担体」、「薬学的に許容される賦形剤」、「生理学的に許容される担体」、または「生理学的に許容される賦形剤」という用語は、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶剤、または封入材料等の薬学的に許容される材料、組成物、または媒体を指す。各成分は、製剤の他の成分と適合性があるという意味で「薬学的に許容され」なければならない。また、合理的な恩恵/リスク比に見合った、過度な毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、またはその他の問題や合併症を伴わずに、ヒトや動物の組織または臓器と接触して使用するのに適している必要がある。Remington薬学の科学と実践,第21版; Lippincott Williams & Wilkins: Philadelphia, Pa., 2005,医薬品賦形剤ハンドブック,第5版;Roweら編集, 医薬雑誌及び米国薬剤師会:2005;医薬品添加物ハンドブック,第3版;AshとAsh編集, Gower出版社: 2007;医薬品予備製剤化及び製剤化,Gibson編集, CRC Press LLC: Boca Raton, Fla., 2004を参照されたい。
本明細書に開示される化合物は、治療的に許容される塩として存在することができ、また実際に存在する。本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書で定義されるように治療的に許容される、本明細書に開示される化合物の塩または双性イオン形態を表す。前記塩は、化合物の最終的な単離及び精製において調製することができ、または別々に適切な化合物を適切な酸または塩基と反応させることによって調製することができる。治療的に許容される塩には、酸性及び塩基性付加塩が含まれる。塩の調製と選択の詳細については、「医薬品の塩、特性及び使用のハンドブック」StahとWermuth編集(Wiley-VCHとVHCA, Zurich, 2002) 及びBergeら, J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19を参照されたい。
薬学的に許容される塩の調製に適用する酸には、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L-アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ホウ酸、(+)-カンファー酸、カンファースルホン酸、(+)-(1S)-カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、シクロヘキサンスルファミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタール酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D-グルコン酸、D-グルクロン酸、L-グルタミン酸、C-OXO-グルタル酸、グリコール酸、ヒプリン酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、(+)-L-乳酸、(t)-DL-乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、(-)-L-リンゴ酸、マロン酸、(+)-DLマンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、過塩素酸、リン酸、L-ピログルタミン酸、サッカリン酸、サリチル酸、4-アミノ-サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)-L-酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、ウンデシレン酸、及び吉草酸が含まれるが、これらに限定されない。
薬学的に許容される塩の調製に適用する塩基には、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化亜鉛、または水酸化ナトリウム等の無機塩基;及び、例えば、L-アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、2-(ジエチルアミノ)-エタノール、エタノールアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、イソプロピルアミン、N-メチル-グルカミン、ヒドラバミン、1H-イミダゾール、L-リジン、モルホリン、4-(2-ヒドロキシエチル)-モルホリン、メチルアミン、ピペリジン、ピペラジン、プロピルアミン、ピロリジン、1-(2-ヒドロキシエチル)-ピロリジン、ピリジン、キヌクリジン、キノリン、イソキノリン、二級アミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N-メチル-D-グルカミン、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、及びトロメタミンを含む、一次、二次、三次、及び四次脂肪族及び芳香族アミン等の有機塩基が含まれるが、これらに限定されない。
「予防する」、「予防している」及び「予防」という用語は、被験者が障害にならないように障害の発症、及び/または付随の症状を遅延または排除する方法、または被験者が障害になるリスクを低減する方法を指す。
「プロドラッグ」という用語は、本明細書に開示される化合物の化合物機能性誘導体であって、in vivoで親化合物に容易に変換できるものを指す。状況によっては、親化合物よりも投与が容易な場合があるため、プロドラッグはしばしば有用である。例えば、それらは、経口投与によって生物学的に利用可能であるが、それらの親化合物はそうではない場合がある。また、プロドラッグは、医薬組成物における溶解度が親化合物よりも高い場合がある。プロドラッグは、酵素的なプロセス及び代謝的な加水分解を含む様々なメカニズムで親薬物に変換することがある。Harper,薬物研究における進歩1962, 4, 221-294;Morozowichら,「プロドラッグ及び類似体によるバイオ医薬特性の設計」Roche編集, APHA Acad. Pharm. Sci. 1977:「薬物及び薬物設計におけるバイオ可逆的キャリア、理論及び応用」Roche編集, APHA Acad. Pharm. Sci. 1987:「プロドラッグの設計」Bundgaard, Elsevier, 1985;Wangら, Curr. Pharm. Design 1999, 5, 265-287;Paulettiら, Adv. Drug. Delivery Rev. 1997, 27, 235-256;Mizenら, Pharm. Biotech. 1998, 11, 345-365;Gaignaultら, Pract. Med. Chem. 1996, 671-696;Asgharnejad,「製薬システムにおける輸送プロセス」Amidon ら編集, Marcell Dekker,185-218,2000;Balantら, Eur. J. Drug Metab. Pharmacokinet. 1990, 15, 143-53;BalimaneとSinko, Adv. Drug Delivery Rev.1999, 39, 183-209;Browne, Clin. Neuropharmacol. 1997, 20, 1-12;Bundgaard, Arch. Pharm. Chem. 1979, 86, 1-39;Bundgaard, 制御された薬物送達, 1987, 17, 179-96; Bundgaard, Adv. Drug Delivery Rev. 1992, 8, 1-38;Fleisherら, Adv. Drug Delivery Rev. 1996, 19, 115-130;Fleisherら, Methods Enzymol. 1985, 112, 360-381;Farquharら, J. Pharm. Sci. 1983, 72, 324-325;Freemanら, J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1991, 875-877;FriisとBundgaard, Eur. J. Pharm. Sci. 1996, 4, 49-59;Gangwarら, Des. Biopharm. Prop. Prodrugs Analogs, 1977, 409-421;NathwaniとWood, Drugs 1993, 45,866-94;SinhababuとThakker, Adv. Drug Delivery Rev. 1996, 19, 241-273;Stellaら, Drugs 1985, 29, 455-73;Tanら, Adv. Drug Delivery Rev. 1999, 39, 117-151;Taylor, Adv. Drug Delivery Rev. 1996, 19, 131-148;ValentinoとBorchardt, Drug Discovery Today 1997, 2, 148-155;WiebeとKnaus, Adv. Drug Delivery Rev. 1999, 39, 63-80;Wallerら, Br. J. Clin. Pharmac. 1989, 28, 497-507を参照されたい。
「徐放性賦形剤」という用語は、その主な機能が、従来の即時放出剤形と比較して、活性物質が剤形から放出する期間または場所を変更することである賦形剤を指す。
「被験者」という用語は、霊長類(例えば、ヒト、サル、チンパンジー、ゴリラ等)、齧歯動物(例えば、ラット、マウス、スナネズミ、ハムスター、フェレット等)、ウサギ類、ブタ類(例:豚、ミニブタ)、馬、犬、猫等を含むが、これらに限定されない動物を指す。「被験者」及び「患者」という用語は、本明細書では、例えば、ヒト患者等の哺乳動物の被験者に関して交換可能に使用される。
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、少なくとも約51%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、または少なくとも約99.999%以上の大部分を指す。
「治療上許容される」という用語は、合理的な恩恵/リスク比に見合った、過度な毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性を伴わずに、患者の組織と接触して使用するのに適し、意図された使用に有効な化合物(または塩、プロドラッグ、互変異性体、双性イオン型等)を指す。
「治療有効量」という用語は、投与されたときに、治療されている障害の1つまたは複数の症状の発症を予防するか、またはある程度緩和するのに十分な化合物の量を指す。また、「治療有効量」という用語は、研究者、獣医、医師、または臨床医が求めている細胞、組織、系統、動物、またはヒトの生物学的または医学的反応を引き出すのに十分な化合物の量も指す。
「治療する」、「治療している」及び「治療」という用語は、障害または障害に関連する1つまたは複数の症状を軽減または抑制すること、または障害自体の原因を軽減または根絶することを含むことを意味する。本明細書で使用される場合、「障害の治療」への言及は、予防を含むことを意図している。
システアミンは、細胞膜を越えて容易に輸送される小さなアミノチオール分子である。システアミンは、リソソーム内のシステイン蓄積を著しく減少させ、現在、シスチン症の治療薬として承認されている。システアミンは、細胞のチオール及び遊離チオールトリペプチドグルタチオンプールを増加させることができ、これにより、活性酸素種(ROS)の除去を調節し、脂質過酸化及びグルタチオン過酸化酵素の活性を低下させる。さらに、システアミンは、アディポネクチンレベルも上昇させる。
システアミンは、シスチンと反応してシステインを生成し、さらに代謝されて強力な内因性抗酸化物質であるグルタチオンになるため、NASHを含む脂肪肝疾患の治療に魅力的な候補である。システアミンは、タンパク質グルタチオン(GSH)前駆体の前駆体であり、現在、リソソーム内シスチン貯蔵障害であるシスチン症の治療での使用がFDAに承認されている。シスチン症では、シスチンは、シスチンをシステイン及びシステイン-システアミン混合ジスルフィドに変換することによって機能する。これらは、両方ともシステイン及びリジントランスポーターをそれぞれ介してリソソームを離れることができる(Gahlら,N Engl J Med 2002;347(2):111-21)。サイトゾル内では、混合ジスルフィドは、グルタチオンとの反応によって還元され、放出されたシステインはさらなるGSHの生成に使用できる。システインからのGSHの生成は、ガンマグルタミルシステイン合成酵素とGSH合成酵素の2つの酵素によって触媒される。この経路はほとんどすべての細胞型で発生している。GSHは主に肝臓で生成されて搬送される。還元されたシステイン-システアミン混合ジスルフィドもシステアミンを放出する。これは、理論的にはリソソームに再び進入してより多くのシスチンに結合し、該過程を繰り返すことができる(Dohil ら, J Pediatr 2006; 148(6):764-9)。シスチン症の子供を使った最近の研究では、システアミンの経腸投与により、システアミン吸収が増加し、その後、白血球シスチンレベルの低下において有効性が延長した(Dohil ら, J Pediatr 2006; 148(6):764-9)。これは、十分な量の薬物がリソソームに到達したときのシステアミンの「リサイクル」が原因であった可能性がある。システアミンがこのように作用すると、GSHの生成も大幅に増加される可能性がある。
システアミンは、十二指腸潰瘍を誘発するために実験動物で使用されてきた強力な胃酸分泌促進物質である。ヒトと動物での試験で示されたように、システアミン誘発性の胃酸分泌過多が高ガストリン血症によって媒介される可能性が最も高い。以前に実施された、通常、上部消化管症状を患っているシスチン症の子供を使った試験では、システアミンの単回経口投与(11~23 mg/kg)によって、高ガストリン血症、胃酸分泌の2~3倍の上昇、及び血清ガストリンレベルの50%の上昇が引き起こされた。これらの患者が罹患している症状には、腹痛、胸焼け、吐き気、嘔吐、食欲不振が含まれた。米国特許出願第11 /990,869号及び公開された国際公開番号WO 2007/089670(2006年1月26日に出願され、両方とも米国仮特許出願第60/762,715号の優先権を主張している。これらはすべて参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。)に示されたように、システアミン誘発性高ガストリン血症が、部分的に感受性の高いヒトの胃前庭優位のG細胞に対する局所的影響として生じる。また、該データに示唆されたように、これがシステアミンによるガストリン放出の全身的影響でもある。投与経路にもよるが、血漿中のガストリンレベルは、胃内送達後の通常30分以内にピークに達するが、血漿中のシステアミンレベルは、それより遅くピークに達する。
また、システアミン、シスタミン、及びグルタチオン等のスルフヒドリル(SH)化合物は、最も重要で活性のある細胞内抗酸化物質である。システアミンは、骨髄及び胃腸の放射線症候群から動物を保護する。SH化合物の重要性の理論的根拠は、有糸分裂細胞の観察によってさらに裏付けられている。これらは、細胞の生殖死に関して放射線障害に最も敏感であり、SH化合物のレベルが最も低いと指摘されている。逆に、同じ基準を使用して放射線障害に対して最も耐性のあるS期細胞は、最高レベルの固有SH化合物を示している。さらに、有糸分裂細胞がシステアミンで処理されたとき、それらは放射線に対して非常に対抗的になった。システアミンは、誘発された突然変異から細胞を直接保護する可能性があることも指摘されている。該保護は、直接に、またはタンパク質に結合したGSHの放出を介したフリーラジカルの除去に起因すると考えられている。システアミンを補酵素Aから遊離させる酵素は、鳥類の肝臓及び豚の腎臓にあることが報告されている。最近、肝毒性物質であるアセトアミノフェン、ブロモベンゼン、及びファロイジンに対するシステアミンの保護効果を実証する試験が行われた。
シスタミンは、放射線防護剤としての役割に加えて、ハンチントン病(HD)の遺伝子変異を持つマウスの震えを軽減し、その寿命を延ばすことが分かっている。該薬物は、神経細胞またはニューロンを変性から保護するタンパク質の活性を高めることによって機能する可能性がある。シスタミンは、トランスグルタミナーゼと呼ばれる酵素を不活性化するようであり、従ってハンチンチンタンパク質の減少をもたらす(Nature Medicine 8,143-149,2002)。さらに、シスタミンは特定の神経保護タンパク質のレベルを増加させることが分かった。しかし、シスタミンを送達する現在の方法及び製剤では、分解及び不十分な吸収により、過剰な用量が必要とされている。
現在、システアミンはシスチン症の治療のためにのみFDAに承認されている。システアミン症の患者は通常、6時間ごとにシステアミンを服用するか、12時間ごとに腸溶性のシステアミン(PROCYSBI(登録商標))を服用する必要がある。システアミン症の被験者は、昼夜6時間ごとに経口システアミン(CYSTAGON(登録商標))を摂取するか、12時間ごとに腸溶性のシステアミン(PROCYSBI(登録商標))を使用する必要がある。システアミンを定期的に服用すると、細胞内シスチンが最大90%枯渇し(循環白血球で測定)、腎不全/移植への進行速度が低下し、甲状腺補充療法の必要性がなくなる。CYSTAGON(登録商標)の服用が難しいため、必要な用量を減らすと、治療レジメンの順守が向上する。国際公開番号WO 2007/089670は、小腸へのシステアミンの送達が胃の苦痛及び潰瘍形成を減少させ、Cmaxを増加させ、AUCを増加させることを実証している。小腸へのシステアミンの送達は、小腸からの吸収率が改善され、かつ/または小腸を介して吸収されたときに肝臓の初回通過除去を受けるシステアミンが少ないため、有用である。白血球シスチンの減少は、治療の1時間以内に観察された。
Dohilらによるパイロット試験では、生検で確認された非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の子供11人に、腸溶コーティング(EC)システアミン酒石酸水素塩を24週間経口投与した。該治療法によって、アラニンアミノ基転移酵素(ALT)、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)、総アディポネクチン、レプチン、及びサイトケラチン-18フラグメントの平均血清中レベルは統計的に有意に減少したが、ボディマス指数の同時減少はなかった。11人の被験者のうち7人が主要エンドポイントに到達した(ALTが少なくとも50%減少)。ALT及びAST平均レベルの低下は、治療終了後16週間持続した。
治療薬等の異物を除去するために、動物の体は、シトクロムパソ酵素(CYP)、エステラーゼ、タンパク質分解酵素、還元酵素、脱水素酵素、モノアミン酸化酵素等の様々な酵素を発現し、これらの異物と反応して、腎排泄のためにより極性の高い中間体または代謝物に変換する。このような代謝反応は、炭素-水素(C-H)結合が酸化し、炭素-酸素(C-O)または炭素-炭素(C-C)JU結合へ変換することをよく伴う。得られた代謝物は、生理学的条件下で安定または不安定であり得、親化合物と比較して、実質的に異なる薬物動態学的、薬力学的、及び急性や長期の毒性プロファイルを有し得る。ほとんどの薬物では、そのような酸化は一般に急速であり、最終的には1日に複数回または高用量の投与につながる。
活性化エネルギーと反応速度の関係は、アレニウス式:
によって定量化できる。アレニウス式は、与えられた温度で、化学反応の速度が活性化エネルギー(E
a)に指数関数的に依存することを示している。
反応の遷移状態は、元の結合が限界まで伸びている反応経路に沿った短命の状態である。定義上、反応の活性化エネルギーEaは、その反応の遷移状態に到達するために必要なエネルギーである。遷移状態に達すると、分子は元の反応物に戻るか、新しい結合を形成して反応生成物を生成することができる。触媒は、遷移状態につながる活性化エネルギーを低下させることによって反応プロセスを促進する。酵素は生物学的触媒の例である。
炭素-水素結合の強度は、結合の基底状態の振動エネルギーの絶対値に正比例する。該振動エネルギーは、結合を形成する原子の質量に依存し、結合を形成する原子の一方または両方の質量が増加するにつれて増加する。重水素(D)はプロチウム(H)の2倍の質量を持っているため、C-D結合は対応するC-H結合よりも強力である。化学反応の律速段階(即ち、遷移状態エネルギーが最も高い段階)でC-H結合が切断された場合、そのプロチウムを重水素に置き換えると、反応速度が低下する。この現象は、重水素速度論的同位体効果(DKIE)として知られている。DKIEの大きさは、C-H結合が切断される所定の反応の速度と、重水素がプロチウムの代わりに使用される同じ反応の速度との比率として表すことができる。DKIEは、約1(同位体効果なし)から50以上等の非常に大きな数までの範囲になることができる。水素の代わりにトリチウムを使用すると、重水素よりも結合が強くなり、数値的により大きな同位体効果が得られる。
重水素(D)は、水素の最も一般的な同位体であるプロチウム(H)の約2倍の質量を持つ、安定した非放射性の水素同位体である。酸化重水素(DO)または二酸化重水素(D2O)または「重水」は、見た目も味もH2Oに似ているが、物理的性質が異なる。純粋なD2Oがげっ歯類に与えられると、それは容易に吸収される。毒性を誘発するのに必要な重水素の量は非常に多い。体水分の約0~15%が重水に置き換わると、動物は健康であるが、対照(未処理)群ほど速く体重を増やすことができない。体水分の約15~20%が重水に置き換わると、動物は興奮しやすくなる。体水分の約20~25%が重水に置き換わると、動物は刺激を受けると頻繁にけいれんを起こす程、興奮しやすくなる。皮膚病変、足や銃口の潰瘍、尾の壊死が現れる。動物は非常に攻撃的にもなる。体水分の約30%が重水に置き換わると、動物は拒食し、昏睡状態になる。動物の体重は激減し、代謝率は通常よりはるかに低くなる。体水分の約30~約35%が重水に置き換わると、死亡が発生する。重水によって、体重が以前の30%以上失われない限り、効果は可逆的である。また、試験に示されたように、重水の使用が癌細胞の成長を遅らせ、特定の抗腫瘍剤の細胞毒性を高めることできる。
薬物動態(PK)、薬力学(PD)、及び毒性プロファイルを改善するための医薬品の重水素化は、いくつかの種類の薬物で以前に実証されている。例えば、DKIEは、おそらくトリフルオロアセチルクロリド等の反応種の生成を制限することにより、ハロタンの肝毒性を低下させるために使用された。しかし、該方法はすべての種類の薬物に適用できるとは限らない。例えば、重水素の取り込みは代謝スイッチングにつながる可能性がある。代謝スイッチングは、フェーズI酵素によって隔離されたキセノゲンが一時的に結合し、化学反応(酸化等)の前に様々な立体構造で再結合するときに発生する。代謝スイッチングは、多くのフェーズI酵素の比較的巨大なサイズの結合ポケットと多くの代謝反応の無差別な性質によって可能になる。代謝スイッチングは、既知の代謝物及びまったく新しい代謝物の様々な比率につながる可能性がある。この新しい代謝プロファイルは、多かれ少なかれ毒性を与える可能性がある。このような落とし穴は自明ではなく、どの種類の薬物でも事前に予測することはできない。
システアミンは、細胞膜を越えて容易に輸送される小さなアミノチオール分子である。シスタミンは、2つのシステアミン分子に還元できる小さなジスルフィド分子である。システアミンとシスタミンの炭素-水素結合には、自然に発生する水素同位体の分布が含まれている。即ち、Hまたはプロチウム(約99.9844%)、Hまたは重水素(約0.0156%)、及びHまたはトリチウム(10'プロチウム原子あたり約0.5~67のトリチウム原子の範囲)である。重水素取り込みのレベルの増加は、検出可能な速度論的同位体効果(KIE)をもたらす可能性があり、これは、天然に存在するレベルの重水素を有するチロシン及び/またはチラミンと比較して、被験者におけるチロシン及び/またはチラミンの薬物動態学的、薬理学的及び/または毒物学的プロファイルに影響を与える可能性がある。
システアミンは、システアミン二原子酸素添加酵素の作用によって最初にヒポタウリンに変換されることにより、in vivoで代謝される。次に、ヒポタウリンは、ヒポタウリン脱水素酵素の作用によって酸化されてタウリンになる。シスタミンは、チオール-ジスルフィド交換により、in vivoでシステアミンとRS-システアミン混合ジスルフィドに還元される。次に、システアミンは上記のように代謝される。本明細書に記載及び試験された重水素化システアミン及びシスタミン組成物は、これらの部位または他の異化作用を伴う他の部位での代謝を防止または遅延させる、例えば、システアミンのヒポタウリンへの変換を遅延させると仮定された。分子上の他の部位も、未知の薬理学/毒物学を伴う代謝物につながる変換を受ける可能性がある。そのような代謝物の生成を制限することは、そのような薬物の投与の危険性を減少させる可能性があり、用量の増加及び付随する効力の増加さえ可能にすることがある。これらの変換はすべて、他の潜在的な変換の中でも、多形的に発現される酵素を介して発生する可能性があり、患者間の変動につながる。さらに、非常に典型的なこととして、NAFLD、NASH、またはシスチン症等の本開示の組成物及び方法によって改善される障害が、常に長期間にわたって最もよく治療される症状を生じる。
前述のすべての理由により、長い半減期の薬物は、より大きな効果とコスト削減をもたらすことがある。様々な重水素化パターンを用いて、(a)不要な代謝物を減少または排除し、(b)親薬物の半減期を延長させ、(c)望ましい効果を達成するために必要な投与回数を減少させ、(d)望ましい効果を達成するために必要な用量を減少させ、(e)活性代謝物が生成される場合は、その生成を増加させ、(f)特定の組織における有害な代謝物の生成を減少させ、かつ/または(g)多剤併用が意図的であるかどうかにかかわらず、そのためのより効果的なかつ/またはより安全な薬物を創製することができる。重水素化アプローチは、代謝を遅らせる、かつ/またはシステアミン及び/またはシスタミンの代謝をより好ましい酵素経路に選択的に分流させる可能性がある。例えば、期待されるように、本明細書に提示される重水素化アプローチは、患者の不順守につながる不快なシステアミン代謝物の生成を防止または低減する可能性がある。
本開示は、生体保護アミノチオール及びアミノジスルフィド化合物、医薬組成物、前記化合物の合成方法及び使用方法、及び本開示の化合物を投与することによる患者における肝疾患及び障害の治療方法を提供する。
特定の実施形態では、本開示は、
の構造を有する化合物(ここで、R1~R4はHまたはDから独立して選択され、R1-R4の少なくとも1つはDである。)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグを提供する。本開示は、式Iの重水素化形態が、式Iの化合物の非重水素化形態と比較して、異なる特性を有することを実証している(即ち、R1~R4は重水素化原子を含まない)。一実施形態では、式Iの重水素化形態は、非重水素化形態の半減期よりも長い半減期を有する。これは、投与頻度及び/または用量を減らすため、様々な疾患及び障害の治療に有用である。
別の実施形態では、本開示に提供されたように、式Iの構造を有する化合物が、
から選択される構造を有さない。
特定の実施形態では、本開示は、
の構造を有する化合物(ここで、R5~R12はHまたはDから独立して選択され、R5~R12の少なくとも1つはDである。)、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグを提供する。上記の式Iと同様に、式IIの重水素化形態もまた、非重水素化形態と比較して、より長い半減期を示す。上記のように、そのような半減期の増加は、用量及び投薬頻度に影響を与えることがある。
他の実施形態では、R1~R12の少なくとも1つは、約10%、50%、90%、または98%以上の重水素濃縮を有する。
さらなる実施形態では、本明細書に開示される化合物は、実質的に単一のエナンチオマー、約90重量%以上の(-)-エナンチオマーと約10重量%以下の(+)-エナンチオマーの混合物、約90重量%以上の(+)-エナンチオマーと約10重量%以下の(-)-エナンチオマーの混合物、実質的に個々のジアステレオマー、または約90重量%以上の個々のジアステレオマーと約10重量%以下の他のジアステレオマーとの混合物である。
特定の実施形態では、本開示の化合物は、
から選択され、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグである。
別の実施形態では、本開示の化合物は、
から選択され、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグである。
本開示は、式I及び/またはIIの特定の塩形態に関して限定されない(例えば、本開示は、重水素化システアミンまたはシスタミンの薬学的に許容される塩に限定されない)。さらに、本開示の医薬組成物は、重水素化システアミンまたは重水素化シスタミンを個別に、またはシステアミンとシスタミンの組み合わせを含み得、いずれかまたは両方が重水素化されている。該組成物中の活性成分、即ち、重水素化システアミンまたは重水素化シスタミンは、薬理学的に許容される塩、エステル、アミド、プロドラッグまたは類似体の形態で、またはそれらの組み合わせとして投与することができる。前記活性成分の塩、エステル、アミド、プロドラッグ及び類似体は、有機合成化学の当業者に周知の標準的な手順で、また、例えば、J. Marchによる「現代有機化学: 反応、機構及び構造」第4版(New York: Wiley-Interscience, 1992)に記載の方法で調製することができる。例えば、塩基性付加塩は、1つまたは複数の活性成分の遊離ヒドロキシル基と適切な塩基との反応を含む汎用の手段を用いて中性の薬物から調製される。一般に、中性の薬物をメタノールやエタノール等の極性の有機溶媒に溶解し、それに塩基を加える。得られた塩は沈殿するか、極性の低い溶媒を加えることで溶液から取り出すことができる。塩基性付加塩を形成するための適切な塩基には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、及びトリメチルアミン等の無機塩基が含まれるが、これらに限定されない。エステルの調製には、薬物の分子構造内に存在しうるヒドロキシル基の官能化が含まれる。エステルは、典型的には、遊離アルコール基のアシル置換誘導体、即ち、式R-COOHのカルボン酸から誘導される部分である(ここで、Rがアルキルであり、典型的には低級アルキルである)。必要に応じて、汎用の水素化分解または加水分解法を用いて、エステルを遊離酸に再変換することができる。アミド及びプロドラッグの調製は、類似の方法で実施することができる。前記活性成分の他の誘導体及び類似体は、有機合成化学の当業者に周知の標準的な技術を用いて調製でき、または関連の文献を参照して推定できる。
本明細書に開示される化合物はまた、他の元素のあまり一般的でない同位体を含み得る。例えば、炭素の場合は13Cまたは14C、硫黄の場合は33S、34S、または36S、窒素の場合は15N、及び酸素の場合は17Oまたは18O。しかし、これらに限定されない。
特定の実施形態では、本明細書に開示される化合物のすべてのC-D結合が代謝され、DOまたはDHOとして放出されると仮定すると、本明細書に開示される化合物は、患者を最大約0.000005%のDOまたは約0.00001%のDHOに曝露し得る。特定の実施形態では、動物において毒性を引き起こすことが示されるDOのレベルは、本明細書に開示されるような重水素濃縮された化合物の投与によって引き起こされる曝露の最大限界よりもはるかに大きい。従って、特定の実施形態では、本明細書に開示される重水素濃縮された化合物は、薬物代謝の際に生成されるDOまたはDHOによる他の毒性を引き起こさないはずである。
特定の実施形態では、本明細書に開示される重水素化化合物は、実質的に最大耐量を増加させ、毒性を減少させ、半減期(T)を延長させ、最小有効量(MED)での最大血漿中濃度(Cmax)を低下させ、有効用量を減少させ、それにより、メカニズムに関連しない毒性を軽減させ、かつ/または薬物間相互作用の可能性を低下させながら、対応する非同位体濃縮分子の有益な側面を維持する。本開示の重水素化化合物のAUCが改善されている。例えば、シスタミンD4由来のシステアミンD2のAUC測定値は、シスタミン由来のシステアミン及びシスタミンD2由来のシステアミンD1よりもはるかに高かった。以下に説明する肝細胞除去試験に示されように、D4-シスタミンが二量体化合物の中で最も安定である。特定の理論に縛られたくないが、これが、D4がD2及びシスタミンと比較してより高いAUC及びCmax(その単量体形態について)をもたらし、また肝細胞除去試験における除去速度を低下させる理由であると考えられる。さらに、該データに示されたように、本開示の重水素化化合物は、脂肪肝表現型を有する肝臓組織中のマクロファージ及びミクログリア細胞を減少させる。例えば、以下のデータに示されたように、D2及びD4-シスタミンで処置したマウスの肝臓組織におけるCD11b陽性細胞の数が、対照群と比べて、統計的に有意に減少した(p<0.0001)。
さらなる実施形態では、本開示の化合物は、非同位体濃縮システアミン及びシスタミンと比較して、被験者において、その投与単位あたりに、少なくとも1つの多形的に発現されるシトクロムP450イソ型によって、代謝速度の低下を示す。該多形的に発現されるシトクロムP450イソ型の例には、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、及びCYP2D6が含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態では、本開示の化合物は、非同位体濃縮システアミン及びシスタミンと比較して、被験者において、その投与単位あたりに、少なくとも1つのシトクロムP450イソ型またはモノアミン酸化酵素イソ型によって、代謝速度の低下を示す。該シトクロムP450イソ型及びモノアミン酸化酵素イソ型の例には、CYP1A1、CYP1A2、CYP1B1、CYP2A6、CYP2A13、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C18、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP2G1、CYP2J2、CYP2R1、CYP2S1、CYP3A4、CYP3A5、CYP3A5P1、CYP3A5P2、CYP3A7、CYP4A11、CYP4B1、CYP4F2、CYP4F3、CYP4F8、CYP4F11、CYP4F12、CYP4X1、CYP4Z1、CYP5A1、CYP7A1、CYP7B1、CYP8A1、CYP8B1、CYP11A1、CYP11B1、CYP11B2、CYP17、CYP19、CYP21、CYP24、CYP26A1、CYP26B1、CYP27A1、CYP27B1、CYP39、CYP46、CYP51、MAOA、及び MAOBが含まれるが、これらに限定されない。
特定の実施形態では、本開示の化合物は、対応する非同位体濃縮システアミン及びシスタミンと比較して、診断用肝胆道機能エンドポイントの改善を示す。該診断用肝胆道機能エンドポイントの例には、アラニンアミノ基転移酵素(ALT)、血清グルタミン酸ピルビン酸アミノ基転移酵素(“SGPT)、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(“AST”、“SGOT”)、ALT/AST比、血清アルドラーゼ、アルカリ脱リン酸化酵素(ALP)、アンモニアレベル、ビリルビン、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(“GGTP”、“γ-GTP”、“GGT”)、ロイシンアミノペプチダーゼ(“LAP”)、肝生検、肝超音波検査、肝核スキャン、5'-ヌクレオチダーゼ、及び血液タンパク質が含まれるが、これらに限定されない。
例えば、以下のデータは、本開示の重水素化化合物(例えば、D2及びD4-シスタミン)が、ALTの低下、線維症の軽減、コラーゲン1及びTIMP発現の低下、脂肪症(末梢)の軽減、及び炎症性浸潤(CD11b)の軽減によって示唆されるように、脂肪性肝炎を逆転させることができることを示している。従って、本開示の重水素化化合物は、ALTを低下させ、線維症を軽減させ、コラーゲン1及びTIMP発現を低下させ、脂肪症(末梢)を軽減させ、肝臓の炎症性浸潤(CD11b)を軽減させることができる。さらに、本開示は、本開示の重水素化化合物の投与を含む、ALTを低下させ、線維症を軽減させ、コラーゲン1及びTIMP発現を低下させ、脂肪症(末梢)を軽減させ、かつ/または炎症性浸潤(CD11b)を軽減させるように被験者を治療する方法を提供する。
別の実施形態では、抗酸化剤として、本明細書に開示される化合物、または、塩、溶媒和物、またはプロドラッグ等の他の薬学的に許容される誘導体を調製するためのプロセス、ならびにNAFLD及びNASH等のシスチン症及び脂肪肝障害の治療が提供される。
本開示の化合物を生の化学物質として投与することは可能かもしれないが、それらを医薬組成物として提示することも可能である。従って、本明細書で提供されるのは、1つ以上の特定の本明細書に開示される重水素化化合物、または1つ以上の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、または溶媒和物を、その1つ以上の薬学的に許容される担体及び任意選択で1つ以上の他の治療成分と共に含む医薬組成物である。適切な製剤は、選択した投与経路によって異なる。周知の技術、担体、及び賦形剤のいずれも、当技術分野、例えば、Remingtonの薬学において、適切かつ理解されているように使用することができる。本明細書に開示される医薬組成物は、当技術分野で知られている任意の方法(例えば、汎用の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造、浮揚、乳化、カプセル化、封入または圧縮プロセスの手段)で製造することができる。
また、前記医薬組成物を改変された放出の製剤(遅延された、拡張された、延長された、持続された、脈動された、制御された、加速された、迅速化された、標的化された、プログラムされた放出の、及び胃内滞留の剤形を含む)に製剤化してもよい。これらの剤形は、当業者に知られている従来の方法及び技術に従って調製することができる(Remington, 薬学と実践, supra;薬物放出送達の改良技術, Rathboneら編集, 薬物及び薬学, Marcel Dekker, Inc.: New York, N.Y., 2002; Vol. 126を参照されたい)。例えば、一実施形態では、重水素化システアミン及び/またはシスタミンは、腸溶コーティングすることができる(例えば、腸溶コーティングされたビーズまたはカプセル)。上記及び本明細書の他の場所で述べたように、システアミン酒石酸水素塩の非重水素化の腸溶製剤は、服薬順守の改善、投与頻度の低減、及びシスチン症患者における低いシスチンレベルの長期化を提供することが示されている。本開示の化合物の重水素化形態はまた、より長い半減期を含むので、式I及び/またはIIの重水素化化合物を含む腸溶コーティングされた製剤は、改善された投与及びより長い生物学的活性を有し得る。いくつかの実施形態では、式I及び/またはIIの化合物の腸溶コーティングされた製剤を、非重水素化の腸溶製剤と比較して、より低い用量、かつ/またはより少ない頻度で投与することができる。
前記組成物には、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内、関節内、及び髄内を含む)、腹腔内、経粘膜、経皮、直腸及び局所(皮膚、頬側、舌下及び眼内を含む)投与に適したものが含まれる。投与に最適な経路は、患者間の変動や疾患の種類等様々な要素に依存する。そのため、本開示は一つの投与形態に限定されない。前記組成物は、便利には単位剤形で提示することができ、薬学分野で周知される方法のいずれかによって調製することができる。これらの方法には、典型的に、本開示の化合物またはその薬学的塩、プロドラッグ、または溶媒和物(「有効成分」)を、1つまたは複数の付属成分を構成する担体と関連付けるステップが含まれる。一般に、前記有効成分を液体担体または細かく分割された固体担体、あるいはその両方と均一かつ密接に結合させ、次いで必要に応じて、該生成物を所望の製剤に成形し、前記組成物を調製する。
本明細書に開示される化合物の経口投与に適した製剤は、別個単位として提示され得る。例えば、それぞれが所定量の有効成分を含むカプセル、カシェまたは錠剤として;粉末または顆粒(腸溶コーティングされた顆粒を含む)として; 溶液または水性液体または非水性液体中の懸濁液として;または水中油型液体エマルジョンまたは油中水型液体エマルジョンとして等。前記有効成分は、ボーラス、練り薬、またはペーストとしても提示され得る。
経口的に使用できる医薬製剤には、錠剤、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル、ならびにゼラチン及びグリセロールまたはソルビトール等の可塑剤で作られた柔らかく密封されたカプセルが含まれる。錠剤は、任意選択で1つまたは複数の付属成分と圧縮または成形によって製造することができる。圧縮錠剤は、適切な機械で、粉末または顆粒等の自由流動形態の有効成分を、任意選択で結合剤、不活性希釈剤、または潤滑剤、界面活性成分または分散剤と混合して圧縮することによって製造することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械で成形することによって製造することができる。前記錠剤は、任意選択でコーティングまたはスコアリングすることができ、その中の有効成分の徐放または制御放出を提供するように製剤化することができる。経口投与用のすべての製剤は、そのような投与に適した用量でなければならない。プッシュフィットカプセルは、ラクトース等の充填剤、デンプン等の結合剤、及び/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤、及び任意選択で安定剤と混合した有効成分を含むことができる。ソフトカプセルでは、前記活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコール等の適切な液体に溶解または懸濁されてもよい。また、安定剤を加えてもよい。糖衣コアには適切なコーティングが施されている。この目的のために、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/または二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒または溶媒混合物を任意選択で含有し得る濃縮された糖溶液を使用することができる。染料または顔料は、識別のために、または活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴づけるために、錠剤または糖衣錠コーティングに添加され得る。
前記化合物は、注射、例えば、ボーラス注射または持続注入による非経口投与用に製剤化することができる。注射用製剤は、防腐剤を添加した単位剤形、例えばアンプルまたは複数回投与容器で提示することができる。前記組成物は、油性または水性媒体中の懸濁液、溶液または乳濁液等の形態をとることができ、懸濁剤、安定剤及び/または分散剤等の配合剤を含むことができる。前記製剤は、単位用量または複数用量の容器、例えば、密封されたアンプル及びバイアルで提示することができ、粉末形態で、または、例えば、使用直前の生理食塩水または無菌のパイロジェンフリー水等の滅菌液体担体の添加のみを必要とする凍結乾燥(凍結乾燥)状態で保存することができる。即時注射溶液及び懸濁液は、前述した種類の滅菌の粉末、顆粒及び錠剤から調製することができる。
非経口投与用の製剤には、患者の血液と製剤を等張にする抗酸化剤、緩衝液、静菌剤及び溶質を含み得る活性化合物の水性や非水性(油性)滅菌注射溶液;及び懸濁剤と増粘剤を含み得る水性や非水性滅菌懸濁液が含まれる。適切な油性溶媒または媒体には、ゴマ油等の脂肪油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリド等の合成脂肪酸エステル、及びリポソームが含まれる。水性の注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストラン等、懸濁液の粘度を増加させる物質を含有してもよい。場合により、前記懸濁液はまた、前記化合物の溶解度を高め、高濃度の溶液を調製できるようにする適切な安定剤または試薬を含有してもよい。
前述の製剤に加えて、前記化合物はまた、持効性製剤として製剤化されてもよい。そのような長時間作用型製剤は、注入(例えば、皮下または筋肉内)または筋肉内注射で投与できる。従って、例えば、前記化合物は、適切なポリマーまたは疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂で、または難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として、製剤化され得る。
頬側または舌下投与の場合、前記組成物は、従来の方法で製剤化された錠剤、薬用キャンディー、トローチ、またはゲルの形態をとってもよい。そのような組成物は、ショ糖及びアカシアまたはトラガカント等で風味付けた有効成分を含んでもよい。
本明細書に開示される特定の化合物を、局所投与、即ち非全身投与で投与してもよい。これには、本明細書に開示される化合物の表皮または頬腔への外部的な投与、及び化合物が血流に有意に入らないように、該化合物の耳、目、及び鼻への滴下注入が含まれる。対照的に、全身投与は、経口、静脈内、腹腔内及び筋肉内投与を指す。
局所投与に適した製剤には、ゲル、塗布剤、ローション、クリーム、軟膏またはペースト等の皮膚から炎症部位への浸透に適した液体または半液体製剤、及び目、耳、または鼻への投与に適した液滴が含まれる。
吸入による投与の場合、前記化合物を、吹送器から、ネブライザー加圧パック、またはエアロゾルスプレーを送達する他の便利な手段で送達してもよい。加圧パックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切なガス等の適切な噴射剤を含んでもよい。加圧エアロゾルの場合、用量の単位は、計量された量を供給するためのバルブを提供することによって決定することができる。また、吸入または吹送による投与の場合、本開示による化合物は、乾燥粉末の組成物、例えば、化合物とラクトースまたはデンプン等の適切な粉末ベースとの粉末混合物の形態をとってもよい。前記粉末の組成物は、単位剤形、例えば、吸入器または吹送器の助けを借りて粉末を投与できるカプセル、カートリッジ、ゼラチン、またはブリスターパックで提示されてもよい。典型的な単位剤形は、以下本明細書に記載の有効量、またはその適切な一部の活性成分を含有するものである。
個別の単位で提供される錠剤または他の剤形は、そのような用量で、またはその倍数として有効な量の1つまたは複数の化合物を都合よく含むことができ、例えば、1 mg~1000 mgの本明細書に開示の化合物、通常は約100 mg~500 mgの該化合物を含有する単位である。
担体材料と組み合わせて、単一の剤形を形成できる有効成分の量は、治療される宿主及び特定の投与様式によって変化するであろう。
前記化合物は、様々な様式で、例えば、経口、局所、または注射によって投与することができる。患者に投与される化合物の精確な量は、主治医の責任となる。特定の患者の特定の用量レベルは、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄速度、薬物併用、治療されている精確な障害、及び治療されている障害の重症度等を含む様々な要素に依存するであろう。また、投与経路は、障害とその重症度によって異なる場合がある。
本開示は、典型的な送達が経口経路によるものであることを意図している。そのような送達のための製剤には、腸溶コーティングされた製剤、ならびに少なくとも1つの重水素化形態のシスタミン及び/またはシステアミンを含む非腸溶製剤が含まれる。以下に示されるように、重水素化形態は、非重水素化形態に関連する薬物動態学的及び薬力学的変化を含む。さらに、腸溶コーティングされたシステアミン及び/またはシスタミンを含む以前の製剤はまた、非腸溶製剤と比較して改善された薬物動態学的及び薬力学的データを示した。従って、腸溶性及び重水素化形態のシスタミン及び/またはシステアミンの組み合わせは、例えば、AUCやCmax及び/またはTmaxの調節によって反映されるように、有効成分の遅延及び持続放出の両方を含む、システアミン及び/またはシステアミン送達の薬物動態及び薬力学をさらに調節すると期待される。
患者の状態が改善しない場合、医師の裁量により、前記化合物の投与は、慢性的に、即ち、患者の障害の症状を改善するか、さもなければ制御または制限するために、患者の生涯を含む長期間にわたって投与されてもよい。
患者の状態が改善する場合、医師の裁量により、化合物の投与を一定期間継続的または一時的に中断することができる(即ち、「休薬期間」)。患者の状態が改善したら、必要に応じて維持量を投与する。その後、用量または投与頻度、あるいはその両方を、症状の関数として、改善された障害が保持されるレベルまで減らすことができる。しかし、患者は、症状が再発した場合、長期的に断続的な治療を必要とする可能性がある。
本開示では、本明細書に開示される化合物から恩恵を得ることができる患者の集団、特に若年の患者が特定される。本開示は、シスチン症、ハンチントン病、及びNAFLD(NASHを含む)を含む様々な疾患の治療に使用できる、本明細書に開示される化合物の組成物を提供する。
シスチン症は、通常2歳前に診断されるまれな疾患である。シスチン症は、アミノ酸であるシスチンが体の様々な臓器に蓄積する遺伝性代謝性疾患である。シスチンの結晶は、腎臓、目、肝臓、筋肉、膵臓、脳、及び白血球に蓄積する。特定の治療を行わないと、シスチン症の子供は約9歳で末期腎不全を発症する。シスチン症はまた、体の他の臓器に合併症を引き起こす。合併症には、筋肉の消耗、嚥下困難、糖尿病、及び甲状腺機能低下症等がある。世界中で少なくとも2,000人がシスチン症を患っていると推定されているが、病気は診断されていないか誤診されていることが多いため、精確な数を得ることは困難である。シスチン症には3つの形態がある。乳児腎症性シスチン症は、この病気の最も重症な形態である。シスチン症の子供は、出生時には正常に見えるが、生後10か月までに、他の子供よりも明らかに背が低い。彼らには、頻尿、過度の喉渇き、そしてしばしばうるさいように見える症状がある。12か月で歩けず、体重が軽い。シスチン症の主な合併症の1つは、尿細管性ファンコニ症候群、または腎臓が栄養素やミネラルを再吸収できないことである。ミネラルは尿中に失われる。尿の損失は置換されなければならない。一般的に、彼らは偏食し、塩を欲しがって、そして成長が非常に遅い。治療せずに放置すると、この形態の病気は10歳までに腎不全を引き起こす可能性がある。中等度のシスチン症または若年性(青年期)のシスチン症の人では、腎臓と眼の症状は通常、10代または成人初期に明らかになる。良性または成人のシスチン症では、シスチンは主に目の角膜に蓄積する。シスチン症は対症療法的に治療される。尿細管機能障害は、体からの水分の過剰な喪失(脱水症)を防ぐために、水分と電解質を大量に摂取する必要がある。重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、及びクエン酸カリウムは、正常な電解質バランスを維持するために投与することができる。リン酸塩とビタミンDは、腎臓へのリン酸塩の取り込み障害を修正し、くる病を予防するためにも必要である。カルニチンは、筋肉のカルニチン欠乏症を置換するのに役立つ可能性がある。
システアミン(Cystagon(登録商標))は、システアミンの標準治療薬として食品医薬品局(FDA)によって承認されている。システアミンは、細胞内のシスチンレベルを低下させるシスチン枯渇剤である。システアミンは、腎不全の遅延または予防に効果的であることが証明されている。システアミンはまた、シスチン症の子供の成長を改善する。慢性的なシスチン蓄積の有害な影響、及び様々な組織や臓器系におけるシステアミン療法の有効性の兆候を考慮して、移植後のシステアミン患者は経口システアミンを使用する必要がある。Procysbi(登録商標)(システアミン酒石酸水素塩遅延放出カプセル)は、2013年5月にFDAによって承認された。Cystaran(システアミン点眼液)0.44%は、シスチン症患者の角膜シスチン結晶蓄積の治療薬としてFDAによって承認された点眼液である。
本開示は、非重水素化形態と比較して、改善された薬物動態学的及び/または薬力学的プロファイルを有する重水素化システアミン及び/またはシスタミンを含む組成物を提供する。例えば、本開示が提供する重水素化システアミン及び/またはシステアミンを含む組成物は、肝細胞除去試験において30分後に残留した重水素化システアミン及び/またはシスタミンの量は、非重水素化システアミンまたはシステアミンと比較して、20%、21%、22%、23%、24%、または25%を超える(表1を参照)。表1から分かるように、D4シスタミンは、D2または非重水素化シスタミンよりも遅い速度で除去される(即ち、D4は、非重水素化シスタミンより遅いD2よりも遅い)。これは、D2-システアミンのAUCが高いことと関連している(D-4システアミンをラットに投与した場合)。表1は、D-システアミン及びD2-システアミンがシステアミン酒石酸水素塩よりも遅い速度で除去されることも示している。
さらに、本データでは、本開示の重水素化化合物が、非重水素化の化合物と比較して、より高いCmax及びAUCを有することが示されている。例えば、非重水素化のシスタミンとD4-シスタミンを投与されたラットの試験では、重水素化化合物のCmaxは非重水素化の化合物の約2倍であり、そのAUCは非重水素化のシスタミンの少なくとも1.6倍であることが示されている(表2)。
一実施形態では、シスチン症を有する被験者に、本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩を、血漿中に約10~100μmol(例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、またはその間の任意の値)の化合物が得られる量で投与する。一実施形態では、該用量は、最大約10~40 mg/kgである。別の実施形態では、該用量は、1回の投与あたり約300 mg~1 gで1日2~4回投与される。さらなる実施形態では、本開示の化合物は、2.0 g/m2/日または95 mg/kg/日を超えない複数の用量で投与される。典型的には、該用量は、被験者の最高許容用量、典型的には、血漿中に本明細書に開示される化合物の約30~50 μmolに到達するように、時間とともに変化する。例えば、初期の用量は、本開示の化合物の約10 μmolの循環レベルを提供してもよい。これは、最大許容用量、典型的には約40 μmolまで調整される。同様に、初期の用量は、80 μmolの循環レベルをもたらしてもよい。これは、約40 μmolに調整される。前記化合物がよく許容される場合、治療の目標は、本開示の化合物の投与後5~6時間で、1 nmol/1/2シスチン/mgタンパク質未満の白血球のシスチンレベルに維持することである。白血球のシスチンレベルが2 nmol/1/2シスチン/mgタンパク質未満であれば、許容性の低い患者にも有意な恩恵を得る。該レベルを達するために、本明細書に開示される化合物の用量は、最大2.0 g/m2/日まで増加させることができる。体表面積と体重を考慮した次の表に従って前記化合物を投与することにより、推奨される維持用量1.30 g/m2/日を概算することができる。
12歳以上で110ポンドを超える患者は、開始維持用量として4回に分けて2.0 g/日の投与を受ける必要がある。該用量は、上記のように4~6週間の漸増用量の増加後に達するべきである。白血球のシスチンレベルが2 nmol/1/2シスチン/mg/タンパク質を超えたままの場合は、用量を増やす必要がある。
新しい患者には、維持用量が達成された後に、投与の5~6時間後に白血球のシスチンを測定することが推奨される。前記化合物を含む溶液からカプセルに移される場合、患者における白血球のシスチンレベルを2週間で測定し、その後3か月ごとに測定して、上記のように最適な用量を評価する必要がある。
胃腸管の症状または一過性の皮膚発疹のため、本開示の化合物の初期許容性が低い場合、治療を一時的に停止し、次に低い用量で再開して適切な用量まで徐々に増量すべきである。
本開示の組成物及び方法はまた、NAFLD及びNASHならびに肝線維性疾患を治療するために使用することができる。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、アルコール乱用がない場合に発生する一連の疾患である。それは脂肪症(肝臓の脂肪)の存在を特徴とし、メタボリックシンドローム(肥満、糖尿病、及び高トリグリセリド血症を含む)の肝臓症状を表す可能性がある。NAFLDは、インスリン抵抗性に関連しており、成人と子供に肝疾患を引き起こし、最終的に肝硬変を引き起こす可能性がある(Skellyら、J Hepatol 2001; 35:195-9; Chitturi ら、Hepatology 2002; 35(2):373-9)。NAFLDの重症度は、比較的良性の孤立した主に大小胞性脂肪症(即ち、非アルコール性脂肪肝またはNAFL)から非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)までの範囲である(Anguloら、J Gastroenterol Hepatol 2002; 17 Suppl:S186-90)。NASHは、脂肪症、細胞学的バルーニング、散在性炎症、及び細胞周囲線維症の組織学的存在を特徴としている(Contosら、Adv Anat Pathol 2002; 9:37-51)。NASHに起因する肝線維症は、肝硬変または肝不全に進行する可能性があり、場合によっては肝細胞癌につながる可能性がある。
インスリン抵抗性(及び高インスリン血症)の程度は、NAFLDの重症度と関連し、単純な脂肪肝よりもNASHの患者でより顕著である(Sanyalら、Gastroenterology 2001; 120(5):1183-92)。その結果、インスリンを介した脂肪分解の抑制が起こり、循環脂肪酸のレベルが上昇する。NASHに関連する2つの要因には、インスリン抵抗性と肝臓への遊離脂肪酸の送達の増加が含まれる。インスリンは、ミトコンドリアの脂肪酸酸化を阻害する。肝臓の再エステル化と酸化のための遊離脂肪酸の生成が増えると、肝臓内の脂肪が蓄積し、二次的な発作に対する肝臓の脆弱性が高まる。
グルタチオン(ガンマグルタミル-システイン-グリシン; GSH)は主要な内因性抗酸化物質であり、その枯渇は肝細胞傷害の発症に関係している(Wuら、J Nutr 2004; 134(3):489-92)。そのような傷害の1つはアセトアミノフェン中毒であり、薬物の肝毒性代謝物を抱合して不活化しようとして、GSHレベルの低下が枯渇する。アセトアミノフェンの毒性用量の後、過剰な代謝物(N-アセチル-ベンゾキノンイミン)が肝臓のタンパク質及び酵素に共有結合し、肝臓の損傷を引き起こす(Wuら、J Nutr 2004; 134(3):489-92; Prescottら、Annu Rev Pharmacol Toxicol 1983; 23:87-101)。従って、グルタチオンレベルの上昇は、ROSの低下を通じていくつかの保護効果があるようである。グルタチオン自体は、大量に投与しても細胞に侵入しにくい。しかし、グルタチオン前駆体は細胞に侵入する。また、N-アセチルシステイン等の一部のGSH前駆体は、GSHの枯渇を遅らせるか防止することにより、アセトアミノフェン毒性等の状態の治療に有効であることが示されている(Prescottら、Annu Rev Pharmacol Toxicol 1983; 23:87-101)。GSH前駆体の例には、システイン、N-アセチルシステイン、メチオニン、及びシステアミン等の他の硫黄含有化合物が含まれる(Prescottら、J Int Med Res 1976; 4(4 Suppl):112-7)。
システインはGSH合成の主要な制限要因である。また、細胞によるシステインの取り込みを刺激する要因(インスリンや成長因子等)は一般に細胞内GSHレベルの上昇をもたらす(Lyonsら、Proc Natl Acad Sci USA 2000; 97(10):5071-6;Lu SC. Curr Top Cell Regul 2000; 36:95-11)。
N-アセチルシステインは、NASHの患者に投与されている。トルコからの報告では、N-アセチルシステインで4~12週間治療されたNASHの肥満者は、その肥満度指数に変化が報告されていないが、アミノ基転移酵素のレベルとガンマ-GTの改善を示した(Pamukら、J Gastroenterol Hepatol 2003; 18(10):1220-1)。
マウスとヒトでの試験は、システアミンがアセトアミノフェン誘発性肝細胞傷害の予防に効果的であることを示した(Prescottら、Lancet 1972; 2(7778):652; Prescottら、Br Med J 1978; 1(6116):856-7; Mitchellら、Clin Pharmacol Ther 1974; 16(4):676-84)。シスタミンとシステインは、いくつかのヘパトキシンによって誘発される肝細胞の壊死を減らすことが報告されている(Toxicol Appl Pharmacol.1979 Apr;48(2):221-8)。シスタミンは、組織グルタミン転移酵素の阻害を介して、四塩化炭素によって誘発される肝線維症を改善することが示されている(Qiuら、World J Gastroenterol. 13:4328-32,2007)。
診断を確認するために肝臓の組織学的分析が必要なため、小児におけるNAFLDの有病率は不明である(Schwimmerら、Pediatrics 2006; 118(4):1388-93)。しかし、有病率の推定値は、肝超音波検査と血清アミノ基転移酵素レベルの上昇、及びNAFLDの小児の85%が肥満であるという知識を使用した小児肥満データから推測できる。国民健康栄養調査のデータによると、過去35年間で小児及び青年期の肥満の有病率が3倍に上昇した。2000年のデータは、6~19歳の子供の14~16%が肥満であり、BMIが95%を超え(Fishbeinら、J Pediatr Gastroenterol Nutr 2003; 36(1):54-61)、NAFLDの子供の85%が肥満であると示唆した。
NAFLDがNASHに進行する正確なメカニズムは、まだ不明なままである。インスリン抵抗性は、NAFLDとNASHの両方に関連しているため、NASHが発生するためには他の追加的な要因も必要と想定されている。これは「2ヒット」仮説(Day CP. Best Pract Res Clin Gastroenterol 2002; 16(5):663-78)と呼ばれ、まず肝臓内に脂肪が蓄積し、次に酸化ストレスが増加した大量のフリーラジカルが存在することが含まれる。大小胞性脂肪症は、トリグリセリドの肝臓への蓄積を表し、これは、肝臓への遊離脂肪酸の送達と利用との間の不均衡によるものである。カロリー摂取量が増加している間、トリグリセリドは蓄積し、予備エネルギー源として機能する。食事のカロリーが不十分な場合、貯蔵されたトリグリセリド(脂肪中)は脂肪分解を受け、脂肪酸が循環系に放出され、肝臓に取り込まれる。脂肪酸の酸化は、利用のためのエネルギーを生み出す。NASHの治療は現在、2つの主要な病因、即ち肝臓内の脂肪蓄積と酸化ストレスを引き起こすフリーラジカルの過剰蓄積の減少を中心に展開している。脂肪の蓄積は、脂肪の摂取量を減らし、カロリー消費を増やすことによって減少する。1つの治療アプローチは、持続的で着実な体重減少である。明確に証明されていないが、体重の10%を超える減少が、肝脂肪の蓄積を減らし、肝アミノ基転移酵素を正常化し、肝の炎症と線維症を改善することが示されている(Uenoら、J Hepatol 1997、27(1):103-7; Vajroら、J Pediatr 1994; 125(2):239-41; Franzeseら、Dig Dis Sci 1997, 42(7):1428-32)。
抗酸化剤での治療による酸化ストレスの軽減も、いくつかの試験で効果的であることが示されている。例えば、脂肪症の肥満児は、ビタミンE(400~1000 IU/日)で4~10か月間治療された(Lavine、J Pediatr 2000,136(6):734-8)。BMIに大きな変化があるにもかかわらず、平均ALTレベルは175±106 IU/Lから40±26 IU/L(P<0.01)に減少し、平均ASTレベルは104±61 IU/Lから33±11 IU/L(P<0.002)に減少した。肝臓のアミノ基転移酵素は、ビタミンE療法を中止することを選択した患者で増加した。ビタミンEを1年間使用した成人の試験では、肝アミノ基転移酵素と線維症マーカーのTGFβレベルが同様に低下することが示された(Hasegawaら、Aliment Pharmacol Ther 2001,15(10):1667-72)。
脂肪症はまた、活性酸素種(ROS)による酸化ストレスと抗酸化防御の低下により、脂肪性肝炎に進行する可能性がある(Sanyalら、Gastroenterology 2001,120(5):1183-92)。ROSは、ミトコンドリア、ペルオキシソーム、シトクロムP450、NADPH酸化酵素、及びリポ酸素添加酵素等のいくつかの経路を介して肝臓で生成される(Sanyalら、Nat Clin Pract Gastroenterol Hepatol、2005; 2(1):46-53)。インスリン抵抗性と高インスリン症は、肝臓のCYP2EI活性の増加を通じて、肝臓の酸化ストレスと脂質過酸化を増加させることが示されている(Robertsonら、Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol、2001, 281(5):G1135-9; Leclercqら、J Clin Invest 2000,105(8):1067-75)。
現在、NAFLDの病因について理解されていることの多くは、動物実験から生じている。脂肪症/脂肪性肝炎を示す多くのマウスモデルが存在し、遺伝的に変化したレプチン欠損(ob/ob)またはレプチン耐性(db/db)及び食事性メチオニン/コリン欠損(MCD)モデルが含まれる。NASHのモデルとして、様々な系統(Wistar、Sprague-Dawley、Long-Evans)のオスとメスのラットをマウス系統(C57BL/6)と比較する試験が行われている。これらの動物にMCD餌を4週間与え、WistarラットではALTの上昇と脂肪症がより顕著であったが、マウスの肝臓の全体的な組織学的変化はNASHによる変化より一定であった。最近では、動物に超栄養食を使用することで、生理学的に人間の表現型に似たNAFLDモデルが生まれた。NAFLDに最も一般的に関連する病状は、肥満、II型糖尿病、及び脂質異常症である。これらの状態は、マウスやラットに高脂肪またはショ糖の餌を与えることによって誘発できる。70%を超える脂肪が豊富な食餌を3週間与えられたラットは、汎小葉脂肪症、斑状の炎症、酸化ストレスの増強、及びインスリン抵抗性を示唆する血漿インスリン濃度の上昇を発症した。NASHマウスは胃内の過給によって誘発されている。マウスに9週間、標準摂取量を最大85%超えて給餌した。これらのマウスは、最終体重が71%増加して肥満になり、白色脂肪組織の増加、高血糖、高インスリン血症、高レプチン血症、耐糖能異常、及びインスリン抵抗性を示した。これらのマウスのうち、46%がALTの増加(121 =/- 27 vs 13 +/- 1 U/L)及びNASHを示唆する組織学的な特徴を発症した。過給されたマウスの肝臓は、予想される約2倍の大きさで、ベージュ色で、脂肪滴、細胞質液胞、及び炎症のクラスターの顕微鏡的証拠があった。
NASHのマウスモデルは、様々な治療法の試験に使用できる。マウスモデルは、特定の食事(メチオニンコリン欠乏、MCD)または胃内の過剰摂取によって作成される。これらのマウスは、NASHの血清学的及び組織学的な特徴を発現する。NASHマウスは、システアミンがNASH関連の疾患及び障害に及ぼす影響をスクリーニング及び測定するのに役立つ。例えば、治療の効果は、NASHマウスを、動物がMCD食のみを受け続ける対照群と、マウスがMCD食と抗酸化療法を受ける他の3つの治療群に分けることによって測定できる。該3つの治療群に、例えば、システアミン50 mg/kg/日、100 mg/kg/日及びsAMEを投与することができる。
上記のように、NASHはNAFLDの傘下にある疾患サブセットであり、様々なバイオマーカーと組織学的検査を特徴としている。NASHは、2つのタイプを含むものとして特徴付けられている。1型と2型で、いくつかの明確なバイオマーカーと組織学的な特徴があるが、他の特定のタイプは2つのタイプ間で重複している。これらの2つのタイプ、1型と2型のNASHは、通常、若年患者で識別される。
1型NASHは、脂肪症、小葉の炎症、バルーニング変性、及び類洞周囲線維症を特徴としている。2型NASHは、脂肪症、門脈炎症、及び門脈線維症を特徴としている。Schwimmerらは、1型NASHを2型NASHから区別するために使用される様々な基準及びバイオマーカーを記載した(Hepatology、42(3):641-649、2005;参照により本明細書に組み込まれる)。特に、Schwimmerらは、1型NASHの被験者は、2型NASH患者と比較して、AST、ALT、及びトリグリセリドのレベルが高いことを開示している。しかし、2種類のNASHの違いを示す最も強い要因は、組織診断で最もよく分かる。上記のように、1型NASHは、2型NASHで一般的な門脈の炎症とは対照的に、肝臓で一般的な小葉の炎症を示す。従って、本開示で企画されるように、本明細書に開示される方法で使用できる重要な差別化要因の1つが、組織学的検査によって1型対2型 NASHの存在を識別することである。
脂肪症の診断は、通常、肝細胞の5%以上に脂質沈着が見られる場合に行われる。NASHは、脂肪肝に加えて、炎症性浸潤とバルーニング及び肝細胞損傷の両方が存在する場合に診断される。NAFLD活性スコア(NAS)は、NASHを患っている可能性が最も高い患者に数値スコアを提供するために開発された。従って、NASは、脂肪症(0-3)、肝細胞バルーニング(0-2)、及び小葉炎症(0-3)の個別のスコアの合計である。NASH患者の大多数のNASスコアは5以上である(Kleiner DE、Brunt EM、Van Natta M ら、非アルコール性脂肪肝疾患の組織診断スコアリングシステムの設計と検証、Hepatology 41(6)、1313-1321(2005))。
また、様々な試験により、アポトーシスを起こしている肝細胞からのサイトケラチン18の放出により、サイトケラチン18がNASHの炎症の有用な指標であることが示されている。通常のサイトケラチン18レベルは、通常、1リットルあたり200単位未満であると特徴づけられる。対照的に、NAFLDやNASHを含む肝疾患のある被験者は、サイトケラチン18が統計的に有意に上昇している(例えば、200 U/L以上、200~300 U/L)。さらに、サイトケラチン18レベルは、治療が効果的であるかどうかを判断するためのマーカーとして使用できる。例えば、10%を超えるサイトケラチン18レベルの低下(例:20~30%、30~40%、40~50%、50~60%、60~70%、70~80%、または90~100%)は、有益な治療効果を示している。他のマーカーには、一般的に用いられる肝機能検査が含まれ、例えば、血清アラニンアミノ基転移酵素(ALT)、アルカリ脱リン酸化酵素(ALP)、アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST)、及びγ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)の1つまたは複数を測定することが含まれる。
本開示の方法または組成物の有効性は、肝臓における脂肪酸含有量及び代謝を測定することによって評価することができる。用量の調整及び治療は、例えば、NAFLの重症度に応じて、医療専門家によって行うことができる。
組織診断で判明されたNAFLD、血清肝アミノ基転移酵素、特にアラニンアミノ基転移酵素(ALT)の患者では、レベルが正常の上限からこのレベルの10倍に上昇する(Schwimmerら、J Pediatr 2003、143(4):500-5; Rashidら、J Pediatr Gastroenterol Nutr 2000, 30(1):48-53)。ALT/AST(アスパラギン酸アミノ基転移酵素)比は、> 1(1.5~1.7の範囲)であり、該比率が、一般的に<1であるアルコール性脂肪性肝炎とは異なる。NASHで異常に上昇する可能性のあるその他の異常な血清学的検査には、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(γ-GT)及び空腹時の血漿中インスリン、コレステロール、及びトリグリセリドが含まれる。
ALTレベルは、肝機能の指標であることが示されている。例えば、正常なALTレベルは、1リットルあたり約7~55単位(例えば、10~40単位)であり、正常な肝機能と関連することが示されている。この値は、子供と青年で多少異なる。従って、場合によっては、1リットルあたり25単位未満のALTレベルは、子供や青年では「正常」である。ALTレベルの上昇は、肝疾患及び肝障害と関連することが示されている。例えば、NAFLD及びNASHの被験者は、通常、60~150のALTレベル(例えば、60~145、70~140、80~135、90~130、105~125、110~120、またはそれらの任意の2つの値の間の任意の数)を示す。いくつかの実施形態では、特に子供及び青年では、1リットルあたり25単位を超えるALTレベルは、NASHまたはNAFLDを示し得る。被験者がNAFLDまたはNASHを患っているか、または本開示の化合物を使用した治療を受けやすいかどうかを判断する場合、ALTを単独で測定できるが、肝機能または機能障害の他の1つ以上のマーカーと組み合わせて判断することが望ましいである。例えば、ALTレベルが約80を超える被験者は、肝疾患または機能不全を示している。
ASTレベルは、肝機能の指標であることが示されている。例えば、1リットルあたり約8~48単位(例えば、10~40単位)のASTレベルは、正常な肝機能と関連することが示されている。ASTレベルの上昇は、肝疾患や肝障害と関連することが示されている。例えば、NAFLD及びNASHの被験者は、通常、40~100のASTレベル(例えば、45~95、55~90、65~85、70~80、またはそれらの任意の2つの値の間の任意の数)を示す。被験者がNAFLDまたはNASHを患っているか、または重水素化システアミンまたはシスタミン組成物を使用した治療を受けやすいかどうかを判断する場合、ASTを単独で測定できるが、肝機能または機能障害の他の1つ以上のマーカーと組み合わせて判断することが望ましいである。例えば、ASTレベルが約50を超える被験者は、肝疾患または機能不全を示している。
ALPレベルは、肝機能の指標であることが示されている。例えば、1リットルあたり約45~115単位(例えば、50~110単位)のALPレベルは、正常な肝機能と関連することが示されている。ALPレベルの上昇は、肝疾患及び肝障害と関連することが示されている。例えば、NAFLD及びNASHの被験者は通常、150~250のALPレベル(例えば、155~245、160~240、165~235、170~230、175~225、180~220、185~215、190~210、195~200、またはそれらの任意の2つの値の間の任意の数値)を示す。被験者がNAFLDまたはNASHを患っているか、または重水素化システアミンまたはシスタミン組成物を使用した治療を受けやすいかどうかを判断する場合、ALPを単独で測定できるが、肝機能または機能障害の他の1つ以上のマーカーと組み合わせて判断することが望ましいである。例えば、ALPレベルが約150を超える被験者は、肝疾患または機能不全を示している。
GGTレベルは、肝機能の指標であることが示されている。例えば、1リットルあたり約9~48単位(例えば、10~40単位)のGGTレベルは、正常な肝機能と関連することが示されている。GGTレベルの上昇は、肝疾患及び肝障害と関連することが示されている。例えば、NAFLD及びNASHの被験者は、通常、50~100のGGTレベル(例えば、55~95、60~90、65~85、70~80、またはそれらの任意の2つの値の間の任意の数)を示す。被験者がNAFLDまたはNASHを患っているか、または重水素化システアミンまたはシスタミン組成物を使用した治療を受けやすいかどうかを判断する場合、GGTを単独で測定できるが、肝機能または機能障害の他の1つ以上のマーカーと組み合わせて判断することが望ましいである。例えば、GGTレベルが約50を超える被験者は、肝疾患または機能不全を示している。
トリグリセリドレベルは、肝機能の指標であることが示されている。例えば、約150 mg/dL未満(例えば、100~150 mg/dL)のトリグリセリドレベルは、正常な肝機能と関連することが示されている。トリグリセリドレベルの上昇は、肝疾患及び肝障害と関連することが示されている。例えば、NAFLD及びNASHの被験者は、通常、150~200のトリグリセリドレベル(例えば、155~195、160~190、165~185、170~180、またはそれらの任意の2つの値の間の任意の数)を示する。被験者がNAFLDまたはNASHを患っているか、または重水素化システアミンまたはシスタミン組成物を使用した治療を受けやすいかどうかを判断する場合、トリグリセリドを単独で測定できるが、肝機能または機能障害の他の1つ以上のマーカーと組み合わせて判断することが望ましいである。例えば、トリグリセリドレベルが約150 mg/dlを超える被験者は、肝疾患または機能不全を示している。
高トリグリセリドレベルは、様々な形態の炎症の主な原因であることが知られている。トリグリセリドは、脂肪が血流を通って移動する形態である。トリグリセリドは、肝臓を含む様々な臓器によって代謝され、リン脂質(LDL及びHDL)、コレステロール、及びそれらの酸化型を形成することができる。OxLDLを含む酸化リン脂質(OxPL)は、既知の炎症性介在物質であり、心血管疾患と強く関連している。例えば、Bieghsらは、oxLDLに対する抗体の使用が肝臓の炎症の減少につながったことを記載している(Hepatology、65(3):894-903、2012)。
脂肪組織の量の増加は、アディポネクチンの産生の減少と関連している。マウスとヒトでの試験からのデータは、アディポネクチンの不足が脂肪肝と脂肪性肝炎の発症の主な要因であることを益々に示唆している。アディポネクチンは、血清において、三量体(低分子量のアディポネクチン)、六量体(中分子量のアディポネクチン)、及び高次多量体(高分子量のアディポネクチン)として循環し、イソ型固有の効果が実証されている。疫学試験では、低いアディポネクチンレベルはNASHに関連していることが明らかになった。また、アディポネクチンは、酸化的損傷に対する保護効果により、肝保護効果があると考えられている。アディポネクチンの正常なレベルは、年齢や性別によって異なる。例えば、女性は、アディポネクチンのベースラインレベルが男性より高い。通常な体重の女性のアディポネクチンレベルは、通常約8.5~11 μg/mlであり、男性のアディポネクチンレベルは、通常約6~8 μg/mlである。対照的に、脂肪肝疾患、NASH及び/または肥満の被験者は、アディポネクチンレベルが正常レベルの約50~90%である(例えば、正常レベルから10~50%減少し、またはその間の任意の値)(例えば、Merlら、Int. J. Obes(Lond)、29(8)、998-1001、2005を参照)。
対照的に、レジスチンタンパク質は、正常な被験者と比較して、NASH被験者で増加している。ヒトのレジスチンは、システインが豊富な108個のアミノ酸のペプチドホルモンであり、その分子量は12.5 kDaである。成人では、レジスチンは骨髄で発現する。さらに、BMIが低いまたは健康な被験者の脂肪細胞では、レジスチンmRNAはほとんど検出されない。これと一致して、ボディマス指数(BMI)は、血清中のレジスチン濃度と関連しているようであり、女性におけるレジスチン濃度は男性より高いことがある。ヒト末梢血単核細胞におけるレジスチンmRNAの発現は、炎症性サイトカインによって増加する。血清レジスチンは、NASHと単純な脂肪症の被験者の両方で有意に上昇している。肝レジスチンは、単純な脂肪症及び正常な対照被験者よりも、mRNA及びタンパク質レベルの両方でNASH患者において有意に増加している。レジスチンのシステインリッチ構造のため、硫黄の利用可能性の変化(主にシステインとグルタチオンによる)は、タンパク質の構造と機能に影響を与える可能性がある。上記のように、システアミン及びシスタミンは、システアミンまたはシスタミンを服用している被験者のシステイン及び/またはグルタチオンレベルを調節することができる。
NAFLDまたはNASHに罹患する被験者は、その年齢層の体重の百分位が高くなる傾向がある(例えば、その年齢層のBMIの第97百分位を超える)。小児患者を早期に治療することは、肝機能と肥満の管理に生涯にわたる恩恵をもたらすことがある。
本開示の組成物及び方法は、本開示の重水素化組成物が肝線維症を減少させるだけでなく、NAFLDの動物モデルにおける肝機能マーカーを改善することを実証している。例えば、本データは、高脂肪のNASH食餌で治療された動物モデルが、肝臓の線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎を引き起こし、脂肪肝を誘発するプロセス中に重水素化化合物を投与すると、重水素化化合物は、NASH及びそのマーカーを発症するリスクを低減した。さらなる試験では、本開示は、脂肪肝疾患を誘発するための治療後、本開示の重水素化化合物の投与は、肝機能のALTマーカーの両方の改善、ならびに炎症性浸潤、肝線維症、及びコラーゲン1及びTIMP等の線維症のマーカーの減少をもたらしたことを実証している。従って、本開示は、重水素化シスタミン及び/またはシステアミンを使用して、NAFLD、NASH、及びこれらの疾患に起因する肝線維症を予防かつ/または治療できることを実証している。
本開示は、重水素化システアミンまたはシスタミン組成物による治療に応答する可能性が高いNASHを有する被験者の集団を提供する。本開示は、NASH等の脂肪肝疾患に罹患している被験者を治療する方法を提供する。該方法は、治療有効量の本開示の化合物を投与することを含む。一実施形態では、前記脂肪肝疾患は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝炎に起因する脂肪肝疾患、肥満に起因する脂肪肝疾患、糖尿病に起因する脂肪肝疾患、インスリン抵抗性に起因する脂肪肝疾患、高中性脂肪血症に起因する脂肪肝疾患、無βリポタンパク血症、グリコーゲン蓄積症、ウェーバー・クリスチャン病、ウォルマンス病、妊娠中の急性脂肪肝、及び脂肪異栄養症からなる群から選択される。
特定の実施形態では、小児及び若年患者を本開示の重水素化化合物で治療する。一実施形態では、NASHを有する被験者に、血漿中に約10~80μmol(例えば、10、20、30、40、50、60、70、80、またはその間の任意の値)の本明細書に開示される重水素化化合物を得るための量を含む経口投与用の製剤を投与する。さらなる実施形態では、該製剤は、遅延放出経口製剤である。一実施形態では、前記用量は、約10~40 mg/kgである。別の実施形態では、前記用量は、1投与あたり約300 mg~1 gで1日2~4回で投与される。通常、前記用量は、被験者の最大許容用量、通常は血漿における化合物が約30~50 μmolに達するように、時間とともに変化する。例えば、初期用量は、化合物の約10 μmolの循環レベルを提供し得、これは、最大許容用量、典型的には約40 μmolまで調整される。同様に、初期用量は80 μmolの循環レベルをもたらすことがあり、これは約40 μmolに調整される。前述のいずれかの特定の実施形態では、15歳未満(例えば、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1歳未満)で、かつその年齢の97百分位を超える肥満度指数(BMI)を有する被験者は、本開示の重水素化化合物で治療される。いくつかの実施形態では、前記被験者は、年齢に対して97百分位を超えるBMIを有し、体重は65 kg未満である。いくつかの実施形態では、これらの被験者は、高いトリグリセリドレベル、低いLDH、及び低いまたは低めの正常なアディポネクチンレベルを有する。さらに別の実施形態では、前記被験者は、高いまたは高めの正常なレジスチンレベルを有する。前述のいずれかの様々な実施形態では、前記患者の体重は65 kg未満である。様々な実施形態では、前記患者の体重は、約35~65 kg、または約40~60 kg、または約45~55 kg、または約35、40、45、50、55、60、または65 kgである。様々な実施形態では、体重が65 kg未満の患者は、600~1200 mg/日の本開示の重水素化化合物、または約10~80 μmol(通常は約30~50、及びより一般的には約40 μmol)の化合物の循環血漿レベルを得る量を受け取る。前述の実施形態のいずれにおいても、前記被験者は、1型の組織学的パターンを有する1型NASHまたはNASHを有する。前述のさらに別の実施形態では、前記被験者は、肝臓の小葉性炎症を有する。前述のいずれかのさらなる実施形態では、前記被験者は、NASHに特徴的な低アディポネクチン及び高トリグリセリドを有する。前述のいずれかのさらに別の実施形態では、前記被験者は、本明細書に記載のNASHと一致するレベルのマーカー(例えば、AST、ALT、GGT、または他の肝臓マーカー)を有する。
様々な実施形態では、前記患者の体重は65~80 kgであり、本開示の化合物の750~約1500 mg/日、または約10~80 μmol(通常は約30~50、より一般的には約40 μmol)の化合物の循環血漿レベルを得る量を受けることができる。前述の実施形態のいずれにおいても、前記被験者は、1型NASHを有する。前述のさらに別の実施形態では、前記被験者は、肝臓の小葉性炎症を有する。前述のいずれかのさらなる実施形態では、前記被験者は、NASHに特徴的な低アディポネクチン及び高トリグリセリドを有する。
様々な実施形態では、前記患者の体重は65 kgを超え、本開示の重水素化化合物を900~約2000 mg/日、または重水素化化合物の循環血漿レベルが約10~80 μmol(通常は約30~50及びより一般的には約40 μmol)になる量を受ける。前述の実施形態のいずれにおいても、前記被験者は、1型NASHを有する。前述のさらに別の実施形態では、前記被験者は、肝臓の小葉性炎症を有する。前述のいずれかのさらなる実施形態では、前記被験者は、NASHに特徴的な低アディポネクチン及び高トリグリセリドを有する。
前記被験者は、成人、青年、または子供であってもよい。様々な実施形態では、前記患者は、2~7歳、8~11歳、9~12歳、または13~18歳である。様々な実施形態では、青年は、国立衛生研究所の基準に記載されているように、10~19歳である。
様々な実施形態では、前記投与により、NAFLD活性スコアが2ポイント以上低下し、線維症の悪化または進行はなく、血清アミノ基転移酵素及びガンマグルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)の低下はなく、MRIで測定された肝脂肪分画が減少し、酸化及び抗酸化状態のマーカーに変化し、空腹時インスリンとブドウ糖が変化し、循環アディポネクチンレベルが増加し、循環レジスチンレベルが低下し、トリグリセリドレベルが低下し、酸化リン脂質が減少し、体重、身長、ボディマス指数(BMI)、及び胴囲が変化し、小児の生活質スコアが変化し、患者が経験した可能性のある症状が変化し、治療終了時に明確なNASHまたはNASHの不確定の組織診断からNASHではないものへ変化し、治療終了時に、脂肪症(脂肪肝)、小葉の炎症、門脈の慢性炎症、バルーニング、線維症スコア、ステージ1aと1bの線維症等のベースラインと比較した個々の組織学的特徴が変化し、そして、平均NASが変化する。
本開示の様々な実施形態では、本開示の重水素化化合物は、約10 mg/kg~約2.5 g/kg、または約100 mg/kg~約250 mg/kg、または約60 mg/kg~約100 mg/kgまたは約50 mg/kg~約90 mg/kg、または約30 mg/kg~約80 mg/kg、または約20 mg/kg~約60 mg/kg、または約10 mg/kg~約50 mg/kgの範囲の1日量で投与される。さらに、前記有効量は、0.5 mg/kg、1 mg/kg、5 mg/kg、10 mg/kg、15 mg/kg、20 mg/kg、25 mg/kg、30 mg/kg、35 mg/kg、40 mg/kg、45 mg/kg、50 mg/kg、55 mg/kg、60 mg/kg、70 mg/kg、75 mg/kg、80 mg/kg、90 mg/kg、100 mg/kg、125 mg/kg、150 mg/kg、175 mg/kg、200 mg/kg、225 mg/kg、250 mg/kg、275 mg/kg、300 mg/kg、325 mg/kg、350 mg/kg、375 mg/kg、400 mg/kg、425 mg/kg、450 mg/kg、475 mg/kg、500 mg/kg、525 mg/kg、550 mg/kg、575 mg/kg、600 mg/kg、625 mg/kg、650 mg/kg、675 mg/kg、700 mg/kg、725 mg/kg、750 mg/kg、775 mg/kg、800 mg/kg、825 mg/kg、850 mg/kg、875 mg/kg、900 mg/kg、925 mg/kg、950 mg/kg、975 mg/kg、または1000 mg/kg、または前述の値のうちの任意の2つの間の範囲であってもよい。いくつかの実施形態では、本開示の重水素化化合物は、約0.25 g/m2~4.0 g/m2の体表面積、約0.5~2.0 g/m2の体表面積、または1~1.5 g/m2の体表面積、または1~1.95 g/m2の体表面積、または0.5~1 g/m2の体表面積、または約0.7~0.8 g/m2の体表面積、または約1.35 g/m2の体表面積、または約1.3~約1.95 g/m2/日、または約0.5~約1.5 g/m2/日、または約0.5~約1.0 g/m2/日、例えば、少なくとも約0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、または2 g/m2、または最大約0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.2、2.5、2.7、3.0、3.25、3.5、または3.75 g/m2、または前述の値のいずれか2つの間の範囲の1日の総用量で投与される。
いくつかの実施形態では、製剤は被験者の小腸またはpHが約pH4.5よりも高い胃腸管の領域に到達する場合、前記遅延及び持続放出製剤は、本明細書に開示される重水素化化合物を放出する腸溶コーティングを含む。様々な実施形態では、前記製剤は、pH約4.5~6.5、4.5~5.5、5.5~6.5、または約4.5、5.0、5.5、6.0、または6.5で放出する。
特定の実施形態では、本開示の重水素化化合物またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグまたは溶媒和物は、経口投与用に製剤化される(例えば、カプセル、錠剤、カプレット、及び溶液等として)。さらなる実施形態では、本開示は、50 mg~200 mgの本開示の化合物またはその薬学的に許容される塩(例えば、酒石酸水素塩)、プロドラッグまたは溶媒和物を含むカプセル、錠剤、またはカプレットを提供する。さらに別の実施形態では、前記カプセル、錠剤、またはカプレットは、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、D&C黄色No.10アルミニウムレイク、FD&C青色No.1アルミニウムレイク、FD&C青色No.2アルミニウムレイク、FD&C赤色No.40アルミニウムレイク、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム、微結晶性セルロース、医薬品釉薬、アルファ化デンプン、二酸化ケイ素、ラウリル硫酸ナトリウム、合成黒酸化鉄、及び/または二酸化チタン等の不活性成分をさらに含む。
さらに別の実施形態では、本明細書に開示される化合物は、1日4回以下の頻度で(例えば、1日1、2または3回)投与される。様々な実施形態では、前記組成物は、小腸へ本明細書に開示される化合物をより多く送達するような遅延放出または徐放性製剤である。
一実施形態では、本開示の重水素化化合物またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグまたは溶媒和物は、遅延放出を提供する経口投与用に(例えば、カプセル、錠剤、カプレット、及び溶液等として)製剤化される。さらなる実施形態では、本開示は、25 mg~75 mgの本開示の重水素化化合物、または薬学的に許容される塩(例えば、酒石酸水素塩)、プロドラッグまたはその溶媒和物を含む遅延放出のカプセル、錠剤、またはカプレットを提供する。さらに別の実施形態では、該遅延放出のカプセル、錠剤、またはカプレットは、微結晶性セルロース、Eudragit(登録商標)L 30 D-55、ヒプロメロース、タルク、クエン酸トリエチル、ラウリル硫酸ナトリウム、精製水、ゼラチン、二酸化チタン、青インク、及び/または白インク等の不活性成分をさらに含む。
前記遅延または徐放性製剤は、同量の化合物を含む即時放出の製剤によって提供されるCmaxより少なくとも約35%、50%、75%、またはそれ以上の本明細書に開示される化合物、またはその生物学的に活性な代謝物のCmaxを提供することができる。別の実施形態では、前記遅延及び徐放性製剤は、該化合物の即時放出の製剤と比較して改善されたAUCを提供する。例えば、そのAUCは、即時放出の製剤と比較して増加される。さらに別の実施形態では、前記組成物が被験者の小腸またはpHが約pH4.5よりも高い胃腸管の領域に到達する場合、前記遅延または徐放性製剤は、本明細書に開示される重水素化化合物を放出する腸溶コーティングを含む。様々な実施形態では、該pHは4.5~6.5である。一実施形態では、該pHは約5.5~6.5である。一実施形態では、本開示の化合物は、小腸を通って送達され、小腸において徐放を提供する。
前記遅延または徐放性製剤は、同量のシステアミン及び/またはシステアミン塩基を含む、腸溶コーティングされた非重水素化システアミン及び/またはシステアミン(例えば、Procysbi(登録商標))製剤によって提供されるCmaxより少なくとも約10%、20%、30%、またはそれ以上の本明細書に開示される重水素化化合物、またはその生物学的に活性な代謝物のCmaxを提供することができる。別の実施形態では、重水素化システアミン及び/またはシスタミンを含む遅延及び徐放性製剤は、該化合物の非重水素化の遅延及び/または徐放性製剤と比較して改善されたAUCを提供する。例えば、そのAUCは、非重水素化の遅延及び/または徐放性製剤と比較して増加される。さらに別の実施形態では、前記組成物は被験者の小腸またはpHが約pH4.5より高い胃腸管の領域に到達する場合、重水素化シスタミン及び/またはシステアミンを含む遅延または徐放性製剤は、本明細書に開示される化合物を放出する腸溶コーティングを含む。様々な実施形態では、該pHは4.5~6.5である。一実施形態では、該pHは約5.5~6.5である。一実施形態では、本開示の化合物は、小腸を通って送達され、小腸において徐放を提供する。
様々な実施形態では、本開示の重水素化化合物を含む腸溶的にコーティングされた製剤は造粒され、該造粒物は、錠剤に圧縮されるか、またはカプセルに充填される。特定の実施形態では、顆粒は、錠剤またはカプセルに圧縮する前に腸溶的にコーティングされる。カプセル材料は、硬くても柔らかくてもよく、通常、ゼラチンバンド等で密封されている。経口用の錠剤及びカプセルは、一般に、本明細書で論じられるように、1つまたは複数の汎用される賦形剤を含むであろう。
適切なpH感受性ポリマーは、小腸内等のより高いpHレベル(4.5より高いpH)で腸内環境に溶解し、これによって、薬理活性物質の、胃等の消化管の上部ではなく、小腸の領域での放出を可能にするものである。
様々な実施形態では、本発明の方法での使用が企図される本開示の重水素化化合物を含む例示的な製剤には、国際特許出願PCT/US2007/002325、PCT/US2014/042607、及びPCT/US2014/042616(それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。)に記載されているものが含まれる。
前記製剤、即ち、腸溶コーティングされた本開示の重水素化化合物を含む錠剤またはカプセルの投与のために、約50 mg~1000 mg範囲の総重量が使用される。様々な実施形態では、前記錠剤またはカプセルは、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275、300、400、または500 mgの重水素化有効成分を含み、複数の該錠剤またはカプセルが、所望の用量に達するように投与される。前記製剤は、それを必要とする被験者に経口投与される。
一実施形態では、錠剤コアは、厚さが約60~100 μm(例えば、約71、73、75、77、または79 μm、またはその間の任意の値)及び/または該錠剤の重量の約10~13%(例えば、約10.5、11.0、11.2、11.4、11.6、11.8、12.0、12.2、12.4、12.6、12.8%、またはその間の任意の値)の腸溶コーティング材料にカプセル化された、約50 mgの本開示の重水素化化合物を含む。別の実施形態では、錠剤コアは、厚さが約90~130 μm(例えば、約97、99、101、103、105、107、109、111、113 μm、またはその間の任意の値)及び/または該錠剤の重量の約9~14%(例えば、約9.5、9.7、9.9、10.1、10.3 10.5、11.0、11.2、11.4、11.6、11.8、12.0、12.2、12.4、12.6、12.8、13.0、13.2、13.4、13.6、13.8%、またはその間の任意の値)の腸溶コーティング材料にカプセル化された、約150 mgの本開示の重水素化化合物を含む。
前述の実施形態のいずれかにおいて、前記腸溶コーティング材料は、重合ゼラチン、シェラック、メタクリル酸共重合体タイプC NF、フタル酸酪酸セルロース、フタル酸水素セルロース、フタル酸プロピオン酸セルロース、フタル酸ポリビニルアセテート(PVAP)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート、コハク酸ジオキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、及びアクリル酸のポリマー及びコポリマー(通常、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、及び/またはメタクリル酸エチルとアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルのコポリマーとから形成されたもの)からなる群から選択することができる。
前記組成物は、経口または非経口的に投与することができる。別の実施形態では、本法は、本開示の重水素化化合物の投与前のレベルと比較して、肝線維症の改善をもたらす。さらに別の実施形態では、本法は、肝臓の脂肪含有量の減少、肝硬変の発生率または進行の軽減、または肝細胞癌の発生率の減少をもたらす。一実施形態では、本法は、本開示の重水素化化合物の投与前のレベルと比較して、肝アミノ基転移酵素レベルの低減をもたらす。さらなる実施形態では、該投与は、治療前のレベルと比較して、約10%~70%、例えば、10、20、30、40、50、60、または70%、またはこれらの数値の間の任意の値の肝アミノ基転移酵素の減少をもたらす。さらに別の実施形態では、該投与は、治療を受けた患者のアラニンまたはアスパラギン酸アミノ基転移酵素レベルの、通常のALTレベルよりも約50%、40%、30%、20%、または10%の低減、または通常のALTレベルまでの低減をもたらす。さらに他の実施形態では、該投与は、本開示の化合物での治療前のレベルと比較して、血清中フェリチンレベルの低減をもたらす。様々な実施形態では、該投与は、NASスコアの低下をもたらす。
また、本開示の腸溶コーティングされた重水素化化合物を使用することにより、様々なプロドラッグを「活性化」することができる。プロドラッグは、薬理学的に不活性であり、それ自体は体内で機能しないが、吸収されるとプロドラッグは分解する。プロドラッグアプローチは、抗生物質、抗ヒスタミン薬、潰瘍治療等、多くの治療分野での使用に成功している。プロドラッグを使用する利点は、活性成分が化学的に偽装され、薬物が腸から体の細胞に入るまで活性成分が放出されないことである。例えば、多くのプロドラッグはS-S結合を使用する。システアミン等の弱い還元剤は、これらの結合を弱体化し、薬物を放出する。従って、本開示の重水素化組成物は、前記薬物の時限放出のためのプロドラッグと組み合わせて有用である。この態様では、プロドラッグを投与した後、本開示の腸溶コーティングされた重水素化化合物を(所望の時間に)投与して、該プロドラッグを活性化することができる。
システアミンのプロドラッグは以前に記載されている。例えば、Andersenらのg-グルタミルトランスペプチダーゼを標的とした新規システアミンプロドラッグのin vitroでの評価(ポスタープレゼンテーション)を参照されたい。これには、S-ピバロイルシステアミン誘導体、S-ベンゾイルシステアミン誘導体、S-アセチルシステアミン誘導体、及びS-ベンゾイルシステアミン)グルタミン酸-エチルエステル)が記載されている。Omranら、Bioorg Med Chem Lett.、21(8):2502-4、2011には、腎症性シスチン症の治療薬としてのシスタミンの葉酸プロドラッグが記載されている。
前述の実施形態のいずれかにおいて、本明細書に記載の方法で使用するための製剤は、本開示の重水素化化合物の薬学的に許容される塩、例えば酒石酸水素塩を遊離塩基化合物の代わりに含むことができる。
疾患または障害を治療するために、本開示の方法及び組成物はまた、本開示の重水素化化合物と組み合わせて第2の薬剤を投与することを含み得る。従って、前述の方法または組成物のいずれかの別の実施形態では、前記被験者は、シスチン症または脂肪肝障害、例えば、NAFLD及びNASHを治療するための活性成分の組み合わせで治療することができる。該組み合わせは、本開示の重水素化化合物、及びメトホルミン、スタチン、抗酸化剤、及び/または酸化リン脂質に対する抗体のうちの1つまたは複数を含む。そのような組み合わせは、炎症及び炎症性介在物質を調節するための多面的なアプローチのために、予期しない相乗効果をもたらす可能性がある。そのような組み合わせは、アディポネクチンレベルを増加させることによってアディポネクチンの抗酸化効果を増加させ、トリグリセリドレベルを低減させ、それによって循環リン脂質を減少させ、インスリン抵抗性を減少させ、また、酸化リン脂質の炎症誘発性効果を遮断する。
本開示は、その特定の実施形態と併せて説明されてきたが、前述の説明及び以下の実施例は、本開示の範囲を説明することを意図しており、限定するものではないことを理解されたい。本開示の範囲内の他の態様、利点、及び改変は、本開示の当業者には明らかであろう。
同位体濃縮されたd1-システアミン及びd2-シスタミンの化学合成
tert-ブチル(2-オキソエチル)カルバメート 4
Kathmanら、J. Am. Chem. Soc., 137(39):12442-12445 (2015)に記載の方法に従って表題化合物を調製した。過ヨウ素酸ナトリウム(9.40 g、43.9 mmol、1.20当量)を61.0 mLのtert-ブチル(2,3-ジヒドロキシプロピル)カルバメート(7.00 g、36.6 mmol、1.00当量)の水中懸濁液に加えた。該反応物を暗所、室温で1時間撹拌した。該反応物を濾過し、その濾液をクロロホルムで4回抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過して濃縮し、5.12 gの表題化合物4を黄色の油として88%の収率で得た。該化合物をさらに精製せず、次のステップで直接使用した。1H NMR(600 MHz、CDCl3)δ9.66(s、1H)、5.18(s、1H)、4.08(d、J = 4.9 Hz、2H)、1.45(s、9H)ppm。
tert-ブチル(2-ヒドロキシエチル-2-d)カルバメート 5
0℃で、ボロ重水素ナトリウム(1.62 g、38.60 mmol、1.20当量)を、41 mLの4(5.12 g、32.16 mmol、1.00当量)のメタノール溶液に少量ずつ加えた。該反応物を0℃で15分間撹拌し、次に室温で1時間撹拌した。水を加え、得られた混合物をジクロロメタンで3回抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過して濃縮し、4.78 gの化合物5を無色の油として92%の収率で得た。該化合物をさらに精製せず、次のステップで使用した。1H NMR(600 MHz、CDCl3)δ5.17(s、1H)、3.62(s、1H)、3.29-3.20(m、3H)、1.41(s、11H)ppm。13C NMR(151 MHz、CDCl3)δ156.95、79.70、62.03(t、J = 21.1 Hz)、43.07、28.46 ppm。C7H14DNO3Na [M + Na]+についてのHRMS(ES+)計算値185.1012、実測値185.1009 IR(ニート)ν 3346、2978、1683、1516、1366、1249、1165、1098、1056 cm-1。
2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル-1-d 4-メチルベンゼンスルホネート 6
Devineら、ACS Infect. Dis. 3(3):225-236(2017)に記載の方法に従って表題化合物を調製した。0℃で、p-トルエンスルホニルクロリド(2.57 g、13.50 mmol、1.46当量)及びトリエチルアミン(2.53 mL、18.11 mmol、1.96当量)を、30 mLの5(1.50 g、9.24 mmol、1.00当量)の無水ジクロロメタン溶液に加えた。該反応物を0℃で10分間撹拌し、次に加熱し、2時間撹拌しながら室温で維持した。該反応物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(0~20%酢酸エチルのヘキサン溶液)で精製し、2.62 gの所望の化合物6を無色の油として90%の収率で得た。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 7.77 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.34 (d,J = 8.1 Hz, 2H), 4.88 (s, 1H), 4.03 (d,J = 4.4 Hz, 1H), 3.36 (t,J = 5.2 Hz, 2H), 2.43 (s, 3H), 1.39 (s, 9H) ppm。 13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ 155.72, 145.23, 132.66, 130.07, 128.03, 79.87, 69.27 (t,J = 22.7 Hz), 39.72, 28.38, 21.76 ppm。C14H20DNO5SNa [M + Na]+についてのHRMS (ES+)計算値339.1101、実測値339.1099 IR(ニート)ν 2976、1695、1513、1363、1248、1173、945、814、661、552 cm-1。
S-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル-1-d)エタンチオエート 7
21.8 mLのチオ酢酸カリウム(1.04 mg、9.17 mmol、2.00当量)の無水ジメチルホルムアミド溶液(0℃)に、7.3 mLの6(1.45 g、4.58 mmol、1.00当量)の無水ジメチルホルムアミド溶液をゆっくりと加えた。該反応物を0℃で10分間撹拌し、次に50℃に90分間加熱した。該反応物を室温に冷却し、水を加えた。該混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を水で2回洗浄し、鹹水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過して濃縮した。その粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0~20%酢酸エチルのヘキサン溶液)で精製し、561 mgの表題化合物7を褐色の油として56%の収率で得た。1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.87 (s, 1H), 3.32-3.21 (m, 2H), 2.96 (s, 1H), 2.32 (s, 3H), 1.40 (s, 9H) ppm。 13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ 195.90, 155.88, 79.56, 40.23, 30.74, 29.16 (t、J = 21.1 Hz), 28.44 ppm。 C9H16DNO3SNa [M + Na]+についてのHRMS(ES+)計算値243.0890、実測値243.0887。IR (ニート) ν 3356, 2977, 2932, 1685, 1512, 1365, 1246, 1164, 1129, 954, 621 cm-1。
tert-ブチル(2-メルカプトエチル-2-d)カルバメート 8
ジ-tert-ブチル(ジスルファンジイルビス(エタン-2,1-ジイル-2d))ジカルバメート9
水酸化ナトリウムの水溶液(10%wt、4.30 mL)を8.60 mLの7(340 mg、1.54 mmol、1.00当量)のメタノール溶液に加えた。該反応物を室温で40分間撹拌した。水を加え、該混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過して濃縮した。その粗反応物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(0~20%酢酸エチルのヘキサン溶液)で精製し、167 mgのtert-ブチル(2-メルカプトエチル-2-d)カルバメート(8)を無色の油として61%の収率で、及び53 mgのジ-tert-ブチル(ジスルファンジイルビス(エタン-2,1-ジイル-2-d))ジカルバメート(9)をオレンジ色の固体として19%の収率で得た。
tert-ブチル(2-メルカプトエチル-2-d)カルバメート(8):1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 4.98 (s, 1H), 3.32-3.22 (m, 2H), 2.60 (d, J = 6.3 Hz, 1H), 1.42 (s, 9H), 1.32 (d, J = 8.4 Hz, 1H) ppm。13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ 155.85, 79.60, 43.59, 28.46, 24.87 (t, J = 21.1 Hz) ppm。C14H26D2N2O4S2Na [M + Na]+についてのHRMS (ES+)計算値377.1514、実測値377.1511(二量体として検出)IR(ニート)ν 3355、2977、2932、1687、1509、1365、1247、1162 cm-1。
ジ-tert-ブチル(ジスルファンジイルビス(エタン-2,1-ジイル-2-d))ジカルバメート(9):1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 5.11 (s, 2H), 3.41 (t, J = 5.9 Hz, 4H), 2.75 (s, 2H), 1.41 (s, 18H) ppm。 13C NMR (151 MHz, CDCl3) δ 155.96, 79.58, 39.27, 38.16 (t, J = 21.1 Hz), 28.47 ppm。C14H26D2N2O4S2Na [M + Na]+についてのHRMS (ES+)計算値377.1514、実測値377.1510 IR(ニート)ν3346, 2976, 2931, 1685, 1512, 1365, 1247, 1164 cm-1。
ジ-tert-ブチル(ジスルファンジイルビス(エタン-2,1-ジイル-2-d))ジカルバメート11
重炭酸ナトリウム(267 mg、3.17 mmol、1.50当量)及びヨウ素(321 mg、1.27 mmol、0.60当量)を15 mLのtert-ブチル(2-メルカプトエチル-2-d)カルバメート 8(376 mg、2.11 mmol、1.00当量)のメタノール溶液に少量ずつ加えた。5分後、重曹の飽和溶液を加えた。該混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を水、チオ硫酸ナトリウム溶液(10 w.t、4 x 50 mL)、及び鹹水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、次に、濾過して及び濃縮し、341 mgの所望の生成物を91%の収率で得た。
2-アミノエタン-1-d-1-チオール塩酸塩 10(BL-0646)
0℃で、1.5 mLのtert-ブチル(2-メルカプトエチル-2-d)カルバメート 8(160 mg、0.90 mmol、1.00当量)のメタノール溶液をHClの1,4-ジオキサン溶液(4N、6.50 mL)に加えた。該反応物を室温で1時間撹拌した。該反応物を濃縮し、102 mgの所望の化合物を白色固体として定量的な収率で得た。1H NMR(600 MHz、D2O)δ 3.15(d、J = 6.5 Hz、2H)、2.84-2.68(m、1H)ppm。13C NMR(151 MHz、D2O(+内部標準としてのMeOH))δ 42.50、21.63(t、J = 21.1 Hz)ppm。C2H6DNS [M + H]+についてのHRMS(ES+)計算値79.0435、実測値79.0437。
2,2'-ジスルファンジイルビス(エタン-2-d-1-アミン)二塩酸塩 11 -BL-0647
0℃で、HClの1,4-ジオキサン溶液(4N、2.00 mL)を0.5 mLのジ-tert-ブチル(ジスルファンジイルビス(エタン-2,1-ジイル-2-d))ジカルバメートのメタノール溶液 9(50 mg、0.14 mmol、1.00当量)に加えた。該反応物を室温で2時間撹拌した。該反応物を濃縮して、32 mgの所望の化合物をベージュ色の粉末として定量的な収率で得た。1H NMR(600 MHz、D2O)δ 3.35(d、J = 6.4 Hz、4H)、2.95(t、J = 6.4 Hz、2H)ppm。13C NMR(151 MHz、内部標準としてD2O(+内部標準としてのMeOH)δ 38.20、33.55(t、J = 21.1 Hz)ppm。C4H11D2N2S2 [M + H]+についてのHRMS(ES+)計算値155.0640、実測値155.0645。
同位体濃縮されたd2-システアミン及びd4-シスタミンの化学合成
tert-ブチル(2-ヒドロキシエチル-2,2-d2)カルバメート
0℃でN-Boc-グリシンメチルエステル(0.100 g、0.528 mmol、1.00当量)を1 mLの撹拌された重水素化アルミニウムリチウム(0.027 g、0.634 mmol、1.20当量)の無水テトラヒドロフラン溶液に少量ずつ加えた。該混合物を還流で3時間加熱し、次に0℃で冷却した。最初に2 mLの酢酸エチルを加え、次に1 mLのロッシェル塩を加えた。該反応混合物を室温で1時間撹拌し、次に水を加え、該混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を鹹水で2回洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過して濃縮し、所望の化合物(0.09 g、0.552 mmol)を無色の油として定量的収率で得た。該化合物をさらに精製せず、次のステップで使用した。1H NMR(599 MHz、CDCl3)δ 5.15(s、1H)、3.24(d、J = 6.0 Hz、2H)、3.14(s、1H)、1.41(s、9H) ppm; 13C NMR(151 MHz、CDCl3)δ 156.97、79.75、43.05、28.48 ppm; C7H13D2NO3Na [M + Na]+についてのHRMS(ES+)計算値186.1070、実測値186.1071。
2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル-1,1-d2 4-メチルベンゼンスルホネート
0℃で、p-トルエンスルホニルクロリド(0.329 g、1.73 mmol、1.46当量)及びトリエチルアミン(0.322 mL、2.31 mmol、1.96当量)を2.1 mLのtert-ブチル(2-ヒドロキシエチル-2,2-d2)カルバメート(0.193 g、1.18 mmol、1.00当量)の無水ジクロロメタン溶液に添加した。該反応物を0℃で10分間撹拌し、次に室温に加熱し、2時間撹拌した。該反応物を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル80:20)で精製して、所望の化合物(0.192 g、0.605 mmol)を無色の油として51%の収率で得た。1H NMR(599 MHz、CDCl3)δ 7.77(d、J = 8.3 Hz、2H)、7.34(d、J = 8.1 Hz、2H)、4.88(s、1H)、3.35(d、J = 6.0 Hz、2H )、2.43(s、3H)、1.39(s、9H)ppm; 13C NMR(151 MHz、CDCl3)δ 155.72、145.14、132.68、130.06、128.02、79.87、39.66、28.38、21.76 ppm; C14H19D2NO5SNa [M + Na]+についてのHRMS(ES+)計算値340.1158、実測値340.1156。
S-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル-1,1-d2)エタンチオエート
0℃で、0.8 mLの2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル-1,1-d2 4-メチルベンゼンスルホネート(0.160 g、0.504 mmol、1.00当量)の無水DMF溶液を2.4 mLのチオ酢酸カリウム(0.115 g、1.01 mmol、2.00当量)の無水DMF溶液にゆっくりと加えた。該反応物を0℃で10分間撹拌し、次に50℃に90分間加熱した。該反応物を室温に冷却し、水を加えた。該混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を水で2回洗浄し、鹹水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過して濃縮した。その粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、80:20)で精製し、所望の化合物(0.066 g;0.298 mmol)を黄色の油として59%の収率で得た。1H NMR(599 MHz、CDCl3)δ 4.81(s、1H)、3.28(d、J = 6.2 Hz、2H)、2.34(s、3H)、1.42(s、9H)ppm。13C NMR(151 MHz、CDCl3)δ 195.93、155.90、79.65、40.22、30.80、28.49 ppm; C9H15D2NO3SNa [M + Na]+についてのHRMS(ES+)計算値224.0947、実測値224.0948。
tert-ブチル(2-メルカプトエチル-2,2-d2)カルバメート
水酸化ナトリウムの水溶液(10% wt、1.6 mL)を3.0 mLのS-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)エチル-1,1-d2)エタンチオエート(0.126 g、0.569 mmol、1当量)のメタノール溶液に加えた。該反応物を室温で40分間撹拌した。水を加え、該混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過して濃縮した。粗反応物を同量の2つに分け、それらの1つをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、80:20~70:30)で精製し、tert-ブチル(2-メルカプトエチル-2,2-d2)カルバメート(0.044 mg、0.245 mmol)を無色の油として43%の収率で得た。C7H13D2NO2SNa [M + Na]+についてのHRMS(ES+)計算値202.0841、実測値202.0838。1H NMR(599 MHz、CDCl3)δ 4.95(s、1H)、3.28(d、J = 6.3 Hz、2H)、1.43(s、9H)ppm; 13C NMR(151 MHz、CDCl3)δ 155.87、79.65、43.53、28.49 ppm; C7H13D2NO2SNa [M + Na]+についてのHRMS(ES+)計算値202.0841、実測値202.0838。
ジ-tert-ブチル(ジスルファンジイルビス(エタン-2,1-ジイル-2,2-d2))ジカルバメート
重曹(0.006 g、0.675 mmol、1.5当量)及びヨウ素(0.007 g、0.027 mmol、0.6当量)を0.10 mLのtert-ブチル(2-メルカプトエチル-2,2-d2)カルバメート(0.008 g、0.045 mmol、1当量)のメタノール溶液に少量ずつ加えた。5分後、重炭酸ナトリウムの飽和溶液を加え、該混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を水、チオ硫酸ナトリウムの溶液(10 w.t、4 x 2 mL)、及び鹹水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過して濃縮した。その粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、75:25)で精製し、表題の生成物(0.005 g、0.011 mmol)を白色固体として25%の収率で得た。1H NMR(599 MHz、CDCl3)δ 5.03(s、2H)、3.43(d、J = 6.2 Hz、4H)、1.44(s、18H)ppm; 13C NMR(151 MHz、CDCl3)δ 155.97、79.71、39.23、28.54 ppm; C14H24D4N2O4S2Na [M + Na]+についてのHRMS(ES+)計算値379.1634、実測値379.1630。
2,2'-ジスルファンジイルビス(エタン-2,2-d2-1-アミニウム)クロリド(BL-0655;D4)
0℃で、HClの1,4-ジオキサン溶液(4N、1.6 mL)を0.4 mLのジ-tert-ブチル(ジスルファンジイルビス(エタン-2,1-ジイル-2,2-d2))ジカルバメート(0.040 g、0.112 mmol、1.00当量)のメタノール溶液に加えた。該反応物を室温で2時間撹拌した。該反応物を濃縮して凍結乾燥し、所望の化合物(0.025 g、0.110 mmol)を白色固体として定量的な収率で得た。1H NMR(599 MHz、D2O)δ 3.36(s、4H)ppm、13C NMR(151 MHz、内部標準としてD2O + MeOH)δ 37.37 ppm; C4H9D4N2S2 [M + H]+についてのHRMS(ES+)計算値157.0766、実測値157.0769。
2-メルカプトエタン-2,2-d2-1-塩化アミニウム(BL-0656)
0℃で、HClの1,4-ジオキサン溶液(4N、0.6 mL)を0.15 mLのtert-ブチル(2-メルカプトエチル-2,2-d2)カルバメート(0.015 g、0.084 mmol、1.00当量)のメタノール溶液に加えた。該反応物を室温で2時間撹拌した。該反応物を濃縮して凍結乾燥し、所望の化合物(0.015 g、0.112 mmol)を白色固体として定量的な収率で得た。1H NMR(599 MHz、D2O)δ 3.17(s、2H)ppm; 13C NMR(151 MHz、内部標準としてD2O + MeOH)δ 41.67 ppm。C2H6D2NS [M + H]+についてのHRMS(ES+)計算値80.0498、実測値80.0498。
他の合成
40 mLのLiAlD4のTHF溶液(0℃)(870 mg、20.73 mmol、1.1当量)にメチル2-メルカプトアセテート(1.686 mL、18.84 mmol、1当量)を滴下して加えた。次に、該混合物を60℃で3時間加熱した(TLC(hex/EtOAc(7/3))で完了確認)。1M HCl溶液及びEtOAcを0℃で加えることにより混合物を急冷させ、該混合物を室温でさらに1時間撹拌した。その水層をEtOAcで2回抽出し、合わせた有機画分を鹹水で2回洗浄し、乾燥させ、減圧下で濃縮し、2-メルカプトエタン-1,1-d2-1-オール(910 mg、11.4 mmol)を淡黄色の油として60.3%の収率で得た。これをさらに精製せず、次のステップで使用した。1H NMR(600 MHz、クロロホルム-d)δ 2.71(d、J = 6.0 Hz、2H)、1.98(bs、1H)、1.38(t、J = 6.0 Hz、1H)。
2-メルカプトエタノール-1,1-d2-1-オール(1.63 g、20.44 mmol、1当量)を20 mLのメタノールに溶解し、続いて1M NaOH溶液(17 mL、51.10 mmol、2.5当量)を加え、1時間後に部分的二量体化が起こった後、ヨウ素(3.13 g、12.26 mmol、0.6当量)を加えた。次に、該反応物を酢酸エチルで抽出し、有機層を10%チオ硫酸ナトリウム及び鹹水で洗浄し、乾燥して濃縮し、2,2'-ジスルファンジイルビス(エタン-1,1-d2-1-オール)(1.46 g、9.2 mmol)を90%の収率で得た。これをさらに精製せず、次のステップで使用した。1H NMR(600 MHz、クロロホルム-d)δ 2.87(s、4H)、2.13(bs、2H)。
50 mLの2,2'-ジスルファンジイルビス(エタン-1,1-d2-1-オール)のDCM溶液(640 mg、4.04 mmol、1当量)(0℃)に、4-メチルベンゼンスルホニルクロリド(2.31 g、12.1 mmol、3当量)及びトリエチルアミン(2.28 mL、16.2 mmol、4当量)を連続して加え、該混合物を室温で3時間撹拌した。水を加えることにより反応媒体を急冷させ、その水層をDCMで2回抽出し、合わせた有機画分を1M HCl及び鹹水で洗浄し、乾燥させ、減圧下で濃縮した。その粗残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Biotage 50 g snap、15 cv、0~50%EtOAcのヘキサン溶液、流速40 ml/min)で精製し、ジスルファンジイルビス(エタン-2,1-ジイル-1,1-d2)ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(1.80 g、3.86 mmol)を淡黄色の固体として95.4%の収率で得た。
1H NMR(600 MHz、クロロホルム-d)δ 7.78(d、J = 6.0 Hz、4H)、7.35(d、J = 6.0 Hz、4H)、2.81(s、4H)、2.44(s、6H)。
13C NMR(151 MHz、クロロホルム-d)δ 145.27、132.70、130.08、128.03、36.73、21.78。
ジスルファンジイルビス(エタン-2,1-ジイル-1,1-d2)ビス(4-メチルベンゼンスルホネート)(800 mg、1.71 mmol、1当量)及び、ジホルムアミドナトリウム(407 mg、4.29 mmol、2.5当量)を5 mLのDMFに溶解し、110℃で4時間撹拌した。該反応物を室温に冷却し、4 mLの水を加え、該混合物をEtOAcで抽出した。合わせた有機抽出物を水及び鹹水で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、真空中で濃縮した。次に、粗残留物をBiotage(10 g snap、15 cv、0~100% EtOAc、15 mL/min)で精製し、N,N’-(ジスルファンジイルビス(エタン-2,1-ジイル-1,1-d2))ビス(N-ホルミルホルムアミド)(90 mg、0.34 mmol)を白色固体として20%の収率で得た。1H NMR(600 MHz、クロロホルム-d)δ 8.88(s、4H)、2.90(s、4H)。
10 mLのN、N'-(ジスルファンジイルビス(エタン-2,1-ジイル-1,1-d2))ビス(N-ホルミルホルムアミド)のメタノール溶液(107 mg、0.399 mmol、1当量)に塩化水素(1.99 mL、4モル、7.97 mmol、20当量)を加えた。該混合物を室温で1時間撹拌した後、濃縮乾固し、(D4n-シスタミン):2,2'-ジスルファンジイルビス(エタン-1,1-d2-1-アミニウム)クロリド(91 mg、0.390 mmol)を淡オレンジ色の固体として99%の収率で得た。
1H NMR (600 MHz, D2O) δ 3.03 (s, 4H)。
C18H17ClFN6[M-2HCl+H]+についてのHRMS(ES+)計算値157.0766、実測値157.0766。
シスチン性線維芽細胞における同位体濃縮シスタミンを用いたin vitro実験
2枚のプレートから匿名化されたシスチン症患者からの線維芽細胞を36枚のプレートに3倍に分割した。実験には、シスタミン(非標識)、d2-シスタミン、d4-シスタミンの3種類の薬物を使用した。各薬物には2つの時系列があった。その1つ目の系列は、一定の薬物インキュベーション:0、10分、30分、1時間、3時間、及び5時間の系列であった。他の系列では、前記薬物を3時間インキュベーションした後、PBSで洗浄して、新鮮な培地でウォッシュアウトする操作が含まれ、0、30分、1時間、3時間、5時間、及び17時間の時点が含まれた。直接急冷及び抽出技術を用いてすべての細胞を回収し、さらなる酸化及び代謝を最小限に抑えた。具体的には、5 mM N-エチルマレイミドを含むPBSで2回洗浄し、遊離チオール基を捕捉し、そして、内部標準としてd4-シスチン及びd4-システアミン(プラスd-8シスタミン)を両方含有する酸性の有機溶媒抽出液でプレートを擦過した。すべての試料について、API 4500トリプル四重極LC-MS/MSを用いて、次の対象化合物の選択的反応モニタリング(SRM/MRM)で分析した:シスチン、NEM-システアミン、NEM-システイン、シスタミン、及び2-(メチルチオ)エチルアミン。特に記載がない限り、すべてのデータは単一指数関数曲線(減衰または関連)によく適合した。
一定のシスタミン曝露中のシスチン測定
線維芽細胞培養物を、以下の時点で100 μMシスタミン/d2-シスタミン/d4-シスタミンに曝露した:0分、10分、30分、1時間、3時間、及び5時間。インキュベーション後、細胞をN-エチルマレイミドを含むPBSで2回洗浄した。洗浄液を除去し、シスチン(d4-シスチン)及びシステアミン(d4-システアミン及びd8シスタミン)の安定同位体内部標準を含む80%アセトニトリル/1%ギ酸を用いて、氷上で細胞を回収した。
図6に示されるように、シスチン枯渇速度の違いは、シスタミンとd4-シスタミンの間でほぼ同じであった。D2-シスタミンは、わずかに遅い動態を示したが、特にd4-シスタミンがわずかに速い枯渇速度を示したことを考慮すると、これは誤差範囲内の可能性がある。
ウォッシュアウト後のシスチン測定
線維芽細胞培養物を100 μMシスタミン/d2-シスタミン/d4-シスタミンに3時間曝露した。インキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、通常の培地(FBSを含有)で0分、30分、1時間、3時間、5時間、及び17時間インキュベートした。前述のように細胞を回収した。
図7A~Bに示されるように、シスタミンとd4-シスタミンとの間のシスチンの再蓄積は非常に類似している。d2-シスタミンはわずかに速いように見えるが、これは、後者の実験が他の2つとは異なる日に実行され、より集密的な細胞を使用したことが原因である可能性がある。
一定のインキュベーション中のNEM-システアミン及びNEM-システイン
線維芽細胞培養物を薬物(シスタミン、d2-シスタミン、またはd4-シスタミンのいずれか)に曝露し、シスチン枯渇曲線について2ページに記載されているように採取した。NEM-システアミン(またはNEM-d1-システアミンまたはNEM-d2-システアミン)をそれぞれのプレートごとに測定し、d4-シスチンのシグナルに対して正規化した。
図8A~Bに示されるように、一定の薬物曝露の間、NEM-システアミンの値は、薬物タイプ間で異なるように見える。より高いレベルは初期の時点で見られ、最も高いレベルは非標識シスタミン曝露後に見られる(例えば、図8Aを参照)。レベルは3時間で減少するが、その後5時間の曝露中にすべての種類の薬物で再び上昇する(例えば、図8Aを参照)。シスチンのレベル(下のグラフ)も、3時間から5時間まで上昇を示している(例えば、図8Bを参照)。
ウォッシュアウト中のNEM-システアミン
線維芽細胞培養物を薬物(シスタミン、d2-シスタミン、またはd4-シスタミンのいずれか)に3時間曝露した後、様々な時点で培地に曝露し、前述のように採取した。
ウォッシュアウト中のNEM-システイン
線維芽細胞培養物を薬物(シスタミン、d2-シスタミン、またはd4-シスタミンのいずれか)に3時間曝露した後、様々な時点で培地に曝露し、前述のように採取した。
図9に示されるように、システインレベルはすべて、シスタミン、d2-シスタミン及びd4-シスタミンのウォッシュアウト期間中に上昇する。D2はより高いシステインレベルを生成し、細胞内シスチンをシステイン及びシステイン-D-システアミン混合ジスルフィドに還元するのにより効果的であることを示唆している。
一定の薬物インキュベーション中のシスタミン
線維芽細胞培養物を薬物(シスタミン、d2-シスタミン、またはd4-シスタミンのいずれか)に様々な時点で曝露し、その後、前述のように採取した。シスタミンは、非標識シスタミンインキュベーション及びd4-シスタミンインキュベーションにおいて測定できた。d2-シスタミンは、その質量に対応する強いバックグラウンド干渉信号のため、正確に測定できなかった。ウォッシュアウト実験ではシスタミンを測定できなかった。
図10に示されるように、シスタミンは、ウォッシュアウト中に急速に枯渇する。これは、該薬物が細胞内で急速に還元されるか、混合ジスルフィドを形成していることを意味する。ほぼ飽和なレベルでは、追加の薬物が細胞に入るのが遅い可能性があるため、数時間後に安定な水準になる。
D8-シスタミン及びD4n-シスタミンを用いたシスチン枯渇試験
追加の重水素化化合物がシスチンレベルに影響を与える能力を検討するために、以下の2化合物について試験した。
匿名化されたシスチン症患者からの線維芽細胞を2枚のプレートから18枚のプレートに3倍に分割した。実験には、D4n-シスタミンとD8-シスタミンの2つの異なる薬物を使用した。各薬物には2つの時系列があった。その1つ目は、一定の薬物インキュベーション:0、15分、30分、1時間、及び3時間の系列であった。他の系列では、前記薬物を3時間インキュベーションした後、PBSで洗浄し、新鮮な培地でウォッシュアウトする操作が含まれ、0、1時間、3時間、及び16時間の時点が含まれた。直接急冷及び抽出技術を用いてすべての細胞を回収し、さらなる酸化及び代謝を最小限に抑えた。具体的には、5 mM N-エチルマレイミドを含むPBSで2回洗浄し、遊離チオール基を捕捉し、そして、内部標準としてNEM-システアミン、D4n-シスタミン、及び非標識システアミンを含有する酸性の有機溶媒抽出液でプレートを擦過した。すべての試料について、API 4500トリプル四重極LC-MS/MSを用いて、次の対象化合物の選択的反応モニタリング(SRM/MRM)で分析した:シスチン、NEM-システアミン、NEM-システイン、及びシスタミン。特に記載がない限り、すべてのデータは単一指数関数曲線(減衰または関連)によく適合した。
図14は、D8シスタミンがD4nシスタミンと比較してより長い半減期を有することを示している。参考のため、以前に行った実験の非重水素化のシスタミンの試料の曲線を重ねて示している。
線維芽細胞培養物を50 μMシスタミン(D8またはD4n)に3時間曝露した。インキュベーション後、細胞をPBSで洗浄し、FBSを含む通常の培地で1時間、3時間、及び16時間インキュベートした。上記のように細胞を回収した。単相指数関数曲線は、データポイントの各セットに適合した(注:表中のTauは、Kの逆数を表す)。D4n-シスタミンとD8-シスタミンの間のシスチンの再蓄積は、非常に類似しており、ウォッシュアウト時点での残留薬物レベルが類似していることを示している(図15)。
肝臓炎症細胞
CD11bは、マクロファージとミクログリアを染色する。肝臓組織のCD11b染色は、3つの群のマウスでCDAHFDの10週間後に行われた。1群の対照マウス(「C1」)は、薬物を投与されなかった対照群を表す。8週間目に、治療群の2群(「C2」)のマウスにD2-シスタミンを200 mg/kg/日で1日1回強制経口投与し、また、治療群の3群(「C3」)のマウスにD4-シスタミンを200 mg/kg/日で1日1回強制経口投与した。対照群と比較して、D2及びD4-シスタミンで処置されたマウスの肝臓組織におけるCD11b陽性細胞の数に統計的に有意な減少(p<0.0001)があった(図16)。
ALTの低下、線維症の低下、コラーゲン1及びTIMP発現の低下、脂肪症(末梢)の軽減、及び炎症性浸潤(CD11b)の軽減に示唆されたように、これらのデータは、D2及びD4-シスタミンが脂肪性肝炎を逆転させることを示している。
肝細胞における同位体濃縮シスタミン及びシステアミンを用いたin vitro実験
肝細胞安定性試験により、重水素化及び非重水素化システアミン及びシスタミン化合物のそれぞれのin vitro代謝安定性の評価を実施した。
In vitro代謝安定性の評価は、肝臓による生体内変化に対する試験化合物の感受性を測定する手段を提供する。肝ミクロソームは、主にシトクロムP450システムを介した代謝(フェーズI代謝)を評価するが、肝細胞は、補因子を含む完全で妨害されない代謝システムを表すため、フェーズIとフェーズIIの両方の代謝を評価する。すべての場合において、試験化合物の代謝安定性は、ヒト肝細胞でのインキュベーション時間に対する残留親化合物の割合をLC/MS/MSでモニタリングすることによって測定した。
プールされたヒト肝細胞(カタログ番号HMCS10、ThermoFischer Scientific)を製造元の取扱説明書に従って解凍した。解凍した肝細胞を遠心分離で洗浄し、血清を含む肝細胞プレーティングサプリメントパックを添加したWilliams’E Mediaに再びプレーティングした。
該細胞を維持培地(無血清の肝細胞維持サプリメントパックを添加したWilliams’E Media)で1 mlあたり1,000,000に希釈した。500 μlの細胞懸濁液を、500 μlの重水素化試験薬を含むマイクロタイタープレートの各ウェルに加え、37℃で120 rpmのオービタルシェーカー上に置いた。適切な時点で、50 μlの分量をウェルから取り出し、50 μlの氷冷酢酸エチルに加え、5分間ボルテックスし、クロマトグラフィー分析まで凍結した。
そのデータを表1(上記)に示す。該肝細胞除去試験に示されたように、D4-シスタミンが二量体化合物の中で最も安定している。これは、D4が、D2及びシスタミンと比較して、より高いAUC及びCmax(その単量体形態の場合)、及び肝細胞除去試験における除去速度の低下をもたらす理由である。
また、表1に示されたように、重水素化された形態は、非重水素化のシステアミン及びシスタミンと比較して、肝細胞クリアランスがより遅い。
In vivo NASHモデル
CDAHFD餌(コリン欠乏、L-アミノ酸限定、メチオニンの量が制限された高脂肪食)が提供された正常なC57BL/6雄マウスのNASHモデルを使用した。2つの重水素化シスタミン分子について試験した:
(1)予防段階及び(2)治療段階の2段階の試験を行った。以下に説明するように、48匹のマウスを9つの群に分けた。各試験の最後に組織診断を実施し、NASHの特徴(脂肪性肝炎、バルーニング、及び線維症)を確認した。主要な評価項目は血漿ALT測定であった。線維症及び炎症の遺伝子発現試験も実施した。
薬物(D2またはD4)は、動物に約200 mg/kg/日の薬物を送達する濃度で飲料水中に投与された。毎日の体重及び飲料の容積/日も計測した。
予防段階
1群:CDAHFD食餌を8週間提供した対照マウス。0、4、及び8週目に採血。2群:CDAHFD食餌プラス200 mg/kg/日のD2を8週間提供したマウス。0、4、及び8週目に採血。3群:CDAHFD食餌プラス200 mg/kg/日のD4を8週間提供したマウス。0、4、及び8週目に採血。4群:CDAHFD餌を2週間継続する対照マウス(n=4)。ベースライン時と2週間目に採血。2週目に肝臓組織診断。5群:CDAHFD食餌を2週間プラス200 mg/kg/日のD2を1日1回強制経口投与したマウス(n=4)。0週と2週目に採血、2週目に組織診断。6群:CDAHFD食餌を2週間プラス200 mg/kg/日のD4を1日1回強制経口投与したマウス(n=4)。0週と2週目に採血、2週目に組織診断。
予防試験の結果
1~3群については、本開示の重水素化化合物がマウスの脂肪肝疾患の進行を抑制または軽減できるかどうかを試験した。図11は、これらの群のマウスにおけるALTレベルを示している。1群(g1)の対照マウスにおけるALTレベルは、2群(g2; D2)及び3群(g3; D4)のマウスと比較して、8週目までに上昇した。該データをさらに分析し、2群の処置マウス(D2)と比較した1群対照の統計分析を図12に示している。ベースラインと比較して、3つの群の体重に同様の変化があった。認識すべき重要なこととして、予防試験では、前記薬物は、その送達が「制御」されたのではなく、むしろ動物に消費された水によって送達され、1日を通した各動物の飲水量によって異なっていた。
治療試験の結果
4群、5群及び6群のマウスに、本開示の重水素化化合物による治療を開始する前にCDAHDF食餌を8週間与えた。治療段階の間、これらのマウスにCDAHDF食餌を与え続けた。各群に4匹のマウスを設定した:対照群(C1)は薬物を投与しない群;治療群(C2)は1日1回の強制経口投与により200 mg/kgのシスタミンD2を投与した群;治療群(C3)は1日1回の強制経口投与により200 mg/kgのシスタミンD4を投与した群。
図13A~Dは、本治療試験から得た結果を示している。図13Aは、試験終了時の体重(BW)対肝臓の重量(LW)の比(BW/LW)を示している。肝臓の重量(及び脂肪含有量)は、対照群と比較して、C2及びC3で少ないであるが、対照群(C1)と比較して、統計的に有意なのはC3のみである(p=0.039)(C1対C2(p =0.42))。ALTの低下は、未治療の対照群と比較した場合、C2及びC3で有意に低かった(C1対C2(p=0.0029)、C1対C3(p=0.0214)、またC2対C3(p=0.53))(図13B)。図13Cは、肝臓切片のシリウスレッド染色を示している。シリウスレッドは、コラーゲンを染色するため、線維症の指標となる。分かるように、200 mg/kgのシスタミンD2及びシスタミンD4を1日1回で2週間強制経口投与した後に認められた肝線維症が非常に有意に減少した(C1対C2(p=<0.0001); C1対C3(p<0.0001)、またC2対C3(p=0.99))。
肝線維症は、線維性ECMの増産をもたらすコラーゲンの発現の増加と関連している。コラーゲンは、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)によって分解され、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤(TIMP)とともに、線維形成と線維溶解に関与する。コラーゲン1(col 1)及びTIMPについてqPCR分析を行った結果、コラーゲン1(C1対C3、p=0.0113)及びTIMP(C1対C2、p=0.0159)の有意な減少が示された(図13Dを参照)。コラーゲン1は、線維症のマーカーとして、TIMPより有用である。すべての治療群で、col 1とTIMPの発現が減少した。
治療群のD2及びD4では、陽性肝臓染色の量において有意な減少が示された。D4で治療した肝臓では、中心周囲の線維症が少ないようである(図13Cを参照)。該染色からのデータ、ならびにコラーゲン1(col 1)及びTIMPの発現の低下(図13D)に示されたように、重水素化化合物が、CDAHFDの継続にもかかわらず既成の肝線維症を低下させる。さらに、H&E染色に示されたように、治療群が対照群と比較して、脂肪沈着が減少した(図17を参照)。該減少は、D4の群で特に顕著である。
ラットにおけるシスタミンの薬物動態
システアミン、シスタミンD2、及びシスタミンD4の薬物動態を比較するために本試験を実施した。シスタミンは、システアミンに還元されるため、塩基分子とそのシステアミン対応物との間のさらなる交換を防ぐために、全血試料をNEMと混合した。
前記方法が受け入れられるかどうかを検討するために、3匹の動物でパイロット試験を行った。(1)2匹のラットをパイロット試験に使用し、各動物に異なる用量のシスタミン(200 mg/kg及び300 mg/kg)を投与した。(2)血漿は、ラット1匹あたり4時点(20分、40分、60分、及び2時間)で、すべては薬物投与と同日に採取した。システアミン及びシスタミン両方の血漿中濃度を測定した。本実験で示されたように、シスタミンとそのシステアミン対応物の薬物動態プロファイルが非常に類似している。従って、該方法が効果的であることが証明された。
5匹のSprague Dawleyラットを本試験に使用した。そのうち、2匹を対照(非重水素化シスタミン)に使用し、3匹を試験化合物(D4シスタミン)に使用した。
0分、20分、40分、1時間、2時間、4時間、及び6時間に血液をサンプリングした(ラット1匹あたり合計7試料)。約160 μlの全血をEDTA眼窩後採血管に採取し、EDTAが均一に混合されるように短時間混合した。該血液を、40 μlの新鮮な150 mM NEMを含むきれいなエペンドルフチューブにすばやく移し、混合して、室温で10分間インキュベートした。該エッペンドルフチューブを3000 rmpで5分間遠心分離し、RBCをペレット化し、血漿を新しいエッペンドルフチューブに収集した。該血漿の体積をピペットで計測した。該血漿にギ酸を1%の濃度になるように加え、混合した。その結果を表3に示す。
薬物動態試験で示されたように、D4シスタミンで処理すると、対応する単量体(システアミン)が約24 μM生成される非重水素化のシスタミンと比較して、D2-システアミンの濃度が高くなる(Cmaxが約50 μM)。これは、D4-シスタミンからD2-システアミンへの変換が比較的効率的であることを示唆している。
D4-シスタミン由来のD2-システアミンのAUC測定値は、シスタミン由来のシステアミンよりもはるかに高かった。
本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、様々な改変を行うことができることが理解されよう。従って、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内にある。