JP7537797B2 - 光照射システム - Google Patents

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Description

本発明は、OPN5を光によって効果的に活性化させることができる、OPN5活性化光照射方法及び光測定装置並びに光照射システムに関する。
光の人体への影響は、近年、様々な観点から検討され、新たな知見に基づいた報告がなされている。例えば、太陽光を浴びることによりサーカディアンリズムが改善すること(非特許文献1)、LED照明やLEDをバックライトに使用した液晶ディスプレイ等から発する光が身体や心に大きく影響すること(非特許文献2)、バイオレットライトが近視の予防及び近視の発症を抑制すること(特許文献1)等が報告されている。特に最近、本発明者は、バイオレットライトが近視に及ぼす影響について報告しており、例えば特許文献1及び非特許文献3には、特定波長の光が近視の進行を予防したり抑制したりする効果があることを提案し、近視の人口が依然として世界的に増えている近年、大きな期待が寄せられている。
オプシン5(OPN5)は、光受容タンパク質として知られ、人や動物における視覚機能や非視覚機能についての研究が進められている(非特許文献4)。
羽鳥恵、坪田一男、アンチ・エイジング医学-日本抗加齢医学会雑誌、Vol.11、No.3、065(385)-072(392),(2015). 坪田一男、「ブルーライト 体内時計への脅威」、集英社、2013年11月20日発行. Hidemasa Torii et al., EBioMedicine, 「DOI:http://dx.doi.org/10.1016/j.ebiom.2016.12.007」. 山下高廣、「脊髄動物新規紫外光光受容タンパク質-ヒトも紫外線を感じる?-」、生物物理、51(4),186-187(2011).
WO2015/186723A1
OPN5は、図1に示すように、380nmにピークを持つ吸収スペクトルを示している。こうしたOPN5を効果的に活性化させることができれば、視覚機能や非視覚機能との関係や、本発明者が研究を進めている近視進行抑制との関係を明らかにすることが期待できる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、OPN5を光によって効果的に活性化させることができる、OPN5活性化光照射方法及び光測定装置並びに光照射システムを提供することにある。
(1)本発明に係るOPN5活性化光照射方法は、OPN5を光で効果的に活性化させることができる光照射方法であって、1又は2以上の光源から発する光が照射され、前記光が前記OPN5の吸収スペクトルの少なくとも一部の波長域と重なる波長域を有し且つ眩しくない光である、ことを特徴とする。
この発明によれば、1又は2以上の光源から発する光が照射され、その光がOPN5の吸収スペクトルの少なくとも一部の波長域と重なる波長域を有し且つ眩しくない光であるので、例えば人の網膜に存在するOPN5を光によって効果的に活性化させることができる。
なお、「OPN5の吸収スペクトルの少なくとも一部の波長域」とは、OPN5の吸収スペクトルのうち、その全部の波長域と重なっていてもよいし、一部の波長域と重なっていてもよいことを意味する。「照射され」とは、光源から発した光が人に照射されることであり、光源を人に向けてその光源から発した光が直接人に照射されてもよいし、視野に入る位置や視線方向の位置の光源から発した光が照射されてもよいし、光源を人に向けないでもその光源から発した光が拡散光又は反射光として照射されてもよい。「眩しくない光」とは、人にとって眩しくない比視感度が小さい光のことであり、例えば400nm以下の波長の光(例えば360nm~400nm程度のバイオレットライト)を主に含む光のことである。比視感度の小さい光が照射されても、人は眩しさを認識しない又は認識しにくい。その結果、OPN5の吸収スペクトルの少なくとも一部の波長域と重なる光が、人に眩しさを感じさせることなく照射されるので、人に照射したり長時間照射したりすることができ、OPN5を活性化させることができる。
光源については、一般家庭等の家屋、校舎、庁舎、社屋、体育館等の建物の中や、屋根で覆われてはいるものの壁の無いような建物内にそのまま取り付けられた光源、又は、家具や設置物に取り付けられた光源であることが好ましいが、人が携帯できる携帯型光源や人が装着できる光源であってもよい。人が携帯できる携帯型光源としては、例えば携帯型パソコン、タブレット、スマートフォン等の携帯端末に装着可能な光源を挙げることができ、人が装着できる光源としては、例えば視力矯正具、眼保護具、顔保護具、首吊り下げ具、耳掛け具、頭部取り付け具等に取り付けた光源を挙げることができる。なお、人が装着できる光源については、視力矯正機能の有無は問わず人が装着できるめがねに光源を取り付けためがね装着型光源、そうしためがねに着脱できるアタッチメント光源、機能用、AR用、VR用又はMR用のゴーグル型装置に取り付けた光源であってもよい。
本発明に係るOPN5活性化光照射方法において、前記光源は、前記光が直接眼に向けて照射される位置、視野に入る位置、視線方向の位置、拡散材で拡散した拡散光として眼に照射される位置、及び、反射材で反射した反射光として眼に照射される位置、から選ばれる1又は2以上の位置に配置されている。
例えば400nm以下程度の波長の光のような眩しくない光は通常は反射しにくい光であるので、光が直接眼に向けて照射される位置に光源が配置されていることが望ましい。一方、光を直接眼に向けて照射しない場合でも、視野に入る位置や視線方向の位置に光源が配置されていたり、拡散材で拡散した拡散光として眼に照射される位置に光源が配置されていたり、400nm以下の波長の光が反射する特別な反射材を適宜設け、そうした反射材で反射した反射光として眼に照射される位置に光源が配置されていたりすることができる。例えばデスクワークにおいては、眼の直前方向位置、視野位置、視線方向位置に光源を設置することが望ましいが、それらの位置に設置できなかったり設置しにくい場合でも、拡散材や反射材を設け、その拡散材や反射材で光を拡散したり反射したりして拡散光や反射光を眼に照射することが好ましい。こうした手段を1又は2以上複合して光を眼に照射することが好ましい。拡散材としては、拡散角特性や透過率特性を踏まえて各種の拡散材から選択することができ、反射材としては、前記した反射しにくい光を反射する特殊な反射材を、固定型、移動型又は携帯型として利用することで、光源の設置場所の自由度が増すという利点がある。
本発明に係るOPN5活性化光照射方法において、前記光が、比視感度が小さい光であり、400nm以下又は410nm以下の光である。この場合において、「比視感度が小さい光」とは、400nm超又は410nm超の光を放射しない又は実質的に放射しない光源から発した光、400nm超又は410nm超の光を遮るフィルターを備えた光源から発した光、又は、400nm超又は410nm超の光を放射する場合でもその光が眩しくないほどに弱い光、のいずれかであることが好ましい。
この発明によれば、比視感度が小さい400nm以下又は410nm以下の光は、OPN5の吸収スペクトルと重る部分が大きく、且つ眩しくないので、そうした光が人の眼に入っても気になることがなく、例えば人の網膜に存在するOPN5を光によって効果的に活性化させることができる。なお、比視感度が小さい400nm以下又は410nm以下の光としては、特に好ましくは360nm~400nm又は350nm~410nmのバイオレットライトである。また、「比視感度が小さい」については、実際に眩しくない光として感じる程度は個体差があるので、後述の図3で示される縦軸の相対数値でどの程度の値であるかは特定しにくい。しかし、400nm以下又は410nm以下の光は比視感度がかなり小さく(相対数値で約0.01以下)、総じて眩しくない光といえる。
本発明に係るOPN5活性化光照射方法において、前記光が、OPN5の吸収スペクトルのピーク波長である380nmの±20nmの範囲と主に重なる光であることが好ましい。
この発明によれば、OPN5の吸収スペクトルのピーク波長である380nmの±20nmの範囲と主に重なる光を照射することによってOPN5を効果的に活性化させることができる。「主に重なる光」とは、380nmの±20nmの範囲内にピークを有する発光スペクトルを有する光であってもよいし、380nmの±20nmの範囲内にピークを有しないものであってもその範囲内に強い光を発する発光スペクトルを有する光であってもよい等の意味である。
本発明に係るOPN5活性化光照射方法において、床(足下も含む。)、壁、天井(吊り下げも含む。)、その他の構造物に取り付けられた構造物取付型光源、机、テーブル、パーティション(間仕切り、衝立)、棚、卓上部材、パソコン、ディスプレイ、PCキーボード、テレビ、オーディオ、その他の機器若しくは設置物に取り付けられた設置物取付型光源、携帯型パソコン、タブレット、スマートフォン等の携帯端末取付型光源、視力矯正具、眼保護具、顔保護具、首吊り下げ具、耳掛け具、頭部取り付け具等に取り付け又は着脱可能なアタッチメント光源等の身体装具取付型光源、AR用、VR用及びMR用等の機能機器(ゴーグル、ヘッドセット等)に取り付けられた機能機器取付型光源、から選ばれる。
この発明によれば、光源が構造物、機器、設置物、携帯端末、身体装具、機能機器等へ取り付けられる光源であることが好ましく、こうした光源から発する光を人に効果的に照射することができる。上記のように、光源から発した光が直接眼に照射される位置に光源が設置されることが望ましいが、それ以外の場合には反射材を活用して光を眼に向けて照射することが好ましい。
本発明に係るOPN5活性化光照射方法において、前記光源は、手動又は自動により向き又は位置を制御することが好ましい。
この発明によれば、光源の向き又は位置を手動又は自動により制御可能であるので、人に向けて直接又は反射させて効率的に照射する態様を任意に変更できる。その結果、OPN5を効果的に活性化させることができる。「向きを制御」とは、三次元のX,Y,Zの各方向に任意に回転させて制御する意味であり、「位置の制御」とは、三次元のX,Y,Zの各方向に任意に移動させて制御する意味である。
本発明に係るOPN5活性化光照射方法において、(i)前記光が直接眼に向けて照射される位置に前記光源が設けられている場合は、前記光源から人までの距離及び/又は角度によって前記光の放射照度が制御され、(ii)視野に入る位置又は視線方向の位置に前記光源が設けられている場合は、前記光源から人までの距離及び/又は角度によって前記光の放射照度が制御され、(iii)拡散材で拡散した拡散光として眼に照射される位置に前記光源が設けられている場合は、前記光源及び前記拡散材から人までの距離及び/又は前記拡散材の拡散角と透過率によって前記光の放射照度が制御され、(iv)反射材で反射した反射光として眼に照射される位置に前記光源が設けられている場合は、前記光源及び前記反射材から人までの距離及び/又は前記反射材の反射率によって前記光の放射照度が制御される、ことが好ましい。
この発明によれば、(i)~(iv)のそれぞれによって光の放射照度が制御されるので、OPN5を効果的に活性化させる必要な放射照度の光を人に届けることができる。
(2)本発明に係る光測定装置は、OPN5が光によって効果的に活性化させることができるか否かを評価するデータを取得するための光測定装置であって、受光した光スペクトルデータを測定する測定部と、前記光スペクトルデータとOPN5吸収スペクトルデータとを演算する演算部とを有する、ことを特徴とする。
この発明によれば、受光した光スペクトルデータを測定部で測定し、測定された光スペクトルデータと既知のOPN5吸収スペクトルデータとを演算部で演算するので、人のOPN5が光によって効果的に活性化させることができるか否かを評価するためのデータを取得することができる。この評価データは、受光した光とOPN5の活性化との関係の評価を行うための基礎データとして活用でき、特に、測定された光スペクトルデータと既知のOPN5吸収スペクトルデータとの重なり度合い等を基にして演算して数値化することで、OPN5を通した身体的効果の客観的な評価に活用できる。こうした活用によって、例えば、どのような波長範囲の光を、どの程度の放射照度で、どの時間帯で、どの程度の時間照射することが、OPN5の身体的影響との関係で効果があるかの評価に活用できる。
なお、「受光した光スペクトルデータ」における光は、上記した光照射方法での光源からの光に限らず、測定される光の全てを含む光スペクトルデータの意味である。また、この光測定装置は、人の眼に入る光を精度よく測定可能なものであることが好ましく、特に人に装着されるもの又は人への装着部材に取り付けられているものであることが好ましい。「演算」は、光測定装置に内蔵された演算部で行われてもよいし、外部の演算部に送信されて行われてもよい。
本発明に係る光測定装置において、前記演算部は、前記光スペクトルデータと前記OPN5吸収スペクトルデータとの波長ごとの積を受光実効分光放射照度(W/m/nm)として演算する。
この発明によれば、各波長における両者の積からなる受光実効分光放射照度(W/m/nm)を評価データとすることができるので、得られた評価データとOPN5を通した身体的効果との客観的な関係を明らかにするための測定装置として活用できる。
本発明に係る光測定装置において、AM1.5で規定された太陽光スペクトルの分光放射照度(W/m/nm)と前記OPN5吸収スペクトルとの波長ごとの積からなる基準実効分光放射照度(W/m/nm)が、前記受光実効分光放射照度(W/m/nm)と前記演算部で演算される。
この発明によれば、AM1.5で規定された太陽光スペクトルの分光放射照度とOPN5吸収スペクトルとの波長ごとの積からなる基準実効分光放射照度(W/m/nm)が、受光実効分光放射照度(W/m/nm)と演算部で演算(例えば比較演算)されるので、測定地域や測定時間を問わず共通の基準実効分光放射照度に対する実際の受光実効分光放射照度の程度(例えば割合:%)を一般化して評価できる。演算された結果に基づいて、OPN5を通した身体的効果との客観的な関係を明らかにすることができる。
本発明に係る光測定装置において、前記光スペクトルデータは、前記OPN5吸収スペクトルの全部又は一部の波長域で比較して演算してもよい。
この発明によれば、受光した光が様々な光スペクトルデータを含む場合であっても、OPN5吸収スペクトルの全部又は一部の波長域と比較して演算するので、フィルター等を用いて光の波長域を特定した評価のいずれにも適用可能である。その結果、OPN5を通した身体的効果が、OPN5吸収スペクトルの全波長域の受光実効分光放射照度と関係があるのか、OPN5吸収スペクトルの特定の波長域の受光実効分光放射照度と関係があるのか等を明らかにするための測定装置として活用できる。なお、フィルター等を用いた光の波長域の特定として、例えば360~400nmの波長域のバイオレットライト等のような特定の波長域に特定することもできるので、波長域等を特定した詳細な効果の検証にも活用できる。
本発明に係る光測定装置において、前記波長域での比較の際には、前記受光実効分光放射照度をその波長域で積分をして受光実効放射照度(W/m)を求め、同じ波長域で前記基準実効分光放射照度も同様に積分をして基準実効放射照度(W/m)を求め、得られた前記受光実効放射照度と前記基準実効放射照度とを比較(例えば割合:%)して評価することができる。
本発明に係る光測定装置において、前記受光実効放射照度(W/m)に照射時間(秒)を乗じた受光実効ドーズ量(J/m)と、前記基準実効放射照度(W/m)に照射時間(秒)を乗じた基準受光実効ドーズ量(J/m)とを比較(例えば割合:%)して、OPN5を介して身体が光を吸収することによって起こる身体の影響に対する前記光の照射時間依存性を評価することができる。
こうした実効放射照度による評価と実効ドーズ量による評価により、OPN5を介し身体が光を吸収することによって起こる身体の影響に対する光の照射時間依存性を定量的に評価することができる。
本発明に係る光測定装置において、前記測定部は、光を照射する光源の形態に基づいて、めがね、イヤホン、腕時計、胸章その他身体の上半身に装着される物品に設けられている、身体自体に貼り付け等で装着されている、又は、身体の近傍若しくは周囲の設置物に取り付けられている。
この発明によれば、上記態様での取り付けは、光を照射する光源の設置形態(光源形態、光源の設置位置等)に基づいて任意に選択されて設けられているので、邪魔になりにくく、眼や身体が受ける光スペクトルデータを測定しやすい。
(3)本発明に係る光照射システムは、上記本発明に係るOPN5活性化光照射方法によってOPN5を光で効果的に活性化させることができる光照射システムであって、1又は2以上の光源から発する光が照射され、前記光が前記OPN5の吸収スペクトルの少なくとも一部の波長域と重なる波長域を有し且つ眩しくない光である、ことを特徴とする。
この発明は光照射システムの第1形態であり、上記本発明に係るOPN5活性化光照射方法によって、例えば人の網膜に存在するOPN5を光によって効果的に活性化させることができる。
(4)本発明に係る光照射システムは、上記本発明に係るOPN5活性化光照射方法による光照射手段及び上記本発明に係る光測定装置により取得したデータによって、光照射を制御してOPN5を光によって効果的に活性化させることができる光照射システムであって、
前記光照射手段は、1又は2以上の光源から発する光が照射され、前記光が前記OPN5の吸収スペクトルの少なくとも一部の波長域と重なる波長域を有し且つ眩しくない光であり、
前記光測定装置は、受光した光スペクトルデータを測定する測定部と、前記光スペクトルデータとOPN5吸収スペクトルデータとを演算する演算部とを有し、
前記光照射手段は、前記光測定装置で演算して得た評価データに基づいて、前記光源の配置形態(必要に応じて拡散板又は反射板を設けた場合の配置形態を含む。)、波長範囲、放射照度、照射時間帯、及び照射時間から選ばれるいずれか1又は2以上が制御される、ことを特徴とする。
この発明は光照射システムの第2形態であり、本発明に係るOPN5活性化光照射方法による光照射手段及び本発明に係る光測定装置により取得した評価データによって、光照射を制御し、例えば人の網膜に存在するOPN5を光によって効果的に活性化させることができる。
本発明によれば、OPN5を光によって効果的に活性化させることができる、OPN5活性化光照射方法及び光測定装置並びに光照射システムを提供することができる。
特に、本発明に係るOPN5活性化光照射方法によれば、1又は2以上の光源から発する光が照射され、その光がOPN5の吸収スペクトルの少なくとも一部の波長域と重なる波長域を有し且つ眩しくない光であるので、例えば人の網膜に存在するOPN5を光によって効果的に活性化させることができる。
また、本発明に係る光測定装置によれば、人のOPN5が光によって効果的に活性化させることができるか否かを評価するためのデータを取得することができるので、こうした評価データが、受光した光とOPN5の活性化との関係の評価を行うための基礎データとして活用でき、特に、測定された光スペクトルデータとOPN5吸収スペクトルデータとの重なり度合い等を基にして演算して数値化することで、OPN5を通した身体的効果の客観的な評価に活用できる。こうした活用によって、例えば、どのような波長範囲の光を、どの程度の放射照度で、どの時間帯で、どの程度の時間照射することが、OPN5の身体的影響との関係で効果があるかの評価に活用できる。
また、本発明に係る第1形態の光照射システムによれば、本発明に係るOPN5活性化光照射方法によって例えば人の網膜に存在するOPN5を光によって効果的に活性化させることができる。また、本発明に係る第2形態の光照射システムによれば、本発明に係る光照射方法による光照射手段及び本発明に係る光測定装置により取得した評価データによって、光照射を制御し、例えば人の網膜に存在するOPN5を光によって効果的に活性化させることができる。
OPN5吸収スペクトルの吸光度(無次元)である。 OPN5、OPN4、ロドプシン(Rh)、及び3つのフォトプシン(S,M,L)の吸収スペクトルである。 各波長における明所視標準比視感度(上段図)と光の色(下段図)である。 360~400nmが照射波長範囲のバイオレットライトLEDの一例である。 (A)は400nmを超える波長を含む広い波長範囲の光を照射する光源の一例であり、(B)は遮蔽フィルターにより照射光の波長範囲を360~400nmに制限した一例であり、(C)は上記(B)で制限された照射光とOPN5吸収スペクトルとの重複を示す説明図である。 広いオフィス空間での光源の設置例である。 家庭内やオフィス内での光源の設置例である。 デスク上での卓上型光源やパソコン設置型光源の設置例である。 (A)はOPN5吸収スペクトルの吸光度(無次元)であり、(B)は375nmにピークを持つバイオレットライトLEDの分光放射照度であり、(C)は各波長における両者の積からなる受光実効分光放射照度である。 (A)はOPN5吸収スペクトルの吸光度(無次元)であり、(B)は300nm以上の光を発する広域光源の分光放射照度であり、(C)は各波長における両者の積からなる受光実効分光放射照度である。 (A)はOPN5吸収スペクトルの吸光度(無次元)であり、(B)はAM1.5で規定された太陽光スペクトルの分光放射照度であり、(C)は各波長における両者の積からなる基準実効分光放射照度である。 図11(C)に示した基準実効分光放射照度(符号b)と、図9(C)に示した受光実効分光放射照度(符号a)とを対比したものである。 光測定装置の一例を示す模式図である。
以下、本発明に係るOPN5活性化光照射方法及び光測定装置並びに光照射システムについて図面を参照しつつ説明する。本発明は、本願記載の要旨を含む限り以下の実施形態に限定されるものではなく、種々の態様に変形可能である。
[OPN5活性化光照射方法]
本発明に係る光照射方法は、OPN5を光で効果的に活性化させることができるOPN5活性化光照射方法である。その特徴は、1又は2以上の光源から発する光が照射され、前記光が前記OPN5の吸収スペクトルの少なくとも一部の波長域と重なる波長域を有し且つ眩しくない光である、ことにある。
このOPN5活性化光照射方法は、1又は2以上の光源から発する光が照射され、その光がOPN5の吸収スペクトルの少なくとも一部の波長域と重なる波長域を有し且つ眩しくない光であるので、例えば人の網膜に存在するOPN5を光によって効果的に活性化させることができる極めて効果的な方法である。
各構成について詳しく説明する。
<OPN5>
OPN5(オプシン5)は、光受容タンパク質であり、人の網膜に存在している。OPN5は、図1に示すように、380nmにピークを持つ吸収スペクトルを示している。光を照射してOPN5を効果的に活性化させることにより、視覚機能や非視覚機能の改善や近視進行抑制等を行うことができる。なお、図2は、OPN5、OPN4、ロドプシン(Rh)、及び3つのフォトプシン(S,M,L)の吸収スペクトルである。OPN5は、これらの中でも最も低波長域に位置している。
OPN5の吸収スペクトルは、380nmのピークでの吸光度を1としたとき、図1に示すように、吸光度0.1以上となる波長範囲は約300nm~440nmの範囲であり、吸光度0.5以上となる波長範囲は約340nm~420nmの範囲であり、吸光度0.7以上となる波長範囲は約350nm~410nmの範囲であり、吸光度0.8以上となる波長範囲は約360nm~400nmの範囲である。こうした吸光度特性を有するOPN5に対しては、高い吸光度を示す波長範囲に光スペクトルを有する光を照射することが、OPN5を効果的に活性化させる上で好ましいといえる。
<光>
光は、光源から照射され、OPN5の吸収スペクトルの少なくとも一部の波長域と重なる波長域を有し且つ眩しくない光である。ここで、「OPN5の吸収スペクトルの少なくとも一部の波長域」とは、図1に示すOPN5の吸収スペクトルのうち、その全部の波長域と重なっていてもよいし、部分的な一部の波長域と重なっていてもよいことを意味する。「全部の波長域」とは、図1に示すように、約270nm~460nmの範囲である。「一部の波長域」とは、上記したように、例えば、吸光度0.1以上となる波長範囲(約300nm~440nm)、吸光度0.5以上となる波長範囲(約340nm~420nm)、吸光度0.7以上となる波長範囲(約350nm~410nm)、吸光度0.8以上となる波長範囲(約360nm~400nm)等を挙げることができる。
(光の波長範囲)
人に対しては315nm未満の光は眼に悪影響があると言われていることから、光の下限波長としては、340nm、350nm、又は360nmであることが好ましい。これらのいずれの波長を下限とするかは、その下限領域の光の放射照度に依存するので、下限近傍の光の放射照度が小さければ、340nmであってもよいが、好ましくは350nm又は360nmを下限範囲とする光であることが好ましい。なお、図1に示すOPN5吸収スペクトルでは、約350nm~410nmの波長範囲で吸光度は0.7以上となっており、約360nm~400nmの波長範囲で吸光度は0.8以上となっていることから、約350nm~410nmの波長範囲や約360nm~400nmの波長範囲の光を主に照射する光源を採用することで、OPN5の活性化に寄与できる。
「眩しくない光」とは、比視感度が小さくて人にとって眩しくない光を意味する。人は黄緑色の光を最も明るく感じ、それより波長が増しても減っても明るさの感覚は弱くなる。波長555nmの明るさを1とし、これと同じエネルギーをもつ他の波長の明るさを比較値で表わしたものを「比視感度」という。図3は、明所視標準比視感度を示している。例えば約410nm以下での比視感度は0に近い有限の値を示していることがわかる。
眩しくない光としては、比視感度が小さい400nm以下や410nm以下の波長の光(例えば360nm~400nmや350nm~410nmの光)を主に(一部又は全部)を含む光が好ましい。比視感度の小さい光を人に照射しても、人は眩しさを認識しない又は認識しにくい。その結果、OPN5の吸収スペクトルの少なくとも一部の波長域と重なる光を、人に眩しさを感じさせることなく照射できるので、人に照射したり長時間照射したりすることができ、OPN5を活性化させることができる。「比視感度が小さい光」とは、400nm又は410nmを超える波長の光を放射しない又は実質的に放射しない光源から発した光、400nm又は410nmを超える波長の光を遮るフィルターを備えた光源から発した光、又は、400nm又は410nmを超える波長の光を放射する場合でもその光が眩しくないほどに弱い光、のいずれかであることが好ましい。なお、「比視感度が小さい」については、実際に眩しくない光として感じる程度は個体差があるので、図3で示される縦軸の相対数値でどの程度の値であるかは特定しにくい。しかし、400nm以下又は410nm以下の光は比視感度がかなり小さく(相対数値で約0.01以下)、総じて眩しくない光といえる。こうした光は、OPN5の吸収スペクトルと重る部分が大きく、且つ眩しくないので、光が人の眼に入っても気になることがなく、例えば人の網膜に存在するOPN5を光によって効果的に活性化させることができる。
既述のとおり、図1に示すOPN5吸収スペクトルでは、約350nm~410nmの波長範囲で吸光度は0.7以上となっており、約360nm~400nmの波長範囲で吸光度は0.8以上となっていることから、約350nm~410nmの波長範囲や約360nm~400nmの波長範囲の光を主に照射する光源を採用することでOPN5の活性化に寄与できる。なお、本発明者は、360nm~400nmの波長範囲の光をバイオレットライトと呼んでいるので、以下ではこれらの波長範囲の光をバイオレットライトといって説明することがある。
<光源>
光源は、上記した波長範囲の光を照射する光源であれば特に限定されない。「波長範囲の光を照射する」とは、光源自体の発光スペクトルが上記した波長範囲(例えば360nm~400nmや350nm~410nmの光)を持つものでもよいし、光源自体の発光スペクトルは上記した波長範囲の上限を超えるものであっても遮蔽フィルターを介することによって上記した波長範囲内で照射するものであってもよい。波長範囲内の眩しくない光を主に照射する場合においては、図4に示すように、400nmを超える波長の光を放射しない又は実質的に放射しない光源(例えば375nmにピーク波長を持ったバイオレットライトLED光源)を採用してもよいし、図5(A)に示すように、400nmを超える波長を含む広い波長範囲の光を照射する光源に対しては、図5(B)に示す遮蔽フィルターを備えた光源を採用してもよい。なお、図5(B)は遮蔽フィルターにより照射光の波長範囲を360~400nmに制限した光源の一例であり、図5(C)は光源から照射された光とOPN5吸収スペクトルとの重複を示す説明図である。
例えば360nm~400nmや350nm~410nmの光は、380nmにピークを有するOPN5の吸収スペクトルと重る部分が大きく、且つ比視感度が小さくて眩しくないので、光が人の眼に直接光として、拡散光として、又は反射光として照射されても比較的気になることがなく、例えば人の網膜に存在するOPN5を光によって効果的に活性化させることができる。
光源は、より好ましくは、OPN5の吸収スペクトルのピーク波長である380nmの±20nmの範囲と主に重なる光を発する光源であることが好ましい。こうした光を発する光源は、380nmの±20nmの範囲と主に重なる光の照射によってOPN5を効果的に活性化させることができる。「主に重なる光」とは、例えば図4に示すような380nmの±20nmの範囲内にピークを有する発光スペクトルを有する光であってもよいし、例えば図5(A)に示すような380nmの±20nmの範囲内にピークを有しないものであってもその範囲内に強い分光放射照度を示す発光スペクトルを有する光であってもよい。こうした光源により、例えば図5(C)に示すように、光源から照射された光とOPN5吸収スペクトルとが主に重複することになる。
<光源の設置形態>
光源は、1又は2以上設けられている。光源については、一般家庭等の家屋・部屋、校舎・教室、庁舎、社屋・事務室・作業場、体育館・室内運動場等の建物の中や、屋根で覆われてはいるものの壁の無いような建物内にそのまま取り付けられた光源、又は、家具や設置物に取り付けられた光源等の屋内設置型光源であることが好ましい。また、人が携帯できる携帯型光源や人が装着できる光源であってもよい。
人が携帯できる携帯型光源としては、例えば携帯型パソコン、タブレット、スマートフォン等の携帯端末に装着可能な光源を挙げることができ、人が装着できる光源としては、例えば視力矯正具、眼保護具、顔保護具、首吊り下げ具、耳掛け具、頭部取り付け具等に取り付けた光源を挙げることができる。なお、人が装着できる光源については、視力矯正機能の有無は問わず人が装着できるめがねに光源を取り付けためがね装着型光源、そうしためがねに着脱できるアタッチメント光源、機能用、AR用、VR用及びMR用のゴーグル型装置に取り付けた光源であってもよい。
光源は、床(足下も含む。)、壁、天井(吊り下げも含む。)、その他の構造物に取り付けられた設置型光源、机、テーブル、パーティション(間仕切り、衝立)、棚、卓上部材、パソコン、ディスプレイ、PCキーボード、テレビ、オーディオ、その他の機器若しくは設置物に取り付けられた設置型光源、携帯型パソコン、タブレット、スマートフォン等の携帯端末設置型光源、視力矯正具、眼保護具、顔保護具、首吊り下げ具、耳掛け具、頭部取り付け具等に取り付け又は着脱可能なアタッチメント光源等の身体装具型光源、AR用、VR用及びMR用等の機能機器(ゴーグル、ヘッドセット等)に取り付けた機能機器設置型光源、から選ばれる。光源は、その設置形態に応じて、構造物、設置物、機器、携帯端末等への設置型光源、身体装具型光源、機能機器設置型光源とすることが好ましく、光源から発する光を人に直接光として、拡散光として、又は反射光として照射することができる。図6~図8は光源の設置例であり、図6は広いオフィス空間での光源の設置例であり、図7は家庭内やオフィス内での光源の設置例であり、図8はデスク上での卓上型光源やパソコン設置型光源の例である。このように、光源は様々な態様で設置できる。
「1又は2以上の光源」とは、光源は上記した各種の光源(設置型光源、身体装具型光源、機能機器設置型光源)から選ばれる1又は2以上の光源という意味である。光源が1つの場合は、光源から発した光が眼に向くように配置されていることが望ましい。
設置型光源の具体的な設置形態としては、例えば図6や図7に示すように、オフィスでデスクワークや学校・自習室・家庭で学習ワークを主にする場合のように視線の方向があまり変わらない場合には、視線の先に設置型光源10が配置され、眼の方向Dに向けて光が発するように設置型光源10の向きが調整されていることが望ましい。また、図6や図7では、視野に入る位置や視線方向の位置に光源10が配置されており、こうした位置に光源10が配置されていてもよい。また、光源10が人に向かっていない場合でも拡散材や反射材11(図6及び図7参照)を利用して光を眼に照射できる位置(例えば視野以外や視線方向以外の位置)に光源10を配置してもよい。このように、1又は2以上の光源10を種々の位置に設けることができる。図6及び図7では、光源10を、主に壁、天井からの吊り下げ、机、テーブル、床(足下も含む)等に設けた設置型光源の例を示しているが、その他の構造物に設けたり、パーティション(間仕切り、衝立)、棚、卓上部材その他の設置物に設けたりしてもよい。また、図8に示すように、光源10を視野に入る位置や視線方向の位置、例えばディスプレイの枠部又はその延長線上の位置や、パソコンのキーボードサイド位置に設置型光源10の向きが調整されて設けられていることが望ましい。
また、図7に示すように職場や家庭等で視線の方向が変わる可能性がある場合には、2つ以上の複数の設置型光源10を配置し、できるだけ眼の方向に向けて光が発するように光源10の位置と向きが調整されていることが望ましい。例えば、椅子やソファーに座ることが多い場合は、できるだけ眼の高さに設置型光源10を配置し、その高さでできるだけ眼に向かう方向になるように光源を設置することが望ましい。また、立っていることが多い場合も同様、できるだけ眼の高さに設置型光源10を配置し、その高さでできるだけ眼に向かう方向になるように光源を設置することが望ましい。なお、座ったり立ったりする場合には、その両方を満たすように設置型光源10を設置し、それぞれの高さでできるだけ眼に向かう方向になるように設置型光源10を設置することが望ましい。
上記した眩しくない光(例えば400nm以下程度の波長の光)は、通常は反射しにくい光であるので、上記のように光が直接眼に向けて照射される位置に光源が配置されていることが望ましい。一方、光を直接眼に向けて照射しない場合でも、a)視野に入る位置や視線方向の位置に光源が配置されていたり、b)拡散材で拡散した拡散光として眼に照射される位置に光源が配置されていたり、c)400nm以下の波長の光が反射する特別な反射材を適宜設け、そうした反射材で反射した反射光として眼に照射される位置に光源が配置されていたりすることができる。例えばデスクワークにおいては、眼の直前方向位置、視野位置、視線方向位置に光源を設置することが望ましいが、それらの位置に設置できなかったり設置しにくい場合でも、拡散材や反射材を設け、その拡散材や反射材で光を拡散したり反射したりして拡散光や反射光を眼に照射することが好ましい。こうした手段を1又は2以上複合して光を眼に照射することが好ましい。拡散材としては、拡散角特性や透過率特性を踏まえて各種の拡散材から選択することができ、反射材としては、前記した反射しにくい光を反射する特殊な反射材を、固定型、移動型又は携帯型として利用することで、光源の設置場所の自由度が増すという利点がある。
設置型光源は、いずれも光の向きを眼の方向に予め設置する態様や、視野に入る位置や視線方向の位置に設置する態様が好ましい。また、光源の設置位置を手動又は自動で変更したり、光源から発する光の角度を手動又は自動で変更したりしてもよい。人の眼を検知して、又は人の動きを検知して照射する追尾システムを光源に備えるのも効果的である。光源を様々な方向にスイングさせたり、発光の指向角が広い光源を用いたりするのも有効である。なお、拡散材や反射材を利用する場合は、光源位置の変更等の調整を行ってもよいし、拡散材の種類や反射材の設置角度を変更等して調整してもよい。
携帯端末設置型光源は、例えば携帯型パソコン、タブレット、スマートフォン等の携帯端末に取り付けられる光源を挙げることができるが、これら以外の携帯端末に装着可能な光源であってもよい。携帯端末設置型光源も設置型光源同様、光の向きを眼の方向に予め設置等しておくことが好ましい。また、光源の設置位置を手動又は自動で変更したり、光源から発する光の角度を手動又は自動で変更したりしてもよい。上記同様、追尾システムを光源に備えるのも効果的であり、光源を様々な方向にスイングさせたり、発光の指向角が広い光源を用いたりするのも有効である。
身体装具型光源は、視力矯正具、眼保護具、顔保護具、首吊り下げ具、耳掛け具、頭部取り付け具等に取り付け又は着脱可能なアタッチメント光源等を挙げることができるが、身体に装着可能であればこれら以外の光源であってもよい。身体装具型光源も上記各光源同様、光の向きを眼の方向に予め設置等しておくことが好ましい。なお、身体装具型光源は、眼との距離が短いので、上記した各光源に比べて設置位置の変更は要しないが、必要に応じて手動又は自動で変更したり、光源から発する光の角度を手動又は自動で変更したりしてもよい。
機能機器設置型光源は、AR用、VR用及びMR用等の機能機器(ゴーグル、ヘッドセット等)に取り付けた光源であるが、これら以外の機器に装着可能な光源であってもよい。機能機器設置型光源は、上記身体装具型光源同様、眼との距離が短いので、上記した各光源に比べて設置位置の変更は要しないが、必要に応じて手動又は自動で変更したり、光源から発する光の角度を手動又は自動で変更したりしてもよい。
<照射形態>
光源から発した光は、人に向けて、特に好ましくは眼に向けて照射される。「照射され」とは、光源から発した光が人に照射されることであり、光源を人に向けてその光源から発した光が直接人に照射されてもよいし、視野に入る位置や視線方向の位置の光源から発した光が照射されてもよいし、光源を人に向けないでもその光源から発した光が拡散光又は反射光として照射されてもよい。「直接又は反射させて」とは、光源から人(好ましくは眼)に向けて直接照射されてもよいし、反射材で反射させて照射されてもよいことを意味する。また、「直接照射」には、光を拡散材で拡散した拡散光とし、その拡散光が眼に照射されることも含む。また、光源は、手動又は自動により向き又は位置を制御してもよい。こうすることにより光源の向き又は位置を手動又は自動により制御可能であるので、人に向けて直接又は反射させて効率的に照射する態様を任意に変更できる。その結果、OPN5を効果的に活性化させることができる。「向きを制御」とは、三次元のX,Y,Zの各方向に任意に回転させて制御する意味であり、「位置の制御」とは、三次元のX,Y,Zの各方向に任意に移動させて制御する意味である。
こうした光照射方法において、(i)光が直接眼に向けて照射される位置に光源が設けられている場合は、光源から人までの距離及び/又は角度によって光の放射照度が制御され、(ii)視野に入る位置又は視線方向の位置に光源が設けられている場合は、光源から人までの距離及び/又は角度によって光の放射照度が制御され、(iii)拡散材で拡散した拡散光として眼に照射される位置に光源が設けられている場合は、光源及び拡散材から人までの距離及び/又は拡散材の拡散角と透過率によって光の放射照度が制御され、(iv)反射材で反射した反射光として眼に照射される位置に光源が設けられている場合は、光源及び反射材から人までの距離及び/又は反射材の反射率によって光の放射照度が制御される、ことが好ましい。こうした(i)~(iv)のそれぞれによって光の放射照度が制御されるので、OPN5を効果的に活性化させる必要な放射照度の光を人に届けることができる。
(反射材)
反射材は、バイオレットライト等の眩しくない光を特定の方向に反射する部材である。バイオレットライト等の眩しくない光は、通常の白色光が反射する反射材では反射しない。そのため、バイオレットライト等の眩しくない光を反射する特別な反射材を設けることにより、バイオレットライトを直接人に向けて照射しない場合や設置の都合上直接照射できない場合であっても、バイオレットライトを反射材で反射して人に向けて照射することができる。
光源の設置事情により、直接眼に向けて光を照射できる位置に光源を配置できない場合には、上記した特別な反射材を適当な位置に設置することで、反射した光を眼に向けて照射することが可能である。例えば図6に示すデスクワークにおいては、眼の前方に光源10を設置することが望ましいが、眼の前方に光源を設置できない場合には、眼の前方に反射材11を設け、その反射材11で光を反射して眼に向けることが好ましい。図6の符号11の反射材は、天井に散り下げた光源からの光を眼に向けて反射させる反射材の例である。反射材として、例えば固定型、移動型又は携帯型の反射材を利用することで、光源の設置場所の自由度が増すという利点がある。このように、光源から発した光が直接眼に照射される位置に光源が設置されることが望ましいが、それ以外の場合には反射材を活用して光を眼に向けて照射することが好ましい。
反射材は、板材や壁にレジストインクを塗布して設置できる。具体的には、例えば岡本硝子株式会社製の紫外線高反射白色レジストインク等を挙げることができる。その白色レジストインクを厚さ20μmでガラス基板に塗布形成してなる反射材は、日亜化学工業株式会社製のNSPU510CS(砲弾型LED、ピーク波長:375nm)を反射材から10cm離して69μm/cm2の放射照度で照射した実験では、反射率が約2.9倍アップさせることができる。
(指向性)
光の指向性については、特に顔の向き(目線)に光が届くように光源を設置したり、拡散材や反射材を設置したりすることが望ましい。光源の高さも重要な要素であり、例えばオフィスや家庭内での行動様式に基づいた位置に光源を設置するとともに、その高さや方向を調整することが好ましい。指向性を高めるための手段としては、光源から発する光が眼に直接向かうように光源を設置したり、光源から発する光が眼に向かいやすいように視野に入る位置や視線方向の位置に光源を設置したりすることが好ましい。例えば視線軸の変動が比較的小さい場合(例えば図6や図8に示すようなデスクワーク作業中)には、人の仮想視線軸に対して30°以下の角度で照射されるこ位置に設置することが好ましい。こうすることにより、光を眼に照射できるので、OPN5を効果的に活性化させることができる。
なお、拡散材は、拡散角特性や透過率特性に特徴のあるものが上市されているので、そうした特性を踏まえて各種の拡散材から選択することができる。
[光測定装置]
次に、光測定装置について説明する。本発明に係る光測定装置は、人に装着されてOPN5が光によって効果的に活性化させることができるか否かを評価するデータを取得するための光測定装置である。そして、図13に一例を示すように、光測定装置21の特徴は、受光した光スペクトルデータを測定する測定部22と、前記光スペクトルデータとOPN5吸収スペクトルデータとを演算する演算部23と、を有し、その演算部23は、内部に内蔵されている、又は、内部に内蔵されておらず通信手段で外部の演算部に送信される、ことにある。なお、メモリ24は、OPN5吸収スペクトルデータ等を記憶している。表示部25は、演算結果を表示する。
この光測定装置21は、受光した光スペクトルデータを測定部22で測定し、測定された光スペクトルデータとOPN5吸収スペクトルデータとを内部又は外部の演算部23で演算するので、人のOPN5が光によって効果的に活性化させることができるか否かを評価するためのデータを取得することができる。この評価データは、受光した光とOPN5の活性化との関係の評価を行うための基礎データとして活用でき、特に、測定された光スペクトルデータとOPN5吸収スペクトルデータとの重なり度合い等を演算して数値化することで、OPN5を通した身体的効果の客観的な評価に活用できる。こうした活用によって、例えば、どのような波長範囲の光を、どの程度の放射照度で、どの時間帯で、どの程度の時間照射することが、OPN5の身体的影響との関係で効果があるかの評価に活用できる。なお、「受光した光スペクトルデータ」における光は、上記した光照射方法での光源からの光に限らず、測定される光の全てを含む光スペクトルデータの意味である。また、この光測定装置は、人の眼に入る光を精度よく測定可能なものであることが好ましく、特に人に装着されるもの又は人への装着部材に取り付けられているものであることが好ましい。
演算部は、図9及び図10に示すように、各波長における光スペクトルデータとOPN5吸収スペクトルデータとの波長ごとの積を受光実効分光放射照度(W/m/nm)として演算する。こうすることにより、各波長における両者の積からなる受光実効分光放射照度(W/m/nm)を評価データとすることができるので、得られた評価データとOPN5を通した身体的効果との客観的な関係を明らかにするための測定装置として活用できる。
また、演算部では、図11に示すように、AM1.5で規定された太陽光スペクトルの分光放射照度(W/m/nm)とOPN5吸収スペクトルとの波長ごとの積からなる基準実効分光放射照度(W/m/nm)が、受光実効分光放射照度(W/m/nm)と演算部で演算されるようにしてもよい。こうすることにより、AM1.5で規定された太陽光スペクトルの分光放射照度とOPN5吸収スペクトルとの波長ごとの積からなる基準実効分光放射照度(W/m/nm)が、受光実効分光放射照度(W/m/nm)と演算部で演算されるので、測定地域や測定時間を問わず共通の基準実効分光放射照度に対する実際の受光実効分光放射照度の程度(例えば割合:%)を一般化して評価できる。演算された結果に基づいて、OPN5を通した身体的効果との客観的な関係を明らかにすることができる。
図12は、図11(C)に示した基準実効分光放射照度(符号b)と、図9(C)に示した受光実効分光放射照度(符号a)を対比したものである。このように、例えば図9で得られた受光実効分光放射照度を、各波長におけるAM1.5で規定された太陽光スペクトルの分光放射照度とOPN5吸収スペクトルとの波長ごとの積からなる基準実効分光放射照度(W/m/nm)と比較して評価することができる。こうすることにより、測定地域や測定時間を問わず共通の基準実効分光放射照度に対する実際の受光実効分光放射照度の程度(例えば割合:%)を一般化して評価できる。
光スペクトルデータは、OPN5吸収スペクトルの全部又は一部の波長域で比較して演算してもよい。こうすることにより受光した光が様々な光スペクトルデータを含む場合であっても、OPN5吸収スペクトルの全部又は一部の波長域と比較して演算することができるので、フィルター等を用いて光の波長域を特定した評価のいずれにも適用可能である。その結果、OPN5を通した身体的効果が、OPN5吸収スペクトルの全波長域の受光実効分光放射照度と関係があるのか、OPN5吸収スペクトルの特定の波長域の受光実効分光放射照度と関係があるのか等を明らかにするための測定装置として活用できる。なお、フィルター等を用いた光の波長域の特定として、例えば360~400nmの波長域のバイオレットライト等のような特定の波長域に特定することもできるので、波長域等を特定した詳細な効果の検証にも活用できる。
演算部では、波長域での比較の際に、受光実効分光放射照度をその波長域で積分をして受光実効放射照度(W/m)を求め、同じ波長域で基準実効分光放射照度も同様に積分をして基準実効放射照度(W/m)を求め、得られた受光実効放射照度と基準実効放射照度とを比較(例えば割合:%)して評価することができる。
積分結果の対比については、得られた結果を特定の波長範囲で積分して得た実効放射照度(W/m)を、例えば太陽光の基準実効放射照度と、バイオレットライトLEDの受光実効放射照度とで比較し、太陽光の基準実効放射照度に対するバイオレットライトLEDの受光実効放射照度として対比することができる。図12に示された結果では、例えば280~500nmの波長範囲で積分した実効放射照度は、太陽光では57W/mであり、バイオレットライトでは3.3W/mであり、太陽光の場合を100%として基準化すると、バイオレットライトLEDの場合は6%と評価できる。このように、太陽光の場合を100%として基準化したものと対比することで、その対比結果とOPN5を通した身体的効果との客観的な関係を明らかにすることができる。また、得られた受光実効放射照度は、太陽光の基準実効放射照度と比較するだけでなく、別の光源系で得た受光実効放射照度と比較することができ、光源間での比較を行うことができる。
演算部では、さらに、光実効放射照度(W/m)に照射時間(秒)を乗じた受光実効ドーズ量(J/m)と、基準実効放射照度(W/m)に照射時間(秒)を乗じた基準受光実効ドーズ量(J/m)とを比較(例えば割合:%)して、OPN5を介し身体が光を吸収することで与える身体への影響に対する光の照射時間依存性を評価することができる。
こうした実効放射照度による評価と実効ドーズ量による評価により、OPN5を介し身体が光を吸収することで与える身体への影響を定量的に評価することができる。こうした関係性を明らかにすることにより、例えば、どのような波長範囲の光を、どの程度の放射照度で、どの時間帯で、どの程度の時間照射することが、OPN5の身体的影響との関係で効果があるかの評価に活用できる。
測定部は、例えば図8(A)(B)に示したセンサー12を例示でき、めがね、イヤホン、腕時計、胸章その他身体の上半身に装着される物品に設けられている、身体自体に貼り付け等で装着されている、又は、身体近傍若しくは周囲の設置物に取り付けられている、ことが好ましい。こうした態様での取り付けは、光を照射する光源の設置形態(光源形態、光源の設置位置等)に基づいて任意に選択されて設けられているので、日常において邪魔になりにくく、眼や身体が受ける光スペクトルデータを測定しやすい。
[光照射システム]
次に、光照射システムについて説明する。以下では、2形態の光照射システムを説明する。
(第1形態の光照射システム)
本発明に係る第1形態の光照射システムは、上記本発明に係る光照射方法によってOPN5を光で効果的に活性化させることができる光照射システムである。そして、その特徴は、1又は2以上の光源から発する光が照射され、前記光が前記OPN5の吸収スペクトルの少なくとも一部の波長域と重なる波長域を有し且つ眩しくない光である、ことにある。
こうした光照射システムは、上記本発明に係る光照射方法によって、例えば人の網膜に存在するOPN5を光によって効果的に活性化させることができる。
(第2形態の光照射システム)
本発明に係る第2形態の光照射システムは、上記本発明に係る光照射方法による光照射手段及び上記本発明に係る光測定装置により取得したデータによって、光照射を制御してOPN5を光によって効果的に活性化させることができる光照射システムである。そして、その特徴は、前記光照射手段は、1又は2以上の光源から発する光が照射され、前記光が前記OPN5の吸収スペクトルの少なくとも一部の波長域と重なる波長域を有し且つ眩しくない光であり、前記光測定装置は、受光した光スペクトルデータを測定する測定部と、前記光スペクトルデータとOPN5吸収スペクトルデータとを演算する演算部と、を有し、前記演算部は、内部に内蔵されている、又は、内部に内蔵されておらず通信手段で外部の演算部に送信され、前記光照射手段は、前記光測定装置で演算して得た評価データに基づいて、前記光源の配置形態(必要に応じて拡散板又は反射板を含む。)、波長範囲、放射照度、照射時間帯、及び照射時間から選ばれるいずれか1又は2以上が制御される、ことにある。
こうした光照射システムは、本発明に係る光照射方法による光照射手段及び本発明に係る光測定装置により取得した評価データによって、光照射を制御し、例えば人の網膜に存在するOPN5を光によって効果的に活性化させることができる。
この光照射システムにおいて、評価データとする基本的要素は上記した本発明に係る光測定装置と同じである。演算部は、上記した本発明に係る光測定装置と同様、評価データとする基本的要素を演算する部分である。制御は、演算した評価データに基づいて受光実効分光放射照度を評価し、光のうちどの波長範囲の光を、どの程度の放射照度で、どの時間帯で、どの程度の時間照射するか制御する。この光照射システムでは、システム全体として、光受容体であるOPN5をどの程度効果的に機能させて身体に良い影響を与えることを評価し、必要な光が存在する環境を作ることができる。
(光センサー)
光照射システムでは、眼が実際に受けた受光実効分光放射照度を特定するので、光センサーで測定することで、眼が受ける光の実質的な分光放射照度を測定する。光センサーとしては、例えばGaAsPフォトダイオードを挙げることができ、これらを任意に選択して適用できる。こうした光センサー12は、例えば図8に示すように、めがねに設置した光センサー12であってもよいし、胸章態様のセンサー12であってもよいし、眼の周囲に設置した光センサーであってもよいし、特に限定されない。めがねに光センサーを設ける手段や、眼の周囲への光センサーを設ける手段等は特に限定されない。めがねに直に固定したり、フック等で掛けたりしてもよい。また、耳掛け治具等に光センサーを固定して耳に掛けてもよい。
(光源の設置形態と光のコントロール)
光照射システムでは、光源の設置形態(必要に応じて拡散板又は反射板を設けた場合の配置形態を含む。)、と、眼に届ける光のコントロールとが重要である。以下に説明する光源の設置形態と光のコントロールとにより、眼に届く光をコントロールしてOPN5の光効果を実現できる。光のコントロールの態様としては、光の照射条件に関するコントロール手段と、光の指向性のコントロール手段とを挙げることができる。
「光の照射条件に関するコントロール手段」としては、例えば、1又は2以上の光源から発する光が、波長範囲の設定又は変更、放射照度の設定又は変更、時間帯の設定又は変更、照射時間の設定又は変更、から選ばれる1又は2以上の手段で調整されることが好ましい。
「波長範囲の設定又は変更」について、「特定の波長範囲の設定」とは、光源から照射する光の波長範囲を設定することであり、例えば特定の波長範囲の光を発する光源を設けたり、光源の前面に特定の波長範囲を透過するフィルターを設けて特定の波長範囲の光を発したりする手段を挙げることができる。また、「特定の波長範囲の変更」とは、光源から照射する光の波長範囲を変更することであり、例えば異なる波長範囲の光を発する光源を別に設けて切り換えて変更したり、光源の前面に特定の波長範囲を透過する別のフィルターに切り換えて異なる波長範囲の光を透過したりする手段を挙げることができる。
「放射照度の設定又は変更」とは、光源から発する光の放射照度を任意の値に設定したり変更したりすることである。このような放射照度の設定又は変更は、眼がどの程度の受光実効分光放射照度を受けたかによって設定され又は変更されることが好ましい。本発明の評価方法に基づいて評価したOPN5の光効果の観点から十分な受光実効分光放射照度を受けた場合には、照射を停止してもよいし、放射照度を小さくしてもよい。一方、本発明の評価方法に基づいて評価したOPN5の光効果の観点からまだ不十分な受光実効分光放射照度を受けた場合には、放射照度を大きくしてもよい。具体的には、例えば波長360~400nmのバイオレットライトを発するバイオレットライトLED光源を用いた場合、通常は、眼に届く放射照度の下限値や上限値は特に限定されない。放射照度の下限値としては、好ましくは0.05W/m(5μW/cm)、より好ましくは0.10W/m、さらに好ましくは0.2W/mとすることができる。放射照度の上限値としては、好ましくは50W/m(5000μW/cm)、より好ましくは20W/m、さらに好ましくは10W/mとすることができる。実際の放射照度の範囲は、上記した下限値と上限値とを組み合わせた範囲とすることができ、そうした範囲で任意に放射照度を設定したり変更したりすることが好ましい。
「時間帯の設定又は変更」とは、光源から光を放射する時間帯を任意に設定したり変更したりすることである。時間帯の設定又は変更は、本発明の評価方法に基づいて評価したOPN5の光効果の観点からどの時間帯に光を照射すべきかによって設定され又は変更されることが好ましい。具体的には、例えば太陽が沈んだ夕方以降の場合には、OPN5吸収スペクトルの範囲の光が屋外で太陽からは得られないので、太陽が沈んだ夕方以降の時間帯には、サーカディアンリズムを乱さないという観点から、屋内での光を照射するような設定や変更は行わないことが望ましい。また、時間帯は任意に設定できるので、定期的又は間欠的な時間帯であってもよい。
「照射時間の設定又は変更」とは、光源から光を放射する照射時間を任意に設定したり変更したりすることである。照射時間の設定又は変更は、本発明の評価方法に基づいて評価したOPN5の光効果の観点からどの程度の時間の長さで光を照射すべきかによって設定され又は変更されることが好ましい。具体的には、例えば間欠的又は断続的に照射してもよい。なお、照射時間の設定や変更の場合は、放射強度も併せて設定されることが好ましい。
「光の指向性のコントロール手段」としては、例えば、1又は2以上の光源から発する光が前記眼に向かうように、光源の設置又は変更(必要に応じて拡散板又は反射板を設けた場合の光源の設置又は変更を含む。)、光源から発する光の角度の設定又は変更、光を拡散する拡散材が設けられた場合はその拡散材の拡散角及びその拡散材を利用する光源の設置又は変更、光を反射する反射材が設けられた場合はその反射材の反射角度調整及びその反射材を利用する光源の設置又は変更、から選ばれる1又は2以上の手段で調整されることが好ましい。この態様は、光の指向性のコントロール手段である。「指向性」は、OPN5の光効果の観点から重要な要素であり、例えばデスクワークの場合には、その視線の先に光源が眼に方向に向けて照射するように設けられていることが特に望ましい。また、図7に示すように、光の向きが「D」から「D’」に自動又は手動で変更できるようになっていることが好ましい。
「光源の設置又は変更」、「光源から発する光の角度の設定又は変更」、「光を拡散する拡散材の設置又は変更」、「光を反射する反射材の設置又は変更」は、いずれも光の向きを眼の方向に予め設置したり、任意の方向に変更することができるように設置したりすることが好ましい。
(用途)
本発明に係る光照射システムは、OPN5の光効果を効果的に達成するためのシステムであり、例えば、近視進行抑制(例えば眼軸長の伸長抑制)、近視の発生抑制、脈絡膜の厚さ、脳血流や神経系への影響、その他(精巣、皮膚等)への影響を評価する上で望ましい。
10 光源
11 反射材
12 センサー
D,D’ 光の向き
21 光測定装置
22 測定部
23 演算部
24 メモリ
25 表示部

Claims (8)

  1. OPN5吸収スペクトルのピーク波長と重なる波長域の波長の光であって該OPN5吸収スペクトルのピーク波長である380nmを含む光を照射する1又は2以上の光源を備え、
    前記光源が、前記光が直接眼に向けて照射される位置、視野に入る位置、視線方向の位置、拡散材で拡散した拡散光として眼に照射される位置、及び、反射材で反射した反射光として眼に照射される位置、から選ばれる1又は2以上の位置に配置されており、
    前記OPN5吸収スペクトルの全部又は一部の波長域において、受光する前記光のスペクトルの分光放射照度(W/m /nm)と前記OPN5吸収スペクトルデータの相対吸光度との波長ごとの積として受光実効分光放射照度(W/m /nm)が計算され、AM1.5Gで規定された太陽光スペクトルの分光放射照度(W/m /nm)と前記OPN5吸収スペクトルの相対吸光度との波長ごとの積として基準実効分光放射照度(W/m /nm)が計算され、
    前記波長域での比較の際には、前記受光実効分光放射照度(W/m /nm)をその波長域で積分をして受光実効放射照度(W/m )が求められ、同じ波長域で前記基準実効分光放射照度(W/m /nm)も同様に積分をして基準実効放射照度(W/m )が求められ、得られた前記受光実効放射照度と前記基準実効放射照度とが比較され、
    前記比較して得られた結果に基づいて、前記光源の設置位置、前記光の照射方向、前記光の波長範囲、前記光の放射照度、前記光の照射時間帯、及び前記光の照射時間、から選ばれる1又は2以上が調整される、ことを特徴とする光照射システム。
  2. 前記受光実効放射照度(W/m)に照射時間(秒)を乗じた受光実効ドーズ量(J/m)と、前記基準実効放射照度(W/m)に照射時間(秒)を乗じた基準受光実効ドーズ量(J/m)とが比較される、請求項に記載の光照射システム。
  3. 前記光源を備える光照射手段と、前記光のスペクトルデータが測定されるとともに該光のスペクトルデータと前記OPN5吸収スペクトルデータとが比較される光測定手段とで構成されている、請求項に記載の光照射システム。
  4. 前記光が、400nm以下又は410nm以下の波長の光である、請求項1又は2に記載の光照射システム。
  5. (i)前記光を直接眼に向けて照射する位置に前記光源が設けられている場合は、前記光源から人までの距離及び/又は角度によって前記光の放射照度が調整され、(ii)前記視野に入る位置又は前記視線方向の位置に前記光源が設けられている場合は、前記光源から人までの距離及び/又は角度によって前記光の放射照度が調整され、(iii)前記拡散材で拡散した拡散光として眼に照射する位置に前記光源が設けられている場合は、前記光源及び前記拡散材から人までの距離及び/又は前記拡散材の拡散角と透過率によって前記光の放射照度が調整され、(iv)反射材で反射した反射光として眼に照射する位置に前記光源が設けられている場合は、前記光源及び前記反射材から人までの距離及び/又は前記反射材の反射率によって前記光の放射照度が調整される、請求項1又は2に記載の光照射システム。
  6. 前記光源は、床(足下も含む。)、壁、天井(吊り下げも含む。)、その他の構造物に取り付けられた構造物取付型光源、机、テーブル、パーティション(間仕切り、衝立)、棚、卓上部材、パソコン、ディスプレイ、PCキーボード、テレビ、オーディオ、その他の機器若しくは設置物に取り付けられた設置物取付型光源、携帯型パソコン、タブレット、スマートフォン、その他の携帯端末の内蔵型若しくは取付型光源、視力矯正具、眼保護具、顔保護具、首吊り下げ具、耳掛け具、頭部取り付け具、その他の身体装具に取り付け又はアタッチメントで着脱可能な身体装具取付型光源、AR用、VR用又はMR用の機能機器(ゴーグル、ヘッドセット、その他の機能機器)に取り付けられた機能機器取付型光源、から選ばれる、請求項1又は2に記載の光照射システム。
  7. 前記光源は、手動又は自動により向き又は位置が調整される、請求項1又は2に記載の光照射システム。
  8. 前記測定は測定部で行われ、該測定部は、前記光を照射する前記光源の形態に基づいて、めがね、イヤホン、腕時計、胸章その他身体に装着される物品に設けられている、身体自体に装着されている、又は、身体の近傍若しくは周囲の設置物に取り付けられている、請求項1又は2に記載の光照射システム。
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