JP7534938B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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Description
[構成例]
図1は、本発明の一実施の形態に係るトランスを備えた電力変換装置1の一構成例を表すものである。この電力変換装置1は、直流電力を変圧するLLC共振コンバータである。電力変換装置1は、端子T11,T12と、端子T21,T22とを備えている。端子T11,T12は直流電源PDCに接続され、端子T21,T22は負荷LDに接続される。電力変換装置1は、直流電源PDCから供給された直流電力を変換し、変換された直流電力を負荷LDに供給するように構成される。
続いて、本実施の形態の電力変換装置1の動作および作用について説明する。
まず、図1を参照して、電力変換装置1の全体動作概要を説明する。電力変換装置1では、スイッチング回路12において、トランジスタ13,14がスイッチング動作を行うことにより、直流電源PDCから供給された直流電圧に基づいて交流電圧を生成する。トランス20は、この交流電圧を変成比Rにより変換する。整流回路17は、トランス20の巻線Ws1~Ws4のそれぞれから出力された交流電圧を整流することにより出力電圧を生成する。平滑回路18は、整流回路17から出力された出力電圧を平滑化する。
図5は、電力変換装置1におけるゲート信号G1,G2の波形例を表すものである。図6A,6Bは、電力変換装置1における電流の流れを表すものである。図6A,6Bでは、トランジスタ13,14を、その動作状態(オン状態もしくはオフ状態)を表すシンボルで示している。図7A,7Bは、磁気コア100の脚部111~114における磁束の向きを表すものである。
4つの脚部111~114における磁気抵抗は、互いに等しいことが期待される。しかしながら、例えば、製造ばらつきにより、脚部111~114におけるギャップGAPの大きさにばらつきが生じた場合や、脚部111~114の太さにばらつきが生じた場合や、脚部111~114の位置が所望の位置からずれた場合には、4つの脚部111~114における磁気抵抗に差が生じる可能性がある。この場合には、巻線Ws1~Ws4における電流アンバランスが生じる可能性がある。
GAP1 = 0.46 mm
GAP2 = 0.36 mm
GAP3 = 0.26 mm
GAP4 = 0.36 mm
Iseff1 = 8.9192 A
Iseff2 = 9.6198 A
Iseff3 = 8.9129 A
Iseff4 = 9.6133 A
本実施の形態に係る電力変換装置1では、後述する比較例の場合と比べて、実効値Iseff1~Iseff4は、互いに近い値である。実効値Iseff1~Iseff4の分散値は、“0.12”である。このように、電力変換装置1では、後述する比較例の場合と比べて、電流アンバランスを低減することができる。
次に、比較例に係る電力変換装置1Rと対比して、本実施の形態の効果について説明する。本比較例は、巻線Ws3,Ws4の巻き付け方が、本実施の形態の場合と異なるものである。
Iseff1 = 7.3327 A
Iseff2 = 10.673 A
Iseff3 = 7.3423 A
Iseff4 = 10.676 A
比較例に係る電力変換装置1Rでは、実効値Iseff1と実効値Iseff3とは互いに近い値であり、実効値Iseff2と実効値Iseff4とは互いに近い値である。しかしながら、実効値Iseff11,Iseff3と、実効値Iseff2,Iseff4との間に差が生じている。この実効値Iseff1~Iseff4の分散値は、“2.78”である。このように、電力変換装置1Rでは、電流アンバランスが大きくなってしまう。
以上のように本実施の形態では、脚部111、脚部112、脚部113、および脚部114に巻き付けられた巻線Wpと、脚部111および脚部112に巻き付けられた巻線Ws1と、脚部113および脚部114に巻き付けられた巻線Ws2と、脚部111および脚部114に巻き付けられた巻線Ws3と、脚部112および脚部113に巻き付けられた巻線Ws4とを設けるようにしたので、電流アンバランスを抑えることができる。
上記実施の形態では、ダイオードD1~D4のカソードを、巻線Ws1~Ws4の一端にそれぞれ接続したが、これに限定されるものではなく、例えば、図12に示す電力変換装置1Aのように、ダイオードD1のカソードとダイオードD2のカソードとを互いに接続し、ダイオードD1,D2のカソードおよび巻線Ws1,Ws2の一端を互いに接続するとともに、ダイオードD3,D4のカソードおよび巻線Ws3,Ws4の一端を互いに接続してもよい。これにより、図13に示す回路シミュレーションのように、上記実施の形態の場合(図8)に比べて、電圧Vc1~Vc4の共振を抑えることができる。すなわち、上記実施の形態に係る電力変換装置1では、図8(G)~(J)に示したように、電圧Vc1~Vc4は振動し、この例では最大値が200V程度にまで上昇する。一方、本変形例に係る電力変換装置1Aでは、図13(G)~(J)に示したように、電圧Vc1~Vc4の振動を抑えることができ、この例では最大値を100V程度に抑えることができる。
上記実施の形態では、トランス20において、巻線Ws3を脚部111,114に巻き付けるとともに、巻線Ws4を脚部112,113に巻き付けたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、図14に示すトランス20Bのように、巻線Ws3を脚部111,113に巻き付けるとともに、巻線Ws4を脚部112,114に巻き付けてもよい。具体的には、巻線Ws3は、接続端子Ts31から接続端子Ts32に向かう方向において、脚部111,113のそれぞれに時計回りに1回巻き付けられる。巻線Ws4は、接続端子Ts41から接続端子Ts42に向かう方向において、脚部112,114のそれぞれに反時計回りに1回巻き付けられる。ここで、脚部111は、本開示における「第1の脚部」の一具体例に対応する。脚部112は、本開示における「第2の脚部」の一具体例に対応する。脚部114は、本開示における「第3の脚部」の一具体例に対応する。脚部113は、本開示における「第4の脚部」の一具体例に対応する。この場合でも、巻線Ws1~Ws4は、上記実施の形態の場合と同様に、互いにエネルギーを転送することができる。具体的には、例えば、巻線Ws1および巻線Ws2は、巻線Ws3および巻線Ws4を介して、互いにエネルギーを転送することができる。同様に、例えば、巻線Ws3および巻線Ws4は、巻線Ws1および巻線Ws2を介して、互いにエネルギーを転送することができる。これにより、エネルギーが高い巻線から、エネルギーが低い巻線へエネルギーを伝達することができるので、電流アンバランスを抑えることができる。
上記実施の形態では、図3(A)に示したように、巻線Wpを、接続端子Tp1から接続端子Tp2に向かう方向において、脚部111、脚部114、脚部113、脚部112、脚部111の順に巻き付けたが、これに限定されるものではなく、どの順に巻き付けてもよい。例えば、図16に示すトランス20Cのように、巻線Wpを、接続端子Tp1から接続端子Tp2に向かう方向において、脚部111、脚部113、脚部114、脚部112、脚部111の順に巻き付けてもよい。巻線Wpは、接続端子Tp1から接続端子Tp2に向かう方向において、脚部111,113のそれぞれに反時計回りに1回巻き付けられ、脚部112,114のそれぞれに時計回りに1回巻き付けられる。
上記実施の形態では、図3(A)に示したように、巻線Wpを、脚部111~114のそれぞれに1回巻き付けたが、これに限定されるものではなく、複数回巻き付けてもよい。以下に、巻線Wpを、脚部111~114のそれぞれに2回巻き付ける例について説明する。
上記実施の形態では、図3(B),(C)に示したように、巻線Ws1~Ws4のそれぞれを、2つの脚部のそれぞれに1回巻き付けたが、これに限定されるものではなく、複数回巻き付けてもよい。以下に、巻線Ws1~Ws4のそれぞれを、2つの脚部のそれぞれに2回巻き付ける例について説明する。
上記実施の形態では、個別部品であるインダクタ16を用いたが、これに限定されるものではなく、トランス20とインダクタ16とを複合化させた磁性部品を用いてもよい。以下に、本変形例について詳細に説明する。
上記実施の形態では、4つの脚部111~114をほぼ同じサイズになるように構成したが、これに限定されるものではない。以下に、本変形例について詳細に説明する。
上記実施の形態では、ダイオードD1~D4を用いて整流回路17を構成したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、図26に示す電力変換装置1Mのように、トランジスタを用いて整流回路を構成し、いわゆる同期整流を行うようにしてもよい。電力変換装置1Mは、整流回路17Mを備えている。整流回路17Mは、トランジスタ31,32,33,34を有している。トランジスタ31~34は、この例では、N型のMOS-FETである。トランジスタ31のソースは基準電圧線L22に接続され、ゲートには図示しない制御部によりゲート信号G31が供給され、ドレインはトランス20の巻線Ws1の一端に接続される。トランジスタ32のソースは基準電圧線L22に接続され、ゲートには図示しない制御部によりゲート信号G32が供給され、ドレインはトランス20の巻線Ws2の一端に接続される。トランジスタ33のソースは基準電圧線L22に接続され、ゲートには図示しない制御部によりゲート信号G33が供給され、ドレインはトランス20の巻線Ws3の一端に接続される。トランジスタ34のソースは基準電圧線L22に接続され、ゲートには図示しない制御部によりゲート信号G34が供給され、ドレインはトランス20の巻線Ws4の一端に接続される。トランジスタ31~34のそれぞれは、トランジスタの寄生素子である寄生ダイオードを含んでいる。例えば、トランジスタ31では、寄生ダイオードのアノードはトランジスタ31のソースに接続され、カソードはトランジスタ31のドレインに接続される。トランジスタ32~34についても同様である。トランジスタ31~34は、本開示における「第1の整流素子」、「第2の整流素子」、「第3の整流素子」、および「第4の整流素子」の一具体例にそれぞれ対応する。
上記実施の形態では、PFM(Pulse Frequency Modulation)を用いてスイッチング回路12の動作を制御したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、PWM(Pulse Width modulation)を用いてスイッチング回路の動作を制御してもよい。
上記実施の形態では、2つのトランジスタ13,14を用いてスイッチング回路12を構成したが、これに限定されるものではない。以下に、本変形例に係る電力変換装置1Nについて、詳細に説明する。
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい
Claims (9)
- 1または複数のスイッチング素子を有するスイッチング回路と、
前記スイッチング回路に接続された磁性部品と、
前記磁性部品に接続された整流回路と、
前記整流回路に接続された平滑回路と
を備え、
前記磁性部品は、
互いに対向する2つの基体部と、前記2つの基体部の対向面内に配置され、前記2つの基体部を磁気結合させる第1の脚部、第2の脚部、第3の脚部、および第4の脚部を有する磁気コアと、
前記第1の脚部、前記第2の脚部、前記第3の脚部、および前記第4の脚部に巻き付けられた第1の巻線と、
前記第1の脚部および前記第2の脚部に巻き付けられた第2の巻線と、
前記第3の脚部および前記第4の脚部に巻き付けられた第3の巻線と、
前記第1の脚部および前記第4の脚部に巻き付けられた第4の巻線と、
前記第2の脚部および前記第3の脚部に巻き付けられた第5の巻線と
を有し、
前記スイッチング回路は、前記磁性部品の前記第1の巻線に接続され、
前記整流回路は、前記磁性部品の前記第2の巻線、前記第3の巻線、前記第4の巻線、および前記第5の巻線に接続され、前記第2の巻線、前記第3の巻線、前記第4の巻線、および前記第5の巻線のそれぞれから出力された交流電圧を整流することにより出力電圧を生成し、
前記平滑回路は、前記出力電圧を平滑化する
電力変換装置。 - 第1の方向において、前記第1の脚部および前記第2の脚部はこの順に配置されるとともに、前記第4の脚部および前記第3の脚部はこの順に配置され、
第2の方向において、前記第1の脚部および前記第4の脚部はこの順に配置されるとともに、前記第2の脚部および前記第3の脚部はこの順に配置された
請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記第1の巻線は、前記第1の脚部および前記第3の脚部のそれぞれに第1の巻方向に巻き付けられるとともに、前記第2の脚部および前記第4の脚部のそれぞれに第2の巻方向に巻き付けられ、
前記第2の巻線は、前記第1の脚部および前記第2の脚部のそれぞれに、互いに逆方向に巻き付けられ、
前記第3の巻線は、前記第3の脚部および前記第4の脚部のそれぞれに、互いに逆方向に巻き付けられ、
前記第4の巻線は、前記第1の脚部および前記第4の脚部のそれぞれに、互いに逆方向に巻き付けられ、
前記第5の巻線は、前記第2の脚部および前記第3の脚部のそれぞれに、互いに逆方向に巻き付けられた
請求項2に記載の電力変換装置。 - 第1の方向において、前記第1の脚部および前記第2の脚部はこの順に配置されるとともに、前記第3の脚部および前記第4の脚部はこの順に配置され、
第2の方向において、前記第1の脚部および前記第3の脚部はこの順に配置されるとともに、前記第2の脚部および前記第4の脚部はこの順に配置された
請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記第1の巻線は、前記第1の脚部および前記第4の脚部のそれぞれに第1の巻方向に巻き付けられるとともに、前記第2の脚部および前記第3の脚部のそれぞれに第2の巻方向に巻き付けられ、
前記第2の巻線は、前記第1の脚部および前記第2の脚部のそれぞれに、互いに逆方向に巻き付けられ、
前記第3の巻線は、前記第3の脚部および前記第4の脚部のそれぞれに、互いに逆方向に巻き付けられ、
前記第4の巻線は、前記第1の脚部および前記第4の脚部のそれぞれに、互いに同方向に巻き付けられ、
前記第5の巻線は、前記第2の脚部および前記第3の脚部のそれぞれに、互いに同方向に巻き付けられた
請求項4に記載の電力変換装置。 - 前記磁気コアは、第5の脚部をさらに有し、
前記第1の巻線は、前記第1の脚部、前記第2の脚部、前記第3の脚部、前記第4の脚部、および前記第5の脚部に巻き付けられた
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電力変換装置。 - 前記第1の巻線、前記第2の巻線、前記第3の巻線、前記第4の巻線、および前記第5の巻線は、基板に設けられた
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電力変換装置。 - 前記整流回路は、
前記磁性部品の前記第2の巻線と基準ノードとを結ぶ経路に設けられた第1の整流素子と、
前記磁性部品の前記第3の巻線と前記基準ノードとを結ぶ経路に設けられた第2の整流素子と、
前記磁性部品の前記第4の巻線と前記基準ノードとを結ぶ経路に設けられた第3の整流素子と、
前記磁性部品の前記第5の巻線と前記基準ノードとを結ぶ経路に設けられた第4の整流素子と
を有し、
前記磁性部品の前記第2の巻線は、前記第1の整流素子に接続された第1の端子と、接続ノードに接続された第2の端子とを有し、
前記磁性部品の前記第3の巻線は、前記第2の整流素子に接続された第1の端子と、前記接続ノードに接続された第2の端子とを有し、
前記磁性部品の前記第4の巻線は、前記第3の整流素子に接続された第1の端子と、前記接続ノードに接続された第2の端子とを有し、
前記磁性部品の前記第5の巻線は、前記第4の整流素子に接続された第1の端子と、前記接続ノードに接続された第2の端子とを有し、
前記平滑回路は、前記接続ノードに接続された第1の端子と、前記基準ノードに接続された第1の端子とを有するキャパシタを有する
請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記第2の巻線の前記第1の端子は、前記第4の巻線の前記第1の端子に接続され、
前記第3の巻線の前記第1の端子は、前記第5の巻線の前記第1の端子に接続された
請求項8に記載の電力変換装置。
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