JP7516045B2 - 筋骨格疾患のための再生・細胞療法 - Google Patents

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Description

特許法第30条第2項適用 ロッドマン アンド レンショー 第18回アニュアルグローバル インベストメント カンファレンス 開催日 平成28(2016)年9月13日
変形性関節症は進行性の消耗性関節疾患であり、関節炎の一形態としてよく見られる。変形性関節症は関節痛、腫脹および硬直を特徴とし、生活の質の低下と保健医療利用の増加を伴う。関節炎の病因は完全には解明されていないが、年齢、遺伝的要因および膝関節の外傷が重要なリスク決定因子であることが示されている。変形性関節症は、よく見られる疾患であり、身体に障害を引き起こし、治療に費用がかかるにも関わらず、構造的進行を阻止することができる治療法の開発は進んでおらず、現在までに認可されている疾患改善剤はない。
変形性関節症の患者では、変形性関節症の非罹患者と比べて軟骨欠損が急速に起こる。症候性変形性膝関節症を有する患者での脛骨における軟骨全欠損の年間発症率は4.4%~6.2%に達し、健常対象における年間発症率のほぼ2倍となっていることが示されている。軟骨の厚さおよび軟骨の表面積の悪化は、それぞれ独立して変形性関節症の進行に関連している。Collins, et al. (2016) Arthrit. Rheum. Apr. 25 doi: 10.1002/art.39731を参照されたい。したがって、軟骨欠損の進行の阻止もしくは遅延、および/または軟骨表面積における欠損の最小化は、疾患改善療法の標的となりうる。
骨棘(骨増殖体)は、関節縁に沿って形成される骨突起である。骨棘は、変形性関節症を起こした関節が損傷または摩耗した結果として形成されることが多い。一般に、骨棘によって関節運動が制限され、疼痛を引き起こすことが多い。変形性関節症の治療の一環として、骨棘の外科切除が行われている。Shin et al (2012), Knee Surg & Relat Res 24(4):187-192を参照されたい。現在まで、骨棘の形成を改善するための治療法は市場に出ていない。現在利用可能な治療法としては、抗炎症剤、筋弛緩・鎮痛剤、休息・リハビリテーション療法、ステロイド注射および外科手術がある。骨棘の形成を抑制し、かつその進行を遅延させるための治療法は、いまだ満たされていないニーズの1つである。
骨髄病変は、軟骨欠損のリスクを増加させ、X線所見に基づく変形性関節症の進行を加速させ、膝関節痛の発症を増加させることが示されている。過去の研究では、初期の症候性変形性膝関節症を有する対象が階段を上るときに起こる疼痛が、骨髄病変と有意に関連していることが示されている(Ip et al. (2011) J Rheumatol. 38:1079-1085)。骨髄病変は、変形性関節症を有さない対象の11%に見られ、X線画像所見が認められない前段階の変形性関節症を有する対象の38%に見られ、X線画像所見が認められる変形性関節症を有する対象の71%に見られた。縦断研究では、変形性膝関節症を有する患者の骨髄病変の変化が、膝関節痛の変動の方向と一致することが報告されている。Zhang, et al., (2011) Arthritis Rheum 63:691-699を参照されたい。また、過去のいくつかの研究では、骨髄病変が縮小するほど、より頻回に疼痛が解消したことから、変形性関節症の症状を管理するための新たな治療戦略および予防戦略が可能であることが示唆されている。現在まで、変形性関節症における骨髄病変の形成および/または成長の阻止を標的した治療法は存在しない。骨棘の形成を抑制し、かつその進行を遅延させるための治療法は、いまだ満たされていないニーズの1つである。
骨髄および/または脂肪組織などから得られた再生細胞が軟骨細胞に分化可能であることは、以前から知られている。また、再生細胞が、抗炎症性サイトカインや抗炎症性因子を分泌できることも示されている。このような理由から、いくつかの研究グループでは、変形性関節症を起こした関節において軟骨を再生し、かつ炎症を抑制する治療法の候補として、増殖培養した脂肪由来幹細胞と多血小板血漿(抗炎症特性を持つことが知られている物質)の併用が検討されている(Koh, et al. (2013) Arthroscopy 29: 748-55)。
本明細書は、損傷を受けた関節(たとえば変形性関節症を起こした関節)を再生細胞で治療することによって、軟骨欠損を示す膝関節の表面積の増加を抑制または遅延することができ、この結果、軟骨欠損の予防を向上することができたという驚くべき発見に一部基づく方法および組成物について述べる。また、本明細書で開示される実施形態は、損傷を受けた関節(たとえば変形性関節症を起こした関節)を再生細胞で治療することによって、関節における骨棘の形成を予防または遅延することができ、かつ関節における骨髄病変を予防および/または遅延することができたという驚くべき発見に一部基づく。
したがって、いくつかの実施形態において、関節の少なくとも1つの部位における軟骨欠損の悪化率を低下させる必要のある対象において、関節の少なくとも1つの部位における軟骨欠損の悪化率を低下させる方法であって、
少なくとも1つの関節に軟骨損傷を有する対象を特定する工程、および
前記対象に治療有効量の再生細胞を投与する工程
を含む方法を提供する。
さらに、軟骨損傷を有する関節の少なくとも1つの部位における軟骨欠損の悪化率を低下させるための再生細胞を提供する。いくつかの実施形態において、前記関節の少なくとも1つの部位は、変形性関節症を発症している。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、関節腔内に注射されるか、または関節腔内注射用に製剤化される。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は軟骨全層欠損を予防する。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は軟骨層部分欠損を予防する。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、軟骨全層欠損および/または軟骨層部分欠損を予防する。
いくつかの実施形態において、軟骨全層欠損を発症するリスクのある関節の部位において軟骨全層欠損の発症を予防する方法であって、
関節の少なくとも1つの部位において軟骨全層欠損を発症するリスクのある対象を特定すること、および
前記対象に治療有効量の再生細胞を投与すること
を含む方法を提供する。
さらに、軟骨全層欠損を発症するリスクのある関節の部位において軟骨全層欠損の発症を予防するための再生細胞を提供する。いくつかの実施形態において、軟骨全層欠損を発症するリスクのある前記関節の部位は、変形性関節症を発症している。いくつかの実施形態において、軟骨全層欠損を発症するリスクのある前記関節の部位は、前記再生細胞の投与前に軟骨欠損を有していない。いくつかの実施形態において、軟骨全層欠損を発症するリスクのある前記関節の部位は、前記再生細胞の投与前に(0%を超え)10%以下の軟骨欠損を有している。いくつかの実施形態において、軟骨全層欠損を発症するリスクのある前記関節の部位は、前記再生細胞の投与前に10~75%の軟骨欠損を有する。いくつかの実施形態において、軟骨全層欠損を発症するリスクのある前記関節の部位は、前記再生細胞の投与前に75%を超える軟骨欠損を有する。いくつかの実施形態において、前記再生細胞の投与後、該再生細胞によって、少なくとも24週間、少なくとも48週間、少なくとも52週間、少なくとも104週間、これよりも長い期間、またはこれらの期間のいずれか2つによって定義される範囲内の期間にわたって、軟骨全層欠損の発症が予防される。
いくつかの実施形態において、関節における骨髄病変の形成を予防するか、または遅延させる必要のある対象において、関節における骨髄病変の形成を予防するか、または遅延させる方法であって、
1種以上の骨髄病変を有する対象または1種以上の骨髄病変を発症するリスクのある対象を特定すること、および
前記対象に治療有効量の再生細胞を投与すること
を含む方法を提供する。
さらに、関節における骨髄病変の形成を予防するか、または遅延させるための再生細胞を提供する。いくつかの実施形態において、前記関節は変形性関節症を発症している。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、関節腔内に注射されるか、または関節腔内注射用に製剤化される。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、既存の骨髄病変の大きさの増加を抑制する。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、前記関節の骨髄病変スコアの上昇を阻止するか、または最小限に抑える。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、軟骨全層欠損および/または軟骨層部分欠損を予防する。
前記実施形態のいずれにおいても、前記再生細胞は、脂肪由来再生細胞、骨髄由来再生細胞、胎盤由来再生細胞、ワルトン膠質由来再生細胞、羊膜由来再生細胞、臍帯由来再生細胞、皮膚由来再生細胞、角膜実質由来再生細胞、筋肉由来再生細胞、歯髄由来再生細胞、これらの任意の組み合わせのいずれであってもよい。前記再生細胞は、脂肪由来再生細胞であることが好ましく、脂肪由来幹細胞・始原細胞を含むことが好ましい。前記実施形態のいずれにおいても、前記再生細胞は凍結保存することができる。前記再生細胞は培養されたものでなくてもよく、別の実施形態では、前記再生細胞は培養されたものである。前記実施形態のいずれにおいても、前記再生細胞は、プラスチックに接着性を有する再生細胞であってもよい。前記実施形態のいずれにおいても、前記再生細胞は、前記対象由来の自己細胞であってもよい。前記実施形態のいずれにおいても、前記再生細胞は、前記対象と同種の細胞であってもよい。前記実施形態のいずれにおいても、前記再生細胞は、関節内もしくは関節の近傍に投与することができるか、または関節内もしくは関節の近傍への投与用に製剤化することができる。たとえば、前記実施形態のいずれにおいても、前記再生細胞は、関節内注射によって投与することができるか、または関節内投与用に製剤化することができる。
後述の実施例1に記載の、脂肪由来再生細胞を投与した対象およびプラセボを投与した対象において、軟骨全層欠損がないベースラインから軟骨全層欠損への悪化を示した膝関節の部位の割合(%)を示す棒グラフである。 後述の実施例1に記載の、脂肪由来再生細胞を投与した対象およびプラセボを投与した対象において、軟骨全層欠損または軟骨層部分欠損がないベースラインから軟骨全層欠損または軟骨層部分欠損が認められる面積の割合(%)が悪化した膝関節の部位の割合(%)を示す棒グラフである。 後述の実施例1に記載の、脂肪由来再生細胞を投与した対象およびプラセボを投与した対象のうち、膝関節の1箇所以上、2箇所以上、3箇所以上または4箇所以上の亜部位に軟骨全層欠損の悪化を示した対象の割合(%)を示す棒グラフである。 後述の実施例1に記載の、本明細書に記載の再生細胞で治療した対象およびプラセボを投与した対象のうち、膝関節の3箇所以上または4箇所以上の亜部位に軟骨全層欠損への悪化を示した対象の割合(%)を示す棒グラフである。 後述の実施例1に記載の、本明細書に記載の再生細胞で治療した対象およびプラセボを投与した対象のうち、3箇所以上の亜部位に軟骨全層欠損または軟骨層部分欠損の表面積の割合(%)の悪化を示した対象の割合(%)を示す棒グラフである。 後述の実施例1に記載の、脂肪由来再生細胞を投与した対象およびプラセボを投与した対象のうち、膝関節の中央の亜部位/内側の亜部位において軟骨全層欠損を有する亜部位の数が増加した対象の割合(%)を示す棒グラフである。 後述の実施例1に記載の、脂肪由来再生細胞を投与した対象およびプラセボを投与した対象のうち、膝関節の中央の亜部位/内側の亜部位において軟骨全層欠損または軟骨層部分欠損を有する表面積の割合(%)が増加した対象の割合(%)を示す棒グラフである。 後述の実施例1に記載の、脂肪由来再生細胞を投与した対象およびプラセボを投与した対象のうち、膝関節の中央の亜部位/内側の亜部位において軟骨全層欠損を有する亜部位の数が増加したか、または膝関節の中央の亜部位/内側の亜部位において軟骨全層欠損または軟骨層部分欠損の表面積が増加した対象の割合(%)を示す棒グラフである。 後述の実施例1に記載の、脂肪由来再生細胞を投与した対象およびプラセボを投与した対象のうち、ベースライン時に明瞭な軟骨全層欠損が認められなかった膝関節の1箇所以上、2箇所以上、3箇所以上または4箇所以上の亜部位において軟骨全層欠損を発症した対象の割合(%)を示す棒グラフである。 実施例2に記載の、脂肪由来再生細胞を投与した対象およびプラセボを投与した対象のうち、骨棘の大きさを示すスコアが悪化した対象の割合(%)を示す棒グラフである。 実施例2に記載の、脂肪由来再生細胞を投与した対象およびプラセボを投与した対象において、(各部位に骨棘が認められない)ゼロのベースラインから骨棘の増大による悪化を示した膝関節の亜部位の割合(%)を示す棒グラフである。 実施例2に記載の、脂肪由来再生細胞を投与した対象およびプラセボを投与した対象のうち、ベースライン時に骨棘が認められなかった膝関節の部位に骨棘を形成した対象の割合(%)を示す棒グラフである。 実施例3に記載の、脂肪由来再生細胞を投与した対象およびプラセボを投与した対象のうち、ベースライン時に骨髄病変が認められなかった膝関節の2箇所以上または3箇所以上の亜部位において骨髄病変を発症した対象の割合(%)を示す棒グラフである。 実施例3に記載の、脂肪由来再生細胞を投与した対象およびプラセボを投与した対象のうち、ベースライン時の2未満のBMLスコアが2以上に悪化した対象の割合(%)を示す棒グラフである。
本明細書で開示する実施形態は、損傷を受けた関節に対して再生細胞が有益な効果を発揮するという驚くべき発見に一部基づく。具体的には、再生細胞が、軟骨欠損を予防したり、損傷を受けた関節において軟骨が欠損した表面積の増加を抑制したりすることができることが見出された。また、再生細胞が、新たな骨棘の形成を予防し、損傷を受けた関節において骨棘の成長を遅延させることができることが見出された。さらに、再生細胞が、新たな骨髄病変の形成を予防し、骨髄病変の増大を抑制および/または遅延し、骨嚢胞以外の骨髄病変の割合(%)を最小限に抑えることができることが見出された。
用語の定義
本明細書において、記載された数値に関して「約」という用語が使用される場合、この数値の±10%以内の数値を示すものとする。
本明細書において「由来する」とは、単離された形態、または別の方法で精製された形態もしくは分離された形態を意味する。たとえば、脂肪に由来する幹細胞およびその他の再生細胞は、脂肪組織から単離されたものである。このように、「由来する」という用語は、組織(たとえば脂肪組織)から直接単離された細胞から(たとえば、分裂細胞の大部分が、3回、4回、5回またはこれ以下の回数の細胞分裂を経ることが可能な培養条件下で)拡大培養された細胞を含まず、初代単離細胞から培養または増殖された細胞も含まない。したがって、脂肪に由来する幹細胞およびその他の再生細胞ならびにこれらの組み合わせを包含する「脂肪由来細胞」という用語は、脂肪組織から得られ、拡大培養されていない細胞を指し、たとえば、脂肪組織マトリックスから分離された「天然の」形態である。
本明細書において、当技術分野で一般に使用されているアッセイを使用して特定のマーカーが検出可能な場合、細胞は該マーカーに対して「陽性」である。たとえば、脂肪に由来する幹細胞または再生細胞において、たとえばCD73は、(たとえばアイソタイプコントロールや、任意のアッセイのための実験用ネガティブコントロールと比較して)バックグラウンドよりも高い量で検出可能であることから、脂肪由来再生細胞はCD73陽性である。さらに、少なくとも1種の他の細胞から特定の細胞を識別するためにマーカーを使用することができる場合、あるいは特定の細胞に存在または発現しているマーカーを使用して該細胞を選択または単離できる場合、該細胞はマーカー陽性である。
本明細書において「再生細胞」は、本明細書で開示される実施形態に記載の系および方法を使用して得られ、器官単位、器官系、組織単位、組織系、生理的単位または生理系の構造または機能を完全再生、部分再生、回復もしくは置換するか、またはこれらに寄与することによって、治療上、構造上または美容上の利点を提供することができる不均一な細胞集団または均一な細胞集団を指す。再生細胞の例としては、成体幹細胞、内皮細胞、内皮前駆細胞、内皮始原細胞、マクロファージ、線維芽細胞、周皮細胞、平滑筋細胞、前脂肪細胞、分化脂肪細胞、脱分化脂肪細胞、角化細胞、単能性始原細胞、多能性始原細胞、単能性前駆細胞、多能性前駆細胞(およびこれらの子孫細胞)ならびに/またはリンパ球が挙げられる。
したがって、本明細書において「脂肪由来再生細胞」(「ADRC」)は、1種以上の脂肪由来再生細胞を含む不均一な細胞集団または均一な細胞集団を指す。脂肪由来再生細胞としては、脂肪由来幹細胞、内皮細胞(血管内皮細胞およびリンパ管内皮細胞を含む)、内皮前駆細胞、内皮始原細胞、マクロファージ、線維芽細胞、周皮細胞、平滑筋細胞、前脂肪細胞、角化細胞、単能性始原細胞、多能性始原細胞、単能性前駆細胞、多能性前駆細胞(およびこれらの子孫細胞)ならびに/またはリンパ球が挙げられる。脂肪由来幹細胞は、細胞培養に基づくアッセイ(CFU-Fアッセイ)を使用して測定した場合、脂肪由来再生細胞の細胞成分を少なくとも0.1%含み、たとえば、脂肪由来再生細胞の細胞成分を、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%もしくはこれ以上、またはこれらの割合(%)のいずれか2つによって定義される範囲内の量で含む。
同様に、「骨髄由来再生細胞」(「BMRC」)は、1種以上の骨髄由来再生細胞を含む不均一な細胞集団または均一な細胞集団を指す。骨髄由来再生細胞としては、骨髄由来幹細胞、内皮細胞(血管内皮細胞および/またはリンパ管内皮細胞を含む)、内皮前駆細胞、内皮始原細胞、マクロファージ、線維芽細胞、周皮細胞、平滑筋細胞、前脂肪細胞、角化細胞、単能性始原細胞、多能性始原細胞、単能性前駆細胞、多能性前駆細胞(およびこれらの子孫細胞)ならびに/またはリンパ球が挙げられる。
いくつかの文脈において、「始原細胞」は、1種以上の細胞に分化する能力を有する単能性、二能性または多能性の細胞を指し、分化した子孫細胞は、限定的な自己複製能を持つか、または自己複製能を持たず、1種以上の特定の機能を有する。本明細書で開示される始原細胞のいくつかは多能性であってもよい。
本明細書において「接着細胞」は、足場依存性を示す均一な細胞集団または不均一な細胞集団を指す。足場依存性とは、たとえば、インビトロで増殖するために表面への接着を必要とすることを言う。本開示の文脈において、「接着細胞」は、インビトロの培養条件に曝露された細胞を指す。
いくつかの文脈において、「脂肪組織由来細胞」は、成熟脂肪細胞および結合組織から活性な細胞成分(たとえば脂肪細胞および/または赤血球を含まない細胞成分)を分離する処理を行った脂肪組織から抽出された細胞を指す。この分離は、部分的であってもよく、完全なものであってもよい。すなわち、「脂肪組織由来細胞」は、いくつかの脂肪細胞および結合組織を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよく;凝集塊の形態または部分的に分解された形態のいくつかの細胞(たとえば、細胞外マトリックスによって結合された2種以上の細胞を含む血管またはリンパ管の断片)を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよく;いくつかの赤血球を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。このような画分を本明細書において、「脂肪組織由来細胞」、「脂肪由来細胞」、「脂肪由来再生細胞」または「ADC」と呼ぶ。通常、ADCは、脂肪組織に由来する細胞を洗浄および分離することによって得られた細胞のペレットを指す。このペレットは、通常、結合組織および脂肪組織からなるマトリックスから分離された細胞の懸濁液を濃縮することによって得られる。たとえば、前記ペレットは、脂肪由来細胞の懸濁液を遠心分離し、遠心分離容器の底に凝集した細胞(たとえば血管間質細胞画分)を単離することによって得ることができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の脂肪由来細胞集団は、白血球などの細胞を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の脂肪由来細胞集団は、内皮細胞などの再生細胞を含む。
いくつかの文脈において、「脂肪組織」は、脂肪細胞および血管細胞を含む複数種の細胞を含む組織を指す。脂肪組織は複数種の再生細胞を含み、具体的には、成体幹細胞(ASC)、内皮始原細胞、内皮前駆細胞、周皮細胞などを含む。したがって、脂肪組織は脂肪を指し、脂肪を蓄える結合組織を含む。
いくつかの文脈において、「脂肪組織単位」は、識別可能または測定可能な量の脂肪組織を指す。脂肪組織単位は、該単位の重量および/または体積を測定することによって決定してもよい。本開示において、脂肪組織単位は、対象から採取された脂肪組織の全体量を指してもよく、対象から採取された脂肪組織の全体量よりも少ない量を指してもよい。したがって、脂肪組織単位を別の脂肪組織単位と組み合わせて、それぞれの脂肪組織単位の重量または体積が合計された脂肪組織単位を作製してもよい。
いくつかの文脈において、「一部」は、全体よりも少ない量の材料を指す。副部は50%未満の量を指し、主要部は50%を超える量を指す。したがって、対象から採取された脂肪組織の全体量よりも少ない脂肪組織単位は、採取された脂肪組織の一部を指す。
「関節」は、対象における任意の関節を指してもよい。本明細書において述べる関節の具体例としては、たとえば、関節突起間関節;親指以外の指の手根中手関節;親指の手根中手関節;烏口鎖骨関節;肘関節;中手間関節;指節間関節;中手指節関節;手根中央関節;橈骨手根骨関節(手関節);遠位橈尺関節;中橈尺関節;近位橈尺関節;肩関節;胸鎖関節;手関節;顎関節;胸肋関節;胸骨剣軟骨結合;腰仙骨関節;仙腸関節;足関節;股関節;指節間関節;膝関節;中足指節関節;足根中足関節および/または椎間関節などが挙げられる。本明細書で開示される実施形態は、損傷(たとえば変形性関節症による損傷など)を受けやすい関節に特に有用であり、このような関節として、膝関節、脊椎、首の関節、背中の関節、親指の関節、足の親指の関節、手の関節および股関節;ならびに後足の関節(たとえば距骨下関節、距舟関節または踵立方関節)、中足の関節(たとえば楔状中足関節)および/または足の親指の関節(たとえば第一中足指節関節)が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において「軟骨欠損」は、関節の軟骨における任意の損傷を指し、たとえば、軟骨の全層に及ぶ損傷、軟骨の一部の層に留まる損傷、軟骨内の裂傷などが挙げられる。
本明細書において、「骨棘の形成」は、過去に(たとえば治療前に)骨棘が存在しなかった部位に骨棘が形成されること、または既存の骨棘が増大または悪化することを指す。本明細書において「関節の損傷」は、軟骨欠損、骨棘の形成、骨髄病変、および/または関節腔の狭窄などを示す関節を指す。関節の損傷としては、たとえば、変形性関節症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、線維筋痛症、痛風、偽痛風および/または機械的損傷(たとえば軟骨の裂傷など)を挙げることができる。
関節の治療方法
本明細書に記載の再生細胞は、関節の治療、たとえば損傷を受けた関節における疾患の進行の阻止および/または遅延に有利であることが示されている。「損傷を受けた関節」とは、変形性関節症を起こした関節;骨折、軟骨の裂傷、敗血症性関節炎、筋挫傷または捻挫などの損傷;痛風;関節リウマチ;骨髄炎;全身性エリテマトーデス;ウイルスを原因とする感染症;および/または膝蓋軟骨軟化症を指してもよい。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の再生細胞を使用して膝関節を治療する。したがって、いくつかの実施形態において、関節の悪化を改善するか、または最小限に抑える方法を提供する。一例として、いくつかの実施形態において、前記関節は膝関節であり、前記再生細胞によって、Hunter, et al., (2011) Osteoarthritis Cartilage 19(8): 990-1002などに記載されているMOAKSスコア(MRI Osteoarthritis of the Knee Score)の悪化が改善されるか、もしくは最小限に抑えられ;Peterfy, et al. (2004) Osteoarthritis Cartilage 12(3): 177-190などに記載されているWORMSスコア(Whole Organ Magnetic Resonance Imaging Score)の悪化が改善されるか、もしくは最小限に抑えられ;Hunter, et al. (2008) Ann Rheum Dis 67(2): 206-211などに記載されているBLOCKSスコア(Boston-Leeds Osteoarthritits Knee Score)の悪化が改善されるか、もしくは最小限に抑えられ;かつ/またはAlizai, et al. (2014) RNSA 271(2): 479-487などに記載されているCaLSスコア(Cartilage Lesion Score)の悪化が改善されるか、もしくは最小限に抑えられるなどの効果が得られる。いくつかの場合、関節の悪化の改善または最小化は、放射線写真撮影(たとえばX線写真撮影)または関節鏡観察で評価する。いくつかの実施形態において、前記関節は膝関節であり、前記再生細胞によって、半月板逸脱が予防および/または最小限に抑えられ;ホッファの滑膜炎が予防または最小限に抑えられ;滲出性滑膜炎が予防または最小限に抑えられるなどの効果が得られる。別の実施形態において、前記関節は股関節であり、前記再生細胞によって、Roemer, et al. (2011) Osteoarthritis Cartilage 19(8): 946-62などに記載されているHOAMSスコア(Hip osteoarthritis MRI-scoring)の悪化が改善されるか、もしくは最小限に抑えられ;Neumann, et al. (2007) Osteoarthritis Cartilage 15(8):909-17などに記載されている股関節OAスコアの悪化が改善されるか、もしくは最小限に抑えられ;Lee, et al. (2015) J. Magn. Reson. Imaging 41(6): 1549-57などに記載されているSHOMRIスコア(scoring of hip osteoarthritis with MRI)の悪化が改善されるか、もしくは最小限に抑えられ;またはこれらの効果の任意の組み合わせを達成することができる。一例として、いくつかの実施形態において、前記関節は手の関節であり、本明細書に記載の再生細胞によって、Haugen, et al. (2011) Annals Rheum Dis 70(6): 1033-8などに記載されているOHOA-MRIスコア(Oslo Hand Osteoarthritis MRI Score)の悪化が改善されるか、もしくは最小限に抑えられ;またはRamonda, et al. (2016) Rheumatol. 5:2079などに記載されているスコアの悪化が改善されるか、もしくは最小限に抑えられるなどの効果が得られる。別の実施形態において、前記関節は脊椎であり、本明細書に記載の再生細胞によって、Pfirmann et al. (2001) Spine. 26 (17): 1873-8, Griffith, et al. (2007) Spine 32(24): E708-12などに記載されているスコアの悪化が改善されるか、または最小限に抑えられるなどの効果が得られる。
軟骨欠損
本明細書において、関節(たとえば損傷を受けた関節)を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態において、関節の少なくとも1つの部位の軟骨を増加させる必要のある対象において、関節の少なくとも1つの部位の軟骨を増加させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、関節の少なくとも1つの部位の軟骨欠損の悪化率を低下させる必要のある対象において、関節の少なくとも1つの部位の軟骨欠損の悪化率を低下させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、前記再生細胞によって、膝関節、手の関節、股関節、肩関節、肘関節、指関節、足指関節もしくは脊椎またはこれらの任意の組み合わせにおける軟骨欠損が予防されるか、またはこれらの関節における軟骨欠損の悪化率が低減される。したがって、いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、関節において軟骨欠損の悪化を示す部位または亜部位の数を低減させることができる。いくつかの実施形態において、ベースライン時に損傷(たとえば少なくともいくつかの軟骨欠損)を有している特定の亜部位は、未治療対象/未治療関節と比較して経時的に悪化しないか、またはベースライン時よりも悪化度が低くなる。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、いくつかの軟骨欠損を示す関節(たとえば、このような関節の特定の部位または亜部位)の表面積の割合(%)の増加を抑制したり、阻止したり、最小限に抑えることができるか、または軟骨欠損(たとえば軟骨部分欠損もしくは軟骨全層欠損または軟骨の裂傷)を示す関節の表面積の割合(%)を最小限に抑えたりすることができる。換言すれば、本明細書に記載の再生細胞は、軟骨欠損(たとえば軟骨部分欠損および/もしくは軟骨全層欠損または軟骨の裂傷)を有する関節または関節の亜部位の表面積の増加を有利に低減したり、最小限に抑えたりすることができる。
いくつかの実施形態において、前記関節は膝関節であり、膝関節のいくつかの亜部位において軟骨欠損を評価する。たとえば、いくつかの実施形態において、膝関節の亜部位、すなわち、大腿骨外側中央部、大腿骨後外側部、大腿骨後内側部、大腿骨外側滑車部、大腿骨内側滑車部、膝蓋骨外側部、膝蓋骨内側部、脛骨前外側部、脛骨外側中央部、脛骨後外側部、脛骨前内側部、脛骨内側中央部および/または脛骨後内側部の1箇所以上または任意の2箇所以上の組み合わせにおいて膝関節の軟骨欠損を評価する。
軟骨欠損は、たとえば当技術分野で十分に確立されている方法を使用して採点することができ、このような方法として、たとえば、画像診断法(磁気共鳴イメージング、CTスキャン、X線、超音波、関節鏡観察など)が挙げられる。一例として、軟骨欠損は0~3の段階で採点することができ、ここで、スコア0は観察可能な軟骨欠損がないことを示し;スコア1は10%未満の軟骨欠損を示し;スコア2は10%~75%の軟骨欠損を示し;スコア3は75%を超える軟骨欠損を示す。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞は、スコア0からスコア1への悪化を予防する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞は、スコア0からスコア2への悪化を予防する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞は、スコア0からスコア3への悪化を予防する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞は、スコア1からスコア2への悪化を予防する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞は、スコア1からスコア3への悪化を予防する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞は、関節において軟骨欠損の悪化を示す亜部位の数を低減する。たとえば、いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、関節において軟骨欠損の悪化を示す亜部位の数または割合(%)を同じまま維持することができる(たとえば増加させたり、悪化させたりすることがない)。この点に関して、悪化している亜部位の数を、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%低下させることができるか、これ以下の割合(%)で低下させることができるか、またはこれらの割合(%)のいずれか2つによって定義される範囲内の割合(%)で低下させることができる。
いくつかの実施形態は、関節の少なくとも1つの部位に軟骨損傷を有する対象を特定する工程を含む。この特定は、対象自身(たとえば自己特定)または医療従事者(たとえば看護師、医師、医療補助者)によって行うことができる。軟骨損傷は、当技術分野で公知の適切な任意の方法によって評価することができ、このような方法として、X線画像診断、CTスキャンおよび/またはMRI画像診断、ならびに超音波が挙げられるが、これらに限定されない。
骨棘の形成
筋骨格疾患は、関節縁(骨棘症)と腱靭帯付着部(腱靭帯付着部骨棘の形成)の主に2箇所の部位における新たな骨の形成を伴うことが多い。骨棘は、変形性関節症に強く関連しており、恐らくは、異常な応力が関節縁にかかることによって形成されると考えられている。また、骨棘は、関節疾患とは無関係に、加齢に伴う現象として形成されることもある。過去の研究では、骨棘の存在と膝関節痛の関連性が報告されている。たとえば、Kaukienen et al. (2016) Osteoarthritis Cart. 24:1565-1576; Sowers, et al. (2011) J. Bone Joint Surg. Am. (20122) 93:241-251を参照されたい。
本明細書に記載の再生細胞によって、関節における骨棘の形成/成長を有利に阻止したり、抑制したり、最小限に抑えたりすることができる。いくつかの実施形態において、前記関節は膝関節である。いくつかの実施形態において、前記関節は手の関節である。いくつかの実施形態において、前記関節は股関節である。いくつかの実施形態において、前記関節は指関節である。いくつかの実施形態において、前記関節は肘関節である。いくつかの実施形態において、前記関節は足指関節である。いくつかの実施形態において、前記関節は脊椎の一部(たとえば椎間関節)である。いくつかの実施形態において、本明細書において提供される方法および組成物は、関節における骨棘の形成または成長を抑制することができる。たとえば、いくつかの実施形態において、前記関節は膝関節であり、前記再生細胞によって、膝関節、たとえば、大腿骨外側中央部、大腿骨後外側部、大腿骨内側中央部、大腿骨後内側部、大腿骨外側滑車部、大腿骨内側滑車部、脛骨顆間隆起下部、膝蓋骨内方部、膝蓋上部、膝蓋骨内側部、膝蓋骨外側部、脛骨外側部および/または脛骨内側部から選択される1箇所以上の亜部位における骨棘の形成および/または成長を阻止したり、抑制したり、最小限に抑えることができる。
たとえば、いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞は、骨棘の形成を予防する。したがって、いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、関節において、骨棘が形成される亜部位の割合(%)を減少させる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の再生細胞は骨棘を縮小させる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の再生細胞は、骨棘の成長を遅延させるか、または最小限に抑える。いくつかの実施形態において、骨棘の大きさは、骨棘の総体積ではなく突出(骨棘が関節からどの程度突き出ているのか)を反映する。いくつかの実施形態において、骨棘の大きさは、骨棘の総体積を反映する。いくつかの実施形態において、骨棘の大きさは、0~3の段階で採点することができ、0は、骨棘の形成が認められないことを示し、1は、小さな骨棘の形成が認められることを示し、2は、中程度の大きさの骨棘の形成が認められることを示し、3は、大きな骨棘の形成が認められることを示す。
いくつかの実施形態において、ベースライン時に1個以上の骨棘を有する特定の関節の亜部位は、(たとえば未治療関節と比較して)経時的に悪化しないか、またはベースライン時よりも悪化度が低くなる。骨棘の形成およびその大きさは、たとえば当技術分野で十分に確立されている方法を使用して採点することができ、このような方法として、たとえば、画像診断法(磁気共鳴イメージング、CTスキャン、X線および/または超音波)が挙げられる。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞は、スコア0からスコア1への骨棘の悪化を予防する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞は、スコア0からスコア2への骨棘の悪化を予防する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞は、たとえばHunter, et al. (2011) Osteoarthritis Cart. 19(8): 990-1002に記載の採点方法または当技術分野でよく使用されているその他の採点方法を使用して採点されたスコア0からスコア3への骨棘の悪化を予防する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞は、スコア1からスコア2への骨棘の悪化を予防する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞は、スコア1からスコア3への骨棘の悪化を予防する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞は、関節において骨棘の悪化を示す亜部位の数を減少させる。たとえば、いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、関節において骨棘の悪化を示す亜部位の数または割合(%)を同じまま維持することができる(たとえば増加/悪化させることがない)。この点に関して、悪化している亜部位の数を、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%低下させることができるか、これ以下の割合(%)で低下させることができるか、またはこれらの割合(%)のいずれか2つによって定義される範囲内の割合(%)で低下させることができる。
骨髄病変
骨髄病変すなわち「BML」は、MRI画像において、病変を示す高信号として軟骨下の骨部位に現れ、骨髄浮腫部位、骨髄線維化部位または骨髄壊死部位を示すことが多いと考えられている。BMLは、脂肪抑制法またはshort tau inversion recovery(STIR)法によるT2強調磁気共鳴画像において、高信号強度(SI)の病変部位として示されると報告されている。BMLは、造影増強MRIでも同様に観察することができる。組織学的には、BMLは、線維性血管組織を含む様々な非特徴的病変を示す。骨髄病変は、変形性膝関節症を有する対象または変形性関節症のリスクを有する対象において、疼痛と構造的進行に寄与することが知られている。たとえば、Guermazi, et al. (2011) Curr Opin. Rheumatol. 23(5): 484-491を参照されたい。骨髄病変の発生率は、変形性関節症の進行が早まる速度と関連付けられている。たとえば、骨髄病変を有する対象では、骨髄病変のない対象よりも有意に速い速度で関節腔が失われることが過去の研究で報告されている。Edwards et al (2016) J Rheumatol 43(3) 657-65を参照されたい。
本明細書に記載の再生細胞は、関節における骨髄病変の形成を予防し、かつ/または関節における骨髄病変の悪化を低減できることが望ましい。いくつかの実施形態において、前記関節は膝関節である。いくつかの実施形態において、前記関節は手の関節である。いくつかの実施形態において、前記関節は股関節である。いくつかの実施形態において、前記関節は肩関節である。いくつかの実施形態において、前記関節は肘関節である。いくつかの実施形態において、前記関節は指関節である。いくつかの実施形態において、前記関節は足指関節である。いくつかの実施形態において、前記関節は脊椎である。
いくつかの実施形態において、前記関節は膝関節であり、大腿骨外側中央部、大腿骨後外側部、大腿骨内側中央部、大腿骨後内側部、大腿骨外側滑車部、大腿骨内側滑車部、脛骨顆間隆起下部、膝蓋骨内方部、膝蓋上部、膝蓋骨内側部、膝蓋骨外側部、脛骨外側部および/もしくは脛骨内側部またはこれらの組み合わせにおいて骨髄病変を評価する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の再生細胞は、たとえば骨髄病変が検出されていない関節または関節の亜部位などにおける骨髄病変の形成を予防する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の再生細胞は、関節または関節の亜部位(たとえば骨髄病変を有さない関節または1個以上の骨髄病変を有する関節)に存在する骨髄病変の数の増加を抑制するか、またはその増加を最小限に抑える。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の再生細胞は、亜部位の体積に占める割合(%)として評価される関節の亜部位の骨髄病変(BML)の大きさの増加を抑制するか、または最小限に抑える。いくつかの実施形態において、BMLの大きさは、0~3の段階で採点することができる。たとえば、0は、BMLが認められないことを示してもよい。1は、亜部位の体積の33%未満のBMLが認められることを示してもよい。2は、亜部位の体積の33~66%のBMLが認められることを示してもよい。3は、亜部位の体積の66%を超えるBMLが認められることを示してもよい。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の再生細胞は、BMLスコア0から1への進行、BMLスコア0から2への進行、またはBMLスコア0から3への進行を阻止することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の再生細胞は、BMLスコア1から2への進行またはBMLスコア1から3への進行を阻止することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の再生細胞は、BMLスコア2から3への進行を阻止することができる。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、関節においてBMLの大きさの増加を示す亜部位の割合(%)を低下させる。この点に関して、悪化している亜部位の数を、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%低下させることができるか、これ以下の割合(%)で低下させることができるか、またはこれらの割合(%)のいずれか2つによって定義される範囲内の割合(%)で低下させることができる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の再生細胞は、BMLの大きさ(%)の増加を最小限に抑えることができるか、またはBMLの大きさ(%)の増加を阻止することができる。たとえば、いくつかの実施形態において、(骨嚢胞以外の)BMLであるBMLの大きさ(%)は、0~3の段階で採点することができる。たとえば、スコア0は、(骨嚢胞以外の)BMLであるBMLが認められないことを示してもよく;スコア1は、(骨嚢胞以外の)BMLであるBMLの大きさが33%を占めることを示してもよく;スコア2は、(骨嚢胞以外の)BMLであるBMLの大きさが33~66%を占めることを示してもよく;スコア3は、(骨嚢胞以外の)BMLであるBMLの大きさが66%を超えることを示してもよい。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の再生細胞は、BMLスコア0から1への進行、BMLスコア0から2への進行、またはBMLスコア0から3への進行を阻止することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の再生細胞は、BMLスコア1から2への進行またはBMLスコア1から3への進行を阻止することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の再生細胞は、BMLスコア2から3への進行を阻止することができる。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、関節においてBMLの大きさ(%)の悪化を示す亜部位の割合(%)を低下させる。この点に関して、悪化している亜部位の数を、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%低下させることができるか、これ以下の割合(%)で低下させることができるか、またはこれらの割合(%)のいずれか2つによって定義される範囲内の割合(%)で低下させることができる。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、関節においてBMLの数の悪化を示す亜部位の割合(%)を低下させる。いくつかの実施形態は、関節の骨髄病変スコアの上昇を阻止するか、または最小限に抑える必要のある対象において、関節の骨髄病変スコアの上昇を阻止するか、または最小限に抑える方法に関する。いくつかの実施形態において、骨髄病変スコアは、当技術分野でよく使用されている方法を使用して算出することができる。骨髄病変スコアは、たとえば、Nielsen, et al. (2014) BMC Musculoskel Disorders 15:447;Peterfy, et al. (2004) Osteoarthr Cartil. 12: 177-190;Kornaat et al. (2005) Skelet Radiol. 34: 95-102;Hunter , et al. (2011) Osteoarthr Cartil. 19: 990-1002;Hunter et al. (2008) Ann Rheum Dis. 67: 206-211などに記載されているが、これらの文献に記載されているものに限定されない。
投与方法
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、再生細胞を含む治療有効量の組成物を対象に投与することを含む。本明細書において、「治療有効量」は、損傷を受けた関節において軟骨欠損を緩和もしくは予防するのに十分な量、または損傷を受けた関節において軟骨欠損の進行を緩和もしくは阻止するのに十分な量を指す。また、「治療有効量」は、損傷を受けた関節において骨棘の形成を軽減もしくは予防するのに十分な量、または損傷を受けた関節において既存の骨棘の成長を阻止または遅延するのに十分な量を指すこともできる。いくつかの実施形態において、「治療有効量」は、損傷を受けた関節において骨髄病変の形成を予防するのに十分な量および/もしくは損傷を受けた関節において骨髄病変の増大を阻止するのに十分な量、または損傷を受けた関節において骨髄病変中の骨嚢胞以外の病変の大きさを最小限に抑えるのに十分な量を指す。本明細書で開示される実施形態において使用される再生細胞の正確な用量は、当業者によって容易に決定することができる。
本発明の組成物の投与量および投与頻度は、たとえば、投与される細胞、患者の状態および投与方法によって変動する。治療用途において、本発明の組成物は、軟骨欠損、骨棘の形成または骨髄病変を軽減または少なくとも部分的に軽減するのに十分な量で、関節に損傷を受けた患者(たとえば関節に変形性関節症を発症した患者)に投与することができる。用量は、関節の種類および関節の損傷の程度;ならびに特定の対象の年齢、体重および全体的な状態および投与経路などの要因に左右されると考えられる。有効量は、インビトロ試験系または動物モデル試験系で求めた用量反応曲線から推定することができる。
いくつかの実施形態において、少なくとも1×10個の再生細胞を治療有効量とする。いくつかの実施形態において、少なくとも1×10個の再生細胞を治療有効量とする。いくつかの実施形態において、少なくとも1×10個の細胞を治療有効量とする。いくつかの実施形態において、少なくとも1×10個の再生細胞を治療有効量とする。いくつかの実施形態において、少なくとも1×10個の再生細胞を治療有効量とする。いくつかの実施形態において、少なくとも1×10個の再生細胞を治療有効量とする。いくつかの実施形態において、少なくとも1×10個の再生細胞を治療有効量とする。いくつかの実施形態において、少なくとも1×10個の再生細胞を治療有効量とする。いくつかの実施形態において、少なくとも1×1010個の再生細胞を治療有効量とする。いくつかの実施形態において、提供される再生細胞の量は、前記の細胞数のいずれか2つによって定義される範囲内の量である。いくつかの実施形態において、再生細胞の数が多いほど、小さな表面積の関節よりも大きな表面積の関節を効果的に治療することができる。いくつかの実施形態において、再生細胞の数が多いほど、小さい関節損傷よりも大きい関節損傷を効果的に治療することができる。
いくつかの実施形態において、前記再生細胞は幹細胞を少なくとも0.05%含む。たとえば、いくつかの実施形態において、前記再生細胞は幹細胞を少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1.0%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%もしくはこれ以上、またはこれらの割合(%)のいずれか2つによって定義される範囲内の量で含む。すなわち、いくつかの実施形態において、再生細胞集団に含まれる有核細胞のうち、幹細胞が占める割合は、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1.0%、少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも4%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも50%もしくはこれ以上の割合(%)、またはこれらの割合(%)のいずれか2つによって定義される範囲内の割合(%)である。
再生細胞
本明細書で開示される実施形態において、損傷を受けた関節を再生細胞で治療することによって、たとえば、軟骨欠損を予防または抑制し、骨棘の形成を予防および/または遅延し、かつ骨髄病変の形成を予防および/または遅延する。
前述したように、本明細書で開示される「再生細胞」集団は、器官単位、器官系、組織単位、組織系、生理的単位または生理系の構造または機能を完全再生、部分再生、回復もしくは置換するか、またはこれらに寄与することによって、治療上、構造上または美容上の利点を提供することができる均一な細胞集団または不均一な集団であってもよい。再生細胞の例としては、成体幹細胞、内皮細胞、内皮前駆細胞、内皮始原細胞、マクロファージ、線維芽細胞、周皮細胞、平滑筋細胞、前脂肪細胞、分化脂肪細胞、脱分化脂肪細胞、角化細胞、単能性始原細胞、多能性始原細胞、単能性前駆細胞、多能性前駆細胞(およびこれらの子孫細胞)ならびに/またはリンパ球が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で開示される再生細胞は、様々な組織から単離することができ、このような組織として、骨髄、胎盤、脂肪組織、皮膚、焼痂組織、子宮内膜組織、成体の筋肉、角膜実質、歯髄、ワルトン膠質、羊水および/または臍帯が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で開示される再生細胞は、当業者に公知の手段または今後発見されるであろう手段を使用して、前記組織から単離することができる。
一例として、再生細胞は、組織を切除または吸引採取する方法によって脂肪組織から単離することができる。切除または吸引採取された組織を洗浄し、酵素的または機械的に分解し、脂肪組織マトリックスと結合している細胞を遊離させることができる。さらに、遊離させた細胞を懸濁することができる。一例として、本明細書で開示される実施形態において有用な再生細胞は、米国特許第7390484号、米国特許第7585670号、米国特許第7687059号、米国特許第8309342号および米国特許第8440440号;米国特許出願公開第2013/0164731号、米国特許出願公開第2013/0012921号、米国特許出願公開第2012/0164113号および米国特許出願公開第2008/0014181号;国際特許出願公開WO2009/073724およびWO/2013030761など(これらの文献は参照によって本明細書に援用される)に記載の方法および/または装置を使用して単離することができる。
本明細書で開示される実施形態において有用な骨髄由来再生細胞を単離する方法は、たとえば、米国特許第5879940号;米国特許出願公開第2013/0101561号および米国特許出願公開第2013/0266541号;欧州特許出願公開EP2488632A1、EP0241578A2およびEP2624845A2;国際特許出願公開WO2011047289A1およびWO1996038482A(これらの文献は参照によって本明細書に援用される)に記載されているが、これらの文献に記載の方法に限定されない。
本明細書で開示される実施形態において有用な胎盤組織由来再生細胞を単離する方法は、たとえば、米国特許第8580563号;米国特許出願公開第20130040281号;国際特許出願公開WO2003089619A;Klein, et al. (2011) Methods Mol Biol. 698:75-88;Vellasamy, et al. (2012) World J Stem Cells 4(6): 53-61;Timmins, et al. (2012) Biotechnol Bioeng. 109(7):1817-26;Semenov, et al. (2010) Am J Obstet Gynecol 202:193-e.13など(これらの文献は参照によって本明細書に援用される)に記載されているが、これらの文献に記載の方法に限定されない。
本明細書で開示される実施形態において有用な皮膚由来再生細胞を単離する方法は、たとえば、Toma, et al. (2001), Nat Cell Biol. 3(9):778-84;Nowak, et al. (2009), Methods Mol Biol. 482:215-32;米国特許出願第2007/0248574号など(これらの文献は参照によって本明細書に援用される)に記載されているが、これらの文献に記載の方法に限定されない。
本明細書で開示される実施形態において有用な焼痂組織由来再生細胞を単離する方法は、たとえば、Van der Veen, et al. (2012), Cell Transplant. 21(5):933-42に記載されており、本明細書でも後述するが、これらの方法に限定されない。
本明細書で開示される実施形態において有用な子宮内膜組織由来再生細胞を単離する方法は、たとえば、米国特許出願公開第2013/0156726号、米国特許出願公開第2008/0241113号など(これらの文献は参照によってその全体が本明細書に援用される)に記載されているが、これらの文献に記載の方法に限定されない。
本明細書で開示される実施形態において有用な筋組織由来再生細胞を単離する方法は、たとえば、米国特許第6337384号、米国特許出願公開第2001/019966号、米国特許出願公開第2011/0033428号、米国特許出願公開第2005/0220775号など(これらの文献は参照によって本明細書に援用される)に記載されているが、これらの文献に記載の方法に限定されない。
本明細書で開示される実施形態において有用な角膜組織由来再生細胞を単離する方法は、たとえば、米国特許出願公開第2005084119号、Sharifi, et al. (2010) Biocell. 34(1):53-5など(これらの文献は参照によって本明細書に援用される)に記載されているが、これらの文献に記載の方法に限定されない。
本明細書で開示される実施形態において有用な歯髄由来再生細胞を単離する方法は、たとえば、米国特許出願公開第2012/0251504号、Gronthos, et al. (2011) Methods Mol Biol. 698:107-21;Suchanek, et al. Acta Medica (Hradec Kralove). 2007;50(3):195-201;Yildirm, Sibel, “Isolation Methods of Dental Pulp Stem Cells,” in Dental Pulp Stem Cells: Springer Briefs in Stem Cells, pp. 41-51, (c) 2013, Springer New York, New York, NYなど(これらの文献は参照によって本明細書に援用される)に記載されているが、これらの文献に記載の方法に限定されない。
本明細書で開示される実施形態において有用なワルトン膠質由来再生細胞を単離する方法は、たとえば、米国特許出願公開第2013/0183273号、米国特許出願公開第2011/0151556号、国際特許出願公開WO 04/072273A1、Sheshareddy, et al. (2008) Methods Cell Biol. 86:101-19、Mennan, et al. (2013) BioMed Research International, Article ID 916136、Corotchi, et al. (2013) Stem Cell Research & Therapy 4:81など(これらの文献は参照によって本明細書に援用される)に記載されているが、これらの文献に記載の方法に限定されない。
本明細書に記載の実施形態において有用な羊水由来再生細胞を単離する方法は、たとえば、米国特許第8021876号、国際特許出願公開WO2010/033969A1、WO2012/014247A1、WO2009/052132、米国特許出願公開第2013/0230924号、米国特許出願公開第2005/0054093号など(これらの文献は参照によって本明細書に援用される)に記載されているが、これらの文献に記載の方法に限定されない。
本明細書に記載の実施形態において有用な臍帯由来再生細胞を単離する方法は、たとえば、米国特許出願公開第20130065302号、Reddy, et al. (2007), Methods Mol Biol. 407:149-63、Hussain, et al. (2012) Cell Biol Int. 36(7):595-600、Pham, et al. (2014) Journal of Translational Medicine 2014, 12:56、Lee, et al. (2004) Blood 103(5): 1669-1675など(これらの文献は参照によって本明細書に援用される)に記載されているが、これらの文献に記載の方法に限定されない。
本明細書に記載の方法で使用される再生細胞および本明細書に記載の組成物に含まれる再生細胞は、幹細胞およびその他の再生細胞を含む不均一な細胞集団であってもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法で使用される再生細胞および本明細書に記載の組成物に含まれる再生細胞は、幹細胞および/または内皮前駆細胞を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は幹細胞および/または周皮細胞を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は幹細胞および/または白血球を含んでいてもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、前記再生細胞は幹細胞および/またはマクロファージを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は幹細胞および/またはM2マクロファージを含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は周皮細胞および/または内皮前駆細胞を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は血小板を含んでいてもよい。前記再生細胞は、幹細胞および内皮前駆細胞を含むことが好ましい。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、制御性T細胞(Treg細胞)などの制御性細胞を含んでいてもよい。
いくつかの実施形態において、前記再生細胞は脂肪由来細胞である。したがって、いくつかの実施形態において、脂肪由来細胞は、たとえば、脂肪に由来する幹細胞および内皮前駆細胞を含み、該脂肪由来再生細胞を使用して、軟骨欠損を緩和または低減するための方法および組成物、該脂肪由来再生細胞を使用して骨棘の形成を緩和または低減するための方法および組成物、ならびに該脂肪由来再生細胞を使用して骨髄病変を緩和または低減させる方法および組成物を提供する。
いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、使用前に培養されたものではない。一例として、いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、たとえば骨髄、胎盤、脂肪組織、皮膚、焼痂組織、子宮内膜組織、成体の筋肉、角膜間質、歯髄、ワルトン膠質、羊水、臍帯などの由来組織から単離された後、そのまま使用される。
いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、使用前に培養されたものである。たとえば、いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、「制限培養」されたものであり、すなわち、プラスチック非接着性細胞からプラスチック接着性細胞を分離して培養を行ったものである。したがって、いくつかの実施形態において、前記再生細胞は「接着性」の再生細胞である。脂肪組織から接着性の再生細胞を単離する方法は、たとえば、Zuk, et al. (2001)に記載されているが、この文献に記載の方法に限定されない。骨髄から接着性の再生細胞を単離する方法は、たとえば、Pereira (1995) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 92:4857-4861、Castro-Malaspina et al. (1980), Blood 56:289-30125;Piersma et al. (1985) Exp. Hematol. 13:237-243;Simmons et al., 1991, Blood 78:55-62;Beresford et al., 1992, J. Cell. Sci. 102:341-3 51;Liesveld et al. (1989) Blood 73:1794-1800;Liesveld et al., Exp. Hematol 19:63-70;Bennett et al. (1991) J. Cell. Sci. 99:131-139、米国特許第7056738号などに記載されているが、これらの文献に記載の方法に限定されない。
いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、インビトロにおいて3代を超える継代数まで培養されたものである。たとえば、いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、インビトロにおいて、4代、5代、6代、7代、8代、9代、10代、11代、12代、13代、14代、15代、16代、17代、18代、19代、20代、21代、22代、23代、24代、25代、26代、27代、28代、29代、30代、31代、32代、33代、34代、35代、36代、37代、38代、39代、40代もしくはこれを超える継代数、またはこれらの継代数のいずれか2つによって定義される範囲内にある継代数まで培養されたものである。
本明細書に記載の再生細胞は、当技術分野で公知の方法によって培養することができ、得られる培養細胞は、本明細書で具体的に説明した方法のいくつかにおいて使用することができる。たとえば、Ng, et al., (2004), Microvasc. Res. 68(3):258-64(この文献は参照によって本明細書に援用される)に記載されているように、再生細胞は、低濃度または高濃度のウシ胎仔血清またはその類似製品の存在下の内皮細胞基礎培地中において、コラーゲンコーティングディッシュ上または3Dコラーゲンゲル中で培養することができる。別の方法として、再生細胞は、別の種類の細胞外マトリックスタンパク質をコーティングしたディッシュ上で培養することもできる。使用してもよい細胞外マトリックスタンパク質としては、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチンおよびIV型コラーゲンが挙げられるが、これらに限定されない。また、培養容器への内皮細胞の接着を同様に促進するゼラチン、その他の化合物または支持体も再生細胞の培養に使用してもよい。
インビトロでの再生細胞の培養に使用することができる基礎培地としては、EGM、RPMI、M199、MCDB131、DMEM、EMEM、マッコイ5A、イスコフ培地および/もしくはイスコフ改変培地、または血管内皮細胞の増殖を補助することが当技術分野で知られているその他の培地または混合培地が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、前記再生細胞はEGM-2MV培地中で培養される。基礎培地にサプリメントとして添加することができ、再生細胞を培養するために使用することができる因子または化合物としては、アスコルビン酸、ヘパリン、内皮細胞増殖因子、内皮細胞成長サプリメント、グルタミン、HEPES、Nu血清、ウシ胎仔血清、ヒト血清、ウマ血清、血漿由来ウマ血清、鉄添加仔ウシ血清、ペニシリン、ストレプトマイシン、アムホテリシンB、塩基性線維芽細胞増殖因子、酸性線維芽細胞増殖因子、インスリン成長因子、アストロサイト馴化培地、線維芽細胞馴化培地、線維芽細胞様細胞馴化培地、炭酸水素ナトリウム、上皮成長因子、ウシ下垂体抽出物、硫酸マグネシウム、イソブチルメチルキサンチン、ヒドロコルチゾン、デキサメタゾン、ジブチリルサイクリックAMP、インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸ナトリウム、エストラジオール、プロゲステロン、成長ホルモン、アンジオジェニン、アンジオポエチン-1、Del-1、フォリスタチン、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、エリスロポエチン、肝細胞増殖因子(HGF)/分散因子(SF)、レプチン、ミッドカイン、胎盤増殖因子、血小板由来内皮細胞増殖因子(PD-ECGF)、血小板由来増殖因子-BB(PDGF-BB)、プレイオトロフィン(PTN)、プログラニュリン、プロリフェリン、トランスフォーミング増殖因子-α(TGF-α)、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)/血管透過性因子(VPF)、インターロイキン3(IL-3)、インターロイキン7(IL-7)、インターロイキン8(IL-8)、エフリンおよび/またはマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP2およびMMP9など)、または内皮細胞の生存、増殖もしくは分化を促進することが当技術分野で知られているその他の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
前記再生細胞のさらなる処理としては、(1種以上の再生細胞の)細胞増殖および/または細胞維持(細胞シートのリンスおよび培地交換を含む);継代培養;細胞播種;一時的なトランスフェクション(バルク供給されたトランスフェクト細胞の播種を含む);回収(酵素を使用した回収、酵素を使用しない回収、機械的擦過による回収を含む);細胞の生存能力の測定;プレートへの細胞の播種(たとえばマイクロタイタープレートへの播種であって、増殖培養を行うために各ウェルから細胞を選択すること、および新鮮な培地を入れたウェルに播種して細胞を増殖させることを含む);ハイスループットスクリーニング;細胞療法への適用;遺伝子療法への適用;組織工学への適用;治療用タンパク質への適用;ウイルスワクチンへの適用;細胞バンクでの保管、スクリーニング、細胞増殖の測定、細胞の溶解、細胞の接種、細胞の感染または細胞の誘導に使用するための再生細胞またはその上清の回収;細胞株の作製(ハイブリドーマ細胞を含む);膜透過研究のための細胞培養;RNAi耐性およびウイルス耐性の研究ための細胞;ノックアウト動物研究およびトランスジェニック動物研究のための細胞;アフィニティー精製研究;構造生物学への適用;ならびにアッセイの構築および/またはタンパク質工学への適用が挙げられる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の実施形態において有用な再生細胞を単離する方法としては、ポジティブ選択(標的細胞の選択)、ネガティブ選択(望ましくない細胞の選択除去)、またはその組み合わせを挙げることができる。本明細書および過去の文献に記載されているフローサイトメトリーによる分離に加えて、電荷または大きさなど(ただしこれらに限定されない)の数多くの様々なパラメータに基づいて(たとえば誘電泳動、様々な遠心分離法などによって)細胞を分離することができる。
一例として、本明細書で開示される治療方法において有用な再生細胞は、細胞マーカーおよび遺伝マーカーを様々に組み合わせることによって特定してもよい。たとえば、いくつかの実施形態において、前記再生細胞はCD90を発現する。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、有意な量のlinを発現しない。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、有意な量のckitを発現しない。いくつかの実施形態において、前記再生細胞はCD90+/lin-/ckit-/CD45-である。
いくつかの実施形態において、前記再生細胞はSTRO-1を発現する。いくつかの実施形態において、前記再生細胞はSTRO-1および/またはCD49dを発現する。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、STRO-1およびCD49dを発現し、かつCD29、CD44、CD71、CD90、C105/SH2および/またはSH3のうちの1種以上を発現する。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、STRO-1およびCD49dを発現し、かつCD29、CD44、CD71、CD90、C105/SH2および/またはSH3の1種以上を発現するが、CD106を低レベルでしか発現しないか、または検出可能な量のCD106を発現しない。
いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、STRO-1、CD49d、CD13、CD29、SH3、CD44、CD71、CD90および/もしくはCD105またはこれらの任意の組み合わせのうちの1種以上を発現する。一例として、いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、有意な量のCD31、CD34、CD45および/またはCD104を発現せず、検出可能な量のCD4、CD8、CD11、CD14、CD16、CD19、CD33、CD56、CD62E、CD106および/またはCD58を発現しない。
いくつかの方法において、前記再生細胞はCD14陽性および/またはCD11b陽性である。
いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、CD45(+)マーカーを発現する細胞が除去されている。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、グリコホリン-A(GlyA)を発現する細胞が除去されている。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、CD45(+)細胞およびGlyA(+)細胞が除去されている。
細胞のネガティブセレクション、たとえば不均一な細胞集団からの特定の種類の細胞の除去は、当技術分野でよく使用されている技術を使用して行うことができ、たとえば磁気マイクロビーズなどを利用して行うことができる。いくつかの実施形態において、前記再生細胞はCD34+である。
いくつかの実施形態において、前記再生細胞は凍結保存されない。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は凍結保存される。たとえば、いくつかの実施形態において、たとえばLiu, et al. (2010) Biotechnol Prog. 26(6):1635-43、Carvalho, et al. (2008) Transplant Proc.; 40(3):839-41、国際特許出願公開WO97/039104、WO03/024215、WO2011/064733、WO2013/020492、WO2008/09063、WO2001/011011および欧州特許EP0343217 B1に記載されているように、前記再生細胞は凍結保存細胞を含む。
いくつかの実施形態において、再生細胞は、軟骨が損傷を受けた関節(たとえば変形性関節症を起こした関節)を有する対象から単離される。
併用療法
以下でさらに詳細に説明するように、いくつかの実施形態は、併用療法、すなわち、本明細書に記載の再生細胞に加えて1種以上のさらなる添加物(たとえば、医療薬剤、生物学的薬剤またはその他の治療剤)を使用して対象を治療するために提供される。
いくつかの実施形態において、前記1種以上のさらなる「薬剤」は、前記再生細胞とともに単一の組成物の形態で投与することができる。いくつかの実施形態において、前記1種以上のさらなる「薬剤」は、前記再生細胞とは別々に投与することができる。たとえば、いくつかの実施形態において、前記1種以上のさらなる薬剤は、前記再生細胞を投与する直前または直後に投与することができる。本明細書において、「直前」は、15分以内、30分以内、1時間以内、2時間以内、3時間以内、4時間以内、5時間以内、またはこれらの時間のいずれか2つによって定義される範囲内の時間内を指してもよい。同様に、「投与の直後」は、15分以内、30分以内、1時間以内、2時間以内、3時間以内、4時間以内、5時間以内、またはこれらの時間のいずれか2つによって定義される範囲内の時間内を指してもよい。
本明細書に記載の方法における併用療法に有用なさらなる薬剤としては、たとえば、増殖因子、サイトカイン、多血小板血漿、ステロイド、非ステロイド性抗炎症剤、抗細菌剤および/または抗真菌剤、ならびに熱傷の治療に有益な効果を有することが当技術分野で知られているその他の薬剤が挙げられる。
1)増殖因子、サイトカインおよびホルモン
様々な増殖因子、サイトカインおよびホルモンは、たとえば熱傷における上皮の再形成および回復などにおいて有益な効果を有することが示されている。たとえばWenczak, et al. (1992) J. Clin. Invest. 90:2392-2401を参照されたい。
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞に加えて、1種以上の増殖因子、サイトカインもしくはホルモンまたはこれらの組み合わせを対象に投与することができる。たとえば、いくつかの実施形態において、前記再生細胞の投与と同時、投与前または投与後に増殖因子を投与する。本明細書で開示される実施形態において有用な増殖因子としては、アンジオジェニン、アンジオポエチン-1(Ang-1)、アンジオポエチン-2(Ang-2)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、カルジオトロフィン-1(CT-1)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、Del-1、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、フォリスタチン、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、グリア細胞株由来神経栄養因子(GDNF)、肝細胞増殖因子(HGF)、分散因子(SF)、インターロイキン-8(IL-8)、レプチン、ミッドカイン、神経成長因子(NGF)、ニューロトロフィン-3(NT-3)、ニューロトロフィン-4/5、Neurturin(NTN)、胎盤増殖因子、血小板由来内皮細胞増殖因子(PD-ECGF)、血小板由来増殖因子-BB(PDGF-BB)、プレイオトロフィン(PTN)、プログラニュリン、プロリフェリン、PBSF/SDF-1、トランスフォーミング増殖因子-α(TGF-α)、トランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、血管透過性因子(VPF)および/またはエリスロポエチン(たとえばTobalem, et a. (2012) Br. J. Surg. 99(9):1295-1303を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。
2)抗炎症剤
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞に加えて、1種以上の抗炎症剤を対象に投与する。本明細書において、「抗炎症剤」は、炎症を抑制する任意の化合物を指し、ステロイド、非ステロイド性抗炎症薬、および抗炎症作用を有することが実証されているその他の生物学的薬剤が挙げられるが、これらに限定されない。
したがって、いくつかの実施形態において、前記再生細胞の投与と同時に、投与前または投与後にステロイドを投与する。本明細書で開示される実施形態において有用なステロイドとしては、プロゲストーゲン(たとえばプロゲステロンなど);コルチコステロイド(たとえばプレドニゾン、アルドステロン、コルチゾールなど)、アンドロゲン(たとえばテストステロンなど)およびエストロゲンが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で開示される実施形態において有用なその他の抗炎症剤としては、たとえば、TNF-αもしくはIL-6の作用を抑制する抗体(たとえばSun, et al. (2012) Repair and Regeneration, 20(4): 563-572を参照されたい)、または抗TNF複合体(Sun, et al. (2012) Wound Repair Regen. 20(4): 563-572)が挙げられる。これらの抗炎症剤は、熱傷の回復に有益な効果を示すことが実証されている。
本明細書で開示される実施形態において有用な非ステロイド性抗炎症薬としては、プロピオン酸誘導体;酢酸誘導体;ビフェニルカルボン酸誘導体;フェナム酸誘導体;および/またはオキシカムが挙げられる。抗炎症活性化合物としては、アセトアミノフェン、ジクロフェナクおよび/もしくはジクロフェナクナトリウムおよびその他の塩;イブプロフェンおよびその塩;アセトアミノフェン、インドメタシン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロキシ酸および/またはelocon;ならびにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
3)抗酸化剤
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法および組成物は、前記再生細胞に加えて1種以上の抗酸化剤を投与することを含む。本明細書で開示される実施形態において有用な酸化防止剤としては、N-アセチルシステイン、curcumarin、ガラクトマンナン;ピルビン酸塩および/もしくはその他のα-ケト酸;チオグリコール酸塩;ビタミンAおよびその誘導体(レチノイン酸、レチニルアルデヒド、レチンA、レチニルパルミテート、アダパレンおよび/もしくはβ-カロテンを含む);ビタミンB(パンテノール、プロビタミンB5、パントテン酸および/もしくはビタミンB複合体因子);ビタミンC(アスコルビン酸およびその塩)およびその誘導体(アスコルビン酸パルミテートなど);ビタミンD(カルシポトリエン(ビタミンD3類似体)を含む);ビタミンE(構成成分であるα-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、トコトリエノールおよび/もしくはこれらの混合物、および/もしくはビタミンE誘導体(ビタミンEパルミテート、ビタミンEリノレートおよび/もしくはビタミンEアセテートを含む)を含む);ビタミンKおよびその誘導体;および/またはビタミンQ(ユビキノン);ならびにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
4)血小板含有液
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞に加えて多血小板血漿を対象に投与する。たとえば、いくつかの実施形態において、前記再生細胞の投与と同時に、投与前または投与後に血小板含有液を投与する。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞は、相乗有効量の血小板含有液と組み合わせられる。
本明細書において、「血小板含有液」は、血小板を含む液体を指し、生物学的液体であっても人工的液体であってもよい。このような液体としては、任意の媒体中に含まれ、ヒトまたはヒト以外の供給源に由来する様々な形態の全血、血漿、多血小板血漿、濃縮血小板などが挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、いくつかの実施形態において、血小板含有液は、血液、血小板、血清、濃縮血小板、多血小板血漿(PRP)、乏血小板血漿(PPP)、血漿および/または新鮮凍結血漿(FFP)を指す。
本明細書において「PRP」は、末梢血濃度よりも高い濃度で血漿液中に懸濁された血小板を指す。本明細書で開示される実施形態において有用なPRPを単離する方法は、当技術分野で公知である。たとえば、米国特許第8557535号、国際特許出願公開WO09/155069、米国特許出願公開US20100183561、US20030060352、US20030232712、US20130216626、US20130273008、US20130233803、US20100025342、欧州特許EP1848474B1などを参照されたい。血小板またはPRPは、血漿以外の賦形剤中に懸濁することもできる。いくつかの実施形態において、血小板組成物は、ヒトまたは非ヒト動物への投与に適したその他の賦形剤を含んでいてもよく、このようなその他の賦形剤として、等張塩化ナトリウム溶液、生理食塩水(physiological saline)、生理食塩水(normal saline)、水中5%デキストロース、水中30%デキストロース、乳酸加リンガー液などが挙げられるが、これらに限定されない。通常、本明細書の定義によるPRP中の血小板数は、500,000個~1,200,000個/mの範囲であり、さらにはこの範囲を超える量である。PRPは、自己由来の血小板供給源、同種由来の血小板供給源、プールされた血小板供給源および/または血漿を使用して得てもよい。PRPは、ヒト供給源を含む様々な動物の供給源から得てもよい。好ましい実施形態において、本発明によるPRPは、生理学的なpHに緩衝化されている。
投与方法
本明細書に記載の方法によって投与される組成物は、たとえば注射、たとえば、関節内注射、静脈内注射、動脈内注射、皮内注射、筋肉内注射、リンパ管内注射、リンパ節内注射、乳腺内注射、腹腔内注射、髄腔内注射、球後注射もしくは肺内注射(たとえば時間放出);経口送達、舌下送達、経鼻送達、経肛門送達、経膣送達もしくは経皮送達;および/または特定の部位への外科移植によって対象に導入することができる。この導入は、単回投与であってもよく、一定時間にわたる複数回投与であってもよい。この場合、複数回の導入は同じ機構によるものである必要はない。たとえば、いくつかの実施形態において、ある1回の導入は、前記再生細胞の関節内注射の形態であってもよく、別の1回の導入は血管内投与であってもよい。細胞療法薬の溶媒は当技術分野で公知であり、様々な文献に記載されている。たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th Ed. (1990, Mack Publ. Co, Easton Pa. 18042) pp 1435-1712(この文献は参照により本明細書に援用される)を参照されたい。無菌溶液は、本明細書に記載の様々な他の成分を添加して、または添加せずに、適切な緩衝液中に必要量の前記再生細胞を加えることによって調製される。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の再生細胞は、たとえば損傷を受けた関節や、変形性関節症を発症した関節などの関節に直接投与することができる。たとえば、いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞は、注射用に製剤化される。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書で開示される組成物は、関節内注射用、静脈内注射用、動脈内注射用、皮内注射用、筋肉内注射用、腹腔内注射用、胸骨内注射用、皮下注射用、リンパ節内注射用およびリンパ管内注射用、点滴用ならびに/または留置用に製剤化される。いくつかの実施形態において、本明細書で開示される組成物は、リンパ管内送達用に製剤化される。したがって、いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、関節(たとえば関節内など)に注射することができる。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、関節滑液に注射される。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、関節を含む組織または関節に隣接した組織(たとえば、関節滑膜内、脂肪体内、腱内および/もしくは靭帯内、隣接した皮内、皮下空間内ならびに/または筋肉内)に注射される。
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞は、たとえば損傷を受けた関節や、変形性関節症を起こした関節などの関節に隣接した部位に皮下注射または筋肉内注射される。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、たとえば損傷を受けた関節や、変形性関節症を起こした関節などの関節内および/またはその周辺に複数回用量(たとえば複数回注射)で投与するために製剤化される。いくつかの実施形態において、注射の回数は、関節の大きさに左右される。たとえば、いくつかの実施形態において、たとえば損傷を受けた関節や、変形性関節症を起こした関節などの関節の面積が大きいほど(および/または重症度が高いほど)、より多数の再生細胞が注射される。たとえば、いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞を関節内注射または関節周囲注射する面積は、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、20mm、30mm、40mm、50mm、60mm、70mm、80mm、90mm、1cm、5cm、10cm、20cm、30cm、40cm、50cm、60cm、70cm、80cm、90cmもしくは100cm、またはこれらの数値のいずれか2つによって定義される範囲内の面積である。たとえばJUVAPEN(商標)注射装置(Juvaplus,SA、スイス)などの、複数回用量の再生細胞の注射に適した様々な装置を使用して、本明細書で開示される実施形態による再生細胞を投与することができることを、当業者であれば容易に理解することができるであろう。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、単回注射による送達(たとえば単回の関節内注射)用に製剤化される。
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞は、単回または複数回の静脈内注射によって投与することができる。たとえば、いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、1分間、2分間、3分間、4分間、5分間、10分間、30分間、45分間、1時間、2時間もしくはこれよりも長時間にわたって、またはこれらの時間点のいずれか2つによって定義される範囲内の時間にわたって、単回の点滴静注によって投与することができる。
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞は、本明細書において別に述べる足場(たとえば、代替皮膚などの生体適合性合成マトリックスおよび生体適合性非合成マトリックスなど(ただしこれらに限定されない))に細胞を播種し、再生細胞を播種した足場を関節に移入することによって投与することができる。いくつかの実施形態において、足場(たとえば、代替皮膚などの生体適合性合成マトリックスおよび生体適合性非合成マトリックスなど(ただしこれらに限定されない))を熱傷に移植し、本明細書で開示される再生細胞を足場上に播種する。
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される再生細胞を含む組成物は、損傷発生後、5分以内、10分以内、15分以内、20分以内、30分以内、40分以内、50分以内、1時間以内、2時間以内、3時間以内、4時間以内、5時間以内、6時間以内、7時間以内、8時間以内、9時間以内、10時間以内、11時間以内、12時間以内、24時間以内、36時間以内、48時間以内、60時間以内、1週間以内、2週間以内もしくはこれよりも短い時間内(ただし0時間を除く)、またはこれらの時間のいずれか2つによって定義される範囲内の時間内に投与される。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、一定時間内に段階的に投与される(たとえば、各回において再生細胞を単回用量または複数回用量で対象に投与することができる)。たとえば、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の再生細胞は、12時間ごと、毎日、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、6日ごと、7日ごと、8日ごと、9日ごと、10日ごと、11日ごと、12日ごと、13日ごと、14日ごと、毎月、6ヶ月ごと、毎年、もしくはこれ以上の時間を空けて、またはこれらの時間のいずれか2つによって定義される範囲内の時間ごとに投与することができる。また、治療の頻度は様々に変動してもよい。対象は1日当たり1回以上(たとえば、1回、2回、3回、4回またはこれ以上)治療することができるか、または長時間経過ごと(たとえば、約2時間ごと、約4時間ごと、約6時間ごと、約8時間ごと、約12時間ごと、もしくは約24時間ごと、またはこれらの時間のいずれか2つによって定義される範囲内の時間ごと)に治療することができる。治療の経過に従って、治療の継続期間を様々に変更してもよく、たとえば、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、もしくはこれ以上、またはこれらの期間のいずれか2つによって定義される範囲内の期間にわたって治療を継続してもよい。たとえば、3日間にわたって1日2回治療を行うことができ、7日間にわたって1日2回治療を行うことができ、10日間にわたって1日2回治療を行うことができ、またはこれらの期間のいずれか2つによって定義される範囲内の期間にわたって1日2回治療を行うことができる。患者の組織が治癒および/またはリモデリングプロセスを経るに従って治療が継続されると期待されることから、治療サイクルを一定の間隔を空けて繰り返すことができる。たとえば、毎週、隔月または毎月治療を繰り返すことができ、また、治療を行わない期間を治療期間の間に挟むことができる。治療は、単回の治療であってもよく、対象の生涯(たとえば長年)にわたって継続してもよい。
本明細書で開示したように、前記再生細胞は、由来組織から単離した後、その後の処理を行わずに、または精製操作、改変操作、刺激操作もしくは細胞に変化を加えるその他の操作を行ってから、対象に提供したり、損傷を受けた組織またはその近傍に直接投与したりすることができる。たとえば、患者から得られた細胞を、投与前に該細胞を培養せずに該患者へと戻してもよい。いくつかの実施形態において、脂肪組織の採取および処理、ならびに得られた再生細胞の投与は、患者のベッドサイドで行われる。好ましい一実施形態において、前記再生細胞は、該再生細胞を移植する予定の患者の組織から抽出され(すなわち自己由来であり)、移植に対する抗原性応答および/または免疫原性応答に伴って起こりうる合併症を減らすことができる。いくつかの実施形態において、前記再生細胞は、別の対象から抽出された細胞または別の対象に由来する細胞であり、たとえば同種細胞である。
さらなる態様
以下、本明細書に記載の発明の好ましい態様のいくつかを提供する。
1.関節の少なくとも1つの部位における軟骨欠損の悪化を低減する必要のある対象において、関節の少なくとも1つの部位における軟骨欠損の悪化を低減する方法であって、
関節の少なくとも1つの部位において新たな軟骨欠損を発症するリスクまたは軟骨欠損が悪化するリスクのある対象を特定すること;および
前記対象に治療有効量の再生細胞を投与すること
を含む方法。
2.前記関節が、膝関節、手の関節、股関節、肘関節、指関節、脊椎、足関節および足指関節からなる群から選択される、前記態様1に記載の方法。
3.前記関節が膝関節である、前記態様2に記載の方法。
4.前記膝関節の前記少なくとも1つの部位が、大腿骨外側中央部、大腿骨後外側部、大腿骨後内側部、大腿骨外側滑車部、大腿骨内側滑車部、膝蓋骨外側部、膝蓋骨内側部、脛骨前外側部、脛骨外側中央部、脛骨後外側部、脛骨前内側部、脛骨内側中央部および脛骨後内側部からなる群から選択される、前記態様3に記載の方法。
5.関節の少なくとも1つの部位における軟骨欠損の悪化の低減が、軟骨全層欠損の悪化を低減することを含む、前記態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
6.関節の少なくとも1つの部位における軟骨欠損の悪化の低減が、軟骨層部分欠損の悪化を低減することを含む、前記態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
7.関節の少なくとも1つの部位における軟骨欠損の悪化の低減が、軟骨全層欠損および/または軟骨層部分欠損の悪化を低減することを含む、前記態様1~4のいずれか1つに記載の方法。
8.軟骨全層欠損を発症するリスクのある関節の部位において軟骨全層欠損の発症を低減する方法であって、
関節の少なくとも1つの部位において軟骨全層欠損を発症するリスクのある対象を特定すること;および
前記対象に治療有効量の再生細胞を投与すること
を含む方法。
9.前記関節が、膝関節、手の関節、股関節、肘関節、指関節、脊椎、足関節および足指関節からなる群から選択される、前記態様8に記載の方法。
10.前記関節が膝関節である、前記態様9に記載の方法。
11.前記膝関節の前記少なくとも1つの部位が、大腿骨外側中央部、大腿骨後外側部、大腿骨後内側部、大腿骨外側滑車部、大腿骨内側滑車部、膝蓋骨外側部、膝蓋骨内側部、脛骨前外側部、脛骨外側中央部、脛骨後外側部、脛骨前内側部、脛骨内側中央部および脛骨後内側部からなる群から選択される、前記態様10に記載の方法。
12.前記対象が、前記再生細胞の投与前に、前記関節において軟骨全層欠損のない少なくとも1つの部位を有している、前記態様8~11のいずれか1つに記載の方法。
13.軟骨全層欠損を発症するリスクのある前記部位が、前記再生細胞の投与前に軟骨全層欠損を有していない、前記態様8~11のいずれか1つに記載の方法。
14.軟骨全層欠損を発症するリスクのある前記部位が、前記再生細胞の投与前に10%未満の軟骨全層欠損を有する、前記態様8~11のいずれか1つに記載の方法。
15.軟骨全層欠損を発症するリスクのある前記部位が、前記再生細胞の投与前に10~75%の軟骨全層欠損を有する、前記態様8~11のいずれか1つに記載の方法。
16.軟骨全層欠損を発症するリスクのある前記部位が、前記再生細胞の投与前に75%を超える軟骨全層欠損を有する、前記態様8~11のいずれか1つに記載の方法。
17.軟骨全層欠損の発症の予防が、少なくとも24週間にわたって軟骨全層欠損を予防することを含む、前記態様8~11のいずれか1つに記載の方法。
18.軟骨全層欠損の発症の予防が、少なくとも48週間にわたって軟骨全層欠損を予防することを含む、前記態様8~11のいずれか1つに記載の方法。
19.軟骨全層欠損の発症の予防が、膝関節の部位において軟骨全層欠損の表面積を低下させることを含む、前記態様8~11のいずれか1つに記載の方法。
20.軟骨層部分欠損を発症するリスクのある関節の部位において軟骨層部分欠損の発症を低減する方法であって、
関節の少なくとも1つの部位において軟骨層部分欠損を発症するリスクのある対象を特定すること;および
前記対象に治療有効量の再生細胞を投与すること
を含む方法。
21.前記関節が、膝関節、手の関節、股関節、肘関節、指関節、脊椎、足関節および足指関節からなる群から選択される、前記態様20に記載の方法。
22.前記関節が膝関節である、前記態様21に記載の方法。
23.前記膝関節の前記少なくとも1つの部位が、大腿骨外側中央部、大腿骨後外側部、大腿骨後内側部、大腿骨外側滑車部、大腿骨内側滑車部、膝蓋骨外側部、膝蓋骨内側部、脛骨前外側部、脛骨外側中央部、脛骨後外側部、脛骨前内側部、脛骨内側中央部および脛骨後内側部からなる群から選択される、前記態様22に記載の方法。
24.前記対象が、前記再生細胞の投与前に、前記関節において軟骨層部分欠損のない少なくとも1つの部位を有している、前記態様20~23のいずれか1つに記載の方法。
25.軟骨層部分欠損を発症するリスクのある前記部位が、前記再生細胞の投与前に軟骨層部分欠損を有していない、前記態様20~23のいずれか1つに記載の方法。
26.軟骨層部分欠損を発症するリスクのある前記部位が、前記再生細胞の投与前に10%未満の軟骨層部分欠損を有する、前記態様20~23のいずれか1つに記載の方法。
27.軟骨層部分欠損を発症するリスクのある前記部位が、前記再生細胞の投与前に10~75%の軟骨層部分欠損を有する、前記態様20~23のいずれか1つに記載の方法。
28.軟骨層部分欠損を発症するリスクのある前記部位が、前記再生細胞の投与前に75%を超える軟骨層部分欠損を有する、前記態様20~23のいずれか1つに記載の方法。
29.軟骨層部分欠損の発症の予防が、少なくとも24週間にわたって軟骨層部分欠損を予防することを含む、前記態様20~23のいずれか1つに記載の方法。
30.軟骨層部分欠損の発症の予防が、少なくとも48週間にわたって軟骨層部分欠損を予防することを含む、前記態様20~23のいずれか1つに記載の方法。
31.軟骨層部分欠損の発症の予防が、膝関節の部位において軟骨欠損の表面積を低下させることを含む、前記態様20~23のいずれか1つに記載の方法。
32.関節の1つ以上の部位において骨棘の形成および/または成長を阻止するか、または遅延させる方法であって、
関節の1つ以上の部位に1個以上の骨棘を有する対象または関節の1つ以上の部位に1個以上の骨棘を形成するリスクのある対象を特定すること;および
前記対象に治療有効量の再生細胞を投与すること
を含む方法。
33.前記対象の骨棘を評価することをさらに含む、前記態様32に記載の方法。
34.前記関節の1つ以上の部位が、治療有効量の前記再生細胞の投与前に骨棘を有していない、前記態様32に記載の方法。
35.前記関節が、膝関節、手の関節、股関節、肘関節、指関節、脊椎、足関節および足指関節からなる群から選択される、前記態様32に記載の方法。
36.前記関節が膝関節である、前記態様32に記載の方法。
37.前記膝関節の前記少なくとも1つの部位が、大腿骨外側中央部、大腿骨後外側部、大腿骨内側中央部、大腿骨後内側部、大腿骨外側滑車部、大腿骨内側滑車部、脛骨顆間隆起下部、膝蓋骨内方部、膝蓋上部、膝蓋骨内側部、膝蓋骨外側部、脛骨外側部および脛骨内側部からなる群から選択される、前記態様32に記載の方法。
38.関節における骨髄病変の形成および/または増大を阻止するか、または遅延させる必要のある対象において、関節における骨髄病変の形成および/または増大を阻止するか、または遅延させる方法であって、
1種以上の骨髄病変を有する対象または1種以上の骨髄病変を発症するリスクのある対象を特定すること;および
前記対象に治療有効量の再生細胞を投与すること
を含む方法。
39.前記関節が、膝関節、手の関節、股関節、肘関節、指関節、脊椎、足関節および足指関節からなる群から選択される、前記態様38に記載の方法。
40.前記関節が膝関節である、前記態様39に記載の方法。
41.既存の骨髄病変の大きさの増加を阻止するか、または遅延させる方法であって、
関節の1つ以上の部位に骨髄病変を有する対象または関節の1つ以上の部位に骨髄病変を発症するリスクのある対象を特定すること;および
前記対象に治療有効量の再生細胞を投与すること
を含む方法。
42.前記関節が、膝関節、手の関節、股関節、肘関節、指関節、脊椎、足関節および足指関節からなる群から選択される、前記態様41に記載の方法。
43.前記関節が膝関節である、前記態様42に記載の方法。
44.前記膝関節の前記少なくとも1つの部位が、大腿骨外側中央部、大腿骨後外側部、大腿骨内側中央部、大腿骨後内側部、大腿骨外側滑車部、大腿骨内側滑車部、脛骨顆間隆起下部、膝蓋骨内方部、膝蓋上部、膝蓋骨内側部、膝蓋骨外側部、脛骨外側部および脛骨内側部からなる群から選択される、前記態様43に記載の方法。
45.骨嚢胞以外の骨髄病変の割合(%)の悪化を予防する必要のある対象の関節において、骨嚢胞以外の骨髄病変の割合(%)の悪化を予防する方法であって、
関節の1つ以上の部位に骨髄病変を有する対象を特定すること;および
前記対象に治療有効量の再生細胞を投与すること
を含む方法。
46.前記関節が、膝関節、手の関節、股関節、肘関節、指関節、脊椎、足関節および足指関節からなる群から選択される、前記態様45に記載の方法。
47.前記関節が膝関節である、前記態様46に記載の方法。
48.前記膝関節の前記少なくとも1つの部位が、大腿骨外側中央部、大腿骨後外側部、大腿骨内側中央部、大腿骨後内側部、大腿骨外側滑車部、大腿骨内側滑車部、脛骨顆間隆起下部、膝蓋骨内方部、膝蓋上部、膝蓋骨内側部、膝蓋骨外側部、脛骨外側部および脛骨内側部からなる群から選択される、前記態様47に記載の方法。
49.関節の骨髄病変スコアの上昇を阻止するか、または最小限に抑える必要のある対象において、関節の骨髄病変スコアの上昇を阻止するか、または最小限に抑える方法であって、
関節の1つ以上の部位に骨髄病変を有する対象または関節の1つ以上の部位に骨髄病変を発症するリスクのある対象を特定すること;および
前記対象に治療有効量の再生細胞を投与すること
を含む方法。
50.前記関節が、膝関節、手の関節、股関節、肘関節、指関節、脊椎、足関節および足指関節からなる群から選択される、前記態様49に記載の方法。
51.前記関節が膝関節である、前記態様50に記載の方法。
52.前記膝関節の前記少なくとも1つの部位が、大腿骨外側中央部、大腿骨後外側部、大腿骨内側中央部、大腿骨後内側部、大腿骨外側滑車部、大腿骨内側滑車部、脛骨顆間隆起下部、膝蓋骨内方部、膝蓋上部、膝蓋骨内側部、膝蓋骨外側部、脛骨外側部および脛骨内側部からなる群から選択される、前記態様51に記載の方法。
53.前記再生細胞が脂肪由来再生細胞である、前記態様1~51のいずれか1つに記載の方法。
54.前記再生細胞が、前記対象への投与前に培養されたものではない、前記態様1~51のいずれか1つに記載の方法。
55.前記再生細胞が、前記対象への投与前に凍結保存されたものである、前記態様1~51のいずれか1つに記載の方法。
56.前記投与が、関節腔内注射、または関節腔の近傍への注射を含む、前記態様1~51のいずれか1つに記載の方法。
57.前記関節が膝関節であり、前記投与が関節内注射を含む、前記態様56に記載の方法。
58.前記再生細胞が自己細胞である、前記態様1~51のいずれか1つに記載の方法。
59.前記再生細胞が同種細胞である、前記態様1~51のいずれか1つに記載の方法。
以下の実施例は、本発明の技術を適用してもよい特定の状態や状況を示すために提供するものであり、本発明の範囲および本開示に含まれる請求項を限定するものではない。
実施例1-変形性膝関節症を有する対象における軟骨欠損の最小化
変形性膝関節症を有する計94人の患者を二重盲検プラセボ対照用量漸増試験に登録し、変形性関節症の様々な様相に対する再生・細胞療法の効果を調査した。米国リウマチ学会の基準に従って一方または両方の膝に変形性関節症を有するとの診断を受けており、かつ画像診断により関節に変性性変化が認められた患者を本試験の適格者とした。すべての患者から局所麻酔下で少量の脂肪を吸引した。採取した吸引脂肪組織を、Cytori CELUTION(登録商標)細胞処理システムで処理し、関節内への即時投与用として脂肪由来再生細胞を単離し、濃縮した。
細胞処理を行った後、プラセボ群、低用量群(2000万個の細胞)および高用量群(4000万個の細胞)に患者を1:1:1の比率で無作為に分けた。
ベースライン時と治療の48週後に患者をMRIで撮影した。軟骨欠損について、膝関節の各部位、すなわち、大腿骨外側中央部、大腿骨後外側部、大腿骨後内側部、大腿骨外側滑車部、大腿骨内側滑車部、膝蓋骨外側部、膝蓋骨内側部、脛骨前外側部、脛骨外側中央部、脛骨後外側部、脛骨前内側部、脛骨内側中央部および脛骨後内側部を解析した。治療内容を知らされていない放射線専門医により膝関節の各部位を検査し、軟骨全層損傷を起こした部位の大きさ、および軟骨全層損傷または軟骨層部分損傷を起こした部位の大きさなどについて膝関節の軟骨損傷を調べた。この放射線専門医により軟骨欠損の深さ(%)を以下の0~3の段階で採点した。
0=なし
1=10%未満
2=10~75%
3=75%超
軟骨全層欠損および軟骨層部分欠損が表面積全体に占める割合(%)を以下の0~3の段階で採点した。
0=なし
1=各部位の軟骨の表面積全体の10%未満
2=各部位の軟骨の表面積全体の10~75%
3=各部位の軟骨の表面積全体の75%超
以下の表1に示すように、悪化を示した部位の発生率は、治療群よりもプラセボ群で高かった。特に、膝関節の亜部位に悪化を示した患者の割合(%)は、プラセボを投与した患者群よりも脂肪由来再生細胞による治療を受けた患者群の方が低かった。さらに、表1のデータから、膝関節の亜部位に軟骨全層欠損の悪化を示した患者の割合(%)は、プラセボを投与した患者群における割合(6.9%)よりも、脂肪由来再生細胞による治療を受けた患者群における割合(3.5%)の方が低かったことが分かる。
Figure 0007516045000001
図1は、軟骨全層欠損がないベースラインから軟骨全層欠損へと悪化した膝関節の亜部位の割合(%)が、プラセボを投与した患者群よりも脂肪由来再生細胞による治療を受けた患者群において低かったことを示す。
図2は、軟骨欠損がないベースラインから軟骨欠損部位の表面積の割合(%)が悪化した膝関節の部位の割合(%)が、プラセボ投与群よりも脂肪由来再生細胞による治療を受けた対象群において低かったことを示す。
図3は、(ベースライン値に関係なく)膝関節の複数の亜部位において軟骨全層欠損の悪化を示した割合が、プラセボ群よりも治療群において低かったことを示す。
図4は、複数の部位において軟骨全層欠損の悪化を示す対象の割合(%)が治療によって減少したことを示す。
図5は、3箇所以上の亜部位において軟骨欠損の表面積の割合(%)が悪化した対象の割合(%)が、治療によってプラセボ投与対象よりも減少したことを示す。
中央部/内側部に軟骨欠損を有する患者は、X線所見に基づく変形性関節症の進行のリスクのオッズ比が1.9倍であることが報告されている(Eckstein, et al. (2015) Arthrit. Rheum. 67(12): 3184-3189)。図6~8は、内側中央の亜部位に悪化を示した対象の割合(%)が、プラセボで治療した患者群よりも脂肪由来再生細胞で治療した患者群において低かったことを示す。
図9は、ベースライン時に軟骨全層欠損が認められなかった部位に軟骨全層欠損を発症した患者の発生率が治療によって低下したことを示す。
これらのデータから、脂肪由来再生細胞を使用した治療によって、損傷を受けた関節の軟骨欠損の悪化率を低下させることができ、たとえば、軟骨欠損の進行の悪化を抑えたり、軟骨欠損が認められなかった部位における軟骨欠損の発症を抑えたりすることができることが示された。さらに、有利なことに、脂肪由来再生細胞によって、膝関節の中央部/内側部における軟骨欠損の悪化が有意に抑えられた。
実施例2-骨棘形成の予防および/または遅延
変形性膝関節症を有する計94人の患者を二重盲検プラセボ対照用量漸増試験に登録し、変形性関節症の様々な様相に対する再生・細胞療法の効果を調査した。米国リウマチ学会の基準に従って一方または両方の膝に変形性関節症を有するとの診断を受けており、かつ画像診断により関節に変性性変化が認められた患者を本試験の適格者とした。すべての患者から局所麻酔下で少量の脂肪を吸引した。採取した吸引脂肪組織を、Cytori CELUTION(登録商標)細胞処理システムで処理し、関節内への即時投与用として脂肪由来再生細胞を単離し、濃縮した。
細胞処理を行った後、プラセボ群、低用量群(2000万個の細胞)および高用量群(4000万個の細胞)に患者を1:1:1の比率で無作為に分けた。
ベースライン時と治療の48週後に患者をMRIで撮影した。骨棘の大きさについて、膝関節の各部位、すなわち、大腿骨外側中央部、大腿骨後外側部、大腿骨内側中央部、大腿骨後内側部、大腿骨外側滑車部、大腿骨内側滑車部、脛骨顆間隆起下部、膝蓋骨内方部、膝蓋上部、膝蓋骨内側部、膝蓋骨外側部、脛骨外側部および脛骨内側部を解析した。
治療内容を知らされていない放射線専門医により膝関節の各部位の骨棘の大きさを検査した。この放射線専門医により、特定の部位において最も大きい骨棘の大きさを以下の0~3の段階で採点した。
0=なし
1=小さい
2=中程度
3=大きい
図10に示すように、総骨棘スコアの悪化を示した患者の割合(%)は、プラセボで治療した患者群よりも脂肪由来再生細胞で治療した患者群の方が低かった。
図11に示すように、ベースライン時に骨棘が認められなかった部位に骨棘が形成された割合(%)は、プラセボで治療した患者群よりも脂肪由来再生細胞で治療した患者群の方が低かった。
図12に示すように、ベースライン時に骨棘が認められなかった部位において骨棘が形成された割合(%)は、プラセボで治療した患者群よりも脂肪由来再生細胞で治療した患者群の方が低かった。
これらのデータから、脂肪由来再生細胞が、関節の1箇所以上の部位における骨棘の形成の予防または遅延に有用であることが示され、さらに、ベースライン時に骨棘が認められなかった部位における骨棘の形成が治療によって抑制されたことが示された。
実施例3-骨髄病変の形成の予防または遅延
変形性膝関節症を有する計94人の患者を二重盲検プラセボ対照用量漸増試験に登録し、変形性関節症の様々な様相に対する再生・細胞療法の効果を調査した。米国リウマチ学会の基準に従って一方または両方の膝に変形性関節症を有するとの診断を受けており、かつ画像診断により関節に変性性変化が認められた患者を本試験の適格者とした。すべての患者から局所麻酔下で少量の脂肪を吸引した。採取した吸引脂肪組織を、Cytori CELUTION(登録商標)細胞処理システムで処理し、関節内への即時投与用として脂肪由来再生細胞を単離し、濃縮した。
細胞処理を行った後、プラセボ群、低用量群(2000万個の細胞)および高用量群(4000万個の細胞)に患者を1:1:1の比率で無作為に分けた。
ベースライン時と治療の48週後に患者をMRIで撮影した。骨髄病変について、膝関節の各亜部位、すなわち、大腿骨外側中央部、大腿骨後外側部、大腿骨内側中央部、大腿骨後内側部、大腿骨外側滑車部、大腿骨内側滑車部、脛骨顆間隆起下部、膝蓋骨内方部、膝蓋上部、膝蓋骨内側部、膝蓋骨外側部、脛骨外側部および脛骨内側部を解析した。各亜部位の骨髄病変の数を測定し、0~10のスコアで採点した。スコア0は亜部位に骨髄病変がないことを示し、スコア10は亜部位に10個の骨髄病変があることを示す。骨髄病変の大きさ(骨髄病変に伴う骨嚢胞の体積を含む)を、該骨髄病変が認められた亜部位の体積に占める割合(%)として測定し、以下のように採点した。
0=なし
1=亜部位の体積の33%未満
2=亜部位の体積の33~66%
3=亜部位の体積の66%超
表2は、骨髄病変(BML)を評価するための様々なパラメータのスコアの合計(すべての部位における変化量の合計)において悪化を示した対象の割合(%)が、プラセボで治療した対象群よりも脂肪由来再生細胞で治療した対象群において低かったことを示す。
Figure 0007516045000002
図13に示すように、ベースライン時に骨髄病変が認められなかった複数の部位における骨髄病変の発症が、脂肪由来再生細胞による治療によって減少した。図14は、骨嚢胞以外の骨髄病変の大きさまたはその割合(%)が2未満のスコアから2以上のスコアに進行した部位の発生率が、脂肪由来再生細胞による治療によって低下したことを示す。2以上の骨髄病変スコアを示す患者は、変形性関節症の進行速度が増加する(関節腔の狭窄速度が増加する)ことが報告されている(Edwards et al., (2016) J Rheumatol 43(3) 657-65を参照されたい)。
これらの実験データから、脂肪由来再生細胞によって、骨髄病変(たとえば、骨髄病変の大きさ、骨嚢胞以外の骨髄病変の割合(%)、骨髄病変の数)の悪化が遅延し、骨髄病変の形成が予防されることが示された。
同等物
本明細書で開示された組成物および方法は、本明細書に記載の特定の実施形態によってその範囲が限定されるものではない。また、本明細書に記載されたもの以外の、本発明の組成物および方法の様々な変更も、本明細書の前述の説明から当業者には明らかであろう。このような変更は、添付の請求項の範囲内に含まれる。
様々な文献、特許および特許出願が本明細書において引用されており、これらの開示はその全体が参照によって本明細書に援用される。

Claims (10)

  1. 関節における骨髄病変の形成および/または増大を阻止するか、または遅延させるための、脂肪由来再生細胞(ADRCs)を含む医薬組成物であって、前記ADRCsが、採取した吸引脂肪組織を、Cytori CELUTION(登録商標)での細胞処理システムで処理し、単離し、濃縮して得られた細胞集団である、医薬組成物。
  2. 関節における既存の骨髄病変の大きさの増加を阻止するか、または遅延させるための、脂肪由来再生細胞(ADRCs)を含む医薬組成物であって、前記ADRCsが、採取した吸引脂肪組織を、Cytori CELUTION(登録商標)での細胞処理システムで処理し、単離し、濃縮して得られた細胞集団である、医薬組成物。
  3. 関節における骨嚢胞以外の骨髄病変の割合(%)の悪化を予防するための、脂肪由来再生細胞(ADRCs)を含む医薬組成物であって、前記ADRCsが、採取した吸引脂肪組織を、Cytori CELUTION(登録商標)での細胞処理システムで処理し、単離し、濃縮して得られた細胞集団である、医薬組成物。
  4. 関節の骨髄病変スコアの上昇を阻止するか、または最小限に抑えるための、脂肪由来再生細胞(ADRCs)を含む医薬組成物であって、前記ADRCsが、採取した吸引脂肪組織を、Cytori CELUTION(登録商標)での細胞処理システムで処理し、単離し、濃縮して得られた細胞集団である、医薬組成物。
  5. 前記関節が、膝関節、手の関節、股関節、肘関節、指関節、脊椎、足関節および足指関節からなる群から選択される、請求項1から4までのいずれか1項に記載の医薬組成物。
  6. 前記ADRCsが、培養されたものではない、請求項1から4までのいずれか1項に記載の医薬組成物。
  7. 前記ADRCsが、凍結保存されたものである、請求項1から4までのいずれか1項に記載の医薬組成物。
  8. 関節腔内または関節腔の近傍への注射に用いられる、請求項1から4までのいずれか1項に記載の医薬組成物。
  9. 膝関節内への注射に用いられる、請求項1から4までのいずれか1項に記載の医薬組成物。
  10. 前記ADRCsが自己細胞である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の医薬組成物。
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