JP7512207B2 - 核酸治療薬のための調節可能な共カップリングポリペプチドナノ粒子送達系の組成物および方法 - Google Patents

核酸治療薬のための調節可能な共カップリングポリペプチドナノ粒子送達系の組成物および方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7512207B2
JP7512207B2 JP2020565868A JP2020565868A JP7512207B2 JP 7512207 B2 JP7512207 B2 JP 7512207B2 JP 2020565868 A JP2020565868 A JP 2020565868A JP 2020565868 A JP2020565868 A JP 2020565868A JP 7512207 B2 JP7512207 B2 JP 7512207B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peptide
sirna
nanoparticle
polypeptide
nucleic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020565868A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021525508A (ja
Inventor
シャオヤン ルー,
パトリック ワイ. ルー,
ヴェラ シモネンコ,
デーヴィッド エム. エヴァンズ,
Original Assignee
サーナオミクス インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by サーナオミクス インコーポレイテッド filed Critical サーナオミクス インコーポレイテッド
Priority claimed from PCT/US2019/033829 external-priority patent/WO2019226940A1/en
Publication of JP2021525508A publication Critical patent/JP2021525508A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7512207B2 publication Critical patent/JP7512207B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

関連特許出願の相互参照
本出願は、2018年5月24日出願の米国仮特許出願第62/676,218号の利点および優先権を主張し、この全体を参照により本明細書に組み込む。
本発明は、核酸および医薬を哺乳動物細胞ならびにヒトおよび他の哺乳動物に送達するためのナノ粒子の調製において有用な特定のペプチドおよびポリペプチドに関する。
ヌクレオチドをベースとする医薬、例えば、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)およびDNAワクチンを含む、有力な新規のバイオ医薬では、哺乳動物における機能的RNAi経路の発見により、逆遺伝学のための強力なツールが、遺伝子機能を同定するための方法として提供されたため、RNAiが任意の遺伝子を発現抑制する可能性により、RNAiが魅力的な治療手法となった。最近、siRNAは、この配列特異的転写後遺伝子発現抑制能力のため、多くの疾患、例えば、がん、感染症、黄斑変性症、心血管疾患、神経系障害、および他の遺伝子関連疾患を治療するための有望な新規の治療候補となった。任意の遺伝子の発現を低減させるこれらの能力のため、siRNAは、「創薬不可能な」標的を含む多種多様な疾患を治療するための理想的な候補として期待されている。
しかし、有力な臨床薬としてのRNAiを制限している主な課題は、有効な送達ビヒクルの必要性である。有効な送達ビヒクルは、細胞に遭遇すると、搭載物を保護して輸送しなければならず、原形質膜を通過してRNAi機構が位置するサイトゾル区画に到達しなければならない。siRNAの細胞質への送達に対する重要な障壁は、(a)生細胞の透過性が、高分子量の分子、例えば、タンパク質およびオリゴヌクレオチドに対して非常に低いこと、(b)細胞膜が典型的には全体的に負荷電の2重層構造を典型的に有するため、負荷電siRNAが透過し、膜を越えて細胞に侵入することが非常に困難であること、(c)siRNAの安定性が低く、このためin vivoにおいて血漿に高濃度で存在する種々の酵素により非常に短期間に分解されること、(d)輸送されたsiRNA送達複合体がエンドソームから脱出してサイトゾルに移動し、この標的遺伝子に達することが、考慮すべき別の重要な事項であること、および(e)siRNAが外来物質として認識され、有害免疫作用を誘導し得ることが挙げられる。理想的な送達系によって、このような大多数の技術的課題に取り組み、所望の治療的利点を達成しなければならない。
最近では、イオン化可能なカチオン性脂質、例えば、1,2-ジリノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)を含む脂質ナノ粒子(LNP)を使用してsiRNAを肝臓に送達している。20件を超える臨床試験が、siRNAの臨床適用を評価するのに現在、進行中である。siRNAの局所送達の例としては、加齢黄斑変性症[AMD]のための眼内経路(Quark Pharmaceuticals社、血管新生促進因子、第II相);先天性爪肥厚症[PC]のための上皮経路(TransDerm社、ケラチン6a遺伝子、第Ib相);喘息症状のための肺経路(ZaBeCor Pharmaceuticals社、キナーゼSyk、第II相);呼吸器合胞体ウイルス[RSV]感染症のための経鼻経路(Alnylam Pharmaceuticals社、RSVヌクレオカプシドタンパク質、第II相);および家族性大腸腺腫症[FAP]のための経口経路(Marina Biotech社、βカテニン、第I/II相)によるものが挙げられる。siRNAの全身性送達の例としては、固形腫瘍のため(Tekmira Pharmaceuticals社、ポロ様キナーゼ1[PLK1]、第I相)および肝細胞癌のため(Alnylam Pharmaceuticals社、血管内皮増殖因子[VEGF]およびキネシン紡錘体タンパク質[KSP]、第I相)[3]のカチオン性脂質ナノ粒子である安定型核酸脂質粒子(SNALP)[1、2]の使用が挙げられる。その上、Arrowhead Research(Calando Pharmaceuticals社)では、B型肝炎ウイルス(HBV)感染症のためのコレステロールコンジュゲートsiRNAを使用する動的ポリコンジュゲート送達系(DPC)を開発した(第I相臨床治験)[4]。この送達系では、siRNAは、可逆的ジスルフィド結合により、ポリエチレングリコール(PEG)およびNアセチルガラクトサミンの肝細胞標的リガンドとともに、両親媒性ポリ(ビニルエーテル)(PBAVE)にコンジュゲートする。ナノ粒子送達系は、他の方法に勝る明白な利点を有する[5]。詳細には、脂質ナノ粒子(LNP)は、他の新興送達プラットフォームの中でもsiRNAの全身性送達における最も進歩した送達プラットフォームのうちの1つとなった[6]。
最近では、Sirnaomics Inc.(ゲイザースバーグ、MD州)では、2重siRNA(トランスフォーミング増殖因子ベータ、TGF-β1およびシクロオキシゲナーゼ-2、COX-2)の全身性送達のためのヒスチジン-リジンリッチポリペプチド送達系を開発し、肥厚性瘢痕の縮小および予防(第II相、臨床治験)ならびに肝線維症疾患または他の線維症疾患の治療のための相乗効果を達成した[7、8]。この送達系では、安定型ナノ粒子が、主に、静電相互作用および水素結合により、正荷電ポリペプチドと負荷電siRNAとの間で形成された。これは、現在の臨床治験において、良好な安全性および有効性を実証し、多重配列特異的標的siRNAを送達して、種々の疾患を治療する2重の治療目的を達成するための新規の送達系を代表する[9]。
本発明は、生分解性ポリペプチド(「HKC2-核酸送達系」と呼ぶ)を含み、これにより生体適合性ポリペプチドが、好ましい非共有結合性相互作用により核酸と複合して、ナノ粒子を形成する。ポリペプチドは、生体適合条件下のヒスチジン-リジンリッチペプチドにおける生分解性共有結合により、自己共有結合性に架橋する。この全体的デザインおよび送達系により、核酸のin vivoでの安定性および送達効率が向上し、特定の組織における発現抑制を得るための有効な手段として使用することができる。HKC2核酸送達系は、種々の疾患治療に適用可能な新規のナノ粒子送達担体であり、核酸をHKC2ペプチドと単独または分枝鎖ポリペプチド(HKP)からなる共送達物質の存在下で複合させることにより機能する。このペプチドは、適切な正電荷を有し、特異性の標的化および毒性の低減のためにさらに修飾することが可能な官能基を有する。
(A)特異的ペプチド配列、例えば、K(HHHK)4C-X-CまたはKHHHKHHHHKHHHKHHHKC-X-Cを有する、in situで架橋細胞を貫通するペプチド(CPP)であるHKCペプチドと(B)既に架橋したポリペプチドおよび選択されたsiRNAとの間のポリペプチドナノ粒子の形成と、この細胞内送達、ならびに細胞内還元化学物質GSHへの曝露時およびこの酵素的生成時のHKCポリペプチド-siRNAナノ粒子の細胞内放出機構とを示す図である。Xは、ペプチド配列内のリンカーであるか、または短い化学リンカーであり得る。 a)HKP(H3K4b)およびHKP(+H)分枝鎖ペプチドの構造、b)末端部位に位置する2つのシステインを有するH3K4C2(HKC2と略す)の構造、ならびにc)HKCの一般構造を示す図である。 C18逆相HPLCカラムを実行し、保持時間8.053で溶出するか、または水(0.065%TFA)とアセトニトリル(0.05%TFA)との間で生じる勾配>91%の場合のピークを有する、HKC2のHPLCクロマトグラムおよび積分表である。 1343[M]2+において二重荷電分子のイオンピークが観察されたことを実証する、HKC2の質量分析(ESI-MS、正イオン)を示す図である。 酸素またはDMSOを使用した酸化およびグルタチオンによる還元下での分解によって誘導された架橋によるHKCポリペプチド形成の機構を示す図である。 siRNAと複合し、特異的受容体を有する細胞への生成物の標的送達が可能となり得る、ポリペプチドナノ粒子PNPの表面に曝露された遊離チオールに対するチオール-マレイミド反応によるHKC2のデザインおよび標的化後のリガンド官能基付与を示す図である。侵入時、GSH(グルタチオン)によりS-S結合が細胞内で開裂すると、siRNAが放出され、siRNAに標的とされた遺伝子の発現抑制が可能となる。 動的光散乱装置(DLS)を使用して測定した、HKC2とTGFβ1との間で形成されたポリナノ粒子のサイズ分布を示す図である。HKC-siRNA粒子をサイズについて90plus Nanoparticle Size Distribution Analyser(Brookhaven Instruments Limited社、NY州)を使用して測定した。TGFβ1(水中25ng/μL)の溶液をHKC2(水中300ng/μL)に加え、室温で混合した。生じる混合物を勢いよく撹拌し、30分間保存した後、DLS(動的光散乱)測定を行った。DLSは、混合物を容積2.0mLのキュベットに希釈することにより測定した。結果は、HKC2対siRNAの比率に伴って206nm~64nmの範囲にわたる、HKC-siRNAナノ粒子のこの調製物の平均サイズが、増加したことを示した。ゼータ電位値は+10であった。 DLSを使用して測定した、HKC2とTGFβ1 siRNAとの間のポリナノ粒子のサイズ分布を示す図である。TGFβ1 siRNA(25ng/μL)の水溶液をHKC2(25ng/μL)の水溶液に加え、室温で混合した。生じた混合物を勢いよく撹拌し、RTで30分間インキュベートした後、DLS測定を行った。生じた混合物を容積2.0mLのキュベットに希釈した後、DLSを測定した。 HKC2ペプチドのsiRNA担体としての評価を示す図である。HEK293細胞を3×10細胞/ウェルで48ウェルプレートに播種し、一晩インキュベートした。翌日、AF488標識siRNA/HKC2複合体を次のように調製した。siRNA(0.025μg/μL、21-mer)およびHKC2(0.05μg/μL)の水溶液を次のHKC2対siRNA質量比:1:1、1.7:1、2:1、4:1、8:1および1:2で混合した。30分で、siRNA/HKC2複合体を細胞に加えた。トランスフェクション後24時間で、蛍光画像を取得した。 蛍光標識siRNA(Alexa Fluor 488)のA549細胞へのHKC2ペプチド媒介送達を示す図である。トランスフェクションの前日に、A549細胞を3×10細胞/ウェルの密度で48ウェルプレートのウェルに播種した。翌日、AF488標識siRNA/HKC2複合体を次のように調製した。siRNA(25ng/μL、21-mer)およびHKC2(50ng/μL)の水溶液を次のHKC2対siRNA比:1:1、1.7:1、2:1、4:1、8:1および1:2で混合した。30分で、siRNA/トランスフェクション試薬複合体を細胞に加えた。トランスフェクションの24時間後、蛍光画像を取得した。 siRNAの移入を遅らせるHKC2の量を決定するゲル遅延度アッセイを示す図である。siRNA(TGF-β1、500ng)と複合した種々の比率のHKC2を調製し、ゲル電気泳動に30分間供した(3%ゲル)。HKC2ポリペプチド対siRNAの種々の比率をゲル上に表す。実験では、25ng/μLのsiRNAを、1:2、1:1、1.5:1、2:1、3:1、4:1の比率の種々の量のHKC2ペプチドまたは参照HKP(4:1)とともにインキュベートした。20分間のインキュベーション後、20μLのsiRNA/ペプチド(siRNAを各500ng)複合体をウェルに充填した。遊離および結合したsiRNAを3.0%の非変性アガロースゲル上に100Vの印加電圧下で30分間分離した。ゲルは、臭化エチジウムRNA色素で事前染色し、UV=290nmで生じる蛍光バンドをFuji LAS4000イメージャで可視化した。提示する結果は、観察した画像の代表である。 分解性HKCがグルタチオン(GSH)の存在下でsiRNAを放出することを検証するゲル遅延度アッセイを示す図である。siRNA(TGF-β1、500ng)と複合した種々の比率のHKC2またはHKPを調製し、ゲル電気泳動に30分間供した(3%ゲル)。HKC2ポリペプチド対siRNAの種々の比率を示す(ゲル上に)。実験では、25ng/μLのsiRNAを、4:1および8:1の比率の種々の量の架橋HKC2ペプチドとともにインキュベートした。参照HKP(4:1)またはこの生成物を20mMのグルタチオン(GSH)の存在下または非存在下でインキュベートした。40分間のインキュベーション後、20μLのsiRNA/ペプチド(siRNAを各500ng)複合体をゲルのウェル内に充填した。遊離および結合したsiRNAを3.0%のアガロースゲル上に100Vの印加電圧下で30分間分離した。ゲルは、臭化エチジウムRNA色素で染色し、生じる蛍光バンド(UV=290nm)をFuji LAS4000イメージャで可視化した。提示する結果は、得た画像の代表である。 ナノ粒子の形成におけるHKC2:HKP:TGFβ1の形成物のサイズ分布を示す図である。HKC2=K(HHHK)CSSC。HKP=H3K4b。TGFβ1を水中80ng/μLで使用した。これらを等容積のHKCおよびHKPと水中で混合した。HKC2、HKPおよびsiRNA(TGFβ1)のナノ粒子形成を種々の各比率で評価した。HKC2をHKP/siRNA形成物に追加すると、類似のナノ粒子サイズが維持されたが、対照HKP/siRNA(N:P質量比=4:1)と比較した多分散指数(PDI)の低下により示されるように、サイズ範囲が顕著に縮小した。HKC2/HKP/siRNAを0:4:1、1:4:1、1:3:1、2:3:1、2:2:1、3:1:1の質量比で形成した。HKC2(160ng/μL)、HKP(320ng/μL)およびsiRNA(80ng/μL)の水溶液を定義の比率で混合し、RTで30分間インキュベートした。その後、生じた試料は、Nanoplus 90装置を使用した動的光散乱により測定した。動的半径を記録し、図11に示した。 ナノ粒子の形成におけるHKC2:HKP:TGFβ1の多分散を示す図である。HKC2=K(HHHK)CSSC。HKP=H3K4b。TGFβ1を水中80ng/μLで使用した。これらを等容積のHKCおよびHKPと水中で混合した。HKC2、HKPおよびsiRNA(TGFβ1)のナノ粒子形成を種々の比率で評価した。HKC2をHKP/siRNA形成物に追加すると、類似のナノ粒子サイズが維持されたが、対照HKP/siRNA(N:P質量比=4:1)と比較して多分散指数(PDI)が顕著に狭まった。HKC2/HKP/siRNAを0:4:1、1:4:1、1:3:1、2:3:1、2:2:1、3:1:1の質量比で形成した。HKC2(160ng/μL)、HKP(320ng/μL)およびsiRNA(80ng/μL)の水溶液を定義の比率で混合し、RTで30分間インキュベートした。その後、生じた試料は、Nanoplus 90を使用した動的光散乱により測定した。動的半径を記録し、図12に示した。 HKP単独または種々の量のHKPおよびHKCと組み合わせて形成したCellDeath siRNAによる、ヒト膠芽細胞腫T98G細胞株に対する処理の効果を示す図である。種々の質量比のHKP/HKC2/siRNAを使用し、リポフェクタミンも対照として使用した。はじめに、HKC(160ng/μl)の水溶液をsiRNA(80ng/μl)の水溶液に加え、混合し、手短にボルテックスし、次いで、同様にHKP(320ng/μl)を加えた。混合物をRTで30分間インキュベートした。トランスフェクション複合体をOPTI-MEMで希釈し、新鮮培地を添加した培地100μl中の細胞に加えた。6時間のインキュベーション後、トランスフェクション培地を10%FBS/DMEMまたはEMEMと交換した。トランスフェクションの72時間後、生細胞の数をCellTiter-Glo Luminescent cell viability assay(Promega社)により評価した。非処理細胞(ブランク)から得た値を100%として設定した。すべての値は、4回の反復の平均値±S.D.を表す。NS-非発現抑制siRNA、CD-CellDeath siRNA。 HKP単独または種々の量のHKPおよびHKCと組み合わせて形成したCellDeath siRNAによる、ヒト肝細胞癌HepG2細胞に対する処理の効果を示す図である。種々の質量比のHKP/NKC2/siRNAを使用し、リポフェクタミンも対照として使用した。HKC2(160ng/μl)の水溶液をsiRNA(80ng/μl)の水溶液に加え、混合し、手短にボルテックスし、次いで、同様にHKP(320ng/μl)を加えた。混合物をRTで30分間インキュベートした。トランスフェクション複合体をOPTI-MEMで希釈し、新鮮培地を添加した培地100μl中の細胞に加えた。トランスフェクションの6時間後、培地を10%FBS/DMEMまたはEMEMと交換した。トランスフェクションの72時間後、生細胞の数をCellTiter-Glo Luminescent cell viability assay(Promega社)により評価した。非処理細胞(ブランク)から得た値を100%として設定した。すべての値は、4回の反復の平均値±S.D.を表す。NS=非発現抑制siRNA、CD=Cell Death siRNA(トランスフェクションにより導入されると細胞を死滅させるsiRNA)。
本発明では、核酸および医薬を哺乳動物細胞ならびにヒトおよび他の哺乳動物に送達するためのナノ粒子の調製において有用な特定のペプチドおよびポリペプチドを提供する。
ペプチド
本発明は、式Kp{[(H)n(K)m]}y-C-x-Zまたは式Kp{[(H)a(K)m(H)b(K)m(H)c(K)m(H)d(K)m]}y-C-x-Z[式中、Kはリジンであり、Hはヒスチジンであり、Cはシステインであり、xはリンカーであり、Zは哺乳動物細胞標的リガンドであり、pは0または1であり、nは1~5の整数(好ましくは3)であり、mは0~3の整数(好ましくは0または1)のであり、a、b、cおよびdは3または4のいずれかであり、yは3~10の整数(好ましくは4または8)である]を有するペプチドを含む。一実施形態では、ペプチドは、式K[(H)n(K)m]y-C-x-C[式中、Kはリジンであり、Hはヒスチジンであり、Cはシステインであり、nは1~5の整数(好ましくは3)であり、mは0~3の整数(好ましくは0または1)であり、yは3~7の整数(好ましくは4)であり、xはリンカーである]を有する。ペプチドは、直鎖または分枝鎖であり得る。これらは、哺乳動物細胞、好ましくはヒト細胞、例えばヒト腫瘍細胞に内部移行されることが可能である。
哺乳動物細胞標的リガンド(Z)は、ペプチド、タンパク質、抗体、低分子、炭水化物部分、またはオリゴヌクレオチドである。標的リガンドは、特異的細胞表面で特異的受容体に結合し、その後、この搭載物を内部移行させる分子である。
一実施形態では、Zは、1~60アミノ酸の長さのペプチドである。この実施形態の一態様では、Zは、1アミノ酸、好ましくはCである。別の態様では、Zが2アミノ酸以上である場合、いくつかの不活性アミノ酸(例えば、セリン)の「スペーサー領域」を含み得る。Zは、哺乳動物細胞表面の受容体(例えば、トランスフェリン受容体、EGFRまたはGLP1R)を標的とする、ペプチドリガンドをさらに含み得る。目的の細胞型に独占的に発現する受容体の多くの例が存在し、このような受容体を結合させ得る任意のリガンドは、siRNAをこの受容体を発現する細胞に特異的に局所送達するのに役立ち得る。
一実施形態では、xは、単一アミノ酸残基または2~15アミノ酸を有するペプチド配列である。この実施形態の一態様では、ペプチド配列は、3~8アミノ酸を有する。
また、本発明は、式K[(H)n(K)m]y-C[式中、Kはリジンであり、Hはヒスチジンであり、Cはシステインであり、nは1~5の整数(好ましくは3)であり、mは0~3の整数(好ましくは0または1)であり、yは3~7の整数(好ましくは4)である]を有するペプチドを含む。
ポリペプチド
本発明は、ジスルフィド結合により架橋した少なくとも2つの上記のペプチドを含むポリペプチドを含む。ポリペプチドは、直鎖または分枝鎖であり得る。結合は、生分解性システインのジスルフィド結合であり得る。あるいは、生分解性システインのジスルフィド結合は、開裂可能な任意の結合により置換することができ、無水物結合、ヒドラジン結合、酵素特異的ペプチド結合、またはこれらの組合せを含むが、これらに限定されない。
ナノ粒子
本発明は、前述のポリペプチドの1つまたは複数および核酸を含むナノ粒子を含む。ナノ粒子は、ヒスチジン-リジン共重合体、第2の核酸、および/または医薬をさらに含み得る。ナノ粒子は、哺乳動物細胞に内部移行されることが可能である。一実施形態では、ポリペプチドおよびナノ粒子は、例えば、グルタチオン還元または酵素または細胞内のpHの変化により、哺乳動物細胞において生分解性である。このような実施形態の一態様では、ナノ粒子サイズは、50~300nmである。別の態様では、ナノ粒子サイズは、80~130nmであり、0.2以下の多分散指数を有する。
1つまたは複数の核酸は、siRNA、miRNA、アンチセンスオリゴ、プラスミド、mRNA、RNAザイム、DNAザイム、またはアプタマー配列を含む。
一実施形態では、核酸は、siRNAを含む。本明細書において使用する場合、「siRNA」または「siRNA分子」は、短い2本鎖のポリヌクレオチドであり、分子が細胞に導入された後に、RNAを生成する細胞における遺伝子の発現に干渉する、二重鎖オリゴヌクレオチドである。例えば、これは、1本鎖(ss)標的RNA分子、例えば、mRNAまたはマイクロRNA(miRNA)における相補的ヌクレオチド配列を標的として結合する。次いで、標的RNAは、細胞により分解される。このような分子は、当業者に公知の技術により構築する。このような技術は、米国特許第5,898,031号、第6,107,094号、第6,506,559号、第7,056,704号、第RE46,873E号、および第9,642,873号明細書、ならびに欧州特許第1214945号および第1230375号に記載されており、このすべては、この全体を参照により本明細書に組み込む。当技術分野における慣例により、siRNA分子が、特定のヌクレオチド配列により同定されている場合、配列は、二重鎖分子のセンス鎖を指す。
siRNA分子は、天然に存在するリボヌクレオチド、すなわち、生細胞に見出されるものからなり得るか、またはこのヌクレオチドの1つまたは複数は、当技術分野において公知の技術により化学的に修飾することができる。この個々のヌクレオチドの1つまたは複数のレベルで修飾することに加えて、オリゴヌクレオチドの骨格も修飾することができる。さらなる修飾は、低分子(例えば、糖分子)、アミノ酸分子、ペプチド、コレステロール、およびsiRNA分子にコンジュゲートするための他の大型分子の使用を含む。
一実施形態では、分子は、16~27塩基対の長さを有する2本鎖オリゴヌクレオチドである。この実施形態の一態様では、分子は、約19~約27塩基対の長さを有するオリゴヌクレオチドである。別の態様では、分子は、約21~約25塩基対の長さを有するオリゴヌクレオチドである。このような態様のすべてでは、分子は、両端に平滑末端、または両端に付着末端、または一端に平滑末端および他端に付着末端を有し得る。一態様では、付着末端は、1~3ヌクレオチドのオーバーハングを有する。この実施形態の別の態様では、核酸は、本明細書の表1~3において同定されているsiRNA分子を含む。
本発明のsiRNA分子は、表1~3において同定されているものに由来する分子を含む。このような分子は、a)表1~3の二重鎖のうちのいずれか1つの近接する24塩基対からなる生成された二重鎖;b)表1~3の二重鎖のうちのいずれか1つの近接する23塩基対からなる生成された二重鎖;c)表1~3の二重鎖のうちのいずれか1つの近接する22塩基対からなる生成された二重鎖;d)表1~3の二重鎖のうちのいずれか1つの近接する21塩基対からなる生成された二重鎖;e)表1~3の二重鎖のうちのいずれか1つの近接する20塩基対からなる生成された二重鎖;f)表1~3の二重鎖のうちのいずれか1つの近接する19塩基対からなる生成された二重鎖;g)表1~3の二重鎖のうちのいずれか1つの近接する18塩基対からなる生成された二重鎖;h)表1~3の二重鎖のうちのいずれか1つの近接する17塩基対からなる生成された二重鎖;およびi)表1~3の二重鎖のうちのいずれか1つの近接する16塩基対からなる生成された二重鎖を含む。
ヒスチジン-リジン共重合体(HKP)は、2006年7月4日発行の米国特許第7,070,807号明細書、2007年1月16日発行の第7,163,695号明細書、2010年8月10日発行の第7,772,201号明細書、2018年5月29日発行の第RE46,873E号、および2017年5月9日発行の第9,642,873号明細書に開示されており、これらのすべては、この全体を参照により本明細書に組み込む。一実施形態では、この共重合体は、H3K4bを含む。別の実施形態では、この共重合体は、HKP(+H)を含む。図2Aを参照されたい。
一実施形態では、ナノ粒子は、部分的遊離チオール基残基を介して結合している官能基をさらに含む。この実施形態の一態様では、チオール基残基は、ナノ粒子の表面に存在する。これは、ナノ粒子の形成後に加える。別の態様では、チオール基残基は、ペプチド配列内のシトシン側鎖上に存在する。これは、ナノ粒子の形成前に加える。
官能基は、低分子(例えば、細胞表面受容体に結合可能な分子、または内部移行した場合に細胞の死滅を誘導可能な分子、例えば、ドキソルビシンもしくはゲムシタビン)、保護ポリエチレングリコール(PEG)分子、脂質、ペプチドもしくはタンパク質(例えば、抗体)、またはオリゴヌクレオチド(例えば、アプタマーまたはsiRNA分子の1鎖)、およびアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)を認識する炭水化物結合部位を有する有機分子(例えば、GalNac、マンノース6P、アシアロフェツイン等)からなる群から選択される。ペプチド/タンパク質/炭水化物糖類および他の物質は、別々の細胞に存在する受容体に対する親和性を有し、ナノ粒子の細胞への取込みにより、ナノ粒子がこのような細胞に結合することが可能となる。例えば、GalNacは、肝細胞上のASGPRに結合し、肝臓における肝細胞への特異性を示している。特定の一態様では、官能基は、体内分布の向上または細胞への非特異的結合の最小化に役立つ保護PEG分子である。
さらなる実施形態では、ナノ粒子は、医薬を含む。この実施形態の一態様では、薬物は、低分子薬、ペプチド薬、およびタンパク質薬からなる群から選択される。
生成する方法
本発明のペプチドおよびポリペプチドは、本明細書に開示の教示を考慮して、当業者に公知の技術により調製する。一実施形態では、ペプチドは、a)最初のリジン(K)を固体支持体に結合させる工程;b)さらなるアミノ酸を相次いで最初のリジンに結合させる工程;およびc)合成したペプチドを回収する工程を含む方法により調製する。一実施形態では、ポリペプチドは、a)本発明のペプチドを化学酸化により架橋して、開裂可能な結合を有するポリペプチドを形成する工程;およびb)ポリペプチドを回収する工程を含む方法により調製する。この実施形態の一態様では、開裂可能な結合は、ジスルフィド結合である。
本発明のナノ粒子は、本明細書に開示の教示を考慮して、当業者に公知の技術により調製する。一実施形態では、ナノ粒子は、a)本発明のペプチドを化学酸化により架橋して、開裂可能な結合を有するポリペプチドを形成する工程、b)ポリペプチドを核酸と混合する工程、およびc)ナノ粒子を回収する工程を含む方法により調製する。この実施形態の一態様では、開裂可能な結合は、ジスルフィド結合である。別の実施形態では、ナノ粒子は、a)本発明のポリペプチドを核酸と混合して、ナノ粒子を形成する工程、およびb)ナノ粒子を回収する工程を含む方法により調製する。さらに別の実施形態では、ナノ粒子は、a)本発明のペプチドを核酸と混合する工程、b)ペプチドを化学酸化により架橋し、開裂可能な結合を有するポリペプチドを形成して、ナノ粒子の形成を生じる工程、およびc)ナノ粒子を回収する工程を含む方法により調製する。この実施形態の一態様では、開裂可能な結合は、ジスルフィド結合である。このような実施形態の一態様では、ポリペプチドおよび核酸は、水溶液、例えば、pHの範囲が6.0~8.0の水性バッファー中で混合する。このような実施形態のさらなる態様では、ナノ粒子は、窒素対リン酸(N:P)比(w:w=2:1~8:1)により、調節可能な広範な混合条件下で形成する。このような実施形態のまたさらなる態様では、核酸は、siRNA、miRNA、アンチセンスオリゴ、プラスミド、mRNA、RNAザイム、DNAザイム、またはアプタマー配列である。
一実施形態では、本発明のナノ粒子を生成する方法は、ヒスチジン-リジン共重合体を加えるさらなる工程を含む。ヒスチジン-リジン共重合体の割合は、20%~97%の範囲である。
別の実施形態では、本発明のナノ粒子を生成する方法は、医薬をポリペプチドおよび核酸と混合するさらなる工程を含む。医薬は、低分子薬、ペプチド薬、またはタンパク質薬を含む。
使用の方法
本発明のナノ粒子は、核酸および医薬をヒト、他の哺乳動物、および哺乳動物細胞に送達するのに有用である。
本発明は、核酸を哺乳動物細胞に送達する方法であって、ナノ粒子が、細胞に取り込まれて核酸を放出する条件下で、十分な量の本発明のナノ粒子を細胞に送達することを含む、方法を含む。前述のように、核酸は、siRNA、miRNA、アンチセンスオリゴ、プラスミド、mRNA、RNAザイム、DNAザイム、またはアプタマー配列を含む。一態様では、核酸は、in vitroで細胞に送達される。別の態様では、これは、in vivoで細胞に送達される。一態様では、哺乳動物細胞は、実験動物の細胞である。このような実験動物は、げっ歯類、イヌ、ネコ、および非ヒト霊長類を含む。別の態様では、哺乳動物細胞は、ヒト細胞である。特定の一態様では、核酸は、siRNAであり、この例は、上に記載している。
本発明は、哺乳動物における遺伝子治療の方法であって、治療的有効量の本発明のナノ粒子を哺乳動物に投与することを含む、方法をさらに含む。十分な量のナノ粒子は、ナノ粒子が標的細胞により取り込まれて核酸が細胞内に放出される条件下で、哺乳動物に送達される。一実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。別の実施形態では、哺乳動物は、実験動物、例えば、前段落において同定した実験動物である。このような実施形態の一態様では、核酸は、siRNAであり、この例は、上に記載している。
本発明は、治療化合物を哺乳動物に送達する方法であって、治療的有効量の本発明のナノ粒子を哺乳動物に送達することを含む、方法をさらに含む。十分な量のナノ粒子は、ナノ粒子が標的細胞により取り込まれて治療化合物が細胞内に放出される条件下で、哺乳動物に送達される。一態様では、哺乳動物は、ヒトである。別の態様では、哺乳動物は、実験動物、例えば、上に同定した実験動物である。
用量、投与方法、および投与時間は、本明細書に含む教示を考慮して、当業者により容易に決定することができる。一実施形態では、組成物は、哺乳動物の組織への注射により投与する。別の実施形態では、組成物は、哺乳動物への皮下注射により投与する。さらに別の実施形態では、組成物は、哺乳動物に静脈内投与する。好ましい実施形態では、哺乳動物は、ヒトである。
実験のデザインおよび技術
背景
本発明では、核酸送達系を提供する。系は、還元感受性ジスルフィド結合による架橋遮蔽系を含み、これは、標的機能、正荷電ポリペプチド物質、および核酸を含み得る。これらは、正荷電ペプチドと負荷電siRNAとの間の非共有結合性相互作用により、ナノ粒子複合体を形成し、この場合、表面がポリペプチドにより遮蔽されており、毒性が低減する。安定な複合体により、搭載された遺伝物質が細胞内に送達および輸送される。濃縮された還元的細胞内環境では(細胞外環境と比較して)、送達ポリペプチドは、グルタチオン(GSH)により分解され、搭載したこの核酸配列を放出して、トランスフェクションプロセスを完了する。その上、送達系の利点は、この単純性および有効性であり、ナノ粒子表面の部分的遊離システインにより、標的リガンド官能基のさらなるカップリングが可能となる。このような標的機能は、結合したリガンドにより特異的に標的化された細胞への核酸トランスフェクションの効率を増強することができる。
本発明では、ジスルフィド結合により架橋して、主に、静電相互作用および水素結合によりsiRNAと複合した、システイン含有ヒスチジン-リジンリッチペプチドを含む、ポリペプチドナノ粒子を提供する。
また、本発明では、少なくとも1つの核酸(および2つの異なる核酸も)ならびに薬学的に許容される担体を提供する。siRNAの例では、二重鎖のうちの一方は、VEGFをコードするmRNA分子に結合し、他方は、VEGFR2をコードするmRNA分子に結合する。一実施形態では、組成物は、TGFβ1をコードするmRNA分子に結合するsiRNA2本鎖をさらに含む。このような実施形態の一態様では、2本鎖は、ヒトmRNAと相同マウスmRNAの両方を標的とする。
本発明は、酸化条件下で架橋されてポリペプチドを形成し得る、ペプチドまたは直鎖分子であり得る酸化還元活性成分に、さらに関する。ポリペプチドは、核酸と複合してナノ粒子を形成する。サイズ範囲は、50~300nmであり、2つの成分間の相対比に依存する。サイズは、好ましくは、80~130nmの間であり、狭い範囲の多分散指数値を有する。
本発明は、生分解性ペプチド成分およびsiRNA、mRNAまたはDNAを含む組成物に、さらに関する。これは、ナノ粒子またはナノ凝集物を形成する。複合形成体は、siRNA、mRNAまたはDNAを効果的に保護して細胞内に送達する。siRNAまたは他の搭載物は、細胞の内部の還元環境下(GSH濃度、サイトゾルでは0.5~10mMおよび核では20mM)で放出することができ、これは、ヒスチジン-リジン反復単位により引き起こされるエンドサイトーシスを介した標的細胞による高度な取込みの後に、ジスルフィド結合の開裂を促進する。
新規H3K4C2系のデザイン
このデザインは、in vitroおよびin vivoでの実験におけるsiRNA送達のための、これまでに確立されたH3K4b[KKK(KHHHKHHHKHHHKHHHK)]、HKP(式中n=1)、HKP(+H)(式中n=2)、図2Aを参照]系の成功に基づく。2つのsiRNA(それぞれ同一遺伝子または異なる遺伝子を標的とする)は、形成においてH3K4bと効果的に複合させて、安定型ナノ粒子(約150nm)を形成した。これは、細胞への結合時に細胞内に送達され、次いで、エンドソームから、siRNAが遺伝子発現抑制に影響することが可能な細胞質へ脱出した。封入されたsiRNAがエンドソームから放出された後、これは、がん細胞において遺伝子発現抑制を誘導した。2重標的siRNAの送達のための強力かつ有効な担体として、これが実証されたにもかかわらず、密接に結合した正荷電H3K4bナノ粒子からの負荷電siRNAの放出におけるものを含み、改善の余地が残っている。結合は、トランスフェクション工程におけるsiRNAの有効性の低下を生じ得る。言い換えれば、高用量のsiRNAは、治療効果を生じるように形成しなければならない可能性がある。
ポリヌクレオチドにおける生分解性結合による結合は、ジスルフィド結合、無水物結合、ヒドラジン結合、開裂可能な酵素特異的ペプチド結合、および当業者に公知の他の化学的結合から選択することができる。同様に、結合は、複数の結合型の組合せであり得る。このような結合は、選択的生物環境下で分解され得る。本発明では、ポリペプチド中の単一ペプチドを他の部分に結合する生分解性結合(例えば、還元感受性S-S結合、低pHの開裂可能なイミン等)は、選択された生体刺激、例えば、酵素的曝露、pHの変化、例えば、酸性度の上昇(pH調節)および特異的生物環境(例えば、腫瘍細胞における高濃度の細胞内GSHの存在下)または他の化学的刺激により生分解可能であり得る。したがって、封入されたsiRNAは、特異的生物学的条件下でポリペプチドが分解されるため、HKC2ペプチドのポリペプチドナノ粒子から放出される。
その後、siRNAの放出による標的遺伝子発現の抑制は、この標的遺伝子に達すると達成される。例えば、siRNAの放出効率を向上させて、細胞に送達されるsiRNAの有効性を増強するために、H3K4bと類似の構造を有する、単一の分枝鎖HKの反復単位を有するポリペプチドHKC2を形成する、分枝鎖HKのシステインと骨格のシステインとの間のジスルフィド結合による結合に基づいて、化学的生分解性ヒスチジン-リジン-システインHKC2重合体をデザインした。これにより、核酸のヌクレアーゼに対する有効な保護、および非還元環境、例えば、細胞外空間および血液(グルタチオン[GSH]濃度、0.5~10μM)を通過する間の安定化が生じる。しかし、この重合体HKC2は、細胞内部で高濃度のGSH(0.5~10mM)に曝露されると、開裂し得る。特に、これまでの報告における、がん細胞内のグルタチオン(GSH)の濃度の上昇を考慮すると、生分解性結合、例えば、ポリペプチド-siRNAナノ粒子送達担体におけるジスルフィド結合は、効果的に分解して、siRNAをこの標的に放出および送達することができる[10、11]。分枝鎖HKを骨格に結合するS-S結合の開裂は、分枝鎖HKを別々の断片に切り分け、これは、siRNAと安定な複合体をもはや形成することが期待されない。したがって、GSHは、HKC2重合体/siRNA複合体を細胞内レベルで分解することによりsiRNAの放出を引き起こす(図1)。
siRNA放出およびトランスフェクション有効性を増強する酸化還元活性HKC2ポリペプチドのデザイン
1.ヒスチジン-リジン(HK)分枝鎖重合体の構造
H2K、H3K、H3K4bを含む、試験したすべてのヒスチジン-リジン(HK)重合体の中で(図2A)、これまでの報告[12、13]および発明者らの形成物および有効性試験は、H3K4bが、siRNAと複合すると、有効なナノ粒子を形成可能であることを示した。報告された実験的証拠に基づくと、HKの直鎖構造は、siRNAと複合体を効果的に形成してsiRNAを送達することができない[12、13]。しかし、発明者らはまた、インタクトな重合体H3K4bの正荷電リジンとsiRNAの負荷電リン酸骨格との間の強力な非共有結合性相互作用に基づくトランスフェクション工程の間にsiRNAの徐放の一部を観察した。
したがって、重合体が還元条件(例えば、腫瘍細胞における高GSH濃度)に曝露されると、酸化条件下でsiRNAとの重合体を形成し、siRNA放出工程において分裂することが可能な、さらに有効なHKP重合体をデザインおよび開発する必要性が存在した[14、15]。理想的には、このような生分解性の応答性HKP重合体は、siRNAと効果的に複合して送達の間の分解を防ぎ、最終的には、封入されたsiRNAをsiRNA機構に到達する細胞質に効果的に放出し、治療的標的mRNAに到達して発現抑制し得る(図1)。
2.生分解性ヒスチジン-リジン-システインHKC2重合体のデザインおよび調製
H3K4b重合体の4つの同一の直鎖ペプチドビルディングブロックへ分解したものを以下に示す。このような分枝鎖重合体は、2つのビルディングブロック:ペプチドRSHを含む直鎖システインおよび複数の遊離チオールを含む骨格から、ジスルフィド結合による結合により調製することができる。このようなS-S結合は、酸化還元応答性である。例えば、SHは、siRNAとの形成においてS-S結合に酸化させ、H3K4b重合体を形成して、siRNAを封入することができるが、S-S結合は、高濃度の細胞内GSHに曝露されると、分解され、これによりsiRNAを放出することができる。ペプチドは、連続的固相合成により合成することができる。発明者らは、2つの化学成分を、2つのアミノ酸スペーサー基(-CSSC、またはC-リンカー-C型の配列、HKC2と略すヒスチジン-リジン-システインのいずれか)を有する末端部位に2つのシステイン配列を有する1つのペプチドH3K42Cに単純化して、分子間ではなく分子におけるジスルフィド結合による架橋の可能性を低下させた。この構造では、ペプチドは、リジンおよび3つのヒスチジン反復配列(K(HHHK)CSSC)を有する。この配列は、ポリペプチドH3K4bの単一分枝と類似の構造を有する。しかし、この配列の製造では、分枝鎖ポリペプチドと比較して、合成コストを顕著に低減させることができる(図2A)。
Figure 0007512207000001
本発明では、生分解性ポリペプチド-核酸送達系により、他の系と比較して、いくつかの利点がもたらされる。1)類似のポリペプチドH3K4bの相対的安定性および有効性が、種々の動物モデルおよびさらには臨床治験において検討されている。この生分解性系は、合成重合体または混合脂質を含む親油性系よりも生体適合性である。2)相対的に低いコストおよび製造の容易さが、生成における顕著な利点である。3)重合体複合体は、生理的条件下で生分解性である。4)2つ以上の核酸を同時に充填して、相乗的治療効果(複数の依存性または非依存性経路による遺伝子の標的化)を達成することができる。5)ポリペプチド(カチオン性の特徴)および核酸(負荷電表面)は、静電相互作用および水素結合相互作用により、ともに結合する。6)系の単純性は、実験における別の利点となる。自己架橋については、図3および図1に示す。
ポリペプチドを単一または複数の核酸(複数可)と混合することによる、本発明に記載するポリペプチド/核酸送達担体の調製は、(a)生分解性官能基、例えば、2つの遊離チオール基を直鎖ヒスチジン-リジンリッチペプチドに導入する工程;(b)空気または水性媒体中低い割合のDMSOを使用した酸化により、ポリペプチドにペプチドをジスルフィド結合によって生物学的に共有結合させる工程;および(c)工程(b)で生成したポリペプチドを1つまたは複数のsiRNA分子と混合して、主に、好ましい電荷相互作用により、安定型ナノ粒子を生成する工程を含む、これらの方法により実行し得る。
あるいは、ポリペプチド/核酸はまた、直鎖ペプチドと核酸をともに混合することにより生成することができる。ポリペプチドは、in situで架橋して、ナノ粒子がもたらされる。
siRNA結合およびナノ粒子形成の機構によれば、上記の方法において同時に、さらなる工程を実行し得る。
前述の方法により生成したポリペプチドナノ粒子は、ポリペプチド複合体および各種の核酸から、水溶液中での自己集合によりナノ粒子を形成する。また、化学療法薬を複合体に導入し、ナノ粒子に形成して特定の疾患、例えば、がん、瘢痕、および炎症性疾患を治療することができる。例としては、ゲムシタビンまたは5-FUまたはシスプラチンを組込んで、がんを治療する。
本発明におけるポリペプチドナノ粒子のサイズは、記載する生成方法に基づいて10nm~3000nmの範囲であり得る。前臨床試験に応じて、好ましいサイズは、80~130nmである(粒子サイズおよび分布を測定する動的光散乱装置を使用して決定する)。
加えて、本発明によるHKC2ポリペプチド-核酸送達系は、有効な薬学的組成物として使用し得る。したがって、本発明では、有効用量のHKC2ペプチドおよび核酸を含む薬学的組成物を提供する。これは、投与のためのHKC2ポリペプチド-核酸送達系に加えて、1つまたは複数の種類の薬学的適合性重合体または担体を含み得る。
生じる生成物は、液体、固体の形態、カプセル剤、注射液等のように、種々の方法で製剤化し、1つまたは複数の有効成分、例えば、食塩水溶液、バッファー溶液、または他の適合する成分を混合して、核酸-ペプチド/ポリペプチドナノ粒子の安定性および有効性を維持することができる。
HKC2の構造は、HPLCおよび質量分析により特徴づけられ、保持時間8.053分において、純度≧90.0%を有する主要なピークが、RPHPLCにより観察された。ESI-MSスペクトルでは(図2B)、分子イオンピークが、二重荷電イオン[M+2H]2+として観察された。同様に、三重荷電の4+および5+種がまた、観察された。これは、2683Daの分子量をもたらし、このことは、理論値と十分一致している。ペプチドの正味荷電は、pH7.0において6+であるため、これは、水に容易に溶解することができる(図2A)。このことは、水性媒体中でのsiRNAによるこの形成に対する利点である。
RNAiによる治療的手法
発明者らは、ヒスチジン-リジン重合体(HKP)として公知のポリペプチドをベースとする担体を使用して、in vitroおよびin vivoにおいてsiRNAを送達した。この技術(2014年5月27日発行の米国特許第8,735,567号明細書および2017年5月9日発行の米国特許第9,642,873号明細書を参照、これらの全体は参照により本明細書に組み込む)により、標的mRNAを発現抑制する効果を発揮する患部組織における適切な細胞へのsiRNAの送達を実質的に増強して、タンパク質の生成を遮断し、これにより病状、例えば、瘢痕の治癒、肝線維症疾患、および特に、がんに影響することが可能である。
RNAiおよび治療剤
RNAiは、遺伝子発現をノックダウンして、mRNAを配列特異的方法で破壊するのに使用可能な強力な方法である。RNAiは、生物学的機能を迅速かつ持続的方法でもたらすように扱うことができる。本発明では、有力な治療薬における使用のためのRNAi送達方法を提供する。本発明では、2本鎖RNA(dsRNA)オリゴヌクレオチド(オーバーハング、付着もしくは平滑末端を有するか、または有しない)、低分子ヘアピンRNA(shRNA)、およびDNA由来RNA(ddRNA)を含む、多くの形態のsiRNA分子を治療剤として提供する。
siRNA配列のデザイン
RNAi物質は、標的遺伝子配列の一部と適合するヌクレオチド配列を有するようにデザインする。標的遺伝子の選択されたsiRNA配列は、遺伝子の発現により生成されたmRNAの任意の部分に存在し得る。RNAiは、標的遺伝子由来のmRNAとハイブリダイズする配列-siRNA配列の「アンチセンス鎖」を含む。siRNA配列は、アンチセンス鎖とハイブリダイズする配列、siRNA配列の「センス鎖」を含む。標的遺伝子に対して選択されたsiRNA配列は、細胞により生成された他のいかなるmRNAとも、mRNAに転写されない標的遺伝子のいかなる配列とも、相同であってはならない。標的mRNA配列の20~27塩基の配列を選択するための多数のデザインルールは、公知であり、市販の方法を含む。デザインは、少なくとも3つの方法から得ることができ、最優先の単一共通リストは、このような方法により構築して集合させる。発明者らは、少なくとも6つの最優先候補配列の調製と、その後の遺伝子阻害についての細胞培養試験により、ほぼすべての場合において、少なくとも2つの活性siRNA配列が明らかとなることを見出した。明らかとならない場合は、第2のラウンド(6つの最優先候補配列の取得および試験)を使用することができる。
活性siRNA配列の同定に加えて、デザインによっても、標的mRNA配列のみとの相同性を保証しなければならない。標的遺伝子mRNAの配列以外のゲノム配列とのsiRNA配列の相同性が不十分であると、mRNAレベルまたは遺伝子レベルのいずれかにおいて、オフターゲット効果が低下する。また、siRNA配列の「センス鎖」の相同性が不十分であっても、オフターゲット効果が低下する。Clone Manager Suiteを使用したDNA比較およびオンラインでのBlastによる検索により、選択された遺伝子の標的配列が、ヒトの対応物を含む他の遺伝子に対して、ユニークであり、配列相同性を欠くことが確認され得る。例えば、mVEGF-AのmRNAと適合する配列は、mVEGF-B mRNA、mVEGF-C mRNA、mVEGF-D mRNA、またはhVEGF165-a(AF486837)を含むヒト対応物に対する相同性を有しないmVEGF-Aに対してユニークであることが確認される。しかし、適合配列は、mVEGF-Aの複数のアイソフォーム、例えば、mVEGF(M95200)、mVEGF115(U502791)、mVEGF-2(538100)、mVEGF-A(NM.sub.--192823)を標的とし、これらは、190アミノ酸(aa)、141aa、146aaおよび148aaのmVEGF-Aタンパク質をそれぞれコードする。mVEGF-A(NM.sub.--192823、タンパク質の成熟形態)を除く、このようなmVEGF-Aアイソフォームの公表されたcDNA配列のすべては、26aaのシグナルペプチドをN末端に含む。mVEGFの標的配列は、シグナルペプチド部分においてではなく、このようなすべてのmVEGF-Aアイソフォームに共有される成熟タンパク質部分において選択される。
また、mVEGF-R2の標的配列は、このような2つの遺伝子に対してそれぞれユニークであることが確認される。種々の形態の干渉RNAが、本発明に含まれる。例として、siRNA配列は、公知のガイドラインを使用して、上記の標的配列に従ってデザインする。このようなsiRNAは、25塩基の平滑末端鎖RNAオリゴである(表1~3)。
RNAi物質は、標的遺伝子配列に特異的であり、これは、発明者らが標的化を試みている生物(動物)の種に依存する。ほとんどの哺乳動物遺伝子は、かなりの相同性を共有し、この場合、RNAi物質は、目的の遺伝子のmRNAのこの相同セグメントを有する複数の種において、遺伝子に対する活性を付与するように選択することができる。好ましいsiRNA阻害物質デザインは、ヒト遺伝子mRNAと試験動物遺伝子mRNAの両方との完全な相同性を有するべきである。試験動物(複数可)は、有効性および毒性試験に一般に使用される動物、例えば、マウス、ウサギまたはサルであるべきである。
siRNAが配列依存的オフターゲット効果をもたらすのに、他の遺伝子配列と相同の最低17ヌクレオチド(nt)を必要とすることがわかっているため、1つの25mer siRNA由来の8つの17nt配列のそれぞれについて、配列依存的オフターゲット効果の可能性を検討するのに、blastが必要であり、いくつかのsiRNA治療プログラムのAPI(医薬品有効成分)のためのsiRNAの選択を完了させる1つの重要なパラメータとして、この情報を使用し得る。
また、発明者らは、siRNA候補を確認して、in vivoおよびin vitroでTLR経路を介してIFN経路の活性化を誘導し得る、公知の免疫刺激モチーフ(GUリッチ領域、5’-UGUGU-3’または5’-GUCCUUCAA-3’)を含むものを除外したが、本発明のRPP送達系は、インターフェロン経路のTOLL様受容体媒介活性を誘導する可能性が極めて低い。最終的に、発明者らはまた、試験した各siRNA配列の標的領域を、これらの標的mRNA配列にマッピングした。このマッピングは、標的mRNAおよびこの代替転写物に対するsiRNA候補の標的能力を理解するのに特に有用である。
強力なsiRNA標的配列の選択は、以下の表に列挙する。選択されたsiRNA配列は、最初にin vitroで細胞株において試験し、その後、invivoで、投与前に選択されたトランスフェクション薬を用いて複合させることにより、効力および有効性について試験した。
Figure 0007512207000002
Figure 0007512207000003
Figure 0007512207000004
本明細書において使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに他に指示しない限り1つまたは複数を指す。
以下の実施例は、本発明の特定の態様を例示し、この範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
実施例1.空気を用いたジスルフィド結合によるペプチドの架橋
最初の試験は、ペプチドのジスルフィド結合による架橋によるポリペプチド形成を調べるために行った。ペプチドHKC2(3.0mg)を脱イオン水(0.5mL)中に室温で溶解し、溶液を4℃で10時間保存した。生じる混合物を、水(0.1%TFA)およびアセトニトリル(0.1%TFA)により溶出した逆相C-8 HPLCにより分析したところ、保持時間3.3分でクロマトグラム上に1つのピークを示す。出発物質HKC2を表す、保持時間8.053分で溶出した場合のピークは存在しない。ペプチドが、酸化されて空気により架橋され得ることが確認される(図3)。
実施例2.DMSOを用いたジスルフィド結合によるペプチドの架橋
ペプチドHKC2を、水中5%のDMSOの使用により、同様に酸化させた。ペプチドHKC2(3.0mg)を脱イオン水中に室温で溶解し、溶液を4℃で10時間保存した。生じる混合物を、水(0.1%TFA)およびアセトニトリル(0.1%TFA)を使用して溶出した逆相C-8 HPLCにより分析した。これは、保持時間3.3分でクロマトグラム上に1つのピークを示す。保持時間8.053分溶出した場合の、出発物質HKC2についてのピークは、存在しなかった。ペプチドが、DMSOにより酸化され得ることが確認される(図3)。
実施例3.架橋HKC2ペプチドとsiRNAの自己集合によるナノ粒子形成
水中でのHKC2の架橋の検証後、発明者らは、HKC2とsiRNAとにおける(TGF-β1に対する)自己集合を検討した。はじめに、架橋HKC2の濃縮した保存液を、5%のDMSOを加えた水中に調製した。一連のHKC2をsiRNAとの種々の比率(wt:wt)(1:1、2:1、4:1等)でsiRNAと混合し、ボルテックスすることにより急速に撹拌した。HKC2とTGFβ1とにおけるポリペプチドナノ粒子のサイズ分布は、動的光散乱装置(DLS)により測定し、30分後に決定した。混合比1:1~1:6のTGFβ1(2.5μg/μL)とHKC2(30μg/μL)における高濃度下でのサイズ分布により、大型のナノ粒子サイズ(2000~3000nm)および沈殿が、一部の場合において観察された。siRNAとHKC2との間にいかなる追加の配列を使用したとしても、サイズは同一のままであった(図1)。
実施例4.HKC2-siRNAポリペプチドナノ粒子(PNP)のHEK293細胞への細胞内送達
HEK293細胞を3×10細胞/ウェルで48ウェルプレートに播種し、一晩インキュベートした。翌日、AF488標識siRNA/HKC2複合体を次のように調製した。siRNA(0.025μg/μL、21-mer)およびHKC2(0.05μg/μL)の水溶液を次のHKC2対siRNA質量比:1:1、1.7:1、2:1、4:1、8:1および1:2で混合した。30分後、siRNA/HKC2複合体を細胞に加えた。トランスフェクションの24時間後、蛍光画像を取得した。図7の画像により、発明者らは、siRNAが細胞内部に送達されたことを観察した(図7)。
実施例5.HKC2-siRNA PNPのA549細胞への細胞内送達
蛍光標識したsiRNA(Alexa Fluor 488)をペプチドHKC2と複合させて、siRNA送達の検証に使用した。トランスフェクションの前日に、A549細胞を3×10細胞/ウェルの密度で48ウェルプレートのウェルに播種した。翌日、AF488標識siRNA/HKC2複合体を次のように調製した。siRNA(0.025μg/μL、21-mer)およびHKC2(0.05μg/μL)の水溶液を次のHKC2対siRNA比:1:1、1.7:1、2:1、4:1、8:1および1:2で混合した。30分後、siRNA/HKC2複合体を細胞に加えた。トランスフェクションの24時間後、蛍光画像を取得した。図8の画像により、発明者らは、siRNAがA549細胞内部に明らかに送達されたことを観察した(図8)。
実施例6.siRNAの移入を遅らせるHKC2の量を決定するゲル遅延度アッセイ
siRNA(TGF-β1、500ng)と複合した種々の比率のHKC2を調製し、ゲル電気泳動に30分間供した(3%ゲル)。HKC2ポリペプチド対siRNAの種々の比率をゲル上に表す(図9)。実験では、25ng/μLのsiRNAを、1:2、1:1、1.5:1、2:1、3:1、4:1の比率の種々の量のHKC2ペプチドまたは参照HKP(4:1)とともにインキュベートした。20分間のインキュベーション後、20μLのsiRNA/ペプチド(siRNAを各500ng)複合体をゲル内のウェルに充填した。遊離および結合したsiRNAを3.0%の非変性アガロースゲル上に100Vの印加電圧下で30分間分離した。ゲルは、臭化エチジウムRNA色素で染色し、UV=290nmで生じる蛍光バンドをFuji LAS4000イメージャで可視化した(図9)。
実施例7.HKC2の分解およびグルタチオン(GSH)の存在下でのsiRNAの放出を検証するゲル遅延度アッセイ
siRNA(TGF-β1、500ng)と複合した種々の比率のHKC2またはHKPを調製し、ゲル電気泳動に30分間供した(3%ゲル)。HKC2ポリペプチド対siRNAの種々の比率をゲル上に表す(図10)。実験では、25ng/μLのsiRNAを、4:1および8:1の比率の種々の量の架橋HKC2ペプチドまたは参照HKP(4:1)とともに、20mMのグルタチオン(GSH)の存在下または非存在下でインキュベートした。40分間のインキュベーション後、20μLのsiRNA/ペプチド(siRNAを各500ng)複合体をゲルのウェルに充填した。遊離および結合したsiRNAを3.0%のアガロースゲル上に100Vの印加電圧下で30分間分離した。ゲルは、臭化エチジウムで染色し、UV=290nmで生じる蛍光バンドをFuji LAS4000イメージャで可視化した。提示する結果は、複数の試験から得た画像の代表である。
実施例8.ナノ粒子の形成におけるHKC2:HKP:TGFβ1の形成物のサイズ分布および多分散
HKC2=K(HHHK)CSSC。HKP=H3K4b。TGFβ1を水中80ng/μLで使用した。これらを等容積のHKCおよびHKPと水中で混合した。HKC2、HKPおよびsiRNA(TGFβ1)のナノ粒子形成を種々の比率で評価した。HKC2をHKP/siRNA形成物に追加すると、類似のナノ粒子サイズが維持されたが、対照HKP/siRNA(N:P質量比=4:1)と比較した場合、多分散指数(PDI)が顕著に狭まった。HKC2/HKP/siRNAを0:4:1、1:4:1、1:3:1、2:3:1、2:2:1、3:1:1の質量比で形成した。HKC2(160ng/μL)、HKP(320ng/μL)およびsiRNA(80ng/μL)の水溶液を定義の比率で混合し、RTで30分間インキュベートした。その後、生じた試料は、Nanoplus 90装置(Brookhaven社)を使用した動的光散乱により測定した。動的半径および多分散を記録し、図11および12に示した。
実施例9.HKP単独または種々の量のHKPおよびHKCと組み合わせて形成したCell Death siRNA(Qiagen社)による、ヒト膠芽細胞腫T98G細胞株に対する処理の効果
種々の質量比のHKP/HKC2/siRNAを使用し、リポフェクタミンも対照として使用した。はじめに、HKC(160ng/μl)の水溶液をsiRNA(80ng/μl)の水溶液に加え、混合し、手短にボルテックスし、次いで、同様にHKP(320ng/μl)を加えた。混合物をRTで30分間インキュベートした。トランスフェクション複合体をOPTI-MEMで希釈し、新鮮培地を添加した培地100μl中の細胞に加えた。トランスフェクションの6時間後、培地を10%FBS/DMEMまたはEMEMと交換した。トランスフェクションの72時間後、生細胞の数をCellTiter-Glo Luminescent cell viability assay(Promega社)により評価した。非処理細胞(ブランク)から得た値を100%として設定した。すべての値は、4回の反復の平均値±S.D.を表す。NS-非発現抑制siRNA(Qiagen社、ジャーマンタウン、MD州)、CD-Cell Death siRNA(Qiagen社、ジャーマンタウン、MD州)(図13を参照)。
実施例10.HKP単独または種々の量のHKPおよびHKCと組み合わせて形成したCell Death siRNA(Qiagen社)による、ヒト肝細胞癌HepG2細胞に対する処理の効果
種々の質量比のHKP/NKC2/siRNAを使用し、リポフェクタミンを対照として使用した。HKC(160ng/μl)の水溶液をsiRNA(80ng/μl)の水溶液に加え、混合し、手短にボルテックスし、次いで、HKP(320ng/μl)を加えた。混合物をRTで30分間インキュベートした。トランスフェクション複合体をOPTI-MEMで希釈し、新鮮培地を添加した培地100μl中の細胞に加えた。トランスフェクションの6時間後、培地を10%FBS/DMEMまたはEMEMと交換した。トランスフェクションの72時間後、生細胞の数をCellTiter-Glo Luminescent cell viability assay(Promega社)により評価した。非処理細胞(ブランク)から得た値を100%として設定した。すべての値は、4回の反復の平均値±S.D.を表す。NS-非発現抑制siRNA(Qiagen社、ジャーマンタウン、MD州)、CD-CellDeath siRNA(Qiagen社、ジャーマンタウン、MD州)。
参考文献:
1. Zimmermann T. S., Lee A. C., Akinc A., Bramlage B., Bumcrot D., Fedoruk M. N., MacKachlan I. (2006): RNAi-mediated gene silencing in non-human primates. Nature, 441, 111-114.
2. Judge A. D., Robbins M., Tabakoli I., Levi J., Hu L., Fronda A., Maclachian L. (2009): Confirming the RNAi-mediated mechanism of action of siRNA-based cancer therapeutics in mice. J. Clin. Invest., 119, 661-673.
3. Semple S. C., Akinc A., Chen J., Sandhu A. P., Mui B. L., Cho C. K., Hope M. J. (2010): Rational design of cationic lipids for siRNA delivery. Nat. Biotechnol., 28, 172-176.
4. Rozema D. B., Lewis D. L., Wakefield D. H., Wong S. C., Klein J. J., Roesch P. L., Bertin S. L., Reppen T. W., Chu Q., Blokhin A. V., Hagstrom J. E., Wolff J. A. (2007): Dynamic PolyConjugates for targeted in vivo delivery of siRNA to hepatocytes. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 104, 12982-12987.
5. Wooddell C. I., Rozema D. B., Hossbach M., John M., Hamilton H. L., Chu Q., Hegge J. O., Klein J. J., Wakefield D. H., Oropeza C. E., Deckert J., Roehl I., Jahn-Hofmann K., Hadwiger P., Vornlocher H.P., McLachaln A., Lewis D.L. (2013): Hepatocyte-targeted RNAi therapeutics for the treatment of chronic hepatitis B virus infection. Mol. Ther., 21, 973-985.
6. Tatiparti K., Sau S., Kashaw S. K., Iyer A. K. (2017): siRNA Delivery Strategies: A Comprehensive review of recent developments, Nanomaterials (Basel). 7(4), e77.
7. U.S. Patent No. 8,735,567 B2 of Lu et al., issued May 27, 2014 for Multi-Targeted RNAi Therapeutics for Scarless Wound Healing of Skin.
8. U.S. Patent No. 9,642,873 B2 of Lu et al., issued May 9, 2017 for Combinations of TGFβ and COX-2 Inhibitors and Methods for their Therapeutic Application.
9. Jia Zhou, Yixuan Zhao, Vera Simonenko, John J. Xu, Kai Liu, Deling Wang, Jingli Shi, Tianyi Zhong, Lixia Zhang, Lun Zeng, Bin Huang, Shenggao Tang, Alan Y. Lu, A. James Mixson, Yangbai Sun, Patrick Y. Lu and Qingfeng Li (2017): Simultaneous silencing of TGF-β1 and COX-2 reduces human skin hypertrophic scar through activation of fibroblast apoptosis, Oncotarget, 8, 80651-80665.
10. Cheng R., Feng F., Meng F., Deng C., Feijen J., Zhong Z. (2011): Glutathione-responsive nano-vehicles as a promising platform for targeted intracellular drug and gene delivery. J. Control. Release, 152, 2-12.
11. Zhu L., and Vladimir P. T., (2013): Stimulus-responsive nanopreparations for tumor targeting, Integr. Biol. (Camb). 5, 96-107.
12. Leng Q. and Mixson A. J. (2005): Modified branched peptides with a histidine-rich tail enhance in vitro gene transfection, Nucleic Acids Research, 33, e40.
13. Chou S. T., Hom K., Zhang D., Leng Q., Tricoli L. J., Hustedt J. M., Lee A., Shapiro M. J., Seog J., Kahn J. D., Mixson A. J. (2014): Enhanced silencing and stabilization of siRNA polyplexes by histidine-mediated hydrogen bonds, Biomaterials, 35, 846-855.
14. Anajafi T., Yu J., Sedigh A., Haldar M. K., Muhonen W. W., Oberlander S., Wasness H., Froberg J., Molla M. S., Katti K. S., Choi Y., Shabb J. B., Srivastava D. K., Mallik S. (2017): Nuclear Localizing Peptide-Conjugated, Redox-Sensitive Polymersomes for Delivering Curcumin and Doxorubicin to Pancreatic Cancer Microtumors, Mol. Pharmaceutics, 14, 1916-1928.
15. David P. F., Aline D. de A. (2016): Review Stapling Peptides Using Cysteine Crosslinking, PeptideScience, 106, 843-852.
発行された特許および公表された特許出願を含む、本明細書において特定するすべての公表文献、ならびにurlアドレスまたは受託番号により本明細書において特定するすべての登録データベースの開示は、これらの全体を参照により本明細書に組み込む。
本発明は、この特定の実施形態に関して記載されており、多くの詳細が、例示目的のために記載されているが、本発明が、さらなる実施形態を受け入れる余地があり、本明細書に記載する詳細のいくつかが、本発明の基本的原理から逸脱することなく、大幅に変更され得ることは当業者に明らかである。

Claims (58)

  1. 式Kp{[(H)n(K)m]}y-C-x-Cまたは式Kp{[(H)a(K)m(H)b(K)m(H)c(K)m(H)d(K)m]}y-C-x-C[式中、Kはリジンであり、Hはヒスチジンであり、Cはシステインであり、xはリンカーであり、pは0または1であり、nは1~5の整数であり、mは0~3の整数であり、a、b、cおよびdは3または4のいずれかであり、yは3~10の整数である]からなり、xはSer-Serである、ペプチド。
  2. nが3であり、mが0または1であり、yが4または8である、請求項1に記載のペプチド。
  3. ペプチド配列が、少なくともアミノ酸長かつ最大で8アミノ酸長からなる、請求項に記載のペプチド。
  4. ペプチドが、哺乳動物細胞に内部移行されることが可能である、請求項1からのいずれか一項に記載のペプチド。
  5. ペプチドが、ヒト細胞に内部移行されることが可能である、請求項1からのいずれか一項に記載のペプチド。
  6. ペプチドが、直鎖である、請求項1からのいずれか一項に記載のペプチド。
  7. ペプチドが、分枝鎖である、請求項1からのいずれか一項に記載のペプチド。
  8. 開裂可能な結合を介して架橋された、少なくとも2つの請求項1に記載のペプチドを含むポリペプチド。
  9. 開裂可能な結合を介して架橋された、少なくとも2つの請求項2からのいずれか一項に記載のペプチドを含むポリペプチド。
  10. 開裂可能な結合が、ジスルフィド結合である、請求項または請求項に記載のポリペプチド。
  11. ポリペプチドが、直鎖である、請求項から10のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  12. ポリペプチドが、分枝鎖である、請求項から10のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  13. 請求項に記載のポリペプチドおよび核酸を含むナノ粒子。
  14. 請求項から12のいずれか一項に記載のポリペプチドおよび核酸を含むナノ粒子。
  15. ヒスチジン-リジン共重合体をさらに含む、請求項13または請求項14に記載のナノ粒子。
  16. ヒスチジン-リジン共重合体が、H3K4bまたはHKP(+H)を含む、請求項15に記載のナノ粒子。
  17. 核酸が、siRNAを含む、請求項13から16のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  18. ポリペプチドおよびナノ粒子が、哺乳動物細胞において生分解性である、請求項13から17のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  19. ナノ粒子サイズが、50~300nmである、請求項13から18のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  20. ナノ粒子サイズが、80~130nmである、請求項13から18のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  21. ナノ粒子の表面の部分的遊離チオール基残基を介して結合している官能基をさらに含む、請求項13から20のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  22. ペプチド配列内のシステイン側鎖上の遊離チオール基残基を介して結合している官能基をさらに含む、請求項13から20のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  23. 官能基が、低分子、保護ポリエチレングリコール(PEG)分子、脂質、ペプチドまたはタンパク質、オリゴヌクレオチド、およびアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)を認識する炭水化物結合部位を有する有機分子からなる群から選択される、請求項21または請求項22に記載のナノ粒子。
  24. 官能基が、保護PEG分子である、請求項23に記載のナノ粒子。
  25. 核酸が、siRNA、miRNA、アンチセンスオリゴ、プラスミド、mRNA、RNAザイム、DNAザイム、およびアプタマー配列からなる群から選択される、請求項13から24のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  26. 第2の核酸をさらに含む、請求項13から25のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  27. 第2の核酸が、siRNA、miRNA、アンチセンスオリゴ、プラスミド、mRNA、RNAザイム、DNAザイム、およびアプタマー配列からなる群から選択される、請求項26に記載のナノ粒子。
  28. siRNA分子が、16~27塩基対の長さを有する2本鎖オリゴヌクレオチドを含む、請求項25または27に記載のナノ粒子。
  29. siRNA分子が、21~25塩基対の長さを有しかつ平滑末端または1~3ヌクレオチドのオーバーハングを有する2本鎖オリゴヌクレオチドを含む、請求項25または請求項27に記載のナノ粒子。
  30. 医薬をさらに含む、請求項13から29のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  31. 医薬が、低分子薬、ペプチド薬、およびタンパク質薬からなる群から選択される、請求項30に記載のナノ粒子。
  32. 核酸が、表1~3において同定されているsiRNA分子を含む、請求項13から31のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  33. 核酸が、a)表1~3の二重鎖のうちのいずれか1つの近接する24塩基対からなる生成された二重鎖;b)表1~3の二重鎖のうちのいずれか1つの近接する23塩基対からなる生成された二重鎖;c)表1~3の二重鎖のうちのいずれか1つの近接する22塩基対からなる生成された二重鎖;d)表1~3の二重鎖のうちのいずれか1つの近接する21塩基対からなる生成された二重鎖;e)表1~3の二重鎖のうちのいずれか1つの近接する20塩基対からなる生成された二重鎖;f)表1~3の二重鎖のうちのいずれか1つの近接する19塩基対からなる生成された二重鎖;g)表1~3の二重鎖のうちのいずれか1つの近接する18塩基対からなる生成された二重鎖;h)表1~3の二重鎖のうちのいずれか1つの近接する17塩基対からなる生成された二重鎖;およびi)表1~3の二重鎖のうちのいずれか1つの近接する16塩基対からなる生成された二重鎖からなる群から選択されるsiRNA分子を含む、請求項13から31のいずれか一項に記載のナノ粒子。
  34. 請求項13から33のいずれか一項に記載のナノ粒子を含む、核酸を哺乳動物細胞に送達するための組成物。
  35. 核酸が、in vitroで細胞に送達される、請求項34に記載の組成物。
  36. 核酸が、in vivoで細胞に送達される、請求項34に記載の組成物。
  37. 哺乳動物細胞が、ヒト細胞である、請求項34から36のいずれか一項に記載の組成物。
  38. 治療的有効量の請求項13から33のいずれか一項に記載のナノ粒子を含む、哺乳動物における遺伝子治療のための医薬。
  39. 哺乳動物が、ヒトである、請求項38に記載の医薬。
  40. 治療的有効量の請求項13から33のいずれか一項に記載のナノ粒子を含む、治療化合物を哺乳動物に送達するための組成物。
  41. 哺乳動物が、ヒトである、請求項40に記載の組成物。
  42. 請求項1からのいずれか一項に記載のペプチドを生成する方法であって、a)最初のリジン(K)を固体支持体に結合させる工程;b)さらなるアミノ酸を相次いで最初のリジンに結合させる工程;およびc)合成したペプチドを回収する工程を含む、方法。
  43. 請求項から12のいずれか一項に記載のポリペプチドを生成する方法であって、a)請求項1からのいずれか一項に記載のペプチドを化学酸化により架橋して、開裂可能な結合を有するポリペプチドを形成する工程;およびb)ポリペプチドを回収する工程を含む、方法。
  44. 請求項13または請求項14に記載のナノ粒子を生成する方法であって、a)請求項1からのいずれか一項に記載のペプチドを化学酸化により架橋して、開裂可能な結合を有するポリペプチドを形成する工程、b)ポリペプチドを核酸と混合する工程、およびc)ナノ粒子を回収する工程を含む、方法。
  45. 請求項13または請求項14に記載のナノ粒子を生成する方法であって、a)請求項から12のいずれか一項に記載のポリペプチドを核酸と混合して、ナノ粒子を形成する工程、およびb)ナノ粒子を回収する工程を含む、方法。
  46. 請求項13または請求項14に記載のナノ粒子を生成する方法であって、a)請求項1からのいずれか一項に記載のペプチドを核酸と混合する工程、b)ペプチドを化学酸化により架橋し、開裂可能な結合を有するポリペプチドを形成して、ナノ粒子の形成を生じる工程、およびc)ナノ粒子を回収する工程を含む、方法。
  47. 開裂可能な結合が、ジスルフィド結合である、請求項4344および46のいずれか一項に記載の方法。
  48. 医薬をポリペプチドおよび核酸と混合するさらなる工程を含む、請求項44から47のいずれか一項に記載の方法。
  49. ヒスチジン-リジン共重合体を加えるさらなる工程を含む、請求項44から48のいずれか一項に記載の方法。
  50. 医薬が、低分子薬、ペプチド薬、およびタンパク質薬からなる群から選択される、請求項48または請求項49に記載の方法。
  51. 核酸が、siRNA、miRNA、アンチセンスオリゴ、プラスミド、mRNA、RNAザイム、DNAザイム、およびアプタマー配列からなる群から選択される、請求項44から50のいずれか一項に記載の方法。
  52. 式K[(H)n(K)m]y-C-x-C[式中、Kはリジンであり、Hはヒスチジンであり、Cはシステインであり、nは1~5の整数であり、mは0~3の整数であり、yは3~7の整数であり、xはリンカーである]からなり、xはSer-Serである、ペプチド。
  53. nが3であり、mが0または1であり、yが4である、請求項52に記載のペプチド。
  54. リンカーが、2つのシステイン残基の架橋機能を保存し、ペプチドの官能性を維持する、請求項52または請求項53に記載のペプチド。
  55. ペプチドが、直鎖である、請求項52から54のいずれか一項に記載のペプチド。
  56. ペプチドが、分枝鎖である、請求項52から54のいずれか一項に記載のペプチド。
  57. 開裂可能な結合を介して架橋された2~10個の、請求項52から56のいずれか一項に記載のペプチドを含むポリペプチド。
  58. 開裂可能な結合が、ジスルフィド結合である、請求項57に記載のポリペプチド。
JP2020565868A 2018-05-24 2019-05-23 核酸治療薬のための調節可能な共カップリングポリペプチドナノ粒子送達系の組成物および方法 Active JP7512207B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201862676218P 2018-05-24 2018-05-24
US62/676,218 2018-05-24
PCT/US2019/033829 WO2019226940A1 (en) 2018-05-24 2019-05-23 Composition and methods of controllable co-coupling polypeptide nanoparticle delivery system for nucleic acid therapeutics

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021525508A JP2021525508A (ja) 2021-09-27
JP7512207B2 true JP7512207B2 (ja) 2024-07-08

Family

ID=

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20030165567A1 (en) 1999-12-29 2003-09-04 Mixson A. James Histidine copolymer and methods for using same
JP2008520209A (ja) 2004-11-17 2008-06-19 ユニヴァーシティ・オブ・メリーランド,バルチモア siRNAの有効なキャリアとしての高度に枝分かれしたHKペプチド
WO2011011631A2 (en) 2009-07-22 2011-01-27 Samuel Zalipsky Nucleic acid delivery vehicles
WO2018081726A2 (en) 2016-10-30 2018-05-03 Sirnaomics, Inc. Pharmaceutical compositions and methods of use for activation of human fibroblast and myofibroblast apoptosis

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20030165567A1 (en) 1999-12-29 2003-09-04 Mixson A. James Histidine copolymer and methods for using same
JP2008520209A (ja) 2004-11-17 2008-06-19 ユニヴァーシティ・オブ・メリーランド,バルチモア siRNAの有効なキャリアとしての高度に枝分かれしたHKペプチド
WO2011011631A2 (en) 2009-07-22 2011-01-27 Samuel Zalipsky Nucleic acid delivery vehicles
WO2018081726A2 (en) 2016-10-30 2018-05-03 Sirnaomics, Inc. Pharmaceutical compositions and methods of use for activation of human fibroblast and myofibroblast apoptosis

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Biomacromolecules,2009年,Vol. 10,pp. 119-127
Int. J. Pharmaceut.,2013年,Vol. 455,pp. 40-47

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2019275071B2 (en) Composition and methods of controllable co-coupling polypeptide nanoparticle delivery system for nucleic acid therapeutics
EP1915449B1 (en) Sirna-hydrophilic polymer conjugates for intracellular delivery of sirna and method thereof
US8969543B2 (en) SiRNA-hydrophilic polymer conjugates for intracellular delivery of siRNA and method thereof
Tokatlian et al. siRNA applications in nanomedicine
Shajari et al. Overcoming the challenges of siRNA delivery: nanoparticle strategies
Li et al. Ionizable lipid-assisted efficient hepatic delivery of gene editing elements for oncotherapy
Baoum et al. Calcium condensed cell penetrating peptide complexes offer highly efficient, low toxicity gene silencing
US20220226362A1 (en) Compositions and methods for the delivery of nucleic acids
Zhang et al. Nanobody-guided targeted delivery of microRNA via nucleic acid nanogel to inhibit the tumor growth
Liu et al. SiRNA delivery systems based on neutral cross-linked dendrimers
Joris et al. Small molecules convey big messages: Boosting non-viral nucleic acid delivery with low molecular weight drugs
Molla et al. Combinatorial synthesis of a lipidoid library by thiolactone chemistry: in vitro screening and in vivo validation for siRNA delivery
KR102537540B1 (ko) 만노스를 포함하는 지질 나노입자 또는 이의 용도
Fröhlich et al. Peptide-and polymer-based delivery of therapeutic RNA
He et al. Engineering a biomimetic system for hepatocyte-specific RNAi treatment of non-alcoholic fatty liver disease
KR101734018B1 (ko) 비타민 b6 결합 핵산 전달체 및 이를 이용한 유전자 암치료
JP7512207B2 (ja) 核酸治療薬のための調節可能な共カップリングポリペプチドナノ粒子送達系の組成物および方法
WO2011120953A1 (en) Polymers for delivering molecules of interest
Tanno et al. A novel aptamer-based small RNA delivery platform and its application to cancer therapy
US11407786B2 (en) Compositions and methods for the delivery of nucleic acids
Wu et al. Persistent Targeting DNA Nanocarrier Made of 3D Structural Unit Assembled from Only One Basic Multi‐Palindromic Oligonucleotide for Precise Gene Cancer Therapy
Hoogenboezem Development of Albumin-Hitchhiking siRNA Conjugates for Therapeutic Mcl-1 Silencing in Triple Negative Breast Cancer
Chen et al. Enabling safer, more potent oligonucleotide therapeutics with bottlebrush polymer conjugates
An Utility of two distinct macromolecular carriers for nucleic acid delivery
Chen Nanoparticle delivery of siRNA for cancer therapy