JP7511751B2 - マイクロリソグラフィ用適応光学素子 - Google Patents

マイクロリソグラフィ用適応光学素子 Download PDF

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本出願は、2020年10月8日に出願されたドイツ特許出願第10 2020 212 742.5号に対する優先権を主張する。この特許出願の開示全体は、参照により本願に組み込まれる。
本発明は、光学素子の光学面の形状を変化させるための少なくとも1つのマニピュレータを含むマイクロリソグラフィ用適応光学素子と、少なくとも1つのそのような適応光学素子を含むマイクロリソグラフィ投影露光装置と、そのような適応光学素子を動作させる方法に関する。
ウエハー上にマスク構造をできるだけ正確に結像させるためには、投影レンズの波面収差をできるだけ小さくすることが必要である。そのため、投影レンズにはマニピュレータが搭載され、投影レンズの個々の光学素子の状態を変化させることで波面誤差を補正することが可能となる。そのような状態変化の例に、関連する光学素子の6つの剛体の自由度のうちの1又は複数の自由度についての相対位置の変化と光学素子の変形がある。後者の状態変化のために、光学素子は、原則として、前述の適応光学素子の形態で具現化される。この後者については、光学面を動かすための圧電式又は電歪式のマニピュレータを含み得る。このようなマニピュレータの機能は、電界の印加による誘電体媒体の変形に基づく。所望の状態変化を決定するために、投影レンズの収差特性は通常定期的に測定され、適切な場合には、個々の測定間の収差特性の変化がシミュレーションによって決定される。この点、例えば、レンズ素子の発熱効果を計算上考慮することができる。
圧電型又は電歪型の適応光学素子を使用する場合、アクチュエータ材料の温度変化によって、適応光学素子によって行われる表面形状補正が著しく不正確になるという問題がしばしば発生する。
本発明の目的は、前述の問題を解決し、特に、適応光学素子の表面形状補正を改善された精度で実施することを可能にする、冒頭に述べたタイプの適応光学素子及び適応光学素子を動作させる方法を提供することにある。
本発明に係る第1の態様によれば、前述の問題は、例えば、光学素子の光学面の形状を変更するための少なくとも1つのマニピュレータを含むマイクロリソグラフィ用の適応光学素子によって解決することができ、このマニピュレータは、電界を印加することによって変形可能な一体型誘電体媒体と、一体型誘電体媒体と相互接続して配置される電極と、電極に配線され、第1に、誘電体媒体の長手方向の広がりを変える役割を果たす制御電圧を、第2に、誘電体媒体を加熱する役割を果たす交流電圧を、前記電極に加えるように構成された電圧発生器と、を含む。
一体型誘電体媒体は、連続したシームレスなモノリシック誘電体媒体を意味すると理解され、すなわち、誘電体媒体内の様々な部分の間に結合が存在すれば、それはシームレスであると理解される。例として、焼結によって生成された結合はシームレスな結合を意味すると理解されるが、接着結合によって生成された結合はシームレスな結合を意味しないと理解される。すなわち、誘電体媒体内の個々の領域は、分離領域において材料構造を変更又は破壊することなく、互いに分離することができない。
一体型誘電体媒体と相互接続して配置される電極は、例えば、誘電体媒体に埋め込まれる、すなわち誘電体媒体に囲まれる電極、及び/又は、誘電体媒体の表面に配置される電極を意味すると理解されるべきである。伸長と加熱の機能は、両方とも同じ連続した誘電体媒体の中で発揮される。
誘電体媒体を加熱する役割を果たす交流電圧を供給するように配線され構成された電圧発生器の本発明に係る態様の結果、誘電体媒体の動作温度を所定の温度で一定に保つこと、又は、温度を規定値に設定することが可能である。これにより、露光動作中に光学素子への照射流入が不均一になることで、マニピュレータの誘電体媒体の温度が経時的に変化するのを防ぐ。このことは、さらに、誘電体媒質の変形たわみの温度依存性のために、求められる適応光学素子の表面補正の精度が損なわれることを防止する。
実施形態によれば、適応光学素子は、さらに、少なくとも電極対の電極間に制御電圧と交流電圧の両方が印加されるように構成される電極のための配線を含む。実施形態の変形例によれば、いくつかの電極対の電極間に、具体的には、複数又は全ての電極対の電極間に、制御電圧と交流電圧の両方を印加することが可能である。
さらなる実施形態によれば、前記電圧発生器は、さらに、交流電圧によって生ずる前記誘電体媒体の変形の振動振幅が対応する静電圧(static voltage)によって生ずる前記誘電体媒体の変形に関して少なくとも1桁減衰するような高い周波数で、交流電圧を前記誘電体媒体内に生成するように構成される。
本発明に係る第2の態様によれば、この問題は、光学素子の光学面の形状を変更するための少なくとも1つのマニピュレータを含むマイクロリソグラフィ用の適応光学素子によって解決することができ、このマニピュレータは、電界の印加によって変形可能な誘電体媒体と、交流電圧の印加によって生ずる誘電体媒体の変形の振動振幅が、対応する静電圧によって生ずる誘電体媒体の変形に対して、少なくとも1桁、特に少なくとも20倍、少なくとも50倍、又は、少なくとも100倍に減衰するような高い周波数で誘電体媒体を加熱する役割を果たす交流電圧を誘電体媒体内に生成させるように構成される電圧発生器と、を含む。対応する静電圧は、交流電圧の振幅に対応する電圧値を有する電圧を意味すると理解されるべきである。
本発明に係る第1又は第2の側面による適応光学素子の実施形態によれば、電圧発生器は、少なくとも1kHz、特に少なくとも10kHz、少なくとも100kHz、少なくとも200kHz、又は、少なくとも500kHzの周波数で交流電圧を生成するように構成されている。
さらなる実施形態によれば、誘電体媒体は、電界の印加に伴って生ずる変形が電界の方向に依存しない電歪材料を含む。本明細書では、電歪効果は、印加された電界に基づく誘電体媒体の変形の成分を意味すると理解され、この場合、変形は印加された電界の方向に依存せず、具体的には、電界の2乗に比例する。これに対して、電界に対する変形の線形応答は、圧電効果と呼ばれる。実施形態の変形例によれば、誘電体媒体において、電歪効果は、生じ得る圧電効果よりも支配的である。
さらなる実施形態によれば、誘電体媒体は、電界の印加に伴って生ずる変形が電界の方向に比例する圧電材料を含む。実施形態の変形例によれば、誘電体媒体において、圧電効果は、生じ得る電歪効果よりも支配的である。
さらなる実施形態によれば、電極は、誘電体媒体中に少なくとも3つの電極からなるスタック構造で、特に、少なくとも4つ、5つ、又は、少なくとも6つの電極からなるスタック構造で配置される。実施形態の変形例によれば、電極は、スタック構造におけるそれぞれの2つの電極間に交流電圧を印加することが可能なように配線される。
さらなる実施形態によれば、電極の少なくとも1つは、マニピュレータの動作中に長手方向の伸長が生ずる誘電体媒体のアクティブボリューム(active volume)の外側に配置され、交流電圧を印加するために追加の電極に配線されている。特に、この追加された電極は、同様に、アクティブボリュームの外側に配置される。実施形態の変形例によれば、アクティブボリュームの外側に配置された電極は、誘電体媒体の表面の領域に配置される。特に、この電極は、少なくとも、表面を形成する誘電体媒体の層によって覆われる。
さらなる実施形態によれば、少なくとも1つのマニピュレータは、光学面に平行な電界を印加することによって変形可能である。さらなる実施形態によれば、少なくとも1つのマニピュレータは、光学面に垂直な電界を印加することによって変形可能である。
さらなる実施形態によれば、適応光学素子は、前述のタイプの複数のマニピュレータ、特に少なくとも3個、少なくとも5個又は少なくとも10個のマニピュレータを含む。
さらなる実施形態によれば、光学面は、EUV放射の反射のために構成される。
さらなる実施形態によれば、適応光学素子は、誘電体媒体の温度を測定するための温度測定装置をさらに含む。実施形態の変形例によれば、温度測定装置は、誘電体媒体の電気容量を測定することによって、誘電体媒体の温度を決定するように構成される。さらなる実施形態の変形例によれば、温度測定装置は、誘電体媒体の温度を測定するための異なるタイプの温度センサ、例えば、圧電温度センサを含む。
さらなる実施形態によれば、適応光学素子は、誘電体媒体を加熱するための交流電圧の振幅及び/又は周波数を制御するように構成された制御ユニットをさらに含む。この場合、加熱電力は、実施形態の第1の変形例によれば、不変の周波数で電圧振幅を変化させることによって、実施形態の第2の変形例によれば、不変の電圧振幅で周波数を変化させることによって、又は、実施形態の第3の変形例によれば、電圧振幅及び周波数の両方を好適に変化させることによって、実施することが可能である。
特に、制御ユニットは、誘電体媒体の温度測定値に基づいて、交流電圧の振幅及び/又は周波数を制御するように構成することができる。この目的のために、制御ユニットは、制御ループに組み込まれたコントローラを含むことができ、この制御ループでは、上述の温度測定装置によって決定された誘電体媒体の温度が被制御変数として機能し、指定された目標温度が基準変数として機能し、交流電圧の振幅及び/又は周波数が操作変数として機能し、誘電体媒体が被制御システムとして機能する。そして、閉ループ制御を用いて、誘電体媒体の温度が目標温度になるように、周波数及び/又は交流電圧の操作変数が調整される。
さらに、本発明によれば、上述した実施形態又は実施形態の変形例のいずれか1つによる少なくとも1つの適応光学素子を含むマイクロリソグラフィ投影露光装置が提供される。実施形態によれば、適応光学素子は、投影露光装置の投影レンズの一部である。代替的に、適応光学素子は、投影露光装置の照明光学ユニットの一部であることも可能である。
本発明の第1の側面によれば、この問題はさらに、少なくとも1つのマニピュレータによって光学素子の光学面の形状を変更するためのマイクロリソグラフィ投影露光装置の適応光学素子を動作させる方法によって解決することができる。この方法は、電界を印加することによって変形可能な一体型誘電体媒体であって、当該一体型誘電体媒体と相互接続するように配置される電極を含む一体型誘電体媒体をマニピュレータに提供するステップと、誘電体媒体の長手方向の広がりを変化させるために電極に制御電圧を印加するステップと、誘電体媒体を加熱するために電極に交流電圧を印加するステップとを含む。交流電圧は、誘電体媒体が所定の温度に加熱されるように制御されることが好ましい。
ある実施形態によれば、誘電体媒体の加熱は、電極に印加される交流電圧の振幅及び/又は周波数を変化させることによって制御される。
さらなる実施形態によれば、適応光学素子は、交流電圧によって加熱可能な少なくとももう1つの追加のマニピュレータを含み、第1のマニピュレータの電極に印加される交流電圧と追加のマニピュレータを加熱するための交流電圧は、第1のマニピュレータと追加のマニピュレータの温度が等しくなるように制御される。
本発明の第2の側面によれば、この問題はさらに、少なくとも1つのマニピュレータによって光学素子の光学面の形状を変更するためのマイクロリソグラフィ投影露光装置の適応光学素子を動作させる方法によって解決することができる。この方法は、電界を印加することによって変形可能な誘電体媒体をマニピュレータに提供するステップと、交流電圧によって生ずる誘電体媒体の変形の振動振幅が対応する静電圧によって生ずる誘電体媒体の変形に関して少なくとも1桁減衰するような高い周波数で、交流電圧を誘電体媒体内に生成させるステップとを含む。
実施形態によれば、誘電体媒体の静電容量を測定することにより、温度が決定される。特に、誘電体媒体において所定の温度が設定されるように、決定された温度に基づいて、交流電圧が制御される。
本発明の側面の1つに係る本発明による適応光学素子について、前述の実施形態、例示的な実施形態、実施形態の変形例などに関して規定された特徴は、本発明の側面の1つに係る本発明による方法に同様に適用することができ、その逆もまた可能である。本発明による実施形態のこれらの特徴やその他の特徴は、図の記述と特許請求の範囲において説明される。個々の特徴は、本発明の実施形態として、別々に、又は、組み合わせて実施することができる。さらに、これらは、独立して保護可能な有利な実施形態を説明することができ、適切な場合には、出願の係属中又は係属後にのみ請求される保護を説明することができる。
本発明に関する上述した有利な特徴やさらなる有利な特徴は、添付の概略図面を参照しながら、本発明に係る例示的な実施形態についての以下の詳細な説明で示される。
適応光学素子を含むマイクロリソグラフィ投影露光装置の1つの実施形態を示す図である。 初期状態及び補正状態における適応光学素子の第1の実施形態を示す図である。 初期状態及び補正状態における適応光学素子のさらなる実施形態を示す図である。 適応光学素子のマニピュレータについて、異なる温度θに対する印加される電界Eの関数としての歪みSを明らかにしている。 適応光学素子のマニピュレータについて、温度θの関数としての歪みSを明らかにしている。 図3による適応光学素子の複数のマニピュレータに沿った例示的な温度分布を示す図である。 適応光学素子のマニピュレータの第1の実施形態を示す図である。 適応光学素子のマニピュレータの第2の実施形態を示す図である。 印加電圧の周波数の関数としてマニピュレータの静電容量の実部の例示的な曲線を示す図である。 印加電圧の周波数の関数としてマニピュレータの静電容量の虚部の例示的な曲線を示す図である。 印加電圧の周波数の関数としてマニピュレータの静電容量の絶対値の例示的な曲線を示す図である。 印加電圧の周波数の関数としてマニピュレータの正規化された平行コンダクティビティ(parallel conductivity)の例示的な曲線を示す図である。 適応光学素子を含むマイクロリソグラフィ投影露光装置のさらなる実施形態を示す図である。
以下に説明する例示的な実施形態、実施形態、実施形態の変形例において、機能的又は構造的に互いに類似する要素には、可能な限り同一又は類似の参照符号が付されている。したがって、特定の例示的な実施形態の個々の要素の特徴を理解するために、他の例示的な実施形態の説明又は本発明の一般的な説明が参照されるだろう。
説明を容易にするために、図面では直交座標系が示されており、この座標系からみて、各図に示された各構成要素の位置関係が明らかになる。図1において、y方向は図面の平面から紙面奥方向に垂直に伸び、x方向は右方向に伸び、z方向は上方向に伸びている。
図1は、マイクロリソグラフィ投影露光装置10の本発明に係る1つの実施形態を示す。本実施形態は、EUV波長域、すなわち、100nm未満の波長を有する電磁放射、特に約13.5nm又は約6.8nmの波長を有する電磁放射で動作するように設計されている。この動作波長の結果として、全ての光学素子はミラーとして具現化される。しかしながら、本発明は、EUV波長域における投影露光装置に限定されるものではない。本発明に係るさらなる実施形態は、例えば、365nm、248nm、193nmのようなUV範囲における動作波長用に設計される。この場合、光学素子の少なくとも一部は、従来の透過レンズ素子として構成される。DUV波長域での動作のために構成された投影露光装置を、図10を参照して以下に説明する。
図1に係る投影露光装置10は、露光放射14を生成させるための露光放射源12を含む。本実施例では、露光放射源12はEUV源として具現化されており、それは例えばプラズマ放射源を含み得る。露光放射14は、最初に照明光学ユニット16を通過し、それによってマスク18上に案内される。
マスク18は、基板24上に結像されるマスク構造を有しており、マスク変位ステージ20上に変位可能に取り付けられている。基板24は、基板変位ステージ26上に変位可能に取り付けられている。図1に描かれているように、マスク18は、反射マスクとして具現化することができ、或いは、特にUVリソグラフィのための透過マスクとして構成することもできる。図1による実施形態では、露光放射14は、マスク18で反射され、その後、マスク構造を基板24上に結像させるように構成された投影レンズ22を通過する。基板24は、基板変位ステージ26に変位可能に取り付けられている。投影露光装置10は、いわゆるスキャナ又はいわゆるステッパとして設計することができる。露光放射14は、照明光学ユニット16及び投影レンズ22内で、複数の光学素子、ここではミラーという種類の光学素子で案内される。
ここで説明されている実施形態では、照明光学ユニット16は、反射光学素子又はミラーという種類の4つの光学素子30-1、30-2、30-3、30-4を含む。投影レンズ22は、同様に、反射光学素子又はミラーという種類の4つの光学素子30-5、30-6、30-7、30-8を含む。光学素子30-1から30-8は、露光放射14を導く目的で、投影露光装置10の露光ビーム経路28に配置されている。
ここで示されている実施形態では、光学素子30-5は、その鏡面の形態としてアクティブ光学面32を有する適応光学素子として構成され、その形状は、局所的な形状欠陥を補正する目的で能動的に変更することができる。さらなる実施形態では、異なる光学素子又は複数の光学素子30-1、30-2、30-3、30-4、30-5、30-6、30-7、30-8もそれぞれ適応光学素子として構成することができる。
さらに、投影露光装置10の光学素子30-1、30-2、30-3、30-4、30-5、30-6、30-7、30-8のうちの1つ又は複数は、移動可能な態様で取り付けることができる。この目的のために、移動可能な態様で取り付けられた光学素子のそれぞれに、それぞれの剛体マニピュレータが割り当てられる。例として、剛体マニピュレータはそれぞれ、割り当てられた光学素子を、割り当てられた光学素子のそれぞれの反射面が存在する平面と実質的に平行な向きに、傾かせ及び/又は変位させやすくする。したがって、投影露光装置10の結像収差を補正する目的で、1つ又は複数の光学素子の位置を変更することができる。
1つの実施形態によれば、投影露光装置10は、1又は複数の適応光学素子としての上述した剛体マニピュレータ、及び/又は、場合によっては追加のマニピュレータなどのマニピュレーションユニットに対する制御信号42を生成するための制御装置40を含む。この適応光学素子30-5への制御信号42の送信は、図1で例示的に説明されている。投影レンズ22の収差を補正するための実施形態によれば、制御装置40は、波面測定装置44によって測定された投影レンズ22の波面偏差46に基づき、フィードフォワード制御アルゴリズムによって、制御信号42を把握する。
図2において、適応光学素子30-5の第1の実施形態を説明する。図2の上段の説明図は、光学面32の形状が初期形状を有する初期状態、ここでは平面形状を有する初期状態の適応光学素子30-5を示す。図2の下段の説明図は、光学面32の形状が変化した形状を有する補正状態、ここでは凸状のアーチ形状を有する補正状態の適応光学素子30-5を示す。
適応光学素子は、バックプレートの形態の支持要素34と、その表面がアクティブ光学面32を形成し、露光放射14を反射する役割を果たすミラー素子38とを含む。アクチュエータとも呼ばれる複数のマニピュレータ36は、ミラー素子38の底面に沿って配置される。ここで、これらは、好ましくは、x方向とy方向の両方の方向に、すなわち、二次元的な配置で、ミラー素子38の底面に沿って配置される。図2においては、分かりやすさのために、参照符号が付されているものが数個しか図示されていないが、これらのマニピュレータ36は、支持要素34をミラー素子38に接続する。マニピュレータ36は、動作しているときに、その長手方向に沿って広がりが変化するように構成されている。図2に係る実施形態では、マニピュレータ36は、光学面32にわたって又は光学面32と垂直に動作可能である。マニピュレータは、それぞれ個別に駆動され、したがって、互いに独立して動作させることができる。
図2の下段に示す補正状態において、中央に配置されたマニピュレータ36は、それが動作することで長くなっており、そのため、光学面32に凸状のアーチ形状が生ずる。
図3は、適応光学素子30-5のさらなる実施形態を説明する。図2と同様に、図3の上段の説明図は、光学面32の形状が初期形状として平面形状を有する初期状態の適応光学素子30-5を示す。図3の下段の説明図は、光学面32の形状が、凸状に湾曲した結果、変化した形状を有している補正状態での適応光学素子30-5を示す。
図3による適応光学素子30-5は、マニピュレータ36が、ミラー素子38の底面に、光学面32を横切る方向ではなく光学面32に平行に配置され、マニピュレータ36がミラー素子38に平行に配置された剛性の支持要素によって支持されていない点で、図2による実施形態と異なっている。すなわち、マニピュレータ36は、図2のように光学面32を横切る方向ではなく、光学面32に対して平行に変形可能である。表面に平行な個々のマニピュレータ36の歪み又は収縮の結果として、曲げモーメントがミラー素子38に加わり、図3の下段で説明されているように後者の変形につながる。
個々のマニピュレータ36を駆動することにより、図2による実施形態においても、図3による実施形態においても、ミラー素子38のプロファイルを狙いどおりに設定し、その結果、投影露光装置10の光学系、特に投影レンズ22又は照明光学ユニット16を可能な限り最適に補正することが可能である。
適応光学素子30-5のマニピュレータ36は、それぞれ、電界の印加によって変形可能な誘電体媒体48(図7及び図8参照)を含む。これは圧電材料又は電歪材料であってよい。圧電材料の場合は、この変形は圧電効果に基づき、電歪材料の場合は、この変形は電歪効果に基づく。本明細書では、電歪効果とは、印加された電界に基づく誘電体媒体の変形の成分を意味し、その変形は印加される電界の方向に依存せず、具体的には、電界の2乗に比例するものと理解される。これに対し、電界に対する線形応答の変形を圧電効果という。
以下に説明する実施形態の変形例では、マニピュレータ36は、電歪効果に基づくものである。これらは、非常に小さなドリフトを有し、わずかなヒステリシスを示すだけなので、アクティブ光学面32の形状を補正するのに特によく適している。しかしながら、これらのマニピュレータ36又はアクチュエータの歪みSは、温度に大きく依存する。図7及び図8の説明では、歪みSは、誘電体媒体48のz方向への伸びに関係する。第一近似的には、歪みSは、電界Eの印加の結果として歪みをもたらす電歪係数Mによって記述することができる。以下の[数1]から明らかなように、この係数は、誘電体媒体48の温度θに依存する。さらに、誘電体媒体48の歪みSは、その剛性sと加えられた機械的張力Tに依存する。
この効果は、図4で、異なる温度(θ>θ>θ)での模式的なS-Eのグラフに基づいて説明される。
図5で説明されているように、誘電体媒体は、さらに、当該媒体の熱膨張係数(CTE)により、温度θが公称温度θに対して変化すると著しく伸びる。
投影露光装置10の露光動作中に適応光学素子30-5のミラー素子38への局所的に異なる熱流入のために、個々のマニピュレータ36における温度は大きく変化し得る。図6は、以下でより詳細に説明するように、交流電圧による本発明の加熱手段を用いない場合の、図3によるマニピュレータ36に沿った温度分布を例示的に説明したものである。ここでは、図示されるx-θのグラフにおける垂直な細長部分の各々は、図3によるマニピュレータ36のうちの1つに対応する。
以下に説明する本発明による手段を用いることで、交流電圧を用いて誘電体媒体48内に熱エネルギーを発生させ、その結果として、個々のマニピュレータ36の温度を所定の温度に保つことによって、個々のマニピュレータ36のそれぞれについて、温度の閉ループ制御を行うことを容易にする。したがって、図4及び図5で説明されたような、誘電体媒体48の伸びSに対する温度の変化による複雑な影響を概ね消すことができ、その結果、適応光学素子30-5の制御が大幅に簡略化される。
図7は、図2又は図3による適応光学素子30-5に含まれるマニピュレータ36の本発明に係る第1の実施形態を説明している。このマニピュレータ36は、ミラー素子38の裏面に設けられる上述の誘電体媒体48、電極50、電極50の配線52、及び、電圧発生器54を含む。誘電体媒体48には、セラミック部品の形態で、そこに電極50が埋め込まれるか一体化されている、一体型の実施形態がある。この一体型の誘電体媒体48は、連続的で継ぎ目のないモノリシックな誘電体媒体であり、例えば、焼結によって生成される。
別の言い方をすれば、電極50は、一体型の誘電体媒体48に一体的に配置されている。電極50は、電極スタックの形態で誘電体媒体48に含まれている。図示の実施形態では、電極スタックは、相互に重ねられた7つの板状電極50を含む。電極50の間に配置された誘電体媒体48の全領域は、誘電体媒体48のアクティブボリューム(active volume)60と称される。電極スタックの外側に配置された誘電体媒体48の領域は、同様に非アクティブボリューム(inactive volume)62と称される。図示の実施形態では、非アクティブボリューム62は、アクティブボリューム60を完全に取り囲んでいる。
電極50の配線52は、電圧発生器54の直流電圧源56のプラス端子とマイナス端子に交互に電極を接続するので、隣接する2つの電極50間にその都度発生する電界も同様に交互になる。ここでは、誘電体媒体48が電歪材料であるため、電界による誘電体媒体48の伸びは電界の向きに依存せず、すなわち、電極50間に配置された誘電体媒体48の層のz方向への伸びについて、その変化は同じ方向である。したがって、直流電圧源56によって生成された制御電圧が印加されると、誘電体媒体48のアクティブボリューム60の長さの伸び量がz方向に変化する。この長さの伸びの変化の絶対値は、直流電圧源56によって生成される制御電圧に依存し、実施形態によれば、この値は制御電圧の値に比例する。
直流電圧源56に加えて、電圧発生器54は、交流電圧源58を含む。交流電圧源58は、直流電圧源56によって生成される制御電圧に交流電圧を重ねる役割を果たし、すなわち、前述の交流電圧は、電極スタックにおいてそれぞれ隣接する2つの電極50の間に生成される。この交流電圧によって、それぞれの場合に、それぞれの電極対の間に配置された誘電体媒体48の部分が加熱され、それゆえ、アクティブボリューム60の全体が均一に加熱される。
交流電圧の振幅及び/又は周波数は、誘電体媒体48を加熱する目的で制御され得る。加熱の基礎となるメカニズムについては、以下でより詳細に説明される。この加熱は、適切な制御信号74を直流電圧源58に送信する制御器という形で制御ユニット72によって制御される。この目的のために、この制御器は、温度測定装置66によって決定された誘電体媒体48の実際の温度Tが被制御変数として機能し、所定の目標温度Tが基準変数として機能し、交流電圧の振幅及び/又は周波数が制御信号74によって送信される操作変数として機能し、誘電体媒体48が被制御系として機能する制御ループ内に組み込まれている。
図示された実施形態の変形例では、温度測定装置66は、誘電体媒体48に組み込まれ、例えば圧電温度センサの形態である温度センサ68と、温度センサ68によって発せられた測定信号を、制御ユニット72によって処理可能な、実際の温度Tに関連する温度信号に変換するための評価ユニット70とを含む。
図面に図示されていないさらなる実施形態の変形例によれば、温度測定装置は、誘電体媒体48内の静電容量を測定することによって誘電体媒体48の温度を決定するように構成される。例として、この静電容量の測定は、図7では、2つの隣接する電極50とその間にある誘電体媒体48からなる構成の静電容量に関して実施することができる。この場合、誘電体媒体48における感受率(susceptibility)は、印加されたアクチュエータ電圧、誘電体媒体における機械的張力、及び、その温度に依存する。機械的な伸長状態をたえず把握し、アクチュエータに電圧が印加されない標準化された条件を作ることによって、適切な校正に続いてアクチュエータの標準状態の静電容量から温度を決定することが可能である。
図8は、図2又は図3による適応光学素子30-5に含まれるマニピュレータ36の本発明に係る第2の実施形態を説明する。図7による実施形態に類似の態様であり、この実施形態のマニピュレータ36は、電極50からなる電極スタックが配置されるアクティブボリューム60を含む誘電体媒体48を含む。この電極スタックの電極50は、制御電圧を印加することによって交流電界を生成させるために用いられる。この制御電圧は直流電圧源56によって生成され、例えば図7に図示された配線52によって、アクティブボリューム60の電極50に印加される。
図7による実施形態と同様に、アクティブボリューム60は、非アクティブボリューム62によって囲まれている。以下では加熱電極とも呼ばれる追加の電極50hが、この非アクティブボリューム62内に配置される。本実施形態では、追加の電極50hは、ミラー素子38から離れた方向を向いているアクティブボリューム60の側方に位置する非アクティブボリューム62の部分62aに配置され、アクティブボリュームに配置される電極スタックの電極50とともに全体的としてスタックを形成する。それゆえ、追加の電極50hは、誘電体媒体の表面64の領域に配置される。
代替的な態様として、追加の電極50hを、ミラー要素48とアクティブボリューム60との間に配置される非アクティブボリューム62の部分62bに配置することもできる。
追加の電極50hは、加熱用配線とも呼ばれる追加配線52hによって、アクティブボリューム60の電極スタックの最下段の電極50に接続され、交流電圧源56に接続される。それゆえ、最下段の電極50と追加の電極50hとの間に配置された誘電体媒体48の部分に、以下に詳細に説明するメカニズムによって熱エネルギーを導入することができる。この熱エネルギーは、誘電体媒体48全体に伝播し、また誘電体媒体48のアクティブボリューム60を加熱する。
1つの実施形態によれば、交流電圧源56は、図7に図示された制御ユニット72及び温度測定装置66によって制御される。誘電体媒体48の静電容量を測定するための温度測定装置66を上述のように設計した場合、静電容量の測定は、例えば、図8に示された、2つの隣接する電極50或いは電極50及び50hとこれらの間に配置された誘電体媒体との静電容量に関して実施することが可能である。
以下、印加された交流電圧による誘電体媒体48の加熱の基礎となるメカニズムについて説明する。図7によるマニピュレータ36の形態の電歪アクチュエータの電気端子の動作は、その静電容量によって説明することができる。静電容量は、誘電体媒体48のアクティブボリューム60に誘電損失がある場合には複雑である。印加電圧の周波数fの関数としての静電容量C(f)の例示的な曲線が、図9a、9b、9cに示されている。ここで、図9aは実部、図9bは虚部、図9cはCに正規化された複素静電容量C(f)の絶対値を示し、ここでCはf=0Hzにおける静電容量である。
静電容量の虚部は誘電損失による材料に発生する熱を表す。
にしたがって、この虚部は、損失ゼロのコンデンサに平行に適用された平行コンダクティビティ(parallel conductivity)Gで表すことができる(図9d参照)。このことから、アクチュエータで実現される電力損失Llossは直ちに次のようになる。
したがって、熱として実現される損失電力は、実効平行コンダクティビティG(f) に正比例し、印加される実効交流電圧振幅([数4]で表される)の2乗に比例する。この場合、印加される交流電圧は、[数5]のように記述される。
ここで、tは時間、fは周波数、[数6]は振幅を表す。
図9dに図示された、周波数の関数としての正規化された平行コンダクティビティG/Cから理解を進めると、電力損失は周波数とともに大きく増加し、100kHz付近の周波数領域で幅広い最大値を有することが明らかである。(図7による例示的な実施形態のアクティブボリューム60又は図8による例示的な実施形態の最下段の電極50と電極50hとの間に配置された部分に相当する)誘電加熱に関連するアクティブ部分の静電容量が1μFの場合、1Vの交流電圧の実効振幅によって100kHz付近で、最大約60mWの加熱パワーが得られる。2Vの交流電圧の振幅の場合は、加熱パワーが4倍増加して早くも240mWに達する。
閉ループの熱制御に必要な誘電体媒体48自体の加熱パワーは、材料中の誘電損失を利用して生成される。好ましくは、以下で誘電加熱原理と呼ばれる方法では、広域損失極大の領域の周波数で動作される。図9aから図9dに示す例では、1kHzから数MHzの周波数範囲に対応する。その際、この交流電圧は、好ましくは、それによってz方向に生成する変形又はたわみSの振動振幅が、対応する静電圧(すなわち、周波数=0Hz)によって生成される誘電体媒体48の変形に対して、少なくとも1桁分減衰する、すなわち小さくなるような高い周波数で生成される。
電歪のため、誘電体媒体48の再分極は、次のアクチュエータの構成方程式に対応する方法で、たわみSに関連付けられる。
この場合、aは材料や形状に応じた結合定数、Pは誘電体分極を表す。以下の式は、図7のようなアクチュエータを積層板コンデンサとして構成した場合の静電容量に適用され、
ここで、Aは電極面積、Nは層数である。[数9]は誘電感受率(dielectric susceptibility)を表し、一般に周波数に依存する。以下の[数11]による加熱を目的として作動電圧Uと小振幅の交流電圧([数10]で表される)を同時にアクチュエータに印加する場合、
一次テイラー展開により、たわみSについて以下の式が成り立つ。
交流電圧によって明示的に変調する伸長の振幅の絶対値は、以下のようになる。
誘電体媒体48の態様のアクチュエータの誘電加熱の場合において、より正確には誘電体媒体48のアクティブボリューム60の加熱の場合において、理想的には、交流電圧のとき、アクチュエータが変調によって伸長しないはずである。[数13]によれば、分極P(Ub)又は感受率X(Ub)のいずれかが、消滅するか、或いは、十分に小さな値であると想定される場合に、このような状況となる。したがって、原理的には、アクチュエータに対する加熱電圧の影響を抑制するために、以下のi)とii)で示される2つの選択肢がある。
選択肢i)によれば、動作ポイントUbは、次のように、分極が生じないように選択される。
この変形例は、図8に関連して上述した実施形態で実施される。この場合、別個の電極が電極50hとしてアクチュエータの層状の電極スタックに追加され、電極50hにはバイアス電圧のない交流電圧のみが印加される。静的分極は形成されず、したがって、線形領域での歪みの変調も行われない。
アクチュエータへの加熱電圧の影響を抑制するための選択肢ii)によれば、誘電体及び連動する機械系がもはや追随できないほど高い動作周波数fが選択される。
つまり、動作周波数は反応周波数fより高い値が選ばれる。
図7を参照して上述したように、反応周波数fは、一実施形態によれば、交流電圧によって生ずる誘電体媒体48の変形の振動振幅が、対応する静電圧によって生ずる変形との関係で、少なくとも1桁、すなわち10%未満まで減衰するように選択される。図9cに示される実施形態の変形例によれば、これは、約100kHzの反応周波数fに適用される。約200kHzの反応周波数の場合、約1%未満まで減衰する。上述したように、誘電体媒体48の静電容量の同時測定によって、アクチュエータの温度制御を円滑にするために必要な情報を得ることも可能である。
図10は、DUV波長範囲で動作するように構成され、ビーム成形・照明システム116の形態の照明光学ユニットを含み、投影レンズ122を含む、投影露光装置110の概略図である。この場合、DUVは「深紫外線」を意味し、投影露光装置110によって利用される露光放射114の波長が100nmと250nmの間であることを示す。ビーム成形・照明システム116と投影レンズ122は、真空ハウジング内に配置されてもよく、及び/又は、対応する駆動装置を有する機械室によって囲まれてもよい。
DUV投影露光装置110は、DUV露光放射源112を含む。例として、この目的のために、例えば約193nmのDUV領域で露光放射114を発するArFエキシマレーザが提供されてもよい。
図10に示されたビーム成形・照明システム116は、露光放射114をフォトマスク118に導く。フォトマスク118は、透過光学素子として具現化され、システム116及び122の外部に配置することができる。フォトマスク118は、投影レンズ122によって縮小画像がウエハー等の形態の基板124上に投影される構造を有する。基板124は、基板変位ステージ126に変位可能に取り付けられる。
投影レンズ122は、フォトマスク118の像を基板124上に投影するためのレンズ素子及び/又はミラーの形態の多数の光学素子130を有する。図示の実施形態では、光学素子130は、レンズ素子130-1、130-4、130-5と、ミラー130-3と、適応光学素子130-3として具現化されたさらなるミラーとを含む。この場合、投射レンズ122の個々のレンズ素子及び/又はミラーは、投影レンズ122の光軸123に対して対称に配置されてもよい。なお、DUV投影露光装置110のレンズ要素及びミラーの数は、図示の数に限定されない。より多くの又はより少ないレンズ要素及び/又はミラーが提供されてもよい。さらに、ミラーは、ビーム成形のために、一般にその前面側で湾曲している。
最後のレンズ素子130-5と基板124との間の空隙は、屈折率>1の液体媒体131によって置換されてもよい。液体媒体131は、例えば、高純度水であってもよい。このような態様は、液浸リソグラフィとも呼ばれ、フォトリソグラフィの解像度が向上する。媒体131は、浸液と呼ばれてもよい。
図10に示す実施形態では、適応光学素子130-2として構成されたミラーは、局所的な形状欠陥を補正する目的で、そのミラー面132の形状を能動的に変更できるように具現化されている。したがって、そのミラー面は、アクティブ光学ミラー面132とも呼ばれる。この場合、適応光学素子130-2は、図1、2、3を参照して上述した適応光学素子30-5と同じように構成される。したがって、適応光学素子30-5に関するこれまでの記述を、適応光学素子130-2の説明に取り入れることができる。
図1による投影露光装置10と同様の方法で、適応光学素子130-2は、波面測定装置44によって測定された投影レンズ122の波面偏差46に基づいて制御装置40によって把握される制御信号42によって制御される。一般性を損なうことなく、図10では1つのアクチュエータ装置のみを示しているが、好ましくは、複数のアクチュエータ装置が存在し、その各々が開ループ及び/又は閉ループ制御によって個別に制御可能であることが理解されよう。
例示的な実施形態、実施形態又は実施形態の変形例に関するこれまでの説明は、例示によるものであると理解されるべきである。それによってもたらされる開示は、第1に、当業者が本発明及びそれに関連する利点を理解することを可能にし、第2に、記載された構造及び方法の変更態様及び修正態様であって当業者が自明であると理解する態様を包含するものである。したがって、添付の特許請求の範囲における規定にしたがって本発明の範囲に入る限り、そのようなすべての変更態様及び修正態様、並びに、均等態様は、特許請求の範囲の保護によってカバーされることが意図されている。
参照符号の一覧
10 投影露光装置
12 露光放射源
14 露光放射
16 照明光学ユニット
18 マスク
20 マスク変位ステージ
22 投影レンズ
24 基板
26 基板変位ステージ
28 露光ビーム経路
30-1、30-2、30-3、30-4、30-6、30-7、30-8 光学素子
30-5 適応光学素子
32 アクティブ光学面
34 支持素子
36 マニピュレータ
38 ミラー素子
40 制御装置
42 制御信号
44 波面測定装置
46 波面偏差
48 誘電体媒体
50 電極
50h 追加の電極
52 配線
52h 追加配線
54 電圧発生器
56 直流電圧源
58 交流電圧源
60 アクティブボリューム(Active volume)
62 非アクティブボリューム(Inactive volume)
62a 非アクティブボリュームの部分
62b 非アクティブボリュームの部分
64 誘電体媒体の表面
66 温度測定装置
68 温度センサ
70 評価ユニット
72 制御ユニット
74 制御信号
110 投影露光装置
112 露光放射源
114 露光放射
116 ビーム成形・照明システム
118 フォトマスク
122 投影レンズ
123 光軸
124 基板
125 基板変位ステージ
130 光学素子
130-1、130-4、130-5 レンズ素子
130-2 適応光学素子
130-3 ミラー
131 液体媒体
132 アクティブ光学ミラー面

Claims (18)

  1. マイクロリソグラフィ用の適応光学素子であって、当該適応光学素子の光学面の形状を変化させるための少なくとも1つのマニピュレータを含み、当該マニピュレータは、
    電界を印加することによって変形可能な一体型誘電体媒体と、
    前記一体型誘電体媒体と相互接続するように配置された電極と、
    前記電極に配線され、第1に、誘電体媒体の長手方向の広がりを変える役割を果たす制御電圧を、第2に、誘電体媒体を加熱する役割を果たす交流電圧を、前記電極に加えるように構成された電圧発生器と、
    を含
    前記電圧発生器は、少なくとも10kHzの周波数で交流電圧を生成するように構成されている、適応光学素子。
  2. 少なくとも電極対の電極間に前記制御電圧と前記交流電圧の両方が印加されるように構成される電極のための配線を含む、請求項1に記載の適応光学素子。
  3. 前記電圧発生器は、さらに、交流電圧によって生ずる前記誘電体媒体の変形の振動振幅が対応する静電圧によって生ずる前記誘電体媒体の変形に関して少なくとも1桁減衰するような高い周波数で、交流電圧を前記誘電体媒体内に生成するように構成される、請求項1又は2に記載の適応光学素子。
  4. マイクロリソグラフィ用の適応光学素子であって、当該適応光学素子の光学面の形状を変化させるための少なくとも1つのマニピュレータを含み、当該マニピュレータは、
    電界を印加することによって変形可能な誘電体媒体と、
    電圧発生器であって、交流電圧によって生ずる前記誘電体媒体の変形の振動振幅が対応する静電圧によって生ずる前記誘電体媒体の変形に関して少なくとも1桁減衰するような高い周波数で、前記誘電体媒体を加熱する役割を果たす交流電圧を誘電体媒体内に生成するように構成された電圧発生器と、
    を含
    前記電圧発生器は、少なくとも10kHzの周波数で交流電圧を生成するように構成されている、適応光学素子。
  5. 前記誘電体媒体は、電界の印加に伴って生ずる変形が電界の方向に依存しない電歪材料を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の適応光学素子。
  6. 前記誘電体媒体は、電界の印加に伴って生ずる変形が電界の方向に比例する圧電材料を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の適応光学素子。
  7. 前記電極は、前記誘電体媒体中に少なくとも3つの電極からなるスタック構造で配置される、請求項1からのいずれか一項に記載の適応光学素子。
  8. 前記電極は、前記スタック構造におけるそれぞれの2つの電極間に前記交流電圧を印加することが可能なように配線されている、請求項に記載の適応光学素子。
  9. 前記電極の少なくとも1つの電極は、前記マニピュレータの動作中に長手方向の伸長が生ずる前記誘電体媒体のアクティブボリュームの外側に配置され、前記交流電圧を印加するためのもう1つの電極に配線される、請求項1からのいずれか一項に記載の適応光学素子。
  10. 前記アクティブボリュームの外側に配置された電極は、前記誘電体媒体の表面の領域に配置される、請求項に記載の適応光学素子。
  11. 前記光学面は、EUV放射を反射するように構成されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の適応光学素子。
  12. 前記誘電体媒体の温度を測定するための温度測定装置をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の適応光学素子。
  13. 前記誘電体媒体を加熱するための交流電圧の振幅及び/又は周波数を制御するように構成された制御ユニットをさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の適応光学素子。
  14. 請求項1から13のいずれか一項に記載の適応光学素子を少なくとも1つ含む、マイクロリソグラフィ投影露光装置。
  15. マイクロリソグラフィ投影露光装置の適応光学素子を、第1のマニピュレータを含む少なくとも1つのマニピュレータによって、当該適応光学素子の光学面の形状を変更するために動作させる方法であって、
    電界を印加することによって変形可能な一体型誘電体媒体であって、当該一体型誘電体媒体と相互接続するように配置される電極を含む一体型誘電体媒体を前記第1のマニピュレータを含む少なくとも1つのマニピュレータに提供するステップと、
    前記誘電体媒体の長手方向の広がりを変化させるために、前記電極に制御電圧を印加するステップと、
    前記誘電体媒体を加熱するために、前記電極に少なくとも10kHzの周波数で交流電圧を印加するステップと、
    を含む、方法。
  16. 前記誘電体媒体の加熱は、前記電極に印加される交流電圧の振幅及び/又は周波数を変化させることによって制御される、請求項15に記載の方法。
  17. 前記適応光学素子は、交流電圧によって加熱可能な少なくとももう1つの追加のマニピュレータを含み、前記第1のマニピュレータの電極に印加される交流電圧と前記追加のマニピュレータを加熱するための交流電圧は、前記第1のマニピュレータと前記追加のマニピュレータの温度が等しくなるように制御される、請求項15又は16に記載の方法。
  18. マイクロリソグラフィ投影露光装置の適応光学素子を、少なくとも1つのマニピュレータによって、当該適応光学素子の光学面の形状を変更するために動作させる方法であって、
    電界を印加することによって変形可能な誘電体媒体をマニピュレータに提供するステップと、
    交流電圧によって生ずる前記誘電体媒体の変形の振動振幅が対応する静電圧によって生ずる前記誘電体媒体の変形に関して少なくとも1桁減衰するような高い周波数で、交流電圧を前記誘電体媒体内に生成させるステップと、
    を含
    前記交流電圧は、少なくとも10kHzの周波数で生成される、方法。
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