JP7511583B2 - 被覆切削工具 - Google Patents

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本発明は、被覆切削工具に関する。切削工具はCVD被覆されており、基材は、超硬合金中の金属性バインダーがNiを含む超硬合金である。CVD被覆は、TiNの内層、TiCNの層およびAlの層を含む。
切屑を形成する金属切削操作のための切削工具の市場は、超硬合金が通常、Coの金属性バインダー中のWCで作られているCVD(化学気相堆積)およびPVD(物理気相堆積)被覆超硬合金が優位を占めている。Coを含まない、または減量したCoを含む代替のバインダーが開発されつつあるが、市場の製品では依然として稀であるか、または存在しない。相互作用が気相と超硬合金との間で、特に高温の反応性気体を使用して実施される化学気相堆積中に起こるため、超硬合金自体の生産だけでなく、超硬合金の被覆も要求が厳しい。
代替の金属性バインダーの中で、NiとFeの混合物が有力候補であり、これらの2つの元素は周期表中、Coの両側にある。Niは、Tiとの高い反応性を示し、超硬合金中の多量のNiは、NiTiなどの金属間相が超硬合金と被覆との間の界面および被覆内において形成するため、Ti含有被覆の化学気相堆積において問題を引き起こす。界面またはTi含有被覆の下部のNiTiなどの金属間相は、被覆密着性を低下させ、Ti含有被覆上に後続して堆積される被覆の耐摩耗性に悪影響を与える。
Ni金属基材上のTiN被覆の堆積中のNiTiの形成の問題は、L.von Fieandtら、Surface and Coatings Technology 334(2018)373~383による「Chemical vapor deposition of TiN on transition metal substrates」において分析されている。CVDプロセス中の過剰なN分圧および低H分圧によりNiTiの形成を低減することができると結論付けられた。
本発明の目的は、Ni含有超硬合金基材を含む切削工具に、Co含有超硬合金基材と競合し得る耐摩耗性CVD被覆を堆積させる方法を提供することである。さらなる目的は、TiN層およびTiCN層を含む耐摩耗性被覆を、Niを含有する超硬合金上に堆積させる方法を提供することである。さらなる目的は、Al、好ましくは001方位のα-Alの層を含む被覆を、Ni含有超硬合金基材、特に60wt%超のNiを含有する金属性バインダーを含む基材上に堆積させる方法を提供することである。
上述の目的のうちの少なくとも1つは、請求項1に記載の方法および請求項6に記載の切削工具により達成される。好ましい実施形態は従属請求項に開示される。
本発明による切削工具を作製する方法は、基材上のCVD被覆の堆積を含み、前記CVD被覆は、TiNの内層、TiCNの後続層およびTiCN層と被覆切削工具の最外面との間に位置するAl層を含み、基材は、金属性バインダー中の硬質成分から構成される超硬合金で作られており、金属性バインダーは60~90wt%のNiを含み、TiN層は、850~900℃、好ましくは870~900℃、および約300~600mbar、好ましくは300~500mbarの圧力の2つの後続工程:TiN-1の第1のTiN堆積とその後のTiN-2の第2のTiN堆積において超硬合金基材上に堆積され、TiN-1堆積は、1~1.5vol%のTiClおよびHおよびNを含む気体中で実施され、体積比H/Nは、0.05~0.18、好ましくは0.09~0.14であり、気体は好ましくは、0.5~1.5vol%のHCl、より好ましくは0.8~1.0vol%のHClを含み、TiN-2堆積は、2~3vol%のTiClおよびHおよびNを含む気体中で実施され、体積比H/Nは、0.8~2.5、好ましくは0.9~1.7、より好ましくは0.9~1.2である。
異なる気体組成物による2つの工程を含むTiN堆積を行うと、成功したTiN CVD層を、60~90wt%のNiを含有する基材上に堆積することができることが実現された。第1のTiN堆積工程における、より多量のNは、基材とTiN層との間の界面およびTiN層の内側部分内においてNiTiなどの金属間相が形成するのを防ぐ。しかし、これらの条件下で堆積されたTiN層は、有利ではない集合組織を示した。このTiN層上に堆積された後続TiCN層は、所望の粒径または集合組織を示さなかった。高い体積比H/Nを含む条件下でのTiNの堆積は、Coのバインダーを含む従来の超硬合金基材上で成功することが示され、形成されたTiNは、基材およびTiCNなどの後続層に有望な出発層への高い密着性を示した。しかし、Ni含有基材上では、NiTiなどの金属間相が形成されるため、これは成功しない。今回、2つの工程:より低い体積比H/Nでの第1の工程およびより高い体積比H/Nでの第2の工程を含むプロセスを用いてTiN層を堆積させることにより、Ni含有超硬合金上に細粒後続TiCN層を得る高い密着性および適正な特性の両方を有するTiN層を提供することができることが見出された。
第1のプロセス条件から第2のプロセス条件への変更は、段階的または連続的に行うことができる。
本発明の方法の一実施形態では、本方法は、約875~895℃の温度および約50~70mbarの圧力の2つの後続工程:TiCNの第1の堆積とその後のTiCNの第2の堆積におけるTiCN堆積をさらに含み、第1のTiCN堆積は、55~65vol%のH、35~40vol%のN、2.8~3.1vol%のTiClおよび0.4~0.5vol%のCHCNを含む気体中で実施され、第2のTiCN堆積は、75~85vol%のH、6~9vol%のN、2.3~2.5vol%のTiCl、0.6~0.7vol%のCHCNおよび7~9vol%のHClを含む気体中で実施される。
本発明の方法の一実施形態では、金属性バインダーは、60~90wt%のNi、好ましくは65~88wt%のNi、より好ましくは70~87wt%のNi、さらにより好ましくは75~85wt%のNiを含む。
本発明の方法の一実施形態では、金属性バインダーは、10~20wt%のFe、好ましくは10~15wt%のFeを含む。
本発明の方法の一実施形態では、金属性バインダーは、3~8wt%のCo、好ましくは5~6wt%のCoを含む。
本発明の方法の一実施形態では、超硬合金中の金属性バインダー分は、3~20wt%、好ましくは5~15wt%、より好ましくは5~10wt%である。
本発明の方法の一実施形態では、TiN層の厚さは0.3~1μmであり、超硬合金基材上に好ましくは直接堆積される。
本発明の方法の一実施形態では、CVD被覆の総厚さは2~20μmである。
本発明の方法の一実施形態では、CVD被覆は、TiN、TiCN、AlTiN、ZrCN、TiB、Alから選択される1つもしくは複数の層、またはα-Alおよび/もしくはκ-Alを含む多層をさらに含む。
本発明の方法の一実施形態では、CVD被覆は、TiCN層に続いて堆積されるAlの層、好ましくはα-Al層またはκ-Alをさらに含む。
本発明の方法の一実施形態では、本方法は、TiCN層と被覆切削工具の最外面との間のAlの層の堆積をさらに含み、Alの前記堆積は、両方の工程が980~1020℃の温度および50~60mbarの圧力である少なくとも2つの工程において実施され、第1の工程は、1.1~1.3vol%のAlCl3、4.5~5vol%のCO2、1.6~2.0vol%のHClおよび残りのH2の気体組成物中で実施され、後続の第2の工程は、1.1~1.3vol%のAlCl3、4.5~5vol%のCO2、2.8~3.0vol%のHCl、0.55~0.6vol%のH2Sおよび残りのH2の気体組成物中で実施される。
本発明は、超硬合金基材およびCVD被覆を含む被覆切削工具であって、超硬合金は、金属性バインダー中の硬質成分から構成され、前記金属性バインダーは60~90wt%のNiを含み、CVD被覆は、内側TiN層、TiCN層およびAl層を含み、前記Al層は、TiCN層と被覆切削工具の最外面との間に位置し、TiCNは結晶粒から構成され、TiN層から1μmの位置で基材の表面に平行な方向の線に沿って測定されるTiCN層の粒径は、約0.10~0.30μm、好ましくは0.15~0.27μmである、被覆切削工具にも関する。
本発明による被覆切削工具は、驚くべきことに被覆の内側部分において熱気孔を示し、これは、金属切削用途を狙った耐摩耗性被覆に有望である。上記で開示した新しい方法は、成長を妨害する金属間相を伴わずにNi含有基材上に内側TiN層および後続TiCN層を生成することを可能にした。バインダー中にNiを含む基材上でさえもTiN層および後続細粒柱状TiCN層を提供することが可能であることが判明した。本発明のTiCNは、Coバインダーを含む超硬合金上に堆積されたTiCNと同等の層である。新しい層は、金属間相の形成、気孔ならびに層および後続して堆積される層の方位に関する妨害に関する改善された特性を示す。技術的効果は、金属切削操作、例えば鋼の金属切削操作における耐逃げ面摩耗性の向上および/または耐フレーキング性の向上および/または耐クレーター摩耗性の向上であり得る。
本発明の被覆切削工具の一実施形態では、金属性バインダーは、60~90wt%のNi、好ましくは65~88wt%のNi、より好ましくは70~87wt%のNi、さらにより好ましくは75~85wt%のNiを含む。
本発明の被覆切削工具の一実施形態では、金属性バインダーは、10~20wt%のFe、好ましくは10~15wt%のFeを含む。
本発明の被覆切削工具の一実施形態では、金属性バインダーは、3~8wt%のCo、好ましくは5~6wt%のCoを含む。
本発明の被覆切削工具の一実施形態では、超硬合金中の金属性バインダー分は、3~20wt%、好ましくは5~15wt%、最も好ましくは5~10wt%である。
本発明の被覆切削工具の一実施形態では、TiN層の厚さは0.3~1μmであり、好ましくは超硬合金基材上に直接堆積される。
本発明の被覆切削工具の一実施形態では、TiCN層は、ハリスの式
Figure 0007511583000001
[式中、I(hkl)は、(hkl)反射の測定強度(積分面積)であり、I(hkl)は、ICDDのPDFカード番号42-1489による標準強度であり、nは反射数であり、計算において使用される反射は、(1 1 1)、(2 0 0)、(2 2 0)、(3 1 1)、(3 3 1)、(4 2 0)、(4 2 2)および(5 1 1)である。]にしたがって定義される、CuKα線およびθ-2θスキャンを使用するX線回折により測定される集合組織係数TC(hkl)を示し、TC(4 2 2)は≧3.5である。
本発明の被覆切削工具の一実施形態では、TiCN層の厚さは6~12μmである。
本発明の被覆切削工具の一実施形態では、CVD被覆の総厚さは2~20μmである。
本発明の被覆切削工具の一実施形態では、CVD被覆は、TiN、TiCN、AlTiN、ZrCN、TiB、Alから選択される1つもしくは複数の層、またはα-Alおよび/もしくはκ-Alを含む多層をさらに含む。
本発明の被覆切削工具の一実施形態では、TiCN層と被覆切削工具の最外面との間のAl層はα-Al層である。
本発明の被覆切削工具の一実施形態では、前記α-Al層は、ハリスの式[式中、I(hkl)は、(hkl)反射の測定強度(積分面積)であり、
(hkl)は、ICDDのPDFカード番号00-010-0173による標準強度であり、nは、計算において使用される反射数であり、使用される(hkl)反射は、(1 0 4)、(1 1 0)、(1 1 3)、(0 2 4)、(1 1 6)、(2 1 4)、(3 0 0)および(0 0 12)である。]にしたがって定義される、CuKα線およびθ-2θスキャンを使用するX線回折により測定される集合組織係数TC(hkl)を示し、TC(0 0 12)は≧6、好ましくは≧7である。
本発明の被覆切削工具の一実施形態では、Al層は、≧0.8、好ましくは≧1の強度比I(0 0 12)/I(0 1 14)を示す。
本発明の被覆切削工具の一実施形態では、TiCN層と被覆切削工具の最外面との間に位置するAl層の厚さは4~8μmである。
方法
被覆堆積
以下の例における被覆は、10000個の半インチサイズの切削インサートを収容することができるラジアルIonbond Bernex(商標)タイプCVD装置530サイズ内で堆積された。
X線回折測定
層の集合組織を調査するために、PIXcel検出器を備えたPANalytical CubiX3回折計を使用して、切削工具インサートの逃げ面上でX線回折が実施された。切削工具インサートの逃げ面が試料ホルダーの基準面に平行であり、さらに逃げ面が適切な高さにあるように被覆切削工具インサートを試料ホルダー内に取り付けた。Cu-Kα線が、45kVの電圧および40mAの電流で測定のために使用された。1/2度の散乱防止スリットおよび1/4度の発散スリットが使用された。被覆切削工具からの回折強度が範囲20°~140° 2θ内で、すなわち10~70°の入射角θ範囲にわたって測定された。
データのバックグラウンドサブトラクション、Cu-Kα2ストリッピングおよびプロファイルフィッティングを含むデータ解析が、PANalyticalのX’Pert HighScore Plusソフトウェアを使用して行われた。フィッティングの一般的な説明は以下で行われる。次いで、このプログラムからの出力(プロファイル近似曲線の積分ピーク面積)を使用して、上記で開示したハリスの式(1)を使用して、特定の層(TiCNまたはα-Alの層など)のPDFカードによる標準強度データに対する測定強度データの比を比較することにより層の集合組織係数が計算された。層は有限の厚さであるので、層を通る経路長の差のために、異なる2θ角での一対のピークの相対強度は、バルク試料に対するものと異なる。したがって、TC値を計算するとき、プロファイル近似曲線の抽出積分ピーク面積強度に、層の線吸収係数も考慮に入れた薄膜補正が適用された。上記の可能性のあるさらなる層、例えばα-Al層は、α-Al層に入るX線強度および被覆全体を出るX線強度に影響を与えるため、これらについても、層内のそれぞれの化合物の線吸収係数を考慮に入れた補正を行う必要がある。TiCN層が下方、例えばα-Al層の下方に位置する場合、同じことがTiCN層のX線回折測定に当てはまる。あるいは、アルミナ層の上方の、TiNなどのさらなる層を、XRD測定結果に実質的に影響を与えない方法、例えば化学エッチングにより除去することができる。
α-Al層の集合組織を調査するために、CuKα線を使用してX線回折が実施され、ハリスの式(1)[式中、I(hkl)=(hkl)反射の測定(積分面積)強度、I(hkl)=ICDDのPDFカード番号00-010-0173による標準強度、n=計算において使用されるべき反射数である。]にしたがって、α-Al層の柱状粒の異なる成長方向の集合組織係数TC(hkl)が計算された。この場合、使用される(hkl)反射は、(1 0 4)、(1 1 0)、(1 1 3)、(0 2 4)、(1 1 6)、(2 1 4)、(3 0 0)および(0 0 12)である。比I(0 0 12)/I(0 1 14)の計算において、(0 0 12)ピークおよび(0 1 14)ピークの積分ピーク面積強度は、任意のPDFカードと無関係に分割した。測定積分ピーク面積が薄膜補正され、α-Al層の上方(すなわち上)の任意のさらなる層に合わせて補正された後、前記比が計算される。
先に開示したハリスの式(1)[式中、I(hkl)は、(hkl)反射の測定(積分面積)強度であり、I(hkl)は、ICDDのPDFカード番号42-1489による標準強度であり、nは、計算において使用されるべき反射数である。]にしたがって、TiCN層の柱状粒の異なる成長方向の集合組織係数TC(hkl)が計算された。この場合、使用される(hkl)反射は、(1 1 1)、(2 0 0)、(2 2 0)、(3 1 1)、(3 3 1)、(4 2 0)、(4 2 2)および(5 1 1)である。
ピーク重なりは、例えばいくつかの結晶層を含み、かつ/または結晶相を含む基材上に堆積された被覆のX線回折分析において起こり得る現象であり、これは考慮および補償されなければならないことに留意されたい。TiCN層からのピークとα-Al層からのピークとの重なりは、測定に影響を与える恐れがあり、考慮される必要がある。例えば、基材中のWCは、本発明の関連するピークに近い回折ピークを有し得ることにも留意されたい。
本発明の実施形態を以下の添付図面を参照して説明する。
本発明の一実施形態(本発明1)による被覆切削工具のTiN層およびTiCN層を示す断面SEM顕微鏡写真であり、TiCN内の粒径は、この視野内で測定することができる。 図1に示された被覆切削工具のTiN層およびTiCN層の下部の拡大図である。 参考被覆切削工具(参考1B)のTiN層およびTiCN層を示す断面SEM顕微鏡写真であり、TiCN内の粒径は、この視野内で測定することができる。 図2に示された被覆切削工具のTiN層およびTiCN層の下部の拡大図であり、気孔が被覆内部および基材-被覆界面の暗点として見える。 試料本発明1の超硬合金-被覆界面中のNi分のSEM顕微鏡写真およびEDSスキャンを示す図である。 試料参考1Bの超硬合金-被覆界面中のNi分のSEM顕微鏡写真およびEDSスキャンを示す図である。 本発明の一実施形態(本発明3)による被覆切削工具のTiN層、TiCN層、結合層およびα-Al層を示す断面SEM顕微鏡写真である。 参考被覆切削工具(参考2B)のTiN層、TiCN層、結合層およびα-Al層を示す断面SEM顕微鏡写真である。 本発明の一実施形態(本発明2)による被覆切削工具のTiN層およびTiCN層の下部を示す断面SEM顕微鏡写真であり、図中、Ni含有粒界が白線として見える。 参考被覆切削工具(参考2B)のTiN層およびTiCN層の下部を示す断面SEM顕微鏡写真であり、図中、Ni含有粒界が白線として見える。
ここで、本発明の例示的な実施形態をさらに詳細に開示し、参考実施形態と比較する。被覆切削工具(インサート)を製造および分析した。
基材
旋削用ISO型CNMG120408およびISO型SNMA120408の超硬合金基材を製造した。
約80.7wt%のNi、13.7wt%のFeおよび5.6wt%のCoを含むバインダーを使用して、代替のバインダーを含む超硬合金基材を製造した。超硬合金中のバインダー分は約7wt%であった。代替のバインダーを含む超硬合金基材を、約6.09wt%のNi、1.02wt%のFe、0.039wt%のCo、1.80wt%のTi、2.69wt%のTa、0.41wt%のNb、0.09wt%のNおよび残部のWCの組成を有する粉末混合物から製造した。粉末混合物をミル粉砕し、乾燥し、プレスし、1450℃で焼結した。焼結超硬合金基材は、基材表面から、かつ光学顕微鏡において測定される立方晶炭化物を本質的に含まない本体内へ約30μmの深さまでのバインダーに富む表面ゾーンを含んでいた。粉末中の炭素量は約6.07wt%であり、一方、化学分析において測定される焼結超硬合金の炭素量は約5.87wt%であった。焼結超硬合金は、約0.4wt%のCo、1.0wt%のFeおよび5.9wt%のNiを含んでいた。Coは、ミル粉砕工程中に摩耗したミル粉砕体に主に由来した。遊離黒鉛またはイータ相は、超硬合金基材の断面のSEM顕微鏡写真中に見えなかった。
参考として、Co含有超硬合金基材を、約7.20wt%のCo、1.80wt%のTi、2.69wt%のTa、0.41wt%のNb、0.09wt%のNおよび残部のWCの組成を有する粉末混合物から製造した。粉末混合物をミル粉砕し、乾燥し、プレスし、1450℃で焼結した。焼結超硬合金基材は、基材表面から、かつ光学顕微鏡において測定される立方晶炭化物を本質的に含まない本体内へ約23μmの深さまでのCoに富む表面ゾーンを含んでいた。焼結超硬合金基材は約7.2wt%のCoを含んでいた。遊離黒鉛またはイータ相は、超硬合金基材の断面のSEM顕微鏡写真中に見えなかった。
CVD堆積
CVD被覆を2種の超硬合金組成物上に堆積させた。試料の概要を表1に示す。被覆堆積の前に、すべての基材を穏やかなブラスティング工程において洗浄して、最も外側の金属を表面から除去した。
Figure 0007511583000002
CVD堆積を開始する前にCVDチャンバーを885℃に達するまで加熱した。試料本発明1および参考1A、1B、1Cについて、この予熱工程を200mbarおよび100vol%のN中で室温から600℃まで、ならびに100vol%のH中で600℃から885℃まで実施した。試料本発明2、3および参考2A、2B、2C、3Aについて、予熱工程を1000mbarおよび100vol%のH中で実施した。
基材を約0.4μm厚TiN層で885℃でまず被覆した。TiNの2種の代替の堆積をTiN-1の初期工程あり、またはなしで実施した。TiN-1工程の狙いは、CVD被覆内および基材-被覆界面においてNiTiなどの金属間相が形成するのを防ぐことである。TiN-1堆積中、HClなし、かつH/Nガスの比を50/50で実施したTiN-2堆積工程と比較して、N分圧は高く、H分圧は低く、かつHClを加えた。TiN-1を堆積させたとき、0.4μmの総TiN層厚さに達するように後続のTiN-2堆積時間を適合させた。TiN-1堆積を150分間行った。
その後、885℃のTiCl、CHCN、N、HClおよびHを使用する周知のMTCVD技術を利用することにより、およそ8μmのTiCN層を堆積させた。TiCN層のMTCVD堆積の初期部分におけるTiCl/CHCNの体積比は6.6であり、その後、3.7のTiCl/CHCNの比を使用する期間が続いた。TiNおよびTiCN堆積の詳細を表2に示す。
Figure 0007511583000003
TiCN外層の堆積後、75vol%のHおよび25vol%のNの雰囲気中で温度を885℃から1000℃まで上げた。試料のうちの2つ、試料本発明3および参考3Aにおいて、この温度上昇中の気体流は100%窒素であった。
4つの別々の反応工程からなるプロセスにより、1~2μm厚の結合層をMTCVD TiCN層の上に1000℃で堆積させた。まず、400mbarのTiCl、CH、N、HClおよびHを使用するHTCVD TiCN工程、次いで、70mbarのTiCl、CHCN、CO、NおよびHを使用する第2の工程(TiCNO-1)、次いで、70mbarのTiCl、CHCN、CO、NおよびHを使用する第3の工程(TiCNO-2)、最後に70mbarのTiCl、NおよびHを使用する第4の工程(TiN-3)。第3の堆積工程中、表2に示された第1の開始レベルおよび第2の停止レベルにより示されるように気体の一部を連続的に変更した。後続のAl核形成の開始前に、結合層をCO、CO、NおよびHの混合物中で4分間酸化した。
結合層堆積の詳細を表3に示す。
Figure 0007511583000004
試料本発明3および参考3Aについて、結合層の堆積中、高N分圧を適用した(表4参照)。
Figure 0007511583000005
結合層の上にα-Al層を堆積させた。すべてのα-Al層を2つの工程において1000℃および55mbarで堆積させた。1.2vol-%AlCl、4.7vol-%CO、1.8vol-%HClおよび残部のHを使用する、約0.1μmのα-Alを与える第1の工程、ならびに約5μmの総α-Al層厚さを与える、以下で開示する第2の工程。1.16%AlCl、4.65%CO、2.91%HCl、0.58%HSおよび残部のHを使用して、α-Al層の第2の工程を堆積させた。
被覆分析
XRDを使用して、上記で開示した方法にしたがってα-AlおよびTiCNのTC値を分析した。光学顕微鏡において倍率1000倍で各被覆の断面を研究することにより層厚さを分析した。結合層および初期TiN層の両方がTiCN層厚さに含まれる(表1参照)。XRDによる結果を表5に示す。
Figure 0007511583000006
SEMを使用し、かつEDSにおいて被覆をさらに分析して、TiCNの粒径を研究し、TiN層およびTiCN層内の何らかのNiの存在を研究した。結果を表6に示す。
SEM/EDS分析の前に、被覆されたままのインサートをAKASEL製黒色導電性フェノール系樹脂内に取り付け、その後、これを1mmにすりつぶし、次いで、2つの工程:ダイヤモンドスラリー溶液を使用する粗研磨(9μm)および精密研磨(1μm)において研磨した。図9および図10のSEM断面は、この試料調製手順の後にSEMにおいて見られる。層のミクロ組織を観察するために、「MasterPolish 2」という名称のコロイド状シリカ懸濁液を使用して試料をさらに研磨した。擦り傷がない断面が得られるまで研磨を実施した。その後、試料を脱イオン水および洗剤で洗浄して残留研磨懸濁液を除去し、清浄空気噴射で乾燥した。
粒径研究のために使用されたSEM、Carl Zeiss AG-Supra 40タイプは、60μmの絞りを使用して3kVの加速電圧で動作した。倍率40.000倍および作動距離10mmでSEM像を得た。基材に平行に、かつTiN層から1μm離れたところに9.3μm長の水平線を引いた。水平線を横切る粒界を計数し、それらの平均径の値を計算し、表6に示した。
粒径研究のために使用されたSEM内に取り付けられた80mm X-Max EDX検出器を使用して、TiCN粒中のNi分を研究した。使用されたEDS検出器は、Oxford Instruments「AZtec」ソフトウェアバージョン3.3 SP1データ取得を使用して動作した。作動距離8.2mmのところに置かれた試料に、10kVの加速電圧および60μmの絞りを使用して電子ビームを当て、5つの完成したフレーム化EDSマップを順次取得することにより測定を実施した。EDSマップをプロセス時間5当たり9.5μmの幅および7.1μmの高さのサイズにした。
EDSマッピングの後、ラインスキャン測定をEDSマップデータにおいて適用して、TiN層/基材界面から最初の1.5~2.5μm内のTiN/TiCN被覆内のNiプロファイルを抽出した。ラインスキャンを6.3μm長および約1μm幅のサイズにした。ビニングファクターを2に設定して、ノイズプロファイルを低減した。
NiプロファイルEDSラインスキャンを図5および図6に示す。
Figure 0007511583000007
様々な例示的な実施形態に関連して本発明が説明されてきたが、本発明は、開示された例示的な実施形態に限定されるべきではなく、対照的に、添付の特許請求の範囲内に様々な修正および均等な配置を網羅することが意図されることが理解されるべきである。

Claims (17)

  1. 被覆切削工具を作製する方法であって、基材上の被覆の化学気相堆積を含み、前記被覆は、TiNの内層、TiCNの後続層およびTiCN層と被覆切削工具の最外面との間に位置するAl層を含み、基材は、金属性バインダー中の硬質成分から構成される超硬合金で作られており、金属性バインダーは60~90wt%のNiを含み、TiN層が、850~900℃の温度および300~600mbarの圧力の2つの逐次工程:TiN-1の第1のTiN堆積とTiN-2の第2のTiN堆積において超硬合金基材上に堆積されることを特徴とし、
    TiN-1堆積は、1~1.5vol%のTiClおよびHおよびNを含む気体中で実施され、体積比H/Nは、0.05~0.18であり、気体は、0.5~1.5vol%のHClを含み、
    TiN-2堆積は、2~3vol%のTiClおよびHおよびNを含む気体中で実施され、体積比H/Nは、0.8~2.5である、方法。
  2. TiCNの層は、875~895℃の温度および50~70mbarの圧力の2つの逐次工程:TiCNの第1の堆積とTiCNの第2の堆積において堆積され、
    第1のTiCN堆積は、55~65vol%のH、35~40vol%のN、2.8~3.1vol%のTiClおよび0.4~0.5vol%のCHCNを含む気体中で実施され、
    第2のTiCN堆積は、75~85vol%のH、6~9vol%のN、2.3~2.5vol%のTiCl、0.6~0.7vol%のCHCNおよび7~9vol%のHClを含む気体中で実施される、請求項1に記載の方法。
  3. TiCN層と被覆切削工具の最外面との間のAlの層の堆積をさらに含み、Alの前記堆積は、両方の工程が980~1020℃の温度および50~60mbarの圧力である少なくとも2つの工程において実施され、第1の工程は、1.1~1.3vol%のAlCl、4.5~5vol%のCO、1.6~2.0vol%のHClおよび残りのHの気体組成物中で実施され、後続の第2の工程は、1.1~1.3vol%のAlCl、4.5~5vol%のCO、2.8~3.0vol%のHCl、0.55~0.6vol%のHSおよび残りのHの気体組成物中で実施される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 金属性バインダーが、10~20wt%のFeおよび/または65~88wt%のNi、および/または3~8wt%のCoを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 超硬合金中の金属性バインダー分が、3~20wt%である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 基材および被覆を含む被覆切削工具であって、基材は、金属性バインダー中の硬質成分から構成される超硬合金で作られており、前記金属性バインダーは60~90wt%のNiを含み、被覆は、内側TiN層、TiCN層およびTiCN層と被覆切削工具の最外面との間に位置するAl層を含み、TiCNは結晶粒から構成され、TiN層から1μmの位置で基材の表面に平行な方向の線に沿って測定されるTiCN層の粒径は、0.10~0.30μmである、被覆切削工具。
  7. 金属性バインダーが、10~20wt%のFe、および/または65~88wt%のNi、および/または3~8wt%のCoを含む、請求項6に記載の被覆切削工具。
  8. 超硬合金中の金属性バインダー分が、3~20wt%である、請求項6または7に記載の被覆切削工具。
  9. TiN層の厚さが0.3~1μmであり、超硬合金基材上に直接堆積される、請求項6から8のいずれか一項に記載の被覆切削工具。
  10. TiCN層が、ハリスの式
    Figure 0007511583000008
    [式中、I(hkl)は、(hkl)反射の測定強度(積分面積)であり、
    (hkl)は、ICDDのPDFカード番号42-1489による標準強度であり、nは反射数であり、計算において使用される反射は、(1 1 1)、(2 0 0)、(2 2 0)、(3 1 1)、(3 3 1)、(4 2 0)、(4 2 2)および(5 1 1)である。]にしたがって定義される、CuKα線およびθ-2θスキャンを使用するX線回折により測定される集合組織係数TC(hkl)を示し、TC(4 2 2)は≧3.5である、請求項6から9のいずれか一項に記載の被覆切削工具。
  11. TiCN層の厚さが6~12μmである、請求項6から10のいずれか一項に記載の被覆切削工具。
  12. CVD被覆が、TiN、TiCN、AlTiN、ZrCN、TiB、Alから選択される1つもしくは複数の層、またはα-Alおよび/もしくはκ-Alを含む多層をさらに含む、請求項6から11のいずれか一項に記載の被覆切削工具。
  13. CVD被覆の総厚さが2~20μmである、請求項6から12のいずれか一項に記載の被覆切削工具。
  14. TiCN層と被覆切削工具の最外面との間のAl層がα-Al層である、請求項6から13のいずれか一項に記載の被覆切削工具。
  15. 前記α-Al層が、ハリスの式[式中、I(hkl)は、(hkl)反射の測定強度(積分面積)であり、
    (hkl)は、ICDDのPDFカード番号00-010-0173による標準強度であり、nは、計算において使用される反射数であり、使用される(hkl)反射は、(1 0 4)、(1 1 0)、(1 1 3)、(0 2 4)、(1 1 6)、(2 1 4)、(3 0 0)および(0 0 12)である。]にしたがって定義される、CuKα線およびθ-2θスキャンを使用するX線回折により測定される集合組織係数TC(hkl)を示し、
    TC(0 0 12)は≧6、であることを特徴とする、請求項14に記載の被覆切削工具。
  16. α-Al層が、≧0.8の強度比I(0 0 12)/I(0 1 14)を示す、請求項14または15に記載の被覆切削工具。
  17. TiCN層と被覆切削工具の最外面との間に位置するAl層の厚さが4~8μmである、請求項6から16のいずれか一項に記載の被覆切削工具。
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