JP7510875B2 - アクチビンiib型受容体変異体および同変異体を含む医薬組成物 - Google Patents

アクチビンiib型受容体変異体および同変異体を含む医薬組成物 Download PDF

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本発明は、アクチビンIIB型受容体変異体およびそれらの使用方法に関する。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)、封入体筋炎(IBM)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、筋力低下および筋肉の萎縮、および/または随意筋運動を制御する運動ニューロンが関与する筋疾患の例である。DMDは、X連鎖ジストロフィン遺伝子の変異によって引き起こされ、すべての骨格筋における進行性の筋変性およびの筋力低下によって特徴付けられる。FSHDは特に顔、肩、上腕、下肢の骨格筋に影響を与える。IBMは主として大腿部の筋肉並びに指および手首の屈曲を制御する腕の筋肉に作用する炎症性筋疾患である。ALSは、運動ニューロンの変性による、体全体の筋硬直、筋けいれん、および筋萎縮を特徴とする運動ニューロン疾患である。これらの壊滅的な筋疾患を有する対象の治療および生存を改善するための努力はいまだ成功していない。
健康な骨は、骨の破壊と骨の成長の両方を含む絶え間ないリモデリングを受けている。骨の成長は骨芽細胞種により媒介され、一方、破骨細胞は骨を吸収する。これらのシステムは、同化プログラムのダウンレギュレーション、異化システムのアップレギュレーションまたは両者の組合せによってバランスを欠き正味の骨量減少がもたらされる際に病状が発生する。よって、骨のリモデリングのバランスの制御は、骨の損傷の治癒の促進ならびに骨量の減少および骨石灰化に関連する骨粗鬆症などの障害の治療に有用であり得る。
骨の損傷は、加齢やがんに関連する骨量減少、遺伝的条件、薬物治療の有害な副作用を含む、一定の範囲の根本原因から起こり得る。世界保健機関は、骨粗鬆症だけで米国、欧州および日本で7千5百万人の罹患があり、骨折の重大なリスク因子であると推定している。一般に、骨量減少そのものは、有効な治療がほとんどない病的状態である。代わりに治療は、直接骨の成長を促進し、かつ骨密度を増す薬剤よりも、不動、運動および食事の改善に焦点を当てている。骨粗鬆症に関して、エストロゲン、カルシトニン、ビタミンK併用のオステオカルシン、または高用量の食事性カルシウムは全て、治療的介入として使用されている。骨粗鬆症に対する他の治療アプローチとしては、ビスホスホネート、副甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモン関連タンパク質(PTHrP:parathyroid hormone related protein)、カルシウム受容体作動薬、スタチン、同化ステロイド、ランタンおよびストロンチウム塩、ならびにフッ化ナトリウムが含まれる。しかしながら、このような治療薬には望まない副作用が伴うことが多い。
線維症とは、臓器や組織に過剰な結合組織が形成されることである。損傷(例えば、傷害)に反応して、または免疫反応(例えば、炎症反応)の一部として形成され得る結合組織は、結合組織が形成される臓器または組織の構造および機能を破壊し、組織の剛性(stiffness)を増大させることがある。線維症は、とりわけ、肺(例えば、肺線維症、嚢胞性線維症)、肝臓(例えば、肝硬変)、心臓(例えば、心内膜心筋線維症、または心筋梗塞後の線維症)、脳(例えば、グリア瘢痕形成)、皮膚(例えば、ケロイドの形成)、腎臓(例えば、腎線維症)、および眼(例えば、角膜線維症)を含む体内の多くの臓器および組織で発生する可能性があり、そして、特定の医療処置(例えば、化学療法、放射線療法および外科手術)に関連することが知られている。線維症に罹患した患者に対する治療選択肢は限られており、ほとんどの治療は生活の質の改善または疾患進行の一時的な遅延に焦点を当てている。
貧血は、罹患率と死亡率の両方に影響する健康への影響を伴う世界的な健康問題である。米国だけで、貧血の有病率は2003年から2012年にかけてほぼ倍増した。貧血の症状には、疲労、脱力感、息切れ、動悸、認知能力の低下が含まれ、子供、妊娠中の女性、生殖年齢の女性および高齢者は、貧血を発症するリスクが最も高いことがわかっている。貧血の最も一般的な形態は鉄欠乏性貧血であるが、貧血は慢性疾患、失血、赤血球破壊によっても引き起こされ得る。鉄欠乏性貧血は鉄サプリメントで治療することができるが、再生不良性貧血、慢性疾患の貧血、溶血性貧血など、他の多くの形態の貧血には輸血を必要とする場合がある。
肺高血圧症(PH)は、肺と心臓の間の血管の圧力が通常よりも高いことを特徴とする深刻な状態である。PHは、WHOグループI~Vとしても知られている、動脈性(PAH)、静脈性(左側心疾患に続発するPH)、低酸素性(肺疾患によって引き起こされるPH)、血栓塞栓性(血栓などの慢性動脈閉塞によって引き起こされるPH)、またはその他(メカニズムが不明または多因子性のPH)の5つの主要なタイプに分類できる。PAHは、瘢痕による肺の小血管の閉塞または狭窄に起因する肺の血管圧上昇を特徴とする。これにより、肺を通る血流への抵抗が高まり、心臓の右側がより強く機能するようになり、心不全、血液酸素化の低下、および平均余命の短縮につながる可能性がある。PAHは特発性(例えば、特定可能な原因がない)、遺伝性(例えば、家族性、多くの場合、遺伝子突然変異に起因する)であり得るか、または薬物使用(例えば、メタンフェタミンやコカインの使用)、感染症(例:HIV感染または住血吸虫症)、肝硬変、先天性心臓異常、結合組織/自己免疫疾患(強皮症や狼瘡など)に関連することがある。PHの治療には、血管拡張薬、抗凝固薬、酸素補給が含まれるが、これらの治療は、疾患の原因となる生物学的メカニズムを標的にするのではなく、疾患の症状を管理するものである。
筋疾患、骨疾患、貧血、線維症およびPHのための新規かつ効果的な治療法の必要性が存在する。
本発明は、細胞外アクチビンIIB型受容体(ActRIIB:activin receptor type IIB)変異体を含むポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、Fcドメインの単量体または別の部分のN末端またはC末端に融合した細胞外ActRIIB変異体を含む。そのような部分は、アミノ酸または他の共有結合によって結合されていてもよく、そしてポリペプチドの安定性を増加させる。Fcドメイン単量体に融合した細胞外ActRIIB変異体を含むポリペプチドはまた、2つのFcドメイン単量体間の相互作用を介して二量体(例えば、ホモ二量体またはヘテロ二量体)を形成し得る。本発明のポリペプチドは、筋力低下および筋肉の萎縮(weakness and atrophy of muscles)を含む疾患または病態、例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、顔面肩甲上腕筋ジストロフィー(FSHD)、封入体筋炎(IBM)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、サルコペニアまたはがん悪液質、を有する対象、もしくは前記疾患または病態を発症するリスクがある対象において、筋肉量および強度を増加させるために使用され得る。本発明のポリペプチドは、例えば、骨損傷、例えば、原発性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、骨減少症、大理石骨病、骨折、骨がんもしくはがん転移関連骨量減少、パジェット病、腎性骨異栄養症、治療関連骨量減少、食事関連骨量減少、肥満の治療に関連する骨量減少、低重力関連骨量減少、または不動を含む疾患または病態を有する対象において、もしくは前記疾患または病態を発症するリスクがある対象において、骨量または骨塩密度を増加させるために使用することができる。さらに、本発明のポリペプチドは、それを必要とする対象、例えば、貧血または失血を有するかまたはそれらを発症するリスクがある対象において赤血球レベルを増加(例えば、ヘモグロビンレベルの増加、ヘマトクリットの増加、および/または赤血球数の増加)させるため、線維症を有するかまたはそれを発症するリスクがある対象において線維症を予防または減少させるため、あるいは肺高血圧症(例えば、動脈性、静脈性、低酸素性、血栓塞栓性、またはその他の肺高血圧症)を有するかまたはそれらを発症するリスクがある対象における肺高血圧症の発症または進行を治療、予防または遅延させるために使用され得る。さらに、本発明のポリペプチドはまた、筋力低下および筋肉の萎縮、骨損傷または骨脱灰、低血球レベル(例えば、低ヘモグロビンレベル、低ヘマトクリット、および/または低赤血球数)、線維症、または肺高血圧症(例えば、動脈性、静脈性、低酸素性、血栓塞栓性、またはその他の肺高血圧症)を伴う疾患もしくは病態を発症するリスクを有するかまたはそれを有する対象において、ミオスタチン、アクチビン、および/または骨形成タンパク質9(BMP9)シグナル伝達に作用するために使用され得る。
第1の態様において、本発明は、GRGEAETRECIYYNANWELERTNQSGLERCEGEQDKRLHCYASWRNSSGTIELVKKGCWLDDFNCYDRQECVATEENPQVYFCCCEGNFCNERFTHLPEAGGPEVTYEPPPTAPT(配列番号17)の配列と比較して1つ以上のアミノ酸置換を有する細胞外ActRIIB変異体を含むポリペプチドを特徴とし、同ポリペプチドにおいて、変異体は、野生型細胞外ActRIIBに対して減少したBMP9結合を与える1つ以上のアミノ酸置換、および1つ以上のさらなるアミノ酸置換を含み、BMP9結合を減少させる置換は、(a)アミノ酸置換E75K;(b)アミノ酸置換Q69TおよびE70D;または(c)アミノ酸置換Q69DおよびE70T、の1つ以上である。
いくつかの実施形態において、1つ以上のさらなるアミノ酸置換は、I11L、Y12F、L19K、E20D、S25T、L27V、R29P、E31Y、E33D、Q34K、L38R、Y41F、R45K、S47I、S48T、T50S、I51L、L53I、K56Q、F63I、T74K、E76D、N77S、Q79E、およびF89Mからなる群より選択される。
いくつかの実施形態において、変異体は、アミノ酸置換E75Kならびにさらなるアミノ酸置換E20DおよびF63Iを含む。
いくつかの実施形態において、変異体は、アミノ酸置換E75KならびにBMP9結合を減少させるさらなるアミノ酸置換を含む。上記した態様のいずれかのいくつかの実施形態において、BMP9結合を減少させるさらなるアミノ酸置換は、T74K、E76D、N77S、およびQ79Eを含む。
いくつかの実施形態において、変異体は1つ以上のさらなるアミノ酸置換を含む。
いくつかの実施形態において、変異体は、さらなるアミノ酸置換Y41F、R45KおよびK56Qを含む。いくつかの実施形態において、変異体は、さらなるアミノ酸置換Y12F、L19K、E20D、R29P、E31Y、E33D、L38R、およびF63Iを含む。
いくつかの実施形態において、変異体は、さらなるアミノ酸置換S25TおよびS47Iを含む。いくつかの実施形態において、変異体は、さらなるアミノ酸置換S48Tを含む。
いくつかの実施形態において、変異体は、さらなるアミノ酸置換R29Pを含む。
いくつかの実施形態において、変異体は、さらなるアミノ酸置換E31Y、E33DおよびQ34Kを含む。
いくつかの実施形態において、変異体は、さらなるアミノ酸置換Y12F、L19KおよびE20Dを含む。
いくつかの実施形態において、変異体は、さらなるアミノ酸置換E31Y、E33DおよびL38Rを含む。
いくつかの実施形態において、変異体は、アミノ酸置換Q69TおよびE70D、ならびにさらなるアミノ酸置換I11L、L27V、Q34K、T50S、I51L、L53IおよびF89Mを含む。
いくつかの実施形態において、変異体は、アミノ酸置換Q69DおよびE70T、ならびにさらなるアミノ酸置換I11L、L27V、Q34K、T50S、I51L、L53IおよびF89Mを含む。
いくつかの実施形態において、変異体は、アミノ酸置換E75Kをさらに含む。
以下の実施形態E1~E59は、本発明の他の特徴を説明する。
E1.ActRIIB変異体を含むポリペプチドであって、変異体はGRGEAETRECXYNANWEXRTNQXGXEXCXGX10DKRX11HCX12ASWX13NX1415GX1617EX18VKX19GCWLDDX20NCYDRX2122CVAX23242526PX27VYFCCEGNX28CNERFTHLPEAGGPEVTYEPPPTAPT(配列番号1)の配列を有し、XはIまたはLであり;XはFまたはYであり;XはLまたはKであり;XはDまたはEであり;XはTまたはSであり;XはLまたはVであり;XはPまたはRであり;XはYまたはEであり;XはDまたはEであり;X10はKまたはQであり;X11はRまたはLであり;X12はYまたはFであり;X13はRまたはKであり;X14はSまたはIであり;X15はSまたはTであり;X16はSまたはTであり;X17はIまたはLであり;X18はIまたはLであり;X19はKまたはQであり;X20はFまたはIであり;X21はQ、T、またはDであり;X22はE、D、またはTであり;X23はKまたはTであり;X24はKまたはEであり;X25はDまたはEであり;X26はSまたはNであり;X27はEまたはQであり;X28はFまたはMであり、そして、X24はEであり、かつ/またはX21はTであり、かつX22はDであるか、またはX21はDであり、かつX22はTである、ポリペプチド。
E2.XがIである、E1の変異体。
E3.XがLである、E1の変異体。
E4.XがFである、E1~E3のいずれか1つの変異体。
E5.XがYである、E1~E3のいずれか1つの変異体。
E6.XがLである、E1~E5のいずれか1つの変異体。
E7.XがKである、E1~E5のいずれか1つの変異体。
E8.XがDである、E1~E7のいずれか1つの変異体。
E9.XがEである、E1~E7のいずれか1つの変異体。
E10.XがTである、E1~E9のいずれか1つの変異体。
E11.XがSである、E1~E9のいずれか1つの変異体。
E12.XがLである、E1~E11のいずれか1つの変異体。
E13.XがVである、E1~E11のいずれか1つの変異体。
E14.XがPである、E1~E13のいずれか1つの変異体。
E15.XがRである、E1~E13のいずれか1つの変異体。
E16.XがYである、E1~E15のいずれか1つの変異体。
E17.XがEである、E1~E15のいずれか1つの変異体。
E18.XがDである、E1~E17のいずれか1つの変異体。
E19.XがEである、E1~E17のいずれか1つの変異体。
E20.X10がKである、E1~E19のいずれか1つの変異体。
E21.X10がQである、E1~E19のいずれか1つの変異体。
E22.X11がRである、E1~E21のいずれか1つの変異体。
E23.X11がLである、E1~E21のいずれか1つの変異体。
E24.X12がYである、E1~E23のいずれか1つの変異体。
E25.X12がFである、E1~E23のいずれか1つの変異体。
E26.X13がRである、E1~E25のいずれか1つの変異体。
E27.X13がKである、E1~E25のいずれか1つの変異体。
E28.X14がSである、E1~E27のいずれか1つの変異体。
E29.X15がSである、E1~E27のいずれか1つの変異体。
E30.X15がSである、E1~E29のいずれか1つの変異体。
E31.X15がTである、E1~E29のいずれか1つの変異体。
E32.X16がSである、E1~E31のいずれか1つの変異体。
E33.X16がTである、E1~E31のいずれか1つの変異体。
E34.X17がIである、E1~E33のいずれか1つの変異体。
E35.X17がLである、E1~E33のいずれか1つの変異体。
E36.X18がIである、E1~E35のいずれか1つの変異体。
E37.X18がLである、E1~E35のいずれか1つの変異体。
E38.X19がKである、E1~E37のいずれか1つの変異体。
E39.X19がQである、E1~E37のいずれか1つの変異体。
E40.X20がFである、E1~E39のいずれか1つの変異体。
E41.X20がIである、E1~E39のいずれか1つの変異体。
E42.X21がQである、E1~E41のいずれか1つの変異体。
E43.X21がTである、E1~E41のいずれか1つの変異体。
E44.X21がDである、E1~E41のいずれか1つの変異体。
E45.X22がEである、E1~E42のいずれか1つの変異体。
E46.X22がDである、E1~E41およびE43のいずれか1つの変異体。
E47.X22がTである、E1~E41およびE44のいずれか1つの変異体。
E48.X23がKである、E1~E47のいずれか1つの変異体。
E49.X23がTである、E1~E47のいずれか1つの変異体。
E50.X24がKである、E1~E49のいずれか1つの変異体。
E51.X24がEである、E1~E41、E43、E44、E46およびE47~E49のいずれか1つの変異体。
E52.X25がDである、E1~E51のいずれか1つの変異体。
E53.X25がEである、E1~E51のいずれか1つの変異体。
E54.X26がSである、E1~E53のいずれか1つの変異体。
E55.X26がNである、E1~E53のいずれか1つの変異体。
E56.X27がEである、E1~E55のいずれか1つの変異体。
E57.X27がQである、E1~E55のいずれか1つの変異体。
E58.X28がFである、E1~E57のいずれか1つの変異体。
E59.X28がMである、E1~E57のいずれか1つの変異体。
いくつかの実施形態において、変異体は、配列番号2~15のうちいずれか1つの配列を有する。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、リンカーを介してポリペプチドのC末端(例えば、変異体のC末端)に融合されたFcドメイン単量体をさらに含む。いくつかの実施形態において、Fcドメイン単量体は、配列番号19の配列を有する。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは二量体を形成する。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、リンカーを介してポリペプチドのC末端(例えば、変異体のC末端)に融合された野生型Fcドメインをさらに含む。いくつかの実施形態において、野生型Fcドメインは、配列番号71の配列を有する。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、リンカーを介してポリペプチドのC末端(例えば、変異体のC末端)に融合されたアミノ酸置換を有するFcドメインをさらに含む。いくつかの実施形態において、Fcドメインは、二量体を形成しない。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、リンカーを介してポリペプチドのC末端(例えば、変異体のC末端)に融合された、アルブミン結合ペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、アルブミン結合ペプチドは、配列番号72の配列を有する。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、リンカーを介してポリペプチドのC末端(例えば、変異体のC末端)に融合されたフィブロネクチンドメインをさらに含む。いくつかの実施形態において、フィブロネクチンドメインは、配列番号73の配列を有する。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、リンカーを介してポリペプチドのC末端(例えば、変異体のC末端)に融合されたヒト血清アルブミンをさらに含む。いくつかの実施形態において、ヒト血清アルブミンは、配列番号74の配列を有する。
いくつかの実施形態において、リンカーは、アミノ酸スペーサーである。上述の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、アミノ酸スペーサーは、GGG、GGGA(配列番号20)、GGGG(配列番号22)、GGGAG(配列番号52)、GGGAGG(配列番号53)、またはGGGAGGG(配列番号54)である。
いくつかの実施形態において、アミノ酸スペーサーは、GA、GS、GG、GGA、GGS、GGG、GGGS(配列番号:21)、GGGGA(配列番号:23)、GGGGS(配列番号:24)、GGGGG(配列番号:25)、GGAG(配列番号:26)、GGSG(配列番号:27)、AGGG(配列番号:28)、SGGG(配列番号:29)、GAGA(配列番号:30)、GSGS(配列番号:31)、GAGAGA(配列番号:32)、GSGSGS(配列番号:33)、GAGAGAGA(配列番号:34)、GSGSGSGS(配列番号:35)、GAGAGAGAGA(配列番号:36)、GSGSGSGSGS(配列番号:37)、GAGAGAGAGAGA(配列番号:38)、GSGSGSGSGSGS(配列番号:39)、GGAGGA(配列番号:40)、GGSGGS(配列番号:41)、GGAGGAGGA(配列番号:42)、GGSGGSGGS(配列番号:43)、GGAGGAGGAGGA(配列番号:44)、およびGGSGGSGGSGGS(配列番号:45)、GGAGGGAG(配列番号:46)、GGSGGGSG(配列番号:47)、GGAGGGAGGGAG(配列番号:48)、andGGSGGGSGGGSG(配列番号:49)、GGGGAGGGGAGGGGA(配列番号:50)、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号:51)、AAAL(配列番号:55)、AAAK(配列番号:56)、AAAR(配列番号:57)、EGKSSGSGSESKST(配列番号:58)、GSAGSAAGSGEF(配列番号:59)、AEAAAKEAAAKA(配列番号:60)、KESGSVSSEQLAQFRSLD(配列番号:61)、GENLYFQSGG(配列番号:62)、SACYCELS(配列番号:63)、RSIAT(配列番号:64)、RPACKIPNDLKQKVMNH(配列番号:65)、GGSAGGSGSGSSGGSSGASGTGTAGGTGSGSGTGSG(配列番号:66)、AAANSSIDLISVPVDSR(配列番号:67)、GGSGGGSEGGGSEGGGSEGGGSEGGGSEGGGSGGGS(配列番号:68)、EAAAK(配列番号:69)、またはPAPAP(配列番号:70)、である。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、少なくとも7日の血清半減期を有する。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、野生型のActRIIBと比較して、1つまたは複数のActRIIBリガンド(例えば、アクチビン、ミオスタチン、GDF-11、またはBMP9)への結合が増加または減少している。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、200pM以上のKでヒト骨形成因子9(BMP9)と結合する。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、アクチビンおよび/またはミオスタチンと結合し、ヒトBMP9との結合は低いか、または弱い。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、ヒトBMP9と実質的に結合しない。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、800pM以下のKでヒトアクチビンAと結合する。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、800pM以下のKでヒトアクチビンBと結合する。
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、5pM以上のKでヒトGDF-11と結合する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体を含むポリペプチド)をコードする核酸分子に関する。
別の態様において、本発明はまた、本明細書に記載の核酸分子を含むベクターに関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチドを発現する宿主細胞に関し、その宿主細胞は、前記2つの態様に記載されている核酸分子またはベクターを含み、この核酸分子またはベクターは宿主細胞内で発現される。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチドを作製する方法に関し、同方法は、a)本明細書に記載の核酸分子またはベクターを含む宿主細胞を提供すること、およびb)前記ポリペプチドの形成を可能とする条件下、宿主細胞内で前記核酸分子またはベクターを発現させること、を含む。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸分子、またはベクターと1つ以上の薬学上許容される担体または賦形剤とを含む医薬組成物に関する。前記医薬組成物のいくつかの実施形態において、ポリペプチド、核酸分子、またはベクターは治療有効量である。
別の態様において、本発明は、Fcドメイン単量体(例えば、配列番号19の配列)のN末端またはC末端に融合された本明細書に記載の細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちのいずれか1つの配列を有するActRIIB変異体)をそれぞれ含む2つの同一のポリペプチドを含む構築物(例えば、ホモ二量体)に関する。2つのポリペプチド中の2つのFcドメイン単量体は相互作用して構築物中にFcドメインを形成する。
別の態様において、本発明は、Fcドメイン単量体(例えば、配列番号19の配列)のN末端またはC末端に融合された本明細書に記載の細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちのいずれか1つの配列を有するActRIIB変異体)をそれぞれ含む2つの異なるポリペプチドを含む構築物(例えば、ヘテロ二量体)に関する。2つのポリペプチド中の2つのFcドメイン単量体は相互作用して構築物中にFcドメインを形成する。
別の態様において、本発明は、それを必要とする対象において除脂肪量(lean mass)を増加させる方法に関する。同方法は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む。
別の態様において、本発明は、それを必要とする対象において筋肉量を増加させる方法に関する。同方法は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む。
対象の除脂肪量または筋肉量を増加させる方法のいくつかの実施形態において、対象は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、顔面肩甲上腕筋ジストロフィー(FSHD)、封入体筋炎(IBM)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、サルコペニア、またはがん悪液質を有するか、またはそれらを発症するリスクがある。
別の態様において、本発明は、筋疾患を有するか、またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。同方法は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、筋疾患はDMD、FSHD、IBM、ALS、サルコペニア、またはがん悪液質である。
別の態様において、本発明は、筋力低下および筋肉の萎縮を含む疾患または病態を有する対象またはそれらを発症するリスクがある対象において、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9シグナル伝達に作用する(例えば、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9のそれらの内因性受容体への結合を低減または阻害する)方法に関し、ここで、同方法は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む。この態様のいくつかの実施形態において、疾患または病態はDMD、FSHD、IBM、ALS、サルコペニア、またはがん悪液質である。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによるDMDを有する対象またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによるFSHDを有する対象またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによるIBMを有する対象またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによるALSを有する対象またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによるサルコペニアを有する対象またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによるがん悪液質を有する対象またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。
別の態様において、本発明は、それを必要とする対象において骨塩密度を増加させる方法に関する。同方法は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む。
別の態様において、本発明は、それを必要とする対象において骨吸収を低減させる方法に関する。同方法は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む。
別の態様において、本発明は、それを必要とする対象において骨形成を増加させる方法に関する。同方法は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む。
別の態様において、本発明は、それを必要とする対象において骨強度を増加させる方法に関する。同方法は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む。
別の態様において、本発明は、それを必要とする対象において骨折のリスクを低減する方法に関する。同方法は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む。
上記態様のいずれかのいくつかの実施形態においては、対象は、原発性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、骨減少症、大理石骨病、骨折、骨がんもしくはがん転移関連骨量減少、パジェット病、腎性骨異栄養症、治療関連骨量減少、食事関連骨量減少、肥満の治療に関連する骨量減少、低重力関連骨量減少、または不動関連骨量減少を有するか、或いはそれらを発症するリスクがある。いくつかの実施形態において、対象は骨粗鬆症を患っているかまたは骨粗鬆症を発症するリスクがある。
別の態様において、本発明は、骨疾患を有するか、またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。同方法は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、骨疾患は、原発性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、骨減少症、大理石骨病、骨折、骨がんもしくはがん転移関連骨量減少、パジェット病、腎性骨異栄養症、治療関連骨量減少、食事関連骨量減少、肥満の治療に関連する骨量減少、低重力関連骨量減少、または不動関連骨量減少である。いくつかの実施形態において、骨疾患は骨粗鬆症である。
別の態様において、本発明は、骨損傷を含む疾患または病態を有する対象またはそれらを発症するリスクがある対象において、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9シグナル伝達に作用する(例えば、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9のそれらの内因性受容体への結合を低減または阻害する)方法に関し、ここで、同方法は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む。この態様のいくつかの実施形態において、疾患または病態は、原発性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、骨減少症、大理石骨病、骨折、骨がんもしくはがん転移関連骨量減少、パジェット病、腎性骨異栄養症、治療関連骨量減少、食事関連骨量減少、肥満の治療に関連する骨量減少、低重力関連骨量減少、または不動関連骨量減少である。いくつかの実施形態において、疾患または病態は骨粗鬆症である。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる原発性骨粗鬆症を有する対象またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる続発性骨粗鬆症を有する対象またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる骨減少症を有する対象またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる骨折を有する対象またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる骨がんもしくはがん転移関連骨量減少を有する対象またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによるパジェット病を有する対象またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる腎性骨異栄養症を有する対象またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる治療関連骨量減少を有する対象またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる食事関連骨量減少を有する対象またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる低重力関連骨量減少を有する対象またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる不動関連骨量減少を有する対象またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、原発性骨粗鬆症は加齢性骨粗鬆症またはホルモン関連骨粗鬆症である。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、続発性骨粗鬆症は不動誘発性骨粗鬆症またはグルココルチコイド誘発性骨粗鬆症である。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、がんは多発性骨髄腫である。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、治療はFGF-21治療、GLP-1治療、がん治療、または肥満のための治療もしくは2型糖尿病のための治療である。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、食事関連骨量減少はくる病である。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、対象は骨折のリスクがある。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法は対象において骨形成を増加させる。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法は対象において骨吸収を低減する。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法は対象において骨量減少を低減する。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法は骨芽細胞活性または骨芽細胞形成を増加させる。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法はは破骨細胞活性または破骨細胞形成を低減させる。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法は骨折のリスクを低減する。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法は骨の強度を増加させる。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、骨は皮質骨である。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、骨は骨梁骨である。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる、それを必要とする対象において繊維症を低減または予防する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる、それを必要とする対象において繊維症の進行を遅延または抑制する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる、それを必要とする対象において繊維症を発症するリスクを低減する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる繊維症を有するか、または繊維症を発症するリスクを有する対象を治療する方法に関する。
上記態様のいずれかのいくつかの実施形態において、線維症は、化学療法薬誘発線維症、放射線誘発線維症、肺線維症、肝線維症、腎線維症(例えば、慢性腎疾患に関連する線維症)、角膜線維症、心線維症、骨髄線維症、縦隔線維症、後腹膜線維症(retropertinoneal fibrosis)、関節線維症、骨関節線維症、組織線維症、腫瘍間質、線維形成性腫瘍、外科的癒着、肥厚性瘢痕、またはケロイドである。
上記の態様のいくつかの実施形態において、線維症は、創傷、火傷、B型またはC型肝炎感染、脂肪肝疾患、住血吸虫感染、腎疾患(例えば、慢性腎疾患)、心疾患、黄斑変性、クローン病、網膜または硝子体網膜症、全身性または局所性強皮症、アテローム性動脈硬化症、または再狭窄、に関連する繊維症である。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、繊維症は慢性腎疾患によって起こる。
別の態様において、本発明は、繊維症、あるいは繊維症に関連する疾患もしくは病態を有する対象またはそれらを発症するリスクがある対象において、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9シグナル伝達に作用する(例えば、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9のそれらの内因性受容体への結合を低減または阻害する)方法に関し、ここで、同方法は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む。上記態様のいずれかのいくつかの実施形態において、線維症は、化学療法薬誘発線維症、放射線誘発線維症、肺線維症、肝線維症、腎線維症(例えば、慢性腎疾患に関連する線維症)、角膜線維症、心線維症、骨髄線維症、縦隔線維症、後腹膜線維症、関節線維症、骨関節線維症、組織線維症、腫瘍間質、線維形成性腫瘍、外科的癒着、肥厚性瘢痕、またはケロイドである。この態様のいくつかの実施形態において、疾患もしくは病態は、創傷、火傷、B型またはC型肝炎感染、脂肪肝疾患、住血吸虫感染、腎疾患(例えば、慢性腎疾患)、心疾患、黄斑変性、クローン病、網膜または硝子体網膜症、全身性または局所性強皮症、アテローム性動脈硬化症、または再狭窄、に関連する繊維症である。この態様のいくつかの実施形態において、繊維症は慢性腎疾患によって起こる。
上記態様のいずれかのいくつかの実施形態において、組織線維症は、筋組織、皮膚表皮、皮膚真皮、腱、軟骨、膵臓組織、子宮組織、神経組織、精巣、卵巣、副腎、動脈、静脈、結腸、小腸、大腸、胆道および腸からなる群から選択される組織に影響を与える線維症である。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法は、線維化した組織または臓器の機能を改善する。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法は繊維症の進行を遅延または抑制する。上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法は線維症の1つ以上の症状を減少させる(例えば、その頻度や重症度を減少させる)。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる、それを必要とする対象において赤血球レベルを増加させる(例えば、ヘモグロビンレベル、赤血球数またはヘマトクリットを増加させる)方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる、それを必要とする対象の赤血球の形成を促進または増加させる方法に関する。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、対象は貧血または失血を患っているかまたはそれらを発症するリスクがある。
別の態様において、本発明は、低赤血球レベルに関連する疾患または病態(例えば、低ヘモグロビンレベル、低赤血球数、または低ヘマトクリット)を有する対象またはそれらを発症するリスクがある対象において、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9シグナル伝達に作用する(例えば、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9のそれらの内因性受容体への結合を低減または阻害する)方法に関し、ここで、同方法は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む。
上記の態様のいくつかの実施形態において、疾患または病態は貧血または失血である。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、貧血または失血は、がん、がん治療、腎疾患または腎不全(例えば、慢性腎疾患または急性腎疾患または不全)、骨髄異形成症候群、サラセミア、栄養欠乏、薬物に対する有害反応、炎症性または自己免疫疾患、脾腫、ポルフィリン症、血管炎、溶血、骨髄欠損、骨髄移植、糖尿病、肝疾患(例えば、急性肝疾患または慢性肝疾患)、出血(例えば、急性または慢性の出血)、感染、異常ヘモグロビン症、薬物使用、アルコール乱用、高齢、チャーグ・ストラウス(Churg-Strauss)症候群、フェルティ(Felty)症候群、移植片対宿主病、造血幹細胞移植、骨髄線維症、汎血球減少症、純粋赤血球無形成症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(purpura Schoenlein-Henoch)、シュワッハマン(Shwachman)症候群(例えば、シュワッハマン・ダイアモンド(Shwachman-Diamond)症候群)、輸血の禁忌、手術、外傷、創傷、潰瘍、尿路出血、消化管出血、頻繁な献血、または多量の月経出血と関連している。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる貧血を有する対象またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。いくつかの実施形態において、貧血または失血は、がん、がん治療、腎疾患または腎不全(例えば、慢性腎疾患または急性腎疾患または不全)、骨髄異形成症候群、サラセミア、栄養欠乏、薬物に対する有害反応、炎症性または自己免疫疾患、脾腫、ポルフィリン症、血管炎、溶血、骨髄欠損、骨髄移植、糖尿病、肝疾患(例えば、急性肝疾患または慢性肝疾患)、出血(例えば、急性または慢性の出血)、感染、異常ヘモグロビン症、薬物使用、アルコール乱用、高齢、チャーグ・ストラウス症候群、フェルティ症候群、移植片対宿主病、造血幹細胞移植、骨髄線維症、汎血球減少症、純粋赤血球無形成症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、シュワッハマン症候群(例えば、シュワッハマン・ダイアモンド症候群)、輸血の禁忌、手術、外傷、創傷、潰瘍、尿路出血、消化管出血、頻繁な献血、または多量の月経出血と関連している。
いくつかの実施形態において、貧血は慢性腎疾患によって起こる。
上記態様のいずれかのいくつかの実施形態において、貧血は、再生不良性貧血、鉄欠乏性貧血、ビタミン欠乏性貧血、慢性疾患に伴う貧血、骨髄疾患に関連する貧血、溶血性貧血、鎌状赤血球貧血、小球性貧血、低色素性貧血、鉄芽球性貧血、ダイアモンド・ブラックファン(Diamond Blackfan)貧血、ファンコーニ(Fanconi)貧血、または過剰芽細胞を伴う不応性貧血である。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、対象はエリスロポイエチン(EPO)での治療に良好に反応しないか、あるいはEPOの副作用に感受性である。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法は赤血球形成、赤血球数、ヘモグロビンレベル、またはヘマトクリットを増加させる。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法は前記対象の輸血の必要性を軽減する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる、それを必要とする対象の肺高血圧症(PH)低減させる方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる、それを必要とする対象においてPHを発症するリスクを低減する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる、それを必要とする対象においてPHの進行を遅延または抑制する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによるPHを有する対象またはそれを発症するリスクがある対象を治療する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによる、PHを有するか、またはそれを発症するリスクがある対象において、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9シグナル伝達に作用する(例えば、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9のそれらの受容体への結合を低減または阻害する)方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによるPHを有する対象またはそれを発症するリスクがある対象における血管リモデリングを低減する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによるPHを有する対象またはそれを発症するリスクがある対象における右心室肥大を低減する方法に関する。
別の態様において、本発明は、本明細書に記載の治療有効量のポリペプチド、核酸分子、もしくはベクター、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することによるPHを有する対象またはそれを発症するリスクがある対象における肺血管抵抗を減少させる方法に関する。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、PHは肺動脈高血圧症(PAH)である。いくつかの実施形態において、PAHは突発性PAHである。いくつかの実施形態において、PAHは遺伝性PAHである。いくつかの実施形態において、PAHは、HIV感染、住血吸虫症、肝硬変、先天性心臓異常、門脈圧亢進症、肺静脈閉塞症、肺毛細血管腫症、結合組織障害、自己免疫障害(例えば、強皮症または狼瘡)または薬物の使用もしくは乱用(例えば、コカインまたはメタンフェタミンの使用)に関連するものである。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、PHは静脈性PHである。いくつかの実施形態において、静脈性PHは、左心室収縮機能不全、左心室拡張機能不全、心臓弁膜症、先天性心筋症、または先天性もしくは後天性肺静脈狭窄に関連するものである。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、PHは低酸素性PHである。いくつかの実施形態において、低酸素性PHは、慢性閉塞性肺疾患(例えば、肺気腫)、間質性肺疾患、睡眠障害呼吸(例えば、睡眠時無呼吸)、肺疾患(例えば、肺線維症)、肺胞低換気障害、高地への慢性曝露、または発達異常に関連するものである。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、PHは血栓塞栓性PHである。いくつかの実施形態において、血栓塞栓性PHは、慢性血栓塞栓性肺高血圧症、肺塞栓症、血管肉腫、動脈炎、先天性肺動脈狭窄症、または寄生虫感染症に関連するものである。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、PHはその他のPHである。いくつかの実施形態において、その他のPHは、血液疾患(例えば、慢性溶血性貧血、鎌状赤血球症)、全身性疾患(例えば、サルコイドーシス、肺ランゲルハンス細胞組織球症、リンパ管平滑筋腫症、神経線維腫症、または血管炎)、代謝障害(たとえば、糖原病、ゴーシェ病、または甲状腺疾患)、肺腫瘍性血栓性微小血管症、線維性縦隔炎、慢性腎不全、または区域性肺高血圧症(segmental pulmonary hypertension)に関連するものである。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法は、PHの1つまたは複数の症状の頻度または重症度を低減する(例えば、息切れ(呼吸困難)、疲労、脚、足、腹(腹水)または首の腫脹(例えば、浮腫)、胸痛または胸部圧迫感、激しい脈または心臓の動悸、唇または皮膚の青みがかった色(チアノーゼ)、めまい、または失神、の重症度または頻度を低減する)。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法は肺血管リモデリングを低減する。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法は心臓における血管リモデリングを低減する。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法は右心室肥大を低減する。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法は肺血管抵抗を低減する(例えば、治療前に行われた測定と比較して、肺血管抵抗を低減する)。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法は6分間歩行試験における性能を改善する(例えば、治療前に行われた測定と比較して性能を改善する)。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法はアクチビンおよび/またはミオスタチンのそれらの受容体への結合を低減または阻害する。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、ポリペプチド、核酸、ベクター、または医薬組成物は、筋肉量および/または強度を増加させ、骨塩密度を増加させ、骨吸収を減少させ、骨損失を減少させ、骨吸収速度を減少させ、骨形成を増加させ、骨形成速度を増加させ、破骨細胞活性を減少させ、骨芽細胞活性を増加させ、骨折のリスクを低減し、骨強度を増加させ、線維症を低減し、線維症の発症を予防し、線維症の発症を遅延させ、繊維症の進行を遅延または抑制し、線維症の発生のリスクを低減し、線維症の1つ以上の症状を低減し、線維症組織または臓器の機能を改善し、赤血球レベルを増加させ、ヘモグロビンレベルを増加させ、ヘマトクリットを増加させ、輸血の必要性を低減し、赤血球形成を増加させ、赤血球数を増加させ、貧血を治療し、PHの予防を増加し(increase prevent)、pHを発症するリスクを低減し、PHの1つまたは複数の症状の重症度または頻度を低減し、PHの発症を遅延させ、PHの進行を遅延または抑制し、PHを治療し、肺血管リモデリングを低減し、心臓における血管リモデリングを低減し、右室肥大を低減し、肺血管抵抗を低減し、6分間歩行試験の性能を改善し、対象におけるミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP-9シグナル伝達に影響を及ぼし、またはアクチビンおよび/またはミオスタチンのそれらの受容体への結合を低下または阻害するのに十分な量で投与される。いくつかの実施形態において、PHはPAHである。いくつかの実施形態において、PHは静脈性PHである。いくつかの実施形態において、PHは低酸素性PHである。いくつかの実施形態において、PHは血栓塞栓性PHである。いくつかの実施形態において、PHはその他のPHである。
上記の態様のいずれかのいくつかの実施形態において、方法は対象において血管合併症を引き起こさない。いくつかの実施形態において、方法は、血管透過性または漏出を増加させない。
定義
本明細書で使用する場合、用語「細胞外アクチビンIIB型受容体(ActRIIB)変異体」は、野生型細胞外ActRIIB(例えば、下記に示す配列番号18の配列の太字部分)に対して少なくとも1つのアミノ酸置換を有する1回膜貫通型受容体、ActRIIB、の可溶型細胞外部分を含むペプチドを指す。野生型ヒトActRIIBの配列を下記に示し(配列番号18)、同配列において、シグナルペプチドを斜体で、細胞外部分を太字で示す。
野生型ヒトActRIIB(配列番号18):
細胞外ActRIIB変異体は、配列番号1~15のうちいずれか1つの配列を有する。特定の実施形態において、細胞外ActRIIB変異体は、配列番号2~15(表2)のいずれか1つの配列を有する。いくつかの実施形態において、細胞外ActRIIB変異体は、野生型細胞外ActRIIB(配列番号17)の配列と少なくとも85%(例えば、少なくとも85%、87%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれを超える)アミノ酸配列同一性を有し得る。
本明細書で使用する場合、用語「リンカー」は、2つの要素、例えば、ペプチドまたはタンパク質ドメインの間の結合を指す。本明細書に記載のポリペプチドは、ある部分に融合された細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含み得る。この部分は、ポリペプチドの安定性を増すか、または薬物動態特性を改善することができる。この部分(例えば、Fcドメイン単量体、野生型Fcドメイン、アミノ酸置換(例えば、二量体形成を低減する1つ以上の置換)を有するFcドメイン、アルブミン結合ペプチド、フィブロネクチンドメイン、またはヒト血清アルブミン)は、リンカーを介してポリペプチドに融合されていてもよい。リンカーは、共有結合またはスペーサーであり得る。用語「結合」は、化学結合、例えば、アミド結合またはジスルフィド結合、または化学反応、例えば、化学共役から作り出されるいずれの種類の結合も指す。用語「スペーサー」は、2つの要素の間に空間および/またはフレキシビリティを設けるために2つの要素、例えば、ペプチドまたはタンパク質ドメインの間に存在する部分(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)ポリマー)またはアミノ酸配列(例えば、1~200アミノ酸の配列)を指す。アミノ酸スペーサーは、ポリペプチドの一次配列の一部である(例えば、ポリペプチド主鎖により空間が設けられたペプチドに融合されている)。例えば、Fcドメインを形成する2つのヒンジ領域の間のジスルフィド結合の形成は、リンカーと見なされない。
本明細書で使用する場合、用語「Fcドメイン」は、2つのFcドメイン単量体の二量体を指す。Fcドメインは、少なくともC2ドメインおよびC3ドメインを含むヒトFcドメインと少なくとも80%の配列同一性(例えば、少なくとも85%、90%、95%、97%、または100%の配列同一性)を有する。Fcドメイン単量体は、第2および第3の抗体定常ドメイン(C2およびC3)を含む。いくつかの実施形態において、Fcドメイン単量体はまた、ヒンジドメインも含む。Fcドメインは、例えば可変ドメインまたは相補性決定領域(CDR)など、抗原認識領域として働き得る免疫グロブリンのいずれの部分も含まない。野生型Fcドメインでは、2つのFcドメイン単量体は、2つのC3抗体定常ドメイン間の相互作用、ならびに2つの二量体形成Fcドメイン単量体のヒンジドメイン間で形成する1つ以上のジスルフィド結合によって二量体を形成する。いくつかの実施形態において、Fcドメインは、「デッドFcドメイン」の典型としてエフェクター機能を欠くように変異させてもよい。特定の実施形態において、Fcドメインの各Fcドメイン単量体は、FcドメインとFcγ受容体の間の相互作用または結合を低減するようにC2抗体定常ドメイン内にアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態において、Fcドメインは、Fcドメインの二量体形成を低減または阻害する1つ以上のアミノ酸置換を含む。Fcドメインは、IgG、IgE、IgM、IgA、またはIgDを含むいずれの免疫グロブリン抗体アイソタイプであってもよい。加えて、Fcドメインは、IgGサブタイプ(例えば、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、またはIgG4)であってもよい。Fcドメインはまた、非天然Fcドメイン、例えば、組換えFcドメインであってもよい。
本明細書で使用する場合、用語「アルブミン結合ペプチド」は、血清アルブミンに対して親和性を有し、血清アルブミンと結合する働きをするアミノ酸12~16個のアミノ酸配列を指す。アルブミン結合ペプチドは、例えば、ヒト、マウス、またはラットなど、起源の異なるものであってもよい。いくつかの実施形態において、アルブミン結合ペプチドは、配列DICLPRWGCLW(配列番号72)を有する。
本明細書で使用する場合、「内因性」という用語は、特定の生物(例えば、ヒト)または生物内の特定の場所(例えば、臓器、組織、または細胞、例えばヒト細胞、例えばヒト有毛細胞)に天然に見られる分子(例えば、ポリペプチド、核酸、または補因子)を表す。
本明細書で使用する場合、用語「フィブロネクチンドメイン」は、例えば、インテグリンなどの膜貫通受容体タンパク質、ならびにコラーゲンおよびフィブリンなどの細胞外マトリックス成分と結合する、細胞外マトリックスの高分子量糖タンパク質、またはそのフラグメントを指す。いくつかの実施形態において、フィブロネクチンドメインは、UniProt ID NO:P02751の配列のアミノ酸610~702を有するフィブロネクチンIII型ドメイン(配列番号73)である。他の実施形態において、フィブロネクチンドメインは、アドネクチンタンパク質である。
本明細書で使用する場合、用語「ヒト血清アルブミン」は、ヒト血漿中に存在するアルブミンタンパク質を指す。ヒト血清アルブミンは、血液中に最も豊富なタンパク質である。ヒト血清アルブミンは、血清タンパク質の約半分を占める。いくつかの実施形態において、ヒト血清アルブミンは、UniProt ID NO:P02768(配列番号74)の配列を有する。
本明細書で使用する場合、用語「融合された」は、化学共役、組換え手段、および化学結合、例えば、アミド結合を含む手段による、2以上の要素、成分、またはタンパク質ドメイン、例えば、ペプチドまたはポリペプチドの組合せまたは結合を表すために使用される。例えば、化学共役、化学結合、ペプチドリンカー、または他のいずれかの共有結合手段を介して2つの単一のペプチドを直列に融合して1つの連続するタンパク質構造、例えばポリペプチドを形成することができる。本明細書に記載のポリペプチドのいくつかの実施形態において、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を、リンカーを介して、ある部分(例えば、Fcドメイン単量体(例えば、配列番号19の配列)、野生型Fcドメイン(例えば、配列番号71の配列)、アミノ酸置換(例えば、二量体形成を低減する1つ以上の置換)を有するFcドメイン、アルブミン結合ペプチド(例えば、配列番号72の配列)、フィブロネクチンドメイン(例えば、配列番号73の配列)、またはヒト血清アルブミン(例えば、配列番号74の配列))のN末端またはC末端に直列で融合させてよい。例えば、細胞外ActRIIB変異体を、ペプチドリンカーを介して、ある部分(例えば、Fcドメイン単量体、野生型Fcドメイン、アミノ酸置換(例えば、二量体形成を低減する1つ以上の置換)を有するFcドメイン、アルブミン結合ペプチド、フィブロネクチンドメイン、またはヒト血清アルブミン)に融合させるが、この場合、ペプチドリンカーのN末端を、化学結合、例えば、ペプチド結合を介して細胞外ActRIIB変異体のC末端に融合させ、かつ、ペプチドリンカーのC末端を、化学結合、例えば、ペプチド結合を介して、その部分(例えば、Fcドメイン単量体、野生型Fcドメイン、アミノ酸置換(例えば、二量体形成を低減する1つ以上の置換)を有するFcドメイン、アルブミン結合ペプチド、フィブロネクチンドメイン、またはヒト血清アルブミン)のN末端に融合させる。
本明細書で使用する場合、用語「骨塩密度(BMD:bone mineral density)」、「骨密度」、および「骨量」は、骨組織の骨塩(例えば、カルシウム)の量の尺度を指す。BMDは、当業者に公知の十分に確立された臨床技術によって(例えば、単一(single-1)または二重エネルギー光子またはX線吸収測定法によって)測定することができる。BMDの概念は、骨の体積当たりの無機塩の量に関するが、臨床上は、それは代用として、イメージング時の骨表面平方センチメートル当たりの光学密度に従って測定される。BMDの測定値は、臨床医学において骨粗鬆症および骨折リスクの間接的指標として使用されている。いくつかの実施形態において、BMD試験結果はTスコアとして示され、Tスコアは健康な30歳の成人の理想的またはピーク骨塩密度と比較した対象のBMDを表す。スコア0は、BMDが健康な若年成人の正常参照値に相当することを示す。測定された対象のBMDと健康な若年成人の参照値との違いは、標準偏差単位(SD)で評価される。よって、+1SD~-1SDの間のTスコアは正常なBMDを示し、-1SD~-2.5SDの間のTスコアは低い骨量(例えば、骨減少症)を示し、-2.5SDより低いTスコアは骨粗鬆症または重度の骨粗鬆症を示し得る。いくつかの実施形態において、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含む本発明のポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、またはそのような核酸分子を含有するベクターがそれを必要とする対象に投与され、ここで、患者は低い骨量(例えば、-1SD~-2.5SDの間のTスコア)を有する。いくつかの実施形態において、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含む本発明のポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、またはそのような核酸分子を含有するベクターがそれを必要とする対象に投与され、患者は骨粗鬆症(例えば、-2.5SD未満のTスコア)を有する。いくつかの実施形態において、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含む本発明のポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、またはそのような核酸分子を含有するベクターの投与は、対象を、それらのBMDを増加させることによって治療する。いくつかの実施形態において、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含む本発明のポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、またはそのような核酸分子を含有するベクターの投与は、対象のBMDを増加させて、対象のTスコアに増加をもたらす(例えば、対象のTスコアに0.1以上、0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上、1.0以上、または2.0以上の増加をもたらす)。
本明細書で使用される場合、「骨強度」という用語は、骨塩密度に加えて、骨の質によって決定される骨の測定値を指す。骨の質は、骨の形状、微細構造、および構成組織の特性に影響される。骨強度は、骨の骨折リスクを評価するために使用できる。
本明細書で使用する場合、「骨疾患」という用語は、骨の損傷(例えば、骨塩密度の低下、骨強度の低下、および/または骨量減少)を特徴とする状態を指す。このような疾患または病態は、骨芽細胞および/または破骨細胞活性の不均衡(例えば、骨吸収の増加または骨形成の減少)によって引き起こされる可能性がある。骨疾患は、原発性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、骨減少症、大理石骨病、骨折、骨がんもしくはがん転移関連骨量減少(例えば、多発性骨髄腫に関連する骨量減少)、パジェット病、腎性骨異栄養症、治療関連骨量減少、食事関連骨量減少、肥満の治療に関連する骨量減少、低重力関連骨量減少、または不動関連骨量減少である。
本明細書で使用する場合、用語「骨リモデリング」または「骨代謝」は、古い骨の不連続部分を新たに合成されたタンパク質性マトリックスのパケットで置き換えることによって骨の強度およびイオンの恒常性を維持するプロセスを指す。骨は破骨細胞によって吸収され、骨化と呼ばれるプロセスで骨芽細胞によって沈着される。骨細胞活性は、このプロセスにおいて重要な役割を果たす。骨量の減少をもたらす状態は、吸収の増加または骨化の減少のいずれかによって起こり得る。健康な個体では、小児期に、骨形成が吸収を上回る。加齢が進むと、吸収が形成を上回る。また、閉経後の高齢女性でも閉経に関連するエストロゲン欠乏のために骨吸収速度の方が一般にはるかに高い。
本明細書で使用する場合、用語「骨吸収」または「骨異化活性」は、破骨細胞が骨の組織を破壊し、無機塩を放出して、骨組織から血液への無機塩(例えば、カルシウム)の移行をもたらすプロセスを指す。骨吸収速度の上昇は、閉経後の女性における加齢を含め、加齢に関連する。高い骨吸収速度、または骨化速度を上回る骨吸収速度は、骨減少症および骨粗鬆症を含む骨塩密度の低下、そして結果としての骨量減少、などの骨障害に関連する。いくつかの実施形態において、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含む本発明のポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、またはそのような核酸分子を含有するベクターは、それを必要とする対象に、その対象における骨吸収(例えば、その対象における骨吸収の量または速度)を低減する(例えば、骨量を低減する)ために投与される。
本明細書で使用する場合、用語「骨形成(bone formation)」、「骨化」、「骨形成(osteogenesis)」、または「骨同化活性」は、骨芽細胞によって新たな骨組織を形成するプロセスを指す。いくつかの実施形態において、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含む本発明のポリペプチド、そのようなポリペプチドをコードする核酸、またはそのような核酸分子を含有するベクターは、それを必要とする対象に、骨形成を増加させる(例えば、その対象において骨形成(bone formation)の量もしくは速度、または骨形成(osteogenesis)を増す)ために投与される。骨形成の速度の低下、または骨吸収の速度を超える骨形成の速度は、骨量の減少をもたらす可能性がある。
本明細書で使用する場合、「増加する」および「低減する」という用語は、参照と比較して、それぞれ、より多いまたはより少ない量の機能、発現、または測定基準(metric)の活性をもたらす変調(modulating)を指す。例えば、本明細書に記載の方法における細胞外ActRIIB変異体を含む本発明のポリペプチドの投与に続いて、本明細書に記載の測定基準(例えば、除脂肪量)のマーカーの量は、投与前のマーカーの量と比較して、対象において増加または減少し得る。一般に、測定基準は、投与後、投与が列挙された効果を示したときに、例えば、治療レジメンが開始された後の、少なくとも1週間、1ヶ月、3ヶ月、または6ヶ月において測定される。
本明細書で使用される場合、「線維症」という用語は、線維性結合組織が過剰に形成される病理学的過程を指す。線維症は、線維芽細胞の蓄積と、特定の組織における正常な沈着を上回るコラーゲン沈着を特徴とする。炎症や組織の損傷に反応して、近くにある線維芽細胞は傷の中に移動し、増殖し、大量のコラーゲン性細胞外マトリックスを産生する。損傷に反応して線維症が発生する場合、「瘢痕化(scarring)」という用語は同義語として使用できる。線維症は、例えば、肺、皮膚、肝臓、腎臓、心臓、眼、腱、軟骨、膵臓組織、子宮組織、神経組織、精巣、卵巣、副腎、動脈、静脈、結腸、小腸および大腸、胆道、腸を含む身体の多くの組織において起こり得る。
本明細書で使用される場合、「肺高血圧症」または「PH」という用語は、心臓と肺との間の血圧の上昇によって特徴付けられる疾患を指し、肺動脈(肺動脈高血圧)、肺静脈または肺毛細血管における血圧の上昇を含み得る。肺高血圧症には、多くの症状、息切れ(呼吸困難)、疲労、脚、足、腹(例えば腹水)、首の腫れ(例えば、浮腫)、胸痛または胸部圧迫感、激しい脈または心臓の動悸、唇または皮膚の青みがかった色(チアノーゼ)、めまいまたは失神がある。PHはまた運動耐容能を低下させ、心不全につながる可能性がある。
本明細書で使用される場合、「肺動脈高血圧症」または「PAH」という用語は、瘢痕化によって引き起こされることが多い小肺動脈の狭窄または閉塞、および肺動脈血圧の上昇を特徴とする肺高血圧症の形態を指す。PAHはWHOグループI PHとしても知られている。PAHは、肺動脈毛細血管楔入圧が正常で、安静時の肺動脈平均肺動脈圧が25mmHgを超えることに基づいて診断できる。PAHは、息切れ、めまい、失神、およびその他の症状を引き起こすことがあり、これらはすべて労作により悪化する。PAHは、運動耐容能の顕著な低下と心不全を伴う重篤な疾患であり得る。PAHの主な2つの型には特発性PAH(例えば、素因が同定されていないPAH)および遺伝性PAH(例えば、BMPR2、ALK1、SMAD9、カベオリン1、KCNK3、またはEIF2AK4の突然変異と関連するPAH)がある。家族性PAH症例の70%では、突然変異がBMPR2遺伝子に位置している。PAH発症のリスク因子には、PAHの家族歴、薬物使用(例えば、メタンフェタミンやコカインの使用)、感染((例えば、HIV感染または住血吸虫症)、肝硬変、先天性心異常、門脈圧亢進症、肺静脈閉塞性疾患、肺毛細血管腫症、または結合組織/自己免疫障害(例えば、強皮症または狼瘡)が含まれる。
本明細書で使用される場合、「静脈性肺高血圧症」および「静脈性PH」という用語は、左心疾患に続発する肺高血圧症の形態を指す。静脈性PHはWHOグループII PHとしても知られている。静脈性PHは、左心室収縮機能障害(例えば、左心室不全)、左心室拡張機能障害、心臓弁膜症(例えば、僧帽弁疾患や大動脈弁疾患)、先天性心筋症、または先天性/後天性の肺静脈狭窄症と関連するものであるか、またはこれらに起因することがある。
本明細書で使用される場合、「低酸素性肺高血圧症」および「低酸素性PH」という用語は、肺疾患または慢性低酸素症に起因する肺高血圧症の形態を指す。この形態のPHはWHOグループIII PHとしても知られている。低酸素性PHは、慢性閉塞性肺疾患(例えば、肺気腫)、間質性肺疾患、睡眠障害呼吸(例えば、睡眠時無呼吸)、肺疾患(例えば、肺線維症)、肺胞低換気障害、高地への慢性曝露、または発達異常に関連するものであるか、またはこれらに起因することがある。
本明細書で使用される場合、「血栓塞栓性肺高血圧症」および「血栓塞栓性PH」という用語は、慢性動脈閉塞症(例えば血栓)に関連する肺高血圧の1つの型を指す。血栓塞栓性PHはWHOグループIV PHとしても知られている。血栓塞栓性PHは、慢性血栓塞栓性肺高血圧症または他の肺動脈閉塞(例えば、肺塞栓、血管肉腫、動脈炎、先天性肺動脈狭窄、または寄生虫感染)と関連するものであるか、またはこれらに起因することがある。
本明細書で使用される場合、「その他の(miscellaneous)肺高血圧症」および「その他のPH」という用語は、不明なまたは多因子機構を有する肺高血圧の形態を指す。この形態のPHはWHOグループV PHとして分類される。その他のPHは、血液疾患(例えば、慢性溶血性貧血、鎌状赤血球症)、全身性疾患(例えば、サルコイドーシス、肺ランゲルハンス細胞組織球症、リンパ管平滑筋腫症、神経線維腫症、または血管炎)、代謝障害(たとえば、糖原病、ゴーシェ病、または甲状腺疾患)、肺腫瘍性血栓性微小血管症、線維性縦隔炎、慢性腎不全、または区域性肺高血圧症に関連するものである。
本明細書で使用される場合、「赤血球レベルを増加させる」および「赤血球形成が促進される」という用語は、ヘマトクリット、赤血球数、およびヘモグロビンの測定値などの臨床的に観察可能な測定基準を指し、そのような変化が起こるメカニズムに関して中立であることを意図している。本明細書で使用される場合、「低赤血球レベル」という用語は、対象の年齢および性別について正常と見なされる値の範囲を下回る赤血球数、ヘマトクリット、およびヘモグロビンの測定値を指す。
本明細書で使用される場合、「赤血球形成(red blood cell formation)」および「赤血球産生(red blood cell production)」という用語は、赤血球が骨髄で産生される赤血球形成のプロセスなどの赤血球の生成を指す。
本明細書で使用される場合、「貧血」という用語は、血液中の酸素レベルの低下をもたらすヘモグロビンまたは赤血球の異常を指す。貧血は、赤血球および/またはヘモグロビンの異常な産生、加工、または性能に関連している可能性がある。貧血という用語は、正常な血液レベルと比較して、血液中の赤血球の数および/またはヘモグロビンのレベルの任意の減少を指す。
本明細書で使用する場合、用語「同一性パーセント(%)(percent(%)identity)」は、配列をアラインし、最大同一性パーセントを得るために必要に応じてギャップを導入した後(すなわち、ギャップは、最適なアラインメントのために候補配列と参照配列の一方または両方に導入することができ、比較の目的で非相同配列を無視することができる)、参照配列のアミノ酸(または核酸)残基と同一である、候補配列のアミノ酸(または核酸)残基のパーセンテージを指す。同一性パーセントを決定するためのアラインメントは、例えば、BLAST、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公開コンピュータソフトウェアを使用するなど、当技術分野の技術の範囲内にある様々な方法で達成することができる。当業者は、比較する配列の全長にわたって最大アラインメントを得るために必要なアルゴリズムを含め、アラインメントを評価するための適当なパラメータを決定することができる。いくつかの実施形態において、所与の参照配列に対する(to,with,or against)所与の候補配列のアミノ酸(または核酸)配列同一性パーセント(あるいは、これは所与の参照配列に対して特定のアミノ酸(または核酸)配列同一性パーセントを有するまたは含む所与の候補配列と表現することもできる)は次のように計算される:
100×(A/Bの分数)
式中、Aは、候補配列と参照配列のアラインメントにおいて同一スコアが与えられたアミノ酸(または核酸)残基の数であり、Bは、参照配列のアミノ酸(または核酸)残基の総数である。いくつかの実施形態において、候補配列の長さが参照配列の長さと等しくない場合、参照配列に対する候補配列のアミノ酸(または核酸)配列同一性パーセントは、候補配列に対する参照配列のアミノ酸(または核酸)配列同一性パーセントと等しくないであろう。
特定の実施形態において、候補配列との比較のためにアラインされる参照配列は、候補配列が候補配列の全長または候補配列の連続するアミノ酸(または核酸)残基の選択された部分にわたって50%~100%の同一性を示すことを示し得る。比較目的でアラインされる候補配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、例えば、少なくとも40%、例えば、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、または100%である。候補配列の位置が参照配列の対応する位置と同じアミノ酸(または核酸)残基で占められていれば、それらの分子はその位置において同一である。
本明細書で使用する場合、用語「血清半減期」は、対象に治療タンパク質を投与するという文脈で、その対象においてそのタンパク質の血漿濃度が半分に減少するのに要する時間を指す。タンパク質は、再分布したり、または血流から排除されたり、または例えば、タンパク質分解によって分解されたりすることがある。本明細書に記載されるように、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体を含むポリペプチドは、ヒトにおいて7日の血清半減期を示す。
本明細書で使用する場合、用語「除脂肪量(lean mass)」は、例えば、除脂肪量、体脂肪、および体液を含む身体の組成の成分を指す。通常、除脂肪量は、総体重から体脂肪と体液の重量を引いて計算される。典型的には、対象の除脂肪量は全体重の60%~90%の間である。本発明において、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体を含むポリペプチド、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含むポリペプチドをコードする核酸分子、またはそのような核酸分子を含有するベクターを対象に投与することは、対象の除脂肪量を増加させる。
本明細書で使用する場合、用語「親和性」または「結合親和性」は、2分子間の結合相互作用の強度を指す。一般に、結合親和性は、分子とその結合相手、例えば、細胞外ActRIIB変異体とBMP9またはアクチビンAとの間の非共有結合的相互作用の総和の強度を指す。そうではないことが示されない限り、結合親和性は、固有結合親和性を指し、これは結合対のメンバー間の1:1相互作用を表す。2分子間の結合親和性は、一般に、解離定数(K)または親和性定数(K)によって記載される。互いに低い結合親和性を有する2分子は、一般に、ゆっくりと結合し、容易に解離する傾向があり、大きなKを示す。互いに高い親和性を有する2分子は、一般に、容易に結合し、結合をより長く維持する傾向があり、小さいKを示す。2つの相互作用分子のKは、例えば、表面プラズモン共鳴などの当技術分野で周知の方法および技術を用いて決定することができる。Kは、koff/konの比として計算される。
本明細書で使用する場合、用語「筋肉量(muscle mass)」は、身体の組成の成分を指す。通常、筋肉量は総体重から体脂肪と体液の重量を引いて計算される。筋肉量の割合(%)は、対象の遺伝子構成、年齢、人種、および健康状態などに応じて個人間で大きく異なり得る。通常、対象の筋肉量は、全体重の20%~50%であり得る。
本明細書で使用する場合、「ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9シグナル伝達に作用する(affecting)」という句は、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9のそれらの受容体、例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびBMPRII(例えば、ActRIIB)への結合を変化させることを意味する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の細胞外ActRIIB変異体を含むポリペプチドは、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9のそれらの受容体(例えばActRIIA、ActRIIB、およびBMPRII(例えば、内因性ActRIIB))への結合を低減または阻害する。本明細書に記載されるように、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体を含む本発明のポリペプチドは、BMP9に対して弱い結合親和性を有し得る(例えば、200pM以上のK)。
本明細書で使用する場合、用語「血管合併症」は、血管障害または血管に対するいずれかの損傷、例えば、血管壁に対する損傷を指す。血管壁に対する損傷は、血管透過性または漏出の増加を招き得る。用語「血管透過性または漏出」は、小分子、タンパク質、および細胞を血管に流入させ、血管から流出させる血管壁の能力を指す。血管透過性または漏出の増加は、血管壁に並ぶ内皮細胞間の間隙の増大(例えば、間隙の大きさおよび/もしくは数の増大)ならびに/または血管壁の薄化によって起こり得る。
本明細書で使用する場合、用語「ポリペプチド」は、単量体がアミノ酸残基であり、それらがアミド結合を介して相互に共有結合されている単一のポリマーを表す。ポリペプチドとは、天然型、組換え型、または合成生産されたいずれのアミノ酸配列も包含するものとする。
本明細書で使用する場合、用語「ホモ二量体(homodimer)」は、2つの同一の高分子、例えば、タンパク質または核酸によって形成された分子構築物を指す。これら2つの同一の単量体は、共有結合または非共有結合によってホモ二量体を形成し得る。例えば、Fcドメインは、2つのFcドメイン単量体が同じ配列を含めば、2つのFcドメイン単量体のホモ二量体であり得る。別の例では、Fcドメイン単量体に融合された細胞外ActRIIB変異体を含む本明細書に記載のポリペプチドは、2つのFcドメイン単量体の相互作用を介してホモ二量体を形成することができ、これらのFcドメイン単量体はホモ二量体においてFcドメインを形成する。
本明細書で使用する場合、用語「ヘテロ二量体(heterodimer)」は、2つの異なる高分子、例えば、タンパク質または核酸によって形成された分子構築物を指す。これら2つの単量体は、共有結合または非共有結合によってヘテロ二量体を形成し得る。例えば、Fcドメイン単量体に融合された細胞外ActRIIB変異体を含む本明細書に記載のポリペプチドは、異なるActRIIB変異体にそれぞれ融合された2つのFcドメイン単量体の相互作用を介してヘテロ二量体を形成することができ、これらのFcドメイン単量体はヘテロ二量体においてFcドメインを形成する。
本明細書で使用する場合、用語「宿主細胞」は、必要な細胞成分、例えば、対応する核酸からタンパク質を発現させるために必要とされる細胞小器官を含む媒体を指す。核酸は一般に、当技術分野で公知の従来技術(形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿法、ダイレクトマイクロインジェクションなど)によって宿主細胞に導入することができる核酸ベクター内に含まれる。宿主細胞は、原核細胞、例えば、細菌細胞、または真核細胞、例えば、哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞またはHEK293細胞)であり得る。
本明細書中で使用される場合、用語「治療有効量」とは、本発明のポリペプチド、核酸、もしくはベクター、または本発明のポリペプチド、核酸、もしくはベクターを含有する医薬組成物の量であって、筋力低下および筋肉の萎縮を伴う筋肉の疾患または病態(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、顔面肩甲上腕筋ジストロフィー(FSHD)、封入体筋炎(IBM)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、サルコペニアまたはがん悪液質)、骨損傷(例えば、骨粗鬆症あるいは骨損傷を含む病態(condition)、例えば、原発性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、骨減少症、大理石骨病、骨折、骨がんもしくはがん転移関連骨量減少、パジェット病、腎性骨異栄養症、治療関連骨量減少、食事関連骨量減少、肥満の治療に関連する骨量減少、低重力関連骨量減少、または不動関連骨量減少)を伴う疾患または状態、低赤血球細胞レベル(貧血や失血など)を伴う疾患または病態、線維症を伴う疾患または病態、またはPH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)を伴う疾患または病態などの、疾患を有するか、またはそれらを発症するリスクのある患者を治療する際に所望の治療効果を達成するのに有効な量を指す。特に、治療有効量のポリペプチド、核酸、またはベクターは有害な副作用を回避する。
本明細書で使用する場合、用語「医薬組成物」は、有効成分ならびにその有効成分を投与方法に適したものとすることができる賦形剤および希釈剤を含む医薬または医薬製剤を指す。本発明の医薬組成物は、ポリペプチド、核酸、またはベクターと適合する薬学上許容される成分を含む。医薬組成物は経口投与用の錠剤もしくはカプセル剤形であっても、または静脈投与または皮下投与用の水性剤形であってもよい。
本明細書で使用する場合、用語「薬学上許容される担体または賦形剤」は、医薬組成物中の賦形剤または希釈剤を指す。薬学上許容される担体は、その製剤の他の成分と適合し、かつ、レシピエントに有害であってはならない。本発明において、薬学上許容される担体または賦形剤は、細胞外ActRIIB変異体を含むポリペプチド、そのポリペプチドをコードする核酸分子、またはそのような核酸分子を含有するベクターに十分な薬学的安定性を提供しなければならない。担体または賦形剤の性質は、投与様式によって異なる。例えば、静脈内投与には、水溶液担体が一般に使用され、経口投与には、固体担体が好ましい。
本明細書中で使用される場合、用語「治療するおよび/または予防する」とは、本発明の方法および組成物を用いて、疾患、例えば、筋疾患(例えば、DMD、FSHD、IBMおよびALS)、骨疾患(例えば、骨損傷を伴う疾患または病態、例えば、骨粗鬆症、骨減少症、大理石骨病、骨折、骨がんもしくはがん転移関連骨量減少、パジェット病、腎性骨異栄養症、治療関連骨量減少、食事関連骨量減少、肥満の治療に関連する骨量減少、低重力関連骨量減少、または不動関連骨量減少)低赤血球細胞レベル(貧血や失血など)を伴う疾患、線維症、またはPH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)の治療および/または予防を指す。一般に、筋肉、骨、低血球または繊維症の疾患或いはPH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)の治療は、対象がその筋肉、骨、低血球または繊維症の疾患或いはPH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)を発症し、かつ/または筋肉、骨、低血球または繊維症の疾患或いはPH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)を有すると既に診断された後に行われる。筋肉、骨、低血球または繊維症の疾患或いはPH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)の予防は、対象にその筋肉、骨、低血球または繊維症の疾患或いはPH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)を発症するリスクがある場合に講じられる方法または手順を指す。対象は、筋肉、骨、低血球、もしくは線維性の疾患、またはPH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)を発症するための適応症またはリスク因子であると医師により判断される徴候または軽度の症状を示すか、筋肉、骨、低血球、もしくは線維性の疾患、またはPH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)の発症に関連する他の疾患または病態を有するか、貧血、線維症、または骨密度の損失を引き起こす可能性のある治療を受けているか(例えば、手術、化学療法、または放射線)、または家族歴または筋肉、骨、低血球、または線維性の疾患、またはPH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)を発症する遺伝的素因を有するが、まだ疾患を発症していない。
本明細書で使用する場合、用語「対象」は、哺乳動物、例えば、好ましくは、ヒトを指す。哺乳動物としては、限定されるものではないが、ヒトおよび飼育動物および農用動物、例えば、サル(例えば、カニクイザル)、マウス、イヌ、ネコ、ウマ、およびウシなどが含まれる。
図1は、細胞外ActRIIAおよびActRIIBの野生型配列ならびにActRIIB変異体のアミノ酸置換を示す配列アラインメントである。対応する変異体を使用したマウスの治療から生じる体重の変化率も示す。 図2は、28日目の終了時における体重についての細胞外ActRIIB変異体の効果を示す棒グラフである。マウスは示されたActRIIB変異体をコードするプラスミド構築物または対照プラスミドの単回のハイドロダイナミックインジェクションを受けている。凡例には、棒グラフのバーが左から右にリストされている(「ビヒクル」はY軸に最も近いバーであり、「pLEV-113-ActRIIb-2.10」はY軸から最も遠いバーである)。 図3Aおよび3Bは、組織分析による個人の筋肉量についての細胞外ActRIIB変異体の影響を示す棒グラフである。 図3Aおよび3Bは、組織分析による個人の筋肉量についての細胞外ActRIIB変異体の影響を示す棒グラフである。 図4は、細胞外ActRIIB変異体ActRIIB 2.11-FcおよびActRIIB 2.12-Fcの、28日間にわたるパーセント体重に対する効果を示すグラフである。 図5A~5Cは、赤血球数、ヘモグロビンレベルおよびヘマトクリットについてのActRIIB変異体ActRIIB 2.11-FcおよびActRIIB 2.12-Fcの影響を示す一連のグラフである。 図5A~5Cは、赤血球数、ヘモグロビンレベルおよびヘマトクリットについてのActRIIB変異体ActRIIB 2.11-FcおよびActRIIB 2.12-Fcの影響を示す一連のグラフである。 図5A~5Cは、赤血球数、ヘモグロビンレベルおよびヘマトクリットについてのActRIIB変異体ActRIIB 2.11-FcおよびActRIIB 2.12-Fcの影響を示す一連のグラフである。 図6A~6Dは、骨粗鬆症のマウスモデルにおける骨梁骨についてのActRIIB変異体ActRIIB 2.12-Fcの効果を示す一連のグラフである。 図6A~6Dは、骨粗鬆症のマウスモデルにおける骨梁骨についてのActRIIB変異体ActRIIB 2.12-Fcの効果を示す一連のグラフである。 図6A~6Dは、骨粗鬆症のマウスモデルにおける骨梁骨についてのActRIIB変異体ActRIIB 2.12-Fcの効果を示す一連のグラフである。 図6A~6Dは、骨粗鬆症のマウスモデルにおける骨梁骨についてのActRIIB変異体ActRIIB 2.12-Fcの効果を示す一連のグラフである。 図7A~7Cは、野生型ラットにおける赤血球量のパラメータについてのActRIIB変異体ActRIIB 2.12-Fcの効果を示す一連のグラフである。 図7A~7Cは、野生型ラットにおける赤血球量のパラメータについてのActRIIB変異体ActRIIB 2.12-Fcの効果を示す一連のグラフである。 図7A~7Cは、野生型ラットにおける赤血球量のパラメータについてのActRIIB変異体ActRIIB 2.12-Fcの効果を示す一連のグラフである。 図8A~8Eは野生型ラットにおけるに骨梁骨についてのActRIIB変異体ActRIIB 2.12-Fcの効果を示す一連のグラフである。 図8A~8Eは野生型ラットにおけるに骨梁骨についてのActRIIB変異体ActRIIB 2.12-Fcの効果を示す一連のグラフである。 図8A~8Eは野生型ラットにおけるに骨梁骨についてのActRIIB変異体ActRIIB 2.12-Fcの効果を示す一連のグラフである。 図8A~8Eは野生型ラットにおけるに骨梁骨についてのActRIIB変異体ActRIIB 2.12-Fcの効果を示す一連のグラフである。 図8A~8Eは野生型ラットにおけるに骨梁骨についてのActRIIB変異体ActRIIB 2.12-Fcの効果を示す一連のグラフである。
本発明は、細胞外アクチビンIIB型受容体(ActRIIB)変異体を含むポリペプチドに関する。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドは、ある部分(例えば、Fcドメイン単量体、野生型Fcドメイン、アミノ酸置換(例えば、二量体形成を低減する1つ以上の置換)を有するFcドメイン、アルブミン結合ペプチド、フィブロネクチンドメイン、またはヒト血清アルブミン)に融合された細胞外ActRIIB変異体を含む。Fcドメイン単量体に融合された細胞外ActRIIB変異体を含むポリペプチドはまた、2つのFcドメイン単量体間の相互作用を介して二量体(例えば、ホモ二量体またはヘテロ二量体)を形成し得る。本明細書に記載されるActRIIB変異体は、野生型細胞外ActRIIBと比較して、骨形態形成タンパク質9(BMP9)への結合が減少しているか、またはアクチビンおよびミオスタチンへの結合親和性と比較して、BMP9への結合親和性が弱いか、または結合親和性がない。本発明はまた、筋肉量および強度を増加させることによって筋力低下または筋肉の萎縮を伴う疾患および病態を治療する方法、骨塩密度を増加させること、骨形成を増加させること、または骨吸収を減少させることによって骨損傷を治療または予防する方法、線維症を治療または予防する方法、赤血球レベル(例えば、赤血球数、ヘモグロビンレベル、またはヘマトクリット)または赤血球産生を増加させることによって低血球レベル(貧血や失血など)を治療または予防する方法、肺高血圧症(PH)(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)を治療または予防する方法、あるいは対象におけるミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9シグナル伝達に作用する方法であって、本明細書に記載された細胞外ActRIIB変異体を含むポリペプチドを対象に投与することによる方法を含む。
I.細胞外アクチビンIIB型受容体変異体
アクチビンII型受容体は、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β:transforming growth factor β)スーパーファミリーのリガンドに対するシグナルを調節する1回膜貫通ドメイン受容体である。TGF-βスーパーファミリーのリガンドは、宿主において筋肉成長、血管成長、細胞分化、恒常性、および骨形成などの多くの生理学的プロセスに関与する。TGF-βスーパーファミリーのリガンドの例としては、例えば、アクチビン(例えばアクチビンAおよびアクチビンB)、インヒビン、成長分化因子(GDF:growth differentiation factor)(例えば、GDF8、ミオスタチンとしても知られる)、および骨形成タンパク質(BMP)(例えば、BMP9)が挙げられる。ミオスタチンおよびアクチビンは骨格筋成長の調節において役割を果たすことが知られている。例えば、ミオスタチンを備えていないマウスは骨格筋量の大幅な増加を示す。ミオスタチンはまた、線維症の促進に関与している。例えば、ミオスタチンを欠くマウスは筋線維症の減少を示し、ミオスタチンでコーティングされたビーズを注射すると、マウスに筋線維症を誘発する。拡散性アクチビンAの産生を誘導するアクチビンサブユニットを過剰発現するマウスも線維症を示す。さらに、アクチビンは骨組織に豊富に発現し、骨芽細胞と破骨細胞の両方の機能を制御することによって骨形成を調節する。アクチビンは、骨疾患ではアップレギュレーションを受け、骨芽細胞活性を阻害することが報告されている。ミオスタチンもまた、骨形成の増加および骨芽細胞活性の阻害を介した骨の恒常性に関連付けられている。アクチビンAの上昇は、臨床的および実験的な肺高血圧症でも観察されている。したがって、アクチビンまたはミオスタチンのシグナル伝達を低減または阻害する方法は、筋肉の萎縮または筋力低下、線維症、骨損傷、低赤血球レベル(例えば:貧血)、または肺高血圧症(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)を含む疾患および病態の治療に使用することができる。
2つのタイプのアクチビンII型受容体:ActRIIAおよびActRIIBが存在する。研究によれば、BMP9はActRIIAの約300倍の高い結合親和性でActRIIBと結合することが示されている(例えば、Townson他のJ.Biol.Chem.287:27313,2012参照)。ActRIIAは、ActRIIBに比べて長い半減期を有することが知られている。本発明は、内因性BMP9シグナル伝達の破壊を防止または低減するためにBMP9結合を減少させることを目的として、ActRIIAのアミノ酸残基をActRIIBに導入することによって、または新規なアミノ酸置換を導入することによって構築される細胞外ActRIIB変異体を記載する。アミノ酸置換はまた、より長い半減期又は赤血球レベルを増加させる能力のようなActRIIAの有益な生理学的及び薬物動力学的特性を付与し得る。最適なペプチドは、除脂肪量、筋肉量、骨塩密度および/または赤血球レベルの有意な増加(例えば、赤血球産生を増加させる)、線維症の減少、またはPH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)の治療をもたらす一方、例えば、BMP9に対する結合親和性を減少させる。好ましいActRIIB変異体はまた、野生型ActRIIBに比べてアクチビンおよび/またはミオスタチンに対する結合と同様の結合もしくは結合の改善を示し、これにより、それらはリガンド結合に関して内因性のアクチビン受容体と競合可能となり、内因性のアクチビン受容体シグナル伝達を低減または阻害することができる。これらの変異体は、骨疾患(例えば、骨損傷を伴う疾患または病態)、筋疾患、線維症、PH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)、および/または貧血のようなアクチビン受容体シグナル伝達が上昇する障害を治療するために使用することができ、骨吸収または破骨細胞活性の低下、骨形成または骨塩密度の増加、筋肉量または強度の増加、線維症の低減(例えば、繊維症の低減または繊維症の進行の遅延または停止)、赤血球レベルの増加(例えば、ヘモグロビンレベル、ヘマトクリット、または赤血球数の増加、例えば、赤血球産生の増加)、またはPH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)の症状または進行の低下をもたらす。いくつかの実施形態において、BMP9に対する変異体の結合親和性を低減または除去するために細胞外ActRIIB変異体にアミノ酸置換を導入することができる。ヒトActRIIAおよびActRIIBの細胞外部分の野生型アミノ酸配列を下記に示す。
ヒトActRIIA細胞外部分(配列番号16):
ヒトActRIIB細胞外部分(配列番号17):
本明細書に記載のポリペプチドは、配列番号17の配列を有する野生型細胞外ActRIIBに対して少なくとも1つのアミノ酸置換を有する細胞外ActRIIB変異体を含む。28箇所の異なる位置にて潜在的アミノ酸置換が細胞外ActRIIB変異体に導入され得る(表1)。細胞外ActRIIB変異体は、野生型細胞外ActRIIB(配列番号17)の配列に対して1つ以上(例えば、1~28、1~25、1~23、1~21、1~19、1~17、1~15、1~13、1~11、1~9、1~7、1~5、1~3、または1~2;例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、または27)のアミノ酸置換を有し得る。いくつかの実施形態において、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1の配列を有する細胞外ActRIIB変異体)は、表1に挙げられているような28箇所の位置の全てにアミノ酸置換を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、細胞外ActRIIB変異体は、表1に挙げられているような28箇所の位置のうち複数の位置、例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、16、18、20、22、24、26または27箇所にアミノ酸置換を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、置換は、ActRIIAからのアミノ酸の、ActRIIBの同じ位置への置換である。いくつかの実施形態において、置換は新規の変化である(例えば、ActRIIAの対応する位置にないアミノ酸の置換、例えば、S48T、I51L、Q69D、またはE70T)。
アミノ酸置換は、本発明のActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15のいずれか1つの配列(例えば、配列番号2~15)を有する細胞外ActRIIB変異体)の活性および/または結合親和性を低下または向上させ得る。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、ActRIIB変異体のBMP9に対する結合親和性を悪化させる(例えば、変異体は野生型細胞外ActRIIBと比較してBMP9への結合が減少しているか、または他のActRIIBリガンド(例えば、アクチビンAもしくはB、ミオスタチン、またはGDF-11)と比較してBMP9への結合が低い)。いくつかの実施形態において、ActRIIB変異体は、BMP9に対する結合が低減されているか、弱いか、または実質的に無い。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、ActRIIBのミオスタチン、アクチビンAもしくはB、および/またはGDF-11に対する結合親和性を改善する(例えば、変異体は、野生型細胞外ActRIIBと比較して改善された結合親和性を有するか、またはBMP9よりもミオスタチン、アクチビンAもしくはBまたはGDF-11により強く結合する)。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、ActRIIBのミオスタチン、アクチビンAもしくはB、および/またはGDF-11に対する結合親和性を低減する(例えば、変異体は、野生型細胞外ActRIIBと比較して結合親和性を低減するか、またはBMP9よりもミオスタチン、アクチビンAもしくはBまたはGDF-11との結合が弱い)。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、細胞外のActRIIB機能を実質的に変化させない(例えば、ActRIIB変異体は、野生型細胞外ActRIIBと同量だけ、除脂肪量、筋肉、質量、または骨塩密度を増加させるか、または線維症を減少または予防する;例えば、ActRIIB変異体は、野生型細胞外ActRIIBと機能的に同等である)。いくつかの実施形態において、アミノ酸置換は、ActRIIB変異体にActRIIAの特性または活性を付与する(例えば、ActRIIB変異体は、赤血球レベルを増加させることができ、またはWT細胞外ActRIIBよりも長い半減期を有する)。好ましくは、ActRIIB変異体は、上記の特性の1つ以上、2つ以上、または3つ以上を有する(例えば、BMP9結合の低下およびアクチビンAもしくはB、ミオスタチンおよび/またはGDF-11への結合の改善、またはBMP9結合の低下および野生型ActRIIBとの機能的同等性の低下により、除脂肪量、筋肉量、または骨塩密度が増加するか、または線維症が低減または予防される)。
本発明のActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)は、好ましくはBMP9結合を低下させる1つ以上のアミノ酸置換を有する。いくつかの実施形態において、BMP9結合を減少させるアミノ酸置換はE75Kである(例えば、配列番号1のX24はKである)。いくつかの実施形態において、BMP9結合を減少させるアミノ酸置換は、Q69TおよびE70D(例えば、配列番号1のX21はTであり、X22はDである)である。いくつかの実施形態において、BMP9結合を減少させるアミノ酸置換は、Q69DおよびE70T(例えば、配列番号1のX21はDであり、X22はTである)である。いくつかの実施形態において、BMP9結合を低下させるアミノ酸置換は、T74K、E75K、E76D、N77SおよびQ79E(例えば、X23、X24、X25、X26、およびX28は、配列番号1においてそれぞれK、K、D、S、およびEである)である。いくつかの実施形態において、ActRIIB変異体は、BMP9結合を減少させる前述のアミノ酸置換(例えば、置換E75Kおよび置換Q69DおよびE70T、または置換E75Kおよび置換Q69TおよびE70D)のうちの2つ以上を有する。いくつかの実施形態において、本発明のActRIIB変異体は、BMP9結合を減少させる1つ以上のアミノ酸置換、および1つ以上のさらなるアミノ酸置換を有する。さらなるアミノ酸置換は、アクチビンまたはミオスタチンへの変化した結合または改善された活性のような他の有益な特性を付与し得る。例えば、アミノ酸置換T74K、E75K、E76D、N77S、およびQ79Eは、ActRIIB変異体活性の低下をもたらす(例えば、変異体は、野生型細胞外ActRIIBと比較して、除脂肪量および筋肉量に対する影響が少ない)が、さらなる置換S25TおよびS47I;E31Y、E33DおよびQ34K;またはY41F、R45K、およびK56Qを含むことは、除脂肪量および/または筋肉量に対するActRIIB変異体の効果を改善する。さらなるアミノ酸置換は、置換I11L、Y12F、L19K、E20D、S25T、L27V、R29P、E31Y、E33D、Q34K、L38R、Y41F、R45K、S47I、S48T、T50S、I51L、L53I、K56QおよびF63I、T74K、E76D、N77S、Q79EまたはF89Mの1つ以上を含み得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、配列番号1の配列を有する細胞外ActRIIB変異体を含む。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、配列番号2~15(表2)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体を含む。
いくつかの実施形態において、細胞外ActRIIB変異体を含む本発明のポリペプチドは、ある部分(例えば、Fcドメイン単量体、野生型Fcドメイン、アミノ酸置換(例えば、二量体形成を低減する1つ以上の置換)を有するFcドメイン、アルブミン結合ペプチド、フィブロネクチンドメイン、またはヒト血清アルブミン)をさらに含んでいてもよく、この部分はリンカーをまたは他の共有結合を介して細胞外ActRIIB変異体のN末端またはC末端(例えば、C末端)に融合させることができる。Fcドメイン単量体に融合された細胞外ActRIIB変異体を含むポリペプチドは、2つのFcドメイン単量体間の相互作用を介して二量体(例えば、ホモ二量体またはヘテロ二量体)を形成することができ、これらのFcドメイン単量体は合わさって二量体においてFcドメインを形成する。
さらに、いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、ヒトにおいて少なくとも7日の血清半減期を有する。ポリペプチドは、200pM以上のKで骨形成因子9(BMP9)と結合し得る。このポリペプチドは、10pM以上のKでアクチビンAと結合し得る。いくつかの実施形態において、このポリペプチドは、BMP9またはアクチビンAと結合しない。いくつかの実施形態において、このポリペプチドは、アクチビンおよび/またはミオスタチンと結合し、かつ、BMP9に対して低い(例えば、弱い)結合を示す。
加えて、いくつかの実施形態において、このポリペプチドは、約200pM以上のK(例えば、約200、300、400、500、600、700、800、または900pM以上のK、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、または50nM以上のK、例えば、約200pM~約50nMの間のK)でヒトBMP9と結合し得る。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、ヒトBMP9と実質的に結合しない。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、約800pM以下のK(例えば、約800、700、600、500、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1pM以下のK、例えば、約800pM~約200pMの間のK)でヒトアクチビンAと結合し得る。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、800pM以下のK(例えば、約800、700、600、500、400、300、200、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1pM以下のK、例えば、約800pM~約200pMのK)でヒトアクチビンBに結合し得る。ポリペプチドは、およそ5pM以上のK(例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、または200pM以上のK)で成長および分化因子11(GDF-11)とも結合し得る。
II.Fcドメイン
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、ポリペプチドの血清半減期を延長するために、免疫グロブリンのFcドメイン単量体またはFcドメインのフラグメントに融合された細胞外ActRIIB変異体を含み得る。Fcドメイン単量体に融合された細胞外ActRIIB変異体を含むポリペプチドは、2つのFcドメイン単量体間の相互作用を介して二量体(例えば、ホモ二量体またはヘテロ二量体)を形成することができ、これらのFcドメイン単量体は二量体においてFcドメインを形成する。従来から当技術分野で知られているように、Fcドメインは、免疫グロブリンのC末端に見られるタンパク質構造である。Fcドメインは、C3抗体定常ドメイン間の相互作用によって二量体を形成する2つのFcドメイン単量体を含む。野生型Fcドメインは、Fc受容体、例えば、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa、FcγRIIIb、FcγRIVに結合する最小構造を形成する。いくつかの実施形態において、Fcドメインは、「デッド(dead)」Fcドメインに典型的に、エフェクター機能を欠くように変異させることができる。例えば、Fcドメインは、FcドメインとFcγ受容体の間の相互作用を最小にすることが知られている特定のアミノ酸置換を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、FcドメインはIgG1抗体に由来し、アミノ酸置換L234A、L235A、およびG237Aを含む。いくつかの実施形態において、FcドメインはIgG1抗体に由来し、アミノ酸置換D265A、K322A、およびN434Aを含む。上記のアミノ酸位置は、Kabat(Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))に従って定義される。アミノ酸残基のKabatのナンバリングは、所与の抗体に関して、抗体配列の相同性領域を「標準」Kabatナンバリング配列とアラインすることによって決定することができる。さらに、いくつかの実施形態において、Fcドメインは、いずれの免疫系関連応答も誘導しない。例えば、Fcドメイン単量体に融合された細胞外ActRIIB変異体を含むポリペプチドの二量体におけるFcドメインは、FcドメインとFcγ受容体との間の相互作用または結合を低減するように改変されてもよい。細胞外ActRIIB変異体に融合させることができるFcドメイン単量体の配列を下記に示す(配列番号19):
いくつかの実施形態において、FcドメインはIgG1抗体に由来し、配列番号19の配列に対してアミノ酸置換L12A、L13A、およびG15Aを含む。いくつかの実施形態において、FcドメインはIgG1抗体に由来し、配列番号19の配列に対してアミノ酸置換D43A、K100A、およびN212Aを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)は、従来の遺伝学的または化学的手段、例えば、化学共役によってFcドメイン単量体(例えば、配列番号19)のN末端またはC末端に融合させることができる。所望に応じて、細胞外ActRIIB変異体とFcドメイン単量体の間にリンカー(例えば、スペーサー)を挿入することができる。Fcドメイン単量体は、細胞外ActRIIB変異体のN末端またはC末端(例えば、C末端)に融合させることができる。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、Fcドメインに融合された細胞外ActRIIB変異体を含み得る。いくつかの実施形態において、Fcドメインは、Fcドメインの二量体形成を低減または阻害する1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態において、Fcドメインは、ヒンジドメインを含む。Fcドメインは、免疫グロブリン抗体アイソタイプIgG、IgE、IgM、IgA、またはIgDのものであり得る。加えて、Fcドメインは、IgGサブタイプ(例えば、IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、またはIgG4)であり得る。Fcドメインはまた、非天然Fcドメイン、例えば、組換えFcドメインであってもよい。
二量体形成が低減されたFcドメインを作出する方法は当技術分野で公知である。いくつかの実施形態において、立体衝突にて二量体形成を障害するように、C3-C3二量体界面に大きな側鎖を有する1つ以上のアミノ酸(例えば、チロシンまたはトリプトファン)を導入してもよい。他の実施形態において、有利な相互作用を除くために、C3-C3二量体界面に小さい側鎖を有する1つ以上のアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、またはトレオニン)を導入してもよい。C3ドメインに大きなまたは小さな側鎖を有するアミノ酸を導入する方法は、例えば、Ying他(J Biol Chem.287:19399-19408,2012)、米国特許出願公開第2006/0074225号明細書、米国特許第8,216,805号明細書および米国特許第5,731,168号明細書、Ridgway他(Protein Eng.9:617-612,1996)、Atwell他(J Mol Biol.270:26-35,1997)、およびMerchant他(Nat Biotechnol.16:677-681,1998)に記載されており、これらは全て、それらの全内容を本明細書の一部として援用する。
さらに他の実施形態において、2つのFcドメイン間でC3-C3界面を構成するC3ドメインの1つ以上のアミノ酸残基を、正電荷を有するアミノ酸残基(例えば、リシン、アルギニン、もしくはヒスチジン)または負電荷を有するアミノ酸残基(例えば、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸)で置換し、その相互作用が、導入された特定の電荷のアミノ酸によって静電気的に不利となるようにする。二量体形成に不利となるように、または二量体形成を妨げるようにC3ドメインに電荷アミノ酸を導入する方法は、例えば、Ying他(J Biol Chem.287:19399-19408,2012)、米国特許出願公開第2006/0074225号明細書、米国特許出願公開第2012/0244578号明細書、および米国特許出願公開第2014/0024111号明細書に記載されており、これらは全て、それらの全内容を本明細書の一部として援用する。
本発明のいくつかの実施形態において、Fcドメインは、ヒトIgG1の配列に対し以下のアミノ酸置換:T366W、T366Y、T394W、F405W、Y349T、Y349E、Y349V、L351T、L351H、L351N、L352K、P353S、S354D、D356K、D356R、D356S、E357K、E357R、E357Q、S364A、T366E、L368T、L368Y、L368E、K370E、K370D、K370Q、K392E、K392D、T394N、P395N、P396T、V397T、V397Q、L398T、D399K、D399R、D399N、F405T、F405H、F405R、Y407T、Y407H、Y407I、K409E、K409D、K409T、およびK409Iの1つ以上を含む。特定の一実施形態において、Fcドメインは、ヒトIgG1の配列に対してアミノ酸置換T366Wを含む。野生型Fcドメインの配列を配列番号71に示す:
III.アルブミン結合ペプチド
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、血清タンパク質結合ペプチドに融合された細胞外ActRIIB変異体を含み得る。血清タンパク質ペプチドとの結合は、タンパク質薬の薬物動態を改善することができる。
一例として、本明細書に記載の方法および組成物において使用可能なアルブミン結合ペプチドは一般に当技術分野で公知である。一実施形態において、アルブミン結合ペプチドは、配列DICLPRWGCLW(配列番号72)を含む。
本発明では、細胞外ActRIIB変異体の血清半減期を延長するために、本明細書に記載の細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)のN末端またはC末端(例えば、C末端)にアルブミン結合ペプチドを連結することができる。いくつかの実施形態において、アルブミン結合ペプチドは、細胞外ActRIIB変異体のN末端またはC末端に直接またはリンカーを介して連結する。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)は、従来の遺伝学的または化学的手段、例えば、化学共役によってアルブミン結合ペプチド(例えば、配列番号72)のN末端またはC末端に融合させることができる。所望により、細胞外ActRIIB変異体とアルブミン結合ペプチドの間にリンカー(例えば、スペーサー)を挿入することができる。理論に縛られるものではないが、本明細書に記載の細胞外ActRIIB変異体にアルブミン結合ペプチドが含まれると、その血清アルブミンへの結合を介して治療タンパク質の保持の延長がもたらされ得ると思われる。
IV.フィブロネクチンドメイン
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、フィブロネクチンドメインに融合された細胞外ActRIIB変異体を含み得る。フィブロネクチンドメインとの結合は、タンパク質薬の薬物動態を改善することができる。
フィブロネクチンドメインは、例えば、インテグリンなどの膜貫通受容体タンパク質、ならびにコラーゲンおよびフィブリンなどの細胞外マトリックス成分と結合する細胞外マトリックスの高分子量糖タンパク質、またはそのフラグメントである。本発明のいくつかの実施形態において、細胞外ActRIIB変異体の血清半減期を延長するために、本明細書に記載の細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)のN末端またはC末端(例えば、C末端)にフィブロネクチンドメインが連結される。フィブロネクチンドメインは、細胞外ActRIIB変異体のN末端またはC末端に直接またはリンカーを介して連結することができる。
一例として、本明細書に記載の方法および組成物において使用可能なフィブロネクチンドメインは一般に当技術分野で公知である。一実施形態において、フィブロネクチンドメインは、UniProt ID NO:P02751の配列のアミノ酸610~702を有するフィブロネクチンIII型ドメイン(配列番号73)である:
別の実施形態において、フィブロネクチンドメインは、アドネクチンタンパク質である。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)は、従来の遺伝学的または化学的手段、例えば、化学共役によってフィブロネクチンドメイン(例えば、配列番号73)のN末端またはC末端に融合させることができる。所望により、細胞外ActRIIB変異体とフィブロネクチンドメインとの間にリンカー(例えば、スペーサー)を挿入することができる。理論に縛られるものではないが、本明細書に記載の細胞外ActRIIB変異体にフィブロネクチンドメインが含まれると、そのインテグリンならびにコラーゲンおよびフィブリンなどの細胞外マトリックス成分への結合を介して治療タンパク質の保持の延長がもたらされ得ると思われる。
V.血清アルブミン
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、血清アルブミンに融合された細胞外ActRIIB変異体を含み得る。血清アルブミンとの結合は、タンパク質薬の薬物動態を改善することができる。
血清アルブミンは、哺乳動物において最も豊富な血液タンパク質である球状のタンパク質である。血清アルブミンは、肝臓で生産され、血清タンパク質の約半分を占める。血清アルブミンは血液中では単量体で可溶型である。血清アルブミンの最も重要ないくつかの機能として、体内におけるホルモン、脂肪酸、およびその他のタンパク質の輸送、pHの緩衝、ならびに血管と身体組織の間の体液の適正な分布に必要とされる浸透圧の維持が挙げられる。好ましい実施形態において、血清アルブミンは、ヒト血清アルブミンである。本発明のいくつかの実施形態において、細胞外ActRIIB変異体の血清半減期を延長するために、本明細書に記載の細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)のN末端またはC末端(例えば、C末端)にヒト血清アルブミンが連結される。ヒト血清アルブミンは、細胞外ActRIIB変異体のN末端またはC末端に直接またはリンカーを介して連結することができる。
一例として、本明細書に記載の方法および組成物において使用可能な血清アルブミンは一般に当技術分野で公知である。一実施形態において、血清アルブミンは、UniProt ID NO:P02768(配列番号74)の配列を含む:
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)は、従来の遺伝学的または化学的手段、例えば、化学共役によってヒト血清アルブミン(例えば、配列番号74)のN末端またはC末端に融合させることができる。所望により、細胞外ActRIIB変異体とヒト血清アルブミンの間にリンカー(例えば、スペーサー)を挿入することができる。理論に縛られるものではないが、本明細書に記載の細胞外ActRIIB変異体にヒト血清アルブミンが含まれると、治療タンパク質の保持の延長がもたらされ得ると思われる。
VI.リンカー
本明細書に記載のポリペプチドは、リンカーを介してある部分に融合された細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含み得る。いくつかの実施形態において、その部分は、ポリペプチドの安定性を高める。例としての部分には、Fcドメイン単量体、野生型Fcドメイン、アミノ酸置換(例えば、二量体形成を低減する1つ以上の置換)を有するFcドメイン、アルブミン結合ペプチド、フィブロネクチンドメイン、またはヒト血清アルブミンが含まれる。本発明において、ある部分(例えば、Fcドメイン単量体(例えば、配列番号19の配列)、野生型Fcドメイン(例えば、配列番号71)、アミノ酸置換(例えば、二量体形成を低減する1つ以上の置換)を有するFcドメイン、アルブミン結合ペプチド(例えば、配列番号72)、フィブロネクチンドメイン(例えば、配列番号73)、またはヒト血清アルブミン(例えば、配列番号74))と細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)との間のリンカーは、1~200個のアミノ酸を含むアミノ酸スペーサーであり得る。好適なペプチドスペーサーは当技術分野で公知であり、例えば、グリシン、アラニン、およびセリンなどのフレキシブルなアミノ酸残基を含むペプチドリンカーを含む。いくつかの実施形態において、スペーサーは、GA、GS、GG、GGA、GGS、GGG、GGGA(配列番号20)、GGGS(配列番号21)、GGGG(配列番号22)、GGGGA(配列番号23)、GGGGS(配列番号24)、GGGGG(配列番号25)、GGAG(配列番号26)、GGSG(配列番号27)、AGGG(配列番号28)またはSGGG(配列番号29)のモチーフ、例えば、多重または反復モチーフを含み得る。いくつかの実施形態において、スペーサーは、GAまたはGS、例えば、GA、GS、GAGA(配列番号30)、GSGS(配列番号31)、GAGAGA(配列番号32)、GSGSGS(配列番号33)、GAGAGAGA(配列番号34)、GSGSGSGS(配列番号35)、GAGAGAGAGA(配列番号36)、GSGSGSGSGS(配列番号37)、GAGAGAGAGAGA(配列番号38)、およびGSGSGSGSGSGS(配列番号39)のモチーフを含む2~12個のアミノ酸を含み得る。いくつかの実施形態において、スペーサーは、GGAまたはGGS、例えば、GGA、GGS、GGAGGA(配列番号40)、GGSGGS(配列番号41)、GGAGGAGGA(配列番号42)、GGSGGSGGS(配列番号43)、GGAGGAGGAGGA(配列番号44)、およびGGSGGSGGSGGS(配列番号45)のモチーフを含む3~12個のアミノ酸を含み得る。さらにいくつかの実施形態において、スペーサーは、GGAG(配列番号26)、GGSG(配列番号27)、例えば、GGAG(配列番号26)、GGSG(配列番号27)、GGAGGGAG(配列番号46)、GGSGGGSG(配列番号47)、GGAGGGAGGGAG(配列番号48)、およびGGSGGGSGGGSG(配列番号49)のモチーフを含む4~12個のアミノ酸を含み得る。いくつかの実施形態において、スペーサーは、GGGGA(配列番号23)またはGGGGS(配列番号24)、例えば、GGGGAGGGGAGGGGA(配列番号50)およびGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号51)のモチーフを含み得る。本発明のいくつかの実施形態において、ある部分(例えば、Fcドメイン単量体、野生型Fcドメイン、アミノ酸置換(例えば、二量体形成を低減する1つ以上の置換)を有するFcドメイン、アルブミン結合ペプチド、フィブロネクチンドメイン、または血清アルブミン)と細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)との間のアミノ酸スペーサーは、GGG、GGGA(配列番号20)、GGGG(配列番号22)、GGGAG(配列番号52)、GGGAGG(配列番号53)、またはGGGAGGG(配列番号54)であり得る。
いくつかの実施形態において、スペーサーはまた、グリシン、アラニン、およびセリン以外のアミノ酸、例えば、AAAL(配列番号55)、AAAK(配列番号56)、AAAR(配列番号57)、EGKSSGSGSESKST(配列番号58)、GSAGSAAGSGEF(配列番号59)、AEAAAKEAAAKA(配列番号60)、KESGSVSSEQLAQFRSLD(配列番号61)、GENLYFQSGG(配列番号62)、SACYCELS(配列番号63)、RSIAT(配列番号64)、RPACKIPNDLKQKVMNH(配列番号65)、GGSAGGSGSGSSGGSSGASGTGTAGGTGSGSGTGSG(配列番号66)、AAANSSIDLISVPVDSR(配列番号67)、またはGGSGGGSEGGGSEGGGSEGGGSEGGGSEGGGSGGGS(配列番号68)も含み得る。いくつかの実施形態において、スペーサーは、EAAAK(配列番号69)のモチーフ、例えば、多重または反復モチーフを含み得る。いくつかの実施形態において、スペーサーは、(XP)(ここで、Xは、任意のアミノ酸(例えば、A、K、またはE)であってもよく、nは1~5である)、およびPAPAP(配列番号70)などのプロリンリッチ配列のモチーフ、例えば、多重または反復モチーフを含み得る。
使用するペプチドスペーサーおよびアミノ酸の長さは、関与する2つのタンパク質および最終的なタンパク質融合ポリペプチドに求められるフレキシビリティの程度によって調節することができる。スペーサーの長さは、適正なタンパク質折り畳みを確保し、凝集の形成を避けるように調節することができる。
VII.ベクター、宿主細胞、およびタンパク質生産
本発明のポリペプチドは、宿主細胞から生産することができる。宿主細胞とは、必要な細胞成分、例えば、対応する核酸から本明細書に記載のポリペプチドおよび融合ポリペプチドを発現させるために必要とされる細胞小器官を含む媒体を指す。これらの核酸は、当技術分野で公知の従来技術(例えば、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿法、ダイレクトマイクロインジェクション、または感染など)によって宿主細胞に導入することができる核酸ベクター内に含まれていてもよい。核酸ベクターの選択は、一部は使用する宿主細胞によって異なる。一般に、好ましい宿主細胞は真核生物(例えば、哺乳動物)または原核生物(例えば、細菌)起源である。
核酸ベクターの構築および宿主細胞
本発明のポリペプチドのアミノ酸配列をコードする核酸配列は、当技術分野で公知の様々な方法によって作製することができる。これらの方法には、限定されるものではないが、オリゴヌクレオチド媒介(または部位指定)突然変異誘発およびPCR突然変異誘発が含まれる。本発明のポリペプチドをコードする核酸分子は、例えば、遺伝子合成などの標準技術を用いて得ることができる。あるいは、野生型細胞外ActRIIBをコードする核酸分子は、例えば、QuikChange(商標)突然変異誘発などの当技術分野における標準技術を用いて、特定のアミノ酸置換を含むように変異させることができる。核酸分子は、ヌクレオチド合成装置またはPCR技術を用いて合成することができる。
本発明のポリペプチドをコードする核酸配列は、原核生物または真核生物の宿主細胞で核酸分子を複製および発現することができるベクターに挿入することができる。当技術分野では多くのベクターが利用可能であり、本発明の目的において使用できる。各ベクターは種々の成分を含んでいてもよく、これらの成分は特定の宿主細胞と適合するように調節および最適化することができる。例えば、ベクター成分としては、限定されるものではないが、複製起点、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位、シグナル配列、目的タンパク質をコードする核酸配列、および転写終結配列が含まれる。
いくつかの実施形態において、哺乳動物細胞を本発明の宿主細胞として使用することができる。哺乳動物細胞種の例としては、限定されるものではないが、ヒト胎児腎(HEK)(例えば、HEK293、HEK293F)細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、COS細胞、PC3細胞、Vero細胞、MC3T3細胞、NS0細胞、Sp2/0細胞、VERY細胞、BHK細胞、MDCK細胞、W138細胞、BT483細胞、Hs578T細胞、HTB2細胞、BT20細胞、T47D細胞、NS0細胞(免疫グロブリン鎖を内因的に生産しないマウス骨髄腫細胞株)、CRL7O3O細胞、およびHsS78Bst細胞が挙げられる。いくつかの実施形態において、大腸菌(E.coli)細胞も本発明の宿主細胞として使用可能である。大腸菌株としては、限定されるものではないが、大腸菌294(ATCC(登録商標)31,446)、大腸菌λ1776(ATCC(登録商標)31,537)、大腸菌BL21(DE3)(ATCC(登録商標)BAA-1025)、および大腸菌RV308(ATCC(登録商標)31,608)が挙げられる。異なる宿主細胞は、翻訳後プロセシングおよびタンパク質産物の修飾(例えば、グリコシル化)に特徴的かつ特異的な機構を有する。適当な細胞株または宿主系は、発現されるポリペプチドの適正な修飾およびプロセシングを確保するために選択することができる。上記の発現ベクターは、当技術分野における従来技術、例えば、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿法、およびダイレクトマイクロインジェクションを用いて適当な宿主細胞に導入することができる。タンパク質生産用のためにベクターが宿主細胞に導入されれば、プロモーターを誘導する、形質転換体を選択する、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために必要に応じて修飾された従来の栄養培地で宿主細胞を培養する。治療タンパク質の発現のための方法は当技術分野で公知であり、例えば、Paulina Balbas,Argelia Lorence(eds.)、Recombinant Gene Expression:Reviews and Protocols(Methods in Molecular Biology),Humana Press;第2版(2004年)、およびVladimir VoynovおよびJustin A.Caravella(eds.)、Therapeutic Proteins:Methods and Protocols(Methods in Molecular Biology),Humana Press;第2版(2012年)を参照されたい。
タンパク質生産、回収および精製
本発明のポリペプチドを生産するために使用される宿主細胞は、当技術分野で公知であり、選択された宿主細胞の培養に好適な培地で増殖させることができる。哺乳動物宿主細胞に好適な培地の例としては、最小必須培地(MEM:Minimal Essential Medium)、ダルベッコの改変イーグル培地(DMEM:Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium)、Expi293(商標)発現培地、ウシ胎仔血清(FBS:fetal bovine serum)を添加したDMEM、およびRPMI-1640が挙げられる。細菌宿主細胞に好適な培地の例としては、選択薬剤、例えば、アンピシリンなどの必要な添加を行ったLuria broth(LB)が挙げられる。宿主細胞は、好適な温度、例えば、約20℃~約39℃、例えば、25℃~約37℃、好ましくは、37℃、および5~10%などのCOレベルで培養する。培地のpHは、主として宿主生物に応じて、一般に、約6.8~7.4、例えば、7.0である。本発明の発現ベクターにおいて誘導プロモーターが使用される場合、プロモーターの活性化に好適な条件下でタンパク質発現が誘導される。
いくつかの実施形態において、使用する発現ベクターおよび宿主細胞に応じて、発現されるタンパク質を宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)から細胞培養培地へ分泌させることができる。タンパク質の回収は、細胞残渣を除去するために細胞培養培地を濾過することを含み得る。これらのタンパク質をさらに精製してもよい。本発明のポリペプチドは、タンパク質精製の技術分野で公知の任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、およびサイズ排除カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、示差溶解度、またはタンパク質精製のための他のいずれかの標準技術によって、精製することができる。タンパク質は、例えば、プロテインAカラム(例えば、POROSプロテインAクロマトグラフィー)などのアフィニティーカラムを適切に選択し、クロマトグラフィーカラム(例えば、POROS HS-50陽イオン交換クロマトグラフィー)、濾過、限外濾過、塩析および透析法と組み合わせることによって単離および精製することができる。
他の実施形態において、宿主細胞は、発現されたタンパク質を回収するために、例えば、浸透圧ショック、音波処理、または溶解によって破壊することができる。細胞が破壊されれば、細胞残渣を遠心分離または濾過によって除去することができる。場合によっては、精製を容易にするためにポリペプチドをペプチドなどのマーカー配列に結合させることもできる。マーカーミノ酸配列の例は、ヘキサヒスチジンペプチド(Hisタグ)であり、これはマイクロモルの親和性で、ニッケル官能基を有するアガロースアフィニティーカラムに結合する。精製に有用な他のペプチドタグとしては、限定されるものではないが、血球凝集素「HA」タグが含まれ、これはインフルエンザ血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに相当する(Wilson他、Cell 37:767,1984)。
あるいは、本発明のポリペプチドは、例えば、遺伝子療法において、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子を含むベクター(例えば、ウイルスベクター(例えば、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルスベクター、例えば、変異ワクシニアアンカラ(MVA:Modified Vaccinia Ankara))、アデノ随伴ウイルスベクター、およびアルファウイルスベクター))を投与することにより、対象(例えば、ヒト)の細胞によって生産することができる。ベクターは、対象の細胞内にあれば(例えば、形質転換、トランスフェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿法、ダイレクトマイクロインジェクション、感染など)、ポリペプチドの発現を促進し、これは次に細胞から分泌される。疾患または障害の治療が所望の転帰である場合には、それ以上の作用は必要とされないと思われる。タンパク質の採集が望まれる場合には、対象から血液を採取し、当技術分野で公知の方法によって血液からタンパク質を精製することができる。
VIII.医薬組成物および製剤
本発明は、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含むポリペプチド)を含む医薬組成物に関する。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、治療タンパク質として、ある部分(例えば、Fcドメイン単量体、またはその二量体、野生型Fcドメイン、アミノ酸置換(例えば、二量体形成を低減する1つ以上の置換)を有するFcドメイン、アルブミン結合ペプチド、フィブロネクチンドメイン、または血清アルブミン)に融合された細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドを含む本発明の医薬組成物は、療法において、他の薬剤(例えば、治療生物製剤および/または小分子)または組成物と併用することができる。治療有効量のポリペプチドに加え、医薬組成物は1種類以上の薬学上許容される担体または賦形剤を含んでいてもよく、当業者に公知の方法によって製剤化することができる。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子(DNAもしくはRNA、例えば、mRNA)、またはそのような核酸分子を含有するベクターを含む。
医薬組成物の許容される担体および賦形剤は、使用される用量および濃度でレシピエントに無毒である。許容される担体および賦形剤は、リン酸塩、クエン酸塩、HEPES、およびTAEなどのバッファー、アスコルビン酸およびメチオニンなどの酸化防止剤、塩化ヘキサメトニウム、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、レゾルシノール、および塩化ベンザルコニウムなどの保存剤、ヒト血清アルブミン、ゼラチン、デキストラン、および免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、ヒスチジン、およびリシンなどのアミノ酸、ならびにグルコース、マンノース、スクロース、およびソルビトールなどの炭水化物を含み得る。本発明の医薬組成物は、注射製剤の形態で非経口的に投与することができる。注射用医薬組成物は、無菌溶液または任意の薬学上許容される液体をビヒクルとして用いて調剤することができる。薬学上許容されるビヒクルとしては、限定されるものではないが、無菌水、生理食塩水、および細胞培養培地(例えば、ダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)、α-改変イーグル培地(α-MEM)、F-12培地)が挙げられる。調剤方法は当技術分野で公知であり、例えば、Banga(ed.)、Therapeutic Peptides and Proteins:Formulation, Processing and Delivery Systems(第3版)、Taylor & Francis Group,CRC Press(2015)が参照される。
本発明の医薬組成物は、ヒドロキシルメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ(メタクリル酸メチル)マイクロカプセルなどのマイクロカプセル中に調製してもよい。本発明の医薬組成物はまた、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子、およびナノカプセルなどの他の薬物送達システム中に調製してもよい。このような技術は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第22版(2012年)に記載されている。in vivo投与に使用される医薬組成物は無菌でなければならない。これは無菌濾過膜を介した濾過によって容易に達成される。
本発明の医薬組成物はまた、徐放性製剤として調製してもよい。徐放性製剤の好適な例としては、本発明のポリペプチドを含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられる。徐放性マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリアクチド(polyactides)、L-グルタミン酸とγエチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー(例えば、LUPRON DEPOT(商標))、およびポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。一部の徐放性製剤は、数ヶ月、例えば、1~6か月にわたって分子の放出を可能とするが、他の製剤は本発明の医薬組成物をより短い期間、例えば、数日~数週間で放出する。
医薬組成物は、必要であれば、単位剤形で形成することができる。医薬製剤中に含まれる有効成分、例えば、本発明のポリペプチドの量は、指定の範囲内で適切な用量が提供されるような量(例えば、0.01~100mg/kg体重の範囲内の用量)である。
遺伝子療法用の医薬組成物は許容される希釈剤中にあってよく、または遺伝子送達ビヒクルが包埋された緩徐放出マトリックスを含み得る。送達方法としてハイドロダイナミックインジェクションが使用される場合には、本明細書に記載のポリペプチドをコードする核酸分子またはその核酸分子を含有するベクター(例えば、ウイルスベクター)を含有する医薬組成物は、大きな液量で静脈内に容易に送達される。in vivo遺伝子送達ビヒクルとして使用可能なベクターとしては、限定されるものではないが、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルスベクター、例えば、変異ワクシニアアンカラ)、アデノ随伴ウイルスベクター、およびアルファウイルスベクターが挙げられる。
IX.経路、用量、および投与
治療タンパク質として本発明のポリペプチドを含む医薬組成物は、例えば、静脈内投与、非経口投与、皮下投与、筋肉内投与、動脈内投与、くも膜下腔内投与、または腹腔内投与向けに調剤されてよい。医薬組成物はまた、経口投与、鼻腔投与、噴霧投与、エアロゾル投与、直腸、もしくは膣投与用に調剤し、またはそれらを介して投与することができる。注射製剤に関しては、種々の有効な医薬担体が当技術分野で知られている。例えば、ASHP Handbook on Injectable Drugs,Toissel,第18版(2014)を参照されたい。
いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドをコードする核酸分子またはそのような核酸分子を含有するベクターを含む医薬組成物は、遺伝子送達によって送達することができる。遺伝子送達の方法は、当業者に周知である。in vivo遺伝子送達および発現に使用可能なベクターとしては、限定されるものではないが、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ポックスウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルスベクター、例えば、変異ワクシニアアンカラ(MVA))、アデノ随伴ウイルスベクター、およびアルファウイルスベクターが挙げられる。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドをコードするmRNA分子を直接対象に投与してもよい。
本発明のいくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドをコードする核酸分子またはそのような核酸分子を含有するベクターは、ハイドロダイナミックインジェクションプラットフォームを用いて投与することができる。ハイドロダイナミックインジェクション法では、本明細書に記載のポリペプチドをコードする核酸分子を、操作したプラスミド(例えば、ウイルスプラスミド)内の強力なプロモーターの制御下に置く。プラスミドは多くの場合、大きな液量で静脈内に容易に送達される。ハイドロダイナミックインジェクションは、大きな液量の迅速な注入から得られる高圧が静脈からの流体およびプラスミドの管外遊出をもたらすように細胞透過性を高めるために、静脈内で、制御された流体力学的圧力を使用する。核酸分子の発現は、主として肝臓によって駆動される。マウスでは、ハイドロダイナミックインジェクションは、多くの場合、プラスミドの尾静脈への注射によって行われる。特定の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドをコードするmRNA分子は、ハイドロダイナミックインジェクションを用いて投与することができる。
本発明の医薬組成物の用量は、投与経路、治療される疾患、および対象の身体的特徴、例えば、年齢、体重、健康状態を含む因子によって決まる。本発明の医薬組成物は、0.01~500mg/kgの範囲(例えば、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、150、200、250、300、350、400、450、または500mg/kg)、より具体的な実施形態において、約0.1~約30mg/kg、より具体的な実施形態において、約0.3~約30mg/kgの用量の本発明のポリペプチドを含み得る。用量は、対象の疾患の程度および種々のパラメータなどの従来の因子に従って医師が適合させることができる。
医薬組成物は、その剤形に適した様式で、症状の改善または修復をもたらすために治療有効量で投与される。医薬組成物は、様々な剤形、例えば、静脈内剤形、皮下剤形、および経口剤形(例えば、摂取可能な溶液、薬物放出カプセル)で投与される。一般に、治療タンパク質は、0.1~100mg/kg、例えば、1~50mg/kgで投与される。本発明のポリペプチドを含む医薬組成物は、それを必要とする対象に、例えば、毎日、毎週、隔週、毎月、隔月、四半期毎、半年毎、1年毎、または医学的に必要に応じて1回以上(例えば、1~10回以上)投与することができる。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドを含む医薬組成物は、それを必要とする対象に、毎週、隔週、毎月、隔月、または四半期毎に投与することができる。用量は単回または複数回の投与計画で提供することができる。投与間のタイミングは、医学的状態が改善すると減らすことができ、または患者の健康が減退すると増やすことができる。
X.治療方法
本発明は、ActRIIAの細胞外部分からActRIIBの細胞外部分へアミノ酸を置換すると、特性が改善されたActRIIB変異体が得られるという発見に基づく。ActRIIAからActRIIBに残基を導入することによって作出されたActRIIB変異体は、筋肉量を増加させる能力およびアクチビンAおよびBに対する高い結合親和性といったActRIIBの有益な特性を保持し、かつBMP9に対する結合親和性の低減、または赤血球レベルを上昇させる能力のようなActRIIAの有益な特性のいくつかを獲得し得る。ActRIIB変異体は受容体の細胞外部分を含むので、それらは可溶型であり、かつ、細胞内シグナル伝達経路を活性化することなく、リガンド(例えば、アクチビンAおよびB、ミオスタチン、GDF11)と結合してそれらを隔離する(sequester)ことによって内因性アクチビン受容体と競合することができる。したがって、本明細書に記載されている細胞外ActRIIB変異体は、アクチビンシグナル伝達の上昇が病因に関与している疾患または病態(例えば、アクチビン受容体またはアクチビン受容体リガンドの発現増加が観察された疾患または病態)を治療するために使用することができる。例えば、ミオスタチンの喪失は骨格筋の筋肉量を増加させることが示されており、ミオスタチンが骨格筋の成長を阻害することを示唆している。ミオスタチンの喪失は線維症を低下させるが、ミオスタチンまたはアクチビンの増加は線維症を誘導することが示されているため、ミオスタチンも線維症の促進に関与している。加えて、アクチビンは骨疾患でアップレギュレートされることが見出され、骨芽細胞活性を阻害することが知られており、アクチビンレベルの増加が骨疾患に関わることを示唆している。アクチビンAは、臨床的および実験的な肺高血圧症においても上昇することが見出されている。別の例において、アクチビン受容体リガンドGDF11は溶血性貧血のマウスモデルにおいて過剰発現され、赤血球産生における欠陥と関連している。理論に縛られることを望むものではないが、アクチビン受容体リガンド(例えば、GDF11、ミオスタチンおよび/またはアクチビン)に結合し、内因性アクチビン受容体への結合または内因性アクチビン受容体との相互作用を減少させる治療薬は、筋疾患、骨疾患、線維症、貧血、またはPH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)などの様々な疾患または病態を治療または予防するための治療的有用性を有し得る。
本明細書に記載される組成物および方法は、医学的状態、例えば、筋疾患、骨疾患、低赤血球レベル(例えば、低ヘモグロビンレベルまたは低赤血球数、例えば、貧血)、線維症、またはPH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)を治療および/または予防する(例えば、これらの医学的状態と診断された対象の発症を予防する、あるいは対象を治療する)ために使用され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含むポリペプチド)は、それを必要とする対象の筋肉量および強度を増加させるために、同対象に投与され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドを投与して、除脂肪量を増加させることができる。本明細書に記載のポリペプチドは、治療前に得られた測定値と比較して、筋肉量または除脂肪量を増加させることができる。いくつかの実施形態において、対象は、筋力低下または筋肉の萎縮(例えば、骨格筋の筋力低下または萎縮)を引き起こす疾患を有しているか、あるいは同疾患を発症するリスクにある。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、筋力低下および筋肉の萎縮を伴う疾患または病態を有する対象においてミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9シグナル伝達に作用する(例えば、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9のそれぞれの内因性受容体に結合することを低減もしくは阻害する)ことに関する。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)、例えば有効量のActRIIB変異体、を含むポリペプチド)は、それを必要とする対象において、骨塩密度を増加させるため、骨形成を増加させるため、骨強度を増強させるため、骨折のリスクを低減するため、あるいは骨吸収を低減するために、投与され得る。本明細書に記載のポリペプチドは、治療前に得られた測定値と比較して、骨塩密度を増加させる、骨形成を増加させる、または骨吸収を低減させることができる。いくつかの実施形態において、対象は、骨損傷(例えば、骨粗鬆症もしくは骨減少症)を引き起こす疾患を有しているか、あるいは同疾患を発症するリスクにある。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、骨損傷を伴う疾患または病態を有する対象においてミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9シグナル伝達に作用する(例えば、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9のそれぞれの内因性受容体に結合することを低減もしくは阻害する)ことに関する。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)、例えば有効量のActRIIB変異体、を含むポリペプチド)は、それを必要とする対象において、赤血球レベルを増加させるため(例えば、ヘモグロビンレベルを増加させる、赤血球数を増加させる、ヘマトクリットを増加させる、または赤血球の形成もしくは産生を増加させる)ために投与され得る。本明細書に記載のポリペプチドは、治療前に得られた測定値と比較して、赤血球レベルを増大させる(例えば、ヘモグロビンレベル、赤血球数、ヘマトクリット、または赤血球形成を増加させる)ことができる。いくつかの実施形態において、対象は低赤血球レベルに関連する疾患または病態(例えば、貧血または失血)を有し得る。いくつかの実施形態において、対象は、貧血または失血(例えば、対象は、慢性腎疾患、関節リウマチ、がん、または炎症性疾患(例えば、クローン病、SLE、潰瘍性大腸炎)のような他の疾患または病態に起因する、あるいは化学療法、放射線療法または手術のような医学的処置に起因する、貧血を発症するリスクがあり得る)を有するか、発症するリスクにあり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、低赤血球レベルを伴う疾患または病態(例えば、貧血または失血)を有する対象において、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9シグナル伝達に作用する(例えば、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9のそれぞれの内因性受容体に結合することを低減もしくは阻害する)ことに関する。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)、例えば有効量のActRIIB変異体、を含むポリペプチド)は、それを必要とする対象において、繊維症を予防または低減するために投与され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、繊維症の進行を遅延もしくは停止させるために、繊維症の発症のリスクを低減するために、又は線維症の1つ以上の症状を低減する(例えば、その頻度や重症度を低減する)ために、投与され得る。本明細書に記載のポリペプチドは、少なくとも治療前の線維症の進行と比較して、または未治療の対象における線維症の進行と比較して、線維症を減少させるか、または線維症の進行を遅らせることができる。いくつかの実施形態において、対象は、線維症を有するか、または発症するリスクがある場合がある(例えば、対象は、創傷、B型またはC型肝炎、脂肪肝疾患、腎疾患(例えば、慢性腎疾患)、心疾患、またはアテローム性動脈硬化症などの繊維症に関連する疾患もしくは病態を有していてもよく、または化学療法、放射線療法もしくは手術などの線維症の発症に関連する治療を受けていてもよい)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、線維症を発症するリスクがある対象(例えば、対象は、化学療法、放射線療法もしくは手術で治療されているか、あるいは対象は、創傷、B型またはC型肝炎、脂肪肝疾患、腎疾患(例えば、慢性腎疾患)、心疾患、またはアテローム性動脈硬化症などの繊維症に関連する疾患もしくは病態を有していてもよい)において、繊維症の発症を予防または遅らせる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、繊維症、または繊維症に関連する疾患または病態を有する対象において、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9シグナル伝達に作用する(例えば、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9のそれぞれの内因性受容体に結合することを低減もしくは阻害する)ことに関する。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるポリペプチド(例えば、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)、例えば有効量のActRIIB変異体、を含むポリペプチド)は、それを必要とする対象において、PHを治療するため、PHを低減させるため(例えば、息切れ(呼吸困難)、疲労、脚、足、腹(例えば腹水)、首の腫れ(例えば、浮腫)、胸痛または胸部圧迫感、激しい脈または心臓の動悸、唇または皮膚の青みがかった色(チアノーゼ)、めまいまたは失神など、PHの1つ以上の症状の重症度または頻度を低下させる)、PHを予防するため(例えば、PHの発症を予防する)、PHを発症するリスクを低下させるため、あるいはPHの進行を遅延するかまたは停止するために投与され得る。本明細書に記載されるポリペプチドは、治療前に観察された症状または進行と比較して、または未治療の対象におけるPHの症状または進行と比較して、PHの症状を低減させる(例えば、息切れ(呼吸困難)、疲労、脚、足、腹(例えば腹水)、首の腫れ(例えば、浮腫)、胸痛または胸部圧迫感、激しい脈または心臓の動悸、唇または皮膚の青みがかった色(チアノーゼ)、めまいまたは失神など、PHの1つ以上の症状の重症度または頻度を低下させる)、またはPH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)の進行を遅らせることができる。いくつかの実施形態において、対象は、PHを有するか、またはPHを発症するリスクがあり得る(例えば、対象は、特発性PAHを有していてもよい);対象は、HIV感染、住血吸虫症、門脈圧亢進症、肺静脈閉塞症、肺毛細血管腫症、肝硬変、先天性心異常、結合組織/自己免疫疾患(強皮症や狼瘡など)、薬物使用または乱用(例えば、メタンフェタミンやコカインの使用)など、PAHに関連する疾患または状態(例えば、PAH発症のリスクの増大を誘導する疾患または状態)を有し得る;対象は、PHの家族歴があり得る(例えば、遺伝性PAH);対象は、左室収縮機能障害、左室拡張機能障害、心臓弁膜症、先天性心筋症、先天性/後天性肺静脈狭窄などの静脈性PHに関連する疾患または病態(例えば、静脈性PHを発症するリスクの増大を誘導する疾患または病態)を有し得る;対象は、慢性閉塞性肺疾患(肺気腫など)、間質性肺疾患、睡眠呼吸障害(例えば、睡眠時無呼吸)、肺疾患(例えば、肺線維症)、肺胞低換気障害、高地への慢性的暴露、発達異常など、低酸素性PHに関連する疾患または病態(例えば、低酸素性PHを発症するリスクを増大させる疾患または病態)を有し得る;対象は、慢性血栓塞栓性肺高血圧症、または他の肺動脈閉塞(例えば、肺塞栓、血管肉腫、動脈炎、先天性肺動脈狭窄、または寄生虫感染)のような血栓塞栓性PHに関連する疾患または病態(例えば、血栓塞栓性PHを発症するリスクの増大を誘導する疾患または病態)を有し得る;あるいは、対象は、血液疾患(例えば、慢性溶血性貧血、鎌状赤血球症)、全身性疾患(例えば、サルコイドーシス、肺ランゲルハンス細胞組織球症、リンパ管平滑筋腫症、神経線維腫症、または血管炎)、代謝性疾患(例えば、糖原病、ゴーシェ病、甲状腺疾患)、肺腫瘍性血栓性微小血管症、線維性縦隔炎、慢性腎不全、区域性肺高血圧症(1つ以上の肺葉に限局する肺高血圧症)などのその他のPHに関連する疾患や病態(例えば、その他のPHを発症するリスクの増大を誘導する疾患または病態)を有し得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチドは、PHを発症するリスクのある対象においてPHの発症を予防するか、あるいは遅らせる(例えば、対象はPHの家族歴(例えば、遺伝性PAH)を有するか、もしくは対象は、PAH(例えば、HIV感染、住血吸虫症、肝硬変、先天性心異常、結合組織/自己免疫疾患(強皮症や狼瘡など)、または薬物使用または乱用(例えば、メタンフェタミンやコカインの使用)、静脈性PH(例えば、左室収縮機能障害、左室拡張機能障害、心臓弁膜症、先天性心筋症、もしくは先天性/後天性肺静脈狭窄)、低酸素性PH(例えば、慢性閉塞性肺疾患(肺気腫など)、間質性肺疾患、睡眠呼吸障害(例えば、睡眠時無呼吸)、肺疾患(例えば、肺線維症)、肺胞低換気障害、高地への慢性的暴露、もしくは発達異常)、血栓塞栓性PH(例えば、慢性血栓塞栓性肺高血圧症、または他の肺動脈閉塞(例えば、肺塞栓、血管肉腫、動脈炎、先天性肺動脈狭窄、または寄生虫感染))、またはその他のPH(例えば、血液疾患(例えば、慢性溶血性貧血、鎌状赤血球症)、全身性疾患(例えば、サルコイドーシス、肺ランゲルハンス細胞組織球症、リンパ管平滑筋腫症、神経線維腫症、または血管炎)、代謝性疾患(例えば、糖原病、ゴーシェ病、甲状腺疾患)、肺腫瘍性血栓性微小血管症、線維性縦隔炎、慢性腎不全、区域性肺高血圧症)を発症するリスクの増大を引き起こす疾患または病態を有する)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、PH、またはPHに関連する疾患または病態を有する対象において、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9シグナル伝達に作用する(例えば、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9のそれぞれの内因性受容体に結合することを低減もしくは阻害する)ことに関する。いくつかの実施形態において、PHはPAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPHである。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の細胞外ActRIIB変異体を含むポリペプチドは、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9のそれぞれの受容体(例えばActRIIA、ActRIIB、およびBMPRII(例えばActRIIB))への結合を低減または阻害する。本明細書に記載のポリペプチドは、本発明のポリペプチドの非存在下でのミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9のそれぞれの内因性受容体への結合と比較して、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9のそれぞれの内因性受容体への結合を低減し得る。いくつかの実施形態において、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9シグナル伝達に作用すること(例えば、ミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9のそれぞれの内因性受容体、例えば、ActRIIA、ActRIIB、およびBMPRII(例えば:ActRIIB)への結合を減少または阻害すること)は、対象の筋肉量の増加、対象の骨塩密度または骨形成の増加、対象の骨吸収の減少、対象の赤血球レベル(例えば、ヘモグロビンレベル、ヘマトクリット、または赤血球数、例えば、赤血球の形成または産生を促進または増加させる)の増加、対象の線維症または線維症を発症するリスクの低減、線維症の発症の遅延、線維症の進行の低減(例えば、進行の減速または抑制)、PHの症状の低減(例えば、息切れ(呼吸困難)、疲労、脚、足、腹部(腹水)、または頸部の腫脹(例えば浮腫)、胸痛または胸部圧迫感、激しい脈または心臓の動悸、唇または皮膚への青みがかった色(チアノーゼ)、めまい、または失神の低減)、PHを発症するリスクの低減、PHの発症の遅延、および/またはPHの進行の低減(例えば、進行の減速または抑制)をもたらす。PHはPAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPHであってもよい。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載のポリペプチド(例えば、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)、例えば有効量のActRIIB変異体、を含むポリペプチド)は、対象において、筋肉量または強度を増加させる、骨塩密度を増加させる、骨形成を増加させる、骨強度を増加させる、骨折のリスクを低減する、骨吸収を低減する、赤血球レベルを増加させる(例えば、ヘモグロビンレベルを増加させる、ヘマトクリット値を増加させる、赤血球数を増加させる、または赤血球形成を誘導または増加させる)、線維症を予防または低減する(例えば、線維症を低減する、線維症の発症を予防または遅延させる、または線維症の進行を遅延または停止させる)、PHを予防または治療する(例えば、PHの症状を軽減する、PHの発症を予防または遅延する、またはPAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPHのようなPHの進行を遅延または停止させるため)、またはミオスタチン、アクチビン、および/またはBMP9シグナル伝達に作用するために、同対象に投与され得る。細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体、例えば有効量のActRIIB変異体)は、治療前に得られた測定値と比較して、または同じ疾患もしくは病態を有する未治療の対象から得られた測定値と比較して、筋肉量または強度を増加させる、骨塩密度を増加させる、骨形成を増加させる、骨強度を増加させる、骨折のリスクを低減する、骨吸収を低減する、赤血球レベルを増加させる、線維症を予防または低減する、あるいはPHを予防または治療することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、血管透過性の増加または漏出のような対象における血管合併症を引き起こさない。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、対象は、筋力低下および筋肉の萎縮を伴う疾患または病態(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、顔面頭蓋上腕筋ジストロフィー(FSHD)、封入体筋炎(IBM)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)サルコペニア、またはがん悪液質)を有するか、あるいは同疾患または病態を発症するリスクがある。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、対象は、骨損傷を伴う疾患または病態(例えば、原発性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、骨減少症、大理石骨病、骨折、骨がんもしくはがん転移関連骨量減少、パジェット病、腎性骨異栄養症、治療関連骨量減少、食事関連骨量減少、肥満の治療に関連する骨量減少、低重力関連骨量減少、または不動関連骨量減少)を有するか、或いはそれらを発症するリスクがある。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、対象は、低赤血球レベル(例えば、貧血または失血、例えば、がんに関連する貧血(例えば、多発性骨髄腫、白血病、乳がん、肺がん、結腸がん)、がん治療(例、化学療法または放射線療法)、骨髄異形成症候群、慢性または急性腎疾患または不全(例、慢性腎疾患)、炎症性または自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ、炎症性腸疾患、例えばクローン病または潰瘍性大腸炎、SLE)、または手術などの貧血または失血)を含む疾患または病態を有するか、またはそれらを発症するリスクがある。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態において、対象は、線維症(例えば化学療法薬誘発性線維症、放射線誘発性線維症、肺線維症、肝線維症(例:肝硬変)、腎線維症(例えば、慢性腎疾患に関連する線維症)、角膜線維症、心臓線維症、骨関節線維症、組織線維症、腫瘍間質、線維形成性腫瘍、外科的癒着、肥大性瘢痕、ケロイド、あるいは線維症は、創傷、熱傷、B型またはC型肝炎感染症、脂肪肝疾患、住血吸虫感染症、腎疾患、心疾患、黄斑変性、網膜または硝子体網膜症、全身性または局所性強皮症、アテローム性動脈硬化症、または再狭窄と関連している)を含む疾患または病態を有するか、またはそれらを発症するリスクがある。本明細書に記載される方法のいくつかの実施形態において、対象は、PH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH、例えば特発性PAH;遺伝性PAH;HIV感染、住血吸虫症、門脈圧亢進症、肺静脈閉塞症、肺毛細血管腫症、肝硬変、先天性心異常、結合組織/自己免疫疾患(強皮症や狼瘡など)、薬物使用または乱用(例えば、メタンフェタミンやコカインの使用)に関連する、またはこれらに起因するPAH;左室収縮機能不全、左室拡張機能不全、心臓弁膜症、先天性心筋症、または先天性/後天性肺静脈狭窄に関連するか、または起因する静脈性PH;慢性閉塞性肺疾患(肺気腫など)、間質性肺疾患、睡眠呼吸障害(例えば、睡眠時無呼吸)、肺疾患(例えば、肺線維症)、肺胞低換気障害、高地への慢性暴露、または発達異常に関連するか、または起因する低酸素性PH;慢性血栓塞栓性肺高血圧症または他の肺動脈閉塞(例えば、肺塞栓、血管肉腫、動脈炎、先天性肺動脈狭窄、または寄生虫感染)に関連する、またはこれらに起因する血栓塞栓性PH;血液疾患(例えば、慢性溶血性貧血、鎌状赤血球症)、全身性疾患(例えば、サルコイドーシス、肺ランゲルハンス細胞組織球症、リンパ管平滑筋腫症、神経線維腫症、または血管炎)、代謝障害(例えば、糖原病、ゴーシェ病、甲状腺疾患)、肺腫瘍性血栓性微小血管症、線維性縦隔炎、慢性腎不全、または区域性肺高血圧症に関連するか、または起因するその他のPH)を伴う疾患または病態を有しているか、またはそれらを発症するリスクがある。
本発明はまた、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)、封入体筋炎(IBM)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、サルコペニア、がん悪液質、原発性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、骨減少症、大理石骨病、骨折、骨がんまたはがん転移関連骨量減少、パジェット病、腎性骨異栄養症、治療関連骨量減少、食事関連骨量減少、肥満の治療に関連する骨量減少、低重力関連骨量減少、不動関連骨量減少、貧血、失血、線維症、またはPH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)を有するかまたは発症する危険性のある対象を、本明細書に記載されるポリペプチドの有効量(例えば、細胞外ActRIIB変異体(配列番号1~15(例えば:配列番号2~15)のいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含むポリペプチド)を同対象に投与することによって治療する方法を含む。
本明細書に記載の方法のいくつかにおいて、骨疾患(例えば、骨損傷)を有するかそれを発症するリスクのある対象は、原発性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、骨減少症、大理石骨病、骨折、骨がんもしくはがん転移関連骨量減少、パジェット病、腎性骨異栄養症、治療関連骨量減少、食事関連骨量減少、肥満の治療に関連する骨量減少、低重力関連骨量減少、または不動関連骨量減少を含む、疾患または病態を有するか、或いはそれらを発症するリスクがある。いくつかの実施形態において、原発性骨粗鬆症は(例えば、エストロゲンの減少に関連する)加齢性骨粗鬆症またはホルモン関連骨粗鬆症である。いくつかの実施形態において、続発性骨粗鬆症は不動誘発性骨粗鬆症またはグルココルチコイド誘発性骨粗鬆症である。いくつかの実施形態において、骨がんは多発性骨髄腫であり、またはがん転移関連骨量減少は多発性骨髄腫によって引き起こされる。いくつかの実施形態において、治療関連骨量減少は、FGF-21もしくはGLP-1による治療、FGF-21もしくはGLP-1含有治療薬による治療、または2型糖尿病および/もしくは肥満の治療のため、あるいはがん治療(例えば、化学療法または放射線)のために起こる。いくつかの実施形態において、食事関連骨量減少は、くる病(例えば、ビタミンD欠乏症)である。いくつかの実施形態において、低重力関連骨量減少は、負荷関連骨量減少である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、治療前に得られた測定値と比較して、あるいは未治療の対象において典型的に観察される骨塩密度と比較して、骨塩密度を増加させる(例えば、骨量を増加させる)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、治療前に得られた測定値と比較して、あるいは未治療の対象において典型的に観察される骨吸収と比較して、骨吸収を低減する(例えば、骨異化活性を低減する)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、治療前に得られた測定値と比較して、あるいは未治療の対象において典型的に観察される骨形成と比較して、骨形成を増加させる(例えば、骨同化活性を増加させる、または骨形成(ostepgenesis)を増加させる)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、治療前に得られた測定値と比較して、あるいは未治療の対象において典型的に観察される骨芽細胞活性または骨芽細胞形成と比較して、骨芽細胞活性または骨芽細胞形成を増加させる(例えば、骨芽細胞活性または骨芽細胞形成を増加させる)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、治療前に得られた測定値と比較して、あるいは未治療の対象において典型的に観察される破骨細胞活性または破骨細胞形成と比較して、破骨細胞活性または破骨細胞形成を低減させる(例えば、破骨細胞活性または破骨細胞形成を低減させる)。いくつかの実施形態において、骨は、皮質骨もしくは骨梁骨である。
本発明はまた、本明細書に記載される有効量のポリペプチド(例えば、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含むポリペプチド)を対象に投与することにより、貧血または失血を有するか、またはそれらを発症するリスクがある対象を治療する方法を含む。本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、低赤血球レベル(例えば、低ヘモグロビンレベル、低ヘマトクリット、または低赤血球数)を有するかまたは発症するリスクがある対象は、貧血または失血を発症するか、発症するリスクがある。いくつかの実施形態において、貧血は、栄養欠乏(例、ビタミン欠乏症)、骨髄欠損(例えば、発作性夜間血色素尿症)、薬物に対する有害反応(例えば抗レトロウイルスHIV薬)、骨髄異形成症候群、骨髄移植、がん(例えば、乳がん、肺がん、結腸がんなどの固形腫瘍;慢性リンパ性白血病、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫などのリンパ系腫瘍;または白血病や多発性骨髄腫などの造血系の腫瘍)、がん治療(例えば、放射線または化学療法、例えばプラチナ含有薬剤による化学療法)、炎症性または自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ、他の炎症性関節炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、急性または慢性皮膚疾患(例えば乾癬)、または炎症性腸疾患(例えばクローン病や潰瘍性大腸炎)、膀胱炎、胃炎)、特発性または先天性の病態を含む急性または慢性腎疾患または不全(例えば慢性腎疾患)、急性または慢性肝疾患、急性または慢性出血、感染(例えば、マラリア、骨髄炎)、脾腫、ポルフィリン症、血管炎、溶血、尿路感染症、異常ヘモグロビン症(例えば鎌状赤血球症)、サラセミア、チャーグ・ストラウス症候群、フェルティ症候群、移植片対宿主病、造血幹細胞移植、骨髄線維症、汎血球減少症、純粋赤血球無形成症、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、シュワッハマン症候群(例えば、シュワッハマン・ダイアモンド症候群)、薬物使用または乱用(例:アルコール乱用)、または輸血禁忌(例えば、高齢の患者、同種抗体または自己抗体を有する患者、小児患者、心肺疾患の患者、宗教的理由(いくらかのエホバの証人)で輸血に反対する患者)と関連する。いくつかの実施形態において、貧血は、再生不良性貧血、鉄欠乏性貧血、ビタミン欠乏性貧血、慢性疾患に伴う貧血、骨髄疾患に関連する貧血、溶血性貧血、鎌状赤血球貧血、小球性貧血、低色素性貧血、鉄芽球性貧血、ダイアモンド・ブラックファン貧血、ファンコーニ貧血、または過剰芽細胞を伴う不応性貧血である。本願明細書に記載される組成物および方法はまた、エリスロポエチン(EPO)に十分に応答しない、またはEPOの有害作用(例えば、高血圧、頭痛、血管血栓症、インフルエンザ様症候群、シャント閉塞、心筋梗塞)に感受性のある対象を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態において、失血は、手術、外傷、創傷、潰瘍、尿路出血、消化管出血、頻繁な献血、または多量の月経出血(例えば、月経過多)によるものである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、治療前に得られた測定値と比較して、赤血球レベル(例えば、ヘモグロビンレベル、ヘマトクリット、または赤血球数)を増大させる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、治療前に得られた測定値と比較して、赤血球形成を増大させる、または誘導する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物および方法は、輸血に対する対象の必要性を低減する(例えば、対象は、輸血をもはや必要としない、または対象は、本明細書に記載の組成物および方法による治療前よりも頻繁な輸血を必要としない)。正常な赤血球レベルを有する対象は、本明細書に記載の方法および組成物を使用して治療され、赤血球レベルを増加させて、それにより、後に輸血で使用するために血液を採取および保存することができる。
本発明はまた、本明細書に記載される有効量のポリペプチド(例えば、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含むポリペプチド)を対象に投与することにより、線維症を有するか、またはそれらを発症するリスクがある対象を治療する方法を含む。本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、対象は繊維症を患っているかまたは繊維症を発症するリスクがある。いくつかの実施形態において、線維症は、化学療法薬誘発性線維症、放射線誘発性線維症、肺線維症(例えば、嚢胞性線維症、特発性線維症、または結核、肺炎、石炭の粉塵に関連した線維症)、肝線維症(肝硬変、胆道閉鎖症など)、腎線維症(例えば、慢性腎疾患に関連する線維症)、角膜線維症、心線維症(例えば、心内膜心筋線維症または心筋梗塞に関連する線維症)、骨髄線維症、縦隔線維症、後腹膜線維症、関節線維症、骨関節線維症、組織線維症(例えば、筋組織、皮膚表皮、皮膚真皮、腱、軟骨、膵臓組織、子宮組織、神経組織、精巣、卵巣、副腎、動脈、静脈、結腸、小腸、大腸、胆道、または腸に影響する線維症)、腫瘍間質、線維形成性腫瘍、外科的癒着、肥厚性瘢痕、ケロイドである。いくつかの実施形態において、線維症は、創傷、火傷、B型またはC型肝炎感染、脂肪肝疾患、住血吸虫感染、腎疾患(例えば、慢性腎疾患)、心疾患、黄斑変性、網膜または硝子体網膜症、クローン病、全身性または局所性強皮症、アテローム性動脈硬化症、または再狭窄、に関連する繊維症である。いくつかの実施形態において、対象は、がん治療(化学療法または放射線療法)、疾患または感染症(例えば、結核、肺炎、心筋梗塞、B型またはC型肝炎感染、脂肪肝疾患、住血吸虫感染、腎疾患(例えば慢性腎疾患)、心疾患、黄斑変性、網膜又は硝子体網膜症、クローン病、全身性又は局所性強皮症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄)、手術、創傷または熱傷に関連して線維症を発症するリスクがある。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、治療前に得られた測定値と比較して、あるいは未治療の対象における繊維症と比較して、繊維症を低減する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、線維症の発症を防止するか、または線維症を発症するリスクを低減する(例えば、未治療の対象における線維症の発症と比較して線維症を発症するリスクを低減する)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、繊維症の進行を遅延するか、または停止する(例えば、治療前における進行と比較して、治療を行わない場合、もしくは未治療の対象における進行と比較して、繊維症の進行を遅延する)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は線維症の1つ以上の症状の頻度または重症度を低減する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、治療前の臓器または組織の機能と比較して、臓器または組織の機能(例えば、線維症を有する臓器または組織の機能)を改善する。組織と臓器の機能は、組織と臓器の機能を評価するために一般的に使用される標準的な臨床検査を使用して評価できる。
本発明はまた、本明細書に記載される有効量のポリペプチド(例えば、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含むポリペプチド)を対象に投与することにより、PH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)を有するか、またはそれらを発症するリスクがある対象を治療する方法を含む。本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、対象はPH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)を有するか、またはそれらを発症するリスクがある。いくつかの実施形態において、PHはPAHである。いくつかの実施形態において、PAHは突発性PAHである。いくつかの実施形態において、PAHは遺伝性PAHである。いくつかの実施形態において、PAHは、HIV感染、住血吸虫症、門脈圧亢進症、肺静脈閉塞性疾患、肺毛細管血管腫症、肝硬変、先天性心臓異常、結合組織/自己免疫疾患(強皮症や狼瘡など)、または薬物使用もしくは乱用(例えば、メタンフェタミンやコカインの使用)に関連するPAHである。いくつかの実施形態において、PHは静脈性PHである。いくつかの実施形態において、静脈性PHは、左心室収縮機能不全、左心室拡張機能不全、心臓弁膜症、先天性心筋症、または先天性/後天性肺静脈狭窄に関する(例えば、これらの疾患によって引き起こされるもしくは関係する)静脈性PHである。いくつかの実施形態において、PHは低酸素性PHである。いくつかの実施形態において、低酸素性PHは、慢性閉塞性肺疾患(例えば、肺気腫)、間質性肺疾患、睡眠障害呼吸(例えば、睡眠時無呼吸)、肺疾患(例えば、肺線維症)、肺胞低換気障害、高地への慢性曝露、または発達異常に関する(例えば、これらの疾患によって引き起こされるもしくは関係する)低酸素性PHである。いくつかの実施形態において、PHは血栓塞栓性PHである。いくつかの実施形態において、血栓塞栓性PHは、慢性血栓塞栓性肺高血圧症または他の肺動脈閉塞(例えば、肺塞栓、血管肉腫、動脈炎、先天性肺動脈狭窄、または寄生虫感染)に関する(例えば、これらの疾患によって引き起こされるもしくは関係する)血栓塞栓性PHである。いくつかの実施形態において、PHはその他のPHである。いくつかの実施形態において、その他のPHは、血液疾患(例えば、慢性溶血性貧血、鎌状赤血球症)、全身性疾患(例えば、サルコイドーシス、肺ランゲルハンス細胞組織球症、リンパ管平滑筋腫症、神経線維腫症、または血管炎)、代謝障害(たとえば、糖原病、ゴーシェ病、または甲状腺疾患)、肺腫瘍性血栓性微小血管症、線維性縦隔炎、慢性腎不全、または区域性肺高血圧症(segmental pulmonary hypertension)に関する(例えば、これらの疾患によって引き起こされるもしくは関係する)その他のPHである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、PHの症状を、治療前の症状の頻度または重症度と比較して低減する(例えば、息切れ(呼吸困難)、疲労、脚、足、腹(腹水)または首の腫脹(例えば、浮腫)、胸痛または胸部圧迫感、激しい脈または心臓の動悸、唇または皮膚の青みがかった色(チアノーゼ)、めまい、または失神、のような症状の頻度または重症度を低減する)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、PHの発症を防止するか、またはPHを発症するリスクを低減する(例えば、未治療の対象におけるPHの発症と比較してPH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)を発症するリスクを低減する)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、PHの進行を遅延もしくは停止する(例えば、PH(例えば、PAH、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPH)の進行を、治療前の進行と比較して、または治療を受けないかもしくは未治療の対象における進行と比較して遅延する)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、治療前の血管リモデリングと比較して、または未治療の対象における血管リモデリングと比較して、対象の肺血管リモデリングまたは心臓における血管リモデリング(例えば、心臓または肺における血管リモデリングの開始または進行)を低減する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、治療前の右心室肥大と比較して、または未治療の対象における右心室肥大と比較して、右心室肥大を低減する(例えば、右室肥大を低減する、もしくは右室肥大の進行を低減する)。PHの症状は、標準的な臨床試験を使用して、治療の前後に評価できる。PHを評価するために一般的に使用される試験には、心電図、肺機能試験、心エコー図、右心カテーテル検査、コンピュータ断層撮影スキャン、肺血管抵抗の測定、および6分間歩行試験が含まれる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、肺血管抵抗を低減する(例えば、治療前の肺血管抵抗と比較して肺血管抵抗の低減が得られる)。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される方法は、治療前の6分間歩行試験における性能と比較して6分間歩行試験における性能を改善する。
本明細書に記載の方法のいずれにおいても、それぞれが細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含むポリペプチドに融合された2つのFcドメインモノマーの相互作用によって形成される二量体(例えば、ホモダイマーまたはヘテロダイマー)を治療タンパク質として使用することができる。本明細書に記載の方法のいずれにおいても、ある部分(例えば、野生型Fcドメイン、アミノ酸置換(例えば、二量体形成を低減する1つ以上の置換)を有するFcドメイン、アルブミン結合ペプチド、フィブロネクチンドメイン、または血清アルブミン)に融合された細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含むポリペプチドは、治療用タンパク質として使用されてもよい。本明細書に記載のポリペプチドをコードする核酸、または該核酸を含有するベクターもまた、本明細書に記載の方法のいずれかに従って投与され得る。本明細書に記載の方法のいずれにおいても、ポリペプチド、核酸、またはベクターは医薬組成物の一部として投与することができる。
以下の実施例は、本発明のいくつかの実施形態をさらに説明するために提供されるが、本発明の範囲を限定することは意図されていない。当業者に知られている他の手順、方法論、または技法を代わりに使用できることは、それらの例示的な性質によって理解されるであろう。
実施例1:体重および筋肉重量に対する細胞外ActRIIB変異体の効果
C57Bl/6マウスに、以下の14のポリペプチドのうちの1つをコードするプラスミド構築物およびビヒクル対照の単回のハイドロダイナミックインジェクション(hydrodynamic injection)を行った(n=10/群、図1に提供される配列を参照)。
(1)ビヒクル;
(2)GGGリンカーを介してhFcのN末端に融合した細胞外ActRIIA(配列番号16);
(3)GGGリンカーを介してhFcのN末端に融合した細胞外ActRIIB(配列番号17);
(4)GGGリンカーを介してhFcのN末端に融合した細胞外ActRIIB変異体ActRIIB/A(配列番号2);
(5)GGGリンカーを介してhFcのN末端に融合した細胞外ActRIIB変異体ActRIIBΔ9(配列番号3);
(6)GGGリンカーを介してhFcのN末端に融合した細胞外ActRIIB変異体ActRIIB2.01(配列番号4);
(7)GGGリンカーを介してhFcのN末端に融合した細胞外ActRIIB変異体ActRIIB2.02(配列番号5);
(8)GGGリンカーを介してhFcのN末端に融合した細胞外ActRIIB変異体ActRIIB2.03(配列番号6);
(9)GGGリンカーを介してhFcのN末端に融合した細胞外ActRIIB変異体ActRIIB2.04(配列番号7);
(10)GGGリンカーを介してhFcのN末端に融合した細胞外ActRIIB変異体ActRIIB2.05(配列番号8);
(11)GGGリンカーを介してhFcのN末端に融合した細胞外ActRIIB変異体ActRIIB2.06(配列番号9);
(12)GGGリンカーを介してhFcのN末端に融合した細胞外ActRIIB変異体ActRIIB2.07(配列番号10);
(13)GGGリンカーを介してhFcのN末端に融合した細胞外ActRIIB変異体ActRIIB2.08(配列番号11);
(14)GGGリンカーを介してhFcのN末端に融合した細胞外ActRIIB変異体ActRIIB2.09(配列番号12);
(15)GGGリンカーを介してhFcのN末端に融合した細胞外ActRIIB変異体ActRIIB2.10(配列番号13)。
100μgのプラスミド構築物を5~8秒間かけて体重の10%の容量で送達した。高容量かつ短時間の注入は、プラスミドが発現される肝細胞にプラスミドを導入するのに必要な圧力を提供し、特に目的のタンパク質は強力かつ遍在するプロモーター(pLEV113)の下で発現された。目的のタンパク質は肝細胞の内因性機構の下で分泌され、自由に循環する。マウスを28日間の間、週2回秤量し、測定値をベースライン測定値からの体重変化のパーセントとして記録した(図1および図2)。試験終了時に筋肉も秤量し、測定値をミリグラムで記録した(図3Aおよび3B)。
実施例2:表面プラズモン共鳴(SPR)によるActRIIB変異体結合親和性の評価
ActRIIB-Fc変異体とリガンドであるアクチビンA、アクチビンB、成長分化因子11(GDF11)、およびBMP-9との間の相互作用の動態を測定するためにGE Biacore3000を使用した。ActRIIA、ActRIIB、ActRIIB2.06、ActRIIB2.11およびActRIIB2.12は組換えタンパク質であった。全ての他のActRIIB-Fc変異体は、HEK293細胞における一過性発現によって発現させ、プロテインA-セファロースクロマトグラフィーを使用して馴化培地から精製した。フローセル1~4は、アミンカップリングキットを使用して、GEからの抗ヒト/抗マウスキャプチャ抗体で固定化した。次に、ActRII-Fcタンパク質をフローセル2~4のチップに捕捉し、フローセル1を非特異的結合を測定して差し引くための参照セルとして空のままにした。GE Healthcare(商標)からのHBS-EP+緩衝液をランニング緩衝液として使用した。物質移動効果を避けるために40μl/分にて、二重濃度系(duplicate concentration series)で各リガンドを流した。CM-4を用いたGDF-11を除き、全てのデータをCM-5チップ上で収集した。各相互作用のKを計算するため、BioLogic(商標)ソフトウェアによりScrubber2を用いてデータを解析した(表3)。
実施例3:骨塩密度に対する細胞外ActRIIB変異体の効果
成体雄C57/BL6マウスに偽手術(SHAM)または去勢手術(ORX)を行った。どちらの手術群も手術後14日間、回復が許容される。すべての動物は、食物(通常の固形飼料)および水に自由にアクセスできる従来のケージに収容した。次に、SHAMおよびORX動物をビヒクル処置群(VEH)またはActRII変異体処置群のいずれかに割り当て、ビヒクルまたはActRII変異体(10mg/kg)の隔週全身腹腔内投与を71日間行う。体重は処置時に週に2回測定する。身体組成は、MiniSpec LF50 NMRアナライザーを用いて、試験0日目、次いで処置開始後14、28、47、および71日目に分析する。試験終了日に、関心のある組織(筋肉、脂肪貯蔵部、および脛骨)を外科的に除去し、重量を測定し、さらなる分析するために適切に保管する。この時点において、精巣が完全に除去されたことを確認するために、ORX動物も検査される。様々な骨の皮質形態計測および骨梁構造もまた、マイクロコンピュータ断層撮影を使用して実験終了後に評価した。
実施例4:腎繊維症に対する細胞外ActRIIB変異体の効果
腎線維症に対する細胞外ActRIIB変異体の効果は、腎線維症の片側性尿管閉塞(UUO)マウスモデルを使用して決定する。UUOモデルは、右腎機能を損なわずに左尿管の完全結紮を含む。簡単に説明すると、UUOを麻酔下でマウスに行い、それにより左尿管を側腹部の切開を介してアクセスし、2つの結紮を5mmの間隔で絹糸を用いて尿管の近位1/3上に配置する。偽手術(Sham)は、尿管に結紮糸を配置することなく、同様の方法で行う。このモデルでは、UUO後14日以内に重度の線維症が腎臓に発生し、これは、サンプル中のヒドロキシプロリンの量を直接測定することによる腎臓コラーゲンを測定することにより評価した。UUOの14日後、実質損傷の結果として、乾燥腎臓重量は減少した。16週齢の雄C57BL/6マウスに偽手術またはUUO手術を行い、UUO手術マウスを2群に分けた。各UUO群には、既知のマウスタンパク質に結合しないActRllB変異体(10mg/kg)またはビヒクル(投与された体重体積)のいずれかを、手術前日、手術後1、3、6、8、10、および13日目に皮下注射する。偽手術マウスは、UUO群と同じスケジュールを用いて、この期間中にビヒクル(滅菌PBS)を投与される。全てのマウスを手術後14日目に屠殺した。腎臓重量を測定し、液体窒素を用いて腎臓を急速冷凍し(flash-frozen)、ヒドロキシプロリンの量を測定してコラーゲン含量を測定し、線維症を評価するまで-80℃に保つ。
実施例5:赤血球に対する細胞外ActRIIB変異体の効果
各群雄10匹および雌10匹ずつのラットに、ビヒクルの2つのSC用量(1日目と15日目)、またはActRllB変異体の6、20または60mg/kgを投与する。29日目に血液学的パラメータを測定する。RBC、ヘモグロビンおよびヘマトクリットの誘導に関する時間経過と用量反応を評価するための試験も実施する。最初の試験では、ActRllB変異体(10mg/kg)を1日目と8日目に皮下(SC)投与した雄ラットおよび雌ラットにおける赤血球産生の時間経過を検討した。血液学的パラメータは投与前と投与3日目、8日目、15日目、29日目、および44日目に評価した。2番目の試験では、血液学的用量反応は、1日目と15日目にビヒクルまたはActRllB変異体の0.4、2、10、または30mg/kgを投与した雄ラットおよび雌ラットにおいて検討した。血液学的パラメータは投与前と投与13日目および28日目に評価した。
実施例6:PAHに対する細胞外ActRIIB変異体の効果
一実験において、雄ラットにモノクロタリン(MCT40mg/kg)を単回皮下注射してPAHを誘発した。ActRIIB変異体による処置がPAHの発症を予防できるかどうかを決定するために、ラットをPAH誘発の24時間後にビヒクルまたはActRIIB変異体処置群にランダム化し、週2回、ActRIIB変異体(5または15mg/kg)またはビヒクルで21日間処置する。1.5%イソフルランで麻酔したラットを用い、小動物高周波超音波プローブを用い、動物を仰臥位に保持した状態で、肺血流加速、右心室機能と肥大および左心室機能を検出することにより、第14日の心電図で心室機能と右心室(RV)リモデリングを検査する。僧帽弁および三尖弁を横断するドップラーを用いて、ActRIIB変異体による処置が明らかな逆流または病変を誘発するかどうかを判定する。21日目に、ラットをペントバルビタールで麻酔し、気管を通して挿管し、げっ歯類用人工呼吸器を用いて機械的に換気する。血行動態は、右室心尖部から液体を満たしたカテーテルを用いて評価する。ラットにPBS、次いで1%ホルムアルデヒドを灌流する。右室肥大(RVH)を測定するために、心臓を摘出し、左室+中隔(LV+S)から右室自由壁を切除し、別個に荷重をかける(weighted)。RVHの程度は、RV/(LV+S)の比から決定される。
第2の実験では、雄ラットにモノクロタリン(MCT40mg/kg)を単回皮下投与してPAHを誘発した。ActRIIB変異体による処置がPAHの進行を遅延するかまたは低下させるかを決定するために、ラットに18日目にMCTを再度注射し、ビヒクルまたはActRIIB変異体処置群にランダム化した。ラットにActRIIB変異体(15mg/kg)またはビヒクルを週3回注射する。上述のように第35日に血行動態およびRVHを検査する。
実施例7:遺伝子ルシフェラーゼレポーターアッセイを用いたActRIIB変異体の評価
C2C12-BRE-ルシフェラーゼおよびHEK293-SBE-ルシフェラーゼ細胞を、2%FBSを補充したDMEM中の96ウェルプレート上にプレーティングし、プレート表面に順応するために3時間以上インキュベーター内に置いた。各ActRIIB/A-Fc変異体または陽性対照(ActRIIA-FcおよびActRIIB-Fc)について、希釈系列を2%DMEM中で作製し、GDF-11、アクチビンA、アクチビンB、およびBMP-9とともに37℃で30分間インキュベートした。ActRIIA、ActRIIB、ActRIIB2.06、ActRIIB2.11、およびActRIIB2.12は組換えタンパク質であった。他の全ては、一過性にトランスフェクトされた細胞からの馴化培地であった。プレート中の培地を吸引し、ActRIIB/A/リガンド混合物を培地交換としてプレートに添加した。残りのウェルは、陽性対照およびバックグラウンドの複製(replicates)に使用した。プレートを一晩インキュベートし、次いで、Promega Steady-Glo(登録商標)およびMolecular Devices Spectramax(登録商標)M5eを用いて読み取った。細胞に基づくアッセイは、内因性細胞表面受容体におけるシグナル伝達を阻害する変異体の能力を示す。ActRIIB/AおよびActRIIB2.11を除く変異体は、表4に示すように、アクチビンA、アクチビンB、およびGDF-11に匹敵する阻害を有するが、ActRIIB-Fcと比較して、BMP9阻害は減少した。
実施例8:体重および赤血球量に対する細胞外ActRIIB変異体の効果
8週齢の雄C57BL/6マウスを3群(n=10/群)に分けた。群には5ml/kgのビヒクル(トリス緩衝生理食塩水、pH7.4)またはActRllB2.11(配列番号14)-FcまたはActRllB2.12(配列番号15)-Fc(20mg/kg)のいずれかを投与した。処置は、腹腔内(IP)に週2回、4週間投与し(8回)、試験は試験第28日で終了した。体重は試験中の投与日に記録した。加えて、赤血球量パラメータを試験終了時に血液学的に評価した。図4に示すように、ActRllB2.11-FcおよびActRllB2.12-Fcの両方は、野生型マウスにおいて体重を増加させた(=p<0.05;****=p<0.01)。ActRIIB2.12-Fcはまた、赤血球数、ヘモグロビンレベルおよびヘマトクリット(図5A~5C)を含む赤血球量(***=p<0.001;****=p<0.0001)のパラメータを増加させた。
実施例9:骨粗鬆症のマウスモデルにおけるActRllB変異体の効果
C57BL/6マウスは9週齢で精巣摘出術(ORX)または偽手術(sham surgery)を受けた。6週間の回復期間の期間中にORXマウスは骨粗鬆症の表現型を発症し、その回復期間の後に、ORXマウスはビヒクルまたはActRIIB2.12(配列番号15)-Fc(10mg/kg)のいずれかを週2回腹腔内投与された。マイクロCT(Perkin Elmer Quantum Fx)イメージングを投与開始後11週に実施した。各データセットのASBMR骨形態計測パラメータは、骨形態計測解析アドオンを用いてAnalyzeProソフトウェア(AnalyzeDirect、カンザス州オーバーランドパーク)で算出した。近位脛骨成長プレートのすぐ遠位のCTボリュームの50スライス領域を、骨梁骨パラメータの変化を評価するために選択した。図6A~6Dに示すように、ActRIIB2.12-Fcによる処置は、精巣摘除術に関連して骨量を増加させ、骨梁骨体積分率(trabecular bone volume fraction)を増加させ、骨梁数を増加させた(=p<0.05;**=p<0.01)。これらのデータは、骨粗鬆症マウスをActRIIB2.12-Fcで処置すると、骨形成の増加の結果として骨梁骨量が増加することを示す。
実施例10:ラットの赤血球量および骨梁骨に対するActRIIB変異体2.12の効果
ActRIIB2.12(配列番号15)-FcプラスミドDNAのハイドロダイナミックインジェクションを外側尾静脈注入により4週齢SpragueDawleyラットに行った。注射4週間後、血液学的パラメータとActRIIB2.12-Fcレベルについて血液を分析した。マイクロCTイメージング(Perkin Elmer Quantum Fx)を脛骨でex vivoで実施した。各データセットのASBMR骨形態計測パラメータは、骨形態計測解析アドオンを用いてAnalyzeProソフトウェア(AnalyzeDirect、カンザス州オーバーランドパーク)で算出した。近位脛骨成長プレートのすぐ遠位のCTボリュームの150スライス領域を、骨梁骨パラメータの変化を評価するために選択した。図7A~7Cに示すように、ActRIIB2.12-Fcは、野生型ラットにおける赤血球数、ヘモグロビンレベル、およびヘマトクリットを含む赤血球量のパラメータを増加させた(=p<0.05;**=p<0.01)。ActRIIB2.12-Fcは野生型ラットにおいて骨梁骨(骨梁骨体積、骨梁骨分率、骨梁骨厚さ)も増加させた(図8A~8E;=p<0.05;**=p<0.01)。これらのデータは、野生型ラットにおけるActRIIB2.12-Fcでの処置が骨梁骨量を増加させることを示す。
実施例11:細胞外ActRIIB変異体の投与による筋疾患の治療
本明細書に開示される方法によれば、当業者は、筋肉量を増加させるか、または筋力を維持もしくは改善する(例えば、筋力低下を減らす)ように、筋疾患(例えば、DMD、ALS、または封入体筋炎)を有するヒト患者などの対象を治療することができる。治療方法は、筋疾患の標準的な臨床検査(例えば、血液検査、筋生検、遺伝子検査、および/または筋電図)に基づいて、対象を治療の候補として診断または識別することを含むことができる。対象を治療するために、当業者は、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含有する組成物を同対象に投与することができる。細胞外ActRIIB変異体を含有する組成物は、例えば、非経口注射(例えば、静脈内注射)によって、または局所投与(例えば、筋肉への注射)によって、対象に投与して、筋疾患を治療することができる。細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)は、治療有効量、例えば、0.01~500mg/kg(例えば、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、150、200、250、300、350、400、450、または500mg/kg)にて投与される。いくつかの実施形態において、細胞外ActRIIB変異体は、隔月で、月に1回、2週間に1回、または少なくとも週に1回以上(例えば、週に1、2、3、4、5、6、または7回またはそれ以上)投与される。細胞外ActRIIB変異体は、筋肉量を増加させるか、筋肉強度を維持または改善する(たとえば、筋力低下を低減する)のに十分な量で投与される。
組成物を患者に投与した後、当業者は、様々な方法による治療に応答した患者の改善を監視することができる。たとえば、医師は患者の筋肉量、筋力、運動機能を監視することができる。組成物の投与前の試験結果と比較して、組成物の投与後に、患者が筋肉量の増加を示すか、または筋力を維持または改善するという発見は、患者が治療に好意的に反応していることを示す。その後の用量は、必要に応じて決定および投与することができる。
実施例12:細胞外ActRIIB変異体の投与による骨疾患の治療
本明細書に開示される方法によれば、当業者は、骨塩密度を増加させ、骨形成を増加させ、骨吸収を低減し、骨損失を低減し、または骨折のリスクを低減するように、骨疾患(例えば、骨粗鬆症または骨減少症)を有するヒト患者などの対象を治療することができる。治療方法は、骨塩密度についての標準的な臨床検査(例えば、二重X線吸収法)に基づいて、対象を治療の候補として診断または識別することを含むことができる。対象を治療するために、当業者は、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含有する組成物を同対象に投与することができる。細胞外ActRIIB変異体を含有する組成物は、例えば、非経口注射(例えば、静脈内注射)によって、対象に投与して、骨疾患を治療することができる。細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)は、治療有効量、例えば、0.01~500mg/kg(例えば、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、150、200、250、300、350、400、450、または500mg/kg)にて投与される。いくつかの実施形態において、細胞外ActRIIB変異体は、隔月で、月に1回、2週間に1回、または少なくとも週に1回以上(例えば、週に1、2、3、4、5、6、または7回またはそれ以上)投与される。細胞外ActRIIB変異体は、骨塩密度を増加させ、骨形成を増加させ、骨吸収を低減し、骨損失を低減し、または骨折のリスクを低減するのに十分な量で投与される。
組成物を患者に投与した後、当業者は、様々な方法による治療に応答した患者の改善を監視することができる。たとえば、医師は二重X線吸収法を実施することによって、患者の骨塩密度を監視することができる。組成物の投与前の試験結果と比較して、組成物の投与後に、患者が骨塩密度の増加、骨形成の増加、骨吸収の低減、骨損失の低減、または骨折のリスクの低減を示すという発見は、患者が治療に好意的に反応していることを示す。その後の用量は、必要に応じて決定および投与することができる。
実施例13:細胞外ActRIIB変異体の投与による貧血の治療
本明細書に開示される方法によれば、当業者は、赤血球数、ヘモグロビンレベル、またはヘマトクリットなどの赤血球量のパラメータを増加させるように、貧血(例えば、ビタミン欠乏性貧血または慢性腎疾患に伴う貧血)を有するヒト患者などの対象を治療することができる。治療方法は、血液学的パラメータを測定する血液試験に基づいて、治療の候補として対象を診断または同定することを含むことができる。対象を治療するために、当業者は、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含有する組成物を同対象に投与することができる。細胞外ActRIIB変異体を含有する組成物は、例えば、非経口注射(例えば、静脈内注射)によって、対象に投与して、貧血を治療することができる。細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)は、治療有効量、例えば、0.01~500mg/kg(例えば、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、150、200、250、300、350、400、450、または500mg/kg)にて投与される。いくつかの実施形態において、細胞外ActRIIB変異体は、隔月で、月に1回、2週間に1回、または少なくとも週に1回以上(例えば、週に1、2、3、4、5、6、または7回またはそれ以上)投与される。細胞外ActRIIB変異体は、ヘモグロビンレベルを増加させる、赤血球数を増加させる、またはヘマトクリットを増加させるのに十分な量で投与される。
組成物を患者に投与した後、当業者は、様々な方法による治療に応答した患者の改善を監視することができる。たとえば、医師は血液試験を実施することによって、患者のヘモグロビンレベル、赤血球数、またはヘマトクリットを監視することができる。組成物の投与前の試験結果と比較して、組成物の投与後に、患者がヘモグロビンレベル、赤血球数、またはヘマトクリットを改善するという発見は、患者が治療に好意的に反応していることを示す。その後の用量は、必要に応じて決定および投与することができる。
実施例14:細胞外ActRIIB変異体の投与による繊維症の治療
本明細書に開示される方法によれば、当業者は、線維症の症状を低減するか、線維症の進行を遅延もしくは停止させることができるように、繊維症(例えば、慢性腎疾患に伴う肺線維症または線維症)を有するヒト患者などの対象を治療することができる。治療方法は、繊維症についての臨床検査(例えば、X線またはCTスキャンのような画像試験)に基づいて、対象を治療の候補として診断または識別することを含むことができる。対象を治療するために、当業者は、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含有する組成物を同対象に投与することができる。細胞外ActRIIB変異体を含有する組成物は、例えば、非経口注射(例えば、静脈内注射)によって、対象に投与して繊維症を治療するか、あるいは、線維性組織または臓器に局所的に投与(例えば、注射)することができる。細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)は、治療有効量、例えば、0.01~500mg/kg(例えば、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、150、200、250、300、350、400、450、または500mg/kg)にて投与される。いくつかの実施形態において、細胞外ActRIIB変異体は、隔月で、月に1回、2週間に1回、または少なくとも週に1回以上(例えば、週に1、2、3、4、5、6、または7回またはそれ以上)投与される。細胞外ActRIIB変異体は、線維症の症状を低減するか、線維症の進行を遅延もしくは停止させるのに十分な量で投与される。
組成物を患者に投与した後、当業者は、様々な方法による治療に応答した患者の改善を監視することができる。たとえば、医師は、画像試験を実施して患者の繊維症を監視し、かつ標準的な臨床試験を用いて患者の症状を監視することができる。組成物の投与前の試験結果と比較して、組成物の投与後に、患者の症状が低減したか、あるいは患者の繊維症の進行が遅延もしくは停止したという発見は、患者が治療に好意的に反応していることを示す。その後の用量は、必要に応じて決定および投与することができる。
実施例15:細胞外ActRIIB変異体の投与による肺高血圧症の治療
本明細書に開示される方法によれば、当業者は、PHの症状を低減するか、PHの進行を遅延もしくは停止させることができるように、肺高血圧症(PH、例えば、PAH)を有するヒト患者などの対象を治療することができる。治療方法は、PHについての標準的な臨床検査(例えば、心エコー図、心電図、胸部X線、右心カテーテル検査)に基づいて、対象を治療の候補として診断または識別することを含むことができる。対象を治療するために、当業者は、細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)を含有する組成物を同対象に投与することができる。細胞外ActRIIB変異体を含有する組成物は、例えば、非経口注射(例えば、静脈内注射)によって、対象に投与して、PHを治療することができる。細胞外ActRIIB変異体(例えば、配列番号1~15(例えば、配列番号2~15)のうちいずれか1つの配列を有する細胞外ActRIIB変異体)は、治療有効量、例えば、0.01~500mg/kg(例えば、0.01、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、100、150、200、250、300、350、400、450、または500mg/kg)にて投与される。いくつかの実施形態において、細胞外ActRIIB変異体は、隔月で、月に1回、2週間に1回、または少なくとも週に1回以上(例えば、週に1、2、3、4、5、6、または7回またはそれ以上)投与される。細胞外ActRIIB変異体は、PHの症状を低減するか、PHの進行を遅延もしくは停止させるのに十分な量で投与される。
組成物を患者に投与した後、当業者は、様々な方法による治療に応答した患者の改善を監視することができる。たとえば、医師は、標準的な臨床試験を用いて、かつ患者の自己報告を用いて、患者の症状を監視することができる。組成物の投与前の試験結果と比較して、組成物の投与後に、患者のPHの症状が低減したか、あるいは患者のPHの進行が遅延もしくは停止したという発見は、患者が治療に好意的に反応していることを示す。その後の用量は、必要に応じて決定および投与することができる。
その他の実施形態
本発明をその特定の実施形態に関して記載してきたが、さらなる改変が可能であり、本願は、一般に本発明の原理に従う本発明のいずれの変形形態、使用、または適応も包含することが意図され、本開示からのそのような逸脱を含むことは、本発明が属する技術分野内の既知または関連の実施の範囲内にあり、以上に示す本質的特徴に該当し得ることが理解されるであろう。
各個の刊行物、特許、および特許出願の全内容が本明細書の一部として援用されることが具体的かつ個々に示される場合と同等に、全ての刊行物、特許、および特許出願の全内容は本明細書の一部として援用される。
他の実施形態も以下の特許請求の範囲内にある。

Claims (20)

  1. 配列番号12~15のいずれか1つの配列を有する細胞外アクチビンIIB型受容体(ActRIIB)変異体を含むポリペプチドであって、前記ポリペプチドは、200pM以上のK でヒト骨形成因子9(BMP9)と結合し、800pM以下のK でヒトアクチビンAと結合し、かつ800pM以下のK でヒトアクチビンBと結合する、ポリペプチド。
  2. 前記変異体は、配列番号12の配列を有する、請求項1に記載のポリペプチド。
  3. 前記変異体は、配列番号13の配列を有する、請求項1に記載のポリペプチド。
  4. 前記変異体は、配列番号14の配列を有する、請求項1に記載のポリペプチド。
  5. 前記変異体は、配列番号15の配列を有する、請求項1に記載のポリペプチド。
  6. リンカーを介して前記ポリペプチドのC末端に融合された、Fcドメイン単量体、Fcドメイン、アルブミン結合ペプチド、フィブロネクチンドメインまたはヒト血清アルブミンをさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリペプチド。
  7. 前記ポリペプチドは、リンカーを介して前記ポリペプチドのC末端に融合されたFcドメイン単量体を含む、請求項6に記載のポリペプチド。
  8. 前記ポリペプチドは、ホモ二量体の形態である、請求項7に記載のポリペプチド。
  9. 請求項1~のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする核酸分子。
  10. 請求項に記載の核酸分子を含むベクター。
  11. 請求項1~のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項に記載の核酸分子または請求項10に記載のベクターと、1つ以上の薬学上許容される担体または賦形剤と、を含む医薬組成物。
  12. 骨疾患を有するか、あるいはそれを発症するリスクにある対象を治療するための医薬組成物であって、請求項1~のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項に記載の核酸分子、または請求項10に記載のベクター、の治療有効量を含む、医薬組成物。
  13. 前記骨疾患は、原発性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、骨減少症、大理石骨病、骨折、骨がんもしくはがん転移関連骨量減少、パジェット病、腎性骨異栄養症、治療関連骨量減少、食事関連骨量減少、肥満の治療に関連する骨量減少、低重力関連骨量減少、または不動関連骨量減少である、請求項12に記載の医薬組成物。
  14. 肺高血圧症(PH)を有するか、あるいはそれを発症するリスクにある対象を治療するための医薬組成物であって、請求項1~のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項に記載の核酸分子、または請求項10に記載のベクター、の治療有効量を含む、医薬組成物。
  15. 前記PHは、肺動脈高血圧症(PAH)、静脈性PH、低酸素性PH、血栓塞栓性PH、またはその他のPHである、請求項14に記載の医薬組成物。
  16. 線維症を有するか、あるいはそれを発症するリスクにある対象を治療するための医薬組成物であって、請求項1~のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項に記載の核酸分子、または請求項10に記載のベクター、の治療有効量を含む、医薬組成物。
  17. 前記線維症は、化学療法薬誘発線維症、放射線誘発線維症、肺線維症、肝線維症、腎線維症、角膜線維症、心線維症、骨髄線維症、縦隔線維症、後腹膜線維症、骨関節線維症、関節線維症、組織線維症、腫瘍間質、線維形成性腫瘍、外科的癒着、肥厚性瘢痕、ケロイド、あるいは、創傷、火傷、B型またはC型肝炎感染、脂肪肝疾患、住血吸虫感染、腎疾患、慢性腎疾患、心疾患、黄斑変性、網膜または硝子体網膜症、クローン病、全身性または局所性強皮症、アテローム性動脈硬化症または再狭窄、に関連する繊維症である、請求項16に記載の医薬組成物。
  18. 前記組織線維症は、筋組織、皮膚表皮、皮膚真皮、腱、軟骨、膵臓組織、子宮組織、神経組織、精巣、卵巣、副腎、動脈、静脈、結腸、小腸、大腸、胆道および腸からなる群から選択される組織に作用する線維症である、請求項17に記載の医薬組成物。
  19. 筋力低下および筋肉の萎縮を含む疾患または病態を有する対象またはそれらを発症するリスクがある対象を治療するための医薬組成物であって、請求項1~のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項に記載の核酸分子、または請求項10に記載のベクター、の治療有効量を含む、医薬組成物。
  20. 前記対象は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕筋ジストロフィー、封入体筋炎、筋萎縮性側索硬化症、サルコペニア、またはがん悪液質を有する、請求項19に記載の医薬組成物。
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