JP7506612B2 - ピストンストロークピペットを駆動する方法、ピストンストロークピペット、データ処理装置及びシステム - Google Patents

ピストンストロークピペットを駆動する方法、ピストンストロークピペット、データ処理装置及びシステム Download PDF

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Description

本発明は、コンピュータ制御される手持ちのピストンストロークピペットを駆動する方法、コンピュータプログラム及びシステム並びにそのようなピストンストロークピペット及びそれと協働するデータ処理装置に関する。
この種の手持ちのピストンストロークピペットは、通常、医療、生物学、生物化学、化学及び他の実験室内で使用される。それらは実験室内で、小さい容量を有する流体の試料を移送しかつ移し替えるため、特に試料を正確に配量するために、用いられる。ピストンストロークピペットにおいて、たとえば液状の試料が負圧によってピペット尖端へ吸い込まれて、そこで保管され、かつ目標場所において再びそこから放出される。電気的に駆動される手持ちのピストンストロークピペットは、しばしば、少なくとも1種類のピペット処理プロセスを自動化して実施するために、少なくとも1つのピペット処理プログラムによって制御可能である。
一般的な意味において、ピペット処理装置に属するのは、たとえば手持ちのピペット及びディスペンサーである。手持ちのピペットは、人としてのユーザーが片手で利用するように形成されている。しかし、ロボット操作される把持アームを有する実験室自動機も存在し、それの把持工具が手持ちのピペットの操作によって人の手の活動を模擬し、かつその把持アームは手持ちのピペットを操作して駆動するように整えられている。
ピペットというのは、器具に対応づけられ、かつ特にピストンを有することができる移動装置を用いて、ピペット処理すべき試料をピペットと接続されたピペット処理容器内へ吸い込むことができる器具である。「エアクッションピペット」とも称されるピストンストロークピペットにおいては、ピストンが器具に対応づけられている。ピペット尖端内に配置されて、ピペット処理される試料とピストン端部との間にエアクッションが存在し、そのエアクッションは試料をピペット尖端内に収容する際に伸張され、それによって試料が負圧によってピペット尖端内へ吸い込まれる。ディスペンサーというのは、特にピストンを有することができる移動装置を用いて、ディスペンサーと接続されたピペット処理容器内へピペット処理すべき容量を吸い込むことができる器具であって、移動装置は、たとえばピストンがピペット処理容器内に配置されることによって、少なくとも部分的にピペット処理容器に対応づけられている。ディスペンサーにおいては、ピストン端部はピペット処理すべき試料のすぐ近傍に位置し、あるいはそれと接触し、それによってディスペンサーはダイレクト押し出しピペットとも称される。
ピペット処理装置において、個々の操作によって放出される試料量は、器具内へ吸い上げられる試料量に相当することができる。しかしまた、複数の放出量に相当する、収容されている試料量を段階的に再び放出することもできる。さらにシングルチャネルピペット処理装置とマルチチャネルピペット処理装置が区別され、シングルピペット処理装置は唯一の放出/収容チャネルのみを有し、かつマルチチャネルピペット処理装置は複数の放出/収容チャネルを有しており、それらは特に複数の試料の並列の放出又は収容を許す。ピペット処理装置は、特に手で操作することができ、すなわち移動装置の駆動がユーザーによって行われることを意味し、かつ/又は特に電子的に駆動することができる。移動装置を手で駆動する場合でも、ピペット処理装置は、たとえば実際の放出量又は少なくとも1つの他の駆動パラメータが電気的に調節されることによって、電気的なピペット処理装置とすることができる。本発明の枠内で記述されるピペット処理装置は、電気的なピペット駆動装置を有する、コンピュータ制御される手持ちのピストンストロークピペットであり、手持ちの電子ピペットとも称される。
従来技術の手持ちの電子的なピペットの例は、ドイツ、ハンブルクのエッペンドルフAGのEppendorf 登録商標Xplorerと登録商標 Xplorer plusである;手持ちの電子的なディスペンサーの例は、ドイツ、ハンブルクのエッペンドルフAGの登録商標Multipette E3と登録商標Multipette E3xである。
電気的なピペット処理装置は、非電気的なピペット処理装置に比較して多数の利点を提供する。というのは、簡単なやり方で多数の機能を実装することができるからである。特に電気的なピペット処理装置においては、プログラム制御された所定のピペット処理プロセスの実施が、それらが自動化又は半自動化されることによって、簡略化される。しかるべきピペット処理プログラムを用いてこの種のピペット処理プロセスを制御するための典型的な駆動パラメータは、液体を吸い込みあるいは放出する際の容量、その順序と繰り返し、及び場合によってはこれらのプロセスを時間的に分配する場合のその時間的なパラメータに関する。電気的なピペット処理装置は、1つの駆動モードにおいて、あるいは複数の駆動モードにおいて駆動されるように、形成することができる。1つの駆動モードにおいて、ピペット処理装置のピペット処理プロセスを調節又は制御する1つ又は複数の駆動パラメータを有するセットが、自動的に照会され、調節及び/又は適用されるようにすることができる。
実際において、ピストンストロークピペットは、しばしば水性の試料をピペット処理するために使用され、したがってそれにおいて水が液状の試料のベースを形成する。水性の液体をピペット尖端内へ吸い込んだ後に、ピペット尖端の内部とピストン端部との間の空気室(いわゆる「エアクッション」の領域)内には、実質的に一定の空気圧が存在する。空気圧の排除は、特に、液体の温度が変化した場合に生じる。というのは蒸気圧が温度に依存するからである。以下、異なる記述がない場合には、室温における状態が前提とされる。この場合において、水およびそれに伴ってピペット処理される試料の蒸気圧は、ピペット尖端内へ水性の試料を吸い込んだ直後も、実質的に一定である。蒸気圧は、閉鎖されたシステム内で蒸気が付属の液体の相と熱動的に均衡している場合に生じる圧力である。
水性の試料の場合とは異なり、より高い蒸気圧を有する液体においては、試料が最初にピペット尖端内へ吸い込まれた後に滴るという問題が生じる。その理由は、これらの液体においては、上述した空気室内の蒸気が、最初の吸い込み後の吸い込まれた液体とまだ熱動的に均衡しておらず、むしろ最初の吸い込み後にある期間の間圧力が上昇し、水の場合よりも蒸気圧が著しく増大した場合に初めて熱動的な均衡が達成されることであって、それによって液状の試料の滴りがもたらされる。
本発明の基礎となる実験において、比較的高い蒸気圧を有する液体が、蒸気圧が異なる3つのクラスに分割された。第1のクラスへ入る溶剤はエタノール、第2のクラスへはメタノール、そして第3のクラスに入るのはアセトンである。3つすべてのクラスにおいて、液体は、水よりもずっと高い蒸気圧を有する液体であって、アセトンが最高の蒸気圧を有する。
比較的高い蒸気圧を有する上述した液体は、上述した滴り落ちる問題に基づいて、ピペット処理が水よりも困難である。
本発明の課題は、水よりも高い蒸気圧を有する液体も快適かつ正確にピペット処理する方法、システム及びコンピュータプログラムもしくはピストンストロークピペットを提供することである。
本発明はこの課題を、請求項1に記載の方法、請求項12に記載の手持ちのピストンストロークピペット、請求項15に記載のシステム、請求項16に記載のコンピュータプログラム及び請求項17に記載のデータ処理装置によって解決する。好ましい形態が、特に下位請求項の対象である。
本発明に係る方法は、コンピュータ制御される手持ちのピストンストロークピペットを駆動する方法であって、そのピストンストロークピペットは液状の試料によってピペット処理プロセスをコンピュータ制御で実施するために、特にピペット尖端の内側を自動的にプリウェットするために、用いられ、そのピペット尖端はピストンストロークピペットのワーキングコーンに配置されており、方法は、ピペット処理プロセスを特徴づける変数xに従って1つ又は複数のプリウェットステップの数n_vbを示す関数n_vb(x)を準備し、・ピペット処理プロセスを特徴づける変数xの少なくとも1つのパラメータ値を検出し、・関数n_vb(x)から、変数xに対応づけられたプリウェットステップの数n_vbを求め、・1つのプリウェットステップ又は数n_vbの複数のプリウェットステップの1つのシーケンスを実施し、n_vb<>0であり、かつプリウェットステップにおいてそれぞれ、ピストンストロークピペットによって、試料容量をピペット尖端内へ収容するために、電気的に駆動されるピストン運動が実施され、それに続いて、ピペット尖端内に含まれる試料容量を少なくとも部分的又は完全に再びピペット尖端から放出するために、逆のピストン運動が実施される、コンピュータ制御されるステップを有する。
関数n_vb(x)は、1つ又は複数の変数xの値に、値n_vbを対応づける。関数n_vb(x)の値領域は、少なくとも2つの異なる値を有している。
変数xは、一次元とすることができ、したがって唯一のパラメータ、たとえば容量、のみとすることができる。変数xは、多次元とすることがで、したがって複数のパラメータ、たとえば液体タイプと容量、を有することができる。変数xに従って様々な値n_vbを選択できることによって、種々のピペット処理条件のために個別の数のプリウェットステップを選択することができる。このようにして特に、プリウェットステップからもたらされる時間消費を最適化することが、可能であって、それは、水よりも高い蒸気圧を有する液体において所望のピペット処理プロセスを、液体の滴り落ちなしでも正確に実施することができるようにするために、必要である。時間的な最適化のための尺度として、たとえば簡単に、プリウェットステップの数によって、ピペット尖端内に試料を完全に収容してから測定して期間Δtの間、液体で満たされたピペット尖端の滴り落ちを阻止することを、利用することができる。
本発明は、液体がピペット尖端内に収容された場合に液体とピストンの間の空間内にプリウェットステップによって調節可能な熱動的均衡に達するまでの時間が、種々のファクターに依存し得る、という観察に基づいている。これらの容易に求められるファクターもしくはパラメータが考慮される場合に、該当する液体試料のための最適なピペット処理戦略が得られる。
ピペット尖端をプリウェットする場合に、液体と液体の上方に位置する空気容量との間に装填されたピペット尖端によって形成される、液体境界面が増大する。ピペット尖端内に液体を吸い上げた後に、この液体境界面はまずメニスカスによって形成され、その表面はピペット尖端が垂直に保持されている場合に、メニスカスの高さに存在する、ピペット尖端によって形成されるピペット尖端の円錐又は円筒状の容器内部を通る円形の横断面よりも、少し大きい面積を有する。ピペット尖端から液体がほぼ完全に放出された場合に、ピペット尖端の内側には液体フィルムが残留し、その液体フィルムは-第1の近似において-ピペット尖端の前もって最大に湿潤された内側面に相当する。この湿潤面はメニスカスよりもずっと大きいので、-液体が完全に蒸発するまでは-時間あたり蒸発する液体も同様に大きくなる。それによって、均衡のために空気容量内に必要な蒸気圧は、より迅速に形成することができる。重力の力と空気室内に存在する負圧との間の均衡は、必要なプリウェットステップの実施後すぐに存在するので、少なくとも考察されるテスト期間Δtの間は滴り落ちが阻止される。すべての液体、ピペット尖端及びピストンストロークピペットの器具タイプのために簡単かつ再現可能に実施できるしかるべき測定について、図に関連して説明されている。
関数n_vb(x)は、好ましくは、ピペット処理プロセスを特徴づける変数xに従って1つ又は複数のプリウェットステップの数n_vbを、次のように、すなわち液状の試料とピストンストロークピペットの移動されないピストンとの間の空気クッション内にプリウェットによって得られる空気圧が充分に一定であって、それによってピペット処理プロセス内でピペット尖端内へ吸い上げるべき試料の滴り落ちが阻止されるように、最適化する。特に、空気圧は、標準条件のもとで期間Δtの間滴り落ちが阻止される場合に、充分に一定であると見なされる。手動のピペット処理に適した期間は、たとえばそれぞれ好ましくは、Δt=10秒、Δt=15s、Δt=20s、Δt=25s、Δt=30s、Δt=40s、Δt=50s、Δt=60sである。標準条件は、室温における状況を内容とし、ピストンストロークピペットは、ピペット処理すべき試料の容量Vをピペット尖端内へ吸い込んでから、たとえばピストンストロークピペットをピペットスタンド内に位置ぎめすることにより、振動なし、かつ動かさずに保管すべきであって、ピペット尖端は特に垂直に、したがって重力の力に対して平行に保管される。吸い込みの終了から、最初の液体滴がピペット尖端の下方の端部から滴り落ちるまでの時間が、検出される。
プリウェットの数n_vbを求める際の重要なファクターとして、液体タイプ、すなわち特に標準条件下で吸い上げるべき液体の蒸気圧が明らかにされている。エタノールの場合にはこの蒸気圧は58hPa、メタノールの場合には129hPa、そしてアセトンの場合には246hPaである。液体タイプは、ピペット処理すべき試料のメイン液体成分によって化学的に識別するパラメータID_LMによって、記述することができる。
既知の蒸気圧を有する液体を混合する場合に、混合比は、プリウェットの数n_vbを求める際のファクターとして利用することができる。特に蒸気圧が低いことに基づいて滴り落ちる傾向にない液体、たとえば水を、より高い蒸気圧を有する液体用の希釈剤として使用する場合に、希釈もプリウェットの数n_vbを求める場合のファクターとして、特にピペット処理すべき液状の試料内に含まれる希釈剤の量、容量割合又は重量割合を、パラメータID_VMによって識別可能に挙げることによって、使用される。
プリウェットの数n_vbを求める際の他の重要なファクターとして、ピペット尖端の呼び容量(名目上の最大充填)に関する、ピペット尖端内の充填状態が明らかにされ、その充填状態は、たとえば呼び容量の100%、50%及び10%において考慮することができる。それと同様に、ピペット処理プロセスにおいてピペット尖端内へ収容される容量Vが、プリウェットの数n_vbを求める際の重要なファクターである。
プリウェットの数n_vbを求める場合の他の重要なファクターとして、ピストンストロークピペットの器具タイプが明らかにされた。これは特に、ワーキングコーンの出口とピストンストロークピペットのピストンとの間の空気室の容量が器具毎に異なることによって、説明される。上述した空気室は、均衡を形成するために蒸気圧が生じなければならない、液体とピストン端部との間の空気室全体に、著しく寄与する。したがってピペット処理プロセスを実施するピストンストロークピペットの器具タイプを識別するパラメータID_GTも、ファクターもしくはパラメータとして利用することができる。この種のパラメータと同じく重要なのが、それぞれ所定の器具タイプが所定の呼び容量を有する(たとえばピペットセット:10μlピペット、100μlピペット、300μlピペット、1000μlピペット、1200μlピペット、5mlピペット、10mlピペット)、既知のピストンストロークピペットのセットにおいて、ピペットの呼び容量を有し、したがってピペットを一義的に識別する、パラメータV_nomの使用である。
ピペット尖端タイプも、プリウェットの数n_vbを求める際に使用することができるパラメータである。一方で、湿潤可能性は、ピペット尖端の材料によって変化する。他方で、ピペット尖端は、蒸気圧の調節を定める様々な内面大きさと変化する呼び容量及び液体の上方の空気室容量を有している。したがってピペット処理プロセスにおいて使用されるピペット尖端を識別するパラメータID_STも、ファクターもしくはパラメータとして利用することができる。
プリウェットの数n_vbを求める際に使用可能な他のパラメータは、ピストンストロークピペットのピストンが少なくとも1つのプリウェットステップを実施する際に移動する速度v_Kとすることができる。しかしこれに関連して特に好ましくは、所定のピストンストロークピペットにおいて調節可能な最大の速度を使用することである。というのはそれによって直接、少なくとも1つのプリウェットステップの実施のために必要な期間が定められるからであって、それが期間を最小化することに相当する。
蒸気圧及びそれに伴ってプリウェットの数n_vbも、環境パラメータにp_uに依存するので、これもファクターとして利用することができる。プリウェットの数n_vbを求めるための重要なパラメータは、ピペット処理プロセスにおいて存在する、ピストンストロークピペット又はピペット処理プロセス内でピペット処理すべき液状の試料の温度T及び/又はピペット処理プロセスにおいて存在するピストンストロークピペットの周囲の空気圧又は蒸気圧Pである。
関数n_vb(x)は、1次元又は多次元の変数xの値に、値n_vbを対応づける。関数n_vb(x)の値領域は、少なくとも2つの異なる値を有している。実際において種々のピペット処理状況のために有効な関数n_vb(x)は、多次元の変数xのコンポーネントもしくはパラメータに対する値n_vbの多数の異なる対応づけを有しており、値領域は数n_vbの多数の異なる値を有している。対応づけは、関数n_vb(x)を表すことができる、データ対応づけ表の形式で存在することができる。この関数は、変数xに数n_vbを対応づけるために、データ対応づけ表を有することができる。
好ましくは、変数xは、以下のパラメータの組合せを有する:
・ピペット処理すべき液状の試料のメイン液体成分を化学的に識別するパラメータID_LM、
・ピストンストロークピペットの器具タイプを識別するパラメータID_GT又はV_nom、
・ピストンストロークピペットに適合するピペット尖端の、少なくとも1つ又は2つの異なる充填状態FV_nom、あるいは正確に2つ又は正確に3つの異なる充填状態FV_nom、特に呼び容量の10%、50%及び/又は100%における充填状態FV_nom。
この組合せx=(ID_LM;ID_GT又はV_nom;FV_nom)は、実際において、プリウェットのほぼすべてのピペット処理状況に適した数n_vbを示すのに、適していることが明らかにされた。特に、ピペット処理すべき、もしくはピペット尖端内へ収容すべき、値FV_nomに相当しない、液体試料容量のために、アルゴリズムもしくは値ペア(n_vb;FV_nom)から求められる近似式から適切な数が示される。適切な近似式として、特に直線又は2つの直線セクションからなる組合せが明らかにされている。これについて、以下でさらに説明する。
実際においては、さらに、技術的には必ずしも強制するものではないが、プリウェットステップの数n_vbを最大数n_maxに制限すると、好ましいことが明らかにされている。特に数n_max=99、n_max50;n_max=20;n_max=10が、有意義であることが明らかにされている。この種の値において、滴り落ち安全性の最大化に、あるいはプリウェットのために使用される期間の最小化(時間最適化)に焦点を当てて、ほとんどの液体で最適に作業がなされる。ピペット処理すべき試料において、xの所定のパラメータの元で滴り落ちが示されない場合に、しかるべきパラメータxにおいて関数n_vb(x)によって実際に値N_vb(ゼロ)が割り当てられ、そこではプリウェットは不要である。本発明において、関数n_vb(x)は少なくとも1つの値n_vb>0を有しており、その値が少なくとも1つの変数において、したがってパラメータの組合せxに、対応づけられる。
所望の時間最適化に基づいて、さらに、ピストン運動の最大の速度v_K_maxを使用すると、好ましいことが明らかにされている。最大のピストン速度は、本発明の基礎となる実験において、呼び容量V_nom=10μl、100μl、300μl000μlを有するピストンストロークピペットにおいて、それぞれv_K_max=V_nom/1.8sであり、V_nom=1200μlの場合にv_K_max=V_nom/2.0s、V_nom=5ml、10mlの場合にv_K_max=5.2sであった。
また、関数n_vb(x)は、変数xに数n_vbを対応づけるために、部分的又は完全に少なくとも1つの計算アルゴリズムを有することができ、あるいはそれによって表すことができる。この種のアルゴリズム対応づけは、特に、経験的に定められているので既知の、n_vb(x)の値対応づけに基づいて、補間又は補外によって他の値を定めるのに、適している。たとえば変数xのパラメータのいくつかは、経験的に定めることができ、かつ、選択されたパラメータxi、したがってxに基づくコンポーネントのために、アルゴリズムを用いて対応づけを行うことができ、その対応づけがxiの変数に所望の値n_vb(xi)を対応づける。特に、ピストンストロークピペットの器具タイプが前もって定められている場合に、特に前もって定められたピペット尖端タイプ及び特に前もって定められた液体タイプにおいて、アルゴリズムを介して一連の値対応づけn_vb(xi)を行うことができ、xiは、特に、計画されたピペット処理プロセスにおいてピペット処理すべき、特にピペット尖端内へ吸い上げるべき容量Vとすることができる。
変数xは、好ましい実施形態において、ピペット処理プロセスにおいてピペット尖端内へ吸い上げるべきピペット処理容量Vの容量のパラメータ値Vを内容とし、あるいはこのパラメータ値Vによって形成され、関数n_vb(V)は、特にピペット処理プロセスにおいて吸い上げられた試料の溶剤に従って、n_vbとVの間の線形の関係として、したがってn_vb=a*V+bとして、記述される。aとbは、実数である。好ましくはピペット処理可能な容量Vの領域が2つのセクションに分割されており、それらの中でそれぞれ特徴的なパラメータセットa、bが有効であるので、可能な容量の第1のセクションV1からV2内では関係n_vb=a1*V+b1が成立し、可能な容量の第2のセクションV2からV3においては、関係n_vb=a2*V+b2が成立し、かつ特にa1<>a2でありb1<>b2である。この表示は、実験においてピペット処理容量Vに依存するプリウェットの最適な数n_vbの充分に正確な記述をもたらす。
本発明に係る方法は、特に、ピストンストロークピペットのワーキングコーンに配置されているピペット尖端の内側を自動的にプリウェットするための方法であって、請求項に挙げられた、コンピュータ制御されるステップを有する。プリウェットが正確なピペット処理ステップの実施をもたらすので、本発明に係る方法は、特にコンピュータ制御される手持ちのピストンストロークピペットを用いてコンピュータ制御されるピペット処理ステップを実施する方法であって、自動的にプリウェットするための本発明に係る方法のステップを有し、かつ数n(n>=1)の1つ又は複数のプリウェットステップのシーケンスの実施に続いて、・液状の試料の試料容量Vをピペット尖端内へ吸い上げて、特に液状の試料のこの試料容量Vを、特に未定の期間又は所定の期間Δtの間、ピペット尖端内に保持する、コンピュータ制御されるステップが自動的に実施される。
ピペット処理プロセスを特徴づける変数xに従って1つ又は複数のプリウェットステップの数n_vbを示す関数n_vb(x)の準備は、様々なやり方で器具技術的に実装することができる:
好ましくは外部のデータ処理装置を設けることができ、そのデータ処理装置は特にデータインターフェイス装置、特にユーザーインターフェイス装置(たとえばタッチスクリーン)と特に電子的な制御装置を有している。1つ又は複数のピストンストロークピペットを設けることができ、ピストンストロークピペットはそれぞれ電子的な制御装置を有することができる。外部のデータ処理装置とピストンストロークピペットの制御装置は、それぞれ、ワイヤ接続された、あるいは好ましくはワイヤレスのデータ接続を介してデータを交換するように、整えることができる。
データ接続は、特に、好ましくは無線網、とくにWLANを使用する、データ遠隔接続とすることができる。そのために外部のデータ処理装置とピストンストロークピペットは、好ましくはそれぞれデータ交換のための無線装置、特に無線モジュール、たとえばWLANネットワークアダプタを有している。
外部のデータ処理装置の制御装置は、好ましくは、データインターフェイス装置、特にユーザーインターフェイス装置を用いて、変数xの前述のパラメータの少なくとも1つあるいはすべてを、特に1つ又は複数のパラメータID_LM、ID_VM、ID_GT、ID_ST、v_K、pu、T又はPを、検出するように、整えられている。データインターフェイス装置は、上述したパラメータの一部又はすべてを、データ接続、特にデータ遠隔接続、たとえばWLANを介して、たとえばPC、スマートフォン又はテーブルコンピュータとすることができる、他の外部のデータ処理装置によって、検出するように整えることができる。制御装置及び/又はデータインターフェイス装置は、パラメータ、特に変数xのパラメータを部分的又はすべて、データメモリ、特に外部のデータ処理装置のデータメモリから、検出するように、整えることができる。
ユーザーインターフェイス装置は、好ましくは少なくとも1つの入力手段、たとえばキーボード、コンピュータマウス器具、音声制御用のマイクロフォン、ジェスチャー検出用のカメラ、及び/又はタッチスクリーンを有し、それを介してユーザーは外部のデータ処理装置において入力を行うことができ、かつ好ましくは少なくとも1つの出力手段、たとえばモニター、ラウドスピーカーを有し、それを介してユーザーは、外部のデータ処理装置から情報を得ることができる。タッチスクリーンは、入力手段と出力手段の組み合わせとして用いることができる。しかし変数xは、外部のデータ処理装置と他の外部のデータ処理装置、特にコンピュータ、テーブルコンピュータ又はスマートフォンとの間の他のデータ接続を介して外部のデータ処理装置の制御装置から検出することもできる。
外部のデータ処理装置の制御装置もしくは外部のデータ処理装置及び/又はピストンストロークピペットもしくはその制御装置は、好ましくはデータメモリを有しており、そのデータメモリに関数n_vb(x)が記憶されており、あるいは記憶可能である。
外部のデータ処理装置の制御装置又はピストンストロークピペットの制御装置は、好ましくは変数xの上述したパラメータの少なくとも1つ又はすべてから関数n_vb(x)を用いてプリウェットステップの数n_vbの値を求めるように、整えられ、もしくはプログラミングされている。外部のデータ処理装置は、特に、-特にデータメモリに記憶された-制御ソフトウェアを使用することができ、その制御ソフトウェアは外部のデータ処理装置の機能、特に変数xを検出する機能、関数n_vb(x)から値n_vbを求める機能及び/又は、特に少なくとも1つの値、好ましくは前もって求められた値n_vbをピストンストロークピペットもしくはその制御装置へ伝達するために、ピストンストロークピペットとデータ交換する機能、を制御する。
特に関数n_vb(x)がピストンストロークピペット内に記憶されており、かつピストンストロークピペットの制御装置によって評価される場合には、本発明を実施するために外部のデータ処理装置は不可欠ではない。外部のデータ処理装置の制御装置を、変数xのパラメータをすべて又は部分的に、データインターフェイス装置を介して検出して、データ接続を介してピストンストロークピペットの制御装置へ伝達するように、整えもしくはプログラミングすることが、可能である。ピストンストロークピペットの制御装置は、このように検出された、変数xのパラメータを使用して、関数n_vb(x)から対応づけられた値n_vbを定めるように、整えることができ、関数n_vb(x)はピストンストロークピペットのデータメモリに記憶することができる。
外部のデータ処理装置の制御装置は、好ましくは、ピストンストロークピペットの制御装置へ少なくとも1つの値n_vbを伝達した後、あるいは変数xのパラメータを伝達した後に、ピストンストロークピペットの制御装置から応答信号、特に応答データを得るように、整えられ、もしくはプログラミングされている。この応答信号の受信によって、外部のデータ処理装置の制御装置は、好ましくは、送信されたパラメータの成功した伝達を記録し、かつ/又は伝達エラーを記録するように、整えられている。伝達の成功又は失敗を内容とする信号は、外部のデータ処理装置のユーザーインターフェイス装置を介してユーザーに出力することができる。
ピストンストロークピペットの制御装置は、好ましくは外部のデータ処理装置の制御装置から少なくとも値n_vbの検出後、あるいは変数xのパラメータの検出後に、外部のデータ処理装置の制御装置へ応答信号、特に応答データを伝達するように、整えられ、もしくはプログラミングされている。
好ましくは少なくとも1つのピストンストロークピペットの制御装置がデータ接続を介して値n_vbを検出して、それを好ましくは一時的にピストンストロークピペットのデータメモリに記憶する。少なくとも1つのピストンストロークピペットの制御装置が、値n_vbに加えてデータ接続を介してさらに他の値、特に所望のピペット処理プロセスにおいてピペット処理すべき液体容量V及び/又はピペット処理プロセスにおいて使用すべきピストン速度の速度v_Kも検出して、これらの値を特に一時的にピストンストロークピペットのデータメモリに記憶することも、効果的である。このようにして、1ステップ又は複数ステップのピペット処理プロセスを自動的に実施するのに必要なすべての値を、外部のデータ処理装置からピストンストロークピペットへ伝達することができ、そのピストンストロークピペットはこれらの値を、上述したピペット処理プロセスを実施するために使用する。
外部のデータ処理装置は、好ましくは手持ちのコンピュータである。外部のデータ処理装置は、手持ちのピストンストロークピペットの構成要素ではなく、したがって「外部の」と称される。そのデータ処理装置は、好ましくはハウジングを有しており、その中に外部のデータ処理装置の他のコンポーネントが設けられている。特に:制御装置、データインターフェイス装置、特にユーザーインターフェイス装置、特にモニター、特にタッチスクリーン、もしくはユーザー入力のための入力器具、データインターフェイス、特にデータ交換のための無線装置及び/又はパワー端子及び/又はアキュムレータ。
液状の試料によってピペット処理プロセスをコンピュータ制御で実施するための、本発明に係る手持ちのピストンストロークピペットは、電子制御装置、ピストンチャンバとその中で移動可能なピストン、ピストンを移動させるための電気的なピストン駆動装置、特に電気モータ、ワーキングコーンを有し、そのワーキングコーンにピペット尖端が固定可能である。制御装置は、ピストン駆動装置を制御し、かつピペット処理プログラムを実施するように、整えられており、そのピペット処理プログラムは、・1つ又は複数のプリウェットステップの数n_vbのシーケンスの実施、プリウェットステップにおいてそれぞれ特に、ピストンストロークピペットによって、試料容量をピペット尖端内へ収容するために、電気的に駆動されるピストン運動が実施され、かつそれに続いて、試料容量を少なくとも部分的又は完全にピペット尖端から放出するために、逆のピストン運動が実施され、・少なくとも1つのプリウェットステップに続いて:液状の試料の試料容量Vをピペット尖端内へ吸い込んで、かつ特に液状の試料のこの試料容量Vをピペット尖端内に、特に未定の期間又は所定の期間Δtの間、保持することを内容とする、ステップを有する、ピペット処理プロセスを実施させる
本発明に係る手持ちのピストンストロークピペットの制御装置は、好ましくは、ピペット処理プロセスにおいてピペット尖端内へ吸い込むべきピペット処理容量Vの値及び/又は値n_vbを、データ接続を介して外部のデータ処理装置から得るように、整えられおり、その外部のデータ処理装置がデータメモリを有し、その中に値V及び/又は値n_vbが記憶可能である。
ピストンストロークピペットは、シングルチャネルピペット又はマルチチャネルピペットとすることができる。シングルチャネルピペットは、唯一の放出チャネル/収容チャネルのみ、もしくは唯一のワーキングコーンのみを有しており、マルチチャネルピペットは、複数の放出チャネル/収容チャネルもしくはワーキングコーンを有し、それらが特に複数の試料の並行の放出又は収容を許す。
本発明は、また、ピペット尖端の内側を自動的にプリウェットするシステムに関するものであって、そのピペット尖端がコンピュータ制御される手持ちのピストンストロークピペットのワーキングコーンに配置されており、そのピストンストロークピペットは液状の試料によるピペット処理プロセスをコンピュータ制御で実施するために用いられ、システムは少なくとも1つの本発明に係る手持ちのピストンストロークピペット、外部のデータ処理装置を有し、そのデータ処理装置がユーザーインターフェイス装置(たとえばタッチスクリーン)と電子的な制御装置を有し、外部のデータ処理装置とピストンストロークピペットの制御装置は、データ接続、好ましくはデータ遠隔接続、たとえばWLANを介してデータを交換するように、整えられており、外部のデータ処理装置の制御装置は、ユーザーインターフェイス装置を用いて変数x、特にピペット処理プロセスにおいてピペット尖端内へ吸い込むべきピペット処理容量Vのパラメータ値V、ピペット処理すべき液状の試料の溶剤を識別するパラメータID_LM、ピペット処理プロセスを実施するピストンストロークピペットの器具タイプを識別するパラメータID_GT又はV_nom及び/又は特にピペット処理プロセス内で使用されるピペット尖端のピペット尖端タイプを識別するパラメータID_STを、検出するように整えられており、特にシステムが少なくとも1つのデータメモリを有しており、そのデータメモリが関数n_vb(x)を有し、それを介して制御装置が変数xの上述したパラメータの少なくとも1つ又はすべてからプリウェットステップの数n_vbの値を求め、かつシステムは、変数xの前述のパラメータの少なくとも1つ又はすべてから関数n_vb(x)を用いてプリウェットステップの数n_vbの値を求めるように、整えられており、少なくとも1つのピストンストロークピペットの制御装置は、特に外部のデータ処理装置とのデータ接続を介して、プリウェットステップの数n_vbを検出するように、整えられている。ピストンストロークピペットは、好ましくはパワー網に依存せずに駆動される器具であって、特にピストンストロークピペットの電気的な機能のためのエネルギ源としてアキュムレータを有している。
本発明は、また、特に上述した外部のデータ処理装置である、データ処理装置に関するものであって、
データインターフェイス装置、特にユーザーインターフェイス装置、たとえばタッチスクリーン及び
電子的な制御装置
を有し、
データ処理装置の制御装置は、データ接続、たとえばデータ遠隔接続、たとえばWLANを介してピストンストロークピペット、特に本発明に係るピストンストロークピペットの制御装置とデータを交換するように、整えられ、特にプログラミングされており、-したがってそれに適したコンピュータプログラム、特に本発明に係るコンピュータプログラムを有し-、そのピストンストロークピペットは、液状の試料によるピペット処理プロセスをコンピュータ制御で実施するために用いられ、
データ処理装置の制御装置は、データインターフェイス装置を用いて変数x、特にピペット処理プロセスにおいてピペット尖端内へ吸い込むべきピペット処理容量Vの容量のパラメータ値V、ピペット処理すべき試料の溶剤を識別するパラメータID_LM、ピペット処理プロセスを実施するピストンストロークピペットの器具タイプを識別するパラメータID_GT及び/又はピペット処理プロセスにおいて使用されるピペット尖端のピペット尖端タイプを識別するパラメータID_ST、を検出するように、整えられ、特にプログラミングされており、かつ
データ処理装置の制御装置は、変数xの上述したパラメータの少なくとも1つ又はすべてからプリウェットステップの数n_vbの値を求めて、ピストンストロークピペットの制御装置によるデータ処理のために提供し、かつ/又はデータ接続を介してピストンストロークピペットへ伝達するように、整えられ、特にプログラミングされている。データ処理装置、特にその制御装置は、データメモリを有することができ、そのデータメモリが関数n_vb(x)を有し、それを介して制御装置が変数xの上述したパラメータの少なくとも1つ又はすべてからプリウェットステップの数n_vbの値を求める。しかしこのデータメモリは、データ処理装置の外部の他のデータ処理装置上に配置することもでき、かつ変数xのパラメータもしくはそれから求められる値n_vbは、たとえばワイヤレス又はワイヤ接続のデータ接続を実現することができるデータインターフェイス装置を介して、データ処理装置の制御装置と他のデータ処理装置との間で、交換することができる。
本発明は、コンピュータプログラム、特にコンピュータ制御される手持ちのピストンストロークピペットを駆動するコンピュータプログラムにも関するものであり、そのピストンストロークピペットは液状の試料によるピペット処理プロセスをコンピュータ制御で実施するため、特にピストンストロークピペットのワーキングコーンに配置されているピペット尖端の内側を自動的にプリウェットするために用いられ、コンピュータプログラムは指令を有し、その指令は、ピストンストロークピペットの、あるいは外部のデータ処理装置の少なくとも1つの電気的な制御装置のセントラルプロセッサによってコンピュータプログラムを実施する場合に、このセントラルプロセッサに、・ピペット処理プロセスを特徴づける変数xの少なくとも1つのパラメータ値を検出し;・データメモリへアクセスし、そのデータメモリには関数n_vb(x)が記憶されており、その関数はピペット処理プロセスを特徴づける変数xに従って1つ又は複数のプリウェットステップの数n_vbを示し、・関数n_vb(x)から、変数xに対応づけられた、プリウェットステップの数n_vbを求め;少なくとも1つの値n_vbを準備し、それによってこの値はピストンストロークピペットの制御装置によって、数n_vbの少なくとも1つのプリウェットステップを実施するために、使用可能であり;選択的に:・1つのプリウェットステップ又は複数のプリウェットステップの数n_vbの1つのシーケンスを実施し、プリウェットステップにおいてそれぞれ、ピストンストロークピペットによって、試料容量をピペット尖端内へ収容するために、電気的に駆動されるピストン運動が実施され、かつそれに続いて、試料容量を少なくとも部分的に、あるいは完全にピペット尖端から放出するために、逆のピストン運動が実施され;・選択的に:少なくとも1つのプリウェットステップに続いて、ピペット尖端内へ液状の試料の試料容量Vを吸い込み、かつ特にピペット尖端内に液状の試料のこの試料容量Vを、特に未定の期間又は、特に30秒の所定の期間Δtの間、保持することを内容とする、ピペット処理プロセスを実施する、ステップを実施させる。
ピストンストロークピペット又は外部のデータ処理装置は、好ましくは記憶装置を有している。この記憶装置は、好ましくはデータメモリ、特にハードウェアデータメモリ、特に不揮発性データメモリ、特にEPROM又はFLASHメモリを有する。メモリ装置は、揮発性メモリを有することもできる。
本発明に係る手持ちのピストンストロークピペット、特にその制御装置は、好ましくは、少なくとも1つのピペット処理プロセスを実施するために、ピペット処理プロセスの制御に用いられる少なくとも1つの駆動パラメータを使用するように、形成されている。
ピストンストロークピペットもしくは外部のデータ処理装置の、制御する装置又は制御装置と略称もされる、電気的な制御装置は、好ましくはデータ処理装置を有しており、それが特に少なくとも1つのセントラルプロセッサ(CPU)を有している。制御装置は、好ましくはマイクロコントローラを有している。制御装置は、好ましくは、データ、特に駆動パラメータ及び/又は1つ又は複数のコンピュータプログラムもしくはコンピュータプログラムコードを記憶するための、少なくとも1つのメモリ装置もしくはデータメモリを有している。
制御装置は、好ましくは少なくとも1つの制御ソフトウェアもしくは制御プログラムを有しており、その制御プログラムは、ピペット処理プロセスの少なくとも1つの機能、あるいはピペット処理プロセスの一部又はピペット処理プロセスを、自動的に実施するため、特に、ピペット処理プロセス用に選択されたパラメータn_vb(これが駆動パラメータを形成する)を使用して、少なくとも1つのプリウェットステップを実施するために、この少なくとも1つの駆動パラメータを使用する。制御ソフトウェアもしくは制御プログラムは、特に制御装置のデータ処理装置によって、特にデータ処理装置のCPUによって、実施される。制御ソフトウェアもしくは制御プログラムは、特に器具のメモリ装置内に記憶されている。このメモリ装置は、好ましくは不揮発性メモリである。
本発明に係る手持ちのピストンストロークピペットは、好ましくは、ピペット処理装置の少なくとも1つの駆動モード(ID_OM)に基づいて少なくとも1つのピペット処理プロセスを実施するように、形成されている。駆動モード内には、好ましくはそれぞれ駆動パラメータ(駆動パラメータセット)が設けられており、その駆動パラメータが、この駆動モード内で実施されるピペット処理プロセスを制御するために用いられる。
ピペット処理プロセスにおいて、典型的に、ピペット処理プログラムに従ってスタート容器から所定の試料量が、ピストンストロークピペットと接続されたピペット容器、特にピペット尖端内へ収容され、かつ/又は目標容器内へ放出され、特に配量して放出される。ピペット処理プロセスは、好ましくは少なくとも1つ、好ましくは複数の駆動パラメータ又は駆動パラメータのセットによって制御され、その駆動パラメータによって上述したピペット処理プロセスあるいはその機能もしくは要素が所望のやり方で調節可能である。
ピペット処理プロセスを制御するための駆動パラメータは、好ましくはピストンストロークピペットと接続されたピペット容器内へ試料を吸い込むステップにおいて、あるいはこのピペット容器から試料を放出するステップにおいて、ピペット処理すべき容量、場合によってはこれらのステップの順序と繰り返し、及び場合によってはこれらのプロセスを時間的に分配する際の時間的パラメータ、特にまたこの種のプロセスの時間的変化、特に試料の吸い込み又は放出の速度及び/又は加速度、に関するものであり、もしくはそれらを数量化する。
これらの駆動パラメータは、好ましくは少なくとも部分的及び好ましくは完全に、特にピストンストロークピペット又は外部のデータ処理装置のユーザーインターフェイス装置の少なくとも1つの操作部材を介して、ユーザーによって選択及び/又は入力される。
ピペット処理プロセスは、好ましくは駆動パラメータセットによって一義的に定められている。この駆動パラメータセットは、好ましくは少なくとも部分的かつ好ましくは完全に、特にピストンストロークピペット又は外部のデータ処理装置の操作装置を介して、ユーザーによって選択及び/又は入力される。
しかし、ピペット処理プロセスが駆動パラメータセットによって一義的に定められないことが可能である。少なくとも1つの駆動パラメータがユーザーによって定められず、たとえば、ピペット処理装置に既知であると記憶されることにより、ピペット処理装置によって設定されることも、可能であり、かつ好ましい。
ピペット処理装置は、少なくとも1つの駆動パラメータを自動的に定めるように、形成することもできる。
ピストンストロークピペット又は外部のデータ処理装置は、センサ装置、たとえば周囲パラメータ、特に温度、空気湿度又は圧力、ピストンストロークピペットのピストン駆動のために使用されるモータ電流、を検出するためのセンサを有することができる。モータ電流は、特にピペット処理される液体の粘性を定めるために、したがって液体を特定し、もしくはID_LMを定めるために、使用することができる。センサ装置は、測定を実施するように形成することもでき、そのセンサによって、ピペット処理装置と接続されたピペット容器のタイプ、特にピペット容器、特にピペット尖端の最大の充填容量を求めることができる。ピストンストロークピペット又は外部のデータ処理装置は、少なくとも1つの駆動パラメータ、特に変数xを定めるために使用されるパラメータを、センサ装置の測定値に従って自動的に定めるように、形成することができる。それによって正確なピペット処理に必要なピペット処理パラメータの最適化が、さらに改良される。
次に、駆動モードと好ましくはそれに対応づけられた駆動パラメータについて説明し、それらはそれぞれ好ましくはピペット処理装置において設けられている:
好ましくは、ピペット処理すべきピペット容量を定める駆動パラメータが設けられている。吸い込みステップの間に吸い込むべき吸い込み容量を定める駆動パラメータを設けることができ、かつ/又は放出ステップの間に放出すべき放出容量を定める駆動パラメータを設けることができる。
好ましくは、直接互いに連続し、あるいは間接的に互いに連続するピペット処理容量の数を定める、少なくとも1つの駆動パラメータ、好ましくは吸い込みステップ及び/又は放出ステップの数及びそれぞれ好ましくは付属のピペット処理容量、それぞれ付属のピペット処理速度及び/又はピペット処理加速度、及び/又はステップの間のそれぞれ付属の時間間隔を定める、少なくとも1つの駆動パラメータが設けられている。
好ましくは、1つの駆動モードは、試料の「分配」(DIS)に関する。対応づけられた駆動パラメータはそれぞれ好ましくは:1つ又は複数の放出ステップの間のピペット処理容量に関する、個別試料の容量;放出ステップの数;1つ(複数)の試料を収容する際の速度;1つ(複数)の試料を放出する際の速度;分配機能は、特にマイクロティタープレートに反応液を急速に充填するのに適しており、たとえばELISAを実施するために使用することができる。
好ましくは、1つの駆動モードは、試料の「自動分配」(ADS)に関する。対応づけられた駆動パラメータは、それぞれ好ましくは:複数の放出ステップの1つのものの間のピペット処理容量に関する、個別試料の容量;放出ステップの数;放出ステップが一定の時間間隔で自動的に次々と実施される、タイムインターバルの長さ-タイムインターバルは、互いに連続する放出ステップの終了と開始の間のこれらの時間間隔あるいはたとえば減速を定めることができる;1つ(複数)の試料を収容する際の速度;1つ(複数)の試料を放出する際の速度。これらの分配機能は、マイクロティタープレートをさらに快適に充填するのに適している。というのは、適用者は、たとえばキーを押すことによって繰り返し放出ステップを作動させる必要はなく、自動的な分配の開始後に放出が時間制御で行われるからである。駆動モードのそれぞれ他の駆動プログラムのように、自動的な分配は、少なくとも操作部材が中断なく操作される場合、たとえば保持されたキーが中断なく押圧される場合に、該当するプログラムが行われる、という条件のもとで行うことができる。これは、たとえば、分配又は反応が長い場合に効果的であり、時間窓の正確な注意が必要である。自動的な分配機能は、さらに快適にマイクロティタープレートを充填するのに適している。その理由は、ユーザーはここでは個々の放出ステップを自ら作動させる必要はなく、これが自動的に行われるからであって、それは、たとえばELISAを実施するために使用することができる。
好ましくは1つの駆動モードは、試料の「ピペット処理」(Pip)に関する。対応づけられた駆動パラメータは、それぞれ好ましくは:ピペット処理すべき試料の容量:試料を収容する際の速度;試料を放出する際の速度。
好ましくは、1つの駆動モードは試料を「ピペット処理し、次に混合する」(P/Mix)ことに関する。対応づけられた駆動パラメータは、それぞれ好ましくは:吸い込むべきかつ/又は放出すべき試料の容量;混合容量;混合サイクルの数;試料を収容する際の速度;試料を放出する際の速度。「ピペット処理し、次に混合する」機能は、たとえばきわめて小さい容量をピペット処理するために推奨される。配量容量<10μLが選択された場合に、これをそれぞれの反応液内へ噴射することが、推奨される。これは、液体の放出後に混合運動を自動的に開始することによって、可能である。混合容量と混合サイクルは、前もって定められる。この駆動モードのための適用は、たとえば、その物理的特性に基づいて水よりも重い、配量すべき液体であって、ピペット容器あるいはピペット尖端内のその残りは、その後すでに提示された液体を用いてピペット容器もしくはピペット尖端から流し出される。他の適用は、放出された液体を提示された液体と即座に混合することである。この駆動モードは、たとえばDNAをPCR混合溶液へ添加する際に、効果的である。
好ましくは1つの駆動モードは、「逆分配」又は吸引を表す「ASP」とも称される、試料の「多重収容」である。対応づけられた駆動パラメータは、それぞれ好ましくは:吸い込むべき1つ(複数)の試料の容量;試料の数;収容する際の速度;放出する際の速度。この機能は、液体量の多重収容と全量の放出に用いられる。1つのステップにおいてピペット容器の多重充填は行われない。速度は、すべての試料について同一である。実施において、好ましくは以下のように行われる:基本位置から出発して、ピペット処理装置は、操作装置の第1の種類の操作によってそれぞれ部分容量を収容する。最後の部分容量の収容後に、ピペット処理装置は、好ましくは警告メッセージを出力し、それは、好ましくは適用者によって操作装置の第2の種類の操作により確認されなければならない。次に操作装置の第2の種類の操作が行われる場合に、全容量が再び放出される。第1又は第2の種類の操作のために、操作装置は好ましくは、制御装置へ「第1の種類」の操作信号を入力するための操作ボタンと制御装置へ「第2の種類」の操作信号を入力するための操作ボタンの少なくとも2つの操作ボタンを有している。操作装置は、特にシーソー部材として形成されており、そのシーソー部材は特にピペット処理装置の長手軸に対して垂直に軸を中心に、第1の種類の操作のための、第1の信号作動位置(「シーソーアップ」)と第2の種類の操作のための、第2の信号作動位置(「シーソーダウン」)の間で、揺動可能である。
好ましくは、1つの駆動モードは、「希釈」とも称される、試料の「Diluting」(Dil)に関する。対応づけられた駆動パラメータは、それぞれ好ましくは:試料容量;空気泡容量;希釈剤容量;収容の速度;放出の速度。最大の希釈剤容量=呼び容量-(試料+空気泡)。この機能は、空気泡による分離を有する試料と希釈剤の収容及び全量の放出に用いられる。速度は、すべての部分容量について等しい。実施において、好ましくは以下のことが行われる:基本位置から出発して、ピペット処理装置はまず希釈剤容量、その後空気泡、そして最後に試料を収容する。各収容は、好ましくは、第1の種類の操作装置の操作によって別々に作動される。その後、全量がまとめて放出される。
好ましくは1つの駆動モードは、試料の「シーケンシャル分配」(SeqD)に関する。対応づけられた駆動パラメータは、それぞれ好ましくは:試料の数(好ましくは5<=Nmax<=15の固定的に定められた最大数Nmaxまで、好ましくはNmax=10);個別試料の個別容量;収容の速度;放出の速度。この機能は、自由に選択可能な容量Nmaxのシーケンシャル分配に用いられ、好ましくはピペット容器の多重充填は行われない。速度は、すべての試料について等しい。試料の数は、好ましくは、個別容量を入力するためのガイドパラメータである。ピペットは、好ましくは容量を入力する場合に常に、ピペット処理装置の最大容量を上回らないか、を検査しなければならず、場合によっては警告メッセージが出力される。すべてのパラメータの入力後に、ピペット処理装置は操作装置の第1の種類の操作に応じて全容量を収容し、かつ操作装置の第2の種類の操作に応じてそれぞれ個別容量を放出する。他のすべてのシーケンスは、好ましくはノーマル分配と同様に行われる。
好ましくは1つの駆動モードは、試料の「シーケンシャルピペット処理」(SeqP)に関する。対応づけられた駆動パラメータは、それぞれ好ましくは:試料の数(好ましくは5<=Nmax<=15、固定的に定められた最大数Nmaxまで、好ましくはNmax=10);個別試料の個別容量;収容の速度;放出の速度。この機能は、最大Nmaxの自由に選択可能な容量のピペット処理に用いられ、それは始動前にプログラミングされて、その順序は固定である。速度は、この駆動モードの簡単な操作を可能にするために、すべての試料について同一である。しかし速度は、異なるように調節可能とすることもできる。機能のシーケンスは、ピペット処理のシーケンスに相当する。前もって入力された容量が、プログラミングされた順序で処理される。放出後に、操作部材の操作、たとえばキーの押圧を介して、次の試料を収容すべきか、あるいは次の試料の前に、まず「ブローアウト(Blowout)」、したがってピペット容器内にまだ含まれている試料をオーバーストロークによって完全、確実に吹き払うか、かつ/又はピペット容器の交換を行うべきか、が決定される。
好ましくは1つの駆動モードは、試料の「逆ピペット処理」(rPip)に関する。対応づけられた駆動パラメータは、それぞれ好ましくは:個別試料の容量;収容の速度;放出の速度;カウンターの作動。この機能「rPip」においては、配量すべき容量よりも多くが収容される。これは、ピストンが液体収容前に、すなわち第2の種類の操作によって、すなわち、たとえばキーの押圧又は「下方へのシーソー移動」によって、下方へ移動され、ついにはブローアウトの、したがってピストンのオーバーストロークの下方の位置まで移動されることによって、達成され、そのオーバーストロークは、ピペット処理ストロークにおけるピストンの位置を越えて移動する。容量収容の開始時に、ピペット処理装置はブローアウトの容量と調節された容量を収容する。放出方向の駆動におけるあそびを取り除くために、ピペット処理装置は、付加的なストロークを行い、そのストロークはすぐに再び放出される。これは、分配に似ているが、好ましくは最大の速度を有する投げ捨てストロークを自動的に放出して行われる。
駆動モード「rPip」の実施において、好ましくは以下のことが行われる:ピペット処理装置のピストンは、自動的にブローアウトへ走行して、下方の位置に留まる。第2に、操作装置の第1の種類の操作が行われる:ピストンは、ブローアウト区間の分とピペット処理容量のためのストロークの分だけ、上方へ走行する:第3に、操作装置の第2の種類の操作が行われる:ピストンはピペット処理容量のためのストロークを下方へ向かって走行し、かつブローアウトの前で留まる。第4に、操作装置の第2の種類の2つの操作が行われる:ピストンはブローアウトを実施して、下方の位置に留まる。「第4」の代わりに、操作装置の第1の種類の操作が行われる:ピストンは上方へ向かってピペット処理ストロークを走行する。モード「rPip」は、特に血漿、血清及び高いプロテイン含有量を有する他の液体のピペット処理に適している。水性の溶液のためには、特に「ピペット処理」のモードが適している。モード「rPip」は、特に、目標容器内へ放出する際に泡形成を最小限に抑えるために、湿潤剤を含む溶液に適している。液体は、特にオーバーストローク(ブローアウト容量)によって収容される。オーバーストロークは、典型的に放出容量に属しておらず、好ましくは目標容器内へ放出されない。特に同一の試料が新たに使用される場合に、オーバーストロークは尖端内に留まることができる。他の液体が使用される場合には、好ましくは、オーバーストローク及び/又はピペット容器は、捨て去られる。
駆動パラメータセットによって、好ましくは、所望のピペット処理プロセスを実施するための制御プログラムが制御される。制御プログラムは、それぞれ制御装置の電気的な回路の形式で形成することができ、かつ/又は実施可能なプログラムコードによって形成することができ、そのプログラムコードは、プログラムコード制御可能かつ好ましくはプログラミング可能な制御装置の制御に適している。
ピストンストロークピペット又は外部のデータ処理装置は、好ましくは、ユーザーによって入力されたパラメータ値を自動的に検査して、それぞれの駆動パラメータの許される領域と比較するように、形成されている。ユーザーによって入力されたパラメータ値が許容される領域の外部にある場合には、入力が受け入れられないか、あるいはデフォルト値にセットされ、そのデフォルト値は、たとえば最小値又は最大値又は最後に入力を許された値とすることができる。
ピストンストロークピペット又は外部のデータ処理装置は、好ましくはパワーネットに関係なく駆動される。特にそれぞれの器具には充電可能な電圧源、たとえば1つ又は複数のアキュムレータを設けることができる。これらの場合について、器具は、充電可能な電圧源と接続されたチャージインターフェイスを有することができる。
ピペット尖端は、特に使い捨て製品であって、好ましくはプラスチックからなる。それぞれ必要な最大の液体容量に応じて、ピストンストロークピペットを有するピペット尖端が使用される。市場で一般的なピペット尖端の典型的な呼び容量は、たとえば10μl、20μL、100μL、200μL、300μL、1000μL、1250μL、2500μL、5mL、10mLである(μL:マイクロリットル;mL:ミリリットル)。ピペット尖端は、通常、長手軸に沿って細長く延びる円錐形状の容器を有し、その容器が下方の端部に液体交換開口部を有し、かつ上方の端部には円錐状かつパイプ形状の、上方へ向かって開放した終端セクションを有している。液体をピペット尖端内へ吸い込むことは、ピペット尖端の内部空間内の負圧を介して行われる。ピペット尖端の内部空間は、差し込み位置とも称されるピペット処理位置内で(この位置内でピペット尖端は、-通常、差し込みによって-ピストンストロークピペットの接続セクションと接続されている)、ピストンストロークピペットのピペットチャネルと流体接続されており、そのピペットチャネルは、中空円筒状のピストンチャンバ内で電気的に移動可能な、ピストンストロークピペットのシリンダピストンを介して負圧/過圧を供給される。
本発明は、方法、手持ちのピストンストロークピペット、それと協働するデータ処理装置、システム及びコンピュータプログラムに関する。これらの各対象の可能かつ好ましい形態が、それぞれ他の対象のすべての形態の説明から得られ、特に手持ちのピストンストロークピペットの実施可能性は、方法、-特に外部の-データ処理装置、システム及びコンピュータプログラムの説明から明らかにされる。
本発明に係る方法、手持ちのピストンストロークピペット、それと協働するデータ処理装置、システム及びコンピュータプログラムの他の好ましい形態が、図及びその説明に関連する実施例についての以下の記述から明らかにされる。実施例の等しい構成部分は、異なる記述がないか、文脈から異なることが生じない限りにおいて、実質的に等しい参照符号によって示されている。
本発明に係るピストンストロークピペットの実施例を図式的に示す斜視図である。 本発明に係る方法を実装するために使用可能な、外部のデータ処理装置の実施例を図式的に示す斜視図である。 本発明に係る方法を実装するために使用可能なシステムの実施例を図式的に示す斜視図である。 図2に示す外部のデータ処理装置のディスプレイに表示可能な、ユーザーパラメータを検出し、かつ情報を表示するための表示側の例を示している。 実施例における本発明に係る方法のシーケンスを図式的に示している。 容量Vに依存するプリウェットステップの数n_vbのアルゴリズム表示を有するダイアグラムを示しており、この関数v_vb(V)は、実施例に基づく本発明に係る方法において使用可能である。
図1は、手持ちの電気的なピストンストロークピペット1、ピペット1、を斜視図で示している。ピペット1において、ピストンのストロークは電気的に駆動される。ピペットの種々の駆動モードにおけるストロークの駆動は、ピペット1の内部の、メモリ装置18を有する電気的な制御装置17によって電気的に制御されて、行われる。制御装置17は、外部のデータ処理装置2.1(図2を参照)とデータ交換を実施するために、無線モジュールを有することができる。
ピペットの駆動パラメータ及びその他の調節は、ユーザーによってユーザーインターフェイス装置もしくは操作装置とピペットのディスプレイを介して管理される。ピペット内には、電気的に制御される複数のピペット処理プログラムが記憶されており、好ましくは各駆動モードにピペット処理プログラムが対応づけられている。ピペット処理プログラムは、駆動パラメータセットによって一義的に定められる。一度定められると、ピペット処理プログラムはユーザーによって作動され、かつピペットによって自動的に開始される。ピペット処理プログラムにおいて、特にピペット尖端10をプリウェットするための本発明に係る方法100が実施される。パラメータがID_LM<>0である場合に、プリウェットするための少なくとも1つのステップが実施され、パラメータがID_LM=0である場合には、プリウェットするためのステップは実施されない。値0の代わりに、各他のデフォルト値を定めることもできる。値ID_LM=0は、特にピペット処理すべき試料のメイン液体成分としての水を特徴づけることができる。
ピペット1はベースボディ2を有し、そのベースボディが下方のシャフトセクション3と上方のセクション4を有しており、その上方のセクションが特にディスプレイ5と操作部材とを有している。シャフトセクション3は、ピペット処理装置の長手軸Aに対して平行に延びており、上方のセクション4は軸Aに対して傾斜して配置されており、かつ軸Bに対して平行に延びている。上方のセクション4の傾斜した配置によって、ディスプレイ5が特に人間工学的に使用される。
ピペット1は、保持フラップ6を備えたグリップ領域7を有しており、ユーザーがピペット1を規定どおりに保持する場合にその保持フラップがユーザーの人差し指上に支持され、グリップ領域7はユーザーの手のひらに収まる。親指によって、特に投下ボタン8に達することができ、その投下ボタンを軸Aに沿って下方へ押圧することにより、弾性的に支承された投下スリーブ9が下方へ移動されて、ピペット尖端10をピペット処理装置のワーキングコーン11から投下する。しかし投下機構は、電子的に駆動することもできる。ピペット1は、上方のセクション4の側面にそれぞれ金属の接触突出部19を有しており、その接触突出部が内蔵されたアキュムレータの充電に用いられ、そのアキュムレータが電気的なピペットのエネルギ貯蔵器を形成する。
操作装置(12;13;14a;14b)は、選択ホィール12、シーソー部材13及び第1の操作ボタン14aと第2の操作ボタン14bを有している。
ディスク形状の選択ホィール12は、ベースボディ2に、特に上方のセクション4の実質的に平面の前側に対して平行に、回転可能に支承されている。選択ホィール12の位置を認識するための装置が設けられており、その装置かここではホールセンサを有しており、そのホールセンサによってベースボディに関する選択ホィール12の相対的な位置が測定される。選択ホィール12は、選択ホィールの調節可能な位置の数に相当する数の停止部を有している。特に停止部は、選択ホィール12の調節された位置を示すマーキング12aを、ベースボディ2において上方のセクション4の前側に固定的に配置されているマーキング15に合わせることができるように、設けられている。
カラーディスプレイ5は、ユーザーのための中央の情報部材として用いられる。そこには特にピペット1の種々の駆動モードが表示され、かつ駆動パラメータのパラメータ値が表示される。2つの領域5aと5b内には、それぞれ情報が表示され、その情報はユーザーに、まさに表示されている表示側でどの機能が第1の操作ボタン14aもしくは第2の操作ボタン14bと結合されているかを、それぞれの表示側においても機能がそれと結合されている場合に、伝える。したがって操作ボタンの各々は、可変の機能を有する操作部材として形成されており、かつその表示される機能との組合せにおいて、「ソフトキー」と称される。これについては、後にさらに説明する。
好ましくは、ピペット処理装置は、ピペット1の所定の駆動モードが調節されている場合に、ソフトキーの種々の駆動モードの間で選択を行うように、形成されている。これはたとえば、ソフトキーのダブルクリックによって、あるいはたとえば2秒の、最低期間の間ソフトキーを長押しすることによって、達成することができる。
好ましくはピペット1の各駆動モードのために、ディスプレイ上に示される駆動側に、駆動モード固有のレイアウトが設けられている。少なくとも1つのプリウェットステップを定めるためにも、表示側を設けることができる。調節可能な駆動パラメータ又はその他の可変の記入が表示側に設けられている場合に、これらは操作シーソー部材13を介してマークされ、特に操作ボタン14によって選択され、この場合において操作ボタン14aは機能「選択」を有し、かつディスプレイ内の位置5aにテキスト「選択」が表示される。駆動パラメータのパラメータ値の変化あるいは選択又は記入の変化は、シーソー部材13の操作によって行われる。
シーソー部材13は、長手軸Aに対して垂直に配置された揺動軸を中心に揺動可能にベースボディに配置されている。ユーザーが上方の領域13aを押すと、シーソー部材13の第1の機能が能動化され、ユーザーが下方の領域13bを押すと、シーソー部材13の第2の機能が能動化される。シーソー部材は、操作されない場合には、どの機能も作動されないように、支承されている。シーソー部材13は、特にピペットの手動の駆動モードにおいて、ユーザーが上方の領域13aを押している間、ピペット処理すべき試料をピペット尖端10内へ吸い込むために用いられ、さらに、ユーザーが下方の領域13bを押している間、試料をピペット尖端10から放出するために用いられる。
ピペット1は、種々の駆動モードで駆動することができ、それらの詳細は前もってすでに説明してある。第1の数の駆動モードは、選択ホィール12を介して直接調節可能であり、第2の数の駆動モードは、複数の選択可能な記入を有する、「スペシャル」もしくは「Spc」と称される表示側を介して調節可能であって、記入はそれぞれ駆動モードを記述する。選択ホィールを介して、少なくとも1つのプリウェットステップを定め、特にn_vb又はxを定める駆動モードも調節することができる。
ピペット1は、データメモリを備えたメモリ装置を有しており、そのデータメモリ内に少なくとも1つの駆動パラメータ、もしくは変数xのパラメータ及び値n_vbのための適切なメモリ領域が設けられている。ピペットの他の実施形態において、データメモリは、完全な関数Funktion n_vb(x)あるいはピペットのために重要な、該当するパラメータID_GTに関するデータ領域を有することもできる。
図2は、外部のデータ処理装置21を示しており、それはタッチスクリーン22、コンピュータ21を駆動するためのパワーネットケーブル端子23及びUSB端子24を有する、ポータブルのハンドヘルドコンピュータである。電気的な制御装置25は、制御プログラム(駆動システム)を実施するために、データ処理装置を有しており、そのデータ処理装置がコンピュータ21の機能、特にたとえば図4の表示側のようなディスプレイ内容の表示、制御装置内に含まれている無線モジュール、WLANネットワークアダプタを介してのピペット1とのデータ交換、を制御する。制御装置25は、データメモリを有しており、その中にここでは関数n_vb(x)が記憶されている。これは、データとデータ相関からなるデータ対応づけテーブルと少なくとも1つのデータアルゴリズムから形成され、それによって既知の対応づけn_vb(x)から他の対応づけn_vb(x)が補間され、あるいは補外される。関数n_vb(x)を求めることは、以下でさらに例で示される。コンピュータは、ユーザー入力による変数xのパラメータを求め、関数n_vb(x)に基づき変数xのパラメータ値から対応づけられた値n_vbを求め、かつ値n_vbと駆動パラメータとして用いられる他のパラメータxを、WLANネットワークアダプタを介してワイヤレスでピペット1へ伝達するように、整えられている。
図3はシステム200を示しており、そのシステムはピペット1と外部のデータ処理装置21を有しており、それらが無線接続201、250’、250”を介し、もしくはネットワーク250を介して、特にWLANを介して、データを交換する。
図4は、ポータブルコンピュータ21のタッチスクリーンディスプレイ22内に表示するための表示側40を示しており、そのディスプレイは変数xのパラメータもしくはピペット1の駆動パラメータを入力するための入力器具として使用される:
その中に示されるのは:
41 パラメータVを入力するための情報及び入力フィールド
42 パラメータv_kを入力するための情報及び入力フィールド
43 ピペット処理プロセスの他の特性に関するパラメータpを入力するための情報及び入力フィールド
44 ピペットの駆動モードもしくはピペット処理モードを選択するためのパラメータID_OMを入力するための情報及び入力フィールド
45 ピペット尖端タイプに関するパラメータID_STを入力するための情報及び入力フィールド
46 ピペット処理プロセス内で使用される試料の液体タイプに関するパラメータID_LMを入力するための情報及び入力フィールド
47 特に他のパラメータxに従って求められた数n_vbを表示するための表示領域
48 コンピュータ21とデータ接続されているピペット1への、データ、特にn_vbの伝達を開始するための入力フィールド
49 入力を打ち切るための入力フィールド
図5は、本発明に係る方法100の実施例を示している。方法100は、コンピュータ制御される手持ちのピストンストロークピペット1を駆動するために用いられ、そのピストンストロークピペットは、特にピストンストロークピペット1のワーキングコーン11に配置されている、ピペット尖端10の内側を自動的にプリウェットするために、液体の試料によるピペット処理プロセスをコンピュータ制御で実施するために用いられ、方法は以下のコンピュータ制御されるステップを有している。
ステップ101:外部のコンピュータ21のデータメモリ内に関数n_vb(x)を準備し、その関数はピペット処理プロセスを特徴づける変数xに従って1つ又は複数のプリウェットステップn_vbの数n_vbを示す。
ステップ102:ユーザーが値を入力し、もしくは選択するタッチスクリーン22を介してピペット処理プロセスを特徴づける変数xの少なくとも1つのパラメータ値(V;ID_LM)を検出する;
ステップ103:外部のコンピュータ21の制御装置25によって関数n_vb(x)から変数xに対応づけられたプリウェットステップの数n_vbを求める;制御装置25は、WLANネットワークアダプタを指定し、かつここでは自動的に、無線接続の到達距離内で見いだされた、適切なピストンストロークピペットのWLANネットワークアダプタ、特にピストンストロークピペット1のそれを見いだし、特にその識別パラメータID_GTを定め、特にID_GT及びユーザーによって定められたx(V、ID_LM)の値に従って、関数n_vb(x)から1つ又は複数の該当する値n_vbを求めるように、整えられており、所望の試料容量Vをピペット処理するのに適したピペットのみが考慮され、これら見いだされたWLANネットワークアダプタに対するデータ接続を形成し、かつ特に該当する値n_vb、特に図4に記述されるようなV及び他のパラメータも、ID_GTに従ってそれぞれ該当するピストンストロークピペッID_GTへ、特にピストンストロークピペット1へ、伝達するように、留意される。したがってこの場合においてコンピュータ21は、到達距離内にあるすべてのピペットへ所望のパラメータを伝達し、ユーザーがコンピュータ21を操作する際にピペットを区別して選択する必要はない。さらに、コンピュータ21において好ましくは、所望のピペット処理のために必要な、ピペット1のすべての駆動パラメータが求められて、ピペットに伝達されるので、ユーザーは、前段に行われるプリウェットステップを加えたピペット処理プロセスを即座に開始するために、ピペット1の入力装置を利用する必要はない。
ステップ104:ユーザーがボタン押圧もしくは入力によってピペット1において自動的なピペット処理プロセスを開始した後に:ピペット1内で数n_vbのプリウェットステップのシーケンスを実施し、ピペットはこの値及び特にVもWLANを介してコンピュータ21から検出しており、n_vb>0であり、かつ1つのプリウェットステップにおいてそれぞれ、ピストンストロークピペットによって、ID_LMを有する液体の試料容量をピペット尖端内へ収容するために、電気的に駆動されるピストン運動が実施され、続いて、ピペット尖端内に含まれる試料容量を再び完全に放出するために、逆のピストン運動が実施される。プリウェットステップの間に吸い込むために、容量Vのみが使用され(かつピペットもしくはピペット尖端の完全な呼び容量は使用されない)ことによって、しかるべき液体量が提供されることも、保証される。Vを選択することによって、ユーザーは、この量が提供可能であることを確認する。
ステップ105:液状の試料(ID_LM)の容量Vをピペット尖端10内へ吸い込んで、この液体量Vを適切な期間Δtの間、特に試料を目標容器内へ放出し、もしくは段階的に複数の目標容器内へ放出し、もしくはそれぞれ所望のピペット処理プロセスを実施するために、ピペット尖端10内に保持する。
図6は、アルゴリズム関数n_vb(V)を示しており、その中で所望の容量に従ってプリウェット(ここでは:プリウェットステップ)の数が記載されている。この関数は、第1の直線セクションと第2の直線セクションを有しており、第1の直線セクションは該当する液体(ID_LM)のための該当するピペット(ID_GT)の呼び容量V_nomの10%と50%の間の容量値Vを示し、第2の直線セクションは該当する液体(ID_LM)のための該当するピペット(ID_GT)の呼び容量V_nomの50%と100%の間の容量値Vを示している。値n_vb(V)のこの補間は、前もって実験で定められていない値n_vb(V)も充分な精度で定めるために、実際においては適切であることが明らかにされている。アルゴリズム関数n_vb(V)及び他の同様な関数は、関数n_vb(x)の構成要素であり、もしくはそれを補足する。
関数n_vb(x)の決定
関数n_vb(x)を定めるために、以下のやり方が適している。
ピペット尖端10からの有機溶剤の滴り落ちを阻止するために、使用されたピペット尖端は部分的に複数回湿潤された。ピペットに必要なプリウェットの数(プリウェット時間)は、変数xの種々のファクターに依存することが明らかにされている:
・液体の蒸気圧
・使用されるピペットの空気クッションの容量
・ピペット尖端のパーセントによる充填状態
・プリウェットステップの速度
呼び容量のそれぞれ100%、50%及び10%が、ドイツ、エッペンドルフAGのピストンストロークピペット登録商標Xplore plusの各容量バリアントによってテストされた。ピペットがδt=30秒までの間滴り挙動を示さなくなるまでに必要なプリウェットステップの数n_vbが求められた。所定の容量及び所定の液体をピペット処理するためにどのくらいのステップが必要とされるかを予測する、アルゴリズ関数を計算するために、プリウェットステップのこの最小数n_vbが計数された。重力計テストが、同様に管理下で実施された。
求められたデータに基づいて、すべてのテストされたピペットについて、線形の関数が形成され(充填状態10%-50%および50%-100%)、それがピペット尖端の充填状態FV_nomとプリウェットステップの数n_vbとの間の関係を記述する。このようにして生じる液体クラスは、水よりも高い蒸気圧と特に250hPaよりも低い蒸気圧を有する各種の液体を、少なくとも1つのプリウェットステップを使用しながらピペット処理するために、使用することができる。
有機溶剤エタノール、メタノール及びアセトンについては、テストされたピペットバリアントのためにプリウェットステップのための最小の数n_vbを求めることができた。データに基づいて、ピペット尖端充填状態とプリウェットステップの数との間の関係が計算される。調査のために純粋型の3つの液体が選択された:
蒸気圧
エタノール 58
メタノール 129
アセトン 246
これらの液体は、ピペット登録商標「Xplore plus」の各容量バリアントを有する呼び容量の100%、50%および10%によってテストされた。これらの液体をピペット処理することができるようにするために、所定数のプリウェットステップが実施されなければならないので、液体は少なくとも30秒(Δt)の間ピペット尖端から滴り落ちない。
この最小数のプリウェットステップは、所定の容量Vと所定の液体をピペット処理するためにどのくらいのステップが必要とされるかを予測する、関数n_vb(V)を計算するために、計数された。
ピペット処理すべき容量VもしくはFV_nomが小さく選択されるほど、それだけ多くのプリウェットステップが実施されなければならない。したがってプリウェット相の長さも増大する。
100μlより多い呼び容量を有するすべてのピペットにおいて、呼び容量の10%を調節する場合に、99のプリウェットステップ後でも30秒より長い間液体の滴り落ちを阻止することはできなかった。
100%から50%及び50%から10%の考察されるプリウェットステップの間で、線形の関数を形成することができ、その関数はこれらの領域のために充分なプリウェットステップを充分に近似的に定める。後続の評価から、すべての容量バリアントについて関数の軸セクションと勾配を取り出すことができる。これらの関数によって、その後、所望の液体クラスを形成することができる。
シングルチャネルピペットと同様なマルチチャネルピペットとの間に差は存在しないと思われる。プリウェットステップを定めるための将来のテストのために、ピペットのすべてのバリアントを個別にテストをする必要は、多分ない。等しいエアクッション容量を有する種々のバリアントから、それぞれ1つだけをテストすれば済む。
速度段階が高く選択されるほど、それだけプリウェット時間は短くなる。この理由から、すべてのプリウェットステップのために、速度段階8が選択される。
実験は、登録商標Xplore plusと評価で挙げられた容量バリアントによって実施された。プリウェットステップが1つより多い場合には、「ピペット処理及び混合」モードで処理された。それによって収容と放出の間の適用者による時間が減少する。プリウェットステップが少ない場合には、「ピペット処理」モードが選択された。
テストの間、第1の滴がピペット尖端から離れるまで、時間が停止された。この時間がΔt=30秒より少ない場合には、プリウェットステップは、この値が達成されるまでの長さに増大された(最大99ステップまで)。これらのテスト列のすべての結果が、評価から取り出される。
実施のシーケンス
複数の液体がテストされた場合に、最低の蒸気圧を有する液体から開始された。それによってテスト者は、次の液体をテストする場合に、プリウェットステップに関して先行するものに従うことができた。結果は、以下の図式に基づく表に記入された。
Figure 0007506612000001
実験実施の構造:チャージスタンドが高いところに設置されたので、ピペットはピペット尖端を含めて、液体で満たされたビーカーの上方に懸架することができた。さらに、ストップウォッチが準備された。テスト全体は、速度段階「8」で実施された。最初のサイクルにおいて、呼び容量の100%を有する液体が収容されて、プリウェットなしで、ピペットが30秒後に滴り落ち始めるか、が検査された。そうならなかった場合に、値「0」が記入された。そうでない場合には、30秒の時間が維持されるまで、あるいは99プリウェットステップの最大値が達成されるまで、プリウェットステップが段階的に増大された。それに応じて値が記入された。このやり方が、呼び容量の50%の場合においても、そして次に10%の場合にも、同様に適用された。それぞれ最初の通過において、先行する容量割合のプリウェットステップの数で開始することができた。プリウェット後は、ピペットはより高いチャージスタンドに懸架され、かつストップウォッチが始動された。
線形の関数は、100μlピペットの以下の例におけるように定めることができる。:軸セクション100%から50%;及び50%から10%を計算:プリウェットステップを計算:=勾配(a)*所望の容量(V)+軸セクション(b)
Figure 0007506612000002
第2の線形の関数が、同様に50%から10%までの値によって定められた。計算されたプリウェットステップは、管理に用いられる。軸セクションと勾配は、必要な値である。
関数n_vb(x)のデータ対応づけ表の形式の、ピペットセットの10μmピペットと100μmピペットのためのテスト列の結果:
Figure 0007506612000003
Figure 0007506612000004

Claims (16)

  1. コンピュータ制御される手持ちのピストンストロークピペット(1)を駆動する方法(100)であって、前記ピストンストロークピペットが液状の試料によるピペット処理プロセスをコンピュータ制御で実施するためにピストンストロークピペットのワーキングコーン(11)に配置されているピペット尖端(10)の内側を自動的にプリウェットするために、用いられるものであって、
    ペット処理プロセスを特徴づける変数xに従ってプリウェットステップの数n_vbを示す関数n_vb(x)を準備し(101)、
    ・ピペット処理プロセスを特徴づける変数xのパラメータ値を検出し(102)、
    リウェットステップの数n_vbを変数xのパラメータ値及び関数n_vb(x)から求め(103)、
    ・数n_vbのプリウェットステップのシーケンスを実施し(104)、
    n_vb>0であり、かつ1つのプリウェットステップにおいてそれぞれ、ピストンストロークピペットによって、試料容量をピペット尖端内へ収容するために、電気的に駆動されるピストン運動が実施され、そして次に、ピペット尖端内に含まれる試料容量を少なくとも部分的あるいは完全に再び放出するために、逆のピストン運動が実施される、コンピュータ制御されるステップを有し、変数xがピペット処理プロセス内でピペット尖端内へ吸い込むべきピペット処理容量Vであり、かつ関数n_vb(V)が、n_vb=a*V+b、として記述され、aとbは試料に応じた実数である、コンピュータ制御される手持ちのピストンストロークピペットを駆動する方法。
  2. 関数n_vb(x)が、ピペット処理プロセスを特徴づける変数xに従ってプリウェットステップの数n_vbを次のように、すなわち液体の試料とピストンストロークピペットの移動されないピストンとの間の空気クッション内でプリウェットによって得られる空気圧が充分に一定であって、それによってピペット処理プロセス内でピペット尖端内に吸い込むべき試料の滴り落ちが阻止されるように、最適化する、請求項に記載の方法。
  3. ペット処理可能な容量Vの領域が2つのセクションに分割されており、それらの中でそれぞれ特徴的なパラメータa、bが成立するので、量の第1のセクションV1からV2内では関係n_vb=a1*V+b1が、そして量の第2のセクションV2からV3内では関係n_vb=a2*V+b2が成立し、かつa1<>a2であり、かつb1<>b2である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. コンピュータ制御される手持ちのピストンストロークピペットを用いてコンピュータ制御されるピペット処理プロセスを実施する方法であって、
    請求項1からのいずれか1項に記載の方法を有し、かつ
    数n_vbのプリウェットステップのシーケンスの実施に続いて、
    ・液状の試料の試料容量Vをピペット尖端内へ吸い込んで、液体試料のこの試料容量Vをピペット尖端内に、未定の期間あるいは所定の期間の間、保持する(205)、コンピュータ制御されるステップが自動的に実施される方法。
  5. 外部のデータ処理装置が設けられており、前記データ処理装置がユーザーインターフェイス装置と電子的な制御装置とを有し、かつ1つのピストンストロークピペットが設けられ、あるいは複数のピストンストロークピペットが設けられており、ピストンストロークピペットがそれぞれ電子的な制御装置を有し、外部のデータ処理装置とピストンストロークピペットの制御装置が、データ接続を介してデータを交換するように、整えられており、外部のデータ処理装置の制御装置が、ユーザーインターフェイス装置を用いて変数xのパラメータ値を検出するように、整えられる、請求項1からのいずれか1項に記載の方法。
  6. 外部のデータ処理装置の制御装置が、関数n_vb(x)を用いて変数xのパラメータ値からプリウェットステップの数n_vbの値を求めるように、整えられている、請求項に記載の方法。
  7. 外部のデータ処理装置及び/又は少なくとも1つのピストンストロークピペットが、データメモリを有しており、前記データメモリ内に関数n_vb(x)が記憶されており、かつ/又は値n_vbが記憶可能である、請求項又はに記載の方法。
  8. 少なくとも1つのピストンストロークピペットの制御装置が、データ接続を介して値n_vbを検出して、ピストンストロークピペットのデータメモリに格納する、請求項に記載の方法。
  9. 液状の試料によってピペット処理プロセスをコンピュータ制御で実施するための、手持ちのピストンストロークピペット(1)であって、
    電子的な制御装置、
    ピストンチャンバとその中で移動可能なピストン、
    ピストンを移動させるための電気的なピストン駆動装置、
    ピペット尖端を固定することができる、ワーキングコーン
    を有し、
    制御装置が、ピストン駆動装置を制御し、かつピペット処理プログラムを実施するように、整えられており、前記ピペット処理プログラムが、
    ・ピペット処理プロセスを特徴づける変数xのパラメータ値を検出し、
    ・プリウェットステップの数n_vbを変数xのパラメータ値及び関数n_vb(x)から求め、
    ・数n_vbのプリウェットステップのシーケンスを実施し、
    プリウェットステップにおいてそれぞれ、ピストンストロークピペットによって、試料容量をピペット尖端内へ収容するために、電気的に駆動されるピストン運動が実施され、そして次に、試料容量を少なくとも部分的又は完全にピペット尖端から放出するために、逆のピストン運動が実施され、
    ・少なくとも1つのプリウェットステップに続いて:液状の試料の試料容量Vをピペット尖端内へ吸い込んで、液状の試料のこの試料容量Vをピペット尖端内に保持することを内容とする、ピペット処理プロセスを実施する、ステップを有し、変数xがピペット処理プロセス内でピペット尖端内へ吸い込むべきピペット処理容量Vであり、かつ関数n_vb(V)が、n_vb=a*V+b、として記述され、aとbは試料に応じた実数である、手持ちのピストンストロークピペット。
  10. その制御装置が、ピペット処理プロセス内でピペット尖端内へ吸い込むべきピペット処理容量Vの値及び/又は値n_vbを、データ接続を介して外部のデータ処理装置(21)から得るように、整えられており、かつデータメモリを有し、前記データメモリ内に値V及び/又は値n_vbが記憶可能である、請求項に記載の手持ちのピストンストロークピペット。
  11. シングルチャネルピペット又はマルチチャネルピペットである、請求項又は10に記載の手持ちのピストンストロークピペット。
  12. ピペット尖端の内側を自動的にプリウェットするシステム(200)であって、前記ピペット尖端がコンピュータ制御される手持ちのピストンストロークピペットのワーキングコーンに配置されており、前記ピストンストロークピペットが液状の試料によるピペット処理プロセスをコンピュータ制御で実施するために用いられ、
    請求項から11のいずれか1項に記載の少なくとも1つの手持ちのピストンストロークピペット(1)を有し、
    データインターフェイス装置と電子的な制御装置とを備えた、外部のデータ処理装置(21)を有し、
    外部のデータ処理装置とピストンストロークピペットの制御装置が、データ接続を介してデータを交換するように整えられており、
    外部のデータ処理装置の制御装置が、データインターフェイス装置を用いて変数xを検出するように、整えられ
    システムが、変数xから関数n_vb(x)を使用しながらプリウェットステップの数n_vbの値を求めるように、整えられており、
    少なくとも1つのピストンストロークピペットの制御装置が、データ接続を介してプリウェットステップの数n_vbを検出するように、整えられ、変数xがピペット処理プロセス内でピペット尖端内へ吸い込むべきピペット処理容量Vであり、かつ関数n_vb(V)が、n_vb=a*V+b、として記述され、aとbは試料に応じた実数である、システム。
  13. コンピュータ制御される手持ちのピストンストロークピペットを駆動するための、コンピュータプログラムであって、前記ピストンストロークピペットが液状の試料によってピペット処理プロセスをコンピュータ制御で実施するために、ピペット尖端の内側を自動的にプリウェットするために、用いられ、前記ピペット尖端がピストンストロークピペットのワーキングコーンに配置されており、コンピュータプログラムが指令を有し、前記指令が、少なくとも1つの電気的な制御装置のセントラルプロセッサによってコンピュータプログラムを実施する場合に、このセントラルプロセッサに、
    ・ピペット処理プロセスを特徴づける変数xのパラメータ値を検出し、
    ・データメモリにアクセスし、前記データメモリ内に関数n_vb(x)が記憶されており、前記関数が、ピペット処理プロセスを特徴づける変数xに従ってプリウェットステップの数n_vbを示し、
    リウェットステップの数n_vbを変数xのパラメータ値及び関数n_vb(x)から求め、
    ・ピストンストロークピペットの制御装置によるデータ処理のために少なくとも1つの値n_vbを準備し、少なくとも1つの値n_vbをピストンストロークピペットの制御装置へ伝達するステップを実施させ、変数xがピペット処理プロセス内でピペット尖端内へ吸い込むべきピペット処理容量Vであり、かつ関数n_vb(V)が、n_vb=a*V+b、として記述され、aとbは試料に応じた実数であるコンピュータプログラム。
  14. 1つのプリウェットステップ又は数n_vbの複数のプリウェットステップの1つのシーケンスを実施することを更に有し、
    プリウェットステップにおいてそれぞれ、ピストンストロークピペットによって、試料容量をピペット尖端内へ収容するために、電気的に駆動されるピストン運動が実施され、それに続いて、試料容量を少なくとも部分的又は完全にピペット尖端から放出するために、逆のピストン運動が実施される、請求項13に記載のコンピュータプログラム。
  15. 少なくとも1つのプリウェットステップに続いて:液状の試料の試料容量Vをピペット尖端内へ吸い込むこと及び液状の試料のこの試料容量Vをピペット尖端内に、未定の期間あるいは少なくとも30秒の所定の期間の間、保持することを内容とする、ピペット処理プロセスを実施することを更にする、請求項14に記載のコンピュータプログラム。
  16. データ処理装置であって、
    ・データインターフェイス装置、及び
    ・電子的な制御装置、
    を有し、
    データ処理装置の制御装置が、データ接続を介して請求項から11のいずれか1項に記載の手持ちのピストンストロークピペットの制御装置とデータを交換するように、整えられており、前記ピストンストロークピペットが液状の試料によるピペット処理プロセスをコンピュータ制御で実施するために用いられ、
    データ処理装置の制御装置が、データインターフェイス装置を用いて変数xのパラメータ値を検出するように整えられており、かつ
    データ処理装置の制御装置が、変数xのパラメータ値及び関数n_vb(x)から、プリウェットステップの数n_vbの値を求めて、ピストンストロークピペットの制御装置によるデータ処理のために提供し、かつ/又はデータ接続を介してピストンストロークピペットへ伝達するように、整えられている、データ処理装置。
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