JP7499507B2 - 工作機械システム - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 株式会社公精プラント(株式会社日本産機新聞社の取材) 令和2年10月8日
本発明は、ワークに切削加工を施す工作機械システムに関する。
金属などの加工物であるワークに切削加工を施す工作機械として旋盤機が知られている。従来における旋盤機では、水平な軸回りに回転するチャックにワークを把持させ、チャックを介して回転するワークにバイトと呼ばれる切削工具を接触させることでワークを切削する(例えば特許文献1を参照)。
切削加工を終えたワークは旋盤機から搬出された後、エアブローされる。すなわち、オペレータはエアブロー装置を操作し、エア供給源から供給されたエアをノズルの吐出口からワークに向けて噴出させる。これにより、ワークの表面に付着する切粉(金属屑)などの異物が除去される。
特開2018-187738号公報
しかしながら、上記従来技術では、旋盤機から搬出されたワークをオペレータが所定の作業位置まで運び、さらに、オペレータがブロア装置を操作してワークの表面をエアブローしていたため、オペレータに多大な手間と負担をかけ、その結果として生産性が低下する要因となっていた。
そこで本発明は、オペレータの負担を軽減して生産性を向上させることができる工作機械システムを提供することを目的とする。
本発明の工作機械システムは、ワーク把持部により把持されたワークに対して相対移動してワークを切削する切削部と、前記切削部によりワークが切削された部分にエアを吹き付ける第1のエア吹き付け部と、前記第1のエア吹き付け部によってエアが吹き付けられた前記ワークを保持するロボット部と、前記ロボット部により所定のエア吹き付け位置に位置合わせされたワークの基端部側にエアを吹き付ける第2のエア吹き付け部と、を備え、前記ワーク把持部及び前記切削部は筐体に収容されており、前記ロボット部は前記筐体の外部に位置し、前記筐体に形成された開口部を介してワーク把持部に把持されたワークを取り出し、前記エア吹き付け位置にワークを移動させ、前記筐体に形成された前記開口部を開閉する扉と、前記筐体の外部に位置し、前記ロボット部がワークを保持した状態を検出するワーク検出部をさらに備え、前記ワーク検出部がワークを検出すると、前記扉は前記開口部を閉じ、前記切削部は前記ワーク把持部に新たに把持されたワークを切削する
本発明によれば、オペレータの負担を軽減して生産性を向上させることができる。
本発明の一実施の形態における工作機械工システムの全体斜視図 本発明の一実施の形態における工作機械システムを構成する旋盤機の模式的な構造説明図(正面図) 本発明の一実施の形態における工作機械システムを構成する旋盤機の模式的な構造説明図(平面図) 本発明の一実施の形態における工作機械システムを構成するワーク搬送ロボットの模式的な構造説明図(正面図) (a)(b)(c)本発明の一実施の形態における工作機械システムを構成するワーク搬送ロボットが備える作用ツールの模式的な構造説明図 本発明の一実施の形態における工作機械システムを構成するエアブロー装置の模式的な構造説明図 本発明の一実施の形態における工作機械システムを構成する工作機械が備える制御系を示すブロック図 本発明の一実施の形態における工作機械システムにおける動作を示すフローチャート (a)(b)本発明の一実施の形態における工作機械システムにおける動作説明図 本発明の一実施の形態における工作機械システムにおける動作説明図 (a)本発明の一実施の形態における工作機械システムにおける動作説明図(b)本発明の一実施の形態における工作機械システムの変形例を示す図
まず図1を参照して、本実施の一形態における工作機械システムの全体構成を説明する。なお、以下に説明する工作機械システムは一実施例にすぎず、発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更は本発明の技術的範囲に属する。
工作機械システム1は、加工対象となる金属などのワークW(図2)を切削加工した後、エアの吹き付けによるワークWの表面清掃及び所定の検査を経てワークWを所定の場所へ回収するまでの一連の作業を行う機能を有する。工作機械システム1は線材供給装置2、工作機械3、エアブロー装置4、検査装置5、ワーク回収部6、ワーク搬送ロボット7を含んで構成される。ワーク搬送ロボット7は後述する作業ツールが、工作機械3、エアブロー装置4、検査装置5、ワーク回収部6の夫々にアクセス可能な位置に設置される。工作機械3が備える制御部8は、線材供給装置2、エアブロー装置4、検査装置5、ワーク搬送ロボット7の夫々とLAN(Local Area Network)などの通信ネットワーク9を介して通信可能に接続されている。
線材供給装置2はワークWの原材料である金属の線材(図示省略)を工作機械3に供給する。工作機械3は線材供給装置2から供給された線材を所定サイズに切断して個片化し、個片化された線材であるワークWを切削加工する。エアブロー装置4は切削加工されたワークWにエアを吹き付け、表面に付着した切粉や埃などの異物を除去する。検査装置5はエアブロー装置4による作業を終えたワークWに対して所定の検査を行う。ワーク回収部6は検査後のワークWを回収する。ワーク搬送ロボット7はワークWを保持して所定の位置まで移動させる機能を有する。具体的には、ワーク搬送ロボット7は、工作機械3からワークWを取り出し、エアブロー装置4、検査装置5、ワーク回収部6に搬送する。
次に図1、図2及び図3を参照して、工作機械3の構成を説明する。図2は工作機械の模式的な構造説明図(正面図)、図3は工作機械の模式的な構造説明図(平面図)である。工作機械3が備える筐体10の内部は、ワークWの切削が行われる処理室11となっており、筐体10には外部と連通する開口部10aが形成されている。筐体10には扉12が矢印a方向にスライド自在に設けられており、扉12が所定方向にスライドすることで開口部10aの開閉が行われる。扉12は扉開閉機構13(図7)によってスライドする。
処理室11には基台14が設けられており、基台14の上面には主軸15が備えられている。主軸15は主軸保持台16に回転自在に保持されており、主軸駆動モータ17によって水平な軸回りに回転する(矢印b)。以下、主軸15の軸心15aに沿った水平な方向をX軸方向と称し、X軸方向と水平面内において直交する方向をY軸方向と称し、XY平面に対して直交する方向をZ軸方向と称する。
主軸15の一端部には、ワークWを挟み込んで把持するためのチャック18が設けられている。チャック18は、主軸15から突出した図示しない複数(3つ程度)の突出部を含んで構成され、これらの突出部は略同心円状に配列されている。これらの突出部は、油圧シリンダなどのチャック開閉機構19(図7)によって開閉(主軸15の中心に接近し、或いは主軸15の中心から離れる方向に移動)する。複数の突出部の夫々が主軸15の中心方向に移動することで、ワークWが把持される。すなわち、チャック18はチャック開閉機構19により駆動する。また、ワークWは、切削される一端部W1(図5(a))とは反対側の他端部(以下「基端部」と称し、符号はW2を付す。図5(a))がチャック18により挟み込まれる。したがって、ワークWの基端部W2側はチャック18によって把持されることで非露出状態となる。上記構成において、チャック18及びチャック開閉機構19は、ワークWの基端部W2側を非露出状態に把持するワーク把持部となっている。チャック18でワークWを把持した状態で主軸駆動モータ17を駆動させることで、ワークWは主軸15及びチャック18とともに回転する(図2に示す矢印b)。
処理室11内にはタレット20が設けられている。タレット20はタレット支持台21によって水平な軸回りに回動自在に支持されており、タレット駆動モータ22によって回動する(図2に示す矢印c)。タレット20の外周面上には、周方向に所定間隔を置いて複数の切削工具23が装着されている。タレット20を回動させることで、加工の目的に応じた所望の切削工具23が選択される。タレット支持台21はX軸テーブル24、Y軸テーブル25、Z軸テーブル26(図7)によってX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に移動する。
図2において、処理室11には、チャック18により把持されたワークWに吐出口を向けた姿勢のクーラント吐出ノズル27が設けられている。切削工具23によってワークWを切削する際には、クーラント吐出ノズル27からクーラント液28がワークWに向けて吐出される。
筐体10にはタッチパネル29が設けられている。タッチパネル29は、ワークWの切削作業などを行うために必要な各種の案内画面等を表示する表示部として機能するとともに、案内画面上に表示される表示物を介してオペレータが操作・入力を行う操作・入力部として機能する。
図1及び図3において、筐体10(工作機械3)の外側における斜め上方の位置にはカメラ30が設けられている。カメラは天井(不図示)から垂下する支持フレーム31(図1)によって支持されている。カメラ30は撮像光軸30aをチャック18に把持されたワークWに向けた姿勢で配置され、チャック18に把持された切削後のワークWを撮像する。カメラ30は、切削されたワークWを撮像する撮像部となっている。撮像により得られた画像データは認識処理部81(図7)によって認識処理され、ワークWの表面に付着する切粉などの異物の有無が判定される。
次に図4を参照して、ワーク搬送ロボット7の構成を説明する。図4はワーク搬送ロボット7の模式的な構造説明図である。ワーク搬送ロボット7が備えるベース32の上面には、フレーム33がZ軸回りに回転自在に設けられている。フレーム33は、駆動源としてのフレーム用サーボモータ34(図7)により軸部(図示省略)を中心にZ軸回りに回動する(矢印d)。
フレーム33には第1のアーム部35がZ軸方向と直交する水平な軸回りに回動自在に設けられており、駆動源としての第1のアーム部用サーボモータ36(図7)により第1のアーム部35は軸部37を中心に水平な軸回りに回動する(矢印e)。第1のアーム部35には第2のアーム部38が水平な軸回りに回動自在に設けられており、駆動源としての第2のアーム部用サーボモータ39(図7)により第2のアーム部38は軸部40を中心に水平な軸回りに回動する(矢印f)。
第2のアーム部38はその先端部に所定間隔をあけて対向する一対のフレーム38aを有し、これにより第2のアーム部38の先端部には切欠き部41が形成されている(図1も併せて参照)。第2のアーム部38の先端部には保持ツール42が水平な軸回りに回動自在に設けられている。保持ツール42は駆動源としての保持ツール用サーボモータ43(図7)により、一対のフレーム38aに架設された軸部44を中心として、切り欠き部41が形成された一定の範囲内で回動する(矢印g)。
保持ツール42には作業ツール(エンドエフェクタ)45が保持ツール42に対して軸部44と直交する軸回りに回動自在に設けられている。作業ツール45は駆動源としての作業ツール用サーボモータ46(図7)により軸部(図示省略)を中心に回動する(矢印h)。
フレーム用サーボモータ34、第1のアーム部用サーボモータ36、第2のアーム部用サーボモータ39、保持ツール用サーボモータ43、作業ツール用サーボモータ46の夫々は、軸角度、すなわち駆動対象物の作動位置を検出するための作動位置検出装置(図示省略)を備えている。作動位置検出装置としては、エンコーダが一例として挙げられる。
作業ツール45は平面視して多角形状をなしており、複数の第1のエアブローノズル47、吸着ノズル48、ピン部材49の夫々が異なる側面ごとに設けられている。図5(a)に示すように、複数の第1のエアブローノズル47はノズルホルダ50を介して作業ツール45に取り付けられており、第1のノズル孔51を介して第1のエア供給源52と接続されている。第1のノズル孔51には第1のバルブ53が設けられており、第1のバルブ53を開くことで第1のエア供給源52から第1のノズル孔51にエアを供給し、第1のエアブローノズル47の吹出口からエアが吐出される(矢印i)。
図5(b)に示すように、吸着ノズル48は第2のノズル孔54を介して真空吸引源55と接続されている。第2のノズル孔54には第2のバルブ56が設けられており、第2のバルブ56を開いて第2のノズル孔54から真空吸引することにより、吸着ノズル48の吸着口からチャック18に把持されたワークWが吸着保持される。
ピン部材49は例えば、作業ツール45から突出した金属から成る棒状部材である。図5(c)に示すように、ピン部材49は、主軸15を介して回転するワークWに付着する異物57に接触することで、異物57をワークWから落下させる(矢印j)。これにより異物57がワークWから除去される。本実施の形態における異物57とは、ワークWの表面から突出して存在する物(切粉や埃など)を指し、クーラント液28は異物57に含まれないものとする。
以上説明したように、ワーク搬送ロボット7はいわゆる多関節ロボットであり、各種のサーボモータを駆動してフレーム33、第1のアーム部35及び第2のアーム部38を回動させることで、作業ツール45を所定の方向へ移動させることができる。本実施の形態における作業ツール45は、工作機械3が備えるチャック18に把持されたワークWと対向する位置まで移動する。そして当該位置において作業ツール45が回動することで、第1のエアブローノズル47、吸着ノズル48、ピン部材49の何れかをワークWに対向させることができる。
次に図6を参照して、エアブロー装置4を説明する。エアブロー装置4が備える基台58の上方には第2のエアブローノズル59が設けられており、第2のエアブローノズル59はエア供給チューブ60の先端に装着されている。エア供給チューブ60は第2のエア供給源61と接続されている。エア供給チューブ60には第3のバルブ62が設けられており、第3のバルブ62を開くことで第2のエア供給源61からエアがエア供給チューブ60に供給され、第2のエアブローノズル59の吐出口からエアが吐出される(矢印k)。
基台58の外縁には、第2のエアブローノズル59によるエアの吐出方向を除いて、上方に延びた壁部63が設けられている。すなわち、エアの吐出方向は開放されており、これによりワーク搬送ロボット7はエアブロー装置4にアクセスし、吸着ノズル48が吸着保持したワークWの基端部W2側を第2のエアブローノズル59の吐出口と対向する位置に移動させることができるようになっている。壁部63は、エアブロー装置4での作業時において、ワークWに付着したクーラント液28が周囲に飛散するのを防止する。
図1及び図6において、エアブロー装置4と隣接する位置には、吸着ノズル48に保持されたワークWを検出するための検出センサ64が設けられている。検出センサ64はZ軸方向に延び出た支持部材65の上部に保持されている。検出センサ64として、投光部64aと受光部64bを備えた光電センサを用いることができる。ワークWを検出する一例としては、投光部64aから投光された光がワークWによって反射され、受光部64bに到達した反射光の量の変化に基づいてワークWの有無を検出する方法が挙げられる。
次に図1を参照して、検査装置5について説明する。本実施の形態における検査装置5は、切削後のワークWの形状を測定する三次元測定装置である。三次元測定装置は基台66を備えており、基台66の上面の一部は被測定物としてのワークWを載置する載置面となっている。基台66の一端部にはX軸方向に延びたX軸ビーム67が設けられており、X軸ビーム67にはコラム68がX軸方向に移動自在に装着されている。コラム68はY軸方向に延びたY軸ビーム69を、長手方向における一端部側から片持ち状態で支持している。Y軸ビーム69の長手方向における他端側は支柱70によって支持される。X軸ビーム67を駆動することで、コラム68及びY軸ビーム69、支柱70はX軸方向に移動する。
Y軸ビーム69にはヘッド部(スライダ)71がY軸方向に移動自在に装着されており、Y軸ビーム69を駆動することでヘッド部71はY軸方向へ移動する。ヘッド部71の内部にはラム72がZ軸方向に移動自在に装着されている。ラム72の下端部には、基台66に載置されたワークWを測定するための測定子としてのプローブ73が設けられている。ラム駆動機構(図示省略)を駆動することで、プローブ73はラム72とともにZ軸方向に移動する。
プローブ73はX軸ビーム67、Y軸ビーム69及びラム72の駆動によって3軸方向に沿って移動し、基台66上のワークWの各位置に接触する。検査装置5が備える制御部74は、プローブ73が接触したワークWの各位置を特定してワークWの形状を測定する。測定結果は工作機械3の制御部8に送信され、ワークWの良否判定が行われる。本実施の形態では、検査の一種としてワークWの形状の測定を行っているが、例えばカメラでワークを撮像し、撮像結果に基づいてワークWの表面に生じた傷の有無を判定してもよい。
図1において、ワーク回収部6は基台75上に載置され、検査装置5による測定の結果に基づいて良品と判定されたワークWが回収される良品回収トレイ76と、不良と判定されたワークWが回収される不良品回収トレイ77を含んで構成される。良品回収トレイ76及び不良品回収トレイ77の夫々には、複数のポケット76a,77aが格子配列で設けられており、1つのポケット76a(77a)に1つのワークWが収納される。
次に図7を参照して、工作機械3及びワーク搬送ロボット7における制御系について説明する。工作機械3が備える制御部8は、通信部79、機構駆動部80、認識処理部81、判定部82、検査部83、記憶部84を含んで構成され、扉開閉機構13、主軸駆動モータ17、チャック開閉機構19、タレット駆動モータ22、X軸テーブル24、Y軸テーブル25、Z軸テーブル26、タッチパネル29、シグナルタワー85と接続されている。
ワーク搬送ロボット7が備える制御部90は、通信部91、機構駆動部92を含んで構成され、フレーム用サーボモータ34、第1のアーム部用サーボモータ36、第2のアーム部用サーボモータ39、保持ツール用サーボモータ43、作業ツール用サーボモータ46、第1のエア供給源52、真空吸引源55、第1のバルブ53、第2のバルブ56と接続されている。
通信部79は、ワーク搬送ロボット7、線材供給装置2、エアブロー装置4、検出センサ64及び検査装置5と通信ネットワーク9を介して信号の授受を行う。機構駆動部80は、制御部8によって制御されて、扉開閉機構13、主軸駆動モータ17、チャック開閉機構19、タレット駆動モータ22、X軸テーブル24、Y軸テーブル25、Z軸テーブル26を駆動する。これにより、扉12のスライド、主軸15の回転、チャック18の開閉、タレット20の回動、タレット支持台21の移動が実行される。
認識処理部81は、カメラ30がワークWを撮像することによって得られた撮像データを認識処理する。判定部82は、認識処理部81によるワークWの認識処理結果に基づいて、ワークWに付着する異物57の有無を判定する。検査部83は、検査装置5から送信されたワークWの形状データに基づいて、所定の検査(本実施の形態ではワークWの良否判定)を行う。
記憶部84は、生産データ、異物判定データ、形状検査データ等を記憶する。生産データは切削されたワークを生産するためのデータであり、機構駆動部80による各機構の制御に必要なパラメータを含む。異物判定データは、判定部82による異物57の有無判定に使用される。形状検査データは、検査部83によるワークWの形状の良否判定に使用される。
シグナルタワー85は例えば、検出センサ64によりワークWが検出されない等、作業エラーが発生した場合に制御部8により制御されて警告音を発し、或いは点灯する。
ワーク搬送ロボット7が備える通信部91は、工作機械3の通信部79を介して信号の授受を行う。機構駆動部92は、制御部90によって制御されて、フレーム用サーボモータ34、第1のアーム部用サーボモータ36、第2のアーム部用サーボモータ39、保持ツール用サーボモータ43、作業ツール用サーボモータ46、第1のエア供給源52、真空吸引源55などを駆動する。これにより、作業ツール45の移動、第1のエアブローノズル47からのエアの吐出、吸着ノズル48によるワークWの吸着が行われる。
本実施の形態における工作機械システム1は以上のように構成される。次に図8を参照して動作を説明する。まず、ワークWの切削が行われる(ST(ステップ)1:ワーク切削工程)。すなわち、扉12により筐体10の開口部10aを塞いで処理室11が密閉状態となったうえで、工作機械3が備えるチャック18はワークWを把持する。次いで、主軸15は自ら回転することでチャック18及びワークWを回転させる。
次いで、タレット20はタレット支持台21を介して所定の方向に移動しながら、回転するワークWに切削工具23を接触させる。これにより、ワークWが切削される。ワークWの切削が行われる際には、クーラント吐出ノズル27からクーラント液28がワークWに向けて吐出される。ワークWの切削が完了したならば、主軸15は回転を停止し、タレット20はワークWから退避する。
すなわち、タレット20、タレット支持台21、切削工具23、X軸テーブル24、Y軸テーブル25及びZ軸テーブル26は、ワーク把持部により把持されたワークWに対して相対移動してワークWを切削する切削部となっている。また、ワーク把持部と切削部は筐体10に収容されている。
ワークWの切削が終了したならば、切削工具23によって切削された部分(以下「切削部分」と称する。)が存在するワークWの一端部W1側にエアを吹き付ける(ST4:第1のエア吹き付け工程)。すなわち図9(a)に示すように、扉12は矢印a1方向にスライドして開口部10aを開放し、ワーク搬送ロボット7による処理室11へのアクセスを許容した状態とする。次いで、ワーク搬送ロボット7は処理室11にアクセスし、チャック18により把持されたワークWと対向する位置に作業ツール45を位置合わせするとともに、作業ツール45を回動させて第1のエアブローノズル47をワークWに対向させる(図5(a)も併せて参照)。
次いで、第1のエアブローノズル47はワークWに向けてエアを吹き付けることで(図5(a)に示す矢印i)、ワークWの切削部分を含む一端部W1に付着した異物57及びワークWに付着するクーラント液28を除去する。この際、ワーク搬送ロボット7は第1のエアブローノズル47を一定の範囲で上下動させながらエアを吹き付けるようにしてもよい。
すなわち、第1のエアブローノズル47及び第1のエア供給源52は、切削部によりワークWが切削された部分にエアを吹き付ける第1のエア吹き付け部(エア吹き付け部)となっている。なお、チャック18で挟み込まれるワークWの他端部側である基端部W2は露出しないため、基端部W2には異物57を除去するために必要と想定される十分な量のエアが吹き付けられない。そこで本実施の形態では、工作機械3の外部に設けられたエアブロー装置4によって、ワークWの基端部W2にエアを吹き付けて異物57を除去するようにしている。
次いで、ワーク搬送ロボット7が処理室11から退避した後、カメラ30はチャック18により把持されたワークWを撮像する(ST3:ワーク撮像工程)。次いで、認識処理部81はカメラ30により得られた撮像データを認識処理し、判定部82は認識処理結果からワークWに異物57が付着していないか判定する(ST4:異物有無判定工程)。すなわち判定部82は、撮像部によるワークの撮像結果に基づいて、ワークWに異物57が付着しているか否かを判定する。
(ST4)でワークWに異物57が付着していないと判定された場合、工作機械3からワークWを取り出す(ST5:ワーク取り出し工程)。すなわち図5(b)及び図9(b)に示すように、ワーク搬送ロボット7は処理室11に再びアクセスし、作業ツール45を回動させて吸着ノズル48の吸着口をチャック18に把持されたワークWの一端部W1側(切削部分が存在する側)に接触させる。次いで、吸着ノズル48によってワークWを吸着した後、チャック18によるワークWの把持を解除する。その後、ワーク搬送ロボット7は開口部10aを通じて筐体10から退避し、ワークWを後述するエア吹き付け位置へ移動させる。
次いで、エアブロー装置4によってワークWの基端部W2側にエアを吹き付ける(ST6:第2のエア吹き付け工程)。すなわち図6に示すように、ワーク搬送ロボット7はエアブロー装置4にアクセスし、作業ツール45を回動させて吸着ノズル48に吸着保持されたワークWの基端部W2側を第2のエアブローノズル59の吹出口に対向させる。この状態で、第2のエアブローノズル59からエアを吹き出して、ワークWの基端部W2側にエアを吹き付ける。これにより、チャック18に直接把持されることで処理室11に露出していなかったワークWの基端部W2側の異物57の除去が行われるとともに、処理室11内での第1のエアブローノズル47によるエアの吹き付けによって除去しきれなかったクーラント液28が除去される。
すなわち、第2のエアブローノズル59の吹出口にワークWの基端部W2が対向する位置は、エア吹き付け位置となっている。また、ワーク搬送ロボット7は、第1のエア吹き付け部によりエアが吹き付けられたワークWの切削部分(ワークの露出側の一端部W1)を保持して、ワーク保持部からワークWを取り出してワークWの基端部W2側(ワークの非露出側の他端部)を所定のエア吹き付け位置に位置合わせするロボット部となっている。また、上述した第1のエア吹き付け部はロボット部に備えられる。さらに、第2のエアブローノズル59、エア供給チューブ60、第2のエア供給源61は、ロボット部によりエア吹き付け位置に位置合わせされたワークWの基端部W2側にエアを吹き付ける第2のエア吹き付け部となっている。
次いで、検出センサ64によってワーク搬送ロボット7に把持されたワークWが検出されるか否かの判定が行われる(ST7:ワーク検出有無判定工程)。すなわち図6に示すように、ワーク搬送ロボット7は検出センサ64にアクセスし、検出センサ64と対向する位置に吸着ノズル48に吸着保持されたワークWを位置合わせする。検出センサ64は投光部から投光された光を受光部が受けた量に基づいて、ワークWを検出する。すなわち、検出センサ64は、工作機械3(筐体10)の外部に設けられ、ワーク搬送ロボット7がワークWを保持した状態を検出するワーク検出部となっている。
(ST7)でワークWが検出された場合、ワークWの検査(良否判定)が行われる(ST8:検査工程)。すなわち、ワーク搬送ロボット7は、第2のエア吹き付け部によりエアが吹き付けられたワークWを検査装置5に移動させ、基台66の載置面に載置する。次いで、プローブ73はワークWに各位置に接触してワークWの形状を測定する。測定結果は工作機械3の制御部8に送られる。検査部83はワークWの形状の測定結果と検査データに基づいてワークWの良否判定を行う。
(ST7)でワークWが検出されなかった場合、制御部8はシグナルタワー85を作動させて警告音や光で報知する(ST9:報知工程)。
また、(ST7)でワークWが検出された場合、工作機械3は新たに供給されるワークWに対する切削作業を実行する。すなわち、ワーク検出部がワークWを検出すると、扉12は扉開閉機構13によってスライドして筐体10に形成された開口部10aを閉じ、切削部はワーク把持部に新たに把持されたワークWを切削する。
次いで、ワークWの回収が行われる(ST10:ワーク回収工程)。すなわち、ワーク搬送ロボット7は、(ST8)での検査の結果、良品と判定されたワークWを良品回収トレイ76の所定のポケット76aに収容する。また、ワーク搬送ロボット7は、不良と判定されたワークWを不良品回収トレイ77の所定のポケット77aに収容する。つまりこの工程では、ワーク搬送ロボット7は、検査部で検査されたワークWをワーク回収部6へ搬送する。
以上のように、本実施の形態における工作機械システム1によれば、ワークWの切削から回収に至るまでの一連の作業工程を全て自動化し、その結果として、オペレータの負担を軽減して生産性を向上させることができる。
特に、切削加工を目的とした工作機械システム1においては、ワークWに付着する異物57の除去作業の自動化が課題のひとつであった。しかしながら本発明によれば、ワークWが切削された部分にエアを吹き付ける第1のエア吹き付け部、第1のエア吹き付け部によってエアが吹き付けられたワークWを保持するロボット部、ロボット部により所定のエア吹き付け位置に位置合わせされたワークWの基端部W2側にエアを吹き付ける第2のエア吹き付け部と、を備えることで、ワークWがチャック18によって把持される際に露出した部分(切削部分)と、チャック18で覆われることで非露出状態となっていた部分を含むワークWの全表面に対する異物57の除去作業の自動化を実現することができる。
次に、(ST4)でワークWに異物が付着していると判定された場合における異物除去フローを説明する。まず、制御部8は(ST4)の工程、すなわちワークWに異物57が付着しているか否かの判定が所定回数(N回)に達したか否かを判定する(ST11:判定工程)。(ST11)で所定回数に達していると判定された場合、(ST10)に進んでワーク搬送ロボット7はワークWを不良品回収トレイ77に収容する。
(ST11)で所定回数に達していないと判定された場合、図5(c)及び図10に示すように、ワーク搬送ロボット7は処理室11にアクセスし、チャック18に把持されたワークWの外周面に対して僅かにクリアランスをあけた所定の高さ位置にピン部材49を位置合わせする(ST12:第1のピン部材位置合わせ工程)。次いで、主軸15は自転することでチャック18及びワークWを回転させる(ST13:ワーク回転工程。図2に示す矢印b)。この回転時に、ワークWに付着する切粉などの異物57がピン部材49に接触することでワークWから分離して落下する(図5(c)に示す矢印j)。その後、(ST3)に戻る。
(ST12)のピン部材位置合わせ工程では、例えば図11(a)に示すように、ピン部材49の先端がワークWの一端部W1側に形成された端面と所定のクリアランスをあけて対向する位置にピン部材49を位置合わせしてもよい。この状態でワークWを回転させれば、ワークWの一端部W1の端面に付着する異物57がピン部材49に接触してワークWから分離・除去される(矢印l)。
すなわちピン部材49は、ワークWに付着する異物57に接触する接触体となっている。また、接触体を移動させるワーク搬送ロボット7は、接触体を移動させる接触体移動部となっている。また、接触体及び接触体移動部は、判定部82によって異物57が付着していると判定された場合、ワークWに付着する異物57を除去する異物除去部となっている。さらに異物除去部は、第1のエア吹き付け部(エア吹き付け部)によりエアが吹き付けられた後のワークWに異物57が付着していると判定部82により判定された場合に、ワークWに付着する異物57を除去する。
(ST12)が2回以上実行される場合、ピン部材49の位置合わせを異ならしめて行うことが望ましい。例えば、第1回目のピン部材49の位置合わせでは、図5(c)に示す位置にピン部材49を位置合わせして異物57の除去を試みる。そして図5(c)に示すピン部材49の位置で異物57が除去できなかった場合、第2回目のピン部材49の位置合わせでは、図11(a)に示す位置にピン部材49を位置合わせして異物57の除去を試みる。すなわち、ワークWに対してピン部材49を2以上の異なる位置に位置合わせした状態でワークWを回転させて異物57を除去する。これにより、異物57をより確実に除去することができる。その他、認識処理部81の認識処理結果に基づいて異物57の付着位置における座標値を算出し、算出した座標値に基づいてワークWの回転時に異物57がピン部材49に接触するようにピン部材49を位置合わせしてもよい。
図11(b)はワーク搬送ロボット7を用いずに異物57を除去する変形例を示したものである。すなわちこの変形例では、タレット20の外周上に接触体であるピン部材86を設けている。タレット支持台21を移動させてピン部材86をチャック18に把持されたワークWに対して所定の位置に合わせ、この状態でワークWを回転させることで、異物57を除去できる。かかる場合、タレット支持台21、X軸テーブル24、Y軸テーブル25、Z軸テーブル26が接触体移動部を構成する。
以上説明したように、本実施の形態における工作機械システム1(工作機械3)によれば、ワークWに付着する異物57の有無を判定し、異物57が有る場合は異物接触部によって除去する構成を有するので、不良ワークの発生の抑制、オペレータの負担軽減、生産性の向上を図ることができる。
本発明の工作機械システムは発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能である。例えば従来技術として、ワークWの一端部W1に加え、基端部W2側も切削可能な構造を有する工作機械が一般的に知られている。このような工作機械では、第1のチャックと第2のチャックを同軸上に対向させて配置し、第1のチャックで把持したワークの一端部側(露出した側)を切削工具で切削した後、該ワークを第2のチャックに持ち換え、ワークの他端部側(持ち換えられることで新たに露出した側)を切削工具で切削する。
このような工作機械を本発明に適用する場合、直近で切削がなされたワークの切削部分(一端部側)を対象として第1のエア吹き付け部によるエアの吹き付けを行い、直近で第2のチャックにより把持されることで非露出状態となったワークの基端部側(他端部側)を対象として第2のエア吹き付け部によるエアの吹き付けを行うようにしてもよい。
また、本実施の形態における認識処理部81、判定部82、検査部83、記憶部84などの内部処理機能は、工作機械3の制御部8以外の制御装置に備えさせてもよい。
本発明によれば、オペレータの負担を軽減して生産性を向上させることができ、切削加工技術分野において特に有用である。
1 工作機械システム
7 ワーク搬送ロボット(ロボット部)
18 チャック(ワーク把持部)
19 チャック開閉機構(ワーク把持部)
20 タレット(切削部)
21 タレット支持台(切削部)
23 切削工具(切削部)
24 X軸テーブル(切削部)
25 Y軸テーブル(切削部)
26 Z軸テーブル(切削部)
47 第1のエアブローノズル(第1のエア吹き付け部)
52 第1のエア供給源(第1のエア吹き付け部)
59 第2のエアブローノズル(第2のエア吹き付け部)
60 エア供給チューブ(第2のエア吹き付け部)
61 第2のエア供給源(第2のエア吹き付け部)
64 検出センサ(ワーク検出部)
W ワーク

Claims (5)

  1. ワーク把持部により把持されたワークに対して相対移動してワークを切削する切削部と、
    前記切削部によりワークが切削された部分にエアを吹き付ける第1のエア吹き付け部と、
    前記第1のエア吹き付け部によってエアが吹き付けられた前記ワークを保持するロボット部と、
    前記ロボット部により所定のエア吹き付け位置に位置合わせされたワークの基端部側にエアを吹き付ける第2のエア吹き付け部と、を備え
    前記ワーク把持部及び前記切削部は筐体に収容されており、
    前記ロボット部は前記筐体の外部に位置し、前記筐体に形成された開口部を介してワーク把持部に把持されたワークを取り出し、前記エア吹き付け位置にワークを移動させ、
    前記筐体に形成された前記開口部を開閉する扉と、
    前記筐体の外部に位置し、前記ロボット部がワークを保持した状態を検出するワーク検出部をさらに備え、
    前記ワーク検出部がワークを検出すると、前記扉は前記開口部を閉じ、前記切削部は前記ワーク把持部に新たに把持されたワークを切削する、工作機械システム。
  2. 前記ロボット部は、前記第1のエア吹き付け部によってエアが吹き付けられたワークの露出側の端部を保持して前記ワーク把持部からワークを取り出し、前記ワークの前記基端部側を前記第2のエア吹き付け部による前記エア吹き付け位置に移動させる、請求項1に記載の工作機械システム。
  3. 前記第1のエア吹き付け部は前記ロボット部に備えられる、請求項1又は2に記載の工作機械システム。
  4. 切削後のワークを検査する検査装置をさらに備え、
    前記ロボット部は、前記第2のエア吹き付け部によりエアが吹き付けられたワークを前記検査装置に移動させる、請求項1乃至の何れかに記載の工作機械システム。
  5. 前記ロボット部は、前記検査装置で検査されたワークをワーク回収部へ搬送する、請求項に記載の工作機械システム。
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