JP7496680B2 - ガラス製容器およびガラス製容器を製造する方法 - Google Patents

ガラス製容器およびガラス製容器を製造する方法 Download PDF

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本発明は全体として、好適には試料、特に美容用、医療用または製薬用試料を収容するための、特に特別な強度を有するガラス製容器、および、ガラス製容器を製造する方法に関する。
美容用、医療用または製薬用試料を収容するためのガラス製の容器またはいわゆる一次包装は広く知られており、様々な幾何学形状および品質レベルで提供され得る。このような容器は、試料の保管、輸送または処理に適しており、例えばカートリッジ、バイアルまたはアンプルとして廉価に大量生産され得る。
このような容器は、ガラスからだけでなく、例えばプラスチックからも製造されていてよいが、ガラス製容器は、例えば包装の長寿命または充填された試料の潜在的な汚染物質に関して複数の利点を有している。それというのも、ガラスは化学的に不活性であるからである。
ガラス製容器は、一般に充填前に洗浄されてから充填され、閉じられかつ輸送されるもしくはより大きな容器に詰め込まれる。このためには一般に全自動で作動する複数の適当な装置が提供されている。
この場合、容器は特別な応力に晒される。一方では、輸送時に相互接触および衝突が生じることがあり、これにより容器は、半径方向または軸方向に作用する比較的大きな力にも晒される恐れがある。これにより、例えば容器の外側表面上のクラックの形態での表面損傷または亀裂もが生じる恐れがある。比較的大きな力が作用する場合または衝突に際しては、特に容器がガラス製の場合には容器の破損も時々生じる恐れがある。このことはまさに製薬用の一次包装では、特に要求される純度要件に関して大きな問題である。
さらに製薬用の容器に関して重要なのは、例えば液体試料を容器に充填する際にこの容器に作用し得る内部圧力であってよい。充填時または凍結乾燥時に極度に高い圧力は、不都合な状況下で容器の破裂につながる恐れがある。この問題は、容器が既に、例えば上述した力により以前から損傷されている場合には、さらに深刻化する。
刊行物である国際公開第2013130721号が、独自の解決手段を提案している。ここでは、予荷重が加えられた少なくとも1つの側壁を有する、アルミノケイ酸塩ガラスから成るガラス容器が提案される。この予荷重により、側壁を貫いて延在しかつ容器内部の無菌状態を脅かす恐れのある亀裂が形成された場合には、容器が激しく損傷され、これにより容器の用途に適した再使用は排除されている、ということを保証しようとするものである。このためには15MpPaの限界値を上回る引張り応力を側壁、特に側壁の中心領域に導入することが開示され、実施例では単に、外面および内面に圧縮予荷重が加えられた容器だけが説明されるに過ぎない。
このような両面側の圧縮予荷重は、塩浴中の温度上昇時に進行するプロセスに基づく、ガラスの表面付近の層におけるイオン交換により達成され得る。これにより特定のガラスでは、ガラスの表面付近の層から例えばナトリウムイオン等の、より小さなイオンが、塩浴中の例えばカリウムイオン等の、より大きなイオンと交換される。これにより、ガラスの強度向上をもたらすことのできる圧縮応力が、表面領域に生じる。
しかしながらこの場合は、ガラス容器の内側表面、つまり後で充填された試料と接触することになるはずの面も、前記のようなイオン交換ひいては化学変化を被る。このことは特定の試料にとっては不都合な場合があるため、このようなガラス容器の用途は限定されている。これによりしばしば、医療目的のために許可されたガラスも、少なくともその内側表面が大幅に変化させられ、その結果、医療に適用するための許可が取り消されるか、または新たな許可が必要になる。
さらに、化学的な予荷重プロセスに引き続いて後処理、特に内側表面の洗浄もしくは脱アルカリ化が行われる方法も知られている。この後処理により、確かに薬品中へのアルカリの放出量を減少させることができるが、ただしこのような洗浄/脱アルカリ化では、ガラス表面の別の化学的な改質が生じるため、この場合も、相応するガラス容器の、製薬用の一次包装材としての新たな許可が必須である。その上、塩浴を介して導入された材料を再び除去することも、浅い深さまで可能であるだけに過ぎない。
よって本発明の課題は、予荷重が加えられていない規格容器に比べ、外部から半径方向または軸方向に作用する力に対してより高い強度を有しており、さらに予荷重が加えられていない規格容器に比べ、より高いまたは少なくとも同等の内圧強度を有しており、かつ新たな製薬許可プロセスを必要としない、製薬用容器を提供することにある。
この課題は、各独立請求項記載の特徴により解決される。有利な実施形態および改良は、各従属請求項ならびに説明からも看取され得る。
本発明は、特に試料を収容するためのガラス製の容器であって、中空体を有しており、中空体は、特に試料を収容するための内部容積を有しており、中空体は、中空体の内部容積が隣接する内側表面を備えた壁、ならびに内側表面とは反対の側に位置する外側表面を有しており、壁は、少なくとも1つの部分領域に、圧縮応力が加えられたゾーンを有しており、圧縮応力が加えられたゾーンは、壁内に、外側表面に隣接するように形成されており、これにより、外側表面の少なくとも1つの部分領域には圧縮予荷重が加えられており、この部分領域の反対側に位置する壁の内側表面からは圧縮応力が除去されており、好適には引張り応力が加えられている、ガラス製の容器を開示する。
本発明はさらに、特に試料を収容するためのガラス製容器に化学的に予荷重を加える方法を含み、該方法では、特に試料を収容するための内部容積を画定し、かつ内部容積に面した内側表面を備えた壁ならびに内側表面とは反対の側に位置する外側表面を有する中空体を、底部または開口を先にして予定した深さまで、硝酸カリウム(KNO)を含む塩浴中に、好適には少なくとも400℃に高められた、ただしガラス転移温度未満の温度において1~24時間、好適には1~8時間の間浸漬し、これにより外側表面に少なくとも部分的に圧縮応力を生じさせて、外面側の壁に少なくとも部分的に圧縮予荷重を加える。
容器には、本発明の枠内ではガス状、固形または液状の材料またはガス状、固形および/または液状の材料から成る混合物を収容することに適した器または入れ物が当てはまる。容器の中空体の内部容積は、好適には液状の形態で、しかしまた固形の形態またはこれらの混合物の形態でも存在し得る、例えば美容用、医療用または製薬用の試料で満たされてよい。このような容器には、例えばバイアル、アンプル、注射器またはカートリッジが含まれていてよい。
このために中空体は、中空体の内部容積に面した内側表面を備えた壁、ならびに内側表面とは反対の側に配置され、周辺環境に面した外側表面を有していてよい。中空体は一般に、上端部と下端部とを備えた回転対称の形により形成されていてよく、この場合、円筒形の本体領域は、熱間成形により容器が生ずる元の管から成っていてよく、かつ好適には中空体に充填するためまたは中空体を空にするための開口を有していてよい。この開口は、上端部に配置されていてよい。
中空体の壁は、1つの好適な実施形態では、例えばバイアルの場合、側壁および底部ならびに底部と側壁との間に形成され、側壁と底部との間の移行領域を成す、以下でヒールとも呼ばれる丸み付けられた縁部を有していてよい。この場合、底部は中空体の下端部を形成している。バイアルの場合には、下端部に向かって側壁に続くショルダが設けられていてよく、ショルダはネックに移行しかつ上端部に終端部を有していてよい。ネックおよび終端部は、好適には中空体の内部容積に通じる開口を成す貫通部を有している。上側の終端部は、まさにカートリッジまたはバイアル等の一次包装ではロール縁部とも呼ばれ、底部とは反対の側に位置するように配置されている。
本発明の説明の枠内で、容器に関して「上側」または「下側」という用語が用いられる場合には、これにより、図面において認められるのと同様に、中空体もしくは容器の上端部および下端部が表される。これに関連して、「内側」という用語は、中空体の内部容積に面していると見なすことができる、中空体もしくは容器の領域または面に関係し、「外側」は、周辺環境に面した中空体もしくは容器の領域または面に関係する。「半径方向」という用語が本開示の枠内で用いられる場合、この用語は円筒対称の容器に関係するものであり、円筒対称の容器に関して一義的に定義されている。容器が非円筒対称の形状または円筒対称の形状とは異なる形状を有している場合、前記「半径方向」という用語は、容器の外側表面から容器の内側表面まで垂直に延在する方向を定義する。「外側表面から0.5μm離れており、内側表面から0.5μm離れた領域に至るまでの領域内」という記載は、半径方向において外側表面から内側表面に向かって延在する直線の領域に関係する。本開示の枠内で、壁の中心が引き合いに出される場合、これは前記直線上の、外側表面と内側表面との間の中心を表す。
このようなガラス製容器は、例えば後続の熱間成形により引き伸ばされたガラス管の部分から製造され得る。この場合、製薬用の一次包装に適したガラス組成、好適にはホウケイ酸ガラスまたはアルミノケイ酸塩ガラスが選択されていてよい。
本発明に基づき、壁の外側表面は、圧縮応力を加えられて外面側に配置された層またはゾーンを有することができるため、壁の外面側には少なくとも部分的に圧縮予荷重が加えられている。換言すると、容器の壁は少なくとも部分的に、片側の外面に圧縮予荷重を有していてよい。つまり、壁はその外側表面に、所定の深さまで壁の内部に突入しておりかつその他の壁、特に外側表面の反対側に位置する、壁の内側表面の応力とは異なる圧縮応力を有する、少なくとも1つの層もしくはゾーンを有している。
つまり好適には、中空体の壁の外側表面における圧縮応力は、反対側に位置する、壁の内側表面における応力よりも高くなっている。特に好適には、外面側の圧縮応力とは反対の側に位置する、壁の内側表面には、圧縮応力に抗して作用する引張り応力が存在している。よって、外面側、つまり片側に予荷重が加えられた壁を備えた中空体を有する容器が提供され得る。
前記圧縮予荷重は、予荷重とも呼ばれ、熱的にまたは好適には化学的に生じさせることができる。
容器に対する熱的な予荷重は、有利には約3mmのガラス厚さから用いることができる。この場合、ガラスはまず炉内で600℃超の温度に均一に加熱されてから低温の空気を吹き付けられて、急速に冷やされる。この所定のプロセスによりガラスの表面には、ガラスの核心部に位置する引張り応力ゾーンを取り囲む圧縮応力ゾーンが生じる。この所定の応力比に基づき、熱的に予荷重を加えられたガラスは、予荷重を加えられていないガラスよりも3~4倍だけ高い機械的・熱的強度を有することになる。まさに製薬分野において使用されるガラス製容器は、一般に3mm未満の壁厚さを有しているため、前記方法は、特に3mm未満の壁厚さを有するガラス製容器に本発明に基づき予荷重を加えるには、あまり適さない。
これとは異なる化学的な予荷重の場合には、壁厚さ、つまり化学的に予荷重を加えようとするガラスの壁の厚さに関して、前記のような制限はほとんど設定されていない。容器に対する化学的な圧縮応力は、容器に、約400℃またはそれ以上に高められた温度を供給し、かつ硝酸カリウム(KNO)を含む塩浴中に晒すことにより、加えることができる。ただしこの場合、著しい弛緩を許さないために、温度はガラス転移温度未満に保たれることが望ましく、これにより応力は所定のように形成され得るが、表面内でイオン交換が十分に迅速にかつ深く行われるように、応力は十分に高いことが望ましい。
化学的な硬化は、複数の異なる前記のような塩浴内で連続して行われてもよく、この場合、塩浴中への浸漬は、約1~24時間の間、好適には1~8時間の間にわたって行われる。
この化学的な予荷重方法では、ガラスの表面付近の層からの、より小さなナトリウムイオンが、塩浴からの、より大きなカリウムイオンと交換され得る。より大きなカリウムイオンは、ガラスの網状組織中に入り込み、圧縮応力が加えられた表面付近の層もしくはゾーンを形成する。この場合、相応に処理された表面では、カリウムイオンが増加すると共に、ナトリウムイオンが減少し、したがって表面は、元のガラスよりも多くのカリウムイオン含有量を有することになる。この場合、最大圧縮応力CSは表面に位置していてよいか、または圧縮予荷重が加えられた表面の下側に位置していてもよい。
壁の外側表面において予荷重が加えられた層の深さまたは厚さは、一般にDOL(DOL=”Depth of layer”)とも呼ばれる。この厚さDOLは、光弾性ゼロ通過測定法により、例えばFSM-6000という商品名の測定装置を用いて測定され得る。
この測定装置を用いて同様に、表面の圧縮応力ならびにガラスの最大圧縮応力CSを求めることもできる。予荷重を加えられた層の厚さDOLは通常、塩浴からガラス表面への、より大きなイオンの侵入深さにほぼ相当する。
以下で「アルカリ」という用語が使用される場合は、特にカリウムおよびナトリウムの各元素もしくはこれらのガラス中のイオンを意味し、以下でこれらに言及する場合にはその都度、酸化物に関して換算された値が開示される。
ガラスの内側、つまり外側表面から出発して表面に対して垂直な方向には、予荷重に基づき、圧縮応力とは反対方向の引張り応力が形成され、引張り応力は、圧縮応力ゾーンの前記深さDOLから圧縮応力ゾーンに続いている。このことは、両面側に予荷重が加えられたガラスの場合、特に壁の中心領域にあたり、例えば国際公開第2013130721号に記載されたように、引張り応力が加えられた中心の壁領域は両側をそれぞれ、その時々の深さDOLの高められた圧縮応力を有する領域により取り囲まれている。この場合、この刊行物ではCTが、中心の壁領域における引張り応力の値を表しており、両面側に予荷重が加えられた場合、引張り応力は中心の壁領域において最大でもある。今、本発明による片側外面予荷重では、引張り応力CTは壁の内側表面にまで継続しており、壁の内側表面における引張り応力は、本開示の枠内でISTと表され、CTは、必ずしも引張り応力の最大値を示してはいない。つまり両面側に予荷重が加えられたガラスの場合、壁の外側表面は、それぞれ高められた圧縮応力を有しているのに対し、壁の中心領域では、抵抗して作用する引張り応力が優勢である。
本発明の意味では、壁の外側表面だけに少なくとも部分的に予荷重を加え、よって壁の内側表面には予荷重が加えられない、ということが想定されている。
意外にも、片側の外面のみに圧縮予荷重が加えられたガラス製容器は、特に外部から特定の力が作用した場合や、例えば充填時および搬送時に容器が荷重に晒された場合にも、大幅に改良された強度を有している。
この中には特に、まさにガラス等の硬く脆い材料では問題となり得る、充填および/または閉鎖において改良された強度が含まれ、また、例えば自動搬送に際して生じ得る軸方向または半径方向に作用する力(「側方圧縮」)または衝突において良好な強度も含まれる。
片側に予荷重が加えられた容器のより高い強度は、容器の上述した荷重状態における、引張り応力に関連した片側外面圧縮予荷重に基づき、累積して働く追加的な引張り応力が中空体の壁に作用するという点で期待することができず、最終的に強度の増大ではなく、むしろ損失が予想された。
今、全く意外にも、外面に圧縮予荷重が加えられたガラス製容器において、破裂圧力が概ね不変に保たれ続けると同時に、それどころか例えば軸方向および半径方向の圧縮または衝突に際して外部から容器に作用する力に対する強度が大幅に向上され得る、ということが判った。
片側の外面に予荷重が加えられたガラス製容器の、この意外な材料特性を理解するために、相応のシミュレーションを用いて構造機械的なモデル化が実施され、これにより、片側予荷重に基づき生じる応力比をより良く理解することができた。検査によりこの場合、つまり外面に予荷重が加えられた容器の場合には、一般にガラスの中心領域に存在する引張り応力CTが、中空体の壁の内側表面にまで継続する、ということが判り、この場合、内側表面における引張り応力CTは、内側表面応力、例えばインナーサーフェステンション(Inner Surface Tension)または略してISTとも呼ばれる。
よってこの引張り応力ISTの高さの見積もりは最早、両面側に予荷重が加えられたガラスにおける引張り応力CTを見積もるための、一般に周知の法則
CT=(CS×DOL)/(t-2DOL)
に従って行うことができない。
この場合、tは壁厚さまたは厚さを表し、中心の引張り応力ゾーンCT×(t-2DOL)と、隣接する2つの外側の圧縮応力ゾーン2×1/2(CS×DOL)との比に基づく応力均衡はその都度、それぞれ増加した応力の延在深さに、増加した応力を掛けた積から導出され得ると仮定され、したがって外側の圧縮応力と内側の引張り応力とが均衡しているまたは釣り合っている場合には
CT×(t-2DOL)=2×1/2(CS×DOL)
が当てはまる。
これに対して本発明による、内側表面における引張り応力IST(Inner Surface Tension)は、唯一の引張り応力ゾーンと唯一の圧縮応力ゾーンとの間の応力均衡から導出され、加えられた各応力が均衡した釣合い状態には近似的に
IST×(t-DOL)=1/2(CS×DOL)
が当てはまる。
よって容器の中空体の壁内の本発明に基づく応力分布には
IST=0.5×(CS×DOL)/(t-DOL)
が当てはまり、この場合、CSは、外側表面の領域に加えられた、その都度近くに配置されたまたは外側表面に隣接した圧縮応力ゾーンにより生じさせた最大圧縮応力を表し、DOLは、外側表面からの前記圧縮応力ゾーンの深さを表し、tは、圧縮応力ゾーンがもたらされた壁の厚さを表す。
今、本発明による片側外面予荷重では、引張り応力CTが壁の内側表面にまで継続しており、壁の内側表面における引張り応力CTは、本開示の枠内ではISTと呼ばれる。
発明者は、容器の壁の内部における前記応力特性線において、容器の強度の増大と、例えば容器の内部圧力強度、つまり破裂圧力に対する容器特性の低下等の低下の回避との間に、極めて有利な均衡を見いだすことができた。
例えば、内側表面に極めて高い引張り応力荷重が加えられる負荷の場合、片側予荷重における極めて高い引張り応力は、容器の強度の低下を招く恐れがある。しかし他方では、例えば軸方向または半径方向の力が作用した場合または外部からガラス製容器に衝突した場合にも、外部から作用する力に対する、より高い強度が達成され得る。
破裂圧力、つまり内側表面が最大限に耐えることができる引張り応力の値を増大させることができなくとも、軸方向および半径方向の力に対する強度の向上は、容器の性能特性に影響を及ぼす。
構造機械的なモデル化により得られた結果が正しいことを証明するために、ガラス製容器に対する強度試験が実施された。このためには画一的な幾何学形状を有し、本例では2mlの定格容量(2R-バイアル)を有するホウケイ酸ガラス製容器と、アルミノケイ酸塩ガラス製の容器の両方が、相応の試験を受け、この場合、試験バッチが50容器ずつ形成された。
試験を実施するために、1mmの壁厚さtを有する容器の側壁の管状または円筒形の領域の片側外面に、化学的に予荷重が加えられた。ホウケイ酸ガラスの場合には、およそCS=200MPaの圧縮予荷重と、およそDOL=35μmの、予荷重が加えられた層の厚さ、つまり予荷重深さとを有する、圧縮予荷重を加えられた表面層が形成された。アルミノケイ酸塩ガラスの場合には、およそCS=800MPaの圧縮予荷重と、およそDOL=55μmの予荷重深さとを有する、圧縮予荷重を加えられた表面層が形成された。比較のためには、予荷重が加えられていない、同一材料および同一幾何学形状の試料が利用された。
いわゆる破裂圧力(「バーストプレッシャー」)を求めるために、破裂試験により、充填時の強度が測定された。この破裂試験は、中空体の破裂圧力を測定するための破壊試験であり、最大限に耐えることができる引張り応力を求めるために用いられる。
前記試料は、この破裂圧力試験を受け、また軸方向および直径方向もしくは半径方向の圧縮も加えられ、さらに衝突時の特性を検査するために振り子衝撃試験も受けた。
この場合、片側の外面に予荷重が加えられたホウケイ酸ガラス製容器の場合には、破裂圧力強度が実際には不変に保たれ続けるのに対し、片側の外面に予荷重が加えられたアルミノケイ酸塩ガラス製容器の場合には、破裂圧力強度が大幅に低下する、ということを証明することができた。
他の3つ全ての試験において、つまり容器に軸方向の圧縮および直径方向もしくは半径方向の圧縮を加えた場合ならびに振り子衝撃試験を実施した場合に、強度の大幅な改良を確認することができた。
軸方向および半径方向または直径方向に圧縮した場合、片側の外面に予荷重が加えられた、アルミノケイ酸塩ガラスを含む容器は、片側の外面に予荷重が加えられたホウケイ酸ガラス製容器のオーダの、予荷重が加えられていない同種の容器に比較して、強度の向上を示す。
これに対してホウケイ酸ガラス製容器の場合には、破裂圧力強度を低下させることなしに前記3つの荷重ケースに関して著しい強度向上を生じさせるためには、表面における比較的低い圧縮応力で足りる。よって本発明は特に、ホウケイ酸ガラスを含むもしくはホウケイ酸ガラスから製造された容器に適している。
したがって、特に外部からの衝突もしくは軸方向または半径方向に作用する力における容器の強度に関しては、壁の内側表面における引張り応力の形成が1つの重要な特徴であり、この特徴の値が強度に重要な影響を及ぼす。本発明の意味において留意せねばならないのは、引張り応力に関しては最適値が存在する、という点であり、この最適値を超過すると、壁の内側表面の上面が弱化され、最適値を下回ると、中空体の壁の外側表面の十分に高い強度の改良が達成されなくなる。
本発明によるガラス製容器の片側の外面に予荷重を加えることにより、まとめると、容器の内側表面、つまり内部容積に面しひいては充填された試料と接触し得る壁の上面が、圧縮予荷重を加えられた層を有することはない。むしろ圧縮応力とは反対向きの、一般に両面側に予荷重が加えられたガラス板の中心において優勢な引張り応力が、本発明による容器の壁の中心を越えて壁の内側表面にまで達し得る。よって好適には、壁の内側表面に、(小さな)引張り応力が加えられている。
換言すると、壁内の予荷重の特性線の非対称のプロファイルが生じ、この場合、壁の外側半分は平均して(正の)圧縮応力を有しており、かつ壁の内側半分は平均して(負の)引張り応力を有している。ただしこの場合、内側の引張り応力は、外側の圧縮応力よりも大幅に小さくなっている。
1つの好適な実施形態では、壁内の前記応力特性線に基づき、外側表面に比較的高い圧縮予荷重が加えられかつこれに比べて小さな引張り応力が中心および内側表面に加えられた中空体を有するガラス製容器が提供され得、この場合、
IST<0.8×(CS×DOL)/(t-2DOL)
および/または
0.3×(CS×DOL)/(t-DOL)<IST<0.7×(CS×DOL)/(t-DOL)
が当てはまる。
1つのさらに好適な実施形態では、好適には外側表面において圧縮予荷重が加えられた領域とは反対の側に位置する、IST≧0MPaおよびIST≦30MPa、好適にはIST≦20MPa、特に好適にはIST≦15MPaおよび極めて特に好適にはIST≦5MPaの、壁の内側表面における応力ISTを有するガラス製容器が提供され得る。このようにして、予荷重に基づく引張り応力が極度に大きくならないことが保証され得、これにより、容器の破裂特性が低下されることはほとんどまたは全くない、すなわち、破裂強度は好適には保たれ続ける。
この場合、引張り応力の特性線は、本発明による容器の壁の中心から、壁の内側表面に至るまで比較的一定であってよい、すなわち、引張り応力の高さは、壁の中心ではほぼ、壁の内側表面における前記範囲の引張り応力の高さに等しくなっている。1つの好適な実施形態では、壁の中心における引張り応力の高さは、壁の内側表面まで僅かにしか変動せず、この変動は、好適には±10%、好適には±5%の範囲内である。
したがって、本発明による容器は、壁の片面だけ、好適には壁の外側表面だけが、圧縮予荷重を加えられた、壁厚さに対して15%以下の、好適には10%以下の、かつ特に好適には8%以下の厚さを有する表面付近のゾーンを有している、という点においても優れている。
1つの極めて特に好適な実施形態では、壁の外側表面において圧縮予荷重を加えられた表面付近のゾーンの厚さは、壁の厚さに対して6%以下である。よって例えばt=1.6mmの壁厚さの場合、圧縮予荷重を加えられた表面付近のゾーンの厚さは、およそDOL=96μmである。これにより、まさに化学的な予荷重の場合には、予荷重に基づき組成が変化しカリウムイオンが増加する領域が、外側表面にのみ該当する、という高い信頼性も共に達成することができる。
したがって、壁の中心領域と、壁の中心から壁の内側表面に達する内側領域とからは、好適には予荷重によりもたらされる追加的なアルカリ、好適にはカリウムイオンが除去されている。一般に存在する、予荷重によりもたらされるアルカリの分布は、外側表面から0.5μm離れた領域において、壁の外側表面から内側表面に向かって、内側表面から0.5μm離れた領域まで、単調に減少しており、この場合、この情報に関しては、例えば100μmの深さにわたり、または10μmのみの深さにわたっても統一された。それというのも、例えばABF(重弗化アンモニウム)を用いるような浸出プロセスにより、最も内側の極めて薄い層が、アルカリに関して再び浸出可能だからである。
壁の内側表面において、平均500μmの深さまでのKOおよびNaOの含有量は、好適には10重量%以下、好適には9%以下かつ特に好適には8%以下である。この含有量は、本発明では壁の内側表面において、底部から見て中間の高さにおいて測定される。
つまり結果的に、化学的な予荷重を加えた後には、化学的な予荷重において交換されたアルカリの集中特性線が存在しており、アルカリの集中特性線は、壁の外側表面付近の高い値から出発して、実質的にゼロまたはゼロに等しい、内側表面付近または内側表面における、ガラスに内在する低い値に低下する。
したがって、本発明の1つの大きな利点は、薬品と相互作用する容器の内側表面が、化学的に不変に保たれ続ける、という点にある。このことは特に、美容用、医療用または製薬用の試料を収容するために想定された容器にとって有利である。同時に、本発明による容器の強度も向上させることができるため、特に搬送および/または充填における容器の製品信頼性を大幅に改良することができる。また、例えば栓等の閉鎖手段による容器の閉鎖に際しても、破裂につながる恐れのある高い内部圧力が生じ得る。この場合も、本発明による容器の信頼性を改良することができる。
特にこの利点は、ホウケイ酸ガラス製容器において効果を発揮する。それというのも、このガラスの場合には、所要の化学的な耐久性を達成するために、ガラスの化学的な前処理が必要とされないからである。ただしここで一般に慣例であるように、中空体の壁の内側表面にも化学的に予荷重が加えられた場合には、そこにガラスのナトリウムイオンと交換される高濃度のアルカリ、つまり塩浴からのカリウムイオンがもたらされる。これは典型的には、内側表面から見て数十μmの深さにまで行われる。化学的な後処理により、狭い範囲においてこのアルカリを再び除去することは確かに可能ではある。しかしこのことは、一方では追加的な処理ステップを必要とし、他方ではこのことは、最も外側の表面層でしか上手くいかない。さらに、後処理後の内側表面のアルカリ放出は当然、継続時間、温度、ph値等のパラメータを用いた後処理の強度に左右され、さらに容器の幾何学形状等の要素にも左右され得る。つまり、化学的に予荷重を加えられかつ後処理された内側表面の場合には、化学的に予荷重が加えられていないガラス表面に当てはまるような、概ね一定の化学的な特性を備えたガラス表面を起点とすることはできない。
本発明に基づき、有利には、一方では内側表面の化学的な後処理を省くことができ、他方では、容器の壁の内側表面からは、壁の内側表面から測定した比較的大きな深さまでも、化学的な予荷重を介してもたらされたアルカリが除去されている。
このようにして、強度に関して改良された、製薬用の、好適にはアルミノケイ酸塩ガラスまたはホウケイ酸ガラスを含むガラス製一次包装が提供され得、このガラス製一次包装において、試料、例えば薬品と接触することになる容器の壁の内側表面は、内側表面から垂直に壁の深さ方向に測定して100μm、好適には150μmかつ特に好適には200μmの深さまでは、容器の壁の中心のガラス、例えばバルクガラスに対して化学的な予荷重により変化させられたアルカリ濃度を有していてはならない。よって好適にはこの領域には通常、バルクガラスに比べて高められたカリウムイオン濃度が存在することもない。
本発明に基づきさらに、強度に関して改良された、製薬用のホウケイ酸ガラス製一次包装が提供され得、このホウケイ酸ガラス製一次包装において、試料、例えば薬品と接触することになる容器の壁の内側表面は、予荷重を加えられていない容器の表面に比べ、化学的に不変である。つまり試料、例えば薬品は引き続き、本来のホウケイ酸ガラスの表面にのみ接触することになる。
本発明の意味では、ガラス製容器の強度を、片側の外面に加えられる圧縮予荷重により、好適には特に危機的な荷重が生じる場所において向上させる、ということが想定されている。これは一般に、壁の外側表面における上面領域、好適には側壁の領域に当てはまる。さらに、経験上、最大の荷重が生じる底部または少なくともヒールにも予荷重を加えることが有利であると考えられる。この場合には、ヒールの領域における圧縮応力ゾーンにより生じさせる引張り応力の、場合により生じる増大を緩和するかまたはそれどころか回避するために、当該領域においてガラスの内面側が厚くされてもよい。
本発明の改良では、容器の外壁の別の領域、例えば中空体の側壁の上側に続く外壁の領域の片側の外面にも予荷重を加えることが想定されている。バイアルの場合、これらの領域には、中空体のショルダおよび/またはネックおよび/またはロール縁部が該当し得る。
有利には、特に試料を収容するための内部容積を有する中空体を備えた、特に試料を収容するための、ガラスを含むまたはガラス製の容器も開示され、中空体は、中空体の内部容積が隣接する内側表面を備えた壁、ならびに内側表面とは反対側に位置する外側表面を有しており、壁は、少なくとも1つの部分領域に、圧縮応力が加えられたゾーンを有しており、壁に圧縮応力が加えられたゾーンは、外側表面に隣接するように形成されており、壁の中心、つまり外側表面と内側表面との間の中心では、引張り応力CTに関してCT≧0MPaかつCT≦20MPaが当てはまり、好適にはCT≦15MPaかつ特に好適にはCT≦5MPaである。この構成により、前掲の国際公開第2013130721号に記載されたような破裂特性が生じるということが、確実に回避されることが望ましい。
有利には、中空体の壁は、少なくとも1つの開口および/またはロール縁部および/またはネックおよび/またはショルダおよび/または側壁および/またはヒールおよび/または底部を形成している。
圧縮応力を加えられた1つまたは複数のゾーンが、それぞれショルダ、ネック、ロール縁部、側壁、ヒールおよび/または底部の隣にかつ/またはショルダ、ネック、ロール縁部、側壁、ヒールおよび/または底部と境を接するように形成されていると、これにより容器の強度特性が、容器の機械的な荷重に関する各要求に、有利に適合され得る。
壁内で外側表面に隣接するように形成された、圧縮応力が加えられたゾーンにより、外側表面の領域に、特に所定の深さDOLまで圧縮応力が形成されており、かつ半径方向において、壁の中心に対して非対称の応力特性線のプロファイルが、外側表面から反対側の内側表面までの壁内に存在していると、対称の予荷重に比べ、例えば大幅な強度向上等の大きな利点を得ることができ、しかもこの場合、破裂圧力耐久性に関する大きな欠点を甘受せずに済む。
この場合、有利には、外側表面に圧縮応力が加えられた領域では、この領域とは反対の側に位置する壁の内側表面に、応力IST(Inner Surface Tension)が引張り応力として形成されていると言え、この引張り応力ISTに関しては、IST≧0MPaかつIST≦30MPaが当てはまり、好適にはIST≦20MPa、特に好適にはIST≦15MPaかつ極めて特に好適にはIST≦5MPaである、と言える。
1つの特に好適な実施形態では、外側表面に圧縮応力が加えられた領域では、応力、特に壁の反対側に位置する内側表面における引張り応力について
0.3×(CS×DOL)/(t-DOL)<IST<0.7×(CS×DOL)/(t-DOL)
が当てはまり、この場合、DOLは、圧縮応力が存在するゾーンの深さを表し、tは、壁の厚さを表し、CSは、応力、特に外側表面における圧縮応力を表す。
発明者は、外側表面に圧縮応力が加えられた領域では、壁の中心における引張り応力の高さが、壁の反対側に位置する内側表面における引張り応力の高さにほぼ等しくなり、しかも好適には、壁の中心における引張り応力の高さは、壁の内側表面に至るまで、±10%、好適には±5%の範囲内で、極僅かにしか変動しない、ということを発見した。これにより、容器の壁の広い範囲にわたり、応力ピークおよびこれに付随して生じる破裂圧力耐久性の低下を回避する均一な応力、特に引張り応力が提供されることになる。
有利には、外側表面に圧縮応力が加えられた領域では、圧縮予荷重が加えられた表面付近のゾーンは、この領域における壁の厚さまたは肉厚さに対して15%以下、好適には10%以下、特に好適には8%以下、極めて特に好適には6%以下の厚さまたは深さDOLを有している。
好適には、化学的に予荷重がもたらされた場合、圧縮応力が加えられたゾーンにおける、化学的な予荷重に際してガラス中にもたらされたアルカリの分布は、壁の外側表面から反対側の内側表面に向かって少なくとも、外側表面から0.5μm離れかつ内側表面から0.5μm離れた領域に至るまでの領域において、化学的に予荷重を加えた直後に単調に減少する。
この場合、少なくとも外側表面に圧縮応力が加えられた領域において、壁の反対側の内側表面におけるガラスは、100μmの深さまでは、好適には150μmまでは、特に好適には200μmまでは、壁の中心のガラスに対して追加的にガラス中にもたらされるアルカリ種の集中を有することがないため、化学的な予荷重が、医療用途用の容器の使用を損なうことはない。
1つの好適な実施形態では、少なくとも、圧縮応力を加えられた領域とは反対の側に位置する壁の内側表面において、500μmの深さまでのKOおよびNaOの含有量は、平均して13重量%以下、好適には9%以下、特に好適には8%以下である。
想定される予荷重の程度に応じて、当該方法には様々な実施形態が適している。例えば底部および/またはヒールおよび/または側壁のみに、化学的に片側の外面に予荷重が加えられる場合には、底部を先にして容器を塩浴中に浸漬させることが考えられる。さらに、容器の上側に続く領域にも、化学的に片側の外面に予荷重が加えられる場合には、底部を先にして容器を塩浴中により深く浸漬させてよいが、容器の内側表面を化学的に変化させないようにするために、塩浴は開口内に侵入しない、ということに留意せねばならない。このためには例えば、栓を用いて開口を閉鎖することが可能であり、これにより、容器を完全に浸漬させることも可能である。
1つの別の実施形態は、容器の頭から先に、容器の長手方向軸線に対して平行な移動方向において、塩浴の表面に対して垂直に浸漬させることを想定しており、これにより、中空体内の空気により、中空体内への塩溶液の侵入を防ぐことができる。この方法における欠点は、開口が予め適切に閉鎖されなかった場合には、塩浴からの蒸気が開口内へ流入する恐れがある、という点にある。
以下に、添付の図面を参照して、本発明を好適な実施形態に基づき説明する。
試料を収容するためのバイアルの例を用いた、本発明によるガラス製容器を、容器中心を通り実質的に鉛直方向に延在する、少なくとも部分的な横断面で示した図である。 容器中心を通り実質的に鉛直方向に延在する横断面から、側壁領域の壁の一部を抜粋して単に概略的に示す図である。 ガラス製容器の強度試験の結果を示す図であって、この場合、片側の外面に予荷重が加えられたホウケイ酸ガラスから成る容器およびアルミノケイ酸塩ガラスから成る容器が、それぞれ予荷重が加えられていない容器と比較され、分析される。 ガラス製容器の強度試験の結果を示す図であって、この場合、片側の外面に予荷重が加えられたホウケイ酸ガラスから成る容器およびアルミノケイ酸塩ガラスから成る容器が、それぞれ予荷重が加えられていない容器と比較され、分析される。 ガラス製容器の強度試験の結果を示す図であって、この場合、片側の外面に予荷重が加えられたホウケイ酸ガラスから成る容器およびアルミノケイ酸塩ガラスから成る容器が、それぞれ予荷重が加えられていない容器と比較され、分析される。 ガラス製容器の強度試験の結果を示す図であって、この場合、片側の外面に予荷重が加えられたホウケイ酸ガラスから成る容器およびアルミノケイ酸塩ガラスから成る容器が、それぞれ予荷重が加えられていない容器と比較され、分析される。 片面に予荷重が加えられることにより壁の厚さにわたって生じる応力の状況を例示した図である。 壁の外側表面から内側表面までの応力特性線に基づき、壁における(正の)圧縮応力および(負の)引張り応力の特性線を示す図である。 バイアルの例を用いた、本発明によるガラス製容器であって、この場合、特殊鋼体を有する栓が、容器開口を液密に閉鎖するように容器開口内に挿入されているところが、容器中心を通り実質的に鉛直方向に延在する、少なくとも部分的な横断面図で示されている。
以下の好適な実施形態の詳細な説明では、明確性のために、同一符号は、これらの実施形態において実質的に同一の構成部材を表す。
より良く理解するために、以下に次の定義を定める。
ゾーンとは、本開示の枠内では、ガラスの完全に内側に位置し、ガラスの表面に接していてよい空間的な容積を意味する。表面とは、本発明の枠内では、数学的な概念の表面を意味するのではなく、例えば内側表面と外側表面とにおいて例えば圧縮応力または引張り応力等の物理的な特性が測定可能であるように、ガラスの少なくとも1つ~複数の原子層または分子層を含む、物理的な概念の表面を意味する。
層の概念には、上述したゾーンが含まれていてよく、このゾーンが例えば表面付近で表面、例えば外側表面に沿って延在しており、これにより空間的な容積を占めている場合には、概念的にゾーンと一致し得る。この場合、このような種類の層は一般に、熱処理または化学処理されていてよい種族特有のガラス材料から成っているにもかかわらず、ゾーンの概念と層の概念とは同義に用いられる。
図1には、試料(図示せず)を収容するためのバイアル10の例を用いた、本発明によるガラス製容器1が示されている。容器1は、試料を収容する内部容積12を画定する中空体を有している。容器1は、図示の実施例に限定されることなしに当然、アンプル、注射器またはカートリッジを含む別の幾何学形状を有することができる。
中空体は、中空体の内部容積12に面した内側表面14を備えた壁11ならびに内側表面14とは反対の側に配置され、周辺環境に面した外側表面13を有している。回転対称の中空体は、上端部15および下端部16を備えた円筒状または管状の部分を有しておりかつその上端部15に、中空体に充填するためまたは中空体を空にするための開口17を有している。
中空体の壁11は、図示のバイアル10の例では側壁20と底部22とを有しており、かつ底部22と側壁20との間の移行領域には、ヒール21と呼ばれる、丸み付けられた縁部を有している。したがって、底部は中空体の下端部を形成している。バイアル10の場合には、ショルダ23が側壁20の上部終結部を形成している。ショルダ23はネック24に移行しており、最後に上端部15において、ネック24に終端部が続いており、終端部は、このバイアル10の例ではロール縁部25とも呼ばれる。当業者には、壁11のこれらの名称が図示のバイアル10に関するものであり、例えばアンプル、注射器またはカートリッジとして形成された別の形態の容器の場合には、別の名称が存在していることは明らかである。したがって、本発明による片側外面予荷重は当然、バイアルのみに関するものではなく、様々な幾何学形状のガラス製容器全般に関する。
容器1の具体的な幾何学形態に関係なく、容器の下端部16を起点とする領域および実質的に内部容積を形成する中空体領域を含む容器の下側部分Aならびに容器の上側領域にあたる、引き続く部分Bが規定され得る。
図示のバイアル10は、後続の熱間成形により引き伸ばされたガラス管の一部から製造されている。本例では、バイアル10はホウケイ酸ガラスから製造されているが、例えば製薬用の一次包装に適した別のガラス組成、例えばアルミノケイ酸塩ガラスが選択されていてもよい。
ホウケイ酸ガラスは、化学浸出に対する高い加水分解抵抗を有しており、製薬用途に関して、例えばヨーロッパ薬局方8.4では、ホウケイ酸ガラスから成る容器は、有利にはタイプIに相応するものとして分類され、したがって最高抵抗レベルに相応するものとして分類される。
本発明に基づき、壁11の外側表面13は、外面に配置された、圧縮応力を有する層またはゾーンを有しているため、壁11の外面には、少なくとも部分的に圧縮予荷重が加えられている。圧縮応力を有する前記ゾーンは、所定の深さDOLまで壁11の内部に突入しており、壁11自体は厚さtを有している。
図2には、外側表面13と内側表面14とを備えた壁11の一部、本例では側壁20の1つの領域が、単に概略的にのみ示されている。壁11の外側表面13から始まり、壁11の中心35に向かって、圧縮予荷重が加えられたゾーン30が続いている。このゾーン30は、壁11の中心35にまでは達しておらず、特に壁の中心35と内側表面14との間に位置する壁11の領域には達していないことが、明らかに判る。このことから、壁の反対側に位置する内側表面14には圧縮応力ではなく、むしろ引張り応力が存在していることが判る。つまり本発明に基づき、片側の外面に予荷重が加えられた容器が存在している。
つまり好適には、とりわけ危機的な荷重に晒されている容器1の領域にのみ、片側の外面に圧縮予荷重が加えられる。
これは図2の例に示すように、多くの場合は側壁20に当てはまる。それというのも、ここにまさに、輸送時に衝突や半径方向荷重が生じる可能性があるからである。充填時には、容器1の内部に作用する比較的強い圧縮力が加わる可能性があり、さらに軸方向荷重が、例えば閉鎖時に加わる可能性がある。よって、ヒール21および底部22の領域の壁11、つまり容器1の、符号Aを付した部分にも、本発明による片側の外面圧縮予荷重を加えることが考えられる。
多くの場合において、容器の外側領域全体、つまりショルダ23、ネック24およびロール縁部25を含む部分Bに属する領域にも、本発明に基づく片側の外面圧縮予荷重を加えることが有利である。
図2に示す容器1の壁厚さは、本実施例に限らず、例えばt=1mmであってよいが、しかしまた例えばt=1.6mmであってもよい。よって、熱的な予荷重は困難でしかなく、これにより、このバイアル10には化学的に予荷重が加えられている。このために容器1は、約400℃以上に高められた温度において、硝酸カリウム(KNO)を含む塩浴に、1~24時間または1~8時間にわたって晒される。ただしこの場合、前記温度はその都度、ガラスのガラス温度Tg未満に保たれることが望ましいが、例えば特定のガラスについては450℃または490℃であってもよい。
化学的な予荷重は、ガラスの表面付近の層においてガラス中に存在する、より小さなナトリウムイオンの代わりに、ナトリウムイオンの場所における、塩浴からのカリウムイオンの増加を招く。前記表面付近の層がゾーン30を成している。容器1のこの層ひいては外側表面13は、化学的な予荷重が加えられると、未処理の表面よりも高い強度を有することになる。
外面の予荷重により、壁11の内部、つまり外側表面13を起点として内側表面14に向かう壁11の内部には、圧縮応力とは逆向きの引張り応力が生じる。
壁11の外側表面13において予荷重が加えられた層の厚さ、つまりDOLは図2に示されており、この場合はより良好な図示という理由から、具体的な厚さのみが選択された。実際には、DOLは一般に数十マイクロメートル、本例では約35μmであり、この場合、一般には10μm~100μmの範囲が適当であると見なされる。
片側の外面に予荷重が加えられた容器1は、充填および/または閉鎖に際して、より良好な強度を有しており、さらに、例えば自動的な搬送において生じることがある、軸方向または半径方向に作用する力または衝撃においても良好な強度を有している。
相応のシミュレーションを用いた構造機械的なモデル化に基づき、片側予荷重により、一般にガラスの中心領域に存在する引張り応力は、中空体の壁の内側表面まで継続する、ということを明らかにすることができた。容器1の中空体の壁11内の本発明に基づく応力分布には
IST=0.5×(CS×DOL)/(t-DOL)
が当てはまり、この場合、tは壁の厚さを表す。
図3~図7には、ガラス製容器1における強度試験の結果が示されており、この場合、2mlの定格容量(2R-バイアル)を有し、本発明に基づき片面の外側に予荷重を加えられたホウケイ酸ガラス製の容器1およびアルミノケイ酸塩ガラス製の容器1がそれぞれ、複数の異なる試験を受け、この場合、試験バッチが50容器ずつ形成された。ホウケイ酸ガラスの場合には、DOL=35μmを有するおよそCS=200MPaの最大圧縮予荷重を有する、圧縮予荷重が加えられた表面層が生じさせられた。アルミノケイ酸塩ガラスの場合には、およそCS=800MPaおよびDOL=55μmの最大圧縮予荷重を有する、圧縮予荷重が加えられた表面層が生じさせられた。比較には、同一材料および同一幾何学形状の試料が利用された。
この場合、当業者は特に(重量%で)以下の成分を含有するガラスをホウケイ酸ガラスと理解している。
SiO 65-85
5-15
NaO+KO 3.5-9
Al 0-7
CaO 0-3
アルミノケイ酸塩ガラスは、好適には重量%で以下の組成を有し得る。
SiO 55-75
NaO 7よりも多く17まで
Al 8-20
O 0-4
MgO 0-5
ZrO 0-5
ZnO 0-4
CaO 0-10
NaO+KO+MgO+ZnO+CaO 13-28
SnO 0-1
TiO+CeO 1以下
Figure 0007496680000001
上に示すのは、それぞれ予荷重が加えられていない容器の1%分位数に対し、外面予荷重により相対的に改良された1%分位数である。この場合、BSはホウケイ酸ガラスを表し、ASはアルミノケイ酸塩ガラスを表す。つまり上記データは、予荷重が加えられていない従来の容器に比べて改良された、本発明による容器の特性に関する相対的な基準である。
破裂圧力の測定は、DIN EN ISO 7458(「ガラス容器-内面耐圧性、試験方法」)に基づく試験方法で行われる。この場合、容器は容器の内部に液圧を加えられる。この圧力は、毎秒5.8barの速度で、容器に破断が生じるまで連続的に高められる。
軸方向の圧縮に対する容器の機械的な耐久性は、DIN EN ISO 8113(「ガラス容器-鉛直荷重に対する耐性-試験方法」)に基づく試験方法で測定される。この場合、軸方向において容器に圧縮力が加えられ、圧縮力は、毎分500Nの一定速度で、容器が破断するまで高められる。
半径方向の圧縮もしくは直径方向の圧縮に対する機械的な耐久性も同様に、DIN EN ISO 8113に基づく試験方法で求められる。
振り子衝撃試験は、DIN52295に記載されている。
充填および/または閉鎖および/または凍結乾燥における強度は、いわゆる破裂圧力(「バーストプレッシャー」)を求めるために、破裂試験により測定された。これらの破裂試験では、各容器の破裂が生じるまで、内部圧力が大幅に高められた。図3には、この破裂圧力の結果が示されている。1%-分位数がそれぞれ示されており、この場合、予荷重を加えられていないホウケイ酸ガラス製容器の1%-分位数が、各試験において1に標準化された。ホウケイ酸ガラス製容器の場合、片側の外面に予荷重が加えられたホウケイ酸ガラス製容器の場合の破裂圧力強度は、実際には不変に保たれるのに対し、片側の外面に予荷重が加えられたアルミノケイ酸塩ガラス製容器の場合の破裂圧力強度は低下する、ということが判った。
図4に、例えば容器充填時に生じることがある、軸方向に荷重が加えられる場合の検査結果が示されている。ここでも1%-分位数がそれぞれ示されている。この場合、ホウケイ酸ガラス製容器の本発明による片側外面予荷重は、容器の大幅な強度向上をもたらす、ということが判った。同様に強度が向上するアルミノケイ酸塩ガラス製容器に比べると、ホウケイ酸ガラス製容器の方が、強度の増大が高くなっている。
図5に、直径方向に荷重が加えられる場合、つまり例えば輸送時に生じ得るような力が容器の外側表面に半径方向に作用する場合の検査結果が示されている。ここでも1%-分位数がそれぞれ示されている。この場合も、ホウケイ酸ガラス製容器の本発明による片側外面予荷重は、やはり容器の極めて大幅な強度向上をもたらす、ということが判った。
図6に、振り子衝撃、つまり衝突により容器に作用し得る荷重の結果が、それぞれ1%-分位数の形で記載されて、示されている。この場合も、ホウケイ酸ガラス製容器の本発明による片側外面予荷重は、やはり容器の極めて大幅な強度向上をもたらす、ということが判った。それどころかこの場合、アルミノケイ酸塩ガラス製容器は、ホウケイ酸ガラス製容器の場合よりもさらに大幅に強度を向上させることができる。
前記3つの検査、つまり容器に軸方向の圧縮および直径方向もしくは半径方向の圧縮を加えた場合ならびに振り子衝撃を実施した場合の検査により、容器の強度の大幅な改良が生じる、ということが判った。
図7には、片側予荷重により、壁の厚さにわたって生じる応力状態が例示されている。典型的には壁の中心、つまり中心35の領域に生じる引張り応力CTが、容器の壁の内側表面まで継続していることが判る。
特に外側もしくは軸方向または半径方向外側から作用する力が衝突した場合の容器全体の強度に関して、壁の内側表面における引張り応力の形成は重要な特徴であり、この特徴の値は、強度に著しい影響を及ぼす。本発明の意味において有利なのは、破裂圧力強度が低下することを防ぐために、壁の内側表面における引張り応力が極度に高くはならない場合である。
結果として、壁内に、壁の中心に対して非対称の応力特性線のプロファイルが生じ、この場合、壁の外側半分は平均して(正の)圧縮応力を有しており、壁の内側半分は(負の)引張り応力を有している。
図8に、壁内の(正の)圧縮応力および(負の)引張り応力の特性線が概略的に例示されている。図示されているのは、壁の外側表面から内側表面までの応力特性線である。
1つの好適な実施形態では、容器1の壁11に存在する応力特性線は、外側表面における高い圧縮応力から出発し、これに比べて小さな引張り応力に移行しており、これについては
0.3×(CS×DOL)/(t-DOL)<IST<0.7×(CS×DOL)/(t-DOL)
が当てはまる。
これにより、極めて有利な強度向上の比率を、内部圧力上昇の発生に対する、仮に存在したとしても極僅かな低下のみに結び付けるガラス製容器を提供することができる。
前記比率では、破裂圧力耐久性が最大20%低下することがあるにもかかわらず、上でそれぞれ1%-分位数により表した測定結果に関して説明したような、抜群の強度向上が達成され得る。
この場合、壁の内側表面における引張り応力の少なくとも一部の範囲は、IST≧0MPaかつIST≦30MPa、好適にはIST≦20MPa、特に好適にはIST≦15MPaかつ極めて特に好適にはIST≦5MPaであってよい。またこのようにして、予荷重に基づき引張り応力が極度に大きくなることはなく、これにより容器1の破裂特性が悪化することはほぼまたは好適には全くない、ということが保証され得る。
この場合、本例では引張り応力の特性線は、本発明による容器1の壁の中心35から壁の内側表面に至るまで一定である、すなわち、引張り応力の高さは、壁の中心ではほぼ、壁の内側表面における引張り応力の高さに等しくなっている。1つの好適な実施形態では、壁の中心における引張り応力の高さは、壁の内側表面まで僅かにしか変動せず、この変動は、好適には±10%、好適には±5%の範囲内である。
よって本発明による容器は、壁の外側表面だけが、表面付近に圧縮予荷重が加えられた、壁厚さに対して15%以下、好適には10%以下、および特に好適には8%以下の厚さDOLを有するゾーンを有している、という点でも優れている。
1つの極めて特に好適な実施形態では、壁の外側表面において表面付近に圧縮予荷重が加えられたゾーンの厚さは、壁の厚さtに対して6%以下である。したがって、例えばt=1.6mmの壁厚さの場合には、表面付近に圧縮予荷重が加えられたゾーンの厚さは、DOL=96μmである。これにより、まさに化学的な予荷重の場合には、予荷重に基づき組成が変化しカリウムイオンが増加する領域が、外側表面にのみ該当する、という高い信頼性も共に達成することができる。
したがって、壁の中心領域と、壁の中心から壁の内側表面に達する内側領域とからは、好適には予荷重によりもたらされる追加的なアルカリ、好適にはカリウムイオンが除去されている。一般に、予荷重によりもたらされるアルカリの分布は、壁の内側表面に向かって外側表面から少なくとも0.5μm離れた領域における外側表面から、内側表面から0.5μm離れた領域まで、単調に減少する。
よって壁の内側表面におけるKOおよびNaOの含有量は、好適には10%以下、好適には9%以下および特に好適には8%以下である。この含有量は、本発明に基づき壁の内側表面の、底部から見て中間の高さにおいて測定される。その結果、図2に示した壁11には、交換によりもたらされたアルカリイオンが集中しており、アルカリイオンは、壁の外側表面付近における高い値から、内側表面における低い値に向かって低下している。
したがって、本発明の大きな利点は、容器の、薬品と相互作用している内側表面が、化学的に不変に保たれ続け、ひいてはさらに化学的に不活性である、という点にある。このことは特に、美容用、医療用または製薬用の試料を収容するために想定された容器にとって有利である。
同時に本発明による容器の強度も向上させることができるため、特に搬送および/または充填時の容器の製品信頼性が大幅に改良され得る。また、例えば栓等の閉鎖手段を用いて容器を閉鎖する際にも、破裂を招く恐れのある、高い内部圧力が生じることがある。この場合も、本発明による容器の信頼性が改良され得る。
本発明に基づきさらに、強度に関して改良された、製薬用のガラス製一次包装を提供することができ、このガラス製一次包装の場合には、試料、例えば薬品と接触することになる容器の壁の内側表面が、予荷重を加えられていない容器の表面に比べ、化学的に不変である。つまり試料、例えば薬品は、引き続き本来の変化されていないガラス表面と接触するだけに過ぎない。
想定される予荷重の範囲に応じて、様々な実施形態が当該方法に適している。例えば底部および/またはヒールおよび/または側壁のみに、つまり実質的に図1に符号Aで表した容器1の部分のみに化学的に、片側の外面に予荷重が加えられる場合には、底部を先にして容器1を塩浴中に浸漬させることが考えられる。さらに、上側に続く容器の部分Bに化学的に、片側の外面に予荷重が加えられる場合にも、底部を先にして容器をより深く塩浴中に浸漬させてよいが、ただしこの場合、容器の内側表面を化学的に変化させないように、塩浴は開口内に流入しない点に留意せねばならない。このために開口は、有利には例えば栓によって閉鎖される。
図9に、例示的な栓が示されており、図9では、側方カラー41を備え、横断面が実質的にT字形で、それぞれ部分的に円筒形の特殊鋼体40が、容器1、特にバイアル10の開口内に挿入されている。特殊鋼体40は、その内部に凹部43を有しており、凹部43は、約10~100μmの厚さの、減少された壁厚さを有する側壁領域44を有している。側壁領域44は、図9では認識し難い、外側に向かって湾曲したクラウニングを有しており、このクラウニングは、側壁領域44の容器内への挿入を、容器1に設けられた開口17内での弾性的な側方当付けでもって可能にする。
特殊鋼体40の底部45は、雌ねじ山を備えた止まり穴46を有しており、止まり穴46内には、側方カラー式頭部を有するねじ山付きピン47の雄ねじ山が係合する。
ねじ山付きピン47の回動により、特殊鋼体40を押圧することができ、回動が増加するにつれ、上述した化学硬度に関して十分に液密に当接するまで、容器1のガラスに対する側壁領域44の密な当接が増大する。この液密な当接の位置は、図9に示されている。
この特殊鋼体の挿入過程ならびに液密な当接の形成過程は、それぞれ手動で、または自動化されたプロセスツールによっても行われてよい。
前記過程が自動化された製造プロセス内で実施される場合、特殊鋼体40は、特にその側方カラー41も、既に熱間成形の直後に容器1に取り付けられ、加工・処理プロセスの終了時に初めて、特に予荷重が加えられた後に初めて容器から取り外される、容器1用のホルダとして用いられてよい。これにより容器1は、製造または搬送に起因してその表面に加えられる機械的な荷重から確実に防護され得る。
1つの別の実施形態は、容器の頭から先に、容器の長手方向軸線に対して平行な移動方向において、塩浴の表面に対して垂直に浸漬させることを想定しており、これにより、中空体内の空気により、中空体内への塩溶液の侵入を防ぐことができる。

Claims (19)

  1. 試料を収容するためのガラス製の容器であって、前記容器は、中空体を有しており、前記中空体は、前記試料を収容するための内部容積を有しており、前記中空体は、
    前記中空体の前記内部容積が隣接する内側表面を備えた壁と、
    前記内側表面とは反対の側に位置する外側表面と、
    を有しており、
    前記壁は、少なくとも1つの部分領域に、圧縮応力が加えられたゾーンを有しており、
    前記圧縮応力が加えられたゾーンは、前記外側表面に隣接するように形成されており、これにより、前記外側表面の少なくとも1つの部分領域には圧縮予荷重が加えられており、
    前記部分領域の反対側に位置する前記壁の前記内側表面からは圧縮応力が除去されており、引張り応力が加えられており、
    前記容器の前記壁の前記内側表面は、前記内側表面から垂直に前記壁の深さ方向に測定して100μmの深さまでは、前記容器の前記壁の中心のガラスに対して化学的な予荷重により変化させられたアルカリ濃度を有さず
    前記容器は、バイアル、アンプル、注射器またはカートリッジである、
    容器。
  2. 試料を収容するための、ガラスを含むまたはガラス製の容器であって、前記容器は、中空体を有しており、前記中空体は、前記試料を収容するための内部容積を有しており、前記中空体は、
    前記中空体の前記内部容積が隣接する内側表面を備えた壁と、
    前記内側表面とは反対の側に位置する外側表面と、
    を有しており、
    前記壁は、少なくとも1つの部分領域に、圧縮応力が加えられたゾーンを有しており、
    前記圧縮応力が加えられたゾーンは、前記壁内で、前記外側表面に隣接するように形成されており、
    前記壁の中心、つまり前記外側表面と前記内側表面との間の中心では、前記引張り応力CTに関してCT≧0MPaかつCT≦20MPaが当てはまる、
    請求項1記載の容器。
  3. 前記中空体の前記壁は、少なくとも1つの開口および/またはロール縁部および/またはネックおよび/またはショルダおよび/または側壁および/またはヒールおよび/または底部を形成している、
    請求項1または2記載の容器。
  4. 前記圧縮応力が加えられた1つまたは複数のゾーンは、それぞれ前記ショルダ、前記ネック、前記ロール縁部、前記側壁、前記ヒールおよび/または前記底部の隣にかつ/または前記ショルダ、前記ネック、前記ロール縁部、前記側壁、前記ヒールおよび/または前記底部と境を接するように形成されている、
    請求項3記載の容器。
  5. 前記容器は、前記外側表面の側のみ予荷重が加えられる、
    請求項1から4までのいずれか1項記載の容器。
  6. 前記容器の前記壁の前記内側表面は、圧縮予荷重が加えられた層を有さない、
    請求項1から5までのいずれか1項記載の容器。
  7. 前記壁内で前記外側表面に隣接するように形成された、前記圧縮応力が加えられたゾーンにより、前記外側表面の領域に、所定の深さDOLまで圧縮応力が形成されており、かつ半径方向において、前記壁の中心に対して非対称の応力特性線のプロファイルが、前記外側表面から反対側の前記内側表面までの壁内に存在している、
    請求項1から6までのいずれか1項記載の容器。
  8. 前記外側表面に圧縮応力が加えられた領域では、前記領域とは反対の側に位置する前記壁の前記内側表面に、応力IST(Inner Surface Tension)が引張り応力として形成されており、前記引張り応力ISTに関しては、IST≧0MPaかつIST≦30MPaが当てはまる、
    請求項1から7までのいずれか1項記載の容器。
  9. 前記外側表面に圧縮応力が加えられた領域では、前記壁の反対側に位置する前記内側表面における引張り応力について
    0.3×(CS×DOL)/(t-DOL)<IST<0.7×(CS×DOL)/(t-DOL)
    が当てはまり、DOLは、圧縮応力が存在する前記ゾーンの深さを表し、tは、前記壁の厚さを表し、CSは、前記外側表面における圧縮応力を表す、
    請求項1から8までのいずれか1項記載の容器。
  10. 前記外側表面に圧縮応力が加えられた領域では、前記壁の中心における引張り応力の高さが、前記壁の反対側に位置する前記内側表面における引張り応力の高さに等しくなっている、
    請求項1から9までのいずれか1項記載の容器。
  11. 前記外側表面に圧縮応力が加えられた領域では、圧縮予荷重が加えられた表面付近の前記ゾーンは、前記領域における壁の厚さまたは肉厚さに対して15%以下の厚さまたは深さDOLを有している、
    請求項1から10までのいずれか1項記載の容器。
  12. 化学的に予荷重がもたらされた場合、前記圧縮応力が加えられたゾーンにおける、化学的な予荷重に際してガラス中にもたらされたアルカリ元素の分布は、前記壁の前記外側表面から反対側の前記内側表面に向かって、前記外側表面から0.5μm離れかつ前記内側表面から0.5μm離れた領域に至るまでの領域において、単調に減少している、
    請求項1から11までのいずれか1項記載の容器。
  13. 少なくとも前記外側表面に圧縮応力が加えられた領域において、前記壁の反対側の内側表面におけるガラスは、100μmの深さまでは、前記壁の中心のガラスに対して追加的にガラス中にもたらされるアルカリ種の集中を有することはない、
    請求項1から12までのいずれか1項記載の容器。
  14. 少なくとも、圧縮応力を加えられた領域とは反対の側に位置する前記壁の前記内側表面において、500μmの深さまでのKO+NaOの含有量は、平均して13重量%以下である、
    請求項1から13までのいずれか1項記載の容器。
  15. 前記外側表面において圧縮応力を加えられた領域では、前記圧縮応力は熱的にまたは化学的に生ずる、
    請求項1から14までのいずれか1項記載の容器。
  16. 前記ガラスには、製薬用の一次包装に適したガラス組成が含まれる、
    請求項1から15までのいずれか1項記載の容器。
  17. 請求項1から16までのいずれか1項記載の容を製造する方法であって、
    前記方法では、前記試料を収容するための内部容積を画定し、かつ内部容積に面した内側表面を備えた壁ならびに前記内側表面とは反対の側に位置する外側表面を有する中空体を、底部を先にして予定した深さまで、硝酸カリウム(KNO)を含む塩浴中に、少なくとも400℃に高められた、ただしガラス転移温度未満の温度において1~24時間浸漬し、これにより前記外側表面に少なくとも部分的に圧縮応力を生じさせて、外面側の前記壁に少なくとも部分的に圧縮予荷重を加える、
    方法。
  18. 請求項1から16までのいずれか1項記載の容を製造する方法であって、
    前記方法では、中空体が、前記試料を収容するための内部容積を画定し、
    前記中空体は、前記中空体の前記内部容積に面した内側表面を備えた壁ならびに前記内側表面とは反対の側に配置され、周辺環境に面した外側表面を有しており、
    前記容器を、開口を先にして予定した深さまで、硝酸カリウム(KNO)を含む塩浴中に、少なくとも400℃に高められた、ただしガラス転移温度未満の温度において1~24時間の間浸漬し、これにより前記壁の前記外側表面に少なくとも部分的に、外面側に配置された、圧縮応力が加えられた層を生じさせて、外面側の前記壁に少なくとも部分的に圧縮予荷重を加える、
    方法。
  19. 浸漬前に、前記容器の前記開口を閉じる、
    請求項18記載の方法。
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