JP7495023B1 - 製造設備及び製造設備の操業方法 - Google Patents

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Abstract

加熱炉等の加熱部の燃料ガスとして、二酸化炭素の排出を抑制し得るアンモニアガスを効率的に生成することが可能な製造設備及び製造設備の操業方法を提供する。製造設備は、対象材を加熱する加熱部と、加熱部にて加熱された対象材に対して処理を行う製造ラインと、加熱部及び製造ラインにおいて冷却のために用いられる循環水を処理する循環水処理装置と、循環水処理装置から加熱部及び製造ラインに循環水を供給するための供給循環水路と、加熱部及び製造ラインから循環水処理装置に循環水を回収するための回収循環水路と、加熱部に燃焼のためのアンモニアガスを供給するアンモニアガス生成装置と、を有し、アンモニア生成装置は、液体アンモニア貯留部と、液体アンモニア貯留部から供給される液体アンモニアを循環水における顕熱との熱交換により気化させるアンモニア気化器、アンモニア気化器における熱交換により得られるアンモニアガスを加熱部に供給するアンモニアガス供給部を有する。

Description

本発明は、対象物を加熱する加熱部を含む製造設備及び製造設備の操業方法に関する。
銑鋼一貫製鉄所においては、鉄鉱石を還元して溶銑を製造する高炉の炉頂から排出される高炉ガスをはじめ、転炉やコークス炉で発生する副生ガスを燃料ガスとして有効利用(再利用)している。しかし、近年の二酸化炭素の排出量削減の要求に伴い、これらの副生ガスの使用量を低減するための燃焼技術が求められている。例えば、銑鋼一貫製鉄所の熱間圧延ラインや、厚板圧延ライン等において鋼材の加熱を行う加熱炉でも、副生ガスの使用量を低減し、二酸化炭素の排出量を削減することが求められている。この場合、加熱炉の燃料ガスとして、アンモニアを利用する技術が注目されている。炭素元素を含まないアンモニアは、燃焼しても主として水と窒素を発生するのみであるため、二酸化炭素の排出量の削減効果が大きい。このため、加熱炉の燃料ガスとして、アンモニアを適用するための技術開発が望まれている。
燃焼用の燃料として用いられるアンモニアは、液体状態で輸送及び貯留される。液体状態のアンモニア(液体アンモニア)を直接燃焼させると、アンモニアの蒸発潜熱が高いため、燃焼の際に十分に蒸発せず、熱エネルギーへの変換効率が低下するという問題がある。そのため、所定の燃焼エネルギーを得るためには、液体アンモニアを燃料として過剰に供給する必要があり、アンモニアの消費量が増大する。一方、液体アンモニアを燃焼する前に、予め気化する場合には、アンモニアを気化させるための事前の加熱が必要となり、付加的なエネルギーを要することになる。
これについて、特許文献1には、ガスタービン等の燃焼装置として、燃焼排ガスの熱を用いて液体アンモニアを気化させるアンモニア気化器を用いた装置が開示されている。燃焼器の燃焼排ガスは、例えば800℃程度の温度を保持していることから、燃焼器の排気系統を通過するガスとの熱交換により液体アンモニアを容易に気化できるとされている。
また、特許文献2には、ガスタービン等の燃焼装置として、ガスタービンの排ガスを用いて水蒸気を生成し、生成した水蒸気の流動流路に液体アンモニアを噴霧することによりアンモニア蒸気を生成する装置が開示されている。この場合、高温の水蒸気と液体状態のアンモニアとの熱交換により液体アンモニアを気化できるとされている。
特開2015-190466号公報 特開2020-165603号公報
しかしながら、上記の従来技術を加熱炉等の加熱設備に適用すると、次の問題が生じる。
特許文献1に記載された技術は、ガスタービンのように大量の気体を排ガスとして排出し、排ガスが有する顕熱も大きい場合に適用できる。しかし、工業用加熱炉のような加熱設備では、蓄熱式バーナなどが適用され、排ガスが有する顕熱が燃焼用空気の予熱に用いられることが多い。そのため、加熱設備の排ガスは、アンモニアを気化するほどの熱量を有していない。また、加熱炉の保守点検等のため加熱炉の操業を停止した後に、再度加熱炉の立ち上げを行う際には、排ガスが生成されていない状態となるため、加熱炉の操業を再開する段階では液体アンモニアの気化に利用できないという問題がある。さらに、排ガスを用いて熱交換を行う場合には、熱交換器の内部で温度が低い配管等に排ガスが接すると、排気ガスが酸露点(排ガス中から酸性物質が発生しはじめる温度)以下となって、熱交換器の腐食が促進される。これにより熱交換器のメンテナンス負荷が大きくなるという問題もある。
特許文献2に記載された技術についても、加熱炉から排出される排ガスを用いて水蒸気を生成する場合、加熱炉の排ガスが必要なアンモニアを気化するほどの熱量を有していないという問題がある。また、加熱炉を停止した後に、再度加熱炉の立ち上げを行う際には、排ガスの顕熱を利用することができず、他の設備により水蒸気を発生させる必要がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、加熱炉等の加熱部の燃料ガスとして、二酸化炭素の排出を抑制し得るアンモニアガスを、熱量を有する循環水の顕熱を用いて効率的に生成することが可能な製造設備及び製造設備の操業方法を提供することにある。
[1]対象材を加熱する加熱部と、前記加熱部にて加熱された前記対象材に対して処理を行う製造ラインと、前記加熱部及び前記製造ラインにおいて冷却のために用いられる循環水を処理する循環水処理装置と、前記循環水処理装置から前記加熱部及び前記製造ラインに前記循環水を供給するための供給循環水路と、前記加熱部及び前記製造ラインから前記循環水処理装置に前記循環水を回収するための回収循環水路と、前記加熱部に燃焼のためのアンモニアガスを供給するアンモニアガス生成装置と、を有する製造設備であって、前記アンモニアガス生成装置は、アンモニアを液体状態で貯留する液体アンモニア貯留部と、前記液体アンモニア貯留部から供給される液体アンモニアを前記循環水における顕熱との熱交換により気化させるアンモニア気化器と、前記アンモニア気化器における熱交換により得られるアンモニアガスを前記加熱部に供給するアンモニアガス供給部と、を有する、製造設備。
[2]前記アンモニア気化器は、前記回収循環水路に連結して前記循環水を流通させるシェル部と、前記液体アンモニアを流通させると共に前記シェル部を流通する前記循環水の顕熱との熱交換により前記液体アンモニアを気化させるアンモニア配管とを有する、[1]に記載の製造設備。
[3]前記アンモニア気化器は、前記供給循環水路に連結して前記循環水を流通させるシェル部と、前記液体アンモニアを流通させると共に前記シェル部を流通する前記循環水の顕熱との熱交換により前記液体アンモニアを気化させるアンモニア配管とを有する、[1]に記載の製造設備。
[4]前記アンモニア気化器は、前記加熱部からの前記回収循環水路に連結して前記循環水を流通させるシェル部と、前記液体アンモニアを流通させると共に前記シェル部を流通する前記循環水の顕熱との熱交換により前記液体アンモニアを気化させるアンモニア配管とを有する、[1]に記載の製造設備。
[5]前記加熱部は、前記回収循環水路を内部に有すると共に前記対象材を搬送する搬送装置を有する、[1]~[4]のいずれか1つに記載の製造設備。
[6]前記製造ラインは、前記循環水を用いて前記対象材を冷却すると共に前記対象材の冷却に用いた前記循環水を回収して前記回収循環水路へ流通させる対象材冷却装置を有する、[1]~[5]のいずれか1つに記載の製造設備。
[7]前記アンモニア気化器は、前記対象材冷却装置からの前記回収循環水路に連結して前記循環水を流通させるシェル部と、前記液体アンモニアを流通させると共に前記シェル部を流通する前記循環水の顕熱との熱交換により前記液体アンモニアを気化させて得られるアンモニアガスを流通させるアンモニア配管とを有する、[6]に記載の製造設備。
[8]前記加熱部は、前記アンモニアガス供給部から供給されたアンモニアガスと混合させるため、石炭ガスを供給する石炭ガス供給部を有する、[1]~[7]のいずれか1つに記載の製造設備。
[9]対象材を加熱する加熱部及び前記対象材に対して処理を行う製造ラインに対して冷却のための循環水を供給すると共に回収を行いつつ、前記加熱部に燃焼のためのアンモニアガスをアンモニアガス生成装置から供給して、前記加熱部及び前記製造ラインを有する製造設備にて製造を行う製造設備の操業方法であって、前記アンモニアガス生成装置において、液体アンモニアを液体アンモニア貯留部からアンモニア気化器に供給する液体アンモニア供給ステップと、前記アンモニア気化器において、前記液体アンモニアを前記循環水における顕熱との熱交換により気化させることでアンモニアガスを生成するアンモニアガス生成ステップと、生成した前記アンモニアガスを前記加熱部に供給するアンモニアガス供給ステップと、を有する、製造設備の操業方法。
[10]前記アンモニアガス生成ステップは、前記液体アンモニアを前記加熱部及び前記製造ラインから回収した前記循環水における顕熱との熱交換により気化させることでアンモニアガスを生成する、[9]に記載の製造設備の操業方法。
[11]前記アンモニアガス生成ステップは、前記液体アンモニアを前記加熱部及び前記製造ラインに供給した前記循環水における顕熱との熱交換により気化させることでアンモニアガスを生成する、[9]に記載の製造設備の操業方法。
[12]前記アンモニアガス生成ステップは、前記液体アンモニアを前記加熱部から回収した前記循環水における顕熱との熱交換により気化させることでアンモニアガスを生成する、[9]に記載の製造設備の操業方法。
[13]前記アンモニアガス生成ステップは、前記液体アンモニアを前記製造ラインにおける対象材冷却装置から回収した前記循環水における顕熱との熱交換により気化させることでアンモニアガスを生成する、[9]に記載の製造設備の操業方法。
本発明によれば、加熱炉等の加熱部の燃料ガスとして、二酸化炭素の排出を抑制し得るアンモニアガスを、熱量を有する循環水の顕熱を用いて効率的に生成することが可能となる。
図1は、製造設備の一例としての概略側面図を示す図である。 図2は、第1実施形態の製造設備における循環水の循環経路の構成を模式的に示す図である。 図3は、加熱部の一例としての概略側面図を示す図である。 図4は、加熱部の一例としての概略断面図を示す図である。 図5は、アンモニアガス生成装置の一例としての概略構成図を示す図である。 図6は、アンモニア気化器の一例としての概略構成図を示す図である。 図7は、燃焼装置の一例としての概略構成図を示す図である。 図8は、燃焼装置の変形例としての概略構成図を示す図である。 図9は、第2実施形態の製造設備における循環水の循環経路の構成を模式的に示す図である。 図10は、第3実施形態の製造設備における循環水の循環経路の構成を模式的に示す図である。 図11は、第4実施形態の製造設備における循環水の循環経路の構成を模式的に示す図である。 図12は、第5実施形態としてのアンモニア気化器の概略構成図を示す図である。
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を具体的に説明する。図1に、製造設備1の一例としての概略側面図を示す。製造設備1は、加熱部10と、製造ライン2とを有する。製造ライン2は、対象材Sの搬送方向Dにおいて、上流側から順に、デスケーリング装置20と、幅圧下プレス装置30と、粗圧延装置40と、仕上デスケーリング装置50と、仕上圧延装置60と、対象材冷却装置70と、巻取機80とを有する。ここで、対象材Sは、鋳造後のスラブや鋼板等の鋼材であってよい。
加熱部10は、対象材Sを加熱する。加熱部10は、対象材Sを加熱する加熱炉であってよい。加熱部10は、対象材Sを所定の温度まで加熱し、対象材Sの圧延、鍛造、熱処理等を行う前に用いられる。製造ライン2は、加熱部10にて加熱された対象材Sに対して、加工、冷却、表面処理等の処理のうち、少なくとも一つの処理を行う。製造ライン2は、鋼材の熱間圧延ラインであってよい。
対象材Sは、加熱部10に装入された後、所定の設定温度まで加熱され、加熱部10から抽出される。加熱部10から抽出された対象材Sは、デスケーリング装置20によって表面に形成された1次スケールが除去された後、幅圧下プレス装置30によって所定の設定幅まで幅圧下される。そして、幅圧下された対象材Sは、粗圧延装置40において所定厚さまで圧延されることで粗バー(粗圧延材)となり、仕上圧延装置60に搬送される。仕上圧延装置60の上流側では、仕上デスケーリング装置50により対象材Sの表面に生成した2次スケールが除去される。その後、仕上圧延装置60では、5~7機のスタンド(圧延機)の連続式圧延機により、対象材Sが製品厚さまで圧延される。
仕上圧延装置60の下流側には、ランアウトテーブル等を有する対象材冷却装置70が設けられており、対象材Sは、所定の温度まで冷却された後、巻取機80によってコイル状に巻き取られる。また、粗圧延装置40の上流側又は下流側には粗デスケーリング装置が配置されてもよく、粗デスケーリング装置により粗圧延装置40による粗圧延中に生成された対象材Sの2次スケールが適宜除去される。更に、仕上圧延装置60のスタンド間には、仕上圧延中の対象材Sを冷却するための水冷ノズルを配置してもよい。
次に、製造設備1における循環水Wの循環経路の構成について、図2を用いて説明する。図2は、製造設備1における循環水Wの循環経路の構成を模式的に示す図である。図2に示す通り、製造設備1は、加熱部10及び製造ライン2に加え、循環水処理装置8と、供給循環水路Pと、回収循環水路Rと、アンモニアガス生成装置3とを有する。循環水処理装置8は、加熱部10及び製造ライン2において冷却を行うために用いられる循環水Wを処理する。
加熱部10を含む製造設備1では、製造設備1を構成する機器の温度上昇を抑制するため、機器の保護を図る目的から、冷却のために循環水が供給される。特に、加熱部10では、内部が高温雰囲気となるため、設備を保護するために循環水Wが必要となる。また、上記の通り、製造設備1においては、対象材Sの冷却やデスケーリングを行う目的から循環水Wが使用される。例えば、熱間圧延ラインでは、加熱部10に供給される循環水は、1500~3000ton/hr程度であり、対象材Sの冷却のため対象材冷却装置70に供給される循環水は、6000~8000ton/hr程度と、大量の循環水が供給される。また、対象材Sが厚板である熱間圧延ラインでは、加熱部10に供給される循環水Wは、1000~2500ton/hr程度であり、対象材Sの冷却のために供給される循環水Wは、6000~8000ton/hr程度となる。このため、これらの循環水Wは、供給循環水路P及び回収循環水路Rからなる循環経路を用いることによる再利用が行われる。また、製造ライン2において、対象材冷却装置70は、循環水Wを用いて対象材Sを冷却すると共に、対象材Sの冷却に用いた循環水Wを回収して回収循環水路Rへ流通させる。
ここで、循環水処理装置8の構成について、図2を用いて説明する。循環水処理装置8は、製造設備1に供給され設備機器や対象材Sの冷却に供された後の回収循環水Rwに対して、異物の除去や水温調整を行って、再び製造設備1に供給する。循環水処理装置8は、図2に示す通り、沈殿池8aと、ろ過器8bと、冷却塔8cと、貯水池8dと、送水部8eとを有する。沈殿池8aは、回収循環水Rwに含まれるスケール等の水よりも密度の大きな異物を沈降させて分離するための設備である。ろ過器8bは、フィルタを用いて回収循環水Rwに含まれる固体分を分離する設備である。冷却塔8cは、クーリングタワーとも呼ばれ、回収循環水Rwを大気と直接的または間接的に接触させて冷却する熱交換器の一種である。冷却塔8cは、ファンを備え、気化熱で回収循環水Rwを冷却する。貯水池8dは、回収循環水Rwを一時的に貯留するための設備である。貯水池8dは、製造設備1で使用する循環水Wの量が変動する場合であっても、製造設備1に供給する循環水Wの量を安定化する目的で配置される。送水部8eは、貯水池8dに貯水された循環水Wを製造設備1に供給する設備である。
加熱部10を含む製造設備1では、設備の冷却や対象材Sの冷却により循環水Wの温度が上昇するため、冷却塔8cを用いて回収循環水Rwから熱を放出する必要がある。この場合、熱間圧延ラインにおいては、冷却塔8cで回収循環水Rwから除去される熱量は、50~90MW程度となる。
ここで、図2に示す通り、供給循環水路Pは、循環水処理装置8から製造設備1の各機器(加熱部10及び製造ライン2)に供給循環水Pwを供給する循環経路である。回収循環水路Rは、製造設備1の各機器(加熱部10及び製造ライン2)において冷却のために供された回収循環水Rwを循環水処理装置8に回収する循環経路である。供給循環水路Pでは、循環水処理装置8の冷却塔8cによって冷却された供給循環水Pwが流通する。回収循環水路Rでは、製造設備1の各機器に供給されることにより温度が上昇した回収循環水Rwが流通する。また、供給循環水路Pは、循環水処理装置8の送水部8eから供給され、循環経路が分岐することにより各機器に供給される。この場合、機器ごとに供給される供給循環水Pwの水量を調整するために、適宜、流量調整弁や流量計が配置されてよい。一方、回収循環水路Rでは、供給循環水Pwが供給された機器の単位に応じて回収循環水Rwとして回収され、循環経路が合流することにより循環水処理装置8の沈殿池8aにて異物等が回収される。
次に、加熱部10の構成について、図3及び図4を用いて説明する。図3は、加熱部10の一例としての概略側面図を示す。図4は、加熱部10の一例としての概略断面図を示す。加熱部10は、装入部11と、燃焼装置12と、搬送装置13と、抽出部14と、煙道部15とを有する。加熱部10は、例えば製造ライン2が熱間圧延ラインである場合には、鋳造されたスラブ等の対象材Sを所定の温度(1100~1300℃程度)に加熱するために用いられる。燃焼装置12は、燃料ガスとしてアンモニアガスAgを燃焼させることで、対象材Sを加熱する。
装入部11は、加熱対象である対象材Sを加熱部10の内部に装入(搬入)する。抽出部14は、加熱後の対象材Sを加熱部10の外部に抽出(搬出)する。例えば、連続鋳造ラインで製造されたスラブ等の鋼材(対象材S)は、加熱部10の装入側のヤードに搬送され、熱間圧延ライン等の生産スケジュールに従って装入部11から加熱部10の内部に装入される。加熱部10の内部は複数の帯域に区切られ、上流側には2~8個の帯域に区切られた加熱帯が設けられ、下流側には1~3個の均熱帯が設けられる。加熱部10の操業では、内部の帯域毎に異なる雰囲気温度に制御され、加熱部10に装入された対象材Sの平均温度が徐々に昇温して、所定の目標加熱温度(加熱部10から抽出される際の対象材Sの目標温度)になるように制御される。
加熱部10は、対象材Sを装入部11から抽出部14に向けて、随時搬送するための搬送装置13を内部に有する。搬送装置13は、固定スキッド等の固定型搬送部13aと、搬送スキッド等の移動型搬送部13bとを有する。固定型搬送部13a及び移動型搬送部13bは、搬送される対象材Sを支持する支持部を有する。固定型搬送部13aは、加熱部10の内部に固定されている。移動型搬送部13bは、対象材Sを持ち上げて搬送させる。即ち、移動型搬送部13bは、加熱部10の内部において、昇降、前進、下降、後退を繰り返すことにより、対象材Sを抽出部14に向けて搬送させる。固定型搬送部13a及び移動型搬送部13bは、加熱された対象材Sと直接接触するため、高温の熱による変形や破損を招きやすい。このため、固定型搬送部13a及び移動型搬送部13bの内部には、固定型搬送部13a及び移動型搬送部13bを冷却するための循環水Wが流通可能な循環経路(供給循環水路P及び回収循環水路R)を有する。循環水Wが固定型搬送部13a及び移動型搬送部13bの内部を流通することで、変形や破損の防止を図ることができる。
加熱部10は、対象材Sの搬送方向Dに沿って、複数のバーナ等の燃焼装置12を内部に有する。燃焼装置12は、燃焼により加熱部10の内部を昇温させる。燃焼装置12の燃焼により、加熱部10の内部が昇温されると、加熱部10の壁部16からの輻射により対象材Sの温度が上昇する。また、加熱部10の内部において雰囲気ガスの流動が生じ、当該雰囲気ガスの対流により、対象材Sが昇温される。更に、燃焼装置12の燃焼火炎が対象材Sに接触することにより、対象材Sが昇温されてもよい。
燃焼装置12は、加熱部10の内部の複数の帯域ごとに配置される。なお、帯域の数と燃焼装置12の数とは、必ずしも一致しなくてもよい。加熱部10の一例として示す図3においては、加熱部10の内部において、装入部11から抽出部14に向けて、対象材Sの上面側に5つの燃焼装置12が配置されている。また、対象材Sの下面側においても5つの燃焼装置12が配置されており、合計で10基の燃焼装置12が配置されている。各々の燃焼装置12には、燃料ガスと燃料用空気(エア)が供給され、燃料ガスが空気中で拡散することにより燃焼し、燃焼火炎が加熱部10の内部に吹き込まれる。燃料用空気は、通常は空気が用いられるものの、酸素を含有する酸素含有ガスとして、酸素、酸素富化空気、酸素及び排ガスの混合ガス等が用いられてもよい。
また、対象材Sの搬送方向Dから見た加熱部10の概略断面図を示す図4に示す通り、対象材Sの搬送方向Dに対して垂直な方向(左右方向)において、右側と左側との温度差が生じないように、燃焼装置12を対象材Sの右側及び左側の各々に配置することが望ましい。
また、加熱部10においては、燃料ガスとしてアンモニアガスAgを使用しない燃焼装置12が含まれてよい。つまり、従来の炭素系ガスを燃料ガスとして用いるバーナ設備が含まれてよい。炭素系ガスを燃料ガスとして用いるバーナ設備は、二酸化炭素を排出するものの、加熱部10の全体としてアンモニアガスAgを燃料ガスとして用いることで、二酸化炭素の排出を低減できるためである。
次に、アンモニアガス生成装置3の構成について、図5を用いて説明する。図5は、アンモニアガス生成装置3の一例としての概略構成図を示す。アンモニアガス生成装置3は、加熱部10に燃焼のためのアンモニアガスを供給する。アンモニアガス生成装置3は、液体アンモニア貯留部4と、アンモニア気化器5と、アンモニアガス供給部6と、液体アンモニアポンプ7とを有する。液体アンモニア貯留部4は、アンモニアを液体状態で貯留する容器である。アンモニア気化器5は、液体アンモニア貯留部4から供給される液体アンモニアAlを循環水Wにおける顕熱との熱交換により気化させる。アンモニアガス供給部6は、アンモニア気化器5における熱交換により得られたアンモニアガスAgを加熱部10に供給する。また、液体アンモニア貯留部4は、液体アンモニアポンプ7の回転数に応じた流量の液体アンモニアAlを液体アンモニアポンプ7に供給する。液体アンモニアポンプ7は、液体アンモニア貯留部4から液体アンモニアAlを汲み出し、液体アンモニアAlを昇圧してアンモニア気化器5に供給する。
本実施形態の加熱部10は、少なくとも一つの燃焼装置12において、燃料ガスとしてアンモニアガスAgを用いる。アンモニアガスAgを燃料ガスとして使用する燃焼装置12には、液体アンモニアAlを気化することによりアンモニアガスAgを生成するアンモニアガス生成装置3が用いられる。ただし、アンモニアガス生成装置3は、複数の燃焼装置12と接続し、一つのアンモニアガス生成装置3から複数の燃焼装置12に燃料ガスとしてアンモニアガスAgを供給するようにしてもよい。
アンモニア気化器5は、液体アンモニア貯留部4から供給される液体アンモニアAlを、循環水Wが有する顕熱を用いて気化させる。アンモニア気化器5には、熱交換器が用いられる。熱交換器としては、高温側を循環水W、低温側を液体アンモニアAlとする熱交換器とする構成である限り、プレート式熱交換器や多管式熱交換器(シェル及びチューブ式熱交換器)等、熱交換方式を問わない。
次に、アンモニアガス生成装置3におけるアンモニア気化器5の構成について、図6を用いて説明する。図6は、アンモニア気化器5の一例としての概略構成図を示す。図6は、アンモニア気化器5に適用される熱交換器として、多管式熱交換器を例として示す。アンモニア気化器5は、シェル部5aと、アンモニア配管5bとを有する。アンモニア気化器5は、容器として構成されるシェル部5aの内部に、多数のチューブとしてアンモニア配管5bを配列させた構成を有する。
図6に示す通り、アンモニア配管5bの内部において液体アンモニアAlを流通させると共に、シェル部5aの内部に循環水Wを流通させることで、循環水Wと液体アンモニアAlとの間で熱交換が行われ、液体アンモニアAlが気化してアンモニアガスAgが生成される。
即ち、本実施形態において、アンモニア気化器5は、図2に示す構成も踏まえ、回収循環水路Rに連結して循環水Wを流通させるシェル部5aを有する。そして、液体アンモニアAlを流通させると共にシェル部5aを流通する循環水Wの顕熱との熱交換により液体アンモニアAlを気化させて得られるアンモニアガスAgを流通させるアンモニア配管5bを有する。
アンモニアガス供給部6は、アンモニア気化器5により気化されたアンモニアガスAgを、加熱部10における燃焼装置12に供給する。アンモニアガス供給部6は、加熱部10の燃焼装置12にアンモニアガスAgを供給するためのポンプや、燃料ガスとしてアンモニアガスAgを用いる燃焼装置12への供給量を調整するための流量調整弁や流量計を有してよい。
次に、加熱部10における燃焼装置12の構成について、図7を用いて説明する。図7は、燃焼装置12の一例を示す概略構成図である。燃焼装置12は、燃焼部12aと、アンモニアガス供給路12bと、燃焼用空気供給路12eと、流体合流部12fとを有する。アンモニアガス供給路12bは、アンモニアガス調整弁12cと、アンモニアガス流量計12dとを有する。アンモニアガス供給路12bは、アンモニアガス生成装置3におけるアンモニアガス供給部6と接続されている。アンモニアガス供給路12bは、アンモニアガス供給部6から供給されたアンモニアガスAgを、燃焼部12aに向けて流通させる。
アンモニアガス調整弁12cは、アンモニアガスAgの供給量を調整する。アンモニアガス流量計12dは、アンモニアガスAgの流量を測定する。アンモニアガスAgの供給量は、加熱部10において対象材Sを所定の温度まで昇温するのに必要な熱エネルギーを確保できるように調整される。
流体合流部12fでは、図7に示す通り、アンモニアガスAgと燃焼用空気Oとを混合する。燃焼用空気Oは、アンモニアガスAgと混合させる前に、排ガス等を用いて予熱しておくことで、省エネルギー化を図ることができる。
燃焼装置12は、蓄熱体と一体化した2台一対の燃焼装置12を数十秒間隔で交互に燃焼させる蓄熱式バーナを用いてもよい。蓄熱式バーナは、一方の燃焼装置12が燃焼しているときには、一方の燃焼装置12からの排気を他方の燃焼装置12の蓄熱体を通過させて他方の蓄熱体を加熱することにより、一方の燃焼装置12からの排気が有する熱エネルギーを回収する。次に、他方の燃焼装置12が燃焼しているときには、他方の燃焼装置12からの排気を一方の蓄熱体を通過させることによって加熱する。これにより、エネルギー効率に優れた加熱部10の操業を実現できる。
次に、加熱部10における燃焼装置12の変形例の構成について、図8を用いて説明する。図8は、燃焼装置12の変形例である燃焼装置18の概略構成図を示す。燃焼装置18は、図7に示す燃焼装置12の構成に加え、石炭ガス供給部12gと、石炭ガス供給路12hと、ガス混合部12kと、ガス供給制御部12lとを有する。石炭ガス供給路12hは、石炭ガス調整弁12iと、石炭ガス流量計12jとを有する。
燃焼装置18は、図8に示す通り、燃料ガスとしてアンモニアガスAgと石炭ガスCgとの混合ガスである石炭アンモニア混合ガスACgを用いる構成としてよい。即ち、加熱部10は、アンモニアガス生成装置3におけるアンモニアガス供給部6から供給されたアンモニアガスAgと混合させるため、石炭ガスCgを供給する石炭ガス供給部12gを有してよい。ガス混合部12kは、アンモニアガスAgと石炭ガスCgとを混合させる。石炭ガス調整弁12iは、石炭ガス供給部12gから供給される石炭ガスCgの流量を調整する。石炭ガス流量計12jは、石炭ガスCgの流量を測定する。
燃焼装置18は、アンモニアガスAgと石炭ガスCgとの混合ガスである石炭アンモニア混合ガスACgを燃料ガスとして用いることができる。そして、燃料ガスにおける石炭ガスCgの混合比率が大きくなると、アンモニアガスAgを用いる燃焼装置12に比べて二酸化炭素の排出量が増加するものの、燃料ガスにおいてアンモニアガスAgを含むことにより加熱部10の全体として、二酸化炭素の排出量を削減できる。また、アンモニアガスAgは難燃性燃料であり、燃焼速度も遅く燃焼状態が不安定になり易いことから、石炭ガスCgを混合させることにより燃焼状態を安定させ、対象材Sの昇温を容易にする点で有利である。
燃焼装置18に用いられる石炭ガスCgは、石炭から得られるガスを意味する。石炭ガスCgは、製鉄所の高炉、コークス炉、転炉等で生成される副生ガスの適用が好ましい。高炉ガスは、高炉で鉄鉱石を還元して銑鉄を製造する際に発生する副生ガスである。コークス炉ガスは、コークスを製造するために石炭を高温乾留して生成される副生ガスである。転炉ガスは、転炉における製鋼工程で発生する副生ガスである。
副生ガスは、生成する工程により種々の成分組成を有する。例えば、高炉ガスは可燃成分の一酸化炭素が21~30体積%、不燃成分の窒素が50~60体積%、二酸化炭素が10~22体積%が代表的な組成である。高炉ガスの低位発熱量は3.45MJ/Nm程度が代表例である。コークス炉ガスは、水素が46~60体積%、メタンが20~35体積%、一酸化炭素が5~10体積%、エチレンなどの炭化水素が2~4体積%が代表的な組成である。コークス炉ガスの低位発熱量は18.0MJ/Nm程度が代表例である。転炉ガスは、一酸化炭素が約75体積%、二酸化炭素が約13体積%であり、他に微量の酸素、窒素、水素が含有される。転炉ガスの低位発熱量は8.2MJ/Nm程度が代表例である。石炭ガスは、高炉ガス、コークス炉ガス、転炉ガスが適宜混合されたガス(以下、「Mガス」と言う。)が用いられることがある。発熱量が異なる石炭ガスを混合することにより、鋼材の加熱に必要な熱量を供給し、安定した鋼材用加熱炉の操業を行うためである。
燃焼装置18は、石炭アンモニア混合ガスACgに含まれるアンモニアガスAgの混合比率を制御するガス供給制御部12lを有する。ガス供給制御部12lは、石炭ガスCgの石炭ガス調整弁12iの開度と、アンモニアガスAgのアンモニアガス調整弁12cの開度との比率を設定又は制御し、石炭アンモニア混合ガスACgに含まれるアンモニアガスAgの混合比率を制御する。燃焼装置18においては、石炭ガス調整弁12iとアンモニアガス調整弁12cとを電磁弁を用いて構成し、石炭ガスCgおよびアンモニアガスAgの流量が所定の混合比率となるように、ガス供給制御部12lにおいて電磁弁の開度を制御してよい。ガス供給制御部12lは、石炭アンモニア混合ガスACgに含まれるアンモニアガスAgの混合比率を制御することにより、燃焼装置18の燃焼エネルギーを調整することができ、加熱部10における対象材Sの昇温状態を変更できる。アンモニアガスAgは燃焼速度が遅いため、アンモニアガスAgの混合比率を高くすると燃焼火炎の安定性が低下する。このため、ガス供給制御部12lによりアンモニアガスAgの混合比率を制御することで、燃焼装置18の燃焼の安定性を高めることができる。
燃焼装置18では、一例として、燃料用空気625Nm/hrに対して、燃料ガスとして石炭ガスが150Nm/hr、アンモニアガスが30Nm/hr程度の混合ガスを用いてよい。これにより、石炭ガスのみを燃料ガスとして用いた場合に、石炭ガスが185Nm/hrと同程度の熱量を得ることができる。
ここで、アンモニアガス生成装置3におけるアンモニア気化器5により、回収循環水路Rにて回収された回収循環水Rwの顕熱を用いて液体アンモニアAlを気化させる構成について、図2を参照しつつ説明する。本実施形態においては、製造設備1を構成する各機器(加熱部10及び製造ライン2)にて冷却のために供給された後に、循環水処理装置8に回収される回収循環水Rwをアンモニア気化器5に供給する。なお、アンモニア気化器5には、回収循環水路Rにより回収される全ての回収循環水Rwの一部を分岐させて、アンモニア気化器5に供給してもよい。
図2に示す本実施形態においては、加熱部10から回収された回収循環水Rwだけでなく、製造ライン2におけるデスケーリング装置20、粗圧延装置40、仕上デスケーリング装置50、仕上圧延装置60、対象材冷却装置70、及び巻取機80から回収された回収循環水Rwが合流した後の回収循環水路Rが、アンモニア気化器5に接続されている。
ここで、製造設備1において、従来の加熱部10の燃料ガスとして石炭ガスCgが用いられている場合を想定する。例えば、加熱部10において使用される石炭ガスCgの流量が15~20Nm/sであるとすると、石炭ガスCgの低位発熱量が10MJ/Nmである場合には、総発熱量は150~200MWとなる。この場合、本実施形態のように、加熱部10で使用される石炭ガスCgをアンモニアガスAgに置き換えた場合には、アンモニアガスAgの低位発熱量が14.1MJ/Nm、アンモニアガスAgの密度が0.771kg/Nmであることを考慮すると、石炭ガスCgと同等の発熱量を得るためのアンモニアガスAgの流量は、8.2~10.9kg/sとなる。ここで、アンモニアガスAgの潜熱は1.372MJ/kgであるため、このような流量のアンモニアガスAgを気化により得るために必要な熱量は、概ね11.3~15.0MWとなる。そして、循環水処理装置8の冷却塔8cで循環水Wから除去される熱量は、50~90MW程度である。従って、加熱部10に用いられる燃焼装置12の全てでアンモニアガスAgを燃料ガスとして使用しても、回収循環水路Rを流れる回収循環水Rwは、液体アンモニアAlを気化させるのに十分な顕熱を有している。
以上のように、従来の加熱部10の燃料ガスとして用いられる石炭ガスCgを、全てアンモニアガスAgに置き換えたとしても、回収循環水路Rを流れる回収循環水Rwから、液体アンモニアAlを気化させるための十分な熱量(11.3~15.0MW程度)を得ることができる。また、アンモニア気化器5が、回収循環水路Rを流れる回収循環水Rwから、これと同等の熱量(11.3~15.0MW程度)を除去することになる。このため、循環水処理装置8の冷却塔8cにおいて回収循環水Rwから除去する必要がある熱量も少なくなるので、冷却塔8cにおいて消費される動力を低減させることができ、循環水処理装置8における省エネルギー効果を得ることができる。
このような観点からは、アンモニア気化器5が回収循環水Rwから得ることができる最大の熱量は、循環水処理装置8の冷却塔8cが有する冷却能力と同等であるとみなしてよい。つまり、循環水処理装置8の冷却塔8cによって回収循環水Rwから除去する熱量を、アンモニア気化器5により液体アンモニアAlを気化させる熱量として利用できる。本実施形態の加熱部10は、少なくとも一つの燃焼装置12において、燃料ガスとしてアンモニアガスAgが供給されればよいことから、本実施形態における循環水処理装置8は、5MW以上の熱エネルギーを除去する冷却能力を備えることが好ましく、50MW以上であることがより好ましい。循環水処理装置8の冷却能力が5MW未満では、回収循環水Rwが液体アンモニアAlを気化するのに十分な顕熱を有することができなくなるためである。なお、循環水処理装置8の冷却能力に上限は定められないものの、大型の加熱部10を含む製造設備1では、300MWの冷却能力を備えれば十分である。
回収循環水路Rは、流量が1000ton/hr以上の回収循環水Rwを回収する構成であることが好ましく、回収循環水Rwの温度は20℃以上であることが好ましい。回収循環水路Rを流通する回収循環水Rwの流量が1000ton/hr未満、又は温度が20℃未満であると、アンモニア気化器5において液体アンモニアAlを気化させるのに十分な熱量を供給できないためである。なお、回収循環水路Rにおける回収循環水Rwの流量や温度の上限は特に定められないものの、大型の加熱部10を含む製造設備1においては、流量が300000ton/hr以下、温度が80℃以下であれば、加熱部10に用いるために必要な量のアンモニアガスAgを得ることができる。
本実施形態におけるアンモニア気化器5は、回収循環水Rwが有する顕熱から5MW以上の熱エネルギーを熱交換できることが好ましく、50MW以上であることがより好ましい。アンモニア気化器5における熱交換の能力が5MW未満では、加熱部10に供される燃料ガスとして十分な流量のアンモニアガスAgを供給できないためである。なお、アンモニア気化器5の熱交換の能力に上限は定められないものの、大型の加熱部10を含む製造設備1では、300MWの熱交換の能力を備えれば十分である。
以上に述べた通り、第1実施形態においては、製造設備1の操業方法として、以下に記載するステップを有する。即ち、対象材Sを加熱する加熱部10及び対象材Sに対して処理を行う製造ライン2に対して冷却のための循環水Wを供給すると共に回収を行いつつ、加熱部10に燃焼のためのアンモニアガスAgをアンモニアガス生成装置3から供給して、加熱部10及び製造ライン2を有する製造設備1にて製造を行う製造設備1の操業方法であって、アンモニアガス生成装置3において、液体アンモニアAlを液体アンモニア貯留部4からアンモニア気化器5に供給する液体アンモニア供給ステップと、アンモニア気化器5において、液体アンモニアAlを循環水Wにおける顕熱との熱交換により気化させることでアンモニアガスAgを生成するアンモニアガス生成ステップと、生成したアンモニアガスAgを加熱部10に供給するアンモニアガス供給ステップと、を有する。
更に、アンモニアガス生成ステップは、液体アンモニアAlを加熱部10及び製造ライン2から回収した循環水Wにおける顕熱との熱交換により気化させることでアンモニアガスを生成する。
本実施形態における製造設備1及び製造設備1の操業方法により、液体アンモニアAlを循環水Wにおける顕熱との熱交換により気化させ、気化により得られたアンモニアガスAgを加熱部10に供給して、加熱部10にて対象材Sの加熱に用いることができる。即ち、加熱部10の燃料ガスとして、二酸化炭素の排出を抑制し得るアンモニアガスAgを効率的に生成することが可能となる。また、製造設備1を循環する循環水Wの顕熱を用いて液体アンモニアAlを気化して加熱部10の燃料ガスにすることで、液体アンモニアAlを燃料ガスに変換するための付加的なエネルギーを削減できる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を具体的に説明する。図9に、第2実施形態の製造設備91における循環水Wの循環経路の構成を模式的に示す。図9は、アンモニア気化器5が、供給循環水路Pを流通する供給循環水Pwの顕熱を用いて、液体アンモニアAlを気化させるための構成とした一例を示す。また、第2実施形態においては、アンモニア気化器5を供給循環水路Pに連結した構成を除き、その他は第1実施形態と同じ構成である。
即ち、本実施形態において、アンモニア気化器5は、図9及び図6に示す構成を踏まえ、供給循環水路Pに連結して循環水Wを流通させるシェル部5aを有する。そして、液体アンモニアAlを流通させると共にシェル部5aを流通する循環水Wの顕熱との熱交換により液体アンモニアAlを気化させて得られるアンモニアガスAgを流通させるアンモニア配管5bを有する。
第2実施形態では、製造設備91を構成する各機器(加熱部10及び製造ライン2)において、冷却のために供給され供給循環水路Pを流通する供給循環水Pwをアンモニア気化器5に供給する。供給循環水路Pを流通する供給循環水Pwは、循環水処理装置8により温度が調整された循環水Wであるため、供給循環水路Pであれば、いずれの機器に供給される循環経路から供給循環水Pwを分岐させてアンモニア気化器5に供給してもよい。
そして、図9に示す通り、加熱部10の冷却に用いられる供給循環水Pwを供給する供給循環水路Pをアンモニア気化器5に接続することが好ましい。加熱部10に近い位置の供給循環水路Pを流通する供給循環水Pwを用いることにより、加熱部10に近い位置でアンモニアガスAgを生成でき、アンモニアガスAgを供給するための経路の長さを短縮できるためである。
ここで、製造設備91の従来の加熱部10において、燃料ガスとして石炭ガスCgが用いられている場合に、燃料ガスの20%をアンモニアガスAgに代替することを想定すると、必要なアンモニアガスAgの総発熱量は30~40MW程度となる。これに対応するアンモニアガスAgの流量は、1.64~2.00kg/sとなる。アンモニアガスAgの潜熱は1.372MJ/kgであるから、このような流量のアンモニアガスAgを気化により得るために必要な熱量は、概ね2.25~2.74MWとなる。そして、供給循環水路Pにおいて加熱部10に向けて流通する供給循環水Pwの水量が2100ton/hrであって循環水Wの温度が34℃の場合に、アンモニア気化器5における熱交換によって循環水Wの温度が34℃から28℃まで低下するものの、液体アンモニアAlに対して14.7MWの熱量を供給することができる。これにより、加熱部10に用いられる燃焼装置12において、約20%の割合でアンモニアガスAgを燃料ガスとして使用しても、供給循環水路Pを流通する供給循環水Pwは、液体アンモニアAlを気化させるための十分な顕熱を有している。また、供給循環水路Pにおいて加熱部10に向けて流通する供給循環水Pwの流量が12000ton/hr程度であって循環水Wの温度が34℃程度の場合には、66.3MWの熱量を供給できることから、加熱部10に用いられる燃焼装置12の燃料ガスを全てアンモニアガスAgに代替することも可能となる。
以上から、本実施形態における供給循環水路Pは、供給循環水Pwを分岐させてアンモニア気化器5のシェル部5aを流通する位置において、加熱部10へ供給される供給循環水Pwの流量として、1000ton/hr以上の供給循環水Pwを供給する機器であることが好ましく、供給循環水Pwの温度は30℃以上であることが好ましい。加熱部10へ向けた供給循環水路Pのアンモニア気化器5のシェル部5aを流通する供給循環水Pwの流量が1000ton/hr未満、又は温度が30℃未満であると、アンモニア気化器5において液体アンモニアAlを気化するのに十分な熱量を供給できないためである。また、大型の加熱部10を含む製造設備91としては、アンモニア気化器5のシェル部5aを流通して加熱部10へ供給される供給循環水Pwの流量が30000ton/hr以下、温度が80℃以下であれば、加熱部10に用いるために必要とされる十分な量の液体アンモニアAlを気化することができる。
以上に述べた通り、第2実施形態においては、製造設備1の操業方法として、以下に記載するステップを有する。即ち、第1実施形態におけるアンモニアガス生成ステップについて、液体アンモニアAlを加熱部10及び製造ライン2に供給した循環水Wにおける顕熱との熱交換により気化させることでアンモニアガスAgを生成する。
本実施形態における製造設備1及び製造設備1の操業方法により、液体アンモニアAlを加熱部10及び製造ライン2に供給した循環水Wにおける顕熱との熱交換により気化させ、気化により得られたアンモニアガスAgを加熱部10に供給して、加熱部10にて対象材Sの加熱に用いることができる。即ち、加熱部10の燃料ガスとして、二酸化炭素の排出を抑制し得るアンモニアガスAgを効率的に生成することが可能となる。また、製造設備1を循環する循環水Wの顕熱を用いて液体アンモニアAlを気化して加熱部10の燃料ガスにすることで、液体アンモニアAlを燃料ガスに変換するための付加的なエネルギーを削減できる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を具体的に説明する。図10に、第3実施形態における製造設備92の循環水Wの循環経路の構成を模式的に示す。図10は、アンモニア気化器5が、製造ライン2の各設備から回収された回収循環水Rwと合流する前における、加熱部10から回収された回収循環水Rwの顕熱を用いて、液体アンモニアAlを気化させるための構成とした一例を示す。また、第3実施形態においては、アンモニア気化器5を加熱部10からの回収循環水路Rに連結した構成を除き、その他は第1実施形態と同じ構成である。
即ち、本実施形態において、アンモニア気化器5は、図10及び図6に示す構成を踏まえ、加熱部10からの回収循環水路Rに連結して循環水Wを流通させるシェル部5aを有する。そして、液体アンモニアAlを流通させると共にシェル部5aを流通する循環水Wの顕熱との熱交換により液体アンモニアAlを気化させて得られるアンモニアガスAgを流通させるアンモニア配管5bを有する。
第3実施形態においては、加熱部10において冷却のために供給され循環水処理装置8に回収される回収循環水路Rを流通する回収循環水Rwをアンモニア気化器5に供給する。なお、アンモニア気化器5には、加熱部10から回収される回収循環水Rwの一部を分岐させてアンモニア気化器5に供給してもよい。
また、加熱部10として、内部において対象材Sを搬送する搬送装置13を冷却した回収循環水Rwの顕熱を用いて、液体アンモニアAlを気化させるように構成することが好ましい。対象材Sの搬送装置13においては、内部を循環水Wが流通するため、高温になる対象材Sと直接接触する搬送装置13の内部の冷却に使用された循環水Wは温度が上昇しやすく、比較的少量の循環水Wであっても大きな顕熱を有する。
図10に示す構成においては、加熱部10に供給される循環水Wが回収循環水Rwとして回収される回収循環水路Rが、他の回収循環水路Rと合流する前にアンモニア気化器5に接続されている。これにより、回収循環水Rwが回収循環水路Rの長い配管内を流通することなくアンモニア気化器5に供給されるため、アンモニア気化器5に供給される前の回収循環水Rwの温度の低下を低減できる。
加熱部10においては、構成される機器が高温雰囲気に晒されるため、加熱部10を流通することにより回収循環水Rwの温度が上昇しやすい。例えば、加熱部10に供給される循環水Wの水量が2100ton/hrであって、加熱部10を流通する循環水Wの全てがアンモニア気化器5のシェル部5aを流通する場合に、加熱部10から回収される回収循環水Rwが有する顕熱は、20~25MW程度となる。従って、加熱部10に用いられる燃焼装置12の約20%でアンモニアガスAgを燃料ガスとして使用しても、加熱部10を流通しアンモニア気化器5のシェル部5aを流通する回収循環水Rwは、液体アンモニアAlを気化させるのに十分な顕熱を有している。
以上に述べた通り、第3実施形態においては、製造設備1の操業方法として、以下に記載するステップを有する。即ち、第1実施形態におけるアンモニアガス生成ステップについて、液体アンモニアAlを加熱部10から回収した循環水Wにおける顕熱との熱交換により気化させることでアンモニアガスAgを生成する。
本実施形態における製造設備1及び製造設備1の操業方法により、液体アンモニアAlを加熱部10から回収した循環水Wにおける顕熱との熱交換により気化させ、気化により得られたアンモニアガスAgを加熱部10に供給して、加熱部10にて対象材Sの加熱に用いることができる。即ち、加熱部10の燃料ガスとして、二酸化炭素の排出を抑制し得るアンモニアガスAgを効率的に生成することが可能となる。また、製造設備1を循環する循環水Wの顕熱を用いて液体アンモニアAlを気化して加熱部10の燃料ガスにすることで、液体アンモニアAlを燃料ガスに変換するための付加的なエネルギーを削減できる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態を具体的に説明する。図11に、第4実施形態における製造設備93の循環水Wの循環経路の構成を模式的に示す。図11は、アンモニア気化器5が、製造設備93の各設備から回収された回収循環水Rwと合流する前における、対象材冷却装置70から回収された回収循環水Rwの顕熱を用いて、液体アンモニアAlを気化させるための構成とした一例を示す。また、第4実施形態においては、アンモニア気化器5を対象材冷却装置70からの回収循環水路Rに連結した構成を除き、その他は第1実施形態と同じ構成である。
即ち、本実施形態において、アンモニア気化器5は、図11及び図6に示す構成を踏まえ、対象材冷却装置70からの回収循環水路Rに連結して循環水Wを流通させるシェル部5aを有する。そして、液体アンモニアAlを流通させると共にシェル部5aを流通する循環水Wの顕熱との熱交換により液体アンモニアAlを気化させて得られるアンモニアガスAgを流通させるアンモニア配管5bを有する。
対象材Sの冷却は、主としてランアウトテーブルを備える対象材冷却装置70において行われ、対象材Sの材質制御のために実施される。特に、高強度鋼板のように仕上圧延後の鋼板を急冷することにより材質を制御する目的から、比較的大量の循環水Wが供給される。具体的には、対象材冷却装置70では、6000~8000ton/hr程度の循環水Wが供給され、対象材冷却装置70から回収された回収循環水Rwが有する顕熱は、39~52MW程度となる。従って、加熱部10に用いられる全ての燃焼装置12でアンモニアガスAgを燃料ガスとして使用しても、対象材冷却装置70から回収される回収循環水Rwは、液体アンモニアAlを気化(上記の例では11.3~15.0MW程度が必要)させるのに十分な顕熱を有している。したがって、対象材冷却装置70からの回収される一部の循環水Wを分岐させる回収循環水路Rをアンモニア気化器5に接続してよい。
以上に述べた通り、第4実施形態においては、製造設備1の操業方法として、以下に記載するステップを有する。即ち、第1実施形態におけるアンモニアガス生成ステップについて、液体アンモニアAlを製造ライン2における対象材冷却装置70から回収した循環水Wにおける顕熱との熱交換により気化させることでアンモニアガスAgを生成する。
本実施形態における製造設備1及び製造設備1の操業方法により、液体アンモニアAlを対象材冷却装置70から回収した循環水Wにおける顕熱との熱交換により気化させ、気化により得られたアンモニアガスAgを加熱部10に供給して、加熱部10にて対象材Sの加熱に用いることができる。即ち、加熱部10の燃料ガスとして、二酸化炭素の排出を抑制し得るアンモニアガスAgを効率的に生成することが可能となる。また、製造設備1を循環する循環水Wの顕熱を用いて液体アンモニアAlを気化して加熱部10の燃料ガスにすることで、液体アンモニアAlを燃料ガスに変換するための付加的なエネルギーを削減できる。
<第5実施形態>
次に、図12を用いて、本発明の第5実施形態を説明する。図12は、第5実施形態としてのアンモニア気化器9の概略構成図を示す。図12(a)は、アンモニア気化器9の構成を模式的に示す概略正面図である。図12(b)は、アンモニア気化器9の構成を模式的に示す概略側面図である。図12に示すアンモニア気化器9は、先に示したアンモニア気化器5の他の例としてのアンモニア気化器である。
図12は、アンモニア気化器9に適用される熱交換器として、オープンラック式気化器の例を示す。オープンラック式気化器は、多管式熱交換器の一種であり、多数の伝熱管を並べたパネルの外面に高温側の液体を流下することにより、内部の液体を気化させる装置である。
アンモニア気化器9は、パネル部9a、上側ヘッダ部9c、下側ヘッダ部9d、給水部9e、及び排水部9fを有する。パネル部9aは、内部をアンモニアが流通する複数の伝熱管としてのアンモニア配列管9bが一列に配置され、板状(パネル状)に形成されている。下側ヘッダ部9dは、パネル部9aを構成する複数のアンモニア配列管9bとパネル部9aの下部で流通し、液体アンモニアAlが液体アンモニア貯留部4から供給される。下側ヘッダ部9dの内部には、液体アンモニアポンプ7等により圧力が生じているので、液体アンモニアAlの液面はアンモニア配列管9bの内部で一定の高さまで上昇している。上側ヘッダ部9cは、パネル部9aを構成する複数のアンモニア配列管9bとパネル部9aの上部で流通し、パネル部9aの上部からアンモニアガスAgを回収し、回収したアンモニアガスAgがアンモニアガス供給部6に送られる。給水部9eには、供給循環水路Pを流通する供給循環水Pwが供給され、パネル部9aの上方から、パネル部9aの表面に沿って循環水Wが流下するように構成される。排水部9fは、パネル部9aの表面に沿って流下した循環水Wを回収し、回収循環水Rwとして回収循環水路Rに供給する。
図12に示す通り、下側ヘッダ部9dに液体アンモニアAlが供給され、液体アンモニアAlの液面がアンモニア配列管9bの内部で一定の高さまで上昇している状態で、パネル部9aの外面に循環水Wが流下すると、アンモニア配列管9bを介して、循環水Wと液体アンモニアAlとの間で熱交換が行われ、液体アンモニアAlが気化してアンモニアガスAgが生成される。そして、液体アンモニアAlが気化して生成したアンモニアガスAgは、アンモニア配列管9bの内部を上昇し、上側ヘッダ部9cで回収される。
即ち、アンモニア気化器9は、図2に示す構成も踏まえ、供給循環水路Pに連結して循環水Wをパネル部9aの外面で流下させる給水部9eと、回収循環水路Rに連結して循環水Wを回収する排水部9fと、を有する。そして、液体アンモニアAlの水位を上昇させると共にパネル部9aの外面を流下する循環水Wの顕熱との熱交換により液体アンモニアAlを気化させて得られるアンモニアガスAgを流通させるアンモニア配列管9bと、アンモニア配列管9bの内部を上昇するアンモニアガスAgを回収する上側ヘッダ部9cと、を有するように構成してもよい。
次に、本発明に係る製造設備及び製造設備の操業方法について、熱間圧延ラインに適用して実施した実施結果を説明する。本実施例の熱間圧延ラインは、600ton/hrの生産能力を有する。加熱部10は、260℃のスラブ(対象材S)を1210℃まで加熱する能力を有する。
従来の加熱炉(加熱部)は、燃料ガスとして石炭ガスの一種であるMガスを使用した。使用したMガスの低位発熱量は194MWであり、従来の操業における加熱炉の燃料原単位は1.17GJ/tonであった。加熱炉は、内部に鋼材(対象材S)を搬送する搬送装置13を備えており、搬送装置13の内部にて流通すると共に搬送装置13を冷却する循環水Wの流量は、2100m/hrであった。熱間圧延ラインは、ランアウトテーブルを有する対象材冷却装置70でも循環水Wを使用しており、その流量は7200m/hrであった。また、その他の機器にて使用される循環水Wの流量は概ね2700m/hrであり、循環水Wとして合計で12000m/hrが使用されていた。
これについて、供給循環水路Pと回収循環水路Rとを流れる循環水Wの温度と流量とに基づいて、循環水Wの排熱を測定した結果、加熱炉を流通した循環水Wでは20.9MW、対象材冷却装置70を流通した循環水Wでは44.7MW、その他の機器を流通した循環水Wでは13.7MWとなり、合計で79.3MWの顕熱を有することが確認できた。また、循環水Wの温度は、加熱炉を流通した循環水Wが42.5℃、対象材冷却装置70を流通した循環水Wが39.3℃、その他の機器を流通した循環水Wについて回収した後の温度が38.4℃であった。そして、循環水処理装置8の沈殿池8aで貯水された循環水Wの温度は平均値で39.7℃であった。さらに、循環水処理装置8では、調整後における循環水Wの温度が34℃となるよう調整されており、循環水処理装置8の冷却塔8cの稼働率は87.6%であった。
ここで、発明例1として、図2に示す実施形態(第1実施形態)に基づく実施結果を説明する。発明例1は、図2に示す通り、加熱部10及び製造ライン2を流通した回収循環水Rwの全てが回収された回収循環水路Rが、アンモニア気化器に接続された構成である。この場合、加熱部10は、アンモニアガスAgを20体積%とすると共に、Mガス(石炭ガス)を80体積%とした混合ガスを燃料ガスとして、燃焼を実施し得る燃焼装置12(図8参照)を用いた。その結果、アンモニア気化器5では、循環水Wが有する顕熱のうち、熱量2.9MWが液体アンモニアAlの気化に利用され、アンモニア気化器5を通過した後の循環水Wの温度の低下は0.2℃であった。そのため、循環水処理装置8における循環水Wの処理は、従来の操業条件とほとんど変化なく実施できた。即ち、液体アンモニアAlを気化するために追加の熱源を供給することなく、従来の加熱炉においてMガスのみを用いた場合と、ほぼ同等のエネルギーバランスで熱間圧延ラインの操業を実施できた。そして、加熱炉等の加熱部10の燃料ガスとして、二酸化炭素の排出を抑制し得るアンモニアガスAgを、熱量を有する循環水Wの顕熱を用いて効率的に生成することができた。
次に、発明例2として、図9に示す実施形態(第2実施形態)に基づく実施結果を説明する。発明例2は、図9に示す通り、供給循環水路Pとして循環水処理装置8から供給され、加熱部10の冷却のための供給循環水Pwが流通する供給循環水路Pをアンモニア気化器5に接続した構成である。この場合、加熱部10の燃焼装置12は、アンモニアガスAgのみを燃料ガスとする図7に示す構成を用いた。その結果、アンモニア気化器5において液体アンモニアAlを気化する熱量は14.7MWであり、アンモニア気化器5を流通する循環水Wの温度は6.0℃低下した。そのため、加熱部10の搬送装置13の内部を流通する循環水Wの温度が低下することから、加熱部10の内部における対象材Sを昇温するのに必要な熱量が増加したため、加熱部10の燃料原単位は1.18GJ/tonに上昇したものの、その増加量は僅かであった。更に、加熱部10から回収される循環水Wの温度は、加熱部10に供給される段階で低下していることから、循環水処理装置8の沈殿池8aで回収された循環水Wの温度は38.8℃であり、従来の循環水の温度よりも低下した。その結果、循環水処理装置8の冷却塔8cの稼働率は78.8%と、従来に比べて低下させることができ、循環水Wの冷却に消費される動力を低減できた。そして、加熱炉等の加熱部10の燃料ガスとして、二酸化炭素の排出を抑制し得るアンモニアガスAgを、熱量を有する循環水Wの顕熱を用いて効率的に生成することができた。
次に、発明例3として、図10に示す実施形態(第3実施形態)に基づく実施結果を説明する。発明例3は、図10に示す通り、加熱部10から回収される回収循環水Rwが流通する回収循環水路Rをアンモニア気化器5に接続した構成である。即ち、発明例3は、アンモニア気化器5が、加熱部10から回収され製造設備1の加熱部10以外の設備から回収される回収循環水Rwと合流する前における循環水Wの顕熱を用いて、液体アンモニアAlを気化させる構成としている。具体的に、アンモニア気化器5は、搬送装置13の冷却に用いられる循環水Wを流通させると共に搬送装置13の内部に設けられる回収循環水路Rに接続した構成となっている。この場合、加熱部10の燃焼装置12は、アンモニアガスAgのみを燃料ガスとする図7に示す構成を用いた。その結果、アンモニア気化器5を流通した後の回収循環水Rwは、アンモニア気化器5を流通する前に比べて6.0℃の温度の低下を生じ、温度は36.5℃となった。これにより、循環水処理装置8の沈殿池8aで回収された循環水Wの温度は38.6℃となり、従来の循環水の温度よりも低下した。その結果、循環水処理装置8の冷却塔8cの稼働率は77.6%となり、従来に比べて稼働率が低下でき、循環水Wの冷却に消費される動力を低減できた。そして、加熱炉等の加熱部10の燃料ガスとして、二酸化炭素の排出を抑制し得るアンモニアガスAgを、熱量を有する循環水Wの顕熱を用いて効率的に生成することができた。
1 製造設備
2 製造ライン
3 アンモニアガス生成装置
4 液体アンモニア貯留部
5 アンモニア気化器
6 アンモニアガス供給部
7 液体アンモニアポンプ
8 循環水処理装置
10 加熱部
11 装入部
12 燃焼装置
13 搬送装置
14 抽出部
15 煙道部
20 デスケーリング装置
30 幅圧下プレス装置
40 粗圧延装置
50 仕上デスケーリング装置
60 仕上圧延装置
70 対象材冷却装置
80 巻取機
D 搬送方向
S 対象材
F 燃焼火炎
O 燃焼用空気
Al 液体アンモニア
Ag アンモニアガス
Cg 石炭ガス
ACg 石炭アンモニア混合ガス
P 供給循環水路
R 回収循環水路
W 循環水
Pw 供給循環水
Rw 回収循環水


Claims (13)

  1. 対象材を加熱する加熱部と、前記加熱部にて加熱された前記対象材に対して処理を行う製造ラインと、前記加熱部及び前記製造ラインにおいて冷却のために用いられる循環水を処理する循環水処理装置と、前記循環水処理装置から前記加熱部及び前記製造ラインに前記循環水を供給するための供給循環水路と、前記加熱部及び前記製造ラインから前記循環水処理装置に前記循環水を回収するための回収循環水路と、前記加熱部に燃焼のためのアンモニアガスを供給するアンモニアガス生成装置と、を有する製造設備であって、
    前記アンモニアガス生成装置は、アンモニアを液体状態で貯留する液体アンモニア貯留部と、前記液体アンモニア貯留部から供給される液体アンモニアを前記循環水における顕熱との熱交換により気化させるアンモニア気化器と、前記アンモニア気化器における熱交換により得られるアンモニアガスを前記加熱部に供給するアンモニアガス供給部と、
    を有する、製造設備。
  2. 前記アンモニア気化器は、前記回収循環水路に連結して前記循環水を流通させるシェル部と、前記液体アンモニアを流通させると共に前記シェル部を流通する前記循環水の顕熱との熱交換により前記液体アンモニアを気化させるアンモニア配管とを有する、請求項1に記載の製造設備。
  3. 前記アンモニア気化器は、前記供給循環水路に連結して前記循環水を流通させるシェル部と、前記液体アンモニアを流通させると共に前記シェル部を流通する前記循環水の顕熱との熱交換により前記液体アンモニアを気化させるアンモニア配管とを有する、請求項1に記載の製造設備。
  4. 前記アンモニア気化器は、前記加熱部からの前記回収循環水路に連結して前記循環水を流通させるシェル部と、前記液体アンモニアを流通させると共に前記シェル部を流通する前記循環水の顕熱との熱交換により前記液体アンモニアを気化させるアンモニア配管とを有する、請求項1に記載の製造設備。
  5. 前記加熱部は、前記回収循環水路を内部に有すると共に前記対象材を搬送する搬送装置を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造設備。
  6. 前記製造ラインは、前記循環水を用いて前記対象材を冷却すると共に前記対象材の冷却に用いた前記循環水を回収して前記回収循環水路へ流通させる対象材冷却装置を有する、請求項に記載の製造設備。
  7. 前記アンモニア気化器は、前記対象材冷却装置からの前記回収循環水路に連結して前記循環水を流通させるシェル部と、前記液体アンモニアを流通させると共に前記シェル部を流通する前記循環水の顕熱との熱交換により前記液体アンモニアを気化させて得られるアンモニアガスを流通させるアンモニア配管とを有する、請求項6に記載の製造設備。
  8. 前記加熱部は、前記アンモニアガス供給部から供給されたアンモニアガスと混合させるため、石炭ガスを供給する石炭ガス供給部を有する、請求項に記載の製造設備。
  9. 対象材を加熱する加熱部及び前記対象材に対して処理を行う製造ラインに対して冷却のための循環水を供給すると共に回収を行いつつ、前記加熱部に燃焼のためのアンモニアガスをアンモニアガス生成装置から供給して、前記加熱部及び前記製造ラインを有する製造設備にて製造を行う製造設備の操業方法であって、
    前記アンモニアガス生成装置において、液体アンモニアを液体アンモニア貯留部からアンモニア気化器に供給する液体アンモニア供給ステップと、
    前記アンモニア気化器において、前記液体アンモニアを前記循環水における顕熱との熱交換により気化させることでアンモニアガスを生成するアンモニアガス生成ステップと、
    生成した前記アンモニアガスを前記加熱部に供給するアンモニアガス供給ステップと、
    を有する、製造設備の操業方法。
  10. 前記アンモニアガス生成ステップは、前記液体アンモニアを前記加熱部及び前記製造ラインから回収した前記循環水における顕熱との熱交換により気化させることでアンモニアガスを生成する、請求項9に記載の製造設備の操業方法。
  11. 前記アンモニアガス生成ステップは、前記液体アンモニアを前記加熱部及び前記製造ラインに供給した前記循環水における顕熱との熱交換により気化させることでアンモニアガスを生成する、請求項9に記載の製造設備の操業方法。
  12. 前記アンモニアガス生成ステップは、前記液体アンモニアを前記加熱部から回収した前記循環水における顕熱との熱交換により気化させることでアンモニアガスを生成する、請求項9に記載の製造設備の操業方法。
  13. 前記アンモニアガス生成ステップは、前記液体アンモニアを前記製造ラインにおける対象材冷却装置から回収した前記循環水における顕熱との熱交換により気化させることでアンモニアガスを生成する、請求項9に記載の製造設備の操業方法。
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