JP7494722B2 - 糖鎖質量分析データ解析装置、及び糖鎖質量分析データ解析用プログラム - Google Patents

糖鎖質量分析データ解析装置、及び糖鎖質量分析データ解析用プログラム Download PDF

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Description

本発明は、糖鎖質量分析データ解析装置、及び糖鎖質量分析データ解析用プログラムに関する。
生体内におけるタンパク質、ペプチド等の生体分子の生合成の過程は精緻に制御されている。そのため、生合成の過程で生成される糖鎖修飾を受けた生体分子は生命活動において重要な役割を担っていると考えられており、近年、特に生理機能や疾患との関連について、糖鎖分子レベルでの具体的な報告が数多くなされている。こうしたことから、生命現象における様々な過程にかかわる生体分子を修飾する糖鎖の構造を明らかにすることは、生命現象の解明や創薬、診断に役立つものと期待されている。
糖の一種であるシアル酸はタンパク質の品質管理や神経における情報伝達、あるいは細胞間の認識などにおいて重要な物質であると考えられてきたが、最近、糖鎖の末端に対するシアル酸残基の付き方、つまりは結合様式の相違がそうした生体活動に重要であることが解明されつつある。したがって、生体分子を修飾する糖鎖に含まれるシアル酸の結合様式を把握することは、生命活動における糖鎖の機能の理解に重要である。
例えばヒトの場合、シアル酸の結合様式として、α2,3結合型とα2,6結合型とが主として知られている。その結合様式は細胞の癌化に伴って変化することが分かっており、結合様式をバイオマーカーとして利用したり、バイオ医薬品の品質管理等に利用したりすることが提案されている。しかしながら、結合様式のみが異なるシアル酸を含有する糖鎖異性体には質量差がないため、糖鎖分析に広く用いられている質量分析による結合様式の判別が難しい。また、シアル酸は、質量分析やその前処理の際に糖鎖から解離し易く不安定であるため、検出感度や定量性が低い。
そこで、シアル酸の構造を安定化し、且つ、結合様式の相違を質量分析の結果から判別できるようにするために、シアル酸の結合様式に特異的な糖鎖の誘導体化の手法が開発されている。例えば、特許文献1、非特許文献1には、糖鎖を含む分析対象試料と、イソプロピルアミン等のアミン及びカルボジイミドを含む脱水縮合剤とを反応させることで、α2,3-シアル酸を有する糖鎖の誘導体としてラクトンを生成させるとともに、α2,6-シアル酸を有する糖鎖の誘導体としてアミドを生成させる手法が開示されている。また、上記文献には、いくつかの別の誘導体化手法も記載されている。
上述したシアル酸結合様式に特異的な誘導体化手法で処理されたシアル酸含有糖鎖の組成や構造は、当該シアル酸含有糖鎖を含む試料を、マトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)-飛行時間型質量分析装置(TOFMS)などを用いて分析し、それにより収集されたデータをコンピュータで解析することにより求めることができる。例えば特許文献2には、糖鎖について質量分析により得られたデータから糖鎖の組成、構造を求めるための、糖鎖構造解析用コンピュータプログラムが記載されている。
シアル酸結合様式に特異的な誘導体化手法で処理されたシアル酸含有糖鎖は、その誘導体化に対応してシアル酸結合様式毎に異なる質量が増加又は減少した糖鎖理論質量電荷比付近のマススペクトル上にピーク(以下「イオンピーク」という)が検出される。例えばα2,3結合型とα2,6結合型とを識別可能な誘導体化手法であれば、それら二つの結合様式それぞれに異なる質量だけ糖鎖の質量が増加する。したがって、1種類の糖鎖構造にN個のシアル酸が含まれる場合には、N+1(=N+1)個の異なる質量電荷比のイオンピークが検出され得る。
特許文献2に記載されているコンピュータプログラムでは、シアル酸結合様式に特異的な誘導体化手法で処理されたシアル酸含有糖鎖を含む試料について得られたマススペクトルデータにおけるイオンピークの質量電荷比を、誘導体化手法に対応して予め設定された複数の糖鎖理論質量電荷比と照合することによって、シアル酸含有糖鎖の構造を決定する。
特開2016-194500号公報 国際公開WO2020/079878
N. de Haan, et. al., Glycomics studies using sialic acid derivatization and mass spectrometry, Nature Reviews Chemistry, 2020, 4(5), 229-242
上述したコンピュータプログラムでは、シアル酸含有糖鎖に含まれる所定の結合様式のシアル酸が全て誘導体化されることを前提として複数の糖鎖理論質量電荷比が設定され、該糖鎖理論質量電荷比を、マススペクトルデータにおけるイオンピークの質量電荷比と照合する。ところが、シアル酸結合様式に特異的な誘導体化手法で処理する条件によっては、試料に含まれるシアル酸含有糖鎖の中にはシアル酸が誘導化されずにそのままの状態で残ったり、誘導体化が不完全な状態で残ったりして夾雑物が生成される場合があり、このような夾雑物の存在が糖鎖構造の解析の妨げになる恐れがあった。
本発明は上記課題を解決するための成されたものであり、その目的は、シアル酸結合様式に特異的な誘導体化処理が行われたシアル酸含有糖鎖が、予想通りに誘導体化されているかどうかを把握できるようにすることである。
上記課題を解決するために成された本発明の第1態様に係る糖鎖質量分析データ解析装置は、シアル酸結合様式に特異的な誘導体化処理が施されたシアル酸結合糖鎖又は該糖鎖により修飾された分子を含む試料を質量分析することで得られたマススペクトルデータを解析する糖鎖質量分析データ解析装置であって、
解析対象の糖鎖組成を設定するための糖鎖組成設定部と、
前記糖鎖組成設定部で設定された糖鎖組成に基づいて、複数種類の複数個の単糖残基で構成されるコア構造を有する複数種類の糖鎖と、それに対応する質量情報とを取得する糖鎖情報取得部と、
鎖の質量変動を生じる質量変動因子を設定するための質量変動因子設定部と、
前記質量変動因子設定部で設定された質量変動因子に基づいて、前記糖鎖情報取得部で取得された糖鎖毎に前記質量変動が生じた後の糖鎖理論質量電荷比を求める、糖鎖理論質量計算部と
を備え、
前記質量変動因子設定部が、質量変動因子として、前記解析対象に含まれるシアル酸結合糖鎖が有するシアル酸のカルボキシル基に生じ得るイオン種又は塩と、前記誘導体化処理に対応して質量変動が生じ得るシアル酸結合様式とを設定するものであり、
前記糖鎖理論質量計算部が、前記イオン種又は前記塩と、前記シアル酸結合様式との組み合わせから推定される質量変動量を求める質量変動算出部を有するものである。
また、上記課題を解決するために成された本発明の第2態様に係る糖鎖質量分析データ解析プログラムは、シアル酸結合様式に特異的な誘導体化処理が施されたシアル酸結合糖鎖又は該糖鎖により修飾された分子を含む試料を質量分析することで得られたマススペクトルデータを解析するための、糖鎖質量分析データ解析プログラムであって、コンピュータを、
解析対象の糖鎖組成を設定するための糖鎖組成設定部と、
前記糖鎖組成設定部で設定された糖鎖組成に基づいて、複数種類の複数個の単糖残基で構成されるコア構造を有する複数種類の糖鎖と、それに対応する質量情報とを取得する糖鎖情報取得部と、
鎖の質量変動を生じる質量変動因子を設定するための質量変動因子設定部と、
前記質量変動因子設定部で設定された質量変動因子に基づいて、前記糖鎖情報取得部で取得された糖鎖毎に前記質量変動が生じた後の糖鎖理論質量電荷比を求める、糖鎖理論質量計算部と
して動作させるものであって
前記質量変動因子設定部が、質量変動因子として、前記解析対象に含まれるシアル酸結合糖鎖が有するシアル酸のカルボキシル基に生じ得るイオン種又は塩と、前記誘導体化処理に対応して質量変動が生じ得るシアル酸結合様式とを設定するものであり、
前記糖鎖理論質量計算部が、前記イオン種又は前記塩と、前記シアル酸結合様式との組み合わせから推定される質量変動量を求める、質量変動算出部を有するものである。
本発明によれば、シアル酸結合糖鎖の構造解析のために、解析対象の糖鎖に対して、シアル酸の結合様式に特異的な誘導体化処理を行った場合に、シアル酸の誘導体化によって生じた、シアル酸の結合様式の相違に応じた異なる質量電荷比の複数の糖鎖(糖鎖誘導体)以外に、シアル酸の誘導体化が不完全であった、もしくは、誘導体化が起きなかった結果、生じることが予想される夾雑物の質量電荷比に関する情報をユーザに提供することができる。したがって、ユーザは、提供された質量電荷比に関する情報と、質量分析データ(マススペクトルデータ)とを照合することにより、誘導体化処理における温度、pH等の処理条件が適切であるか否かを判断することができる。
本発明の一実施例である糖鎖質量分析データ解析システムの概略ブロック構成図。 本実施例の糖鎖質量分析データ解析システムにおける解析処理手順のフローチャート。 本実施例の糖鎖質量分析データ解析システムにおいて、シアル酸結合様式特異的誘導体化の種類をユーザが設定するためのタブの一例を示す図。 本実施例の糖鎖質量分析データ解析システムにおいて、解析対象の糖鎖組成をユーザが設定するためのタブの一例を示す図。 本実施例の糖鎖質量分析データ解析システムにおいて、イオン化条件をユーザが設定するためのタブの一例を示す図。 本実施例の糖鎖質量分析データ解析システムにおいて、塩形成条件をユーザが設定するためのタブの一例を示す図。 解析対象とされるイオンピークの質量電荷比値の一例を示す図。 解析対象を含む試料について得られたマススペクトルの一例を示す図。
以下、本発明の一実施例である糖鎖構造解析システムについて、添付図面を参照して説明する。
図1は、本実施例の糖鎖構造解析システムの概略ブロック構成図である。図1に示すように、本システムは、試料に対して測定を実行する質量分析部1と、解析処理を実行するデータ解析部2と、ユーザインターフェイスである入力部3及び表示部4と、を備える。データ解析部2は、データ格納部21と、ピーク検出部22と、糖鎖構造解析部23とを含む。糖鎖構造解析部23は、糖鎖組成設定部24、糖鎖情報取得部25、質量変動因子設定部26、糖鎖理論質量計算部27、データ照合部28、及び、表示処理部29を機能ブロックとして含む。さらに、質量変動因子設定部26は、還元末端ラベル化条件設定部261、誘導体化条件設定部262、イオン化条件設定部263、塩形成条件設定部264を下位の機能ブロックとして含み、糖鎖理論質量計算部27は質量変動算出部271を下位の機能ブロックとして含む。
質量分析部1は特にその方式を問わないが、一般に質量精度や質量分解能が高いことが望ましいことから、飛行時間型質量分析装置(TOFMS)、或いはフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析装置(FT-ICRMS)などが有用である。また、質量分析装置におけるイオン化法としては、マトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)法のほか、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法、探針エレクトロスプレーイオン化(PESI)法などを用いることもできるが、1価イオンの発生が主であるという点でMALDI法が好適である。
また、後述するように、糖鎖を修飾しているシアル酸の数や結合様式を含めた糖鎖の構造解析には、イオンの解離操作を伴わない通常の質量分析で十分であることが多いが、例えばペプチド等に結合した糖鎖の構造解析を行うには、nが2以上であるMSn分析を実行してMSnスペクトルデータを取得するのが一般的である。その場合には、質量分析部1としては、イオントラップやコリジョンセルなど、衝突誘起解離(CID)等によりイオンを解離させる機能を有する質量分析装置を用いる。
本システムにおいて、データ解析部2の実体は汎用のパーソナルコンピュータ又はより性能の高いワークステーションであり、そうしたコンピュータにインストールされた専用のデータ処理用プログラムを該コンピュータにおいて動作させることで図1に示したような各機能ブロックの機能が実現される。このデータ処理用プログラムが本発明に係る糖鎖構造解析用プログラムに相当する。この場合、入力部3はコンピュータに付設されたキーボードやポインティングデバイス(マウスなど)であり、表示部4は同じくコンピュータに付設されたモニタである。上記データ処理用プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、メモリカード、USBメモリ(ドングル)などの、非一時的な記録媒体に収録されてユーザに提供されるようにすることができる。或いは、インターネットなどの通信回線を介したデータ転送の形式で、ユーザに提供されるようにすることもできる。
本実施例のシステムにより糖鎖構造解析を実行する際には、糖鎖を含む試料(糖鎖試料)に対しシアル酸結合様式特異的誘導体化による前処理を実施し、その処理済みの試料を質量分析部1で質量分析することにより、所定の質量電荷比範囲に亘るマススペクトルデータを取得する。ここでは一例として、特許文献1、非特許文献に記載されているような、アミン及びカルボジイミドを含む脱水縮合剤の存在下で糖鎖試料に対するシアル酸結合様式特異的誘導体化を実施するものとする。この場合、糖鎖に含まれるシアル酸がα2,3結合型である場合には誘導体としてラクトンが形成され、糖鎖に含まれるシアル酸がα2,6結合型である場合には誘導体としてアミドが形成される。元の糖鎖の組成は同じでも誘導体の質量は互いに相違する。上述したような誘導体化による処理済みの試料に対し質量分析部1で得られたマススペクトルデータがデータ解析部2に入力され、データ格納部21に保存される。
データ解析部2においてピーク検出部22は収集されたマススペクトルデータについて所定のアルゴリズムに従ってピークを検出し、各ピークの質量電荷比値と信号強度とを取得してピークリストを作成する。そして、作成したピークリストをデータ格納部21に一旦保存する。このピークリストが糖鎖構造解析部23による解析対象のデータとなる。
糖鎖構造解析を行う際に、ユーザが入力部3から所定の操作を行うと、この操作を受けて糖鎖構造解析部23は表示部4の画面上にメインウインドウを表示する。メインウインドウは切替え可能な複数のタブから構成される。図3は、タブの一つである「Sialic Acid Modification」設定タブ52が開かれた状態のメインウインドウ50を示す図である。この「Sialic Acid Modification」設定タブ52のほか、「Data」設定タブ53、「Residue」設定タブ54、「Labelling」設定タブ55、「Ion Species」設定タブ56、「Salt Formation」設定タブ57、結果表示(図3では「Results」)タブ58が用意されており、タブ切替領域51において任意のタブをクリックすることで簡単にタブを切り替えることができる。
以下、各タブについて説明する。
結果表示(「Results」)タブ58は糖鎖構造の解析結果を表示するタブであり、それ以外のタブは解析の実行前に解析の条件等を設定したり解析の実行を指示したりするためのタブである。
「Data」設定タブ53は、ユーザが解析対象のピークリストを選択するとともに、測定データの質量許容誤差等の数値を入力するためのタブである。この入力により、後述する、実測のイオンピークの質量電荷比と糖鎖理論質量電荷比とを照合する際の許容誤差が決まる。
「Residue」設定タブ54は、解析対象となる糖鎖組成をユーザが設定するためのタブであり、糖鎖組成設定部24によって表示される。図4は、「Residue」設定タブ54が開かれることによってメインウインドウ50に表示される設定対象領域541を示す図である。「Residue」設定タブ54では、設定対象領域541には、例えば糖の種類として、7種類のシアル酸を含む単糖類の名称(ヘキソース(Hexose)、Nアセチルヘキソサミン(N-Acetyl hexosamine)、デオキシヘキソース(Deoxyhexose)、Nアセチルノイラミン酸(N-Acetyl neuraminic acid)、Nグリコリルノイラミン酸(N-Glycolyl neuraminic acid)、KDN(2-keto-3-deoxy-D-glycero-D-galacto-nononic acid)、ペントース(Pentose))とその略語、及びその質量、修飾によって糖鎖質量を増加させる分子の名称(りん酸塩(Phosphate)、硫酸塩(Sulfate)、酢酸塩(Acetate))とその略語、及びその質量が表示されており、それらの個数が設定可能となっている。なお、個数を0とした場合には、その糖や分子を含まないことを意味する。これにより、解析対象の糖鎖に含まれる糖の種等の個数を入力するだけで、ユーザは簡便に糖鎖組成を設定することができる。
また、解析対象の糖鎖に、設定対象領域541に表示されていない糖が含まれる場合は、その名前と残基質量、個数をユーザが入力する。これにより、あまり一般的でない糖が含まれる場合でも、簡便な作業で糖鎖組成を設定することができる。
なお、図4では、糖鎖組成として、ヘキソースが5個、Nアセチルヘキソサミンが4個、Nアセチルノイラミン酸が2個含まれることが設定された状態が示されている。
「Labelling」設定タブ55は、主として蛍光標識等のラベル標識による修飾の種類をユーザが選択するためのタブである。「Labelling」設定タブ55では、その設定対象領域(図示せず)において、例えば、標識物質として2-アミノベンズアミド(2-Amino benzamide)やピリジルアミン(Pyridylamine)などが選択可能となっている。
「Sialic Acid Modification」設定タブ52は、シアル酸結合様式特異的誘導体化の種類をユーザが選択するためのタブであり、誘導体化条件設定部262により表示される。図3は、「Sialic Acid Modification」設定タブ52が開かれた状態のメインウインドウ50を示している。「Sialic Acid Modification」設定タブ52では、設定対象領域521において、5種類の既定のシアル酸結合様式特異的誘導体化、及び未定義のシアル酸結合様式特異的誘導体化(図3中の「Other modification」)のうちの一つが、ラジオボタンを用いて選択可能となっている。5種類の既定のシアル酸結合様式特異的誘導体化についてはそれぞれ、二つの結合様式、つまりはα2,3結合とα2,6結合とにそれぞれ対応して既知である化学式の変化に基づく質量変動量(図3中の「Mass Change」)が定義されている。これにより、論文で発表されているイソプロピルアミド化とメチルアミド化の組み合わせなどの比較的高い頻度で利用されることが想定される誘導体化については、ユーザが簡便に選択することができる。なお、図3では、シアル酸結合様式特異的誘導体化として、イソプロピルアミド化とメチルアミド化の組み合わせが選択された状態が示されている。
また、既定の誘導体化以外の、未定義の誘導体化試薬を用いる場合には、「Other modification」を選択したうえで、ユーザはα2,3結合とα2,6結合とにそれぞれ対応する化学式の変化に基づく質量変動量を数値で入力する。これにより、ここで想定されていない新規な或いはあまり一般的でない誘導体化試薬が使用されるときでも、簡便な作業で以て解析を進めることができる。なお、図3に示した「Sialic Acid Modification」設定タブ52上でユーザが「Default」ボタン522をクリック操作すると、設定対象領域521内の情報が予め指定されているファイルに登録されているデフォルト状態に戻る。
また、「Sialic Acid Modification」設定タブ52上でユーザが「Save Settings」ボタン523をクリック操作すると、その時点において設定対象領域521内で設定されている情報が、予め指定されている設定情報保存用ファイルに保存される。一方、ユーザが「Load Settings」ボタン524をクリック操作すると、設定情報保存用ファイルに保存されている情報が設定対象領域521内に自動的に設定される。これにより、例えば、簡単な操作で、過去に実施した解析と同じ条件での解析を行うことができる。
「Ion Species」設定タブ56は、糖鎖がイオン化したときのイオンの極性、価数、及び、イオン種をユーザが選択するためのタブであり、イオン化条件設定部263によって表示される。図5は、「Ion Species」設定タブ56が開かれた状態においてメインウインドウ50に表示される設定対象領域561を示している。「Ion Species」設定タブ56では、設定対象領域561において、イオン種として、正イオンではプロトン(H+)付加、ナトリウムイオン(Na+)付加、カリウムイオン(K+)付加が選択可能であり、負イオンではプロトン(H-)脱離、塩素イオン(Cl-)付加、リン酸イオン(H2PO4 -)付加、硫酸水素イオン(HSO4 -)付加、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF -)付加のうちの一つが選択可能となっている。図5には、ナトリウムイオン(Na+)付加が選択された状態が示されている。また、設定対象領域561において、ユーザがイオン種の名称、その質量を入力することにより、上述した以外のイオン種の名称を選択することができる。
「Salt Formation」設定タブ57は、価数変化を伴わない糖鎖の部分構造の置換をユーザが設定するためのタブであり、塩形成条件設定部264により表示される。図6は、「Salt Formation」設定タブ57が開かれた状態においてメインウインドウ50に表示される設定対象領域571を示している。この設定対象領域571では、プロトンがナトリウム、カリウム、又はリチウムに置き換わる置換が選択可能となっている。図6には、プロトンがナトリウムに置き換わる置換が選択された状態が示されている。
次に、本システムを用いて、糖鎖質量分析データの解析手順について説明する。
ユーザは、上述したようにメインウインドウ50の各タブにおいて解析条件について適宜の設定を行う(ステップ1)。
解析条件の設定作業が終了し、「Sialic Acid Modification」設定タブ52(又は他の設定タブ)上でユーザが「Analyze」ボタン525をクリック操作すると、この操作を受けて糖鎖構造解析部23は、設定されている解析条件の下で実際に解析処理を開始する。
即ち、まず糖鎖情報取得部25は、「Residue」設定タブ54の設定対象領域541で設定された、糖鎖組成を表す糖等の種類及び個数に基づき、その糖鎖の理論質量を計算する(ステップ2)。また、糖鎖情報取得部25は、糖鎖組成を表す糖等の種類及び個数からシアル酸結合様式の組み合わせを推定し、複数種の糖鎖構造を求める。例えば、2個のシアル酸を含有し、全てのシアル酸結合様式が含まれる2分岐のN型糖鎖(以下、A2グリカンと呼ぶ)に対して、ヘキソースが5個、Nアセチルヘキソサミンが4個、Nアセチルノイラミン酸が2個で構成される糖鎖が、シアル酸結合様式特的誘導体化の対象糖鎖として設定されたものとすると、ヘキソース、Nアセチルヘキソサミン、Nアセチルノイラミンの各理論質量をそれぞれの個数分加算することで糖鎖の理論質量を計算する。
続いて、糖鎖理論質量計算部27は、構造が相違する各糖鎖に対し、質量変動因子として設定されている還元末端ラベル化、誘導体化、イオン化、或いは塩形成などが行われたときの理論質量電荷比を計算する(ステップ3)。
例えば、糖鎖の還元末端のラベル化条件として、2-アミノベンザミド(2-Aminobenzamide)によるラベル化(ABラベル化、+120.0687Da)が選択されたものとする。また、このほかの質量変動因子として、図3、図5、及び図6の設定対象領域に示された内容が設定されたものとする。すなわち、シアル酸結合様式特異的誘導体化試薬としてα2,3結合シアル酸に対してメチルアミド化が行われ、α2,6結合シアル酸に対してイソプロピルアミド化が行われる誘導体化試薬が選択され、イオン化の極性を正とし、イオン種としてナトリウムイオン(Na+)付加が選択されたこととする。なお、イオン化の極性として負極性が選択された場合は、選択したイオン種に関係なく、誘導体化が不完全か、あるいは誘導体化されなかったために残存するシアル酸のカルボキシル基についてプロトン脱離によるアニオンが生じることになる。
また、塩形成条件としてナトリウム塩が選択されたこととすると、誘導体化が不完全か、あるいは誘導体化されなかったために残存するシアル酸のカルボキシル基の一部がナトリウム塩を形成し得ることになる。プロトンがナトリウムに置き換わる置換が選択されたものとする。
以上のように設定された質量変動因子から、質量変動算出部271は、A2グリカンに含まれる2個のシアル酸それぞれのカルボキシル基に対して、未反応の状態、ナトリウム塩に置換された状態、α2,3結合シアル酸だった場合にメチルアミド化された状態、α2,6結合シアル酸だった場合にイソプロピルアミド化された状態の計4種類の状態を想定して、それぞれの質量電荷比を算出する。具体的には、未反応の糖鎖(つまり出発物質である糖鎖)が1種類、完全に誘導体化された目的物としての糖鎖が3種類、不完全な誘導体化により生じた糖鎖(不完全反応物)が6種類の計10種類(=2+4-14-1)の糖鎖の理論質量電荷比を算出する。1価イオンの場合に算出される理論質量電荷比の一覧を図7に記す。
次いで、データ照合部28は、与えられたピークリストに挙げられているイオンピークの質量電荷比値(実測値)と、ステップ3で算出された理論質量電荷比(理論値)とを順次照合する。ここでは、イオンピーク毎に、質量電荷比値の実測値と理論値との偏差を計算し(ステップ4)、その偏差が予め設定された許容誤差に収まる場合は、そのイオンピークを、その理論値に対応する糖鎖種類として決定する(ステップ5)。
続いて、表示処理部29は、データ照合部28による照合の結果、決定された糖鎖種類の理論値を対応するイオンピーク付近に付加したマススペクトルを表示する画面を作成し、ユーザが結果表示タブ58を開いたときに、そのタブに表示する(ステップ6)。
図8に、シアル酸結合様式特異的誘導体化したABラベル化A2グリカンのNa付加イオンについてマトリクス支援レーザ脱離イオン化質量分析装置(MALDI-MS)を用いて得られた質量スペクトルの模式図を示す。図8に示すように、各イオンピーク付近にはそれぞれの理論値m/zが表示されている。それらのうち、m/z2392、2420、2448のイオンピークは、目的物の1価イオンのm/zに合致し、それらイオンピークの周辺に検出されたイオンピークは、未反応物と不完全反応物の1価イオンのm/zに合致していた。なお、図8では、目的物以外に未反応物及び不完全反応物のイオンピークが生じたことを確認し易くするために、目的物のイオンピークは実線で表され、未反応物及び不完全反応物のイオンピークは破線で表されている。
以上のように、本実施例の糖鎖質量分析データ解析システムによれば、シアル酸結合様式を把握するために行われる誘導体化処理によって、未反応物や不完全反応物が生じたことを容易に確認することができる。そして、未反応物や不完全反応物に対応するイオンピークの強度が、目的物のイオンピークの強度に対して無視できない大きさである等の場合には、誘導体化処理の条件を見なおす判断材料とすることできる。
[種々の態様]
上述した実施例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項)本発明の一態様は、シアル酸結合様式に特異的な誘導体化処理が施されたシアル酸結合糖鎖又は該糖鎖により修飾された分子を含む試料を質量分析することで得られたマススペクトルデータを解析する糖鎖質量分析データ解析装置であって、
解析対象の糖鎖組成を設定するための糖鎖組成設定部と、
前記糖鎖組成設定部で設定された糖鎖組成に基づいて、複数種類の複数個の単糖残基で構成されるコア構造を有する複数種類の糖鎖と、それに対応する質量情報とを取得する糖鎖情報取得部と、
鎖の質量変動を生じる質量変動因子を設定するための質量変動因子設定部と、
前記質量変動因子設定部で設定された質量変動因子に基づいて、前記糖鎖情報取得部で取得された糖鎖毎に前記質量変動が生じた後の糖鎖理論質量電荷比を求める、糖鎖理論質量計算部と
を備え、
前記質量変動因子設定部が、質量変動因子として、前記解析対象に含まれるシアル酸結合糖鎖が有するシアル酸のカルボキシル基に生じ得るイオン種又は塩と、前記誘導体化処理に対応して質量変動が生じ得るシアル酸結合様式とを設定するものであり、
前記糖鎖理論質量計算部が、前記イオン種又は前記塩と、前記シアル酸結合様式との組み合わせから推定される質量変動量を求める、質量変動算出部を有するものである。
(第3項)本発明の第2態様は、シアル酸結合様式に特異的な誘導体化処理が施されたシアル酸結合糖鎖又は該糖鎖により修飾された分子を含む試料を質量分析することで得られたマススペクトルデータを解析するための、糖鎖質量分析データ解析プログラムにおいて、コンピュータを、
解析対象の糖鎖組成を設定するための糖鎖組成設定部と、
前記糖鎖組成設定部で設定された糖鎖組成に基づいて、複数種類の複数個の単糖残基で構成されるコア構造を有する複数種類の糖鎖と、それに対応する質量情報とを取得する糖鎖情報取得部と、
鎖の質量変動を生じる質量変動因子を設定するための質量変動因子設定部と、
前記質量変動因子設定部で設定された質量変動因子に基づいて、前記糖鎖情報取得部で取得された糖鎖毎に前記質量変動が生じた後の糖鎖理論質量電荷比を求める、糖鎖理論質量計算部と
して動作させるものであって
前記質量変動因子設定部が、質量変動因子として、前記解析対象に含まれるシアル酸結合糖鎖が有するシアル酸のカルボキシル基に生じ得るイオン種又は塩と、前記誘導体化処理に対応して質量変動が生じ得るシアル酸結合様式とを設定するものであり、
前記糖鎖理論質量計算部が、前記イオン種又は前記塩と、前記シアル酸結合様式との組み合わせから推定される質量変動量を求める、質量変動算出部を有するものである。
本発明によれば、シアル酸結合糖鎖の構造解析のために、解析対象の糖鎖に対して、シアル酸の結合様式に特異的な誘導体化処理を行った場合に、シアル酸の誘導体化によって生じた、シアル酸の結合様式の相違に応じた異なる質量電荷比の複数の糖鎖(糖鎖誘導体)以外に、シアル酸の誘導体化が不完全であった、もしくは、誘導体化が起きなかった結果、生じることが予想される夾雑物の質量電荷比に関する情報をユーザに提供することができる。したがって、ユーザは、提供された質量電荷比に関する情報と、質量分析データ(マススペクトルデータ)とを照合することにより、誘導体化処理における温度、pH等の条件が適切であるか否かを判断することができる。
(第2項)第1項の糖鎖質量分析データ解析装置において、
前記糖鎖理論質量計算部が計算した糖鎖理論質量電荷比のイオンがマススペクトルデータに含まれるかどうかを照合するデータ照合部と、該データ照合部による照合結果を表示する照合結果表示部とをさらに有するものである。
(第4項)第3項の糖鎖質量分析データ解析プログラムにおいて、コンピュータをさらに、
前記糖鎖理論質量計算部が計算した糖鎖理論質量電荷比のイオンがマススペクトルデータに含まれるかどうかを照合するデータ照合部と、該データ照合部による照合結果を表示する照合結果表示部として動作させるものである。
第2項の糖鎖質量分析データ解析装置及び第4項の糖鎖質量分析データ解析プログラムによれば、シアル酸結合様式に特異的な誘導体化処理が施されたシアル酸結合糖鎖又は該糖鎖により修飾された分子の中に、誘導体化が不完全のもの、あるいは誘導体化されなかったものが含まれるか否かを容易に確認することができる。
1…質量分析部
2…データ解析部
21…データ格納部
22…ピーク検出部
23…糖鎖構造解析部
24…糖鎖組成設定部
25…糖鎖情報取得部
26…質量変動因子設定部
261…還元末端ラベル化条件設定部
262…誘導体化条件設定部
263…イオン化条件設定部
264…塩形成条件設定部
27…糖鎖理論質量計算部
271…質量変動算出部
28…データ照合部
29…表示処理部
3…入力部
4…表示部

Claims (4)

  1. シアル酸結合様式に特異的な誘導体化処理が施されたシアル酸結合糖鎖又は該糖鎖により修飾された分子を含む試料を質量分析することで得られたマススペクトルデータを解析する糖鎖質量分析データ解析装置であって、
    解析対象の糖鎖組成を設定するための糖鎖組成設定部と、
    前記糖鎖組成設定部で設定された糖鎖組成に基づいて、複数種類の複数個の単糖残基で構成されるコア構造を有する複数種類の糖鎖と、それに対応する質量情報とを取得する糖鎖情報取得部と、
    糖鎖の質量変動を生じる質量変動因子を設定するための質量変動因子設定部と、
    前記質量変動因子設定部で設定された質量変動因子に基づいて、前記糖鎖情報取得部で取得された糖鎖毎に前記質量変動が生じた後の糖鎖理論質量電荷比を、前記誘導体化処理によって完全に誘導体化された糖鎖と、前記誘導体化処理によって不完全に誘導体化された糖鎖と、前記誘導体化処理に対して未反応である糖鎖とのそれぞれにつき求める、糖鎖理論質量計算部と
    を備え、
    前記質量変動因子設定部が、質量変動因子として、前記解析対象に含まれるシアル酸結合糖鎖が有するシアル酸のカルボキシル基に生じ得るイオン種又は塩と、前記誘導体化処理に対応して質量変動が生じ得るシアル酸結合様式とを設定するものであり、
    前記糖鎖理論質量計算部が質量変動算出部を有するものであり、該質量変動算出部は、前記誘導体化処理によって完全に誘導体化された糖鎖の質量変動量を前記シアル酸結合様式に基づいて求め、前記誘導体化処理によって不完全に誘導体化された糖鎖の質量変動量を、前記イオン種又は前記塩と、前記シアル酸結合様式との組み合わせに基づいて求めるものである、
    糖鎖質量分析データ解析装置。
  2. 請求項1に記載の糖鎖質量分析データ解析装置において、
    前記糖鎖理論質量計算部が計算した糖鎖理論質量電荷比のイオンがマススペクトルデータに含まれるかどうかを照合するデータ照合部と、該データ照合部による照合結果を表示する照合結果表示部とをさらに有する、糖鎖質量分析データ解析装置。
  3. シアル酸結合様式に特異的な誘導体化処理が施されたシアル酸結合糖鎖又は該糖鎖により修飾された分子を含む試料を質量分析することで得られたマススペクトルデータを解析するための、糖鎖質量分析データ解析プログラムであって、コンピュータを、
    解析対象の糖鎖組成を設定するための糖鎖組成設定部と、
    前記糖鎖組成設定部で設定された糖鎖組成に基づいて、複数種類の複数個の単糖残基で構成されるコア構造を有する複数種類の糖鎖と、それに対応する質量情報とを取得する糖鎖情報取得部と、
    糖鎖の質量変動を生じる質量変動因子を設定するための質量変動因子設定部と、
    前記質量変動因子設定部で設定された質量変動因子に基づいて、前記糖鎖情報取得部で取得された糖鎖毎に前記質量変動が生じた後の糖鎖理論質量電荷比を、前記誘導体化処理によって完全に誘導体化された糖鎖と、前記誘導体化処理によって不完全に誘導体化された糖鎖と、前記誘導体化処理に対して未反応である糖鎖とのそれぞれにつき求める、糖鎖理論質量計算部と
    して動作させるものであって、
    前記質量変動因子設定部が、質量変動因子として、前記解析対象に含まれるシアル酸結合糖鎖が有するシアル酸のカルボキシル基に生じ得るイオン種又は塩と、前記誘導体化処理に対応して質量変動が生じ得るシアル酸結合様式とを設定するものであり、
    前記糖鎖理論質量計算部が質量変動算出部を有するものであり、該質量変動算出部は、前記誘導体化処理によって完全に誘導体化された糖鎖の質量変動量を前記シアル酸結合様式に基づいて求め、前記誘導体化処理によって不完全に誘導体化された糖鎖の質量変動量を、前記イオン種又は前記塩と、前記シアル酸結合様式との組み合わせに基づいて求めるものである、
    糖鎖質量分析データ解析プログラム。
  4. 請求項3に記載の糖鎖質量分析データ解析プログラムにおいて、コンピュータをさらに、前記糖鎖理論質量計算部が計算した糖鎖理論質量電荷比のイオンがマススペクトルデータに含まれるかどうかを照合するデータ照合部と、該データ照合部による照合結果を表示する照合結果表示部として動作させる、糖鎖質量分析データ解析プログラム。
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