JP7493714B2 - 土質改良材、および土質改良方法 - Google Patents

土質改良材、および土質改良方法 Download PDF

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Description

本発明は、土質改良材、および土質改良方法に関する。
高い含水比の土は、粘性を示し、その強度も低下するため、このような土から構成される地盤は、軟弱である。このため、土木工事において、地盤がこのように軟弱であると、様々な問題が発生する。すなわち、重機等の走行が困難になる(トラフィカビリティの低下)、地盤から採取した土を運搬する際、容器から流れ出てしまう、等の問題である。このため、軟弱な地盤の場合、まず、地盤の土に対して、土質を改良する処理が必要となる。
軟弱な地盤の土質の改良方法としては、一般的に、地盤から採取した土に、いわゆるセメント系固化材を混合する方法がある(特許文献1)。
特開2014-162696号公報
しかしながら、含水比が高い土の場合、前記セメント系固化材を混合しても、その混合物は、強度が低く、粘性の高い状態が維持されるという問題がある。
そこで本発明は、例えば、含水比が高い粘土状の土に対して強度を向上できる、土質改良に使用できる新たな材料の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の土質改良材は、下記(A)成分の焼成物、下記(B)成分の焼成物、または、前記(A)成分および前記(B)成分を含む混合物の焼成物からなる群から選択された少なくとも一つの焼成物を含むことを特徴とする。
(A)成分:Ca(OH)、CaCO、CaCl、およびCa(NOからなる群から選択される少なくとも一つの成分
(B)成分:Al(OH)、およびAl(SOの少なくとも一方の成分
本発明の土質改良方法は、地盤から採取した土に、前記本発明の土質改良材を混合する混合工程を含むことを特徴とする。
本発明の改良土は、地盤の土と、前記本発明の土質改良材とを含むことを特徴とする。
本発明の改良土の生産方法は、土質改良工程を含み、前記土質改良工程が、前記本発明の土質改良方法により実施されることを特徴とする。
本発明の改良土地の生産方法は、土地改良工程を含み、前記土地改良工程が、前記本発明の土質改良方法により実施されることを特徴とする。
本発明の土質改良材によれば、例えば、地盤から採取した土に、前記土質改良材を混合することによって、前記土の含水比が高い場合であっても、前記土を、より取り扱い性に優れた強度の土に改質できる。したがって、本発明は、例えば、土木工事における土の改良、地盤の改良において、極めて有用である。
実施例1における含水比40%の土試料の外観を示す写真である。 実施例1の混合試料について、強度を示すグラフである。 実施例1の混合試料について、有害物質の溶出濃度を示すグラフである。 実施例2における含水比200%の土試料の外観を示す写真である。
本発明の土質改良材は、例えば、前記焼成物におけるCaとAlとのモル比(Ca/Al)が、0.5~15の範囲である。
本発明の土質改良材は、例えば、前記焼成物が、前記(A)成分および前記(B)成分を含む混合物の焼成物であり、前記(A)成分が、Ca(OH)、およびCaCOの少なくとも一方であり、前記(B)成分が、Al(OH)である。
本発明の土質改良材は、例えば、前記焼成物として、CaO、Ca12Al1433、CaAl14、CaAl33、Ca12Al14、およびCaAlからなる群から選択された少なくとも一つの結晶性化合物を含む。
本発明の土質改良材は、例えば、さらに、前記セメント系固化材を含む。
本発明の土質改良材は、例えば、イオン吸着機能を持つ。
本発明の土質改良材において、例えば、前記イオンが、六価クロム、セレン、ヒ素、フッ素、およびホウ素からなる群から選択された少なくとも一つのイオンである。
本発明の土質改良方法は、例えば、前記混合工程において、さらに、セメント系固化材を混合する。
本発明の土質改良方法は、例えば、前記土1mあたりの前記土質改良材の添加量が、10~300kgである。
本発明の土質改良方法は、例えば、前記土1mあたりの前記セメント系固化材の添加量が、10~300kgである。
本発明の土質改良方法は、例えば、前記土質改良材と前記セメント系固化材との添加割合が、1:0.03~1:30の範囲である。
本発明の土質改良方法は、例えば、前記混合工程における混合物に対して、加熱による固化処理を施さない。
以下に、本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態には限定されない。
(土質改良材)
本発明の土質改良材は、前述のように、下記(A)成分の焼成物、下記(B)成分の焼成物、または、前記(A)成分および前記(B)成分を含む混合物の焼成物からなる群から選択された少なくとも一つの焼成物を含むことを特徴とする。
(A)成分:Ca(OH)、CaCO、CaCl、およびCa(NOからなる群から選択される少なくとも一つの成分
(B)成分:Al(OH)、およびAl(SOの少なくとも一方の成分
本発明の土質改良材によれば、例えば、後述するように、土質を改良できる。また、前記焼成物を前記セメント系固化材と併用することにより、さらに効果的に土質を改良できる。具体的には、本発明の土質改良材によれば、含水比が高い土について、前記セメント系固化材のみを添加した場合と比較して、処理後の土の強度を向上できる。また、例えば、前記焼成物と前記セメント系固化材とを併用することによって、処理後の土の強度をさらに向上できる。本発明の土質改良材は、例えば、地盤の土質を改良できることから、地盤改良材ともいう。また、本発明の土質改良材は、前記セメント系固化材との併用により、土質の改良を効率よく行えることから、前記セメント系固化材に対する土質改良補助材ということもできる。また、本発明の土質改良材は、例えば、このような効果から、土に対する吸水材、または、土の強度増加材ともいえる。
前記「強度の向上」とは、本発明の土質改良材を添加しない場合と比較して、有意に前記土の強度が向上することを意味する。前記強度の指標は、特に制限されず、例えば、一軸圧縮強度でもよいし、コーン指数でもよい。前記一軸圧縮強度およびコーン指数は、例えば、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
また、本発明の土質改良材は、例えば、イオン吸着機能を有していてもよい。このため本発明の土質改良材を使用することによって、例えば、土に含まれる有害物質や、前記セメント系固化材に含まれる六価クロム等の有害物質についても、これらを吸着して、外部への溶出を抑制することにより、土質を改良することもできる。前記有害物質の溶出抑制に関しては、例えば、セメントを主成分とするセメント系土壌固化材またはCa系土壌固化材を、有害物質であるイオンを固定化するイオン吸着材として利用する方法が知られているが、これらは、前記イオン吸着材として利用されている前記固化材の種類によって、溶出抑制できる有害物質の種類が限られている。しかしながら、本発明の土質改良材によれば、例えば、前記有害物質として知られている六価クロム、セレン、ヒ素、フッ素、およびホウ素等、広範囲のイオン物質について、吸着による溶出抑制が可能である。このため、本発明の土質改良材は、例えば、イオン吸着材または有害物質吸着材ということもできる。なお、吸着される前記有害物質の形態は、イオンには制限されない。
本発明の土質改良材は、いずれかの前記焼成物を含むことが特徴であって、その他の構成は、何ら制限されない。本発明の土質改良材は、例えば、前記焼成物のみを含んでもよいし、前記焼成物の他に、前記焼成物の効果を阻害しない範囲で、その他の成分をさらに含んでもよい。
以下、前記(A)成分の焼成物を、単体焼成物A、前記(B)成分の焼成物を、単体焼成物B、前記(A)成分および前記(B)成分を含む混合物(AB)の焼成物を、混合焼成物ABという。本発明の土質改良材は、焼成物として、例えば、前記単体焼成物Aのみを含んでもよいし、前記単体焼成物Bのみを含んでもよいし、前記単体焼成物Aと前記単体焼成物Bの両方を含んでもよいし、前記混合焼成物ABのみを含んでもよいし、前記混合焼成物ABと、前記単体焼成物A、前記単体焼成物B、または、前記単体焼成物Aおよび前記単体焼成物Bの両方とを含んでもよい。中でも、本発明の土質改良材は、焼成物として、例えば、前記混合焼成物ABを含むことが好ましい。
本発明の土質改良材において、前記焼成物由来のCaおよびAlの比率は、特に制限されず、CaとAlとのモル比(Ca/Al)は、例えば、0.5~15、1~10、2~5である。CaとAlとのモル比(Ca/Al)は、例えば、強度をより向上できる点から、1~10が好ましく、また、ホウ素および六価クロム等の有害物質の溶出をより効果的に抑制できる点から、2~5が好ましい。
本発明の土質改良材において、前記(A)成分は、例えば、Ca(OH)、およびCaCOの少なくとも一方が好ましく、前記(B)成分は、例えば、Al(OH)が好ましい。また、本発明の土質改良材において、前記焼成物は、前記混合焼成物ABが好ましく、この場合、例えば、Ca(OH)、およびCaCOの少なくとも一方の前記(A)成分と、Al(OH)の前記(B)成分とを含む混合物(AB)の焼成物ABが好ましい。
前記単体焼成物Aは、例えば、CaO等の結晶性化合物があげられる。本発明の土質改良材が前記単体焼成物Aを含む場合、例えば、その種類は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。本発明の土質改良材が前記単体焼成物Bを含む場合、例えば、その種類は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
前記混合焼成物ABは、例えば、Ca12Al1433、CaAl14、CaAl33、Ca12Al14、およびCaAl等の結晶性化合物があげられる。本発明の土質改良材が前記混合焼成物ABを含む場合、例えば、その種類は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。前記結晶性化合物は、前記成分(A)と前記成分(B)との混合物を焼成することで、化学反応により生成される。前記混合焼成物Cは、例えば、使用する前記(A)成分と前記(B)成分との割合(モル比)、焼成温度等によって、前記結晶性化合物の組成を変化させることができる。
前記焼成物A、前記焼成物B、および前記混合焼成物は、例えば、前記(A)成分、前記(B)成分、または前記混合物(AB)を焼成することにより生成できる。前記焼成温度は、特に制限されず、その下限は、例えば、600℃以上、800℃以上であり、その上限は、例えば、1200℃以下、1000℃以下である。
本発明の土質改良材は、前述のように、他の成分を含んでもよく、前記他の成分としては、例えば、重金属等のイオンを吸着する吸着材等があげられる。
また、本発明の土質改良材は、例えば、前述のように、さらに、セメント系固化材を含んでもよい。後述する本発明の土質改良方法においては、例えば、前記焼成物と、前記セメント系固化材とを使用することで、土質の改良を効果的に行うことができる。
本発明において、前記セメント系固化材は、特に制限されず、例えば、公知のセメント系固化材に限られず、本願出願後のセメント系固化材等も使用できる。前記セメント系固化材は、主成分として、例えば、珪酸三カルシウム3CaO・SiO(アリット)、珪酸二カルシウム2CaO・SiO(ベリット)、アルミン酸三カルシウム3CaO・Al、鉄アルミン酸四カルシウム4CaO・Al・Fe(セリット)、および二水石膏CaSO・2HO等を含む。前記セメント系固化材は、例えば、代表的なものとして、改良対象の土壌に対応した一般軟弱土用固化材、および特殊土用固化材等の汎用固化材、高有機質土用固化材、使用環境に対応した発塵抑制型固化材等があげられる。
本発明の土質改良材は、後述する本発明の土質改良方法に使用できる。また、例えば、前記焼成物と前記セメント系固化材とを併用して、前記土質改良方法に使用することもできる。本発明の土質改良材が、前記焼成物と前記セメント系固化材とを含む場合、例えば、地盤から採取した土に対して、前記セメント系固化材と前記焼成物とを、別々に混合してもよいし、同時に混合してもよい。このため、本発明の土質改良材が、前記焼成物と前記セメント系固化材とを含む場合、例えば、前記セメント系固化材と前記焼成物とが、別個に独立したキット形態でもよいし、前記セメント系固化材と前記焼成物とが混合された混合状態であってもよい。
本発明の土質改良材が、前記焼成物と前記セメント系固化材とを含む場合、前記セメント系固化材と前記土質改良材との含有割合は、特に制限されず、例えば、後述する本発明の土質改良方法における使用割合が援用できる。
(土質改良方法)
本発明の土質改良方法は、前述のように、地盤の土に、前記本発明の土質改良材を混合する混合工程を含むことを特徴とする。本発明の土質改良方法は、前記本発明の土質改良材(具体的には、前記焼成物)を使用することが特徴であり、その他の工程および条件は何ら制限されない。前記土質改良材については、前記本発明の土質改良材の記載を援用できる。本発明の土質改良方法は、例えば、地盤の土質を改良できることから、地盤改良方法ともいう。また、本発明の土質改良方法は、例えば、前記土質改良材の前記焼成物と前記セメント系固化材との併用により、さらに土質の改良を効率よく行えることから、前記セメント系固化材に対する土質改良補助方法ということもできる。前記セメント系固化材については、前記本発明の土質改良材の記載を援用できる。また、本発明の土質改良方法は、例えば、このような効果から、土に対する吸水方法、または、土の強度増加方法ともいえる。
前述のように、前記混合工程において、前記本発明の土質改良材に加えて、例えば、さらに前記セメント系固化材を混合してもよい。前記本発明の土質改良材が、前記焼成物の他に、前記セメント系固化材を含む場合、前記混合工程は、例えば、前記土質改良材とは別に、前記セメント系固化材を準備する必要はなく、前記本発明の土質改良材が、前記セメント系固化材を含まない場合は、前記土質改良材とは別に、前記セメント系固化材を準備すればよい。
前記混合工程は、例えば、前記地盤の土を掘り起こし、その場で処理を施してもよいし、地盤の土を掘り起こし、シャベル等で土を別の場所に移動させ、移動させた場所で処理を施してもよい。
前記土に対する、前記土質改良材における前記焼成物の添加量は、特に制限されない。前記土1mあたりの、前記土質改良材における前記焼成物の添加量は、その下限が、例えば、10kg、20kg、50kgであり、その上限が、例えば、200kg、300kgであり、範囲は、例えば、10~300kg、50~200kg等である。ここで、土の単位「m」は、例えば、処理する土の出所である地盤の体積で表すことができ、具体例として、土1mとは、地盤1mを掘削して採取される土を意味する。地盤の体積は、例えば、土の重量に換算でき、地盤1mの土は、含水比40%、密度1~2.1と仮定した場合、例えば、水を含む土の重量は、1400~2940kgである。
本発明の土質改良材は、例えば、相対的に含水比の高い土の土質改良に適しており、本発明の土質改良方法も、例えば、そのような含水比の土に適用することが好ましい。前記含水比は、例えば、処理対象の土について、水分を除く重量を100%とした場合の水の比率(%)であり、具体例として、処理対象の土の重量(水分含む)が140kgであり、水分を除く重量が100kgであれば、含水比(%)は、100×(140-100)/100=40%と表すことができる。本発明において、処理対処の土の前記含水比は、特に制限されず、例えば、30~200%、30~60%、40~50%等があげられる。前記混合工程において、前記土に対する前記土質改良材の添加量は、例えば、前述の範囲であれば、前記含水比に該当する土を効果的に改良できる。
本発明の土質改良方法は、例えば、泥状の土(泥土)の土質を改良することもできる。前記泥土は、例えば、土木事業の分野において、建設汚泥、泥土等として、一般的に分類されている土壌区分である。前記泥土の含水比は、特に制限されず、例えば、80%以上であり、その構成成分は、例えば、主として細粒分で構成されている。このような土は、例えば、掘削工事または浚渫工事等によって搬出される。前記泥状の土の具体例は、ため池、河川、または沿岸部の底泥等があげられる。なお、前記泥状の状態とは、強度で分類してもよく、この場合、例えば、「標準仕様ダンプトラックに山積みができず、また、その上を人が歩けない状態をいい、この状態を土の強度を示す指標でいえば、コーン指数がおおむね200kN/m以下又は一軸圧縮強度がおおむね50kN/m以下」の土のことをいう(参考資料:建設工事から生じる廃棄物の適性処理について(環廃産第276号,平成13年6月))。
また、前記土に対する前記焼成物の添加量は、例えば、前記土の含水比に応じて、適宜設定することもできる。処理対象の土の含水比が40%の場合、前記土1mあたりの前記土質改良材における前記焼成物の添加量は、その下限が、例えば、10kg、20kg、50kgであり、その上限が、例えば、200kg、300kg、500kgであり、範囲は、例えば、10~300kg、50~200kg等である。処理対象の土の含水比が200%の場合、前記土1mあたりの前記土質改良材における前記焼成物の添加量は、その下限が、例えば、50kg、100kg、150kgであり、その上限は、特に制限されず、例えば、200kg、300kg、500kgであり、範囲は、例えば、50~500kg、100~300kg、150~200kg等である。そして、例えば、含水比40%を基準とした場合、処理対象の土の含水比が相対的に高い場合、前記焼成物の添加量を相対的に増加させ、処理対象の土の含水比が相対的に低い場合、前記焼成物の添加量を相対的に低減させてもよい。前記焼成物の添加量は、例えば、予め、処理する土壌の含水比を確認し、前述のような条件に基づいて算出することで、適宜設定できる。
また、前記土に対する前記焼成物の添加量は、例えば、最終的な混合物の目的の強度に応じて、適宜設定することもできる。
前記混合工程において、さらに、前記セメント系固化材を混合する場合、前記土に対する前記セメント系固化材の添加量は、特に制限されない。前記土1mあたりの前記セメント系固化材の添加量は、その下限が、例えば、10kg、20kg、50kgであり、その上限が、例えば、100kg、200kg、300kgであり、範囲は、例えば、10~300kg、50~200kg等である。
前記土に添加する前記土質改良材と前記セメント系固化材との添加割合は、例えば、1:0.25~1:1、1:0.03~1:30である。
前記土に対する前記セメント系固化材および前記焼成物の混合順序は、特に制限されず、例えば、両者を同時に混合してもよいし、前記セメント系固化材を混合した後、前記焼成物を混合してもよいし、前記焼成物を混合した後、前記セメント系固化材を混合してもよい。
前記土と前記セメント系固化材および前記焼成物との混合方法は、特に制限されず、例えば、現場においては、油圧式ショベル等の重機による撹拌、移動式プラントによる混合等で行うことができる。
本発明の土質改良方法は、前記混合工程において、前記土と前記土質改良材の焼成物とを混合するのみでよく、例えば、前記混合工程における混合物に対して、加熱による固化処理を施さないことが好ましい。前記固化処理は、例えば、前記セメント系固化材を混合する場合、前記セメント系固化材の種類に依存するが、通常、加熱処理が例示できる。前記加熱処理は、例えば、高圧の蒸気または低圧の蒸気による蒸気養生処理があげられ、前記蒸気養生処理は、例えば、60℃以上で行われる。土木工事においては、例えば、地盤から採取した土を、別の場所に移して再利用したり、目的の作業が終了した後に、もとの地盤に戻して地ならしする場合がある。このような場合、前記地盤から採取した土の混合物に加熱処理を施し、完全に固化させてコンクリート化してしまうと、再利用が困難となる。また、例えば、作業時のみ地盤の強度を向上させたい場合も、コンクリート化してしまうと、土壌の地盤に戻すことができなくなる。本発明によれば、例えば、前記混合工程を行うのみで、加熱による固化(コンクリート化)を行うことなく、強度を向上する改良が可能であるため、固化してしまうことによる問題も解消できる。
本発明の土質改良方法によれば、前述のように、例えば、土に含まれる有害物質や、前記セメント系固化材に含まれる有害物質は、前記土質改良材に吸着され、不溶化されるため、前記有害物質の溶出が抑制されると解される。なお、この推定は本発明を限定するものではない。
本発明の土質改良方法によれば、例えば、地盤の土に前記本発明の土質改良材を混合することにより、土質を改良し、より取り扱い性に優れた強度の土に改質できる。
(改良土)
本発明の改良土は、前述のように、地盤の土と、前記本発明の土質改良材とを含む。本発明の改良土は、前記本発明の土質改良材を含むことが特徴であって、その他の条件および構成は、特に制限されない。本発明の改良土において、前記土質改良材は、前記本発明の土質改良材および前記土質改良方法の説明を援用できる。本発明の改良土は、例えば、後述する本発明の改良土の生産方法により製造できる。
本発明の改良土は、前記本発明の土質改良材を含むため、土質が改良されており、具体的には、土の強度が向上しているため、例えば、取り扱い性に優れている。このため、本発明の改良土は、例えば、工事基礎地盤材、堤防盛土材、道路の路盤、および道路の路床材等に利用できる。
(改良土の生産方法)
本発明の改良土の生産方法は、前述のように、土質改良工程を含み、前記土質改良工程が、前記本発明の土質改良方法により実施されることを特徴とする。本発明の土質改良方法は、前記本発明の土質改良方法により土質を改良すること、すなわち、地盤の土に、前記本発明の土質改良材を混合することが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明の改良土の生産方法は、地盤の土に、前記本発明の土質改良材を混合するため、土質が改良された改良土を生産できる。本発明の改良土の生産方法は、前記本発明の土質改良材および土質改良方法の説明を援用できる。
前記土質改良工程における前記本発明の土質改良材の添加量および混合方法は、特に制限されず、混合対象の地盤の土の体積および含水比に応じて適宜設定できる。本発明の改良土の生産方法における前記土質改良材の添加量および混合方法は、前記本発明の土質改良方法における混合工程の説明を援用できる。
前記改良土は、前記本発明の改良土の生産方法によって生産されたことを特徴とし、その他の条件は、特に制限されない。前記改良土は、例えば、前記本発明の土質改良材を含む。
本発明の改良土の生産方法により生産された改良土は、その土質が改良されており、強度が向上している。このため、前記改良土は、例えば、工事基礎地盤材、堤防盛土材、道路の路盤、および道路の路床材等に利用できる。
(改良土地の生産方法)
本発明の改良土地の生産方法は、前述のように、土地改良工程を含み、前記土地改良工程が、前記本発明の土質改良方法により実施されることを特徴とする。本発明の土地改良方法は、前記本発明の土質改良方法により土地を改良すること、すなわち、地盤の土に、前記本発明の土質改良材を混合することが特徴であり、その他の工程および条件は、特に制限されない。本発明の改良土地の生産方法は、地盤の土に、前記本発明の土質改良材を混合するため、土質が改良された改良土を含む改良土地を生産できる。前記改良土地は、例えば、土壌中に前記改良土を含んだ土地であり、改良土壌ともいう。本発明の改良土地の生産方法は、前記本発明の土質改良材、土質改良方法および改良土の生産方法の説明を援用できる。
前記土地改良工程における前記本発明の土質改良材の添加量および混合方法は、特に制限されず、混合対象の地盤の土の体積および含水比に応じて適宜設定できる。本発明の改良土地の生産方法における前記土質改良材の添加量および混合方法は、前記本発明の土質改良方法における混合工程の説明を援用できる。
前記改良土地は、前記本発明の改良土地の生産方法によって生産されたことを特徴とし、その他の条件は、特に制限されない。前記改良土地は、例えば、前記本発明の改良土および/または前記本発明の土質改良材を含む。
本発明の改良土地の生産方法により生産された改良土地は、その土質が改良されており、強度が向上している。このため、前記改良土地は、例えば、土木工事用地、堤防、および道路等に利用できる。
[実施例1]
本発明の土質改良材を用いて、土を処理し、その土質を確認した。
(1)土質改良材の調製
以下のようにして、前記(A)成分と前記(B)成分との混合物(AB)から、焼成物を調製して、これを土質改良材として使用した。具体的には、Ca/Al モル比=5としたCaCOとAl(OH)との混合物を、1000℃で焼成して、焼成物を得た。
(2)土試料
埋立地の地盤を削孔し、複数のポイントから土を採取した。具体的には、削孔にはボーリングを使用し、円柱状の土を採取した。そして、円柱状の複数の土を、小石等を除いて均一に混合した。前記混合土は、質量4.8kg(水を含む)、密度1190kg(水を含む)/m、含水比33.3%であった。前記混合土を、500gずつに分け、それぞれ水を添加し、うち4つは、含水比40%の土試料1、うち4つは、含水比50%の土試料2となるように調製した。
(3)土質改良処理
前記セメント系固化材として、JIS規格の高炉セメントB種を使用した。前記土試料1(含水比40%)および前記土試料2(含水比50%)のそれぞれに対して、自然含水比(40%、50%)の湿潤土1mに対する質量が50kg/mとなるように、前記セメント系固化材を添加し、手練りで十分に混合した後、さらに、所定量(0、50、100、200kg/m)となるように、前記土質改良材を添加し、同様にして、十分に混合した。
(4)土質の確認
(4-1)外観
前記土試料1および前記土試料2のそれぞれについて、前記(3)に示すように土質改良処理を行い、その外観を確認した。具体的には、前記セメント系固化材の添加前、前記セメント系固化材の添加後、さらに前記セメント系固化材および前記土質改良材の両方を添加後の外観を確認した。これらの結果を、図1に示す。図1は、前記試料2(含水比50%)についての外観を示す写真である。
前記試料2(含水比50%)については、図1に示すように、以下のような結果が得られた。まず、図1(A)に示すように、未処理の土試料2は、含水比が高いため、土自体が水分を保持しきれず、非常に緩く、ベタベタした粘性の軟弱土であった。そして、前記未処理の土試料2に前記セメント系固化材を混合した混合試料は、図1(B)に示すように、水っぽさは若干軽減されたものの、緩く、ベタベタした粘性を示した。このような状態の土は、かろうじて土が水分を保持できるように改質されているが、例えば、材料運搬、盛り立て等の土木工事への利用は困難である。これに対して、さらに、前記セメント系固化材の混合後、さらに、前記土質改良材である前記焼成物を添加した混合試料は、図1(C1)および(C2)に示すように、水っぽさがなくなり、ポロポロとした複数の塊に分解された。このような状態の土は、前述のような土木工事への利用も十分に可能である。また、図示していないが、前記試料1(含水比40%)についても、同様の挙動が確認できた。
(4-2)強度
前記(4-1)の各試料について、それぞれ、以下に示すようにして、強度試験を行った。
土試料1(含水比40%)については、前記セメント系固化材(50kg/m)を混合し且つ前記焼成物(土質改良材)未添加の混合試料(40-0)、前記セメント系固化材(50kg/m)および前記焼成物(50kg/m)を混合した混合試料(40-50)、前記セメント系固化材(50kg/m)および前記焼成物(100kg/m)を混合した混合試料(40-100)、前記セメント系固化材(50kg/m)および前記焼成物(200kg/m)を混合した混合試料(40-200)を使用した。また、土試料2(含水比50%)については、前記セメント系固化材(50kg/m)を混合し且つ前記焼成物未添加の混合試料(50-0)、前記セメント系固化材(50kg/m)および前記焼成物(50kg/m)を混合した混合試料(50-50)、前記セメント系固化材(50kg/m)および前記焼成物(100kg/m)を混合した混合試料(50-100)、前記セメント系固化材(50kg/m)および前記焼成物(200kg/m)を混合した混合試料(50-200)を使用した。
前記各試料を、モールド(成形容器)に充填し、直径5cm×高さ10cmの円柱状の試験体に加工した。具体的には、以下のように行った。
(作製方法)
円筒状の前記モールドに、1.5kgランマーおよびカラーを用いて、前記試料を突固め、前記円筒状の試験体を作製した。前記試験体が前記モールドに密着し、剥がれにくいおそれのある場合には、予め、前記モールドの内壁に円筒状のポリエチレンシートを貼った上で、前記試料を突固めた。突固め方法は、前記ランマーを、20cmの高さから自由落下させ、3層で突固めた。突固め回数は、各層12回とした。1層当たりに突固める前記試料の量は、突固め後の試験体の高さのほぼ1/3程度となるように、前記モールドに加える前記試料の量を加減した。また、各層の突き終り面には、へら等で刻みを付し、その上の層との密着をはかった。3層突固め後、前記カラーを取り外して、前記モールド上部の余分の土をストレートエッジで注意深く削り取った。砂粒等のために、前記試験体の表面にできた穴は、前記試料の細粒分で埋め、前記モールドの上面と同じ高さになるよう平滑に仕上げた。前記試験体の作製は、できるだけ速やかに終了させた。
(養生方法)
作製した前記試験体は、その上面に、薄いポリエチレンフィルムをかぶせ、輪ゴムで緊結し、表面の乾燥を防ぎ、翌日まで静置養生した。材齢1日後、前記モールドから前記試験体を取り出し、その湿潤密度を測定した。その後、水分蒸発がないように密封養生した。なお、前記試験体の強度が低く、材齢1日で前記モールドから脱型することが困難な場合には、脱型可能な強度になってから、前記モールドから脱型した。前記試験体は、温度20±3℃、湿度95%以上の恒温恒湿槽内またはこれに準じる条件下、所定材齢まで密封養生した。前記試験体の養生期間は、前記試験体の作製後、7日間を標準とした。なお、必要に応じて、3日、28日等、任意に設定した。
前記円柱状試験体を、前述の方法によって、7日間放置により養生した後(材齢7日)、圧縮強度試験を行った。圧縮強度試験は、JIS A1108に準拠し、圧縮強度試験機(JTトーシ社製、ABM200S)を用いて圧縮強度(N/mm)を測定した。
これらの結果を、図2に示す。図2は、各混合試料の円柱状試験体の圧縮強度を示すグラフであり、縦軸は、圧縮強度(N/mm)を示す。図2に示すように、試料1(含水比40%)については、前記セメント系固化材のみを添加して前記焼成物(土質改良材)未添加の混合試料(40-0)と比較して、前記焼成物(土質改良材)を混合した混合試料(40-50)は、著しく高い圧縮強度を示した。また、試料2(含水比50%)についても、同様に、前記セメント系固化材のみを添加して前記焼成物(土質改良材)未添加の混合試料(50-0)と比較して、さらに、前記焼成物(土質改良材)を混合した混合試料(50-50)は、著しく高い圧縮強度を示した。
前記セメント系固化材は、通常、加熱養生により固化(コンクリート化)させて強度を向上させるが、本実施例においては、加熱養生は行っていない。このため、前記セメント系固化材のみを添加した混合試料(40-0)、(50-0)は、いずれも低い強度であったが、さらに、前記焼成物(土質改良材)を混合した各混合試料は、いずれも、前述のように、前記焼成物未添加の混合試料(40-0)、(50-0)よりも、格段に優れた強度を示した。これは、前記焼成物(土質改良材)が、土中の水分を吸収した結果、前記セメント系固化材の硬化に影響を与え、結果として、強度を増加させたと推測される。なお、この推測は、本発明を何ら制限しない。
(4-3)溶出防止
前記(4-2)で得られた各混合試料の材齢7日の円柱状試験体を使用し、前記円柱状試験体からの物質の溶出量と、前記円柱状試験体中の物質の含有量(残存量)とを確認した。
溶出量は、以下のようにして、測定した。すなわち、前記円柱状試験体をそれぞれ粉砕し、篩にかけて、粒径2mm以下の粉砕物とした。前記粉砕物100gを、純水1Lに懸濁し、6時間振とうさせた後、ろ紙(孔径0.45μmのメンブランフィルター)によりろ過した。そして、得られたろ液中の六価クロム、セレン、ヒ素、フッ素、およびホウ素の濃度を測定した。具体的には、ジフェニルカルバジド吸光光度法(分光光度計 U-2900型、日立製作所社製)にて六価クロムの濃度を測定し、ICP質量分析法(ICP-MS 7700Series、アジレント・テクノロジー社製)にてセレン、ヒ素、およびホウ素の濃度を測定し、流れ分析法(オートアナライザーSYNCA FCP、ビーエルテック社製)にてフッ素濃度を測定した。
これらの結果を、図3に示す。図3は、前記各混合試料の円柱状試験体を用いた物質の溶出量を示すグラフである。各グラフにおいて、縦軸は、各物質の濃度を示し、横軸は、前記混合試料における前記土質改良材(前記焼成物)の量を示し、◆は、前記土試料1(含水比40%)を含む混合試料の結果であり、■は、前記土試料2(含水比50%)を含む混合試料の結果である。また、各グラフにおいて、低値の破線は、定量下限値を示す。図3において、(A)は、六価クロムの結果であり、(B)は、セレンの結果であり、(C)は、ヒ素の結果であり、(D)は、フッ素の結果であり、(E)は、ホウ素の結果である。なお、グラフにおいて、■のプロットしか見えていない箇所は、◆も同じ位置にプロットされている。
まず、六価クロムについて説明する。含水比40%の土試料(◆)については、図3(A)のグラフに示すように、前記土質改良材が未添加である前記混合試料(40-0)と比較して、前記土質改良材を添加した前記各混合試料は、溶出された六価クロム濃度の低下が確認された。また、前記六価クロムの溶出濃度は、前記土質改良材の混合量の増加に伴って低下し、200kg/mの混合量において、定量下限値にまで低下した。なお、含水比50%の土試料(■)についても、同様に溶出濃度の低下が確認でき、50kg/mの混合量において、定量下限値にまで低下した。
つぎに、セレンについて説明する。含水比40%の土試料(◆)については、図3(B)のグラフに示すように、前記土質改良材が未添加である前記混合試料(40-0)と比較して、前記土質改良材を添加した前記各混合試料は、溶出されたセレン濃度の低下が確認された。また、前記セレンの溶出濃度は、前記土質改良材の混合量の増加に伴って低下し、200kg/mの混合量において、定量下限値にまで低下した。なお、含水比50%の土試料(■)についても、同様に溶出濃度の低下が確認でき、200kg/mの混合量において、定量下限値にまで低下した。
つぎに、ヒ素について説明する。図3(C)のグラフに示すように、含水比40%の土試料(◆)については、前記土質改良材が未添加である前記混合試料(40-0)と比較して、前記土質改良材を添加した前記各混合試料は、溶出されたヒ素濃度が著しく低下した。また、前記ヒ素の溶出濃度は、前記土質改良材の混合量の増加に伴って低下し、100kg/mの混合量において、定量下限値にまで低下した。なお、含水比50%の土試料(■)についても、同様に溶出濃度の低下が確認でき、100kg/mの混合量において、定量下限値にまで低下した。
つぎに、フッ素について説明する。図3(D)のグラフに示すように、含水比40%の土試料(◆)については、前記土質改良材が未添加である前記混合試料(40-0)と比較して、前記土質改良材を添加した前記各混合試料は、溶出されたフッ素濃度が著しく低下した。また、前記フッ素の溶出濃度は、前記土質改良材の混合量の増加に伴って低下した。なお、含水比50%の土試料(■)についても、同様に溶出濃度の低下が確認できた。
つぎに、ホウ素について説明する。含水比40%の土試料(◆)については、図3(E)のグラフに示すように、前記土質改良材が未添加である前記混合試料(40-0)と比較して、前記土質改良材を添加した前記各混合試料は、溶出されたセレン濃度の低下が確認された。また、前記ホウ素の溶出濃度は、前記土質改良材の混合量の増加に伴って低下し、100kg/mの混合量において、定量下限値にまで低下した。なお、含水比50%の土試料(■)についても、同様に溶出濃度の低下が確認でき、100kg/mの混合量において、定量下限値にまで低下した。
このように、前記土質改良材を使用した場合、主要な有害物質である、六価クロム、セレン、ヒ素、フッ素、およびホウ素のいずれについても、溶出を抑制できることがわかった。各種有害物質の溶出防止には、通常、有害物質ごとに適した吸着材等の選択が行われているが、本発明の土質改良材によれば、これら全般に対して広く溶出の防止機能を奏することができる。
[実施例2]
本発明の土質改良材を用いて、含水比200%の泥土を処理し、その土質を確認した。
まず、含水比36.8%の粘土に水を添加して、含水比200%の土試料(泥土)を調製した。そして、前記土質改良材(焼成物)を使用し、実施例2-1として、前記土試料1mに対する質量が100kgとなるよう、土試料の体積500mlあたり前記焼成物を50g添加し、手練りで十分に混合した。また、実施例2-2として、前記土試料1mに対する質量が、それぞれ100kgとなるように、土試料の体積500mlあたり前記焼成物を50gと、前記実施例1で使用した前記セメント系固化材50gとを添加し、手練りで十分に混合した。比較例2は、前記焼成物を添加せず、前記土試料1mに対する質量が100kgとなるように、土試料の体積500mlあたり前記セメント系固化材を50g添加し、手練りで十分に混合した。
各試料を混合後、時間を置かずに直径5cm×高さ10cmの円柱状の容器に充填し、山中式土壌硬度計(標準型、株式会社藤原製作所製)を用いて、試料の強度(コーン指数)を測定した。なお、測定は、山中式土壌硬度計の取扱説明書に従って測定した。
結果を下記表1に示す。また、図4(A)~(D)に、未処理の土試料(含水比200%)、比較例2、実施例2-1、および実施例2-2の外観を示す。
Figure 0007493714000001
前記表1および図4(A)~(D)に示すように、未処理の土試料は、外観が液状であり、コーン指数0kN/mであった。また、前記セメント系固化材のみを添加した比較例2も、外観が液状、かつコーン指数0kN/mであり、強度が発現していなかった。これに対し、前記本発明の土質改良材(前記焼成物)を添加した実施例2-1は、外観が塑性状となり、かつコーン指数200kN/mであり、強度が向上していた。また、本発明の土質改良材に加えて、さらにセメント系固化材を添加した実施例2-2は、外観が塑性状となり、かつコーン指数250kN/mであり、さらに強度が向上していた。
前述のように、未処理の含水比200%の泥土およびセメント系固化材のみを混合した比較例2の土試料は、コーン指数200kN/m以下であり、ダンプトラックに山積みができず、またその上を人が歩けない状態である。これに対して、本発明の土質改良材を混合した実施例2-1および実施例2-2の土試料は、コーン指数200kN/m以上であるため、例えば、ダンプトラックに山積みしたり、その上を人が歩くことができる。このように、本発明の土質改良材によれば、含水比200%という高含水比の泥土であっても、土質を改良でき、より取り扱い性に優れた強度の土へ改質できることが分かった。
前記セメント系固化材は、土中の水分とセメントとが反応して固化することで強度が向上する。本実施例においては、混合後に間を置かず測定を行っているため、前記比較例2は、固化反応が進行せず、強度が発現しなかったと考えられる。これに対して、本発明の土質改良材は、混合直後から土の強度を向上した。また、本発明の土質改良材と、前記セメント系固化材とを併用することにより、さらに強度が向上した。これは、前記焼成物(土質改良材)が、土中の水分を吸収した結果、混合直後から強度を発現しており、また、前記実施例1同様、セメント系固化材の硬化にも影響を与えたと推測される。なお、この推測は、本発明を何ら制限しない。
以上、実施形態および実施例を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
この出願は、2018年12月5日に出願された日本出願特願2018-228407を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
本発明によれば、例えば、地盤から採取した土と前記セメント系固化材との混合に、前記土質改良材を併用することによって、前記土の含水比が高い場合であっても、前記土を、より取り扱い性に優れた強度の土に改質できる。さらに、本発明の土質改良材によれば、例えば、前記土中等に、セレン、ホウ素等の有害物質が含まれる場合であっても、これらを吸着して、土から外部への前記有害物質の溶出を抑制することもできる。したがって、本発明は、例えば、土木工事における土の改良、地盤の改良において、極めて有用である。

Claims (15)

  1. 下記(A)成分および下記(B)成分を含む混合物の焼成物、およびセメント系固化材を含むことを特徴とする土質改良材:
    (A)成分:Ca(OH)、CaCO、CaCl、およびCa(NOからなる群から選択される少なくとも一つの成分;
    (B)成分:Al(OH)、およびAl(SOの少なくとも一方の成分;
    ただし、前記混合物が、粘土を含む場合を除く。
  2. 前記焼成物におけるCaとAlとのモル比(Ca/Al)が、0.5~15の範囲である、請求項1記載の土質改良材。
  3. 前記焼成物が、前記(A)成分および前記(B)成分を含む混合物の焼成物であり、
    前記(A)成分が、Ca(OH)、およびCaCOの少なくとも一方であり、
    前記(B)成分が、Al(OH)である、請求項1または2に記載の土質改良材。
  4. 前記焼成物として、CaO、Ca12Al1433、CaAl14、CaAl33、Ca12Al14、およびCaAlからなる群から選択された少なくとも一つの結晶性化合物を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の土質改良材。
  5. イオン吸着機能を持つ、請求項1から4のいずれか一項に記載の土質改良材。
  6. 前記イオンが、六価クロム、セレン、ヒ素、フッ素、およびホウ素からなる群から選択された少なくとも一つのイオンである、請求項5記載の土質改良材。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の土質改良材を含む、土の強度増加材。
  8. 地盤の土に、請求項1から6のいずれか一項に記載の土質改良材または請求項7記載の土の強度増加材を混合する混合工程を含むことを特徴とする土質改良方法。
  9. 前記土1mあたりの、前記土質改良材における前記焼成物の添加量が、10~300kgである、請求項8記載の土質改良方法。
  10. 前記混合工程において、さらに、セメント系固化材を混合する、請求項8または9記載の土質改良方法。
  11. 前記土1mあたりの前記セメント系固化材の添加量が、10~300kgである、請求項10記載の土質改良方法。
  12. 前記焼成物と前記セメント系固化材との添加重量比が、1:0.03~1:30の範囲である、請求項10または11のいずれか一項に記載の土質改良方法。
  13. 地盤の土と、請求項1から6のいずれか一項に記載の土質改良材または請求項7記載の土の強度増加材とを含むことを特徴とする、改良土。
  14. 土質改良工程を含み、前記土質改良工程が、請求項8から12のいずれか一項に記載の土質改良方法により実施される、改良土の生産方法。
  15. 土地改良工程を含み、前記土地改良工程が、請求項8から12のいずれか一項に記載の土質改良方法により実施される、改良土地の生産方法。
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