JP7493290B1 - 持続流出システム回路における貯留バッグ、持続流出システム回路、持続流出システム回路の品質管理システム及び、持続流出システム回路における貯留バッグの品質管理方法 - Google Patents

持続流出システム回路における貯留バッグ、持続流出システム回路、持続流出システム回路の品質管理システム及び、持続流出システム回路における貯留バッグの品質管理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】現在流通している採尿キットである閉鎖式蓄尿バッグ回路という密閉構造のまま、一切の機械的な又は電気的な駆動、制御機構は不要であり、本願バッグをそのキットの一構成要素として用いると、尿の質量とその位置エネルギーと膀胱本来の充満、収縮による圧力と腹圧とバッグの構造と機能によりサイフォンの原理が働いて持続流出システム回路となる構造と機能を有する蓄尿バッグを造る。そのバッグ以外の部材は従来通りの構成部品と組み合わせて採尿キットとする。流出元より高くなる第1高低差があってもバッグの流入口よりも流入チューブが低くなる第2高低差があっても、蓄尿バッグに持続的に流出し続ける閉鎖式サイフォン化持続流出バッグ回路となる、閉鎖式サイフォン化バッグを開発する。【解決手段】サイフォンの原理とバッグの素材と形状による閉鎖式だからこそ出来る形状記憶機能による陰圧による初期サイフォン化圧の低減と、さらなる陰圧による吸引式閉鎖式サイフォン化バッグを基本にし、従来の採尿キットを持続流出システム回路として機能させ、その採尿キットが持続流出システム回路として品質管理する一連の手順、仕組みを含んだ品質管理システムを構築した。事前に規格を企画し、品質を検定し、安心安全の持続流出システム回路と、そのエンジン部分の閉鎖式サイフォン化バッグと、その品質管理システムを発案した。【選択図】 図5

Description

本発明は、持続流出システム回路における貯留バッグ、持続流出システム回路、持続流出システム回路の品質管理システム及び持続流出システム回路における貯留バッグの品質管理方法に関する。
さらに詳しくは、従来の閉鎖式蓄尿バッグ回路の構造と実際の臨床の使用条件とのミスマッチによる高低差による貯留、うっ滞が生じることのない持続流出システム回路を実現するための貯留バッグに関するものである。
本願発明は、従来の、蓄尿バッグを有する閉鎖式の流出回路の基本構造はそのまま踏襲し、体内にある弾性閉鎖空間の流出元から一段高い部位を一度経て、体外にある空間の流出先へ二つ以上の高低差を乗り越えてサイフォン化して持続流出させる条件を明確にし、その条件以下でサイフォン化持続流出するように蓄尿バッグその物の規格を制定し、確認し、品質を保証するものである。
即ち、蓄尿バッグそのもの素材、形状又は構造を変更することにより従来の製品をより簡素化し、付属品を不要にし、製造原価を下げることを可能とする。また、従来の閉鎖式という流出回路の環境及び、蓄尿バッグの塩化ビニールという素材の性質とその形状を利用して従来の概念を覆す、逆流することのない陰圧式サイフォン化持続流出回路を構成する蓄尿バッグとしても応用可能である。
医療現場介護現場では、一般的に「フォーリーカテーテル」と言われる医療機器の膀胱留置カテーテルに、採尿チューブと蓄尿バッグからなる蓄尿バッグ回路が接続され使用されている。
このような蓄尿バッグは、単品としてあるいは泌尿器カテーテル挿入・採尿キット(以下、「採尿キット」と略す)として一般的には閉鎖式蓄尿バッグ回路として滅菌されたセット製品として販売されている。
即ち、医薬品医療機器等法により、厚生労働省医薬・生活衛生局、日本医療機器産業連合会JFMDAおよび医薬品医療機器等法登録認証機関協議会ARCBの三者協議会の元、認証品目該当性チェックリストを元に11認証機関により、製造販売元、製造元、販売元そして該当する製品それぞれが認証、承認される制度の元に認証され、市場に流通している。ただし、フォーリーカテーテルの膀胱留置カテーテルは医療機器として認証をうけるが、蓄尿バッグ単体そのものは医療機器では無い。
しかしながら、蓄尿バッグがこのフォーリーカテーテルと一体化され、「泌尿器用カテーテル挿入・採尿キット」となった場合には、医療機器としてリスクがIIコード14292000に分類され、認証された製品として販売される。蓄尿バッグ単体そのものは、医療機器では無く、認証は必要ない。
膀胱留置カテーテルと採尿キットは医療機器であり、承認を受けた製造販売元が発注すると、認可された製造元が製造し、そして認可された販売元が市場に販売している。法律の枠の許認可制度のもとで販売される医療機器の一つとして採尿キットの構成要素の一部として「採尿チューブ」と「蓄尿バッグ」が存在している。
しかしながら、認証品目該当性チェックリストでも、その他の認可制度の中では、実際の臨床上および介護などの日常で使用される環境状況については、何ら配慮はされておらず、所定の注意喚起も、所定の規定も存在しない。
実際の使用環境、状況においては、使用者が寝たきり状態でも、車椅子に乗っている状態でも、流出元の膀胱よりもフォーリーカテーテルあるいは採尿チューブにおいて一段高い第1高低差が形成され、さらに、蓄尿バッグへの流入口よりも採尿チューブが垂れ下がる第2高低差が形成される場合が通例である。
その結果、従来から一般に使用されている「泌尿器用カテーテル挿入・採尿キット」(「閉鎖式蓄尿バッグ回路」と称す)が使用された場合には、その高低差により、患者の尿がうっ滞、貯留し、デッドスペースが生じ、エアロック状態が発生し、膀胱からの尿は貯留バッグへ流出しない事態が発生する。
その結果、使用者である患者は、なんらかの手術の後に、数日間、閉鎖式蓄尿バッグを装着されただけでもこれまで味わったことのない苦痛を味わうこととなる。さらに、たとえば、頸髄損傷で四肢麻痺の方は、その回路へのうっ滞、貯留即ち尿閉状態から自律神経過反射を起こし、生命の危険に晒され日々塗炭の苦しみを味わうこととなる。
このような状況が、手術後に病院でベッドで療養している患者にとっての日常となる。そして、その尿閉状態が慢性的に繰り返された場合には、さらに、腎盂腎炎、水腎症、腎機能不全などの二次的健康被害が派生し利用者がさらに苦しむことになる。
しかしながら、現実問題として、術後の急性期であれ、その他の理由による慢性的な使用であれ、医療看護の領域であれ、介護の領域であれ、このような現状が、使用者であるエンドユーザー自身にも、そして医療看護介護のミドルユーザーにも、そしてその製造販売元にも、その製品の構造と使用条件のミスマッチ、そのギャップ、問題点が十分に認識されていない現状がある。
さらに厄介な点は、仮に、各レベルのユーザー、製造販売元とも、上記現実の問題点が把握されていた場合であって、販売元や、看護領域でも、エンドユーザーにおいて、上記問題点を何とか是正したいと思った場合であっても、「採尿キット」、「泌尿器用カテーテル挿入・採尿キット」は、正規のルートで承認され、販売され、市場に流布し、日々日常製品として使用されている製品であり、製造販売元もその製造原価と販売価格の経済的背景及び事情があり、またさらに、実際の製造元のグローバルな企業が資本投下し、製造ラインを構築しており、そこに製造依頼が集約されており、簡単にはその製造ラインを変更出来ない状況があり、その結果として、エンドユーザーの声に細やかに迅速に応えられない現状がある。
即ち、認証制度の中でそれぞれの製造、流通の枠が既に確固として出来上がって定着しており、製造販売元、製造元、販売元、医療側、実際のユーザー側からも、相互に改変出来難い状況になっており、製造販売と市場がしっかりと確定され、安定し、固定化されてしまっている。
このような状況下において、本件特許出願人である本件発明者は、2度の自らの入院によりその問題点に自から気付き、その改善法について考案し、その構造を見直し、実際の臨床上2カ所以上の多少の高低差があっても、持続流出出来る持続流出システム回路を採尿チューブについて工夫して発明を構成して特許出願を行い、当該特許出願に関し特許を取得している(特許第7158792号)。
上記特許は、従来からの膀胱から貯留バッグに至る流出回路において「開放式ドリップチャンバー」を設け、流出回路をサイフォン化させる条件を規定し、患者そのもののからの内圧及び尿の質量の位置エネルギーのみにより持続的に流出が可能で蓄尿バッグに自動的に収納される持続流出システム回路を内容とするものである。
上記特許を公開することにより、上記問題となる事態の改善を世に問うたが、「開放式ドリップチャンバー」を設けることにより、開放式の持続流出システム回路を形成するように構成されていたことから、従来の閉鎖式回路という構造、枠組を変更するという取り組みとなり、上記の様な認証制度が張り巡らされ、製造販売元、さらに製造元そして世間一般の認識が成熟しておらず、個人的なニーズがあっても、社会的なニーズとはなり得ないことが判明したものである。
そこで、本件特許出願においては、採尿キットが、持続流出システム回路となるように、その改善策として、従来の「閉鎖式蓄尿バッグ」という、既に認証を得て広く使用されている医療機器としての基本構造に変更を加えること無く、採尿チューブ等の途中の回路には一切手を加えず、単体では医療機器に該当していない蓄尿バッグそのものについて工夫、改良を施したものである。
すなわち、閉鎖式だからこそこれまで以上に初期サイフォン化圧を軽減し、さらにエンドユーザーにとって簡便性、利便性、清潔を保てる閉鎖式のサイフォン化持続流出システムに使用される蓄尿バッグを発案するに至ったものである。
特許第7158792号
採尿バッグを組み合わせた間欠泌尿器用カテーテルの一般的名称への該当性 審査関連業務 (1)※Seq.No.130以降の欠番は取下げられた相談。※Seq.No.130以前の回答を訂正した場合も掲載。令和3年度及び令和4年度の相談内容及び回答 薬事工業生産動態統計:厚生労働省 (mhlw.go.jp) 医薬品・医療機器産業実態調査(医療機器産業実態調査報告書):厚生労働省 (mhlw.go.jp) 財務省貿易統計: TradeStatisticsofJapan(customs.go.jp) 衛生行政報告例:厚生労働省 (mhlw.go.jp) 医療機器データベース:(kikidb.jp)・医療機器データベースは一般財団法人医療情報システム開発センターが運営。 医療機器添付文書検索:独立行政法人医薬品医療機器総合機構 (pmda.go.jp) 薬生機審発0430第1号 令和3年4月30日 指定高度管理医療機器等の適合性チェックリストについて(その19)314 21-AA04(令和3年9月10日)特許出版 2003年
本願発明が解決しようとする課題は、一切の機械的な又は電気的な駆動、制御機構は不要であり、万有引力の法則の下、尿の質量とその位置エネルギーと膀胱本来の充満、収縮による圧力と腹圧により、途中の回路が流出元よりある程度高くても、貯留した尿を持続的に排尿できて、実地臨床の現場においても、自然の膀胱の排尿機能の維持となり、ある程度の量の尿が膀胱に貯留すると自動的にサイフォン化し、途中で多少の高低差があっても持続的に流出し続け、完全に排出される持続流出システムを構成する貯留バッグを提供することにある。
さらに詳しくは、現在認証され商品化されている基本構造、枠組みを壊すことなく、医療機器として新たに認証を受ける必要の無い蓄尿バッグであることを前提とし、実地臨床上の使用条件と従来の閉塞式採尿キットの構造的ギャップを解消し、流出システム回路に第1、第2高低差が発生した場合であっても、従来の「閉鎖式蓄尿バッグ」という構造を維持したまま、従来の採尿チューブの構造構成はそのままに、蓄尿バッグを変更するのみで、サイフォン化し持続流出する採尿キットを構成することが本願発明の課題である。
さらに、現場の実際の使用条件下でも逆流無く順方向に持続的に継続して流出し、膀胱にも途中の回路にも停留、貯留すること無く完全に流出する品質の保証されたシステム回路作成するために、その規格と品質を確認する方法と、さらに種々の流体性状および膀胱の機能状態において、駆動可能か否かを確認し管理するシステム、及び品質管理方法を構築することが本願発明の課題である。
同一出願人に係る前回の特許(第7158792号)は採尿バッグ(蓄尿バッグ)に至る回路の採尿チューブに工夫を加え持続流出システム回路を構築したが、本件特許出願にあっては、貯留バッグ(蓄尿バッグ)そのものに工夫、改良を加えて持続流出システム回路を実現したものであり、この点が前回の特許(第7158792号)との相違点である。
即ち、貯留バッグ(蓄尿バッグ)そのものに対して工夫を施した持続流出システム回路が今回の閉鎖式サイフォン化持続流出システム回路に使用される貯留(蓄尿)バッグである。
より詳しくは、本発明は、前回特許における「サイフォン化のためのサイフォン化最小必要量 Vmin」と「初期サイフォン化圧 Ps」という概念はそのまま継承しつつ、前回特許における「開放式ドリップチャンバー」を採用することなく、貯留バッグ(蓄尿バッグ)そのものの素材、形状及び構造に関する創案、改良を加え、現在、一般に流通している「閉鎖式(流出元である膀胱から流出先である貯留バッグまでが大気開放されることなく大気に対して閉鎖されている構成)」という閉鎖環境を前提にしたものである。
即ち、本発明の一態様によれば、初期サイフォン化圧Psの元となる初期サイフォン化抵抗Rsを形成する、流出先である貯留バッグ(蓄尿バッグ)の抵抗(末梢抵抗)Rpを、貯留バッグ(蓄尿バッグ)の素材、形状又は構造を工夫することにより低減するように構成した。
また、本発明の他の態様によれば、貯留バッグ(蓄尿バッグ)そのものを陰圧にする事により、サイフォン化するのに必要な初期サイフォン化圧Psを限りなく0(ゼロ)に近づけるようにサイフォンの原理と圧に関する科学原理を用いて構成した。
従って、本願発明の基本的な機能、作用は、前回特許に係る「持続流出(完全排出)システム回路」と同一であるが、前回の特許発明以上に初期サイフォン化圧を低減させ、現在、市場において一般的な「閉鎖式」という構造を維持したまま、より応用範囲を拡大したものである。
そして、蓄尿バッグ以外の構成要素をさらに減らし単純化し、その分製造コストを低減化できる有利な効果も付加された。すなわち、製造販売元にも、ミドルユーザーの医療看護介護の人達に取っても、そしてエンドユーザーの実際の装着者にも、三者三様にこれまでの負担、面倒、不便、不都合、経済的負担を解消することができる。
また、採尿キットとしての持続流出システム回路の構成要素の一つとしては、臨床上の種々の条件に適合するかどうかの確認、検定を行う必要があり、「品質管理システム」を構築し実施する必要がある。
このような観点から請求項1記載の発明は、実際の臨床状況の中で形成される、ベッド臥床時、車椅子使用時、又は立位時実地臨床円弧モデル条件下において使用され、体内にある伸展収縮可能な弾性閉鎖空間である流出元から、前記弾性閉鎖空間内の流体をサイフォンの原理によりサイフォン化する事によって持続的に流出させ、前記流体を貯留する持続流出システム回路における貯留バッグであって、前記持続流出システム回路は、前記流出元から前記流体を流出させるために設けられる流出誘導体と、前記流出誘導体から流出先である前記貯留バッグまで前記流体を移動させるための流出チューブとを備え、前記流出元と流出先である前記貯留バッグとの圧差をPとし、サイフォン化持続流出システム回路全体の抵抗をRallとし、実際の使用環境条件を考慮した臨床円弧モデル条件の第1高低差H1と、前記サイフォン化持続流出システム回路全体の抵抗Rallによる初期サイフォン化抵抗Rsを乗り越えて持続流出を開始するサイフォン化のための初期の圧差としての初期サイフォン化圧Psを生むための規定最少容量をVminとし、その内の前記弾性閉鎖空間を満たす容量をVoとし、その初期サイフォン化圧Psにより、前記第1高低差H1のピークを乗り越え流出開始するサイフォン化境界までの前記第1高低差H1の管腔を占める容量をVloopとし、その内の前記流出誘導体の内腔量Vhgと流出チューブの内腔量Vhtとし、さらに前記流出誘導体及び前記流出チューブそれぞれの全内腔容量をVg,Vtとするとその関係は、
[数1]

であり、前記式により規定されるサイフォン化容量条件を満たし、かつ、前記管腔内を流出中も隙間無く充満しながら流出するように前記持続流出システム回路が設計され、前記第1高低差H1の以降の円弧によって発生する第2高低差H2があっても前記流出元の弾性及び前記貯留バッグとの圧差により流出し続けて完全流出するように構成され、前記流出誘導体全長の管路抵抗Rg、前記流出チューブ全長の管路抵抗Rt、前記貯留バッグにおける抵抗Rpと、実際の使用条件を考慮した前記臨床円弧モデル条件として前記流出チューブに発生する前記第1高低差H1及び前記第2高低差H2、並びに、前記流出チューブの管路抵抗による前記初期サイフォン化抵抗Rsと、前記第1高低差H1及び前記第2高低差H2及び前記初期サイフォン化抵抗Rsの抵抗を乗り越えて持続流出を開始するサイフォン化のための初期圧差としての前記初期サイフォン化圧Psとの関係式は、
[数2]
Ps≧Rs>Rall = Rg+ Rt + Rp
であって、
前記第1高低差H1は、前記流出元である弾性閉鎖空間としての膀胱の下端部と、前記膀胱に接続され、前記流体としての尿を流出させる流出誘導体又は流出チューブが前記膀胱の高さ位置から上方へ円弧を描いて配置された場合の最上部との間の高低差であり、前記第1高低差H1及び前記第2高低差H2は、それぞれ20cmであり、前記貯留バッグは、前記流出チューブの端部が貯留バッグ本体に直接に接合固定された閉鎖式の貯留バッグであって、前記貯留バッグ本体の素材、形状又は構造により前記貯留バッグにおける抵抗Rpを低減することにより前記初期サイフォン化圧Psを低減し、前記貯留バッグ本体の上面部の幅方向一端部には、前記流出チューブが接続されて流入部が形成されると共に、前記貯留バッグの側面部であって、前記貯留バッグ本体の幅方向における前記流入部とは反対側の上端部には、閉止可能であると共に大気開放可能に形成された排出部が設けられ、前記貯留バッグ本体から尿を排出させる場合には、前記排出部を大気開放させた状態で、前記貯留バッグ本体の前記流入部側を保持しつつ排出部側を下にすることにより前記貯留バッグ本体内部の尿を排出させるように構成されていることを特徴とする貯留バッグである。
請求項2記載の発明は、低密度ポリエチレン(LDPE)を素材とし、貯留バッグ本体構成片を表裏2枚厚さ方向に重ね、周縁部を接合されることにより薄型袋状に構成されていることを特徴とする請求項1記載の持続流出システム回路における貯留バッグである。
請求項3記載の発明は、前記貯留バッグ本体は、塩化ビニールを素材とし、全体円筒状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の持続流出システム回路における貯留バッグである。
請求項4記載の発明は、前記貯留バッグ本体は、塩化ビニールを素材とし、全体直方体に形成されたことを特徴とする請求項1記載の持続流出システム回路における貯留バッグである。
請求項5記載の発明は、前記貯留バッグ本体は、塩化ビニール、ポリプロピレン又は形状記憶素材からなり、軸方向に沿って蛇腹部が設けられ、軸方向に沿った外力が付加された場合には前記蛇腹部により圧縮可能であると共に、圧縮後に前記外力を除去した場合には原形に復帰し、原形に復帰する際に陰圧を発生させるように構成された請求項1記載の持続流出システム回路における貯留バッグである。
本発明に係る持続流出システム回路における貯留バッグは、単体では医療機器では無いが、膀胱留置カテーテル(フォーリーカテーテル)と採尿チューブと一体化した「泌尿器用カテーテル・採尿キット」いわゆる閉鎖式蓄尿バッグ回路のバッグとして使用した場合には、その他の構成要素は既存の物品であっても、サイフォンの原理と、貯留バッグの流体抵抗を低減することにより初期サイフォン化圧を低減し、使用者の身体に負担を掛けず、膀胱から持続流出可能なシステム回路を形成することができる。
また、本願発明にあっては、貯留バッグにおいて陰圧を形成できるように構成されていることから、サイフォン化された持続流出システム回路において、陰圧により初期サイフォン化圧を低減し、限りなく、持続流出システム末端に配置された貯留バッグにおける末梢抵抗を軽減させて、使用者の身体に負担を掛けず、膀胱から尿を持続的に流出可能なシステム回路を形成することが可能となる。
さらに、初期サイフォン化圧を陰圧にして使用することができることから、従来から販売、使用されている採尿キットに本願発明に係る貯留バッグを適用することにより、臨床上の高低差が生じてもサイフォン化させることが可能であり、その結果、尿が逆流せず一方向に順方向に層流、満流の状態で、持続流出し、完全流出する採尿キットのエンジン部分を形成することが可能となる。
より詳細には、採尿キットの閉鎖式蓄尿バッグ回路として本願発明に係る貯留バッグが使用された場合、以下の効果、効能を発揮する。
自然の科学原理により、従来は付属していたドリップチャンバー、エアフィルター、逆流防止弁なども不要となり、さらにシンプルに単純化出来、製造コストダウンが可能となる。
また、本願のバッグそのものは、医療機器では無く、許認可は必要なく、現代ではありふれた素材と構造であり、特殊な医療機器製造工程は必要無く、市中のそれなりの中小企業で製造可能であり、特殊な製造機器と製造工程を有するグローバルな大企業の専門の医療機器製造元に発注依頼する必要も無い。
閉鎖式であり、逆流せず持続流出、完全流出する事により、残尿も無く、尿閉状態も起こらず、層流満流で順行性であり、バッグからの排液の際にもより清潔に取り扱え、逆行性感染のリスクの低減化が図れる。
即ち、停滞、うっ滞する事無く、尿閉状態とならず、それに引き続き起こる苦痛、苦悩、健康被害の心配、不安がない。品質管理システムにより品質の管理された安心、安全な良質な適正な製品を提供出来る。
また、医療的にも術後の管理が容易となり、看護師の手間も省け、適正な時間尿の測定も可能となり、不適切な利尿剤、カリウム製剤、強心剤などの投与の無駄を排除し、予防出来、医療の質の改善と適正化に寄与する。使用者本人が、例え寝たきりでも従来の膀胱圧迫による苦痛、そして、おそろしい自律神経過反射を味わう必要もなくなる。
認知症、高齢者などの膀胱留置カテーテルの自己抜去という事故もなくなり、必要最小限の期間のみで、抜去出来、無用な膀胱内壁への侵襲、損傷、排泄機能障害を予防出来る。早期抜去により本人の行動制限が早期に開放される。
採尿キットの早期抜去による医療費、介護費の負担が減る。また、家族、介護に当たる人の手間暇が掛からなくなり、介護の負担が減る。
脊髄損傷、脳出血、脳梗塞、その他の中枢神経の障害、あるいは末梢神経の障害による尿閉状態に対して、あるいは尿失禁する寝たきり等の対象者にも、本人に余計な負担をかけず、自然の原理のみに基づき排尿が可能であり、持続的に長期的に使用できる。残された膀胱機能の維持と膀胱機能の回復に寄与する。
請求項5記載の発明に関しては、自然科学の基本的原理、サイフォンの原理と陰圧になる原理のみのシンプルな原理であり、理解し活用しやすい。
特に複雑な原理でも無く、使用法もおもちゃのプールにフットエアーポンプで空気が入る原理を理解する程度でよい。日常の常識レベルであり、特に高等教育を受ける必要は無い。一般の人、介護の人でも、特に看護、医療について学ばなくても一般の人が扱えるレベルである。
製造販売元の経費削減と信用回復・信頼増加と社会的責任遂行と社会貢献が可能となる。自己抜管による事故、膀胱損傷、膀胱機能障害、腎機能障害の予防が可能となりこれまでの事故後の余分な手続き、処理、補償問題の軽減が可能となる。
シンプルな構造による国内の中小企業レベルでの製造が可能であり、海外のグローバル大企業への依存は不要となり、その結果、製造コストの削減が可能となる。自然科学に基づく原理・機序による安心と信頼の製品供給、明確に効果、効能をうたえる。
看護・介護領域における簡便性、利便性の向上による看護、介護負担の軽減が可能となる。医療における正確な時間尿測定により、誤診と医療過誤の予防と質の高い医療の実現に寄与することができる。
医療機器製造販売元、使用者(医療・看護、介護領域)、利用対象者(実際の使用者) の三者の利益を創造し提供することができる。
従来流通している「閉鎖式貯留バッグ」の基本的構造を変える必要が無いので、新たな認証のための知見は必要なく、従来製品の改善、改良への法的、経済的、業界の構造的問題、認証制度の課題をクリアーしやすい。
その結果、本願発明を製品化する場合であっても、グローバルな実質独占状態の製造元に依存することなく、自社で新たな投資をしなくても国内の医療機器製造メーカーでない中小企業でも本願発明に係る貯留バッグは製造出来ることから、広く日本の製造業の振興に寄与することができる。
貯留バッグ(蓄尿バッグ)そのものは医療機器ではないことから、仮に、日本の合成樹脂製品製造メーカーに製造を依頼する場合であっても、バッグ以外の従来製品に関する製造技術をそのまま流用することが出来る。さらに、本願発明に係る貯留バッグ(蓄尿バッグ)を受け入れて使用する医療側も、市場流通側も、製品としては、従来通りの閉鎖式であり、何ら違和感はない。
従来より、世界的、一般に使用されている閉鎖式回路により形成されている「採尿キット」の使用により使用者に発生する上記の様々な問題点の解決による救済と、今後益々高齢化し超高齢化社会となる中、ますます脊髄損傷、尿失禁、及び良性前立腺肥大症が問題となるが、その医療的、経済的解決策となる。
すなわち医療、看護、介護負担の軽減・解消、経済的負担の解消、より良い生活QOLの確保維持の一大転機となる。すなわち、日本の中小企業が現在の製造元のグローバルな大企業に替わり、世界の採尿キットのバッグを供給出来、日本の産業界に活気を与え、日本経済の振興につながる。
(1)は、従来から使用されている採尿キット(流出誘導体、流出チューブ及び貯留(蓄尿)バッグ)を使用した際の、実際の使用条件に基づく実地臨床上あるいは日常での採尿キットの使用条件、使用状況を模式化して示す図であり、(2)は、(1)の採尿キットの使用条件を前提に、本願発明に係る、末梢抵抗を低減化した貯留(蓄尿)バッグを使用した場合を模式化、モデル化した実地臨床用円弧モデルを示す図である。 実地臨床円弧モデル条件下での、蓄尿バッグと、蓄尿バッグに接続された採尿チューブからなる採尿キット製品が、本願発明に係る持続流出システム回路に使用されることが可能であるか否か、を確認するためのサイフォン化確認テストである。 本願発明に係る持続流出システム回路における貯留バッグを使用し、従来より使用されている採尿キットが持続流出システム回路となった際の、初期サイフォン化圧Psと膀胱内に産生され尿の貯留と流出の関係を説明的に示すグラフである。 本願発明に係る持続流出システム回路における貯留バッグの各実施の形態を示す模式図であり、図4(1)はLDPE(低密度ポリエチレン)を素材とする蓄尿バッグ本体構成片を表裏2枚厚さ方向に重ねて周縁部を接合することにより蓄尿バッグを構成した場合を示し、図4(2)は塩化ビニールを素材として全体円筒状に形成した場合を示し、図4(3)は塩化ビニールを素材として全体直方体状に形成した場合を示す。 本願発明に係る持続流出システム回路における貯留バッグの一実施の形態を示し、可撓性を有し、外力が付加された場合に弾性変形すると共に、変形後前記外力が除去された場合には原形状に復帰できる性質を有する素材により形成し、全体円筒状に形成され、軸方向に沿って蛇腹部が設けられ、前記蛇腹部により軸方向に沿った外力が付加された場合には圧縮可能であると共に、圧縮後に前記外力を除去した場合には原形に復帰し、原形に復帰する際に陰圧を発生させるように、フットポンプ類似形状に構成した場合の使用手順を模式的に示し、(1)は使用前の状態を示す図、(2)は蓄尿バッグを圧縮させ弱陰圧を発生させた状態を示す図、(3)は蓄尿バッグが原形に復帰した際に陰圧が発生し、流出誘導体、流出チューブ及び蓄尿バッグにより構成される持続流出システム回路がサイフォン化され、膀胱からの尿が持続的に蓄尿バッグに流入している状態を示す図である。 本発明に係る蓄尿バッグが適用された持続流出システム回路の品質管理システム(閉鎖式サイフォン化(蓄尿)バッグ品質管理システム)を概念的に示す説明図である。
以下、本発明に係る持続流出システム回路における貯留バッグ、持続流出システム回路、持続流出システム回路の品質管理システム及び、持続流出システム回路における貯留バッグの品質管理方法を、貯留バッグを蓄尿バッグに適用した場合を例に、各実施の形態に基づき詳細に説明する。
本願発明に係る貯留バッグについての説明を行う前提として、本願発明に係る貯留バッグが適用される持続流出システム回路について説明する。
即ち、本願発明に係る貯留(蓄尿)バッグを持続流出システム回路の構成要素として使用する場合には、流出元の性状によるその使用限界、状況を確認する必要があり、[図6]に示す、本発明に係る貯留バッグが適用された持続流出システム回路の品質管理システムの条件をクリアした場合に、初めて膀胱から蓄尿バッグへの持続流出が可能となるものである。
また、本願発明に係る貯留(蓄尿)バッグを、従来より市販されて一般に使用されている採尿キットという医療機器として構成して使用する際には、キットとして最低限サイフォン化確認テストをする必要がある。なお、従来より販売、使用されている蓄尿バッグにはその製品の規格、限度が全く明示されていない。
即ち、患者の症状、使用者の身体状況によって、タンパク尿、尿糖、血尿、細菌尿などの場合、どこまで持続流出可能なのか見極めてその使用者の身体状況、状態に合わせて適正な性能を有する製品を選択する必要がある。
本願発明にあっては、蓄尿バッグ内に陰圧を発生させると共に陰圧を調整し、必要であれば、初期サイフォン化圧を陰圧にして使用する事も可能である。通常は使用者の生体に障害を与えないように、蓄尿バッグ内に陰圧を発生させた場合であっても初期サイフォン化圧は限りになく0(ゼロ)cm水柱に近い陽圧とすることが適切である。
但し、状況によっては、一時的にある程度の陰圧にして使う事も可能である。その陰圧の予備能力もバッグの素材と形状と容量により決定されてくる。その圧縮率と、そこで発生した陰圧との関係を示した「圧縮陰圧曲線」が一度作成されれば、ユーザーの状況により初期サイフォン化圧も陰圧にも出来、様々な原因により粘稠度の高い流体(尿)であっても、サイフォン化して持続流出が可能となり、利用範囲が格段に広がる。
[サイフォン化の確認テストのための前提となる臨床円弧モデル]
まず、図1に示す「サイフォン化の確認テストのための前提となる臨床円弧モデル」について説明する。
図1(1)は、従来から使用されている採尿キット(流出誘導体及び流出誘導体に接続された流出チューブ11及び貯留(蓄尿)バッグ13)を使用した際の、実際の使用条件に基づく実地臨床上あるいは日常での採尿キットの使用条件、使用状況を模式化して示す図であり、図1(2)は、図1(1)の採尿キットの使用条件を前提に、流体を収納した開口容器15及び、本願発明に係る貯留(蓄尿)バッグであって、バッグ本体の素材、形状又は構造により前記初期サイフォン化抵抗Rsの抵抗値(末梢抵抗値)を低減することが可能な貯留バッグ(末梢抵抗低減化蓄尿バッグ)14を使用した場合を模式化、モデル化した実地臨床用円弧モデルを示す図である。
図1(1)に示すように、臨床実地上の実際の蓄尿バッグの使用環境、条件では、膀胱10よりも流出誘導体あるいは流出チューブ11が膀胱(あるいは外尿道口)10よりも高くなってしまう第1高低差(H1)と流動チューブが垂れ下がり、蓄尿バッグ11の流入部27より低くなってしまう第2高低差(H2)が不可避的に生じることとなる。
一般に貯留バッグ(蓄尿バッグ)13は、患者、使用者が寝ているベッドにおいて使用される場合にはベッドの側方に設置される保護柵に締結されて、患者の膀胱10の高さ位置よりも下方に配置されるが、流出誘導体・流出チューブ11は、患者、使用者の膀胱10の高さ位置から一度、上方へ円弧を描いてカーブして配置されることから、膀胱よりも高い位置に至る第1高低差(H1)が形成され、その後、蓄尿バッグ13方向へ下降して配置されるが蓄尿バッグ13の流入部27よりも垂れ下がり、一度、下降して円弧を描いてカーブして配置されることから接続流入部27よりも低い位置に至る第2高低差(H2)が形成されることとなり、これらの高低差(H1及びH2)が膀胱10からの自然的持続流出の障害となる。従って、これらの高低差(H1及びH2)を乗り越えて尿を流出させるかが課題となる。
図1においては、上記の実際の使用状況をモデル化して、第1(円弧)高低差(H1)と第2(円弧)高低差(H2)とした。日常生活環境条件を考えた場合、外側膀胱括約筋から臍までの高低差は最低でも20cmは想定する必要はある。
もちろん各自の体型により、より大きな差となる場合もあるが、小柄な人種と大柄な人種でもその規定値は考慮する必要がある。本実施の形態においては、暫定的に第1高低差、(H1)第2高低差(H2)とも20cmに規定している。図中28は、体内から排出される流体(本実施形態においては尿)である。
[実地臨床用円弧モデル条件下におけるサイフォン化確認テスト]
図2は、図1に示す実地臨床用円弧モデル条件下における、蓄尿バッグ(末梢抵抗低減化バッグ)14と、蓄尿バッグ14に接続された採尿チューブ11を有する採尿キット製品が、本願発明に係る持続流出システム回路に使用されることが可能であるか否か、を確認するためのサイフォン化確認テストの状況を示す。
この場合、図2の(1)は準備段階であって、未だサイフォン化はされていない状態、(2)はサイフォン化が開始された状態、(3)はサイフォン化され尿28の持続流出が可能となった状態を示す。
実際に使用する被験サイフォン化バッグ回路を図1に示す臨床円弧モデル条件にセットする。この場合、暫定的に、第1円弧高低差H1及び第2円弧高低差H2は20cmに設定する。なお、利用目的、用途により円弧高低差の寸法を変更して検査することも出来る。
また、大気圧下で、サイフォン化するためのサイフォン化流出最小量Vminは以下の式で求めることができる。
流出(採尿)チューブの半径rmm、流出(採尿)チューブの長さをLm、膀胱留置カテーテルの内腔量αmlとした場合、
サイフォン化流出最小量 Vmin=(r/10)^2×3.14× L ×100+αとなる。
例えば、現在使用されている既存の製品の場合には、流出チューブの内径が8mm、その長さが1.5m、膀胱留置カテーテルの内径6mm、長さ40cmの場合、
Vmin=0.4×0.4×3.14×1.5×100+0.3×0.3×3.14×40=75.36+11.30 ≒ 87mlとなる。
即ち、既存の構成要素の蓄尿回路バッグでは87ml以上の尿量が膀胱に貯留してはじめてサイフォン化し持続流出する事ができ準備状態となることが判明する。
上記を前提として以下の手順によりサイフォン化確認テストを実施する。
1)準備段階:
サイフォン化流出最小量Vmin以上の流体を流出元の開口容器15に入れて、その流体の底が流出チューブ11の第一高低差(H1)の頂点より低い基準の高さ位置Sにセットする。
2)サイフォン化の確認:
その流体が入って開口容器15を高くして行き、流出口16が、流体が第1高低差(H1)のピークを乗り越えると、第1高低差(H1)のピークを越えて持続流出して下行し始めた高低差がHsである。
その直後、開口容器15を基準の高さ位置Sの高さに戻す。第一円弧高低差(H1)の円弧のピークを越えて持続的に流れ出した時の基準の高さSから流出元である開口容器15の底までの距離Hscmがサイフォン化するまでの必要な水圧即ち、初期サイフォン化圧Psとなり、Ps=Hscm水柱である。また、短いながらも管路抵抗もあるために大気圧下では、Hs> H1となる。
開口容器15を基準の高さ位置Sに戻した場合であっても、そのままサイフォン化が進み流出し続けバッグに流入し始め、すべての流体が完全に流出したら、初期サイフォン化圧PsはHscm水柱でサイフォン化する「サイフォン化バッグ」と評価する。
しかしながら、第2高低差H2で止まり、途中で空気の層が出来てしまったら、流出元の開口容器15を再度さらに高く上げて第2高低差のピークを乗り越えてそのままサイフォン化し蓄尿バッグ14に流入し続け、完全流出したら「準サイフォン化バッグ」と評価する。この場合には、後述の、蓄尿バッグの陰圧化を行うことによりサイフォン化バッグにすることができる。
[流出誘導体及び流出チューブの条件]
本発明においては、流出誘導体(いわゆるフォーリーカテーテル)及び流出チューブは、従来の「採尿キット」等の製品のままであっても適用できる。
但し、流出チューブは、余り硬く過ぎず、柔らかすぎないものであることが望ましい。例えば、病院のベッドの側方の柵又は車椅子の手すりを乗り越えたり、多少の高低差を乗り越える際には自然にしなり、曲がって、円弧を維持し、折れ曲がって内腔が閉塞しない素材のものが適切である。
流出する流体の性状(比重、濃度、粘稠度等)により流体の流れやすさは異なる。例えば、糖尿、タンパク尿、血尿、細菌尿などの場合には、流れにくくなったり、閉塞しやすくなったりするので注意が必要である。即ち、内径が狭いと第1円弧の高低差のチューブの内面の管路抵抗も増し、初期サイフォン化圧も高くなるため、出来るだけ内径は大きく広い方がよい。しかし、一方、サイフォン化しやすくするためには流出チューブの内径すなわち半径が小さい方がサイフォン化はしやすい。
図3に示すように、流出元に流体がその回路特有のサイフォン化流出最小量以上に貯まり、流出元内圧が初期サイフォン化圧を超えて、一度サイフォン化すれば、順方向性に持続流出完全流出する。
[蓄尿バッグ]
図4(1)はLDPE(低密度ポリエチレン)を素材とする蓄尿バッグ本体構成片29a、29bを表裏2枚厚さ方向に重ねて周縁部30を接合することにより従来より一般に広く使用されている薄型袋状の蓄尿バッグ17を構成した場合を示し、(2)は塩化ビニールを素材として全体円筒状に形成した蓄尿バッグ21を示し、(3)は塩化ビニールを素材として全体直方体状に形成した蓄尿バッグ24を示し、いずれも、持続流出回路における貯留バッグによる末梢抵抗を低減するように構成されている。
(1)流出回路における末梢抵抗を蓄尿バッグの素材の変更により低減する場合
図4(1)に示す実施の形態に係るバッグ17は、貯留バッグ本体31は全体密封構造であって、低密度ポリエチレン(LDPE)を素材とし、蓄尿バッグ本体構成片29a、29bを表裏2枚厚さ方向に重ね、周縁部30を溶着により接合されることにより形成されている。
「低密度ポリエチレン(LDPE)」は、繰り返し単位のエチレンがランダムに分岐を持って結合した、結晶性の熱可塑性樹脂であり、他のポリエチレンと比較して軟らかい性質を有し、軟質ポリエチレンとも呼ばれている。即ち、結晶化があまり進まず融点が低く、しなやかで柔らかい性質を有している。
従って、本実施の形態に係る低密度ポリエチレン製の蓄尿バッグ17にあっては、従来から使用されている蓄尿バッグの構造と同一の全体密封構造であって、全体薄型袋状に形成されているものであるが、表裏2枚に周縁部が接合された蓄尿バッグ本体構成片29a、29bが低密度ポリエチレン(LDPE)を素材としていることから、上記のように、しなやかで軟らかく、尿28が流入した場合に尿28の流入量に応じて柔軟に拡張しやすいことから、蓄尿バッグ17への尿28の流入に追随して変形しやすく、尿28により発生する流体抵抗を低減することができる。
従来の蓄尿バッグは塩化ビニル樹脂(PVC)製で、形状は同形の素材を2枚貼り合わせた薄型袋状に密閉した形状であったため、素材が硬く、かつ伸縮性が低く、尿が流入した場合であっても内部に形成された空隙部は追随して変形し、大きく進展して拡張することはない。
このような従来の蓄尿バッグに流出チューブを接続し、流出チューブにフォーリーカテーテルを接続して膀胱に配置して尿を流出させる場合には、全体として、大気には開放される部分のない閉鎖回路となる。
そして、従来製の蓄尿バッグでは、上記のように素材が硬く、伸縮性が低いことから尿が流入した場合に流体抵抗が強くなり、回路全体での末梢抵抗が高くなり、途中の高低差、管路抵抗などもあり、流出元の圧が正常の腹圧、膀胱内圧だけではサイフォン化せず、尿塞栓となり停留する状況があったものである。
このような事態を改善するために、本実施の形態にあっては、蓄尿バッグ本体構成片29a、29bを2枚貼り合わせた薄型袋状ではあるが、より柔軟に拡張しやすい低密度ポリエチレン(LDPE)に素材を変更して蓄尿バッグを形成したものであることから、本実施の形態に係る蓄尿バッグ17にあっては、流入部18から尿28が流入し貯留した場合には、蓄尿バッグ本体31が尿28の貯留量に追随して適宜変形することから、尿28による流体抵抗を低減することができ、その結果、流出回路における末梢抵抗を減衰することが可能となる。
蓄尿バッグの形態、構造を変更するものではなく、蓄尿バッグ本体31の素材を変更するのみであることから、製造工程及び蓄尿バッグの金型を変えることなく、持続流出回路における末梢抵抗を軽減することが可能となる。
また、本実施の形態に係る蓄尿バッグ17は、側面視縦長長方形状に形成され、流入部18は長さ方向上端部33の一端部に流出チューブ11bが接続されて流入部18が形成されると共に、前記流入部18の幅方向における反対側であって側方上端部34には、大気開放可能であって、収納された尿を排出できる排出部19が設けられている。排出部19は、先端部に排出孔を閉塞できるキャップ20が着脱可能に接合されている。
従来より、及び現在市販され使用されている蓄尿バッグにおいては、溜まった尿を排出する排出部は、ほとんどが蓄尿バッグの下端部付近に設けられている。このような部位に排出部が設けられていた場合には、尿は蓄尿バッグ13の下方から溜まっていくものであり、医療従事者、看護師、又は介護者は、蓄尿バッグ13から尿を排出させる場合には、尿が溜まっている部位に設けられた排出部のキャップを開放し、尿を排出させることとなり、操作の過程で手を尿で汚す場合や、逆行性感染に至る場合があった。
即ち、蓄尿バッグ13に尿28が流入した場合には蓄尿バッグ13の下端部から溜まっていくことから、蓄尿バッグ13に尿28が流入している場合であっても、上端部には尿28が溜まっていない状態となるのが一般であり、蓄尿バッグが尿により満杯の状態に至る前に看護者等により排出するのが一般的である。
そこで、本実施の形態にあっては、上記のように、排出部19を、流入部18の幅方向反対側であって、蓄尿バッグ17の側方上端部34に設けることにより、尿28の排出時に排出部19のキャップ20を開放した場合であっても、尿28が即時に排出されることはなく、その結果、看護者等が排出時に手指を尿28で汚す事態や、逆行性感染の事態を有効に防止することができる。
さらに、本実施の形態にあっては、蓄尿バッグ17の長さ方向における側方上端部34に排出部19が設けられていることから、看護者等は、片手で蓄尿バッグ17の流入部18を保持し、蓄尿バッグ17をぶら下げ、排出部19と対角線上の位置にある蓄尿バッグ17の下部を徐々に持ち上げ、排出部19を下にすることにより、容易、迅速かつ清潔に、溜まった尿28を排出させる作業を行うことが可能となる。
(2)流出回路における末梢抵抗を蓄尿バッグの形状の変更より低減する場合
上記実施形態に係る表裏2枚を厚さ方向に重ねて接合した密閉構造の薄型袋状の場合よりも、さらに末梢抵抗を軽減出来る構造としては中空の構造体にすることが考えられる。
その素材が従来の塩化ビニール樹脂であった場合には、素材が硬いからこそ形状記憶状態があり、中空状態にしておけば、末梢抵抗も減り、流入しやすくなる。その具体的な形状としては円柱状や直方体状などが考えられる。以下詳細に説明する。
(a)全体円筒状の蓄尿バッグ
図4(2)に示す実施の形態に係る蓄尿バッグ21は、合成樹脂製であって、外力が付加された場合には変形可能であると共に、圧縮後に前記外力を除去した場合には原形に復帰できる剛性を有する素材からなり、全体円筒状に形成されている。
上面部35であって、径方向一端部には流出チューブ11bが接続される流入部18が形成されると共に、前記流入部18の径方向における反対側であって側方周面上端部36には、大気開放可能であって、収納された尿を排出できる排出部19が設けられている点は前記実施の形態に係る蓄尿バッグ17の場合と同様である。
本実施の形態に係る蓄尿バッグ21は全体円筒形状であり、内部には所定径、所定深さ寸法の円筒状であって所定容量の空隙部22が形成されている。
この空隙部22の容量は、底面部23の半径をr、高さ寸法をhcmとした場合、
Volume(容量)= π × r^2 × hとなる。
その結果、内部の空隙部22に流入部18から尿28が流入した場合であっても、所定の容量の空隙部22であることから、尿の流体抵抗を大きく減衰し、流出回路における末梢抵抗を低下させることが可能となる。
本実施の形態に係る蓄尿バッグ21の素材は塩化ビニール(PVC)である。塩化ビニール(PVC)は素材として所定の硬度を有することから、外力が付加された場合には変形可能であると共に、圧縮後に前記外力を除去した場合には原形に復帰できる剛性を有している。
従って、本実施の形態に係る蓄尿バッグ21は、実際の使用時に何らかの外部からの外力が付加された場合であっても、所定の円筒状の形状を維持することができる所定レベルの形状記憶性を有することから、内部に形成された円筒状の空隙部22の上記容量を維持し、末梢抵抗の低下を継続することができる。
(b)全体直方体の蓄尿バッグ
図4(3)に示す実施の形態に係る蓄尿バッグ24は、合成樹脂製であって、外力が付加された場合には変形可能であると共に、圧縮後に前記外力を除去した場合には原形に復帰できる剛性を有する素材からなり、全体直方体に形成されている。
上面部35であって、幅方向一端部に流出チューブ11bが接続される流入部18が設けられていると共に、前記流入部18の幅方向における反対側であって側方上端部38には、大気開放可能であって、収納された尿を排出できる排出部19が設けられている点は前記実施の形態に係る蓄尿バッグ17の場合と同様である。
本実施の形態に係る蓄尿バッグ24は全体薄型直方体形状であり、内部には所定幅、所定深さ寸法、所定厚さ寸法、所定容量の直方体状の空隙部26が形成されている。
この空隙部26の容量は、幅寸法X、厚さ寸法Y、高さ寸法をZとした場合、X × Y× Zとなる。
その結果、内部の空隙部26に流入部18から尿28が流入した場合であっても、所定の容量の空隙部26であることから、尿28の流体抵抗を大きく減衰し、流出回路における末梢抵抗を低下させることが可能となる。
本実施の形態に係る蓄尿バッグ24の素材は、前記実施の形態の場合と同様に塩化ビニール(PVC)である。塩化ビニール(PVC)は素材として所定の硬度を有することから、外力が付加された場合には変形可能であると共に、圧縮後に前記外力を除去した場合には原形に復帰できる剛性を有している。
従って、本実施の形態に係る蓄尿バッグ24は、実際の使用時に何らかの外部からの外力が付加された場合であっても、所定の直方体状の形状を維持することができる所定レベルの形状記憶性を有することから、内部に形成された直方体状の空隙部26の上記容量を維持し、末梢抵抗の低下を継続することができる。
(c)円筒状であって蛇腹部を設けた蓄尿バッグ
図5に示す蓄尿バッグ32は、可撓性を有し、外力が付加された場合に弾性変形すると共に、変形後前記外力が除去された場合には原形状に復帰できる性質を有する素材により形成されている。
本実施の形態にあっては塩化ビニール樹脂により形成されているが、ポリプロピレン樹脂を形成されていてもよい。さらに、形状記憶合金、形状記憶樹脂等の適宜の形状記憶素材により構成されていてもよい。
蓄尿バッグ32は、全体円筒状に形成され、軸方向に沿って蓄尿バッグ本体31に蛇腹部25が設けられ、蛇腹部25により軸方向に沿った外力が付加された場合には圧縮可能であると共に、圧縮後に外力を除去した場合には原形に復帰し、原形に復帰する際に陰圧を発生させるように構成されている。
流入部18及び排出部19の配置に関しては前記実施の形態と同様である。即ち、上面部35であって、径方向一端部に流出チューブ11bが接続される流入部18が設けられていると共に、前記流入部18の径方向における反対側であって側方周面上端部36には、大気開放可能であって、収納された尿を排出できる排出部19が設けられている。
本実施の形態に係る蓄尿バッグ32は、全体円筒形状の中空構造体であって蛇腹部25により蛇腹構造を有しており、上方から軸方向に押しつぶして扁平にしやすい、圧縮復元可能な構造として形成され、いわゆる「フットポンプ」状に構成されている。
従って、本実施の形態に係る蓄尿バッグ32にあっては、図5(1)に示すように、排出部19のキャップ20を外して、排出部19を開放状態にした状態にして、次に、図5(2)に示すように、蓄尿バッグ本体31を上方から力を加えて押圧圧迫して蓄尿バッグ32を圧縮変形させて圧縮後の蓄尿バッグ39(32)を形成して弱陰圧を発生させ、排出部19をキャップ20により閉鎖する。
その後、図5(3)に示すように、蓄尿バッグ本体31に加えていた力を開放した場合には、蓄尿バッグ40(32)は、素材の剛性により元の形状へ復帰するが、蓄尿バッグ本体31の内部は閉鎖空間となっていることから蓄尿バッグ内部には所定の大きさの陰圧が形成される。
その結果、流出回路における末梢抵抗は大きく減衰され、前記各実施の形態に係る蓄尿バッグの場合よりも、さらに初期サイフォン化圧Psを低下させることが可能となる。
即ち、実際に使用する際には、蓄尿バッグ32の流出部19のキャップ20を外し、排出部19を大気に開放した状態とし、その後、蓄尿バッグ32を上方から力を加えて圧迫圧縮して潰すことにより中空構造体の蓄尿バッグの中の空気を押し出した状態の蓄尿バッグ39(32)を形成し、キャップ20により排出部19を閉塞した場合には、蓄尿バッグ本体39(32)内は(弱)陰圧の状態となる。
この場合、本実施の形態に係る持続流出回路システムにおいて、図2に示すように、実地臨床円弧モデル条件下でのサイフォン化確認テストにおいては、上記手順により圧縮後原形に復帰する際に陰圧Pn(cm水圧)が生じ、図5(3)に示すように、構造が閉鎖式で空間が密閉しているため蓄尿バッグ40(32)から流出元である膀胱10にも陰圧による吸引力が働き、初期サイフォン化圧も低減され、通常の初期サイフォン化圧Psから陰圧のPn分が減圧され、Ps-Pnの初期サイフォン圧となり、H1>Hsであっても、持続流出が可能となる。
また、従来品と同様の閉鎖式の蓄尿バッグとして構成し、かつ、所定の強度を有する素材として塩化ビニールあるいはポリプロピレン等を採用し、円筒状の中空蛇腹様構造体として形成することにより、使用前にバッグをフイゴの様に、あるいはフットポンブドラムのように上下方向に沿って圧縮して流出口19を閉じ、原形に復帰させることにより内部に所定の大きさの陰圧を形成でき、本発明に係る持続流出回路システムにおける初期サイフォン化圧、並びに尿のサイフォン化最小量を低減することが可能となる。
上記のように、中空の円筒状であって蛇腹様構造に形成すると共に、流入部18及び排出部19の配置を、流入部18を上面部35の径方向一端部に設けると共に、排出部19を流入部18の径方向における反対側であって側方周面上端部36に設けることにより、ドリップチャンバー、逆流防止弁、エアフイルターも必要性は無くなり、全体の構造も必要最小限の構造と要素により構成することが可能となる。
従って、蓄尿バッグ32を、最大圧縮し、図5(2)の符合39で示した状態にした場合に、―20cm水柱を形成できる程度の陰圧になる様に設定しておけば、初期サイフォン化圧は陰圧になる事は無く、使用者にとって安全な状態で使用することができる。また、目的用途によっては、圧縮した場合に、陰圧が25cmあるいは30cm水柱の陰圧を形成できるように構成した蓄尿バッグであっても、使用者、患者の尿性状により有効に使用することができる。
さらに、本実施の形態にあっては、蓄尿バッグ32を全体円筒形であって、蓄尿バッグ本体32に蛇腹部25を設けた場合を例に説明したが、本実施の形態のように構成した場合には、バッグの陰圧を調節しやすい。
一方、実際の使用の際に、狭い限られたスペースに設置した、例えば、レッグバッグとして使用するような場合には、図4(c)に示すような、全体薄型直方体状の蓄尿バッグ24として形成して、蛇腹部を、厚さ方向及び幅方向に沿って設けた場合には、厚さ方向又は幅方向に沿って圧縮させて陰圧を発生させることができる。従って、蓄尿バッグの具体的形状、構成に関しては本実施の形態に係る構成に限定されない。
以下に、図5を参照しつつ、本実施の形態に係る蓄尿バッグ32の使用状態における陰圧と初期サイフォン化圧との関係について説明する。
初期サイフォン化圧>20+αcm水柱
図5の(1)使用前の状態では、円筒状バッグの流出口を開放した状態で、採尿キットとして、実地臨床円弧モデル条件下で流出誘導体のフォーリカテーテル及び流出チューブに接続した状態である。
この場合、蓄尿バッグ32の排出部19はキャップ20を外しており、蓄尿バッグ32は、内部の空隙が大気に開放された状態にあり、内部は大気圧である。この状態から、蓄尿バッグ32の排出部19をキャップ20により閉じて(あるいは閉じず)、そのまま使用する。なお、蓄尿バッグ32に関しては、使用状態での実地臨床円弧モデル下でのサイフォン化確認テストはクリアーしており、初期サイフォン化圧は特定されていることが前提である。
当然、ネフローゼ、血尿その他、尿の性情により流出物の粘稠度が異なる場合、使用できるかどうか、は予め品質管理システムでその有効限度を明らかにしておくことが必要である。
20+αcm水柱>初期サイフォン化圧>=0cm水柱
図5の(2)は、蓄尿バッグ32を上方から下方に押圧して、蛇腹部25により、予め、第1高低差であるマイナス20cm水柱になる位置まで圧縮した状態の蓄尿バッグ39(32)を示している。この場合、圧縮後に排出部19をキャップ20により閉塞する。
この場合、圧縮後、蓄尿バッグ本体31は素材(本実施の形態にあっては塩化ビニール)の剛性により原形状に戻ろうとして復帰する。第1高低差を20cmに設定してあるので、内腔抵抗など合わせても初期サイフォン化圧は大気圧中だと20+αcm水柱になるはずであり、バッグ内の陰圧と相殺され初期サイフォン化圧は+αcm水柱となる。
図5の(3)は、膀胱10において、サイフォン化して流出するための流出最小必要量以上の尿28が貯留し、そして初期サイフォン化圧に達して膀胱から持続流出して途中の回路を全て満たしてサイフォン化し、尿28が流出し続けている状態を示す。
初期サイフォン化圧<0cm水柱
糖尿病、ネフローゼ症候群、細菌用など尿の粘度が高くなっていて、流れにくい場合についての蓄尿バッグ35の使用方法について説明する。
図5(1)における使用準備は上記実施例1と同様である。次に、蓄尿バッグ32をより強い力でさらに圧縮し、その後、キャップ20により排出部19を閉塞して、尿の粘度に応じたより大きな陰圧を発生させる。この場合、尿の粘稠度に応じて発生させる陰圧を調整する。
例えば、採尿キットとしてここまで圧縮すればマイナス25cm水柱、マイナス30cm水柱になるというように、その採尿キットの蓄尿バッグの素材と構造によりその圧縮度合と陰圧の関係を確認し把握し、「圧縮陰圧曲線」をその蓄尿バッグの大きさ、形状の製品毎に作っておく。
最初の自然長(高さ)から、圧縮した圧縮度合(高さ)により、流出口を閉じたときの陰圧は決まるので、予め規格として高さ何センチまで圧縮したらマイナス何cm水柱の陰圧と説明書に記載しておくことが必要である。
それを目安に、余り急激に大きな陰圧を掛けずに穏やかに持続流出出来る圧に調整して使用する。それで実際の流出速度を確認しながらバッグの圧縮即ち蓄尿バッグ内の陰圧を調整して、程良く持続流出するように蓄尿バッグを調整設定する。
図6は、持続流出システム回路を作製する際に必要な要素と、その規格を策定し、その品質を保証するために必要な要素であり、適正な医療機器を作製しその品質を管理するためのPDCAを当てはめた品質保証と品質管理システム全体像を示した。
この持続流出管理システムがあってこそ、持続流出システム回路が適正に造られ、適正に使用・運用され、臨床上の管理の利便性が増し、適正な医療がなされ、使用される人及びその家族の生活の質を向上させる。
そのためにも基準人工膀胱と基準濃縮糖尿と臨床ループモデル条件を検討する必要があり、その元となる的確な現状確認をした上で、目的、目標とPDCAサイクルのシステム思考は必須である。
本願発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜、変更、応用が可能であり、上記各実施の形態の構成には限定されない。例えば、本実施の形態にあっては、蓄尿バッグを、塩化ビニール(PVC)を素材とした場合を例に説明したが、ポリプロピレンであってもよい。さらに、所定の可撓性及び剛性を有する他の合成樹脂であっても良い。
また、各種の形状記憶素材により構成してもよく、形状記憶合金、形状記憶樹脂によって蓄尿バッグ、貯留バッグを構成することもできる。
さらに、上記実施の形態にあっては、本願発明に係る持続流出システム回路における貯留バッグを、膀胱から排出した尿を貯留する蓄尿バッグに適用した場合を例に説明したが、上記各実施の形態に限定されず、膀胱以外の体内における流体の流出元から流体を流出させて貯留する場合にも適用することができる。
バッグの素材と形状との関係で構造を有した形状記憶素材では円筒蛇腹のバッグも出来る。ただ、内容物を洩れないように入れるだけの物であれば、低密度ポリエチレン(LDPE)性の2枚あわせの袋でも持続流出させる事は可能であるが、円筒状の構造体であれば、従来のバッグと同じ塩化ビニール(PVC)でも可能である。
一方、陰圧をしっかりと産み出したい場合は種々のエアポンプあるいはフットポンプドラムとして使用されている素材はポリプロピレンが適正であり、利用可能である。いずれにせよその容量と陰圧の制御調整に適切な素材と形状を選ぶ必要がある。即ち、わざわざ蛇腹構造を造らなくても単に円柱状でも、十分な素材を選べば良い。その形状と素材と陰圧の関係については実際に確認する必要がある。
本発明は、持続流出システム回路における貯留バッグ、持続流出システム回路、持続流出システム回路の品質管理システム及び、持続流出システム回路における貯留バッグの品質管理方法に係るものであるから、広く、産業上の利用可能性を有している。
10 膀胱
11 流出誘導体又は流出チューブ
11a 流出誘導体
11b 流出チューブ
12 接続流入部
13 従来の貯留(蓄尿)バッグ
14 本発明に係る貯留(蓄尿)バッグ
15 開口容器
16 流出口
17 低密度ポリエチレン(LDPE)製の蓄尿バッグ
18 流入部
19 排出部
20 キャップ
21 蓄尿バッグ(円筒形)
22 空隙部
23 底面部
24 蓄尿バッグ(直方体)
25 蛇腹部
26 空隙部
27 流入部
28 流体(尿)
29 蓄尿バッグ本体構成片
30 周縁部
31 蓄尿バッグ本体
32 蓄尿バッグ
34 側方上端部
35 上面部
36 側方周面上端部
37 上面部
38 側方上端部
39 圧縮直後の蓄尿バッグ
40 圧縮開放途中の蓄尿バッグ
S 基準の高さ位置

Claims (5)

  1. 実際の臨床状況の中で形成される、ベッド臥床時、車椅子使用時、又は立位時実地臨床円弧モデル条件下において使用され、
    体内にある伸展収縮可能な弾性閉鎖空間である流出元から、前記弾性閉鎖空間内の流体をサイフォンの原理によりサイフォン化する事によって持続的に流出させ、前記流体を貯留する持続流出システム回路における貯留バッグであって、
    前記持続流出システム回路は、
    前記流出元から前記流体を流出させるために設けられる流出誘導体と、
    前記流出誘導体から流出先である前記貯留バッグまで前記流体を移動させるための流出チューブとを備え、
    前記流出元と流出先である前記貯留バッグとの圧差をPとし、サイフォン化持続流出システム回路全体の抵抗をRallとし、実際の使用環境条件を考慮した臨床円弧モデル条件の第1高低差H1と、
    前記サイフォン化持続流出システム回路全体の抵抗Rallによる初期サイフォン化抵抗Rsを乗り越えて持続流出を開始するサイフォン化のための初期の圧差としての初期サイフォン化圧Psを生むための規定最少容量をVminとし、
    その内の前記弾性閉鎖空間を満たす容量をVoとし、その初期サイフォン化圧Psにより、前記第1高低差H1のピークを乗り越え流出開始するサイフォン化境界までの前記第1高低差H1の管腔を占める容量をVloopとし、その内の前記流出誘導体の内腔量Vhgと流出チューブの内腔量Vhtとし、さらに前記流出誘導体及び前記流出チューブそれぞれの全内腔容量をVg,Vtとするとその関係は、
    [数1]

    であり、前記式により規定されるサイフォン化容量条件を満たし、かつ、前記管腔内を流出中も隙間無く充満しながら流出するように前記持続流出システム回路が設計され、
    前記第1高低差H1の以降の円弧によって発生する第2高低差H2があっても前記流出元の弾性及び前記貯留バッグとの圧差により流出し続けて完全流出するように構成され、
    前記流出誘導体全長の管路抵抗Rg、前記流出チューブ全長の管路抵抗Rt、前記貯留バッグにおける抵抗Rpと、実際の使用条件を考慮した前記臨床円弧モデル条件として前記流出チューブに発生する前記第1高低差H1及び前記第2高低差H2、並びに、前記流出チューブの管路抵抗による前記初期サイフォン化抵抗Rsと、前記第1高低差H1及び前記第2高低差H2及び前記初期サイフォン化抵抗Rsの抵抗を乗り越えて持続流出を開始するサイフォン化のための初期圧差としての前記初期サイフォン化圧Psとの関係式は、
    [数2]
    Ps≧Rs>Rall = Rg+ Rt + Rp
    であって、
    前記第1高低差H1は、前記流出元である弾性閉鎖空間としての膀胱の下端部と、前記膀胱に接続され、前記流体としての尿を流出させる流出誘導体又は流出チューブが前記膀胱の高さ位置から上方へ円弧を描いて配置された場合の最上部との間の高低差であり、前記第1高低差H1及び前記第2高低差H2は、それぞれ20cmであり、
    前記貯留バッグは、前記流出チューブの端部が貯留バッグ本体に直接に接合固定された閉鎖式の貯留バッグであって、
    前記貯留バッグ本体の素材、形状又は構造により前記貯留バッグにおける抵抗Rpを低減することにより前記初期サイフォン化圧Psを低減し、
    前記貯留バッグ本体の上面部の幅方向一端部には、前記流出チューブが接続されて流入部が形成されると共に、前記貯留バッグの側面部であって、前記貯留バッグ本体の幅方向における前記流入部とは反対側の上端部には、閉止可能であると共に大気開放可能に形成された排出部が設けられ、
    前記貯留バッグ本体から尿を排出させる場合には、前記排出部を大気開放させた状態で、前記貯留バッグ本体の前記流入部側を保持しつつ排出部側を下にすることにより前記貯留バッグ本体内部の尿を排出させるように構成されていることを特徴とする貯留バッグ。
  2. 低密度ポリエチレン(LDPE)を素材とし、貯留バッグ本体構成片を表裏2枚厚さ方向に重ね、周縁部を接合されることにより薄型袋状に構成されていることを特徴とする請求項1記載の持続流出システム回路における貯留バッグ。
  3. 前記貯留バッグ本体は、塩化ビニールを素材とし、全体円筒状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の持続流出システム回路における貯留バッグ。
  4. 前記貯留バッグ本体は、塩化ビニールを素材とし、全体直方体に形成されたことを特徴とする請求項1記載の持続流出システム回路における貯留バッグ。
  5. 前記貯留バッグ本体は、塩化ビニール、ポリプロピレン又は形状記憶素材からなり、軸方向に沿って蛇腹部が設けられ、軸方向に沿った外力が付加された場合には前記蛇腹部により圧縮可能であると共に、圧縮後に前記外力を除去した場合には原形に復帰し、原形に復帰する際に陰圧を発生させるように構成された請求項1記載の持続流出システム回路における貯留バッグ。
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