JP7491739B2 - 抗ウイルス性、抗菌性空調用ハニカムロータ - Google Patents

抗ウイルス性、抗菌性空調用ハニカムロータ Download PDF

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Description

本発明は、一般空調に採用される回転式全熱交換器やデシカント空調機のロータに関するもので、空調空間が予期せずウイルスや細菌に汚染されて二次感染のリスクが高まったときでも、ウイルス、細菌等のクロスコンタミや拡散リスクを低減する全熱交換ロータ、またはデシカントロータを提供するものである。
全熱交換器は空調換気による排熱を回収する優れた省エネルギー装置である。全熱交換器には回転式と静止型とあるが、本発明は回転式全熱交換器ロータに関するものである。回転式全熱交換器は、顕熱と共に潜熱(湿気)も蓄熱交換できるよう、アルミニウム製のハニカム表面にシリカゲルやゼオライト、イオン交換樹脂等の粉末を塗布している。
全熱交換器は上記のように潜熱交換剤を塗布したハニカムロータを用い、図1に示すようにハニカムロータを少なくとも外気(OA)⇒給気(SA)ゾーンと還気(RA)⇒排気(EA)ゾーンとに分割し、ハニカムロータを数~数十RPMの速度で回転させる。還気ゾーンには室内の使用済み空気を通気して、全熱をロータハニカムに蓄熱させて使用済み空気を排気する。外気を取り入れる側はロータに蓄熱した全熱を受け取った空気が給気される。
冬期の例で原理を説明すると、還気ゾーンに室内の使用済み空気を導入通過すると、ハニカムに顕熱と潜熱が蓄熱されて使用済み空気は冷却減湿されて排気ゾーンから排気される。一方、外気ゾーンから外気を導入すると、外気はロータに蓄熱された顕熱と潜熱で加温加湿されて給気ゾーンから供給されることで暖房の加温、加湿エネルギーを削減することができる。夏期は冷暖が入れ替わるが同じ原理で外気を冷却、減湿して給気することができる。
デシカント空調機は、構造的には回転式全熱交換器と同じで、全熱交換器のロータ回転数に対し数十分の一の回転数で使用される。例えば200mm幅のロータの場合、全熱交換器では10rpm前後から数十rpm。デシカントロータの場合は10rph前後から数十rphというようにである。
全熱交換器の場合は、使用済空気の全熱を、取り入れる外気側に回収する原理に対し、デシカント空調機は処理対象空気が使用済空気の場合もあり、外気の場合もある。デシカント空調機は処理空気を除湿するために、再生側空気を加熱するか、または処理側空気を冷却する場合もある。あるいは再生側空気の加熱と処理側空気の冷却を同時に行う場合もある。
近年、室内側からの使用済空気を加熱せず再生側に投入し、処理側空気を冷却除湿したのち処理側に投入して処理側空気をデシカント除湿するパッシブ空調と言われるデシカント空調方式も存在する。つまり処理空気の相対湿度と再生空気の相対湿度差により、相対湿度の高い側の湿度をデシカントに吸着して絶対湿度を低下させ、相対湿度の低い側ではデシカントに吸着している湿度を脱着させて絶対湿度を高くして排気(あるいは給気)する原理である。
近年デシカント空調機では処理空気を除湿する用途だけでなく、冬季では加湿用途に用いることもある。さらにデシカント空調機でありながら状況に応じてロータ回転数を全熱交換器の回転数に上げて全熱交換させる運転方法もある。逆に全熱交換器でありながら、状況に応じてロータの回転数をデシカント空調ロータの回転数に下げてデシカント運転する方法もある。本考案は全熱交換ロータまたは/およびデシカント空調ロータであり、全熱交換とデシカント運転の両方に運用するロータにも適用できる。
特開平11-300147号公報 特開平11-304383号公報
Aerosol and Surface Stability of SARA-CoV-2 as Compared with SARS-CoV-1 :「The New England Journal Of Medicine」,March 17, 2020 「回転型全熱交換器の細菌・かび菌移行に関する実験と考察」,空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集,2010.9.1
近年、インフルエンザウイルス、やSARSウイルス、新型コロナウイルスの感染流行により、社会活動が著しく阻害される例も増えている。細菌は短径0.5~1μm、0.5~5μmの大きさである。ウイルスはさらに小さい直径150~180nmで細胞を持たず、細胞に寄生して宿主に害を及ぼす。ウイルスは微細であるため飛沫が飛散し、飛沫の水分の蒸発によりさらに微細化してエアロゾルとなり、空気中に長時間浮遊することでの吸入感染や、衣服、食物、器物に付着することで二次感染リスクを高める。二次感染低減対策のなかで換気も重要な対策の一つであり、平時においては省エネ性も重要であるため、不測の二次感染防止対策に備えた全熱交換器の安全性向上に関するニーズがある。
病院の空調では、ウイルス、細菌等の感染者が収容される汚染区域は、他の区域への汚染拡散防止のため陰圧空調され、使用済み空気は高性能フィルターや殺菌装置で殺菌、除菌して排気しなくてはならない。汚染区域以外の場所では一般空調と同じように陽圧で運用されるが、感染リスクを低減する換気の重要性は変わらない。
回転式全熱交換器はロータが回転しながら、室内の使用済み空気と外気が交互に通過することで相互の空気の全熱を交換する原理だが、ロータ回転に伴ってハニカム空隙に内包する空気の、他ゾーンへの移行が問題になることがある。このような場合はパージセクタを設けて使用済み空気が給気側に移行しないようにする技術は公知である。
またシリカゲル系等の細孔を有する吸着材では、潜熱(水蒸気)と共に一部臭気を吸着して、臭気が使用済み空気から給気に移行する現象も公知である。このような原理から、回転式全熱交換器では使用済み空気中の細菌やウイルスも、給気に移行するのではと懸念する人もいる。しかしウイルスの濃度を低減させるための換気は重要で、寒暑のストレスも二次感染リスクを高めるとして、空調換気を推奨するガイダンスが空調関連学会等から発信されている。
発明者らは、非特許文献2に示すように、外気中に存在する細菌とカビ菌を利用して室内の菌と想定し、高性能HEPAフィルターで除菌した空気を外気に見立てて細菌、カビ菌の移行試験を実施した。ほとんどの細菌(表1)とカビ菌(表2)はロータを通過すること、そして移行することがなかったと学会にて発表している。
この理由は、実験に用いた全熱交換器が使用条件において層流領域で使用されているため、図2、図3に示すように使用済み空気に混ざっている細菌やカビ菌のほとんどがハニカム壁に接触することなく、通過排気されるためと分析している。またパージセクタの設置がなくても細菌、カビ菌の移行がないことについては、実験の精度や菌数の少なさによる誤差と考えられた。また測定菌数の少なさから、必ずしも移行しないとは言えないという細菌学専門家の意見もある。
また以前本発明者らはハニカム壁に付着したカビ菌や細菌を不活化させる機能を付与するために全熱交換ロータのハニカムシートに防カビ剤や抗菌剤を添着する技術を検討している。このような技術として例えば特許文献1、および2に開示されたものがある。
しかしその後本発明者は、パージセクタがなくても細菌やカビ菌の移行が少ない理由について再考してきた。ロータの回転によって還気(RA)⇒排気(EA)ゾーンから外気(OA)⇒吸気(SA)ゾーンにゾーンが切り替わる前後で、気流が短時間で一旦停止して、逆流するときに、ハニカムに内包されて移行した使用済空気は一時的に乱流を生じて、気中の細菌やカビ菌はハニカム壁に付着し、さらに通気しても通過空気は層流に変化し、付着したカビ菌や細菌は再剥離することなく、付着したままライフが尽きるのではないかと気付き本考案に至った。
この知見により想定される最大風量時においても層流を形成し、流入空気が完全に層流になるまでの助走区間長がロータ幅(流路長)の2分の1以下になるハニカム形状寸法であって、さらにロータの回転によるゾーンの切り替わりによって繰り返し逆流を生じる全熱交換ロータまたは/およびデシカントロータ(以下空調用ハニカムロータ)であって、さらにハニカム表面が塩基性硫酸銅、または塩基性塩酸銅、または水酸化銅でコートした抗ウイルス性、抗菌性空調用ハニカムロータを発案した。
特許文献1に開示されたものは、シート基材の両面に接着剤を介して吸湿剤の粒子が接着され、粒子の露出表面が微細孔を有するとともに防カビ剤または/および抗菌剤を含有するコーティング膜により被覆されるようにしたものが開示されている。
特許文献2に開示されたものは少なくともその一部が殺菌剤を含有する無機吸着剤粒子をシート基材に接着剤を介して接着し、シート基材をハニカム形状に形成したものが開示されている。以上の特許文献1、2には有機系の防カビ剤や有機系抗菌剤、あるいは銀系抗菌剤を無機系多孔質材料に担持した非溶出型の抗菌剤の使用が開示されている。
家庭用品等、ヒトが直接取り扱う、又は身に着ける製品を対象にした抗菌剤が多数上市されているが、本発明が目的とする、長期的に細菌、ウイルスの移行を限りなく低くする効果は不十分と考えられ効果の証明も困難である。
病院空調では、細菌やウイルス感染が判明している患者は陰圧空調に設計した汚染区域に隔離されるが、一般の患者は一般病棟に入院するか、感染が判明していない患者は待合室から来院し、気づかないうちに感染を広めてしまうリスクがある。また医師や看護師の感染により意図せずに二次感染を引き起こすリスクも問題になっている。本考案はこのように予測不能なリスクに備えながら、平時において省エネルギーで快適な空調を提供する全熱交換ロータまたは/およびデシカント空調ロータを目的とする。
特許文献1,2に開示されている有機系の抗菌剤は劣化の可能性から、10年以上という空調用ハニカムロータの耐用年数から考えると適していない。また銀系抗菌剤は安全性が高く、対ヒト用途として広く知られている。しかし空調機に使用することを想定すれば、長期の運用では酸化して抗菌性が劣化することや、コスト高である欠点がある。
また細菌やウイルスの消毒に塩素系殺菌剤が多用されることを考えると、銀系抗菌剤は塩素によりハロゲン化銀を形成して抗菌性がたちまち消失する欠点を有する。金属系抗菌材の安全性、耐久性を高めるためシリカゲルやゼオライトなどの無機多孔体に担持した非溶出型抗菌剤も多く上市されているが、高価であり本発明の目的には適さない。
本件発明は以上のような課題を解決するため、設計上の最大風量においても層流を形成し、流入空気が乱流から完全に層流になる助走区間長がロータ幅の2分の1以下になるハニカム形状寸法であって、さらにハニカムシートの表面が、銅イオン溶出型の抗ウイルス剤、抗菌剤を含有したコーティング層で覆われていることを特徴とする空調用ハニカムロータを考案した。
まず、設計上の最大風量においても層流を形成するとは、層流が乱流に変化する遷移域のレイノルズ数(以下Re数)が2300~4000なので、Re数2300以下の層流領域、望ましくは1150以下になるハニカム形状サイズに設計製作する必要がある。また、いったん付着したウイルスや細菌が剥離再飛散しないように、ハニカムに流入した空気が乱流から完全に層流になる助走区間長がロータ幅(流路長)の2分の1以下に設計製作する必要がある。
また新型コロナウイルスに対する抗ウイルス性に関して興味深い文献がある。2020年3月「The New England Journal Of Medicine」に発表された医学文献では、コロナウイルスが空気中で3時間生存し、プラスチックやステンレスの表面では2~3日間生存すること、段ボールの表面でも24時間生存する。しかし銅の表面では4時間で死滅することが示されている。
本発明者は前記医学文献に着目し、アナロジー思考にて、農薬に汎用される塩基性銅系抗菌剤を空調用ハニカムロータに組み合わせることを検討した。銅の表面では銅イオンが形成され銅イオンによる殺菌性が発現する。銀イオンや銅イオンの殺菌性は良く知られており、銀製の食器や銅の調理器具など古くから使われている。
しかし銅はイオン化しにくい金属なので、イオン化しやすい塩基性銅系抗菌剤のほうがより高い効果が期待できる。銅イオンはウイルスのDNAと反応して抗ウイルス性を発揮すると言われている。
前述のように銀系抗菌剤は耐久性やコストの点で本発明のテーマに用いることは適当でない、また銅系の非溶出型抗菌剤も効果やコストの点で望ましくない。そこで本来は農薬用途ながら、アナロジー思考にて、溶出性の塩基性銅系の抗菌剤を用いることを発案した。銅イオン溶出型の抗菌剤は例えば塩基性硫酸銅と消石灰を混合したボルドー液が有名であるが、農薬故に空調装置に応用する発想がなかった。例えば硫酸銅は毒性があり、毒物及び劇物取締法により医薬用外劇物に指定されている。
しかしボルドー液自体の安全性は高く普通物(毒性はない)とされており、野菜等の収穫物に残留するレベルではヒトへの危険性はない。またボルドー液のような無機銅農薬を使用した農産物は日本農林規格(JAS)において「有機農産物」の表示が認められている。
しかし農薬故、ヒトが触るあるいは身に着けるものに採用することは無理という常識があった。しかしアナロジー思考により本来は農薬であっても、人の手が触れることのないロータハニカム内部であれば採用可能と発想した。
ボルドー液のような銅イオン溶出型の抗ウイルス、抗菌剤を特許文献1,2のように接着剤やコーティング剤に混合してハニカム表面にコーティングすれば目的とする抗ウイルス空調用ハニカムロータができるが、そのまま用いればハニカム基材であるアルミニウムを腐食して種々の問題を生じる可能性があるので、コートする前にコーティング剤を、アルミニウムを腐食しないPHに調整する必要がある。
また潜熱交換性能を付加するためにゼオライトを混合してコーティングする場合は、ゼオライトと抗菌剤をコーティング剤に配合したときに、ゼオライトの分解しないPH5~12の範囲になるように調整する必要がある。配合したときに塩基性硫酸銅の銅イオンが、ゼオライトの陽イオンとイオン交換しても、ゼオライト中の銅イオンの抗菌性は維持され、十分な量があればイオン交換されない銅イオンも存在し、ロータ全体での抗ウイルス性効果は失われない。
銅系抗菌剤は毒性がなく劇物でない、塩基性硫酸銅又は塩基性塩化銅または水酸化第二銅を主成分としたものを用いる。また塩基性硫酸銅の安定性を高め、安全性や効果を高めるために塩基性硫酸亜鉛及び/または塩基性炭酸マグネシウム等を配合した塩基性硫酸銅水和剤も望ましい。
さらにアルミニウムはPH5以下の酸性又はPH9以上のアルカリ性で溶解性が増すため、PH5~9の範囲で安定するコーティング層を形成する銅イオン系水和剤を選定するとともに、必要に応じてこのPH領域に調整して用いる。
本発明の空調用ハニカムロータは上記の如く構成したので、一般空調において想定外の事態により空調空間がウイルスや細菌で汚染され、二次感染が生じるリスクが生じても躊躇せず換気を継続することができ、換気によってその使用済み空気が空調用ハニカムロータを通過しても、層流効果によりウイルスや細菌のほとんどがハニカムを通過して排気され、室内の汚染濃度が低減される。
またパージセクタがない場合でも、ロータの回転により還気(RA)⇒排気(EA)ゾーンから外気(OA)⇒給気(SA)ゾーンに移動する際にハニカムに内包されて移行する空気中の細菌やウイルスは、切り替わり毎に生ずる流れの停止(図4)と逆流により発生した乱流(図5)によりハニカム壁に付着するが、その後短時間で層流が回復する(図6)ので剥離することなくハニカム壁に滞留して、ハニカム壁に含有される塩基性硫酸銅の銅イオンにより短時間で不活化する効果が期待できる。また銅イオン溶出型は銀イオン系のように劣化することなく、長期にわたって抗ウイルス性、抗菌性を発揮する。
また生産に当たっては従来型の空調用ハニカムロータと比較して、特別な装置や材料を必要としないため早期に生産開始でき、またコストも一般的な抗菌剤よりも低廉で入手が容易であるため、空調用ハニカムロータは比較的低コストで提供できる効果を有する。
図2に示すように還気(RA)⇒排気(EA)側に空調室内からの使用済み空気が通過するときに、通過空気が完全な層流状態になるまでに、使用済み空気に含まれるウイルスや細菌がハニカム壁に接触付着する可能性はある。使用済み空気が完全に層流になってからは通過空気中に含まれるウイルスや細菌はハニカム壁に接することなく通過排気される。
さらにロータが回転して前述のハニカムが外気(OA)⇒給気(SA)ゾーンに切り替わり、ハニカムに外気が流入すると図3に示すように流入空気は助走区間を経て完全な層流になるが、前述の還気(RA)⇒排気(EA)ゾーンでウイルスや細菌が付着している領域では層流になっているため、ハニカム壁に付着しているウイルスや細菌を剥離再飛散させることはなく、銅イオンにより付着したまま短時間で不活化する。
パージセクタがない場合は、ハニカム空隙に内包された空気が他のゾーンに、ロータの回転により移行する。移行量はロータ回転数と風速、ロータ幅、開口率で変化するが、例えば200mm幅の全熱交換運転の場合でロータ回転数16rpm、ロータ全面風速2m/s、開口率85%のとき、移行率は5%程度になる。また4m/sでは2.5%程度になる。デシカント空調運転の場合は回転数比例で移行量は少なくなる。
またパージセクタの設置がない場合、前述したようにゾーンが切り替わるときにハニカム内に滞留する使用済み空気にウイルスや細菌が残留したまま外気(OA)⇒給気(SA)ゾーンに回転移行しても、流れの休止や逆流再開により発生する乱流によりハニカム壁に付着し、その後通過空気は層流で流れるのでウイルスや細菌が剥離離散して給気を汚染することなく、銅イオンで短時間に死滅する効果が期待できることが、本発明が意図した効果である。
以上のように本発明の空調用ハニカムロータは、通過する空気に含まれるウイルスや細菌のかなりの部分をそのまま効果的に排気できるのみならず、一旦ハニカムに付着したウイルスや細菌があっても再飛散することなく、銅イオンにより短時間で不活化、殺菌される効果が期待できる。
本発明の抗ウイルス性・抗菌性ハニカムロータは、病院施設の汚染区域等特定区域用ではなく、一般の施設、病院の待合室や学校、公共施設、商用施設、ホテル、クルーズ船等にて、予測せずウイルス、細菌の汚染が発生し、二次感染のリスクが高まったときにそのリスクを軽減させる効果を有する。
抗ウイルス性や抗菌性の検証や証明は、特に新型であれば専門分野でも容易ではなく時間も費用もかかるが、医学文献に示されるように銅イオンはコロナウイルスに対して他の材質より抗ウイルス性のあることが証明されており、よりイオン化しやすい塩基性銅系抗菌剤であればその効果を疑うことなく早期に市場投入が可能である。
再度繰り返すが、銅、亜鉛など金属系殺菌剤は硫酸銅の毒性、劇薬性から、一般的なヒトが触る、ヒトが身に着ける製品等に対して用いることは慎重にならざるを得ないが、空調機用ロータハニカム内壁であればヒトが触れる可能性はなく、また接着剤に混入されてるので飛散する可能性はなく、さらに銅イオン系抗菌剤は農業用途での使用実績から、耐性菌が生まれる心配もないとされているので安心して使用できる。
もしロータの破損や水害等により少量の飛散や流出が生じても、野菜や果実など農産物の農薬に用いられている実績から有害性の少ないことは予測できるので、その点でも早期の市場投入が可能であるという効果を有する。
図1は、全熱交換器の原理説明図である。 図2は、還気(RA)⇒排気(EA)の図である。 図3は、外気(OA)⇒給気(SA)の図である。 図4は、ゾーン切り替わり時の気流停止の図である。 図5は、ゾーン切り替わり後の逆流と一時的な乱流発生の図である。 図6は、すぐに層流回復を示す図である。
本発明の請求項1に記載の発明は、空調用ハニカムロータであって、還気等使用済み空気に含まれるウイルスや細菌を効果的に排気し、かつハニカムに付着したウイルスや細菌が、ハニカムから剥離して給気側に再飛散することなく、かつ短時間で無害化が期待できる空調用ハニカムロータに関するものである。
その条件の第一として、設計上の最大風量においても層流を形成し、かつ流入した空気が乱流から層流に完全に変わる助走区間長がロータ幅(流路長)の2分の1以下になるハニカム形状サイズに限定される。層流を形成するとは最大風量においてハニカム空気流のRe数が2300以下、望ましくは1150以下になるハニカム形状である。
またRe数は Re=ハニカム内流速×等価直径d÷空気の動粘度υ の計算式で計算される。Re数2300以下とは、表3に示すように設計上の最大風量時の全面風速が4m/sの場合ハニカムの開口率が80%であればハニカム内流速は5m/sであり、ハニカムの等価直径(相当直径)はφ2.4mm以下になる。等価直径(相当直径)dは d=4×ハニカム流路断面積s×ハニカム流路浸辺長(内周長さ)pl で計算できる。
ハニカム流路浸辺長は三角形に近似しての計算やサインカーブで計算できるが、コルゲート加工時のライナーとコルゲート長さ、コルゲート高さのデータにて計算するのが正確である。またコルゲート品の接着を剥がして、ライナーとコルゲートの展開長を計測することでも正確に把握できる。
条件の第二として、ハニカムに流入した空気が乱流から層流に完全に変わるまでの区間を助走区間という。助走区間長Lは L=0.05×Re×等価直径d の計算式で計算でき、計算結果を表4に示す。助走区間長Lはロータ幅の1/2以下であることが望ましい。その理由は発明の効果の項にて説明した。
条件の第三として、ハニカム内壁表面がウイルスや細菌に効果的な銅イオン溶出型の殺菌剤を含む層で覆われていることである。銅イオンの殺菌性がウイルス殺菌に効果的なことは非特許文献1にも開示されている。銅イオン系の殺菌剤は良く知られている。しかし硫酸銅、塩化銅、炭酸銅等銅化合物の多くは毒性があり劇物であることから、特に溶出型はヒトに直接接触するような用途には用いられない。
農薬として良く知られている塩基性硫酸銅殺菌剤ボルドー液は安全性が高く、農産物に残留するレベルではヒトへの危険性がないので例えば日本農林規格(JAS)において「有機農産物」の表示が認められている。ボルドー液は塩基性硫酸銅と水酸化カルシウムの混合液である。
本発明が意図するハニカムの内表面であれば、ヒトに接触することがなく、かつハニカム表面に固定されているので飛散する可能性もほとんどない。メンテナンスや破損事故、または分解撤去などで微量がヒトに接触しても農薬用途から類推して有害性の少ないことは実証されている。
しかしそのままアルミハニカムに用いると金属等腐食する可能性があり、アルミニウム製の熱交換器に用いる場合は考慮する必要がある。樹脂コーティングされたアルミ箔であれば腐食性の殺菌剤でも採用可能であるが、コストの増大を招くのでPH4~10、望ましくは5~9に調整して使用することが望ましい。しかし乾燥により、例えば塩基性硫酸銅がコート層に固定され、アルムニウムの腐食が界面の限定部位にとどまるので問題ないことを確認している。
4Aゼオライト粉末60部と水30部を混合、十分攪拌してスラリー状になった混合液にアクリル系エマルジョン接着剤10部を加え、さらに攪拌してゼオライトコーティングスラリーを作成する。コーティングマシンにて前記コーティングスラリーを30ミクロン、200mm幅のアルミシートの両面に塗布乾燥して厚さ120ミクロンの全熱交換ハニカムロータ基材シートを得る。前記基材シートを、ピッチ4.1mm、高さ1.8mmにコルゲート加工すると相当直径φ1.56mmの片段成形品ができた。さらに巻き付け接着してロータ幅200mmの全熱交換器ロータを得る。
別工程にて、消石灰に水を混ぜて消化させ石灰乳として十分に冷却する。次に石灰乳容器ごと冷却撹拌しながら硫酸銅溶液を投入して塩基性硫酸銅殺菌剤を調合する。水100部にアクリル系エマルジョン接着剤10部を混合、前記塩基性硫酸銅殺菌剤2部を加えさらに混合して銅イオンディッピング液を調合する。前記全熱交換ロータに前記ディッピング液をシャワリング浸透させ、余剰液を吹き落とし後、100℃前後の温度で乾燥して銅イオンコーティングハニカム全熱交換ロータを得る。
消石灰に水を混ぜて消化させ石灰乳として十分攪拌冷却する。石灰乳容器ごと冷却撹拌しながら硫酸銅溶液を投入して塩基性硫酸銅殺菌剤を調合する。水25部に前記塩基性硫酸銅殺菌剤5部を混合してPH5~9の範囲になるよう調整する。前記調合した水溶液に4Aゼオライト60部を混入して十分に攪拌してコーティングスラリーを得る。前記スラリーを、コーティングマシンにて30ミクロンのアルミ箔の両面にコーティング乾燥し、厚さ110ミクロンの全熱交換器ロータ基材シートを得る。
アルミシートをピッチ2.6mm、高さ1.4mmにコルゲート加工すると開口率75%、等価直径φ1.20mm、4m/s時の助走区間長約24mmになる。50mm幅にスリットして芯ボスに巻き付け接着してロータ幅50mmのロータ状に加工する。コルゲート加工及び巻き付け用の接着剤にも前記塩基性硫酸銅殺菌剤を配合したものを使用する。
塩基性硫酸銅と塩基性硫酸亜鉛、塩基性炭酸マグネシウムの混合された銅水和剤1部を、エチレン酢ビエマルジョン接着剤100部に投入混合する。前記混合した接着剤を30ミクロンのアルミ箔の両面に塗布後、イオン交換樹脂粉末を吹き付け接着して乾燥定着させ、厚さ120ミクロンの全熱交換器およびデシカント空調も可能な空調用ハニカムロータ用基材シートを得る。
その基材シートをピッチ3.4mm、高さ2.0mmにコルゲート加工すると相当直径φ1.72mm、開口率81.8%になる。さらにコルゲート加工品を芯ボスに巻き付け接着してロータ幅200mmのロータ状にして抗ウイルス性、抗菌性空調用ハニカムロータを得る。このロータを5m/sにて使用したときの助走区間長は58mmと計算。コルゲート加工も巻付け加工も塩基性硫酸銅殺菌剤を含む前記接着剤を用いる。
本発明の空調用ハニカムロータは病院施設の汚染区域用ではなく、一般的な施設、病院の待合室や学校、公共施設、商用施設等にて、予期せずウイルス等に汚染され二次感染リスクが高まったときに、そのリスクを軽減させる効果を有する。ウイルスや細菌の二次感染を軽減させるうえで換気の重要性が周知されているが、ウイルスや細菌移行は少ないと考えられている全熱交換器またはデシカント空調機、または全熱交換・デシカント空調両用空調機をさらに安心して提供、採用できる。

Claims (6)

  1. 設計最大風量においてもハニカム流路内がRe数2300以下の層流領域になり、流入空気が層流になるまでの助走区間が、ロータ幅の2分の1以下である相当直径(等価直径)より小さいサイズのハニカムであって、ハニカムを構成するシート表面が、銅イオン溶出型の抗菌剤を含有するコート層で覆われ、前記銅イオン溶出型の抗菌剤の主成分が塩基性硫酸銅であることを特徴とする空調用ハニカムロータ。
  2. 設計最大風量においてもハニカム流路内がRe数2300以下の層流領域になり、流入空気が層流になるまでの助走区間が、ロータ幅の2分の1以下である相当直径(等価直径)より小さいサイズのハニカムであって、ハニカムを構成するシート表面が、銅イオン溶出型の抗菌剤を含有するコート層で覆われ、前記銅イオン溶出型の抗菌剤の主成分が塩基性塩化銅であることを特徴とする空調用ハニカムロータ。
  3. 設計最大風量においてもハニカム流路内がRe数2300以下の層流領域になり、流入空気が層流になるまでの助走区間が、ロータ幅の2分の1以下である相当直径(等価直径)より小さいサイズのハニカムであって、ハニカムを構成するシート表面が、銅イオン溶出型の抗菌剤を含有するコート層で覆われ、前記銅イオン溶出型の抗菌剤の主成分が水酸化銅であることを特徴とする空調用ハニカムロータ。
  4. 前記空調用ハニカムロータが、全熱交換用またはデシカント空調用または全熱交換とデシカント空調両用ロータである請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の空調用ハニカムロータ。
  5. 前記ハニカムを覆うコート層が、ゼオライトと共に前記銅イオン溶出型抗菌剤を含有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の空調用ハニカムロータ。
  6. 前記銅イオン溶出型抗菌剤を含むコート層にイオン交換樹脂粒子が接着固定されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の空調用ハニカムロータ。
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