以下、図面を参照しながら実施形態の説明を述べる。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号及び/又は英小文字を用いることもある。
なお、以降の説明において便宜上、管理対象となる被管理装置をポンプ装置と仮定するが、被管理装置はポンプ装置に限定されない。被管理装置は、例えば、揚水、排水、圧縮などの任意の用途のポンプを備えた装置であってもよいし、かかる装置とも異なる種々の電気または機械設備、例えば、空調機、給湯機、エレベータ、コンピュータ、OA(Office Automation)機器、家電機器、ロボット、産業機械、などであってもよい。また、以降の説明において、「ポンプ装置」の用語は、より広義の用語である「被管理装置」や「対象設備」として、または他の設備の名称として適宜読み替え可能である。さらに、以降の説明において、「制御盤」は、ポンプ装置に一体的に設けられた制御装置として典型的に用いられている用語であるが、より広義な「制御装置」として適宜読み替えることができる。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る制御盤が設けられたポンプ装置を含むポンプ装置管理システムを例示するブロック図であり、図2は、管理サーバを例示するブロック図であって、図3は、当該ポンプ装置を例示するブロック図である。このポンプ装置管理システムは、社内サーバとしての管理サーバ1と、クラウドサーバとしての管理サーバ2と、管理されるポンプ装置10-1、10-2、10-3、・・・と、無線通信可能な通信端末300-1、300-2、・・・とを備えている。
なお、図1における各装置の数は例示に過ぎない。例えば、管理サーバ1は、複数台のサーバとして冗長化されてもよい。ポンプ装置10の台数は任意であるので、3台より多くても少なくてもよい。通信端末300の台数も任意である。
管理サーバ1は、例えばポンプ装置10を生産、販売および/または保守する業者によって運用されるオンプレミスサーバである。管理サーバ1は、管理サーバ2と連携して、運転データを集中管理および利活用し得る。管理サーバ1は、例えば、新たに製造されたポンプ装置10の製造番号の登録を管理サーバ2に要求してもよい。
管理サーバ2は、例えばクラウドサーバであって、各ポンプ装置10の運転データを通信端末300から収集し、これらを集約して蓄積する。例えば、管理サーバ2は、ポンプ装置10の個体識別番号に相当する製造番号に紐付けて当該ポンプ装置10に関する運転データを蓄積してもよい。また、管理サーバ2は、蓄積した運転データの利活用を行ってもよい。運転データは、ある運転点での、周波数、電流、電圧、圧力、流量、振動値、モータの絶縁抵抗、及び受水槽の設定などといった、ポンプ装置10の運転状態を示すデータである。補足すると、ポンプ装置10の運転データは、例えば、ポンプ装置10の最新の1つまたはロギングされた複数の時点におけるステータスであり得る。具体的には、運転データは、例えばポンプ装置10のインバータから取得した各時点の電圧/電流値、圧力センサから取得した各時点のセンシング信号またはこれに基づき算出された圧力値、流量センサから取得した各時点のセンシング信号またはこれに基づき算出された流量値、モータの各時点の回転周波数値、各時点の積算運転データ(積算運転時間及び積算運転回数の少なくとも一方)、などを含み得る。なお、クラウドサーバおよびオンプレミスサーバを併用することはオプションであり、管理サーバ1及び管理サーバ2はそのどちらかに統合させることもできる。本明細書中では、理解を容易にする観点から、管理サーバ1を統合させた管理サーバ2により、ポンプ装置10を管理する場合を例に挙げて述べる。
管理サーバ2は、建物に給水するポンプ装置10の情報を管理する情報処理装置であって、当該管理サーバの通信圏内にある通信端末300に通信可能となっている。
管理サーバ2は、図2に例示するように、通信部21と、インタフェース24と、メモリ26と、プロセッサ27とを備えている。プロセッサ27は、後述するように、管理部27a及び処理部27b等の機能を実現可能となっている。なお、プロセッサ27内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。例えば、管理部27aの機能の一部を処理部27bが分担するように変形してもよく、処理部27bの機能の一部を管理部27aが分担するように変形してもよい。
ここで、通信部21は、プロセッサ27により制御され、例えば、遠距離通信技術を用いて、通信端末3などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、通信部21は、例えば、移動通信(3G、4G)、Wimaxなどの無線通信技術を用いて、図示しない基地局及びネットワーク経由で通信端末300等の外部装置に接続可能となっている。通信部21は、管理サーバ2への通信圏外にある被管理装置(ポンプ装置10)に通信可能な通信端末300が通信圏内に移動した後で、通信端末300から第1識別情報と第2識別情報とを受信する受信部の一例である。また、通信部21は、プロセッサ27に制御され、例えば、当該受信した内容に基づいてプロセッサ27が判定した結果、否の場合に、通信端末300にエラーを通知する通知部の一例である。
インタフェース24は、ネットワーク、典型的にはインターネット経由で、図示しない他の装置(他の管理サーバ1、2等)と通信をする通信インタフェースである。
メモリ26は、プロセッサ27が各処理を実現するために当該プロセッサ27によって実行されるプログラム、例えば、ファームウェア、OS(Operating System)、ポンプ管理プログラム、など、および当該プロセッサ27によって使用されるデータ、例えば、コード、運転データ、メンテナンス情報、テーブルなどを記憶する。メモリ26は、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAM(Random Access Memory)を含み得る。メモリに記憶されるテーブルとしては、ポンプ装置10を識別する第1識別情報と、当該ポンプ装置10に設けられた制御盤100を識別する第2識別情報とを関連付けた製品登録テーブルがある。製品登録テーブルは、ポンプ装置10の生産時に書き込まれる。製品登録テーブルを記憶するメモリ26は、対象を含む被管理装置を識別する第1識別情報と、当該被管理装置に設けられ且つ当該対象を制御する制御装置を識別する第2識別情報とを関連付けたテーブルを記憶する第1記憶部の一例である。第1識別情報は、例えば、ポンプ装置10としての対象設備の個体識別番号に相当する製造番号を含んでおり、さらに、当該対象設備の製品名に相当する形式情報および/または当該形式情報をコード化した製品番号を含み得る。第2識別情報は、例えば、制御盤100としての対象設備の個体識別番号に相当する製造番号を含んでおり、さらに、当該対象設備の製品名に相当する形式情報および/または当該形式情報をコード化した製品番号を含み得る。これらの情報により、対象設備がどの製品のどの個体であるのかを識別することが可能となる。なお、製品番号および製造番号は、必ずしも別の情報要素でなくてもよく、1つの番号から製品および個体の両方が識別可能であるように設計することも可能である。本実施形態の第1識別情報は、ポンプ装置10の製造番号である。本実施形態の第2識別情報は、制御盤100の製造番号である。本実施形態の製品登録テーブルは、ポンプ装置10の製造番号と、制御盤100の製造番号とを関連付けており、後述するように通信端末300に送信される。第2識別情報は、例えば、制御盤100内の記憶部、例えばマイクロコントローラに内蔵されたROM(Read Only Memory)などの不揮発性記憶媒体に書き込まれ得る。また、ポンプ装置10の第1識別情報は、典型的には例えばQRコード(登録商標)に代表される二次元コードc1としても実装されており、当該二次元コードc1を提示する銘板がポンプ装置10における撮影可能な位置に固着されてもよい。なお、銘板には、二次元コードc1の他に、例えば、製品のシリーズ名(愛称)、形式・品番、吸込管・吐出し間の管径、モータの定格出力(kW)、製造時期、その他(ポンプ部40の仕様:制動揚程、吸込揚程、停止流量、揚水量、全揚程など)等を表す文字情報が記載されていてもよい。また、二次元コードは、前述した第1識別情報を表現(コード化)した情報に限らず、これらの文字情報を表現した情報を含んでもよい。
メンテナンス情報は、対象設備としてのポンプ装置10の製造番号と、ポンプ装置10の設置日及び点検日と、設置した制御盤100の製造番号と、交換後の新規の制御盤100の製造番号と、当該制御盤100の交換日と、ポンプ装置10又は制御盤100の部品のうちの交換した部品の識別情報及び交換日とを含んでいる。詳しくは、メンテナンス情報は、対象設備のメンテナンス/故障に関する履歴、例えば対象設備がいつどのようなメンテナンスをされた/故障をしたか、どのくらいメンテナンスをされた/故障したか、などを表し得る。メンテナンス情報を記憶するメモリ26は、制御装置を新規の制御装置に交換した被管理装置を識別する第1識別情報と、当該新規の制御装置を識別する第2識別情報とを関連付けて記憶する第2記憶部の一例である。
プロセッサ27は、典型的にはCPU(Central Processing Unit)であるが、マイコン、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(Digital Signal Processor)、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ27は、ポンプ装置10を管理する処理を実行するものである。プロセッサ27は、メモリ26に保存されたプログラムを実行することで、図2の管理部27a及び処理部27bとして機能し得る。なお、プロセッサ27内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。また、機能を分担させた構成に代えて、処理部27bの機能を管理部27aに統合させた構成により、1つの管理部27aとしてプロセッサ27を機能させてもよい。
管理部27aは、ポンプ装置10を管理する。例えば、管理部27aは、メモリ26内の製品登録テーブルに対して、適宜、読出/書込処理を行う。また例えば、管理部27aは、メモリ26内のメンテナンス情報に対して、適宜、読出/書込処理を行う。また例えば、管理部27aは、通信端末300から受けた運転データをメモリ26に保存し、当該メモリ26内の運転データを読み出して、適宜、統計処理を行う。
処理部27bは、通信部21により通信端末300から受信した内容が製品登録テーブル内で関連付けられた内容に整合しない場合に、当該受信した内容と、第2記憶部としてのメモリ26の記憶内容(メンテナンス情報)とが整合するか否かを判定する。補足すると、処理部27bは、ポンプ装置10と制御盤100との組合せについて、現在の組合せと、組み立て時(製品登録時)の組合せとが整合しない場合に、現在の組合せが、メンテナンス情報に記録された制御盤交換後の組合せに整合するかを判定する。ここで、「整合」の用語は、「一致」と呼んでもよい。また、受信した内容と、メモリ26の記憶内容(メンテナンス情報)とが整合するか否かを判定することは、受信した内容と、メモリ26の記憶内容(メンテナンス情報)とに基づいて、制御盤100が交換されたか否かを判定する旨を包含する。処理部27bは、判定部の一例である。
また、処理部27bは、当該判定した結果、通信端末300から受信した内容がメモリ26の記憶内容に整合する場合に、製品登録テーブル内の整合しない内容を当該受信した内容に更新する。処理部27bは、更新部の一例である。
一方、ポンプ装置10は、建物に給水し、通信圏内の通信端末300に通信可能な装置である。係るポンプ装置10は、例えば、水道本管に直結され、水道本管を流れる水を直接増圧し、建造物に設けられた蛇口やシャワーヘッド等の供給先に給水する、いわゆる直結増圧型給水装置であり得る。なお、本実施形態のポンプ装置10は、例えば、建物の地下室などのように、管理サーバ2の通信圏外の場所(基地局に電波の届かない場所)に配置されている場合と、建物の戸外のように、管理サーバ2の通信圏内の場所に配置されている場合とがある。すなわち、本実施形態において、ポンプ装置10の通信圏内では、通信端末300が管理サーバ2に通信できない場合と、通信端末300が管理サーバ2に通信できる場合とがある。以下では、主に、管理サーバ2の通信圏外の場所にポンプ装置10が配置されている場合(ポンプ装置10の通信圏内では通信端末300が管理サーバ2に通信できない場合)を例に挙げて述べる。
このポンプ装置10は、図3に例示するように、銘板に提示された二次元コードc1と、ポンプ部40と、制御盤100と、図示されない吸込配管および吐出配管とを含む。ポンプ装置10は、ポンプ部40により、吸込配管を介して一次側にある水を取り込み、吐出配管を介して二次側へ給水する。吸込配管は、例えば、水道本管から分岐された水道分管およびポンプ部40を接続する。吐出配管は、ポンプ部40とその二次側の給水先とを接続する。
なお、ポンプ装置10は、図4又は図5に示すように、1台の制御盤100と、N台のポンプ部40-1、20-2、・・・、20-Nとを含んでいてもよい(例えば、1≦N≦7)。図4は、ポンプ装置10が、複数台のポンプ部40-1~20-Nを収容するポンプユニット40uを用いた構成を例示している。図4の場合、ポンプ装置10の第1識別情報が1つであり、第1識別情報を表現した1つの二次元コードc1がポンプ装置10に固着されている。また、図5は、ポンプ装置10-1、10-2、・・・、10-Nが、ポンプユニットを用いない構成を例示している。図5の場合、ポンプ装置10-1~10-Nの第1識別情報がN個であり、第1識別情報を表現したN個の二次元コードc1-1、c1-2、・・・、c1-Nが、ポンプ装置10-1、10-2、・・・、10-Nに固着されている。いずれにしても複数台の場合(2≦N)に、制御盤100は、複数台のポンプ部40を交互に駆動する交互運転、複数台のポンプ部40を同時に駆動する並列運転、などを行うことができる。また、図3乃至図5の例では、ポンプ部40は給水用のポンプであるが、これに限らず、任意の種類のポンプに置き換えられてよい。すなわち、ポンプ部40は、揚水、排水、圧縮、などいずれの用途のポンプであってもよい。ポンプ装置10は、対象を含む被管理装置であって、当該被管理装置を識別する第1識別情報を表現した二次元コードが固着された当該被管理装置の一例である。ポンプ部40は、対象の一例である。
制御盤100は、ポンプ部40(のモータ)と電気的に接続され、当該ポンプ部40を制御する。具体的には、制御盤100は、各種センサからのセンシング信号に基づいて、インバータ103を介してポンプ部40のモータの駆動を制御する。
例えば、制御盤100は、ポンプ装置10の吸込配管および吐出配管に取り付けられポンプの吸込圧力および吐出圧力を検出可能な圧力センサからのセンシング信号に基づいて、ポンプの運転中に例えば推定末端圧力一定制御等の目標圧力一定制御を行い得る。また、制御盤100は、ポンプの運転中にモータを所望の回転数で駆動するように制御することができ、必要に応じてモータの回転数を増減させる。
さらに、制御盤100は、ポンプ部40に含まれるポンプの二次側の配管に取り付けられ当該配管に流れる水の流量を検出可能な流量センサからのセンシング信号に基づいて、流量が小水量であることを検知するとポンプを停止させ得る。そして、制御盤100は、圧力センサからのセンシング信号に基づいてポンプの二次側の圧力が予め定められた始動圧力以下に低下したことを検知すると、ポンプを再駆動する。
さらに、制御盤100は、かかるポンプ部40の制御に加えて、制御盤100を識別する第2識別情報を含む無線信号のブロードキャスト通信を行い、通信端末300と近距離無線接続することにより、適宜、運転データの出力を行う。詳細は後述するが、制御盤100は、近距離無線通信の技術を用いて、例えば作業員が所持するスマートフォンなどの通信端末300との間で近距離無線通信を行うことができる。近距離無線通信としては、例えば、Bluetooth(登録商標) Low Energyの規格に基づく通信や、Wi-Fi(登録商標)、NFC(Near Field Communication)といった通信が適宜、使用可能となっている。本明細書では、Bluetooth(登録商標) Low Energyの規格に基づく通信を用いる場合を例に挙げて説明する。この例に伴い、上記したブロードキャスト通信される無線信号として、アドバタイズパケットが用いられる。以下、「Bluetooth(登録商標) Low Energyの規格」は、「BLE規格」ともいう。BLE規格は、BLEのバージョン4.0以降の規格であればよく、BLEの通信方式と互換性があればよい。これに伴い、「BLE規格」は、「Bluetooth バージョン4.0以降の規格」と呼んでもよい。BLE規格に基づく通信は、近距離無線通信の一例である。「近距離無線通信の技術を用いて」の用語は、「Bluetooth(登録商標) Low Energyの規格に基づいて」と読み替えてもよい。アドバタイズパケットは、ブロードキャスト通信される無線信号の一例である。制御盤100は、対象を制御し且つ通信端末と近距離無線通信可能な制御装置の一例である。
制御盤100は、図6に示すように、通信部101、入力部102、インバータ103、インタフェース104、表示部105、メモリ106及びプロセッサ107を備えている。また、制御盤100のインタフェース104は、ポンプ部40に接続される。なお、入力部102及び/又は表示部105は、制御盤100とは別体であってもよいし、制御盤100に組み込まれていてもよい。
通信部101は、プロセッサ107により制御され、BLE規格に基づいて、通信端末300などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。通信部101は、「BLE基板」又は「BLEモジュール」などとして実装してもよい。通信部101は、通信端末300と制御盤100との接続を確立するための何らかのデータ、例えば通信端末300及び制御盤100がそれぞれスキャナおよびアドバタイザとしてBluetoothで接続する場合には、スキャナとしての通信端末からのリクエスト、を受信することもあり得る。
入力部102は、例えば、操作パネル、タッチパネル、キーボード、マウス、などのユーザ入力を受け付ける装置と、圧力センサ、マイクロホン、カメラなどのセンサとを含み得る。
インバータ103は、プロセッサ107からインバータ制御信号を受け取る。インバータ103は、このインバータ制御信号に応じて動作する。例えば、インバータ103は、運転停止信号または運転開始信号に相当するインバータ制御信号に応じてインタフェース104を介してポンプ部40の運転を停止または開始し得る。また、インバータ103は、回転数制御信号に相当するインバータ制御信号に応じてインタフェース104を介して、ポンプ部40のモータの回転数を制御し得る。
表示部105は、典型的には液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイなどの表示デバイスを含み得るが、表示デバイスの代わりにまたは表示デバイスに加えて、スピーカ、LED(Light Emitting Diode)点灯部などを含み得る。
メモリ106は、プロセッサ107が各処理を実現するために当該プロセッサ107によって実行されるプログラムおよび当該プロセッサ107によって使用されるデータなどを記憶する。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、通信制御プログラム、表示制御プログラム、ポンプ制御プログラムなどが適宜、記憶される。データとしては、例えば、制御盤100を識別する第2識別情報(以下、制御盤100の第2識別情報ともいう)、コード、テーブルなどが適宜記憶される。なお、メモリ106は、ポンプ装置10を識別する第1識別情報(以下、ポンプ装置10の第1識別情報ともいう)を更に記憶してもよい。メモリ106は、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。
プロセッサ107は、典型的にはマイコンであるが、CPU、GPU、FPGA、DSP、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ107は、例えば、通信制御、表示制御、ポンプ制御などの任意の処理を行う。
プロセッサ107は、メモリ106に保存されたプログラムを実行することで、図6の通信制御部107a、表示制御部107b及びポンプ制御部107c等として機能し得る。なお、プロセッサ107内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。また、プロセッサ107内の通信制御部107aと、通信部101との機能分担も便宜的なものであり、適宜、変更可能である。例えば、通信制御部107aをBLEのプロトコルスタックのアプリケーション層とし、通信部101をホスト(L2CAP、SMP、ATT、GAP、GATT)及びコントローラ(物理層PHY、リンク層LL)としてもよいが、この機能分担に限定されない。例えば、ホストのプロトコルを適宜、通信制御部107a及び通信部101に分担させてもよい。ここで、L2CAPは、論理リンク制御及びアダプテーションプロトコルの略語である。SMPは、セキュリティマネージャプロトコルの略語である。ATTは、アトリビュートプロトコルの略語である。GAPは、汎用アクセスプロトコルの略語である。GATTは、汎用アトリビュートプロトコルの略語である。
通信制御部107aは、通信部101を介して、管理サーバ2への通信圏外でBLE規格に基づいてアドバタイズパケットをブロードキャスト通信する。当該アドバタイズパケットは、制御盤100を識別する第2識別情報を含んでいる。また、通信部101は、通信部101を介して、当該アドバタイズパケットを受信する通信端末300から接続要求を受けると、通信端末300との間の通信を接続してもよい。この場合、通信端末300は、予め第1識別情報と第2識別情報とを関連付けたテーブルを有している。また、通信端末300は、二次元コードに表現された第1識別情報に基づく当該テーブル内の第2識別情報に一致する第2識別情報を含む当該アドバタイズパケットを受信することにより、接続要求を送信する。なお、アドバタイズパケットは、アドバタイズメントパケットと呼んでもよい。アドバタイズパケットは、BLE規格に基づくものであり、BLEパケットのプロトコルデータ(PDU)をアドバタイジングPDUのフォーマットで用いている。アドバタイジングPDUは、2バイトのヘッダと、そのペイロードとを備えている。本実施形態のアドバタイズパケットは、例えば、アドバタイジングPDUのペイロード内の製造者固有データ(Manufacturer Specific Data)に第2識別情報を含んでいる。製造者固有データは、可変長で任意に使用可能な部分である。このため、アドバタイズパケットが第1識別情報及び第2識別情報を含む場合でも、当該第1識別情報及び第2識別情報を製造者固有データに含めることにより、実装可能である。
また、通信制御部107aは、通信端末300との無線通信を行う際に、通信部101及び表示制御部107bを制御する。例えば、通信制御部107aは、メモリ106から運転データを読み出し、当該運転データを通信部101に送出する。また例えば、通信制御部107aは、BLE規格に基づいて生成したパスキー(Passkey)を表示制御部107bに送出する。パスキーは、BLE規格に基づき、通信端末300とのペアリングに用いられる6桁の値である。
表示制御部107bは、通信制御部107a又はポンプ制御部107cに制御され、通信制御部107a又はポンプ制御部107cからのデータを表示するように、表示部105を制御する。このとき、表示制御部107bは、通信制御部107a又はポンプ制御部107c等からのデータを二次元コードに変換し、当該二次元コードを表示するように表示部105を制御してもよい。例えば図7に示すように、表示制御部107bは、入力部102からの指示に応じてメモリ106から制御盤100の製造番号及び/又はポンプ装置10の製造番号を読み出し、当該読み出した製造番号を二次元コードc2に変換し、当該二次元コードc2を表示するように表示部105を制御してもよい。なお、ポンプ装置10の製造番号を二次元コードc2に変換して表示した場合には、ポンプ装置10に固着された銘板内の二次元コードc1と、表示された二次元コードc2とは、互いに同一の情報(ポンプ装置10の製造番号)を表現している。通信端末300は、作業者が撮影し易い方の二次元コードc1又はc2を撮影し、得られた画像からポンプ装置10の製造番号を取得すればよい。あるいは、表示制御部107bは、通信制御部107aから受けたパスキーを二次元コードc2に変換し、当該二次元コードc2を表示するように表示部105を制御してもよい。なお、表示制御部107bは、当該パスキーを二次元コードc2に変換せずに表示部105に表示させてもよい。本明細書中、作業者は、操作者の一例である。
ポンプ制御部107cは、各種センサからのセンシング信号に基づいて、ポンプ装置10の運転状態を示す運転データを取得し、当該運転データを第2識別情報に関連付けてメモリ106に保存する。また、ポンプ制御部107cは、メモリ106に保存されたポンプ制御プログラムによって決まる制御ポリシーに従い、最新のセンシング信号等に応じてインバータ制御信号を生成し、これをインバータ103へ送る。なお、ポンプ制御部107cは、積算運転時間、および/または積算運転回数を、ポンプ装置10の運転実態に応じて算出し、メモリ106に書き込んでもよい。
また一方、通信端末300は、建物に給水するポンプ装置10と、ポンプ装置10を管理する管理サーバ2とに通信可能な情報処理装置である。通信端末300は、例えば、PC、モバイル端末(例えば、タブレット、スマートフォン、ラップトップ、フィーチャーフォンなど)などであり得るが、これらに限られない。
このような通信端末300は、図8に例示するように、通信部301、入力部302、表示部305、メモリ306及びプロセッサ307を備えている。プロセッサ307は、後述するように、通信制御部307a、処理部307b等の機能を実現可能となっている。なお、プロセッサ307内の各部の機能分担は、便宜的なものであり、適宜、変更可能である。通信制御部307aと通信部301との機能分担も便宜的なものであり、適宜、変更可能である。例えば、通信制御部307aをBLEのプロトコルスタックの上位のアプリケーション層とし、通信部301を中位のホスト(L2CAP、SMP、ATT、GAP、GATT)及び下位のコントローラ(物理層PHY、リンク層LL)としてもよいが、この機能分担に限定されない。例えば、ホストのプロトコルを適宜、通信制御部307a及び通信部301に分担させてもよい。
ここで、通信部301は、プロセッサ307により制御され、例えば、近距離通信技術を用いて、管理サーバ2やポンプ装置10などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、通信部301は、例えば、BLE規格を用いて、ポンプ装置10等の外部装置に接続可能となっている。なお、通信部301は、さらに、Wi-Fi(登録商標)などの無線通信技術、またはUSBなどの有線通信技術を用いて、ポンプ装置10等の外部装置に接続可能としてもよい。本実施形態の通信部301は、BLE規格に基づいて、ポンプ装置10の制御盤100と無線通信を行う。
通信部301は、プロセッサ307により制御され、例えば、遠距離通信技術を用いて、管理サーバ2などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、通信部301は、例えば、移動通信(3G、4G)、Wimaxなどの無線通信技術を用いて、基地局及びネットワーク経由で管理サーバ2等の外部装置に接続可能となっている。
入力部302は、ユーザ入力を受け付けるための入力I/Fであり、通信端末300に内蔵されてもよいし、通信端末300に外付けされてもよい。入力部302は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、マイクロフォン、カメラなどを含んでもよいし、タッチスクリーンのように出力I/Fの機能を備えていてもよい。ユーザ入力は、典型的には、タップ、クリック、ドラッグ、特定のキーの押下などであり得る。このほか、ユーザ入力は、例えば、マイクロフォンによって捉えられる音声などを含むこともできる。また、ユーザ入力は、例えば、カメラにより撮影された二次元コードc1,c2の画像を含んでもよい。二次元コードc1,c2としては、例えば、QRコード(登録商標)が適宜、使用可能となっている。
表示部305は、プロセッサ307の処理に応じて、画像及び/又は音声を出力するための出力I/Fの一例であり、動画像、静止画像、テキストなどを表示するための表示デバイスを含み得る。動画像又は静止画像としては、例えば、二次元コードc1又はc2を表示してもよい。テキストとしては、例えば、ペアリングのためのパスキーを表示してもよい。表示部305は、音声、楽曲などを出力するためのスピーカを含んでもよい。「表示部」は「出力部」と読み替えてもよい。表示デバイスは、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(electroluminescence)ディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイなどである。表示デバイスは、コンテンツを含む表示データを表示する。なお、表示デバイスは、タッチスクリーンのように入力I/Fの機能を備えていてもよい。
メモリ306は、プロセッサ307が各処理を実現するために当該プロセッサ307によって実行されるプログラム、および当該プロセッサ307によって使用されるデータなどを記憶する。メモリ306は、かかるプログラム/データが展開されるワークエリアを有するRAMを含み得る。プログラムとしては、例えば、ファームウェア、OS、通信プログラムなどが適宜、記憶される。データとしては、例えば、コード、運転データ、テーブルなどが適宜、記憶される。テーブルとしては、図9に例示するように、製品登録テーブルT1が記憶される。製品登録テーブルT1は、管理サーバ2への要求に応じて、管理サーバ2から送信される。製品登録テーブルT1は、ポンプ装置10の製造番号と、制御盤100の製造番号とを関連付けたテーブルである。製品登録テーブルT1内の第1の組合せe1は、図3又は図4に示す構成に対応しており、1つのポンプ装置10の製造番号と、制御盤100の製造番号とを関連付けている。製品登録テーブルT1内の第2の組合せe2は、図5に示す構成に対応しており、N台のポンプ装置10の製造番号と、1台の制御盤100の製造番号とを関連付けている。メモリは、対象を含む被管理装置を識別する第1識別情報と、当該被管理装置に設けられ且つ当該対象を制御する制御装置を識別する第2識別情報とを関連付けたテーブルを記憶する第1記憶部の一例である。
プロセッサ307は、典型的にはCPUであるが、マイコン、GPU、FPGA、DSP、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどであってもよい。プロセッサ307は、管理サーバ2とポンプ装置10との間に介在して、ポンプ装置10を管理する処理を実行するものである。プロセッサ307は、メモリ306に保存されたプログラムを実行することで、図8の通信制御部307a、処理部307bとして機能し得る。当該プログラムのうち、通信制御部307aに対応するプログラムは、通信プログラムの一例である。
通信制御部307aは、通信部301を介して、管理サーバ2との遠距離通信を行う。また、通信制御部307aは、通信部301を介して、ポンプ装置10との近距離通信を行う。例えば、通信制御部307aは、ポンプ装置10の製造番号を表現した二次元コードc1を提示するポンプ装置10のうちの二次元コードc1の画像データから当該ポンプ装置10の製造番号を取得する。また、通信制御部307aは、当該取得したポンプ装置10の製造番号に基づいて製品登録テーブルT1から制御盤100の製造番号を取得する。また、通信制御部307aは、当該取得した制御盤100の製造番号と、制御盤100からブロードキャスト通信されたアドバタイズパケットから抽出した制御盤100の製造番号とを比較する。通信制御部307aは、当該比較した結果、両者が不一致のとき、当該取得したポンプ装置10の製造番号と、当該抽出した制御盤100の製造番号とを関連付けてメモリ306に保存する。通信制御部307aは、第1取得部、第2取得部及び比較部の一例である。通信制御部307a及びメモリ306は、保存部の一例である。また、通信制御部307aは、当該比較した結果、両者が一致するとき、通信部301を介して、アドバタイズパケットを送信した制御盤100に接続要求を送信する。通信制御部307a及び通信部301は、接続要求送信部の一例である。また、通信制御部307aは、制御盤100との通信の終了後、作業者の操作に応じて、通信部301を介して、メモリ306内で関連付けられたポンプ装置10の製造番号と、制御盤100の製造番号とを、通信圏内の管理サーバ2に送信する。通信制御部307a及び通信部301は、送信部の一例である。また、通信制御部307aは、通信部301を介して、ポンプ装置10又は管理サーバ2との接続を確立するための何らかのデータを送信することや、作業者の操作に応じて、管理サーバ2にリクエストを送信することもあり得る。あるいは、通信制御部307aは、通信端末300とポンプ装置10との接続を確立するための何らかのデータ、例えばポンプ装置10及び通信端末300がそれぞれスキャナおよびアドバタイザとしてBluetoothで接続する場合には、アドバタイザとしてのポンプ装置10からのリクエスト、を受信することもあり得る。
処理部307bは、ポンプ装置10の点検、メンテナンス及び管理など、作業者の作業に応じた情報処理を実行する。例えば、処理部307bは、作業者によるポンプ装置10からの運転データの収集を支援する。
以下、図10乃至図13を参照しながら、図2の管理サーバ2、図3のポンプ装置10及び図8の通信端末300を用いて本実施形態の動作例を説明する。この動作例は、製品登録テーブルを予め保存するステップS10と、通信圏外に移動するステップS20と、通信を接続するステップS30と、ペアリングを行うステップS40と、運転データを収集するステップS50と、通信圏内に戻るステップS60と、運転データを保存するステップS70とを含んでいる。ペアリングのステップS40は、任意の付加的事項であり、省略してもよい。また、ステップS30内でもステップS37~S38は、任意の付加的事項であり、適宜、変更可能及び省略可能である。同様に、ステップS70内でもステップS73~S74、S76は、任意の付加的事項であり、適宜、変更可能及び省略可能である。以下、ステップS10~S70の動作例について順に述べる。
(ステップS10:製品登録テーブルの保存)
始めに、製品登録テーブルを保存するステップS10は、ステップS11~S13により実行される。まず、通信端末300のプロセッサ307は、製品登録テーブルT1の送信を管理サーバ2に要求する(ステップS11)。
ステップS11の後、管理サーバ2は、当該要求に基づいて、メモリから読み出した製品登録テーブルT1を通信端末300に送信する(ステップS12)。製品登録テーブルT1は、ポンプ装置10の製造番号と、制御盤100の製造番号とを関連付けたテーブルである。なお、製品登録テーブルT1は、例えば組み立て工場において、ポンプ装置10を組み立てる毎に、ポンプ装置10の製造番号と制御盤100の製造番号との組合せが登録されたテーブルである。すなわち、製品登録テーブルT1は、ポンプ装置10と制御盤100との正しい組合せ(又は組み立て時の組合せ)を示している。
ステップS12の後、通信端末300は、管理サーバ2から受けた製品登録テーブルT1をメモリ306に保存する(ステップS13)。以上のステップS11~S13の実行により、ステップS10が終了する。
(ステップS20:通信圏外に移動)
ステップS10の終了後、通信端末300を所持した作業者が、ポンプ装置10の設置場所に移動する。本実施形態のポンプ装置10は、基地局に電波の届かない場所に設置されている。このため、通信端末300は、作業者の移動に伴い、管理サーバ2の通信圏外に移動すると共に(ステップS20)、ポンプ装置10の設置場所に到着する。以上により、ステップS20が終了する。
(ステップS30:無線通信の接続)
ステップS20の終了後、ポンプ装置10の制御盤100と、通信端末300との間の無線通信を接続するステップS30が、ステップS31~S38により実行される。制御盤100は、通信部101及びプロセッサ107により、当該制御盤100の製造番号を含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信する(ステップS31)。アドバタイズパケットのブロードキャスト通信は、所定間隔毎に、繰り返し実行される。
通信端末300は、作業者の操作により、入力部302が、ポンプ装置10の銘板の二次元コードc1を撮影する(ステップS32)。なお、これに限らず、二次元コードc2が制御盤100の表示部305に表示された場合には、通信端末300は、表示された二次元コードc2を撮影してもよい。いずれにしても、二次元コードc1,c2は、互いに同一の情報(ポンプ装置10の製造番号)を表現している。
ステップS32の後、通信端末300のプロセッサ307は、二次元コードc1の画像データから当該ポンプ装置10の製造番号を取得する(ステップS33)。また同様に、表示された二次元コードc2が撮影された場合には、通信端末300のプロセッサ307は、二次元コードc2の画像データから当該ポンプ装置10の製造番号を取得する。
ステップS33の後、プロセッサ307は、当該取得したポンプ装置10の製造番号に基づいて、メモリ306内の製品登録テーブルT1から制御盤100の製造番号を取得する(ステップS34)。
ステップS34の後、ステップS31と同様に、制御盤100は、当該制御盤100の製造番号を含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信する(ステップS35)。
通信端末300のプロセッサ307は、ステップS34で取得した制御盤100の製造番号と、アドバタイズパケットから抽出した制御盤100の製造番号とを比較し、両者が一致するか否かを判定する(ステップS36)。両者が不一致のとき(ステップS36:No)には、プロセッサ307は、ステップS33で取得したポンプ装置10の製造番号と、当該抽出した制御盤100の製造番号とを関連付けてメモリ306に保存(記録)する(ステップS37)。ステップS37の後、ステップS38に移行する。
一方、通信端末300のプロセッサ307は、ステップS36で比較した結果、両者が一致するとき、あるいはステップS37の後、通信部301を介して、アドバタイズパケットを送信した制御盤100に接続要求を送信する(ステップS38)。これにより、制御盤100と通信端末300との無線通信が接続され、制御盤100内の情報が管理可能となる。また、制御盤100は、ブロードキャスト通信を終了する。以上により、ステップS30が終了する。
(ステップS40:ペアリング)
ステップS30の終了後、図11に例示するように、制御盤100と通信端末300とのペアリングを行うステップS40が、ステップS41~S45により実行される。まず、制御盤100と通信端末300との間で、ペアリングに必要な情報が交換される(ステップS41)。ステップS41は、BLE規格に基づき、例えば、セキュリティ要求の送信、セキュリティ要求に対するペアリング要求の返信、ペアリング要求に対するペアリング応答の送信、により実行される。セキュリティ要求により、ペアリングの開始が要求される。ペアリング要求及びペアリング応答のやり取りにより、デバイス入出力能力(IO Capability)(例、キー入力可能、表示出力可能)や最大暗号化キーサイズ(Maximum encryption key size)等の情報が交換される。図11の例に限らず、制御盤100と通信端末300とのいずれがセキュリティ要求を送信してもよい。このようなステップS41は、BLE規格内のペアリングのフェーズ1に対応する。本実施形態のペアリングのフェーズ1では、ユーザ操作なし自動認証方式(Just Works)及びユーザがパスキーを入力するパスキーエントリー(Passkey Entry)のいずれを用いてもよい。なお、ジャストワークス(Just Works)は、パスキーエントリーに比べ、作業員の操作がない点で優れている。パスキーエントリーは、ジャストワークスに比べ、セキュリティーが高い点で優れている。但し、パスキーエントリーは、パスキーをキー入力する方式のため、作業員にキー入力操作の手間がかかる。そこで、本実施形態のフェーズ1では、パスキーエントリーを入力部302のカメラ操作で行うことにより、セキュリティの高い点を維持しつつ、作業員の操作の手間を軽減させている。但し、前述したように、ステップS40自体が任意であり、ステップS41のフェーズ1の方式も任意である。
ステップS41の後、制御盤100のプロセッサ107は、通信端末300とのペアリングを行うためのパスキーを二次元コードに変換し、当該二次元コードを表示するように表示部305を制御する。これにより、表示部305は、パスキーを表現した二次元コードを表示する(ステップS42)。
通信端末300は、作業者の操作により、入力部302が、制御盤100の表示部305に表示された二次元コードを撮影する(ステップS43)。
ステップS43の後、通信端末300のプロセッサ307は、当該二次元コードの画像データからパスキーを取得する(ステップS44)。ステップS42~S44により、制御盤100と通信端末300との間で無線通信を行わずに、パスキーが共有される。なお、ステップS42~S44は、必須ではなく変形してもよい。例えば図12に示すように、通信端末300が表示部305にパスキーを表示させ(ステップS42a)、パスキーを視認した作業者が、制御盤100の入力部102にパスキーを入力するように変形しても(ステップS44a)、パスキーは共有される。但し、本実施形態では、図11に示すように、ステップS42~S44を行う場合を例に用いている。
ステップS44の後、制御盤100と通信端末300との間で、鍵生成に必要な情報が交換される(ステップS45)。ステップS45は、BLE 4.0規格に基づき、例えば、ペアリングコンファームのやり取り、ペアリングランダムのやり取りにより、短期鍵STK(Short Term Key)の生成に必要な情報が交換される。図11の例に限らず、ステップS45は、BLE 4.2規格に基づき、例えば、ECDH(楕円曲線デフィーヘルマン鍵交換)方式を用い、長期鍵LTK(Long Term Key)の生成に必要な情報を交換してもよい。いずれにしても、ステップS45は、BLE規格内のペアリングのフェーズ2に対応する。このようなステップS41~S45の実行により、ステップS40が終了してペアリングが完了する。これにより、制御盤100と通信端末300との間で暗号化通信が可能となる。
(ステップS50:運転データの収集)
通信端末300は、図13に示すように、作業者の操作により、例えば、運転データを制御盤100に要求する。制御盤100は、この要求に応じて運転データを通信端末300に返信する。通信端末300は、返信された運転データをメモリ306に保存する。このような運転データの要求、返信及び保存は、もし1回で完了しない場合には、必要な回数だけ繰り返し行う。これにより、制御盤100内の情報が通信端末300に収集される。以上により、ステップS50が終了する。
(ステップS60:通信圏内に戻る)
ステップS50の後、通信端末300を所持した作業者が、ポンプ装置10の設置場所を離れ、基地局に電波の届く場所に移動する。すなわち、通信端末300を所持した作業者が、管理サーバ2の通信圏外から管理サーバ2の通信圏内に戻る。
(ステップS70:運転データの保存)
通信端末300は、作業者の操作により、運転データをポンプ装置10の製造番号及び制御盤100の製造番号と共に、管理サーバ2に送信する。もしステップS37で記録(保存)した内容があれば、通信端末300は、当該記録した内容も管理サーバ2に送信する(ステップS71)。
管理サーバ2のプロセッサ27は、通信端末300から受信した内容が製品登録テーブルT1内で関連付けられた内容に整合しない場合に、当該受信した内容と、メモリ26内の記憶内容(メンテナンス情報)とが整合するか否かを判定する。具体的には、通信端末300から受信した内容が、ステップS37で記録した内容を含む場合が、当該受信した内容が製品登録テーブルT1の内容に整合しない場合に該当する。これは、ステップS37が、製品登録テーブルT1の内容に整合しない場合に実行されるステップであることに基づく。あるいは、抽出した制御盤100の製造番号が製品登録テーブルT1にない場合を、製品登録テーブルT1の内容に整合しない場合としてもよい。なお、製品登録テーブルT1の内容に整合する場合には、管理サーバ2は、受信した運転データをポンプ装置10の製造番号及び制御盤100の製造番号に関連付けてメモリ26に保存し、処理を終了する。
また、メモリ26の記憶内容との整合に関する判定は、例えば、以下の(a)~(c)のいずれかにより、実行可能となっている。なお、この判定に用いる当該受信した内容は、二次元コードから取得したポンプ装置10の製造番号と、アドバタイズパケットから抽出した制御盤100の製造番号と、運転データと、当該記録した内容(二次元コードから取得したポンプ装置10の製造番号、アドバタイズパケットから抽出した制御盤100の製造番号)とを含んでいる。
(a)記録した内容に含まれるポンプ装置10の製造番号が、メンテナンス情報に含まれるポンプ装置10の製造番号に一致し、且つ記録した内容に含まれる制御盤100の製造番号が、メンテナンス情報に含まれる交換後の新規の制御盤100の製造番号に一致する場合、メンテナンス情報に整合する旨を判定する。
(b)上記(a)のうち、ポンプ装置10の製造番号の比較を省略して判定する。すなわち、記録した内容に含まれる制御盤100の製造番号が、メンテナンス情報に含まれる交換後の新規の制御盤100の製造番号に一致する場合、メンテナンス情報に整合する旨を判定する。当該(b)の判定は、制御盤100が交換されたか否かを判定する旨に読み替えてもよい。本実施形態では理解を容易にするため、管理サーバ2は、当該受信した内容と、メモリ26内の記憶内容とに基づいて、制御盤100が交換されたか否かを判定する(ステップS72)。ここで、当該(b)の判定について補足する。交換後の新規の制御盤100は、新品であり、ポンプ装置10との組合せが1通りである。これは、複数のポンプ装置10の間で制御盤100が交換されることがないためである。従って、記録した内容に含まれる制御盤100の製造番号がメンテナンス情報内の交換後の新規の制御盤100の製造番号に一致すれば、ポンプ装置10の製造番号を確認しなくても、制御盤100が交換されたことを確認できる。これに基づき、当該(b)の判定が可能となっている。
(c)メンテナンス情報以外に、ポンプ装置10の製造番号と、交換後の新規の制御盤100の製造番号とを関連付けた関連情報があるとき、当該関連情報を用いて上記(a)又は(b)と同様に判定する。
上記(a)~(c)のいずれにしてもステップS72が実行される。ステップS72の判定の結果、否の場合には(ステップS72:No)、通信端末300にエラーを通知する(ステップS73)。
通信端末300は、通知されたエラーを表示することにより、作業者に確認作業などを促す(ステップS74)。作業者は、適宜、当該エラーについての確認作業を行う。
一方、ステップS72の判定の結果、制御盤100が交換されていたとき、管理サーバ2のプロセッサ27は、記録内容に含まれるポンプ装置10の製造番号及び制御盤100の製造番号と、運転データとを関連付けてメモリ26に保存することで(ステップS75)、制御盤100内の情報を管理する。また、プロセッサ27は、記録内容に含まれるポンプ装置10の製造番号及び制御盤100の製造番号に基づいて、製品登録テーブルT1を更新する。すなわち、プロセッサ27は、製品登録テーブルT1内の整合しない制御盤100の製造番号(交換前)を、受信した内容に含まれる制御盤100の製造番号(交換後)に更新する。
ステップS75の後、管理サーバ2は、通信端末300に終了を通知する(ステップS76)。これにより、ポンプ装置10の点検作業が終了する。
上述したように第1の実施形態によれば、管理サーバにおいて、対象を含む被管理装置を識別する第1識別情報と、当該被管理装置に設けられ且つ当該対象を制御する制御装置を識別する第2識別情報とを関連付けたテーブルを記憶する第1記憶部を備える。また、管理サーバにおいて、当該制御装置を新規の制御装置に交換した被管理装置を識別する第1識別情報と、当該新規の制御装置を識別する第2識別情報とを関連付けて記憶する第2記憶部を備える。また、管理サーバにおいて、当該管理サーバへの通信圏外にある被管理装置に通信可能な通信端末が通信圏内に移動した後で、当該通信端末から第1識別情報と第2識別情報とを受信する。また、管理サーバにおいて、当該受信した内容が当該テーブル内で関連付けられた内容に整合しない場合に、当該受信した内容と、当該第2記憶部の記憶内容とが整合するか否かを判定する。また、管理サーバにおいて、当該判定した結果、当該整合する場合に、テーブル内の整合しない内容を当該受信した内容に更新する。従って、管理サーバの通信圏外で通信端末が被管理装置に通信を行った後、当該通信端末が管理サーバの通信圏内に移動して管理サーバに通信を行うことにより、管理サーバへの通信圏外にある被管理装置の管理を、通信端末を用いて実現することができる。また、テーブルで管理している被管理装置と制御装置との組合せと、実際の被管理装置と制御装置との組合せが整合しない場合でも、第2記憶部を用いた判定により、当該整合しない原因が制御装置の交換によることが分かる。よって、当該テーブルを更新することにより、交換後の制御装置に基づく管理を行うことができる。
また、第1の実施形態によれば、管理サーバにおいて、上記判定した結果、否の場合に、通信端末にエラーを通知してもよい。この場合、通信端末がエラーを表示することにより、当該エラーに関する何らかの確認作業を作業者に促すことができる。
また、第1の実施形態によれば、第1識別情報が被管理装置の製造番号であり、第2識別情報が制御装置の製造番号であってもよい。この場合、各々の識別情報が型番とは異なり、装置毎に固有の番号であるので、被管理装置と制御装置との組合せに重複がなく、データを有効に管理することができる。
また、第1の実施形態によれば、通信端末において、対象を含む被管理装置を識別する第1識別情報と、当該被管理装置に設けられ且つ当該対象を制御する制御装置を識別する第2識別情報とを関連付けたテーブルを記憶する。また、通信端末において、管理サーバへの通信圏外で近距離無線通信の技術を用いてブロードキャスト通信された無線信号であって、制御装置を識別する第2識別情報を含む当該無線信号を当該制御装置から受信する。また、通信端末において、当該第1識別情報を表現した二次元コードを提示する当該被管理装置のうちの当該二次元コードの画像データから当該第1識別情報を取得する。また、通信端末において、当該取得した第1識別情報に基づいて当該テーブルから第2識別情報を取得する。また、通信端末において、当該取得した第2識別情報と当該無線信号から抽出した第2識別情報とを比較する。また、通信端末において、当該比較した結果、両者が不一致のとき、当該取得した第1識別情報と、当該抽出した第2識別情報とを関連付けて保存する保存部を備えている。また、通信端末において、制御装置との通信の終了後、操作者の操作に応じて、当該保存部内で関連付けられた第1識別情報と第2識別情報とを、通信圏内の管理サーバに送信する。従って同様に、管理サーバの通信圏外で通信端末が被管理装置に通信を行った後、当該通信端末が管理サーバの通信圏内に移動して管理サーバに通信を行うことにより、管理サーバへの通信圏外にある被管理装置の管理を、通信端末を用いて実現することができる。
また、第1の実施形態によれば、通信端末において、上記比較した結果、両者が一致するとき、無線信号を送信した制御装置に接続要求を送信してもよい。この場合、前述同様に、通信端末がテーブルを有することにより、管理サーバのテーブルを参照せずに、制御装置からの無線信号に応じて接続要求を送信できる。よって、基地局に電波が届かない場所でも、制御装置と通信端末との無線接続を実現することができる。すなわち、管理サーバの通信圏外でも、被管理装置と制御装置との組合せに基づいて、制御装置内の情報を管理可能にすることができる。補足すると、通信端末が管理サーバに通信していないオフライン(例、地下)のときでも、自動でペアリングを実行することができる。また、ユーザの勘違い無く、被管理装置と制御装置との正しい組合せでデータを管理することができる。例えば、通信端末は、周囲に複数のアドバタイズ(制御盤)がある場合でも、テーブルを参照し、第1識別情報に合致する制御盤を選んで接続することで、接続したい制御盤と間違いなく(自動で)接続できる。
また、近距離無線通信がBluetooth(登録商標)バージョン4.0以降の規格に基づく通信であり、無線信号がアドバタイズパケットである場合、NFC(Near Field Communication)に比べ、利便性の向上を図ることができる。補足すると、制御装置と通信端末とが無線接続する際には、容易に接続することが望まれる。例えば、NFCの規格のように、直接タッチすることで通信する手法もあるが、常時通信できないことから、利便性が低い。また、BluetoothのペアリングのみNFCで行う手法もあるが、Bluetoothとは別の周波数帯のため、アンテナの追加が必要でコストを要する。これに対し、本実施形態のBLEを用いた近距離無線通信によれば、通信端末が二次元コードを読み取り、アドバタイズパケットを受信することで、常時通信の下、簡単に正しい組合せでペアリングを実行することが可能となる。
また、第1の実施形態によれば、制御装置において、被管理装置を識別する第1識別情報を表現した二次元コードを表示するように表示部を制御してもよい。このとき、被管理装置に固着された二次元コード及び当該表示部に表示された二次元コードは、通信端末から読み取り可能なコードであって、互いに同一の情報を表現している。この場合、通信端末を所持した作業者が2つの二次元コードのいずれか撮影し易い方を撮影して第1識別情報を取得すればよいので、無線接続に要する作業のうち、二次元コードの読み取り作業の容易化を図ることができる。
また、第1の実施形態によれば、制御装置において、通信端末との間の通信を接続した後、当該通信端末とのペアリングを行うためのパスキーを表現した二次元コードを表示するように表示部を制御してもよい。この場合、通信端末が二次元コードを撮影してパスキーを取得できるので、パスキーの無線通信やキー入力操作を行うことなく、制御装置と通信端末との間でパスキーを共有することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、第2識別情報を含む無線信号(アドバタイズパケット)を用いた第1の実施形態とは異なり、第1識別情報を更に含む無線信号(アドバタイズパケット)を用いた形態である。言い換えると、第2の実施形態は、第1識別情報及び第2識別情報を含む無線信号(アドバタイズパケット)を用いた形態である。
これに伴い、制御盤100の通信制御部107aは、第1識別情報及び第2識別情報を含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信する。
通信端末300の通信制御部307aは、二次元コードの画像データから取得した第1識別情報と、当該アドバタイズパケットから抽出した第1識別情報とを比較する。また、通信制御部307aは、当該比較した結果、第1識別情報が互いに一致するときで且つ、第1の実施形態における比較の結果も一致であるとき、当該アドバタイズパケットを送信した制御盤100に接続要求を送信する。
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
以下、図14を参照しながら、第2の実施形態におけるステップS30の動作例を説明する。なお、ステップS10~S20、S40~S70は、第1の実施形態と同様である。
(ステップS30:無線通信の接続)
制御盤100は、通信部101及びプロセッサ107により、ポンプ装置10の製造番号と当該制御盤100の製造番号とを含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信する(ステップS31a)。アドバタイズパケットのブロードキャスト通信は、所定間隔毎に、繰り返し実行される。
また、ステップS32~S34が前述同様に実行され、通信端末300は、二次元コードc1の画像データからポンプ装置10の製造番号を取得すると共に、メモリ306内の製品登録テーブルT1から制御盤100の製造番号を取得する。
ステップS34の後、ステップS31aと同様に、制御盤100は、ポンプ装置10の製造番号と当該制御盤100の製造番号とを含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信する(ステップS35a)。
通信端末300のプロセッサ307は、ステップS33で取得したポンプ装置10の製造番号と、当該アドバタイズパケットから抽出したポンプ装置10の製造番号とを比較し、両者が一致するか否かを判定する。また同様に、通信端末300のプロセッサ307は、ステップS34で取得した制御盤100の製造番号と、当該アドバタイズパケットから抽出した制御盤100の製造番号とを比較し、両者が一致するか否かを判定する。すなわち、通信端末300のプロセッサ307は、各々のステップで取得した製造番号がそれぞれアドバタイズパケットから抽出した製造番号に一致するか否かを判定する(ステップS36a)。両者が不一致のとき(ステップS36a:No)には、プロセッサ307は、ステップS33で取得したポンプ装置10の製造番号と、当該抽出した制御盤100の製造番号とを関連付けてメモリ306に保存(記録)する(ステップS37)。ステップS37の後、ステップS38に移行する。
一方、通信端末300のプロセッサ307は、ステップS36aでの比較結果がそれぞれ一致を示すとき、あるいはステップS37の後、通信部301を介して、アドバタイズパケットを送信した制御盤100に接続要求を送信する(ステップS38)。これにより、制御盤100と通信端末300との無線通信が接続される。また、制御盤100は、ブロードキャスト通信を終了する。以上により、ステップS30が終了する。
上述したように第2の実施形態によれば、無線信号(アドバタイズパケット)は、被管理装置の第1識別情報を更に含んでいる。これに伴い、通信端末において、前述した制御装置の第2識別情報の比較に加え、被管理装置の第1識別情報の比較が行われた後、接続要求が送信される。従って、第1の実施形態の作用効果に加え、被管理装置の第1識別情報についても確認した上で、接続要求を送信することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、第1識別情報を表現した二次元コードを用いた第1の実施形態とは異なり、第2識別情報を更に表現している二次元コードを用いた形態である。言い換えると、第3の実施形態は、第1識別情報と第2識別情報とを表現した二次元コードを用いた形態である。
これに伴い、ポンプ装置10に固着された銘板の二次元コードc1は、ポンプ装置10の製造番号と制御盤100の製造番号とを表現している。
また、制御盤100の表示制御部107bは、ポンプ装置10の製造番号と制御盤100の製造番号とを表現した二次元コードc2を表示するように表示部105を制御する。
一方、通信端末300のプロセッサ307は、二次元コードc1,c2のいずれかが撮影された場合に、当該撮影された画像データからポンプ装置10の製造番号と制御盤100の製造番号とを取得する。
また、通信端末300のプロセッサ307は、取得したポンプ装置10の製造番号に基づく製品登録テーブルT1内の制御盤100の製造番号と、二次元コードの画像データから取得した制御盤100の製造番号とが整合しているか否かを判定する。プロセッサ307は、この判定の結果、否の場合には不整合をメモリ306に記録する。
また、通信端末300のプロセッサ307は、不整合の場合、いずれかの制御盤100の製造番号が、ブロードキャスト通信された無線信号(アドバタイズパケット)から抽出した制御盤100の製造番号と一致するか否かを判定する。プロセッサ307は、この判定の結果、一致する場合には、当該アドバタイズパケットを送信した制御盤100に接続要求を送信する。
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
以下、図15を参照しながら、第3の実施形態におけるステップS30の動作例を説明する。なお、ステップS10~S20、S40~S70は、第1の実施形態と同様である。
(ステップS30:無線通信の接続)
いま、ステップS31~S32が前述同様に実行され、通信端末300は、作業者の操作により、例えば、ポンプ装置10の銘板の二次元コードc1を撮影する。なお、銘板の二次元コードc1に代えて、表示された二次元コードc2を撮影してもよい。
ステップS32の後、通信端末300のプロセッサ307は、二次元コードc1の画像データから当該ポンプ装置10の製造番号と制御盤100の製造番号とを取得する(ステップS33b)。
ステップS33bの後、プロセッサ307は、当該取得したポンプ装置10の製造番号に基づいて、メモリ306内の製品登録テーブルT1から制御盤100の製造番号を取得する。また、プロセッサ307は、製品登録テーブルT1から取得した制御盤100の製造番号と、二次元コードc1の画像データから取得した制御盤100の製造番号とが整合しているか否かを判定する(ステップS34b-1)。この判定の結果、否の場合には、プロセッサ307は不整合をメモリ306に記録する(ステップS34b-2)。なお、不整合は、必ずしも異常を示すものではない。例えば、製造時に発行された銘板の二次元コードc1に対し、制御盤100の交換によって製品登録テーブルT1内の制御盤100の製造番号が更新された後には、ステップS34b-1の判定結果が不整合を示す。この場合の不整合は、制御盤100の交換に伴うものであり、異常ではない。
ステップS34b-1,S34b-2の後、ステップS31と同様に、制御盤100は、当該制御盤100の製造番号を含むアドバタイズパケットをブロードキャスト通信する(ステップS35)。
通信端末300のプロセッサ307は、ステップS34b-1に用いたいずれかの制御盤100の製造番号が、当該アドバタイズパケットから抽出した制御盤100の製造番号と一致するか否かを判定する(ステップS36b)。否のとき(ステップS36b:No)には、プロセッサ307は、ステップS33bで取得したポンプ装置10の製造番号と、当該抽出した制御盤100の製造番号とを関連付けてメモリ306に保存(記録)する(ステップS37)。ステップS37の後、ステップS38に移行する。
一方、通信端末300のプロセッサ307は、ステップS36bで比較した結果、一致するとき、あるいはステップS37の後、前述同様にステップS38を実行する。これにより、制御盤100と通信端末300との無線通信が接続される。また、制御盤100は、ブロードキャスト通信を終了する。以上により、ステップS30が終了する。
上述したように第3の実施形態によれば、二次元コードは、制御装置の第2識別情報を更に含んでいる。これに伴い、通信端末において、テーブルから取得した制御装置の第2識別情報と、二次元コードの画像データから取得した制御装置の第2識別情報とのうちのいずれかと、無線信号(アドバタイズパケット)から抽出した制御盤の第2識別情報とが一致しているか否かを判定する。この判定の結果、一致する場合には、通信端末から接続要求が送信される。従って、第1の実施形態の作用効果に加え、制御装置の第2識別情報が更新された場合を考慮した上で、接続要求を送信することができる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、管理サーバ2が制御盤100の交換を判定した第1乃至第3の実施形態とは異なり、通信端末300が制御盤100の交換を判定する形態である。
これに伴い、管理サーバ2のプロセッサ27は、図2に示した構成において、処理部27bの機能が省略されている。
一方、通信端末300のメモリ306は、管理サーバ2から予め受けたメンテナンス情報を記憶している。メモリ306は、制御装置を新規の制御装置に交換した被管理装置を識別する第1識別情報と、当該新規の制御装置を識別する第2識別情報とを関連付けて記憶する第2記憶部の一例である。
また、通信端末300は、請求項に記載の保存部の機能と、請求項に記載の送信部の機能とに代えて、プロセッサ307が判定部及び更新部の機能を実現する。
判定部を実現するプロセッサ307は、ステップS36,S36a,S36bで比較した結果、両者が不一致のとき、ステップS33,S33bで取得したポンプ装置10の製造番号及び無線信号(アドバタイズパケット)から抽出した制御盤100の製造番号と、第2記憶部としてのメモリ306の記憶内容(例、メンテナンス情報)とが整合するか否かを判定する。補足すると、前述した処理部27bと同様に、プロセッサ307は、ポンプ装置10と制御盤100との組合せについて、現在の組合せと、組み立て時(製品登録時)の組合せとが整合しない場合に、現在の組合せが、メンテナンス情報に記録された制御盤交換後の組合せに整合するかを判定する。ここで、「整合」の用語は、「一致」と呼んでもよい。また、当該取得及び抽出した内容と、メモリ306の記憶内容(メンテナンス情報)とが整合するか否かを判定することは、当該取得及び抽出した内容と、メモリ306の記憶内容(メンテナンス情報)とに基づいて、制御盤100が交換されたか否かを判定する旨を包含する。このようなプロセッサ307は、判定部の一例である。
更新部を実現するプロセッサ307は、当該判定した結果、当該アドバタイズパケットから抽出した制御盤100の製造番号とメモリ306の記憶内容とが整合する場合に、製品登録テーブルT1から取得した制御盤100の製造番号に一致する製品登録テーブルT1内の制御盤100の製造番号を、当該抽出した制御盤100の製造番号に更新する。このようなプロセッサ307は、更新部の一例である。
また、通信制御部307aは、前述同様に、ステップS36,S36a,S36bで比較した結果、両者が一致するとき、通信部301を介して、無線信号(アドバタイズパケット)を送信した制御盤100に接続要求を送信する。
他の構成は、第1乃至第3の各実施形態と同様である。
以下、図16及び図17を参照しながら、第4の実施形態におけるステップS30,S70の動作例を説明する。なお、ステップS10~S20、S40~S60は、第1乃至第3の各実施形態と同様である。以下の説明は、主に、第1の実施形態に適用した場合を例に挙げて述べるが、適宜、ステップ番号及び動作等を読み替えることにより、第2又は第3の実施形態にも同様に適用できる。
(ステップS30:無線通信の接続)
いま、ステップS31~S36が前述同様に実行された後、図16に示すように、本実施形態に係るステップS37cがステップS37c-1~S37c-3により実行される。すなわち、通信端末300のプロセッサ307は、ステップS33で取得したポンプ装置10の製造番号と、当該アドバタイズパケットから抽出したポンプ装置10の製造番号とを比較し、両者が一致するか否かを判定する(ステップS36)。両者が不一致のとき(ステップS36:No)には、プロセッサ307は、ステップS33で取得したポンプ装置10の製造番号及びアドバタイズパケットから抽出した制御盤100の製造番号と、第2記憶部としてのメモリ306の記憶内容(メンテナンス情報)とが整合するか否かを判定する。
ここで、メモリ306の記憶内容との整合に関する判定は、例えば、以下の(a)~(c)のいずれかにより、実行可能となっている。
(a)ステップS33で取得したポンプ装置10の製造番号が、メンテナンス情報に含まれるポンプ装置10の製造番号に一致し、且つアドバタイズパケットから抽出した制御盤100の製造番号が、メンテナンス情報に含まれる交換後の新規の制御盤100の製造番号に一致する場合、メモリ306の記憶内容に整合する旨を判定する。
(b)上記(a)のうち、ポンプ装置10の製造番号の比較を省略して判定する。すなわち、アドバタイズパケットから抽出した制御盤100の製造番号が、メンテナンス情報に含まれる交換後の新規の制御盤100の製造番号に一致する場合、メモリ306の記憶内容に整合する旨を判定する。当該(b)の判定は、制御盤100が交換されたか否かを判定する旨に読み替えてもよい。本実施形態では理解を容易にするため、管理サーバ2は、当該抽出した制御盤100の製造番号と、メモリ306内の記憶内容とに基づいて、制御盤100が交換されたか否かを判定する(ステップS37c-1)。
(c)メンテナンス情報以外に、ポンプ装置10の製造番号と、交換後の新規の制御盤100の製造番号とを関連付けた関連情報を通信端末300が有するとき、当該関連情報を用いて上記(a)又は(b)と同様に判定する。
上記(a)~(c)のいずれにしてもステップS37c-1が実行される。ステップS37c-1の判定の結果、否の場合には(ステップS37c-1:No)、通信端末300のプロセッサ307は、表示部305にエラーを表示させ(ステップS37c-2)、処理を終了する。通信端末300は、当該エラーを表示することにより、作業者に確認作業などを促す。作業者は、適宜、当該エラーについての確認作業を行う。
一方、通信端末300のプロセッサ307はステップS37c-1の判定の結果、制御盤100が交換されていたとき、通信端末300のプロセッサ307は、製品登録テーブルT1から取得した制御盤100の製造番号に一致する製品登録テーブルT1内の制御盤100の製造番号を、当該抽出した制御盤100の製造番号に更新する(ステップS37c-3)。すなわち、プロセッサ27は、製品登録テーブルT1内の整合しない制御盤100の製造番号(交換前)を、メンテナンス情報に含まれる制御盤100の製造番号(交換後)に更新する。
また、通信端末300のプロセッサ307は、ステップS36で比較した結果、一致するとき、あるいはステップS37c-3の後、前述同様にステップS38を実行する。これにより、制御盤100と通信端末300との無線通信が接続される。また、制御盤100は、ブロードキャスト通信を終了する。以上により、ステップS30が終了する。以後、ステップS40~S60は、前述同様に実行される。
(ステップS70:運転データの保存)
通信端末300は、図17に示すように、作業者の操作により、製品登録テーブルT1と、ステップS50で収集した運転データとを管理サーバ2に送信する(ステップS71c)。もしステップS37c-3で製品登録テーブルT1を更新した場合、送信する製品登録テーブルT1は、更新後のテーブルである。
管理サーバ2のプロセッサ27は、製品登録テーブルT1に含まれるポンプ装置10の製造番号及び制御盤100の製造番号と、受信した運転データとを関連付けてメモリ26に保存する(ステップS75)。
ステップS75の後、管理サーバ2は、通信端末300に終了を通知する(ステップS76)。これにより、ポンプ装置10の点検作業が終了する。
上述したように第4の実施形態によれば、通信端末において、制御装置を新規の制御装置に交換した被管理装置を識別する第1識別情報と、新規の制御装置を識別する第2識別情報とを関連付けて記憶する第2記憶部を更に備えている。また、通信端末において、保存部及び送信部に代えて、比較した結果、両者が不一致のとき、取得した第1識別情報及び抽出した第2識別情報と、第2記憶部の記憶内容とが整合するか否かを判定する。また、通信端末において、当該判定した結果、第2識別情報と当該記憶内容とが整合する場合に、取得した第2識別情報に一致する当該テーブル内の第2識別情報を、抽出した第2識別情報に更新する。このように、管理サーバではなく、通信端末が第2記憶部に基づく判定及び更新を行う構成としても、第1乃至第3の各実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。すなわち、テーブルで管理している被管理装置と制御装置との組合せと、実際の被管理装置と制御装置との組合せが整合しない場合でも、第2記憶部を用いた判定により、当該整合しない原因が制御装置の交換によることが分かる。よって、当該テーブルを更新することにより、交換後の制御装置に基づく管理を行うことができる。
上述の実施形態は、本発明の概念の理解を助けるための具体例を示しているに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図されていない。実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々な構成要素の付加、削除または転換をすることができる。
上述の実施形態では、いくつかの機能部を説明したが、これらは各機能部の実装の一例に過ぎない。例えば、1つの装置に実装されると説明された複数の機能部が複数の別々の装置に亘って実装されることもあり得るし、逆に複数の別々の装置に亘って実装されると説明された機能部が1つの装置に実装されることもあり得る。
上記各実施形態において説明された種々の機能部は、回路を用いることで実現されてもよい。回路は、特定の機能を実現する専用回路であってもよいし、プロセッサのような汎用回路であってもよい。
上記各実施形態の処理の少なくとも一部は、例えば汎用のコンピュータに搭載されたプロセッサを基本ハードウェアとして用いることでも実現可能である。上記処理を実現するプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納して提供されてもよい。プログラムは、インストール可能な形式のファイルまたは実行可能な形式のファイルとして記録媒体に記憶される。記録媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、半導体メモリなどである。記録媒体は、プログラムを記憶でき、かつ、コンピュータが読み取り可能であれば、何れであってもよい。また、上記処理を実現するプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ(サーバ)上に格納し、ネットワーク経由でコンピュータ(クライアント)にダウンロードさせてもよい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。