JP7485805B2 - 治療および診断手順のための磁気刺激コイルおよび強磁性コンポーネント - Google Patents

治療および診断手順のための磁気刺激コイルおよび強磁性コンポーネント Download PDF

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Description

本発明は、治療および診断手順のための磁気刺激コイルおよび強磁性コンポーネントに関する。
いくつかの病気が、患者の身体の罹患部分への磁場の印加を通して治療および/または診断され得る。ニューロンおよび筋肉細胞は、生物学的回路の形態であり得、生物学的回路は、電気信号を運搬し、電磁刺激に応答する。導電性ワイヤーループが磁場を通過させられるかまたは変化する磁場の存在下にあるときには、電流がワイヤーの中に誘導され得る。同じ原理は、導電性の生物学的組織に関しても当てはまり得る。変化する磁場が身体の一部分に印加されているときには、ニューロンが、脱分極および刺激され得る。刺激されるニューロンと関連付けられた筋肉は、ニューロンが通常の原因によって発動しているかのように収縮し得る。
神経細胞またはニューロンは、たとえば、経頭蓋磁気刺激法(TMS)を介して経皮的に、複数の方式で刺激され得る。TMSは、皮膚を切るまたは貫通する必要なく、神経細胞の上に電流を誘導するために、急速に変化する磁場を使用し得る。たとえば、神経のタイプ、周囲の組織の局所的なpH、および/または末梢神経刺激に応じて、神経の中の膜電位がその通常のマイナスの環境レベルに対しておおよそ-90mV上昇するときに、神経は「発動」し得る。
磁気刺激コンポーネントは、神経細胞の上に電流を誘導する急速に変化する磁場を作り出すために使用され得る。磁気刺激コンポーネントは、治療の間に故障するかまたは不適正に動作し得、それは、患者にとって不適正な治療を結果として生じさせ得る。たとえば、磁気コンポーネントは、正しく動作しているように見えるかもしれないが、実際には、設計されたデバイス仕様の外側の磁場パルスを作り出し得、それは、潜在的に、不適正な診断および/または療法が患者に施されることを結果として生じさせる。正しくない磁場パルスを患者に施すことは、磁気刺激の診断および/または治療に悪影響を与え得る。たとえば、治療提供者は、実際には、意図した治療が患者に施されていないときに、患者が治療に応答していないと考え得る。したがって、治療提供者および/または診断している臨床医は、誤った情報に基づいて治療決定を行うように導かれ得る。
典型的なTMS治療装置は、電気的に敏感な細胞(たとえば、神経細胞またはニューロン)の中に電流を誘導するパルス状磁場を発生させる。これらの誘導電流は、典型的に、身体の中に完全な回路を形成し、身体を通したゼロ電流の経路が生成されるようになっている。TMS治療装置によって誘導される電流は、典型的に、この経路のおおよそ真ん中でゼロに降下する。この電流降下の速さは、たとえば、TMS装置によって発生させられる電流密度を幅広い表面積にわたって波及させることによって遅くさせられ得る。しかし、このアプローチを用いることは、リターン電流を集中させ得、それは、望ましくない副作用(たとえば、被験者の脳のターゲットでない領域の刺激)のより高い発生率につながり得る。
典型的なTMS治療装置は、1つまたは複数の導電性の刺激コイルを含み得る。そのようなコイルは、単一の層で構成され得(たとえば、巻かれる)、刺激されるべき組織の可能な限り近くにコイルが配設され得るようになっている。そのようなコイルは、頭蓋骨に対して望ましい深さにおいて脳組織を刺激し得る。しかし、そのようなコイルは、伝統的に、被験者の中の単一の場所のみを刺激するように構成されており、複数の場所を刺激するために、複数のコイル(それは、大きくて扱いにくいことがあり得る)が必要とされ得る。
患者を治療または診断するための方法、システム、および装置が、本明細書で説明されている。例示的なシステムは、電磁石と、電磁石に電気的に連結されているドライブ回路と、パルス状磁場を発生させるために電磁石に電流を提供するためにドライブ回路を制御するように構成されているコントローラーとを含み得る。電磁石は、第1の導電性巻線および第2の導電性巻線を含み得る。第1の導電性巻線は、内側表面および外側表面を画定し得る。第1の導電性巻線の外側表面は、凸形部分および凹形部分を含み得る。第2の導電性巻線は、第1の導電性巻線の外側表面の凹形部分に近接して存在し得る。
第1の導電性巻線は、三日月形に形状決めされ得る(たとえば、弓形、腎臓、または鎌形に形状決めされ得る)。たとえば、第1の導電性巻線の外側凹形セグメントは、凹面を画定し得、第2の導電性巻線の少なくとも一部分は、第1の導電性巻線の凹面の中に存在し得る。したがって、第1の導電性巻線は、第2の導電性巻線をカプセル化していなくてもよい(たとえば、完全に取り囲んでいなくてもよい)。第1の導電性巻線は、任意の形状、たとえば、非円形の形状または非長円形の形状などを画定し得る。第1の導電性巻線および第2の導電性巻線は、一緒に腎臓形状を形成し得る。第1の導電性巻線は、第1の数のターンを含み得、第2の導電性巻線は、第2の数のターンを含み得る、ここで、第1の数のターンおよび第2の数のターンは、異なっていてもよい。
第1の導電性巻線および第2の導電性巻線は、ハウジングの中に互いに所定の相対的な距離に構成され得、第1の導電性巻線および第2の導電性巻線が駆動されるときに、それらが被験者の脳の中に少なくとも2つの独立した活性化ゾーンを発生させるようになっている。活性化ゾーンは、刺激ゾーンまたはサブ刺激ゾーンであり得る。刺激ゾーンは、誘導電流が脳のニューロンの脱分極閾値を上回っている脳の領域を含み得る。たとえば、第1の刺激ゾーンは、第1の方向に移動する電流を含み得、第2の刺激ゾーンは、第2の方向に移動する電流を含み得。第1の刺激ゾーンおよび第2の刺激ゾーンは、脳の2つの異なる機能的な領域に関係し得る。
電磁石は、磁気コア(たとえば、1つまたは複数の強磁性コンポーネント)をさらに含み得る。磁気コアは、粉末状の磁気材料と、積層された磁気材料と、アモルファス磁気材料と、鉄、ニッケル、もしくはコバルトの合金のうちの1つもしくは複数と、および/または、レアアース元素もしくは合金、たとえば、ガドリニウム、ネオジム、もしくはホルミウムなどとの任意の組み合わせから構成され得る。たとえば、磁気コアは、2つのポール、実質的に円形の断面形状を画定する第1のポールと、三日月形の断面形状を画定する第2のポールとを画定する単一の強磁性コンポーネントを含み得る。第1のポールは、第1のポール面を画定し得、第2のポールは、第2のポール面を画定し得る。第1のポール面および第2のポール面は、互いに非平面的になっていてもよい。磁気コアは、複数の強磁性コンポーネントを含み得る。
患者を治療または診断するための例示的なシステムは、電磁石と、電磁石に電気的に連結されているドライブ回路と、パルス状磁場を発生させるために電磁石に電流を提供するためにドライブ回路を制御するように構成されているコントローラーとを含み得る。電磁石は、磁気コアと、第1の巻線と、第2の巻線とを含み得る。磁気コアは、第1のポール面、第2のポール面、および第3のポール面を画定し得、第3のポール面は、第1のポール面と第2のポール面との間に存在している。磁気コアのたとえば、3つのポール面は、線形に配置され得る。さらに、第1のポール面は、第1の導電性巻線の開口部の中に少なくとも部分的に存在し得、第2のポール面は、第2の導電性巻線の開口部の中に少なくとも部分的に存在し得る。そうであるので、第3のポール面は、第1の導電性巻線と第2の導電性巻線との間に存在し得る。
電磁石は、第3の導電性巻線を含み得る。磁気コアの第3のポール面は、第3の導電性巻線の中に少なくとも部分的に存在し得る。第3の導電性巻線は、第1の導電性巻線および第2の導電性巻線のそれぞれよりも多くのターンを含み得る。あるいは、または追加的に、第1の導電性巻線は、第2の導電性巻線および/または第3の導電性巻線よりも多くのターンを含み得る。第3の導電性巻線は、第3のポール面と同心円状になっていなくてもよい。
電磁石は、第3の導電性巻線を少なくとも部分的に取り囲むように構成されている第4の導電性巻線を含み得る。また、電磁石は、第4の導電性巻線の少なくとも一部分をカバーするように構成されているリターン経路磁気コアを含み得る。たとえば、リターン経路磁気コアは、チャネルを画定し得、第3の導電性巻線および/または第4の導電性巻線のうちの1つまたは複数は、リターン経路磁気コアのチャネルの中に少なくとも部分的に存在するように構成され得る。いくつかの例では、リターン経路磁気コアは、2つの部分、磁気コアの第1の側に存在するように構成されている第1の部分と、磁気コアの第2の側に存在するように構成されている第2の部分とを含み得る。リターン経路磁気コアは、形状が非線形になっていてもよい。
磁気コアは、第1のポール面を画定する第1のポール、第2のポール面を画定する第2のポール、第3のポール面を画定する第3のポール、および、第4のポール面を画定する第4のポールを画定し得る。第3のポール面は、第1のポール面と第4のポール面との間に存在し得、第4の面 は、第3のポール面と第2のポール面との間に存在し得る。たとえば、第1、第2、第3、および第4のポール面は、線形に配置され得る。第3のポールは、第1の導電性エレメントの上部表面の一部分をカバーするように構成され得る。同様に、いくつかの例では、第4のポールは、第2の導電性エレメントの上部表面の一部分をカバーするように構成され得る。
磁気コアは、複数のセグメントを含み得、複数のセグメントは、それぞれの活性化ゾーンの形状、活性化ゾーンの分離、または、相対的な活性化方向を変化させるために、追加または除去されるように構成されている。駆動されるときには、第1の導電性巻線および第2の導電性巻線は、同じ方向(または、たとえば、反対方向)に電流を循環させ得る。第1の導電性巻線は、第2の導電性巻線とは異なる数のターンを含み得る。第1の導電性巻線は、たとえば、電磁石によって発生させられるパルス状磁場の形状を修正するために、第2の導電性巻線とは異なるレベルにおいて駆動されるように構成され得る。電磁石は、1つもしくは複数の磁気コアおよび/または電磁石の導電性巻線をケースに収めるハウジングを含み得る。磁気コアは、粉末状の磁気材料と、積層された磁気材料と、アモルファス磁気材料と、鉄、ニッケル、もしくはコバルトの合金のうちの1つもしくは複数と、および/または、レアアース元素もしくは合金、たとえば、ガドリニウム、ネオジム、もしくはホルミウムなどとの任意の組み合わせから構成され得る。
患者を治療または診断するための別の例示的なシステムは、電磁石と、電磁石に電気的に連結されているドライブ回路と、パルス状磁場を発生させるために電磁石に電流を提供するためにドライブ回路を制御するように構成されているコントローラーとを含み得る。電磁石は、中心軸線を有する第1の導電性エレメントと、第1の導電性エレメントに近接して位置付けされており、中心軸線を有する第2の導電性エレメントと、開口部を画定する外部導電性エレメントとを含み得る。第1の導電性エレメントおよび第2の導電性エレメントは、外部導電性エレメントの開口部の中に配設されていなくてもよいが、第1の導電性エレメントの中心軸線および第2の導電性エレメントの中心軸線は、外部導電性エレメントの開口部を通過し得る。
第1の導電性エレメントおよび第2の導電性エレメントは、外部導電性エレメントの中心軸線からオフセットされて非対称的に設置され得る。たとえば、第1の導電性エレメントの中心は、第2の導電性エレメントの中心よりも外部導電性エレメントの近くに存在し得る。外部導電性エレメントは、患者の冠状面の周りを回るように構成されているクラウンコイルであり得る。磁気コアは、第1のポール面および第2のポール面を含み得、第1のポール面は、第1の導電性エレメントの開口部の中に少なくとも部分的に存在しており、第2のポール面は、第2の導電性エレメントの開口部の中に少なくとも部分的に存在している。
第1の導電性エレメントおよび第2の導電性エレメントは、形状が円形または楕円形であり得、8の字コイルを一緒に形成し得る。第1の導電性エレメントおよび第2の導電性エレメントは、B字形状のコイルを一緒に形成し得る。たとえば、第1の導電性エレメントおよび第2の導電性エレメントは、非円形のコイルを形成し得る。第1および第2の導電性エレメントは、異なる形状またはサイズのものであってもよい。外部導電性エレメントは、第1の導電性エレメントおよび第2の導電性エレメントと直列に電気的に連結され得る。電磁石によって発生させられるパルス状磁場は、ヒト被験者の脳の中に第1の刺激ゾーンおよび第2の刺激ゾーンを誘導するように構成され得、刺激ゾーンは、誘導電流が脳のニューロンの脱分極閾値を上回っている脳の領域を含み得る。システムは、電磁石をケースに収めるハウジングをさらに含み得る。
患者を治療または診断するための別の例示的なシステムは、電磁石と、電磁石に電気的に連結されているドライブ回路と、パルス状磁場を発生させるために電磁石に電流を提供するためにドライブ回路を制御するように構成されているコントローラーとを含み得る。電磁石は、第1の導電性巻線、第2の導電性巻線、および第3の導電性巻線を含み得る。第2の導電性巻線は、第3の導電性巻線の開口部の中に少なくとも部分的に存在し得る。たとえば、第3の導電性エレメントは、第2の導電性エレメントの外側表面を取り囲むように構成され得る。第1の導電性エレメントおよび第2の導電性エレメントのうちの少なくとも1つは、「B」形状とすることができる。
また、電磁石は、第1の磁気コアおよび第2の磁気コアを含み得る。第1の磁気コアは、第1のポール面および第2のポール面を画定し得、第2の磁気コアは、第1のポール面および第2のポール面を画定し得る。第1の磁気コアの第1のポール面、および、第2の磁気コアの第1のポール面は、第1の導電性エレメントの開口部の中に少なくとも部分的に存在し得る。第1の磁気コアの第2のポール面、および、第2の磁気コアの第2のポール面は、第2の導電性エレメントの開口部の中に少なくとも部分的に存在し得る。
治療または診断システムの例の図である。 磁気刺激システムの例を図示するブロック図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている例示的な治療コイルの図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている例示的な治療コイルの下からの斜視図を図示する図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている図4Aの例示的な治療コイルの上からの斜視図を図示する図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている例示的な治療コイルの上からの斜視図を図示する図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている図5Aの例示的な治療コイルの下からの斜視図を図示する図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている例示的な治療コイルの上からの斜視図を図示する図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている図6Aの例示的な治療コイルの下からの斜視図を図示する図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている図6Aの例示的な治療コイルの上からの斜視図を図示する図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている図6Aの例示的な治療コイルの下からの斜視図を図示する図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている例示的な治療コイルの上からの斜視図を図示する図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている図7Aの例示的な治療コイルの下からの斜視図を図示する図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている図7Aの例示的な治療コイルの側面斜視図を図示する図である。 異なる強磁性コンポーネントを含んだ状態の図7Aの例示的な治療コイルの側面斜視図を図示する図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている例示的な治療コイルの側面斜視図を図示する図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている図8Aの例示的な治療コイルの下からの斜視図を図示する図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている例示的な治療コイルの上からの斜視図を図示する図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている図9Aの例示的な治療コイルの下からの斜視図を図示する図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている例示的な治療コイルの上からの斜視図を図示する図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている図10Aの例示的な治療コイルの下からの斜視図を図示する図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている例示的な治療コイルの一部分の上からの斜視図を図示する図である。 被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている図11Aの例示的な治療コイルの下からの斜視図を図示する図である。 強磁性コンポーネントを含んだ状態の図11Aの例示的な治療コイルの上からの斜視図を図示する図である。 図11Cの例示的な治療コイルの下からの斜視図を図示する図である。 複数の強磁性コンポーネントを含んだ状態の図11Aの例示的な治療コイルの上からの斜視図を図示する図である。 図11Eの例示的な治療コイルの下からの斜視図を図示する図である。 複数の強磁性コンポーネントを含んだ状態の図11Aの例示的な治療コイルの上からの斜視図を図示する図である。 図11Gの例示的な治療コイルの下からの斜視図を図示する図である。 例示的なTMS治療プロセスのフロー図である。
1831年、Michael Faradayは、導体の上に誘導される電界の大きさが、導体を横切る磁束の変化率に比例するということを発見した。Faradayの法則(当業者には周知である)は、E~-(A*dB/dt)として表され得、ここで、Eは、誘導される電界(ボルト/メートル)であり、dB/dtは、磁束密度の時間的変化率(テスラ/秒)である。換言すれば、導体などの物体の中に誘導される電界の量は、2つの因子:磁束の面積密度および時間的変化率を使用して決定され得る。磁束密度およびその微分係数が大きければ大きいほど、誘導される電界および結果として生じる電流密度は大きくなる。磁束は、距離の関数であり得る。たとえば、磁束密度は、磁場の供給源からの距離に関係して強度が減少し得るので(たとえば、1/r3または1/r5など)、導体が磁場の供給源に近ければ近いほど、磁束密度が大きくなり得る。導体がコイルであるときには、電界によってコイルの中に誘導される電流は、コイルのターンの数に比例して増加させられ得る。
さまざまな実施形態の態様が実装され得る磁気システムの例示的な動作および適用の概要が提供され得る。導体の上に誘導される電界の大きさは、導体を横切る磁束密度の変化率に比例し得る。電界が導体の中に誘導されるときには、電界は、導体の中に対応する電流フローを生成し得る。電流フローは、所与のポイントにおいて、電界ベクトルと同じ方向になり得る。ピーク電界は、磁束密度の時間的変化率が最大になるときに起こることができ、他の時間において減少し得る。磁気パルスの間に、電流は、磁場を持続しようとする方向に流れ得る(たとえば、Lenzの法則)。
生体構造の特定のパーツ(たとえば、神経、組織、筋肉、脳)は、導体として作用し得、パルス状の磁場が印加されるときに電流を運搬し得る。パルス状の磁場は、生体構造のこれらのパーツに経皮的に印加され得る。たとえば、TMSの文脈において、時間的に変化する磁場が、頭蓋骨を横切って印加され、脳組織の中に電界を生成し得、それは、電流を作り出し得る。誘導電流が十分な密度および/または持続期間のものである場合には、ニューロン活動電位は、膜ナトリウムチャネルが開き、活動電位応答が生成される程度まで低減され得る。電流の衝撃は、神経伝達物質の変調を介して他のニューロンに情報を伝達する軸索膜に沿って伝播され得る。そのような磁気刺激は、皮質組織の中のグルコース代謝および局所的な血流に急激に影響を与え得る。主だった鬱病性障害の場合、前頭前皮質および接続されている大脳辺縁系構造の中の神経伝達物質の異常調節および異常なグルコース代謝は、起こり得る病態生理であり得る。前頭前皮質への磁気刺激の繰り返しの印加は、神経伝達物質濃度、代謝、および/または、刺激閾値に対する神経変化の慢性的変化を作り出し得、たとえば、鬱病が軽減され得るようになっている。
非皮質ニューロン(たとえば、脳神経、末梢神経、感覚神経)は、誘導電界によって刺激され得る。たとえば、末梢神経は、たとえば、パルス状の磁場誘導刺激に応答して応答時間および伝導速度を観察することによって、神経病理を診断するために意図的に刺激され得る。末梢神経および/または脳神経に印加される誘導電界が非常に強烈であり、および/または、神経の小さいエリアに焦点を合わせられる場合には、不快感および/または疼痛が結果として生じることがある。たとえば、影響を受ける神経束の中の感覚神経を意図的に過剰刺激することによって、それらが外部疼痛刺激にもはや応答することができないようになっている、または、疼痛感覚を引き起こしている誘導電界の強度および/または焦点を低減させることによって、この不快感は減少させられ得る。
経皮的磁気刺激は、鬱病の治療に限定されなくてもよい。経皮的磁気刺激は、たとえば、てんかん、統合失調症、パーキンソン病、トゥレット症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、アルツハイマー病、注意欠陥多動性障害、肥満、双極性障害/躁病、不安障害(たとえば、広場恐怖症、社会不安障害としても知られる社交恐怖、急性ストレス障害、および/または全般性不安障害を伴うおよび伴わないパニック障害)、心的外傷後ストレス障害(DSMにおける不安障害のうちの1つ)、強迫性障害(たとえば、DSMにおける不安障害のうちの1つ)、疼痛(たとえば、片頭痛および三叉神経痛、ならびに、慢性疼痛障害(神経因性疼痛、たとえば、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛に起因する疼痛を含む)、ならびに、特発性疼痛障害、たとえば、線維筋痛症、局所的な筋膜性疼痛症候群など)、脳卒中後のリハビリテーション(神経可塑性誘導)、耳鳴り、統合を促進させるために植え込まれたニューロンの刺激、物質関連障害(たとえば、アルコール、コカイン、アンフェタミン、カフェイン、ニコチン、および大麻などに関する依存症、乱用、および離脱診断)、脊髄損傷および再生/リハビリテーション、脳卒中、頭部損傷、睡眠不足の逆転、原発性睡眠障害(原発性不眠症、原発性過眠症、概日リズム睡眠障害)、認知機能改善、認知症、月経前不快気分障害(PMS)、薬物送達システム(薬物に対して細胞膜透過性を変化させること)、タンパク質合成の誘導(転写および翻訳の誘導)、吃音、失語症、嚥下障害、本態性振戦、自閉症スペクトラム障害、および/または摂食障害(たとえば、過食症、拒食症および多食症など)を患う患者(たとえば、ヒトなど)を治療するために使用され得る。
デバイスは、さまざまな用途において使用される電界を誘導するために、上記の原理を利用し得る。たとえば、磁気デバイスは、生体構造の電気的な刺激のために使用され得る。本明細書での議論は、解剖学的組織の磁気刺激に関連して使用される磁気デバイスに焦点を合わせているが、磁気デバイスは、どの活動分野においても利用され得る。さらに、本明細書で提供されるデバイスは、たとえば、経頭蓋磁気刺激法(TMS)などのような磁気刺激を参照して説明されているので、デバイスは、任意の治療または診断手順に関して使用され得る。
強磁性コアは、磁場を作り出すために、磁気デバイスに関連して使用され得る。たとえば、強磁性コアは、円弧形状の(たとえば、おおよそ半球形の)磁気材料を含み得る。強磁性コアは、少なくとも0.5テスラの磁気飽和を有する高度に飽和可能な磁気材料を含み得る。強磁性コアは、治療エリアの中の磁場分布を最適化するために形状決めされ得る。たとえば、そのような磁場は、たとえば、経頭蓋磁気刺激法(TMS)、反復TMS(rTMS)、磁気けいれん療法(MST)、深部TMS(dTMS)、制御および/または変化させられるパルス形状TMS(cTMS)、末梢神経不快感の低減などのような、経皮的磁気刺激を実施する目的のためとすることができる。本明細書で説明されている例は、TMSおよびrTMSに関連して議論されている場合があるが、本明細書で説明されている例は、たとえば、経皮的磁気刺激などのような、任意のタイプの磁気刺激に関連して利用され得る。そのうえ、たとえば、エアコアなどのような、他のコア材料が使用され得るので、本明細書で提示されている実施形態は、強磁性コア磁気刺激システムの使用に限定されない。
図1は、治療または診断システム100の例の図である。治療または診断システム100は、プロセッサー(図示せず)、電力供給部(図示せず)、メモリー(図示せず)、トランシーバー、(図示せず)、治療コイル102、関節式アーム104、ディスプレイデバイス106、および/またはヒト被験者位置決め装置122を含み得る。治療システム100は、静止式であってもよく、または、可動式であってもよい。たとえば、治療システム100は、たとえば、図1に示されているように、可動カートの中へ一体化され得る。1つまたは複数の例において、治療システム100は、TMS治療システム(たとえば、NeuroStar(登録商標))および/または任意の他の診療および/または診断手順システムとすることができる。
治療コイル102は、たとえば、TMSなど、診療および/または診断手順をヒト被験者120に施すために使用され得る。例示的な治療コイル102は、1つまたは複数の治療コイルと、1つまたは複数の強磁性コンポーネントとを含み得、1つまたは複数の強磁性コンポーネントは、1つまたは複数の治療コイルのうちの対応するものに近接して配設されるように構成されている。それぞれのTMSデバイスの1つまたは複数の治療コイルおよび強磁性コンポーネントは、1つまたは複数の治療コイルだけによって発生させられる磁場のものとは異なる1つまたは複数の特質を示す磁場を協働的に発生させ得る。治療コイル102を含むことが図示されており、主としてTMSに関して説明されているが、治療システム100は、ヒト被験者の診療および/または診断手順を施すための任意のデバイスを含み得。いくつかの例では、治療システム100は、診断手順のために(たとえば、診断手順のためだけに)使用され得る。
治療システム100のプロセッサーは、汎用プロセッサー、専用プロセッサー、従来のプロセッサー、デジタル信号プロセッサー(DSP)、複数のマイクロプロセッサー、DSPコアと関連した1つまたは複数のマイクロプロセッサー、コントローラー、マイクロコントローラー、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)回路、任意の他のタイプの集積回路(IC)、およびステートマシンなどであってもよい。プロセッサーは、信号コーディング、データ処理、電力制御、入力/出力処理、および/または、治療システム100が動作することを可能にする任意の他の機能性を実施し得る。プロセッサーは、電子的なパッケージまたはチップの中の治療システム100の1つまたは複数の他のコンポーネントとともに一体化され得る。
治療システム100のプロセッサーは、治療コイル102、関節式アーム104、ディスプレイデバイス106(たとえば、液晶ディスプレイ(LCD)ディスプレイユニットもしくは有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイユニット)、および/またはヒト被験者位置決め装置122に連結され得、また、ユーザー入力データをそれらから受け取ることおよび/または出力ユーザー入力データをそれらに送り得る。プロセッサーは、任意のタイプの適切なメモリー(たとえば、非可搬型メモリーおよび/または可搬型メモリーなど)からの情報にアクセスし得、また、任意のタイプの適切なメモリーの中にデータを記憶し得る。非可搬型メモリーは、ランダムアクセスメモリー(RAM)、リードオンリーメモリー(ROM)、ハードディスク、または、任意の他のタイプのメモリーストレージデバイスを含み得る。可搬型メモリーは、加入者識別モジュール(SIM)カード、メモリースティック、およびセキュアデジタル(SD)メモリーカードなどを含み得る。プロセッサーは、メモリーからの情報にアクセスし得、また、メモリーの中にデータを記憶し得、メモリーは、治療システム100の中に物理的に位置付けされておらず、たとえば、サーバー(図示せず)の上などに位置付けられている。
プロセッサーは、電力供給部から電力を受け取り得、治療システム100の中の他のコンポーネントへの電力を分配および/または制御するように構成され得る。電力供給部は、治療システム100に給電するための任意の適切なデバイスとすることができる。
ヒト被験者120は、ヒト被験者位置決め装置122の中に位置決めされ得る。ヒト被験者位置決め装置122は、椅子、リクライナー、ベッド、および/またはスツールなどとすることができる。治療を実施するときに、治療コイル102は、ヒト被験者の頭部が治療コイル102の下に位置決めされるように位置し得る。治療コイル102は、関節式アーム104および/またはそれに類するものなどによって調節され得る。
治療システム100は、プロセッサーの上で実行する1つまたは複数のコンピューターソフトウェアアプリケーションを含み得る。コンピューターソフトウェアアプリケーションは、ディスプレイデバイス106の上にシステムグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)(たとえば、TMSシステムGUI)を提供し得る。コンピューターソフトウェアアプリケーションは、ワークフロー管理を組み込み、診療および/もしくは診断手順を通じて技師をガイドし、ならびに/または、治療システム100の1つもしくは複数のサブシステムを監視および/もしくは制御し得る。たとえば、コンピューターソフトウェアアプリケーションは、内部システム機能を制御し、安全な動作を保証するためにシステム状況をモニタリングし、ならびに/または、診療および/もしくは診断手順のための準備および/もしくは診療および/もしくは診断手順を施すことを管理するために、グラフィカル手段をユーザーに提供し得る。
コンピューターソフトウェアアプリケーションとの相互作用は、ユーザーインターフェースを介して提供され得る。1つまたは複数の実施形態において、ユーザーインターフェースは、ディスプレイデバイス106とすることができ、ディスプレイデバイス106は、タッチスクリーンディスプレイとすることができる。ディスプレイデバイス106は、治療システム100とのユーザーインタラクションのための英数字キーおよび/またはボタンのタッチ活性化イメージを含み得る。ディスプレイデバイス106は、システム活動、メッセージ、および/またはアラームのグラフィック表現を提供し得る。インタラクティブなボタン、フィールド、および/またはイメージが、ディスプレイデバイス106を介して表示され得、技師がシステム機能に指示することおよび/またはシステム機能と相互作用することを可能にすることができ、システム機能は、たとえば、データを入力すること、手順を開始および停止すること、診断を実行すること、治療コイル102の位置決めおよび/もしくは構成を調節すること、ならびに/または、1つもしくは複数のセンサーの位置を調節することなどである。
治療システム100は、任意の診療および/または診断手順のために使用され得る。たとえば、治療システムは、TMS、経頭蓋直流刺激法(tDCS)、脳波記録法(EEG)、脳深部刺激法(DBS)、および/または診断手順などのために使用され得る。たとえば、治療システム100は、ヒト被験者の上への(たとえば、ヒト被験者の頭部の表面の上など)電極、センサー、および/またはプローブなどの設置を含む任意の診療および/または診断手順のために使用され得る。頭部モデルを参照して説明されているが、治療システム100は、それに限定されないが、腕、首、胸部、および/または脚などのような、ヒト被験者120の任意のパーツのモデルを発生させるように構成され得る。
図2は、磁気刺激システム200の例を図示するブロック図である。磁気刺激システム200は、治療システム100の例であり得る。磁気刺激システム200は、センサー210、コントローラー220、ユーザーインターフェース230、電力供給部240、および磁気刺激コンポーネント250を含み得る。磁気刺激コンポーネント250は、図1の治療システム100の治療コイル102の例とすることができる。
磁気刺激コンポーネント250は、患者の治療エリアに磁気刺激療法を行うために、パルス状磁場260を発生させるように構成され得る。磁気刺激療法は、たとえば、経頭蓋磁気刺激法(TMS)とすることができる。TMSは、TMS、反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS)、深部TMS(dTMS)、またはcTMSなどを指すことがある。磁気刺激コンポーネント250は、治療コイルとすることができる。磁気刺激コンポーネント250は、単一の治療コイル、複数の治療コイル、および/または、治療コイルのアレイとすることができる。治療エリアは、たとえば、前頭前皮質とすることができる。磁気刺激コンポーネント250は、コア(たとえば、磁気コア(たとえば、強磁性コア)など)を含んでもよく、または、含まなくてもよい。パルス状磁場260は、1つまたは複数のパルスバーストとすることができる。パルス状磁場260のパルスバースト(たとえば、それぞれのパルスバースト)は、1つまたは複数のパルスとすることができる。
センサー210は、パルス状磁場260と関連付けられた信号を発生させるように構成され得る。センサー210は、磁気刺激コンポーネント250と患者の治療エリアとの間に設置され得る。センサー210は、磁気刺激コンポーネント250のパルス状磁場260と関連付けられた信号(たとえば、パルス状磁場260によって誘導される信号)を発生させるように構成され得る。たとえば、センサー210は、物理的特性(たとえば、パルス状磁場260の強度)を対応する電気信号(たとえば、電流信号または電圧信号)に変換し得る。そうであるので、センサー210は、パルス状磁場の物理的なパラメーターを検出および/または測定し、検出された/測定された物理的なパラメーターを使用して、パルス状磁場と関連付けられた信号を発生させ得る。発生させられる信号は、パルス状磁場260の変化に比例し得る電圧信号および/または電流信号などとすることができる。たとえば、電流は、センサー210の中に発生させられ得、それは、パルス状磁場260に比例し得る。センサー210は、パルス状磁場260の磁束密度(dB/dt)に比例し得る電圧を発生させ得る。
センサー210は、導電性コイル、ループ(たとえば、パルス状磁場に基づいて複数のターンを有している)、Hallセンサー、磁気抵抗材料、Faraday効果センサー、Kerr効果センサー、フラックスゲートセンサー、インダクタンス変化エレメント、神経組織応答測定デバイス、および/または(たとえば、導電性場の中の)電界センサーなどのうちの1つまたは複数を含み得る。センサー210は、2つ以上の信号、たとえば、磁気刺激コンポーネント250によって発生させられるパルス状磁場260と関連付けられる2つ以上の信号を発生させるように構成され得る。
コントローラー220は、任意のタイプのハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせとすることができる。コントローラー220は、たとえば、磁気刺激療法を行うために、磁気刺激システム200のコンポーネント(たとえば、センサー210、ユーザーインターフェース230、電力供給部240、および/または磁気刺激コンポーネント250など)のうちの1つまたは複数を制御するように構成され得る。たとえば、コントローラー220は、汎用プロセッサー、専用プロセッサー、従来のプロセッサー、デジタル信号プロセッサー(DSP)、複数のマイクロプロセッサー、DSPコアと関連した1つまたは複数のマイクロプロセッサー、マイクロコントローラー、任意の他のタイプの集積回路(IC)、および/またはステートマシンなどを含み得る。
コントローラー220は、ユーザーインターフェース230および/またはセンサー210から入力を受け取り、それにしたがって、磁気刺激療法を行うように構成され得る。たとえば、コントローラー220は、信号コーディング、データ処理、電力制御、入力/出力処理、および/または、コントローラー220が磁気刺激のために磁気刺激コンポーネントを動作させることを可能にする任意の他の機能性を実施し得る。コントローラー220は、ドライブ回路を含み得、ドライブ回路は、磁気シミュレーション コンポーネント250を駆動する(たとえば、給電する、たとえば、パルスを与えるなど)ためのドライブ信号を発生させる。いくつかの例では、ドライブ回路は、コントローラー220から分離され得、磁気刺激コンポーネント250に電気的に連結され得る。
さらに、コントローラー220は、ユーザーインターフェース230および/またはセンサー210から受け取られる入力に基づいて磁気刺激コンポーネント250に提供されるドライブ信号を変更するように構成され得る。コントローラー220は、センサー210によって発生させられる信号と関連付けられた(たとえば、信号の1つまたは複数のピークと関連付けられた)特質を推定する(たとえば、測定する)ように構成され得る。コントローラー220は、信号のパルスのサブセットを推定し得、または、信号を連続的に推定し得る。信号の特質を推定することによって、コントローラー220は、パルス状磁場に応答して患者の脳の中に起こるもののモデルを推定し得る。
さらに、コントローラー220は、センサー210によって発生させられる信号の1つまたは複数の特質に基づいて、故障が起こったかどうかを決定し得る。故障が起こったと決定される場合に、コントローラー220は、故障モードに進入し得る。故障モードにおいて、コントローラー220は、磁気刺激手順を休止し、磁気刺激コンポーネント250を停止させ、磁気刺激システム200のユーザーに警告し、および/または、磁気刺激コンポーネント250に印加される電流を変更し得る。たとえば、コントローラー220が故障モードに進入するときには、コントローラー220は、それが発生信号の特質を推定する周波数を調節し得る。たとえば、コントローラー220は、第1の故障が検出された後に、より頻繁に故障をチェックし得る。さらに、磁気刺激システム200は、インジケーターを含み得、インジケーターは、故障が起こったということを磁気刺激システム200のユーザーに示し得る。たとえば、インジケーターは、ライト、スピーカー、および/または、ユーザーインターフェース230の上に表示されるアイコンなどとすることができる。
ユーザーインターフェース230は、磁気刺激システム200のユーザーが磁気刺激手順を開始させ、調節し、および/または終了させることができる任意のタイプのインターフェースとすることができる。たとえば、ユーザーインターフェース は、パーソナルコンピューター(PC)、キーボード、マウス、タッチスクリーン、および/またはワイヤレスデバイスなどを含み得、それは、ユーザーと磁気刺激システム200との間のインターフェースを可能にする。
電力供給部240は、磁気刺激コンポーネント250がその意図した目的のために(たとえば、TMS、rTMS、MST、または任意の他のタイプの用途のために)パルス状磁場260を発生させるのに十分なエネルギーを提供する任意のタイプの電源とすることができる。たとえば、電力供給部240は、従来の120VACまたは240VACの主電源とすることができる。
図3~図11Hは、治療システム100および/または磁気刺激システム200の中で使用され得る治療コイルの例である。図3~図11Hを参照して説明されている治療コイルは、治療または診断システムの中の治療コイル(たとえば、治療または診断システム100の中の治療コイル102)として、および/または、磁気刺激システムの磁気刺激コンポーネント(たとえば、磁気刺激システム200の磁気刺激コンポーネント250)の一部として使用され得る。さらに、単一のドライブ回路によって駆動されるものとして説明されているが、図3~図11Hを参照して説明されている治療コイルは、複数のドライブ回路によって駆動され得、たとえば、それぞれの導電性エレメントのためのまたは治療コイルの導電性エレメントのサブセットのためのドライブ回路によって駆動され得る。また、図3~図11Hを参照して説明されている導電性エレメントは、Litzワイヤーなどのような任意の適切な材料を含み得る。
図3~図11Hを参照して説明されている治療コイルは、1つまたは複数の強磁性コンポーネントを含み得。いくつかの例では、強磁性コンポーネントは、磁気コアと称され得る。強磁性コンポーネントは、粉末状の磁気材料と、積層された磁気材料と、アモルファス磁気材料と、鉄、ニッケル、もしくはコバルトの合金のうちの1つもしくは複数と、および/または、レアアース元素もしくは合金、たとえば、ガドリニウム、ネオジム、もしくはホルミウムなどとの任意の組み合わせから構成され得る。たとえば、本明細書で説明されている強磁性コンポーネントは、任意の適切な材料から構成され得、いくつかの例では、強磁性コンポーネントは、複数の異なる材料から作製され得、ここで、材料は、異なる飽和レベルを定義している。治療コイルのうちのいくつかの例は、強磁性コンポーネントを含んだ状態で説明されているが、本明細書で説明されている治療コイルのうちのいずれかは、図示されている強磁性コンポーネントのサブセットを含み得、および/または、強磁性コンポーネントは省略され得る。
また、直流電流(DC)磁場および/または永久磁石が、本明細書で説明されている治療コイルのいずれかの中で使用され、たとえば、強磁性コンポーネントの磁化率を修正し、磁場を再成形し、および/または、治療コイルによって生成される活性化ゾーンの分離を変更し得るということが認識されるべきである。
最後に、本明細書で説明されている治療コイルのうちのいずれかは(たとえば、治療コイル300、400、500、600、700、800、900、1000、および/または1100)、被験者の中に(たとえば、1つまたは複数のターゲット場所において)1つまたは複数の活性化ゾーン(たとえば、2つの活性化ゾーン)を誘導する磁場を発生させるように構成され得るということが認識されるべきである。したがって、治療コイルは、2つの活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるものとして主として説明されているが、本明細書で説明されている治療コイルのいずれかは、2つよりも多いまたは少ない活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるように構成され得る。
図3は、例示的な治療コイル300を示しており、例示的な治療コイル300は、ヒト被験者(図示せず)などのような被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者のターゲット生体構造は、たとえば、被験者の脳組織とすることができる。治療コイル300は、第1の導電性エレメント310、第2の導電性エレメント320、および第3の導電性エレメント330を含む。治療コイル300は、たとえば、図1に示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者の頭部に近接して配設され得る。図示されていないが、治療コイル300は、強磁性コンポーネントをさらに含み得。導電性エレメント310、320、330および強磁性コンポーネントの組み合わせは、集合的に、たとえば、電磁石と称され得る。治療コイル300は、図示されているものよりも多いまたは少ない導電性エレメントを含み得るということが認識されるべきである。導電性エレメントは、導電性巻線と称され得る。
導電性エレメント310、320、330は、銅などのような、適切な電気伝導度を示す任意の材料から作製され得る。第1および第2の導電性エレメント310、320は、材料の異なるピース、または、材料のモノリシックのピースから製作され得る。たとえば、所定の長さの材料(たとえば、ワイヤー)は、第1および第2の導電性エレメント310、320のそれぞれを画定するように、連続的に巻かれ得る。導電性エレメント310、320、330は、互いに対して別個に製作および支持されており、たとえば、1つまたは複数の取り付け部材(図示せず)を使用して互いに取り付けられ得る。別個に製作される複数の導電性エレメント(たとえば、第1および第2の導電性エレメント310、320)は、たとえば、導電性エレメントのそれぞれを相互接続する1つまたは複数の導電性の取り付け部材を使用して、互いに電気的に連通した状態で設置され得る。
導電性エレメント310、320、330は、任意の適切な形状、たとえば、図示されているように、実質的に円形の形状を画定し得る。たとえば、導電性エレメント310、320、330は、図示されているものと同じまたは異なる形状とすることができ、互いに同じまたは異なる形状を有し得る(たとえば、円形、楕円形、長円形、長方形など)。さらに、導電性エレメント310、320、330のうちの1つまたは複数は、被験者の頭部の領域に一致する幾何学形状を画定するように構成され得る。たとえば、導電性エレメントのうちの1つまたは複数は(それらの全体のうちの一部)、被験者の頭部の一部分(または、たとえば、他のターゲット生体構造)に一致する凹形のバンド形状のコイル幾何学形状を画定し得る。
治療コイル300は、非対称の8の字コイルを画定し得る(たとえば、「8」の一方のループが「8」の他方のループとは異なってサイズ決めまたは形決めされている8の字コイル、および/または、1つもしくは複数の追加的な導電性エレメントが「8」の対称性を破壊するように伝統的な8の字コイルに追加されている8の字コイル、など)。たとえば、治療コイル300は、「8」の一方のループを画定する2つの導電性エレメント310、320と、「8」の他方のループを画定する1つの導電性エレメント330とを含み得る。そうであるので、治療コイル300は、非対称の8の字コイルを画定し得る。さらに、導電性エレメント310は、導電性エレメント320によって画定される周囲、および/または、導電性エレメント330によって画定される周囲よりも大きい周囲を画定し得る。さらに、いくつかの例では、導電性エレメント330によって画定される周囲は、導電性エレメント320によって画定される周囲に等しくし得る。しかし、いくつかの例では、導電性エレメント330によって画定される周囲は、導電性エレメント320によって画定される周囲よりも大きくなっていてもよく、または、小さくなっていてもよいということが認識されるべきである。
導電性エレメント310、320、および330は、第1の導電性エレメント310によって画定される開口部の中に第2の導電性エレメント320が設置されるように位置し得る。さらに、第2の導電性エレメント320の中心軸線322は、第1の導電性エレメント310の中心軸線312からオフセットされ得る。そうであるので、第1および第2の導電性エレメント310、320は、同心円状になっていない。第2の導電性エレメント320と第1の導電性エレメント310との間の距離は、任意の適切な距離であり得る(たとえば、第1および第2の導電性エレメントが同心円状にならないようになっている)。他の例において、第1および第2の導電性エレメント310、320は、同心円状になっていてもよい。第3の導電性エレメント330は、第1の導電性エレメント310の周辺部の外側に位置付けされ得るが、第1および第3の導電性エレメント310、330は、互いに近接して位置付けされ得る。第1および第3の導電性エレメント310、330の近接する側部同士の間に小さいギャップ(図示せず)が位置付けされていてもよく、一方、いくつかの例では、第1および第3の導電性エレメント310、330が互いに接触し得る。さらに、いくつかの例では、導電性エレメント310は、導電性エレメント320よりも、導電性エレメント330の近くに配設され得る。
診断手順の治療の間に、治療コイル300は、第1の導電性エレメント310が第3の導電性エレメント330に近接しているエリア340が、被験者のターゲット刺激ゾーンの上方に設置されるように配設され得る。その後に、治療コイル300は、治療システムおよび/または磁気刺激システムのドライブ回路によって駆動され得る。たとえば、駆動されるときに、電流が、第1および第2の導電性エレメントを通って第1の方向(たとえば、図示されているように、上の視点から見たときに時計回り方向)に循環し、一方、電流が、第3の導電性エレメントを通って反対の第2の方向に(たとえば、図示されているように、上の視点から見たときに反時計回りに)循環するように、治療コイル300が構成され得る。
結果として、治療コイル300は、第3の導電性エレメント330の実質的に反対側のエリア(たとえば、エリア350など)と比較して、第1の導電性エレメント310が第3の導電性エレメント330に近接しているエリア340に近接して(たとえば、より強力なパルス状磁場を介して)、増加した刺激を引き起こす磁場を発生させるように構成され得る。そうであるので、治療コイル300のコイル構成は、治療エリアの周りに(たとえば、エリア340に近接して、たとえば、エリア340の下方に)、増加した刺激を提供し得、ターゲット刺激ゾーンの外側のエリア(たとえば、エリア350)の中に低減された刺激(たとえば、低減されたリターン電流)を提供し得る。
さらに、導電性エレメント310は、導電性エレメント320よりも導電性エレメント330の近くに配設され得る。導電性エレメント320および330に対する導電性エレメント310の相対的な場所とともに導電性エレメント310を含めることは(たとえば、導電性エレメント310は、導電性エレメント320よりも導電性エレメント330の近くに配設されている)、導電性エレメント310が含まれていない状況と比較して(たとえば、対称的な8の字コイルと比較して)、および/または、導電性エレメント310が導電性エレメント330よりも導電性エレメント320の近くに配設されている状況と比較して、矢印360によって画定される方向に治療コイル300によって発生させられる磁場をエリア350の近くにシフトさせ得る。たとえば、導電性エレメント320よりも導電性エレメント330の近くに配設されている導電性エレメント310を含めることは、エリア350に近接して誘導される電流レベルを増加させない状態で、直接的に導電性エレメント320と導電性エレメント330との間のエリアから、エリア350のより近くにシフトされたエリア340へ、矢印360によって画定される方向に沿って、磁場をシフトさせ得る。
エリア350に近接して誘導される電流レベルを増加させない状態で、(たとえば、対称的な8の字コイルの場合と同様に)直接的に導電性エレメント320と導電性エレメント330との間のエリアからエリア350のより近くへ磁場をシフトさせることは、特定の治療または診断手順にとって有益であり得る。たとえば、治療コイル300が患者に近接した位置にあるときには、治療エリアは、エリア340に近接してもよく、また、エリア350の直ぐ向こうに刺激することが望ましくないエリアが存在し得る。たとえば、いくつかの手順の間に、患者の副鼻腔または鼻柱(そこでは、刺激の誘導が望ましくないことがある)に近接してエリア350を位置付けしながら、背内側皮質または前頭前皮質の刺激のために、背内側皮質または前頭前皮質に近接してエリア340を位置付けすることが望ましいことがある。
治療コイル300は、直接的に導電性エレメント320と導電性エレメント330との間のエリアから、エリア350のより近くにシフトされたエリア340へ、矢印360によって画定される方向に磁場をシフトさせるために、他の配置で構成され得る。たとえば、導電性エレメント330がより小さい直径で作製されている場合には、導電性エレメント310および/もしくは320がより大きい直径で作製されている場合には、ならびに/または、導電性エレメント320が導電性エレメント330からより遠くに離れるように移動させられる場合には、発生させられる磁場は、エリア350のより近くにシフトされ得る。
図示されている例では、第1、第2、および第3の導電性エレメント310、320、330は、単一のループ(たとえば、単一のアンプターン(amp-turn))をそれぞれ画定している。いくつかの例では、治療コイル300は、追加的な導電性エレメント、および/または、複数のループ(たとえば、アンプターン)を画定する導電性エレメントを含み得る。たとえば、治療コイル300は、一方の側よりも他方の側において(たとえば、第1および第2の導電性エレメント310、320を有する側、または、第3の導電性エレメント330を有する側)、より多くの導電性エレメント(または、たとえば、より多くのループを画定する導電性エレメント)を含み得る。たとえば、第4の導電性エレメントが、第2の導電性エレメント320の開口部の中に含まれ得、さらなる例に関して、第5の導電性エレメントが、第3の導電性エレメント330の開口部の中に含まれ得る。第4および第5の導電性エレメントは、それぞれ、第2および第3の導電性エレメントと同心円状になっていなくてもよい。したがって、一方の側よりも他方の側においてより多くの導電性エレメントが存在している限りにおいて、治療コイル300は、任意の数の追加的な導電性エレメント(または、たとえば、より多くのループを画定する導電性エレメント)を含み得る。さらに、駆動されるときには、電流が、第4の導電性エレメントを通って第1の方向(たとえば、第1および第2の導電性エレメント310、320と同じ方向)に循環し得、一方、電流が、第5の導電性エレメントを通って反対の第2の方向(たとえば、第3の導電性エレメント330と同じ方向)に循環し得る。
さらに、上記に述べられているように、刺激コイル300は、強磁性コンポーネント(図示せず)を含み得る。強磁性コンポーネントは、治療コイル300によって発生させられる磁場の1つまたは複数の特質を変化させるように構成され得る。強磁性コンポーネントは、適切な強磁性の特性を示す任意の材料、たとえば、粉末状の強磁性の鉄粒子などから作製され得る。さらに、強磁性コンポーネントは、任意の適切な形状、たとえば、円形形状、半楕円形のバンド形状などを画定し得る。
強磁性コンポーネントは、治療コイル300に近接して位置付けされ得る。たとえば、強磁性コンポーネントは、(たとえば、第2の導電性エレメント320に加えて、または、第2の導電性エレメント320の代わりに)第1の導電性エレメント310の開口部の中に位置付けされ得る。強磁性コンポーネントの中心は、第1の導電性エレメント310(および、たとえば、含まれる場合には、第2の導電性エレメント320)の中心軸線312からオフセットされ得る。たとえば、強磁性コンポーネントが円形の断面を有する場合には、強磁性コンポーネントは、第1の導電性エレメント310と同心円状になっていなくてもよい。第1の導電性エレメント310の中心軸線312から強磁性コンポーネントをオフセットさせることによって、治療コイル300は、第1の導電性エレメント310が第3の導電性エレメント330に近接しているエリア340からオフセットされている磁場を発生させるように構成され得る。そのうえ、いくつかの例では、強磁性コンポーネントは、治療コイル300の一部分または全体を少なくとも部分的に受け入れるかまたは包含するように構成され得る。たとえば、強磁性コンポーネントは、凹部を画定し得、凹部は、治療コイル300の少なくとも一部分を受け入れるように構成されており、治療コイル300が凹部の中に配設されているときには、強磁性コンポーネントが導電性エレメント310、320、330のそれぞれの部分を少なくとも部分的に取り囲むようになっている。
いくつかの例では、治療コイル300は、ベンドを含み得、リターン電流が頭部から巻き起こるようにする角度(たとえば、90度の角度など)を、治療コイル300が画定するようになっている。たとえば、導電性エレメント310、320、330の任意の組み合わせは、リターン電流が頭部から巻き起こることを可能にする角度(たとえば、90度の角度など)を、導電性エレメントに画定させるベンドを画定し得る。さらに、いくつかの例では、治療コイル300は、リターン電流が頭部から巻き起こることを可能にする角度(たとえば、90度の角度など)を画定する1つまたは複数の追加的な導電性エレメントを含み得る。
図4Aおよび図4Bは、例示的な治療コイル400を示しており、例示的な治療コイル400は、ヒト被験者(図示せず)などのような被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者のターゲット生体構造は、たとえば、被験者の脳組織とすることができる。治療コイル400は、第1の導電性エレメント410、第2の導電性エレメント420、および強磁性コンポーネント430を含む。治療コイル400は、たとえば、図1に示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者の頭部に近接して配設され得る。導電性エレメント410、420および強磁性コンポーネント430の組み合わせは、集合的に、たとえば、電磁石と称され得る。治療コイル400は、図示されているものよりも多いまたは少ない導電性エレメントを含み得るということが認識されるべきである。導電性エレメントは、導電性巻線と称され得る。さらに、また、いくつかの例では、治療コイル400は、強磁性コンポーネント430を含まなくてもよいということが認識されるべきである。
第1の導電性エレメント410は、たとえば、図示されているように、形状が実質的に円形とすることができる。第1の導電性エレメント410は、内側表面412、外側表面414、上側表面416、および底部表面418を画定し得る。第2の導電性巻線420は、非円形のまたは非長円形の形状を画定し得る。たとえば、第2の導電性エレメント420は、たとえば、図示されているように、三日月形に形状決めされ得る(たとえば、弓形、腎臓、または鎌形に形状決めされる)。
第2の導電性エレメント420は、内側表面422、外側表面424、上側表面426、および底部表面428を画定し得る。第2の導電性エレメント420の外側表面424は、凸形部分425および凹形部分427を含み得る。第1の導電性巻線410は、第2の導電性巻線420の外側表面424の凹形部分427に近接して配設され得る。たとえば、第1の導電性巻線410の外側表面412は、第2の導電性巻線420の外側表面424の凹形部分427に近接して配設され得る。たとえば、第2の導電性巻線420の凹形部分427は、凹面を画定し得、第1の導電性巻線410の少なくとも一部分は、第2の導電性巻線420の凹面の中に配設され得る。第1の導電性巻線410の少なくとも一部分は、第2の導電性巻線420の凹面の中に配設され得るが、いくつかの例では(たとえば、図示されているものなど)、第2の導電性巻線420は、第1の導電性巻線410をカプセル化していなくてもよい。
第1および第2の導電性エレメント410、420は、銅などのような、適切な電気伝導度を示す任意の材料から作製され得る。第1および第2の導電性エレメント410、420は、同じ数のターン(たとえば、アンプターン)、たとえば、図示されているように単一のターンを画定し得る。しかし、いくつかの例では、第1の導電性エレメント410が、第1の数のターンを画定し得、一方、第2の導電性エレメント420が、異なる第2の数のターンを画定し得るということが認識されるべきである。さらに、いくつかの例では、治療コイル400は、追加的な導電性エレメント、および/または、複数のループ(たとえば、アンプターン)を画定する導電性エレメントを含み得る。たとえば、第1の導電性エレメント410は、1つもしくは複数の追加的なおよびオーバーラップする導電性エレメントを含み得(たとえば、第1の導電性エレメント410は、複数のループを画定し得る)、ならびに/または、第2の導電性エレメント420は、1つもしくは複数の追加的なおよびオーバーラップする導電性エレメントを含み得る(たとえば、第2の導電性エレメント420は、複数のループを画定し得る)。
第1の導電性エレメント410および/もしくは第2の導電性エレメント420は、導電性材料の単一のモノリシックのピースから形成され得、または、第1および第2の導電性エレメント410、420のうちの1つもしくは複数は、ワイヤーの複数のストランドによって形成され得る。いくつかの例では、導電性エレメント410、420は、互いに対して別個に製作および支持されており、たとえば、1つまたは複数の取り付け部材(図示せず)を使用して互いに取り付けられ得る。さらに、治療コイル400は、第1および第2の導電性巻線410、420および強磁性コンポーネント430を収容するハウジング(図示せず)を含み得る。
強磁性コンポーネント430は、適切な強磁性の特性を示す任意の材料、たとえば、粉末状の強磁性の鉄粒子などから作製され得る。強磁性コンポーネント430は、本体部分432、第1の突出部分434、および第2の突出部分436を含み得る。本体部分432は、上部表面438を有し得、上部表面438は、第1の導電性巻線410の上部表面416、および、第2の導電性巻線420の上部表面426に対して実質的に平行になっている。第1の突出部分434は、本体部分432の底部表面から延在し得る。第1の突出部分434は、第1の導電性エレメント410の開口部の中に配設され得る。第1の突出部分434は、第1の導電性エレメント410の開口部の形状と実質的に同様の断面形状(たとえば、実質的に円形の断面形状)を有し得る。さらに、図示されている例では、第1の突出部分434の底部表面440は、第1の導電性エレメント410の底部表面418と実質的に平面的になり得る。しかし、いくつかの例では、第1の突出部分434は、それが第1の導電性エレメント410を通って延在するように構成され得、第1の突出部分434の底部表面440が、第1の導電性エレメント410の底部表面418の平面を越えて延在するようになっているということが認識されるべきである。
第2の突出部分436は、本体部分432の底部表面から延在し得る。第2の突出部分436は、第2の導電性エレメント420の開口部の中に配設され得る。第2の突出部分436は、第2の導電性エレメント420の形状と実質的に同様の断面形状(たとえば、三日月形に形状決めされている断面形状)を有し得る。さらに、図示されている例では、第2の突出部分436の底部表面442は、第2の導電性エレメント420の底部表面428の平面を越えて延在している。しかし、いくつかの例では、第2の突出部分436の底部表面442が、第2の導電性エレメント420の底部表面428と実質的に平面的になることができるように、第2の突出部分436が構成され得るということが認識されるべきである。
診断手順の治療の間に、治療コイル400は、第1の導電性エレメント410が第2の導電性エレメント420に近接しているエリアが、被験者のターゲット刺激ゾーンの上方に設置され得るように配設され得る。たとえば、第1の導電性巻線410の外側表面412が第2の導電性巻線420の外側表面424の凹形部分427に近接して配設されているエリアは、被験者のターゲット刺激ゾーンの上方に設置され得る。その後に、治療コイル400は、治療システムおよび/または磁気刺激システムのドライブ回路によって駆動され得る。たとえば、駆動されるときに、電流が、第1の導電性エレメント410を通って第1の方向(たとえば、図4Aに図示されているように、下の視点から見たときに時計回り方向)に循環し、一方、電流が、第2の導電性エレメント420を通って反対の第2の方向に(たとえば、図4Aに図示されているように、下の視点から見たときに反時計回りに)循環するように、治療コイル400が構成され得る。
結果として、治療コイル400は、第1の導電性巻線410の外側表面412が第2の導電性巻線420の外側表面424の凹形部分427に近接して配設されているエリアの実質的に下方に、三日月形の形状(たとえば、第2の導電性エレメント420の形状と同様)を有するターゲット場所において、活性化ゾーン(たとえば、刺激ゾーン)を誘導する磁場を発生させるように構成され得る。たとえば、治療コイル400は、また、第2の導電性巻線420の外側表面424の凹形部分427から離れるように配設されている第1の導電性エレメント410のエリアに近接する刺激ゾーンを誘導しない状態で、三日月形の形状を有するターゲット場所において活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるように構成され得る。したがって、治療コイル400は、刺激が望まれないエリア(たとえば、活性化ゾーンの凹面の内部)を包み込むターゲット場所において刺激ゾーンを発生させるために使用され得る。
駆動されるときに、電流が、第1の導電性エレメント410を通って第1の方向に循環し、一方、電流が、第2の導電性エレメント420を通って反対の第2の方向に循環するように、治療コイル400が構成され得るので、治療コイル400は、局所化された活性化ゾーン(たとえば、それも三日月形に形状決めされている)を発生させ得る。すなわち、電流が、第1の導電性エレメント410および第2の導電性エレメント420を通って反対方向に循環するので、ならびに、第1および第2の導電性エレメント410、420が互いに同心円状になっていないので、リターン電流は、反対方向に流れる(たとえば、活性化ゾーンの外側の第1および第2の導電性エレメント410、420を通って流れる電流は、それらが活性化ゾーンを離れるときに反対方向に流れている)。
さらに、第2の導電性エレメント420の凹面(たとえば、第2の導電性巻線420の外側表面424の凹形部分427の度数または角度)が調節され、治療コイル400によって引き起こされる結果として生じる刺激ゾーンを調節し得るということが認識されるべきである。たとえば、いくつかの例では、第2の導電性エレメント420は、外側表面424の凹面の角度を修正するために調節可能であり得る。たとえば、第2の導電性エレメント420は、(たとえば、その中間点において)ヒンジを含み得、凹面のさまざまな度数または角度を有する複数の相互交換可能なセクションから構成され得、全体的にまたは部分的に可撓性の材料から作製され得る。さらに、いくつかの例では、第1の導電性エレメント410の形状は、第2の導電性エレメント420の外側表面424の凹形部分427の度数または角度に一致するように調節され得る。最後に、いくつかの例では、第1および第2の導電性エレメント410、420のうちの一方または両方は、異なっているが対応する湾曲を有する異なるエレメントと置換され得る(たとえば、第2の導電性エレメント420を調節可能にすることとは対照的に)。
さらに、第2の導電性エレメント420の凸形部分425の外側表面424の湾曲の角度が調節され、たとえば、発生させられる刺激ゾーンが刺激が望まれないエリアを包み込むことを保証し得る。たとえば、治療コイル400は、(たとえば、図4Bによって提供される斜視図から)凸形部分425が上方に患者の眼の上(そこでは、刺激を回避することが望ましいことがある)に湾曲するように配設され得る。
治療コイル400は、第1および第2の導電性巻線410、420が駆動されるときに、結果として生じる活性化ゾーンが被験者の脳の中に2つの独立したエリアを包含する(たとえば、三日月形の形状が、脳の2つのエリアを包含する)ように構成され得る。被験者の脳の中のエリアは、脳の異なる機能的な領域と相関付けられ得る。たとえば、治療コイル400は、被験者の脳の中の2つの異なるエリアを刺激するために使用され得、たとえば、第2の導電性エレメント420の一方の側の下方におよびそれに近接して位置付けされている第1のエリア、ならびに、第2の導電性エレメント420の他方の側の下方におよびそれに近接して(たとえば、三日月形のいずれかの端部において)位置付けされている第2のエリアなどを刺激するために使用され得る。脳の2つのエリアの中の電流は、同じ方向または異なる方向に(たとえば、時計回りにおよび/または反時計回りに)移動し得る。
治療コイル400によって発生させられる磁場によって誘導される活性化ゾーンは、刺激ゾーンまたはサブ刺激ゾーンとすることができる。刺激ゾーンは、治療コイル400によって発生させられるパルス状磁場によって引き起こされる誘導電流が脳のニューロンの脱分極閾値を上回るレベルとすることができ、一方、サブ刺激ゾーンは、誘導電流が脳のニューロンの脱分極閾値を下回るレベルとすることができる。さらに、2つの活性化ゾーンおよび2つの治療エリアを参照して説明されているが、治療コイル400は、(たとえば、特定の治療または診断手順に応じて、)より多くのまたはより少ない患者の治療エリアのためにより多くのまたはより少ない活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるために使用され得る。
治療コイル400は、導電性エレメント410、420および強磁性コンポーネント430が互いに支持されるように構成され得る。たとえば、治療コイル400は、強磁性コンポーネント430が導電性エレメント410、420を支持するように構成され得る。導電性エレメント410、420および強磁性コンポーネント430のうちの一方または両方は、1つまたは複数の相補的な取り付け部材(図示せず)を含み得、1つまたは複数の相補的な取り付け部材は、強磁性コンポーネント430への導電性エレメント410、420の取り付け(たとえば、解放可能な取り付け)をし得るように構成されている。1つまたは複数の取り付け部材は、導電性エレメント410、420および強磁性コンポーネント430が互いに固定して支持されるように構成され得る。1つまたは複数の取り付け部材は、導電性エレメント410、420および強磁性コンポーネント430が互いに移動可能(たとえば、再位置決め可能)であるように構成され得る。
導電性エレメント410、420が強磁性コンポーネント430によって支持されている(たとえば、強磁性コンポーネント430に取り付けられている)ときには、導電性エレメント410、420は、たとえば誘電体を使用して、強磁性コンポーネント430から電気的に隔離され得る。誘電体は、空気とすることができ、導電性エレメント410、420が強磁性コンポーネント430に取り付けられているときに、導電性エレメント410、420は、強磁性コンポーネント430から間隔を置いて配置され得る(たとえば、強磁性コンポーネント430と直接接触していない)。導電性エレメント410、420は、任意の適切な電気的に隔離する(たとえば、誘電体)材料から作製されている1つまたは複数の取り付け部材を使用して、強磁性コンポーネント430に取り付けられ得る。
さらに、図示されていないが、いくつかの例では、治療コイル400は、強磁性エレメント430を取り囲む導電性エレメントを含み得る。たとえば、導電性エレメントは、強磁性エレメント430の上部表面438を取り囲み得る。導電性エレメントは、上部表面438の上方に持ち上げられ得、導電性エレメントは、強磁性コンポーネント430の上部表面438の上方に持ち上げられている開口部を画定し得る。さらに、いくつかの例では、導電性エレメントは、第1および第2の導電性エレメント410、420ならびに強磁性コンポーネント430の全体を取り囲み得る。
図示されていないが、いくつかの例では、導電性エレメントのうちの一方または両方は、ベンドを画定し得、導電性エレメントが、リターン電流が患者の頭部から巻き起こることを可能にする所定の角度(たとえば、90度の角度など)を画定するようになっている。また、いくつかの例では、強磁性コンポーネント430の本体部分432の上部表面438は、アーチ形になっているかまたは丸みを帯び得る。
さらに、いくつかの例では、第1の導電性エレメント410の外側表面414と第2の導電性エレメント420の凹形部分427の外側表面424との間の間隔は変化し得る(たとえば、凹形部分427によって画定される凹面の全体を通して変化することがし得る)ということが認識されるべきである。たとえば、第1の導電性エレメント410は、第2の導電性エレメント420の凹形部分427によって画定される凹面の中にオフセットされ得、または、第1および第2の導電性エレメント420 の外側表面は、互いに非相補的になっていてもよい(たとえば、異なる形状および/または湾曲を画定している)。
図5Aおよび図5Bは、例示的な治療コイル500を示しており、例示的な治療コイル500は、ヒト被験者(図示せず)などのような被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者のターゲット生体構造は、たとえば、被験者の脳組織であり得る。治療コイル500は、第1の導電性エレメント510、第2の導電性エレメント520、および強磁性コンポーネント530を含む。治療コイル500は、たとえば、図1に示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者の頭部に近接して配設され得る。導電性エレメント510、520および強磁性コンポーネント530の組み合わせは、集合的に、たとえば、電磁石と称され得る。治療コイル500は、図示されているものよりも多いまたは少ない導電性エレメントを含み得るということが認識されるべきである。導電性エレメントは、導電性巻線と称され得る。
第1および第2の導電性エレメント510、520は、形状が半楕円形になっていてもよい(たとえば、丸みを帯びた長方形の形状になっている)。さらに、いくつかの例では、第1および第2の導電性エレメント510、520は、別の形状であり得、たとえば、形状が円形などになっていてもよい。いくつかの例では、第1および第2の導電性エレメント510、520は、一緒に、8の字コイルまたはB字形状のコイルを形成し得る。第1の導電性エレメント510は、底部表面512、上側表面514、内側表面516、および外側表面518を画定し得る。同様に、第2の導電性エレメント520は、底部表面522、上側表面524、内側表面526、および外側表面528を画定することができる。第1および第2の導電性エレメント510、520は、たとえば銅などのような、適切な電気伝導度を示す任意の材料から作製され得る。
第1および第2の導電性エレメント510、520は、同じ数のターン(たとえば、アンプターン)、たとえば、図示されているように単一のターンを画定し得る。しかし、いくつかの例では、第1の導電性エレメント510および/または第2の導電性エレメント520は、複数のターンを画定し得るということが認識されるべきである。たとえば、いくつかの例では、第1の導電性エレメント510が、第1の数のターンを画定し得、一方、第2の導電性エレメント520が、異なる第2の数のターンを画定し得る。さらに、いくつかの例では、治療コイル500は、追加的な導電性エレメント、および/または、複数のループ(たとえば、アンプターン)を画定する導電性エレメントを含み得る。たとえば、第1の導電性エレメント510は、1つもしくは複数の追加的なおよびオーバーラップする導電性エレメントを含み得(たとえば、第1の導電性エレメント510は、複数のループを画定し得る)、ならびに/または、第2の導電性エレメント520は、1つもしくは複数の追加的なおよびオーバーラップする導電性エレメントを含み得る(たとえば、第2の導電性エレメント520は、複数のループを画定し得る)。
第1の導電性エレメント510および/もしくは第2の導電性エレメント520は、導電性材料の単一のモノリシックのピースから形成され得、または、第1および第2の導電性エレメント510、520のうちの1つもしくは複数は、ワイヤーの複数のストランドによって形成され得る。いくつかの例では、治療コイル500は、第1および第2の導電性巻線510、520ならびに強磁性コンポーネント530を収容するハウジング(図示せず)を含み得る。
強磁性コンポーネント530は、適切な強磁性の特性を示す任意の材料、たとえば、粉末状の強磁性の鉄粒子などから作製され得る。強磁性コンポーネント530は、主本体部538および複数のポールを含み得、複数のポールは、たとえば、主本体部538から延在している、第1のポール532、第2のポール534、および第3のポール536などである。3つのポールを有するものとして図示されているが、いくつかの例では、強磁性コンポーネント530は、3つよりも多いまたは少ないポールを含み得る。複数のポール(たとえば、第1、第2、および第3のポール532、534、536)は、主本体部538から(たとえば、主本体部538の底部表面533から)外向きに延在し得る。第3のポール536は、第1のポール532と第2のポール534との間に存在することがあり得る。たとえば、第1、第2、および第3のポール532、534、536は、(たとえば、図示されているように)線形に整合させられ得る。しかし、いくつかの例では、第1、第2、および/または第3のポール532、534、536のうちの1つまたは複数は、非線形の様式で整合させられ得るということが認識されるべきである。
強磁性コンポーネント530の主本体部538は、上部表面531および底部表面533を画定し得る。主本体部538は、たとえば、図示されているように、湾曲し得る。たとえば、主本体部538の上部表面531は、凸形表面を画定し得、一方、主本体部538の底部表面533は、凹形表面を画定し得る。したがって、上部表面531は、非平面的になっていてもよく、また、底部表面533は、非平面的になっていてもよい。さらに、いくつかの例では、主本体部538の上部表面531および/または底部表面533の湾曲は、図示されているものよりも大きいまたは小さい湾曲を画定し得るということが認識されるべきである。そのうえ、いくつかの例では、主本体部538の上部表面531および/または底部表面533は、平面的(たとえば、平坦)であってもよいということが認識されるべきである。
第1のポール532は、第1のポール面542を画定し得、第2のポール534は、第2のポール面544を画定し得、第3のポール536は、第3のポール面546を画定し得る。第1のポール532は、第1の導電性エレメント510の開口部の中に配設され得、第2のポール534は、第2の導電性エレメント520の開口部の中に配設され得る。第1のポール532は、第1の導電性エレメント510の形状と実質的に同様の断面形状(たとえば、半楕円形の断面形状)を有し得、第2のポール534は、第2の導電性エレメント520の形状と実質的に同様の断面形状(たとえば、半楕円形の断面形状)を有し得る。さらに、図示されている例では、第1のポール面542は、第1の導電性エレメント510の底部表面512と実質的に平面的になっていることができ、第2のポール面544は、第2の導電性エレメント520の底部表面522と実質的に平面的とすることができる。しかし、いくつかの例では、第1のポール面542は、第1の導電性エレメント510の底部表面512の平面を越えて延在し得、および/または、第2のポール面544は、第2の導電性エレメント520の底部表面522の平面を越えて延在し得るということが認識されるべきである。
図示されていないが、いくつかの例では、強磁性コンポーネント530は、たとえば、被験者の頭部の生体構造に対して、調節可能であるように構成され得る(たとえば、強磁性コンポーネント530の湾曲が調節可能であり得る)。たとえば、強磁性コンポーネント530は、複数のピースを含み得、強磁性コンポーネント530の1つまたは複数のピースが、強磁性コンポーネント530の1つまたは複数の他のピースに対して調節可能であるように構成され得るようになっており、および/または、強磁性コンポーネント530のピースのうちの2つ以上が、(たとえば、強磁性コンポーネント530のピース同士の間にヒンジを使用することを通して)互いに対して調節可能(たとえば、枢動可能に調節可能)であるように構成され得るようになっている。
治療コイル500は、治療コイル500が被験者の複数の(たとえば、2つの)ターゲットエリアを治療するために使用され得るように、駆動されるように構成され得る。たとえば、治療または診断手順の間に、第1のポール532と第3のポール536との間の主本体部538の底部表面533が、第1のターゲットエリアの上方に設置され得、第3のポール536と第2のポール534との間の主本体部538の底部表面533が、被験者の第2のターゲットエリアの上方に設置され得るように、治療コイル500が配設され得る。その後に、治療コイル500は、治療システムおよび/または磁気刺激システムのドライブ回路によって駆動され得る。たとえば、駆動されるときに、電流が、第1および第2の導電性エレメント510、520を通って同じ方向(たとえば、図5Bに図示されているように、下の視点から見たときに反時計回り方向)に循環するように、治療コイル500が構成され得る。
結果として、治療コイル500は、ターゲット場所のそれぞれに1つずつ、2つの活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるように構成され得る。活性化ゾーンは、主本体部538の底部表面533の実質的に下方に半楕円形の形状(たとえば、形状が丸みを帯びた長方形になっている)をそれぞれ画定し得、ここで、第1の活性化ゾーンは、第1のポール532と第3のポール536との間の底部表面533の下方にあり、第2の活性化ゾーンは、第2のポール534と第3のポール536との間の底部表面533の下方にある。たとえば、治療コイル500は、また、第3のポール面546の下のエリアにおいて刺激ゾーンを誘導しない状態で、2つの活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるように構成され得る。さらに、治療コイル500によって発生させられるリターン電流は、強磁性コンポーネント530のいずれかの端部に(たとえば、第1および第2のポール532、534に近接して)位置付けされ得る。
治療コイル500は、第1および第2の導電性エレメント510、520が駆動されるときに、結果として生じる活性化ゾーンが被験者の脳の中に2つの独立したエリアを包含するように構成され得る。被験者の脳の中のエリアは、脳の異なる機能的な領域と相関付けられ得る。たとえば、治療コイル500は、被験者の脳の中の2つの異なるエリアを刺激するために使用され得、たとえば、第1のポール面542の下方におよびそれに近接して位置付けされている第1のエリア、ならびに、第2のポール面544の下方におよびそれに近接して位置付けされている第2のエリアなどを刺激するために使用され得る。脳の2つのエリアの中の電流は、同じ方向または異なる方向に(たとえば、時計回りにおよび/または反時計回りに)移動し得る。すなわち、いくつかの例では、2つの活性化ゾーンは、反対(たとえば、逆平行)方向に進む電流を含み得る。
いくつかの例では、強磁性コンポーネント530は、第3のポール536を画定し得、第3のポール536は、第3のポール面546を画定しており、第3のポール面546は、台形または平行四辺形の形状のものであるということが認識されるべきである。そのような場合において、第1のポール532と第3のポール536との間の底部表面533、および、第2のポール534と第3のポール536との間の底部表面533は、異なる形状またはサイズを有し得(たとえば、底部表面533同士は、互いの非ミラーイメージになっていてもよい)、それは、治療コイル500によって発生させられる結果として生じる磁場、および、また、結果として生じる活性化ゾーンの形状および/またはサイズを調節し得る。したがって、第3のポール面546の形状は、治療コイル500によって実施される特定の治療または診断手順に基づいて調節され得る。
さらに、いくつかの例では、強磁性コンポーネント530は、第1および第2のポール532、534がより近付けられるように屈曲され得るということが認識されるべきである。そのような場合において、第1のポール532と第3のポール536との間の底部表面533、および、第2のポール534と第3のポール536との間の底部表面533は、異なる形状またはサイズを有し得(たとえば、底部表面533同士は、互いの非ミラーイメージになっていてもよい)、それは、治療コイル500によって発生させられる結果として生じる磁場、および、また、結果として生じる活性化ゾーンの形状および/またはサイズを調節し得る。さらに、強磁性コンポーネント530がそのような様式で屈曲されている場合には、結果として生じる2つの活性化ゾーンは、たとえば、図示されている例(そこでは、電流が、逆平行により近い方向で流れている)と比較して、正確に逆平行に(たとえば、反対に)なっている方向に流れる電流を含み得る。
治療コイル500によって発生させられる磁場によって誘導される活性化ゾーンは、刺激ゾーンまたはサブ刺激ゾーンであり得る。刺激ゾーンは、治療コイル500によって発生させられるパルス状磁場によって引き起こされる誘導電流が脳のニューロンの脱分極閾値を上回るレベルにあり得、一方、サブ刺激ゾーンは、誘導電流が脳のニューロンの脱分極閾値を下回るレベルにあり得る。さらに、2つの活性化ゾーンおよび2つの治療エリアを参照して説明されているが、治療コイル500は、(たとえば、特定の治療または診断手順に応じて、)より多くのまたはより少ない患者の治療エリアのためにより多くのまたはより少ない活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるために使用され得る。
治療コイル500は、導電性エレメント510、520および強磁性コンポーネント530が互いに支持されるように構成され得る。たとえば、治療コイル500は、強磁性コンポーネント530が導電性エレメント510、520を支持するように構成され得る。導電性エレメント510、520および強磁性コンポーネント530のうちの一方または両方は、1つまたは複数の相補的な取り付け部材(図示せず)を含み得、1つまたは複数の相補的な取り付け部材は、強磁性コンポーネント530への導電性エレメント510、520の取り付け(たとえば、解放可能な取り付け)をし得るように構成されている。1つまたは複数の取り付け部材は、導電性エレメント510、520および強磁性コンポーネント530が互いに固定して支持されるように構成され得る。1つまたは複数の取り付け部材は、導電性エレメント510、520および強磁性コンポーネント530が互いに移動可能(たとえば、再位置決め可能)であるように構成され得る。
導電性エレメント510、520が強磁性コンポーネント530によって支持されている(たとえば、強磁性コンポーネント530に取り付けられている)ときには、導電性エレメント510、520は、たとえば誘電体を使用して、強磁性コンポーネント530から電気的に隔離され得る。誘電体は、空気とすることができ、導電性エレメント510、520が強磁性コンポーネント530に取り付けられているときに、導電性エレメント510、520は、強磁性コンポーネント530から間隔を置いて配置され得る(たとえば、強磁性コンポーネント530と直接接触していない)。導電性エレメント510、520は、任意の適切な電気的に隔離する(たとえば、誘電体)材料から作製されている1つまたは複数の取り付け部材を使用して、強磁性コンポーネント530に取り付けられ得る。
図6A~図6Dは、例示的な治療コイル600を示しており、例示的な治療コイル600は、ヒト被験者(図示せず)などのような被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者のターゲット生体構造は、たとえば、被験者の脳組織とすることができる。治療コイル600は、第1の導電性エレメント610、第2の導電性エレメント620、第3の導電性エレメント660、第4の導電性エレメント670、第1の強磁性コンポーネント630、第2の強磁性コンポーネント680、および第3の強磁性コンポーネント690を含む。治療コイル600は、たとえば、図1に示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者の頭部に近接して配設され得る。導電性エレメント610、620、660、670および強磁性コンポーネント630、680、690の組み合わせは、集合的に、たとえば、電磁石と称され得る。治療コイル600は、図示されているものよりも多いまたは少ない導電性エレメントおよび/または強磁性コンポーネントを含み得るということが認識されるべきである。導電性エレメントは、導電性巻線と称され得る。
第1および第2の導電性エレメント610、620は、形状が半楕円形になっていてもよい(たとえば、丸みを帯びた長方形の形状になっている)。さらに、いくつかの例では、第1および第2の導電性エレメント610、620は、別の形状とすることができ、たとえば、形状が円形などになっていてもよい。いくつかの例では、第1および第2の導電性エレメント610、620は、一緒に、8の字コイルまたはB字形状のコイルを形成し得る。第1の導電性エレメント610は、底部表面612、上側表面614、内側表面616、および外側表面618を画定し得る。同様に、第2の導電性エレメント620は、底部表面622、上側表面624、内側表面626、および外側表面628を画定し得る。第1および第2の導電性エレメント610、620は、たとえば銅などのような、適切な電気伝導度を示す任意の材料から作製され得る。
第1および第2の導電性エレメント610、620は、同じ数のターン(たとえば、アンプターン)、たとえば、図示されているように単一のターンを画定し得る。しかし、いくつかの例では、第1の導電性エレメント610および/または第2の導電性エレメント620は、複数のターンを画定し得るということが認識されるべきである。たとえば、いくつかの例では、第1の導電性エレメント610が、第1の数のターンを画定し得、一方、第2の導電性エレメント620が、異なる第2の数のターンを画定し得る。一方の側(たとえば、一方の導電性エレメント610、620)において他方よりも多くのターンを画定することによって、治療コイル600が(たとえば、それぞれの側が同じパワーレベルで駆動されるときに)異なる強度または深さを有する2つの活性化ゾーンを結果として発生させ得る。さらに、いくつかの例では、治療コイル600は、追加的な導電性エレメント、および/または、複数のループ(たとえば、アンプターン)を画定する導電性エレメントを含み得る。たとえば、第1の導電性エレメント610は、1つまたは複数の追加的なおよびオーバーラップする導電性エレメントを含み得る(たとえば、第1の導電性エレメント610は、複数のループを画定し得る)、および/または、第2の導電性エレメント620は、1つまたは複数の追加的なおよびオーバーラップする導電性エレメントを含み得る(たとえば、第2の導電性エレメント620は、複数のループを画定し得る)。
第1の導電性エレメント610および/もしくは第2の導電性エレメント620は、導電性材料の単一のモノリシックのピースから形成され得、または、第1および第2の導電性エレメント610、620のうちの1つもしくは複数は、ワイヤーの複数のストランドによって形成され得る。いくつかの例では、治療コイル600は、第1および第2の導電性巻線610、620ならびに第1の強磁性コンポーネント630を収容するハウジング(図示せず)を含み得る。
第1の強磁性コンポーネント630は、適切な強磁性の特性を示す任意の材料、たとえば、粉末状の強磁性の鉄粒子などから作製され得る。第1の強磁性コンポーネント630は、主本体部638および複数のポール を含み得、複数のポールは、たとえば、主本体部638から延在している、第1のポール632、第2のポール634、および第3のポール636などである。3つのポールを有するものとして図示されているが、いくつかの例では、第1の強磁性コンポーネント630は、3つよりも多いまたは少ないポールを含み得る。複数のポール(たとえば、第1、第2、および第3のポール632、634、636)は、主本体部638から(たとえば、主本体部638の底部表面633から)外向きに延在し得る。第3のポール636は、第1のポール632と第2のポール634との間に存在し得る。たとえば、第1、第2、および第3のポール632、634、636は、(たとえば、図示されているように)線形に整合させられ得る。しかし、いくつかの例では、第1、第2、および/または第3のポール632、634、636のうちの1つまたは複数は、非線形の様式で整合させられ得るということが認識されるべきである。
第1の強磁性コンポーネント630の主本体部638は、上部表面631および底部表面633を画定し得る。主本体部638は、たとえば、図示されているように、湾曲し得る。たとえば、主本体部638の上部表面631は、凸形表面を画定し得、一方、主本体部638の底部表面633は、凹形表面を画定し得る。したがって、上部表面631は、非平面的になっていてもよく、また、底部表面633は、非平面的になっていてもよい。さらに、いくつかの例では、主本体部638の上部表面631および/または底部表面633の湾曲は、図示されているものよりも大きいまたは小さい湾曲を画定し得るということが認識されるべきである。そのうえ、いくつかの例では、主本体部638の上部表面631および/または底部表面633は、平面的(たとえば、平坦)であってもよいということが認識されるべきである。
第1のポール632は、第1のポール面642を画定し得、第2のポール634は、第2のポール面644を画定し得、第3のポール636は、第3のポール面646を画定し得る。第1のポール632は、第1の導電性エレメント610の開口部の中に配設され得、第2のポール634は、第2の導電性エレメント620の開口部の中に配設され得る。第1のポール632は、第1の導電性エレメント610の形状と実質的に同様の断面形状(たとえば、半楕円形の断面形状)を有し得、第2のポール634は、第2の導電性エレメント620の形状と実質的に同様の断面形状(たとえば、半楕円形の断面形状)を有し得る。さらに、図示されている例では、第1のポール面642は、第1の導電性エレメント610の底部表面612と実質的に平面的とすることができ、第2のポール面644は、第2の導電性エレメント620の底部表面622と実質的に平面的とすることができる。しかし、いくつかの例では、第1のポール面642は、第1の導電性エレメント610の底部表面612の平面を越えて延在し得、および/または、第2のポール面644は、第2の導電性エレメント620の底部表面622の平面を越えて延在し得るということが認識されるべきである。
図示されていないが、いくつかの例では、第1の強磁性コンポーネント630は、たとえば、被験者の頭部の生体構造に対して、調節可能であるように構成され得る(たとえば、第1の強磁性コンポーネント630の湾曲が調節可能であり得る)。たとえば、第1の強磁性コンポーネント630は、複数のピースを含み得、第1の強磁性コンポーネント630の1つもしくは複数のピースが、第1の強磁性コンポーネント630の1つもしくは複数の他のピースに対して調節可能であるように構成され得るようになっており、および/または、第1の強磁性コンポーネント630のピースのうちの2つ以上が、(たとえば、第1の強磁性コンポーネント630のピース同士の間にヒンジを使用することを通して)互いに対して調節可能(たとえば、枢動可能に調節可能)であるように構成され得るようになっている。
第3および第4の導電性エレメント660、670は、形状が半楕円形になっていてもよい(たとえば、丸みを帯びた長方形のように形状決めされ得る)。さらに、いくつかの例では、第3および第4の導電性エレメント660、670は、別の形状とすることができ、たとえば、形状が円形などになっていてもよい。第3の導電性エレメント660は、内側表面662、外側表面664、上側表面663、および底部表面665を画定し得る。同様に、第4の導電性エレメント670は、内側表面672、外側表面674、上側表面673、および底部表面675を画定することができる。第4の導電性エレメント670は、たとえば、図示されているように、下向きに屈曲させられ得る。たとえば、第4の導電性エレメント670の底部表面675は、凹形とすることができ、一方、上側表面673は、凸形とすることができる。しかし、いくつかの例では、第4の導電性エレメント670の上側表面および/または底部表面673、675のうちの1つまたは複数は、平面的になっていてもよい(たとえば、第4の導電性エレメント670が屈曲されないようになっている)ということが認識されるべきである。さらに、第4の導電性エレメント670は、第3の導電性エレメント660よりも大きい周囲を画定し得る。第3の導電性エレメント600は、第4の導電性エレメント670の開口部の中に少なくとも部分的に存在し得る。すなわち、第4の導電性エレメント670は、第3の導電性エレメント660を(たとえば、実質的に)取り囲み得る。
第3および第4の導電性エレメント660、670は、銅などのような、適切な電気伝導度を示す任意の材料から作製され得る。第3の導電性エレメント660および/もしくは第4の導電性エレメント670は、導電性材料の単一のモノリシックのピースから形成され得、または、第3および第4の導電性エレメント660、670のうちの1つもしくは複数は、ワイヤーの複数のストランドによって形成され得る。いくつかの例では、治療コイル600は、第1、第2、第3、および第4の導電性エレメント610、620、660、670ならびに第1、第2、および第3の強磁性コンポーネント630、680、および690を収容するハウジング(図示せず)を含み得る。
第3および第4の導電性エレメント660、670は、同じ数のターン(たとえば、アンプターン)、たとえば、図示されているように単一のターンを画定し得る。しかし、いくつかの例では、第3の導電性エレメント660および/または第4の導電性エレメント670は、複数のターンを画定し得るということが認識されるべきである。たとえば、いくつかの例では、第3の導電性エレメント660が、第1の数のターンを画定し得、一方、第4の導電性エレメント670が、異なる第2の数のターンを画定し得る。
第2および第3の強磁性コンポーネント680、690は、適切な強磁性の特性を示す任意の材料、たとえば、粉末状の強磁性の鉄粒子などから作製され得る。第2および第3の強磁性コンポーネント680、690は、リターン経路強磁性コンポーネント(たとえば、リターン経路磁気コア)と称され得る。第2の強磁性コンポーネント680は、チャネル682、底部表面684、内側表面685、上部表面686、外側表面687、第1のポール688、および第2のポール689を画定し得る。同様に、第3の強磁性コンポーネント690は、チャネル692、底部表面694、内側表面695、上部表面696、外側表面697、第1のポール698、および第2のポール699を画定し得る。第2および第3の強磁性コンポーネント680、690の底部表面684、694、上部表面686、696、第1のポール688、698、および第2のポール689、699のそれぞれは、平面的になっていてもよい。しかし、いくつかの例では、第2および第3の強磁性コンポーネント680、690の底部表面684、694、上部表面686、696、第1のポール688、698、および/または第2のポール689、699のうちの1つまたは複数は、湾曲していてもよく、または、その他の方法で形状決めされてもよいということが認識されるべきである。
第2および第3の強磁性コンポーネント680、690は、湾曲していてもよい。たとえば、第2および第3の強磁性コンポーネント680、690の内側表面685、695は、凹形とすることができ、一方、第2および第3の強磁性コンポーネント680、690の外側表面687、697は、凸形とすることができる。たとえば、第2および第3の強磁性コンポーネントの内側表面および外側表面685、695、687、697の湾曲は、第4の導電性エレメント670の内側表面および外側表面の湾曲と実質的に同様とすることができる。しかし、第2および第3の強磁性コンポーネント680、690の内側表面および外側表面685、695、687、697の湾曲は、図6A~図6Dに図示されているものに限定されない。
第2および第3の強磁性コンポーネント680、690は、実質的に同じサイズおよび形状とすることができる。しかし、いくつかの例では、第2および第3の強磁性コンポーネント680、690は、図示されているものとは異なるサイズおよび/または形状を有し得る。さらに、いくつかの例では、第2の強磁性コンポーネント680のサイズまたは形状は、(たとえば、治療コイル600によって発生させられる磁場のサイズおよび/または形状をシフトさせるために)第3の強磁性コンポーネント690のサイズまたは形状とは異なっていてもよい。また、いくつかの例では、第2または第3の強磁性コンポーネント680、690のうちの一方または両方は、治療コイル600から省略され得る。
第2および第3の強磁性コンポーネント680、690のチャネル682、692のサイズ(たとえば、深さ)および形状は、第4の導電性エレメント670がチャネル682、692の中に受け入れられ得るように構成され得る。すなわち、チャネル682、692は、第4の導電性エレメント670の少なくとも一部分がチャネル682、692の中に存在することができるように、サイズ決めおよび形状決めされ得る。図6A~図6Dに図示されているものよりも、第4の導電性エレメント670の多くまたは少なくが、第2および第3の強磁性コンポーネント680、690のチャネル682、692の中に存在し得るということが認識されるべきである。たとえば、チャネル682、692は、第4の導電性エレメント670の底部表面675が第2および第3の強磁性コンポーネント680、690の底部表面684、694によって画定される平面と非平面的になることができるように構成され得る(たとえば、第4の導電性エレメント670は、たとえば、図示されているように、チャネル682、692を越えてまたはチャネル682、692から外へ延在し得る)。しかし、いくつかの例では、チャネル682、692は、第4の導電性エレメント670の底部表面675が底部表面684、694によって画定される平面と平面的になり得るように構成され得るということが認識されるべきである。さらに、第2および第3の強磁性コンポーネント680、690は、(たとえば、図6A~図6Dに図示されているものよりも多くまたは少なく)第4の導電性エレメント670の任意の部分を包み込み得る。たとえば、いくつかの例では、第4の導電性エレメント670の全体が、第2および第3の強磁性コンポーネント680、690のチャネル682、692の中に存在し得る(たとえば、第2および第3の強磁性コンポーネント680、690は、単一のモノリシックのコンポーネントとすることができる)。
図6C~図6Dを参照すると、治療コイル600は、第1の強磁性コンポーネント630の第3のポール636が第3の導電性エレメント660の開口部の中に存在するように構成され得る。たとえば、第3のポール636の第3のポール面646は、第3の導電性エレメント660の底部表面665と実質的に平面的とすることができる。しかし、他の例において、第3のポール面646は、第3の導電性エレメント660の底部表面665と非平面的になっていてもよい(たとえば、第3のポール面646は、第3の導電性エレメント660を通って延在し得る)ということが認識されるべきである。さらに、第3のポール636は、第4の導電性エレメント670の開口部の中に(たとえば、部分的に)存在し得る。したがって、たとえば、図示されているように、第1の強磁性コンポーネント630の第3のポール636が第3および第4の導電性エレメント660、670の両方の開口部の中に存在するように、および、第3の導電性エレメント660が第4の導電性エレメント670の開口部の中に存在するように、第3および第4の導電性エレメント660、670が位置し得る。
第1、第3、および第4の導電性エレメント610、660、670が(たとえば、強磁性コンポーネント630の底部表面633の下方において)互いに近接しているエリアが、第1のターゲットエリアの上方に設置され得るように、および、第2、第3、および第4の導電性エレメント620、660、670が(たとえば、第1の強磁性コンポーネント630の反対の底部表面633の下方において)互いに近接しているエリアが、被験者の第2のターゲットエリアの上方に設置され得るように、治療コイル600が配設され得る。その後に、治療コイル600は、治療システムおよび/または磁気刺激システムのドライブ回路によって駆動され得る。たとえば、駆動されるときに、電流が、第1および第2の導電性エレメント610、620を通って同じ方向(たとえば、図6Dに図示されているように、下の視点から見たときに反時計回り方向)に循環するように、ならびに、電流が、第3および第4の導電性エレメント660、670を通って反対方向(たとえば、図6Dに図示されているように、下の視点から見たときに時計回り方向)に循環するように、または、その逆もまた同様であるように、治療コイル600が構成され得る。
結果として、治療コイル600は、ターゲット場所のそれぞれに1つずつ、2つの活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるように構成され得、ここで、活性化ゾーンのそれぞれは、(たとえば、それぞれ、第1、第3、および第4の導電性エレメント610、660、670が互いに近接しているエリアの実質的に下方において、ならびに、第2、第3、および第4の導電性エレメント620、660、670が互いに近接しているエリアの実質的に下方において、)楕円形の形状を有している。たとえば、治療コイル600は、また、第3のポール面646の下のエリアにおいて刺激ゾーンを誘導しない状態で、2つの活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるように構成され得る。
第3および第4の導電性エレメント660、670ならびに第2および第3の強磁性コンポーネント680、690を含めることは、(たとえば、第3および第4の導電性エレメント660、670または第2および第3の強磁性コンポーネント680、690の任意の組み合わせが含まれていないときと比較して、)治療コイル600によって発生させられる磁場によって引き起こされるリターン電流を波及させるように作用し得る。第3および第4の導電性エレメント660、670ならびに第2および第3の強磁性コンポーネント680、690の任意の組み合わせは、治療コイル600の中に含まれ得、たとえば、(たとえば、第1および第2のターゲットエリアの下に)磁場によって生成される2つの活性化ゾーンをさらに明確化(pronounce)もしくは強化し、および/または、2つの活性化ゾーンが融合して単一の活性化ゾーン(たとえば、第3のポール面646の下の単一の長円形または円形の形状の活性化ゾーン)になることを防止する。たとえば、第3および第4の導電性エレメント660、670を含めることは、第2および第3の強磁性コンポーネント680、690の実質的に下にある、およびそれに近接しているエリアにリターン電流を波及させることによって、治療コイル600によって発生させられる磁場を歪めることができ、また、第2および第3の強磁性コンポーネント680、690を含めることは、リターン電流のこの波及を強化し得る。たとえば、第3および第4の導電性エレメント660、670を含めることは、第3のポール面646からより遠くに離れるようにリターン電流を引っ張り、たとえば、2つの活性化ゾーンを強化し、単一の活性化ゾーン(たとえば、1つの大きいリング)が結果として生じることを防止し得る。さらに、第3および第4の導電性エレメント660、670を含めることは、2つの活性化ゾーンを生成させるときに、治療コイル600をよりエネルギー効率よくし得る。そして、第2および第3の強磁性コンポーネント680、690を含めることは、リターン電流が第3のポール面646から離れるように発散させ得、それは、2つの活性化ゾーンの内側の電流を強化し得る。
さらに詳しく説明するために、および、本明細書で説明されている治療コイルのいずれかに適用可能となるように、治療コイルの導電性エレメントが駆動されるときには、電流のループが導電性エレメントを通して生成され得る。電流のループは時間の経過とともに変化している(たとえば、パルス状になっている)ので、電流のループは、この変化に対抗する電流を別の導電性エレメントの中に誘導し得る(たとえば、それは、反対方向に駆動する電流である)。電流のループは、導電性エレメントの形状と同様の形状を有し得るが、活性化ゾーン(および/または、たとえば、電流のループによって引き起こされる磁場)は、導電性エレメントとは異なる形状を有し得る。たとえば、活性化ゾーンは、電流が集束するときに生成され得、それは、より高い電流密度および/またはより大きい電界の活性化ゾーンを生成させ得る。活性化ゾーンは、導電性エレメントがどの程度互いに接近するかということによって画定され得、たとえば、1つまたは複数の強磁性コンポーネント(および/または、たとえば、1つもしくは複数の追加的な導電性エレメント)の追加を通して変化させられ得る。強磁性コンポーネントは、たとえば、2つの活性化ゾーンの間のエリアから離れるようにリターン電流を波及させることによって、局所的な磁場を強化し、電界を強化し得る。
たとえば、および、図6Dを特に参照すると、強磁性コンポーネント630は、治療コイル600を駆動しているときに生成される2つの活性化ゾーンを強化するかまたはさらに明確化し得る。すなわち、強磁性コンポーネント680、690は、リターン電流が活性化ゾーンを離れていく(たとえば、第3のポール面646から離れるようにリターン電流を波及させる)ときに、それぞれの強磁性コンポーネント680、690に向けてリターン電流を引き出すことによって、電界を強化し得る。その理由は、たとえば、リターン電流が最小の抵抗の経路をとるからである。強磁性コンポーネント680、690を含まなければ、リターン電流は、より短い経路、たとえば、導電性エレメント660によって画定される経路をとり得る。そうであるので、強磁性コンポーネント680、690は、2つの活性化ゾーンが1つの大きい活性化ゾーン(たとえば、第3のポール面646の下のエリアを含む単一の活性化ゾーン)へと組み合わさらない(たとえば、融合しない)ことを保証することを支援し得る。
治療コイル600は、導電性エレメント610、620、660、670が駆動されるときに、結果として生じる活性化ゾーンが被験者の脳の中に2つの独立したエリアを包含するように構成され得る。被験者の脳の中のエリアは、脳の異なる機能的な領域と相関付けられ得る。たとえば、治療コイル600は、被験者の脳の中の2つの異なるエリアを刺激するために使用され得、たとえば、第1の強磁性コンポーネント630の第1のポール面642の下方におよびそれに近接して位置付けされている第1のエリア、ならびに、第2のポール面644の下方におよびそれに近接して位置付けされている第2のエリアなどを刺激するために使用され得る。脳の2つのエリアの中の電流は、同じ方向または異なる方向に(たとえば、時計回りにおよび/または反時計回りに)移動し得る。
治療コイル600によって発生させられる磁場によって誘導される活性化ゾーンは、刺激ゾーンまたはサブ刺激ゾーンとすることができる。刺激ゾーンは、治療コイル600によって発生させられるパルス状磁場によって引き起こされる誘導電流が脳のニューロンの脱分極閾値を上回るレベルとすることができ、一方、サブ刺激ゾーンは、誘導電流が脳のニューロンの脱分極閾値を下回るレベルとすることができる。さらに、2つの活性化ゾーンおよび2つの治療エリアを参照して説明されているが、治療コイル600は、(たとえば、特定の治療または診断手順に応じて、)より多くのまたはより少ない患者の治療エリアのためにより多くのまたはより少ない活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるために使用され得る。
さらに、いくつかの例では、治療コイル600は、第3の導電性エレメント660の周りに位置することができる追加的な導電性エレメントを含み得る(ならびに/または、たとえば、第3および/もしくは第4の導電性エレメント660、670は、追加的なターン(たとえば、アンプターン)を含み得る)ということが認識されるべきである。さらに、いくつかの例では、第2の強磁性コンポーネント680および/または第3の強磁性コンポーネント690は、それが第3および第4の導電性エレメント660、670の両方をカバーするように形状決めされ得る。たとえば、第2および第3の強磁性コンポーネント680、690の上部表面686、696は、第3の導電性エレメント660の上部表面663の上方に延在し得る。
治療コイル600は、導電性エレメント610、620、660、670および強磁性コンポーネント630、680、690が互いに支持されるように構成され得る。たとえば、導電性エレメント610、620、660、670および強磁性コンポーネント630、680、690のうちの1つまたは複数は、1つまたは複数の相補的な取り付け部材(図示せず)を含み得、1つまたは複数の相補的な取り付け部材は、強磁性コンポーネント630、680、690への導電性エレメント610、620、660、670の取り付け(たとえば、解放可能な取り付け)をし得るように構成されている。1つまたは複数の取り付け部材は、導電性エレメント610、620、660、670および強磁性コンポーネント630、680、690が互いに固定して支持されるように構成され得る。1つまたは複数の取り付け部材は、導電性エレメント610、620、660、670および強磁性コンポーネント630、680、690が互いに移動可能(たとえば、再位置決め可能)であるように構成され得る。
導電性エレメント610、620、660、670が強磁性コンポーネント630、680、690のうちの1つまたは複数によって支持されている(たとえば、強磁性コンポーネント630、680、690のうちの1つまたは複数に取り付けられている)ときには、導電性エレメント610、620、660、670は、たとえば誘電体を使用して、強磁性コンポーネント630、680、690から電気的に隔離され得る。誘電体は、空気とすることができ、導電性エレメント610、620、660、670が強磁性コンポーネント630、680、690に取り付けられているときに、導電性エレメント610、620、660、670は、強磁性コンポーネント630、680、690から間隔を置いて配置され得る(たとえば、強磁性コンポーネント630、680、690と直接接触していない)。導電性エレメント610、620、660、670は、任意の適切な電気的に隔離する(たとえば、誘電体)材料から作製されている1つまたは複数の取り付け部材を使用して、強磁性コンポーネント630、680、690のうちの1つまたは複数に取り付けられ得る。
図7A~図7Dは、例示的な治療コイル700を示しており、例示的な治療コイル700は、ヒト被験者(図示せず)などのような被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者のターゲット生体構造は、たとえば、被験者の脳組織であり得る。治療コイル700は、第1の対の導電性エレメント710a、710b、第2の対の導電性エレメント720a、720b、第3の対の導電性エレメント760a、760b、第4の対の導電性エレメント770a、770b、第5の対の導電性エレメント750a、750b、第1の強磁性コンポーネント730、第2の強磁性コンポーネント780、第3の強磁性コンポーネント790、第4の強磁性コンポーネント745a、および、第5の強磁性コンポーネント745bを含む。治療コイル700は、たとえば、図1に示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者の頭部に近接して配設され得る。導電性エレメント710a/b、720a/b、750a/b、760a/b、770a/bおよび強磁性コンポーネント730、745a/b、780、790の組み合わせは、集合的に、たとえば、電磁石と称され得る。治療コイル700は、図示されているものよりも多いまたは少ない導電性エレメントおよび/または強磁性コンポーネントを含むことがあり得るということが認識されるべきである。導電性エレメントは、導電性巻線と称され得る。
図7A~図7Bは、治療コイル700の斜視図を図示しており、一方、図7C~図7Dは、第4および第5の強磁性コンポーネント750、755が2つの異なる位置にある状態の治療コイル700の側面図を図示している。第1、第2、第3、第4、および第5の対の導電性エレメント710a/b、720a/b、760a/b、770a/b、750a/bの導電性エレメントは、たとえば銅などのような、適切な電気伝導度を示す任意の材料から作製され得る。さらに、それぞれ第1、第2、第3、第4、および第5の対の導電性エレメント710a/b、720a/b、760a/b、770a/b、750a/bの導電性エレメントは、互いに平行とすることができる(たとえば、第1の導電性エレメント710aの上部表面および/または底部表面は、第1の導電性エレメント710bの上部表面および/または底部表面に対して平行とすることができる、など)。しかし、いくつかの例では、導電性エレメント710a/b、720a/b、760a/b、770a/b、750a/bの対のうちの任意の1つまたは複数は、非平行になり得るということが認識されるべきである。
第1および第2の対の導電性エレメント710a、710b、720a、720bの導電性エレメントは、形状が半楕円形になっていてもよい(たとえば、丸みを帯びた長方形の形状になっていてもよい)。さらに、いくつかの例では、第1および第2の対の導電性エレメント710a、710b、720a、720bは、別の形状とすることができ、たとえば、形状が円形などになっていてもよい。第1の導電性エレメント710aは、底部表面、上側表面714a、内側表面716a、および外側表面718aを画定し得る。同様に、第1の導電性エレメント710bは、底部表面712b、上側表面、内側表面716b、および外側表面718bを画定し得る。さらに、第2の導電性エレメント720aは、底部表面、上側表面724a、内側表面726a、および外側表面728aを画定し得る。そして、導電性エレメント722bは、底部表面722b、上側表面、内側表面726b、および外側表面728bを画定し得る。
第3の対の導電性エレメント760a、760bの導電性エレメントは、丸みを帯びた正方形(たとえば、第3のポール面746と実質的に同じ形状)によって形状決めされ得る。さらに、いくつかの例では、第3の対の導電性エレメント760a、760bの導電性エレメントは、別の形状とすることができ、たとえば、形状が円形などになっていてもよい。第3の導電性エレメント760aは、内側表面762a、外側表面764a、上側表面763a、および底部表面を画定し得、一方、第3の導電性エレメント760bは、内側表面762b、外側表面764b、上側表面、および底部表面765bを画定し得る。
第4および第5の対の導電性エレメント770a、770b、750a、750bの導電性エレメントのそれぞれは、形状が半楕円形になっていてもよい(たとえば、丸みを帯びた長方形のように形状決めされ得る)。さらに、いくつかの例では、第4および第5の対の導電性エレメント770a、770b、750a、750bの導電性エレメントは、別の形状とすることができ、たとえば、形状が円形などになっていてもよい。第4の導電性エレメント770aは、内側表面772a、外側表面774a、上側表面773a、および底部表面を画定し得る。同様に、第4の導電性エレメント770bは、内側表面772b、外側表面774b、上側表面、および底部表面775bを画定し得る。さらに、第5の導電性エレメント750aは、内側表面752a、外側表面754a、上側表面753a、および底部表面755aを画定し得る。そして、第5の導電性エレメント750bは、内側表面752b、外側表面754b、上側表面、および底部表面755bを画定し得る。
第3の対の導電性エレメント760a、760bの導電性エレメントの上側表面および底部表面は、平面的(たとえば、平坦)であってもよい。同様に、第4および第5の対の導電性エレメント770a、770b、750a、750bの導電性エレメントの上側表面および底部表面は、平面的(たとえば、平坦)であってもよい。しかし、いくつかの例では、第3、第4、または第5の対の導電性エレメント760a、760b、770a、770b、750a、750bの導電性エレメントのうちの1つまたは複数は、屈曲しているかまたは湾曲し得る(たとえば、下向きに屈曲させられ得る)ということが認識されるべきである。たとえば、第3、第4、および第5の対の導電性エレメント760a、760b、770a、770b、750a、750bの導電性エレメントのいずれかの底部表面は、凹形になっていることができ、一方、第3、第4、および第5の対の導電性エレメント760a、760b、770a、770b、750a、750bの導電性エレメントのいずれかの上側表面は、凸形とすることができる。そのような湾曲は、治療コイル700がターゲット生体構造(たとえば、ヒトの頭部の湾曲)により良好に一致するように設計され得る。
さらに、第5の対の導電性エレメント750a/bは、第3の対の導電性エレメント760a/bよりも大きい周囲を画定し得、第4の対の導電性エレメント770a/bは、第5の対の導電性エレメント750a/bよりも大きい周囲を画定し得る。第3の導電性エレメント760aは、第5の導電性エレメント750aの開口部および第4の導電性エレメント770aの開口部の中に少なくとも部分的に存在し得、一方、第3の導電性エレメント770bは、第5の導電性エレメント750bの開口部および第4の導電性エレメント770bの開口部の中に少なくとも部分的に存在し得る。さらに、第5の導電性エレメント750aは、第4の導電性エレメント770aの開口部の中に少なくとも部分的に存在し得、一方、第5の導電性エレメント750bは、第4の導電性エレメント770bの開口部の中に少なくとも部分的に存在し得る。したがって、第4の導電性エレメント770aは、第5の導電性エレメント750aおよび第3の導電性エレメント760aを(たとえば、実質的に)取り囲み得、一方、第4の導電性エレメント770bは、第5の導電性エレメント750bおよび第3の導電性エレメント760bを(たとえば、実質的に)取り囲み得る。
第1および第2の対の導電性エレメント710a、710b、720a、720bのそれぞれの導電性エレメントは、同じ数のターン(たとえば、アンプターン)、たとえば、図示されているように単一のターンを画定し得る。しかし、いくつかの例では、第1および第2の対の導電性エレメント710a、710b、720a、720bの導電性エレメントの任意の1つまたは複数は、複数のターンを画定し得るということが認識されるべきである。さらに、いくつかの例では、治療コイル700は、追加的な導電性エレメント、および/または、複数のループ(たとえば、アンプターン)を画定する導電性エレメントを含み得る。
第1および第2の対の導電性エレメント710a、710b、720a、720bの導電性エレメントのそれぞれは、導電性材料の単一のモノリシックのピースから形成され得、または、第1および第2の対の導電性エレメント710a、710b、720a、720bの導電性エレメントの1つもしくは複数は、ワイヤーの複数のストランドによって形成され得る。いくつかの例では、治療コイル700は、第1、第2、第3、第4、および第5の対の導電性エレメント710a/b、720a/b、760a/b、770a/b、750a/bならびに第1、第2、第3、第4、および第5の強磁性コンポーネント730、780、780 、745a、745bを収容するハウジング(図示せず)を含み得る。
第1から第5の導電性エレメント710a、720a、760a、770a、750aの上側表面によって画定される平面は、互いに実質的に平面的とすることができる。同様に、第1から第5の導電性エレメント710a、720a、760a、770a、750aの底部表面によって画定される平面は、互いに実質的に平面的とすることができる。しかし、いくつかの例では、導電性エレメント710a、720a、760a、770a、750aの任意の組み合わせの上側表面、および/または、導電性エレメント710b、720b、760b、770b、750bの任意の組み合わせの底部表面は、互いに非平面的になっていてもよいということが認識されるべきである。たとえば、導電性エレメント710a/b、720a/b、760a/b、770a/b、750a/bのうちの任意の1つまたは複数は、その上部表面および/または底部表面が他の導電性エレメント710a/b、720a/b、760a/b、770a/b、750a/bのそれぞれの上部表面および/または底部表面と非平面的になるようにシフトされ得る。たとえば、いくつかの例では、第4の導電性エレメント750bは、より大きくさせられ得、第4の導電性エレメント750bの底部表面775bが他の導電性エレメントの底部表面と非平面的になり得るようになっている(そして、たとえば、第2および第3の強磁性コンポーネント780、790のうちの一方または両方の底部表面784、794と平面的になり得る)。
第1の強磁性コンポーネント730は、適切な強磁性の特性を示す任意の材料、たとえば、粉末状の強磁性の鉄粒子などから作製され得る。第1の強磁性コンポーネント730は、主本体部738および複数のポールを含み得、複数のポールは、たとえば、主本体部738から延在している、第1のポール732、第2のポール734、および第3のポール736などである。3つのポールを有するものとして図示されているが、いくつかの例では、第1の強磁性コンポーネント730は、3つよりも多いまたは少ないポールを含み得る。複数のポール(たとえば、第1、第2、および第3のポール732、734、736)は、主本体部738から(たとえば、主本体部738の底部表面733から)外向きに延在し得る。第3のポール736は、第1のポール732と第2のポール734との間に存在し得る。たとえば、第1、第2、および第3のポール732、734、736は、(たとえば、図示されているように)線形に整合させられ得る。しかし、いくつかの例では、第1、第2、および/または第3のポール732、734、736のうちの1つまたは複数は、非線形の様式で整合させられ得るということが認識されるべきである。
第1の強磁性コンポーネント730の主本体部738は、上部表面731および底部表面733を画定し得る。主本体部738の上部表面731および/または底部表面733は、平面的(たとえば、平坦)であってもよい。しかし、いくつかの例では、主本体部738は、たとえば、治療コイル600の第1の強磁性コンポーネント630によって図示されているように、湾曲し得るということが認識されるべきである。
第1のポール732は、第1のポール面742を画定し得、第2のポール734は、第2のポール面744を画定し得、第3のポール736は、第3のポール面746を画定し得る。第1のポール732は、第1の導電性エレメント710a/bのそれぞれによって画定される開口部の中に配設され得、第2のポール734は、第2の導電性エレメント720a/bのそれぞれによって画定される開口部の中に配設され得、第3のポールは、第3の導電性エレメント760a/bのそれぞれによって画定される開口部の中に配設され得る。さらに、第3のポール736は、また、第4および第5の導電性エレメント770a/b、750a/bの開口部の中に(たとえば、部分的に)存在し得る。したがって、第3、第4、および第5の導電性エレメント760a/b、770a/b、750a/bは、第1の強磁性コンポーネント730の第3のポール736が第3、第4、および第5の導電性エレメント760a/b、770a/b、750a/bの開口部の中に存在するように位置し得る。
第1のポール732は、第1の導電性エレメント710a/bのそれぞれの形状と実質的に同様である断面形状(たとえば、半楕円形の断面形状)を有し得、第2のポール734は、第2の導電性エレメント720a/bのそれぞれの形状と実質的に同様である断面形状(たとえば、半楕円形の断面形状)を有し得、第3のポール736は、第3の導電性エレメント760a/bのそれぞれの形状と実質的に同様である断面形状(たとえば、丸みを帯びた角部を伴って実質的に正方形に形状決めされた断面形状)を有し得る。
さらに、図示されている例では、第1のポール面742は、第1の導電性エレメント710bの底部表面712bと実質的に平面的とすることができ、第2のポール面744は、第2の導電性エレメント720bの底部表面722bと実質的に平面的とすることができ、第3のポール面746は、第3の導電性エレメント760bの底部表面762bと実質的に平面的とすることができる。しかし、いくつかの例では、第1のポール面742は、第1の導電性エレメント710bの底部表面712bの平面を越えて延在し得、第2のポール面744は、第2の導電性エレメント720bの底部表面722bの平面を越えて延在し得、および/または、第3のポール面746は、第3の導電性エレメント760bの底部表面762bの平面を越えて延在し得るということが認識されるべきである。
第2および第3の強磁性コンポーネント780、790は、適切な強磁性の特性を示す任意の材料、たとえば、粉末状の強磁性の鉄粒子などから作製され得る。第2の強磁性コンポーネント780は、底部表面784、内側表面785、上部表面786、外側表面787、第1のポール788、および第2のポール789を画定し得る。同様に、第3の強磁性コンポーネント790は、底部表面794、内側表面795、上部表面796、外側表面797、第1のポール798、および第2のポール799を画定し得る。第2および第3の強磁性コンポーネント780、790の底部表面784、794、上部表面786、796、第1のポール788、798、および第2のポール789、799のそれぞれは、平面的(たとえば、平坦)であってもよい。しかし、いくつかの例では、第2および第3の強磁性コンポーネント780、790の底部表面784、794、上部表面786、796、第1のポール788、798、および第2のポール789、799のうちの1つまたは複数は、湾曲していてもよく、または、その他の方法で形状決めされてもよいということが認識されるべきである。
第2および第3の強磁性コンポーネント780、790の上部表面786、796は、第4の導電性エレメント770aの上部表面776aと平面的とすることができる。しかし、第2および第3の強磁性コンポーネント780、790の底部表面784、794は、第4の導電性エレメント770bの底部表面777bによって画定される平面を越えて延在し得る(たとえば、底部表面784、794は、底部表面777bと非平面的になっていてもよい)。しかし、いくつかの例では、上部表面786、796および/または底部表面784、794のうちの1つまたは複数は、それぞれ、第4の導電性エレメント770a、770bの上部表面および/または底部表面と平面的になっていなくてもよいということが認識されるべきである。
第2および第3の強磁性コンポーネント780、790は、湾曲していてもよい。たとえば、第2および第3の強磁性コンポーネント780、790の内側表面785、795は、凹形とすることができ、一方、外側表面787、797は、凸形とすることができる。たとえば、第2および第3の強磁性コンポーネントの内側表面および外側表面785、795、787、797の湾曲は、第4の導電性エレメント770a/bの外側表面の湾曲と実質的に同様とすることができる。しかし、第2および第3の強磁性コンポーネント780、790の内側表面および外側表面785、795、787、797の湾曲は、図7A~図7Dに図示されているものに限定されない。
第2および第3の強磁性コンポーネント780、790は、実質的に同じサイズおよび形状とすることができる。しかし、いくつかの例では、第2および第3の強磁性コンポーネント780、790は、図示されているものとは異なるサイズおよび/または形状を有し得る。さらに、いくつかの例では、第2の強磁性コンポーネント780のサイズまたは形状は、(たとえば、治療コイル700によって発生させられる磁場のサイズおよび/または形状をシフトさせるために)第3の強磁性コンポーネント790のサイズまたは形状とは異なっていてもよい。また、いくつかの例では、第2または第3の強磁性コンポーネント780、790のうちの一方または両方は、治療コイル700から省略され得る。
第2および第3の強磁性コンポーネント780、790の第1および第2のポール面788、789、798、799は、それぞれ、第2および第3の強磁性コンポーネント780、790の他の表面に対して垂直になり得る。しかし、いくつかの例では、第1および第2のポール面788、789、798、799は、角度を付けられていてもよいということが認識されるべきである。たとえば、第1および第2のポール面788、789、798、799のうちの任意の1つまたは複数は、それぞれ、第2および第3の強磁性コンポーネント780、790の他の表面のうちの任意の1つまたは複数と、鋭角または鈍角を形成し得る。たとえば、第1および第2のポール面788、799は、第2の強磁性コンポーネント780の上部表面786と鈍角を形成し得、第2の強磁性コンポーネント780の底部表面784と鋭角を形成し得る。
第4および第5の強磁性コンポーネント745a、745bは、適切な強磁性の特性を示す任意の材料、たとえば、粉末状の強磁性の鉄粒子などから作製され得る。第4の強磁性コンポーネント745aは、内側表面746a、外側表面、上部表面、左表面および右表面、ならびに、ポール749aを画定する底部表面を画定し得る。同様に、第5の強磁性コンポーネント745bは、内側表面、外側表面747b、上部表面、左表面および右表面、ならびに、ポール749bを画定する底部表面を画定し得る。第4および第5の強磁性コンポーネント745a、745bの上側表面は、それぞれ、第1および第2のポール面742、744と同様のサイズおよび形状(たとえば、同一のサイズおよび形状)のものとすることができる。さらに、第4および第5の強磁性コンポーネント745a、745bの上側表面は、それぞれ、第1および第2のポール面742、744に対して平行とすることができる。治療コイル700が使用中のときには、第4および第5の強磁性コンポーネント745a、745bの上側表面は、それぞれ、第1および第2のポール面742、744に近接して設置され得る(および、たとえば、第1および第2のポール面742、744に潜在的に固定され得る)。
第4および第5の強磁性コンポーネント745a、745bのポール749a/bは、角度を付けられていてもよい。たとえば、第4の強磁性コンポーネント745aのポール面749aは、第4の強磁性コンポーネント745aの内側表面746aと鈍角を形成し得、第4の強磁性コンポーネント745aの外側表面と鋭角を形成し得る。同様に、第5の強磁性コンポーネント745bのポール面749bは、第5の強磁性コンポーネント745bの内側表面と鈍角を形成し得、第5の強磁性コンポーネント745bの外側表面747bと鋭角を形成し得る。
いくつかの例では、第4および第5の強磁性コンポーネント745a、745bは、治療コイル700から省略され得、または、図7Dに図示されている第6および第7の強磁性コンポーネント745c、745dなどのような、任意の望ましいサイズおよび形状の他の強磁性コンポーネントと置換され得る。第6および第7の強磁性コンポーネント745c、745dの内側表面および外側表面は、第6および第7の強磁性コンポーネント745c、745dの上部表面に対して垂直になっていなくてもよい(たとえば、一方では、第4および第5の強磁性コンポーネント745a、745bの内側表面および外側表面は、第4および第5の強磁性コンポーネント745a、745bの上部表面に対して垂直になっていてもよい)。第6および第7の強磁性コンポーネント745c、745dは、第4および第5の強磁性コンポーネント745a、745bとは異なって形状決めされ得、結果として、治療コイル700によって発生させられる磁場は、異なる形状を有する治療エリアの中の電界を含み得る。
第1の導電性エレメント710b、第3の導電性エレメント760b、第4の導電性エレメント770b、および第5の導電性エレメント750bが(たとえば、強磁性コンポーネント730の底部表面733の下方において)互いに近接しているエリアが、第1のターゲットエリアの上方に設置され得るように、ならびに、第2の導電性エレメント720b、第3の導電性エレメント760b、第4の導電性エレメント770b、および第5の導電性エレメント750bが(たとえば、強磁性コンポーネント730の反対の底部表面733の下方に)互いに近接しているエリアが、被験者の第2のターゲットエリアの上方に設置され得るように、治療コイル700が配設され得る。その後に、治療コイル700は、治療システムおよび/または磁気刺激システムのドライブ回路によって駆動され得る。たとえば、駆動されるときに、電流が、第1および第2の導電性エレメント710a/b、720a/bを通って同じ方向(たとえば、図7Bに図示されているように、下の視点から見たときに時計回り方向)に循環するように、ならびに、電流が、第3、第4、および第5の導電性エレメント760a/b、770a/b、750a/bを通って反対方向(たとえば、図7Bに図示されているように、下の視点から見たときに反時計回り方向)に循環するように、または、その逆もまた同様であるように、治療コイル700が構成され得る。
結果として、治療コイル700は、ターゲット場所のそれぞれに1つずつ、2つの活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるように構成され得、ここで、活性化ゾーンのそれぞれは、(たとえば、それぞれ、第1の導電性エレメント710b、第3の導電性エレメント760b、第4の導電性エレメント770b、および第5の導電性エレメント750bが互いに近接しているエリアの実質的に下方において、ならびに、第2の導電性エレメント720b、第3の導電性エレメント760b、第4の導電性エレメント770b、および第5の導電性エレメント750bが互いに近接しているエリアの実質的に下方において、)楕円形の形状を有している。たとえば、治療コイル700は、また、第3のポール面746の下のエリアにおいて刺激ゾーンを誘導しない状態で、2つの活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるように構成され得る。
第3、第4、および第5の導電性エレメント760a/b、770a/b、750a/bならびに第2および第3の強磁性コンポーネント780、790を含めることは、(たとえば、第3、第4、および/または第5の導電性エレメント760a/b、770a/b、750a/bを含むことなく、ならびに第2および/または第3の強磁性コンポーネント780、790が含まれていない治療コイル700と比較して、)治療コイル700によって発生させられる磁場によって引き起こされるリターン電流を波及させるように作用し得る。第3、第4、および第5の導電性エレメント760a/b、770a/b、750a/bならびに第2および第3の強磁性コンポーネント780、790の任意の組み合わせは、治療コイル700の中に含まれ得、たとえば、(たとえば、第1および第2のターゲットエリアの下に)磁場によって生成される2つの活性化ゾーンをさらに明確化もしくは強化し、および/または、2つの活性化ゾーンが融合して単一の活性化ゾーン(たとえば、第3のポール面746の下の単一の長円形または円形の形状の活性化ゾーン)になることを防止する。たとえば、第3、第4、および第5の導電性エレメント760a/b、770a/b、750a/bを含めることは、第2および第3の強磁性コンポーネント780、790の実質的に下にあり、それに近接しているエリアにリターン電流を波及させることによって、治療コイル700によって発生させられる磁場を歪め、また、第2および第3の強磁性コンポーネント780、790を含めることは、リターン電流のこの波及をさらに強化する。たとえば、第3、第4、および第5の導電性エレメント760a/b、770a/b、750a/bを含めることは、第3のポール面746からより遠くに離れるようにリターン電流を引っ張り、たとえば、2つの活性化ゾーンを強化し、単一の活性化ゾーン(たとえば、1つの大きいリング)が結果として生じることを防止し得る。さらに、第3および第4の導電性エレメント660、670 を含めることは、2つの活性化ゾーンを生成させるときに、治療コイル600 をよりエネルギー効率よくし得る。そして、第2および第3の強磁性コンポーネント780、790を含めることは、リターン電流が第3のポール面746から離れるように発散させることがあり、それは、2つの活性化ゾーンの内側の電流を強化することがある。
別の方式で述べられると、強磁性コンポーネント780、790は、リターン電流が活性化ゾーンを離れていく(たとえば、第3のポール面746から離れるようにリターン電流を波及させる)ときに、それぞれの強磁性コンポーネント780、790に向けてリターン電流を引き出すことによって、治療コイル700によって発生させられる電界を強化し得る。その理由は、たとえば、リターン電流が最小の抵抗の経路をとるからである。強磁性コンポーネント780、790を含まなければ、リターン電流は、より短い経路、たとえば、導電性エレメント760によって画定される経路をとり得る。そうであるので、強磁性コンポーネント780、790は、2つの活性化ゾーンが1つの大きい活性化ゾーン(たとえば、第3のポール面746の下のエリアを含む単一の活性化ゾーン)へと組み合わさらない(たとえば、融合しない)ことを保証することを支援し得る。
さらに、第4および第5の強磁性コンポーネント745a、745b(または、たとえば、第1の強磁性コンポーネント730の第1および第2のポール面742、744に隣接する、異なってサイズ決めおよび/または形状決めされた強磁性コンポーネント)を含めることは、治療コイル700が2つの活性化ゾーンの相対的な場所をシフトさせることおよび/または2つの活性化ゾーンの形状を調節することを可能にすることができる。たとえば、2つの活性化ゾーンの相対的な場所および/または形状におけるシフトは、患者(患者のターゲット生体構造(たとえば、頭部)は、異なるサイズおよび/または形状のものになっている)を治療するときに望ましいことがある。さらなる例として、2つの活性化ゾーンの相対的な場所および/または形状におけるシフトは、異なる治療および/または診断手順の間に(たとえば、2つの活性化ゾーンと関連付けられたターゲット場所が変化するときに)望ましいことがある。そのように治療コイル700が設定可能であることは、コイル700が異なる患者に関しておよび/または異なる治療/診断手順に関して最適化され得る。
治療コイル700は、導電性エレメント710a/b、720a/b、760a/b、770a/b、750a/bが駆動されるときに、結果として生じる活性化ゾーンが被験者の脳の中に2つの独立したエリアを包含するように構成され得る。被験者の脳の中のエリアは、脳の異なる機能的な領域と相関付けられ得る。たとえば、治療コイル700は、被験者の脳の中の2つの異なるエリアを刺激するために使用され得、たとえば、それぞれ、第4および第5の強磁性コンポーネント745a、745bのポール面749aの下方におよびそれに近接して位置付けされている第1のエリア、ならびに、第2のポール面749bの下方におよびそれに近接して位置付けされている第2のエリアなどを刺激するために使用され得る。脳の2つのエリアの中の電流は、同じ方向または異なる方向に(たとえば、時計回りにおよび/または反時計回りに)移動し得る。
治療コイル700によって発生させられる磁場によって誘導される活性化 は、刺激ゾーンまたはサブ刺激ゾーンであり得る。刺激ゾーンは、治療コイル700によって発生させられるパルス状磁場によって引き起こされる誘導電流が脳のニューロンの脱分極閾値を上回るレベルとすることができ、一方、サブ刺激ゾーンは、誘導電流が脳のニューロンの脱分極閾値を下回るレベルとすることができる。さらに、2つの活性化ゾーンおよび2つの治療エリアを参照して説明されているが、治療コイル700は、(たとえば、特定の治療または診断手順に応じて、)より多くのまたはより少ない患者の治療エリアのためにより多くのまたはより少ない活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるために使用され得る。
治療コイル700は、導電性エレメント710a/b、720a/b、760a/b、770a/b、750a/bおよび強磁性コンポーネント730、780、790、745a、745bが互いに支持されるように構成され得る。たとえば、導電性エレメント710a/b、720a/b、760a/b、770a/b、750a/bおよび強磁性コンポーネント730、780、790、745a、745bのうちの1つまたは複数は、1つまたは複数の相補的な取り付け部材(図示せず)とすることができ、1つまたは複数の相補的な取り付け部材は、強磁性コンポーネント730、780、790、745a、745bへの導電性エレメント710a/b、720a/b、760a/b、77 a/b、750a/bの取り付け(たとえば、解放可能な取り付け)を可能にするように構成されている。1つまたは複数の取り付け部材は、導電性エレメント710a/b、720a/b、760a/b、77a/b、750a/bおよび強磁性コンポーネント730、780、790、745a、745bが互いに固定して支持されるように構成され得る。1つまたは複数の取り付け部材は、導電性エレメント710a/b、720a/b、760a/b、77a/b、750a/bおよび強磁性コンポーネント730、780、790、745a、745bが互いに移動可能(たとえば、再位置決め可能)であるように構成され得る。
導電性エレメント710a/b、720a/b、760a/b、77a/b、750a/bが強磁性コンポーネント730、780、790、745a、745bのうちの1つまたは複数によって支持されている(たとえば、強磁性コンポーネント730、780、790、745a、745bのうちの1つまたは複数に取り付けられている)ときには、導電性エレメント710a/b、720a/b、760a/b、77a/b、750a/bは、たとえば誘電体を使用して、強磁性コンポーネント730、780、790、745a、745bから電気的に隔離され得る。誘電体は、空気とすることができ、導電性エレメント710a/b、720a/b、760a/b、77a/b、750a/bが強磁性コンポーネント730、780、790、745a、745bに取り付けられているときに、導電性エレメント710a/b、720a/b、760a/b、77a/b、750a/bは、強磁性コンポーネント730、780、790、745a、745bから間隔を置いて配置され得る(たとえば、強磁性コンポーネント730、780、790、745a、745bと直接接触していない)。導電性エレメント710a/b、720a/b、760a/b、77a/b、750a/bは、任意の適切な電気的に隔離する(たとえば、誘電体)材料から作製されている1つまたは複数の取り付け部材を使用して、強磁性コンポーネント730、780、790、745a、745bのうちの1つまたは複数に取り付けられ得る。
図8Aおよび図8Bは、例示的な治療コイル800を示しており、例示的な治療コイル800は、ヒト被験者(図示せず)などのような被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者のターゲット生体構造は、たとえば、被験者の脳組織とすることができる。治療コイル800は、第1の導電性エレメント810、第2の導電性エレメント820、および強磁性コンポーネント830を含む。治療コイル800は、たとえば、図1に示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者の頭部に近接して配設され得る。導電性エレメント810、820および強磁性コンポーネント830の組み合わせは、集合的に、たとえば、電磁石と称され得る。治療コイル800は、図示されているものよりも多いまたは少ない導電性エレメントを含み得るということが認識されるべきである。導電性エレメントは、導電性巻線と称され得る。
第1および第2の導電性エレメント810、820は、形状が半楕円形になっていてもよい(たとえば、丸みを帯びた正方形の形状の断面を有している)。さらに、いくつかの例では、第1および第2の導電性エレメント810、820は、別の形状であることがあり、たとえば、形状が円形などになっていてもよい。いくつかの例では、第1および第2の導電性エレメント810、820は、一緒に、8の字コイルまたはB字形状のコイルを形成し得る。第1の導電性エレメント810は、上側表面812および底部表面814を画定し得る。同様に、第2の導電性エレメント820は、上側表面822および底部表面824を画定し得る。上側表面812、822は、丸みを帯びていることがある。たとえば、上側表面812、822は、形状が凸形とすることができる。底部表面814、824は、アーチ形とすることができる。たとえば、底部表面814、824は、形状が凹形とすることができる。形状が凸形および凹形として図示されているが、第1および第2の導電性エレメント810、820の上側表面および底部表面のうちの任意の1つまたは複数は、平面的(たとえば、平坦)であってもよい。さらに、そのような例では、第1および/または第2の導電性エレメント810、820は、1つまたは複数の側部を画定し得る。第1および第2の導電性エレメント810、820は、たとえば銅などのような、適切な電気伝導度を示す任意の材料から作製され得る。
第1および第2の導電性エレメント810、820は、同じ数のターン(たとえば、アンプターン)、たとえば、図示されているように単一のターンを画定し得る。しかし、いくつかの例では、第1の導電性エレメント810および/または第2の導電性エレメント820は、複数のターンを画定し得るということが認識されるべきである。たとえば、いくつかの例では、第1の導電性エレメント810が、第1の数のターンを画定し得、一方、第2の導電性エレメント820が、異なる第2の数のターンを画定し得る。さらに、いくつかの例では、治療コイル800は、追加的な導電性エレメント、および/または、複数のループ(たとえば、アンプターン)を画定する導電性エレメントを含み得る。たとえば、第1の導電性エレメント810は、1つまたは複数の追加的なおよびオーバーラップする導電性エレメントを含み得(たとえば、第1の導電性エレメント810は、複数のループを画定し得る)、および/または、第2の導電性エレメント820は、1つまたは複数の追加的なおよびオーバーラップする導電性エレメントを含み得る(たとえば、第2の導電性エレメント820は、複数のループを画定し得る)。
第1の導電性エレメント810および/もしくは第2の導電性エレメント820は、導電性材料の単一のモノリシックのピースから形成され得、または、第1および第2の導電性エレメント810、820のうちの1つもしくは複数は、ワイヤーの複数のストランドによって形成され得る。いくつかの例では、治療コイル800は、第1および第2の導電性巻線810、820ならびに強磁性コンポーネント830を収容するハウジング(図示せず)を含み得る。
強磁性コンポーネント830は、適切な強磁性の特性を示す任意の材料、たとえば、粉末状の強磁性の鉄粒子などから作製され得る。強磁性コンポーネント830は、主本体部838 および複数のポールを含み得、複数のポールは、たとえば、主本体部832から延在している、第1のポール834、第2のポール836、第3のポール838、および第4のポール840などである。4つのポールを有するものとして図示されているが、いくつかの例では、強磁性コンポーネント830は、4つよりも多いまたは少ないポールを含み得る。第2のポール836は、第1のポール834と第4のポール840との間に存在し得、第4のポール810 は、第2のポール836と第3のポール838との間に存在し得る。たとえば、第1、第2、第3、および第4のポール834、836、838、840は、(たとえば、図示されているように)線形に整合させられ得る。しかし、いくつかの例では、第1、第2、第3、および第4のポール834、836、838、840のうちの1つまたは複数は、非線形の様式で整合させられ得るということが認識されるべきである。
第1のポール834および第3のポール838は、主本体部832から(たとえば、主本体部832の底部表面843から)外向きに延在し得る。第2のポール836は、第1のポール834から延在し得(たとえば、第1のポール834の内側から延在し得る)、第4のポール840は、第3のポール838から延在し得る(たとえば、第3のポール838の内側から延在し得る)。しかし、いくつかの例では、第2および第4のポール836、840のうちの1つまたは複数は、主本体部832から(たとえば、主本体部832の底部表面843から)外向きに延在し得るということが認識されるべきである。
強磁性コンポーネント830の主本体部832は、上部表面842および底部表面843を画定し得る。主本体部832は、たとえば、図示されているように、湾曲し得る。たとえば、主本体部832の上部表面842は、凸形表面を画定し得、一方、主本体部832の底部表面843は、凹形表面を画定し得る。したがって、上部表面842は、非平面的になっていてもよく、また、底部表面843は、非平面的になっていてもよい。さらに、いくつかの例では、主本体部832の上部表面842および/または底部表面843の湾曲は、図示されているものよりも大きいまたは小さい湾曲を画定し得るということが認識されるべきである。そのうえ、いくつかの例では、主本体部832の上部表面842および/または底部表面843は、平面的(たとえば、平坦)であってもよいということが認識されるべきである。
第1のポール834は、第1のポール面844を画定し得、第2のポール836は、第2のポール面846を画定し得、第3のポール838は、第3のポール面848を画定し得、第4のポール840は、第4のポール面850を画定し得る。第1のポール面844および第3のポール面848は、凹形表面を画定し得る(たとえば、第1および第2の導電性エレメント810、820の底部表面814、824と同様の凹形湾曲を有している)。第1のポール834は、第1の導電性エレメント810の開口部の中に配設され得、第3のポール838は、第2の導電性エレメント820の開口部の中に配設され得る。第1のポール834は、第1の導電性エレメント810の形状と実質的に同様の断面形状(たとえば、丸みを帯びた正方形のように形状決めされた断面形状)を有し得、第3のポール838は、第2の導電性エレメント820の形状と実質的に同様の断面形状(たとえば、丸みを帯びた正方形のように形状決めされた断面形状)を有し得る。
さらに、図示されている例では、第1のポール面844は、第1の導電性エレメント810の底部表面814を越えて延在し得、第3のポール面848は、第2の導電性エレメント820の底部表面824を越えて延在し得る。具体的には、第1の導電性エレメント810の第1のポール面844および底部表面814は、互いに平行になっていなくてもよく、第2の導電性エレメント820の第3のポール面848および底部表面824は、互いに平行になっていなくてもよい。しかし、いくつかの例では、第1のポール834および/または第3のポール838は、それぞれ、第1および第2の導電性エレメント810、820を通って延在し得、第1のポール面844および底部表面814が互いに平行(たとえば、同心円状の湾曲)であるようになっており、ならびに/または、第3のポール面848および底部表面824が互いに平行(たとえば、同心円状の湾曲)であるようになっている。さらに、いくつかの例では、第1のポール面844は、第1の導電性エレメント810の底部表面814と実質的に平面的になっていることがあり、および/または第3のポール面848は、第2の導電性エレメント820の底部表面824と実質的に平面的になっていることがあるということが認識されるべきである。
第2のポール836および/または第4のポール850 は、(たとえば、図示されているように)フック形状とすることができる。第2のポール836および/または第4のポール850は、それぞれ、第1および第2の導電性エレメント810、820を(たとえば、図示されているように、たとえば、少なくとも部分的に)包み込み得る。たとえば、第2のポール836は、第1のポール834から延在し得、第1の導電性エレメント810の上側表面812を包み込み得る。たとえば、第2のポール836は、第2のポール面846が第1の導電性エレメントの底部表面814と実質的に平面的になることができるようにサイズ決めおよび形状決めされ得る(たとえば、第2のポール面846は、上部表面812および底部表面814が出会う平面の中に存在し得る)。同様に、第4のポール840は、第3のポール838から延在し得、第2の導電性エレメント820の上側表面822を包み込み得る。たとえば、第4のポール840は、第4のポール面850が第2の導電性エレメント820の底部表面824と実質的に平面的になることができるようにサイズ決めおよび形状決めされ得る(たとえば、第4のポール面850は、上部表面822および底部表面824が出会う平面の中に存在し得る)。しかし、いくつかの例では、第2のポール836および/または第4のポール850は、それらのそれぞれのポール面が異なって位置し得るようにサイズ決めおよび形状決めされ得るということが認識されるべきである。
図示されていないが、いくつかの例では、強磁性コンポーネント830は、たとえば、被験者の頭部の生体構造に対して、調節可能であるように構成され得る(たとえば、強磁性コンポーネント830の湾曲が調節可能であり得る)。たとえば、強磁性コンポーネント830は、複数のピースを含み得、強磁性コンポーネント830の1つもしくは複数のピースが、強磁性コンポーネント830の1つもしくは複数の他のピースに対して調節可能であるように構成され得るようになっており、および/または、強磁性コンポーネント830のピースのうちの2つ以上が、(たとえば、強磁性コンポーネント830のピース同士の間にヒンジを使用することを通して)互いに対して調節可能(たとえば、枢動可能に調節可能)であるように構成され得るようになっている。
治療コイル800は、治療コイル800が被験者の複数の(たとえば、2つの)ターゲットエリアを治療するために使用され得るように、駆動されるように構成され得る。たとえば、治療または診断手順の間に、第1の導電性エレメント810が第1のポール面844と第2のポール面846との間を包むエリアが第1のターゲットエリアの上方に設置され得るように、および、第2の導電性エレメント820が第3のポール面848と第4のポール面850との間を包むエリアが被験者の第2のターゲットエリアの上方に設置され得るように、治療コイル800は配設され得る。その後に、治療コイル800は、治療システムおよび/または磁気刺激システムのドライブ回路によって駆動され得る。たとえば、駆動されるときに、電流が、第1の導電性エレメント810を通って第1の方向(たとえば、図8Bに図示されているように、下の視点から見たときに時計回り方向)に循環するように、および、電流が、第2の導電性エレメント820を通って反対の第2の方向(たとえば、図8Bに図示されているように、下の視点から見たときに反時計回り方向)に循環するように、または、その逆もまた同様であるように、治療コイル800が構成され得る。
結果として、治療コイル800は、ターゲット場所のそれぞれに1つずつ、2つの活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるように構成され得る。活性化ゾーンは、(たとえば、それぞれ、第1の導電性エレメント810が第1のポール面844と第2のポール面846との間を包むエリアの実質的に下方において、および、第2の導電性エレメント820が第3のポール面848と第4のポール面850との間を包むエリアの実質的に下方において、)半楕円形の形状を画定し得る。たとえば、治療コイル800は、また、強磁性コンポーネント830の本体部843の中心の下のエリアにおいて刺激ゾーンを誘導しない状態で、2つの活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるように構成され得る。
さらに、強磁性コンポーネント830の第2および第4のポール836、840を含めることは、第2および第4のポール836、840を備えない強磁性コンポーネント830を含んだ同様の治療コイルによって生成されることとなるシミュレーション ゾーンよりも局所化および分離されている2つの活性化ゾーンを生成させるように作用し得るということが認識されるべきである。したがって、第2および第4のポール836、840は、治療コイル800によって発生させられる2つの活性化ゾーンをさらに増強するように作用する。すなわち、第2および第4のポール836、840は、2つの活性化ゾーンを強化するかまたはさらに明確化することがあり、ここで、たとえば、第2および第4のポール836、840がより大きくおよび/またはより厚くされるほど、2つの活性化ゾーンがより明確化されるようになる(たとえば、より大きいおよび/またはより厚い第2および第4のポール836、840は、治療コイル800によって発生させられる磁場によって引き起こされる電界に関して、より強力な勾配を生成させることを支援する)。さらに、治療コイル800によって発生させられる2つの活性化ゾーンは、互いのミラーイメージになっていることがある。
図示されているように、治療コイル800は、互いに平行になっている2つの活性化ゾーンの中に電界を含む磁場を発生させるように構成され得る。しかし、いくつかの例では、治療コイル800は、それが互いに平行になっていない2つの活性化ゾーンの中に電界を含む磁場を発生させるように構成され得るということが認識されるべきである。たとえば、治療コイル800のポール834、836、838、840のうちの1つまたは複数は、ポールの中心が治療コイル800の他のポール834、836、838、840のうちの1つまたは複数と平行にならないように整合させられ得る。たとえば、第1および第2のポール834、836は、互いに平行になっているが、第3および第4のポール838、840と平行になっていなくてもよい。
治療コイル800は、第1および第2の導電性エレメント810、820が駆動されるときに、結果として生じる活性化ゾーンが被験者の脳の中に2つの独立したエリアを包含するように構成され得る。被験者の脳の中のエリアは、脳の異なる機能的な領域と相関付けられ得る。たとえば、治療コイル800は、被験者の脳の中の2つの異なるエリアを刺激するために使用され得、たとえば、第1の導電性エレメント810の下方におよびそれに近接して位置付けされている第1のエリア、ならびに、第2の導電性エレメント820の下方におよびそれに近接して位置付けされている第2のエリアなどを刺激するために使用され得る。脳の2つのエリアの中の電流は、同じ方向または異なる方向に(たとえば、時計回りにおよび/または反時計回りに)移動し得る。
治療コイル800によって発生させられる磁場によって誘導される活性化ゾーンは、刺激ゾーンまたはサブ刺激ゾーンとすることができる。刺激ゾーンは、治療コイル800によって発生させられるパルス状磁場によって引き起こされる誘導電流が脳のニューロンの脱分極閾値を上回るレベルとすることができ、一方、サブ刺激ゾーンは、誘導電流が脳のニューロンの脱分極閾値を下回るレベルとすることができる。さらに、2つの活性化ゾーンおよび2つの治療エリアを参照して説明されているが、治療コイル800は、(たとえば、特定の治療または診断手順に応じて、)より多くのまたはより少ない患者の治療エリアのためにより多くのまたはより少ない活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるために使用され得る。
治療コイル800は、導電性エレメント810、820および強磁性コンポーネント830が互いに支持されるように構成され得る。たとえば、治療コイル800は、強磁性コンポーネント530 が導電性エレメント810、820を支持するように構成され得る。導電性エレメント810、820および強磁性コンポーネント830のうちの一方または両方は、1つまたは複数の相補的な取り付け部材(図示せず)を含み得、1つまたは複数の相補的な取り付け部材は、強磁性コンポーネント830への導電性エレメント810、820の取り付け(たとえば、解放可能な取り付け)を可能にするように構成されている。1つまたは複数の取り付け部材は、導電性エレメント810、820および強磁性コンポーネント830が互いに固定して支持されるように構成され得る。1つまたは複数の取り付け部材は、導電性エレメント810、820および強磁性コンポーネント830が互いに移動可能(たとえば、再位置決め可能)であるように構成され得る。
導電性エレメント810、820が強磁性コンポーネント830によって支持されている(たとえば、強磁性コンポーネント830に取り付けられている)ときには、導電性エレメント810、820は、たとえば誘電体を使用して、強磁性コンポーネント830から電気的に隔離され得る。誘電体は、空気とすることができ、導電性エレメント810、820が強磁性コンポーネント830に取り付けられているときに、導電性エレメント810、820は、強磁性コンポーネント830から間隔を置いて配置され得る(たとえば、強磁性コンポーネント830と直接接触していない)。導電性エレメント810、820は、任意の適切な電気的に隔離する(たとえば、誘電体)材料から作製されている1つまたは複数の取り付け部材を使用して、強磁性コンポーネント830に取り付けられ得る。
図9Aおよび図9Bは、例示的な治療コイル900を示しており、例示的な治療コイル900は、ヒト被験者(図示せず)などのような被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者のターゲット生体構造は、たとえば、被験者の脳組織とすることができる。治療コイル900は、第1の導電性エレメント910、第2の導電性エレメント920、第3の導電性エレメント960、第1の強磁性コンポーネント930、第2の強磁性コンポーネント970、および第3の強磁性コンポーネント980を含む。治療コイル900は、たとえば、図1に示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者の頭部に近接して配設され得る。治療コイル900の導電性エレメントおよび強磁性コンポーネントの組み合わせは、集合的に、たとえば、電磁石と称され得る。治療コイル900は、図示されているものよりも多いまたは少ない導電性エレメントおよび/または強磁性コンポーネントを含み得るということが認識されるべきである(たとえば、強磁性コンポーネント970、980の一方または両方が省略され得る)。導電性エレメントは、導電性巻線と称され得る。第1、第2、および第3の導電性エレメント910、920、960は、たとえば銅などのような、適切な電気伝導度を示す任意の材料から作製され得る。
第1および第2の導電性エレメント910、920は、形状が半楕円形になっていてもよい(たとえば、丸みを帯びた長方形の形状になっている)。さらに、いくつかの例では、第1および第2の導電性エレメント910、920は、別の形状とすることができ、たとえば、形状が円形などになっていてもよい。いくつかの例では、第1および第2の導電性エレメント910、920は、一緒に、8の字コイルまたはB字形状のコイルを形成し得る。第1の導電性エレメント910は、上側表面912、底部表面914、内側表面、および外側表面916を画定し得る。同様に、第2の導電性エレメント920は、上側表面922、底部表面924、内側表面、および外側表面926を画定し得る。第1の導電性エレメント910の外側表面916は、凹部918(たとえば、窪み部)、第1のレッジ部919a、および第2のレッジ部(図示せず)を画定し得、ここで、凹部 918は、外側表面916の第1のレッジ部と第2のレッジ部との間に延在し得る。同様に、第2の導電性エレメント920の外側表面926は、凹部 928、第1のレッジ部929a、および第2のレッジ部929bを画定し得、ここで、凹部928は、外側表面926の第1のレッジ部929aと第2のレッジ部929bとの間に延在し得る。さらに、治療コイル900は、(たとえば、図示されているように)第1の凹部918が第2の導電性エレメント920に近接して存在するように、および、第2の凹部928が(たとえば、第1の導電性エレメントからより遠くに離れるように)治療コイル900の外側に沿って存在するように構成され得る。しかし、第1および第2の導電性エレメント910、920は、それらのそれぞれの凹部918、928が第1の強磁性コンポーネント930の第1および第2のポール934、936の周りのどこかに存在するように位置し得るということが認識されるべきである。
第3の導電性エレメント960は、形状が円形とすることができる。さらに、いくつかの例では、第3の導電性エレメント960は、別の形状とすることができ、たとえば、楕円形などになっていてもよい。第3の導電性エレメント960は、上側表面962、底部表面964、内側表面966、および外側表面968を画定し得る。第3の導電性エレメント960は、円形の切頭円錐形のように形状決めされ得る。たとえば、上側表面962は、第1の周囲を画定し得、底部表面964は、第2の周囲を画定し得、第2の周囲は、第1の周囲よりも大きくし得る。しかし、いくつかの例では、上側表面962および底部表面964は、同じ周囲を画定し得るということが認識されるべきである。さらに、いくつかの例では、第3の導電性エレメント960は、1つまたは複数のベンドまたはキンクを含み得るということが認識されるべきである。たとえば、第3の導電性エレメント960は、第3の導電性エレメント960の上側表面962および底部表面964が平面的(たとえば、平坦)にならないように屈曲させられ得る。たとえば、第3の導電性エレメント960は、上側表面962および底部表面964が鋭角をそれぞれ画定するように屈曲させられ得る(たとえば、第3の導電性エレメント960が「V」の断面形状を有するようになっている)。
第1、第2、および第3の導電性エレメント910、920、960は、同じ数のターン(たとえば、アンプターン)、たとえば、図示されているように単一のターンを画定し得る。しかし、いくつかの例では、第1の導電性エレメント910、第2の導電性エレメント920、および/または第3の導電性エレメント960は、複数のターンを画定し得るということが認識されるべきである。たとえば、いくつかの例では、導電性エレメント910、920、960の任意の組み合わせは、異なる数のターンを画定し得る(たとえば、第3の導電性エレメント960は、複数のターンを画定し得、一方、第1および第2の導電性エレメント910、920は、単一のターンを画定している)。さらに、いくつかの例では、治療コイル900は、追加的な導電性エレメント、および/または、複数のループ(たとえば、アンプターン)を画定する導電性エレメントを含み得る。
第1の導電性エレメント910、第2の導電性エレメント920、および/もしくは第3の導電性エレメント960は、導電性材料の単一のモノリシックのピースから形成され得、または、第1、第2、および第3の導電性エレメント910、920、960のうちの1つもしくは複数は、ワイヤーの複数のストランドによって形成され得る。いくつかの例では、治療コイル900は、導電性エレメント910、920、960および強磁性コンポーネント930、970、980を収容するハウジング(図示せず)を含み得る。
第1の強磁性コンポーネント930は、適切な強磁性の特性を示す任意の材料、たとえば、粉末状の強磁性の鉄粒子などから作製され得る。第1の強磁性コンポーネント930は、主本体部932および複数のポールを含み得、複数のポールは、たとえば、主本体部932から延在している、第1のポール934および第2のポール936などである。2つのポールを有するものとして図示されているが、いくつかの例では、第1の強磁性コンポーネント930は、2つよりも多いまたは少ないポールを含み得る複数のポール(たとえば、第1および第2のポール934、936)は、主本体部932から(たとえば、主本体部932の底部表面から)外向きに延在し得る。
第1の強磁性コンポーネント930の主本体部932は、突起部933を画定し得、突起部933は、主本体部932の上部表面から上向きに延在している。突起部933を備えて図示されているが、いくつかの例では、第1の強磁性コンポーネント930は、突起部933を含まなくてもよい。主本体部932は、たとえば、図示されているように、湾曲し得る。たとえば、主本体部932の上部表面は、凸形表面を画定し得、一方、主本体部の底部表面は、平面的な表面(たとえば、平坦な表面)を画定し得る。したがって、上部表面は、非平面的になっていてもよく、底部表面は、平面的になっていてもよい。さらに、いくつかの例では、主本体部932の上部表面および/または底部表面の湾曲は、図示されているものよりも大きいまたは小さい湾曲を画定し得るということが認識されるべきである(たとえば、底部表面が湾曲していてもよい)。そのうえ、いくつかの例では、主本体部932の上部表面は、平面的(たとえば、平坦)であってもよいということが認識されるべきである。
第1および第2のポール934、936は、1つまたは複数のポール面を画定し得る。たとえば、第1のポール934は、第1のポール面942および第2のポール面944を画定し得、第2のポール936は、第3のポール面946および第4のポール面948を画定し得る。第1のポール934は、第1の導電性エレメント910の開口部の中に配設され得、第2のポール936は、第2の導電性エレメント920の開口部の中に配設され得る。第1のポール934は、第1の導電性エレメント910の形状と実質的に同様の断面形状(たとえば、半楕円形の断面形状)を有してもよく、第2のポール936は、第2の導電性エレメント920の形状と実質的に同様の断面形状(たとえば、半楕円形の断面形状)を有してもよい。
第1のポール面942および第2のポール面944は、互いから角度的にオフセットされ得る(たとえば、図示されているように、たとえば鈍角を画定するなど、垂直になっていない)。同様に、第3のポール面946および第4のポール面948は、互いから角度的にオフセットされ得る(たとえば、図示されているように、たとえば鈍角を画定するなど、垂直になっていない)。第1および第2のポール面942、944は、第3および第4のポール面946、948に向けて角度を付けられていてもよい。たとえば、第1のポール面942の中心軸線は、(たとえば、本体部932の中心の直ぐ下方において)第3のポール面946の中心軸線と交差してもよく、一方、第2のポール面944の中心軸線は、(たとえば、本体部932の中心の直ぐ下方において)第4のポール面948の中心軸線と交差してもよい。
さらに、図示されている例では、第1および第2のポール面942、944は、第1の導電性エレメント910の底部表面914の平面を越えて延在し得、第3および第4のポール面946、948は、第2の導電性エレメント920の底部表面924の平面を越えて延在することができる。しかし、いくつかの例では、第1および/または第2のポール934、936のうちの1つまたは複数は、単一のポールを画定し得る、単一のポールは、それぞれ、第1または第2の導電性エレメント910、920の底部表面914、924と実質的に平面的になっていることがあるということが認識されるべきである。
図示されていないが、いくつかの例では、第1の強磁性コンポーネント930は、たとえば、被験者の頭部の生体構造に対して、調節可能であるように構成され得る(たとえば、第1の強磁性コンポーネント930の湾曲が調節可能であり得る)。たとえば、第1の強磁性コンポーネント930は、複数のピースを含み得、第1の強磁性コンポーネント930の1つもしくは複数のピースが、第1の強磁性コンポーネント930の1つもしくは複数の他のピースに対して調節可能であるように構成され得るようになっており、および/または、第1の強磁性コンポーネント930のピースのうちの2つ以上が、(たとえば、第1の強磁性コンポーネント930のピース同士の間にヒンジを使用することを通して)互いに対して調節可能(たとえば、枢動可能に調節可能)であるように構成され得るようになっている。
治療コイル900は、また、第2および第3の強磁性コンポーネント970、980を含み得る。第2および第3の強磁性コンポーネント970、980は、線形形状になっていることがある(たとえば、細長い長方形の断面形状を有している)。第2および第3の強磁性コンポーネント970、980は、第1の強磁性コンポーネント930の第1のポール934と第2のポール936との間に(および、たとえば、第1の導電性エレメント910と第2の導電性エレメント920との間に)配設され得る。第2および第3の強磁性コンポーネント970、980は、(たとえば、第2および第3の強磁性コンポーネント970、980を含まない状態の治療コイル900によって発生させられる磁場と比較して、)治療コイル900によって発生させられる磁場の形状を変更するために使用され得る(たとえば、患者の頭部の中へ深くなるほど磁場が低くなる)。さらに、第2および第3の強磁性コンポーネント970、980は、また、(たとえば、第2および第3の強磁性コンポーネント970、980を含まない状態の治療コイル900によって発生させられる磁場と比較して、)治療コイル900の電気的な遮蔽を改善することがあり得、ならびに/または、治療コイル900によって発生させられる磁場によって引き起こされる刺激に近接する表面を低減させ得る。
第3の導電性エレメント960は、たとえば、外部導電性エレメントまたはハロー導電性エレメント(halo conductive element)と称され得る。その理由は、第3の導電性エレメント960が患者の冠状面の周りを回るように構成され得るからである。さらに、第1および第2の導電性エレメント910、920ならびに強磁性コンポーネント930、970、980は、それらが第3の導電性エレメント960の開口部の上方に存在するように構成され得る。そうであるので、第3の導電性エレメント960は、治療コイル900の残りの部分に対して外部にあると考えられ得る。たとえば、第1および第2の導電性エレメント910、920ならびに第1および第2のポール934、936(たとえば、第1および第2のポール934、936のポール面942、944、946、948のうちの1つまたは複数)の任意の組み合わせ(たとえば、すべてを含む)のそれぞれの中心軸線は、第3の導電性エレメント960の開口部を通過し得る。
さらに、第1および第2の導電性エレメント910、920は、それらが第3の導電性エレメント960の中心軸線から非対称的にオフセットされるように配設され得る。たとえば、第1および第2の導電性エレメント910、920ならびに強磁性コンポーネント930、970、980は、第3の導電性エレメント960の中心軸線からオフセットされ得る。すなわち、第2の導電性エレメント920が第3の導電性エレメント960に対して存在するよりも、第1の導電性エレメント910が第3の導電性エレメント960のより近くに存在するように、治療コイル900は構成され得る。たとえば、第1の導電性エレメント910の中心軸線は、第2の導電性エレメント920の中心軸線が第3の導電性エレメント960に対してあるよりも、第3の導電性エレメント960のより近くにあり得る。したがって、本明細書でより詳細に議論されることとなるように、第3の導電性エレメント960は、リターン電流を波及させるように、および、活性化ゾーンの外側の電流を低減させる(たとえば、TMS手順の間に、たとえば眼、副鼻腔などの周りの刺激に近接する表面を低減させる)ように作用し得る。
治療コイル900は、治療コイル900が被験者の複数の(たとえば、2つの)ターゲットエリアを治療するために使用され得るように、駆動されるように構成され得る。たとえば、治療または診断手順の間に、第1の導電性エレメント910が第3の導電性エレメント960に近接しているエリアが被験者の第1のターゲットエリアの上方に設置され得るように、治療コイル900は配設され得る。たとえば、第1の導電性エレメント910の外側表面916が第3の導電性エレメント960の内側表面966に近接しているエリアが、被験者の第1のターゲットエリアの上方に設置され得るように、治療コイル900は配設され得る。さらに、第2および第3の強磁性コンポーネント970、980の下のエリアが、第2のターゲットエリアの上方に設置され得るように、治療コイル900は配設され得る。その後に、治療コイル900は、治療システムおよび/または磁気刺激システムのドライブ回路によって駆動され得る。たとえば、駆動されるときに、電流が、第1および第3の導電性エレメント910、960を通って1つの方向(たとえば、図9Bに図示されているように、下の視点から見たときに時計回り方向)に循環し、一方、電流が、第2の導電性エレメント920を通って反対方向(たとえば、図9Bに図示されているように、下の視点から見たときに反時計回り方向)に循環するように、治療コイル900が構成され得る。
結果として、治療コイル900は、ターゲット場所のそれぞれに1つずつ、2つの活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるように構成され得る。第1の活性化ゾーンは、(たとえば、第1の導電性エレメント910の外側表面916が第3の導電性エレメント960の内側表面966に近接しているエリアの実質的に下方において)細長い長円形の形状を画定し得る。第2の活性化ゾーンは、(たとえば、第2および第3の強磁性コンポーネント970、980の実質的に下方において)半楕円形の形状を画定し得る。たとえば、第1の活性化ゾーンは、引き伸ばされた丸みを帯びた長方形の形状を画定し得、たとえば、第3の導電性エレメント960の湾曲によって画定される湾曲に沿って引き伸ばされている丸みを帯びた長方形の形状を画定し得る。治療コイル900は、2つの活性化ゾーンを生成させるように構成され得、また、活性化ゾーンの両方に関するリターン電流が治療コイル900の一方の側にあることを保証することによって、それを行うように構成され得る。たとえば、導電性エレメント910、920、960のリターン電流は、互いに近接して位置し得、一方、活性化ゾーンは、また、互いに近接して位置付けされている。たとえば、第3の導電性エレメント960の底部表面964および/または外側表面968の下方のエリアに近接して、ならびに、第2の導電性エレメント920の凹部928の下方のエリアに近接して、リターン電流が存在するように(たとえば、リターン電流は、治療コイル900の一方の側において両方の状況になっている)、治療コイル900は駆動され得、一方、たとえば、活性化エリアは、上記に説明されている2つのターゲットエリアに近接し得る。さらに、強磁性コンポーネント970、980を含めることは、2つの活性化ゾーンをさらに分離または明確化するように作用し得るということが認識されるべきである。
そのうえ、治療コイル900は、また、第1の活性化ゾーンと第2の活性化ゾーンとの間のエリアの中に刺激ゾーンを誘導しない状態で、2つの活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるように構成され得るということが認識されるべきである。さらに、治療コイル900は、また、第3の導電性エレメント960の底部表面964および/または外側表面968の下方にあるエリアの中に刺激ゾーンを誘導しないように構成され得る。すなわち、治療コイル900は、第3の導電性エレメント960によって画定される開口部の中および/または下に、複数の活性化ゾーンを誘導するが、第3の導電性エレメント960の開口部の下方のエリアの外側には刺激ゾーンを誘導しないように構成され得る。
さらに、第3の導電性エレメント960の中心軸線からの第1および第2の導電性エレメント910、920ならびに強磁性コンポーネント930、970、980のオフセットに部分的に起因して、第3の導電性エレメント960は、リターン電流を波及させるように、および、活性化ゾーンの外側の電流を低減させる(たとえば、TMS手順の間に、たとえば眼、副鼻腔などの周りの刺激に近接する表面を低減させる)ように作用し得るということが認識されるべきである。たとえば、第1および第2の導電性エレメント910、920ならびに強磁性コンポーネント930、970、980の組み合わせは、第1の活性化ゾーン(たとえば、電流が同じ方向に進んでいる場所)を発生させるために第3の導電性エレメント960に向けて傾けられるように、および、反対側(たとえば、電流が反対方向に進んでいる場所、したがって、たとえば、電流が互いに交錯しない場所)において第3の導電性エレメント960から離れるように傾けられるように構成され得る。
治療コイル900は、さまざまな治療および診断手順において使用され得る。たとえば、治療コイル900は、患者の眼のそれぞれの上方の前頭ポールを刺激するために使用され得る。そのような場合において、患者の眼窩または副鼻腔を通って流れる電流を有することを回避することが望ましい。いくつかの例では、第3の導電性エレメント960は、ヘッドバンドのように患者の頭部の周りに配設され得、第1の導電性エレメント910が第3の導電性エレメント960に近接しているエリアが、被験者の眼の一方の前頭ポールの上方に設置され得、第2および第3の強磁性コンポーネント970、980の下のエリアが、被験者の眼の他方の前頭ポールの上方に設置され得る。
治療コイル900は、導電性エレメントが駆動されるときに、結果として生じる活性化ゾーンが被験者の脳の中に2つの独立したエリアを包含するように構成され得る。被験者の脳の中のエリアは、脳の異なる機能的な領域と相関付けられ得る。たとえば、治療コイル900は、被験者の脳の中の2つの異なるエリアを刺激するために使用され得、たとえば、第1の導電性エレメント910の下方におよびそれに近接して位置付けされている第1のエリア、ならびに、第1の導電性エレメント910が第3の導電性エレメント960に近接しているエリアの下方におよびそれに近接して位置付けされている第2のエリアなどを刺激するために使用され得る。脳の2つのエリアの中の電流は、同じ方向または異なる方向に(たとえば、時計回りにおよび/または反時計回りに)移動し得る。
治療コイル900によって発生させられる磁場によって誘導される活性化ゾーンは、刺激ゾーンまたはサブ刺激ゾーンとすることができる。刺激ゾーンは、治療コイル900によって発生させられるパルス状磁場によって引き起こされる誘導電流が脳のニューロンの脱分極閾値を上回るレベルとすることができ、一方、サブ刺激ゾーンは、誘導電流が脳のニューロンの脱分極閾値を下回るレベルとすることができる。さらに、2つの活性化ゾーンおよび2つの治療エリアを参照して説明されているが、治療コイル900は、(たとえば、特定の治療または診断手順に応じて、)より多くのまたはより少ない患者の治療エリアのためにより多くのまたはより少ない活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるために使用され得る。
治療コイル900は、導電性エレメント910、920、960および強磁性コンポーネント930、970、980が互いに支持されるように構成され得る。たとえば、治療コイル900は、第1の強磁性コンポーネント930が導電性エレメント910、920、960ならびに第2および第3の強磁性コンポーネント970、980を支持するように構成され得る。導電性エレメント910、920、960および強磁性コンポーネント930、970、980のうちの1つまたは複数は、1つまたは複数の相補的な取り付け部材(図示せず)を含み得、1つまたは複数の相補的な取り付け部材は、第1の強磁性コンポーネント930への導電性エレメント910、920、960ならびに第2および第3の強磁性コンポーネント970、980の取り付け(たとえば、解放可能な取り付け)を可能にするように構成されている。1つまたは複数の取り付け部材は、導電性エレメント910、920、960および強磁性コンポーネント930、970、980が互いに固定して支持されるように構成され得る。1つまたは複数の取り付け部材は、導電性エレメント910、920、960および強磁性コンポーネント930、970、980が互いに移動可能(たとえば、再位置決め可能)であるように構成され得る。
導電性エレメント910、920、960ならびに第2および第3の強磁性コンポーネント970、980が第1の強磁性コンポーネント930によって支持されている(たとえば、第1の強磁性コンポーネント930に取り付けられている)ときには、導電性エレメント910、920、960は、たとえば誘電体を使用して、強磁性コンポーネント930、970、980から電気的に隔離され得る。誘電体は、空気とすることができ、導電性エレメント910、920、960が強磁性コンポーネント930、970、980に取り付けられているときに、導電性エレメント910、920、960は、強磁性コンポーネント930、970、980から間隔を置いて配置され得る(たとえば、強磁性コンポーネント930、970、980と直接接触していない)。導電性エレメント910、920、960ならびに第2および第3の強磁性コンポーネント970、980は、任意の適切な電気的に隔離する(たとえば、誘電体)材料から作製されている1つまたは複数の取り付け部材を使用して、第1の強磁性コンポーネント930に取り付けられ得る。さらに、いくつかの例では、第1および第2の導電性エレメント910、920ならびに強磁性コンポーネント930、970、980の組み合わせは、互いに支持され得、一方、第3の導電性エレメント960は、治療コイル900の中におよび治療コイル900から外へ相互交換され得るということが認識されるべきである。
図10A~図10Bは、例示的な治療コイル1000を示しており、例示的な治療コイル1000は、ヒト被験者(図示せず)などのような被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者のターゲット生体構造は、たとえば、被験者の脳組織とすることができる。治療コイル1000は、第1の導電性エレメント1010、第2の導電性エレメント1020、第3の導電性エレメント1030、第1の強磁性コンポーネント1040、および第2の強磁性コンポーネント1050を含む。治療コイル1000は、たとえば、図1に示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者の頭部に近接して配設され得る。導電性エレメント1010、1020、1030および強磁性コンポーネント1040、1050の組み合わせは、集合的に、たとえば、電磁石と称され得る。治療コイル1000は、図示されているものよりも多いまたは少ない導電性エレメントおよび/または強磁性コンポーネントを含み得るということが認識されるべきである。導電性エレメントは、導電性巻線と称され得る。
第1、第2、および第3の導電性エレメント1010、1020、1030は、たとえば銅などのような、適切な電気伝導度を示す任意の材料から作製され得る。第1および第2の導電性エレメント1010、1020は、1つまたは複数のベンドを含み得る。たとえば、第1の導電性エレメント1010は、B字形状のコイルを形成し得、同様に、第2の導電性エレメント1020は、B字形状のコイルを形成し得る。第1の導電性エレメント1010は、底部表面1012、上側表面1014、内側表面1016、および外側表面1018を画定し得る。第2の導電性エレメント1020は、底部表面1022、上側表面1024、内側表面1026、および外側表面1028を画定し得る。
第3の導電性エレメント1030は、形状が半楕円形になっていてもよい(たとえば、丸みを帯びた長方形の形状になっている)。さらに、いくつかの例では、第3の導電性エレメント1030は、別の形状とすることができ、たとえば、形状が円形になっていてもよい。第3の導電性エレメント1030は、底部表面1032、上側表面1034、内側表面1036、および外側表面1038を画定し得る。第2の導電性エレメント1020は、第3の導電性エレメント1030の開口部の中に配設され得る。たとえば、第3の導電性エレメント1030は、第2の導電性エレメント1020を取り囲むように構成され得る。さらに、第1、第2、および/または第3の導電性エレメントは、湾曲していてもよい。たとえば、第1、第2、および/または第3の導電性エレメントの上側表面1014、1024、1034は、凹形になっていてもよく、一方、第1、第2、および/または第3の導電性エレメントの底部表面1012、1022、1032は、凸形とすることができる。しかし、いくつかの例では、第1、第2、および/または第3の導電性エレメント1010、1020、1030の上側表面および/または底部表面1014、1012、1024、1022、1034、1032のうちの1つまたは複数は、平面的(たとえば、平坦)であってもよいということが認識されるべきである。
第1、第2、および/または第3の導電性エレメント1010、1020、1030は、同じ数のターン(たとえば、アンプターン)、たとえば、図示されているように単一のターンを画定し得る。しかし、いくつかの例では、第1、第2、および/または第3の導電性エレメント1010、1020、1030のうちの任意の1つまたは複数は、複数のターンを画定し得るということが認識されるべきである。さらに、第1、第2、および/または第3の導電性エレメント1010、1020、1030の任意の組み合わせは、第1、第2、および/または第3の導電性エレメント1010、1020、1030のうちの別のものとは異なる数のターンを画定し得る。そのうえ、いくつかの例では、治療コイル1000は、追加的な導電性エレメント、および/または、複数のループ(たとえば、アンプターン)を画定する導電性エレメントを含み得るということが認識されるべきである。たとえば、第1の導電性エレメント1010は、1つもしくは複数の追加的なおよびオーバーラップする導電性エレメントを含み得(たとえば、第1の導電性エレメント1010は、複数のループを画定し得る)、第2の導電性エレメント1020は、1つもしくは複数の追加的なおよびオーバーラップする導電性エレメントを含み得(たとえば、第2の導電性エレメント1020は、複数のループを画定し得る)、ならびに/または、第3の導電性エレメント1030は、1つもしくは複数の追加的なおよびオーバーラップする導電性エレメントを含み得る(たとえば、第3の導電性エレメント1030は、複数のループを画定し得る)。第1、第2、および/もしくは第3の導電性エレメント1010、1020、1030は、個別に、導電性材料の単一のモノリシックのピースから形成され得、または、第1、第2、および/もしくは第3の導電性エレメント1010、1020、1030のうちの1つもしくは複数は、ワイヤーの複数のストランドによって形成され得る。
第1および第2の強磁性コンポーネント1040、1050は、適切な強磁性の特性を示す任意の材料、たとえば、粉末状の強磁性の鉄粒子などから作製され得る。第1の強磁性コンポーネント1040は、主本体部1041および複数のポールを含み得、複数のポールは、たとえば、主本体部1041から延在している、第1のポール1042および第2のポール1043などである。同様に、第2の強磁性コンポーネント1050は、主本体部1051および複数のポールを含み得、複数のポールは、たとえば、主本体部1051から延在している、第1のポール1052および第2のポール1053などである。第1の強磁性コンポーネント1040の第1および第2のポール1042、1043は、主本体部1041から(たとえば、主本体部1041の底部表面1045から)外向きに延在し得る。同様に、第2の強磁性コンポーネント1050の第1および第2のポール1052、1053は、主本体部1051から(たとえば、主本体部1051の底部表面1055から)外向きに延在し得る。2つのポールを有するものとして図示されているが、いくつかの例では、第1および第2の強磁性コンポーネント1040、1050のうちの一方または両方は、2つよりも多いまたは少ないポールを含み得る。さらに、いくつかの例では、第1の強磁性コンポーネント1040は、第2の強磁性コンポーネント1050とは異なる数のポールを含み得る。
第1の強磁性コンポーネント1040の主本体部1041は、上部表面1044および底部表面1045を画定し得る。第1の強磁性コンポーネント1040の主本体部1041の上部表面1044および/または底部表面1045は、平面的(たとえば、平坦)であってもよい。しかし、いくつかの例では、主本体部1041は、たとえば、治療コイル600の第1の強磁性コンポーネント630によって図示されているように、湾曲していてもよいということが認識されるべきである。同様に、第2の強磁性コンポーネント1050の主本体部1051は、上部表面1054および底部表面1055を画定し得る。第2の強磁性コンポーネント1050の主本体部1051の上部表面1054および/または底部表面1055は、平面的(たとえば、平坦)であってもよい。しかし、いくつかの例では、主本体部1051は、たとえば、治療コイル600の第1の強磁性コンポーネント630によって図示されているように、湾曲していてもよいということが認識されるべきである。
第1の強磁性コンポーネント1040の第1のポール1042は、第1のポール面1046を画定し得、第2のポール1043は、第2のポール面1047を画定し得る。第1のポール1042は、第1の導電性エレメント1010によって画定される開口部(たとえば、「B」形状の第1のループ)の中に配設され得、一方、第2のポール1043は、第2の導電性エレメント1020によって画定される開口部(たとえば、「B」形状の第1のループ)の中に配設され得る。同様に、第2の強磁性コンポーネント1050の第1のポール1052は、第1のポール面1056を画定し得、第2のポール1053は、第2のポール面1057を画定し得る。第1のポール1052は、第1の導電性エレメント1010によって画定される開口部(たとえば、「B」形状の第2のループ)の中に配設され得、一方、第2のポール1053は、第2の導電性エレメント1020によって画定される開口部(たとえば、「B」形状の第2のループ)の中に配設され得る。したがって、第1および第2の強磁性コンポーネント1040、1050の第1および第2のポール面1042、1043、1052、1053は、第1および第2の導電性エレメント1010、1020の開口部の中に配設され得る。
第1の強磁性コンポーネント1040の第1のポール1042および第2のポール1043は、(たとえば、第1および第2の導電性エレメント1010、1020によって画定される「B」形状の単一のループと同様の)正方形に形状決めされた断面形状を有し得る。同様に、第2の強磁性コンポーネント1050の第1のポール1052および第2のポール1053は、(たとえば、第1および第2の導電性エレメント1010、1020によって画定される「B」形状の単一のループと同様の)正方形に形状決めされた断面形状を有し得る。
さらに、図示されている例では、第1の強磁性コンポーネント1040の第1のポール面1046は、第1の導電性エレメント1010の底部表面1016と実質的に平面的とすることができ、第2のポール面1047は、第2の導電性エレメント1020の底部表面1026と実質的に平面的とすることができる。同様に、第2の強磁性コンポーネント1050の第1のポール面1056は、第1の導電性エレメント1010の底部表面1016と実質的に平面的とすることができ、第2のポール面1057は、第2の導電性エレメント1020の底部表面1026と実質的に平面的とすることができる。しかし、いくつかの例では、第1および第2の強磁性コンポーネント1040、1050の第1および/または第2のポール面1046、1047、1056、1057のうちの1つまたは複数は、それぞれの第1および第2の導電性エレメント1010、1020の底部表面1016、1026の平面を越えて延在し得るということが認識されるべきである。
図示されていないが、いくつかの例では、第1および/または第2の強磁性コンポーネント1040、1050のうちの一方または両方は、たとえば、被験者の頭部の生体構造に対して、調節可能であるように構成され得る(たとえば、強磁性コンポーネント1040、1050の湾曲が調節可能であり得る)。たとえば、第1および/もしくは第2の強磁性コンポーネント1040、1050は、複数のピースを含み得、強磁性コンポーネント1040、1050の1つもしくは複数のピースが、強磁性コンポーネント1040、1050の1つもしくは複数の他のピースに対して調節可能であるように構成され得るようになっており、ならびに/または、強磁性コンポーネント1040、1050のピースのうちの2つ以上が、(たとえば、強磁性コンポーネント1040、1050のピース同士の間にヒンジを使用することを通して)互いに対して調節可能(たとえば、枢動可能に調節可能)であるように構成され得るようになっている。
治療コイル1000は、治療コイル1000が被験者の複数の(たとえば、2つの)ターゲットエリアを治療するために使用され得るように、駆動されるように構成され得る。たとえば、治療または診断手順の間に、第1の導電性エレメント1010が第1の強磁性コンポーネント1040の底部表面1045の下において第3の導電性エレメント1030に近接しているエリアが、第1のターゲットエリアの上方に設置され得るように、および、第1の導電性エレメント1010が第2の強磁性コンポーネント1050の底部表面1055の下において第3の導電性エレメント1030に近接しているエリアが、被験者の第2のターゲットエリアの上方に設置され得るように、治療コイル1000は配設され得る。その後に、治療コイル1000は、治療システムおよび/または磁気刺激システムのドライブ回路によって駆動され得る。たとえば、駆動されるときに、電流が、第1の導電性エレメント1010を通って第1の同じ方向(たとえば、図10Bに図示されているように、下の視点から見たときに反時計回り方向)に循環するように、ならびに、電流が、第2および第3の導電性エレメント1020、1030を通って異なる第2の方向(たとえば、図10Bに図示されているように、下の視点から見たときに時計回り方向)に循環するように、治療コイル1000が構成され得る。
結果として、治療コイル1000は、ターゲット場所のそれぞれに1つずつ、2つの活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるように構成され得る。活性化ゾーンは、(たとえば、それぞれ、第1の導電性エレメント1010が第1の強磁性コンポーネント1040の底部表面1045の下において第3の導電性エレメント1030に近接しているエリアに近接する第1のターゲットエリアにおいて、および、 第1の導電性エレメント1010が第2の強磁性コンポーネント1050の底部表面1055の下において第3の導電性エレメント1030に近接しているエリアに近接する第2のターゲットエリアにおいて、)半楕円形の形状を画定し得る。たとえば、治療コイル1000は、また、第1の強磁性コンポーネント1040と第2の強磁性コンポーネント1050との間のエリアの中に刺激ゾーンを誘導しない状態で、2つの活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるように構成され得る。
2つの活性化ゾーンは、同じ方向に流れる電流を有し得る。たとえば、第1および第3の導電性エレメント1010、1030が互いに対して最も近くなっている場所において、第1の導電性エレメント1010および第3の導電性エレメント1030を通って流れる電流が、同じ方向に流れているので、治療コイル1000は、同じ方向に流れる電流を有する2つの活性化ゾーンを発生させるように構成され得る。いくつかの例示的な手順では、第1の強磁性コンポーネント1040の第1のポール面1046が患者の一方の眼に近接して配設され、第1のポール面1056が患者の他方の眼に近接して配設され、第1および第2の強磁性コンポーネント1040、1050の第2のポール面1047、1057が患者の頭部の上部の近くに位置付けされるように、治療コイル1000は配設され得る。
いくつかの例では、強磁性コンポーネント1040、1050のうちの一方または両方は、強磁性コンポーネント1040、1050が互いに対して平行にならないようにシフトされ得るということが認識されるべきである。そのような場合において、治療コイル1000は、図10A~図10Bの図示されている実施形態からシフトされている2つの活性化ゾーンを発生させるように構成され得る。あるいは、または追加的に、いくつかの例では、強磁性コンポーネント1040、1050のうちの一方または両方は、長さが延長または短縮され得る。最後に、いくつかの例では、導電性エレメント1010、1020、1030のうちの1つまたは複数は、平面的とすることができ、たとえば、治療コイル1000が異なる頭部形状を収容するように構成され得るようになっている。
治療コイル1000は、第1、第2、および第3の導電性エレメント1010、1020、1030が駆動されるときに、結果として生じる活性化ゾーンが被験者の脳の中に2つの独立したエリアを包含するように構成され得る。被験者の脳の中のエリアは、脳の異なる機能的な領域と相関付けられ得る。たとえば、治療コイル1000は、被験者の脳の中の2つの異なるエリアを刺激するために使用され得、たとえば、第1の強磁性コンポーネントの第2のポール面1047の下方におよびそれに近接して位置付けされている第1のエリア、ならびに、第2の強磁性コンポーネントの第2のポール面1057の下方におよびそれに近接して位置付けされている第2のエリアなどを刺激するために使用され得る。脳の2つのエリアの中の電流は、同じ方向または異なる方向に(たとえば、時計回りにおよび/または反時計回りに)移動し得る。
治療コイル1000によって発生させられる磁場によって誘導される活性化ゾーンは、刺激ゾーンまたはサブ刺激ゾーンとすることができる。刺激ゾーンは、治療コイル1000によって発生させられるパルス状磁場によって引き起こされる誘導電流が脳のニューロンの脱分極閾値を上回るレベルとすることができ、一方、サブ刺激ゾーンは、誘導電流が脳のニューロンの脱分極閾値を下回るレベルとすることができる。さらに、2つの活性化ゾーンおよび2つの治療エリアを参照して説明されているが、治療コイル1000は、(たとえば、特定の治療または診断手順に応じて、)より多くのまたはより少ない患者の治療エリアのためにより多くのまたはより少ない活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるために使用され得る。
いくつかの例では、治療コイル1000は、第1、第2、および第3の導電性巻線1010、1020、1030ならびに第1および第2の強磁性コンポーネント1040、1050を収容するハウジング(図示せず)を含み得る。また、いくつかの例では、第1の強磁性コンポーネント1040の第1のポール が、一方の導電性エレメントの開口部の中に配設されるように構成されている場合、および、第2の強磁性コンポーネント1050の第1のポール面が、他方の導電性エレメントの開口部の中に配設されるように構成されている場合、第1の導電性エレメント1010は、2つの半楕円形の導電性エレメントと交換され得る。同様に、第2の導電性エレメント1020は、また、2つの半楕円形の導電性エレメントと交換され得る。
治療コイル1000は、導電性エレメント1010、1020、1030および強磁性コンポーネント1040、1050が互いに支持されるように構成され得る。たとえば、治療コイル1000は、強磁性コンポーネント1040、1050が導電性エレメント1010、1020、1030を支持するように構成され得る。導電性エレメント1010、1020、1030および強磁性コンポーネント1040、1050のうちの一方または両方は、1つまたは複数の相補的な取り付け部材(図示せず)を含み得、1つまたは複数の相補的な取り付け部材は、強磁性コンポーネント1040、1050への導電性エレメント1010、1020、1030の取り付け(たとえば、解放可能な取り付け)を可能にするように構成されている。1つまたは複数の取り付け部材は、導電性エレメント1010、1020、1030および強磁性コンポーネント1040、1050が互いに固定して支持されるように構成され得る。1つまたは複数の取り付け部材は、導電性エレメント1010、1020、1030および強磁性コンポーネント1040、1050が互いに移動可能(たとえば、再位置決め可能)であるように構成され得る。
導電性エレメント1010、1020、1030が強磁性コンポーネント1040、1050によって支持されている(たとえば、強磁性コンポーネント1040、1050に取り付けられている)ときには、導電性エレメント1010、1020、1030は、たとえば誘電体を使用して、強磁性コンポーネント1040、1050から電気的に隔離され得る。誘電体は、空気であり得、導電性エレメント1010、1020、1030が強磁性コンポーネント1040、1050に取り付けられているときに、導電性エレメント1010、1020、1030は、強磁性コンポーネント1040、1050から間隔を置いて配置され得る(たとえば、強磁性コンポーネント1040、1050と直接接触していない)。導電性エレメント1010、1020、1030は、任意の適切な電気的に隔離する(たとえば、誘電体)材料から作製されている1つまたは複数の取り付け部材を使用して、強磁性コンポーネント1040、1050に取り付けられ得る。
図11A~図11Hは、例示的な治療コイル1100を示しており、例示的な治療コイル1100は、ヒト被験者(図示せず)などのような被験者のターゲット生体構造の中に変化する磁場を発生させるように構成されている。被験者のターゲット生体構造は、たとえば、被験者の脳組織とすることができる。治療コイル1100は、第1の導電性エレメント1110、第2の導電性エレメント1120、第3の導電性エレメント1130、第1の強磁性コンポーネント1140、第2の強磁性コンポーネント1150、第3の強磁性コンポーネント1160、第4の強磁性コンポーネント1170、第5の強磁性コンポーネント1175、第6の強磁性コンポーネント1180、第7の強磁性コンポーネント1185、第8の強磁性コンポーネント1190a、および第9の強磁性コンポーネント1190bを含む。治療コイル1100は、たとえば、図1に示されているように、TMS治療の準備のために、または、TMS治療の間に、被験者の頭部に近接して配設され得る。導電性エレメントおよび強磁性コンポーネントの組み合わせは、集合的に、たとえば、電磁石と称され得る。導電性エレメントは、導電性巻線と称され得る。
図11C~図11Hにおいて、強磁性コンポーネント(たとえば、第1、第2、第3、第9、および第10 の強磁性コンポーネント1140、1150、1160、1190a、1190b)は、図示および説明の目的のために、治療コイル1100から分離され得る。しかし、治療コイル1100が使用されるときには、強磁性コンポーネント(たとえば、第1、第2、第3、第9、および第10の強磁性コンポーネント1140、1150、1160、1190a、1190b)自身同士の間のギャップ、ならびに/または、強磁性コンポーネント(たとえば、第1、第2、第3、第9、および第10の強磁性コンポーネント1140、1150、1160、1190a、1190b)と導電性エレメントとの間のギャップが、低減または排除され得るということが認識されるべきである。さらに、より詳細に本明細書で説明されているように、治療コイル1100は、図示されているものよりも多いまたは少ない導電性エレメントおよび/または強磁性コンポーネントを含み得る。たとえば、強磁性コンポーネントの任意の組み合わせは、たとえば、治療または診断手順(たとえば、ターゲット生体構造)、患者(たとえば、患者の頭部)のサイズおよび/または形状などに基づいて、治療コイル1100から排除され得る。
図11A~図11Bは、第1の導電性エレメント1110、第2の導電性エレメント1120、および第3の導電性エレメント1130を図示している。第1、第2、および第3の導電性エレメント1110、1120、1130は、たとえば銅などのような、適切な電気伝導度を示す任意の材料から作製され得る。第1の導電性エレメント1110は、形状が半楕円形になっていてもよい(たとえば、丸みを帯びた正方形の形状になっている)。しかし、いくつかの例では、第1の導電性エレメント1110は、別の形状とすることができ、たとえば、形状が円形になっていてもよいということが認識されるべきである。第1の導電性エレメント1110は、内側表面1112、外側表面1114、上側表面1113、および底部表面1115を画定し得る。
第2および第3の導電性エレメント1120、1130は、形状が半楕円形になっていてもよい(たとえば、丸みを帯びた長方形のように形状決めされ得る)。さらに、いくつかの例では、第2および第3の導電性エレメント1120、1130は、別の形状とすることができ、たとえば、形状が円形になっていてもよいということが認識されるべきである。第2の導電性エレメント1120は、内側表面1122、外側表面1124、上側表面1123、および底部表面1125を画定し得る。同様に、第3の導電性エレメント1130は、内側表面1132、外側表面1134、上側表面1133、および底部表面1135を画定し得る。第2および/または第3の導電性エレメント1120、1130は、たとえば、図示されているように、下向きに屈曲させられ得る。たとえば、第2の導電性エレメント1120の底部表面1125は、凹形にとすることができ、一方、上側表面1123は、凸形とすることができる。同様に、第3の導電性エレメント1130の底部表面1135は、凹形とすることができ、一方、上側表面1133は、凸形とすることができる。しかし、いくつかの例では、第2および/または第3の導電性エレメント1120、1130の上側表面および/または底部表面1123/1125、1133/1135のうちの1つまたは複数は、平面的とすることができる(たとえば、第2および/または第3の導電性エレメント1120、1130が屈曲させられないようになっている)ということが認識されるべきである。
第3の導電性エレメント1130は、第2の導電性エレメント1120よりも大きい周囲を画定し得、第2の導電性エレメント1120は、第1の導電性エレメント1110よりも大きい周囲を画定し得る。第1の導電性エレメント1110は、第2の導電性エレメント1120の開口部の中に少なくとも部分的に存在し得、第2の導電性エレメント1120は、第3の導電性エレメント1130の開口部の中に少なくとも部分的に存在し得る。すなわち、第3の導電性エレメント1130は、第1および/または第2の導電性エレメント1110、1120のうちの1つまたは複数を取り囲む(たとえば、全体的にまたは実質的に取り囲む)ことができ、第2の導電性エレメント1120は、第1の導電性エレメント1110を取り囲む(たとえば、全体的にまたは実質的に取り囲む)ことができる。
第1、第2、および/もしくは第3の導電性エレメント1110、1120、1130は、導電性材料の単一のモノリシックのピースから形成され得、または、第1、第2、および/もしくは第3の導電性エレメント1110、1120、1130のうちの1つもしくは複数は、ワイヤーの複数のストランドによって形成され得る。第1、第2、および/または第3の導電性エレメント1110、1120、1130の任意の組み合わせは、同じ数のターン(たとえば、アンプターン)、たとえば、図示されているように単一のターンを画定し得る。しかし、いくつかの例では、第2の導電性エレメント1120および/または第3の導電性エレメント1130は、複数のターンを画定し得るということが認識されるべきである。たとえば、いくつかの例では、第1の導電性エレメント1100が、第1の数のターンを画定し得、一方、第2および/または第3の導電性エレメント1120、1130のうちの一方または両方が、異なる第2の数のターンを画定し得る。
図11C~図11Dは、第1の導電性エレメント1110、第2の導電性エレメント1120、第3の導電性エレメント1130、および第1の強磁性コンポーネント1140を図示している。第1の強磁性コンポーネント1140は、適切な強磁性の特性を示す任意の材料、たとえば、粉末状の強磁性の鉄粒子などから作製され得る。第1の強磁性コンポーネント1140は、上部表面1142、底部表面1144、および、8つの外側表面(ラベル付けされていない)を画定し得る。上部表面1142、底部表面1144、および外側表面のそれぞれは、平面的とすることができる。しかし、いくつかの例では、上部表面1142、底部表面1144、および/または、外側表面の任意の組み合わせのうちの1つまたは複数は、湾曲していてもよく、または、その他の方法で形状決めされてもよいということが認識されるべきである。底部表面1144は、第1の強磁性コンポーネント1140のポール面と称され得る。
第1の強磁性コンポーネント1140は、第1の強磁性コンポーネント1140が第1の導電性エレメント1110の開口部の中に少なくとも部分的に存在することができるように、サイズ決めおよび形状決めされ得る。たとえば、第1の強磁性コンポーネント1140は、より幅の広い上部部分1145およびより幅の狭い底部部分1148を含み得る。たとえば、第1の強磁性コンポーネント1140は、第1の強磁性コンポーネント1140の断面形状が「T」形状になるように形状決めされ得る。しかし、いくつかの例では、第1の強磁性コンポーネント1140は、他の形状とすることができ、たとえば、全体を通して均一な幅を画定し得るということが認識されるべきである。
上部部分1145は、反対の側部1146、1147を含み得る。上部部分1145は、第1の導電性エレメント1110の上部表面1113の上方に、および、第1の導電性エレメント1110の開口部の外側に存在し得、一方、底部部分1148は、第1の導電性エレメント1110の開口部の中に(たとえば、部分的にまたは全体的に)存在し得る。さらに、第1の強磁性コンポーネント1140の底部表面1144は、第1の導電性エレメント1110の底部表面1115と平面的になっていてもよく、または、(たとえば、示されているように)非平面的になっていてもよい。最後に、第1の強磁性コンポーネント1140は、第2または第3の導電性エレメント1120、1130のうちの1つまたは複数の開口部の中に(たとえば、部分的にまたは全体的に)存在し得る(その理由は、たとえば、第1の導電性エレメント1110が、第2または第3の導電性エレメント1120、1130の1つまたは複数の開口部の中に少なくとも部分的に存在し得るからである)ということが認識されるべきである。
図11E~図11Fは、第1の導電性エレメント1110、第2の導電性エレメント1120、第3の導電性エレメント1130、第1の強磁性コンポーネント1140、第2の強磁性コンポーネント1150、および第3の強磁性コンポーネント1160を図示している。第2および第3の強磁性コンポーネント1150、1160は、適切な強磁性の特性を示す任意の材料、たとえば、粉末状の強磁性の鉄粒子などから作製され得る。第2の強磁性コンポーネント1150は、上部表面1152、底部表面1154、第1のポール面1156、および第2のポール面1158を画定し得る。第2の強磁性コンポーネント1150は、たとえば、図示されているように、湾曲していてもよい。たとえば、上部表面1152は、凸形表面を画定し得、一方、底部表面1154は、凹形表面を画定し得る。したがって、上部表面152は、非平面的とすることができ、底部表面1154は、非平面的とすることができる。さらに、いくつかの例では、第2の強磁性コンポーネント1150の上部表面1152および/または底部表面1154の湾曲は、図示されているものよりも大きいまたは小さい湾曲を画定し得るということが認識されるべきである。そのうえ、いくつかの例では、第2の強磁性コンポーネント1150の上部表面1152および/または底部表面1154は、平面的(たとえば、平坦)であってもよいということが認識されるべきである。
第3の強磁性コンポーネント1160は、上部表面1162、底部表面1164、第1のポール面1166、および第2のポール面1168を画定し得る。第3の強磁性コンポーネント1160は、たとえば、図示されているように、湾曲していてもよい。たとえば、上部表面1162は、凸形表面を画定し得、一方、底部表面1164は、凹形表面を画定し得る。したがって、上部表面162 は、非平面的とすることができ、底部表面1164は、非平面的とすることができる。さらに、いくつかの例では、第3の強磁性コンポーネント1160の上部表面11652 および/または底部表面1164の湾曲は、図示されているものよりも大きいまたは小さい湾曲を画定し得るということが認識されるべきである。そのうえ、いくつかの例では、第3の強磁性コンポーネント1160の上部表面1162および/または底部表面1164は、平面的(たとえば、平坦)であってもよいということが認識されるべきである。さらに、第2および第3の強磁性コンポーネント1150、1160の第1および第2のポール面1156、1158、1166、1168は、平面的(たとえば、平坦)になっているものとして図示されているが、第2および第3の強磁性コンポーネント1150、1160の第1および第2のポール面1156、1158、1166、1168の任意の組み合わせが湾曲していてもよい。
(たとえば、図11Eの斜視図から)持ち上げられているものとして図示されているが、第2および第3の強磁性コンポーネント1150、1160は、(たとえば、治療コイル1100が使用中のときには)第1の強磁性コンポーネント1140と整合するように低下させられ得る。たとえば、第2の強磁性コンポーネント1150の第1のポール面1156は、第1の強磁性コンポーネント1140の側部1146に近接して配設され得、第3の強磁性コンポーネント1160の第1のポール面1166は、第1の強磁性コンポーネント1140の側部1147に近接して配設され得る。そうであるので、第2および第3の強磁性コンポーネント1150、1160の上部表面1152、1162は、第1の強磁性コンポーネントの上部表面1142と整合し得、底部表面1154、1164は、第1の強磁性コンポーネント1140の上部部分1145と底部部分1148との間のインターフェースと整合し得、第1、第2、および第3の強磁性コンポーネント1140、1150、1160の外側表面は整合し得る。さらに、いくつかの例では、第1の強磁性コンポーネント1140と整合するように低下させられているときには、第2および第3の強磁性コンポーネント1150、1160の第2のポール面1158、1168は、第3の導電性エレメント1130の底部表面1135と平面的とすることができる。
第1、第2、および第3の強磁性コンポーネント1140、1150、1160は、(たとえば、図示されているように)線形に整合させられ得る。たとえば、第1、第2、および第3の強磁性コンポーネント1140、1150、1160の外側表面は、同じ平面の中に存在し得る。しかし、いくつかの例では、第1、第2、および/または第3の強磁性コンポーネント1140、1150、1160のうちの1つまたは複数は、非線形の様式で整合させられ得るということが認識されるべきである。
第2および第3の強磁性コンポーネント1150、1160は、実質的に同じサイズおよび形状とすることができる。しかし、いくつかの例では、第2および第3の強磁性コンポーネント1150、1160は、図示されているものとは異なるサイズおよび/または形状を有し得る。さらに、いくつかの例では、第2の強磁性コンポーネント1150のサイズまたは形状は、(たとえば、治療コイル1100によって発生させられる磁場のサイズおよび/または形状をシフトさせるために)第3の強磁性コンポーネント1160のサイズまたは形状とは異なっていてもよい。
図11G~図11Hは、第1の導電性エレメント1110、第2の導電性エレメント1120、第3の導電性エレメント1130、第1の強磁性コンポーネント1140、第2の強磁性コンポーネント1150、第3の強磁性コンポーネント1160、第4の強磁性コンポーネント1170、第5の強磁性コンポーネント1175、第6の強磁性コンポーネント1180、第7の強磁性コンポーネント1185、第8の強磁性コンポーネント1190a、および第9の強磁性コンポーネント1190bを図示している。第4、第5、第6、第7、第8、および第9の強磁性コンポーネント1170、1175、1180、1185、1190a、1190bは、適切な強磁性の特性を示す任意の材料、たとえば、粉末状の強磁性の鉄粒子などから作製され得る。
第4の強磁性コンポーネント1170は、外側表面1171、内側表面(図示せず)、上側表面1172、底部表面1173、および、2つの端部表面1174a、1174bを画定し得る。同様に、第6の強磁性コンポーネント1180は、外側表面1181、内側表面1181a、上側表面1182、底部表面1183、および、2つの端部表面1184a、1184bを画定し得る。第4および第6の強磁性コンポーネント1170、1180の上側表面1172、1182、底部表面1173、1183、および端部表面1174a/b、1184a/bのそれぞれは、平面的とすることができる。しかし、いくつかの例では、第4および第6の強磁性コンポーネント1170、1180の上側表面1172、1182、底部表面1173、1183、および、端部表面1174a/b、1184a/bのうちの1つまたは複数は、湾曲していてもよく、または、その他の方法で形状決めされてもよいということが認識されるべきである。
第4および第6の強磁性コンポーネント1170、1180は、湾曲していてもよい。たとえば、第4および第6の強磁性コンポーネント1170、1180の内側表面は、凹形とすることができ、一方、第4および第6の強磁性コンポーネント1170、1180の外側表面1171、1181は、凸形とすることができる。たとえば、第4および第6の強磁性コンポーネント1170、1180の内側表面および外側表面の湾曲は、それぞれ、第5および第7の強磁性エレメント1175、1185の外側表面の湾曲と実質的に同様とすることができ、および/または、第3の導電性エレメント1130の湾曲と同様とすることができる。しかし、第4および第6の強磁性コンポーネント1170、1180の内側表面および外側表面の湾曲は、図13G~図13H に図示されているものに限定されない。
第4および第6の強磁性コンポーネント1170、1180は、実質的に同じサイズおよび形状とすることができる。しかし、いくつかの例では、第4および第6の強磁性コンポーネント1170、1180は、図示されているものとは異なるサイズおよび/または形状を有し得る。さらに、いくつかの例では、第4の強磁性コンポーネント1170のサイズまたは形状は、(たとえば、治療コイル1100によって発生させられる磁場のサイズおよび/または形状をシフトさせるために)第6の強磁性コンポーネント1180のサイズまたは形状とは異なっていてもよい。
第5の強磁性コンポーネント1175は、上側表面1176、外側表面1177、底部表面(図示せず)、および内側表面1178を画定し得る。同様に、第7の強磁性コンポーネント1185は、上側表面1186、外側表面1187、底部表面1188、および内側表面1189を画定し得る。第5および第7の強磁性コンポーネント1175、1185は、湾曲していてもよい(たとえば、部分的に湾曲していてもよい)。たとえば、第5および第7の強磁性コンポーネント1175、1185の外側表面1177、1187は、凸形とすることができる。たとえば、第5および第7の強磁性コンポーネント1175、1185は、半円形の断面形状を有し得る。
第5および第7の強磁性コンポーネント1175、1185の内側表面は、平面的(たとえば、平坦)であってもよい。たとえば、第5および第7の強磁性コンポーネント1175、1185の内側表面は、第1の強磁性コンポーネント1140の外側表面に対して平行とすることができる。第4および第5の強磁性コンポーネント1170、1175の組み合わせは、第1、第2、および/または第3の導電性エレメント1110、1120、1130のうちの1つまたは複数の一部分(たとえば、上部部分および外側部分)をカバーし得る。同様に、第6および第7の強磁性コンポーネント1180、1185の組み合わせは、第1、第2、および/または第3の導電性エレメント1110、1120、1130のうちの1つまたは複数の一部分(たとえば、上部部分および外側部分)をカバーし得る。
さらに、いくつかの例では、第2および第3の強磁性コンポーネント1150、1160が第1の強磁性コンポーネント1140と整合させられているときには、第5および/または第7の強磁性コンポーネント1175、1185の内側表面と第1、第2、および第3の強磁性コンポーネント1140、1150、1160の外側表面との間に、ギャップが存在し得る。しかし、いくつかの例では、第2および第3の強磁性コンポーネント1150、1160が第1の強磁性コンポーネント1140と整合させられているときに、第5および/または第7の強磁性コンポーネント1175、1185の内側表面と第1、第2、および第3の強磁性コンポーネント1140、1150、1160の外側表面との間に、ギャップが存在していなくてもよいということが認識されるべきである。
第8の強磁性コンポーネント1190aは、外側表面1196a、上部表面1192a、左表面および右表面、ならびに、ポール1194aを画定する底部表面を画定し得る。同様に、第9の強磁性コンポーネント1190bは、外側表面1196b、上部表面1192b、左表面および右表面、ならびに、ポール1194bを画定する底部表面を画定し得る。第8および第9の強磁性コンポーネント1190a、1190bの上側表面は、それぞれ、第2のポール面1158、1168と同様のサイズおよび形状(たとえば、同一のサイズおよび形状)のものとすることができる。さらに、第8および第9の強磁性コンポーネント1190a、1190bの上側表面は、それぞれ、第2のポール面1158、1168に対して平行とすることができる。治療コイル1100が使用中のときには、第8および第9の強磁性コンポーネント1190a、1190bの上側表面は、それぞれ、第2のポール面1158、1168に近接して設置され得る(および、たとえば、第2のポール面1158、1168に潜在的に固定され得る)。
第8および第9の強磁性コンポーネント1190a、1190bのポール1158、1168は、角度を付けられていてもよい。たとえば、第8の強磁性コンポーネント1090 aのポール面1158は、第8の強磁性コンポーネント1090aの上側表面1192aと鋭角を形成し得る。同様に、第9の強磁性コンポーネント1090 bのポール面1168は、第9の強磁性コンポーネント1090bの上側表面1192bと鋭角を形成し得る。いくつかの例では、第8および第9の強磁性コンポーネント1190a、1190bは、治療コイル1100から省略され得、または、図7Cに図示されている第4および第5の強磁性コンポーネント745a、745b、ならびに/もしくは、図7Dに図示されている第6および第7の強磁性コンポーネント745c、745dなどのような、任意の望ましいサイズおよび形状の他の強磁性コンポーネントと置換され得る。
図11C~図11Hにおいて、強磁性コンポーネント(たとえば、第1、第2、第3、第9、および第10の 強磁性コンポーネント1140、1150、1160、1190a、1190b)は、図示および説明の目的のために、治療コイル1100から分離され得る。しかし、治療コイル1100が使用されるときには、強磁性コンポーネント(たとえば、第1、第2、第3、第9、および第10の強磁性コンポーネント1140、1150、1160、1190a、1190b)自身同士の間のギャップ、ならびに/または、強磁性コンポーネント(たとえば、第1、第2、第3、第9、および第10の強磁性コンポーネント1140、1150、1160、1190a、1190b)と導電性エレメントとの間のギャップが、低減または排除され得るということが認識されるべきである。
第1、第2、および第3の導電性エレメント1010、1020、1030が第2の強磁性コンポーネント1150の底部表面1154に近接しているエリアが、第1のターゲットエリアの上方に設置され得るように、ならびに、第1、第2、および第3の導電性エレメント1010、1020、1030が第3の強磁性コンポーネント1160の底部表面1164に近接しているエリアが、被験者の第2のターゲットエリアの上方に設置され得るように(または、たとえば、第9の強磁性コンポーネント1190bが含まれている場合には、ポール1194bが、第2のターゲットエリアの上方に設置され得る)、治療コイル1100が配設され得る。その後に、治療コイル1100は、治療システムおよび/または磁気刺激システムのドライブ回路によって駆動され得る。たとえば、駆動されるときに、電流が、第1、第2、および第3の導電性エレメント1110、1120、1130を通って同じ方向(たとえば、図11Hに図示されているように、下の視点から見たときに反時計回り方向)に循環するように、または、その逆もまた同様であるように、治療コイル1100が構成され得る。
結果として、治療コイル1100は、ターゲット場所のそれぞれに1つずつ、2つの活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるように構成され得、ここで、活性化ゾーンのそれぞれは、(たとえば、それぞれ、第1、第2、および第3の導電性エレメント1010、1020、1030が第2の強磁性コンポーネント1150の底部表面1154に近接しているエリアの実質的に下方において、ならびに、第1、第2、および第3の導電性エレメント1010、1020、1030が第3の強磁性コンポーネント1160の底部表面1164に近接しているエリアの実質的に下方において、)楕円形の形状を有している。たとえば、治療コイル1100は、また、第1の強磁性コンポーネント1140の底部表面1144の下のエリアにおいて刺激ゾーンを誘導しない状態で、2つの活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるように構成され得る。
さらに、第4、第5、第6、および第7の強磁性コンポーネント1170、1175、1180、1185を含めることは、(たとえば、第4、第5、第6、および第7の強磁性コンポーネント1170、1175、1180、1185が含まれていないときと比較して、)治療コイル1000 によって発生させられる磁場によって引き起こされるリターン電流を波及させるように作用し、たとえば、磁場によって生成される(たとえば、第1および第2のターゲットエリアの下の)2つの活性化ゾーンをさらに明確化し、2つの活性化ゾーンが融合して単一の活性化ゾーン(たとえば、第1の強磁性コンポーネント1140の底部表面1144の下のエリアを含む単一の長円形または円形の形状の活性化ゾーン)になることを防止し得る。すなわち、第4、第5、第6、および第7の強磁性コンポーネント1170、1175、1180、1185を含めることは、第4および第6の強磁性コンポーネント1170、1180の実質的に下にあり、それに近接しているエリアにリターン電流を波及させることによって、治療コイル1100によって発生させられる磁場を歪める。たとえば、第4、第5、第6、および第7の強磁性コンポーネント1170、1175、1180、1185を含めることは、第1の強磁性コンポーネント1040の底部表面1144からより遠くに離れるようにリターン電流を引っ張り、たとえば、2つの活性化ゾーンを強化し、単一の活性化ゾーン(たとえば、1つの大きいリング)が結果として生じることを防止し得る。すなわち、強磁性コンポーネント1170、1175、1180、1185を含まない場合には、リターン電流は、より短い経路、たとえば、第1の導電性エレメント1010によって画定される経路をとり得る。そうであるので、強磁性コンポーネント1170、1175、1180、1185は、2つの活性化ゾーンが1つの大きい活性化ゾーン(たとえば、第1の強磁性コンポーネント1040 の底部表面1144の下のエリアを含む単一の活性化ゾーン)へと組み合わさらない(たとえば、融合しない)ことを保証することを支援し得る。
治療コイル1100は、図示されているものよりも多いまたは少ない導電性エレメントおよび/または強磁性コンポーネントを含み得るということが認識されるべきである。たとえば、強磁性コンポーネントの任意の組み合わせは、たとえば、治療または診断手順(たとえば、ターゲット生体構造)、患者(たとえば、患者の頭部)のサイズおよび/または形状などに基づいて、治療コイル1100から排除され得る。いくつかの例では、第8および第9の強磁性コンポーネント1190a、1190bは、(たとえば、患者の頭部サイズおよび/または形状に起因して)省略され得る。さらに、いくつかの例では、第4、第5、第6、および/または第7の強磁性コンポーネント1170、1175、1180、1185の任意の組み合わせは、たとえば、治療または診断手順(たとえば、特定のターゲットエリア)に基づいて省略され得る。たとえば、第4、第5、第6、および/または第7の強磁性コンポーネント1170、1175、1180、1185の任意の組み合わせの省略は、刺激ゾーンの分離に対する変化、2つの刺激ゾーンの中の電界の相対的な方向に対する変化、刺激ゾーンのうちの1つまたは複数の形状に対する変化、リターン電流に対する変化または移動、および/または、脳神経の刺激の低減などを結果として生じ得る。
治療コイル1100は、導電性エレメント1110、1120、1130が駆動されるときに、結果として生じる活性化ゾーンが被験者の脳の中に2つの独立したエリアを包含するように構成され得る。被験者の脳の中のエリアは、脳の異なる機能的な領域と相関付けられ得る。たとえば、治療コイル1100は、被験者の脳の中の2つの異なるエリアを刺激するために使用され得、たとえば、第2の強磁性コンポーネント1150の第2のポール面1158の下方におよびそれに近接して位置付けされている第1のエリア、ならびに、第3の強磁性コンポーネント1160の第2のポール面1168の下方におよびそれに近接して位置付けされている第2のエリアなどを刺激するために使用され得る。脳の2つのエリアの中の電流は、同じ方向または異なる方向に(たとえば、時計回りにおよび/または反時計回りに)移動し得る。
治療コイル1100によって発生させられる磁場によって誘導される活性化ゾーンは、刺激ゾーンまたはサブ刺激ゾーンとすることができる。刺激ゾーンは、治療コイル1100によって発生させられるパルス状磁場によって引き起こされる誘導電流が脳のニューロンの脱分極閾値を上回るレベルとすることができ、一方、サブ刺激ゾーンは、誘導電流が脳のニューロンの脱分極閾値を下回るレベルとすることができる。さらに、2つの活性化ゾーンおよび2つの治療エリアを参照して説明されているが、治療コイル1100は、(たとえば、特定の治療または診断手順に応じて、)より多くのまたはより少ない患者の治療エリアのためにより多くのまたはより少ない活性化ゾーンを誘導する磁場を発生させるために使用され得る。
いくつかの例では、治療コイル1100は、導電性エレメント1110、1120、1130および強磁性コンポーネント1140、1150、1160、1170、1175、1180、1185、1190a、1190bの任意の組み合わせを収容するハウジング(図示せず)を含み得る。治療コイル1100は、導電性エレメント1110、1120、1130および強磁性コンポーネント1140、1150、1160、1170、1175、1180、1185、1190a、1190bが互いに支持されるように構成され得る。たとえば、導電性エレメント1110、1120、1130および強磁性コンポーネント1140、1150、1160、1170、1175、1180、1185、1190a、1190bのうちの1つまたは複数は、1つまたは複数の相補的な取り付け部材(図示せず)を含み得、1つまたは複数の相補的な取り付け部材は、強磁性コンポーネント1140、1150、1160、1170、1175、1180、1185、1190a、1190bへの導電性エレメント1110、1120、1130の取り付け(たとえば、解放可能な取り付け)を可能にするように構成されている。1つまたは複数の取り付け部材は、導電性エレメント1110、1120、1130および強磁性コンポーネント1140、1150、1160、1170、1175、1180、1185、1190a、1190bが互いに固定して支持されるように構成され得る。1つまたは複数の取り付け部材は、導電性エレメント1110、1120、1130および強磁性コンポーネント1140、1150、1160、1170、1175、1180、1185、1190a、1190bが互いに移動可能(たとえば、再位置決め可能)であるように構成され得る。
導電性エレメント1110、1120、1130が強磁性コンポーネント1140、1150、1160、1170、1175、1180、1185、1190a、1190bのうちの1つまたは複数によって支持されている(たとえば、強磁性コンポーネント1140、1150、1160、1170、1175、1180、1185、1190a、1190bのうちの1つまたは複数に取り付けられている)ときには、導電性エレメント1110、1120、1130は、たとえば誘電体を使用して、強磁性コンポーネント1140、1150、1160、1170、1175、1180、1185、1190a、1190bから電気的に隔離され得る。誘電体は、空気とすることができ、導電性エレメント1110、1120、1130が強磁性コンポーネント1140、1150、1160、1170、1175、1180、1185、1190a、1190bに取り付けられているときに、導電性エレメント1110、1120、1130は、強磁性コンポーネント1140、1150、1160、1170、1175、1180、1185、1190a、1190bから間隔を置いて配置され得る(たとえば、強磁性コンポーネント1140、1150、1160、1170、1175、1180、1185、1190a、1190bと直接接触していない)。導電性エレメント1110、1120、1130は、任意の適切な電気的に隔離する(たとえば、誘電体)材料から作製されている1つまたは複数の取り付け部材を使用して、強磁性コンポーネント1140、1150、1160、1170、1175、1180、1185、1190a、1190bのうちの1つまたは複数に取り付けられ得る。
図12は、例示的なTMS治療プロセス1200のフロー図である。TMS治療プロセス1200は、たとえば、本明細書で説明されている例示的なTMSデバイスのうちの1つなど(たとえば、治療コイル300、400、500、600、700、800、900、1000、または1100のいずれか)、TMSデバイスを使用して実施され得る。
1202において、TMSデバイス(たとえば、治療コイル)は、TMS治療プロセス1200における使用のために選択され得る。TMSデバイスは、(たとえば、治療コイル300、400、500、600、700、800、900、1000、または1100による)静的な構成とすることができ、または、調節可能なおよび/もしくは再構成可能な構成を有し得る。選択されるTMSデバイスが静的な構成を有する場合には、治療プロセス1200は、1208へ 進む ことができる。選択されるTMSデバイスが調節可能なおよび/または再構成可能な構成を有する場合には、治療プロセス1200は、1204へ進むことができる。
1204において、TMSデバイスに関して所望の治療構成が決定され得る。この決定は、所望の治療場所における被験者の生体構造に基づいて行われ得る。たとえば、決定は、被験者の頭部のサイズ、治療されるべき被験者の脳の一部分、および/または、特定の治療もしくは診断手順のうちの1つまたは複数にしたがって行われ得る。
1206において、TMSデバイスは、決定された治療構成にしたがって、調節および/または再構成され得る。たとえば、TMSデバイス1100が治療プロセス1200のためのTMSデバイスとして選択される場合には、1つまたは複数の強磁性コンポーネント(たとえば、第8のおよび/または第9の強磁性コンポーネント1190a、1190b)を除去および/または交換することによって、治療コイルが再構成され得る。決定された治療構成にしたがってTMSデバイスが調節および/または再構成されたときには、治療プロセス1200は、1208へ進むことができる。
1208において、TMSデバイスは、被験者の上の所望の治療場所に近接して(たとえば、被験者の頭部に近接して)位置決めされ得る。たとえば、TMSデバイスが位置決め装置に装着されている場合には、位置決め装置は、TMSデバイスの1つまたは複数の治療コイルが被験者の頭部の上の皮膚の場所の近くに配設されるように動作させられ得る。
1210において、TMSデバイスは、被験者の中に(たとえば、被験者の頭部の中に)磁場を発生させるように動作させられ得る。たとえば、TMSデバイスと電気的に連通している制御回路が、電流のパルスをTMSデバイスに送達するように動作させられ得る。1212において、TMSデバイスによって発生させられる磁場は、被験者の生体構造の1つまたは複数の部分(たとえば、被験者の脳の中の1つまたは複数の活性化ゾーン)を刺激するために使用され得る。例では、被験者の脳の1つまたは複数の部分は、1つまたは複数の刺激サイクルにしたがって刺激され得、それぞれの刺激サイクルは、5秒の刺激を含み、5秒レスト期間がそれに続く状態になっている。刺激は、たとえば、おおよそ15ヘルツ(15Hz)の周波数レートで実施され得る。
治療プロセス1200は、被験者の運動 神経の境界を決定するためにTMSデバイスを使用することを含み得る。TMSデバイスは、局所化が運動閾値場所手順の間に必要とされないように構成され得る。たとえば、TMSデバイス(たとえば、治療コイル300、400、500、600、700、800、900、1000、または1100のいずれか)は、運動閾値場所を包含する(たとえば、前後方向に)被験者の脳のストリップ形状の領域を刺激する磁場を被験者の脳の中に発生させるように構成され得る。運動閾値場所は、TMSデバイスの局所化を使用して決定され得る。たとえば、位置決めのインディケーションが観察されるまで(たとえば、被験者の親指が移動するかまたはピクピク動き、運動閾値場所を示すまで)、TMSデバイスは、被験者の頭部のエリアの上方を移動させられ得る。運動閾値場所は、たとえば、おおよそ1Hzの刺激周波数レートを使用して決定され得る。運動閾値場所から、TMSデバイスは、被験者の上の所望の治療場所へ移動させられ得る。例では、所望の治療場所は、決定された運動閾値場所から前方におおよそ5センチメートル(5cm)とすることができる。
本明細書で説明されている例示的な治療コイル(たとえば、治療コイル300、400、500、600、700、800、900、1000、または1100のいずれか)などのような、TMSデバイスは、複数の病状または障害、たとえば、鬱病、失禁、および体重管理の問題を治療するために使用され得る。そのような治療は、たとえば、例示的なTMS治療プロセス1200にしたがって例示的なTMSデバイスを使用することによって、被験者に適用され得る。例示的なTMSデバイスは、他の病状または障害を治療するために使用され得る。たとえば、TMSデバイスは、筋肉のリハビリテーションにおいて使用され得る。TMSデバイスは、末梢神経系障害の治療において使用され得る。
例示的なTMSデバイスは、以下の治療文脈のうちの1つまたは複数において使用され得、それは、大鬱病性障害、てんかん、統合失調症、パーキンソン病、トゥレット症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多発性硬化症(MS)、アルツハイマー病、注意欠陥多動性障害(ADHD)、肥満、双極性障害および/または躁病、不安障害(たとえば、広場恐怖症、社会不安障害、急性ストレス障害、全般性不安障害を伴うおよび伴わないパニック障害)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、強迫性障害(OCD)、疼痛(たとえば、片頭痛、三叉神経痛)、慢性疼痛障害(たとえば、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛に起因する疼痛)、特発性疼痛障害(たとえば、線維筋痛症、局所的な筋膜性疼痛症候群)、脳卒中後のリハビリテーション(神経可塑性誘導)、耳鳴り、統合を促進させるために植え込まれたニューロンの刺激、物質関連障害(たとえば、アルコール、コカイン、アンフェタミン、カフェイン、ニコチン、大麻などに関する依存症、乱用、および/または離脱診断)、脊髄損傷および再生および/またはリハビリテーション、頭部損傷、睡眠不足の逆転、原発性睡眠障害(たとえば、原発性不眠症、原発性過眠症、または概日リズム睡眠障害)、認知機能改善、認知症、月経前不快気分障害(PMS)、薬物送達システム(たとえば、薬物に対して細胞膜透過性を変化させること)、タンパク質合成の誘導(たとえば、転写および翻訳の誘導)、吃音、失語症、嚥下障害、本態性振戦、および摂食障害(たとえば、過食症、拒食症、多食症)を含む。
例示的なTMSデバイスが、治療用途以外の使用のために用いられ得るということが認識されるべきである。たとえば、例示的なTMSデバイスは、被験者の中の1つまたは複数の病状の診断を実施するために(たとえば、例示的なTMS治療プロセス1200にしたがって)使用され得る。図示するために、例示的なTMSデバイスは、薬物もしくは他の療法に対する被験者の反応を診断するために使用され得、および/または、そのような療法の有効性を定量化するために使用され得る。たとえば、医薬品は、中枢神経系の性能に効果(たとえば、直接的な効果または二次的な効果)があるということが知られ得る。そのような効果は、たとえば、TMSを提供することによって、および、誘発電位、運動応答、伝導速度、または他の応答のうちの1つまたは複数を観察することによって、例示的なTMSデバイスを使用して観察され得る。1つまたは複数のそのような応答の観察された変化は、たとえば、医薬品の性能を定量化するために、または、医薬品の最適な投与を決定するために使用され得る。
例示的なTMSデバイスは、たとえば、神経学的反応を観察することによって、被験者の中の1つまたは複数の病理の診断を実施するために(たとえば、例示的なTMS治療プロセス1200にしたがって)使用され得る。そのような病理は、それに限定されないが、変性疾患、外傷の程度、疾患の進行、全身性欠乏症、および先天性異常を含み得る。図示するために、例示的なTMSデバイスは、たとえば、運動機能障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、MS、糖尿病性神経障害、慢性脱髄性神経障害、急性脱髄性神経障害、てんかん、ビタミンB12欠乏症(たとえば、悪性貧血)、ビタミンE欠乏症、神経サルコイドーシス、耳鳴り、および脳卒中の診断の中で使用され得る。例示的なTMSデバイスは、そのような病理に関する治療の有効性を評価するために使用され得る。たとえば、TMSデバイスは、たとえば、抗けいれん薬、アルツハイマー薬、抗精神病薬、鎮痛薬、抗不安薬、催眠薬(鎮静剤)、鎮痛剤(中央)、ADHD薬、または麻酔薬など、医薬品の効果を査定および/または測定するために使用され得る。
本明細書で説明されている例示的なTMSデバイス(たとえば、治療コイル300、400、500、600、700、800、900、1000、または1100のいずれか)は、それらの図示されている構成に限定されないということが認識されるべきである。たとえば、例示的なTMSデバイスのうちの第1のものからの1つまたは複数のコンポーネントは、例示的なTMSデバイスのうちの第2のものの中に実装され得る。例示的な図示において、第4の強磁性コンポーネント745aおよび/または第5の強磁性コンポーネント745bは、治療コイル500および/または治療コイル600に追加され得る。別の例示的な図示において、治療コイル600の第2の強磁性コンポーネント680および/または第3の強磁性コンポーネント690は、治療コイル1100の第4、第5、第6、および/または第7の強磁性コンポーネント1170、1175、1180、1185と置換され得る。例示的なTMSデバイスのこれらの構成および他の異なる構成は、本開示の範囲および精神から逸脱することなく実装され得るということを当業者は認識することとなる。

Claims (20)

  1. 被験者を治療または診断するためのシステムであって、
    第1の導電性巻線、第2の導電性巻線、および第3の導電性巻線を含む電磁石と、
    前記電磁石に電気的に結合されたドライブ回路と、
    前記ドライブ回路を制御して、パルス状磁場を発生させるために前記電磁石に電流を提供するように構成されたコントローラーと、を備え、
    前記電磁石は、非対称の8の字コイルを画定し、前記第1および第2の導電性巻線は、前記8の字コイルの第1のループを画定し、前記第3の導電性巻線は、前記8の字コイルの第2のループを画定し、前記8の字コイルの前記第1のループが前記8の字コイルの前記第2のループよりも多くの導電性巻線を含むようにすることを特徴とするシステム。
  2. 前記第2の導電性巻線は、前記第1の導電性巻線によって確定される開口部の中に存在することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  3. 前記第2の導電性巻線の中心軸は、前記第1の導電性巻線の中心軸からオフセットされていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  4. 前記第1および第2の導電性巻線は、同心円状でないことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  5. 前記第1および第2の導電性巻線は、材料の異なるピースから製作されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  6. 前記第1および第2の導電性巻線は、前記第3の導電性巻線と接触せず、前記第1および第3の導電性巻線の近接する側部同士の間にギャップが位置付けされることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  7. 前記第1および第3の導電性巻線の近接する側部は、互いに接触することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  8. 前記第1、第2、及び第3の導電性巻線は、円形、楕円形、または長円形の形状であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  9. 前記電磁石は、前記第1の導電性巻線が前記第3の導電性巻線に最も近接しているエリアが被験者のターゲット刺激ゾーンの上方に設置されるように配設され得ることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  10. 駆動されるときに、電流が、前記第1および第2の導電性巻線を通って第1の方向に循環し、一方、電流が、前記第3の導電性巻線を通って反対の第2の方向に循環するように、前記電磁石が構成されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  11. 前記第1の導電性巻線が単一のループを画定し、前記第2の導電性巻線が単一のループを画定し、前記第3の導電性巻線が単一のループを画定することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  12. 前記電磁石は、前記第2の導電性巻線の開口部の中に存在する第4の導電性巻線、および前記第3の導電性巻線の開口部の中に存在する第5の導電性巻線をさらに備え、前記第4の導電性巻線は前記第2の導電性巻線と同心円状ではなく、前記第5の導電性巻線は前記第3の導電性巻線と同心円状ではないことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  13. 前記第1の導電性巻線の開口部の中に位置付けされた強磁性コンポーネントをさらに備え、前記強磁性コンポーネントの中心は、前記第1の導電性巻線の中心軸からオフセットされていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  14. 前記強磁性コンポーネントは、前記第2の導電性巻線の開口部の中にさらに位置付けられ、前記強磁性コンポーネントの前記中心は、前記第2の導電性巻線の中心軸からオフセットされていることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
  15. 前記電磁石の少なくとも一部分を受け入れるように構成された凹部を画定する強磁性コンポーネントをさらに備え、前記電磁石が前記凹部の中に配設されているときに、前記強磁性コンポーネントは、前記第1、第2、および第3の導電性巻線のうちの2つ以上の部分を少なくとも部分的に取り囲むことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  16. 前記第1、第2、または第3の導電性巻線のうちの1つまたは複数は、前記電磁石が駆動されるときに、リターン電流が前記被験者から離れるように巻き起こることを可能にする角度を画定するベンドを備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  17. 前記角度は、90度の角度であることを特徴とする請求項16に記載のシステム。
  18. 前記システムは、前記被験者に経頭蓋磁気刺激法(TMS)を実施するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
  19. 患者を治療または診断するためのシステムであって、
    電磁石と、
    前記電磁石に電気的に結合されたドライブ回路と、
    前記ドライブ回路を制御して、パルス状磁場を発生させるために前記電磁石に電流を提供するように構成されたコントローラーと、を備え、
    前記電磁石は、中心軸を有する第1の導電性要素、前記第1の導電性要素に近接して配置され、中心軸を有する第2の導電性要素、および開口を画定する外部導電性要素を含み、
    前記第1および第2の導電性要素は、前記外部導電性要素の前記開口内に配置されないが、前記第1の導電性要素の前記中心軸および前記第2の導電性要素の前記中心軸は、前記外部導電性要素の開口内に構成されることを特徴とするシステム。
  20. 前記第1および第2の導電性要素は、前記外部導電性要素の中心軸から非対称にオフセットして配置されることを特徴とする請求項19に記載のシステム。
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