JP7483684B2 - 急性肺損傷の処置のための組成物および方法 - Google Patents

急性肺損傷の処置のための組成物および方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C. § 119(e)のもとで、2018年8月17日に提出された米国特許仮出願第62/719,217号に対し優先権を主張し、該仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
連邦政府の支援を受けた研究または開発についての声明
本発明は、National Heart, Lung and Blood Instituteによって授与された2R01 HL102016のもとで、政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
発明の背景
肺の炎症は、多様な原因から生じる急性肺損傷(acute lung injury, ALI)症候群の病因における、重要な構成要素である。活性酸素種(ROS)の産生に関連する肺の炎症は、ALI症候群の重大な誘因である。肺におけるROSの主な供給源である、NADPHオキシダーゼ タイプ2(NOX2)の活性化は、ペルオキシレドキシン6(Prdx6)のホスホリパーゼA2(PLA2)活性を必要とする。
現行のALIの処置は支持的なものであり、かつ、その予防または処置に特異的な、承認された薬剤は、現時点では存在しない。したがって、当技術分野においては、ALIを防ぐ方法および組成物に対する必要性が存在する。本開示は、この必要性に対処する。
1つの局面において、
Figure 0007483684000001
からなるポリペプチドであって、
X1は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はEであり;
X2は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はLであり;
X3は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はQであり;
X4は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はAまたはTであり;
X5は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はTまたはEであり;
X6は、HまたはYであり;
X7は、DまたはEであり;
X8は、FまたはIであり;かつ
X9は、RまたはKである、
ポリペプチド
を含む組成物を、本発明は提供する。
さまざまな態様において、ポリペプチドは、以下からなる群:
Figure 0007483684000002
より選択される。
さまざまな態様において、ポリペプチドは、以下からなる群:
Figure 0007483684000003
より選択される。
さまざまな態様において、組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
さまざまな態様において、ポリペプチドは、1種または複数種のリポソーム中に封入される。
さまざまな態様において、組成物は、エアロゾル吸入用にまたは気管内注入用もしくは静脈内注入用に製剤化される。さまざまな態様において、薬学的組成物は、静脈内注入によって対象に投与される。
別の局面において、
Figure 0007483684000004
からなるポリペプチドであって、
X1は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はEであり;
X2は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はLであり;
X3は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はQであり;
X4は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はAまたはTであり;
X5は、TまたはEであってよく;
X6は、HまたはYであり;
X7は、DまたはEであり;
X8は、FまたはIであり;かつ
X9は、RまたはKである、
ポリペプチドと、
薬学的に許容される担体と
を含む薬学的組成物の有効量を対象に投与する段階を含む、対象において急性肺損傷を処置する方法を、本発明は提供する。
さまざまな態様において、ポリペプチドは、以下からなる群:
Figure 0007483684000005
より選択される。
さまざまな態様において、ポリペプチドは、以下からなる群:
Figure 0007483684000006
より選択される。
さまざまな態様において、ポリペプチドは、1種または複数種のリポソーム中に封入される。
さまざまな態様において、薬学的組成物は、エアロゾル吸入によってまたは気管内注入もしくは静脈内注入によって対象に投与される。
別の局面において、
Figure 0007483684000007
からなるポリペプチドであって、
X1は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はEであり;
X2は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はLであり;
X3は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はQであり;
X4は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はAまたはTであり;
X5は、TまたはEであってよく;
X6は、HまたはYであり;
X7は、DまたはEであり;
X8は、FまたはIであり;かつ
X9は、RまたはKである、
ポリペプチドと、
薬学的に許容される担体と
を含む薬学的組成物の有効量を対象に投与する段階を含む、対象において敗血症を処置する方法を、本発明は提供する。
さまざまな態様において、ポリペプチドは、以下からなる群:
Figure 0007483684000008
より選択される。
さまざまな態様において、ポリペプチドは、以下からなる群:
Figure 0007483684000009
より選択される。
さまざまな態様において、ポリペプチドは、1種または複数種のリポソーム中に封入される。
さまざまな態様において、薬学的組成物は、エアロゾル吸入によってまたは気管内注入もしくは静脈内注入によって対象に投与される。さまざまな態様において、薬学的組成物は、静脈内注入によって対象に投与される。
[本発明1001]
Figure 0007483684000010
からなるポリペプチドであって、
X 1 は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はEであり;
X 2 は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はLであり;
X 3 は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はQであり;
X 4 は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はAまたはTであり;
X 5 は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はTまたはEであり;
X 6 は、HまたはYであり;
X 7 は、DまたはEであり;
X 8 は、FまたはIであり;かつ
X 9 は、RまたはKである、
ポリペプチド
を含む、組成物。
[本発明1002]
ポリペプチドが、
Figure 0007483684000011
からなる群より選択される、本発明1001の組成物。
[本発明1003]
ポリペプチドが、
Figure 0007483684000012
からなる群より選択される、本発明1001の組成物。
[本発明1004]
薬学的に許容される担体をさらに含む、本発明1001の組成物。
[本発明1005]
ポリペプチドが、1種または複数種のリポソーム中に封入されている、本発明1001の組成物。
[本発明1006]
エアロゾル吸入用にまたは気管内注入用もしくは静脈内注入用に製剤化されている、本発明1001の組成物。
[本発明1007]
Figure 0007483684000013
からなるポリペプチドであって、
X 1 は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はEであり;
X 2 は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はLであり;
X 3 は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はQであり;
X 4 は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はAまたはTであり;
X 5 は、TまたはEであってよく;
X 6 は、HまたはYであり;
X 7 は、DまたはEであり;
X 8 は、FまたはIであり;かつ
X 9 は、RまたはKである、
ポリペプチドと、
薬学的に許容される担体と
を含む薬学的組成物の有効量を対象に投与する段階を含む、対象において急性肺損傷を処置する方法。
[本発明1008]
ポリペプチドが、
Figure 0007483684000014
からなる群より選択される、本発明1007の方法。
[本発明1009]
ポリペプチドが、
Figure 0007483684000015
からなる群より選択される、本発明1007の方法。
[本発明1010]
ポリペプチドが、1種または複数種のリポソーム中に封入されている、本発明1007の方法。
[本発明1011]
薬学的組成物が、エアロゾル吸入によってまたは気管内注入もしくは静脈内注入によって対象に投与される、本発明1007の方法。
[本発明1012]
Figure 0007483684000016
からなるポリペプチドであって、
X 1 は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はEであり;
X 2 は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はLであり;
X 3 は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はQであり;
X 4 は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はAまたはTであり;
X 5 は、TまたはEであってよく;
X 6 は、HまたはYであり;
X 7 は、DまたはEであり;
X 8 は、FまたはIであり;かつ
X 9 は、RまたはKである、
ポリペプチドと、
薬学的に許容される担体と
を含む薬学的組成物の有効量を対象に投与する段階を含む、対象において敗血症を処置する方法。
[本発明1013]
ポリペプチドが、
Figure 0007483684000017
からなる群より選択される、本発明1012の方法。
[本発明1014]
ポリペプチドが、
Figure 0007483684000018
からなる群より選択される、本発明1012の方法。
[本発明1015]
ポリペプチドが、1種または複数種のリポソーム中に封入されている、本発明1012の方法。
[本発明1016]
薬学的組成物が、エアロゾル吸入によってまたは気管内注入もしくは静脈内注入によって対象に投与される、本発明1012の方法。
本発明の好ましい態様の、以下の詳細な説明は、添付の図面とともに読むと、より良好に理解されるであろう。本発明を例示する目的のため、現時点での好ましい態様が、図面に示される。しかしながら、本発明は、図面に示される態様そのままの取り合わせおよび手段に限定されるものではないことが、理解されるべきである。
図1Aおよび1B:8~10週齢の野生型C57Bl/6マウスには、2 ug/g 体重のPIP-2が、気管内カテーテルによって(IT)、または静脈内へ(IV)のいずれかで、注入された。注入されたペプチドは、生理食塩水中に溶解されていたか、または一枚膜リポソームに組み込まれていた。該リポソームは、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、卵ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルグリセロール(PG)、およびコレステロールからなっていた(脂質のモル比は、50:25:10:15)。75% DPPCか、または75% 卵PCのいずれかを(PGおよびコレステロールとともに)含むリポソームは、PIP-2の細胞内送達に関して、DPPC/PC/PG/コレステロールのリポソームと同程度に有効であることを、本発明者らは決定した。マウスは5分後に犠死させ、肺は、血液が除去されるまで灌流され、そしてその後、H2O2によってアンプレックスレッドの酸化をモニターするため、温度制御された(37度)条件のもとで、蛍光指示薬であるアンプレックスレッド、および西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の存在下において、再循環灌流を受けた。灌流液のアリコートの蛍光は、示された時間において測定され、そして任意蛍光単位(AFU)として表された。灌流の時間経過とともに増加する蛍光は、H2O2の産生を示し、これは、細胞のNADPHオキシダーゼ(NOX2)の活性化を反映している。生理食塩水中のPIP-2の投与は、H2O2産生の速度に対する影響を有さないが、一方、IT(図1A)またはIV(図1B)のいずれかで注入された、リポソーム中のPIP-2は、H2O2の産生を著しく阻害する。 図2A~2Fは、組織の酸化および肺の炎症のさまざまなマーカーを追跡することによる、リポ多糖(LPS)の気管内注入後の、肺損傷の経時変化を示す。細菌(大腸菌(E. coli))のリポ多糖(LPS)は、5 ug/g 体重での気管内(IT)注入によって、野生型C57Bl/6マウスへと投与された。マウスは、示されるように、LPSの12時間後、16時間後、24時間後、または48時間後に犠死させた。肺は切除され、そしてBALfを得るため、生理食塩水を用いて気管経由で洗浄された;肺はその後、ホモジナイズされた。肺損傷のパラメーターは、BALf中の有核細胞およびタンパク質、ならびに肺の湿乾重量比(W/D)であった;W/Dに関し、肺の左上葉の重量が、乾燥器中で恒量まで乾燥させる前、および乾燥させた後で、測定された。組織酸化ストレスの指標(下の段)は、肺ホモジネートにおいて測定された、チオバルビツール酸反応性物質(TBARS)、8-イソプロスタン、およびタンパク質カルボニルであった。値は、n = 4についての平均±である。* 他のすべての値に対して、P < 0.05;§ 12時間、16時間、および24時間に対して、p < 0.05。図2Aは、チオバルビツール酸反応性物質(TBARS)を示す。図2Bは、8-イソプロスタンを示す。図2Cは、肺ホモジネート中のタンパク質カルボニルを示す。 図2Dは、気管支肺胞洗浄液(BALF)中の細胞の数を示す。図2Eは、BALF中の総タンパク質を示す。図2Fは、肺の湿乾重量比を示す。 図3A~3F。急性肺損傷(ALI)は、気管内LPS(5 mg/g 体重)によって引き起こされた。リポソーム中のPIP-2(2μg/g 体重)は、LPSとともにIT投与された(0時間)か、またはLPSの12時間後もしくは16時間後に静脈内(IV)投与された。気管に対する第二の「攻撃」を回避するため、PIP-2はIV投与された。マウスは24時間で犠死させ、そして肺は、肺損傷および組織酸化ストレスに関して評価された。結果は、n = 4についての平均±SEである。* 他のすべての群に対して、P < 0.05。図3Aは、BALF中の細胞の数を示す。図3Bは、BALF中の総タンパク質を示す。図3Cは、肺の湿乾重量比を示す。 図3Dは、TBARSを示す。図3Eは、8-イソプロスタンを示す。図3Fは、肺ホモジネート中のタンパク質カルボニルを示す。 図4Aおよび4B:Prdx6のホスホリパーゼA2(aiPLA2)は、Ca2+の非存在下、酸性条件(pH 4)のもとでのジパルミトイルホスファチジルコリンからのパルミチン酸の遊離により、測定された。図4A:組み換えヒトPrdx6のaiPLA2活性に対する、PIP-2の濃度増加の効果。 図4B:マウス肺のaiPLA2活性に対する、LPSおよびPIP-2による処置の効果。マウス(各条件について、n = 3)は、リポソーム中のPIP-2(2μg/g 体重)無しで、またはそれとともに、気管内LPS(2μg/g 体重)を用いて処置された。動物は、LPSを投与された6時間後、12時間後、または24時間後に犠死させた。肺は、血液を除去され、そしてホモジナイズされた。対照の肺は、LPSを投与されなかったマウスからのものであった。* 対応する対照に対して、およびLPS+PIP-2に対して、P < 0.05;§ LPSの12時間および24時間に対して、P < 0.05。 図5Aおよび5B:リポソーム中に組み込まれたPIP-2は、肺の単離に先立って、気管内に注入された。図5A:単離された肺は、人工的な媒体を用いて、再循環系において灌流された。NOX2の活性は、アンジオテンシンII(Ang II)の添加により刺激した。ROS産生の検出のため、アンプレックスレッドは、西洋ワサビペルオキシダーゼとともに灌流液に添加された。ROS産生を示すアンプレックスレッドの酸化を決定するため、灌流液のアリコートは、間隔をあけて、分光測色法により分析された。結果は、n = 3~4についての平均±SEである。 図5B:マウスは、LPS投与(5 mg/g 体重)の6時間後、12時間後、または24時間後に犠死させ、そして肺は、フルオロフォア(ジフルオロフルオレセインジアセテート、DFFDA)を含む生理食塩水を用いて、インサイチューで15分間灌流された。肺はその後ホモジナイズされ、そして肺ホモジネートの蛍光が、ROS産生の指標として決定された。図5Aおよび図5Bに関する結果は、n = 4についての平均±SEである。* 対応するLPSに対して、およびLPS+PIP-2に対して、P < 0.05;§ LPSの12時間および24時間に対して、P < 0.05;Δ 対応するLPSに対して、P < 0.05。 図6:リポソーム中のPIP-2は、気管内(IT)または静脈内(IV)のいずれかで、時間0の時点でマウスに投与された。肺は、PIP-2投与後の4~72時間のあいだに、間隔をあけて採取され、ホモジナイズされ、そしてPrdx6-PLA2活性に関して分析された。PIP-2は、IT経路またはIV経路のいずれによっても有効であり、およそ50時間と算定された、回復の半減期を有する。結果は、n = 3~4についての平均+SEである。 図7Aおよび7B:生存のカプラン・マイヤープロット。LPS(15 mg/g 体重)は、以下のいずれかによって、すべてのマウスに投与された:図7A:気管内(IT)注入、または図7B:腹腔内(IP)注入。矢印で示されるように、全部で5回の用量について、リポソーム中のPIP-2、またはプラセボ(リポソーム単独)は、LPSの12時間後に静脈内(IV)投与され(これは、時間ゼロでの処置である)、そしてその後、12時間または24時間の間隔で投与された。図7A:2μg/g 体重のPIP-2;各群について、N = 14。図7B:2μg/g 体重の、または20μg/g 体重のPIP-2;プラセボ群は、n = 8;2 mgのPIP-2群は、n = 7;20 mgのPIP-2群は、n = 10。 図8:PLA2阻害性ペプチド(PIP-2)は、単離され灌流されたマウス肺において、アンジオテンシンII(Ang II)によって刺激されたROS産生を、阻害する。PIP-2(2μg/g 体重)は、IV経路により、インタクトな野生型(WT)マウスへと投与された。WT基底、WT対照、およびNOX2ヌルは、ペプチドを投与されなかった。30分後、肺は麻酔された(anesthesized)マウスから単離され、そしてNox2活性化物質としてAng II(50μM)、ならびに灌流液のROSを検出するためのアンプレックスレッドおよび西洋ワサビペルオキシダーゼが加えられた再循環系において、灌流された。WT基底の肺は、Ang IIによる刺激をしなかった。15分の平衡化期間の後(時間ゼロと称される)、蛍光の分析のため、アリコートが15分の間隔で回収された。プロットされたそれぞれの点は、n = 3についての平均±SEを表す。直線は、最小平均二乗法により描画された。各直線の傾きから算定された、ROS還元の平均速度は、括弧内に示される。* 他の3つの傾きに対して、P < 0.05。 図9Aおよび9B:PIP-2は、LPS投与後に増加した肺aiPLA2活性および増加したROS産生を、阻害する。LPS(5μg/g 体重)は、リポソーム単独(LPSと表記)とともに、またはリポソーム中のPIP-2(+PIP-2と表記)とともに、気管内(IT)注入によって投与された。対照は、LPS無しのリポソーム単独であった(対照と表記)。マウスは、LPSの6時間後、12時間後、または24時間後に犠死させ、そして肺は、フルオロフォアであるジフルオロフルオレセインジアセテート(DFF-DA)を含む生理食塩水を用いて、インサイチューで15分間灌流された。肺はその後ホモジナイズされ、そして以下に関してアッセイされた:図9A:aiPLA2活性;図9B:ROS産生の指標としての、肺ホモジネートの蛍光。結果は、Aに関してはN = 3についての平均±SEであり、かつBに関してはN = 4についての平均±SEである。* 対照に対して、および同じ時点での+PIP-2に対して、P < 0.05;Δ 6時間での対応する値に対して、P < 0.05。 図10:IV投与後のPIP-2の肺への送達に対する、リポソーム組成の影響。静脈内注入による、リポソーム介在型のPIP-2の送達については、図5A~5Bのものと同じプロトコル。* 全脂質のうちの%;すべてのリポソームは、15%のコレステロールも含んでいた。†n = 3についての平均±SE、またはn = 2についての範囲。リポソーム中のPCとDPPCは、PIP-2の細胞内送達に関して、同様の有効性を有する。PGを省くと、効力はおよそ10%減少する。 図11:IT LPSの24時間後に評価された、PIP-2による、肺損傷からの「防御」(%)。* LPSの0時間後、12時間後、または16時間後に投与されたPIP-2の効果についての値。肺損傷からの防御(%)は、[1 - (PIP-2有りの場合の損傷 - 対照)/(LPSのみ - 対照)]として算定された。PIP-2による「防御」は、>75%である。 図12:高用量LPSを生き延びたPIP-2処置マウスにおける、肺損傷の指標。マウスには、LPS(15μg/g 体重)が、以下のいずれかに注入された:B行は気管内(IT);またはC行は腹腔内(IP)。リポソーム中のPIP-2は、2μg/g 体重、または20μg/g 体重で、図7に示される時間において注入された(IV)。5匹の生存マウスは、処置の開始から108時間後(LPS投与から120時間後)に犠死させた。結果は、歴史的対照マウス(LPS無し)についての値(A行)と比較される。BALf、気管支肺胞洗浄液;TBARS、チオバルビツール反応性物質。値は、対照に関してはn = 4についての平均±SEであり、かつLPS+PIP-2に関してはn = 5についての平均±SEである。LPS+PIP-2についての平均値には、対応する対照から統計学的に異なっている(p > 0.05)ものは無かった。LPS後に5日間生存した、PIP-2処置マウスは、正常な肺を有していた。 図13:人工呼吸器誘発肺損傷(ventilation-induced lung injury, VILI)に対する、PIP-2の効果。麻酔されたマウスは、12 ml/Kg 体重の1回換気量、120回/分の呼吸回数、および 2 cm H2Oの呼気終末陽圧(PEEP)として、6時間にわたり機械的に人工換気させた。リポソーム中のPIP-2(2 ug/g 体重)は、機械的人工換気の開始時に、IT注入によって投与され、そしてマウスは、6時間後に犠死させた。対照は、正常な(人工換気でない)肺についての値を表す。%防御は、表1のように算定された。結果は、n = 4 についての平均±SEである。* VILI+PIP 対 VILIについて、P < 0.05。PIP-2は、機械的人工換気に関連する肺損傷を防御した。
詳細な説明
定義
他に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が関連する技術分野の当業者によって通常理解されるものと、同じ意味を有する。本発明を試験するための実施においては、本明細書において記載されるものと同様のまたは同等の、任意の方法および材料を使用することが可能であるが、好ましい材料および方法が、本明細書において記載される。本発明を記述および請求するに際し、以下の用語が使用されるであろう。
本明細書において使用される用語は、特定の態様のみを記述することを目的とするのであって、かつ、限定することが意図されるものではないこともまた、理解される。
本明細書において使用される「1つの(a)」および「1つの(an)」との冠詞は、1つの、または複数の(すなわち少なくとも1つの)、該冠詞の文法上の目的語を指す。例として、「要素」とは、1つの要素または複数の要素を意味する。
本明細書において使用される「約」とは、量、持続時間等といった、測定可能な値を指す際には、そのような変動が、開示される方法を実施するために適切であるような、指定された値からの±20%のまたは±10%の変動を、より好ましくは±5%の変動を、さらにより好ましくは±1%の変動を、そしていっそうより好ましくは±0.1%の変動を包含することを、意味する。
「急性肺損傷」または「ALI」とは、本明細書において使用される場合、心不全に関連しない低酸素血症をともなう、両側の肺浸潤の急性発症によって特徴付けられる症候群を指す。
疾患もしくは障害の症状の重篤性が、患者が経験するそのような症状の頻度が、またはそれらの両方が、減少した場合に、該疾患または障害は、「緩和」される。
本明細書において使用される場合、「組成物」または「薬学的組成物」との語は、本発明内で有用な少なくとも1種の化合物の、薬学的に許容される担体との混合物を指す。薬学的組成物は、患者または対象への化合物の投与を容易にする。当技術分野において、化合物を投与するための複数の技術が存在しており、該技術は、限定されるものではないが、静脈内投与、経口投与、エアロゾル投与、非経口投与、眼投与、肺投与、および局所投与を含む。
化合物の「有効量」または「治療的有効量」とは、該化合物が投与される対象に有益な効果をもたらすのに十分な、化合物の量である。送達ビヒクルの「有効量」とは、ある化合物を効果的に結合または送達するのに十分な量である。
「患者」、「対象」、「個体」等の語は、本明細書において互換性をもって使用され、かつインビトロであってもまたはインサイチューであっても、本明細書に記載される方法に適している、任意の動物、またはその細胞を指す。ある非限定的な態様において、患者、対象、または個体は、ヒトである。
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される」との語は、担体または希釈剤などの材料であって、本化合物の生物学的活性も特性も阻害せず、かつ比較的非毒性である材料を指す、すなわち該材料は、望ましくない生物学的影響を引き起こすことも、それが含まれる組成物の任意の成分と、有害な様式で相互作用することもなく、個体に投与され得る。
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される担体」との語は、薬学的に許容される材料、組成物、または担体を意味し、これらは液体のもしくは固体の充填剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、希釈剤、賦形剤、増粘剤、溶媒、または封入材料などであり、本発明内で有用な化合物がその意図される機能を果たし得るように、該化合物を患者内でまたは患者へと運搬または輸送することに、関与する。典型的には、そのような構築物は、身体の1つの器官または一部分から、身体の別の器官または別の一部分へと、運搬または輸送される。各担体は、製剤の他の成分、これは本発明内で有用な化合物を包含するが、これら成分に適合性を有していて、かつ患者に対して有害ではない、という意味において、「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体として用いられ得る材料の、いくつかの例は、以下を含む:ラクトース、グルコース、およびスクロースなどの、糖;コーンスターチおよびポテトスターチなどの、デンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、および酢酸セルロースなどの、セルロースおよびその誘導体;トラガカント粉末;モルト;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐剤ワックスなどの、賦形剤;落花生油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、およびダイズ油などの、油;プロピレングリコールなどの、グリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなどの、ポリオール;オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどの、エステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの、緩衝剤;界面活性剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張生理食塩水;リンガー液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;ならびに薬学的製剤において使用される、非毒性であって適合性を有する、他の物質。本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、あらゆるコーティング剤、抗細菌剤および抗真菌剤、ならびに吸収遅延剤等をも含んでおり、それらは、本発明内で有用な化合物の活性に適合性を有しており、かつ患者に、生理学的に許容される。補助的な活性化合物もまた、組成物中に組み込まれ得る。「薬学的に許容される担体」は、本発明内で有用な化合物の、薬学的に許容される塩を、さらに含み得る。本発明を実施する際に使用される薬学的組成物中に含まれ得る、他の追加の成分は、当技術分野において公知であり、かつ、たとえば、参照により本明細書に組み入れられるRemington's Pharmaceutical Sciences(Genaro, Ed., Mack Publishing Co., 1985, Easton, PA)に記述されている。
本明細書において使用される場合、「PIP-2」とは、
Figure 0007483684000019
を有するペプチドを意味する。
本明細書において使用される場合、「PIP-4」とは、
Figure 0007483684000020
を有するペプチドを意味する。
本明細書において使用される場合、「PIP-5」とは、
Figure 0007483684000021
を有するペプチドを意味する。
本明細書において使用される場合、「疾患または障害を処置する」とは、患者が経験する疾患または障害の症状の頻度を減少させることを意味する。疾患と障害は、本明細書において、互換性をもって使用される。
本明細書において使用される場合、「敗血症」とは、感染への身体の応答によって引き起こされる、生命を脅かす潜在性を有する異常であり、かつこれは、多臓器不全を生じさせ得る。
本明細書において使用される場合、「処置」または「処理する」との語は、予防および/または治療を包含する。したがって、本発明の組成物および方法は、治療への応用に限定されるものではなく、予防への応用にも用いられることができる。したがって、病態、障害、もしくは異常を「処置する」、またはそれらの「処置」とは、以下を含む:(i) 病態、障害、もしくは異常を有し得るか、もしくはそれらの素因を有し得る対象であるが、まだ、該病態、障害、もしくは異常の臨床症状もしくは準臨床症状を経験したことがなく、それらを呈したこともない対象において、進行している該病態、障害、もしくは異常の臨床症状の出現を、予防すること、もしくは遅延させること、(ii) 病態、障害、もしくは異常を阻害すること、すなわち、疾患の進行を、もしくはその臨床症状もしくは準臨床症状の少なくとも1つの進行を、阻止すること、もしくは低減させること、または(iii) 疾患を軽減させること、すなわち、病態、障害、もしくは異常の縮小、もしくはその臨床症状もしくは準臨床症状の少なくとも1つの縮小を、引き起こすこと。
範囲:本開示の全体にわたり、本発明のさまざまな局面は、範囲の形式において表現され得る。範囲の形式における記載は、単に利便性および簡潔性のためになされているのであって、本発明の範囲における固定的な限定として解釈されるべきものではないことが、理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、可能な部分範囲とともに、該範囲内の個々の数値をすべて具体的に開示している、とみなされるべきである。たとえば、1~6のような範囲の記載は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等といった部分範囲とともに、その範囲内の個々の数、たとえば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、および6を具体的に開示している、とみなされるべきである。これは、範囲の幅にかかわらず、適用される。
説明
組成物
本発明は、ALIを処置するために使用され得る、aiPLA2に対する特異的なペプチド阻害剤の作製に、部分的に基づく。本発明のいくつかのペプチドの、aiPLA2を阻害する活性は、以下の表1に示される。
(表1)組み換えhPrdx6のaiPLA2活性に対する、ペプチドの効果
Figure 0007483684000022
(表2)ヒト組み換えタンパク質のaiPLA2活性に対する効果による、阻害性ペプチドのサイズ最適化
Figure 0007483684000023
(表3)PIP-2における置換:ヒト組み換えPrdx6のaiPLA2活性の阻害に対する効果
Figure 0007483684000024
したがって、1つの局面において、
Figure 0007483684000025
からなるポリペプチドであって、
X1は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はEであり;
X2は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はLであり;
X3は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はQであり;
X4は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はAまたはTであり;
X5は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はTまたはEであり;
X6は、HまたはYであり;
X7は、DまたはEであり;
X8は、FまたはIであり;かつ
X9は、RまたはKである、
ポリペプチド
を含む組成物を、本発明は提供する。
さまざまな態様において、組成物は、
Figure 0007483684000026
からなるポリペプチドを含む。本発明の組成物は、薬学的組成物として対象に提供され得る。したがって、さまざまな態様において、組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。図1に示されるように、ポリペプチドは、リポソーム中で、効果的に投与され得る。したがって、さまざまな態様において、ポリペプチドは、1種または複数種のリポソーム中に封入される。さまざまな態様において、組成物は、エアロゾル吸入用にまたは気管内注入用もしくは静脈内注入用に製剤化される。吸入可能または注入可能な製剤とともに、適した薬学的に許容される担体は、本明細書の他の箇所において記載される。
急性肺損傷を処置する方法
別の局面において、
Figure 0007483684000027
からなるポリペプチドであって、
X1は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はEであり;
X2は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はLであり;
X3は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はQであり;
X4は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はAまたはTであり;
X5は、TまたはEであってよく;
X6は、HまたはYであり;
X7は、DまたはEであり;
X8は、FまたはIであり;かつ
X9は、RまたはKである、
ポリペプチドと、
薬学的に許容される担体と
を含む薬学的組成物の有効量を対象に投与する段階を含む、対象において急性肺損傷を処置する方法を、本発明は提供する。さまざまな態様において、ポリペプチドは、
Figure 0007483684000028
からなるポリペプチドであり得る。さまざまな態様において、対象に投与されるポリペプチドは、1種または複数種のリポソーム中に封入される。さまざまな態様において、薬学的組成物は、エアロゾル吸入によってまたは気管内注入もしくは静脈内注入によって対象に投与される。
敗血症を処置する方法
別の局面において、
Figure 0007483684000029
からなるポリペプチドであって、
X1は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はEであり;
X2は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はLであり;
X3は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はQであり;
X4は、存在してもしなくてもよく、かつ、存在する場合はAまたはTであり;
X5は、TまたはEであってよく;
X6は、HまたはYであり;
X7は、DまたはEであり;
X8は、FまたはIであり;かつ
X9は、RまたはKである、
ポリペプチドと
薬学的に許容される担体と
を含む薬学的組成物の有効量を対象に投与する段階を含む、対象において敗血症を処置する方法を、本発明は提供する。さまざまな態様において、ポリペプチドは、
Figure 0007483684000030
からなるポリペプチドであり得る。さまざまな態様において、対象に投与されるポリペプチドは、1種または複数種のリポソーム中に封入される。さまざまな態様において、薬学的組成物は、エアロゾル吸入によってまたは気管内注入もしくは静脈内注入によって対象に投与される。さまざまな態様において、薬学的組成物は、静脈内注入によって対象に投与される。
投与/投薬量/製剤
投与のレジメンは、有効量を構成するものに影響を及ぼし得る。治療用製剤は、損傷が発生する前または後のいずれかに、対象に投与され得る。さらに、投薬量がいくつかに分割されて、および投薬量が時差をつけられて、毎日もしくは順次投与されてよく、または該用量は、連続的に注入されてよく、もしくはボーラス注入であってもよい。さらに、治療用製剤の投薬量は、治療状況または予防状況の差し迫った必要性が示される場合に、それと釣り合うように増加または減少させてよい。
本発明の組成物の、患者への、好ましくは哺乳類への、より好ましくはヒトへの投与は、公知の手順を用いて、患者における肺損傷を処置するために有効な投薬量および期間で、実施され得る。治療効果を達成するのに必要な治療化合物の有効量は、患者における疾患または障害の状態;患者の年齢、性別、および体重;ならびに治療用化合物の、患者において急性肺損傷を処置または予防する能力などの要因によって、変化し得る。投薬レジメンは、最適な治療応答をもたらすように調整され得る。たとえば、いくつかの分割された用量が毎日投与されてよく、または該用量は、治療状況の差し迫った必要性が示される場合に、それと釣り合うように減少させてもよい。本発明の治療化合物の有効量の範囲の非限定的な例は、約1~5,000 mg/kg体重/日である。当業者は、過度の実験無しに、関連する要因を試験することができ、そして治療化合物の有効量についての決定を下すことができるであろう。
本発明の薬学的組成物中の有効成分の、実際の投薬レベルは、特定の患者、組成物、および投与の様式にとって望ましい治療応答を、患者に対して毒性をもたらすことなく達成するのに効果的な有効成分の量が得られるように、変化させ得る。
特に、選択される投薬レベルは、さまざまな要因によって変化し、該要因は、使用される特定の化合物の活性、投与の時間、化合物が排泄されるまたは分解する速度、処置の持続期間、本化合物と組み合わせて使用される他の薬物、他の化合物、または他の材料、処置される患者の、年齢、性別、体重、健康状態、全身の健全性、および既往歴、ならびに医学分野において周知である同様の要因を、含む。
当技術分野において通常の技能を有する医師(medical doctor)、たとえば医師(physician)または獣医師は、必要とされる薬学的組成物の有効量を、容易に決定し得、そして処方し得る。たとえば、医師(physician)または獣医師は、薬学的組成物において使用される本発明の化合物の用量を、望ましい治療効果を達成するために必要なレベルよりも低いレベルで開始することができ、そして望ましい効果が達成されるまで、投薬量を徐々に増加させることができる。
特別な態様においては、投与の容易性および投薬量の均一性のために、化合物を単位剤形として製剤化することが、特に有益である。単位剤形とは、本明細書において使用される場合、処置されるべき患者に対して、単位の投薬量として適している、物理的に分離している単位を指し;各単位は、必要とされる薬学的ビヒクルと連携して望ましい治療効果を生じるように算定された、あらかじめ決定されている量の治療用化合物を含む。本発明の単位剤形は、 (a) 治療化合物に特有の特徴および達成されるべき特定の治療効果、ならびに (b) 患者における肺損傷の処置のためのそのような治療化合物を調合する/製剤化する際の、当技術分野において固有の制限によって規定され、かつそれらにより直接的に変化する。
担体は、溶媒または分散媒であり得、これらはたとえば、水、エタノール、ポリオール(たとえば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体のポリエチレングリコール等)、それらの適切な混合物、ならびに植物油を含む。
ある態様において、本発明の組成物は、1日につき1~5回の範囲かまたはより多いという投薬量で、患者に投与される。他の態様において、本発明の組成物は、限定されるものではないが、1日に1回、2日に1回、3日に1回~1週間に1回、および2週間に1回を含む投薬量の範囲で、患者に投与される。本発明のさまざまな組み合わせ組成物の投与の頻度が、多くの要因、これは限定されるものではないが、年齢、処置されるべき疾患または障害、性別、全身の健全性、および他の要因を含んでおり、そのような要因に応じて個体ごとに変化することは、当業者にとって一見して明らかである。したがって、本発明は、何らかの特定の投薬レジメンに限定されると解釈されるべきではないのであって、かつ任意の患者にまさに投与されるべき投薬量および組成物は、患者についてのすべての他の要因を考慮して、主治医によって決定される。
投与用の、本発明の化合物は、約1μg~約10,000 mgの、約20μg~約9,500 mgの、約40μg~約9,000 mgの、約75μg~約8,500 mgの、約150μg~約7,500 mgの、約200μg~約7,000 mgの、約350μg~約6,000 mgの、約500μg~約5,000 mgの、約750μg~約4,000 mgの、約1 mg~約3,000 mgの、約10 mg~約2,500 mgの、約20 mg~約2,000 mgの、約25 mg~約1,500 mgの、約30 mg~約1,000 mgの、約40 mg~約900 mgの、約50 mg~約800 mgの、約60 mg~約750 mgの、約70 mg~約600 mgの、約80 mg~約500 mgの、およびそれらの間のあらゆるすべての全体的なまたは部分的な増分の、範囲内にあり得る。
いくつかの態様において、本発明の化合物の用量は、約1 mg~約2,500 mgである。いくつかの態様において、本明細書に記載される組成物において用いられる、本発明の化合物の用量は、約10,000 mg未満、または約8,000 mg未満、または約6,000 mg未満、または約5,000 mg未満、または約3,000 mg未満、または約2,000 mg未満、または約1,000 mg未満、または約500 mg未満、または約200 mg未満、または約50 mg未満である。同様に、いくつかの態様において、本明細書に記載される第二の化合物の用量は、約1,000 mg未満、または約800 mg未満、または約600 mg未満、または約500 mg未満、または約400 mg未満、または約300 mg未満、または約200 mg未満、または約100 mg未満、または約50 mg未満、または約40 mg未満、または約30 mg未満、または約25 mg未満、または約20 mg未満、または約15 mg未満、または約10 mg未満、または約5 mg未満、または約2 mg未満、または約1 mg未満、または約0.5 mg未満、およびそれらの、あらゆるすべての全体的なまたは部分的な増分である。
ある態様において、本発明は、包装された薬学的組成物に指向され、該薬学的組成物は、治療的有効量の本発明の化合物を、単独で、または第二の薬学的作用物質と組み合わせて、保持する容器;および患者において急性肺損傷の1種または複数種の症状を処置する、予防する、または低減させるために該化合物を用いるための指示書を含む。
製剤は、通常の賦形剤との混合物として使用され得、該賦形剤とは、すなわち、当技術分野において公知の、経口投与、非経口投与、鼻投与、静脈内投与、皮下投与、経腸投与、または任意の他の適切な投与の様式に適した、薬学的に許容される、有機または無機担体物質である。薬学的調製物は、滅菌され得、かつ望ましい場合には、補助剤と混合され得、該補助剤は、たとえば、滑沢剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧緩衝に影響を及ぼす塩、着色物質、香味物質、および/または芳香物質等である。それらはまた、望ましい場合、他の活性のある作用物質、たとえば、他の鎮痛剤と、組み合わせられ得る。
本発明の組成物の任意のものの投与の経路は、経口、鼻、直腸、膣内、非経口、頬、舌下、または局所を含む。本発明において使用するための化合物は、経口投与または非経口投与など、任意の適した経路によって投与されるために製剤化され得、該経路はたとえば、経皮投与、経粘膜投与(たとえば、舌下投与、舌投与、(経)頬投与、(経)尿道投与、膣投与(たとえば、経膣投与および膣周囲投与)、鼻(内)投与および(経)直腸投与)、膀胱内投与、肺内投与、十二指腸内投与、胃内投与、髄腔内投与、皮下投与、筋肉内投与、皮内投与、動脈内投与、静脈内投与、気管支内投与、吸入投与、ならびに局所投与である。
適切な組成物および剤形は、たとえば、錠剤、カプセル、カプレット、丸剤、ジェルキャップ、トローチ、分散剤、懸濁液、溶液、シロップ、顆粒、ビーズ、経皮パッチ、ゲル、粉末、ペレット、マグマ、ロゼンジ、クリーム、ペースト、プラスター、ローション、ディスク、坐剤、鼻投与または経口投与のための液体スプレー、吸入のためのドライパウダーまたはエアロゾル化製剤、膀胱内投与のための組成物および製剤等を含む。本発明において有用であり得る製剤および組成物は、本明細書に記載される特定の製剤および組成物には限定されないことが、理解されるべきである。
経口投与
経口適用に関し、特に適切なのは、錠剤、糖衣錠、液体、ドロップ、坐剤、またはカプセル、カプレット、およびジェルキャップである。経口使用が意図される組成物は、当技術分野において公知の任意の方法にしたがって調製され得、かつそのような組成物は、錠剤の製造に適した、不活性で非毒性の薬学的賦形剤からなる群より選択される、1種または複数種の物質を含み得る。そのような賦形剤は、たとえば、ラクトースなどの、不活性な希釈剤;コーンスターチなどの、造粒剤および崩壊剤;デンプンなどの、結合剤;ならびにステアリン酸マグネシウムなどの、滑沢剤を含む。錠剤は、コーティングされなくてもよく、またはそれらは、美的観点のために、もしくは有効成分の放出を遅らせるために、公知の技術によってコーティングされてもよい。経口使用のための製剤はまた、硬質ゼラチンカプセルとして示され得、ここで有効成分は、不活性な希釈剤と混合されている。
本発明はまた、多層錠を含み、該多層錠は、1種または複数種の本発明の化合物の遅延放出をもたらす層、およびある種の疾患または障害を処置するための薬剤の即時放出をもたらす、さらなる層を、含む。ワックス/pH感受性ポリマーとの混合物を用いて、胃で不溶性の組成物を得ることができ、該組成物においては有効成分は封入されているので、有効成分は確実に遅延放出されることになる。
非経口投与
非経口投与に関し、本発明の化合物は、注射もしくは注入、これはたとえば、静脈内への、筋肉内への、もしくは皮下への注射もしくは注入であるが、これらのために製剤化され得るか、またはボーラス用量としての投与のために、および/もしくは連続注入のために、製剤化され得る。懸濁液、溶液、または油性もしくは水性媒体における乳濁液が使用され得、これらは任意で、懸濁剤、安定剤、および/または分散剤などの、他の製剤用物質を含む。
追加の投与形態
本発明の追加の剤形は、以下の番号の米国特許に記載されるような剤形を含む:6,340,475;6,488,962;6,451,808;5,972,389;5,582,837;および5,007,790。本発明の追加の剤形はまた、以下の番号の米国特許出願に記載されるような剤形をも含む:20030147952;20030104062;20030104053;20030044466;20030039688;および20020051820。本発明の追加の剤形はまた、以下の番号のPCT出願に記載されるような剤形をも含む:WO 03/35041;WO 03/35040;WO 03/35029;WO 03/35177;WO 03/35039;WO 02/96404;WO 02/32416;WO 01/97783;WO 01/56544;WO 01/32217;WO 98/55107;WO 98/11879;WO 97/47285;WO 93/18755;およびWO 90/11757。
制御放出性製剤および薬物送達システム
ある態様において、本発明の製剤は、限定されるものではないが、短期型の製剤や、迅速に消失する製剤であってよく、また、制御製剤であってもよく、該制御製剤は、たとえば、持続放出性製剤、遅延放出性製剤、およびパルス放出性製剤である。
持続放出との語は、その通常の意味で使用されて、長期間にわたる薬物の徐放をもたらし、かつ、必ずというわけではないが、長期間にわたり、薬物の実質的に一定の血液レベルをもたらし得る、薬物製剤を指す。期間は、1か月またはそれより長くてもよく、かつ、ボーラス型として投与される同じ量の作用物質よりも長い放出であるべきである。
持続放出に関し、化合物は、化合物に持続放出特性をもたらす、適切なポリマーまたは疎水性材料を用いて、製剤化され得る。したがって、本発明の方法で使用するための化合物は、微粒子の形状として、たとえば注入によって投与されてよく、またはウエハーもしくはディスクの形状として、埋め込みによって投与されてもよい。
本発明の1つの態様において、本発明の化合物は、持続放出性製剤を用いて、単独で、または別の薬学的作用物質との組み合わせとして、患者に投与される。
遅延放出との語は、本明細書において、その通常の意味で使用されて、薬物の投与に続いていくらか遅延した後で、薬物の最初の放出をもたらし、かつ、必ずというわけではないが、約10分から約12時間までの遅延を含み得る、薬物製剤を指す。
パルス放出との語は、本明細書において、その通常の意味で使用されて、薬物の投与後に、薬物のパルス型血漿プロファイルを生じさせるような様式で薬物の放出をもたらす、薬物製剤を指す。
即時放出との語は、その通常の意味で使用されて、薬物の投与直後に薬物の放出をもたらす薬物製剤を指す。
本明細書において使用される場合、短期とは、薬物投与後の薬物投与後の、約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約40分、約20分、または約10分まで、およびそれらを含む、任意の時間を、ならびにそれらのあらゆるすべての全体的なまたは部分的な増分を指す。
本明細書において使用される場合、迅速な消失とは、薬物投与後の、約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、約40分、約20分、または約10分まで、およびそれらを含む、任意の時間を、ならびにそれらのあらゆるすべての全体的なまたは部分的な増分を指す。
投薬
本発明の化合物の、治療的有効量または用量は、患者の年齢、性別、および体重、患者の現時点での健康状態、ならびに処置されている患者における急性肺損傷の進行状況によって、変化する。当業者は、これらの因子および他の因子に応じて、適切な投薬量を決定することができる。
本発明の化合物の適切な用量は、1日につき約0.01 mg~約5,000 mgの範囲であり得、これは、1日につき約0.1 mg~約1,000 mgなどや、たとえば1日につき約1 mg~約500 mgや、1日につき約5 mg~約250 mgなどである。用量は、1日につき1回という投薬量、または1日につき複数回という投薬量として、たとえば、1日につき1~4回、またはそれより多く、投与され得る。複数回の投薬量が使用される場合、各回の投薬量は、同じであってもよく、または異なっていてもよい。たとえば、1日につき1 mgという用量は、0.5 mgを2回という用量として、用量の間に約12時間の間隔をあけて投与され得る。
1日あたりの用量に分けられた化合物の量は、非限定的な例として、毎日、1日おきに、2日ごとに、3日ごとに、4日ごとに、または5日ごとに投与され得ることが、理解される。たとえば、1日おきの投与が用いられる場合、1日につき5 mgの用量が月曜日に開始され得、これに最初に続く1日につき5 mgの用量が、水曜日に投与され得、次に続く1日につき5 mgの用量が、金曜日に投与され得る、というようなものである。
患者の状態が実際に改善している場合には、医師の判断により、本発明の阻害剤は、任意で、継続的に投与される;あるいは、投与されている薬物は、用量を一時的に減少させるか、または一定の長さの期間にわたり、一時的に投与を中断させる(すなわち「休薬期間」)。休薬期間の長さは、任意で、2日~1年の間で変化し、該期間は、単なる例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、または365日を含む。休薬期間のあいだの用量の減少量は、10%~100%を含み、これは、単なる例として、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%を含む。
患者の健康状態の改善が見られたら、必要であれば、維持用量が投与される。続いて、投与される投薬量もしくは頻度、またはそれら両方を、ウイルス量に応じて、改善された疾患が保持されるレベルまで減少させる。ある態様において、患者は、任意の、症状の再発および/または感染により、長期的に間欠処置を必要とする。
本発明の方法において使用するための化合物は、単位剤形として製剤化され得る。「単位剤形」との語は、処置を受ける患者に対して、単位の投薬量として適している、物理的に分離している単位を指し、各単位は、任意で、適切な薬学的担体と連携して、望ましい治療効果を生じるように算定された、あらかじめ決定されている量の活性材料を含む。単位剤形は、1日に1回という用量のためのものであってよく、または1日に複数回という用量のうちの1つであってもよい(たとえば、1日につき約1~4回、またはそれより多く)。1日に複数回という用量が使用される場合、単位剤形は、各用量が同じであってもよく、または各用量が異なっていてもよい。
そのような治療レジメンの毒性および治療効果は、任意で、細胞培養物または実験動物において決定され、これは、限定されるものではないが、LD50(集団の50%に対して致死である用量)、およびED50(集団の50%において治療上有効である用量)の決定を含む。毒性作用と治療作用との用量比が治療指数であり、これは、LD50とED50との比として表現される。細胞培養アッセイ、および動物での試験から得られるデータは、任意で、ヒトにおいて使用される投薬量の範囲を検討するために使用される。そのような化合物の投薬量は、好ましくは、最小の毒性を有するED50を含む循環濃度の、ある一定の範囲内にある。投薬量は、任意で、使用される剤形および利用される投与の経路に応じて、この範囲内で変化する。
当業者は、本明細書に記載される具体的な手順、態様、請求の範囲、および実施例の多数の同等物を認識するであろう、または当業者は、通常実施している程度の実験法を用いて、それら同等物を確認することができるであろう。そのような同等物は、本発明の範囲内であるとみなされ、かつ本明細書に添付される請求の範囲に包含された。たとえば、当技術分野において認識されている代替物を用いておよび通常実施している程度の実験法を用いて反応条件を改変することは、本出願の範囲内であることが理解されるべきであり、ここで反応条件とは、限定されるものではないが、反応時間、反応のサイズ/量、および溶媒などの実験試薬、触媒、気圧、窒素雰囲気等の大気条件、および還元剤/酸化剤を含む。
値および範囲が本明細書において提供される場合は常に、これらの値および範囲によって包含されるすべての値および範囲が本発明の範囲内に包含されることを意図していることが、理解されるべきである。さらに、これらの範囲内に入るすべての値、および値の範囲の上限または下限もまた、本出願によって企図される。
実験例
本発明は、以下の実験例を参照することによって、さらに詳細に記載される。これらの実施例は、例示の目的のためだけに提供されるのであって、他に記載されない限り、限定することが意図されるものではない。したがって、本発明は、以下の実施例に限定されると解釈されるべきでは決してなく、むしろ、本明細書において提供される教示の結果として明らかになる、あらゆる変形物を包含すると解釈されるべきである。
さらなる説明無しに、当業者は、前述の説明および以下の例示的な実施例を用いて、本発明の化合物を生成しそして利用することができ、かつ請求の範囲に記載の方法を実施することができるであろう。以下の実施例は、したがって、本発明の好ましい態様を具体的に示すのであって、本開示の残余の部分を何らかの様式で限定するものとして解釈されるものではない。
実施例1:インビボでのPIPペプチドの活性
マウスには、リポソーム中(図1を参照されたい)のPIP-2(2 ug/g 体重)が、IT(図1A)またはIV(図1B)のいずれかで注入された;これらのリポソームは、DPPCのsn-2パルミチン酸の9、10位にトレーサー[3H]を含んでいた。肺はマウスから切除され、そして孤立系において試験された。直線の傾きは、オキシダント(H2O2)の産生を示す。
IV注入またはIT注入された、リポソーム中のPIP-2は、肺ホモジネートのPrdx6活性を阻害する。最大の阻害は、PIP-2の投与後、4時間以内に観察された。阻害からの回復は、およそ36時間の時点で始まり、そして48時間までに完了した。結果は、PIP-1、PIP-2、PIP-4に関して同様であった(PIP-3およびPIP-5は試験されなかった)。マウスでの結果に基づけば、Prdx6活性およびNOX2活性化に対する最大の阻害を維持するために、PIP-2またはPIP-4は、24~36時間ごとに1回投与され得る。有効性のためには、ペプチド送達のためのリポソームが必要となる。IT投与後の阻害とIV投与後の阻害は、同様であった。データは、以下の表4~6に表される。
(表4)送達のためのリポソーム有りおよび無しでのPIP-4のIV注入の24時間後における、マウス肺のaiPLA2活性
Figure 0007483684000031
PIP-4 = 2μg/g マウスの体重。平均+/-SE;n = 3。
(表5)PIP-2のIT注入またはIV注入から時間経過後の、マウス肺ホモジネートのaiPLA2活性:インビボでの持続性
Figure 0007483684000032
(表6)PIPのIT注入またはIV注入から時間経過後の、マウス肺ホモジネートのPrdx6-PLA2活性
Figure 0007483684000033
* 非内在化SP-Aペプチドが影響を及ぼす可能性を回避するため、肺は、アッセイに先立って洗浄された。
実施例2:IT LPS後の損傷の経時変化
細菌(大腸菌)のリポ多糖(LPS)は、5 ug/g 体重での気管内(IT)注入によって、野生型C57Bl/6マウスへと投与された。マウスは、示されるように、LPSの12時間後、16時間後、24時間後、または48時間後に犠死させた。肺は切除され、そしてBALFを得るため、生理食塩水を用いて気管経由で洗浄された;肺はその後、ホモジナイズされた。測定されたパラメーターは、BALF中の有核細胞およびタンパク質、肺ホモジネート中のチオバルビツール酸反応性物質(TBARS)、8-イソプロスタン、およびタンパク質カルボニル、ならびに肺の湿乾重量比(W/D)であった。値は、n = 4についての平均±である。
図2に示されるように、BALF中の増加した細胞は、炎症を反映しており、BALF中のタンパク質および増加した湿/乾重量比は、肺胞の変化した透過性を反映しており、TBARSおよび8-イソプロスタンは、細胞膜脂質の過酸化を反映しており、そしてタンパク質カルボニルは、組織タンパク質の酸化を反映している。これらの作用はすべて、ALI症候群の特徴である。LPSの単回投与後に、顕著な肺損傷が存在し、これは、LPS後の12~24時間のあいだ、本質的には変化しない。部分的な回復は、48時間の時点で観察される。LPSによる肺損傷は、12~24時間、比較的安定である;おそらくこれは、進行中の肺損傷と回復プロセスとの間の均衡を反映している。データは、以下の表7に示される。
(表7)IT LPS後の損傷の経時変化
Figure 0007483684000034
LPS 5μg/g
実施例3:PIP-2は肺損傷を防御する
表9に示される、急性肺損傷(ALI)のITモデルは、PIP-2の効果を試験するために使用された。リポソーム中のPIP-2(2 ug/g 体重)は、LPSとともにIT投与された(0時間)か、またはLPSの12時間後もしくは16時間後に静脈内(IV)投与された。PIP-2のIV投与は、気管に対する第二の「攻撃」を回避するために使用された。マウスは24時間で犠死させ、そして肺は、表9に記載されるように、損傷に関して評価された。肺損傷からの防御(%)は、[1 - (PIP-2有りの場合の損傷 - 対照)/(LPSのみ - 対照)]として算定された。結果は、n = 4についての平均±SEである。* 対照に対して、P < 0.01。 PIP無し、24時間に対して、P < 0.01。
図3に示されるように、LPSと同時のPIP-2の投与は、LPS投与の24時間後に評価された際に、肺損傷を完全に防止していた。LPSの12時間後または16時間後に投与されたPIP-2は、LPSの24時間後に評価されて、肺損傷からの約85~95%の防御をもたらした。PIP-2の効果は、非常に劇的である。PIP-2もPIP-4も、時間0で投与された場合に肺損傷を防止し、かつ、12~16時間の時点で投与された場合に、さらなる損傷を防止して、LPSと24時間(h)後の犠死との間の12~16時間の期間に、ダメージを受けた肺が治癒することを可能にする。したがって、PIP-2およびPIP-4は、肺損傷を予防することができ、かつ処置することもできる。肺損傷のさまざまなマーカーについてのデータは、表8~11に示される。
(表8)LPS後の炎症および水腫に対する、PIP-2の効果
Figure 0007483684000035
n = 4、PIP-2濃度(2μg/g マウスの体重)、LPS 5μg/g
(表9)LPS後の肺組織の酸化に対する、PIP-2の効果
Figure 0007483684000036
n = 4、PIP濃度(2μg/g マウスの体重)、LPS 5μg/g
(表10)LPS後の炎症および水腫に対する、PIP-4の効果
Figure 0007483684000037
n = 4;PIP濃度は2μg/g マウスの体重、LPS 5μg/g
(表11)LPS後の肺組織の酸化に対する、PIP-4の効果
Figure 0007483684000038
n = 4、PIP濃度(2μg/g マウスの体重)、LPS 5μg/g
実施例4:PIP-2はドライパウダーとして安定である。
aiPLA2活性は、ペプチドが、aiPLA2活性に対する阻害剤としてのその効力をどれだけ長く維持できるのかを決定するため、間隔をあけて測定された。ペプチドは、4か月の観察のあいだ安定であった。
(表12)ドライパウダーとして室温で4か月保管した間のPIP-2の活性は、安定性を示す。
Figure 0007483684000039
実施例5:
以下の実施例において使用される材料および方法は、ここに記載される。
動物
C57Bl/6Jマウスと、NADPHオキシダーゼ(Nox2)ヌルマウスは、Jackson Laboratories(Bar Harbor, ME)から入手し、そしてHEPA濾過された空気のもと、12時間の明/暗周期として、University of Pennsylvania Laboratory Animal Resources(ULAR)の施設において維持した。
試薬
質量分析法により評価された、ペプチドの推定純度は、>89%であった。大腸菌(Escherichia coli)0111:B4の細胞膜から抽出され、そしてゲルろ過クロマトグラフィーにより精製されたリポ多糖(LPS)は、Sigma-Aldrich(St. Louis, Mo, USA、カタログ番号L3012)から入手した。アンプレックスレッド/西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)アッセイキット(カタログ番号A22188)、および還元型ジフルオロフルオレセインジアセテートのカルボキシ付加体(DFF-DA、カタログ番号13293)は、Life Technologies, Grand Island, NY, USAから(Thermo-Fisher Scientificを通じて)購入した。アンジオテンシンII(Ang II)は、Bachem, Torrance ,CA, USAから入手した(カタログ番号4095850.0005)。加工前の脂質は、Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USAから購入し、そしてリポソームは、蒸発乾固と、それに続く、先に記述されたような肺サーファクタントの組成を反映する、生理食塩水中での再構成によって、調製された;リポソーム組成は、モル分率で、0.5のジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、0.25の卵ホスファチジルコリン(PC)、0.10のホスファチジルグリセロール(PG)、および0.15のコレステロールであった。添加された際のPIP-2は、0.15μg PIP-2/μg 脂質であった。
LPSおよびPIP-2の投与
麻酔された(anesthesized)マウスには、20μl 生理食塩水中のLPS(5μg/g 体重、または15μg/g 体重のいずれか)が投与された、これは、気管竜骨のレベルに設置した気管内カテーテルを通じて、肺の中に注入された。本発明者らは先に、単独で注入された場合にはPIP-2は有効ではないが、リポソーム中に封入された場合に、PIP-2はおよそ50時間の半減期でaiPLA2活性を阻害することを示している。リポソーム中のPIP-2は、IV注入またはIT注入のため、20μl 生理食塩水に懸濁された。時間ゼロの時点でのPIP-2の効果を評価する試験のため、LPS投与には、リポソーム±PIP-2が続き、こちらもまた、IT注入により投与された。LPS後、時間がたってから投与されたPIP-2の効果を評価する試験のため、リポソーム±PIP-2は、網膜動脈内への注入により投与された。投与経路のこの変更は、マウス気管へのダメージ、これは、繰り返される気管切開により生じ得、そして肺に対する有害作用をもたらし得るが、該ダメージを最小限にするために使用された。気管内LPS後の処置のために使用されたPIP-2の用量は、2μg/g マウス体重であった;対照マウスにおいて、この用量のPIP-2は、少なくとも24時間のあいだ、肺aiPLA2活性を最大限に阻害することが示されている。最大限の保護を確実にするため、本発明者らは、12時間の時点でPIP-2の2回目の用量を投与し、そしてその後に、24時間ごとのPIP-2投与を進めた。敗血症のモデルに関し、20μl 生理食塩水中のLPS(15μg/g 体重)が腹腔内注入され、そしてマウスは、2μg/g 体重、または20μg/g 体重のいずれかで、IV PIP-2を用いて処置された;この敗血症モデルに関して、PIP-2の初回の用量はIVであってITではなかったことに注意されたい。本発明者らは、IT LPSモデルに使用されたのと同じ回数のPIP-2投与を、敗血症モデルにおいて使用した。麻酔から回復した後、すべてのマウスは、食物および水を自由に利用できる飼育器内で維持された。
肺損傷の評価
IT LPSを用いた各実験の終了時(24時間または120時間の時点のいずれか)に、生存マウスは、麻酔下での脱血により犠死させた。肺は、インサイチューで、肺動脈を経由した灌流によって血液を除去され、そしてその後、生理食塩水を用いて気管経由で洗浄された。肺はその後、組織アッセイのため、胸腔から切除された。本発明者らは、肺の気管支肺胞洗浄液(BALf)中の有核細胞の数およびタンパク質含量、肺の左上葉を用いた肺の湿乾重量比、ならびに、肺組織の脂質およびタンパク質成分の酸化を決定するための、肺ホモジネート中のチオバルビツール酸反応性物質(TBARS)、8-イソプロスタン、およびタンパク質カルボニルを測定することによって、肺損傷に対するLPSの効果を評価した。マウスの死亡率の試験に関し、生存プロットは、カプラン・マイヤー推定量を用いて構築された。
肺のROS産生およびaiPLA2活性の測定
対照(未処置)の肺におけるROS産生に対する、PIPの効果は、単離され灌流された肺を用いてインビトロで決定された。リポソーム中のPIP-2は、2μg/g マウス体重としてIV経路により投与された。30分後、マウスは麻酔され(anesthesized)、そして肺は単離され、血液を除去され、そして、Nox2活性化物質としてAng II(50μM)、ならびにROSを検出するためのアンプレックスレッドおよび西洋ワサビペルオキシダーゼを含む灌流液を用いて、再循環系において灌流された。PIP-2で処置されなかった、野生型マウスからの肺、およびNOX2ヌルマウスからの肺は、対照として使用された。ROS産生の基底速度は、AngIIの非存在下で灌流されたWTの肺を用いて評価された。灌流のプロトコルは、15分の平衡化期間と、それに続く60分の実験期間を含んでいた。灌流液のアリコートは15分の間隔で回収され、そして、アンプレックスレッドの酸化の産物であるレゾルフィン(λ励起 568 nm、λ蛍光 581 nm)についての蛍光によって分析された。アンプレックスレッドの酸化の速度は、マウスの体重に対して正規化された任意蛍光単位(AFU)として算定され、そして表された。灌流液中にHRPが非存在である場合に、低速のアンプレックスレッドの酸化が存在していた(AngIIで刺激された蛍光のおよそ7%)、これは、フルオロフォアの、ROSが介在しない酸化を示す;この値を差し引いて、記載の値を得た。
LPS処置後の肺のROS産生を決定するため、インタクトなマウスは、LPS(5μg/g)±PIP-2(2μg/g)を用いて処置された。マウスは、LPSを用いた処置の6時間後、12時間後、または24時間後に麻酔され(anesthesized)、そして肺はインサイチューで、血液を除去され、そしてその後、フルオロフォアであるDFF-DAを含む生理食塩水を用いて10分間灌流された、DFF-DAは、細胞内でDFFへと加水分解される。肺はその後ホモジナイズされ、そしてホモジネートの蛍光が、Ex 495 nm、Em 525 nmにおいて測定された。肺の蛍光は、マウスの体重に対して正規化された、灌流1分あたりのAFUとして表された。
統計学的分析
データは、平均±標準誤差(SE)として表された。直線プロットの傾きは、最小平均二乗法により算定された。SigmaStatソフトウェア(Jandel Scientific, San Jose, CA)が、統計学的有意性を評価するために使用された。群の差異に関する平均値は、1元配置ANOVAと、それに続くボンフェローニ事後検定によって評価された。2つの群の比較については、平均はスチューデントのt検定によって比較された。平均値の間の差異は、P < 0.05である場合に、統計学的に有意であるとみなされた。
結果:
肺のROS産生の、PIPによる阻害。
NOX2の活性化に対する、PIP化合物の阻害性効果を確認するため、本発明者らは、Ang IIの存在下での、単離され灌流された肺によるROS産生を試験した、Ang IIは、NOX2の既知の活性化物質である。アンプレックスレッドの酸化は、ROS産生の指標として使用された。対照条件下、すなわち、NOX2活性の刺激剤が添加されていない条件下において、灌流された肺には、非常に低いベースライン速度のROS産生が存在していた(図8、WT基底)。ROS産生は、NOX2を活性化するために灌流液にAng IIを添加すると、著しく増加した(図8、WT対照)。ROS産生は、WTの肺と比較して、NOX2ヌルにおいて76%減少した、これは、NOX2が、Ang IIでの刺激後に灌流液に生じたROSの主な供給源であることを示す。先に示されたように、WTの肺へのPIP-2(リポソーム中)の添加は、NOX2ヌルと同様に、ROS産生を阻害した(およそ75%)。したがって、PIP-2は、NOX2が介在するROS産生の、本質的に完全な阻害をもたらした。
本発明者らは次に、肺におけるLPS後のaiPLA2活性およびROS産生に対する、PIP-2(リポソーム中)の効果を決定した。これらのパラメーターは、IT LPSの投与の6時間後、12時間後、および24時間後に決定された。肺ホモジネートにおけるaiPLA2活性は、LPSを用いた処置の6時間後の時点で、対照と比較しておよそ50%増加し、そして12時間および24時間の時点でさらに50%増加した 図9A)。肺のROS産生を決定するため、本発明者らは、細胞内フルオロフォア(DFF-DA)を使用した。ROSに誘導される蛍光は、LPS未処置の対照の肺においては非常に低かったが、一方、LPS処置マウスの肺においては、6時間の時点でおよそ10倍増加し、そして12時間および24時間の両方の時点でおよそ20倍増加した(図9B)。LPS後の、肺のDFF蛍光におけるこの増加は、これらの肺における水腫の存在によってシグナルが希釈されるために、わずかに過小評価された可能性がある(以下を参照されたい)。LPS投与の前に、PIP-2を用いてマウスを事前処置すると、3種類の期間のすべてで、aiPLA2活性において、およびROSが産生する蛍光において、LPS未処置の対照と同様の値への、劇的な減少がもたらされた。これらの結果は、LPSの気管内投与は、肺においてROS産生の増加をもたらし、該ROS産生は、少なくとも24時間にわたり維持され、かつ、PIP-2を用いて肺を事前処置することによってほぼ完全に阻害され得ることを示す。
LPSによる肺損傷についての経時変化
LPSによる肺損傷への感受性は、マウス系統の間で顕著に異なる。この試験のため、本発明者らは、5μg/g 体重でIT LPSを投与されたC57Bl/6Jマウスに関して、肺損傷の経過を決定した(図2A~2F)。BALf中の増加した有核細胞、増加したBALfタンパク質、および増加した肺の湿乾重量比(p < 0.05)によって示されるように、LPSの12時間後に評価された際、肺はかなりの損傷を示した。これらの結果は、肺の炎症(BALf中の細胞)、肺胞-毛細血管関門の透過性の変化(BALfタンパク質)、および肺液の蓄積(肺の湿/乾重量)と合致する。肺組織の、TBARS、8-イソプロスタン、およびタンパク質カルボニルの増加は、肺組織の脂質およびタンパク質成分の酸化による酸化ストレスを示す。肺損傷のこれらの指標は、LPSの12時間後と、16時間後と、24時間後とで、同様の値を示した(図2A~2F)、これは、肺損傷の程度が、この非致死量のLPSの12~24時間後の時点で本質的に安定であったことを示す。肺損傷の指標における部分的な回復(およそ50%、p < 0.05)は、48時間の時点で観察されたが、それら指標は、対照と比較して依然として高かった(p < 0.05)。
LPSによる肺損傷に対する、PIP-2の効果
肺損傷に対するPIP-2投与の効果を試験するため、マウスは、IT投与されたLPS(5μg/g 体重)によって処置された。LPSの用量は、同じバッチのLPSを用いた、本発明者らの先の試験に基づいて選択された、該バッチは、1μg/g 体重で比較的低レベルの肺損傷を示し、かつ5μg LPS/g 体重で用いられた場合には、有意な死亡率を有さないまでも、より重い損傷を示している。PIP-2(2μg/g 体重、リポソーム中)は、LPSの0時間後、12時間後、または16時間後に投与された。本発明者らは先に、この用量のPIP-2は、少なくとも24時間のあいだ、肺のaiPLA2活性をおよそ90%阻害することができることを示している。気管に対する過剰なダメージを回避するため、PIP-2は、時間ゼロの時点でIT投与され、そして12時間または16時間の時点でIV投与された。動物は犠死させ、そして肺は、LPSの24時間後に検査された。肺の炎症、肺胞-毛細血管関門の機能不全、肺液の蓄積、および組織酸化ストレスを反映する、肺損傷のすべての指標は、対照と比較して、LPS処置マウスにおいて上昇していた(p < 0.05)。時間0の時点で投与されたPIP-2は、LPSの24時間後に評価された際、肺損傷を完全に防止していた(図3A~3F)。PIP-2を用いて12時間の時点で処置されたマウス、および16時間の時点で処置されたマウスの、肺における組織損傷の指標もまた、LPS単独と比較して著しく減少し、かつ値は、対照の値から有意に異なるものではなかった(図3A~3F)。肺損傷は、LPSの12時間後および16時間後の時点で肺に存在していたため、12時間または16時間の時点でPIP-2を投与されたLPS処置マウスの肺において、24時間の時点での値が正常であったことは、PIP-2の投与と肺の検査との間の8~12時間の期間に、肺がその損傷から完全に回復することが可能であったことのみを、意味することができる。
PIP-2処置は、高用量LPSによるマウスの死を防止する。
低用量LPS(5μg/g 体重)を用いて処置されたマウスは、顕著な肺損傷をこうむったが、それは一過性であり、かつ本質的に、すべてのマウスは傷害から回復するであろう(示していない)。より重い損傷モデルを用いて、PIP-2処置の効果を試験するため、マウスにはより高用量のLPS(15μg/g 体重)が投与された。生存データは、初回のPIP-2処置を時間0としてプロットされる;LPSは、PIP-2の12時間前に投与された(-12時間、これは、図7Aおよび図7Bのグラフからは外れている)。このより高用量のLPSにおいて、プラセボ(リポソーム単独)を用いて処置されたマウスは、LPS後の24時間のあいだに73%の死亡率を示し、かつ48時間までに100%の死亡率を示した。処置群に関し、PIP-2は、LPSの12時間後、24時間後、48時間後、72時間後、および96時間後にマウスに投与され、そしてマウスは120時間で犠死させた;PIP-2処置マウスは、PIP-2処置の開始から36時間後の時点でわずか17%の死亡率(83%生存)を示し、かつ観察期間のあいだ、それ以上の死亡率を有さなかった。死亡率に対する効果に加えて、大部分のマウスが、PIP-2の投与から12時間後までに正常な身体活動へ復帰したという点において、LPS後にPIP-2を投与されたマウスの挙動において、著しい差異が観察された。LPSの120時間後に犠死させた、処置マウスにおける肺損傷の指標は、異常を示さなかった(表13)。
(表13)肺損傷は、高用量LPSを生き延びたマウスにおいて修復される。
Figure 0007483684000040
マウスには、LPS(15μg/g 体重)がIT注入された;リポソーム中のPIP-2(2μg/g 体重)は、図7Aに示される時間において注入された(IV)。5匹の生存マウスは、LPSの120時間後に犠死させた;対照マウスはリポソームを投与されたが、LPSは投与されなかった。BALf、気管支肺胞洗浄液;TBARS、チオバルビツール反応性物質。値は、対照に関してはN = 4についての平均±SEであり、かつLPS+PIP-2に関してはN = 5についての平均±SEである。LPS+PIP-2についての平均値には、対応する対照から統計学的に異なっている(p > 0.05)ものは無かった。
本発明者らは次に、全身性の敗血症に関連するALIのモデルとして、腹腔内経路によってLPS(15μg LPS/g 体重)を投与されたマウスにおける、PIP-2の効果を評価した。本発明者らの先の試験に基づき、10 ug LPS/g 体重で60%の死亡率を示したLPSの用量を、本発明者らは選択した;本発明者らの目標は、高用量IT LPSの試験の際に観察されたのと同様に、プラセボ処置マウスにおいて100%の死亡率を生じさせることであった。プラセボ処置マウス(リポソームのみ)の生存率は、LPSの24時間後の時点で40%未満であり、かつ100%のマウスが48時間までに死亡した(図7B)。対照的に、PIP-2(2μg/g 体重)を用いたマウスの処置は、LPSの36時間後の時点で生存率を86%まで増加させ、かつ43%のマウスが完全に回復した。より高用量のPIP-2(20μg/g 体重)を用いると、長期生存率は70%と顕著に高かった。したがって、全身性の敗血症に関連するALIのこのモデルにおいて、PIP-2はマウスの生存率を著しく増加させた。
ALIは、およそ40%の死亡率を有する深刻な疾患症候群である。炎症は、最初の傷害に関連付けられる肺損傷を増幅させ得る重要な要因である。現在まで、該症候群の炎症性の要素に対する、承認された薬物治療法は存在しない。肺の炎症のあいだの肺損傷のメカニズムは複雑であるが、過剰なROS産生が主要な役割を果たしているようである。本発明者らは、Prdx6のaiPLA2活性が、NOX2によるROS産生の活性化に必要であることを先に示しており、かつ、aiPLA2活性を阻害し、そしてそれにより、肺細胞においてNOX2の活性化を阻害する、肺サーファクタントタンパク質A(SP-A)配列に由来する、いくつかのノナペプチドを記述している。PLA2阻害性ペプチド(PIP-2、PIP-4、およびPIP-5)と称されるこれらのペプチドが、単離されたマウス肺において、AngIIにより活性化されたNOX2による、ROS産生を阻害することを、本試験は確認する。PIP-2は、他の2つよりもわずかに高活性のようであったものの、3つのPIP化合物のすべては阻害剤として有効であった、これはおそらく、Prdx6のアミノ酸配列が種間で高度に保存されていることを部分的に反映している。本発明者らは、16アミノ酸であるPIPの前駆体の、結合のための部位は、Prdx6のアミノ酸195~204を含むアミノ酸配列に対するものであることを証明している。ヒトPrdx6のこのセグメントの配列は:
Figure 0007483684000041
であり;対応するマウス配列は、10アミノ酸のうち8つが同一であって、200位においてKではなくQを有し、かつ201位においてLではなくCを有する。その後の試験のため、本発明者らは、ヒトSP-Aにおいて相当する配列に由来するPIPである、PIP-2を選択した。PIP-2のアミノ酸配列は:
Figure 0007483684000042
である。
本試験の主たる目標は、LPSの気管内投与に関連する肺損傷に対する、PIP-2の効果を評価することであった。本発明者らは、PIP-2が、AngIIが介在するROS産生を著しく阻害することを、初めに証明した;AngIIは、NOX2の既知の活性化物質であり、かつ、本発明者らが先に示したように、活性化はaiPLA2活性を必要とする。本発明者らは次に、LPSを用いた処置は、肺のaiPLA2活性の著しい増加、およびまた、NOX2の活性化を通じたROS産生の著しい増加の、両方をもたらしたことを示した;aiPLA2活性およびROS産生の両方の、LPSによる増加もまた、PIP-2によって阻害された。
肺損傷モデルにおけるPIP-2の有効性の最初の試験は、PIP-2の、LPSとの同時投与であった、これは、その後の肺損傷を顕著に防御した。LPS後の急性肺損傷を評価するための測定は、以下を含んでいた:a) BALf中の有核細胞(炎症);b) BALf中のタンパク質(肺胞-毛細血管の透過性);c) 肺の湿乾重量比(肺水腫);ならびにd) 肺の、TBARS、8-イソプロスタン、およびタンパク質カルボニル(組織の脂質およびタンパク質の酸化)。損傷のこれらの指標のすべては、LPSの投与の12~24時間後に評価された肺において顕著に上昇した。しかしながら、組織損傷のこれらの指標はいずれも、PIP-2がLPSと同時に投与された場合には、肺において変化しなかった。したがって、PIP-2は、マウスにおいて、LPS投与に関連するALIを予防することができる。
次の試験は、処置(予防ではない)モダリティとして、LPSの投与の12時間後または16時間後に投与されたPIP-2の効果を調査した。図3A~3Fに示されるように、非致死性LPSに関連する組織損傷は、この時点で最大である。LPSの12時間後または16時間後のいずれかの時点でPIP-2を投与すると、肺損傷のパラメーターは、LPSの24時間後に検査された際に、本質的に正常値に復帰していた。この試験からの、本発明者らの結論は、PIP-2は、LPSに関連する、進行中の肺損傷を防止し、かつPIP-2投与と動物の犠死との間の8~12時間の期間に、肺がそれ自体を修復することを可能にした、というものである。
本発明者らの最後の試験は、致死量のLPSの投与後のマウスの肺機能および生存率に対する、PIP-2の効果を評価することであった。LPSの投与後に、12~24時間ごとにPIP-2を投与すると、マウスの挙動は劇的に改善され、マウスの死亡率は著しく減少し、そして肺損傷の指標の、正常値への復帰がもたらされた。したがって、Prdx6のPLA2活性に対するノナペプチド阻害剤は、NOX2活性化に続くROS産生を防止し、そして致死量のLPSの投与に関連する死を防止した。これらの結果は、PIP-2が、マウスモデルの、LPSに誘導されるALIを予防することができ、かつ処置することもできることを示す。
PIP-2を用いた本結果は、aiPLA2活性およびそれに続くNOX2の活性化を阻害するためのいくつかの異なる手段を用いて、LPSに誘導されるALIの防御を示した本発明者らの先の試験と、同様の結論をもたらす。これらは、以下を含んでいる:a) aiPLA2活性に対する脂質阻害剤である、MJ33の投与;b) Prdx6ヌルマウスの使用(Prdx6のペルオキシダーゼ活性もまた失われているため、完璧なモデルではない);およびc) Prdx6においてアミノ酸D140の変異を有するマウス、該位置は、aiPLA2活性部位の必須の構成要素である。MJ33で阻害されたマウス、D140A変異体マウス、およびPIP-2処置マウスはすべて、Prdx6のペルオキシダーゼ活性を保持しているが、一方でこの活性は、Prdx6ヌルマウスにおいては無効にされている。これらの先の試験において、LPSは、 a) および b) においては、直接的な肺損傷のモデルとして、IT経路によって投与され、そして c) においては、非感染性敗血症のモデルとして、腹腔内経路によって投与された。PIP-2によってもたらされる防御のメカニズムは、Prdx6への該ペプチドの結合によって生じるアロステリック効果による、該ペプチドの、Prdx6のaiPLA2活性に対する阻害であることを、本発明者らは提案している。実験によって証明され、かつ別のタンパク質に対する潜在的な結合部位の非類似性に基づいて予想されたように、PIPペプチドは、他の肺PLA2酵素を阻害しない。aiPLA2活性の阻害は、リゾPCおよびその下流の産物の産生を防止し、それにより、Nox2活性化に必須の補因子である、Racの活性化を防止する。興味深いことに、コレステロール低下薬であるシンバスタチンもまた、Racの活性化を阻害するものであり、かつ、シンバスタチンは、内皮細胞によるROS産生を阻害すること、およびLPSに誘導されるALIのマウスモデルにおいて防御的であることが示されている。現時点では決定的な証拠はないものの、Rac活性化の阻害は、NOX2活性化に対するその効果に加えて、ROSが介在しないALIの症状に対する有益な効果を有する可能性がある。
本試験および先の試験は、NOX2が、肺におけるROSの主な供給源であること、および該酵素が、LPSの存在下で活性化されることを示している。LPSモデルに加えて、NOX2によるROS産生は、関連するが異なっている、ALIの他のいくつかの動物モデル、これはグラム陰性敗血症、エンドトキシン、重度の外傷、出血性ショック、およびオレイン酸注入を含むが、該動物モデルにおいて、中心的な役割を果たすことが示されている。おそらく、NOX2活性化に関連するオキシダントストレスの主な徴候は、本試験に示されるように、組織高分子の酸化である。しかしながら、NOX2に由来するROSに関連する、別の重要な病態生理学的役割は、ROSが、肺へと好中球の動員をもたらすシグナルの原因であり、かつ、結果として生じる、ALIの特徴である肺の炎症の原因であることの、証拠に基づいている。PIP-2を用いた処置後の、BALf中の有核細胞の著しい減少は、ROSのこの機能が、肺損傷からの回復のために重要であることを示唆する。その点に関し、ミリストイル化アラニンリッチCキナーゼ基質(Marcks)タンパク質に対するペプチド阻害剤もまた、マウスにおいてLPSによる肺損傷を防御する。この後者のペプチドは、NOX2活性化を阻害することが過去に示されているわけではないが、その効果は、PMNの肺への流入を防止するという、細胞運動性の変化によって、媒介されている可能性がある。したがって、PIP-2、シンバスタチン、Marcksタンパク質阻害剤、およびおそらくアポシニンなどのNOX2の阻害剤はすべて、LPS後の肺へのPMNの流入を防止し、それにより、炎症およびそれに関連する肺損傷を回復させる可能性がある。
本結果に基づけば、NOX2活性化に対するペプチド阻害剤は、ALIのリスクを有する患者のための予防薬として、およびALIに罹患している患者のための処置として、有効であり得る。これらの小さなペプチドの毒性は、それらペプチドが、SP-Aタンパク質の構成要素として肺において通常発現していることに基づけば、予想されるものではないが、毒性はそれでも調査されなければならない。該ペプチドが抗原性を有する潜在性は理論上低いが、ヒトにおいて確認される必要があるだろう。該ペプチドの、可能性のある他の副作用は、Rac活性化の阻害に関連するもの、ならびにROSのシグナル伝達機能および制御機能の喪失に関連するものを含む。注目すべきことに、広く使用されている薬剤であるシンバスタチン(simvistatin)に関して、Racの阻害に関連し得る重大な作用は、今のところ報告されていない。PIPを用いた処置の、潜在的により重要な「副作用」は、ROS産生の阻害が、炎症細胞(PMNおよびAM)の殺菌活性に及ぼす影響であり得、これら細胞は、細菌の殺傷のために、NOX2の活性によって産生されるスーパーオキシドアニオンを使用する。さらに、いくつかの抗生物質は、最大の効力のためにROSを必要とすることが示されている。感染への応答を変化させる可能性が理論上あるにもかかわらず、NOX2活性化に対する阻害剤は、ALIのLPSモデルにおいて、PMNの殺菌活性を減少させなかった。これは、NOX2に由来するROSの喪失を埋め合わせる、非NOX2経路の能力を反映している可能性がある。これは、NOX2阻害剤を用いて処置されている患者における、抗生物質による保護の重要な役割を際立たせるものであり得るが、抗生物質単独の使用は、この疾患の死亡率を、40%を顕著に下回る値にまで減少させるには有効ではないことに注目することは、重要である。
本明細書において引用されている、特許、特許出願、および刊行物の開示はいずれもすべて、本明細書によって、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
本発明は、特定の態様を参照して開示されているが、本発明の他の態様および変形物が、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく他の当業者によって案出され得ることは、明らかである。添付の特許請求の範囲は、すべてのそのような態様および同等の変形物を含むと解釈されることが、意図される。

Claims (13)

  1. SEQ ID NO: 4 X1X2X3X4X5LX6X7X8X9HQILからなるポリペプチドであって、
    X1は、Eであるか、または存在せず;
    X2は、Lであるか、または存在せず;
    X3は、Qであるか、または存在せず;
    X4は、AもしくはTであるか、または存在せず;
    X5は、TもしくはEであるか、または存在せず;
    X6は、HまたはYであり;
    X7は、DまたはEであり;
    X8は、FまたはIであり;かつ
    X9は、RまたはKである、
    ポリペプチド
    を含む、Prdx6に結合することによりPrdx6のaiPLA2活性を阻害するための組成物。
  2. ポリペプチドが、
    SEQ ID NO: 1 LHDFRHQIL、SEQ ID NO: 2 LYEIKHQILまたはSEQ ID NO: 3 LYDIRHQIL
    からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
  3. ポリペプチドが、
    SEQ ID NO: 5 ELQTELYEIKHQIL、SEQ ID NO: 6 QTELYEIKHQILおよびSEQ ID NO: 7 ELYEIKHQIL
    からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
  4. ポリペプチドが、1種または複数種のリポソーム中に封入されている、請求項1に記載の組成物。
  5. エアロゾル吸入用にまたは気管内注入用もしくは静脈内注入用に製剤化されている、請求項1に記載の組成物。
  6. SEQ ID NO: 4 X1X2X3X4X5LX6X7X8X9HQILからなるポリペプチドであって、
    X1は、Eであるか、または存在せず;
    X2は、Lであるか、または存在せず;
    X3は、Qであるか、または存在せず;
    X4は、AもしくはTであるか、または存在せず;
    X5は、TもしくはEであるか、または存在せず;
    X6は、HまたはYであり;
    X7は、DまたはEであり;
    X8は、FまたはIであり;かつ
    X9は、RまたはKである、
    ポリペプチドと、
    薬学的に許容される担体と
    を含む組成物の有効量を含む、対象において急性肺損傷を処置するための薬学的組成物。
  7. ポリペプチドが、
    SEQ ID NO: 1 LHDFRHQIL、SEQ ID NO: 2 LYEIKHQILまたはSEQ ID NO: 3 LYDIRHQIL
    からなる群より選択される、請求項6に記載の薬学的組成物。
  8. ポリペプチドが、
    SEQ ID NO: 5 ELQTELYEIKHQIL、SEQ ID NO: 6 QTELYEIKHQILおよびSEQ ID NO: 7 ELYEIKHQIL
    からなる群より選択される、請求項6に記載の薬学的組成物。
  9. ポリペプチドが、1種または複数種のリポソーム中に封入されている、請求項6に記載の薬学的組成物。
  10. 薬学的組成物が、エアロゾル吸入によってまたは気管内注入もしくは静脈内注入によって対象に投与される、請求項6に記載の薬学的組成物。
  11. ポリペプチドがSEQ ID NO: 1からなる、請求項1に記載の組成物。
  12. ポリペプチドがSEQ ID NO: 1からなる、請求項6に記載の薬学的組成物。
  13. ポリペプチドがリポソーム中に封入されている、請求項12に記載の薬学的組成物。
JP2021507917A 2018-08-17 2019-08-15 急性肺損傷の処置のための組成物および方法 Active JP7483684B2 (ja)

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