[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態のカラオケ装置1について説明する。
[カラオケ装置]
図1は、第1の実施形態のカラオケ装置1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、カラオケ装置1は、カラオケ本体2と、モニタ等の表示装置3と、スピーカ4と、マイクロフォン5と、リモコン装置6とを備えている。カラオケ装置1は、例えば、カラオケルーム等の設置場所に設置される。
カラオケ本体2は、有線又は無線により表示装置3、スピーカ4、マイクロフォン5及びリモコン装置6と接続されている。表示装置3は、カラオケ本体2からの映像信号等に基づいて、カラオケ演奏に合わせて背景映像と共に歌詞テロップを表示する。スピーカ4は、カラオケ本体2からの放音信号に基づいて、楽曲の演奏音と共に利用者の歌唱音声を放音する。マイクロフォン5は、利用者の歌唱音声を音声信号に変換してカラオケ本体2に入力する。
リモコン装置6は、タッチパネルを主体に構成されている。リモコン装置6は、各種画面や各種操作ボタンをタッチパネルに表示すると共に、タッチパネルによってログイン操作や選曲(予約)操作を受け付けている。リモコン装置6とカラオケ本体2は無線通信を介してペアリングされることで、リモコン装置6とカラオケ本体2の間で各種情報が相互に送受信される。
リモコン装置6は、利用者のログイン操作に応じて入力された利用者識別情報(利用者ID)等をカラオケ本体2へ送信する。リモコン装置6は、楽曲の検索や推奨楽曲の選択による選曲(予約)を受け付けて、利用者の選曲(予約)操作に応じて選曲(予約)された楽曲の楽曲識別情報(楽曲ID)を予約楽曲情報としてカラオケ本体2へ送信する。
また、カラオケ本体2は、選曲(予約)された楽曲のカラオケ演奏を行う機能に加えて、所定のレコメンド手段によって利用者に推奨楽曲を提供する機能を有する。
カラオケ本体2は、制御部10と、記憶部11とを備えている。制御部10は、CPU(Central Processing Unit)等を有して構成され、カラオケ本体2を統括制御する。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)等の記憶媒体を有して構成される。
記憶部11は、カラオケ装置1の各部及び各機能を制御するためのプログラムやデータを記憶する。例えば、記憶部11は、カラオケ装置1の各利用者の利用者IDを記憶して各利用者を識別している。また、記憶部11は、カラオケ装置1がカラオケ演奏可能な各楽曲について、楽曲ID、曲名、歌手名、ジャンル等の基本情報を記憶している。また、記憶部11は、楽曲ID毎に、楽曲データ等のカラオケ演奏に関する各種データを記憶している。
また、記憶部11は、カラオケ装置1の各利用者について、所定期間(例えば、直近1年間)の間にカラオケ演奏された楽曲の楽曲IDをその演奏回数及び利用者IDと対応付けて当該利用者の歌唱履歴情報として記憶する。換言すれば、記憶部11は、利用者毎に、カラオケ歌唱した楽曲の楽曲ID及び演奏回数を歌唱履歴情報として記憶している。
また、カラオケ本体2は、各利用者の歌唱履歴情報に基づいて、所定期間の全国的な歌唱度数ランキングを統計して記憶部11に記憶している。なお、各利用者の歌唱履歴情報を作成する際に、各利用者がカラオケ歌唱した楽曲の演奏順序を記憶していれば、歌唱履歴情報に含まれる各楽曲に対して次に演奏されたことのある次楽曲を把握することができる。従って、各楽曲に対して次楽曲として演奏された頻度(回数)を次楽曲毎に割り出すことができるので、カラオケ本体2は、各楽曲に対して次楽曲の演奏頻度を記憶部11に記憶してもよい。
制御部10は、記憶部11に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、カラオケ装置1の各部及び各機能を制御する。例えば、本実施形態の制御部10は、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、ログイン処理部15、レコメンド部16、生成部17及び判定部18として動作する。
ログイン処理部15は、利用者によるリモコン装置6のログイン操作に応じてリモコン装置6から利用者IDを受信して、利用者IDを記憶部11に記憶することで利用者IDに対応する利用者のログイン処理を行う。なお、カラオケ本体2が利用者IDを入力する機能を有していてもよい。
レコメンド部16は、ログインしている利用者(ログイン利用者)に対して推奨する楽曲(推奨楽曲)を、所定のタイミングで所定のレコメンド手段によって判定する。ここで、所定のタイミングとは、ログイン利用者に対してカラオケ演奏する楽曲を推奨するのに適したタイミングであり、例えば、カラオケ演奏の予約が無いまま所定時間が経過したタイミングや、ログイン直後のタイミング、リモコン装置6の操作等によって利用者から楽曲の推奨のリクエストがあったタイミング等がある。
所定のレコメンド手段として、レコメンド部16は、例えば、ログイン利用者の利用者IDに基づいて記憶部11からログイン利用者の歌唱履歴情報を取得し、取得した歌唱履歴情報に基づいて上位の所定数の楽曲を推奨楽曲として判定する。あるいは、レコメンド部16は、ログイン利用者の利用者IDに基づいて記憶部11からログイン利用者と嗜好が近似する他の利用者の歌唱履歴情報を取得し、取得した歌唱履歴情報に基づいて上位の所定数の楽曲を推奨楽曲として判定する。若しくは、レコメンド部16は、直近の所定期間の全国的な歌唱度数ランキングに基づいて、人気の高い順に上位の楽曲を推奨楽曲として判定してもよく、又はカラオケ演奏中の楽曲の次に演奏された頻度の高い順に上位の楽曲を推奨楽曲として判定してもよい。本実施形態では、レコメンド部16は、何れのレコメンド手段を用いてもよく、複数のレコメンド手段を複合的に用いてもよい。
また、レコメンド部16は、判定部18によって飛沫条件を満たすと判定された推奨楽曲を推奨する一方、飛沫条件を満たさないと判定された推奨楽曲を推奨しない。
生成部17は、レコメンド部16で判定された推奨楽曲の歌詞データ内の所定の子音を含む特定歌詞文字に基づいて当該推奨楽曲の飛沫情報を生成する。先ず、生成部17は、記憶部11から楽曲の歌詞データを読み出し、歌詞データに含まれる特定歌詞文字を判定する。例えば、所定の子音とは、破裂音「P」、「B」、「T」、「D」、「K」、「G」及び摩擦音「S」、「H」、「Z」であり、歌詞データ内の歌詞文字のローマ字表記から所定の子音を判定できる。また、所定の子音を含む特定歌詞文字は、歌詞データ内の語句の先頭の文字であって、「ぱ行」、「ば行」、「た行」、「だ行」、「か行」、「が行」の破裂音の文字、及び「さ行」、「は行」、「ざ行」の摩擦音の文字である。なお、本実施形態では、日本語の歌詞を前提として所定の子音を定義したが、英語の歌詞の場合には所定の子音として「F」、「V」等に対応する音を含んでもよい。
これらの特定歌詞文字を含む歌詞を歌唱した場合には飛沫が発生し易いため、生成部17は、推奨楽曲の歌詞データ内の特定歌詞文字に基づいて、例えば、歌詞データ内の特定歌詞文字の数をカウントすることにより、推奨楽曲の飛沫情報を生成する。例えば、楽曲の所定の歌唱区間の歌詞が「きぶんは さいこう あなたも わたしも ぱっぱら ぱー」である場合、この歌唱区間は、各語句の先頭に、破裂音「き」を1つと、破裂音「ぱ」を2つと、摩擦音「さ」を1つとを含む。従って、生成部17は、この歌唱区間から4つの特定歌詞文字をカウントし、飛沫情報「4」を生成する。このようにして、生成部17は、楽曲の全歌唱区間の歌詞データに含まれる特定歌詞文字をカウントし、例えば、楽曲の全歌唱区間が30の特定歌詞文字を含む場合、飛沫情報「30」を生成する。
判定部18は、生成部17で生成された飛沫情報が所定の第1の飛沫条件を満たすか否かを判定する。例えば、第1の飛沫条件は、飛沫が発生し易いために歌唱を避けた方がよいと判断される飛沫情報の閾値を示し、カラオケ装置1が設置されるカラオケルームの大きさやカラオケ装置1の設置場所の換気システムの能力等の条件に基づいて予め定義されて記憶部11に記憶される。
[カラオケ装置の演奏動作]
次に、利用者がカラオケ歌唱を行うときのカラオケ装置1の基本的な演奏動作について説明する。
先ず、利用者がリモコン装置6を操作して利用者IDを入力すると、カラオケ本体2では、ログイン処理部15がリモコン装置6から利用者IDを受信してログイン処理を行い、以降の動作は、ログインしている利用者IDに対応する利用者の動作とみなされる。
利用者がリモコン装置6を操作して楽曲を予約すると、カラオケ本体2の制御部10は、リモコン装置6から受信した予約楽曲情報を利用者IDと対応付けて記憶部11の予約管理テーブルに登録する。記憶部11には、楽曲ID毎に楽曲データ等のカラオケ演奏に関する各種データが記憶されている。制御部10は、予約管理テーブルから登録順に予約楽曲情報を読み出し、この予約楽曲情報の楽曲IDに対応する楽曲データ等を記憶部11から読み出す。楽曲データには、カラオケ楽曲の伴奏音の元になる伴奏データ、歌唱の採点基準となるリファレンスデータ、表示装置3に表示される歌詞テロップの元になる歌詞データが含まれている。
カラオケ本体2は、カラオケ演奏を開始すると伴奏データを再生し、伴奏データの再生に同期して歌詞データ及び背景映像データに基づいて歌詞テロップ及び背景映像を表示装置3に表示する。また、カラオケ本体2は、カラオケ演奏の伴奏音信号とマイクロフォン5から入力された歌唱音声信号とをミキサによって適切な比率でミキシングして、このミキシング信号をアンプによって増幅してスピーカ4から放音する。このとき、歌唱者がカラオケ演奏に合わせて歌唱すると、スピーカ4から伴奏音と共に歌唱音声が放音される。カラオケ本体2は、歌唱音声をリファレンスデータに基づいて採点し、その歌唱採点を利用者ID及び楽曲IDに対応付けて記憶部11に記憶する。
また、カラオケ本体2は、少しでもカラオケ演奏が開始された場合、あるいは所定時間カラオケ演奏が開始された場合に、カラオケ演奏を行った楽曲の履歴を保存するために、カラオケ演奏された楽曲の楽曲IDと利用者IDとを関連付けた歌唱履歴情報をその通算演奏回数を含めて記憶部11に記憶する。
[第1の実施形態の楽曲推奨動作]
次に、第1の実施形態のカラオケ装置1の楽曲推奨動作について図2を参照して説明する。図2は、カラオケ装置1の楽曲推奨動作を示すフローチャートである。
先ず、上記と同様に、利用者U1がリモコン装置6を操作して利用者ID「xxxU1」を入力すると、カラオケ本体2では、ログイン処理部15がリモコン装置6から利用者ID「xxxU1」を受信してログイン処理を行う(ステップS1)。
レコメンド部16は、カラオケ演奏の予約の操作状況を監視して、カラオケ演奏の予約が無いまま所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS2)。
そして、カラオケ演奏の予約が無いまま所定時間が経過した場合(ステップS2:YES)、レコメンド部16は、ログイン利用者U1の利用者ID「xxxU1」に基づいて歌唱履歴情報を記憶部11から取得して、ログイン利用者の歌唱履歴情報から演奏回数の多い順に上位5曲(1位から5位まで)の楽曲を抽出して推奨楽曲X1~X5とする(ステップS3)。
生成部17は、各推奨楽曲X1~X5の飛沫情報を生成し、判定部18は、各推奨楽曲X1~X5の飛沫情報が第1の飛沫条件を満たすか否かを判定する。一例として、推奨楽曲X1~X5の楽曲IDが「yyyX1」~「yyyX5」である場合に、連続番号1~5を番号nとして、楽曲ID「yyyXn」の推奨楽曲Xnを処理する動作を説明する。先ずは、処理する番号nを1に設定する(ステップS4)。
生成部17は、楽曲ID「yyyX1」の推奨楽曲X1に対応する歌詞データL1を記憶部11から読み出し、読み出した歌詞データL1に含まれる特定歌詞文字から飛沫情報を生成する(ステップS5)。
判定部18は、推奨楽曲X1の飛沫情報が第1の飛沫条件を満たすか否かを判定する(ステップS6)。例えば、第1の飛沫条件が「飛沫情報が50未満」と定義されていて、推奨楽曲X1の飛沫情報が「30」である場合、判定部18は、推奨楽曲X1が第1の飛沫条件を満たすと判定する(ステップS6:YES)。なお、このような第1の飛沫条件が示す飛沫情報の閾値は、例えば、カラオケルームが広いほど高く設定されてもよく、また、換気システム能力が高いほど高くされてもよい。
そして、レコメンド部16は、第1の飛沫条件を満たすと判定された推奨楽曲X1の推奨を維持して、推奨楽曲X1に係る曲名等の情報を表示装置3やリモコン装置6に表示する(ステップS7)。
処理する番号nが推奨楽曲の所定数「5」に達していなければ(ステップS8:NO)、番号nをカウントアップし(ステップS9)、生成部17による飛沫情報の生成及び判定部18による第1の飛沫条件の判定を繰り返す(ステップS5~S6)。
例えば、生成部17が楽曲ID「yyyX2」の推奨楽曲X2の歌詞データL2を記憶部11から読み出して飛沫情報「55」を生成した場合(ステップS5~S6)、判定部18は、推奨楽曲X2の飛沫情報が第1の飛沫条件を満たさないと判定し(ステップS6:NO)、レコメンド部16は、推奨楽曲X2を推奨せずに表示装置3やリモコン装置6に表示しない。
また、生成部17が楽曲ID「yyyX3」の推奨楽曲X3の歌詞データL3を記憶部11から読み出して飛沫情報「45」を生成した場合(ステップS5~S6)、判定部18は、推奨楽曲X3の飛沫情報が第1の飛沫条件を満たすと判定し(ステップS6:YES)、レコメンド部16は、推奨楽曲X3を推奨して表示装置3やリモコン装置6に表示する(ステップS7)。
また、生成部17が楽曲ID「yyyX4」の推奨楽曲X4の歌詞データL4を記憶部11から読み出して飛沫情報「40」を生成した場合(ステップS5~S6)、判定部18は、推奨楽曲X4の飛沫情報が第1の飛沫条件を満たすと判定し(ステップS6:YES)、レコメンド部16は、推奨楽曲X4を推奨して表示装置3やリモコン装置6に表示する(ステップS7)。
また、生成部17が楽曲ID「yyyX5」の推奨楽曲X5の歌詞データL5を記憶部11から読み出して飛沫情報「60」を生成した場合(ステップS5~S6)、判定部18は、推奨楽曲X5の飛沫情報が第1の飛沫条件を満たさないと判定し(ステップS6:NO)、レコメンド部16は、推奨楽曲X5を推奨せずに表示装置3やリモコン装置6に表示しない。
その後、処理する番号nが推奨楽曲の所定数「5」に達していれば(ステップS8:YES)、推奨楽曲X1、X3、X4の推奨を維持したまま、レコメンド部16によるカラオケの予約の判定に移行する(ステップS2)。なお、推奨楽曲X1、X3、X4の推奨は、カラオケ演奏の予約がされるまで維持する。
また、カラオケ本体2は、利用者がログアウトしていなければ(ステップS10:NO)、楽曲推奨動作を繰り返し、一方、利用者がログアウトしていれば(ステップS10:YES)、楽曲推奨動作を終了する。
上記したように、本発明の第1の実施形態のカラオケ装置1は、利用者に対してカラオケ演奏する楽曲を推奨するレコメンド部16と、レコメンド部16が推奨する楽曲の歌詞データ内の所定の子音を含む特定歌詞文字に基づいて当該楽曲の飛沫情報を生成する生成部17と、飛沫情報が所定の第1の飛沫条件を満たすか否かを判定する判定部18と、を有する。レコメンド部16は、楽曲の飛沫情報が第1の飛沫条件を満たす場合に、当該楽曲を推奨する。
これにより、歌唱の発声状況を予測して飛沫の発生し易さを考慮するため、飛沫の発生し易い楽曲を推奨することなく、飛沫の発生し難い楽曲を推奨することができる。従って、飛沫感染に不安のある利用者は、飛沫の発生し難い楽曲を選択することで安心してカラオケ歌唱を楽しむことができる。また、飛沫の発生し難い楽曲のカラオケ歌唱が行われていれば、飛沫の発生し易い楽曲のカラオケ歌唱が頻繁に行われる場合に比べて、飛沫感染による感染症の拡大を抑制することができる。
[第1の変形例]
なお、上記の第1の実施形態では、生成部17が推奨楽曲の歌詞データ内の特定歌詞文字の数をカウントして推奨楽曲の飛沫情報を生成する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。第1の変形例として、生成部17は、楽曲の歌詞データ内の特定歌詞文字の子音の種別に応じて飛沫情報を生成してもよい。
例えば、生成部17は、楽曲の全歌唱区間の歌詞データに含まれる特定歌詞文字をカウントするときに、特定歌詞文字の子音の種別に応じてカウント値に重み付けを行う。このとき、飛沫の発生が多いと推測される破裂音又は摩擦音に重み付けを行い、例えば、飛沫の発生の推測量が多いほど、重み付けを大きく設定し、また、その他の破裂音又は摩擦音には重み付けを行わない。具体的には、「ぱ」行の破裂音の子音を含む特定歌詞文字のカウント値には1.5の重み付けを設定し、「さ」行の摩擦音の子音を含む特定歌詞文字のカウント値には1.2の重み付けを設定し、その他の破裂音又は摩擦音の子音を含む特定歌詞文字のカウント値には重み付けを設定せず、あるいは1.0の重み付けを設定する。
例えば、楽曲の所定の歌唱区間の歌詞が「きぶんは さいこう あなたも わたしも ぱっぱら ぱー」である場合、この歌唱区間は、各語句の先頭に、重み付け1.0の破裂音「き」を1つと、重み付け1.5の破裂音「ぱ」を2つと、重み付け1.2の摩擦音「さ」を1つとを含む。従って、生成部17は、この歌唱区間から4つの特定歌詞文字をカウントし、子音の種別に応じた重み付けを考慮して飛沫情報「5.2」を生成する。
これにより、歌唱の発声状況を予測して子音の種別に応じた飛沫の発生し易さを考慮するため、楽曲の飛沫情報をより正確に生成することができる。
[第2の変形例]
また、第2の変形例として、生成部17は、楽曲の歌詞データ内の特定歌詞文字及び楽曲の演奏時間(あるいは歌唱時間)に基づいて飛沫情報を生成してもよい。例えば、生成部17は、カラオケ演奏(あるいはカラオケ歌唱)の所定時間(例えば、1分)当たりの特定歌詞文字のカウント値を飛沫情報として生成する。このとき、判定部18は、所定時間当たりの特定歌詞文字のカウント値に対応して、歌唱を避けた方がよいと判断される飛沫情報の閾値を示すように、第1の飛沫条件を予め定義する。
具体的には、生成部17は、演奏時間が3分00秒の楽曲X6の全歌唱区間の歌詞データから30の特定歌詞文字をカウントした場合、楽曲X6の1分当たりの特定歌詞文字のカウント値を算出して、30÷3から飛沫情報「10」を生成する。判定部18は、第1の飛沫条件を「飛沫情報が8未満」に定義していた場合、飛沫情報が「10」である楽曲X6が第1の飛沫条件を満たさないと判定する。この場合、レコメンド部16は、第1の飛沫条件を満たさない楽曲X6を推奨せずに表示装置3やリモコン装置6に表示しない。
また、生成部17は、演奏時間が4分00秒の楽曲X7の全歌唱区間の歌詞データから30の特定歌詞文字をカウントした場合、楽曲X7の1分当たりの特定歌詞文字のカウント値を算出して、30÷4から飛沫情報「7.5」を生成する。判定部18は、第1の飛沫条件を「飛沫情報が8未満」に定義していた場合、飛沫情報が「7.5」である楽曲X7が第1の飛沫条件を満たすと判定する。この場合、レコメンド部16は、第1の飛沫条件を満たすと判定された楽曲X7を推奨して、楽曲X7に係る曲名等の情報を表示装置3やリモコン装置6に表示する。
これにより、歌唱の発声状況を予測して所定時間当たりの飛沫の発生し易さを考慮するため、相対的に短時間で多くの特定歌詞文字が歌唱される楽曲は推奨しない。このように、楽曲の歌詞データ内の特定歌詞文字だけでなく、楽曲の演奏時間を考慮することにより、楽曲の飛沫情報をより正確に生成することができる。
[他の実施形態]
なお、上記の第1の実施形態では、カラオケ装置1は、利用者毎にカラオケ歌唱した楽曲の楽曲ID及び演奏回数を歌唱履歴情報としてカラオケ本体2の記憶部11に記憶する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の実施形態では、カラオケ装置1は、カラオケ本体2と通信可能なサーバやデータベース(図示せず)に各利用者の歌唱履歴情報を記憶してもよい。なお、サーバやデータベースは、各利用者の歌唱履歴情報に基づいて全国的な歌唱度数ランキングを統計して記憶するとよい。この場合、カラオケ本体2のレコメンド部16は、利用者の歌唱履歴情報又は全国的な歌唱度数ランキングをサーバやデータベースから取得して推奨楽曲を判定してもよい。
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態のカラオケ装置1について説明する。図3は、第2の実施形態のカラオケ装置1の構成を示すブロック図である。第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の構成要素には第1の実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
第2の実施形態のカラオケ装置1は、楽曲全体の飛沫情報と楽曲の各歌唱区間の飛沫情報とに基づいて、飛沫の発生状況をより詳細に把握して、推奨楽曲を判定するものである。第1の実施形態と同様に、楽曲全体の飛沫情報に対して第1の飛沫条件を予め定義していて、第2の実施形態では特に、各歌唱区間の飛沫情報に対して第1の飛沫条件と異なる第2の飛沫条件を予め定義する。なお、歌唱区間に関する情報は、歌詞データ又はカラオケ演奏データに予め含まれるものとする。
第1の実施形態と同様に、カラオケ本体2は、制御部10及び記憶部11を備え、制御部10は、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、ログイン処理部15、レコメンド部16、生成部17及び判定部18として動作する。以下、第2の実施形態のレコメンド部16、生成部17及び判定部18について説明する。
第2の実施形態のレコメンド部16は、第1の実施形態と同様に、ログイン利用者に対して推奨楽曲を、所定のタイミングで所定のレコメンド手段によって判定する。また、レコメンド部16は、判定部18によって飛沫条件を満たすと判定された推奨楽曲を推奨する一方、飛沫条件を満たさないと判定された推奨楽曲を推奨しない。
第2の実施形態では特に、レコメンド部16は、楽曲全体の飛沫情報が第1の飛沫条件を満たして当該楽曲を推奨するとき、当該楽曲の1以上の歌唱区間の飛沫情報が第2の飛沫条件を満たす場合には、飛沫情報が第2の飛沫条件を満たす歌唱区間に関する歌唱区間情報を表示装置3やリモコン装置6に表示して利用者へ報知する。
生成部17は、第1の実施形態と同様に、レコメンド部16で判定された推奨楽曲について、楽曲全体の歌詞データ内の特定歌詞文字に基づいて、楽曲全体の飛沫情報を生成する。加えて第2の実施形態では特に、生成部17は、推奨楽曲の歌唱区間毎の歌詞データ内の特定歌詞文字に基づいて、各歌唱区間の飛沫情報を生成する。
判定部18は、第1の実施形態と同様に、生成部17で生成された楽曲全体の飛沫情報が第1の飛沫条件を満たすか否かを判定する。加えて第2の実施形態では特に、判定部18は、各歌唱区間の飛沫情報がそれぞれ第2の飛沫条件を満たすか否かを判定する。
[第2の実施形態の楽曲推奨動作]
次に、第2の実施形態のカラオケ装置1の楽曲推奨動作について図4を参照して説明する。図4は、カラオケ装置1の楽曲推奨動作を示すフローチャートである。
第2の実施形態の楽曲推奨動作において、利用者U1のログイン操作からレコメンド部16による推奨楽曲X1~X5の判定までの動作(ステップS11~S13)は、第1の実施形態の動作(ステップS1~S3)と同様である。第2の実施形態においても、一例として、推奨楽曲X1~X5の楽曲IDが「yyyX1」~「yyyX5」である場合に、連続番号1~5を番号nとして、楽曲ID「yyyXn」の推奨楽曲Xnを処理する動作を説明する。先ずは、処理する番号nを1に設定する(ステップS14)。
次に、生成部17は、楽曲ID「yyyX1」の推奨楽曲X1に対応する歌詞データL1を記憶部11から読み出し、読み出した歌詞データL1の歌唱区間毎に含まれる特定歌詞文字から飛沫情報を生成する(ステップS15)。
例えば、図5に示すように、歌詞データL1が「コーラス1のAメロ」、「コーラス1のBメロ」、「コーラス1のサビ」、「コーラス2のAメロ」、「コーラス2のBメロ」、「コーラス2のサビ」、「コーラス3のAメロ」、「コーラス3のBメロ」、「コーラス3のサビ」の9つの歌唱区間を含む。なお、楽曲の歌唱区間は、例えば、4小節や8小節であってもよい。ここで、生成部17は、各歌唱区間の特定歌詞文字に基づいて、9つの飛沫情報「2」、「3」、「4」、「5」、「2」、「3」、「2」、「3」、「6」を生成する。また、生成部17は、9つの全歌唱区間の飛沫情報(特定歌詞文字数)を合計して、楽曲全体の飛沫情報「30」を生成する(ステップS16)。
次に、判定部18は、推奨楽曲X1の楽曲全体の飛沫情報が第1の飛沫条件を満たすか否かを判定する(ステップS17)。
例えば、第1の飛沫条件が「飛沫情報が50未満」と定義されていて、推奨楽曲X1の楽曲全体の飛沫情報が「30」である場合、判定部18は、推奨楽曲X1が第1の飛沫条件を満たすと判定する(ステップS17:YES)。そして、レコメンド部16は、第1の飛沫条件を満たすと判定された推奨楽曲X1の推奨を維持して、推奨楽曲X1に係る曲名等の情報を表示装置3やリモコン装置6に表示する(ステップS18)。
また、判定部18は、推奨楽曲X1の歌唱区間の各飛沫情報がそれぞれ第2の飛沫条件を満たすか否かを判定する(ステップS19)。
例えば、第2の飛沫条件が「歌唱区間の飛沫情報が5以上」と定義されていて、推奨楽曲X1の9つの歌唱区間のうち、「コーラス2のAメロ」の飛沫情報が「5」であり、「コーラス3のサビ」の飛沫情報が「6」である場合、判定部18は、2つの歌唱区間がそれぞれ第2の所定条件を満たすと判定する(ステップS19:YES)。
そして、レコメンド部16は、第2の飛沫条件を満たすと判定された推奨楽曲X1の歌唱区間「コーラス2のAメロ」及び「コーラス3のサビ」について、歌唱区間情報を表示装置3やリモコン装置6に表示して利用者へ報知する(ステップS20)。例えば、レコメンド部16は、第2の飛沫条件を満たす歌唱区間の歌唱による飛沫に関する情報を歌唱区間情報として、具体的には、「楽曲X1の2番のAメロと3番のサビの歌詞には、飛沫が発生し易い文字が比較的多く含まれています。発声は抑え目にしましょう。」等の注意文を歌唱区間情報として表示させる。
なお、レコメンド部16は、このような注意文等の歌唱区間情報を、推奨する楽曲のリスト等のウインドウ(推奨楽曲ウインドウ)に表示してよい。あるいは、レコメンド部16は、カラオケ演奏中に表示する歌詞テロップのうち、対応する歌唱区間の歌詞テロップを表示する場合に、同時に歌唱区間情報を表示してもよい。
その後、番号nが推奨楽曲の所定数「5」に達していなければ(ステップS21:NO)、番号nをカウントアップして(ステップS22)、楽曲X2~X5についても同様の動作が繰り返される(ステップS15~S20)。ここで、例えば楽曲X2の楽曲全体の飛沫情報が「55」であり判定部18が第1の飛沫条件を満たさないと判定した場合(ステップS17:NO)、判定部18は楽曲X2の各歌唱区間の飛沫情報がそれぞれ第2の飛沫条件を満たすか否かを判定しない。利用者がログアウトすると(ステップS23:YES)、楽曲推奨動作を終了する。
第2の実施形態によれば、歌唱の発声状況を予測して飛沫の発生し易さを考慮するため、飛沫の発生し易い楽曲を推奨することなく、飛沫の発生し難い楽曲を推奨することができる。また、各歌唱区間の飛沫の発生し易さを考慮するため、飛沫の発生し易い歌唱区間について飛沫の危険性を注意喚起することができる。
[他の実施形態]
上記した実施形態では、レコメンド部16が推奨する楽曲(例えば、推奨楽曲X1、X3、X4)の情報のみを表示装置3やリモコン装置6に表示する一方、推奨しない楽曲(例えば、X2、X5)の情報を表示装置3やリモコン装置6に表示しない例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の実施形態では、レコメンド部16は、推奨する楽曲のリスト等のウインドウ(推奨楽曲ウインドウ)とは別のウインドウ(非推奨楽曲ウインドウ)において、推奨しない楽曲について、楽曲名及び推奨しない理由(飛沫の発生し易い歌詞が多いこと等)を表示装置3やリモコン装置6に表示してもよい。
また、上記した実施形態では、生成部17は、推奨楽曲の歌詞データ内の語句の先頭の文字が所定の子音を含む場合に特定歌詞文字としてカウントする例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の実施形態では、生成部17は、推奨楽曲の歌詞データ内の語句の先頭以外の文字についても、所定の子音を含む場合に特定歌詞文字としてカウントしてもよい。この場合、生成部17は、語句の先頭以外の特定歌詞文字に対して、語句の先頭の特定歌詞文字に比べて低い重み付け(例えば、1カウント以下の、0.5等)を設定するとよい。
また、上記した実施形態では、レコメンド部16は、歌唱履歴情報や全国的な歌唱度数ランキングに基づいて上位の所定数の楽曲を推奨楽曲としていた場合に、これらの推奨楽曲のうち、第1の飛沫条件を満たす楽曲のみを推奨する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の実施形態では、レコメンド部16は、第1の飛沫条件を満たさないとして除外された推奨楽曲がある場合、初めに推奨楽曲とした上位の所定数の楽曲よりも下位の楽曲から、第1の飛沫条件を満たす楽曲を抽出して、所定数の楽曲を推奨するようにしてもよい。
例えば、レコメンド部16は、初めに所定数を5曲として、上位の1位から5位までの楽曲X1~X5を推奨楽曲としたところ、楽曲X2、X5が第1の飛沫条件を満たさないとして推奨から除外することがある。このとき、レコメンド部16は、下位の6位以下の楽曲から第1の飛沫条件を満たす楽曲を抽出し、6位、7位の楽曲X6、X7が第1の飛沫条件を満たす場合、楽曲X1、X3、X4、X6、X7を推奨してもよい。
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うカラオケ装置もまた本発明の技術思想に含まれる。