JP7483189B1 - 自動ドア用安全装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動ドアの設置環境や開閉動作の変化に影響されずに、ノイズの影響を防止して人や異物の検出精度を安定かつ正確に保ち、機械的寿命が長い自動ドア用安全装置を提供することにある。【解決手段】ベルトモータを駆動するモータ制御回路と、外部電源に接続された電源回路及び無線受信回路で構成されたドア制御部と、電源回路に接続された給電送信回路と、給電送信回路から無線給電される給電受信回路及び充放電機能を有する電源バックアップ回路と、ドアの戸尻、戸先に設けられ、近接センサで構成された検知部と、検知部の信号出力を所定周期のディジタル値で出力する信号変換部と、ディジタル値に基づいて検知部に接近した異物を検知して異物検知信号を無線送信回路に出力し、無線受信回路に無線送信する演算出力部とで構成され、無線受信回路が前記異物検知信号を受信したときに、モータ制御回路を介してベルトモータを停止、反転する。【選択図】図2

Description

本発明は、1若しくは複数の近接センサで成る検知部を、引き戸方式の自動ドアの戸先(近辺を含む)に取り付け、ドア閉動作時に、開口側で戸先が人の衣服や異物などを挟み込んだり、或いは検知部を戸尻(近辺を含む)に取り付けて、ドア開動作時に、戸袋側の袖壁付近で戸尻が人の衣服や異物などを引き込んだりするなどの恐れがある場合に、事前にこれを異物として検知し、ドア駆動部に異物検知信号を無線送信して、ドア開閉用のベルトモータの強制停止や反転動作を行うようにした自動ドア用安全装置に関する。
従来、自動ドア用安全装置には、例えば特開2001-32627号公報(特許文献1)に開示されているものがある。この特許文献1に開示された安全装置では、静電容量を検出するセンサをドア端部の戸先に沿って設置し、ドアの閉行程中における静電容量の値が許容値を超えたときに、ドアコントローラがドアを反転動作させている。ドアの1回の開閉動作毎に、センサコントローラが、ドアの開行程中において測定される静電容量の値に基づいて許容値を設定し、閉工程において測定される静電容量の値と比較して、ドアに接近した物体を検出することで、戸先における人や異物のぶつかり事故を防止している。
特開2001-32627号公報
特許文献1の安全装置を戸尻に取り付け、ドアの開行程中に戸袋側の人や異物の検出に使用すると、センサの静電容量は戸袋区間の袖壁の影響を大きく受ける。しかしながら、自動ドアの袖壁構造は設置場所毎に様々で一様ではないため、ドア開放動作の開き位置、ドア開閉方向、ドア開閉速度によりセンサ検知範囲が大きく変動し、人や異物検知の許容値(閾値)を最も影響の大きな値とする必要があり、それだけ検出精度が悪化する問題がある。また、特許文献1の安全装置では、無目側のセンサコントローラとドア側のセンサは、カールコードで制御信号と電源を接続しているが、センサの静電容量に対して自動ドアの周囲環境とセンサコントローラとの静電容量が、カールコードを介して影響する。そのため、それを絶縁するための特別な手段が必要になると共に、ドアの開閉動作によるカールコードの摺動摩耗で機械的寿命が存在し、定期的な保守・交換作業が必要となる問題がある。
また、近接センサとして静電容量方式を用いる場合、センサの静電容量は人や異物との距離や面積の関係で定まる他、ドア設置環境の温度や湿度の変化、ドア開閉移動による袖壁構造との結合容量の影響などが影響する。即ち、ドア設置環境の温度や湿度の影響は、数分から数時間での時間変動となり、ドア開閉移動中の機械的振動の影響は、数ms~数100msの時間変動となる。更に、近接センサを戸尻に取り付けた場合は、ドアの開閉移動における袖壁の影響があり、数100ms~数秒の時間変動となる。いずれの要因もランダムに発生し、影響レベルも変化するので、これらの外乱変動から人や異物の接近による変化の検出精度を向上させるために、新たな対策が必要である。
更にまた、ドアの誤開閉は、場合によっては出入する人の身体への損傷を惹起することもあり、ノイズの影響に起因する誤動作を極力抑える必要がある。
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、自動ドアの設置環境や開閉動作の変化に影響されずに、ノイズの影響を防止して、人や異物の検出精度を安定かつ正確に保ち、機械的寿命が長い自動ドア用安全装置を提供することにある。
本発明は、ベルトモータの駆動によってドアを自動開閉する自動ドアの安全装置に関し、本発明の上記目的は、前記自動ドアの無目に設けられ、前記ベルトモータを駆動するモータ制御回路と、前記無目に設けられ、外部電源に接続された電源回路及び無線受信回路で構成されたドア制御部と、前記無目に設けられ、前記電源回路に接続された給電送信回路と、前記ドアに設けられ、前記給電送信回路から無線給電される給電受信回路及び充放電機能を有する電源バックアップ回路と、前記ドアの戸尻若しくはその近辺或いは前記ドアの戸先若しくはその近辺に設けられ、1若しくは複数の近接センサで構成された検知部と、前記検知部の信号出力を所定周期のディジタル値で出力する信号変換部と、前記ディジタル値に基づいて前記検知部に接近した異物を検知して異物検知信号を無線送信回路に出力し、前記無線受信回路に無線送信する演算出力部とで構成されており、前記無線受信回路が前記異物検知信号を受信したときに、前記無線受信回路に接続された前記モータ制御回路を介して前記ベルトモータを駆動停止若しくは反転駆動するようになっていることにより、
或いは、
前記自動ドアの無目に設けられ、前記ベルトモータを駆動するモータ制御回路と、前記無目に設けられ、外部電源に接続された電源回路及び無線受信回路で構成されたドア制御部と、前記無目に設けられ、前記電源回路に接続された給電送信回路と、前記ドアに設けられ、前記給電送信回路から無線給電される給電受信回路及び充放電機能を有する電源バックアップ回路と、前記ドアの戸尻若しくはその近辺或いは前記ドアの戸先若しくはその近辺に設けられ、1若しくは複数の近接センサで構成された検知部と、前記検知部から出力される距離情報を入力して閾値と比較することにより、前記検知部に接近した異物を検知して異物検知信号を無線送信回路に出力し、前記無線受信回路に無線送信する演算出力部とで構成されており、前記無線受信回路が前記異物検知信号を受信したときに、前記無線受信回路に接続された前記モータ制御回路を介して前記ベルトモータを駆動停止若しくは反転駆動することにより、
或いは、
前記自動ドアの無目に設けられ、前記ベルトモータを駆動するモータ制御回路と、前記無目に設けられ、外部電源に接続された電源回路及び無線受信回路で構成されたドア制御部と、前記無目に設けられ、前記電源回路に接続された給電送信回路と、前記ドアに設けられ、前記給電送信回路から無線給電される給電受信回路及び充放電機能を有する電源バックアップ回路と、前記ドアの戸尻若しくはその近辺或いは前記ドアの戸先若しくはその近辺に設けられ、1若しくは複数の静電容量式近接センサで構成されると共に、異物を検知するための第1検知部と、前記ドアの戸尻若しくはその近辺或いは前記ドアの戸先若しくはその近辺に設けられ、1若しくは複数のTOF式近接センサで構成されると共に、建枠を検知するための第2検知部と、前記第1検知部から出力される信号出力と、前記第2検知部から出力される距離情報とを入力し、前記第1検知部に接近した異物を検知して異物検知信号を無線送信回路に出力し、前記無線受信回路に無線送信する演算出力部とで構成されており、前記無線受信回路が前記異物検知信号を受信したときに、前記無線受信回路に接続された前記モータ制御回路を介して前記ベルトモータを駆動停止若しくは反転駆動するようになっていることにより達成される。
本発明では、1若しくは複数の近接センサを袖壁の影響を受けないようにグランド板で防御して設置していると共に、近接センサ(静電容量方式の場合)からの各出力を移動平均処理で求めた移動平均値などの移動値を異物検知の基準値としているので、温度、湿度等の環境の変化やドアの開閉動作中の機械的振動や袖壁等の影響を相殺して、常に異物の検知を確実に行うことができる。基準値とディジタル値の差分を差分値とし、差分値と閾値とを比較して異物を検知するようにしているので、閾値と基準値の間隔は常にほぼ一定となり、外部環境変化に影響されることなく、高い精度で安定した異物検知を行うことができる。また、複数の近接センサ毎の差分値の差分を取った結果を閾値と比較することで、袖壁の影響と異物検知を識別でき、異物以外の誤検知を防ぐことができる。
また、近接センサとしてTOF(Time Of Flight)方式(以下、「TOF近接センサ」とする)を用いる場合には、TOF近接センサが比較的機械振動や環境温湿度の影響を受けることなく、距離情報を出力すると共に、検知した異物との距離の誤差も少ないため、移動平均処理によるフィルタリング処理が不要となる。
更に、ドア側のセンサ制御部と無目側のドア制御部は、検知信号と電源給電の両方を無線化しており、検知部とドア周辺環境との間の静電容量の影響低減による安定化に貢献している。無目側からドア側への無線給電をドア全閉時に常時行うと共に、給電と電源バックアップを行うようにしているので、特別な給電作業は不要である。また、無目内部のドア駆動部とドアとの間にケーブル接続がないため、機械的摩耗がなく、定期的な保守点検作業も不要であり、長寿命である。
本発明に係る自動ドア用安全装置の概要(戸尻検知)を示すドア全体の構成図であり、(A)はドア全閉状態を示し、(B)はドア全開状態を示している。 安全装置の取り付け構造の一例を示す構成図であり、(A)はドアの中開き状態を示し、(B)は検知部の構造例を示す上面図である。 本発明の自動ドアと袖壁との位置関係の一例を示す平面図及び側面図である。 本発明の自動ドアと袖壁との位置関係の他の例を示す平面図及び側面図である。 本発明の検知枠体の内部構造例を示す断面図である。 本発明(第1実施形態)の安全制御系の構成例を示すブロック図である。 演算出力部の機能的構成例を示すブロック図である。 本発明(第1実施形態)の全体的な動作例を示すフローチャートである。 本発明(第1実施形態)の異物検知の動作例を示すフローチャートである。 本発明(第1実施形態)の異物検知の動作例を示すタイムチャートである。 本発明(第1実施形態)の異物検知の動作例を示すタイムチャートである。 本発明(第1実施形態)の異物検知の動作例を示すタイムチャートである。 本発明(第1実施形態)の異物検知の動作例を示すタイムチャートである。 検知部の他の構造例を示す平面図である。 TOF近接センサを用いた装着例(第2実施形態)及び検知機能範囲を示す模式的なドア構成図である。 本発明(第2実施形態)の安全制御系の一部構成例を示すブロック図である。 演算部の構成例を示すブロック図である。 本発明(第2実施形態)の動作例を示すフローチャートである。 静電容量式近接センサ及びTOF近接センサの組み合わせを用いた装着例(第3実施形態)を示す模式的なドア構成図である。 単一の近接センサによる装着例(第4実施形態)を示す模式的なドア構成図である。 本発明の他の実施形態(戸先検知)を示す正面図である。 検知部、センサ制御部の他の設置例を示す一部断面図である。 検知部の他の構造例を示す正面図である。
本発明は、ドア閉動作時に、開口側で戸先が人の衣服や異物などを挟み込んだり、ドア開動作時に、戸袋側の袖壁付近で戸尻が人の衣服や異物などを引き込んだりするドア開閉事故を未然に防止する安全装置であるが、以下の説明では、事故防止の対象を単に「異物」の検知として説明する。従って、以下で説明する用語「異物」には、本来の物理的な物体の他に、人の身体、人が身に着けている衣服や持ち物なども含まれる。
本発明の自動ドア用安全装置は引き戸式自動ドアに関連しており、ドア側のセンサ制御部と無目側のドア制御部との間の、異物検知信号と電源供給の送受を異なる無線手段(経路)で、ケーブルを使用することなく行うようになっている。また、異物検知信号は、ドア側のセンサ制御部で異物検知を判定して確定した際に、ドア側の無線送信回路から無線送信され、無目側のドア制御部の無線受信回路がこれを受信するようになっている。異物検知信号をドア制御部が受信したときに、ベルトモータの制御信号をモータ制御回路に出力し、ベルトモータを駆動停止若しくは反転駆動する。近接センサのセンサ制御部はドアに設けられているので、ドア開閉毎にセンサ制御部はドアと共に移動する。そのため、無線送信回路の無線手段は、ドア制御部までの数メートルの距離(約5m以内)を伝達できる機能を有している。この距離は無線通信としては充分に短く、通信する情報も少ないので、微弱無線局規格を採用できる。無線方式としては、小電力無線局規格も採用することができる。
本発明では近接センサとして、主として静電容量方式或いはTOF方式を用いるが、先ず静電容量方式の近接センサを用いる例を第1実施形態とし、TOF近接センサを用いる例を第2実施形態とし、静電容量式近接センサ及びTOF近接センサを組み合わせる例を第3実施形態として、以下に順次説明する。なお、第2実施形態及び第3実施形態では、第1実施形態と共通する部分の説明は省略する。
本発明の第1実施形態では、ドア側のセンサ制御部と無目側のドア制御部は、異物検知信号の送受と電源供給の両方を無線化しており、ケーブルが配線されないため、検知部とドア周辺の環境との間の静電容量の安定化に貢献している。センサ制御部とドア制御部の間をケーブルによる有線接続とした場合、センサ制御部の通信制御信号やグランドがドア制御部と電気的に接続し、ケーブルと周辺環境との間や、ドア制御部と周辺環境との静電容量が直ちに検知部に影響するので、特にドアの開閉時の影響が非常に不安定となるが、本発明によれば、この問題を軽減若しくは解消する効果的な機能となっている。
本発明によるセンサ制御部は、検知部を構成する複数の近接センサのそれぞれの静電容量を高周波共振回路に接続して共振周波数を発振させ、これら共振周波数を、周波数ディジタル・コンバータ(変換回路)で基準周波数に基づくディジタル値に変換して周期的に演算部(マイクロプロセッサなどで構成)で読み出している。近接センサの静電容量の変化はディジタル値の変化に変換されて出力され、演算部はディジタル値を複数の異なる段数の移動平均処理等で演算し、求められた移動平均値(基準値)との差分値を閾値と比較することで、異物検知の判定を行う。基準値を、複数の移動平均処理で求めた移動平均値とすることで、温度やノイズなどの環境による静電容量の時間的変動を相殺することができ、確実で安定的な異物検知を実現することができる。更に、複数の近接センサ毎の差分値の差分(センサ間差分値)を取った結果を閾値と比較することで、精度の高い異物検知を行うことができる。袖壁の影響は自動ドアの戸尻の方向で一様なので、近接センサ間の差分値が小さく、異物の場合は一部の近接センサのみが異物検知の信号を出力するので、差分値が大きくなる。このセンサ間の差分値を閾値と比較することで、袖壁の影響と異物検知とを識別することができ、異物以外の誤検知を防ぐことができる。
無目側のドア制御部には、ドア側のセンサ制御部から異物検知信号が無線で入力されるようになっており、異物検知信号がドア制御部に入力されると、モータ制御回路を介してベルトモータを強制停止したり、反転動作させ、これによってドア引き込まれ(巻き込まれ)事故などの発生を回避するようにしている。この自動ドア用引き込まれ事故などの安全装置の検知部は、ドアの戸尻若しくは戸先、或いは戸尻及び戸先の各近辺に、広範囲な検知が可能なように取り付けられ、センサ制御部も戸尻若しくは戸先、或いはその近辺のドアに設けられている。
本発明の自動ドア用安全装置を備えた自動ドア(片開きドア)の構成は、図1及び図2に示すようになっており、ドア1が建物の壁等に作られた開口に取り付けた無目10の両側を建枠50A及び50Bで囲み、無目10の内部に両端をプーリ12及び13に懸架されたベルト14に滑車固定具53で、片方の吊り下げ滑車51を固定すると共に、もう1つの吊り下げ滑車52でドア1を吊り下げている。プーリ12はベルトモータ11で回転駆動され、プーリ12が回転するとベルト14が水平方向に移動し、ベルト14に固定された滑車固定具53と一緒にドア1が水平移動(ドア開閉)する。
ベルトモータ11は、ドア制御部30を介してモータ制御回路40で駆動制御され、ドア制御部30から無目10に設置された給電送信回路61を経て、ドア1の上部に設置された給電受信回路62に無線で電力を給電する。電力給電は、図1(A)に示すようなドア全閉状態で実施されるように、ドア全閉時に給電送信回路61と給電受信回路62とが丁度対向する位置関係で設置されている。給電送信回路61と給電受信回路62の間隔は5mm以下であることが望ましく、間隔調整機構を設けても良い。
ドア1が開口を完全に塞ぐ位置がドア全閉状態で、図1(A)の位置であり、開口を完全に開く位置がドア全開状態であり、図1(B)の位置である。図2(A)は、その中途の状態である。通常ドア1は全閉状態にあり、ドア駆動部は開口に人が接近するとそれを電子マット等で認識し、ベルトモータ11を回転駆動してドア1を開動作させ、ドア1が全開位置に達するとベルトモータ11を停止させ、人が開口を通過した後に、全閉位置方向にベルトモータ11を反転駆動させて全閉位置まで移動させるようになっている。ドア1は、図2(B)に示すように袖壁15に沿って、かつ近接した位置関係で開閉する。
その際、人が開口に接近してドア駆動部がドア1を開動作させた時、戸袋の袖壁15の付近に人や異物があると、ドア1の戸尻4が人体や異物に接触したり、戸尻4と袖壁15の間に挟み込む事故が発生する可能性がある。このような事故を防ぐために、本発明の自動ドア用安全装置が有効である。即ち、ドア1の戸尻4の側面には、合成樹脂製の長形状の検知枠体100が取り付けられており、検知枠体100内に、静電容量方式の近接センサを備えた検知部110と、近接センサを駆動して検知信号を得るセンサ制御部120とが設けられている。検知部110は、ドア全開時に建枠50Bを検知するために上部に設けられた建枠検知部111と、人や異物の検知を広範囲に行う異物検知部112とに分離されている。異物検知部112は近接センサSNk+1~SN(“n”は2以上の整数)で構成され、建枠検知部111は近接センサSN~SNで構成されている。建枠検知部111は、ドア全開時に建枠50Bを検知できれば充分であり、戸尻4の上部に設けられ、異物検知部112は、異物などの接触や挟み込みなどを確実に検知する必要があるため、戸尻4の底部から上部の広い範囲をカバーするように設けられている。
なお、ドア全開時には、異物検知部112も建枠50Bを異物として検知することになるので、建枠検知部111が建枠50Bを検知すると、異物検知部112の異物検知を無視して、不要な検知信号の送信を抑制する。つまり、異物検知の設定を行わないようにする。
図2(B)に示すように、検知枠体100は断面が矩形で、縦方向(ドア1の上下)に長形状空洞体であり、ドア1の戸尻4の側面に取付部材101を介して、ビス止め、ねじなどで取り付けられ、内部には袖壁15の影響を防止するための断面L字状のグランド板材102が配設されると共に、グランド板材102の前面側に傾斜させて、近接センサを装着するセンサ盤103(制御盤120A、センサ盤104)が配設されている。グランド板材102は、袖壁15が近接センサSN~SNに電気的、磁気的な影響を及ぼさないように遮蔽するものであり、近接センサSN~SNのグランド(接地)と共通の導電材で構成されている。
検知枠体100が取り付けられたドア1と、袖壁15との平面関係は図3(A)であり,側面関係は図3(B)となっている。図3に示されるように、ドア1は袖壁15の表面にかなり近接した状態に配置されており、その状態で開閉される。
なお、取付部材101に代えて両面テープ、接着剤などを用いて、検知枠体100を戸尻4に装着することも可能である。
検知枠体100の幅がドア1の厚さよりも小さい場合には、図2(B)及び図3に示すように、戸尻4に検知枠体100を装着することができる。しかし、ドア1の厚さが薄く、戸尻4に検知枠体100を装着することができない場合には、図4(A)及び(B)に示すように、戸尻4の近辺のドア1の正面に装着する。戸先についても同様である。
また、図2(B)のX-X線の断面構造は図5(A)であり、グランド板材102は検知枠体100の底部に設置されると共に、複数の支持アーム102A及び102Bで検知枠体100に支持されている。グランド板材102の前面上部には、上部の建枠検知部111の近接センサSN~SNを装着する方形状のセンサ盤103が、両端の取付部材103-1及び103-2を介して取り付けられ、その下に、センサ制御部120を装着する制御盤120Aが両端の取付部材120A-1及び120A-2介して取り付けられている。更にその下の最下部に、異物検知部112の近接センサSNk+1~SNを装着する長形状のセンサ盤104が、両端の取付部材104-1及び104-2を介して取り付けられている。センサ盤103,104とグランド板材102の間には、一部だけスペーサを挟んで間隔を維持しているが、スペーサは誘電容量が大きいためできるだけ少なくして、空間を多くする工夫を行う。
図5(A)の例は、センサ盤103及び104、制御盤120Aを分離した形態となっているが、図5(B)に示すように1枚の長形状の装着板103とし、装着板103に建枠検知部111、センサ制御部120及び異物検知部112を装着する形態であって良い。
なお、グランド板材102の検知枠体100への設置、センサ盤130及び104の設置、制御盤120Aの設置の手法は図5(A)及び(B)に限定されるものではなく、近接センサSN~SN及びセンサ制御部120が検知枠体100内に安定的に固定され、グランド板材102の設置により、戸尻4や袖壁15の外部環境の影響を受けない構造であれば良い。
図6は本発明の制御系の構成例を示しており、無目10内にはドア制御部30が設けられており、ドア制御部30は外部電源を供給される電源回路31と、ドア1側からの異物検知信号FD2を無線で受信する無線受信回路32とで構成されており、無線受信回路32は異物検知信号FD2を受信したときに、モータ制御回路40を介してベルトモータ11を駆動停止若しくは反転駆動する。また、ドア制御部30内の電源回路31は、給電送信回路61を経てドア1側に無線で電力を供給するようになっている。
一方、ドア1側には、無目10側の給電送信回路61から無線で送信された電力を受信する給電受信回路62が設けられており、給電受信回路62からの電力を充電し、センサ制御部120に電力を供給する電源バックアップ回路63が設けられている。電源バックアップ回路63の蓄電デバイスには、バッテリ(二次電池)や大容量コンデンサが利用できるが、自動ドアの場合は全閉状態がそれ以外より長く、長時間全閉以外の状態になることは少ないため、電源バックアップ回路63は大容量コンデンサの方が適しており、その容量はドア1の開閉時間のデューティサイクルを考慮して定められている。本例では、小型で大容量なリチウムイオンスーパーキャパシタを採用しているが、電気二重層キャパシタ、シュードキャパシタ、ハイブリッドキャパシタなども使用可能である。
なお、給電送信回路61、給電受信回路62及び電源バックアップ回路63で、無線給電部60を構成している。検知部110は、グランド板材102とセンサ盤103,104の受動素子で構成されたコンデンサであり、制御盤120Aに設置される共振回路RS~RSの回路構成の一部となっている。これにより、共振回路RS~RSから高周波の共振電流が供給されるので、検知部110への電力供給は不要である。
給電送信回路61から給電受信回路62へ、磁界共鳴方式等で無線給電されるようになっており、無目10側のドア制御部30の電源回路31から、無線給電部60の給電送信回路61を経てドア1側の給電受信回路62に無線で電源が供給される。この無線給電は、図1(A)に示されるドア全閉時に実施されるようになっており、ドア全閉時に、無目10側の給電送信回路61とドア1側の給電受信回路62とが対向する位置関係で設置されている。無線給電部60が無線給電を行っている場合、無線給電部60は全閉信号をセンサ制御部120に通知する。無線給電部60が給電を行っている場合、給電受信回路62は電力を誘起する。その電力発生状態を全閉信号のアクティブレベルとすることで、ドア1が全閉状態の信号として通知することができる。
上述のように、ドア1の側面である戸尻4には検知枠体100が設けられ、検知枠体100内に検知部110が設けられており、本例では検知部110の複数の近接センサが2つに分けられている。即ち、建枠50Bを検知するために、上部に設けられた建枠検知部111の近接センサSN~SNと、異物を検知するために、上部から底部の広範囲に設けられている異物検知部112の近接センサSNk+1~SNとである。建枠検知部111は建枠50Bを検知できれば充分であるので、近接センサSN~SNは1つであっても良い。また、本例では、近接センサSN~SNはいずれも静電容量方式であり、ケーブルモールド形状であり、小型薄型となっている。近接センサSN~SNには、センサ制御部120の共振回路RS~RSがそれぞれ接続されている。検知部110の各近接センサSN~SNは環境周辺の物体と静電容量を有しており、共振回路RS~RSの静電容量の一部となっている。そのため、近接センサSN~SNの静電容量の変化は、共振回路RS~RSの発振周波数の変化として現れる。共振回路RS~RSの各出力は、周期的に選択部125を経て周波数ディジタル・コンバータ(FDC)124に入力される。FDC124には、基準共振回路123から基準共振周波数RFが入力されている。
なお、FDC124,選択部125及び基準共振回路123で信号変換部を構成している。
FDC124は、基準共振周波数RFに基づいて選択部125からの周波数信号をディジタル値DT1に変換する。即ち、基準共振周波数RFで生成した一定の周期内に、選択部125から1つの共振回路RSi(i=1~n)の信号を取り込んでカウントすることで、共振回路RSiの周波数に比例したディジタル値DT1を取得する。その動作を共振回路RS1~RSnについて順次行うことで、近接センサSN~SNの周波数変化をディジタル値DT1として取得することができる。
ディジタル値DT1は後述する演算部101に入力され、演算部101は異物検知のための判定演算を実施する。演算部101は、ディジタル値DT1を複数の異なる段数の移動平均処理で演算した移動平均値を基準値とし、この基準値とディジタル値との差分値を閾値と比較判定することで異物検知を行う。判定の結果、異物が検知された場合には、演算部101は異物検知信号FD1を出力し、異物検知信号FD1が無線送信回路122に送信され、無線送信回路122から無目10側の無線受信回路32に、異物検知信号FD2として送信される。
なお、演算部101と無線送信回路122とで、演算出力部を構成している。
演算部101は例えば図7に示すような構成であり、全体の制御を行うCPU((Central Processing Unit)若しくはMPU(Micro Processor Unit)、MCU(Micro Controller Unit)など)101-1を具備しており、CPU101-1には、FDC124からのディジタル値DT1を入力する入力部101-2と、ディジタル値DT1及び関連数値の移動平均処理を行って移動平均値を算出する移動平均値算出部101-3と、移動平均値とディジタル値及び関連数値との差分値を算出する差分値算出部101-4と、異物判定を行う閾値を設定する閾値設定部101-6と、差分値及び閾値の比較を行い、異物検知部112の比較結果から異物検知の判定を行うと共に、建枠検知部111の比較結果から建枠検知の判定を行う判定部101-7と、データの更新を適宜行うデータ更新部101-8と、建枠検知の判定がなく、異物検知の判定がなされたときに異物検知の設定を行う異物検知設定部101-9と、異物検知の設定がなされたときに異物検知信号FD1を出力する出力部101-10とが相互に接続されている。また、演算に必要なデータなどを一時的に記憶するメモリ101-5も接続されている。
このような構成において、その全体的な動作例を図8のフローチャートを参照して説明する。
ドア1は上述のように、電子マットなどの検出に基づいて人の接近で開き、人のいない状況において全閉となる通常動作を行う。即ち、図1(A)のドア全閉時に人が接近すると、図2(A)の中途の開動作を経て図1(B)のドア全開状態となり、人が離れると閉動作となり、最後に図1(A)の全閉状態に復帰する。
本発明の安全装置では、先ず図1(A)に示すドア全閉時に、無目10側の電源回路31から給電送信回路61を経て、ドア1側の給電受信回路62に電力が送信され、電源バックアップ回路63を充電すると共に、電源バックアップ回路63からセンサ制御部120に電力が供給される(ステップS1)。このような無線による電源供給はドア全閉時に行われ、ドア全閉時に図1(A)に示すように、無目10側の給電送信回路61とドア1側の給電受信回路62とが対向し、給電送信回路61の送電コイルと給電受信回路62の受電コイルとが平行になり、上下に重なることによる磁界共鳴によって無線給電が行われる。ドア1が開動作を行うと、ドア1側の受電コイルが水平方向に移動し(図2(A))、無線給電が停止される。このため、ドア全閉中は、給電受信回路62は給電を受け、電源バックアップ回路63を充電すると同時にセンサ制御部120に電源を供給し、ドア全閉以外の位置にあるときは充電は行われず、電源バックアップ回路63がセンサ制御部120に給電する。
無線給電若しくは電源バックアップ回路63からの給電により、センサ制御部120のセンサ制御系が起動されて駆動状態になり(ステップS2)、検知部110の近接センサSN~SNと共振回路RS~RSとの共振によって得られる周波数信号が選択部125を経て周波数ディジタル・コンバータ124に入力され、基準共振回路123からの基準周波数RFも周波数ディジタル・コンバータ124に入力される。周波数ディジタル・コンバータ124は、基準共振周波数RFの周期に基づいて、共振周波数をディジタル変換したディジタル値DT1を順次出力する(ステップS3)。ディジタル値DT1は演算部101の入力部101-2に入力され、後述の演算判定手法によって異物の有無検知を行う(ステップS10)。
異物検知部112の近接センサSNk+1~SNに基づくディジタル値DT1により、異物が検知されなければ上記動作を繰り返すが(ステップS11)、異物が検知された場合には、建枠検知部111の近接センサSN~SNに基づくディジタル値DT1による建枠50Bの検知か否かを判定する(ステップS4)。建枠50Bが検知された場合はドア全開となっているので、異物検知部112の出力を無視して、つまり異物検知の設定を行うことなく上記ステップS3にスキップする(ステップS8)。
一方、上記ステップS4において、建枠50Bが検知されていない場合、演算部101の異物検知設定部101-9は異物検知を設定し(ステップS5)、出力部101-10から異物検知信号FD1を出力する(ステップS6)。異物検知信号FD1は無線送信回路122からドア制御部30内の無線受信回路32に無線送信され(ステップS7)、モータ制御回路40によりベルトモータ11が駆動停止若しくは反転駆動される(ステップS8)。ベルトモータ11の回転駆動を停止しても良いし、逆方向、つまりドア開方向に回転駆動するようにしても良い。これにより、ドア事故を未然に防止することができる。
次に、図9のフローチャートを参照して、演算部101における異物検知の動作例を説明する。
演算部101は、周波数ディジタル・コンバータ124の基本周期で駆動されると共に(ステップS10-1)、FDC124からディジタル値DT1を入力部101-2を経て読み出し(ステップS10-2)、移動平均値算出部101-3において、図10に示すようにディジタル値DT1の移動平均処理#1により移動平均値MV1を求め、移動平均値MV1を新たなディジタル値DT2とする(ステップS10-3)。この場合の移動平均処理#1は短周期であり、ドア開閉時の機械的振動の影響を平均化して滑らかにする。
そして、差分値算出部101-4において、前回の移動平均値MV2とディジタル値DT2の差である差分値DV1を演算する(ステップS10-4)。この場合の移動平均処理#2は中間周期であり、温度や湿度などの環境変動や、ドア開閉時の環境変動の影響を抑制する。同様に、差分値算出部101-4において、前回の移動平均値MV3とディジタル値DT2の差である差分値DV2を演算する(ステップS10-5)。この場合の移動平均処理#3は比較的に長周期であり、人為的あるいは偶然に、ドア開閉時の環境変動より遅い移動速度で異物が、異物検知部112の近接センサSNk+1~SNに接近した場合に、それを検知する。
このように基準値となる移動平均値を移動平均処理#1~#3により求めることで、環境による静電容量の時間的変動を相殺することができる。これは、ドアの設置環境の温度や湿度の影響、開閉動作時の袖壁15や機械震動の影響による変化の速度が異なることを考慮したものである。例えば設置環境の温湿度の影響に要因する静電容量の変化は、分単位速度であるが、人や異物の接近やドアの開閉動作時の袖壁15の影響の速度は、数100ms単位であり、ドアの開閉動作時の機械振動の影響は、数ms単位の速度である。環境要因の変動に追従した基準値で、ディジタル値の差分をとって人や異物要因の変化を識別する。人や異物の接近速度と、ドア開閉による袖壁15等の環境の影響は同等であるため、両者の識別はディジタル値の変化量の差で行う。
移動平均処理#2は温度や湿度などの環境変動の影響を軽減するが、ドア開閉による袖壁15等の影響は軽減できない。袖壁15等と異物の識別はディジタル値DT2の変化量で行うが、袖壁15の影響が少ないことに越したことはなく、それを補助するために、検知部110のグランド板材102を袖壁15に沿ってL字型にしている。
なお、後述するように検知部110を戸先3に取り付けた場合は、開口側なので当然袖壁15の影響はなく、検知部110に対するグランド板材102は不要となる。
上述のようにして、差分値DV1及びDV2、移動平均値MV2及びMV3が得られた段階で、先ず閾値設定部101-6に設定されている閾値THと差分値DV1の大小を判定部101-7で比較する(ステップS10-6)。そして、差分値DV1が閾値THより大きい場合(ステップS10-6の”Yes”)には、異物検知設定部101-9は移動速度の速い人又は異物の検知を設定し(ステップS10-7)、異物の検知処理を実行し出力部101-10は異物検知信号FD1を出力する。また、判定部101-7で差分値DV1が閾値TH以下であると判定された場合(ステップS10-6の”No”)には、異物の検知はなく、データ更新部101-8で移動平均値MV2を更新し(ステップS10-6A)、判定部101-7は更に差分値軸の閾値THと差分値DV2の大小を比較する(ステップS10-6B)。
そして、判定部101-7で差分値DV2が閾値THより大きいと判定された場合(ステップS10-6Bの”Yes”)には、異物検知設定部101-9は移動速度の遅い人又は異物の検知を設定し(ステップS10-7)、上記同様な異物検知処理を実行するが、差分値DV2が閾値TH以下の場合(ステップS10-6Bの”No”)には異物の検知はなく、判定部101-7は移動平均値MV3の更新タイミングか否かを判定する(ステップS10-8)。更新タイミングであれば、データ更新部101-9は移動平均値MV3を更新して(ステップS10-9)、上記ステップS10-1にスキップし、更新タイミングでなければそのまま上記ステップS10-1にスキップする。
ここで、図10において、FDC124からのディジタル値DT1を、段数が小さな数10ms周期の移動平均処理#1により移動平均値MV1を求め、それをディジタル値DT2とする。この場合の移動平均処理#1は、ドア開閉時の機械的な環境変動を平均化している。そのため、外来雑音等に起因するパルス的な異常値は、この移動平均処理#1で削除される。
また、移動平均値MV2は、段数が比較的長い数秒周期の移動平均処理#2で求めた値であり、ドア開閉時の環境変動には追従せず、ドア周囲の気温や湿度の変動などによる長時間のディジタル値の変動に追従する。ディジタル値DT2と移動平均値MV2の差分値DV1は、ドアの開閉時による人や異物の接近を識別する。ドア開閉時の環境変動も検知するので、閾値の深さを両者の中間となるように設定する必要がある。移動平均値MV2は、ドアの周囲温湿度や開閉動作による変化を平均化した基準値である。
図11(A)は人や異物の影響がなく、ドアが全閉や全開の停止した状態のディジタル値DT2と、基準値である移動平均値MV2と、ディジタル値軸の閾値THの変動図であり、基準値は変動の少ない一定の値となる。平均値MV2(基準値)とディジタル値DT2の差分値DV1が図11(B)に示すように、差分値軸の閾値THを超えないことを判定して異物検知を行う。周囲の温度や湿度の影響に追従した移動平均値MV2(基準値)は、周囲の温度や湿度の変化に追従するので、その影響による差分は無視でき、異物の検知はない。
また、ドア開閉における移動時は、袖壁の影響を受けて図12(A)の様にディジタル値DT2が変動するが、基準値である移動平均値MV2は移動平均処理#2で袖壁の影響が低減された値となっており、その差分値DV1は小さく、図12(B)に示されるように異物の検知はない。しかし、人や異物が接近すると、図13(A)のようにディジタル値DT2が大きく変化する。そして、差分値DV1が閾値THを超えるときに異物検知と判断する。ここで、異物検知と判断したディジタル値DT2は、移動平均処理#1の演算に含めない。
更に、移動平均処理#3は、数10秒から数分程度の遅い周期の移動平均処理であり、この移動平均処理#3により求められた移動平均値MV3を基準値として出力する。ドアが停止した状態で、人や異物が数秒程度の非常に遅い速度で接近すると、移動平均値MV3は閾値THに達する前にディジタル値DT2に追従するため、差分値DV1が閾値THに達しないことがある。そのため、移動平均値MV2より長い周期の移動平均処理#3により、移動平均値MV3を求めている。
本発明の安全装置によれば、自動ドアの開閉動作時に、手などがドアと方立との間に引き込まれたり、開閉動作時に、戸尻と袖壁との間に手が引き込まれる事故を未然に防止でき、検知部110に人体が接触する数cmほど手前で異物を検知できる。衣類や手袋を挟んでも人体の接近を検知すると共に、検知部110から数10cm離れたドア横の通行人等は、異物として検出することはない。
本例では平均化処理として移動平均処理を挙げているが、微分処理等の種々のフィルタ処理による平均化処理を用いることも可能である。
上述では、検知部110の近接センサを全て同一方向に設置しているが、図14に示すような「へ」の字状に屈曲した盤で、建枠を検知する建枠検知部111を建枠に対して垂直に設置し、異物検知の異物検知部112を斜めに設置するようにしても良い。この構造によれば、建枠検知を一層早くすることができる。
次に、レーザなどの照射と受光によるTOF方式のTOF近接センサを用いた第2実施形態を説明する。TOF近接センサは発光素子、受光素子及び距離演算部で構成され、一体化されたモジュールが市販されており、当該モジュールからは対象物との距離がディジタル値(距離情報)で出力されるようになっている。
図15(A)は、戸尻4の上部近辺に、TOF近接センサ111A及び112Aで成る検知部110Aと、センサ制御部120Aとが装着された様子を示しており、上側のTOF近接センサ111Aが建枠50Bを検知し、下側のTOF近接センサ112Aが異物を検知するようになっている。図15(B)及び(C)はそれぞれ上方からの平面図であり、図15(B)はTOF近接センサ112Aによる異物検知範囲を示し、図15(C)はTOF近接センサ111Aによる建枠検知範囲を示している。
図16は検知部110A及びセンサ制御部120Aの構成例を、図6に対応させて示しており、検知部110Aには無線給電部60から電力が供給され、検知部110AのTOF近接センサ111A及び112Aからの距離情報DS1及びDS2は演算部101Aに入力されている。また、演算部101Aは、図7に対応した図17のような構成である。
このような構成において、その動作例を図18のフローチャートを参照して説明する。
先ず、TOF近接センサ111A及び112Aの各発光素子を発光させて照射し(ステップS20)、各対応する受光素子が反射光を受光すると共に、各距離演算部が対象物からの距離を演算して距離情報DS1及びDS2を出力する(ステップS21)。距離情報DS1及びDS2は演算部101Aに入力部101-2を経て入力され、閾値設定部101-6に設定されている異物検知用及び建枠検知用の各閾値と比較され(ステップS22)、判定部101-7は、距離情報DS2が異物検知の閾値以下のとき(”Yes”)を異物検知とし、閾値を超えているとき(”No”)は異物検知ではないとし、異物検知でない場合は上記ステップS20にスキップして上記動作を繰り返す(ステップS23)。上記ステップS23において、距離情報DS2が閾値以下となったとき(”Yes”)は、判定部101-7は、更に距離情報DS1が建枠検知用の閾値以下であるかを判定し(ステップS24)、建枠検知でない場合(”No”)、異物検知設定部101-9は異物検知を設定し(ステップS25)、出力部101-10から異物検知信号FD3を出力する(ステップS26)。距離情報DS1が建枠検知用の閾値を超えて建枠50Bが検知された場合には、異物検知を実施しない。
TOF近接センサを用いたこのような第2実施形態においても、ドア1の安全が確保される。
次に、静電容量式近接センサとTOF近接センサとを組み合わせた第3実施形態を、図19に示して説明する。
戸尻4の上部には、建枠50Bを検知するためのTOF近接センサで成る建枠検知部111Aが設けられ、建枠検知部111Aのための図16及び図17で示すセンサ制御部120Aが近辺に設けられ、建枠検知部111A及びセンサ制御部120Aに電力が供給されている。また、その下方には、異物を検知するための静電容量式近接センサで成る異物検知部112が設けられ、異物検知部112のための図6及び図7で示すようなセンサ制御部120が設けられ、センサ制御部120に電力が供給されている。
このような構成によれば、静電容量式近接センサ及びTOF近接センサのそれぞれの特徴を活かした異物検知を行うことができる。
図20は、1個のTOF近接センサ130と、これを駆動制御するセンサ制御部131とで安全装置を構成した例(第4実施形態)を示しており、この場合、TOF近接センサ130は異物検知と建枠検知とを兼用している。
上述の実施形態では、複数の近接センサで成る検知部を引き戸方式の自動ドアの戸尻に取り付け、ドア開動作時に、戸袋側の袖壁付近で戸尻が人の衣服や異物などを引き込んだりした場合などにこれを異物として検出する例を説明したが、検知部をドアの戸先に取り付け、ドア閉動作時に、開口側で戸先が人の衣服や異物などを挟み込んだり、押し込んだりするなどの事故を防止する自動ドア用安全装置でも良い。図21はその一例を図2(A)に対応させて示しており、ドア1の戸先3に建枠検知部111、センサ制御部120及び異物検知部112が設けられている。このような構成であれば、ドア閉動作時に、開口側で戸先3が人の衣服や異物などを挟み込んだりすると、上述と同様な動作でベルトモータ11が駆動停止若しくは反転駆動するので、開口側での接触事故などを未然に回避することができる。TOF近接センサについても同様である。
図21では戸先3の表面に、建枠検知部111、センサ制御部120及び異物検知部112を設けているが、図22に示すようにドア1の戸先3に凹部1A若しくは溝を設け、その中に埋め込み式に建枠検知部111、センサ制御部120及び異物検知部112を設けるようにして、表面を均一面としても良い。ドア1の戸先3の表面が均一であり、美観的に優れている。
また、ドア1の戸先3及び戸尻4の両方に、それぞれ建枠検知部111、センサ制御部120及び異物検知部112を設けるようにしても良い。ドア開動作時及びドア閉動作時における事故を防止することができる。
上述の実施形態では片開きの自動ドアを例示したが、両開きの自動ドアであっても同様に適用できる。また、上述の実施形態では、検知部が異物検知部と建枠検知部の2つに分離されて設けられているが、図23に示すように異物検知部113のみで構成しても良く、
更に、上述では、検知部を構成する近接センサとして静電容量方式及びTOF方式の近接センサを例に挙げたが、高周波(超音波)型近接センサや誘導型近接センサ、光学式(光線遮断方式、画像処理方式など)であっても良い。センサ制御部を検知枠体内、戸尻や戸先に設けた例を説明したが、ドア内に設けるようにしても良い。
1 ドア
2 方立
3 戸先
4 戸尻
10 無目
11 ベルトモータ
12、13 プーリ
14 ベルト
30 ドア制御部
31 電源回路
32 無線受信回路
40 モータ制御部
50A、50B 建枠
51、52 吊り下げ滑車
53 滑車固定具
60 無線給電部
61 給電送信回路
62 給電受信回路
63 電源バックアップ回路
100 検知枠体
101 取付部材
102 グランド板材
103、104 センサ盤
110 検知部
111 建枠検知部
112 異物検知部
120 センサ制御部
121 演算部
122 無線送信回路
123 基準共振回路
124 周波数ディジタ・コンバータ(FDC)
125 選択部
130 TOF近接センサ
131 センサ制御部

Claims (10)

  1. ベルトモータの駆動によってドアを自動開閉する自動ドアにおいて、
    前記自動ドアの無目に設けられ、前記ベルトモータを駆動するモータ制御回路と、前記無目に設けられ、外部電源に接続された電源回路及び無線受信回路で構成されたドア制御部と、
    前記無目に設けられ、前記電源回路に接続された給電送信回路と、
    前記ドアに設けられ、前記給電送信回路から無線給電される給電受信回路及び充放電機能を有する電源バックアップ回路と、
    前記ドアの戸尻若しくはその近辺或いは前記ドアの戸先若しくはその近辺に設けられ、1若しくは複数の近接センサで構成された検知部と、
    前記検知部の信号出力を所定周期のディジタル値で出力する信号変換部と、
    前記ディジタル値に基づいて前記検知部に接近した異物を検知して異物検知信号を無線送信回路に出力し、前記無線受信回路に無線送信する演算出力部と、
    で構成されており、前記無線受信回路が前記異物検知信号を受信したときに、前記無線受信回路に接続された前記モータ制御回路を介して前記ベルトモータを駆動停止若しくは反転駆動するようになっていることを特徴とする自動ドア用安全装置。
  2. 前記給電送信回路から前記給電受信回路への無線給電が前記ドアの全閉時に行われると共に、全閉信号が前記センサ制御部に送信されて前記信号出力が無効とされる請求項1に記載の自動ドア用安全装置。
  3. 前記近接センサが静電容量方式であり、共振回路と共振した周波数信号が前記信号変換部で前記ディジタル値に変換されるようになっている請求項1又は2に記載の自動ドア用安全装置。
  4. 前記検知部が、袖壁に沿ったグランド板材に遮蔽されて設置されると共に、前記袖壁と反対方向に傾斜したセンサ盤で構成されており、前記異物を検知する異物検知部と、建枠を検知する建枠検知部とに分かれている請求項1に記載の自動ドア用安全装置。
  5. 前記演算出力部が、前記複数の近接センサ毎に差分値と閾値を比較した結果を相互に比較し、外部環境に影響されずに前記異物の検知を行うようになっている請求項1に記載の自動ドア用安全装置。
  6. 前記演算出力部が、
    前記ディジタル値を入力する入力部と、
    前記ディジタル値及び関連数値の移動平均処理を行って移動平均値を算出する移動平均値算出部と、
    前記移動平均値と前記ディジタル値及び前記関連数値との差分値を算出する差分値算出部と、
    閾値を設定する閾値設定部と、
    少なくとも前記差分値及び前記閾値の比較を行い、異物検知の判定を行う判定部と、
    前記異物検知の判定がなされたときに異物検知の設定を行う異物検知設定部と、前記異物検知の設定がなされたときに異物検知信号を出力する出力部と、
    で構成されている請求項1に記載の自動ドア用安全装置。
  7. ベルトモータの駆動によってドアを自動開閉する自動ドアにおいて、
    前記自動ドアの無目に設けられ、前記ベルトモータを駆動するモータ制御回路と、前記無目に設けられ、外部電源に接続された電源回路及び無線受信回路で構成されたドア制御部と、
    前記無目に設けられ、前記電源回路に接続された給電送信回路と、
    前記ドアに設けられ、前記給電送信回路から無線給電される給電受信回路及び充放電機能を有する電源バックアップ回路と、
    前記ドアの戸尻若しくはその近辺或いは前記ドアの戸先若しくはその近辺に設けられ、1若しくは複数の近接センサで構成された検知部と、
    前記検知部から出力される距離情報を入力して閾値と比較することにより、前記検知部に接近した異物を検知して異物検知信号を無線送信回路に出力し、前記無線受信回路に無線送信する演算出力部と、
    で構成されており、前記無線受信回路が前記異物検知信号を受信したときに、前記無線受信回路に接続された前記モータ制御回路を介して前記ベルトモータを駆動停止若しくは反転駆動するようになっていることを特徴とする自動ドア用安全装置。
  8. 前記給電送信回路から前記給電受信回路への無線給電が前記ドアの全閉時に行われると共に、全閉信号が前記センサ制御部に送信されて前記距離情報が無効とされる請求項7に記載の自動ドア用安全装置。
  9. 前記近接センサがTOF方式であり、前記検知部が、袖壁に沿ったグランド板材に遮蔽されて設置されると共に、前記袖壁と反対方向に傾斜したセンサ盤で構成されており、前記異物を検知する異物検知部と、建枠を検知する建枠検知部とに分かれている請求項7又は8に記載の自動ドア用安全装置。
  10. ベルトモータの駆動によってドアを自動開閉する自動ドアにおいて、
    前記自動ドアの無目に設けられ、前記ベルトモータを駆動するモータ制御回路と、前記無目に設けられ、外部電源に接続された電源回路及び無線受信回路で構成されたドア制御部と、
    前記無目に設けられ、前記電源回路に接続された給電送信回路と、
    前記ドアに設けられ、前記給電送信回路から無線給電される給電受信回路及び充放電機能を有する電源バックアップ回路と、
    前記ドアの戸尻若しくはその近辺或いは前記ドアの戸先若しくはその近辺に設けられ、1若しくは複数の静電容量式近接センサで構成されると共に、異物を検知するための第1検知部と、
    前記ドアの戸尻若しくはその近辺或いは前記ドアの戸先若しくはその近辺に設けられ、1若しくは複数のTOF式近接センサで構成されると共に、建枠を検知するための第2検知部と、
    前記第1検知部から出力される信号出力と、前記第2検知部から出力される距離情報とを入力し、前記第1検知部に接近した異物を検知して異物検知信号を無線送信回路に出力し、前記無線受信回路に無線送信する演算出力部と、
    で構成されており、前記無線受信回路が前記異物検知信号を受信したときに、前記無線受信回路に接続された前記モータ制御回路を介して前記ベルトモータを駆動停止若しくは反転駆動するようになっていることを特徴とする自動ドア用安全装置。
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JP2021161809A (ja) 2020-04-01 2021-10-11 株式会社ニチベイ 開閉装置

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