JP7483180B2 - 因果関係推定装置、因果関係推定方法、及び因果関係推定プログラム - Google Patents

因果関係推定装置、因果関係推定方法、及び因果関係推定プログラム Download PDF

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Description

本開示は、因果関係推定装置、因果関係推定方法、及び因果関係推定プログラムに関する。
例えば、特許文献1は、2変量時系列データ(「2次元時系列データ」とも呼ばれる。)のカーネル平均の差が最大になる値であるmaximum mean discrepancy(MMD)を計算し、教師あり学習によって変量間の因果関係を明らかにする装置を開示している。
特開2017-228256号公報
Jack M. Wang, David J. Fleet, and Aaron Hertzmann, "Gaussian Process Dynamical Models", NIPS´05: Proceedings of the 18th International Conference on Neural Information Processing Systems, December 2005, pp.1441-1448 Edwin V. Bonilla, Kian Ming A. Chai, Christopher K.I. Williams, "Multi-task Gaussian Process Prediction", Proceedings of the Advances in Neural Information Processing Systems 20, (2008)
しかしながら、特許文献1の装置では、任意数の変量(例えば、3変量以上)の時系列データ間の因果関係を推定することができないという課題がある。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、任意数の変量の時系列データ間の因果関係の推定を可能にする因果関係推定装置、推定方法、及び推定プログラムを提供することを目的とする。
本開示の因果関係推定装置は、複数の状態変数の時系列データの集合と複数の観測変数の時系列データの集合とを含む学習用データを取得するデータ取得部と、前記複数の状態変数の時系列データと前記複数の観測変数の時系列データとの間の因果関係を示す因果関係パラメータを計算し、前記学習用データと前記因果関係パラメータとからガウス過程の分散共分散行列を計算し、前記因果関係パラメータをマルチタスクガウス過程モデルで表現する計算部と、前記分散共分散行列に基づいて最適化関数を計算し、前記最適化関数に基づいて前記因果関係パラメータを更新する最適化部と、を有することを特徴とする。
本開示の他の因果関係推定装置は、因果関係パラメータデータベースから、複数の状態変数の時系列データと複数の観測変数の時系列データとの間の階層ごとの因果関係を示す因果関係パラメータを読み出し、前記因果関係パラメータに基づいて、前記複数の状態変数の時系列データと前記複数の観測変数の時系列データとを前記階層ごとに配置換えする因果グラフ構築部と、複数の状態変数の時系列データの集合と複数の観測変数の時系列データの集合とを含む検証用データを取得するデータ取得部と、配置換えされた前記複数の状態変数の時系列データと前記複数の観測変数の時系列データに対し、グレンジャー因果の前記検証用データを用いた検証と疑似相関の前記検証用データを行いた検証との一方又は両方を行う因果グラフ検証部とを有することを特徴とする。
本開示によれば、任意数の変量の時系列データ間の因果関係の推定を可能にすることができる。
実施の形態1に係る因果関係推定装置の構成を示すブロック図である。 図1の因果関係推定装置のハードウェア構成の例を示す図である。 図1のデータ取得部の前処理部の構成を示すブロック図である。 図1のデータ取得部の前処理部によって次元圧縮される前の時刻情報と次元圧縮された後の時刻情報との例を示す図である。 図1のデータ取得部の前処理部によって次元拡張される前の角度情報と次元拡張された後の角度情報との例を示す図である。 図1の学習部の計算部によって行われる処理の例を示す図である。 図1の学習部の計算部の時間シフトオペレータによって行われる処理の例を示す図である。 図1の学習部の計算部で作成された因果関係パラメータの初期値と個数の例を表形式で示す図である。 図1の因果関係推定装置の動作を示すフローチャートである。 実施の形態2に係る因果関係推定装置の構成を示すブロック図である。 図10の因果関係推定装置のハードウェア構成の例を示す図である。 図10の構築部の因果グラフ構築部による因果グラフの構築処理を示す図である。 (A)及び(B)は、図10の構築部の因果グラフ構築部によって行われる状態情報及び観測情報の配置替え処理の例を示す図である。 (A)及び(B)は、図10の構築部の因果グラフ検証部によって行われる検証処理の例を示す図である。 (A)及び(B)は、図10の構築部の因果グラフ検証部によって行われる検証処理の他の例を示す図である。 図10の因果関係推定装置の動作を示すフローチャートである。 (A)及び(B)は、図10の因果関係推定装置によって時系列データ間の関係性から観測されていない時系列データを予測する処理を示す図である。 図10の因果関係推定装置が、Change Point Kernelを導入することでセンサデータの変化点又は故障を学習したモデルを使用する場合の動作を示す図である。
以下に、実施の形態に係る因果関係推定装置、因果関係推定方法、及び因果関係推定プログラムを、図面を参照しながら説明する。以下の実施の形態は、例にすぎず、実施の形態を適宜組み合わせること及び各実施の形態を適宜変更することが可能である。
実施の形態に係る因果関係推定装置は、例えば、各種経済指標(例えば、円ドルの為替レート、石油価格、公共投資、など)に関する時系列データ(X)と企業の株価の時系列データ(Y)とからなる多次元時系列データがサンプルとして与えられた場合に、時系列データ(X)と時系列データ(Y)との間の因果関係を、「X→Y」すなわち「時系列データ(X)が原因であり、時系列データ(Y)が結果である。」というように推定するための装置である。時系列データ(X)は状態変数と呼ばれ、時系列データ(Y)は観測変数と呼ばれる。また、状態変数は、説明変数又は潜在変数とも呼ばれる。観測変数は、目的変数、従属変数、又は被説明変数とも呼ばれる。また、時系列データ(X)及び時系列データ(Y)のいずれも、1次元時系列データである必要はなく、2変量以上の多次元時系列データ(すなわち、多変量時系列データ)であってもよい。また、状態変数である時系列データ(X)は、別の状態変数の時系列データ(X´)の観測変数であってもよい。また、観測変数である時系列データ(Y)は、別の観測変数の時系列データ(Y´)の状態変数であってもよい。
実施の形態1に係る因果関係推定装置は、学習用時系列データから学習済みモデル(因果関係パラメータを含む)を生成する機械学習装置である。実施の形態2に係る因果関係推定装置は、生成された学習済みモデルの因果関係パラメータ(例えば、実施の形態1に係る因果関係推定装置で生成された因果関係パラメータ)と検証用時系列データとから因果グラフを構築して出力する装置である。実施の形態2に係る因果関係推定装置は、実施の形態1に係る因果関係推定装置と別個の装置であるが、実施の形態1に係る因果関係推定装置の構成を有していてもよい。
実施の形態1に係る因果関係推定装置の学習部は、例えば、ガウス過程モデルを用いて、データ系列間の相関とデータ系列間のラグ情報とを含む多次元時系列データをモデリングする。ガウス過程モデルとしては、ガウス過程動的力学モデル(Gauss Process Dynamical Model:GPDM)及びマルチタスクガウス過程(Multi Task Gauss Process:MTGP)モデル、などの公知の方法を用いることができる。GPDMは、例えば、非特許文献1に記載されている。MTGPモデルは、例えば、非特許文献2に記載されている。
GPDMを用いることで、多次元時系列データの非線形な状態の時間発展を表現することができる。また、MTGPモデルを用いることで、複数の状態関数と複数の観測関数との間の相関及び複数の状態関数と複数の観測関数との間のラグを、カーネル関数の因果関係パラメータとして表すことができる。実施の形態1に係る因果関係推定装置は、学習によって得られた因果関係を、記憶装置の因果関係パラメータデータベース(因果関係パラメータDB)に因果関係パラメータとして保存する。実施の形態2に係る因果関係推定装置は、因果関係パラメータDBに保存されている因果関係パラメータから因果グラフを構築し、時系列データDBに保存されている検証用の時系列データを用いて因果グラフを検証して、検証済みの因果グラフを出力する。
《1》実施の形態1
《1-1》構成
《1-1-1》因果関係推定装置100
図1は、実施の形態1に係る因果関係推定装置100の構成を示すブロック図である。因果関係推定装置100は、実施の形態1に係る因果関係推定方法(すなわち、学習方法)を実施することができる装置である。図1に示されるように、因果関係推定装置100は、データ取得部10と、学習部20とを有してる。因果関係推定装置100は、例えば、コンピュータである。学習によって得られた因果関係パラメータは、記憶部の因果関係パラメータDB26に記憶される。因果関係パラメータDB26は、因果関係推定装置100の一部としての記憶部(後述の図2の記憶部103)に格納されてもよいが、因果関係推定装置100とは別の外部装置(例えば、因果関係推定装置100と通信可能なネットワーク上のサーバ)の記憶部に格納されてもよい。
因果関係推定装置100は、複数の状態変数の時系列データの集合X(0:t)と複数の観測変数の時系列データの集合Y(0:t)とを含む学習用データを取得し、複数の状態変数の時系列データと複数の観測変数の時系列データとの間の因果関係を示す因果関係パラメータθを計算し、学習用データと因果関係パラメータθとからガウス過程の分散共分散行列K(X,X´)を計算し、因果関係パラメータθをマルチタスクガウス過程モデルで表現し、分散共分散行列に基づいて最適化関数を計算し、最適化関数に基づいて因果関係パラメータθを更新する。因果関係パラメータθは、複数の状態変数の時系列データと複数の観測変数の時系列データとの間の相関を示す相関係数と、複数の状態変数の時系列データと複数の観測変数の時系列データとの間のラグを示すラグ係数とを含み、因果関係推定装置100は、相関を、前記マルチタスクガウス過程モデルのLMC(Linear Model of Coregion)カーネルの線形相関で表現する。
データ取得部10は、時系列データDB12から時系列データが入力され、前処理部16に時系列データを出力する入力部14と、入力部14から出力された時系列データに前処理を施して学習部20に前処理済みの時系列データを出力する前処理部16とを有している。時系列データDB12は、因果関係推定装置100の一部としての記憶部(後述の図2の記憶部103)に格納されてもよいが、因果関係推定装置100とは別の外部装置(例えば、因果関係推定装置100と通信可能なネットワーク上のサーバ)の記憶部に格納されてもよい。
学習部20は、計算部22と、最適化部24とを有している。計算部22は、因果関係パラメータを初期化し、分散共分散行列を計算する。最適化部24は、分散共分散行列に基づいて最適化関数を計算し、最適化関数に基づいて因果関係パラメータを更新する。各部の詳細については後述する。
図2は、因果関係推定装置100のハードウェア構成の例を示す図である。因果関係推定装置100は、プロセッサ101と、メモリ102と、不揮発性の記憶装置である記憶部103とを有している。因果関係推定装置100は、ネットワークを介して他の装置と通信を行う通信部を備えてもよい。プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit)などである。メモリ102は、例えば、RAM(Random Access Memory)などの、揮発性の半導体メモリである。記憶部103は、ハードディスクドライブ(HDD)又はソリッドステートドライブ(SSD)などの記憶装置である。記憶部103は、情報(例えば、各種のデータベース)及びプログラムを記憶する。
因果関係推定装置100の各機能は、処理回路により実現される。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいし、メモリ102に格納されるプログラムを実行するプロセッサ101であってもよい。プロセッサ101は、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、及びDSP(Digital Signal Processor)のいずれであってもよい。
処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はこれらのうちのいずれかを組み合わせたものである。
処理回路がプロセッサ101である場合、実施の形態1に係る因果関係推定プログラム(すなわち、学習プログラム)は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ102に格納される。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、図1に示される各部の機能を実現することができる。因果関係推定プログラムは、ネットワークを介してのダウンロードにより、又は、光ディスクなどのような情報を記録する記録媒体(すなわち、コンピュータで読取可能な記憶媒体)によって提供され、因果関係推定装置100にインストールされる。なお、因果関係推定装置100は、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェア又はファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらのうちのいずれかの組み合わせによって、図1に示される各機能ブロックの機能を実現することができる。
《1-1-2》入力部14
データ取得部10の入力部14は、時系列データDB12から状態変数の時系列データの集合X(0:t)(すなわち、複数個の時系列データ)及び観測変数の時系列データの集合Y(0:t)(すなわち、複数個の時系列データ)を取得し、これらを前処理部16に出力する。
具体的に言えば、入力部14は、時系列データDB12から、原因と結果の関係にあると考えられる、Q個(Qは正の整数である。)の状態変数の時系列データx(0:t),x(0:t),…,x(0:t)と、D個(Dは正の整数である。)の観測変数の時系列データy(0:t),y(0:t),…,y(0:t)とを、それぞれ選択する。このことは、Q個の状態変数の時系列データが原因となって、D個の観測変数の時系列データが観測されたことを意味する。なお、観測変数の時系列データの各々y(0:t)(d=1,2,…,D)は、1次元時系列データである必要があるが、状態変数の時系列データの各々x(0:t)(q=1,2,…,Q)は、1次元時系列データである必要はなく、多次元時系列データであってもよい。例えば、状態変数の時系列データx(0:t)として状態情報である角度αの時系列データを選択し、後述するように状態情報である角度αを次元拡張してsinαの時系列データとcosαの時系列データとした場合、sinαの時系列データとcosαの時系列データとのそれぞれを1次元時系列データの状態変数とせずに、これらのセットである(sinα,cosα)を1つの2次元時系列データに変換してもよい。
続いて、入力部14では、時系列データDB12から選択したQ個の状態変数の時系列データと、D個の観測変数の時系列データとから、長さT(Tは正の整数である。)の状態変数の時系列データの集合X(0:t)と観測変数の時系列データの集合Y(0:t)を取得し、これらを前処理部16に渡す。なお、X(0:t)及びY(0:t)において、括弧内の0:tは、時刻0から時刻tまでの時系列データを表す。ただし、時系列データは、0で始まる必要はなく、時系列データDB12に格納されている時系列データから任意の個所の長さTの時系列データを選択してもよい。
X(0:t)は、状態変数の時系列データの集合を表す。すなわち、
X(0:t)={x(0:t),x(0:t),…,x(0:t)}である。
Y(0:t)は、観測変数の時系列データの集合を表す。すなわち、
Y(0:t)={y(0:t),y(0:t),…,y(0:t)}である。
なお、x(0:t)は、状態qの状態変数の時系列データを表す。また、y(0:t)は、d次元目の観測変数の時系列データを表す。
《1-1-3》前処理部16
データ取得部10の前処理部16は、入力部14から出力された状態変数の時系列データの集合X(0:t)と観測変数の時系列データの集合Y(0:t)とを取得し、これらに前処理を施し、前処理済みの状態変数の時系列データの集合X(0:t)と前処理済みの観測変数の時系列データの集合Y(0:t)とを、学習部20の計算部22に出力する。
図3は、データ取得部10の前処理部16の構成を示すブロック図である。図3に示されるように、前処理部16は、次元変更部17と、正規化部18とを有している。
次元変更部17は、次元の変更が必要な状態情報の時系列データx(0:t)に対して、各々の状態情報に対して適切な次元削減処理(すなわち、次元圧縮処理)又は次元拡張処理を行う。状態情報の時系列データx(0:t)の次元の変更が必要な場合は、例えば、状態情報が時刻情報又は角度情報などの周期性のある情報である場合、及び長方形の各辺の長さよりも対角線の長さのほうが有効である場合、などである。以下に、次元圧縮処理と次元拡張処理の例を示す。なお、以下の例のそれぞれの逆の処理を行うことも可能である。
図4は、前処理部16の次元変更部17によって次元圧縮される前の時刻情報(左側の表)と次元圧縮された後の時刻情報(右側の表)との例を示す図である。図4に示されるように、時刻情報は、観測データが1日周期の場合には、24時間ごとの周期性を表す。このため、2つの情報である「分」と「時」とを統合して1つの情報である「時分」に圧縮することで、時刻情報を3次元時系列データから2次元時系列データに圧縮することができる。
図5は、前処理部16の次元変更部17によって次元拡張される前の角度情報と次元拡張された後の角度情報との例を示す図である。図5に示されるように、角度情報は、1つの情報である「角度α°」から2つの情報の組合せである「sinα」と「cosα」に拡張することで、角度情報を1次元時系列データから2次元時系列データに拡張することができる。なお、次元変更部17は、別の次元圧縮手法(例えば、主成分分析等)又は別の次元拡張方法を用いてもよい。
正規化部18は、次元変更された状態変数の時系列データの集合X(0:t)と次元変更された観測変数の時系列データの集合Y(0:t)とを、平均が0であり分散が1であるように正規化する。
《1-1-4》計算部22
学習部20の計算部22は、前処理部16から前処理済の状態変数の時系列データの集合X(0:t)と前処理済の観測変数の時系列データの集合Y(0:t)を受け取り、ガウス過程の分散共分散行列K(X,X´)の計算を行い、最適化部24に分散共分散行列K(X,X´)を出力する。
図6は、学習部20の計算部22によって行われる処理の例を示す図である。図6の例では、GPDMで表される観測変数の時系列データ間の相関を、MTGPモデルのLMCカーネルの線形相関で表現する。
図6においては、time-shift operator(時間シフトオペレータ)(「Lag Operator(ラグオペレータ)」とも呼ばれる。)Fを導入することで、状態関数g(x(t))~g(x(t))が遅れて(又は、進んで)観測関数f(x(t))~f(x(t))に影響を及ぼすラグ効果を表現することができる。ラグ効果とは、原因が結果に同時刻に影響を及ぼすのではなく、「原因が遅れて結果に影響を及ぼす」又は「原因が速く結果に影響を及ぼす」ことを表す。ラグ効果の具体例は、原油価格が高くなって、ガソリン価格が連動して高くなるわけではなく、ある期間(例えば、次の仕入れが行われるまでの期間)を経てガソリン価格が高くなることである。あるいは、ラグ効果の他の具体例は、将来、原油価格が高くなることを見越して、先にガソリン価格を値上げすることである。
状態情報の一つに時刻情報を加えることで、計算部22は、時系列性又は周期性を考慮することができる。ただし、計算部22は、時刻情報に関してのラグ効果を考慮しないことも可能である。
以下、実施の形態1における分散共分散行列K(X,X´)の計算方法について説明する。GPDMでは、状態方程式は式(1)のように定義され、観測方程式は式(2)のように定義される。
Figure 0007483180000001
ここで、X(t)は、状態変数の集合{x(t),x(t),…,x(t)}を表す。u(t)及びv(t)は、ホワイトガウスノイズを表す。
ガウス過程状態空間モデルでは、モデルの状態遷移関数f(x)及び状態関数g(x)のガウス過程によるモデル化が行われ、ガウス過程の表記を用いて、一般に、以下の式(3)、(4)のように表される。
g(x)~gp(0,K) (3)
f(x)~gp(0,K) (4)
式(3)は、状態の非線形な時間発展を表し、式(4)は、状態関数から観測関数への変換を表す。また、Kg、Kfは、グラム行列を表す。
式(1)の状態関数g(x)は、状態情報xから生成されるガウス過程のモデルgp(0,k(x,x´))を表す。
は、正定値カーネルを表す。使用する正定値カーネルとしては、RBFカーネル(Radial basis function kernel)等のデータに適したものを選択する。例えば、RBFカーネルは、以下の式(5)で与えられる。
Figure 0007483180000002
式(5)において、
Figure 0007483180000003
は、RBFカーネルの因果関係パラメータである。
従来手法のLMCの観測関数f(X(t))は、式(6)で表される。
Figure 0007483180000004
これに対し、実施の形態1で提案するLMCの観測関数f(X(t))は、以下の式(7)で表される。
Figure 0007483180000005
従来手法の式(6)において、ad,qは、従来手法のLMCの線形相関を表し、状態変数qから観測変数dへの相関係数を表す。
実施の形態1の式(7)において、
Figure 0007483180000006
は、実施の形態1で新たに導入したtime-shift operatorであり、Ld,qは、状態変数qから観測変数dへのラグ係数を表す。
は、時間軸に沿って状態関数の状態情報を未来(あるいは、過去)にずらすtime-shift operator(ラグオペレータ)を表し、以下の式(8)のように定義される。
Figure 0007483180000007
図7は、学習部20の計算部22のtime-shift operatorによって行われる処理の例を示す図である。図7は、time-shift operator Fの動作を示す。図7の例は、情報を時間軸tに沿って未来にずらす場合(L>0)を示している。情報を時間軸tに沿って過去にずらす場合(L<0)は、ずらす方向は図7の場合の方向の逆方向である。
図7の例のように、状態情報のうち、時刻情報についてはtime-shift operatorを適用しないことも可能であり、適用しない場合にはL=0を適用する。
図7の例では、計算部22は、例えば、3次元時系列データである状態情報#2にL=1を適用しており、この場合、3次元時系列データのいずれも時間軸tに沿ってデータをシフトさせる。計算部22は、シフト後、未来にはみ出した部分(すなわち、t=T+1の部分)を削除し、空いた部分(t=0の部分)は、直前値(すなわち、t=1の部分の値)で穴埋めする。
図7の例では、計算部22は、例えば、2次元時系列データである状態情報#3にL=2を適用しており、この場合、2次元時系列データのいずれも時間軸tに沿ってデータをシフトさせる。計算部22は、シフト後、未来にはみ出した部分(すなわち、t=T+1、t=T+2の部分)を削除し、空いた部分(すなわち、t=0、t=1の部分)は直前値(t=2)で穴埋めする。
図7の例では、計算部22は、例えば、3次元時系列データである状態情報#QにL=0を適用しており、この場合、3次元時系列データのシフトはなく、3次元時系列データは変更されない。
〈提案モデルの分散共分散行列の計算の仕方〉
既存手法により、式(7)の
Figure 0007483180000008
の観測データがガウス過程に従うと、fは、以下の式(9)の多次元ガウス分布で表される。
Figure 0007483180000009
式(9)において、
Figure 0007483180000010
である。
K(X,X´)は、分散共分散行列(又は、グラム行列)と呼ばれ、状態変数間(すなわち、X⇔X´)の類似度を表す行列である。
式(9)において、μ(X)は、状態変数の平均行列を表す。正規化部18で状態変数を正規化しているので、μ(X)=0である。
分散共分散行列K(X,X´)の各成分(K(X,X´))d,dは、式(7)のf(X)を用いて以下の式(10)のように計算できる。
Figure 0007483180000011
なお、式(10)における2行目から3行目への式変換では、異なる状態間(q≠q´)は、独立であるため、
Figure 0007483180000012
となる。
分散共分散行列K(X,X´)は、以下の式(11)及び式(12)のように表される。
Figure 0007483180000013
ここで、Bは、coregionalization matrixと呼ばれ、状態関数から観測関数への線形変換を表し、以下のように表記される。
Figure 0007483180000014
分散共分散行列K(X,X´)の計算は、状態変数の時系列データの集合X(0:t)と、以下に示される因果関係パラメータθを用いて行うことができる。
Figure 0007483180000015
《1-1-5》最適化部24
図8は、因果関係パラメータθの初期値と個数の例を表形式で示す図である。これらの因果関係パラメータは、学習部20の最適化部24で最適化される。
最適化部24は、計算部22によって計算された分散共分散行列K(X,X´)を受け取り、周辺尤度の計算と周辺尤度が最小化するように因果関係パラメータθを最適化する処理を行い、最適化した因果関係パラメータθを因果関係パラメータDBに保存する。
周辺尤度は、以下のように、計算することで得られる。観測情報が観測される確率は、以下のように式(13)で得ることができる。
Figure 0007483180000016
式(13)の両辺の対数をとると、以下の周辺尤度を計算することができる。ただし、Kθ(X,X´)は、因果関係パラメータを用いて計算した分散共分散行列K(X,X´)を表す。
Figure 0007483180000017
ただし、Nは、特徴量ベクトルXの長さ、Dは、yの出力次元数である。
因果関係パラメータθの最適化には、周辺尤度logp(y|X,θ)が最大になるようにすればよい。一般的な最適化問題と形を合わせるため、式(14)の両辺にマイナスをかけた以下の式(15)で最適化関数Eを最小化するようにする。
Figure 0007483180000018
最適化部24は、式(15)の最適化関数Eが最小化するようにθを更新する。最適化の際に、因果関係パラメータθを更新すると、Kθ(X,X´)の更新も必要になるため計算部22でKθ(X,X´)を計算する。
最適化部24は、最適化に際し、既知技術である確率的勾配降下法などを用いることができる。例えば、Ld,qは、グリッドサーチ用いて最適化することができ、残りの因果関係パラメータは、確率的勾配降下法を用いて最適化することができる。
以上の動作を実行することにより、最適化された多変量因果関係の因果関係パラメータθを求めることができる。従来は、状態変数(Q=1)、観測変数(D=1)にした場合の2変量の時系列データから「状態情報→観測情報」の因果関係を推定していた。これに対し、実施の形態1では、状態変数及び観測変数の各々を1次元以上とすることが可能であるため、任意数の変量の時系列データ間の因果関係の推定が可能であり、多変量(Q+D)の時系列データの因果関係を推定することができる。つまり、実施の形態1では、複数の状態変数と複数の観測変数との間の因果関係がわかるようになり、2変量の時系列データの因果関係の推定だけでなく、3変量以上の時系列データの因果関係の推定を行うことができる。
《1-2》動作
図9は、実施の形態1に係る因果関係推定装置100の動作(すなわち、学習方法)を示すフローチャートである。まず、ステップS101で、入力部14は、時系列データDB12から状態変数の時系列データの集合X(0:t)と観測変数の時系列データの集合Y(0:t)を取得する。
次に、ステップS102で、前処理部16は、状態変数の時系列データの集合X(0:t)において次元変更が必要な状態変数x(0:t)の次元変更(すなわち、次元圧縮又は次元拡張)を行う。
次に、ステップS103で、前処理部16は、状態変数の時系列データの集合X(0:t)と観測変数の時系列データの集合Y(0:t)の正規化を行う。
次に、ステップS104で、計算部22は、以下の因果関係パラメータθを初期値に設定する。
Figure 0007483180000019
次に、ステップS105で、計算部22は、状態変数の時系列データの集合X(0:t)と因果関係パラメータθを用いて、式(11)の分散共分散行列Kθ(X,X´)を計算する。
次に、ステップS106で、最適化部24は、式(15)の最適化関数Eを計算する。
次に、ステップS107で、最適化部24は、最適化関数Eが最小になるように因果関係パラメータθを最適化(すなわち、更新)する。
分散共分散行列Kθ(X,X´)の更新の際には、ステップS105で、更新された因果関係パラメータθを用いて、式(11)のK(X,X´)が計算される。
最適化関数Eが収束するまでステップS105~S107が繰り返される。最適化関数Eが収束したと判定されたときに、因果関係パラメータである相関係数ad,q及びラグ係数Ld,qが因果関係パラメータDB26に保存される。
《1-3》効果
実施の形態1によれば、複数の状態変数と複数の観測変数との間の因果関係がわかるようになり、任意数の変量の時系列データの因果関係を推定することができる。
《2》実施の形態2
《2-1》構成
《2-1-1》因果関係推定装置200
因果関係推定装置200は、因果関係パラメータDBから、複数の状態変数の時系列データと複数の観測変数の時系列データとの間の階層ごとの因果関係を示す因果関係パラメータθを読み出し、因果関係パラメータに基づいて、複数の状態変数の時系列データと複数の観測変数の時系列データとを階層ごとに配置換えし、複数の状態変数の時系列データの集合X(0:t)と複数の観測変数の時系列データの集合Y(0:t)とを含む検証用データを取得し、配置換えされた複数の状態変数の時系列データと複数の観測変数の時系列データに対し、グレンジャー因果の検証用データを用いた検証と疑似相関の前記検証用データを行いた検証との一方又は両方を行う。
具体的に言えば、実施の形態2に係る因果関係推定装置200は、因果グラフを構築する因果グラフ構築機能を備えた因果グラフ構築装置である。因果グラフとは、実施の形態1で得られた因果関係の情報に基づいて、「原因→結果」の関係でデータ項目一覧をグラフ構造にしたものである。構築された因果グラフの要素である状態関数及び観測関数は、因果関係パラメータDBに記憶された相関係数ad,q及びラグ係数Ld,qに基づいて、配置換えされる。構築された因果グラフは、グレンジャー因果と疑似相関とを用いて検証される。検証済みの因果グラフは、出力される。
実施の形態2に係る因果関係推定装置200は、因果関係パラメータである相関係数ad,q及びラグ係数Ld,qを用いて因果グラフを構築する。因果関係パラメータである相関係数ad,q及びラグ係数Ld,qは、例えば、実施の形態1に係る因果関係推定装置100で作成された学習済みモデルの因果関係パラメータである。因果関係推定装置200は、例えば、コンピュータである。因果関係推定装置200は、実施の形態1に係る因果関係推定装置100を構成するコンピュータと同じコンピュータであってもよく、又は、異なるコンピュータであってもよい。
図10は、実施の形態2に係る因果関係推定装置200の構成を示すブロック図である。因果関係推定装置200は、実施の形態2に係る因果関係推定(すなわち、因果グラフ構築方法)を実施することができる装置である。図10に示されるように、因果関係推定装置200は、構築部30と、データ取得部40と、出力部90とを有している。構築部30は、因果グラフ構築部32と、因果グラフ検証部34とを有している。構築部30は、因果グラフ構築部32に因果関係パラメータを提供する因果関係パラメータDB80を有してもよい。データ取得部40は、入力部44と、前処理部46とを有している。データ取得部40は、入力部44に時系列データを提供する時系列データDB42を有してもよい。出力部90は、構築部30によって構築された因果グラフを出力する。時系列データDB42及び因果関係パラメータDB80は、因果関係推定装置200の一部としての記憶部(後述の図11の記憶部203)に格納されてもよいが、因果関係推定装置100とは別の外部装置(例えば、因果関係推定装置200と通信可能なネットワーク上のサーバ)の記憶部に格納されてもよい。
図11は、因果関係推定装置200のハードウェア構成の例を示す図である。因果関係推定装置200は、プロセッサ201と、メモリ202と、不揮発性の記憶装置である記憶部203とを有している。因果関係推定装置200は、外部の装置とのインタフェース、ネットワークを介して他の装置と通信を行う通信部、などを備えてもよい。プロセッサ201は、CPUなどである。メモリ202は、例えば、RAMなどの、揮発性の半導体メモリである。記憶部203は、HDD又はSSDなどの記憶装置である。記憶部203は、情報(例えば、各種のデータベース)及びプログラムを記憶する。
因果関係推定装置200の各機能は、処理回路により実現される。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいし、メモリ202に格納されるプログラムを実行するプロセッサ201であってもよい。
処理回路がプロセッサ201である場合、実施の形態2に係る推定プログラム(すなわち、因果グラフ構築プログラム)は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェア及びファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ202に格納される。プロセッサ201は、メモリ202に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、図10に示される各部の機能を実現することができる。プログラムは、ネットワークを介してのダウンロードにより、又は、光ディスクなどのような情報を記録する記録媒体から、因果関係推定装置200にインストールされる。
《2-1-2》データ取得部40
データ取得部40は、実施の形態1のデータ取得部10と同様の機能を有している。ただし、入力部44は、後述するグレンジャー因果と疑似相関を用いた因果グラフの検証用のデータを取得する。
《2-1-3》因果グラフ構築部32
構築部30の因果グラフ構築部32は、因果関係パラメータDB80に保存されている因果関係パラメータ
Figure 0007483180000020
を取得し、因果関係パラメータを用いて因果グラフの構築を行い、構築された因果グラフを因果グラフ検証部34に出力する。
図12は、構築部30の因果グラフ構築部32による因果グラフの構築処理を示す図である。図12において、y(観測情報)よりもx(状態情報)がラグ(遅れ)があって、x(状態情報)とy(観測情報)との間の相関係数が高い場合には、「x´を原因としてy´が変動する」という因果関係(すなわち、x´→y´)がある可能性が高いと考えられる。
図12おいて、因果関係パラメータは、以下のとおりである。
Figure 0007483180000021
これらの因果関係パラメータは、階層ごとに「状態情報→観測情報」の順番に並べられる。なお、hは、階層番号を示す正の整数である。
図13(A)及び(B)は、構築部30の因果グラフ構築部32によって行われる状態情報及び観測情報の配置替え処理の例を示す図である。図13(A)及び(B)に示されるように、状態情報と観測情報との間は、状態情報から観測情報に向かう矢印で結ばれる。
図13(A)においてより、状態関数よりも観測情報のほうがラグ(進み)がある場合には、矢印の向きを逆にする。図13(B)より、相関係数が低い場合には、交絡因子又は中間因子である可能性を考え、因果グラフの上位などに持っていくような配置換えを行う。
図13(A)及び(B)で配置換えを行った際には、配置換えを行った後の状態変数と観測変数を用いて実施の形態1に係る因果関係推定装置100で因果関係パラメータを再度求める。
《2-1-4》因果グラフ検証部34
図14(A)及び(B)は、構築部30の因果グラフ検証部34によって行われる検証処理の例を示す図である。グレンジャー因果は、例えば、図14(A)に示されるように、状態変数xを含めて状態変数x,x,xによって観測変数y,yを予測した場合(ケース1)に比べて、図14(B)に示されるように、状態変数xを削除して状態変数x,xによって観測変数y,yを予測した場合(ケース2)に予測精度が下がると、状態変数xは観測変数y,yに対してグレンジャー因果があると考える。また、状態変数x,x,xによって観測変数y,yを予測した場合(ケース1)に比べて、状態変数x,xによって観測変数y,yを予測した場合(ケース2)に予測精度が上がると、状態変数xは観測変数y,yに対してグレンジャー因果がないと考える。グレンジャー因果がない場合には、状態変数xの配置換え又は状態変数xの因果グラフからの削除を行う。
予測には、因果関係推定装置100で因果関係の推定に使用した状態変数の時系列データの集合X(0:t)及び観測変数の時系列データの集合Y(0:t)から、未来の状態変数の時系列データの集合X(t+1:t+Δt)及び未来の観測変数の時系列データの集合Y(t+1:t+Δt)を、予測の検証用データ(すなわち、テストデータ)として用いてもよい。
また、訓練データで因果関係パラメータ
Figure 0007483180000022
を求めて、既知技術のガウス過程回帰で、以下の予測値
Figure 0007483180000023
を求めてもよい。
予測誤差は、例えば、以下のRMSE(Root Mean Squared Error)で評価することができる。
Figure 0007483180000024
図15(A)及び(B)は、構築部30の因果グラフ検証部34によって行われる検証処理の他の例を示す図である。図15(A)及び(B)より、非定常状態(ある因子が外的要因などで急激な変化が起こる(インパルス応答))で、どのくらい因子に影響するか(又は、どれくらい変化がなく一定値をとるか)、を見積もることで検証することも可能である。
例えば、図15(A)に示される例では、状態変数xを介して疑似相関がある観測変数yとyを用いる方法があると考えられる。図15(B)に示される例では、状態変数xが観測変数yとyの両方に影響を及ぼすが、状態変数xとxは、観測変数yとyのそれぞれ以外に影響を及ぼさない場合を考える。xが固定値をとるなど変化がない場合には、xが変化しないため観測変数yとyに影響を及ばさなくなるため、観測変数yとyの間には、相関がなくなると考えられる。
疑似相関を用いた因果関係の検証において、xの影響がなくなっても観測変数yとyの相関が残っている、あるいは、xと観測変数y、xとyが高い相関を示されるようになる場合には、状態変数xの配置換え又は因果グラフからの削除を行う。
因果グラフを構築することで、直接測定できない場所のセンサ値の予測又は異常原因の探索等を可能となる。適用事例として交通量又は気象情報からの路面損傷の予測又は、付近の雨量と水位データからの河川の水位予測、天候又は周辺地域の経済状況データを活用した電力需要予測などが考えられる。
《2-2》動作
図16は、因果関係推定装置200の動作(すなわち、推論動作)を示すフローチャートである。まず、ステップS201で、構築部30は、因果関係パラメータDBから各階層の
Figure 0007483180000025
を取得する。
次に、ステップS202で、因果グラフ構築部32は、状態情報及び観測情報を、階層ごとに「状態情報→観測情報」の順に並べる。
次に、ステップS203で、因果グラフ構築部32は、因果方向(すなわち、矢印の向き)を修正する。
次に、ステップS204で、因果グラフ構築部32は、因果グラフの状態情報及び観測情報の配置換えを行う。
次に、ステップS205で、入力部44は、時系列データDB42からグレンジャー因果の検証用データを取得する。
次に、ステップS206で、前処理部46は、検証用データの次元変更を行う。
次に、ステップS207で、前処理部46は、検証用データの正規化を行う。
次に、ステップS208で、因果グラフ検証部34は、グレンジャー因果を用いて因果グラフを検証する。
次に、ステップS209で、入力部44は、時系列データDB42から疑似相関による検証用のデータを取得する。
次に、ステップS210で、前処理部46は、検証用データの次元変更を行う。
次に、ステップS211で、前処理部46は、検証用データの正規化を行う。
次に、ステップS212で、因果グラフ検証部34は、疑似相関を用いた因果関係の検証をする。
以上に示した処理に基づいて、因果グラフ検証部34が検証した因果グラフは出力部90に出力される。
《2-3》効果
実施の形態2によれば、因果グラフを構築することで、直接測定できない場所のセンサ値の予測又は異常原因の探索等が可能となる。
また、実施の形態2は、例えば、交通量又は気象情報からの路面損傷の予測、付近の雨量と水位データからの河川の水位予測、天候又は周辺地域の経済状況データを活用した電力需要予測、などに適用可能である。
《2-4》適用例
[観測値の予測]
図17(A)及び(B)は、因果関係推定装置200によって時系列データ間の関係性から観測されていない時系列データを予測する処理を行う学習部と推論部とを示す。この場合、因果関係推定装置100は、図17(A)に示される過去のA1駅、A2駅、A3駅の混雑情報をマルチタスク学習することで、学習済みモデルを生成する。因果関係推定装置100は、A1駅、A2駅、A3駅のうちの、A1駅とA2駅の混雑情報のみがわかり、A3駅の混雑情報がわからない場合(図17(B)の場合)に、マルチタスク学習で生成された学習済みモデルを用いて、お互いの混雑度の相関又はラグ情報からA3駅の混雑度を推論部で予測(推論)することが可能である。
[異常検知又は故障予知]
図18は、因果関係推定装置100にChange Point Kernelを導入することでセンサデータの変化点又は故障を学習した場合の動作を示す図である。センサデータの変化点又は故障の学習によって生成された学習済みモデルを用いることで、故障予知を行うことができる。
Figure 0007483180000026
[Causal Impactへの適用]
公知の時系列因果の推論フレームワーク(例えば、Causal Impact)において、標準の線形状態空間モデルを、実施の形態の方法(GPDM+MTGPモデル)で置き換えることも可能である。この場合、非線形又は非定常の相関も考慮できるようになり、予測精度を向上させることができる。
[計算の高速化]
上述したMTGPモデルの計算は、計算量O(D)、メモリO(D)と計算負荷又はメモリコストが高い。このため、例えば、乱択化フーリエ特徴(Random Fourier features)又は変分化フーリエ特徴(Variational Fourier features)を用いることで、マルチタスク学習を高速化し、メモリコストを削減することが可能である。
100 因果関係推定装置、 200 因果関係推定装置(因果グラフ構築装置)、 10 データ取得部、 12、42 時系列データDB、 14 入力部、 16 前処理部、 17 次元変更部、 18 正規化部、 20 学習部、 22 計算部、 24 最適化部、 26、80 因果関係パラメータDB、 30 構築部、 32 因果グラフ構築部、 34 因果グラフ検証部、 40 データ取得部、 44 入力部、 46 前処理部、 90 出力部。

Claims (12)

  1. 複数の状態変数の時系列データの集合と複数の観測変数の時系列データの集合とを含む学習用データを取得するデータ取得部と、
    前記複数の状態変数の時系列データと前記複数の観測変数の時系列データとの間の因果関係を示す因果関係パラメータを計算し、前記学習用データと前記因果関係パラメータとからガウス過程の分散共分散行列を計算し、前記因果関係パラメータをマルチタスクガウス過程モデルで表現する計算部と、
    前記分散共分散行列に基づいて最適化関数を計算し、前記最適化関数に基づいて前記因果関係パラメータを更新する最適化部と、
    を有することを特徴とする因果関係推定装置。
  2. 前記因果関係パラメータは、前記複数の状態変数の時系列データと前記複数の観測変数の時系列データとの間の相関を示す相関係数と、前記複数の状態変数の時系列データと前記複数の観測変数の時系列データとの間のラグを示すラグ係数とを含み、
    前記計算部は、前記相関を、前記マルチタスクガウス過程モデルのLMCカーネルの線形相関で表現する
    ことを特徴とする請求項1に記載の因果関係推定装置。
  3. 前記データ取得部は、前記複数の状態変数の時系列データの次元変更を行い、次元変更された前記状態変数の時系列データを前記計算部に提供する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の因果関係推定装置。
  4. 前記複数の状態変数の時系列データは、時刻情報の時系列データを含む
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の因果関係推定装置。
  5. 前記複数の状態変数の時系列データは、角度情報の時系列データを含む
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の因果関係推定装置。
  6. 前記最適化部は、更新された前記因果関係パラメータを因果関係パラメータデータベースに保存する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の因果関係推定装置。
  7. 前記複数の状態変数の時系列データと前記複数の観測変数の時系列データとの間の階層ごとの因果関係を示す前記因果関係パラメータに基づいて、前記複数の状態変数の時系列データと前記複数の観測変数の時系列データとを前記階層ごとに配置換えする因果グラフ構築部と、
    複数の状態変数の時系列データの集合と複数の観測変数の時系列データの集合とを含む検証用データを取得する他のデータ取得部と、
    配置換えされた前記複数の状態変数の時系列データと前記複数の観測変数の時系列データに対し、グレンジャー因果の前記検証用データを用いた検証と疑似相関の前記検証用データを行いた検証との一方又は両方を行う因果グラフ検証部と、
    を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の因果関係推定装置。
  8. 因果関係パラメータデータベースから、複数の状態変数の時系列データと複数の観測変数の時系列データとの間の階層ごとの因果関係を示す因果関係パラメータを読み出し、前記因果関係パラメータに基づいて、前記複数の状態変数の時系列データと前記複数の観測変数の時系列データとを前記階層ごとに配置換えする因果グラフ構築部と、
    複数の状態変数の時系列データの集合と複数の観測変数の時系列データの集合とを含む検証用データを取得するデータ取得部と、
    配置換えされた前記複数の状態変数の時系列データと前記複数の観測変数の時系列データに対し、グレンジャー因果の前記検証用データを用いた検証と疑似相関の前記検証用データを行いた検証との一方又は両方を行う因果グラフ検証部と、
    を有することを特徴とする因果関係推定装置。
  9. 前記因果関係パラメータは、前記複数の状態変数の時系列データと前記複数の観測変数の時系列データとの間の相関を示す相関係数と、前記複数の状態変数の時系列データと前記複数の観測変数の時系列データとの間のラグを示すラグ係数とを含む
    ことを特徴とする請求項8に記載の因果関係推定装置。
  10. 予測対象に関する複数の状態変数の時系列データと複数の観測変数の時系列データとを取得し、前記予測対象に関する前記複数の状態変数の時系列データと前記複数の観測変数の時系列データから未観測の次元の観測情報を予測するための、前記因果関係パラメータに基づく学習済みモデルを用いて、前記未観測の次元の観測情報を予測する推論部をさらに有する
    ことを特徴とする請求項1、2、8、9のいずれか1項に記載の因果関係推定装置。
  11. 因果関係推定装置によって実施される因果関係推定方法であって、
    複数の状態変数の時系列データの集合と複数の観測変数の時系列データの集合とを含む学習用データを取得するステップと、
    前記複数の状態変数の時系列データと前記複数の観測変数の時系列データとの間の因果関係を示す因果関係パラメータを計算し、前記学習用データと前記因果関係パラメータとからガウス過程の分散共分散行列を計算し、前記因果関係パラメータをマルチタスクガウス過程モデルで表現するステップと、
    前記分散共分散行列に基づいて最適化関数を計算し、前記最適化関数に基づいて前記因果関係パラメータを更新するステップと、
    を有することを特徴とする因果関係推定方法。
  12. 複数の状態変数の時系列データの集合と複数の観測変数の時系列データの集合とを含む学習用データを取得するステップと、
    前記複数の状態変数の時系列データと前記複数の観測変数の時系列データとの間の因果関係を示す因果関係パラメータを計算し、前記学習用データと前記因果関係パラメータとからガウス過程の分散共分散行列を計算し、前記因果関係パラメータをマルチタスクガウス過程モデルで表現するステップと、
    前記分散共分散行列に基づいて最適化関数を計算し、前記最適化関数に基づいて前記因果関係パラメータを更新するステップと、
    をコンピュータに実行させることを特徴とする因果関係推定プログラム。
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