JP7482995B2 - 誘電体本体に接合された1つまたは複数の光学窓を有する蒸気セルの製造 - Google Patents

誘電体本体に接合された1つまたは複数の光学窓を有する蒸気セルの製造 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月21日に出願された米国特許出願第16/659,276号および第16/659,289号の優先権を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
以下の説明は、蒸気セルおよびその製造方法に関する。
蒸気セル(vapor cell)は、蒸気またはガスを密閉容積内に密封することによって製造される。蒸気またはガスを密閉容積内に導入するために、蒸気セルは、ステムと呼ばれる、ガラスで形成された導管を含むことができ、それは、十分な蒸気またはガスが密閉容積に入ったときに溶断(fuse-off)される。しかしながら、溶断された導管は、蒸気セルから突き出ており、蒸気セルを壊れやすくし、パッケージ化しにくくし、さらに、蒸気セルで測定される電界を乱すことがある。蒸気セルはまた、通常、アノード接合(anodic bond:アノード結合)プロセスを使用して製造される。アノード接合プロセスは、高温と高電圧を必要とし、接合形成中に揮発性種をガス放出することがある。高温は、緩和防止被覆が蒸気セルに適用されるのを妨げ、揮発性種は、蒸気セル内の蒸気またはガスを汚染することがある。これらの欠点を避けるかまたは軽減する蒸気セルおよび製造方法が望まれる。
蒸気セルを製造する方法であって、誘電体本体(dielectric body)の空洞への開口を画定する表面を含む誘電体本体を得ることと、表面を含む光学窓(optical window:光学ウインドウ)を得ることと、それぞれ、第1の複数のヒドロキシルリガンド(hydroxyl ligand)および第2の複数のヒドロキシルリガンドを含むように、誘電体本体の表面および光学窓の表面を変質させることと、蒸気または蒸気の源(source)を空洞内に配置することと、空洞への開口のまわりにシール(seal:封、封止)を形成するために誘電体本体の変質された表面を光学窓の変質された表面に接触させることであり、シールが、変質された表面の接触中に第1の複数のヒドロキシルリガンドを第2の複数のヒドロキシルリガンドと反応させることによって形成された金属-酸素結合を含む、接触させることとを含む、方法。
誘電体本体および光学窓を有する例示の蒸気セルの斜視の分解図である。 図1Aの例示の蒸気セルの斜視図であるが、光学窓が誘電体本体に接触結合されている。 2つの光学窓を有する例示の蒸気セルの斜視の分解図である。 図2Aの例示の蒸気セル100の斜視図であるが、両方の光学窓が例示の蒸気セルの誘電体本体に接合されている。 シリコンで形成された誘電体本体と、ガラスで形成された2つの光学窓とを有する、斜視図、上面図、および側面図で示された例示の蒸気セルの図である。 ガラスで形成された誘電体本体と、ガラスで形成された2つの光学窓とを有する、斜視図、上面図、および側面図で示された例示の蒸気セルの図である。 円形の誘電体本体と、円形の誘電体本体の正方形の外壁および円形の内壁によって画定された空洞とを含む例示の蒸気セルの斜視図である。 正方形の誘電体本体と、正方形の誘電体本体の円形の外壁および内壁によって画定された空洞とを含む例示の蒸気セルの斜視図である。 円形の誘電体本体と、円形の誘電体本体の円形の外壁および内壁によって画定された空洞とを含む例示の蒸気セルの斜視図である。
原子ベースセンシングにおける多くの用途は、内部に高純度のガスサンプルをもつステムレスの小さい蒸気セルを必要とする。これらのタイプの蒸気セルは、特に、蒸気セルが原子または分子の十分に制御された純粋なサンプルを必要とする場合、大量に製造することが困難である。現在、そのような用途にとって最適な蒸気セルは、高温と高電圧を必要とするアノード接合を使用して製作される。しかしながら、アノード接合プロセス中に、ガス放出が、しばしば、蒸気セル内で発生し、揮発性汚染物質が内部の蒸気に導入される。そのような汚染物質は、原子ベースセンシング適用中に蒸気セルの性能を低下させる可能性がある。その上、アノード接合に関連する高温および高電圧はまた、緩和防止被覆が蒸気セルに適用されるのを妨げる。
さらに、磁力測定、時間センシング、および原子ベース電界センシングなどの多くの用途では蒸気セルにステムがあることは望ましくない。ステムは、蒸気セルを壊れやすくし、パッケージ化しにくくし、測定されるべき電磁界を乱す。電磁界の原子ベースセンシングでは、蒸気セルのサイズが、検出されるべき電磁界の波長よりも非常に小さいことが重要である。ステムが存在すると、検出されるべき電磁界の波長よりも小さい寸法に蒸気セルを小型化することが妨げられる。さらに、蒸気セルは、原子および/または分子を含む空洞への光の透過を可能にするように製造されることが望ましい。
原子または分子の純粋なサンプルを保持することができる、ステムのない小さい蒸気セルは、原子および分子ベースセンシングにとって重要である。蒸気セルに基づく原子時計およびセンサなどの用途では、自己較正され、性能が従来のデバイスを凌駕できる有用な計測デバイスの室温動作が可能になり得る。世界がさらに標準化され結びつけられるようになるにつれて、これらのタイプの機器は、電磁界センシングおよびタイミングの精度および確度に対する要求が高まるときにますます重要になる。例えば、無線テストによるレーダーシステムの場較正(field calibration)は、大きいテスト施設で通常行われる標準測定を必要とする。GPSが提供されない区域でのGPSの適用への要求を満たすことができ、ならびにGPSドロップアウトを処理することができるクロック(clock)および加速度計は、そのような蒸気セルから利益を得ることができる。現在のコヒーレントポピュレーショントラッピング(CPT)原子時計は、大量のバッファガスで動作しており、そのため、これらの用途で使用される蒸気セルを密封するのにアノード接合を使用することが可能になる。しかしながら、アルカリ原子の純粋な蒸気サンプルは、様々なタイプのクロックを含む他の種類のデバイスを可能にすることができる。例えば、スピン保存の緩和防止被覆を必要とする蒸気セル磁力計は、この蒸気セルの準備方法の別の用途である。
ここで説明するもののいくつかの態様において、原子ベースセンシングのための蒸気セルが、その製造方法を含めて提示される。多くの変形において、蒸気セルは、小さく(例えば、1mm3未満)、そしてステムレスである。しかしながら、形状を調節できるより大きい蒸気セルも可能である。蒸気セルは、蒸気セルで測定される電磁界の波長と比べて十分に小さくすることができ、それにより、蒸気セルの散乱断面積は、幾何学的断面積未満に減少する。ステムをなくすことにより、さらに、散乱断面積を減少させ、ならびに測定される電磁界の歪みを減少させることができる。この製造方法により、そのような蒸気セルを製作することができる。この方法は、大きい基板にステムレス蒸気セルのアレイを作り、次いで、ダイシングソーまたはレーザのいずれかを用いて蒸気セルを切断することに基づくことができる。しかしながら、この方法は、単一のステムレス蒸気セルに対応する個別のチップに基づくこともできる。
この方法では、低圧(例えば、10-9Torr未満)にポンプアウトすることができるフレームが準備される。フレームは、基板に空洞(cavity)またはホール(hole:孔、穴)を製作することによって作ることができる。ホールが製作されたならば、アノード接合またはガラスフリット接合などの強力な高温接合を用いて、光学窓(optical window:光学ウインドウ)またはバッキング(backing)を接合することができる。そのような操作におけるガス放出は、開口が密封されておらず、それにより、汚染物質ガスが脱出できるので、蒸気セルに影響を与えない。蒸気セル内に高純度ガスを密封するために、この方法は、純粋なガスのバックグラウンド環境において接触結合(contact bond:接着)を行う。接触結合は、充填操作が実行される場合、例えば、フレームの空洞またはホールにアルカリ金属を点在させる場合、空洞またはホールにアルカリ原子の気化可能な源(気化可能なアルカリ原子源)を挿入する場合などに、純粋な真空中で形成することもできる。
蒸気セルを密封するための接触結合は、プラズマを使用してフレームおよび光学窓の表面を化学的に活性化することによって機能する。そのような活性化は、最終的にフレームと窓/カバーとの間の金属-酸素結合を形成するヒドロキシル結合(例えば、OH化学基への結合)を作り出すために、洗浄で補足されてもよい。例えば、フレームが酸化ケイ素(例えば、石英ガラス、単結晶石英など)で形成され、光学窓が酸化ケイ素を含むガラスである場合、金属-酸素結合は、シロキサン結合(すなわち、Si-O-Si)を含むことができる。シロキサン接触結合は、酸化ケイ素を含むフレームおよび光学窓で十分に機能する。しかしながら、酸化ケイ素の層で被覆される場合、他の材料が可能であり得る。例えば、シリコンフレームの前面は、光学窓とフレームとの間の接触結合を容易にするために、酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)の層で被覆することができる。接触結合の後、蒸気セルは、ファイバを窓に直接取り付けるか、またはファイバに取り付けられたGRINレンズを蒸気セルに取り付けることによって、容易にファイバ結合され得る。そのような結合により、蒸気セルは、電磁界のセンシングのためのセンサとして機能することが可能になり得る。
次に図1Aを参照すると、誘電体本体102と光学窓104とを有する例示の蒸気セル100の斜視の分解図が提示される。図1Bは、図1Aの例示の蒸気セル100を提示するが、光学窓104が誘電体本体102に接触結合されている。例示の蒸気セル100は、ステムレスであり、多くの変形では、サイズが1mm3未満である。誘電体本体102は、図1A~図1Bに示されるように、反対側の平坦な表面によって画定された基体とすることができる。しかしながら、誘電体本体102に関して、他の構成が可能である。その上、図1A~図1Bは、誘電体本体102を正方形であるとして示しているが、他の形状が可能である。光学窓104は、同様に、反対側の平坦な表面によって画定された基体とすることができる。しかしながら、光学窓104に関して、他の構成が可能である。一般に、光学窓104は、誘電体本体102の表面に対して対合する(または接合する)ように構成された1つの表面を含み、それによって、シールを形成する(例えば、接触結合を介して)ことが可能になる。
誘電体本体102は、蒸気セル100によって測定される電界(または電磁放射)に対して透明な材料で形成することができる。材料は、高い抵抗率、例えば、ρ>108Ω・cmを有する絶縁材料とすることができ、さらに、単結晶、多結晶セラミック、または非晶質ガラスに対応することができる。例えば、誘電体本体102は、シリコンで形成することができる。別の例では、誘電体本体102は、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、またはアルミノシリケートガラスなどの酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含むガラスで形成することができる。ある例では、誘電体本体102の材料は、酸化マグネシウム(例えば、MgO)、酸化アルミニウム(例えば、Al23)、二酸化ケイ素(例えば、SiO2)、二酸化チタン(例えば、TiO2)、二酸化ジルコニウム(例えば、ZrO2)、酸化イットリウム(例えば、Y23)、酸化ランタン(例えば、La23)などのような酸化物材料である。酸化物材料は、不定比であってもよく(例えば、SiOx)、さらに、1つまたは複数の二元酸化物(例えばY:ZrO2、LaAlO3など)の組合せであってもよい。他の例では、誘電体本体102の材料は、シリコン(Si)、ダイヤモンド(C)、窒化ガリウム(GaN)、フッ化カルシウム(CaF)などのような非酸化物材料である。これらの例では、誘電体本体102の表面106を画定するために、接着層を誘電体本体102上に配置することができる。接着層は、誘電体本体102の非酸化物材料への接合を可能にすることができるが、さらに、光学窓104との接触結合の形成を可能にすることができる。例えば、誘電体本体102は、シリコンで形成することができ、例示の蒸気セル100は、誘電体本体102上に酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含む接着層を含むことができる。この接着層は、誘電体本体102の表面106を画定し、本明細書に記載される製造方法に従って処理されたときシロキサン結合を形成することができる。
誘電体本体102は、空洞110への開口108を誘電体本体102に画定する表面106を含む。表面106は、図1A~図1Bに示されるように平坦な表面とすることができるが、他の表面が可能である(例えば、湾曲した)。開口108は、空洞110の内部容積部へのアクセスを可能にする任意のタイプの開口とすることができ、任意の形状(例えば、円形、正方形、六角形、楕円形など)を有することができる。そのようなアクセスは、蒸気セル100の製造中に蒸気(または蒸気の源(蒸気源))を空洞110内に配置することを可能にすることができる。空洞110は、表面106から誘電体本体102内に延び、誘電体本体102を完全に通って延びる前に止まる。空洞110は、誘電体本体を通る延長部に沿って均一な断面を有することができる。しかしながら、いくつかの変形では、空洞110の断面は、延長部に沿って変化することができる。
例示の蒸気セル100は、誘電体本体102の空洞110に蒸気(図示せず)を含む。蒸気は、アルカリ金属原子のガス、希ガス、二原子ハロゲン分子のガス、または有機分子のガスなどの成分を含むことができる。例えば、蒸気は、アルカリ金属原子(例えば、K、Rb、Csなど)のガス、希ガス(例えば、He、Ne、Ar、Krなど)、または両方を含むことができる。別の例では、蒸気は、二原子ハロゲン分子(例えば、F2、Cl2、Br2など)のガス、希ガス、または両方を含むことができる。さらなる別の例では、蒸気は、有機分子(例えば、アセチレン)のガス、希ガス、または両方を含むことができる。蒸気の他の組合せが、他の構成成分を含めて、可能である。
例示の蒸気セル100は、誘電体本体102の空洞110に蒸気の源をさらに含むことができる。蒸気の源は、熱、紫外線への暴露などのようなエネルギーの刺激に応じて蒸気を生成することができる。例えば、蒸気は、アルカリ金属原子のガスに対応することができ、蒸気の源は、空洞110に配置されたときに固相または液相となるように十分に冷却されたアルカリ金属塊に対応することができる。いくつかの実施態様では、蒸気の源は、誘電体本体の空洞に存在し、蒸気の源は、加熱されたときにアルカリ金属原子のガスを生成するように構成されたアルカリ金属原子の液体または固体源を含む。
例示の蒸気セル100は、追加として、光学窓104を含む。図1Bに示されるように、光学窓104は、空洞110の開口108を覆い、誘電体本体102の表面106に接合される表面112を有する。この接合は、開口108のまわりにシールを形成する。シールは、誘電体本体102の表面106の第1の複数のヒドロキシルリガンド(hydroxyl ligand)を光学窓104の表面112の第2の複数のヒドロキシルリガンドと反応させることによって形成される金属-酸素結合を含むことができる。誘電体本体102(またはその上の接着層)および光学窓104の一方または両方が酸化ケイ素を含む場合、金属-酸化物接合は、シロキサン結合(すなわち、Si-O-Si)を含むことができる。しかしながら、ハイブリッドオキソ-金属結合を含む他のタイプの金属-酸素結合が可能である。例えば、誘電体本体102および光学窓が両方ともサファイア(例えば、Al23)で形成されている場合、金属-酸素結合はオキソ(酸素)-アルミニウム結合(例えば、Al-O-Al)を含むことができる。誘電体本体102が酸化ケイ素を含むガラスで形成され、光学窓104がサファイアで形成されている場合、金属-酸素結合は、ケイ素-オキソ-アルミニウム結合(例えば、Si-O-Ai、Al-O-Siなど)を含むことができる。
光学窓104は、誘電体本体102の空洞110内に密封された蒸気を調べるために使用される電磁放射(例えば、レーザ光)に対して透明な材料で形成することができる。例えば、光学窓104の材料は、赤外波長の電磁放射(例えば、700~1000nm)、可視波長の電磁放射(例えば、400~7000nm)、または紫外波長の電磁放射(例えば、10~400nm)に対して透明にすることができる。その上、光学窓104の材料は、高い抵抗率、例えば、ρ>108Ω・cmを有する絶縁材料とすることができ、さらに、単結晶、多結晶セラミック、または非晶質ガラスに対応することができる。例えば、光学窓104の材料は、石英、融解石英、またはホウケイ酸ガラス内に見いだされるような酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含むことができる。別の例では、光学窓104の材料は、サファイアまたはアルミノシリケートガラスに見いだされるような酸化アルミニウム(例えば、Al23、Alxyなど)を含むことができる。ある例では、光学窓104の材料は、酸化マグネシウム(例えば、MgO)、酸化アルミニウム(例えば、Al23)、二酸化ケイ素(例えば、SiO2)、二酸化チタン(例えば、TiO2)、二酸化ジルコニウム(例えば、ZrO2)、酸化イットリウム(例えば、Y23)、酸化ランタン(例えば、La23)などのような酸化物材料である。酸化物材料は、不定比であってもよく(例えば、SiOx)、さらに、1つまたは複数の二元酸化物(例えばY:ZrO2、LaAlO3など)の組合せであってもよい。他の例では、光学窓104の材料は、ダイヤモンド(C)、フッ化カルシウム(CaF)などのような非酸化物材料である。
多くの実施態様において、誘電体本体102の表面106および光学窓104の表面112は、閾値表面粗さ以下の表面粗さRaを有することができる。閾値表面粗さは、接触結合中に、シールを通って漏れる経路が形成されないことを保証することができる。そのような経路は、存在する場合、汚染物質が空洞110に入ること、および蒸気が蒸気セル100を出て行くことを可能にする場合がある。いくつかの変形では、閾値表面粗さは50nm未満である。いくつかの変形では、閾値表面粗さは30nm未満である。いくつかの変形では、閾値表面粗さは10nm未満である。いくつかの変形では、閾値表面粗さは1nm未満である。
図1Aおよび図1Bは、例示の蒸気セル100を単一の光学窓を有するとして示しているが、2つ以上の光学窓が、例示の蒸気セル100に対して可能である。その上、いくつかの変形では、空洞110は、誘電体本体102を完全に通って延びることができる。図2Aは、2つの光学窓を有する例示の蒸気セル200の斜視の分解図を提示する。例示の蒸気セル200は、多くの特徴において、図1A~図1Bで示された例示の蒸気セル100と類似していることがある。図2Bは、図2Aの例示の蒸気セル200を提示し、両方の光学窓が例示の蒸気セル200の誘電体本体202に接合されている。接合のうちの少なくとも1つは、図1A~図1Bの例示の蒸気セル100に関連して説明されているような接触結合である。例示の蒸気セル200は、誘電体本体202と、誘電体本体202内の空洞204とを含む。空洞204は、誘電体本体202を完全に通って延びる。誘電体本体202の第1の表面206は、空洞204への第1の開口208を画定し、誘電体本体202の第2の表面210は、空洞204への第2の開口212を画定する。
例示の蒸気セル200は、空洞204の第1の開口208を覆う第1の光学窓214をさらに含む。第1の光学窓214は、第1の開口208のまわりに第1のシールを形成するために誘電体本体202の第1の表面206に接合される表面216を有する。例示の蒸気セル200は、追加として、空洞204の第2の開口212を覆う第2の光学窓218を含む。第2の光学窓218は、第2の開口212のまわりに第2のシールを形成するために誘電体本体202の第2の表面210に接合される表面220を有する。第2のシールは、誘電体本体202の第2の表面210の第1の複数のヒドロキシルリガンドを第2の光学窓218の表面220の第2の複数のヒドロキシルリガンドと反応させることによって形成された金属-酸素結合を含む。蒸気または蒸気の源(図示せず)は、誘電体本体202の空洞204に存在する。
誘電体本体202および光学窓214、218は、図1A~図1Bの例示の蒸気セル100に関連して説明された誘電体本体102および光学窓104とそれぞれ共通する特徴を共有することができる。例えば、誘電体本体202は、シリコン(Si)、酸化アルミニウム(例えば、Al23)、または酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含むガラスで形成することができる。別の例では、第1および第2の光学窓214、218の一方または両方は、誘電体本体202の空洞204内に密封された蒸気を調べるために使用される電磁放射(例えば、レーザ光)に対して透明な材料で形成することができる。他のフィーチャおよびそれらの組合せが可能である。同様に、蒸気および蒸気の源は、図1A~図1Bの例示の蒸気セル100に関連して説明された蒸気および蒸気の源とそれぞれ共通する特徴を共有することができる。例えば、蒸気は、アルカリ金属原子のガス、希ガス、二原子ハロゲン分子のガス、有機分子のガス、またはそれらの組合せを含むことができる。別の例では、蒸気の源は、誘電体本体202の空洞204に存在することができ、蒸気の源は、加熱されたときにアルカリ金属原子のガスを生成するように構成されたアルカリ金属原子の液体または固体源を含むことができる。他のフィーチャおよびそれらの組合せが可能である。
誘電体本体202が非酸化物材料で形成される実施態様では、誘電体本体202の第2の表面210を画定するために、接着層を誘電体本体202上に配置することができる。接着層は、誘電体本体202の非酸化物材料への接合を可能にすることができるが、さらに、第2の光学窓218の表面220との接触結合の形成を可能にすることができる。例えば、誘電体本体202は、シリコンで形成することができ、例示の蒸気セル200は、誘電体本体202上に酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含む接着層を含むことができる。この接着層は、誘電体本体202の第2の表面210を画定し、本明細書に記載される製造方法に従って処理されたときシロキサン結合を形成することができる。いくつかの実施態様では、第1のシールは、誘電体本体202の第1の表面206の第3の複数のヒドロキシルリガンドを第1の光学窓214の表面216の第4の複数のヒドロキシルリガンドと反応させることによって形成される金属-酸素結合を含む。これらの実施態様では、例示の蒸気セル200は、誘電体本体が非酸化物材料で形成される場合、誘電体本体202の第1の表面206を画定するために誘電体本体202上に配置された接着層を含むことができる。
図2A~図2Bに示されるものなどのいくつかの実施態様では、誘電体本体202の第1および第2の表面206、210は、互いに反対側の平坦な表面であり、第1の光学窓214の表面216および第2の光学窓218の表面220は、平坦な表面である。いくつかの実施態様では、誘電体本体202の第2の表面210および第2の光学窓218の表面220は、閾値表面粗さ以下の表面粗さRaを有することができる。いくつかの変形では、閾値表面粗さは50nm未満である。いくつかの変形では、閾値表面粗さは30nm未満である。いくつかの変形では、閾値表面粗さは10nm未満である。いくつかの変形では、閾値表面粗さは1nm未満である。さらなる実施態様では、閾値表面粗さは、第2の閾値表面粗さであり、誘電体本体202の第1の表面206および第1の光学窓214の表面216は、第1の閾値表面粗さ以下の表面粗さRaを有する。第1の閾値表面粗さは、第2の閾値表面粗さと同じである必要はない。
いくつかの実施態様では、第1のシールは、誘電体本体202の第1の表面206と第1の光学窓214の表面216との間のアノード接合を含む。いくつかの実施態様では、誘電体本体202は、酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含むガラスで形成され、第1の光学窓214は、酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含む。これらの実施態様では、例示の蒸気セル200は、誘電体本体202の第1の表面206と第1の光学窓214の表面216との間に配置されたケイ素の層を含む。第1のシールは、ケイ素の層と、誘電体本体202の第1の表面206および第1の光学窓214の表面216の一方または両方との間のアノード接合を含む。
いくつかの実施態様では、誘電体本体202は、酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含むガラスで形成され、第1の光学窓214は、酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含む。そのような場合、例示の蒸気セル200は、誘電体本体202の第1の表面206を第1の光学窓214の表面216に接合するガラスフリットの焼成層(fired layer of glass frit)を含む。ガラスフリットの焼成層は第1のシールを画定する。
図3は、シリコンで形成された誘電体本体302と、ガラスで形成された2つの光学窓304、306とを有する、斜視図、上面図、および側面図で示された例示の蒸気セル300を提示する。例示の蒸気セル300は、単一の蒸気セルであってもよく、または代替として、そのようなセルのアレイ(例えば、大きい基板またはウェハを使用して製造された)の一部であってもよい。ガラスは酸化ケイ素を含むが、ガラスの組成は、2つの光学窓304、306に関して同じであっても異なっていてもよい。2つの光学窓304、306は、誘電体本体302の空洞308へのそれぞれの開口を覆う。特に、第1の光学窓304は、第1のシールを画定するために誘電体本体302に接合され、第2の光学窓306は、第2のシールを画定するために誘電体本体302に接合される。第1および第2のシールは、誘電体本体302の空洞308内に蒸気(または蒸気の源)を含むのを支援する。接着層310は、第2の光学窓306と誘電体本体302との間の界面312に沿って配置される。接着層310は、二酸化ケイ素(例えば、単結晶石英または石英ガラス)で形成され、誘電体本体302と第2の光学窓306との間の接触結合を可能にする。接触結合は、第2のシールを画定するのに役立ち、接着層310と第2の光学窓306との間のシロキサン結合(すなわち、Si-O-Si)を含む。第1のシールは、誘電体本体302と第1の光学窓304との間のアノード接合を含むことができる。代替として、ガラスフリットの焼成層が、第1のシールを形成するために誘電体本体302を第1の光学窓304に接合させてもよい。
図4は、ガラスで形成された誘電体本体402と、ガラスで形成された2つの光学窓404、406とを有する、斜視図、上面図、および側面図で示された例示の蒸気セル400を提示する。図3と同様に、例示の蒸気セル400は、単一の蒸気セルであってもよく、または代替として、そのようなセルのアレイ(例えば、大きい基板またはウェハを使用して製造された)の一部であってもよい。ガラスは酸化ケイ素を含むが、ガラスの組成は、誘電体本体402と2つの光学窓404、406の任意の組合せに関して同じであっても異なっていてもよい。2つの光学窓404、406は、誘電体本体402の空洞408へのそれぞれの開口を覆う。特に、第1の光学窓404は、第1のシールを画定するために誘電体本体402に接合され、第2の光学窓406は、第2のシールを画定するために誘電体本体402に接合される。第1および第2のシールは、誘電体本体402の空洞408内に蒸気(または蒸気の源)を含むのを支援する。ケイ素の層410が、第1の光学窓404と誘電体本体402との間の界面412に沿って配置される。ケイ素の層410は、第1の光学窓404と誘電体本体402との間のアノード接合を可能にし、それは、第1のシールを画定するのに役立つ。接触結合は、第2のシールを画定し、誘電体本体402と第2の光学窓406との間のシロキサン結合(すなわち、Si-O-Si)を含む。
図1A~図4は、円形の空洞をもつ正方形の蒸気セルを示しているが、蒸気セルおよびそれぞれの空洞に関して他の形状が可能である。例えば、図5A~図5Cは、例示の蒸気セル500、520、540の代替の形状を斜視図で提示する。図5Aにおいて、例示の蒸気セル500は、円形の誘電体本体502と円形の光学窓504、506を含む。円形の誘電体本体502は、その中に空洞510を画定するために正方形の壁508を含む。いくつかの変形では、円形の誘電体本体502は、シリコンで形成され、約0.5mm厚とすることができる。円形の誘電体本体502の直径は約1.5mmとすることができる。いくつかの変形では、円形の光学窓504、506は、約0.05mm~0.30mm厚とすることができる。円形の光学窓504、506は、円形の誘電体本体502と共通の直径を共有することができる。いくつかの変形では、正方形の壁508は、約0.9mmの縁部の長さを有することができる。
図5Bにおいて、例示の蒸気セル520は、正方形の誘電体本体522と正方形の光学窓524、526とを含む。正方形の誘電体本体522は、その中に空洞530を画定するために円形の壁528を含む。いくつかの変形では、正方形の誘電体本体522は、シリコンで形成され、約0.5mm厚とすることができる。正方形の誘電体本体522の縁部の長さは約1.5mmとすることができる。いくつかの変形では、正方形光学窓524、526は、約0.05mm~0.30mm厚とすることができる。正方形の光学窓524、526は、正方形の誘電体本体522と共通の縁部の長さを共有することができる。いくつかの変形では、円形の壁528は、約0.9mmの直径を有することができる。
図5Cにおいて、例示の蒸気セル540は、円形の誘電体本体542と円形の光学窓544、546を含む。円形の誘電体本体542は、その中に空洞550を画定するために円形の壁548を含む。いくつかの変形では、円形の誘電体本体542は、シリコンで形成され、約0.5mm厚とすることができる。円形の誘電体本体542の直径は約1.5mmとすることができる。いくつかの変形では、円形の光学窓544、546は、約0.05mm~0.30mm厚とすることができる。円形の光学窓544、546は、円形の誘電体本体542と共通の直径を共有することができる。いくつかの変形では、円形の壁548は、約0.9mmの直径を有することができる。
図1A~図5Cに関連して説明された蒸気セルは、本明細書に記載される方法を使用して製造することができる。この製造方法は、検出または測定されるべき電磁放射の波長よりも非常に小さい蒸気セルサイズをもたらすことができる。原子ベース磁力測定では、この方法は、蒸気セルを密封するために低温方法を含むことができ、それにより、蒸気セルを緩和防止被覆で被覆することができる。この方法は、チップに個別の構造または多くの構造を製作するために、レーザ機械加工またはリソグラフィ技法と、それに続く、深掘り反応性イオンエッチング(DRIE)などのエッチング法とを使用して、蒸気セルのフレームまたは本体を構築することを含む。フレームに使用される材料(例えば、シリコン)は、化学的機械加工またはレーザ機械加工の前に、酸化ケイ素材料(例えば、SiO2、SiOxなど)または別の接着層などで被覆される。次に、所望の電磁波を透過することができる光学窓が、フレームにアノード接合される(またはガラスフリット接合などの他の方法で接合される)。この接合作業は、高真空に対して漏れのない強力な接合をもたらす。しかしながら、場合によっては、アノード接合作業はまた、ガス放出をもたらすこともある。例えば、チップスケール原子時計を構築するために使用されるものなどの方法では、アノード接合を使用して、光学窓をフレームまたは本体上に固定する。これらの方法では、比較的高い温度と電圧が必要とされ、その結果として、イオン拡散を強力に推進するので、大量のガス放出が生じることがある。ガス放出により、蒸気セル内の好ましくないガスの圧力が受け入れがたい高いレベルに上昇し、それにより、蒸気セルの性能が劣化することがある。
ガス放出を避けるかまたは軽減するのに役立つために、本明細書で提示される方法は、接触結合作業を使用してシールを行う。接触結合作業において、接着層および光学窓は、プラズマ活性化を使用して準備することができる。いくつかの変形では、光学窓をもつフレームまたは本体は、ガスの雰囲気中に置かれ、それによって、ガスは、蒸気セルを所望の圧力に満たすことができる。次いで、部片のプラズマ活性化された面を一緒に押しつけて接触結合が行われて、シールが形成される。しかしながら、他の充填技法が可能である。例えば、アルカリ金属塊を、アノード接合される窓に点在させ、次いで、高真空条件下で接触結合作業により蒸気セル内に密封することができる。代替として、ガスの蒸気のレーザ活性化される様々な源が、蒸気セル内に置かれ、次いで、高真空条件下で接触結合作業によって密封されてもよい。本明細書で提示される方法は、最終作業に対応することができる接触結合作業が低温で行われるので、磁力測定のための緩和防止被覆で被覆された蒸気セルを製作するのに十分に適している。
本明細書に記載される製造方法は、強力な接合方法(例えば、大気中のアノード接合)を真空中の接触結合と組み合わせることによって、高純度ガスサンプルを有するステムレス蒸気セルを作ることができる。この方法は、多くの蒸気セルを大きい基板(例えば、ウェハ)に同時に製作し、次いで、レーザ機械加工プロセスまたはダイシングソーのいずれかを使用して切断することができるので、大規模製造に貢献する。いくつかの変形では、蒸気セルは、シリコン、または酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含むガラスで形成された誘電体本体を有する。誘電体本体を化学的にまたはレーザで機械加工して、充填蒸気のための空洞を作り出す。作り出された空洞が誘電体本体を貫通している場合、第1の光学窓が、誘電体本体の一方の面にアノード接合される。ホールがフレームを貫通していない場合、第1の光学窓をアノード接合することは不要である。第1の光学窓には、ガラスフリット接合または別のタイプの接合が使用されてもよい。アノード接合は、ガラスとシリコンの接合で十分に機能し、ガラスフリット接合は、ガラスとガラスの接合で十分に機能する。
これらの方法のうちの特定のものでは、誘電体本体は、シリコンで形成される場合、酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)の薄い層(例えば、約500nm)を用いて前処理され、その結果、光学窓(または第2の光学窓)と誘電体本体との間で、接触結合を行うことができる。誘電体本体はまた、シリコンと同類の別の材料(例えば、非酸化物材料)で形成される場合、酸化ケイ素の薄層を用いて前処理されてもよい。この前処理に続いて、蒸気セルを満たす蒸気またはガス(例えば、セシウムまたはルビジウムを含むアルカリ金属原子のガス)の純粋な雰囲気中で接触結合が行われる。多くの実施態様において、接触結合は、蒸気セルの空洞内への望ましくないガスのガス放出を防止するために、低温(例えば、100℃未満)およびゼロ印加電圧で行われる。
接触結合は、誘電体本体の表面と光学窓の対合表面との間の金属-酸素結合を使用して形成される。誘電体本体が、シリコン(または酸化ケイ素を含むガラス)で形成され、光学窓が、酸化ケイ素を含むガラスで形成される変形では、接触結合は、シロキサン結合(すなわち、Si-O-Si)を使用して形成され得る。接触結合形成プロセスの反応は、
Figure 0007482995000001
によって表すことができる。反応は可逆的であり、そこで、場合によっては、反応から生成された水分子を取り除くことが望ましい。そうでなければ、新しく形成されたシロキサン結合は、加水分解されてシラノール結合(すなわち、Si-OH)に戻るリスクがある。
接触結合によって生成された水分子は、生成物が室温で固体になる反応によって取り除くことができる。いくつかの実施態様では、水分子を蒸気セル内の蒸気と反応させる。例えば、蒸気はセシウム原子のガスとすることができ、水分子をガスの一部と反応させて、固体、例えば、Cs2O(Tmelt≒340℃)(T融解が340℃にほぼ等しい)、CsOH(Tmelt≒272℃)(T融解が272℃にほぼ等しい)、またはCsH(Tmelt≒170℃)(T融解が170℃にほぼ等しい)などを形成することができる。いくつかの実施態様では、水分子を、誘電体本体の空洞内に存在する乾燥剤材料(例えば、被覆、点在する塊などとしての)と反応させる。乾燥剤材料は、蒸気セル内の蒸気には不活性とすることができる。例えば、蒸気は、二原子ハロゲン分子のガス(例えば、塩素ガス)とすることができ、水分子を無水塩化物塩(例えば、LaCl3)と反応させて、例えば、水和塩またはオキシヒドロキシド化合物(例えば、LaCl3・xH2O、LaOClなど)のような生成物を形成することができる。
代表的な反応が、関与する金属原子としてのケイ素の文脈で提示されているが、他の金属原子が可能である。例えば、誘電体本体が酸化アルミニウム(例えば、単結晶サファイア)で形成され、光学窓がやはり酸化アルミニウム(例えば、Al23多結晶セラミック)で形成される場合、接触結合形成プロセスは、金属原子としてアルミニウムを利用し、オキソ-アルミニウム結合(例えば、Al-O-Al)を形成することができる。金属の混合物も可能である。例えば、誘電体本体が酸化ジルコニウムで形成され、光学窓が酸化マグネシウムで形成される場合、接触結合形成プロセスは、金属原子としてジルコニウムおよびマグネシウムを利用し、ジルコニウムーオキソーマグネシウム結合を形成することができる。
一般に、第1の金属M1を含む材料で形成された誘電体本体、および第2の金属M2を含む材料で形成された光学窓の場合、接触結合形成プロセスの反応は、
Figure 0007482995000002
によって表すことができる。ここで、ヒドロキシルリガンド(すなわち、OH)は、金属原子M1およびM2の各々に配位結合され、ヒドロキシルリガンドは、金属-酸素結合(すなわち、M1-O-M2)の形成中にオキソリガンド(O)に縮合する。水分子は、この縮合プロセスの副産物として解放される。反応は、金属原子ごとに単一のヒドロキシルリガンドを示唆しているが、他の数のヒドロキシルリガンドが、金属原子M1およびM2の各々に配位結合される場合がある。
多くの変形では、誘電体本体の表面を光学窓の対合表面と接触させると、ヒドロキシルリガンドの縮合が室温で生じる。しかしながら、いくつかの変形では、接触結合の形成を開始および/または完了するため、熱が加えられることがある。熱は、接触結合をさらに強化することができる。例えば、誘電体本体および光学窓の一方または両方に熱を加えて、それぞれの温度を処理温度まで上昇させることができる。処理温度は、接触結合の形成を促進することができる。いくつかの変形では、処理温度は、250℃以下である。いくつかの変形では、処理温度は、120℃以下である。いくつかの変形では、処理温度は、75℃以下である。
接触結合が形成された後、蒸気セルは、蒸気セルを保護するための材料、例えば、パリレンまたはエポキシなどで被覆することができる。蒸気セルは、さらに、ファイバを窓に直接またはGRINレンズを用いて取り付けることによってファイバ結合され得る。
上述のように、製造方法は、原子ベースセンシングのために使用することができる小さいステムレス蒸気セルの構築を可能にする。そのようなセンサは計測目的のために使用することができる。MHzからTHzの電磁界を感知するためのサブ波長蒸気セルは、蒸気セルによって測定される電磁界の散乱の物理的断面積を減少させる。断面積は、蒸気セル寸法をラムダの3乗で割った比のように測る。(ラムダは、蒸気セルによって測定される電磁放射の波長に対応する。)その上、蒸気(例えば、アルカリ金属原子のガス)を含む蒸気セルのステムは、測定される電磁界の歪みを引き起こすことがある。ステムがない蒸気セルは、ステムを含む従来の蒸気セルと比較して測定性能の改善を与える。ステムレス蒸気セルはまた、原子ベースセンシングを利用するチップスケールデバイスに貢献する。
この製造方法はまた、多数の蒸気セルを一緒に接続するかまたはアレイに配置して、空間の領域で多数の同時測定を行うことを可能にする。例えば、多数の蒸気セルを平面アレイに配列し、その結果、センサ平面で電磁界の特性を決定することができる。3次元アレイも可能である。これらの機能は、蒸気セルの互いの相互作用がわずかである、すなわち、蒸気セルの散乱断面積が小さいので、プローブの絶縁の性質によって使用可能になる。光は、ファイバなどの光導波路を通して並列にまたは直列に蒸気セルに移送することができるが、独立して読み出される必要がある(信号光は、個々の蒸気セルに関連する吸収または分散信号を反映する測定値を与えるために、各蒸気セルに分離される必要がある)。本質的に、これはマルチピクセルアレイであるが、蒸気セルの透明な性質が3次元イメージングを可能にする。厚いセルは、単位セルを一緒に積み重ねるか、または固有の形状を作る、例えば、アノード接合されたガラス+フレーム(一緒にレーザ切断された)を使用し、それらを積み重ね、さらにいくつかを一緒にして1つずつアノード接合し、次いで、接触結合で構造体に蓋をかぶせることなどによるこの方法によって製造することができる。
製造方法は、蒸気セルを作るために接触結合作業を含むことができる。接触結合作業は、誘電体本体(またはフレーム)の表面および光学窓の対合表面を化学的に変質させるプロセスを含むことができる。次いで、変質された表面を一緒に接触させて、金属-酸素結合(例えば、シロキサン結合)を形成し、それによって、シールを作り出す。いくつかの実施態様では、蒸気セルを製造する方法は、誘電体本体の空洞への開口を画定する表面を有する誘電体本体を得ることを含む。この方法は、表面(または対合表面)を有する光学窓を得ることをさらに含む。誘電体本体の表面および光学窓の表面の一方または両方は、図1A~図1Bの蒸気セル100に関連して説明されているように、閾値表面粗さ以下の表面粗さRaを有することができる。例えば、閾値表面粗さは、1nmとすることができる。いくつかの例では、誘電体本体の表面および光学窓の表面は、平坦な表面である。
この方法では、誘電体本体の表面および光学窓の表面は、それぞれ、第1の複数のヒドロキシルリガンドおよび第2の複数のヒドロキシルリガンドを含むように変質される。この方法は、追加として、蒸気または蒸気の源を空洞内に配置することを含む。誘電体本体の変質された表面を光学窓の変質された表面に接触させて、空洞への開口のまわりにシールを形成する。接触結合の一部またはすべてを画定することができるシールは、変質された表面の接触中に第1の複数のヒドロキシルリガンドを第2の複数のヒドロキシルリガンドと反応させることによって形成された金属-酸素結合を含む。いくつかの変形では、変質された表面を接触させることは、蒸気または蒸気の源を空洞内に閉じ込めるために空洞の開口を光学窓で覆うことを含む。
誘電体本体および光学窓は、蒸気セルによって測定される電界(または電磁放射)に対して透明な材料で形成することができる。そのような材料の例は、図1A~図1Bの誘電体本体102および光学窓104に関連して説明されている。例えば、誘電体本体は、シリコン、または酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含むガラスで形成することができる。光学窓は、酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含むことができる。これらの例では、金属-酸素結合は、シロキサン結合を含むことができる。誘電体本体が非酸化物材料で形成される実施態様では、この方法は、誘電体本体の表面を画定する誘電体本体上の接着層を形成することを含むことができる。例えば、誘電体本体がシリコンで形成される場合、接着層は、図3の蒸気セル300に関連して説明されているように、酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含むことができる。
上述のように、蒸気または蒸気の源は、この方法を行っている間に空洞内に配置される。蒸気は、図1A~図1Bの蒸気セル100に関連して説明されているように、アルカリ金属原子のガス、二原子ハロゲン分子のガス、有機分子のガス、希ガス、またはそれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施態様では、蒸気または蒸気の源を配置することは、アルカリ金属原子のガスを含む真空環境に空洞を露出することを含む。いくつかの実施態様では、蒸気または蒸気の源を配置することは、アルカリ金属原子の固体または液体源を空洞内に配置することを含む。これらの実施態様において、この方法は、接触させた後、アルカリ金属原子のガスを生成するためにアルカリ金属原子の固体または液体源を加熱することを含む。しかしながら、アルカリ金属原子の固体または液体源には、他のタイプのエネルギーの刺激が可能である(例えば、レーザ光、紫外放射などへの露出)。
いくつかの実施態様では、表面を変質させることは、誘電体本体の表面および光学窓の表面の一方または両方を、それぞれの表面のプラズマへの露出によって活性化させることを含む。そのような露出は、誘電体本体の表面および光学窓の表面の一方または両方の表面エネルギーを増加させ、後続の接触結合のために表面を化学的に前処理することができる。さらなる化学的前処理は、誘電体本体の活性化された表面および光学窓の活性化された表面の一方または両方を塩基性水溶液で洗浄することによって行うことができる。塩基性水溶液との接触により、誘電体本体の表面および光学窓の表面の金属原子はヒドロキシルリガンドと配位結合することができる。
いくつかの実施態様では、変質された表面を接触させることは、誘電体本体の変質された表面と光学窓の変質された表面を互いに押しつけることを含む。ある場合には、変質された表面を接触させると、シールが形成される。他の場合には、押しつけることは、変質された表面を2MPaまでの圧力で接触させることを含むことができる。いくつかの実施態様では、この方法は、変質された表面を接触させた後、誘電体本体および光学窓の一方または両方を加熱することを含む。例えば、誘電体本体および光学窓の一方または両方は、変質された表面を接触させた後、100℃~250℃に及ぶ温度に加熱することができる。加熱の間、誘電体本体と光学窓を一緒にクランプして、変質された表面を接触させておくことができる。
いくつかの実施態様では、誘電体本体を得ることは、空洞を形成するために誘電体本体から材料を取り除くことを含む。材料を取り除くことは、レーザを用いて誘電体本体の表面から材料を機械加工することを含むことができる。材料を取り除くことは、誘電体本体の表面から材料をエッチングすることをさらに含むことができる。そのようなエッチングは、ドライエッチングプロセスまたはウェットエッチングプロセスの一方または両方を含むことができる。他のタイプのサブトラクティブプロセス(subtractive process:減ずるプロセス)が、材料を取り除く作業のために可能である(例えば、アブレーション(ablation:除去、融除)、研削、研磨など)。
本明細書に記載される製造方法を使用して、2つ以上の光学窓をもつ蒸気セルを作ることができる。いくつかの実施態様において、少なくとも2つの光学窓を有する蒸気セルを製造する方法は、誘電体本体を得ることを含む。誘電体本体は、その中に空洞を有し、空洞への第1の開口を画定する第1の表面と、空洞への第2の開口を画定する第2の表面とを含む。この方法は、表面を有する第1の光学窓を得ることをさらに含む。第1の光学窓の表面は、空洞への第1の開口のまわりに第1のシールを形成するために誘電体本体の第1の表面に接合される。いくつかの実施態様では、表面を接合することは、空洞の第1の開口を第1の光学窓で覆うことを含む。
この方法は、追加として、表面を含む第2の光学窓を得ることを含む。誘電体本体の第2の表面および第2の光学窓の表面は、それぞれ、第1の複数のヒドロキシルリガンドおよび第2の複数のヒドロキシルリガンドを含むように変質される。この方法は、蒸気または蒸気の源を第2の開口を通して空洞内に配置することをさらに含む。誘電体本体の変質された第2の表面を第2の光学窓の変質された表面に接触させて、空洞への第2の開口のまわりに第2のシールを形成する。第2のシールは、変質された表面の接触中に第1の複数のヒドロキシルリガンドを第2の複数のヒドロキシルリガンドと反応させることによって形成された金属-酸素結合を含む。いくつかの実施態様では、変質された表面を接触させることは、蒸気または蒸気の源を空洞内に閉じ込めるために空洞の第2の開口を第2の光学窓で覆うことを含む。
誘電体本体の第2の表面および第2の光学窓の表面の一方または両方は、図2A~図2Bの蒸気セル200に関連して説明されているように、閾値表面粗さ以下の表面粗さRaを有することができる。例えば、閾値表面粗さは、1nmとすることができる。いくつかの実施態様では、閾値表面粗さは、第2の閾値表面粗さであり、誘電体本体の第1の表面および第1の光学窓の表面の一方または両方は、第1の閾値表面粗さ以下の表面粗さRaを有することができる。第1の閾値表面粗さは、第2の閾値表面粗さと同じである必要はない。いくつかの変形では、誘電体本体の第1および第2の表面は、互いに反対側の平坦な表面であり、第1の光学窓の表面および第2の光学窓の表面は、平坦な表面である。
この方法では、誘電体本体の表面および光学窓の表面は、それぞれ、第1の複数のヒドロキシルリガンドおよび第2の複数のヒドロキシルリガンドを含むように変質される。この方法は、追加として、蒸気または蒸気の源を空洞内に配置することを含む。誘電体本体の変質された表面を光学窓の変質された表面に接触させて、空洞への開口のまわりにシールを形成する。接触結合の一部またはすべてを画定することができるシールは、変質された表面の接触中に第1の複数のヒドロキシルリガンドを第2の複数のヒドロキシルリガンドと反応させることによって形成された金属-酸素結合を含む。いくつかの変形では、変質された表面を接触させることは、蒸気または蒸気の源を空洞内に閉じ込めるために空洞の開口を光学窓で覆うことを含む。
誘電体本体、第1の光学窓、および第2の光学窓は、蒸気セルによって測定される電界(または電磁放射)に対して高度に透明な材料で形成することができる。そのような材料の例は、図1A~図2Bの誘電体本体102、202および光学窓104、214、218に関連して説明されている。例えば、誘電体本体は、シリコン、または酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含むガラスで形成することができ、第1および第2の光学窓の一方または両方は、酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含むことができる。これらの例では、金属-酸素結合は、シロキサン結合を含むことができる。誘電体本体が非酸化物材料で形成される実施態様では、この方法は、誘電体本体の第2の表面を画定する誘電体本体上の接着層を形成することを含むことができる。例えば、誘電体本体がシリコンで形成される場合、接着層は、図3の蒸気セル300に関連して説明されているように、酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含むことができる。
上述のように、蒸気または蒸気の源は、この方法を行っている間に空洞内に配置される。蒸気は、図1A~図2Bの蒸気セル100、200に関連して説明されているように、アルカリ金属原子のガス、二原子ハロゲン分子のガス、有機分子のガス、希ガス、またはそれらの組合せを含むことができる。いくつかの実施態様では、蒸気または蒸気の源を配置することは、アルカリ金属原子のガスを含む真空環境に空洞を露出することを含む。いくつかの実施態様では、蒸気または蒸気の源を配置することは、アルカリ金属原子の固体または液体源を第2の開口を通して空洞内に配置することを含む。これらの実施態様において、この方法は、接触させた後、アルカリ金属原子のガスを生成するためにアルカリ金属原子の固体または液体源を加熱することを含む。しかしながら、アルカリ金属原子の固体または液体源には、他のタイプのエネルギーの刺激が可能である(例えば、レーザ光、紫外放射などへの露出)。
いくつかの実施態様では、表面を変質させることは、誘電体本体の第2の表面および第2の光学窓の表面の一方または両方を、それぞれの表面のプラズマへの露出によって活性化させることを含む。そのような露出は、誘電体本体の第2の表面および第2の光学窓の表面の一方または両方の表面エネルギーを増加させ、後続の接触結合のために表面を化学的に前処理することができる。さらなる化学的前処理は、誘電体本体の活性化された表面および第2の光学窓の活性化された表面の一方または両方を塩基性水溶液で洗浄することによって行うことができる。塩基性水溶液との接触により、誘電体本体の表面および光学窓の表面の金属原子はヒドロキシルリガンドと配位結合することができる。
いくつかの実施態様では、変質された表面を接触させることは、誘電体本体の変質された第2の表面と第2の光学窓の変質された表面を互いに押しつけることを含む。ある場合には、変質された表面を接触させると、第2のシールが形成される。他の場合には、押しつけることは、変質された表面を2MPaまでの圧力で接触させることを含むことができる。いくつかの実施態様では、この方法は、変質された表面を接触させた後、誘電体本体および第2の光学窓の一方または両方を加熱することを含む。例えば、誘電体本体および第2の光学窓の一方または両方は、変質された表面を接触させた後、100℃~250℃に及ぶ温度に加熱することができる。加熱の間、誘電体本体と第2の光学窓を一緒にクランプして、変質された表面を接触させておくことができる。
この方法では、第2の光学窓に加えて、第1の光学窓を誘電体本体に接触結合することができる。いくつかの実施態様では、第1の光学窓の表面を接合することは、それぞれ、第3の複数のヒドロキシルリガンドおよび第4の複数のヒドロキシルリガンドを含むように、誘電体本体の第1の表面および第1の光学窓の表面を変質させることを含む。誘電体本体の変質された第1の表面を第1の光学窓の変質された表面に接触させて、空洞への第1の開口のまわりに第1のシールを形成する。第1のシールは、変質された表面の接触中に第3の複数のヒドロキシルリガンドを第4の複数のヒドロキシルリガンドと反応させることによって形成された金属-酸素結合を含む。これらの実施態様では、誘電体本体の変質された第1の表面を第1の光学窓の変質された表面に接触させることは、変質された表面を互いに押しつけることを含むことができる。ある場合には、変質された表面を接触させると、第1のシールが形成される。他の場合には、押しつけることは、変質された表面を2MPaまでの圧力で接触させることを含むことができる。いくつかの変形では、誘電体本体および第1の光学窓の一方または両方は、変質された表面を接触させた後、加熱される。例えば、誘電体本体および第1の光学窓の一方または両方は、変質された表面を接触させた後、100℃~250℃に及ぶ温度に加熱することができる。加熱の間、誘電体本体と第1の光学窓を一緒にクランプして、変質された表面を接触させておくことができる。
この方法は、さらに、第1の光学窓が、接触結合以外の接合により誘電体本体に接触結合されることを可能にする。例えば、誘電体本体は、シリコンで形成することができ、第1の光学窓は、酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含むことができる。この例では、第1の光学窓の表面を接合することは、第1のシールを形成するために誘電体本体の第1の表面に第1の光学窓の表面をアノード接合することを含む。図3の例示の蒸気セル300は、この方法のこの変形によって製造された蒸気セルに対応することができる。別の例では、誘電体本体は、酸化ケイ素を含むガラスで形成することができ、第1の光学窓は、酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含むことができる。この第2の例では、この方法は、誘電体本体の第1の表面にケイ素の層を堆積させることを含み、第1の光学窓の表面を接合することが、第1のシールを形成するために第1の光学窓の表面にケイ素の層をアノード接合することを含む。図4の例示の蒸気セル400は、この方法のこの変形によって製造された蒸気セルに対応することができる。さらなる別の例では、誘電体本体は、酸化ケイ素を含むガラスで形成することができ、第1の光学窓は、酸化ケイ素(例えば、SiO2、SiOxなど)を含むことができる。この第3の例では、第1の光学窓の表面を接合することは、誘電体本体の第1の表面および第1の光学窓の表面の一方または両方にガラスフリットを塗布することを含む。誘電体本体の第1の表面は、第1の光学窓の表面に接触され、ガラスフリット、誘電体本体、または第1の光学窓のうちの少なくとも1つが、第1のシールを形成するために焼成温度に加熱される。前述の例は、シリコンおよび酸化ケイ素の文脈で提示されたが、この方法には他の材料が可能である。
いくつかの実施態様では、誘電体本体を得ることは、空洞を形成するために誘電体本体から材料を取り除くことを含む。材料を取り除くことは、レーザを用いて誘電体本体の表面から材料を機械加工することを含むことができる。材料を取り除くことは、誘電体本体の表面から材料をエッチングすることをさらに含むことができる。そのようなエッチングは、ドライエッチングプロセスまたはウェットエッチングプロセスの一方または両方を含むことができる。他のタイプのサブトラクティブプロセスが、材料を取り除く作業のために可能である(例えば、アブレーション、研削、研磨など)。
蒸気セルを製造する方法は、以下の例によって説明することができる。しかしながら、実施例は、例証のみを目的としたものである。材料と方法の両方について多くの変形が、本開示の範囲から逸脱することなく実践され得ることが当業者には明らかであろう。
(実施例1)
両面研磨および<100>方位のp型シリコンウェハが得られた。シリコンウェハは、4インチの直径を有し、500μm厚であり、各面の表面粗さRaが1nm以下であった。シリコンウェハの電気的性質は、0.1Ω-cm~0.3Ω-cmに及ぶ抵抗を含んでいた。ホウケイ酸ガラスで形成されたガラスウェハが、さらに、Schottから得られた。ガラスウェハは、4インチの直径および300μmの厚さを有するMEMpaxウェハであった。表面粗さは0.5nm未満であった。
シリコンおよびガラスウェハは、アノード接合および接触結合に備えて検査された。特に、ウェハは、欠け跡、マイクロクラック、およびスクラッチについて視覚的に検査された。ウェハは、1nm未満の表面粗さを有することも検証された。500nmのSiO2の層が、酸化炉内でウェット成長プロセスを使用してシリコンウェハの両面に成長された。酸化炉の温度は約1100℃に設定され、シリコンウェハの処理時間は約40分であった。シリコンウェハ(SiO2層をもつ)の厚さ均一性は、4インチ直径の区域にわたって500±(プラスマイナス)6nm以内であることが検証された。表面粗さが1nm未満であることも検証された。
多数のシリコンチップが、Protolaser U3マイクロレーザツール、Protolaser Rマイクロレーザツール、またはDISCO DAD 3240ダイシングソーのいずれかを使用してシリコンウェハから切断された。各シリコンチップは、10mm×20mmの寸法を有していた。続いて、9つのホールが、Protolaser U3マイクロレーザツールまたはProtolaser Rマイクロレーザツールを使用してシリコンチップの各々に機械加工された。ホールは、各々、1mm直径の円形または1mm縁部長さの正方形であった。いくつかの場合には、円とホールの組合せが、シリコンチップに機械加工された。シリコンチップは、切断中に生じた可能性があるクラックまたは欠け跡について5倍および10倍の拡大ルーペを用いて視覚的に検査された。後続の蒸気セル製作のために、表面欠陥がゼロかまたは最少のシリコンチップが選択された。
次いで、選択されたシリコンチップは、綿棒および光学ティッシュペーパーを使用してメタノールおよびイソプロパノールで清浄化された。次に、シリコンチップは、10:1体積比および55nm/minのエッチング速度を有する緩衝酸化物エッチング(BOE)溶液に室温で浸漬された。緩衝酸化物エッチング溶液は、フッ化アンモニウムで緩衝されたフッ化水素酸を含んでいた。シリコンチップは、シリコンチップの各面の表面から500nmのSiO2の層を除去するために少なくとも11分間浸漬された。緩衝酸化物エッチングによって除去された後、シリコンチップは、視覚的に検査された。切断プロセスからの埋め込まれた材料がシリコンチップに見つかった場合、シリコンチップは廃棄された。SiO2の領域がシリコンチップに残っていた場合、シリコンチップは、緩衝酸化物エッチング溶液に再度浸漬され、除去され、次いで、再検査された。両面に500nmのSiO2の層がないシリコンチップが、最終清浄化および100nmのSiO2層の成長のために選択された。
次いで、選択されたシリコンチップは、綿棒および光学ティッシュペーパーを使用してアセトンおよびイソプロパノールで清浄化された。選択されたシリコンチップが浸漬されたアセトンまたはイソプロパノールの槽を撹拌することによって清浄化プロセスを支援するために、超音波清浄器がオプションとして使用された。次いで、シリコンチップの一方の面に、100nmのSiO2の層が成長された。酸化炉の温度は、100nmのSiO2の層に対して1nm以下の表面粗さを得るために、最低限の600℃に設定された。100nmSiO2層の厚さ均一性が、シリコンチップの区域にわたって100±(プラスマイナス)6nm以内にあることが検証された。均一性基準を達成できないシリコンチップは廃棄された。
次いで、100nmSiO2層をもつシリコンチップは、表面上の結合していない残留物(例えば、取扱いに起因するものなど)を排除するために、綿棒および光学ティッシュペーパーを使用してメタノールおよびイソプロパノールで清浄化された。続いて、シリコンチップは、綿棒および光学ティッシュペーパーを使用してアセトンおよびイソプロパノールで徹底的に清浄化された。低倍率ルーペ(例えば、10倍)が、徹底的清浄化プロセス中に第1の目視検査で使用され、続いて、高倍率顕微鏡(例えば、50倍~200倍)が第2の目視検査で使用された。第2の視覚検査を合格したシリコンチップは、40kHzで超音波清浄化するためにアセトンの槽に(例えば、Branson超音波清浄器CPX-952-117Rに)置かれた。例えば、シリコンチップは、アセトンのガラスビーカー内に置いて、室温で20分間超音波で清浄化することができた。超音波清浄化の後、シリコンチップは、微粒子がない圧縮空気で乾燥され、接合のために必要になるまで気密容器に格納された。
別途、ダイシングソーを使用して、(格納されている)シリコンチップに接合するためにガラスウェハが適切なサイズに切断された。2つのガラスチップが、シリコンチップごとに準備された。ガラスチップがアノード接合を意図されていた場合、ガラスチップは、シリコンチップと同じ寸法になるように切断された。しかしながら、ガラスチップが接触結合を意図されていた場合、ガラスチップは、シリコンチップよりも長い寸法を有するように切断された。例えば、アノード接合のためのガラスチップは、10mm×20mmの寸法を有しており、接触結合のためのガラスチップは、10mm×35mmの寸法を有していた。切断の後、各ガラスチップは、光学的透明度が劣化していない(例えば、曇っていない)ことまたはスクラッチもしくはクラックが存在しないことを確認するために検査された。次いで、受け入れ可能であることが分かったガラスチップは、綿棒および光学ティッシュペーパーを使用してアセトンで清浄化された。必要ならば、ガラスチップは、アセトンのガラスビーカー内に置かれ、室温で20分間超音波で清浄化された。超音波清浄化の後、ガラスチップは、微粒子がない圧縮空気で乾燥され、次いで、接合のために必要になるまで気密容器に格納された。
次いで、1つのシリコンチップおよび1つのガラスチップが、アノード接合のためにアセンブリに入れられた。シリコンチップでは、100nmのSiO2の層によって画定される平坦な表面の反対側の平坦な表面が、アノード接合プロセスに関与した。アセンブリにおいて、シリコンおよびガラスチップの平坦な表面は、界面を画定するために接触され、界面は、光学干渉縞が存在することを確認するために視覚的に検査された。次いで、シリコンチップは、約400℃の温度に加熱された。この温度に達した後、600Vが、約15分間シリコンとガラスチップを横切って印加され、それは、アノード接合の形成を推進した。界面は、アノード接合が完了したことを示す光学干渉縞の消失を確認するために再度検査された。次に、アノード接合は、欠陥(例えば、気泡、マイクロクラック、非接合区域など)について検査された。ホールのまわりの区域の80%以上に欠陥がなかった場合、アノード接合は、開いているチャネル(例えば、ホールから環境へ、ホールから別のホールへなど)についてさらに検査された。開いているチャネルが発見された場合、アノード接合されたチップは、アノード接合が漏れなしと認められなかったので廃棄された。
漏れなしのアノード接合による接合済みのシリコンおよびガラスチップは、アセトンおよびメタノールで清浄化された。この清浄化プロセス中に、シリコンチップの接合されていない表面が、残留物(例えば、アノード接合を形成するために使用されたアセンブリのグラファイトプレートからの残留物)を排除するために、綿棒および光学ティッシュペーパーを使用してアセトンおよびメタノールで清浄化された。次いで、シリコンチップの接合されていない表面は、間もなく形成されることになっている接触結合を損なう可能性がある欠陥(例えば、スクラッチ、ピッチングなど)が存在しないことを確認するために視覚的に検査された。次いで、アノード接合されたチップは、個別に清浄化された。特に、アノード接合されたチップは、アセトンのガラスビーカー内に個別に(すなわち、他のチップなしに)置かれ、室温で20分間超音波で清浄化された。超音波清浄化の後、アノード接合されたチップは、微粒子がない圧縮空気で乾燥された。低倍率ルーペ(例えば、10倍)が、アノード接合されたチップの第1の目視検査のために使用され、続いて、高倍率顕微鏡(例えば、50倍~200倍)が第2の目視検査で使用された。第1および第2の目視検査は、アノード接合されたチップ上に目に見える残留物または堆積物が残っていないことを確認するために使用された。
次いで、アノード接合されたチップは(ガラスチップと一緒に)接触結合のためにクリーンルーム環境(例えば、クラス1000以上)に持ち込まれた。アノード接合されるチップの単一のインスタンスが、接触結合のためのチップのペアを規定するために、ガラスチップの単一のインスタンスとペアにされた。ペアごとに、シリコンチップ上の100nmのSiO2の層によって画定される平坦な表面と、ガラスチップの平坦な表面とは、それらから肉眼で見える堆積物または汚染物質を清浄化するために、光学ペーパーおよびアセトンで拭われた。次いで、各ペアは、アセトン槽(例えば、ビーカー内のアセトン)に浸漬され、15分間超音波清浄化を介して清浄化された。各々のチップのペアは、続いて、アセトン槽から取り出され、イソプロパノールでリンスされ(例えば、イソプロパノール槽に浸漬され)、ドライ窒素ガスでブロー乾燥された。
チップのペアは、YES-CV200RFSプラズマ清浄器内に置かれ、窒素プラズマを使用して45秒間清浄化された。(場合によっては、多数のチップのペアが、プラズマ清浄器内に置かれた。)特に、シリコンチップ上の100nmのSiO2の層によって画定される平坦な表面と、ガラスチップの平坦な表面とは、プラズマ清浄化によって活性化された。プラズマ清浄器のRF電力は約75Wに設定され、内部の圧力は約150mTorrに維持された。窒素ガスが、約20sccmの体積流量でプラズマ清浄器に導入された。プラズマ清浄化による活性化の後、チップのペアは、YES-CV200RFSプラズマ清浄器から取り出され、5分間脱イオン水でリンスされた。リンスプロセスは、活性化された表面をヒドロキシル化する役割を果たした。いくつかの変形では、リンスプロセスは、塩基性水溶液(例えば、水酸化アンモニウムの水溶液)で行われた。2つのヒドロキシル化および活性化された表面が一緒に接触しないように注意が払われた。
次いで、チップのペアは、真空チャンバに移送され、「プレスフィンガ」を有する取付具に装着された。取付具は、間隙を画定するために、アノード接合されるチップのシリコンチップに隣接してガラスチップを保持した。ガラスチップの活性化およびヒドロキシル化された表面が、シリコンチップの活性化およびヒドロキシル化されたSiO2表面と向き合った。次いで、真空チャンバは、密閉され、アノード接合されたチップの空洞を満たすために使用されるセシウム原子の蒸気と反応する可能性がある揮発性核種(例えば、水蒸気)を除去するために減圧(例えば、10-3Torr未満)までポンプダウンされた。次いで、取付具は、熱電冷却器で冷却され、その結果として、熱電冷却器は、アノード接合されたチップを少なくとも-20℃と0℃との間の温度に冷却した。
チップのペアの温度が安定した後、セシウム原子の蒸気が、セシウム蒸気の源を真空チャンバに接続しているバルブを開けることによって真空チャンバに導入された。セシウム蒸気の源は、処理温度まで加熱された大量のセシウムを含むオーブンであった。真空チャンバのセシウム蒸気の目標圧力は、バルブの開きを変更することによって、オーブンによって引き起こされる処理温度を変更することによって、または両方によって制御することができた。真空チャンバの圧力がセシウム蒸気の目標圧力に安定した後、チップのペアは、セシウム原子の蒸気に、ある期間、露出された。
真空チャンバのセシウム蒸気の圧力は、アノード接合されたチップを満たすのに必要とされる期間に影響を及ぼす。真空チャンバのセシウム蒸気の圧力および期間の一方または両方は、アノード接合されたチップの空洞内で凝縮するセシウム蒸気の量を制御するために変更することができる。期間が経過した後、セシウム蒸気の源へのバリュー(value)は閉められた。真空チャンバは、減圧(例えば、10-3Torr未満)までポンプダウンされ、熱電冷却器への電力はオフにされた。
チップのペアが周囲温度に達した後、取付具を作動させて、ガラスチップの活性化およびヒドロキシル化された表面をシリコンチップの活性化およびヒドロキシル化されたSiO2表面と接触させた。「プレスフィンガ」を使用して、接触した表面を一緒に20分間保持し、それにより、接触結合の形成が推進された。いくつかの変形では、20分の期間の間目標圧力(例えば、約2MPa)を印加するために、「プレスフィンガ」が使用された。
(実施例2)
1mm厚および4インチ直径をもつ厚いガラスウェハが、Howard Glass Co., Inc.から得られた。厚いガラスウェハは、各面について1nm以下の表面粗さRaを有していた。シリコンウェハの電気的性質は、0.1Ω-cm~0.3Ω-cmに及ぶ抵抗を含んでいた。ホウケイ酸ガラスで形成された薄いガラスウェハが、さらに、Schottから得られた。薄いガラスウェハは、4インチの直径および300μmの厚さを有するMEMpaxウェハであった。表面粗さは0.5nm未満であった。厚いガラスウェハおよび薄いガラスウェハは、アノード接合および接触結合に備えて検査された。特に、ガラスウェハは、欠け跡、マイクロクラック、およびスクラッチについて視覚的に検査された。ウェハは、1nm未満の表面粗さを有することも検証された。
次に、多数の厚いガラスチップが、Protolaser RマイクロレーザツールまたはDISCO DAD 3240ダイシングソーのいずれかを使用して厚いガラスウェハから切断された。各々の厚いガラスチップは、10mm×20mmの寸法を有していた。続いて、9つのホールが、Protolaser Rマイクロレーザツールを用いて厚いガラスチップの各々に機械加工された。ホールは、各々、1mm直径の円形または1mm縁部長さの正方形であった。場合によっては、円とホールの組合せが、厚いガラスチップに機械加工された。厚いガラスチップは、切断中に生じた可能性があるクラックまたは欠け跡について5倍および10倍の拡大ルーペを用いて視覚的に検査された。後続の蒸気セル製作のために、表面欠陥がゼロまたは最少の厚いガラスチップが選択された。
次いで、選択された厚いガラスチップは、綿棒および光学ティッシュペーパーを使用してアセトンおよびイソプロパノールで清浄化された。選択された厚いガラスシリコンチップが浸漬されたアセトンまたはイソプロパノールの槽を撹拌することによって清浄化プロセスを支援するために、超音波清浄器がオプションとして使用された。次いで、1μm未満のSiの層が、プラズマ促進化学気相堆積(PECVD)を使用して厚いガラスチップの一方の面に成長された。Si層の厚さ均一性が、厚いガラスチップの区域にわたって±(プラスマイナス)3nm以内にあることが検証された。均一性基準を達成できない厚いガラスチップは廃棄された。
次いで、厚いガラスチップは、表面上の結合していない残留物(例えば、取扱いに起因するものなど)を排除するために、綿棒および光学ティッシュペーパーを使用してメタノールおよびイソプロパノールで清浄化された。続いて、厚いガラスチップは、綿棒および光学ティッシュペーパーを使用してアセトンおよびイソプロパノールで徹底的に清浄化された。低倍率ルーペ(例えば、10倍)が、徹底的清浄化プロセス中に第1の目視検査で使用され、続いて、高倍率顕微鏡(例えば、50倍~200倍)が第2の目視検査で使用された。第2の視覚検査を合格した厚いガラスチップは、40kHzで超音波清浄化するためにアセトンの槽に(例えば、Branson超音波清浄器CPX-952-117Rに)置かれた。例えば、厚いガラスチップは、アセトンのガラスビーカー内に置いて、室温で20分間超音波で清浄化することができた。超音波清浄化の後、厚いガラスチップは、微粒子がない圧縮空気で乾燥され、次いで、接合のために必要になるまで気密容器に格納された。
別途、ダイシングソーを使用して、(格納されている)厚いガラスチップに接合するために薄いガラスウェハが適切なサイズに切断された。2つの薄いガラスチップが、厚いガラスチップごとに準備された。薄いガラスチップがアノード接合を意図されていた場合、薄いガラスチップは、厚いガラスチップと同じ寸法になるように切断された。しかしながら、薄いガラスチップが接触結合を意図されていた場合、薄いガラスチップは、厚いガラスチップよりも長い寸法を有するように切断された。例えば、アノード接合のための薄いガラスチップは、10mm×20mmの寸法を有しており、接触結合のための薄いガラスチップは、10mm×35mmの寸法を有していた。切断の後、各々の薄いガラスチップは、光学的透明度が劣化していない(例えば、曇っていない)ことまたはスクラッチもしくはクラックが存在しないことを確認するために検査された。次いで、受け入れ可能であることが分かったガラスチップは、綿棒および光学ティッシュペーパーを使用してアセトンで清浄化された。必要ならば、薄いガラスチップは、アセトンのガラスビーカー内に置かれ、室温で20分間超音波で清浄化された。超音波清浄化の後、ガラスチップは、微粒子がない圧縮空気で乾燥され、次いで、接合のために必要になるまで気密容器に格納された。
次いで、1つの厚いガラスチップ(1μm厚までのSiの層をもつ)および1つの薄いガラスチップは、アノード接合のためにアセンブリに入れられた。厚いガラスチップでは、1μmまでのSiの層によって画定される平坦な表面が、アノード接合プロセスに関与した。アセンブリにおいて、厚いガラスチップおよび薄いガラスチップの平坦な表面は、界面を画定するために接触され、界面は、光学干渉縞が存在することを確認するために視覚的に検査された。次いで、厚いガラスチップは、約400℃の温度に加熱された。この温度に達した後、600Vが、約15分間厚いガラスチップと薄いガラスチップを横切って印加され、それは、アノード接合の形成を推進した。界面は、アノード接合が完了したことを示す光学干渉縞の消失を確認するために再度検査された。次に、アノード接合は、欠陥(例えば、気泡、マイクロクラック、非接合区域など)について検査された。ホールのまわりの区域の80%以上に欠陥がなかった場合、アノード接合は、開いているチャネル(例えば、ホールから環境へ、ホールから別のホールへなど)についてさらに検査された。開いているチャネルが発見された場合、アノード接合されたチップは、アノード接合が漏れなしと認められなかったので廃棄された。
漏れなしのアノード接合による接合済みの厚いガラスチップおよび薄いガラスチップは、アセトンおよびメタノールで清浄化された。この清浄化プロセス中に、厚いガラスチップの接合されていない表面は、残留物(例えば、アノード接合を形成するために使用されたアセンブリのグラファイトプレートからの残留物)を排除するために、綿棒および光学ティッシュペーパーを使用してアセトンおよびメタノールで清浄化された。次いで、厚いガラスチップの接合されていない表面は、間もなく形成されることになっている接触結合を損なう可能性がある欠陥(例えば、スクラッチ、ピッチングなど)が存在しないことを確認するために視覚的に検査された。次いで、アノード接合されたチップは、個別に清浄化された。特に、アノード接合されたチップは、アセトンのガラスビーカー内に個別に(すなわち、他のチップなしに)置かれ、室温で20分間超音波で清浄化された。超音波清浄化の後、アノード接合されたチップは、微粒子がない圧縮空気で乾燥された。低倍率ルーペ(例えば、10倍)が、アノード接合されたチップの第1の目視検査のために使用され、続いて、高倍率顕微鏡(例えば、50倍~200倍)が第2の目視検査で使用された。第1および第2の目視検査は、アノード接合されたチップ上に目に見える残留物または堆積物が残っていないことを確認するために使用された。
次いで、アノード接合されたチップは(接合されていない薄いガラスチップと一緒に)接触結合のためにクリーンルーム環境(例えば、クラス1000以上)に持ち込まれた。アノード接合されるチップの単一のインスタンスが、接触結合のためのペアを規定するために、薄いガラスチップの単一のインスタンスとペアにされた。ペアごとに、厚いガラスチップの接合されていない平坦な表面(すなわち、1μmまでのSiの層がない)および薄いガラスチップの平坦な表面が、それらから肉眼で見える堆積物または汚染物質を清浄化するために、光学ペーパーおよびアセトンで拭われた。次いで、各ペアは、アセトン槽(例えば、ビーカー内のアセトン)に浸漬され、15分間超音波清浄化を介して清浄化された。各々のチップのペアは、続いて、アセトン槽から取り出され、イソプロパノールでリンスされ(例えば、イソプロパノール槽に浸漬され)、ドライ窒素ガスでブロー乾燥された。
チップのペアは、YES-CV200RFSプラズマ清浄器内に置かれ、窒素プラズマを使用して45秒間清浄化された。(場合によっては、多数のチップの対が、プラズマ清浄器内に置かれた。)特に、厚いガラスチップの接合されていない平坦な表面と、ガラスチップの平坦な表面とは、プラズマ清浄化によって活性化された。プラズマ清浄器のRF電力は約75Wに設定され、内部の圧力は約150mTorrに維持された。窒素ガスが、約20sccmの体積流量でプラズマ清浄器に導入された。プラズマ清浄化による活性化の後、チップのペアは、YES-CV200RFSプラズマ清浄器から取り出され、5分間脱イオン水でリンスされた。リンスプロセスは、活性化された表面をヒドロキシル化する役割を果たした。いくつかの変形では、リンスプロセスは、塩基性水溶液(例えば、水酸化アンモニウムの水溶液)で行われた。2つのヒドロキシル化および活性化された表面が一緒に接触しないように注意が払われた。
次いで、チップのペアは、真空チャンバに移送され、「プレスフィンガ」を有する取付具に装着された。取付具は、間隙を画定するために、アノード接合されるチップの厚いガラスチップに隣接して薄いガラスチップを保持した。薄いガラスチップの活性化およびヒドロキシル化された表面が、厚いガラスチップの活性化およびヒドロキシル化された接合されていない表面と向き合った。次いで、真空チャンバは、密閉され、アノード接合されたチップの空洞を満たすために使用されるセシウム原子の蒸気と反応する可能性がある揮発性核種(例えば、水蒸気)を除去するために減圧(例えば、10-3Torr未満)までポンプダウンされた。次いで、取付具は、熱電冷却器で冷却され、その結果として、熱電冷却器は、アノード接合されたチップを少なくとも-20℃と0℃との間の温度に冷却した。
チップのペアの温度が安定した後、セシウム原子の蒸気が、セシウム蒸気の源を真空チャンバに接続しているバルブを開けることによって真空チャンバに導入された。セシウム蒸気の源は、処理温度まで加熱された大量のセシウムを含むオーブンであった。真空チャンバのセシウム蒸気の目標圧力は、バルブの開きを変更することによって、オーブンによって引き起こされる処理温度を変更することによって、または両方によって制御することができた。真空チャンバの圧力がセシウム蒸気の目標圧力に安定した後、チップのペアは、セシウム原子の蒸気に、ある期間、露出された。
真空チャンバのセシウム蒸気の圧力は、アノード接合されたチップを満たすのに必要とされる期間に影響を及ぼす。真空チャンバのセシウム蒸気の圧力および期間の一方または両方は、アノード接合されたチップの空洞内で凝縮するセシウム蒸気の量を制御するために変更することができる。その期間が経過した後、セシウム蒸気の源へのバルブは閉められた。真空チャンバは、減圧(例えば、10-3Torr未満)までポンプダウンされ、熱電冷却器への電力はオフにされた。
チップのペアが周囲温度に達した後、取付具を作動させて、ガラスチップの活性化およびヒドロキシル化された表面を厚いガラスチップの活性化およびヒドロキシル化された接合されていない表面と接触させた。「プレスフィンガ」を使用して、接触した表面を一緒に20分間保持し、それにより、接触結合の形成が推進された。いくつかの変形では、20分の期間の間目標圧力(例えば、約2MPa)を印加するために、「プレスフィンガ」が使用された。
説明されることのいくつかの態様では、蒸気セルを製造する方法が、さらに、以下の実施例によって説明され得る。
実施例1
蒸気セルを製造する方法であって、
誘電体本体の空洞への開口を画定する表面を含む誘電体本体を得ることと、
表面を含む光学窓を得ることと、
それぞれ、第1の複数のヒドロキシルリガンドおよび第2の複数のヒドロキシルリガンドを含むように、誘電体本体の表面および光学窓の表面を変質させることと、
蒸気または蒸気の源を空洞内に配置することと、
空洞への開口のまわりにシールを形成するために誘電体本体の変質された表面を光学窓の変質された表面に接触させることであり、シールが、変質された表面の接触中に第1の複数のヒドロキシルリガンドを第2の複数のヒドロキシルリガンドと反応させることによって形成された金属-酸素結合を含む、接触させることと
を含む、方法。
実施例2
変質された表面を接触させることが、蒸気または蒸気の源を空洞内に閉じ込めるために空洞の開口を光学窓で覆うことを含む、実施例1に記載の方法。
実施例3
誘電体本体がシリコンで形成される、実施例1または実施例2に記載の方法。
実施例4
誘電体本体の表面を画定する誘電体本体上の接着層を形成することであり、接着層が酸化ケイ素を含む、形成すること
を含む、実施例3に記載の方法。
実施例5
誘電体本体が、酸化ケイ素を含むガラスで形成される、実施例1または実施例2に記載の方法。
実施例6
金属-酸素結合がシロキサン結合を含む、実施例1、または実施例2~5のいずれか1つに記載の方法。
実施例7
光学窓が酸化ケイ素を含む、実施例1、または実施例2~6のいずれか1つに記載の方法。
実施例8
蒸気がアルカリ金属原子のガスを含む、実施例1、または実施例2~7のいずれか1つに記載の方法。
実施例9
蒸気が二原子ハロゲン分子のガスを含む、実施例1、または実施例2~7のいずれか1つに記載の方法。
実施例10
蒸気が有機分子のガスを含む、実施例1、または実施例2~7のいずれか1つに記載の方法。
実施例11
蒸気または蒸気の源を配置することが、アルカリ金属原子のガスを含む真空環境に空洞を露出することを含む、実施例1、または実施例2~8のいずれか1つに記載の方法。
実施例12
蒸気または蒸気の源を配置することが、アルカリ金属原子の固体または液体源を空洞内に配置することを含み、
この方法が、
接触させた後、アルカリ金属原子のガスを生成するためにアルカリ金属原子の固体または液体源を加熱すること
を含む、実施例1、または実施例2~8のいずれか1つに記載の方法。
実施例13
蒸気が希ガスを含む、実施例1、または実施例2~12のいずれか1つに記載の方法。
実施例14
表面を変質させることが、誘電体本体の表面および光学窓の表面の一方または両方を、それぞれの表面のプラズマへの露出によって活性化させることを含む、実施例1、または実施例2~13のいずれか1つに記載の方法。
実施例15
表面を変質させることが、誘電体本体の活性化された表面および光学窓の活性化された表面の一方または両方を塩基性水溶液で洗浄することをさらに含む、実施例14に記載の方法。
実施例16
誘電体本体の表面および光学窓の表面が、平坦な表面である、実施例1、または実施例2~15のいずれか1つに記載の方法。
実施例17
誘電体本体の表面および光学窓の表面が、1nm以下の表面粗さRaを有する、実施例1、または実施例2~16のいずれか1つに記載の方法。
実施例18
変質された表面を接触させることが、誘電体本体の変質された表面と光学窓の変質された表面を互いに押しつけることを含む、実施例1、または実施例2~17のいずれか1つに記載の方法。
実施例19
変質された表面を接触させた後、誘電体本体および光学窓の一方または両方を加熱することと、
加熱の間、誘電体本体と光学窓を一緒にクランプして、変質された表面を接触させておくことと
を含む、実施例1、または実施例2~18のいずれか1つに記載の方法。
実施例20
誘電体本体を得ることが、空洞を形成するために誘電体本体から材料を取り除くことを含む、実施例1、または実施例2~19のいずれか1つに記載の方法。
実施例21
材料を取り除くことが、レーザを用いて誘電体本体の表面から材料を機械加工することを含む、実施例20に記載の方法。
実施例22
材料を取り除くことが、誘電体本体の表面から材料をエッチングすることを含む、実施例20または実施例21に記載の方法。
説明されることのいくつかの態様では、蒸気セルが、さらに、以下の実施例によって説明され得る。
実施例23
誘電体本体の空洞への開口を画定する表面を含む誘電体本体と、
誘電体本体の空洞内の蒸気または蒸気の源と、
空洞の開口を覆い、開口のまわりにシールを形成するために誘電体本体の表面に接合される表面を有する光学窓であり、シールが、誘電体本体の表面の第1の複数のヒドロキシルリガンドを光学窓の表面の第2の複数のヒドロキシルリガンドと反応させることによって形成された金属-酸素結合を含む、光学窓と
を含む蒸気セル。
実施例24
誘電体本体がシリコンで形成される、実施例23に記載の蒸気セル。
実施例25
蒸気セルが、誘電体本体の表面を画定する誘電体本体上の接着層を含み、接着層が酸化ケイ素を含む、実施例24に記載の蒸気セル。
実施例26
誘電体本体が、酸化ケイ素を含むガラスで形成される、実施例23に記載の蒸気セル。
実施例27
金属-酸素結合がシロキサン結合を含む、実施例23、または実施例24~26のいずれか1つに記載の蒸気セル。
実施例28
光学窓が酸化ケイ素を含む、実施例23、または実施例24~27のいずれか1つに記載の蒸気セル。
実施例29
蒸気がアルカリ金属原子のガスを含む、実施例23、または実施例24~28のいずれか1つに記載の蒸気セル。
実施例30
蒸気が二原子ハロゲン分子のガスを含む、実施例23、または実施例24~28のいずれか1つに記載の蒸気セル。
実施例31
蒸気が有機分子のガスを含む、実施例23、または実施例24~28のいずれか1つに記載の蒸気セル。
実施例32
蒸気の源が、誘電体本体の空洞に存在し、
蒸気の源が、加熱されたときにアルカリ金属原子のガスを生成するように構成されたアルカリ金属原子の液体または固体源を含む、実施例23、または実施例24~29のいずれか1つに記載の蒸気セル。
実施例33
蒸気が希ガスを含む、実施例23、または実施例24~32のいずれか1つに記載の蒸気セル。
実施例34
誘電体本体の表面および光学窓の表面が、1nm以下の表面粗さRaを有する、実施例23、または実施例24~33のいずれか1つに記載の蒸気セル。
説明されることのいくつかの態様では、少なくとも2つの光学窓を有する蒸気セルを製造する方法が、さらに、以下の実施例によって説明され得る。
実施例35
少なくとも2つの光学窓を有する蒸気セルを製造する方法であって、
誘電体本体を得ることであり、この誘電体本体が、
誘電体本体の空洞、
空洞への第1の開口を画定する第1の表面、および
空洞への第2の開口を画定する第2の表面
を含む、得ることと、
表面を含む第1の光学窓を得ることと、
空洞への第1の開口のまわりに第1のシールを形成するために誘電体本体の第1の表面に第1の光学窓の表面を接合することと、
表面を含む第2の光学窓を得ることと、
それぞれ、第1の複数のヒドロキシルリガンドおよび第2の複数のヒドロキシルリガンドを含むように、誘電体本体の第2の表面および第2の光学窓の表面を変質させることと、
蒸気または蒸気の源を第2の開口を通して空洞内に配置することと、
空洞への第2の開口のまわりに第2のシールを形成するために誘電体本体の変質された第2の表面を第2の光学窓の変質された表面に接触させることであり、第2のシールが、変質された表面の接触中に第1の複数のヒドロキシルリガンドを第2の複数のヒドロキシルリガンドと反応させることによって形成された金属-酸素結合を含む、接触させることと
を含む、方法。
実施例36
第1の光学窓の表面を誘電体本体の第1の表面に接合することが、空洞の第1の開口を第1の光学窓で覆うことを含む、実施例35に記載の方法。
実施例37
変質された表面を接触させることが、蒸気または蒸気の源を空洞内に閉じ込めるために空洞の第2の開口を第2の光学窓で覆うことを含む、実施例35または実施例36に記載の方法。
実施例38
誘電体本体がシリコンで形成される、実施例35、または実施例36~37のいずれか1つに記載の方法。
実施例39
誘電体本体の第2の表面を画定する誘電体本体上の接着層を形成することであり、接着層が酸化ケイ素を含む、形成すること
を含む、実施例38に記載の方法。
実施例40
誘電体本体が、酸化ケイ素を含むガラスで形成される、実施例35、または実施例36~37のいずれか1つに記載の方法。
実施例41
第2のシールの金属-酸素結合がシロキサン結合を含む、実施例35、または実施例36~40のいずれか1つに記載の方法。
実施例42
第1および第2の光学窓が酸化ケイ素を含む、実施例35、または実施例36~41のいずれか1つに記載の方法。
実施例43
蒸気がアルカリ金属原子のガスを含む、実施例35、または実施例36~42のいずれか1つに記載の方法。
実施例44
蒸気が二原子ハロゲン分子のガスを含む、実施例35、または実施例36~42のいずれか1つに記載の方法。
実施例45
蒸気が有機分子のガスを含む、実施例35、または実施例36~42のいずれか1つに記載の方法。
実施例46
蒸気または蒸気の源を配置することが、アルカリ金属原子のガスを含む真空環境に空洞を露出することを含む、実施例35、または実施例36~43のいずれか1つに記載の方法。
実施例47
蒸気または蒸気の源を配置することが、アルカリ金属原子の固体または液体源を第2の開口を通して空洞内に配置することを含み、
この方法が、
接触させた後、アルカリ金属原子のガスを生成するためにアルカリ金属原子の固体または液体源を加熱すること
を含む、実施例35、または実施例36~43のいずれか1つに記載の方法。
実施例48
蒸気が希ガスを含む、実施例35、または実施例36~47のいずれか1つに記載の方法。
実施例49
表面を変質させることが、誘電体本体の第2の表面および第2の光学窓の表面の一方または両方を、それぞれの表面のプラズマへの露出によって活性化させることを含む、実施例35、または実施例36~48のいずれか1つに記載の方法。
実施例50
表面を変質させることが、誘電体本体の活性化された表面および第2の光学窓の活性化された表面の一方または両方を塩基性水溶液で洗浄することをさらに含む、実施例49に記載の方法。
実施例51
誘電体本体の第2の表面および第2の光学窓の表面が、1nm以下の表面粗さRaを有する、実施例35、または実施例36~50のいずれか1つに記載の方法。
実施例52
変質された表面を接触させることが、誘電体本体の変質された第2の表面と第2の光学窓の変質された表面を互いに押しつけることを含む、実施例35、または実施例36~51のいずれか1つに記載の方法。
実施例53
変質された表面を接触させた後、誘電体本体および第2の光学窓の一方または両方を加熱することと、
加熱の間、誘電体本体と第2の光学窓を一緒にクランプして、変質された表面を接触させておくことと
を含む、実施例35、または実施例36~52のいずれか1つに記載の方法。
実施例54
第1の光学窓の表面を接合することが、
それぞれ、第3の複数のヒドロキシルリガンドおよび第4の複数のヒドロキシルリガンドを含むように、誘電体本体の第1の表面および第1の光学窓の表面を変質させることと、
空洞への第1の開口のまわりに第1のシールを形成するために誘電体本体の変質された第1の表面を第1の光学窓の変質された表面に接触させることであり、第1のシールが、変質された表面の接触中に第3の複数のヒドロキシルリガンドを第4の複数のヒドロキシルリガンドと反応させることによって形成された金属-酸素結合を含む、接触させることと
を含む、実施例35、または実施例36~53のいずれか1つに記載の方法。
実施例55
誘電体本体がシリコンで形成され、第1の光学窓が酸化ケイ素を含み、
第1の光学窓の表面を接合することが、第1のシールを形成するために誘電体本体の第1の表面に第1の光学窓の表面をアノード接合することを含む、実施例35、または実施例36~39のいずれか1つに記載の方法(実施例55を含む実施例の任意の組合せにおいて実施例40の主題を除く)。
実施例56
誘電体本体が、酸化ケイ素を含むガラスで形成され、第1の光学窓が、酸化ケイ素を含み、
この方法が、誘電体本体の第1の表面にケイ素の層を堆積させることを含み、
第1の光学窓の表面を接合することが、第1のシールを形成するために第1の光学窓の表面にケイ素の層をアノード接合することを含む、実施例35、または実施例36~37および40~53のいずれか1つに記載の方法(実施例56を含む実施例の任意の組合せにおいて実施例38~39の主題を除く)。
実施例57
誘電体本体が、酸化ケイ素を含むガラスで形成され、第1の光学窓が、酸化ケイ素を含み、
第1の光学窓の表面を接合することが、
誘電体本体の第1の表面および第1の光学窓の表面の一方または両方にガラスフリットを塗布することと、
誘電体本体の第1の表面を第1の光学窓の表面に接触させることと、
第1のシールを形成するために、ガラスフリット、誘電体本体、または第1の光学窓のうちの少なくとも1つを焼成温度に加熱することと
を含む、実施例35、または実施例36~37および40~53のいずれか1つに記載の方法(実施例57を含む実施例の任意の組合せにおいて実施例38~39の主題を除く)。
実施例58
誘電体本体の第1および第2の表面が、互いに反対側の平坦な表面であり、
第1の光学窓の表面および第2の光学窓の表面が、平坦な表面である、実施例35、または実施例36~57のいずれか1つに記載の方法。
実施例59
誘電体本体を得ることが、空洞を形成するために誘電体本体から材料を取り除くことを含む、実施例35、または実施例36~58のいずれか1つに記載の方法。
実施例60
材料を取り除くことが、レーザを用いて誘電体本体の表面から材料を機械加工することを含む、実施例59に記載の方法。
実施例61
材料を取り除くことが、誘電体本体の表面から材料をエッチングすることを含む、実施例59または実施例60に記載の方法。
説明されることのいくつかの態様では、少なくとも2つの光学窓を有する蒸気セルが、さらに、以下の実施例によって説明され得る。
実施例62
少なくとも2つの光学窓を有する蒸気セルであって、
誘電体本体であり、
誘電体本体の空洞、
空洞への第1の開口を画定する第1の表面、および
空洞への第2の開口を画定する第2の表面
を含む、誘電体本体と、
誘電体本体の空洞内の蒸気または蒸気の源と、
空洞の第1の開口を覆い、第1の開口のまわりに第1のシールを形成するために誘電体本体の第1の表面に接合される表面を有する第1の光学窓と
空洞の第2の開口を覆い、第2の開口のまわりに第2のシールを形成するために誘電体本体の第2の表面に接合される表面を有する第2の光学窓であり、第2のシールが、誘電体本体の第2の表面の第1の複数のヒドロキシルリガンドを第2の光学窓の表面の第2の複数のヒドロキシルリガンドと反応させることによって形成された金属-酸素結合を含む、第2の光学窓と
を含む、蒸気セル。
実施例63
誘電体本体がシリコンで形成される、実施例62に記載の蒸気セル。
実施例64
蒸気セルが、誘電体本体の第2の表面を画定する誘電体本体上の接着層を含み、接着層が酸化ケイ素を含む、実施例63に記載の蒸気セル。
実施例65
誘電体本体が、酸化ケイ素を含むガラスで形成される、実施例62に記載の蒸気セル。
実施例66
第2のシールの金属-酸素結合がシロキサン結合を含む、実施例62、または実施例63~65のいずれか1つに記載の蒸気セル。
実施例67
第1および第2の光学窓が酸化ケイ素を含む、実施例62、または実施例63~66のいずれか1つに記載の蒸気セル。
実施例68
蒸気がアルカリ金属原子のガスを含む、実施例62、または実施例63~67のいずれか1つに記載の蒸気セル。
実施例69
蒸気が二原子ハロゲン分子のガスを含む、実施例62、または実施例63~67のいずれか1つに記載の蒸気セル。
実施例70
蒸気が有機分子のガスを含む、実施例62、または実施例63~67のいずれか1つに記載の蒸気セル。
実施例71
蒸気の源が、誘電体本体の空洞に存在し、
蒸気の源が、加熱されたときにアルカリ金属原子のガスを生成するように構成されたアルカリ金属原子の液体または固体源を含む、実施例62、または実施例63~68のいずれか1つに記載の蒸気セル。
実施例72
蒸気が希ガスを含む、実施例62、または実施例63~71のいずれか1つに記載の蒸気セル。
実施例73
誘電体本体の第2の表面および第2の光学窓の表面が、1nm以下の表面粗さRaを有する、実施例62、または実施例63~72のいずれか1つに記載の蒸気セル。
実施例74
誘電体本体の第1および第2の表面が、互いに反対側の平坦な表面であり、
第1の光学窓の表面および第2の光学窓の表面が、平坦な表面である、実施例62、または実施例63~73のいずれか1つに記載の蒸気セル。
実施例75
第1のシールが、誘電体本体の第1の表面の第3の複数のヒドロキシルリガンドを第1の光学窓の表面の第4の複数のヒドロキシルリガンドと反応させることによって形成された金属-酸素結合を含む、実施例62、または実施例63~74のいずれか1つに記載の蒸気セル。
実施例76
誘電体本体がシリコンで形成され、第1の光学窓が酸化ケイ素を含む、実施例62、または実施例63~74のいずれか1つに記載の蒸気セル。
実施例77
第1のシールが、誘電体本体の第1の表面と第1の光学窓の表面との間のアノード接合を含む、実施例76に記載の蒸気セル。
実施例78
誘電体本体が、酸化ケイ素を含むガラスで形成され、第1の光学窓が、酸化ケイ素を含み、
蒸気セルが、誘電体本体の第1の表面と第1の光学窓の表面との間に配置されたケイ素の層を含み、
第1のシールが、ケイ素の層と、誘電体本体の第1の表面および第1の光学窓の表面の一方または両方との間のアノード接合を含む、実施例62、または実施例63~74のいずれか1つに記載の蒸気セル。
実施例79
誘電体本体が、酸化ケイ素を含むガラスで形成され、第1の光学窓が、酸化ケイ素を含み、
蒸気セルが、誘電体本体の第1の表面を第1の光学窓の表面に接合するガラスフリットの焼成層を含み、ガラスフリットの焼成層が第1のシールを画定する、実施例62、または実施例63~74のいずれか1つに記載の蒸気セル。
本明細書は多くの詳細を含むが、これらは、特許請求され得るものの範囲への限定として理解されるべきではなく、むしろ特定の実施例に特有の特徴の説明として理解されるべきである。別々の実施態様の文脈において本明細書に記載されているかまたは図面に示されている特定の特徴は組み合わせることもできる。逆に、単一の実施態様の文脈に記載または示されている様々な特徴は、さらに、多数の実施形態に別々に、または任意の適切なサブ組合せに組み込まれてもよい。
同様に、動作が、特定の順序で図面に示されるかまたは説明されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が、示された特定の順序または連続した順序で実行されることまたはすべての例示された動作が実行されることを必要とすると理解されるべきではない。特定の状況では、マルチタスキングおよび並列処理が有利である場合がある。その上、上述の実施態様における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実施態様においてそのような分離を必要とすると理解されるべきでなく、説明されたプログラムコンポーネントおよびシステムは、一般に、単一の製品に一緒に統合されるか、または多数の製品にパッケージ化されてもよいことが理解されるべきである。
いくつかの実施形態が説明された。それにもかかわらず、様々な変更が行われてもよいことが理解されよう。したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。

Claims (26)

  1. 蒸気セルを製造する方法であって、
    誘電体本体の空洞への開口を画定する表面を含む前記誘電体本体を得ることであり、前記誘電体本体の表面が、10nm以下の表面粗さを有する、前記誘電体本体を得ることと、
    10nm以下の表面粗さを有する表面を含む光学窓を得ることと、
    それぞれ、第1の複数のヒドロキシルリガンドおよび第2の複数のヒドロキシルリガンドを含むように、前記誘電体本体の前記表面および前記光学窓の前記表面を変質させることと、
    蒸気または前記蒸気の源を前記空洞内に配置することと、
    前記空洞への前記開口のまわりにシールを形成するために前記誘電体本体の前記変質された表面を前記光学窓の前記変質された表面に接触させることであり、前記シールが、前記変質された表面の接触中に前記第1の複数のヒドロキシルリガンドを前記第2の複数のヒドロキシルリガンドと反応させることによって形成された金属-酸素結合を含む、接触させることと
    前記誘電体本体および前記光学窓の前記変質された表面を、250℃以下の温度に加熱することと
    を含む、方法。
  2. 前記変質された表面を接触させることが、前記蒸気または前記蒸気の前記源を前記空洞内に閉じ込めるために前記空洞の前記開口を前記光学窓で覆うことを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記誘電体本体がシリコンで形成される、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記誘電体本体が、酸化ケイ素を含むガラスで形成される、請求項1または請求項2に記載の方法。
  5. 前記金属-酸素結合がシロキサン結合を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
  6. 前記光学窓が酸化ケイ素を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
  7. 前記蒸気がアルカリ金属原子のガスを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
  8. 前記蒸気または前記蒸気の前記源を配置することが、アルカリ金属原子のガスを含む真空環境に前記空洞を露出することを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
  9. 前記蒸気または前記蒸気の前記源を配置することが、アルカリ金属原子の固体または液体源を前記空洞内に配置することを含み、
    前記方法が、
    接触させた後、前記アルカリ金属原子のガスを生成するために前記アルカリ金属原子の前記固体または液体源を加熱すること
    を含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
  10. 前記表面を変質させることが、前記誘電体本体の前記表面および前記光学窓の前記表面の一方または両方を、前記それぞれの表面のプラズマへの露出によって活性化させることを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
  11. 前記表面を変質させることが、前記誘電体本体の前記活性化された表面および前記光学窓の前記活性化された表面の一方または両方を塩基性水溶液で洗浄することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記誘電体本体の前記表面および前記光学窓の前記表面が、1nm以下の表面粗さRaを有する、請求項1または請求項2に記載の方法。
  13. 前記誘電体本体を得ることが、前記空洞を形成するために前記誘電体本体から材料を取り除くことを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
  14. 誘電体本体の空洞への開口を画定する表面を含む前記誘電体本体であって、前記誘電体本体の表面が、10nm以下の表面粗さを有する、前記誘電体本体と、
    前記誘電体本体の前記空洞内の蒸気または前記蒸気の源と、
    10nm以下の表面粗さを有する表面を含む光学窓であって、前記光学窓の表面は、前記光学窓が空洞の開口を覆うように前記誘電体本体の表面に接触する、光学窓と、
    前記誘電体本体の表面と前記光学窓の表面とを接着し、前記空洞への開口のまわりに延在するシールであって、前記誘電体本体の表面上の第1の複数のヒドロキシルリガンドと前記光学窓の表面上の第2の複数のヒドロキシルリガンドとを反応させて、前記シールの金属-酸素結合を形成し、前記誘電体本体および前記光学窓の表面を、250℃以下の温度に加熱することによって形成されるシールと
    を含む蒸気セル。
  15. 前記誘電体本体がシリコンで形成される、請求項14に記載の蒸気セル。
  16. 前記誘電体本体が、酸化ケイ素を含むガラスで形成される、請求項14に記載の蒸気セル。
  17. 前記金属-酸素結合がシロキサン結合を含む、請求項14、または請求項15~16のいずれか1項に記載の蒸気セル。
  18. 前記光学窓が酸化ケイ素を含む、請求項14、または請求項15~16のいずれか1項に記載の蒸気セル。
  19. 前記蒸気がアルカリ金属原子のガスを含む、請求項14、または請求項15~16のいずれか1項に記載の蒸気セル。
  20. 前記蒸気が希ガスを含む、請求項14、または請求項15~16のいずれか1項に記載の蒸気セル。
  21. 前記蒸気が二原子ハロゲン分子のガスを含む、請求項14、または請求項15~16のいずれか1項に記載の蒸気セル。
  22. 前記蒸気が有機分子のガスを含む、請求項14、または請求項15~16のいずれか1項に記載の蒸気セル。
  23. 前記蒸気の前記源が、前記誘電体本体の前記空洞に存在し、
    前記蒸気の前記源が、加熱されたときにアルカリ金属原子のガスを生成するように構成された前記アルカリ金属原子の液体または固体源を含む、請求項14、または請求項15~16のいずれか1項に記載の蒸気セル。
  24. 前記誘電体本体の前記表面および前記光学窓の前記表面が、1nm以下の表面粗さ有する、請求項14、または請求項15~16のいずれか1項に記載の蒸気セル。
  25. 前記誘電体本体の前記表面を画定する前記誘電体本体上の接着層を形成することであり、前記接着層が酸化ケイ素を含む、形成すること
    を含む、請求項3に記載の方法。
  26. 前記蒸気セルが、前記誘電体本体の前記表面を画定する前記誘電体本体上の接着層を含み、前記接着層が酸化ケイ素を含む、請求項15に記載の蒸気セル。
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