以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る靴の斜視図であり、図2は、図1に示す靴の平面図である。また、図3は、図1中に示すIII-III線に沿った靴の断面図であり、図4は、図1に示すシュータンの展開した状態における平面図である。以下、これら図1ないし図4を参照して、本実施の形態に係る靴1Aについて説明する。なお、着用者とは、その靴のサイズに適合した足を有する標準的な体格の人物を想定しており、図2においては、当該靴を着用した着用者の足の骨と靴との位置関係が明確に理解されることとなるように、足の骨300を靴1Aに重ねて図示している。
図1ないし図3に示すように、靴1Aは、アッパー100と、ソール200とを備えている。ソール200は、着用者の足の足裏を支持する部材であり、略偏平な形状を有している。アッパー100は、挿入された着用者の足のほぼ全体を包み込む袋状の形状を有しており、ソール200の上方に位置している。
ここで、図2に示すように、靴1Aは、平面視した状態において着用者の足の足幅方向に合致する方向である左右方向(図2中の略左右方向)に沿って、足のうちの解剖学的正位における正中側(すなわち正中に近い側)である内足側の部分(図2中に示すS1側の部分)と、足のうちの解剖学的正位における正中側とは反対側(すなわち正中に遠い側)である外足側の部分(図2中に示すS2側の部分)とに区画される。
また、靴1Aは、平面視した状態において着用者の足の足長方向に合致する方向である前後方向(図2中の略上下方向)に沿って、着用者の足の足趾部および踏付け部に対応して位置する前足部R1と、着用者の足の踏まず部に対応して位置する中足部R2と、着用者の足の踵部に対応して位置する後足部R3とに区画される。
ここで、靴1Aの前方側末端を基準とし、当該前方側末端から靴1Aの前後方向の寸法の40%の寸法に相当する位置を第1境界位置とし、当該前方側末端から靴1Aの前後方向の寸法の80%の寸法に相当する位置を第2境界位置とした場合に、前足部R1は、前後方向に沿って前方側末端と第1境界位置との間に含まれる部分に該当し、中足部R2は、前後方向に沿って第1境界位置と第2境界位置との間に含まれる部分に該当し、後足部R3は、前後方向に沿って第2境界位置と靴1Aの後方側末端との間に含まれる部分に該当する。
図1ないし図3に示すように、アッパー100は、アッパー本体110と、中底120と、シュータン130と、シューレース140とを有している。アッパー本体110は、着用者の足のうちの足裏を除く部分を概ね覆う形状を有している。中底120、シュータン130およびシューレース140は、いずれもこのアッパー本体110に固定または取り付けられている。
ここで、図1および図2ならびに後において参照する図4においては、理解を容易とするために、シュータン130に薄い色を付している。特に、図1および図2においては、靴1Aの全体に対するシュータン130の配置位置が理解可能となるように、シュータン130のうちの外部から視認可能な部分のみならず、アッパー本体110やシューレース140等によって覆われることで外部から視認不能な部分についても、上述した薄い色を付している。なお、同様の観点から、後述する各種の変形例ならびに他の実施の形態において参照する同種の図においても、同じ処理を施している。
アッパー本体110は、第1壁部としての内足側壁部111と、第2壁部としての外足側壁部112とを含んでいる。内足側壁部111は、アッパー本体110の内足側(すなわち図中に示すS1側)に位置する部分に該当し、外足側壁部112は、アッパー本体110の外足側(すなわち図中に示すS2側)に位置する部分に該当する。これら内足側壁部111および外足側壁部112は、靴1Aの左右方向に沿って対向して位置しており、アッパー本体110の一対の側壁部を構成している。
アッパー本体110の上部には、上部開口部113および中央開口部114が設けられている。上部開口部113は、着用者の足が挿入される部位であり、中足部R2および後足部R3に跨がって位置している。中央開口部114は、上部開口部113から前後方向における前方側に向けて延びており、着用者の足の甲に対応する部分に配置されるように前足部R1および中足部R2に跨がって位置している。上部開口部113および中央開口部114は、いずれも内足側壁部111の上端部と外足側壁部112の上端部とによって規定されている。
アッパー本体110の下部には、下部開口部115(図3参照)が設けられている。下部開口部115は、着用者の足の足裏の全体に対応する部分に配置されるように前足部R1から中足部R2を経由して後足部R3に達するように位置している。下部開口部115は、内足側壁部111の下端部と外足側壁部112の下端部とによって規定されている。
中底120は、シート状の形状を有しており、アッパー本体110の下部開口部115を閉塞している。より具体的には、中底120は、アッパー本体110の下部開口部115を覆うように配置された状態でその周縁がアッパー本体110の内足側壁部111の下端部および外足側壁部112の下端部に接合されることでアッパー本体110に固定されている。中底120のアッパー本体110への接合は、縫製、溶着あるいは接着またはこれらの組み合わせ等によって行なうことができる。
シュータン130は、シート状の形状を有しており、アッパー本体110の内部に配置されている。より具体的には、シュータン130は、中央開口部114を内側から覆うように位置しており、その所定部位がアッパー本体110に接合されることでアッパー本体110に固定されている。シュータン130のアッパー本体110への接合は、縫製、溶着あるいは接着またはこれらの組み合わせ等によって行なうことができる。なお、シュータン130の詳細な構成については、後において詳述することとする。
これにより、アッパー100は、これらアッパー本体110、中底120およびシュータン130が組み合わされることで上述したような袋状の形状を有することになり、挿入された着用者の足のほぼ全体を包み込むことができる。
上述したアッパー本体110、中底120およびシュータン130としては、たとえば織地や編地、天然皮革、人工皮革等が用いられ、このうちの織地や編地としては、ポリエステル糸、ナイロン糸、TPU(熱可塑性ポリウレタン)糸等の合成樹脂糸で織られた生地または編まれた生地が利用される。特に、通気性や軽量性が求められる靴においては、ポリエステル糸を編み込んだダブルラッセル経編地が好適に利用される。ここで、アッパー本体110、中底120およびシュータン130は、同一の材料にて形成されている必要は必ずしもなく、互いに異なる材料にて形成されていてもよい。
シューレース140は、アッパー本体110に設けられた中央開口部114の周縁(すなわち、内足側壁部111の上端部および外足側壁部112の上端部)を左右方向において互いに引き寄せることで締め付けるための部材である。より具体的には、シューレース140は、後述するアッパー本体110に設けられた紐通し部116,117およびシュータン130に設けられた紐通し部136に挿通される。そのため、シューレース140が締め上げられることにより、シューレース140による締め付けの力を受けてアッパー本体110およびシュータン130が着用者の足に密着することになる。
シューレース140の材質は、特にこれが制限されるものではないが、シューレース140は、たとえば織地や編地、天然皮革、人工皮革等からなる紐状の部材にて構成されることが好ましい。
一方、ソール200は、上述したように略偏平な形状を有しており、その上面がアッパー100(より厳密には、アッパー本体110の下端部および中底120)に接合されることで固定されており、その下面が接地面201(図3参照)として構成されている。ソール200のアッパー100への接合は、たとえば接着等によって行なうことができる。
ソール200は、その構成が特に制限されるものではないが、代表的にはたとえばミッドソールとアウトソールの2層構造の部材にて構成される。
ミッドソールは、ソール200の上層部を構成し、適度な強度を有しつつも緩衝性に優れた部材にて構成される。当該観点から、ミッドソールとしては、たとえば、主成分としての樹脂材料と、副成分としての発泡剤や架橋剤とを含む樹脂製のフォーム材が用いられる。また、これに代えて、主成分としてのゴム材料と、副成分としての可塑剤や発泡剤、補強剤、架橋剤とを含むゴム製のフォーム材を用いてもよい。
アウトソールは、ソール200の下層部を構成し、耐摩耗性やグリップ性に優れた部材にて構成される。当該観点から、アウトソールとしては、たとえば、主成分としてのゴム材料と、副成分としての可塑剤や補強剤、架橋剤とを含む材料からなる部材が用いられる。
ミッドソールとアウトソールとは、たとえば接着等によって接合されることで固定される。ミッドソールの所定部位には、各種の緩衝パーツや強化パーツが含まれていてもよい。また、アウトソールの下面は、上述した接地面201を構成することになるため、グリップ性を向上させるために、その露出面に凹凸が形成されることでトレッドパターンが形成されていてもよい。
図1ないし図4に示すように、本実施の形態に係る靴1Aにおいては、シュータン130が、カバー部131と、第1延設部としての内足側延設部132とを含んでいる。これらカバー部131および内足側延設部132は、単一の部材からなるシュータン130の所定の部分によって構成されている。
カバー部131は、シュータン130のうちの、アッパー本体110の中央開口部114および当該中央開口部114の周縁を覆う部分に該当しており、平面視した場合に上底および下底に切り込みが形成された略台形状の形状を有している。なお、カバー部131の形状はこれに限定されるものではなく、任意の形状とすることができる。
カバー部131は、その前端に固定部131a(図4参照)を含んでおり、この固定部131aが、中央開口部114の前端部を規定する部分のアッパー本体110に、たとえば縫製、溶着あるいは接着またはこれらの組み合わせ等によって接合されている。
内足側延設部132は、カバー部131の周縁から靴1Aの内足側(すなわち図中に示すS1側)に向けて延設された帯状の部分からなる。このようにカバー部131の周縁から延設されることにより、内足側延設部132は、アッパー本体110の内足側壁部111の内面に沿って当該内足側壁部111の下端部側に向けて延びるように位置している。
内足側延設部132は、その下端に固定部132a(図3および図4参照)を含んでおり、この固定部132aが、アッパー本体110の内足側壁部111の下端部に、たとえば縫製、溶着あるいは接着またはこれらの組み合わせ等によって接合されている。なお、内足側延設部132の固定部132aは、アッパー本体110に固定された中底120とともにアッパー本体110に固定されていてもよいし、中底120にのみ固定されていてもよいし、この中底120とは別にアッパー本体110にのみ固定されていてもよい。さらには、内足側延設部132の固定部132aは、ソール200に固定されていてもよい。
ここで、シュータン130を構成する上述した単一の部材は、アッパー本体110を構成する材料よりも高伸縮性の材料にて構成される。そのため、靴1Aの内足側(すなわち図中に示すS1側)の部分においては、相対的に低伸縮性でかつ高剛性の材料からなるアッパー本体110の内足側壁部111が外側に位置するとともに、相対的に高伸縮性でかつ低剛性の材料からなるシュータン130の内足側延設部132が内側に位置するように、これら内足側壁部111と内足側延設部132とが重ね合わされた状態で配置されている。
また、シュータン130のカバー部131のうち、内足側延設部132寄りの部分には、シュータン側第1紐通し部としての複数の紐通し部136が設けられている。これら複数の紐通し部136の各々は、シューレース140が挿通される部位であり、カバー部131に設けられた一対の貫通孔にて構成されている。
ここで、複数の紐通し部136の各々が一対の貫通孔にて構成されている理由は、シュータン130の上面側から一方の貫通孔に挿入されたシューレース140をシュータン130の下面側において折り返して他方の貫通孔に挿入することにより、シューレース140を再びシュータン130の上面側に引き出すためである。
一対の貫通孔のうちの一方は、一対の貫通孔のうちの他方よりも、靴1Aの左右方向におけるより内側の位置であってかつ靴1Aの前後方向におけるより前側の位置に配置されていることが好ましい。このように構成することにより、シューレース140の折り返し部分において、折り返されたシューレース140が、互いに重なり合わないか、あるいは、重なり合ったとしてもその重なり合う部分の大きさを小さくすることができる。
したがって、このように構成すれば、シューレース140の折り返し部分が着用者の足に与える接触感を低減することができ、より足当たりのよい靴とすることができる。なお、シュータン130に設けられた紐通し部136は、後述するアッパー本体110に設けられた紐通し部116よりも、着用者の足により近い位置に設けられることになるため、上記の構成を採用することが特に効果的である。
これら複数の紐通し部136は、後述するようにアッパー本体110の内足側壁部111の上端部に沿って位置することとなるように、カバー部131の所定位置に配置されている。なお、本実施の形態においては、図示するように紐通し部136は、合計で2個設けられている。
また、図1および図2に示すように、本実施の形態に係る靴1Aにおいては、アッパー本体110の内足側壁部111の上端部に、アッパー側第1紐通し部としての複数の紐通し部116が設けられている。これら複数の紐通し部116の各々は、シューレース140が挿通される部位であり、アッパー本体110に設けられた単一の貫通孔にて構成されている。
これら複数の紐通し部116は、アッパー本体110の内足側壁部111の上端部に沿って前後方向に並んで配置されている。なお、本実施の形態においては、図示するように紐通し部116は、いわゆるエクストラホール(シューレース140の結び目の長さを調整するために、前後方向の最も後方側に設けられた1個の付加的な紐通し部116)を含めて合計で5個設けられている。
一方、本実施の形態に係る靴1Aにおいては、アッパー本体110の外足側壁部112の上端部に複数の紐通し部117が設けられている。これら複数の紐通し部117の各々は、シューレース140が挿通される部位であり、アッパー本体110に設けられた単一の貫通孔にて構成されている。
これら複数の紐通し部117は、アッパー本体110の外足側壁部112の上端部に沿って前後方向に並んで配置されている。なお、本実施の形態においては、図示するように紐通し部117は、いわゆるエクストラホールを含めて合計で7個設けられている。
以上の構成を有することにより、本実施の形態に係る靴1Aにあっては、アッパー100の内足側の部分に、前後方向に沿ってほぼ直線状に並んで位置する合計で7個の紐通し部が設けられることになるとともに、アッパー100の外足側の部分に、前後方向に沿ってほぼ直線状に並んで位置する合計で7個の紐通し部が設けられることになる。
ここで、図2を参照して、アッパー本体110の内足側の部分に配置された合計で7個の紐通し部である内足側紐通し部に、前後方向に沿って前側から後側にかけて順に符号A1~A7を付すと、本実施の形態に係る靴1Aにおいては、内足側紐通し部A1,A3,A5~A7が、アッパー本体110の内足側壁部111の上端部に設けられた紐通し部116にて構成されているとともに、内足側紐通し部A2,A4が、シュータン130のカバー部131に設けられた紐通し部136にて構成されている。
なお、本実施の形態に係る靴1Aにあっては、シュータン130に設けられた紐通し部136に対応する部分のアッパー本体110の内足側壁部111の上端部に、平面視V字状の切り欠きが形成されており、これにより紐通し部136が、この切り欠きの内部に位置するように配置されている。このように構成することにより、上述のように、合計で7個の内足側紐通し部A1~A7が、前後方向に沿ってほぼ直線状に並んで配置されることになる。
一方、図2を参照して、アッパー本体110の外足側の部分に配置された合計で7個の紐通し部である外足側紐通し部に、前後方向に沿って前側から後側にかけて順に符号B1~B7を付すとすると、本実施の形態に係る靴1Aにおいては、外足側紐通し部B1~B7が、いずれもアッパー本体110の外足側壁部112の上端部に設けられた紐通し部117にて構成されている。
これら内足側紐通し部A1~A7および外足側紐通し部B1~B7には、上述したシューレース140が所定の順番で挿通されている。ただし、図2に示す状態は、内足側紐通し部A1~A7のうちのエクストラホールA7および外足側紐通し部B1~B7のうちのエクストラホールB7が使用されていない状態である。
ここで、シューレース140の長さ方向に位置する一対の端部のうち、内足側に引き出された方の端部から、外足側に引き出された方の端部にかけて、当該シューレース140が挿通された紐通し部を順に列挙すれば、内足側紐通し部A6、外足側紐通し部B5、内足側紐通し部A4、外足側紐通し部B3、内足側紐通し部A2、外足側紐通し部B1、内足側紐通し部A1、外足側紐通し部B2、内足側紐通し部A3、外足側紐通し部B4、内足側紐通し部A5、外足側紐通し部B6の順番となる。
そのため、内足側紐通し部A1~A6に着目すると、シューレース140は、アッパー本体110に設けられた複数の紐通し部116の各々(すなわち、内足側紐通し部A1,A3,A5,A6の各々)において、外足側(すなわち図中に示すS2側)から挿通されて折り返されていることになるとともに、シュータン130に設けられた複数の紐通し部136の各々(すなわち、内足側紐通し部A2,A4の各々)において、外足側(すなわち図中に示すS2側)から挿通されて折り返されていることになる。
一方、外足側紐通し部B1~B6に着目すると、シューレース140は、アッパー本体110に設けられた複数の紐通し部117の各々(すなわち、外足側紐通し部B1~B6の各々)において、内足側(すなわち図中に示すS1側)から挿通されて折り返されていることになる。
ここで、上述したように、シュータン130の内足側延設部132の下端が、アッパー本体110の内足側壁部111の下端部に固定されているため、シューレース140が挿通された紐通し部136が設けられた部分において、シュータン130が、シューレース140による締め付けの力を受けて外足側(すなわち図中に示すS2側)に向けて引っ張られることにより、シュータン130の内足側の部分は、着用者の足に密着することになる。
このとき、上述したように、シュータン130がアッパー本体110よりも高伸縮性の材料にて構成されていることから、シュータン130の内足側の部分は、これが着用者の足の周方向に沿って伸張した状態で着用者の足に密着することになる。そのため、低強度の運動時においては、靴1Aによる拘束感を減らして靴1Aが着用者の足に適度にフィットした状態となることになり、いわゆる静的フィット性が向上することになる。
一方で、シューレース140が挿通された紐通し部116が設けられた部分において、アッパー本体110の内足側壁部111が、シューレース140による締め付けの力を受けて外足側(すなわち図中に示すS2側)に向けて引っ張られることにより、内足側壁部111は、着用者の足に密着することになる。また、シューレース140が挿通された紐通し部117が設けられた部分において、アッパー本体110の外足側壁部112が、シューレース140による締め付けの力を受けて内足側(すなわち図中に示すS1側)に向けて引っ張られることにより、外足側壁部112は、着用者の足に密着することになる。
このとき、上述したように、アッパー本体110がシュータン130よりも高剛性の材料にて構成されていることから、内足側壁部111および外足側壁部112は、それぞれ殆ど伸張することなく内側に向けて倒れ込むように締め付けられることになる。そのため、高強度の運動時においては、靴1Aが足の動きに追従することで靴1Aによって適度に着用者の足が保持された状態が維持されることになり、いわゆる動的フィット性が向上することになる。
したがって、以上において説明した本実施の形態に係る靴1Aとすることにより、低強度の運動時に重要となる静的フィット性と高強度の運動時に重要となる動的フィット性との双方において優れた機能が発揮されることになり、静的フィット性および動的フィット性の両立が図られた靴とすることができる。
なお、本実施の形態に係る靴1Aにあっては、上述したように、内足側(すなわち図中に示すS1側)の部分において、相対的に高剛性の材料からなるアッパー本体110の内足側壁部111の内側に、相対的に低剛性の材料からなるシュータン130の内足側延設部132が配置された構成が採用されているため、この低剛性の材料かなる内足側延設部132がクッションとなって直接的に高剛性の材料からなる内足側壁部111が着用者の足に接触しないことにもなり、この点においても足当たりが改善することになる。
また、本実施の形態に係る靴1Aにあっては、シュータン130の内足側延設部132が中足部R2においてカバー部131から引き出されるとともに、その下端が中足部R2においてアッパー本体110の内足側壁部111の下端部に固定されている。このように構成することにより、着用者の足の中足アーチの引き上げ効果(すなわち、長時間の運動等によって中足アーチが落ち込んでしまう現象の発生を抑制する効果)が得られることにもなる。
ここで、シュータン130の内足側延設部132は、着用者の足の第1中足骨301を覆うように設けられていることが好ましい。たとえば、第1中足骨301の前端部を少なくとも覆うように内足側延設部132を設ければ(すなわち、靴の前方側末端を基準とし、当該前方側末端から靴の前後方向の寸法の30%~40%にかけての位置を含むように内足側延設部132を設ければ)、靴全体のうちの前足部R1寄りの部分における静的フィット性を向上させることができる。また、第1中足骨301の中央部を少なくとも覆うように内足側延設部132を設ければ(すなわち、靴の前方側末端を基準とし、当該前方側末端から靴の前後方向の寸法の35%~45%にかけての位置を含むように内足側延設部132を設ければ)、靴全体のうちの中足部R2における静的フィット性を向上させることができる。また、第1中足骨301の後端部を少なくとも覆うように内足側延設部132を設ければ(すなわち、靴の前方側末端を基準とし、当該前方側末端から靴の前後方向の寸法の45%~55%にかけての位置を含むように内足側延設部132を設ければ)、靴全体のうちの後足部R3寄りの部分における静的フィット性を向上させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、シュータン130が単一の部材にて構成されているため、内足側延設部132のみならずカバー部131も含めてその全体が、アッパー本体110の内足側壁部111を構成する材料よりも高伸縮性の材料にて構成された場合を例示したが、シュータン130は、複数の部材を相互に一体化させることで構成されていてもよく、その場合には、少なくとも内足側延設部132が、内足側壁部111を構成する材料よりも高伸縮性の材料にて構成されていれば、上述した各種の効果を得ることができる。
また、上述した本実施の形態においては、合計で7個の内足側紐通し部のうちの2個について、これをシュータン130に設けられた紐通し部136にて構成した場合を例示したが、内足側紐通し部の総数は、特にこれが制限されるものではなく、また、そのうちの幾つをシュータン130に設けられた紐通し部136にて構成するかについても、特にこれが制限されるものではない。さらには、内足側紐通し部のうちのどれをシュータン130に設けられた紐通し部136にて構成するかについても、特にこれが制限されるものではない。
ここで、内足側紐通し部にのうちの2個以上をシュータン130に設けられた紐通し部136にて構成する場合には、アッパー本体110に設けられた紐通し部116とシュータン130に設けられた紐通し部136とを、靴の前後方向に沿って交互に配置することが好ましい。このように構成すれば、シューレース140によるアッパー本体110の締め付けとシュータン130の締め付けとが均等に行なえることになり、より静的フィット性および動的フィット性を高めることできる。なお、その場合にも、最も前側に配置される内足側紐通し部については、これをアッパー本体110に設けられた紐通し部116とすることが好ましい。
また、上述した本実施の形態においては、アッパー本体110に設けられた紐通し部116とシュータン130に設けられた紐通し部136とからなる内足側紐通し部が、前後方向に沿ってほぼ直線状に並んで位置するように構成した場合を例示して説明を行なったが、必ずしもこのように構成する必要はない。たとえば、シューレース140がシュータン130よりも低伸縮性の部材にて構成されている場合には、シュータン130に設けられた紐通し部136をアッパー本体110に設けられた紐通し部116よりも固定部132a側(すなわち、より内足側の低い位置)に配置することとすれば、上述した着用者の足の中足アーチの引き上げ効果を高めることができる。その反対に、シューレース140がシュータン130よりも高伸縮性の部材にて構成されている場合には、シュータン130に設けられた紐通し部136をアッパー本体110に設けられた紐通し部116よりも固定部132a側とは反対側(すなわち、より外足側の高い位置)に配置することとすれば、上述した着用者の足の中足アーチの引き上げ効果を高めることができる。
さらには、上述した本実施の形態においては、シュータン130に設けられた紐通し部136が配置される部分に対応してアッパー本体110の内足側壁部111に切り欠きを設けることにより、当該紐通し部136が外部に対して露出するように構成した場合を例示して説明を行なったが、必ずしもこのように構成する必要はない。すなわち、アッパー本体110の内足側壁部111に切り欠きを設けることは必ずしも必須の構成ではなく、また、シュータン130に設けられた紐通し部136を外部に対して露出させることも必ずしも必須の構成ではない。
なお、シュータン130に設けられた紐通し部136をより固定部132a側(すなわち、より内足側の低い位置)に配置する場合には、紐通し部136をシュータン130のカバー部131ではなく内足側延設部132に設けることとしてもよい。
(実施の形態2)
図5は、実施の形態2に係る靴の斜視図である。また、図6は、図5中に示すVI-VI線に沿った靴の断面図であり、図7は、図5に示すシュータンの展開した状態における平面図である。以下、これら図5ないし図7を参照して、本実施の形態に係る靴1Bについて説明する。
図5ないし図7に示すように、靴1Bは、上述した実施の形態1に係る靴1Aと比較した場合に、シュータン130の構成においてのみ相違している。具体的には、靴1Bにあっては、シュータン130が第1補強部としての内足側補強部134を有している。
ここで、図5および図7においては、理解を容易とするために、シュータン130の内足側補強部134に濃い色を付している。特に、図5においては、靴1Bの全体に対する内足側補強部134の配置位置が理解可能となるように、内足側補強部134のうちの外部から視認可能な部分のみならず、アッパー本体110やシューレース140等によって覆われることで外部から視認不能な部分についても、上述した濃い色を付している。なお、同様の観点から、後述する各種の変形例ならびに他の実施の形態において参照する同種の図においても、同じ処理を施している。
内足側補強部134は、シュータン130の内足側延設部132を主として補強するためのものであり、当該内足側延設部132の上面の所定部分を覆うように設けられている。本実施の形態においては、内足側補強部134が、平面視略矩形状に構成されており、内足側延設部132の上面のほぼ全域を覆っている。
この内足側補強部134は、アッパー本体110を構成する材料よりも高伸縮性であるとともに、シュータン130の内足側延設部132を構成する材料よりも高剛性の材料にて構成される。そのため、当該内足側補強部134が設けられた靴1Aの内足側(すなわち図中に示すS1側)の部分においては、相対的に低伸縮性でかつ高剛性の材料からなるアッパー本体110の内足側壁部111が最も外側に位置するとともに、相対的に高伸縮性でかつ低剛性の材料からなるシュータン130の内足側延設部132が最も内側に位置し、さらにこれらの間に相対的に中程度の伸縮性および剛性の材料からなる内足側補強部134が位置するように、これら内足側壁部111と内足側延設部132と内足側補強部134とが重ね合わされた状態で配置されている。
この内足側補強部134は、たとえばTPUフィルム、メッシュ材、ラバー材等にて構成することが可能であり、シュータン130の上面に、たとえば接着や縫製、溶着あるいはそれらの組み合わせ等によって接合されている。すなわち、内足側補強部134は、シュータン130の所定部位の表面を覆うように層状に形成された部材にて構成されている。
ここで、層状に形成された内足側補強部134の厚みは、特にこれが制限されるものではないが、たとえば0.1mm以上1.2mm以下とされ、より好適には0.3mm以上0.7mm以下とされる。また、平面視した場合の内足側補強部134の幅(すなわち、着用者の足の周方向に合致する方向と直交する方向の外形寸法)は、特にこれが制限されるものではないが、10mm以上とされることが好ましい。
以上のように構成した場合には、シュータン130を高伸縮性の材料のみにて構成した場合に比べ、シュータン130の耐久性を向上させることができる。その一方で、内足側補強部134がアッパー本体110の内足側壁部111よりも高伸縮性の材料にて構成されているため、シュータン130全体としての伸縮性が極端に低下することがなく、シューレース140の締め上げ時において内足側延設部132が適切に伸張することになる。
特に、内足側補強部134を上述したTPUフィルム、メッシュ材、ラバー材等にて構成した場合には、当該内足側補強部134が、瞬間的な力が印加された場合に変形し難く、その反対に持続的な力が印加された場合に変形し易い性質を有することになるため、静的フィット性を向上させる上で非常に好適なものとなる。
したがって、本実施の形態に係る靴1Bとすることにより、上述した実施の形態1の場合と同様に静的フィット性および動的フィット性の両立が図られるばかりでなく、さらに耐久性に優れた靴とすることができる。
なお、本実施の形態に係る靴1Bにおいては、上述したように、内足側補強部134が、内足側延設部132の上面のほぼ全域を覆っているため、特に高い静的フィット性を得ることができる。
ここで、内足側補強部134は、内足側延設部132が延びる方向(すなわち、着用者の足の周方向に合致する方向)に沿って延設されていることが好ましい。これは、シューレース140の締め付け時や、着用者の足が靴の内部において動いた場合等において、内足側延設部132が主として伸張する方向が、上述した内足側延設部132が延びる方向に合致するためであり、この方向に沿って内足側補強部134が延設されることにより、効果的に内足側延設部132を補強することが可能になる。
加えて、このように構成すれば、シューレース140の締め上げ時において、シューレース140の締め付けの力が適切に内足側延設部132に伝達されることになる(すなわち、必要以上に内足側延設部132が伸張しなくなる)ため、着用者の足の中足アーチの引き上げ効果を高めることもできる。さらには、靴1Bの内足側(すなわち図中に示すS1側)の部分において、内足側壁部111に加えて比較的高剛性の内足側補強部134が位置することにより、動的フィット性も向上することになり、着用者の足の横ブレ(すなわち、靴1Bの左右方向に沿った着用者の足の動き)の発生を抑制することも可能になる。
また、内足側補強部134の下端は、図示するように内足側延設部132の固定部132aにまで達していることが好ましい。このように構成すれば、内足側補強部134の当該下端を含めてシュータン130の固定部132aがアッパー本体110に固定されることになるため、当該固定部132aにおける固定強度を高めることが可能になる。
さらに、内足側補強部134は、カバー部131に達するように設けられていてもよく、その場合には、内足側補強部134が、図示するように紐通し部136が設けられた部分のカバー部131を覆うように設けられていることが好ましい。このように構成すれば、シューレース140による力が加わる紐通し部136をも同時に補強することが可能になり、さらなる耐久性の向上を図ることが可能になる。
なお、本実施の形態に係る靴1Bにあっては、内足側補強部134が、内足側延設部132の上面ならびにカバー部131の上面を覆うように設けられているが、当該内足側補強部134は、内足側延設部132の下面ならびにカバー部131の下面を覆うように設けられてもよく、また、内足側延設部132の上面および下面ならびにカバー部131の上面および下面を覆うように設けられてもよい。
(第1ないし第8変形例)
図8ないし図15は、第1ないし第8変形例に係る靴の斜視図である。以下、これら図8ないし図15を参照して、上述した実施の形態2に基づいた第1ないし第8変形例に係る靴1B1~1B8について説明する。
図8ないし図15に示すように、靴1B1~1B8は、上述した実施の形態2に係る靴1Bと比較した場合に、いずれもシュータン130に設けられた内足側補強部134の形状のみが相違している。
図8に示す第1変形例に係る靴1B1においては、内足側補強部134が、平面視略m字状の形状を有している。このように構成した場合にも、上述した実施の形態2において説明した効果とほぼ同様の効果を得ることができる。ここで、当該構成を採用した場合には、上述した実施の形態2に係る靴1Bとした場合に比べ、内足側補強部134が小さい分だけ軽量化が図られることになり、また、曲面形状を有する着用者の足に対してよりフィットし易いものとなる。
図9に示す第2変形例に係る靴1B2においては、内足側補強部134が、平面視略逆U字状の形状を有している。このように構成した場合にも、上述した実施の形態2において説明した効果とほぼ同様の効果を得ることができる。ここで、当該構成を採用した場合には、上述した実施の形態2に係る靴1Bとした場合に比べ、内足側補強部134が小さい分だけ軽量化が図られることになり、また、曲面形状を有する着用者の足に対してよりフィットし易いものとなる。
図10に示す第3変形例に係る靴1B3においては、内足側補強部134が、互いに分離した2つの部位からなり、その各々が、平面視略I字状の形状を有している。このように構成した場合にも、上述した実施の形態2において説明した効果とほぼ同様の効果を得ることができる。ここで、当該構成を採用した場合には、上述した実施の形態2に係る靴1Bとした場合に比べ、内足側補強部134が小さい分だけ軽量化が図られることになり、また、曲面形状を有する着用者の足に対してよりフィットし易いものとなる。
図11に示す第4変形例に係る靴1B4においては、内足側補強部134が、平面視略N字状の形状を有している。このように構成した場合にも、上述した実施の形態2において説明した効果とほぼ同様の効果を得ることができる。ここで、当該構成を採用した場合には、上述した実施の形態2に係る靴1Bとした場合に比べ、内足側補強部134が小さい分だけ軽量化が図られることになり、さらには、着用者の足の横ブレの発生を抑制する効果をさらに高めることができる。
図12に示す第5変形例に係る靴1B5においては、内足側補強部134が、平面視略逆N字状の形状を有している。このように構成した場合にも、上述した実施の形態2において説明した効果とほぼ同様の効果を得ることができる。ここで、当該構成を採用した場合には、上述した実施の形態2に係る靴1Bとした場合に比べ、内足側補強部134が小さい分だけ軽量化が図られることになり、さらには、着用者の足の横ブレの発生を抑制する効果をさらに高めることができる。
図13に示す第6変形例に係る靴1B6においては、内足側補強部134が、平面視略逆U字状の部分と平面視略X字状の部分とが合成された形状を有している。このように構成した場合にも、上述した実施の形態2において説明した効果とほぼ同様の効果を得ることができる。ここで、当該構成を採用した場合には、上述した実施の形態2に係る靴1Bとした場合に比べ、内足側補強部134が小さい分だけ軽量化が図られることになり、さらには、着用者の足の横ブレの発生を抑制する効果をさらに高めることができる。
図14に示す第7変形例に係る靴1B7においては、内足側補強部134が、平面視略Y字状の形状を有している。このように構成した場合にも、上述した実施の形態2において説明した効果とほぼ同様の効果を得ることができる。ここで、当該構成を採用した場合には、上述した実施の形態2に係る靴1Bとした場合に比べ、内足側補強部134が小さい分だけ軽量化が図られることになり、さらには、着用者の足の中足アーチの引き上げ効果を局所的に高めることが可能になる。
図15に示す第8変形例に係る靴1B8においては、内足側補強部134が、平面視略逆Y字状の形状を有している。これに伴い、本第8変形例に係る靴1B8においては、シュータン130に設けられた紐通し部136が1個のみとされており、内足側紐通し部は、このシュータン130に設けられた1個の紐通し部136と、アッパー本体110に設けられた6個の紐通し部116とによって構成されている。このように構成した場合にも、上述した実施の形態2において説明した効果とほぼ同様の効果を得ることができる。ここで、当該構成を採用した場合には、上述した実施の形態2に係る靴1Bとした場合に比べ、内足側補強部134が小さい分だけ軽量化が図られることになり、さらには、シュータン130に設けられた少ない数の紐通し部136によってより広範囲において着用者の足の中足アーチの引き上げ効果を得ることが可能になる。
(実施の形態3)
図16は、実施の形態3に係る靴の斜視図であり、図17は、図16に示す靴の平面図である。また、図18は、図16中に示すXVIII-XVIII線に沿った靴の断面図であり、図19は、図16に示すシュータンの展開した状態における平面図である。以下、これら図16ないし図19を参照して、本実施の形態に係る靴1Cについて説明する。なお、図17においては、着用者の足の骨と靴との位置関係が明確に理解されることとなるように、足の骨300を靴1Cに重ねて図示している。
図16ないし図19に示すように、靴1Cは、上述した実施の形態1に係る靴1Aと比較した場合に、アッパー本体110の構成ならびにシュータン130の構成においてのみ相違している。具体的には、靴1Cにあっては、シュータン130が内足側延設部132(図1ないし図4参照)を有しておらず、これに代えて外足側延設部133を有しており、これに伴ってアッパー本体110の中央開口部114の周縁の構成も異なっている。
本実施の形態に係る靴1Cにおいては、アッパー本体110が、第1壁部としての外足側壁部112と、第2壁部としての内足側壁部111とを含んでいる。アッパー本体110の上部には、上部開口部113および中央開口部114が設けられている。上部開口部113および中央開口部114は、いずれも内足側壁部111の上端部と外足側壁部112の上端部とによって規定されている。
一方、本実施の形態に係る靴1Cにおいては、シュータン130が、カバー部131と、第1延設部としての外足側延設部133とを含んでいる。これらカバー部131および外足側延設部133は、単一の部材からなるシュータン130の所定の部分によって構成されている。
外足側延設部133は、カバー部131の周縁から靴1Cの外足側(すなわち図中に示すS2側)に向けて延設された帯状の部分からなる。このようにカバー部131の周縁から延設されることにより、外足側延設部133は、アッパー本体110の外足側壁部112の内面に沿って当該外足側壁部112の下端部側に向けて延びるように位置している。
外足側延設部133は、その下端に固定部133a(図18および図19参照)を含んでおり、この固定部133aが、アッパー本体110の外足側壁部112の下端部に、たとえば縫製、溶着あるいは接着またはこれらの組み合わせ等によって接合されている。なお、外足側延設部133の固定部133aは、アッパー本体110に固定された中底120とともにアッパー本体110に固定されていてもよいし、中底120にのみ固定されていてもよいし、この中底120とは別にアッパー本体110にのみ固定されていてもよい。さらには、外足側延設部133の固定部133aは、ソール200に固定されていてもよい。
ここで、シュータン130を構成する上述した単一の部材は、アッパー本体110を構成する材料よりも高伸縮性の材料にて構成される。そのため、靴1Cの外足側(すなわち図中に示すS2側)の部分においては、相対的に低伸縮性でかつ高剛性の材料からなるアッパー本体110の外足側壁部112が外側に位置するとともに、相対的に高伸縮性でかつ低剛性の材料からなるシュータン130の外足側延設部133が内側に位置するように、これら外足側壁部112と外足側延設部133とが重ね合わされた状態で配置されている。
また、シュータン130のカバー部131のうち、外足側延設部133寄りの部分には、シュータン側第1紐通し部としての複数の紐通し部137が設けられている。これら複数の紐通し部137の各々は、シューレース140が挿通される部位であり、カバー部131に設けられた一対の貫通孔にて構成されている。
ここで、複数の紐通し部137の各々が一対の貫通孔にて構成されている理由は、シュータン130の上面側から一方の貫通孔に挿入されたシューレース140をシュータン130の下面側において折り返して他方の貫通孔に挿入することにより、シューレース140を再びシュータン130の上面側に引き出すためである。
一対の貫通孔のうちの一方は、一対の貫通孔のうちの他方よりも、靴1Cの左右方向におけるより内側の位置であってかつ靴1Cの前後方向におけるより前側の位置に配置されていることが好ましい。このように構成することにより、シューレース140の折り返し部分において、折り返されたシューレース140が、互いに重なり合わないか、あるいは、重なり合ったとしてもその重なり合う部分の大きさを小さくすることができる。
したがって、このように構成すれば、シューレース140の折り返し部分が着用者の足に与える接触感を低減することができ、より足当たりのよい靴とすることができる。なお、シュータン130に設けられた紐通し部137は、後述するアッパー本体110に設けられた紐通し部117よりも、着用者の足により近い位置に設けられることになるため、上記の構成を採用することが特に効果的である。
これら複数の紐通し部137は、後述するようにアッパー本体110の外足側壁部112の上端部に沿って位置することとなるように、カバー部131の所定位置に配置されている。なお、本実施の形態においては、図示するように紐通し部137は、合計で2個設けられている。
また、図16および図17に示すように、本実施の形態に係る靴1Cにおいては、アッパー本体110の外足側壁部112の上端部に、アッパー側第1紐通し部としての複数の紐通し部117が設けられている。これら複数の紐通し部117の各々は、シューレース140が挿通される部位であり、アッパー本体110に設けられた単一の貫通孔にて構成されている。
これら複数の紐通し部117は、アッパー本体110の外足側壁部112の上端部に沿って前後方向に並んで配置されている。なお、本実施の形態においては、図示するように紐通し部117は、いわゆるエクストラホールを含めて合計で5個設けられている。
一方、本実施の形態に係る靴1Cにおいては、アッパー本体110の内足側壁部111の上端部に複数の紐通し部116が設けられている。これら複数の紐通し部116の各々は、シューレース140が挿通される部位であり、アッパー本体110に設けられた単一の貫通孔にて構成されている。
これら複数の紐通し部116は、アッパー本体110の内足側壁部111の上端部に沿って前後方向に並んで配置されている。なお、本実施の形態においては、図示するように紐通し部116は、いわゆるエクストラホールを含めて合計で7個設けられている。
以上の構成を有することにより、本実施の形態に係る靴1Cにあっては、アッパー100の外足側の部分に、前後方向に沿ってほぼ直線状に並んで位置する合計で7個の紐通し部が設けられることになるとともに、アッパー100の内足側の部分に、前後方向に沿ってほぼ直線状に並んで位置する合計で7個の紐通し部が設けられることになる。
ここで、図17を参照して、アッパー本体110の内足側の部分に配置された合計で7個の紐通し部である内足側紐通し部に、前後方向に沿って前側から後側にかけて順に符号A1~A7を付すとすると、本実施の形態に係る靴1Cにおいては、内足側紐通し部A1~A7が、いずれもアッパー本体110の内足側壁部111の上端部に設けられた紐通し部116にて構成されている。
一方、図17を参照して、アッパー本体110の外足側の部分に配置された合計で7個の紐通し部である外足側紐通し部に、前後方向に沿って前側から後側にかけて順に符号B1~B7を付すと、本実施の形態に係る靴1Cにおいては、外足側紐通し部B1,B3,B5~B7が、アッパー本体110の外足側壁部112の上端部に設けられた紐通し部117にて構成されているとともに、外足側紐通し部B2,B4が、シュータン130のカバー部131に設けられた紐通し部137にて構成されている。
なお、本実施の形態に係る靴1Cにあっては、シュータン130に設けられた紐通し部137に対応する部分のアッパー本体110の外足側壁部112の上端部に、平面視V字状の切り欠きが形成されており、これにより紐通し部137が、この切り欠きの内部に位置するように配置されている。このように構成することにより、上述のように、合計で7個の外足側紐通し部B1~B7が、前後方向に沿ってほぼ直線状に並んで配置されることになる。
これら内足側紐通し部A1~A7および外足側紐通し部B1~B7には、上述したシューレース140が所定の順番で挿通されている。ただし、図17に示す状態は、内足側紐通し部A1~A7のうちのエクストラホールA7および外足側紐通し部B1~B7のうちのエクストラホールB7が使用されていない状態である。
ここで、シューレース140の長さ方向に位置する一対の端部のうち、内足側に引き出された方の端部から、外足側に引き出された方の端部にかけて、当該シューレース140が挿通された紐通し部を順に列挙すれば、内足側紐通し部A6、外足側紐通し部B5、内足側紐通し部A4、外足側紐通し部B3、内足側紐通し部A2、外足側紐通し部B1、内足側紐通し部A1、外足側紐通し部B2、内足側紐通し部A3、外足側紐通し部B4、内足側紐通し部A5、外足側紐通し部B6の順番となる。
そのため、内足側紐通し部A1~A6に着目すると、シューレース140は、アッパー本体110に設けられた複数の紐通し部116の各々(すなわち、内足側紐通し部A1~A6の各々)において、外足側(すなわち図中に示すS2側)から挿通されて折り返されていることになる。
一方、外足側紐通し部B1~B6に着目すると、シューレース140は、アッパー本体110に設けられた複数の紐通し部117の各々(すなわち、外足側紐通し部B1,B3,B5,B6の各々)において、内足側(すなわち図中に示すS1側)から挿通されて折り返されていることになるとともに、シュータン130に設けられた複数の紐通し部137の各々(すなわち、外足側紐通し部B2,B4の各々)において、内足側(すなわち図中に示すS1側)から挿通されて折り返されていることになる。
ここで、上述したように、シュータン130の外足側延設部133の下端が、アッパー本体110の外足側壁部112の下端部に固定されているため、シューレース140が挿通された紐通し部137が設けられた部分において、シュータン130が、シューレース140による締め付けの力を受けて内足側(すなわち図中に示すS1側)に向けて引っ張られることにより、シュータン130の外足側の部分は、着用者の足に密着することになる。
このとき、上述したように、シュータン130がアッパー本体110よりも高伸縮性の材料にて構成されていることから、シュータン130の外足側の部分は、これが着用者の足の周方向に沿って伸張した状態で着用者の足に密着することになる。そのため、低強度の運動時においては、靴1Cによる拘束感を減らして靴1Cが着用者の足に適度にフィットした状態となることになり、いわゆる静的フィット性が向上することになる。
一方で、シューレース140が挿通された紐通し部117が設けられた部分において、アッパー本体110の外足側壁部112が、シューレース140による締め付けの力を受けて内足側(すなわち図中に示すS1側)に向けて引っ張られることにより、外足側壁部112は、着用者の足に密着することになる。また、シューレース140が挿通された紐通し部116が設けられた部分において、アッパー本体110の内足側壁部111が、シューレース140による締め付けの力を受けて外足側(すなわち図中に示すS2側)に向けて引っ張られることにより、内足側壁部111は、着用者の足に密着することになる。
このとき、上述したように、アッパー本体110がシュータン130よりも高剛性の材料にて構成されていることから、内足側壁部111および外足側壁部112は、それぞれ殆ど伸張することなく内側に向けて倒れ込むように締め付けられることになる。そのため、高強度の運動時においては、靴1Cが足の動きに追従することで靴1Cによって適度に着用者の足が保持された状態が維持されることになり、いわゆる動的フィット性が向上することになる。
したがって、以上において説明した本実施の形態に係る靴1Cとすることにより、低強度の運動時に重要となる静的フィット性と高強度の運動時に重要となる動的フィット性との双方において優れた機能が発揮されることになり、静的フィット性および動的フィット性の両立が図られた靴とすることができる。
なお、本実施の形態に係る靴1Cにあっては、上述したように、外足側(すなわち図中に示すS2側)の部分において、相対的に高剛性の材料からなるアッパー本体110の外足側壁部112の内側に、相対的に低剛性の材料からなるシュータン130の外足側延設部133が配置された構成が採用されているため、この低剛性の材料かなる外足側延設部133がクッションとなって直接的に高剛性の材料からなる外足側壁部112が着用者の足に接触しないことにもなり、この点においても足当たりが改善することになる。
また、本実施の形態に係る靴1Cにあっては、シュータン130の外足側延設部133が中足部R2においてカバー部131から引き出されるとともに、その下端が中足部R2においてアッパー本体110の外足側壁部112の下端部に固定されている。このように構成することにより、着用者の足の中足アーチの引き上げ効果(すなわち、長時間の運動等によって中足アーチが落ち込んでしまう現象の発生を抑制する効果)が得られることにもなる。
ここで、シュータン130の外足側延設部133は、着用者の足の第5中足骨302を覆うように設けられていることが好ましい。たとえば、第5中足骨302の前端部を少なくとも覆うように外足側延設部133を設ければ(すなわち、靴の前方側末端を基準とし、当該前方側末端から靴の前後方向の寸法の30%~40%にかけての位置を含むように外足側延設部133を設ければ)、靴全体のうちの前足部R1寄りの部分における静的フィット性を向上させることができる。また、第5中足骨302の中央部を少なくとも覆うように外足側延設部133を設ければ(すなわち、靴の前方側末端を基準とし、当該前方側末端から靴の前後方向の寸法の35%~45%にかけての位置を含むように外足側延設部133を設ければ)、靴全体のうちの中足部R2における静的フィット性を向上させることができる。また、第5中足骨302の後端部を少なくとも覆うように外足側延設部133を設ければ(すなわち、靴の前方側末端を基準とし、当該前方側末端から靴の前後方向の寸法の45%~55%にかけての位置を含むように外足側延設部133を設ければ)、靴全体のうちの後足部R3寄りの部分における静的フィット性を向上させることができる。
なお、上述した本実施の形態においては、シュータン130が単一の部材にて構成されているため、外足側延設部133のみならずカバー部131も含めてその全体が、アッパー本体110の外足側壁部112を構成する材料よりも高伸縮性の材料にて構成された場合を例示したが、シュータン130は、複数の部材を相互に一体化させることで構成されていてもよく、その場合には、少なくとも外足側延設部133が、外足側壁部112を構成する材料よりも高伸縮性の材料にて構成されていれば、上述した各種の効果を得ることができる。
また、上述した本実施の形態においては、合計で7個の外足側紐通し部のうちの2個について、これをシュータン130に設けられた紐通し部137にて構成した場合を例示したが、外足側紐通し部の総数は、特にこれが制限されるものではなく、また、そのうちの幾つをシュータン130に設けられた紐通し部137にて構成するかについても、特にこれが制限されるものではない。さらには、外足側紐通し部のうちのどれをシュータン130に設けられた紐通し部137にて構成するかについても、特にこれが制限されるものではない。
ここで、外足側紐通し部にのうちの2個以上をシュータン130に設けられた紐通し部137にて構成する場合には、アッパー本体110に設けられた紐通し部117とシュータン130に設けられた紐通し部137とを、靴の前後方向に沿って交互に配置することが好ましい。このように構成すれば、シューレース140によるアッパー本体110の締め付けとシュータン130の締め付けとが均等に行なえることになり、より静的フィット性および動的フィット性を高めることできる。なお、その場合にも、最も前側に配置される外足側紐通し部については、これをアッパー本体110に設けられた紐通し部117とすることが好ましい。
また、上述した本実施の形態においては、アッパー本体110に設けられた紐通し部117とシュータン130に設けられた紐通し部137とからなる外足側紐通し部が、前後方向に沿ってほぼ直線状に並んで位置するように構成した場合を例示して説明を行なったが、必ずしもこのように構成する必要はない。たとえば、シューレース140がシュータン130よりも低伸縮性の部材にて構成されている場合には、シュータン130に設けられた紐通し部137をアッパー本体110に設けられた紐通し部117よりも固定部133a側(すなわち、より外足側の低い位置)に配置することとすれば、上述した着用者の足の中足アーチの引き上げ効果を高めることができる。その反対に、シューレース140がシュータン130よりも高伸縮性の部材にて構成されている場合には、シュータン130に設けられた紐通し部137をアッパー本体110に設けられた紐通し部117よりも固定部133a側とは反対側(すなわち、より内足側の高い位置)に配置することとすれば、上述した着用者の足の中足アーチの引き上げ効果を高めることができる。
さらには、上述した本実施の形態においては、シュータン130に設けられた紐通し部137が配置される部分に対応してアッパー本体110の外足側壁部112に切り欠きを設けることにより、当該紐通し部137が外部に対して露出するように構成した場合を例示して説明を行なったが、必ずしもこのように構成する必要はない。すなわち、アッパー本体110の外足側壁部112に切り欠きを設けることは必ずしも必須の構成ではなく、また、シュータン130に設けられた紐通し部137を外部に対して露出させることも必ずしも必須の構成ではない。
なお、シュータン130に設けられた紐通し部137をより固定部133a側(すなわち、より外足側の低い位置)に配置する場合には、紐通し部137をシュータン130のカバー部131ではなく外足側延設部133に設けることとしてもよい。
(実施の形態4)
図20は、実施の形態4に係る靴の斜視図である。また、図21は、図20中に示すXXI-XXI線に沿った靴の断面図であり、図22は、図20に示すシュータンの展開した状態における平面図である。以下、これら図20ないし図22を参照して、本実施の形態に係る靴1Dについて説明する。
図20ないし図22に示すように、靴1Dは、上述した実施の形態3に係る靴1Cと比較した場合に、シュータン130の構成においてのみ相違している。具体的には、靴1Dにあっては、シュータン130が第1補強部としての外足側補強部135を有している。
外足側補強部135は、シュータン130の外足側延設部133を主として補強するためのものであり、当該外足側延設部133の上面の所定部分を覆うように設けられている。本実施の形態においては、外足側補強部135が、平面視略矩形状に構成されており、外足側延設部133の上面のほぼ全域を覆っている。
この外足側補強部135は、アッパー本体110を構成する材料よりも高伸縮性であるとともに、シュータン130の外足側延設部133を構成する材料よりも高剛性の材料にて構成される。そのため、当該外足側補強部135が設けられた靴1Dの外足側(すなわち図中に示すS2側)の部分においては、相対的に低伸縮性でかつ高剛性の材料からなるアッパー本体110の外足側壁部112が最も外側に位置するとともに、相対的に高伸縮性でかつ低剛性の材料からなるシュータン130の外足側延設部133が最も内側に位置し、さらにこれらの間に相対的に中程度の伸縮性および剛性の材料からなる外足側補強部135が位置するように、これら外足側壁部112と外足側延設部133と外足側補強部135とが重ね合わされた状態で配置されている。
この外足側補強部135は、たとえばTPUフィルム、メッシュ材、ラバー材等にて構成することが可能であり、シュータン130の上面に、たとえば接着や縫製、溶着あるいはそれらの組み合わせ等によって接合されている。すなわち、外足側補強部135は、シュータン130の所定部位の表面を覆うように層状に形成された部材にて構成されている。
ここで、層状に形成された外足側補強部135の厚みは、特にこれが制限されるものではないが、たとえば0.1mm以上1.2mm以下とされ、より好適には0.3mm以上0.7mm以下とされる。また、平面視した場合の外足側補強部135の幅(すなわち、着用者の足の周方向に合致する方向と直交する方向の外形寸法)は、特にこれが制限されるものではないが、10mm以上とされることが好ましい。
以上のように構成した場合には、シュータン130を高伸縮性の材料のみにて構成した場合に比べ、シュータン130の耐久性を向上させることができる。その一方で、外足側補強部135がアッパー本体110の外足側壁部112よりも高伸縮性の材料にて構成されているため、シュータン130全体としての伸縮性が極端に低下することがなく、シューレース140の締め上げ時において外足側延設部133が適切に伸張することになる。
特に、外足側補強部135を上述したTPUフィルム、メッシュ材、ラバー材等にて構成した場合には、当該外足側補強部135が、瞬間的な力が印加された場合に変形し難く、その反対に持続的な力が印加された場合に変形し易い性質を有することになるため、静的フィット性を向上させる上で非常に好適なものとなる。
したがって、本実施の形態に係る靴1Dとすることにより、上述した実施の形態3の場合と同様に静的フィット性および動的フィット性の両立が図られるばかりでなく、さらに耐久性に優れた靴とすることができる。
なお、本実施の形態に係る靴1Dにおいては、上述したように、外足側補強部135が、外足側延設部133の上面のほぼ全域を覆っているため、特に高い静的フィット性を得ることができる。
ここで、外足側補強部135は、外足側延設部133が延びる方向(すなわち、着用者の足の周方向に合致する方向)に沿って延設されていることが好ましい。これは、シューレース140の締め付け時や、着用者の足が靴の内部において動いた場合等において、外足側延設部133が主として伸張する方向が、上述した外足側延設部133が延びる方向に合致するためであり、この方向に沿って外足側補強部135が延設されることにより、効果的に外足側延設部133を補強することが可能になる。
加えて、このように構成すれば、シューレース140の締め上げ時において、シューレース140の締め付けの力が適切に外足側延設部133に伝達されることになる(すなわち、必要以上に外足側延設部133が伸張しなくなる)ため、着用者の足の中足アーチの引き上げ効果を高めることもできる。さらには、靴1Dの外足側(すなわち図中に示すS2側)の部分において、外足側壁部112に加えて比較的高剛性の外足側補強部135が位置することにより、動的フィット性も向上することになり、着用者の足の横ブレ(すなわち、靴1Dの左右方向に沿った着用者の足の動き)の発生を抑制することも可能になる。
また、外足側補強部135の下端は、図示するように外足側延設部133の固定部133aにまで達していることが好ましい。このように構成すれば、外足側補強部135の当該下端を含めてシュータン130の固定部133aがアッパー本体110に固定されることになるため、当該固定部133aにおける固定強度を高めることが可能になる。
さらに、外足側補強部135は、カバー部131に達するように設けられていてもよく、その場合には、外足側補強部135が、図示するように紐通し部137が設けられた部分のカバー部131を覆うように設けられていることが好ましい。このように構成すれば、シューレース140による力が加わる紐通し部137をも同時に補強することが可能になり、さらなる耐久性の向上を図ることが可能になる。
なお、本実施の形態に係る靴1Dにあっては、外足側補強部135が、外足側延設部133の上面ならびにカバー部131の上面を覆うように設けられているが、当該外足側補強部135は、外足側延設部133の下面ならびにカバー部131の下面を覆うように設けられてもよく、また、外足側延設部133の上面および下面ならびにカバー部131の上面および下面を覆うように設けられてもよい。
(実施の形態5)
図23は、実施の形態5に係る靴の斜視図であり、図24は、図23に示す靴の平面図である。また、図25は、図23中に示すXXV-XXV線に沿った靴の断面図であり、図26は、図23に示すシュータンの展開した状態における平面図である。以下、これら図23ないし図26を参照して、本実施の形態に係る靴1Eについて説明する。なお、図24においては、着用者の足の骨と靴との位置関係が明確に理解されることとなるように、足の骨300を靴1Eに重ねて図示している。
図23ないし図26に示すように、靴1Eは、上述した実施の形態1に係る靴1Aの内足側(すなわち図中に示すS1側)の構成と、上述した実施の形態3に係る靴1Cの外足側(すなわち図中に示すS2側)の構成とを組み合わせたものである。
すなわち、靴1Eにおいては、アッパー本体110が、第1壁部としての内足側壁部111と、第2壁部としての外足側壁部112とを含んでおり、シュータン130が、第1延設部としての内足側延設部132と、第2延設部としての外足側延設部133とを含んでいる。また、シュータン130には、シュータン側第1紐通し部としての複数の紐通し部136と、シュータン側第2紐通し部としての複数の紐通し部137とが設けられており、アッパー本体110には、アッパー側第1紐通し部としての複数の紐通し部116と、アッパー側第2紐通し部としての複数の紐通し部117とが設けられている。
シュータン130は、アッパー本体110を構成する材料よりも高伸縮性の材料にて構成されている。内足側延設部132は、アッパー本体110の内足側壁部111の内面に沿って当該内足側壁部111の下端部側に向けて延びるように位置しており、その下端が、内足側壁部111の下端部に固定されている。また、外足側延設部133は、アッパー本体110の外足側壁部112の内面に沿って当該外足側壁部112の下端部側に向けて延びるように位置しており、その下端が、外足側壁部112の下端部に固定されている。
図24に示すように、アッパー本体110の内足側の部分に配置された紐通し部である内足側紐通し部A1~A7のうち、内足側紐通し部A1,A3,A5~A7は、アッパー本体110の内足側壁部111に設けられた紐通し部116にて構成されており、残る内足側紐通し部A2,A4は、シュータン130に設けられた紐通し部136にて構成されている。また、アッパー本体110の外足側の部分に配置された紐通し部である外足側紐通し部B1~B7のうち、外足側紐通し部B1,B3,B5~B7は、アッパー本体110の外足側壁部112に設けられた紐通し部117にて構成されており、残る外足側紐通し部B2,B4は、シュータン130に設けられた紐通し部137にて構成されている。
これら内足側紐通し部A1~A7および外足側紐通し部B1~B7には、シューレース140が所定の順番で挿通されている。ただし、図24に示す状態は、内足側紐通し部A1~A7のうちのエクストラホールA7および外足側紐通し部B1~B7のうちのエクストラホールB7が使用されていない状態である。
そのため、内足側紐通し部A1~A6に着目すると、シューレース140は、アッパー本体110に設けられた複数の紐通し部116の各々(すなわち、内足側紐通し部A1,A3,A5,A6の各々)において、外足側(すなわち図中に示すS2側)から挿通されて折り返されていることになるとともに、シュータン130に設けられた複数の紐通し部136の各々(すなわち、内足側紐通し部A2,A4の各々)において、外足側(すなわち図中に示すS2側)から挿通されて折り返されていることになる。
また、外足側紐通し部B1~B6に着目すると、シューレース140は、アッパー本体110に設けられた複数の紐通し部117の各々(すなわち、外足側紐通し部B1,B3,B5,B6の各々)において、内足側(すなわち図中に示すS1側)から挿通されて折り返されていることになるとともに、シュータン130に設けられた複数の紐通し部137の各々(すなわち、外足側紐通し部B2,B4の各々)において、内足側(すなわち図中に示すS1側)から挿通されて折り返されていることになる。
このように構成することにより、本実施の形態に係る靴1Eにおいては、上述した実施の形態1において説明した効果と、上述した実施の形態3において説明した効果との双方を得ることができる。したがって、本実施の形態に係る靴1Eとすることにより、低強度の運動時に重要となる静的フィット性と高強度の運動時に重要となる動的フィット性との双方において極めて優れた機能が発揮されることになり、静的フィット性および動的フィット性の両立が飛躍的に高められた靴とすることができる。
(実施の形態6)
図27は、実施の形態6に係る靴の斜視図である。また、図28は、図27中に示すXXVIII-XXVIII線に沿った靴の断面図であり、図29は、図27に示すシュータンの展開した状態における平面図である。以下、これら図27ないし図29を参照して、本実施の形態に係る靴1Fについて説明する。
図27ないし図29に示すように、靴1Fは、上述した実施の形態5に係る靴1Eと比較した場合に、シュータン130の構成においてのみ相違している。具体的には、靴1Eにあっては、シュータン130が、第1補強部としての内足側補強部134と、第2補強部としての外足側補強部135とを有している。すなわち、靴1Fは、上述した実施の形態2に係る靴1Bの内足側(すなわち図中に示すS1側)の構成と、上述した実施の形態4に係る靴1Dの外足側(すなわち図中に示すS2側)の構成とを組み合わせたものである。
内足側補強部134は、シュータン130の内足側延設部132を主として補強するためのものであり、当該内足側延設部132の上面の所定部分を覆うように設けられている。この内足側補強部134は、アッパー本体110を構成する材料よりも高伸縮性であるとともに、シュータン130の内足側延設部132を構成する材料よりも高剛性の材料にて構成される。
外足側補強部135は、シュータン130の外足側延設部133を主として補強するためのものであり、当該外足側延設部133の上面の所定部分を覆うように設けられている。この外足側補強部135は、アッパー本体110を構成する材料よりも高伸縮性であるとともに、シュータン130の外足側延設部133を構成する材料よりも高剛性の材料にて構成される。
このように構成することにより、本実施の形態に係る靴1Fにおいては、上述した実施の形態2において説明した効果と、上述した実施の形態4において説明した効果との双方を得ることができる。したがって、本実施の形態に係る靴1Fとすることにより、低強度の運動時に重要となる静的フィット性と高強度の運動時に重要となる動的フィット性との双方において極めて優れた機能が発揮されることになり、静的フィット性および動的フィット性の両立が飛躍的に高められた靴とすることができるばかりでなく、さらに耐久性に優れた靴とすることができる。
(実施の形態7)
図30は、実施の形態7に係る靴の斜視図である。以下、この図30を参照して、本実施の形態に係る靴1Gについて説明する。
図30に示すように、靴1Gは、上述した実施の形態2に係る靴1Bと比較した場合に、アッパー本体110の構成ならびにシュータン130の構成においてのみ相違している。具体的には、靴1Gにあっては、シュータン130が第1延設部としての内足側延設部132を有しているものの、当該内足側延設部132の配置位置が異なっており、これに伴ってアッパー本体110の中央開口部114の周縁の構成も異なっている。
本実施の形態に係る靴1Gにおいては、内足側延設部132が、シュータン130のカバー部131の周縁のうち、内足側(すなわち図中に示すS1側)の部分であってかつ後端寄りの部分から斜め後ろ側に向けて延設されている。これにより、内足側延設部132は、アッパー本体110の内足側壁部111の内面に沿って当該内足側壁部111の下端部側に向けて延びるように位置している。
また、シュータン130には、第1補強部としての内足側補強部134が設けられており、内足側補強部134は、内足側延設部132の上面の所定部分を覆うように当該内足側延設部132の延在方向に沿って帯状に延びている。
ここで、本実施の形態に係る靴1Gにあっては、シュータン130の内足側延設部132が中足部R2の後端寄りの部分においてカバー部131から引き出されるとともに、その下端が後足部R3においてアッパー本体110の内足側壁部111の下端部に固定されている。そのため、内足側延設部132および内足側補強部134は、いずれも着用者の足の距骨303および踵骨304(距骨303および踵骨304の位置に関しては、図2、図17、図24参照)を覆うように位置することになる。
一方、シュータン130のカバー部131のうち、内足側(すなわち図中に示すS1側)の部分であってかつ後端寄りの部分には、シュータン側第1紐通し部としての紐通し部136が設けられている。本実施の形態に係る靴1Gにおいては、シュータン130に設けられた紐通し部136がこの1個のみとされており、内足側紐通し部は、このシュータン130に設けられた1個の紐通し部136と、アッパー本体110に設けられた5個の紐通し部116(本実施の形態に係る靴1Gにおいては、内足側の部分においてエクストラホールは設けられていない)とによって構成されている。
ここで、このシュータン130に設けられた紐通し部136は、内足側紐通し部のうちの前後方向における最も後方側に位置している。そのため、シューレース140が挿通された状態において当該シューレース140が結ばれることにより、シューレース140は、この紐通し部136において、外足側(すなわち図中に示すS2側)から挿通されて折り返されることになる。
このように構成した場合には、シュータン130の内足側延設部132がアッパー本体110の内足側壁部111を構成する材料よりも高伸縮性の材料にて構成されているとともに、内足側補強部134が、アッパー本体110の内足側壁部111を構成する材料よりも高伸縮性であるとともに、シュータン130の内足側延設部132を構成する材料よりも高剛性の材料にて構成されているため、上述した実施の形態2の場合と同様に、静的フィット性および動的フィット性の両立が図られた靴とすることができ、特に、靴全体のうちの後足部R3寄りの部分における静的フィット性を向上させることができる。
さらには、上記のように構成した場合には、内足側延設部132および内足側補強部134がいずれも着用者の足の距骨303および踵骨304を覆うように位置することになるため、これら内足側延設部132および内足側補強部134によって踵骨304の過度の倒れ込みを抑制することができる。したがって、当該構成を採用することにより、オーバープロネーション(着地時において、着用者の踵部が必要以上に内側に倒れ込んでしまう現象)の発生を抑制することが可能になる。
ここで、このオーバープロネーションの発生を抑制する観点からは、靴の前方側末端を基準とし、当該前方側末端から靴の前後方向の寸法の70%~90%にかけての位置を含むように内足側延設部132および内足側補強部134を設けることが好ましい。
なお、本実施の形態に係る靴1Gにおいては、シュータン130に内足側延設部132のみならず内足側補強部134をも設けた場合を例示したが、シュータン130に内足側延設部132のみを設けた場合にも、相応の効果を得ることができる。
(実施の形態8)
図31は、実施の形態8に係る靴の斜視図である。以下、この図31を参照して、本実施の形態に係る靴1Hについて説明する。
図31に示すように、靴1Hは、上述した実施の形態4に係る靴1Dと比較した場合に、アッパー本体110の構成ならびにシュータン130の構成においてのみ相違している。具体的には、靴1Hにあっては、シュータン130が第1延設部としての外足側延設部133を有しているものの、当該外足側延設部133の配置位置が異なっており、これに伴ってアッパー本体110の中央開口部114の周縁の構成も異なっている。
本実施の形態に係る靴1Hにおいては、外足側延設部133が、シュータン130のカバー部131の周縁のうち、外足側(すなわち図中に示すS2側)の部分であってかつ後端寄りの部分から斜め後ろ側に向けて延設されている。これにより、外足側延設部133は、アッパー本体110の外足側壁部112の内面に沿って当該外足側壁部112の下端部側に向けて延びるように位置している。
また、シュータン130には、第1補強部としての外足側補強部135が設けられており、外足側補強部135は、外足側延設部133の上面の所定部分を覆うように当該外足側延設部133の延在方向に沿って帯状に延びている。
ここで、本実施の形態に係る靴1Hにあっては、シュータン130の外足側延設部133が中足部R2の後端寄りの部分においてカバー部131から引き出されるとともに、その下端が後足部R3においてアッパー本体110の外足側壁部112の下端部に固定されている。そのため、外足側延設部133および外足側補強部135は、いずれも着用者の足の距骨303および踵骨304(距骨303および踵骨304の位置に関しては、図2、図17、図24参照)を覆うように位置することになる。
一方、シュータン130のカバー部131のうち、外足側(すなわち図中に示すS2側)の部分であってかつ後端寄りの部分には、シュータン側第1紐通し部としての紐通し部137が設けられている。本実施の形態に係る靴1Hにおいては、シュータン130に設けられた紐通し部137がこの1個のみとされており、外足側紐通し部は、このシュータン130に設けられた1個の紐通し部137と、アッパー本体110に設けられた5個の紐通し部117(本実施の形態に係る靴1Hにおいては、外足側の部分においてエクストラホールは設けられていない)とによって構成されている。
ここで、このシュータン130に設けられた紐通し部137は、外足側紐通し部のうちの前後方向における最も後方側に位置している。そのため、シューレース140が挿通された状態において当該シューレース140が結ばれることにより、シューレース140は、この紐通し部137において、内足側(すなわち図中に示すS1側)から挿通されて折り返されることになる。
このように構成した場合には、シュータン130の外足側延設部133がアッパー本体110の外足側壁部112を構成する材料よりも高伸縮性の材料にて構成されているとともに、外足側補強部135が、アッパー本体110の外足側壁部112を構成する材料よりも高伸縮性であるとともに、シュータン130の外足側延設部133を構成する材料よりも高剛性の材料にて構成されているため、上述した実施の形態2の場合と同様に、静的フィット性および動的フィット性の両立が図られた靴とすることができ、特に、靴全体のうちの後足部R3寄りの部分における静的フィット性を向上させることができる。
さらには、上記のように構成した場合には、外足側延設部133および外足側補強部135がいずれも着用者の足の距骨303および踵骨304を覆うように位置することになるため、これら外足側延設部133および外足側補強部135によって踵骨304の異常な倒れ込みを抑制することができる。したがって、当該構成を採用することにより、過度のアンダープロネーション(着地時において、着用者の踵部が適切に内側に倒れ込まずに外側に倒れ込んでしまう現象)の発生を抑制することが可能になる。
ここで、この過度のアンダープロネーションの発生を抑制する観点からは、靴の前方側末端を基準とし、当該前方側末端から靴の前後方向の寸法の70%~90%にかけての位置を含むように外足側延設部133および外足側補強部135を設けることが好ましい。
なお、本実施の形態に係る靴1Hにおいては、シュータン130に外足側延設部133のみならず外足側補強部135をも設けた場合を例示したが、シュータン130に外足側延設部133のみを設けた場合にも、相応の効果を得ることができる。
(実施の形態等における開示内容の要約)
上述した実施の形態1ないし8およびそれらの変形例において開示した特徴的な構成を要約すると、以下のとおりとなる。
本開示のある態様に従った靴は、着用者の足が挿入される上部開口部および当該上部開口部から着用者の足の足長方向に合致する前後方向における前方側に向けて延びる中央開口部が設けられてなるアッパー本体と、上記中央開口部を内側から覆うように上記アッパー本体の内部に配置されたシュータンと、上記中央開口部を規定する部分の上記アッパー本体を着用者の足の足幅方向に合致する左右方向に沿って締め付けるためのシューレースとを備えている。上記アッパー本体は、上記左右方向において対向する一対の側壁部である第1壁部および第2壁部を含んでおり、上記上部開口部および上記中央開口部は、上記第1壁部の上端部および上記第2壁部の上端部によって規定されている。上記シュータンは、上記中央開口部を覆うカバー部と、上記カバー部の上記第1壁部側の端部から上記第1壁部の内面に沿って上記第1壁部の下端部側に向けて延びるとともにその下端が固定されてなる第1延設部とを含んでおり、上記第1延設部は、上記第1壁部を構成する材料よりも高伸縮性の材料にて構成されている。上記中央開口部を規定する部分の上記第1壁部の上端部には、上記第2壁部側から上記シューレースが挿通されて当該シューレースが折り返される少なくとも1つ以上のアッパー本体側第1紐通し部が設けられており、上記シュータンには、上記第2壁部側から上記シューレースが挿通されて当該シューレースが折り返される少なくとも1つ以上のシュータン側第1紐通し部が設けられている。
上記本開示のある態様に従った靴にあっては、上記第1延設部が、着用者の足の中足骨に対応する部分に少なくとも位置していることが好ましい。
上記本開示のある態様に従った靴にあっては、上記第1延設部が、着用者の足の距骨および踵骨に対応する部分に少なくとも位置していることが好ましい。
上記本開示のある態様に従った靴にあっては、上記シュータンが、上記第1延設部に少なくとも設けられるとともに当該第1延設部を補強する第1補強部を含んでいてもよく、その場合には、上記第1補強部が、上記第1壁部を構成する材料よりも高伸縮性であるとともに上記第1延設部を構成する材料よりも高剛性である材料にて構成されていることが好ましい。
上記本開示のある態様に従った靴にあっては、上記第1補強部が、上記シュータンのうち、上記アッパー本体に固定された部分の上記第1延設部から上記シュータン側第1紐通し部が設けられた部分にまで延設されていてもよい。
上記本開示のある態様に従った靴にあっては、上記第1補強部が、上記シュータンの表面を覆う層状の部材にて構成されていてもよい。
上記本開示のある態様に従った靴にあっては、上記シュータンが、上記カバー部の上記第2壁部側の端部から上記第2壁部の内面に沿って上記第2壁部の下端部側に向けて延びるとともにその下端が固定されてなる第2延設部をさらに含んでいてもよく、その場合には、上記第2延設部が、上記第2壁部を構成する材料よりも高伸縮性の材料にて構成されていてもよい。また、その場合には、上記中央開口部を規定する部分の上記第2壁部の上端部には、上記第1壁部側から上記シューレースが挿通されて当該シューレースが折り返される少なくとも1つ以上のアッパー本体側第2紐通し部が設けられていることが好ましく、また、上記シュータンには、上記第1壁部側から上記シューレースが挿通されて当該シューレースが折り返される少なくとも1つ以上のシュータン側第2紐通し部が設けられていることが好ましい。
上記本開示のある態様に従った靴にあっては、上記第2延設部が、着用者の足の中足骨に対応する部分に少なくとも位置していることが好ましい。
上記本開示のある態様に従った靴にあっては、上記第2延設部が、着用者の足の距骨および踵骨に対応する部分に少なくとも位置していることが好ましい。
上記本開示のある態様に従った靴にあっては、上記シュータンが、上記第2延設部に少なくとも設けられるとともに当該第2延設部を補強する第2補強部を含んでいてもよく、その場合には、上記第2補強部が、上記第2壁部を構成する材料よりも高伸縮性であるとともに上記第2延設部を構成する材料よりも高剛性である材料にて構成されていることが好ましい。
上記本開示のある態様に従った靴にあっては、上記第2補強部が、上記シュータンのうち、上記アッパー本体に固定された部分の上記第2延設部から上記シュータン側第2紐通し部が設けられた部分にまで延設されていてもよい。
上記本開示のある態様に従った靴にあっては、上記第2補強部が、上記シュータンの表面を覆う層状の部材にて構成されていてもよい。
上記本開示のある態様に従った靴にあっては、上記カバー部が、上記アッパー本体を構成する材料よりも高伸縮性の材料にて構成されていてもよい。
上記本開示のある態様に従った靴にあっては、上記第1壁部が、上記アッパー本体の内足側の壁部であるとともに、上記第2壁部が、上記アッパー本体の外足側の壁部であってもよい。
上記本開示のある態様に従った靴にあっては、上記第1壁部が、上記アッパー本体の外足側の壁部であるとともに、上記第2壁部が、上記アッパー本体の内足側の壁部であってもよい。
(その他の形態等)
上述した実施の形態1ないし8およびそれらの変形例においては、アッパー本体およびシュータンに設けるべき紐通し部をいずれもこれらに設けられた貫通孔にて構成した場合を例示して説明を行なったが、これら紐通し部は、このような構成である必要はなく、たとえば、アッパー本体および/またはシュータンにフック状またはリング状等の引っ掛け部材を設けることにより、これを構成することとしてもよい。
また、上述した実施の形態1ないし8およびそれらの変形例においては、アッパーが中底を備えている場合を例示して説明を行なったが、中底は必ずしも必須の構成ではなく、これを設けないこととしてよい。その場合には、アッパー本体の下端部にソールが接合されることでアッパーに対するソールの固定が行なわれることになる。
また、上述した実施の形態1ないし8およびそれらの変形例において示した各部の具体的な形状や構成、数、位置、材質等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜これを変更することができる。
さらには、上述した実施の形態1ないし8およびそれらの変形例において開示した特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、相互に組み合わせることが可能である。
このように、今回開示した上記実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は請求の範囲によって画定され、また請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。