JP7477595B2 - 消費エネルギー算出システム - Google Patents

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Description

本発明は、消費エネルギー算出システムに関し、例えば、自動制御機能を備えた冷暖房機(HVAC)の消費エネルギーの概算値を算出する消費エネルギー算出システムに関する。
家庭、企業の事務オフィス、学校、病院、娯楽施設や店舗等で利用される冷暖房機は、一般的に、冷暖房の対象エリア(室内)に設置した温度センサーにより計測された室内温度の状況に応じて消費電力を最小限に抑えられるように出力制御がなされている。
また、冷暖房機の省エネルギーに関する技術として、特許文献1には、外部ネットワークからセンターサーバーを介して通信会社に接続された空気調和機の管理システムにおいて、空気調和機からの電流値または消費電力の情報を取り込む前記センターサーバーで、空気調和機の運転にかかる電気代を算出し、その算出した電気代情報を基に、通信端末機器から設定する空気調和機にかかる基準となる目標電気代に対して、空気調和機の運転による積算電気代が目標電気代に達する前に、目標電気代の複数の所定の割合または所定値を超えると、通信端末器の表示装置に複数回のアラート(お知らせ情報)を表示する空気調和機の管理システムが開示されている。
特許第4274095公報
ところで、現在、脱炭素、エネルギー削減が地球環境保護の観点から世界的に重視されている。世界のエネルギー消費のうち、企業・事務所等(オフィス、工場、病院、商業施設、飲食店等)で利用されるエネルギーの割合が大きく、中でも冷暖房機(エアコン)による消費エネルギーの割合が大きい。
また、上記のような背景において、様々なメーカが冷暖房機の出力を自動制御し、エネルギー消費を抑制するシステムを販売しているが、これらのシステムは設定温度に対して、如何にエネルギー効率良く室内温度を調整するかを考慮したシステムであり、建物の構造、時間毎に変化する環境状況(室内状況(在籍する人数の増減)、外気温度等の外部の環境状況)に応じて、消費エネルギーを抑えるべく可変的に設定温度を自動調整するようなシステムでは無い。また、そのような制御の為の指標となる、環境状況に応じた消費エネルギーを推測するようなものではない。
また、企業のオフィスは、複数の人間が共同利用しており、冷暖房機で制御する適正温度が人により異なることがあり、必要以上にエネルギー消費が上がっている状態でも、そのまま放置されて管理されないことが多い。仮に、ある環境において、温度を1度変化させる事で、大きなエネルギー削減が見込める状況があったとしても、それをシステム管理者が予見しながら運用できる、消費エネルギー削減に関する指標は存在しない。
そのため、冷暖房機を制御するシステムの管理者が、時間毎に変化する環境状況に応じ、冷暖房機の適切な温度を把握し消費エネルギーを推測できるシステムがあれば望ましいが、現状においてそのようなシステムは存在しない。
なお、上記の特許文献1に記載のシステムは、単に、空気調和機からの電流値または消費電力の情報を用いて電気代を算出して、目標電気代を超えないようにアラートを通知するものであり、時間毎に変化する環境状況に応じた冷暖房機の消費エネルギーを推測するものではない。
本発明の目的は、上述した課題を解決するために、自動制御機能を有する冷暖房機の時間毎に変化する環境状況に応じた、設定温度に対する消費エネルギーの概算値を算出する消費エネルギー算出システムを提供する事にある。
上記課題を解決するためになされた本発明は、自動制御機能を備えた冷暖房機の消費エネルギーの概算値を算出する情報処理装置を備えた消費エネルギー算出システムであって、前記情報処理装置は、前記冷暖房機が設置された建物内部及び外部の環境情報を取得するデータ取得部と、複数のセルがマトリックス状に形成されている消費エネルギーテーブルと、前記消費エネルギーテーブルのセルの値を算出する消費エネルギー計算部と、前記消費エネルギーテーブルのセルの値を積算し、前記冷暖房機の所定期間の消費エネルギーの概算値を算出する消費エネルギー積算部と、を有し、前記データ取得部は、所定時間毎に、前記環境情報として、少なくとも、前記冷暖房機が設置されている建物・内部の室内温度と、前記冷暖房機が設置されている建物・外部の外気温度と、前記冷暖房機の設定温度とを取得し、前記消費エネルギーテーブルの各セルは、前記外気温度と前記設定温度の差、及び前記室内温度と前記設定温度の差の両者に対応させて、前記冷暖房機が、設置されている建物の前記環境情報の値に対して温度を上昇又は下降させる動作に抗う
斥力エネルギー値が格納されており、前記消費エネルギー積算部は、前記取得した所定時間毎の環境情報を用いて、該環境情報に対応する前記消費エネルギーテーブルのセルの値を所定時間毎に積算していくことで、前記冷暖房機が設置された環境変化に合わせた斥力エネルギー積算値を算出し、前記冷暖房機の消費エネルギーの概算値として前記算出した該斥力エネルギー積算値を出力するようになっていることを特徴とする。
上記の構成によれば、冷暖房機の消費エネルギーの上昇に繋がる当該冷暖房機が設置された建物内部及び外部の環境情報(外気温度、室内温度、設定温度)が所定時間毎に取得できる。また、本発明では、複数のセルがマトリックス状の形成されている消費エネルギーテーブルが設けられ、この消費エネルギーテーブルの各セルは、環境情報の値に応じて割り当てられ且つ消費エネルギーの算出の基になる値が格納されている。
そして、例えば、冷暖房機が冷房設定になっており、室内温度を「30℃から25℃」に下げるべく動作している場合、外気温度は建物を温めることから、温度を下げる事に対する斥力エネルギーとして作用する。すなわち、環境情報は冷暖房機に対する斥力エネルギーの指標となり、冷暖房機の消費エネルギーと反作用の関係として平衡になる事から、取得した現在の環境情報と条件が一致するセルに格納された消費エネルギー算出の基になる値を参照することで、冷暖房機が温度を調整するために必要な消費エネルギー計算をすることが可能になる。その結果、本発明によれば、個別の空間における各設定温度に対する消費電力が予め推測可能になり、本発明を利用して冷暖房機の環境に応じた設定温度コントロールが可能になれば、脱酸素、エネルギー削減に大きく貢献することができる。
なお、冷暖房機が設置されている建物の近傍に温度センサーを設けておき、データ取得部がその温度センサーから外気温度を取得しても良いし、或いは、データ取得部がインターネット経由で建物の近傍のエリアの外気温度を取得するように構成されていても良い。また、データ取得部は、室内温度及び設定温度について、冷暖房機から取得するようにしても良いし、室内温度について、冷暖房機が設置された室内に設置した温度センサーから取得するようにしても良い。
また、前記消費エネルギーテーブルは、外気温度と設定温度の差の値により特定される列と、室内温度と設定温度の差の値により特定される行とを有し、列と行とが交わる前記セルには前記斥力エネルギー値が格納されていることが望ましい。
なお、消費電力は、冷暖房機の出力に対して斥力エネルギーを示す数値になる。
また、前記消費エネルギーテーブルの各セルには、前記冷暖房機が電力計により所定時間毎の消費電力を計測できる場合、前記電力計により計測された前記冷暖房機の消費電力がそのまま斥力エネルギー値として格納され、前記冷暖房機が電力計により所定時間毎の消費電力を計測できない場合、前記冷暖房機によりパラメータ値が決定される斥力エネルギー計算方程式と、前記取得した環境情報とを用いて算出された斥力エネルギー値が格納されていることが望ましい。
このように本発明では、消費エネルギーテーブルの各セルには、冷暖房機の設置された建物の環境状況を反映した斥力エネルギー値が格納されていることになるため、取得した現在の環境情報と条件が一致するセルに格納された斥力エネルギー値を参照することで、冷暖房機の環境変化に合わせた消費エネルギーの概算値を算出することができ、また、同一環境において温度設定を変えた場合に削減可能な、消費電力量を算出する事が可能になる。
また、前記消費エネルギー計算部は、前記消費エネルギー積算部が前記斥力エネルギー積算値を算出する処理の前処理として、前記斥力エネルギー計算方程式と、前記取得した環境情報とを用いて前記冷暖房機の斥力エネルギーを算出し、該算出に用いられた前記環境情報に応じて割り当てられた前記消費エネルギーテーブルのセルに該算出した斥力エネルギー値を格納することが望ましい。
また、前記データ取得部は、前記環境情報として、前記室内の混雑状況、気象状況、湿度を含む環境要因を取得できるようになっており、前記斥力エネルギー計算方程式には、前記環境要因をオフセット値として設定できるようになっており、前記消費エネルギー計算部は、前記環境要因がオフセット値として設定された前記斥力エネルギー計算方程式を用いて前記斥力エネルギーを算出するようになっていることが望ましい。
この構成によれば、例えば冷房設定の場合、室内温度を温める環境要因を反映させた斥力エネルギー値が格納されている消費エネルギーテーブルを作成することができる。そのため、冷暖房機の設置環境が、例えば、室内の人の増減が激しい等の特殊な事情があるケースにおいても、環境要因を反映した消費エネルギーの概算値を算出することができる。
また、前記消費エネルギー計算部は、前記室内温度と前記設定温度の差が0の場合に参照する前記セルについては、前記斥力エネルギー計算方程式として、x軸が外気温度と設定温度の差を示し且つy軸が斥力エネルギー値を示している第1のグラフ形状を形成するパラメータを持つ温度維持エネルギー方程式を用いて消費電力を算出し、前記外気温度と前記設定温度の差が0の以外の場合に参照する前記セルについては、前記斥力エネルギー計算方程式として、x軸が室内温度と設定温度の差を示し且つy軸が斥力エネルギー値を示している第2のグラフ形状を形成するパラメータを持つ温度変化エネルギー方程式を用いて消費電力を算出するようになっていることが望ましい。
また、前記第1のグラフ形状を持つ温度維持エネルギー計算方程式は、環境毎に異なる2つの変数と設定温度を維持するための最大消費電力値を使ったゴンペルツ方程式に、前記冷暖房機の最低消費電力値及びオフセットを加えた方程式であり、前記第2のグラフ形状を持つ温度変化エネルギー計算方程式は、前記温度維持エネルギー計算方程式の解、前記冷暖房機の最大消費電力値、及び前記2つの変数と異なる別の2つの変数により構成された方程式であることが望ましい。
また、前記消費エネルギー計算部は、前記室内温度と前記設定温度の差が0の場合に参照する前記セルについては、前記方程式として、第1のグラフ形状を持つ温度維持エネルギー計算方程式を用いて消費電力を算出し、前記外気温度と前記設定温度の差が0の以外の場合に参照する前記セルについては、前記方程式として、第2のグラフ形状を持つ温度変化エネルギー計算方程式を用いて消費電力を算出するようになっていることが望ましい。
また、前記消費エネルギー算出システムを利用し、冷暖房機の設置された環境に対してエネルギー効率が良い設定温度を算出し、その設定温度を時間と共に自動的に変化させていく事で、適切な室内温度に自動制御を行うことを特徴とする冷暖房機自動制御システムを提供することが望ましい。
本発明によれば、自動制御機能を有する冷暖房機の時間毎に変化する環境状況に応じた、設定温度に対する消費エネルギーの概算値を算出する消費エネルギー算出システムを提供する事ができる。
本発明の実施形態の冷暖房機の消費エネルギー算出システムの構成を示した模式図である。 本発明の実施形態の消費エネルギー算出システムに設けられたデータテーブルのデータ構造の一例を示した模式図である。 本発明の実施形態の消費エネルギー算出システムに設けられた消費エネルギーテーブルのデータ構造の一例を示した模式図である。 本発明の実施形態の消費エネルギー算出システムが行う消費エネルギーテーブルのセルに格納される消費電力の算出処理を説明するための模式図であり、(a)が所定時間(y1,y2,y3)に計測した環境情報を格納したデータテーブルを示した表であり、(b)が消費エネルギー(消費電力)を算出する方程式を示して模式図であり、(c)が(b)に示す方程式のパラメータの算出処理を説明するための模式図である。 図4に示した環境情報に示した消費電力と、消費エネルギーテーブルのセルの関係を説明するための模式図である。 本発明の実施形態の消費エネルギー算出システムが用いる冷暖房機が室内温度を設定温度に維持するために動作した場合に消費される消費エネルギーを算出する方程式のグラフを示した模式図である。 本発明の実施形態の消費エネルギー算出システムが用いる冷暖房機が室内温度を設定温度に変化させるために動作した場合に消費される消費エネルギーを算出する方程式のグラフを示した模式図である。 本発明の実施形態の消費エネルギー算出システムにより一定時間毎に計測された環境値に該当する消費エネルギー算出システムのセルの参照回数を示した模式図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
先ず、本実施形態の消費エネルギー算出システムの構成について図1~図3を用いて説明する。
ここで、図1は、本実施形態の消費エネルギー算出システムの構成を示した模式図である。図2は、本実施形態の消費エネルギー算出システムに設けられたデータテーブルのデータ構造の一例を示した模式図である。図3は、本実施形態の消費エネルギー算出システムに設けられた消費エネルギーテーブルのデータ構造の一例を示した模式図である。
図1に示すように、本実施形態の消費エネルギー算出システムは、自動制御機能を備えた冷暖房機3(3a、3b)が設置された建物(図示する例ではオフィスビル)の環境情報を取得する環境情報取得部(外気温度センサー1、室内温度センサー2(2a、2b)、混雑検知センサー4(4a、4b)、電力計(電力メータ)5(5a、5b))と、「環境情報取得部が計測した各計測値及び冷暖房機3の設定温度」を取得し、その取得したデータ(設定温度、環境情報)を用いて、冷暖房機3の時間毎の消費エネルギーの概算値を算出する情報処理装置100とを有している。
なお、本実施形態では、オフィスビルの各オフィスに設けられた冷暖房機3の消費エネルギーの概算値を算出する場合の例を示しているが、あくまでもこれは一例である。本実施形態の消費エネルギー算出システムは、自動制御機能を有する冷暖房機3が戸建や集合住宅等のような住居の部屋に設置されている場合にも適用される。また、本実施形態は、病院、学校、飲食店等の施設の自動制御機能を有する冷暖房機3の環境状況に応じた時間毎の消費エネルギーの概算値の算出にも利用することができる。但し、戸建てなど個人利用の冷暖房機で、設定温度が本システムに取得できない場合は、利用できない場合もある。
上記の消費エネルギー算出システムは、設置されている冷暖房機3毎に、時間毎に変化する環境状況に応じた冷暖房機3の消費エネルギーの概算値を算出するものであり、冷暖房機3(3a、3b)が設置された建物のエリア毎に、環境情報取得部を構成する各センサー等の計測器が設置されている。
具体的には、図1に示すように、冷暖房機3a(3)が設置された「オフィスA」には、「オフィスA」の室内温度を計測する室内温度センサー2a(2)と、「オフィスA」にいる人の混雑状況を計測する混雑検知センサー4a(4)と、「オフィスA」に設置されている冷暖房機3aの消費電力を計測する電力計5a(5)とが設けられている。
また、冷暖房機3b(3)が設置された「オフィスn」には、「オフィスn」の室内温度を計測する室内温度センサー2b(2)と、「オフィスn」にいる人の混雑状況を計測する混雑検知センサー4b(4)と、「オフィスn」に設置されている冷暖房機3bの消費電力を計測する電力計5bとが設けられている。
また、オフィスA、nがあるビル・近傍の屋外には、外気温を計測する外気温度センサー1が設けられている。
また、環境情報取得部を構成する各計測器(外気温度センサー1、室内温度センサー2(2a、2b)、混雑検知センサー4(4a、4b)、電力計5(5a、5b))は、いずれも、情報処理装置100と有線或いは無線で通信可能になっており、各計測器は、情報処理装置100に対して、所定時間毎に、計測して得られた環境情報を送信する。
例えば、外気温度センサー1は、所定時間毎に、オフィスA、nがある建物・近傍の屋外の外気温度を計測し、情報処理装置100に、計測した外気温度を送信する。また、室内温度センサー2aは、所定時間毎に、オフィスAの室内温度度を計測し、情報処理装置100に、計測した外気温度を送信する。混雑検知センサー4aは、所定時間毎に、オフィスAの混雑状況を計測して、情報処理装置100に、計測した混雑状況を送信する。また、電力計5aは、オフィスAに設置されている冷暖房機3aの消費電力を計測し、情報処理装置100に、計測した消費電力を送信する。但し、電力計5aはエアコンを含む室内全体の消費電力しか計測出来ない場合もある。
また、冷暖房機3a、3bは、別途取り付けられたデータ取得装置を通じて、或いは冷暖房機3のIPインターフェースを通じて、情報処置装置100対して有線或いは無線で通信可能に構成されている。そして、情報処理装置100は、所定時間毎に冷暖房機3に設定されている「設定温度」を取得する。
なお、冷暖房機3a、3bに、室内温度を計測する温度センサーが内蔵されている場合には、各オフィスに室内温度センサー2を設けずに、所定時間毎に、冷暖房機3a,3bに内蔵された温度センサーが計測した室内温度を取得するようにしても良い。
なお、図1では、環境情報取得部として、外気温度センサー1(1a、1b)、室内温度センサー2(2a、2b)混雑検知センサー4(4a、4b)、及び電力計5(5a、5b)を示しているが、これは一例である。例えば、例えば、外気温度を取得するために、外気温度センサー1(1a、1b)ではなく、インターネット上で各地域の気温(外気温度)を提供するサーバを利用するようにしても良い。この場合、情報処理装置100が、所定時間毎に、上記のサーバにアクセスし、対応する地域の外気温度を取得する。
また、情報処理装置100は、上記のサーバから気温だけでなく、冷暖房機3の消費エネルギーに影響する天候情報(晴れ、雨、曇り等の情報)、湿度を取得して、消費エネルギーの概算値の算出に「天気情報、湿度」を用いるようにしても良い。
また、多くのオフィスビルでは、ビルディング・マネージメント・システム(BMS(Building Management System))が導入されているため、ビルディング・マネージメント・システムを利用して「環境情報や各冷暖房機3の設定温度、及び消費電力」を取得するようにしても良い。
次に、情報処置装置100の構成について具体的に説明する。
情報処理装置100は、冷暖房機3の設定温度や環境情報(環境値)を取得するデータ取得部110と、消費エネルギーテーブル200のセルの値(消費電力)を算出する消費エネルギー計算部120と、消費エネルギーを一定期間で積算し、期間毎の消費電力を求める消費エネルギー積算部130と、消費エネルギーテーブル210に格納する消費電力を算出するための方程式(後述する)のパラメータ(変数)を算出する変数関係計算部140と、電力の消費状況などを表示する為の表示部150と、記憶部160と、を有している。記憶部160には、所定時間毎の環境情報を記憶させるデータテーブル200と、消費エネルギーテーブル210と、演算データテーブル220が記憶されている。
また、上記の消費エネルギーテーブル210は、複数のセルがマトリックス状の形成されており、各セルが環境情報の値に応じて割り当てられ且つ消費エネルギーの算出の基になる値(消費電力)が電力計5または消費エネルギー計算部によって格納されている。
そして、消費エネルギー積算部130が、データ取得部110が取得した所定時間毎の環境情報を用いて、その環境情報に対応する消費エネルギーテーブル210のセルの値を所定時間毎に積算していくことで、冷暖房機3が設置された環境変化に合わせた消費エネルギーの概算値を算出するようになっている。
また、情報処理装置100のハードウェア構成は、特に限定されないが、例えば、情報処理装置100は、CPU、メモリ(主記憶装置、補助記憶装置)、I/Оインターフェース、通信インターフェース等を備えたコンピュータ(1台或いは複数台のコンピュータ)により構成される。この場合、補助記憶装置には、「データ取得部110、消費エネルギー計算部120及び消費エネルギー積算部130」の機能を実現するためのプログラム(説明の都合上、第1プログラム)と、「変数関係計算部140の機能を実現するための人工知能プログラム」が記憶されている。
そして、データ取得部110、消費エネルギー計算部120及び消費エネルギー積算部130の機能は、CPUが、主記憶装置に前記第1プログラムを読み出して実行することにより実現される。また、変数関係計算部140の機能は、CPUが、主記憶装置に前記人工知能プログラムを読み出して実行することにより実現される。
同様に、表示部150もCPUが記憶部のデータ及び第1プログラムの結果に基づき、表示プログラムを読み出して実行する事で、ウェブブラウザーなどを通じて利用者が情報を参照する事が出来る。
また、メモリの所定領域には、データテーブル200及び消費エネルギーテーブル210と、演算データテーブル220が記憶されている。
以下、情報処理装置100の各構成部及びデータベース(データテーブル200、消費エネルギーテーブル210及び演算データテーブル220)の構成について説明する。
データ取得部110は、所定時間間隔(例えば、5分間毎)に、各冷暖房機3に対応する計測器(外気温度センサー1、室内温度センサー2、混雑検知センサー4、電力計5)から送信される環境情報(外気温度、室内温度、混雑状況、消費電力)を受信(取得)する。また、データ取得部110は、所定時間間隔(例えば、5分毎)に、各冷暖房機3の設定温度を受信(取得)する。
また、データ取得部110は、冷暖房機3毎に設けられたデータベースを備えたデータテーブル200に、時間帯(〇時〇分-〇時〇分)毎に「環境情報(外気温度、室内温度、混雑状況、設定温度)、消費電力」を関連付けて格納する。
なお、データテーブル200に登録されているデータについては、消費エネルギー(消費電力)の概算値を算出する処理で行われる、消費エネルギーテーブル210の各セルに格納する消費電力の算出や、変数関係計算部140が行う方程式(後述する)のパラメータ(変数)の算出に用いられる。
ここで、データテーブル200のデータ構成について、図2を参照しながら説明する。
データテーブル200は、冷暖房機3毎にテーブル形式のデータベースが設けられており、冷暖房機3毎のデータベースでは、時間帯(yn(〇時〇分-〇時〇分))毎に「環境情報(外気温度、室内温度、混雑状況、設定温度)、消費電力」を関連付けて格納できるようになっている。図示する例では、「冷暖房機3a」のためのデータベースを示しており、「10:00~10:05(y1)」の時間帯には、「外気温度(32.5℃)、室内温度(28℃)、設定温度(24℃)、混雑状況(60%)、その他(XX)、消費電力(1200W)」が登録されている。
なお、その他(XX)を登録するフィールドは、冷暖房機のファンスピードの設定情報が得られる場合や、冷暖房機3の設置エリアに、消費電力に影響を及ぼす特殊因子が有る場合に利用される。
また、消費電力に関して、BMS等のビル設備で冷暖房機3の個々の消費電力を取得できる場合や、各冷暖房機が独立して動作している場合に於いては、データテーブル200のように各冷暖房機のデータベースに消費電力は格納されるが、複数の冷暖房機に対する消費電力がまとめて取得される場合については、計測された消費電力は演算データテーブル220に格納される。
なお、時間帯(yn(〇時00分-〇時05分))毎の「環境情報(外気温度、室内温度、混雑状況、設定温度)、消費電力」については、データ取得部110が「環境情報(外気温度、室内温度、混雑状況、設定温度)、消費電力」を取得した時間が含まれる時間帯に、取得した「環境情報(外気温度、室内温度、混雑状況、設定温度)、消費電力」を関連付けてデータテーブル200に登録するようにしても良い。
或いは、データ取得部110が、1分毎に「環境情報(外気温度、室内温度、混雑状況、設定温度)、消費電力」を取得するような運用をする場合には、各時間帯において、取得した「環境情報(外気温度、室内温度、混雑状況、設定温度)、消費電力」の平均値を算出し、時間帯毎に平均値を関連付けてデータテーブル200に登録するようにしても良い。
演算データテーブル220に関しては、変数関係計算部140で人工知能計算を行う際の、基礎情報を格納する等、本実施形態の消費エネルギー算出システムに関わる様々な必要情報を紐づけ格納するデータテーブルである。
次に、消費エネルギー計算部120及び消費エネルギー積算部130の構成について説明する。消費エネルギー計算部120は、データ取得部110が取得した所定時間毎の環境情報(外気温度、室内温度、設定温度)を用いて、取得した環境情報に対応する消費エネルギーテーブル210のセルの値を算出し(算出方法は後述する)、算出に用いられた環境情報に割り当てられた消費エネルギーテーブル210のセルに算出した消費電力を格納する。
また、消費エネルギー積算部130は、所定時間毎の環境状況の変化に応じて、対応する消費エネルギーテーブルの消費電力を所定時間毎に積算していくことで、冷暖房機3が設置された環境変化に合わせた消費エネルギーの概算値を算出するようになっている。
次に、消費エネルギーテーブル210の構成について、図3を参照しながら説明する。
なお、図3は、本実施形態の消費エネルギー算出システムに設けられた消費エネルギーテーブル210のデータ構造の一例を示した模式図である。
図示するように、消費エネルギーテーブル210は、縦軸上部(図中の上部)に「0~15」、縦軸下部(図中の下部)に「0~-15」のメモリ(目盛り)を有し、且つ横軸右側部(図中に向かって右側部)に「0~15」、横軸左側部(図中に向かって左側部)に「0~-15」のメモリを有するマトリックス状の表テーブルになっている。
消費エネルギーテーブル210では、縦軸のメモリが室内温度から設定温度(冷暖房機3の設定温度)を引いた温度差を示しており、横軸のメモリが外気温度から設定温度(冷暖房機3の設定温度)を引いた温度差を示している。
また、消費エネルギーテーブル210は、上下に2つの表エリア210a、210bを持ち、上部の表エリア210aが冷房運転のときの消費エネルギーの算出に利用され、下部の表エリア210bが暖房運転のときの消費エネルギーの算出に利用されるようになっている。
また、本実施形態で対象としている冷暖房機3は、自動制御機能を有しており、設定温度以上、又は設定温度以下に室温を温めたり冷やしたりしない。そのため、図示する消費エネルギーテーブル210では、冷房運転のときに利用する上部の表エリア210aに下部が設けられておらず、暖房運転のときに利用する下部の表エリア210bに上部が設けられていない。
なお、万が一、室内温度が設定温度以上、又は設定温度以下に変化した場合、本実施形態の消費エネルギー算出システムは、「0」の行を利用するため、このような場合も問題なく消費エネルギーを算出することができる。
また、室内に熱源が無い限り、外気温度と設定温度の差は、室内温度と設定温度の差の上下限になる為、図中では、通常利用されない表部分を塗りつぶした表記(グレー表記)にしている。但し、グレー表記部分を利用しても差し支えは無い。また、外気温度と設定温度の差は、室内温度と設定温度の差が15℃以上になる場合は、+-15℃以上の数値を用意しておき、利用するようにすれば良い。
消費エネルギーテーブル210は、各センサー等から取得した環境情報(環境値)により該当するセルが特定され、特定されたセルの中に消費エネルギー等の冷暖房機3の動作に必要となるエネルギーが格納されることになる。なお、本セルの中の数値の本質は、該当する環境において冷暖房機3が室内の温度を調整するに抗う斥力エネルギーの値であり、それを消費電力として表すことも、また電気代として表すことも可能である。
冷暖房機3の設置される空間は、全ての空間に於いて比熱エネルギーが異なる。例えば、図1の冷暖房機3aの設置された部屋が、南側に位置し大きな窓があるとする。それに対し、図1の冷暖房機3bの設置された部屋は、北側に位置し窓がないと仮定する。この場合、冷暖房機3aの設置された部屋は天候と外気から温度上昇方向の影響を受けやすく、冷暖房機が部屋の温度を下げようとする力に抗う斥力エネルギーは、冷暖房機3bの設置された部屋のそれに比べ大きくなる。即ち、同じ冷暖房機が動作する、同じ環境温度状況下であったとしても、消費される電力量が大きく異なる事になる。上記例のように、空間毎に、冷暖房機3に対する斥力エネルギーはそれぞれ異なる事から、消費エネルギーテーブル210は、消費エネルギーを算出する空間毎に用意され、環境情報に応じた斥力値を該当セルに入れていく事が重要になる。
消費エネルギーテーブル210は、消費エネルギー計算部120の計算結果に基づき、消費電力が格納される構造になっているが、電力計5から冷暖房機3の所定時間毎の消費電力を個別に取得できる場合については、取得された消費電力と計算された計算結果は同じ値になる為、対応する環境情報(外気温度、室内温度、設定温度)に割り当てられた消費エネルギーテーブル210のセルに、結果として取得した消費電力が格納される。これは、消費電力は斥力エネルギーの反作用であり、消費エネルギー計算部120で計算された結果は、電力計5で計測される所定時間毎の消費電力と同値になるのが正しく、即ち斥力エネルギーとなるからである。
次に、消費エネルギーテーブル210のセルに格納される消費エネルギー(消費電力)の算出方法について、図4、5を参照しながら説明する。
ここで、図4は、本実施形態の消費エネルギー算出システムが行う消費エネルギーテーブルのセルに格納される消費電力の算出処理を説明するための模式図であり、(a)が所定時間(y1,y2,y3)に計測した環境情報を格納したデータテーブル200を示した表であり、(b)が消費エネルギー(消費電力)を算出する方程式を示した模式図であり、(c)が(b)に示す数式のパラメータの算出処理を説明するための模式図である。
また、図5は、図4に示した環境情報に示した消費電力と、消費エネルギーテーブルのセルの関係を説明するための模式図である。
図4(a)では、「10:00-10:05(y1)」に計測した環境情報と、「10:05-10:10(y2)」に計測された環境情報と、「10:10-10:15(y3)」に計測された環境情報とが例示されている。
例えば、図示する「10:00-10:05(y1)」の環境情報では、「外気温度と設定温度との差」が「9℃(小数点以下四捨五入)」、室内温度と設定温度との差が「4℃」になっている。この場合、冷暖房機3は冷房機能として動作(冷房運転)している事から、「y1」の環境情報の消費エネルギー(消費電力)の「1200W」は、図5の上部の表エリア210aのセルのうち、「外気温度-設定温度」が「9℃」であり且つ「室内温度-設定温度」が「4℃」のセルに格納される。
また、「10:05-10:10(y2)」の環境情報では、「外気温度と設定温度との差」が「9℃」、室内温度と設定温度との差が「2℃」になっている。この場合も、冷暖房機3は冷暖房機能として動作(冷房運転)している事から、「y2」の環境情報の消費エネルギー(消費電力)の「600W」は、図5の上部の表エリア210aのセルのうち、「外気温度-設定温度」が「9℃」であり且つ「室内温度-設定温度」が「2℃」のセルに格納される。
また、「10:10-10:15(y3)」の環境情報では、「外気温度と設定温度との差」が「10℃(小数点以下四捨五入)」、室内温度と設定温度との差が「0℃」になっている。この場合も、冷暖房機3は冷暖房機能として動作(冷房運転)している事から、「y3」の環境情報の消費エネルギー(消費電力)の「180W」は、図5の上部の表エリア210aのセルのうち、「外気温度-設定温度」が「10℃」であり且つ「室内温度-設定温度」が「0℃」のセルに格納される。
なお、外気温度は建物を温めたり冷やしたりする事から、消費エネルギーテーブル210では、横軸の外気温度と設定温度の差は中央の「0」の値から左右に離れるほど、冷暖房機3の温度調整に対するエネルギー斥力が増し、エネルギー消費が増加するようになっている。また、同様に、消費エネルギーテーブル210では、縦軸の室内温度と設定温度の差も、中央の「0」の値から上下に離れるほど、冷暖房機3のエネルギー消費が増加するようになっている。
すなわち、消費エネルギーテーブル210では、各セルのそれぞれの位置に該当する環境状況により、一定時間当たりに消費されるエネルギーの量が異なる事を示しており、それぞれのセルの位置における消費エネルギー値(消費電力)を状況変化と共に積算していくことで、一定時間に消費される消費電力を算出することができる。
次に、情報処理装置100の消費エネルギー計算部120が行う、「消費エネルギーテーブル210の各セルに割り当てて格納する、時間帯毎の消費電力を算出する処理」について説明する。
情報処置装置100の消費エネルギー計算部120は、下記の(式1)及び(式2)と、取得した環境情報(値)を用いて、消費エネルギー(消費電力)を算出する。
なお、消費エネルギー計算部120による、下記の(式1)及び(式2)を用いた冷暖房機3の消費電力の算出処理は、冷暖房機3が電力計5により所定時間毎の消費電力を計測できる場合については、既述の通り電力計5の数値と同値となる。
消費エネルギー計算部120で使う、(式1)及び(式2)の方程式は、ゴンペルツ方程式に特定の定数を加えたものである。また、(式1)が消費エネルギーテーブル210の「0行」のセル(室内温度と設定温度との差が0のセル)に格納する消費エネルギー値の算出に用いられる方程式であり、(式2)が消費エネルギーテーブル210の上記「0行」以外のセルに格納する消費エネルギー値の算出に用いられる方程式である。
Figure 0007477595000001
なお、消費エネルギーテーブル210のセルに格納する消費エネルギー(消費電力)は、実際の電力計(電力メータ)5から取得する値と同値に結果的になるものの、消費エネルギーテーブル210の各セルのうちのある部分のセルの値は電力計で計測できたとしても、刻一刻と変化する実環境下で全てのセルの値が計測できるわけでは無い。そのため、本実施形態では、情報処理装置100の消費エネルギー計算部120が、取得した環境情報と、上記の(式1)及び(式2)を用いて、消費エネルギーテーブル210の各セルの値(消費電力)を計算で求める事に重要な意義が存在する。
先ず、上記の(式1)の方程式について説明する。
上記の(式1)では、冷暖房機3が室内温度を設定温度に維持する為に利用される最大消費電力を「K」に代入する。これは即ち、図3の消費エネルギーテーブル210で説明すると、縦軸中央の「0行」の左右の端の値となる。
また、上記(式1)では、xが「外気温度と設定温度の差(外気温度-設定温度)」になっている。冷暖房機3が室内温度を設定温度に維持する為に利用される最大消費電力は、該当環境に於いてxが最大値となる場合の消費電力となる。「K」の値の算出に関しては、後程人工知能計算の部分で説明を行う。
また、上記の(式1)のAの値には、冷暖房機3の最小消費電力(最小消費電力値)が代入される。この冷暖房機3の最小消費電力は、一般的に冷暖房機3の仕様として表記されており、その表記された値を用いるのが良い。
また、上記の(式1)のαの値は、温度以外の要素、例えば、冷暖房機のファンスピードの設定が手動の場合、室内に温度を発生するような熱源がある場合、人の混雑が環境温度を上昇させている場合などにオフセットとして用いる変数である。
例えば、混雑検知センサー4の計測値に応じて、上述した(式1)の方程式の「α」の値を加減算することにより、人の増減による動的熱源を反映させるようにしても良い。
しかし、オフィスでは、実際には環境内の熱源や人の状況は都度大きく変化する事は少なく、また冷暖房機のファンスピードを手動で設定するようなオフィスも少ないため、ここでは、オフセットを用いらずに、熱源を含めて該当環境(室内温度、設定温度等の室内環境)により消費エネルギーを計算する。また、本実施形態では、αの値の詳細な内容に関しては定義しない。
室内温度が設定温度より変化した場合、冷暖房機3は待機状態より作動状態(機種により動作・呼び名は異なる)に移行し、消費電力が変化する事になる。上記の(式1)の計算式は、外気温度と室内温度の差それぞれの場合に、温度維持に利用される消費エネルギーの変化を表す式となる。但し、厳密にいえば、十分に短い時間で温度変化を計測した場合、実際、細かく温度は変化している。
しかし、本実施形態では、5分間隔、10分間隔等の有効な計測間隔を前提にしている事から、「温度維持の為の消費エネルギー(温度維持エネルギー)」という説明を行う。
また、上記の(式1)の温度維持エネルギーを計算する方程式のグラフは、図6に示すような形状になる傾向にある。図6のグラフは、縦軸(y軸)に消費エネルギー(消費電力値)、横軸(x軸)に外気温度と設定温度の差を持つグラフになっている。
図6に示すように、外気温度と設定温度との差が大きいほど、消費されるエネルギー量は大きくなっていく。これは、外気温度との差が大きいほど、室内温度が温め、或いは冷やされる時間が速くなる事から、冷暖房機3の作動状態が長くなるからである。
図6のグラフの傾きは、冷暖房機3の機種により様々であるが、比較的1次関数に近いグラフ形状になる傾向にあり、(式1)の変数(パラメータ)の「b及びc」でグラフ形状が決定される事になる。尚、b及びcの変数の適正範囲は一定の範囲に限定されている。
次に、上記(式2)の方程式について説明する。
上記(式2)の方程式は、冷暖房機3が室内温度を設定温度に変化させようと動作した場合に消費されるエネルギー計算に用いる計算式である。
上記(式2)の「A」の値には、上記(式1)の計算式の解の値、即ち、温度維持エネルギー計算の解が代入される。しかし、この「A」の値は、外気温度と設定温度の差毎に異なることから、消費エネルギーテーブル210の縦列毎に、(式2)の計算式は、異なる「A」の値を持つことになる。
また、上記(式2)では、「K」の値には、上記(式1)の方程式とは異なり、冷暖房機3の最大消費電力(最大消費電力値)を代入する。しかし前述の通り、上記(式1)が上記(式2)の「A」の値に代入され、加算されている事から、実際には最大消費電力から上記(式1)の「K」の値を除算した値がここには代入される。最大消費電力は、最小消費電力と同様、冷暖房機3の仕様として表記されているのが一般的であり、対象となる冷暖房機3の表記されている最大消費電力を用いれば良い。また、上記(式2)では、xが「室内温度と設定温度の差(室内温度-設定温度)」になっている。
また、上記(式2)の消費エネルギー(消費電力値)を計算する方程式のグラフは、図7に示すような形状になる。図7のグラフは、縦軸(y軸)に消費エネルギー(消費電力値)、横軸(x軸)に室内温度と設定温度の差を持つグラフになっている。
上述した図6のグラフが室内温度を設定温度に維持する場合の消費エネルギー変化を表したものであるのに対して、図7のグラフは、室内温度を設定温度に変化させる場合の消費エネルギー変化を表したものである。図7のグラフは、図6のグラフとカーブの傾きが異なり、室内温度と設定温度の差が少ない場合にはグラフの傾きが緩やかになり、ある温度差により急激に消費電力値が増加し、一定以上の温度差を超えると、再度、グラフの傾きが緩やかになる傾向を示す事が多い。
図7のグラフの傾きは、冷暖房機3の機種により様々であるが、(式2)の変数(パラメータ)の「b及びc」でグラフ形状が決定される事になる。また、b及びcの変数の適正範囲及は、上記(式1)同様ある一定の範囲に限定されている。
このように、本実施形態では、消費エネルギーテーブル210のそれぞれのセルの値を算出するために、上述した(式1)及び(式2)が利用される。また、図6、7に示すグラフは、各セルの縦、横の消費エネルギー値(消費電力)の変化の様子を示すグラフになる。即ち、本実施形態によれば、消費エネルギーテーブル210の各セルの値を、上述した(式1)及び(式2)に幾つかの固定値や環境情報を代入し計算して算出していくことができ、その後、各セルの値を積算することで消費エネルギーの概算値(推測地)を算出する事が可能になる。
例えば、情報処理装置100の消費エネルギー計算部120は、図1のオフィスAについて、所定時間毎に取得した環境情報と、上述した(式1)及び(式2)を用いて、所定時間毎の消費電力を算出する。また、消費エネルギー計算部120は、消費エネルギーテーブル210の対応するセルに算出した消費エネルギーを格納する。
その後、消費エネルギー積算部130は、消費エネルギーテーブル210を用いて、1日のセル値を積算することで得られた消費エネルギー(説明の便宜上、「推定消費エネルギー量」という)を算出する。
また、変数関係計算部140は、オフィスAの1日の実際の消費電力値(真値の消費エネルギー量)を取得することができれば、積算した「推定消費エネルギー量」と、取得した「真値の消費エネルギー量」とを照合することで、上述した(式1)及び(式2)の変数(b及びc)を逆算し、固定されていない変数(例えば、仮決めしている変数)の「b及びc」の組み合わせパターンの範囲を特定することが出来る。
なお、上記の1日の実際の消費電力量(真値の消費エネルギー量)を取得できない場合でも、消費エネルギーテーブル210のセルの値を月で計算し、計算した「推定消費エネルギー量」と、電気料金から算出可能な消費電力値とを照らし合わせれば(参照すれば)、「真値の消費エネルギー量」を取得できない場合でも有効となる。算出する「推定消費エネルギー量」の精度を高めるためには、幾度も参照を繰り返して、変数(パラメータ)の「b及びc」の値の範囲を絞り込んでいく事で、図6、7に示すグラフのカーブが徐々に特定されていき、消費エネルギー算出テーブル210の各セルのより精度の高い値を算出していくことが可能になる。
次に、上述した本実施形態の消費エネルギーの算出処理の一例について、上述した図4を参照しながら説明する。
図4(a)に示すデータテーブル200では、各センサーから計測値を5分毎に取得して登録されている。なお、計測する間隔は5分間隔である必要はなく、環境変化が頻繁に発生する場合には短い方が良い。なお、図4(a)には、5分毎の消費電力の値が示されているが、上述したように、実際には取得できなくても構わない。
図4(a)のデータテーブル200のデータは、環境情報が刻一刻と変化していくことから、時間単位毎に参照される、図3の消費エネルギーテーブル210の参照セルの位置も環境状況に応じて変化していくことになる。この時間単位毎に、図3の消費エネルギーテーブル210の参照セルの位置変化を表したのが図8になる(冷房動作時)。消費エネルギーテーブル210のセルの中には、本来、消費電力が格納されるのだが、図8では、一定時間毎に計測された環境値に該当するセルの1日の参照回数を示す数値を示している。消費エネルギー積算部130で、1日毎の消費電力を算出するのであれば、図8の各セルの値の数値回分、上述した(式1)及び(式2)に示す方程式(計算式)の解を積算する事で1日の消費電力が算出される事になる。尚、図4(b)はy1+y2+y3を消費エネルギー積算部130で積算していくイメージ図であり、図4(c)は変数関係計算部140が「推定消費エネルギー量」と、取得した「真値の消費エネルギー量」とを照合しているイメージ図となっている。
次に、上述した(式1)及び(式2)に示す方程式のパラメータ(変数)を特定する消費エネルギーテーブル算出人工知能に関する処理の説明を行う。
なお、パラメータ(変数)を特定する消費エネルギー算出人口知能の処理は、情報処理装置100の変数関係計算部140により行われる。
この変数関係計算部140よる処理は、情報処理装置100のCPUが人工知能プログラムを実行することにより実現される。
なお、説明の都合上、再度、上述した(式1)及び(式2)を示す。
Figure 0007477595000002
先ず、本実施形態の人工知能計算を行う前過程として、データ取得部110が、本システムの稼働対象とする冷暖房機3の、ある一定期間の消費電力を環境情報(値)と共に取得し、消費エネルギーテーブル210に格納する。2週間程のデータを格納する事が好ましいが、最悪の場合、消費エネルギーテーブルの0行(室内温度と設定温度の差が0の行)のセルの何れかの値が特定される程度でも良い。
また、上記(式1)のグラフ形状が図6のグラフのように1次方程式に近くなるよう、パラメータ(変数)の「b及びc」の初期値は予め変数関係計算部140に格納されている。例えば図6では、変数の「b」に「0.08」という値、変数の「c」には「0.2」の値を入れたグラフを示している。冷暖房機3はそのメーカ及び型式によって、動作のパターンは類似している事から、冷暖房機3の型番データより自動で「b及びc」の初期値を与えるようになっているのも効果的である。
次に、Aの値は前述したように冷暖房機3の仕様に示される最低消費電力の値になる事から、仕様に明記された最低消費電力値を演算データテーブル220に格納する。(上記(式1)の方程式の内のαオフセット値は人工知能計算の自動計算には用いない事から、今回の説明では省略する)
以上の前過程にて、消費電力の取得により特定されたセルの何れかの値と、初期値がセットされた上記(式1)を変数関係計算部140にて計算する事で、上記(式1)の「K」の値は初期値が導き出された状態になる。
前過程で消費エネルギーテーブル210の多くのセルの値が取得できている場合、より適切に「K」の値を仮決めする事が出来る。一方、どうしても前過程で消費電力を計測出来ない場合に関しては、冷暖房機3の仕様から「K」の値を推測し、仮の固定値を入力するのも許容である。ここでは「K」の値の正確性は必ずしも重要では無く、あくまで前過程で仮の初期値を得る事が重要となる。
次に変数関係計算部140は、初期値の幾つかを含んだ上記(式1)の方程式の解を、上記(式2)の方程式の「A」に代入し、上記(式2)の「K」の値に冷暖房機3の仕様に示される最大消費電力値より上記(式1)の「K」の値を除算した数値を代入する。但し、システム上、上記代入や除算は自動計算で行われる事から、実際には演算データテーブル220には冷暖房機3の仕様に示される最大消費電力値を入力する事となる。
以上より、上記(式1)及び上記(式2)のパラメータ(変数)のうち、未だ決まっていない変数は上記(式2)の「b及びc」の値に限定される。最後に、上記(式2)の「b及びc」の値を、上記(式1)同様、冷暖房機3の機種などの情報から初期値を定め、演算データテーブル220に格納する事で、本実施形態の人工知能計算を行う前過程となる処理は完了する。
上記説明を要約すると、前過程で実際に手動入力する必要のあるデータは、(式1)の「A」の値及び(式2)の「K」の値、即ち冷暖房機3の最小消費電力と最大消費電力となる。冷暖房機3に関するデータの蓄積がある場合は、冷暖房機3のメーカ及び型番を入れる事で、自動的に「A」「K」を入力させ、また(式1)(式2)の「b及びc」(説明の便宜上、「キー変数」という)の初期値を設定する仕組みを組み入れるのも良い。
次に、本実施形態の人工知能計算の方法を説明する。
本実施形態での人工知能計算とは、変数関係計算部140が上記キー変数の範囲を自動的にコンピューター計算にて絞っていく事である。BMSが導入されているような大規模なオフィスの場合、BMSより所定時間毎、冷暖房機3毎の消費電力を取得する事で、比較的短時間の内に上記キー変数を絞り込み、各環境に於ける消費エネルギーテーブル210のセルの値の精度を高める事が出来る。
一方、BMSが無く、複数の冷暖房機3が混在している状況下では、最悪の場合、電気料金を元に人工知能計算にて上記キー変数を絞る事になる。但し、その場合については、消費エネルギーテーブル210のセル値の精度を上げるには長い時間を要する事になる。
何れの場合に於いても、前述の通り、本実施形態での人工知能計算に必要となる計算要素は所定時間単位で得られる消費電力値となる。消費電力値が得られない場合については、電気料金が此れに置き換わる。但し、電気料金には多くの場合、OA機器又は照明の料金も含まれるが、本発明では冷暖房機3の消費電力を電気料金から特定する方法は限定しない。
また、所定時間単位で得られる消費電力値と比較計算される対象値は、その消費電力が示す該当冷暖房機3(複数の場合もある)に関する消費エネルギー積算部130にて同じ時間単位で積算された消費エネルギーテーブル210のセルの合計値となる。複数の冷暖房機3が該当する場合は、全ての冷暖房機3についての合計値になる。
例えば、月毎に消費電力量が得られる2機の冷暖房機3が同一消費電力内で稼働する環境での計算方法を例に上げ説明する。この場合、室外機も同一費電力内での稼働しており、冷暖房機3に関する消費電力量が特定できている事を前提とする。
先ずここで、前述前過程を経て、初期値を用い消費エネルギー計算部120が、消費エネルギーテーブル210の全てのセル値を計算し、セルの値が仮特定されている事が前提となる。
次に、消費電力量が月に一度得られたタイミングで演算データテーブル220に消費電力と電力計測期間を入力する。消費エネルギー積算部130では、前記入力された消費電力値の該当期間内の対象の2機の冷暖房機3のデータテーブル200をそれぞれ参照し、図5の例のように、それぞれデータの示す環境状況に対応する消費エネルギーテーブル210内のセルのデータを積算し、冷暖房機3毎の積算結果を合計する。
合計結果は、即ち演算データテーブル220に入力された消費電力値と一致しなければならない為、消費電力値を解とし(式2)の上記キー変数の範囲を特定し、範囲内の値に自動調整する。
自動調整の方法は、該当期間中の外気温度、室内温度、設定温度から特定される、消費エネルギーテーブル210の該当セルの推移を過去の月の推移と比較し、該当するセルの偏りと消費エネルギーの大小から、上記キー変数が調整され図7に示すグラフの形状が整えられていく流れとなる。
例えば、ある月の消費エネルギーテーブル210の環境情報が示す該当セルの推移が、前月より上方向への偏りを示し(図8に示す数値の偏り)、合わせて消費電力の消費が5%上昇している場合を仮定する。その場合であって、変数関係計算部140の比較計算で利用される、消費エネルギー積算部130で積算された値が、実際の消費電力より小さい値となった場合、図7のグラフ形状はより傾きを有したものに調整される事になる。
また、通常のオフィスでの利用の場合、消費エネルギーテーブル210の0行、即ち設定温度と室内温度が均衡した(温度維持エネルギー消費)状況が長く続く事になる為、過去より絞り込まれた(式2)の上記キー変数の範囲内で変数関係計算部140の計算が解を有しない場合が発生する。その場合、(式2)の上記キー変数は一旦維持され、(式1)の上記キー変数が調整される流れとなる。
前述例では、消費電力が月単位でしか得られない場合の比較的特殊な例を用いて本実施形態での人工知能計算の説明を示したが、実際にはBMSが導入されているオフィスや、電力計5の設置が許容されるオフィスも多い。
前例とは異なり環境情報が5分単位で取得され、同様に消費電力も5分単位で取得可能な状況にある場合については、変数関係計算部140での比較計算方法は同一手法になるものの、消費エネルギーテーブル210のセルの値は5分おきに特定され、おのずと図6、図7のグラフ形状も5分おきに変数関係計算部140にて補正されていく事になる。
上記のように、消費電力の計測単位、環境情報の取得単位に応じて、消費電力を予測する為の消費エネルギーテーブル210の各セルデータの正確性は異なる事になる。但し、いずれの場合に於いても、上記キー変数の補正に必要な期間は異なるものの、環境に応じた消費エネルギーの予測は可能になる。
尚、環境情報の取得周期と消費電力の取得周期が異なる場合は、消費エネルギーテーブル210の各セルの値は、計算式でしか特定されない。
しかし、上記周期が一致している場合については、同一セルに度々新しい値が格納される事になる。即ち、新しい計測値が前データに対して、どの程度乖離しているかも明確に取得する事が出来る。その場合、消費エネルギーの増加または軽減に寄与する新たなる環境要素が見つかる可能性も存在する。その場合は、上記(式1)のα値を利用し、より正確な消費電力の予測に繋げていく事が出来る。
また、オフィス室内に冷蔵庫等の熱源が多数ある場合でも、本実施形態の人工知能計算では、それを含んだ環境下での冷暖房機3に対する斥力エネルギーが導き出されていくため、熱源がある日突然撤去されるなどの環境の劇的変化がない限り、本実施形態は有効に作用する。
一日の環境状況の変化(外気温度、室内温度、設定温度)はデータテーブル200に収められている。ある一日の環境状況の変化と消費エネルギーの関係は図8の例のように、エネルギーテーブル210の該当シェルの動きで示す事が可能である。
即ち、前述の方法で消費エネルギーテーブル210の全てのセルの値の概算値が算出されれば、例えば、過去の時点において設定温度をどのように設定していれば、幾らの消費電力が削減できたのかのシュミレーションが可能になり、また、今後予想される環境変化について、どのように設定温度を設定すれば、消費電力が最小値に抑えられるのかを予め予想し運用する事が可能になる。同様に、それらの温度設定の運用を自動化する事も可能になる。
以上までが、本実施形態の消費エネルギー算出システムに関する説明となるが、本発明の目的は、ある環境における冷暖房機の消費電力を正確に計算する事に無い。様々な環境下で、環境特有のエネルギー消費傾向を消費エネルギーテーブル210及びそのエネルギーテーブルが示す図6及び図7などのグラフにより把握し、環境状況に応じてどのように冷暖房機を制御する事がエネルギー削減に効果的なのかを示す事にある。消費エネルギーテーブル210のセル値を利用し、冷暖房機を如何に自動温度制御するのが良いのか、また、それがどの程度の消費電力の削減に繋がるかを本発明では容易に予見し、冷暖房機制御の為の指標を得る事が可能になる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、消費エネルギー計算部120が、電力計5が計測した冷暖房機3の実際の消費電力と、データ取得部110が取得した「消費電力が計測されたときの環境情報(室内温度、設定温度、外気温度)」とを教師テータとし、その教師データを機械学習させた学習済みモデル(学習済み消費電力算出ディープラーニングモデル)により構成されていても良い。
この機会学習では、教師データを用いて、環境情報と消費電力とを結びつける、「温度維持エネルギー計算方程式(上述の(式1))」及び「温度変化エネルギー計算方程式(上述の(式2))」の変数(a、b)の関係を絞り込んで特定する。
なお、温度維持エネルギー計算方程式及び温度変化エネルギー計算方程式の変数(a、b)以外の係数(K、A)の特定方法は、上述した実施形態と同じである。
この構成によれば、消費エネルギー計算部120に、データ取得部110が取得した環境情報(室内温度、設定温度、外気温度)を入力すれば、消費エネルギー計算部120から環境情報に対応する消費電力が出力(算出)される。消費エネルギー計算部120は、算出に用いられた環境情報に割り当てられた消費エネルギーテーブル210のセルに出力された消費電力を格納すれば良い。
1…外気温度センサー
2、2a、2b…室内温度センサー
3、3a、3b…冷暖房機
4、4a、4b…混雑検知センサー
5、5a、5b…電力計

100…情報処理装置
110…データ取得部
120…消費エネルギー計算部
130…消費エネルギー積算部
140…変数関係計算部
150…表示部
160…記憶部
200…データテーブル
210…消費エネルギーテーブル
220…演算データテーブル

Claims (9)

  1. 自動制御機能を備えた冷暖房機の消費エネルギーの概算値を算出する情報処理装置を備えた消費エネルギー算出システムであって、
    前記情報処理装置は、
    前記冷暖房機が設置された建物内部及び外部の環境情報を取得するデータ取得部と、
    複数のセルがマトリックス状に形成されている消費エネルギーテーブルと、
    前記消費エネルギーテーブルのセルの値を算出する消費エネルギー計算部と、
    前記消費エネルギーテーブルのセルの値を積算し、前記冷暖房機の所定期間の消費エネルギーの概算値を算出する消費エネルギー積算部と、を有し、
    前記データ取得部は、所定時間毎に、前記環境情報として、少なくとも、前記冷暖房機が設置されている建物・内部の室内温度と、前記冷暖房機が設置されている建物・外部の外気温度と、前記冷暖房機の設定温度とを取得し、
    前記消費エネルギーテーブルの各セルは、前記外気温度と前記設定温度の差、及び前記室内温度と前記設定温度の差の両者に対応させて、前記冷暖房機が、設置されている建物の前記環境情報の値に対して温度を上昇又は下降させる動作に抗う斥力エネルギー値が格納されており、
    前記消費エネルギー積算部は、前記取得した所定時間毎の環境情報を用いて、該環境情報に対応する前記消費エネルギーテーブルのセルの値を所定時間毎に積算していくことで、前記冷暖房機が設置された環境変化に合わせた斥力エネルギー積算値を算出し、前記冷暖房機の消費エネルギーの概算値として前記算出した該斥力エネルギー積算値を出力するようになっていることを特徴とする消費エネルギー算出システム。
  2. 前記消費エネルギーテーブルは、外気温度と設定温度の差の値により特定される列と、室内温度と設定温度の差の値により特定される行とを有し、列と行とが交わる前記セルには前記斥力エネルギー値が格納されていることを特徴とする請求項1に記載の消費エネルギー算出システム。
  3. 前記消費エネルギーテーブルの各セルには、
    前記冷暖房機が電力計により所定時間毎の消費電力を計測できる場合、前記電力計により計測された前記冷暖房機の消費電力がそのまま斥力エネルギー値として格納され、
    前記冷暖房機が電力計により所定時間毎の消費電力を計測できない場合、前記冷暖房機によりパラメータ値が決定される斥力エネルギー計算方程式と、前記取得した環境情報とを用いて算出された斥力エネルギー値が格納されていることを特徴とする請求項2に記載の消費エネルギー算出システム。
  4. 前記消費エネルギー計算部は、前記消費エネルギー積算部が前記斥力エネルギー積算値を算出する処理の前処理として、前記斥力エネルギー計算方程式と、前記取得した環境情報とを用いて前記冷暖房機の斥力エネルギー値を算出し、該算出に用いられた前記環境情報に応じて割り当てられた前記消費エネルギーテーブルのセルに該算出した斥力エネルギー値を格納することを特徴とする請求項3に記載の消費エネルギー算出システム。
  5. 前記データ取得部は、前記環境情報として、前記室内の混雑状況、気象状況、湿度を含む環境要因を取得できるようになっており、
    前記斥力エネルギー計算方程式には、前記環境要因をオフセット値として設定できるようになっており、
    前記消費エネルギー計算部は、前記環境要因がオフセット値として設定された前記斥力エネルギー計算方程式を用いて前記斥力エネルギーを算出するようになっていることを特徴とする請求項4に記載の消費エネルギー算出システム。
  6. 前記消費エネルギー計算部は、
    前記室内温度と前記設定温度の差が0の場合に参照する前記セルについては、前記斥力エネルギー計算方程式として、x軸が外気温度と設定温度の差を示し且つy軸が斥力エネルギー値を示している第1のグラフ形状を形成するパラメータを持つ温度維持エネルギー方程式を用いて消費電力を算出し、
    前記外気温度と前記設定温度の差が0の以外の場合に参照する前記セルについては、前記斥力エネルギー計算方程式として、x軸が室内温度と設定温度の差を示し且つy軸が斥力エネルギー値を示している第2のグラフ形状を形成するパラメータを持つ温度変化エネルギー方程式を用いて消費電力を算出するようになっていることを特徴とする請求項4に記載の消費エネルギー算出システム。
  7. 前記第1のグラフ形状を持つ温度維持エネルギー方程式は、環境毎に異なる2つの変数と設定温度を維持するための最大消費電力値を使ったゴンペルツ方程式に、前記冷暖房機の最低消費電力値及びオフセットを加えた方程式であり、
    前記第2のグラフ形状を持つ温度変化エネルギー計算方程式は、前記温度維持エネルギー方程式の解、前記冷暖房機の最大消費電力値、及び前記2つの変数と異なる別の2つの変数により構成された方程式であることを特徴とする請求項6に記載の消費エネルギー算出システム。
  8. 前記温度維持エネルギー計算方程式及び前記温度変化エネルギー計算方程式の変数を特定する変数関係計算部を有し、
    前記変数関係計算部は、
    前記電力計により取得した前記冷暖房機の実際の消費電力と前記データ取得部が取得した環境情報を教師テータとして用い、前記環境情報と消費電力とを結びつける、前記温度維持エネルギー計算方程式及び前記温度変化エネルギー計算方程式の変数の関係を機械学習により絞り込んでいき、前記温度維持エネルギー計算方程式及び前記温度変化エネルギー計算方程式のそれぞれの変数を特定するようになっていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の消費エネルギー算出システム。
  9. 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の消費エネルギー算出システムを利用し、冷暖房機の設置された環境に対してエネルギー効率が良い設定温度を算出し、その設定温度を時間と共に自動的に変化させていく事で、適切な室内温度に自動制御を行うことを特徴とする冷暖房機自動制御システム。
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