JP7475518B1 - 熱特性推定装置、熱特性推定方法及び熱特性推定プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】ケーブル設置管を用いた布設方式の電力ケーブルにおけるケーブル導体の過渡状態の許容電流を精度良く推定する熱特性推定装置、熱特性推定方法及び熱特性推定プログラムを提供する。【解決手段】発熱量算出部102は、土壌の所定の深さに布設されたケーブル設置管内に引き入れられた電力ケーブル10に備わるケーブル導体11に流れる電流の電流値を基に、熱等価回路を用いて電力ケーブル10の発熱量を算出し、算出した前記発熱量をステップ関数の合成に近似する。解析対象管内温度算出部104は、電力ケーブル10の発熱量を基に、解析対象管内温度を算出する。土壌熱定数特定部107は、解析対象管内温度算出部104により算出された解析対象管内温度を基に、電力ケーブル10とケーブル設置管との間の領域の管内温度の理論解析値を算出し、管内温度の理論解析値と管内温度の実測値とを比較して、土壌の熱定数を特定する。【選択図】図4

Description

本発明は、熱特性推定装置、熱特性推定方法及び熱特性推定プログラムに関する。
都市や市街地などの送電鉄塔を新たに建てることが難しい地域では、地中送電方式を用いて需要者に電気が送られることが一般的である。地中送電方式では、電気を送るための電力ケーブルが地面に埋設される。電力ケーブルを地面に埋設することで、暴風雨、雪などの自然現象の影響を抑えて、安全且つ確実に電気を送ることができる。
このような地中送電方式には電線ケーブルの地面への埋設方法として、強化プラスチック等の管を用いて電力ケーブルを保護した状態で地面に埋設する管路布設方式が存在する。また、多数のケーブルを埋設する場合の埋設方法としては、洞道布設方式が存在する。例えば、管路布設方式では、道路地下2m程度の位置に管路が布設される。そして、200~500m程度の間隔で点検や回収といった作業用のマンホールが設置される。マンホール毎もしくはいくつかのマンホールを跨いで、電力ケーブルの接続部が設けられる。洞道布設方式では、地下10m程度より深い位置に直径2m程度以上のトンネルを構築し、その中に複数の電力ケーブルが布設される。以下では、管路及び洞道をまとめて、「ケーブル設置管」と呼ぶ場合がある。
管路布設方式や洞道布設方式の場合、電力ケーブルの増線や撤去を容易に行える半面、埋設した電力ケーブルからの発熱の周辺土壌への熱放散が難しい。電気を送る電力ケーブルは、例えば、中心に電気を送るケーブル導体が配置され、その周りに絶縁体、金属シース及び防食層等が設けられる。電力ケーブルではケーブル導体が主な発熱源となる。
ケーブル導体に流れる電流が変化すると、ケーブル導体の発熱が変化することでケーブル導体の温度は過渡変化する。ケーブル導体の温度は、ケーブル導体の発熱に応じて変化するが、電力ケーブルが地面に埋められている場合、地面の熱抵抗及び熱容量がケーブル導体の過渡温度変化に影響を与える。
ケーブル導体には、許容温度が設定されており、流すことが可能な電流(許容電流)は、許容温度により制限される。ケーブル導体の温度は、ケーブル導体を流れる電流値と、ケーブル導体周辺の伝熱体の熱定数に依存する。そのため、許容温度の範囲内となる電流値を求めるためには、電力ケーブル部及び土壌部の熱定数を正確に求めることが重要である。熱定数には、熱抵抗や熱容量が含まれる。ただし、土壌部の熱定数は、管路の経過地における地質や水分有無によって大きく異なり、正確な把握が困難である。
従来、過渡変化するケーブル導体の温度の計算方法として、熱等価回路を用いた計算が提案されている(非特許文献1及び3)。この方法では、熱等価回路の素子の値を求めることになる。
また、熱伝導方程式を解くことにより過渡変化するケーブル導体の温度を求める方法が提案されている(非特許文献2)。熱伝導方程式の解法の1つとして、指数積分関数による過渡温度変化の計算が存在する(非特許文献3)。また、発熱体を直線状の線状熱源として扱って、熱伝導方程式から指数積分関数を求める技術が提案されている(非特許文献4)。指数積分関数を用いて過渡温度変化を計算する方法では、発熱源である電力ケーブルが布設された管路や洞道を直線の線状熱源として取り扱い、地表面における境界条件を満足するように影像のマイナス熱源を考慮して解析式が導出される。
さらに、熱伝導方程式の他の解法として、偏微分方程式を解く数値解析手法である有限要素法(FEM:Finite Element Method)を用いて熱伝導方程式を解く手法が提案されている(特許文献1)。この手法では、具体的には、解析領域を微小要素に分割して求める温度を簡単な代数式により近似することで熱伝導方程式が解かれる。
なお、無限級数を解く方法として、ベッセル関数の近似式を用いる技術が提案されている(非特許文献5)。また、日射による土中温度変化を求める技術が存在する(非特許文献6)。
特開2002-107234号公報
中挟俊明,内田啓二,清野義信,一柳直義,井上哲夫,柴田恵一,岩田善輔:「洞道温度の計算方法」, 昭和60年電気学会全国大会, No. 1384, pp.6-7(1985) H.S.Carslaw, J.C.Jaeger "CONDUCTION OF HEAT IN SOLIDS", CLARENDON PRESS OXFORD, 1959 日本電線工業会(JCMA) ,「66kV以上電力ケーブルの許容電流計算」,日本電線工業会(JCMA) ,平成14年12月制定 電気協同研究会53-3,「地中送電線路の送電容量設計」,一般社団法人 電気協同研究会,平成10年 William H. Press, Saul A. Teukolsky et.al. "Numerical Recipes in Fortran 77 The Art of Scientific Computing Second Edition", Cambridge University Press, September 1992 小平吉男,「物理数学第二巻」(復刻版),文献社,1971
しかしながら、熱等価回路を用いてケーブル導体の温度を計算する(例えば、非特許文献2及び3)としても、土壌部の熱流は地表面に対して垂直に交わる分布となるため、熱等価回路の素子の値を正確に求めるためには、結局のところ固体中の熱伝導現象を支配する熱伝導方程式を解くことが求められる。この点、熱伝導方程式を直接解く方法では、計算が複雑であり実際に解くことは困難である。例えば、非特許文献1には、グラフに基づき熱等価回路の近似することは記載されているが、グラフを生成するための熱伝導方程式の具体的な解き方が記載されていないため、実際に熱伝導方程式を解くことは困難である。また、ベッセル関数を用いた近似(例えば、非特許文献5)では、ケーブル導体の温度計算は考慮されておらず、ケーブル導体の温度計算についての熱伝導方程式を容易に解くことは困難である。
また、熱伝導方程式の解法として指数積分関数を用いる場合(例えば、非特許文献3及び4)、計算上では管路内や洞道内からの発熱を線状の発熱として計算するため、実際の管路や洞道の形状との相違が存在し、本質的な誤差が発生するおそれがある。また、この解法により導出される管路内や洞道内からの発熱量の過渡温度変化の計算式は、熱拡散係数を一般的な値とした場合、実際の管路や洞道の半径において時間が短い領域では発散状態となる。したがって、この解法は、時間が十分大きい場合には適用できるが、過渡温度変化として重要な初期の期間についての検討に適用することが不可能な場合がある。
また、熱伝導方程式の解法としてFEMを用いる場合(例えば、特許文献1)、大きく広がる土壌中にある管路内や洞道内からの発熱による土壌温度の変化を解析する場合、解析時間、解析精度及び費用等が問題となる。FEMを解くにあたり汎用ソフトを使用することができるが、FEMを解くための汎用ソフトは一般的に高価である。また、解析領域を微小要素に分割することから、モデリングを行うために手間や費用が掛かる。この手法では微小要素を小さくするほど解析精度は向上するが、それに反して解析時間が長くなる。そのため、高い精度を得るために微小要素を極端に小さくすることは現実的でない。また、解析精度は微小要素の大きさに依存するため、微小要素を大きくした場合、解析精度の信頼性が下がってしまう。加えて、この手法の原理上の問題として境界条件が存在する。温度を解析する場合、解析領域の境界条件を与える必要があるが、FEMでは、温度値もしくは温度の空間微分値により境界条件が与えられる。しかし、土壌中に計算領域を適当に区切った場合、地表以外の境界については原理的に境界条件の設定が困難である。
また、日射による土中温度変化の算出方法(例えば、非特許文献6)を用いても、ケーブル導体の発熱による影響は推定できず、土壌の温度変化を計算することは困難である。
まとめると、熱等価回路を用いる従来技術では、従来は熱伝導現象を支配する熱伝導方程式を解くことが上述のように困難であるため、ケーブル導体の温度を容易に精度良く推定することは困難である。特に、非特許文献3のように管路及び土壌部分の温度変化の時定数の逆数が0.03とされている場合には以下の様な問題がある。温度変化の時定数は、土壌部分の熱抵抗と熱容量によって決まり,熱抵抗は「ケネリー式」にて正確に計算できる。したがって温度変化の時定数が与えられると熱容量を求めることができるが、土壌の熱容量は管路や洞道の埋設深さや土壌の熱定数に依存し、一律に決まるものではない。土壌部分の温度変化の時定数は、あくまでも想定値でしかない。以上のことから、この技術を用いても、ケーブル導体の温度を容易に精度良く推定することは困難である。また、指数積分関数は、管路や洞道を直線の線状発熱体と扱って、熱伝導方程式から導いた式であり、線状発熱体と扱っていることによる本質的誤差が存在し、また式の性質上計算が発散する領域がある。そのため、指数積分関数を用いる従来技術では、ケーブル導体の温度を容易に精度良く推定することは困難である。また、有限要素法を用いる技術では、上述のように精度と手間のトレードオフや境界条件の設定の困難さ等から、ケーブル導体の温度を容易に精度良く推定することは困難である。以上のように、従来のケーブル導体の温度の推定技術のいずれを用いても、管路布設方式や洞道布設方式といったケーブル設置管を用いた布設方式の電力ケーブルにおけるケーブル導体の温度を容易に精度良く推定することは困難である。
すなわち、従来の技術では、管路や洞道といったケーブル設置管周辺の土壌の熱定数(土壌の固有熱抵抗と土壌の熱拡散係数)を正確に推定することは困難であり、土壌の熱定数から算出されるケーブルの過渡状態の許容電流を正確に求めることは困難であった。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、ケーブル設置管を用いた布設方式の電力ケーブルにおけるケーブル導体の過渡状態の許容電流を精度良く推定する熱特性推定装置、熱特性推定方法及び熱特性推定プログラムを提供することを目的とする。
本願の開示する熱特性推定装置、熱特性推定方法及び熱特性推定プログラムの一つの態様において、発熱量算出部は、土壌の所定の深さに布設されたケーブル設置管内に引き入れられた電力ケーブルに備わるケーブル導体に流れる電流の電流値を基に、熱等価回路を用いて前記電力ケーブルの発熱量を算出し、算出した前記発熱量をステップ関数の合成に近似する。解析対象管内温度算出部は、前記電力ケーブルの発熱量を基に、前記発熱量による前記ケーブル設置管内の温度変化を示す解析対象管内温度を算出する。土壌熱定数特定部は、前記解析対象管内温度算出部により算出された前記解析対象管内温度を基に、前記電力ケーブルと前記ケーブル設置管との間の領域の管内温度の理論解析値を算出し、前記管内温度の理論解析値と管内温度の実測値とを比較して、土壌の熱定数を特定する。
1つの側面では、本発明は、ケーブル設置管を用いた布設方式の電力ケーブルにおけるケーブル導体の過渡状態の許容電流を精度良く推定することができる。
図1は、管路布設構造の概要を示す図である。 図2Aは、実施例に係る管路内部の一例を示す図である。 図2Bは、洞道布設構造の概要を示す図である。 図3は、電力ケーブルの断面図である。 図4は、実施例に係る熱特性推定装置のブロック図である。 図5は、電力ケーブルに対応する熱等価回路の一例を示す図である。 図6は、影像法による管路内温度解析の概要を示す図である。 図7は、管路に流れだす発熱量のステップ関数への変換を示す図である。 図8は、ベッセル関数の近似式にあたるプログラムの一例を示す図である。 図9は、土壌の熱定数の推定及び許容電流値の算出処理のフローチャートである。 図10は、熱特性推定装置のハードウェア構成図である。
以下に、本願の開示する熱特性推定装置、熱特性推定方法及び熱特性推定プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示する熱特性推定装置、熱特性推定方法及び熱特性推定プログラムが限定されるものではない。以下では、ケーブル設置管を用いた布設方式として主に管路布設方式を例に説明する。
図1は、管路布設構造の概要を示す図である。管路布設では、地中のマンホール3の間を繋ぐように管路1が地中に埋設され、管路1内にケーブルが引き入れられる。そして、ケーブルは、例えば、マンホール3の部分において接続部2を用いて他のケーブルに接続される。マンホール3の間の距離は、例えば、200~500m程度である。管路1は、例えば、地下2m程度の深さに埋められる。
図2Aは、実施例に係る管路内部の一例を示す図である。管路1の内部には、電力ケーブル10が通される。電力ケーブル10は、ケーブル導体11を含む。ケーブル導体11により送電が行われる。
また、本実施例に係る管路布設では、管路1の内側の電力ケーブル10の外表面に、光ファイバ型等の温度センサ20が配設される。光ファイバ型等の温度センサ20を、管路1の端部から棒等で電力ケーブル10と管路1との空隙に設置して、管路1の長手方向に配置される。
図2Bは、洞道布設構造の概要を示す図である。洞道布設では、直径2m程度以上のトンネル300の中に立金物303に取り付けられた受金物304がケーブル棚として設置され、その受金物304の上に電力ケーブル302が布設される。また、受金物304には、他にも通信ケーブル301等も敷設されてもよい。また、トンネル300内には通路305等も設けられる。トンネル300や通路305を合わせて洞道と呼ばれる。また、トンネル300は、例えば、地下10m程度より深い位置に構築される。また、洞道布設では、トンネル300の内壁壁表面に温度センサ306が配設される。
図3は、電力ケーブルの断面図である。図3に示すように、電力ケーブル10には、ケーブル導体11が通っている。そして、ケーブル導体11の周りは、外部に電気を通さないために絶縁体12で覆われる。絶縁体12の外側には、金属シース13が配置される。金属シース13は、絶縁体の中の電界を平均化する。さらに、金属シース13の外側には、電力ケーブル10の内部を保護する防食層14が設けられる。
図4は、実施例に係る熱特性推定装置のブロック図である。熱特性推定装置100は、電力ケーブル10が埋設された土壌の熱特性を推定し、その場所におけるケーブル導体11の許容電流値を算出する。
以下に、図4を参照して、熱特性推定装置100による土壌の熱特性の算出及び許容電流値の算出の詳細について説明する。熱特性推定装置100は、図4に示すように、電流値取得部101、発熱量算出部102、入力部103、解析対象管内温度算出部104、出力部105、日射管内温度算出部106、土壌熱定数特定部107及び許容電流値算出部108を有する。
電流値取得部101は、ケーブル導体11を流れる電流値を取得する。電流値取得部101は、ケーブル導体11を流れる電流を計測しても良いし、ケーブル導体11を用いた送電を行う変電所等から電流値を取得してもよい。電流値取得部101、取得したケーブル導体11を流れる電流値を発熱量算出部102へ出力する。
発熱量算出部102は、電力ケーブル10を図5に示す熱等価回路に近似する。図5は、電力ケーブルに対応する熱等価回路の一例を示す図である。ケーブル部200が電力ケーブル10に相当し、ケーブル部200の外側が土壌部にあたる。電力ケーブル10では熱流分布がほぼ放射状となるため、ケーブル部200は熱等価回路への近似が可能である。
ケーブル部200におけるQcは導体損(W/m)であり、Qdは誘電体損(W/m)であり、PsQcはシース損失(W/m)である。また、Qは、電力ケーブル10から流れ出す熱量であり、電力ケーブル10の発熱量にあたる。
また、Ra=Rb=(R1)/2であり、R1は絶縁体12の内層の熱抵抗(Km/W)、R2は絶縁体12の外層の熱抵抗(Km/W)である。また、Rc=R2+R3であり、R2は防食層14の熱抵抗(Km/W)であり、R3は表面放散熱抵抗(Km/W)である。
また、Caはケーブル導体11近傍の熱容量(J/Km)であり、熱量はqaである。Cbは絶縁体12近傍の熱容量(J/Km)であり、熱量はqbである。Ccは金属シース13及び防食層14近傍の熱容量(J/Km)であり、熱量はqcである。
また、TAはケーブル導体11の温度であり、TDは管路内温度である。発熱量算出部102は、TDの値として、管路1内の温度の実測値を用いることもできる。洞道の場合であれば、TDは洞道内温度であり、TDは洞道内の温度の実測値を用いることもできる。TAの初期値は、例えば、TDより高い温度に設定される。
発熱量算出部102は、ケーブル導体11を流れる電流値及び温度条件等から、Qc、Qd及びPsQcを算出する。Qcはケーブル導体温度TAによって変化するため、発熱量算出部102は、最初にケーブル導体温度TAの初期値を用いてQcを算出する。次に、発熱量算出部102は、このQcとTDを用いて、ケーブル部の熱等価回路によってTAを計算して、新たなQcを計算する。発熱量算出部102は、以上の計算を繰り返してQcを定める。次に、発熱量算出部102は、Raを流れる熱流ia、Rbを流れる熱流ib及びRcを流れる熱流icを算出する。
熱流icはQに一致するので、これにより、発熱量算出部102は、電力ケーブル10から流れ出す熱流である電力ケーブル10の発熱量Qを算出できる。その後、発熱量算出部102は、算出した発生熱の値を解析対象管内温度算出部104へ出力する。
解析対象管内温度算出部104は、土壌の熱容量を考慮した等価的な熱抵抗Rdを算出するための次の数式(1)を保持する。
Figure 0007475518000002
ここで、νは、管路1及び周辺土壌の温度(K)である。rは、発熱中心である管路1の中心から計算点までの距離である。r’は管路1の影像の中心から計算点までの距離である。tは、時間である。Qは、電力ケーブル10からの単位長さ、単位時間あたりの全発熱量であり一定値である。gは、土壌固有熱抵抗であり、g=1/λと表され、この場合のλは土壌熱伝導率である。aは管路半径(m)である。uは積分変数である。kは、熱拡散係数であり1/(cρg)である。ρは土壌の密度であり、cは土壌の比熱であり、土壌の熱容量を決める定数である。
ここで、数式(1)について説明する。無限大に広がった土壌内にある半径aの直線状の円柱形の空隙を管路1として、この中に布設された電力ケーブル10からの一定発熱qによる周辺土壌のr点(r≧a)の過渡温度変化をνとする。例えば、洞道の場合であれば、円柱形の空隙が洞道にあたる。円筒座標系において、温度変化は半径方向rで発生し、管路1の長手方向及び管路中心に対する回転方向の温度変化は考慮しない条件とすると、熱伝導方程式は次の数式(2)で表される。
Figure 0007475518000003
管路1内の発熱量Qを一定値とする条件において、管路中心からr点(r≧a)の土壌部分の温度νは、土壌の初期温度を零とすると次の数式(3)により求められる。rは温度の計算点にあたる。
Figure 0007475518000004
ここで、J及びJは、第1種ベッセル関数であり、次の数式(4)により定義される。
Figure 0007475518000005
また、Y及びYは、第2種ベッセル関数であり、次の数式(5)により定義される。数式(5)のφは、ディガンマ関数である。
Figure 0007475518000006
実際の管路1や洞道は地表面がある半無限の土壌内に布設されるため、地表面を等温度面とする境界条件を満足させるように、図6に示すように影像の重ね合わせの原理により次の数式(6)により算出される。これは、図6は、影像法による管路内温度解析の概要を示す図である。図6における管路201が計算対象となる管路1であり、管路201を含む管路群202が実際に布設された管路1を示す。また、管路群203は、管路群201に含まれる各管路1の影像を表す。さらに管路群201及び202に含まれる各管路1に記載したQ1及びQ2は、発熱量である。管路群202は、地表面の温度を等温度にするための影像であるので、発熱量は負の値となる。図6に示すように、管路1が複数存在する場合には、特定の管路1での管路内温度の変化は各管路1とその影像との影響の重ね合わせとなる。洞道は通常単独で構築されるため、温度解析における洞道での洞道内温壁温度の変化は、単独の洞道とその影像との重ね合わせとなる。図6の20に示す計算点は、土壌熱定数特定部107において温度センサ20により実測値と比較するため、管路1のセンサ近傍の管路1や洞道内面に設定する。
Figure 0007475518000007
数式(6)の両辺を発熱量Qで除算することで、土壌の熱容量を考慮した等価的な熱抵抗Rdを示す数式(1)が求められる。このように、数式(1)は、熱伝導方程式である数式(2)を解析的に解いた式である。
解析対象管内温度算出部104は、発熱量算出部102により算出された発熱量Qを取得する。そして、解析対象管内温度算出部104は、上述のように導出される数式(1)と発熱量Qとを用いて、以下のように解析対象管路内温度を算出する。洞道の場合、解析対象管内温度算出部104は、数式(1)と発熱量Qとを用いて洞道内壁温度を算出する。この解析対象管路内温度及び洞道内壁温度が解析対象管路内温度の一例にあたる。
図7は、管路に流れだす発熱量のステップ関数への変換を示す図である。ケーブルの発熱量はケーブル導体の電流が変化すると変化する。また、ケーブル導体11の発熱量が図7のグラフ211で示されるように、例えば時間t=0から発生した後に一定であっても、電力ケーブル10の熱容量及び熱抵抗の影響を受けて、電力ケーブル10から管路1へ流れ出す熱流はグラフ212のように過渡変化を有する。洞道の場合も、電力ケーブル10から洞道へ流れ出す熱流はグラフ212と同様に過渡変化を有する。
ここで、数式(1)は、発熱量Qが一定である条件の元で成り立つ式である。そこで、解析対象管内温度算出部104は、グラフ212に示されるような変化を有する状態の電力ケーブル10からの熱流を、グラフ213に示されるようなステップ関数220の重ね合わせとして近似する。
そして、解析対象管内温度算出部104は、各ステップ関数220で示される発熱量に対して数式(1)を用いて解析対象管路内温度を算出する。洞道の場合であれば、解析対象管内温度算出部104は、各ステップ関数で示される発熱量に対して数式(1)を用いて洞道内壁温度を算出する。ここで、数式(1)は、数式(4)及び(5)に示すように無限級数を含むため、手を加えず方程式をそのまま解いた場合には膨大な時間がかかってしまう。そこで、解析対象管内温度算出部104は、ベッセル関数の近似式を用いて数式(1)を解く。
図8は、ベッセル関数の近似式にあたるプログラムの一例を示す図である。プログラム230は、ベッセル関数Jの近似式を表す。ベッセル関数J、Y、Yについても同様に近似式にあたるプログラムが存在する。これらのプログラムは、従来から大型コンピュータに広く使用されていたプログラム言語に組み込まれた近似式であり十分な精度を有している。例えば、解析対象管内温度算出部104は、特定の発熱量に対して数式(1)を解く場合に、図8に示すようなプログラムを用いてベッセル関数の部分を近似的に計算して数式(1)を解く。図8に示すようなベッセル関数の近似式は、普通の代数式であり、一般的なコンピュータで容易に計算可能である。
ここで、数式(1)が「熱伝導方程式を解析的に解いた式」の一例にあたる。また、図8に示したプログラムにより実施される計算式が「ベッセル関数の近似式」の一例にあたる。すなわち、本実施例に係る熱特性推定装置100は、熱伝導方程式を解析的に解いた式を、ベッセル関数による近似式を用いて計算するという特徴を有する。
その後、解析対象管内温度算出部104は、算出した解析対象管路内温度の情報を土壌熱定数特定部107へ出力する。洞道の場合であれば、解析対象管内温度算出部104は、洞道内温壁温度の情報を土壌熱定数特定部107へ出力する。
図1に戻って説明を続ける。日射管内温度算出部106は、日射による管路1の内部の温度変化を計算するための次の数式(7)を有する。数式(7)は、洞道の場合も同様に使用可能である。
Figure 0007475518000008
ここで、日射による地中の温度変化を表す数式(7)について説明する。地表面から地中に向かうx軸において、地表面をx=0とする。そして、土壌は、地表面から深さ方向x=+∞として、x軸の直交方向には無限に広がっているとする。日射による熱は地表面から垂直に流れると考えると、土壌内の温度変化を表すuは、x方向の熱伝導方程式である次の数式(8)で表される。
Figure 0007475518000009
θは、日射による地中の温度(K)である。xは、地表面からの深さである。tは、時間である。gは、土壌固有熱抵抗であり、g=1/λ(λ:土壌熱伝導率)である。kは、熱拡散係数であり、k=1/(cρg)である。ρは、土壌の密度であり、cは、土壌の比熱である。
ここで、地表面(x=0)の温度が次の数式(9)にしたがって周期的に変動するものとする。
Figure 0007475518000010
この時、深さxにおける地中温度は次の数式(10)により算出される。
Figure 0007475518000011
ここで、地表面(x=0)の温度が数式(11)の多項の和にて変動するものとする。
Figure 0007475518000012
この場合、土壌深さxにおける地中温度は上述した数式(7)により算出可能である。ここで、数式(7)及び(11)におけるA、A、A、A、n、n、n、ε、ε、εは地表温度の実測値から設定される。例えば、数式(11)で求められる地表面温度の計算値と地表面温度の実測値とを比較する等して、A、A、A、A、n、n、n、ε、ε、εの値が決定される。
日射管内温度算出部106は、数式(7)及び(11)におけるA、A、A、A、n、n、n、ε、ε、εの設定された値の入力を入力部103から受ける。そして、日射管内温度算出部106は、保持する数式(7)及び入力されたデータを用いて、計算対象の管路201の位置の日射管路内温度を算出する。この日射管路内温度が、「管内温度」の一例にあたる。その後、日射管内温度算出部106は、算出した日射管路内温度を土壌熱定数特定部107へ出力する。
土壌熱定数特定部107は、解析対象管路内温度の情報の入力を解析対象管内温度算出部104から受ける。また、土壌熱定数特定部107は、日射管路内温度の入力を日射管路内温度算出部106から受ける。そして、土壌熱定数特定部107は、解析対象管路内温度と日射管路内温度とを合計することで重畳して管路内温度の理論解析値を算出する。洞道の場合であれば、土壌熱定数特定部107は、洞道内温壁温度と日射による洞道内温度とを合計することで重畳して洞道内壁温度の理論解析値を算出する。
次に、土壌熱定数特定部107は、温度センサ20により測定された管路内温度の実測値を取得する。そして、土壌熱定数特定部107は、管路内温度の理論解析値と実測値とを比較する。洞道の場合であれば、土壌熱定数特定部107は、洞道内壁温度の理論解析値と温度センサ20により測定された洞道内壁温度の実測値とを比較する。
理論解析値と実測値との間に誤差がある場合、土壌熱定数特定部107は、数式(1)及び(7)における土壌の固有熱抵抗g及び熱拡散係数kを変化させて、理論解析値と実測値との間に誤差をなるべく小さくする土壌の固有熱抵抗g及び熱拡散係数kを特定する。この土壌の固有熱抵抗gが土壌の熱定数のうちの土壌熱抵抗にあたり、土壌の熱拡散係数k=1/(cρg)の内、土壌の比熱c、土壌の密度ρが土壌の熱定数のうちの土壌熱容量を定める。その後、土壌熱定数特定部107は、算出した土壌の固有熱抵抗gと土壌の熱拡散係数kを許容電流値算出部108へ出力する。
許容電流値算出部108は、土壌の固有熱抵抗g及び熱拡散係数kの情報の入力を土壌熱定数特定部107から受ける。次に、許容電流値算出部108は、管路中心からの距離rにおける温度を示す数式(6)に、土壌熱定数特定部107により特定された土壌の固有熱抵抗g及び熱拡散係数kの値を代入して、ケーブル導体11の上限温度となる許容電流値を算出する。例えば、上限温度が90℃の場合、許容電流値算出部108は、数式(6)と熱等価回路とを用いて90℃となる発熱量Qを求め、その求めた発熱量Qとから許容電流値を算出する。その後、許容電流値算出部108は、算出した許容電流値を出力部105に通知する。
ケーブル設置管の埋設深さが深い場合は、土壌の熱容量が大きくなりケーブル設置管内温度の過渡変化の時間が長くなるため、土壌の熱容量を考慮した等価的な熱抵抗Rdを用いて計算した電流値を、ケーブルの許容電流値にて運用することができる。
出力部105は、モニタなどの表示装置を有する。出力部105は、推定対象の電力ケーブル10のケーブル導体11における許容電流値の通知を許容電流値算出部108から受ける。そして、出力部105は、推定対象の電力ケーブル10のケーブル導体11における許容電流値を表示装置に表示する等してユーザに通知する。
ここで、以上の説明では、マンホール3の間を結ぶ1つの管路1に収容される電力ケーブル10について土壌の熱定数の推定及び推定した土壌の熱定数を用いた許容電流値の算出を説明した。ここで、土壌の熱定数は管路1が埋設された場所によって異なる。そこで、例えば、マンホール3の間毎に光ファイバ型等の温度センサ20を配置して、熱特性推定装置100に、管路内温度の実測値をそれぞれから収集させて、マンホール3間毎に土壌の熱定数の推定及び許容電流値の算出を行わせることが好ましい。他にも、土壌の状態が異なると考えられる範囲毎に光ファイバ型等の温度センサ20を配置したりして、熱特性推定装置100に、それぞれの場所の土壌の熱定数の推定及び許容電流値の算出を行わせてもよい。
このように、熱特性推定装置100は、コンピュータにより熱伝導方程式を解析的に解いた式を、ベッセル関数の近似式を用いて計算し、その計算結果を基に管路内温度の理論解析値を算出する。そして、熱特性推定装置100は、算出した理論解析値と温度センサ200で計測した実測値とを比較して、土壌の熱定数を推定する。そして、熱特性推定装置100は、推定した土壌の熱定数を用いてケーブル導体11の許容電流値を算出する。すなわち、熱特性推定装置100は、従来は計算が困難であった土壌の熱定数に関する熱伝導方程式の解法を容易にしたうえで、その熱伝導方程式から得られる理論値と実測値とから土壌の熱定数を推定してケーブル導体11の許容電流値を算出するという技術的思想を有する。
図9は、土壌の熱定数の推定及び許容電流値の算出処理のフローチャートである。次に、図9を参照して、本実施例に係る熱特性推定装置100による土壌の熱定数の推定及び許容電流値の算出処理の流れを説明する。
電流値取得部101は、推定対象である電力ケーブル10に備わるケーブル導体11に流れる電流値を取得する(ステップS1)。
発熱量算出部102は、電流値取得部101からケーブル導体11に流れる電流値を取得する。そして、発熱量算出部102は、電力ケーブル10を熱等価回路に近似して、電力ケーブル10から管路1及び土壌に流れ出す熱流を計算して、電力ケーブル10の発熱量を算出する(ステップS2)。
解析対象管内温度算出部104は、発熱量算出部102により算出された発熱量の時間変化をステップ関数220の重ね合わせに近似する(ステップS3)。
次に、解析対象管内温度算出部104は、変化する電力ケーブル10の発熱量を近似したステップ関数に対して数式(1)を用いて解析対象管路内温度を算出する。この数式(1)の解法において、解析対象管内温度算出部104は、ベッセル関数の近似式を用いて解析対象管路内温度を算出する(ステップS4)。ここで、洞道の場合であれば、解析対象管内温度算出部104は、数式(1)及びベッセル関数の近似式を用いて洞道内温度を算出する。
入力部103を用いて、数式(7)及び(11)におけるA、A、A、A、n、n、n、ε、ε、εが地表面の温度実測値から設定される。日射管内温度算出部106は、設定された値の入力を入力部103から受ける。そして、日射管内温度算出部106は、取得した値を数式(7)に代入して日射管路内面温度を算出する(ステップS5)。
土壌熱定数特定部107は、解析対象管路内温度と日射管路内温度とを重畳して、管路内温度の理論解析値を算出する(ステップS6)。ここで、洞道の場合であれば、土壌熱定数特定部107は、洞道内壁温度と日射管路内温度とを重畳して、洞道内温度の理論解析値を算出する。
次に、土壌熱定数特定部107は、管路内温度の実測値を推定対象の管路1内に設置された温度センサ20から取得する(ステップS7)。洞道の場合であれば、土壌熱定数特定部107は、洞道内温度の実測値を洞道内壁に設置された温度センサから取得する。
次に、土壌熱定数特定部107は、管路内温度の理論解析値と実測値とを比較して、誤差がなるべく小さくなるように土壌の固有熱抵抗及び熱拡散係数を特定する(ステップS8)。洞道の場合であれば、土壌熱定数特定部107は、洞道内温度の理論解析値と実測値とを比較する。
許容電流値算出部108は、土壌熱定数特定部107により算出された土壌の固有熱抵抗及び熱拡散係数を数式(6)に用いて、推定対象の電力ケーブル10に備わるケーブル導体11の許容電流値を算出する(ステップS9)。
出力部105は、推定対象の電力ケーブル10に備わるケーブル導体11の許容電流値を出力する(ステップS10)。例えば、出力部105は、推定対象の電力ケーブル10に備わるケーブル導体11の許容電流値の情報をモニタなどに表示させる。
以上に説明したように、本実施例に係る熱特性推定装置100は、土壌内の円筒形空間からの発生熱による周辺土壌の解析解である数式(1)をベッセル関数による近似式を用いて計算して、解析対象管路内温度や洞道内壁温度等のケーブル導体11の発熱によるケーブル設置管の内側の温度を算出する。また、熱特性推定装置100は、算出した解析対象管路内温度に、数式(7)を用いて算出した日射管路内温度を重畳してケーブル設置管の内側の温度の理論解析値を算出して、算出した理論解析値と実測値とを比較して土壌の熱定数を算出する。さらに、熱特性推定装置100は、算出した土壌の熱定数を用いてケーブル導体11の許容電流値を算出する。
このように、土壌内の円筒形空間からの発生熱による周辺土壌の温度を求める解析解である数式(1)をベッセル関数により近似することで、土壌の熱定数の算出の精度向上と計算時間を大幅に低減することが可能となる。また、FEMを用いて土壌の温度を推定する技術では、解析領域を微小要素に分割するモデリングに大きな手間と費用とが掛かり、さらに、微小要素の分割サイズに応じて近似の精度が変化するため、解析結果が十分な精度を有するかの評価が困難となる。これに対して、本実施例に係る熱特性推定装置100は、数式(1)は熱伝導現象を支配する熱伝導方程式である数式(2)の理論解析解であること、また、計算にはベッセル関数の近似式を用いているが、この近似式は、従来から大型コンピュータにて広く使用されたプログラム言語に組み込まれている近似式であり十分な精度を有しており、さらに簡単な代数式であるため、計算量はFEMの場合より大幅に低下でき、近似による精度低下を小さく抑えることが可能である。また、数式(1)は、指数積分関数のように発散するような特異点を有さないため、本実施例に係る熱特性推定装置100は、安定な解析値を得ることができる。さらに、数式(1)はFEMのように微小要素への分割の手間や境界条件の問題を有さないため、本実施例に係る熱特性推定装置100は、土壌の熱定数の推定において精度の高い解を得ることが可能である。
すなわち、熱特性推定装置100は、電力ケーブル10からの発生熱による管路1内の過渡温度変化(管路1周辺の土壌の過渡温度変化)を、熱伝導方程式から導いた理論式である数式(1)を用いて解く。さらに、熱特性推定装置100は、土壌の熱定数(土壌の固有熱抵抗gと土壌の熱拡散係数k)の推定方法として、上記の理論解と管路内温度実測値を比較して、その差が最も小さくなるg,kを求める。そして、熱特性推定装置100は、数式(1)の計算において、ベッセル関数の近似式を使うことで計算速度が向上する。また、数式(1)は、一定発熱の条件で成り立つ式であり、熱特性推定装置100は、管路1内のケーブルから発生して管路1外に流れる熱流をステップ関数の合成にする。このとき、熱特性推定装置100は、ケーブル部の熱流を電力ケーブル10の熱等価回路を用いて求めた。したがって、本実施例に係る熱特性推定装置100は、計算量を大幅に抑えて高精度に土壌の熱定数を算出する事ができ、管路布設方式及び洞道布設方式等のケーブル設置管を用いて布設された電力ケーブル10におけるケーブル導体11の温度を精度良く推定することができる。そして、土壌の熱定数が正確に分かるとケーブル導体11の過渡状態の許容電流を正確に求めることが可能となる。
(ハードウェア構成)
図10は、熱特性推定装置のハードウェア構成図である。次に、図10を参照して、熱特性推定装置100のハードウェア構成について説明する。
熱特性推定装置100は、例えば、図10に示すようなCPU(Central Processing Unit)91、メモリ92、ハードディスク93、ネットワークインタフェース94、入力装置95及び出力装置96を有する。CPU91は、バスを介してメモリ92、ハードディスク93、ネットワークインタフェース94、入力装置95及び出力装置96と接続される。
入力装置95は、例えば、マウスやキーボードである。入力装置95は、図4に例示した入力部103の機能を実現する。また、出力装置96は、例えば、モニタやディスプレイを有する。出力装置96は、図1に例示した出力部105の機能を実現する。
ネットワークインタフェース94は、熱特性推定装置100と外部装置との通信のためのインタフェースである。例えば、ネットワークインタフェース94は、無線通信を用いてCPU91と温度センサ20との間の通信を中継してもよい。
ハードディスク93は、補助記憶装置である。ハードディスク93は、図4に例示した、電流値取得部101、発熱量算出部102、解析対象管内温度算出部104、日射管内温度算出部106、土壌熱定数特定部107及び許容電流値算出部108の各部の機能を実現するためのプラグラムを含む各種プログラムを格納する。
メモリ92は、主記憶装置である。メモリ92は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)を使用することができる。
CPU91は、ハードディスク93から各種プログラムを読み出してメモリ92に展開して実行する。これにより、CPU91は、図4に例示した電流値取得部101、発熱量算出部102、解析対象管内温度算出部104、日射管内温度算出部106、土壌熱定数特定部107及び許容電流値算出部108の機能を実現する。
また、熱特性推定装置100は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施例と同様の機能を実現することもできる。なお、ここでいうプログラムは、特定の発熱特性推定装置100によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
1 管路
2 接続部
3 マンホール
10 電力ケーブル
11 ケーブル導体
12 絶縁体
13 金属シース
14 防食層
20 温度センサ
100 熱特性推定装置
101 電流値取得部
102 発熱量算出部
103 入力部
104 解析対象管内温度算出部
105 出力部
106 日射管内温度算出部
107 土壌熱定数特定部
108 許容電流値算出部

Claims (9)

  1. 土壌の所定の深さに布設されたケーブル設置管内に引き入れられた電力ケーブルに備わるケーブル導体に流れる電流の電流値を基に、熱等価回路を用いて前記電力ケーブルの発熱量を算出し、算出した前記発熱量をステップ関数の合成に近似する発熱量算出部と、
    前記電力ケーブルの発熱量を基に、前記発熱量による前記ケーブル設置管内の温度変化を示す解析対象管内温度を算出する解析対象管内温度算出部と、
    前記解析対象管内温度算出部により算出された前記解析対象管内温度を基に、前記電力ケーブルと前記ケーブル設置管との間の領域の管内温度の理論解析値を算出し、前記管内温度の理論解析値と管内温度の実測値とを比較して、土壌の熱定数を特定する土壌熱定数特定部と
    を備えたことを特徴とする熱特性推定装置。
  2. 前記解析対象管内温度算出部は、前記電力ケーブルの発熱量を基に、ベッセル関数の近似式を用いて熱伝導方程式を解析的に解いた式を解いて、前記解析対象管内温度を算出することを特徴とする請求項1に記載の熱特性推定装置。
  3. 前記解析対象管内温度算出部は、前記熱伝導方程式を解析的に解くことで導出されるベッセル関数を含む関数を、ベッセル関数の近似式を用いて解くことで、前記解析対象管内温度を算出することを特徴とする請求項2に記載の熱特性推定装置。
  4. 日射による地面に対して鉛直方向の地中の温度変化を示す熱伝導方程式の解析式を用いて、日射によるケーブル設置管内の温度変化を示す日射管内温度を算出する日射管内温度算出部を更に備え、
    前記土壌熱定数特定部は、前記日射管内温度算出部により算出された前記日射管内温度と前記解析対象管内温度とを重畳して前記管内温度の理論解析値を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱特性推定装置。
  5. 前記土壌熱定数特定部は、前記管内温度の理論解析値と前記管内温度の実測値との誤差が小さくなるように、土壌の熱定数である固有熱抵抗及び熱拡散係数を特定することを特徴とする請求項1に記載の熱特性推定装置。
  6. 前記土壌熱定数特定部により算出された土壌の熱定数を用いて、前記ケーブル導体の上限温度に対応する許容電流値を算出する許容電流値算出部と
    前記許容電流値算出部により算出された前記許容電流値の情報を出力する出力部と
    をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の熱特性推定装置。
  7. 前記ケーブル設置管の内壁又は前記電力ケーブルの外表面に配置された温度センサを更に備え、
    前記土壌熱定数特定部は、前記温度センサにより計測された温度を前記管内温度の実測値として取得する
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱特性推定装置。
  8. 土壌の所定の深さに布設されたケーブル設置管内に引き入れられた電力ケーブルに備わるケーブル導体に流れる電流の電流値を基に、熱等価回路を用いて前記電力ケーブルの発熱量を算出し、
    算出した前記発熱量をステップ関数の合成に近似し、
    前記電力ケーブルの発熱量を基に、前記発熱量による前記ケーブル設置管内の温度変化を示す解析対象管内温度を算出し、
    算出した前記解析対象管内温度を基に、前記電力ケーブルと前記ケーブル設置管との間の領域の管内温度の理論解析値を算出し、
    前記管内温度の理論解析値と管内温度の実測値とを比較して、土壌の熱定数を特定する
    ことを特徴とする熱特性推定方法。
  9. 土壌の所定の深さに布設されたケーブル設置管内に引き入れられた電力ケーブルに備わるケーブル導体に流れる電流の電流値を基に、熱等価回路を用いて前記電力ケーブルの発熱量を算出し、
    算出した前記発熱量をステップ関数の合成に近似し、
    前記電力ケーブルの発熱量を基に、前記発熱量による前記ケーブル設置管内の温度変化を示す解析対象管内温度を算出し、
    算出した前記解析対象管内温度を基に、前記電力ケーブルと前記ケーブル設置管との間の領域の管内温度の理論解析値を算出し、
    前記管内温度の理論解析値と管内温度の実測値とを比較して、土壌の熱定数を特定する
    処理をコンピュータに実行させることを特徴とする熱特性推定プログラム。
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