JP7474726B2 - 計算機合成ホログラム生成装置及びプログラム - Google Patents
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Description
ステップS1では、以下の(1)~(3)の処理を行ってからステップS2へと進む。
(1) 3D点群取得部11が現時刻tの点群PG(t)を取得して再利用光波判定部12へと出力する。
(2) 位置姿勢取得部21が現時刻tのユーザの頭部の位置姿勢pt(図3で説明した通り、ユーザ頭部に装着されるHMDデバイスDの位置姿勢ptと同一であって、仮想カメラの位置姿勢ptとなるもの)を取得して位置姿勢予測部22並びに再利用光波判定部12、光波算出方式決定部13及び光波伝搬計算部14(以下、各部12,13,14とする)へと出力する。
(3) 位置姿勢予測部22が、当該現時刻tまでの位置姿勢ptの履歴{pk|k=t,t-1,t-2,t-3,…}より未来時刻t+m(m>0)の位置姿勢pt+mを予測し、当該予測位置姿勢を予測光波記録部23並びに各部12,13,14へと出力する。
ホログラフィで再生したいシーンの3D点群を計算機内で扱うために、3D点群PG(t)を装置に入力するのが3D点群取得部11である。この3D点群は、例えばPLYファイルなどの汎用フォーマットとして入力される。本実施形態では各点piは位置情報(Xi, Yi, Zi)と輝度情報(Ai)を持つものとする。ここでiは点のインデックスを表す。輝度情報はRGBなどのカラーで入力されてもよいが、一般的なCGHの生成手法においてカラー化を行う場合は、赤の波長、緑の波長、青の波長でそれぞれ干渉縞を独立に生成するため、一般的には同じ処理を3回繰り返すのみで、単色とカラーにおけるフローの違いはないことから、ここでは単色の輝度情報(Ai)を持つものとして説明を続ける。また、この3D点群取得部11の前処理として、計算時間を減らす観点から入力3D点群の位置に対して、八分木(Octree)などを用いて位置を量子化し、同じ位置に重複する点については輝度を平均化して1点として扱うようなダウンサンプリングを行うことや、あるいは特定視点位置から見た際に前方の点に隠されて見えない位置の点を予め除去してもよい。
[非特許文献2] T. Ichikawa, T. Yoneyama, and Y. Sakamoto, "CGH calculation with the ray tracing method for the Fourier transform optical system," Opt. Express 21, 32019-32031 (2013).
本機能ブロックはある時刻tの視聴者(ユーザ)の位置姿勢を入力する機能をもつ。ここで、HMDの位置姿勢情報はpt=(xt,yt,zt,φxt,φyt,φzt)として表現される。このとき(xt,yt,zt)はHMD視聴対象の3次元空間における3次元座標を示しており、(φxt,φyt,φzt)は(xt,yt,zt)を中心とした座標系におけるHMDのx軸、y軸、z軸周りの傾き(姿勢)を示している。なお、以後では単に位置姿勢と記述した場合は、上記視聴者の位置姿勢を指すものとする。実際には、多くのHMDにおいてこの位置姿勢を算出するモジュールが搭載されており、API(アプリケーションプログラミングインタフェース)として利用可能な形態をとる。(例えば、HMDに備わるジャイロセンサ、加速度センサ、カメラ等のハードウェア計測結果からこの位置姿勢を算出するAPIが既存手法として提供されているので、位置姿勢取得部21ではこの既存手法で位置姿勢を取得すればよい。)また、現在の時刻に限らず過去の時刻の位置姿勢を入力する機能を有していてもよい。
位置姿勢取得部21によって入力・保持された時刻t-(n-1)~tのnフレームの時刻の位置姿勢(現時刻tまでのnフレーム分の位置姿勢の履歴)を用いて、現在時刻からmフレーム後(m>0)の未来の時刻t+mの位置姿勢を推定する。この機能は学習部と推論部からなり、これら学習および推論には時系列データを扱う既存技術である機械学習手法リカレントニューラルネットワーク(RNN)を用いることができる。具体的には、あらかじめ事前に計測しておいた位置姿勢情報を用いて、nフレームの連続的な時系列位置姿勢データを入力した際のmフレーム後の位置姿勢を正解データとして学習しておく。この際の学習データセットの事前計測においてはコンテンツの制限はないが、最終的にユーザが体験する対象アプリケーション(HMDを用いてホログラム表示するアプリケーション)を3DCG等で模擬したものを用いることで実際のアプリケーション体験に近いHMDの移動を学習することが可能である。
ステップS2では、再利用光波判定部12がデータベースである予測光波記録部23を参照し、現時刻tの予測光波データが存在するか否かを判定し、存在すればステップS3へと進み、存在しなければステップS4へと進む。
ステップS3では、再利用光波判定部12(ステップS3に至った場合、ステップS2は肯定判定であった)がさらに、現時刻の位置姿勢ptからみた過去時刻(例えば1つ前の過去時刻t-1)の位置姿勢pt-1の変位D(pt-1,pt)と予測位置姿勢qtの変位D(qt,pt)を比較して、その大小関係が以下であったか否かを判定し、肯定判定であればステップS31へと進み、否定判定であればステップS32へと進む。
「D(pt-1,pt) ≧ D(qt,pt)」が真の場合 …ステップS31へと進む。
上記が偽の場合(すなわち、「D(pt-1,pt)<D(qt,pt)」の場合) …ステップS32へ進む。
ステップS31では、再利用光波判定部12が過去時刻において現時刻tについて(位置姿勢qtを)予測した際に算出した光波である予測光波を再利用光波として選択して光波算出方式決定部13へと出力してからステップS33へと進み、ステップS32では、再利用光波判定部12が過去時刻pt-1の光波を現時刻tの再利用光波として選択して光波算出方式決定部13へと出力してからステップS33へと進む。
予測光波記録部23はハードウェアとしては記憶装置であり、過去に算出された予測位置姿勢とそれに対応する光波伝搬のデータを保持する。具体的には、後述のCase-3を可能とすべく、位置姿勢予測部22によって算出された未来時刻の位置姿勢と、光波伝搬計算部14により算出された当該未来時刻の位置姿勢に対応する光波(予測光波)を紐づけて保持する。なお、予測対象の未来時刻が時間の経過とともに過去の時刻となった場合、後述するステップS6において予測光波記録部23は対象のデータを破棄することにより、保持データ量が増大し続けることを防止する。同様に、後述のCase-2で必要な物体光波及び位置姿勢も必要な期間だけ記録する。
再利用光波判定部12では、位置姿勢取得部21による実測値としての現在の位置姿勢及び過去の位置姿勢と、位置姿勢予測部22による予測値として予測光波記録部23に保持されている過去時刻に算出された予測位置姿勢とを用いて、物体光波の生成における参照元の光波(再利用光波)を決定する。
(2-1) ホログラム面全体のうちx%以上を動的ホログラム領域が占める場合、qtを再利用位置姿勢として選択し再利用光波を得る。ここでxはユーザ設定の閾値である。
(2-2) ホログラム面を小領域Hi(i=1,2,…,N;Nは分割数)に分割し、小領域Hiごとに動的ホログラム領域が面積のx%以上であるかを判定する。x%以上の領域については、qtに対応する再利用光波を選択し、そうでない場合は、前記変位Dによる判定に基づきpt-1,qtのいずれを選択するかを判定する。
ステップS33では、光算出方式決定部13が、最終的なホログラフィ表示HL(t)(ホログラム面HL(t))を生成するための領域を、再利用光波判定部12の判定結果に従った再利用方式を採用する再利用領域HL(t)[再利用]と、再利用方式を利用しない非再利用領域HL(t)[非再利用]とに2分割し、その結果(再利用面HL(t)[再利用]については算出方式の情報も含む)を光伝搬計算部14へと出力してから、ステップS4へと進む。
HL(t)= HL(t)[再利用]∪HL(t)[非再利用]
HL(t)[再利用]∩HL(t)[非再利用]=φ(空集合)
本機能ブロックにおいては、再利用光波判定部12において選択された再利用位置姿勢を用いて、最終的な物体光波の算出方法を決定する。この決定において、再利用位置姿勢が過去位置姿勢pt-1である場合と予測位置姿勢qtである場合とのいずれにおいても、非特許文献1(及び特許文献1)に記載の再利用光波を利用した物体光波の生成技術による3つの補正方式を選択肢とすることができる。
ステップS4及びS34では、光波伝搬計算部14が、現時刻の位置姿勢ptに応じたホログラム面の物体光波u(x,y)(なお、ステップS32を経由した場合は、過去時刻t-mのステップS34で予測位置姿勢qt=q(t-m)+mに関して計算済みであるため計算不要となる)と予測姿勢qt+mに応じたホログラム面の物体光波u(x,y)を計算して干渉計算部15及び予測光波記録部23へ出力してから、ステップS5へと進む。
光波伝搬計算部14においては、従来手法である点光源法に基づいて、当該時刻tの3D点群PG(t)からホログラム面までの物体光波の伝搬計算を行い、得られた物体光波u(x,y)を干渉計算部15及び予測光波記録部23へと出力する。ステップS4に至った場合(Case-1)と、ステップS32を経由してステップS34に至った場合(Case-2)と、ステップS31を経由してステップS34に至った場合(Case-3)と、で光波伝搬計算部14はそれぞれ以下のような計算を行う。また、Case-1,2,3のいずれの場合においても、以下の(共通処理)の計算を行う。
ステップS5では、干渉計算部15が干渉縞を計算して表示部16へと出力してから、ステップS6へ進む。
ステップS6では、ステップS5で得られた現時刻tの干渉縞を表示部16がホログラム面HL(t)として表示することによりホログラム再生を行い、且つ、予測光波記録部23の記録を更新(保存されている予測光波のうち、過去時刻に該当するものとなってしまったものを削除することで更新)し、当該図2のフローは終了する。
光波伝搬計算部14にて出力されたホログラム面上の物体光波u(x,y)に対して、計算機上のシミュレーションとして参照光波を差し込むことで、干渉計算を行う機能を有する。本実施例の参照光は、非特許文献1にて開示されている再生光学系のレンズの焦点距離fの位置に収束する収束球面参照光波を用いるようにしてよい。この収束球面参照光波が、ホログラム面上に伝搬されたときの光波の複素振幅分布R(x,y)は以下の式(4)(あるいは別の実施形態としての式(5)又は(6))で表わされる。
Claims (10)
- ホログラム面上における物体光と参照光との干渉計算を行うことによって、計算機合成ホログラムを生成する計算機合成ホログラム生成装置であって、
生成対象となる物体を構成する3次元点群を取得する3次元点群取得部と、
前記ホログラム面の位置姿勢を各時刻において取得する位置姿勢取得部と、
前記取得されている位置姿勢の現在時刻までの履歴より未来の位置姿勢を予測する位置姿勢予測部と、
前記位置姿勢予測部が過去時刻において現在時刻の位置姿勢を予測した結果に基づいて再利用物体光を判定する再利用光判定部と、
前記再利用光判定部での判定に応じて、計算に利用する物体光及びホログラム領域を決定する光波算出方式決定部と、
前記光波算出方式決定部の決定に応じて、前記3次元点群より、現在時刻の物体光を計算する光波伝搬計算部と、
前記光波伝搬計算部で得られた現在時刻の物体光と、参照光との干渉計算を行うことで、現時刻における計算機合成ホログラムを生成する干渉計算部と、を備え、
前記光波伝搬計算部はさらに、前記位置姿勢予測部が予測した未来の位置姿勢に関して物体光を予め計算しておき、
前記再利用光判定部は、前記位置姿勢予測部が過去時刻において現在時刻の位置姿勢を予測した結果における予測精度が高いと判定される場合に、当該過去時刻において現在時刻を対象として前記光波伝搬計算部が前記予め計算しておいた物体光を、現在時刻の前記再利用物体光に該当するものとして判定し、当該予測精度が低いと判定される場合に、当該過去時刻において当該過去時刻について前記光波伝搬計算部が計算した物体光を現在時刻の前記再利用物体光に該当するものとして判定し、
前記光波伝搬計算部は、前記判定された再利用物体光を補正して現在時刻の物体光を計算することを特徴とする計算機合成ホログラム生成装置。 - 前記位置姿勢予測部では、事前に取得しておいた位置姿勢の時系列データ群を学習した機械学習手法により前記予測することを特徴とする請求項1に記載の計算機合成ホログラム生成装置。
- 前記再利用光判定部は、
当該現時刻の位置姿勢を前記位置姿勢取得部が取得した実際の値と当該過去時刻の位置姿勢を前記位置姿勢取得部が取得した実際の値との第1差分と、
前記位置姿勢予測部が過去時刻において現在時刻の位置姿勢を予測した結果と当該現在時刻の位置姿勢を前記位置姿勢取得部が取得した実際の値との第2差分と、を比較し、
前記第1差分の方が前記第2差分よりも大きいと判定される場合に前記予測精度が高いものとして判定することを特徴とする請求項1または2に記載の計算機合成ホログラム生成装置。 - 前記再利用光判定部は、前記第1差分及び前記第2差分を、当該差分を取る対象となる2つの位置姿勢における座標の差分と方向の差分との重みづけ和として評価することを特徴とする請求項3に記載の計算機合成ホログラム生成装置。
- 前記光波伝搬計算部は、前記再利用物体光を補正することで、当該補正して計算したホログラム領域における点光源法の計算を省略することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の計算機合成ホログラム生成装置。
- 前記光波伝搬計算部は、前記位置姿勢取得部が取得した現在時刻までの位置姿勢の変化に応じたホログラム面の平行移動、前後移動及び回転移動のいずれかまたはこれら移動の組み合わせに応じた演算により、前記既に得られている再利用物体光を補正することを特徴とする請求項5に記載の計算機合成ホログラム生成装置。
- 前記光波伝搬計算部は、前記再利用物体光を補正して計算することができないホログラム領域について、点光源法で計算することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の計算機合成ホログラム生成装置。
- 前記再利用光判定部は、一定期間に渡って連続して前記予測精度が低いと判定された場合には、
当該現在時刻において強制的に当該予測精度が高いものとして判定することで、当該過去時刻において現在時刻を対象として前記光波伝搬計算部が前記予め計算しておいた物体光を、現在時刻の前記再利用物体光に該当するものとして判定することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の計算機合成ホログラム生成装置。 - 前記再利用光判定部は、ホログラム面のうち前記生成対象となる物体を構成する3次元点群の動きがあると判定される領域について、
当該現在時刻において強制的に当該予測精度が高いものとして判定することで、当該過去時刻において現在時刻を対象として前記光波伝搬計算部が前記予め計算しておいた物体光を、現在時刻の前記再利用物体光に該当するものとして判定することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の計算機合成ホログラム生成装置。 - コンピュータを請求項1ないし9のいずれかに記載の計算機合成ホログラム生成装置として機能させるプログラムであることを特徴とするプログラム。
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