JP7474576B2 - 培養装置セットアップ方法、支援装置及び培養装置 - Google Patents

培養装置セットアップ方法、支援装置及び培養装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7474576B2
JP7474576B2 JP2019183587A JP2019183587A JP7474576B2 JP 7474576 B2 JP7474576 B2 JP 7474576B2 JP 2019183587 A JP2019183587 A JP 2019183587A JP 2019183587 A JP2019183587 A JP 2019183587A JP 7474576 B2 JP7474576 B2 JP 7474576B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
culture
test
conditions
manual
culture conditions
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019183587A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021058120A (ja
Inventor
豊茂 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Ltd filed Critical Hitachi Ltd
Priority to JP2019183587A priority Critical patent/JP7474576B2/ja
Priority to PCT/JP2020/017702 priority patent/WO2021065062A1/ja
Priority to US17/762,392 priority patent/US20220340862A1/en
Publication of JP2021058120A publication Critical patent/JP2021058120A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7474576B2 publication Critical patent/JP7474576B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M41/00Means for regulation, monitoring, measurement or control, e.g. flow regulation
    • C12M41/48Automatic or computerized control
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M23/00Constructional details, e.g. recesses, hinges
    • C12M23/02Form or structure of the vessel
    • C12M23/04Flat or tray type, drawers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M23/00Constructional details, e.g. recesses, hinges
    • C12M23/44Multiple separable units; Modules
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M23/00Constructional details, e.g. recesses, hinges
    • C12M23/48Holding appliances; Racks; Supports
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M27/00Means for mixing, agitating or circulating fluids in the vessel
    • C12M27/16Vibrating; Shaking; Tilting
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/5005Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving human or animal cells

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Sustainable Development (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Clinical Laboratory Science (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)

Description

本発明は、培養装置セットアップ方法、支援装置及び培養装置に関し、特に、培養装置に設定する培養条件を見付け出す技術に関する。
再生医療、細胞治療、創薬等の分野においては、細胞培養が行われている。例えば、再生医療企業等においては、特定の細胞についての手技による細胞培養(以下、手技培養という。)の試験を繰り返し行うことにより、培養条件(以下、手技培養条件という。)が見付け出されている。その上で、見付け出された手技培養条件に従って、特定の細胞が繰り返し培養され、あるいは、産業化に向けて特定の細胞が大量に培養されている。
手技培養において生じる負担を解消し又は軽減するための装置として、培養装置が知られている。培地交換を中心とする細胞培養工程を頻繁に実行しなければならない手技培養においては、作業者の負担、具体的には、時間的、肉体的及び精神的な負担が非常に大きい。培養装置は、細胞培養の工程の一部又は全部を自動的に遂行する装置であり、それは自動培養装置とも称されている。近年、大量に細胞を培養できる大量自動培養装置が実用化されている。
培養装置での細胞培養(以下、装置培養という。)に先立って、培養装置に対して培養条件(以下、装置培養条件という。)を設定し、これにより培養装置で実際に細胞培養を行える状態にする必要がある。装置培養条件には、多数のパラメータが含まれる。培養装置で細胞を培養するためには、それらのパラメータに対して適切な値を設定する必要があるが、それらのパラメータの中には、装置培養試験の繰り返しを経なければ適切な値を見付け出せないものが少なからず含まれる。
細胞の培養を行う培養者が培養装置を導入しても、それを使いこなせない可能性を指摘できる。培養者は、手技培養についての知識及び経験を有していても、装置培養についての知識及び経験までを有していないのが通常だからである。換言すれば、特定の細胞についての手技培養条件を自ら見付け出せるとしても、特定の細胞についての装置培養条件を自ら見付け出すことはおよそ困難である。仮に、適切な装置培養条件を見付け出せても、装置培養による細胞培養結果の品質が手技培養による細胞培養結果の品質と同等であるか否かの評価、つまり同等性の評価を、培養者が自ら実施しなければならない場合、その負担は非常に大きい。それらの事項は培養者が培養装置の導入をためらう要因になり得る。
一方、培養装置の開発、製造及び提供を行う製造者中の多数は、細胞培養について一定の知識及び経験を有しているものの、培養の専門家ではない。そのような培養者が、装置培養(大量培養を含む)を行いたい特定の細胞についての装置培養条件を自ら探し出すことは難しく、特定の細胞を培養するための専用培養装置を培養者へ提供することが困難な状況にある。通常、培養者ごとに細胞培養工程の内容が異なっていることから、培養装置についての汎用的な製造条件を見出すことは困難であり、培養装置のカスタマイズが求められる。他方、様々な細胞についての手技培養及び装置培養の知識及び経験を備える細胞培養の専門機関が存在している。専門機関の例として、CDMO(Contract Development Manufacturing Organization)などの細胞製造受託会社がある。
特定の細胞を特定の培養装置で培養することを前提として、培養者(培養装置の使用者)、製造者、及び、専門機関を連携させる仕組みの実現が望まれる。換言すれば、再生医療、細胞治療、創薬等の分野をより一層発展させ、より多くの患者を救い、また国民が負担する医療費を引き下げるために、すなわち社会貢献の観点から、細胞培養に関わる複数の関係主体を有機的に連携させる新たなビジネスモデルの構築が望まれている。
なお、特許文献1には、医療用製品を製造する複数の製造装置を連携させる技術が開示されている。特許文献2には、過去の培養条件に基づいて培養条件をリアルタイムに変更する技術が開示されている。特許文献1,2には、手技培養と装置培養を連携させる仕組み及びそのための装置、並びに、特定の細胞を特定の培養装置で培養することを前提として細胞培養に関わる複数の関係主体を連携させる仕組み及びそのための装置は開示されていない。
国際公開第2019/044559号 特開2019-41656号公報
本開示の第1の目的は、特定の装置培養条件が組み込まれた培養装置を培養者に提供できる仕組みを実現することにある。本開示の第2の目的は、そのような仕組みにおいて用いられる支援装置及び試験用培養装置を提供することにある。
本開示に係る培養装置セットアップ方法は、培養者である第1主体の手技培養試験により見付け出された特定の細胞の手技培養条件に基づいて、前記第1主体とは異なる培養装置製造及び装置培養試験を行う第2主体において前記特定の細胞の初期の試験用装置培養条件を決定する初期決定工程と、前記第2主体において、前記初期の試験用装置培養条件を含む複数の試験用装置培養条件を試験用培養装置に対して設定しながら前記試験用培養装置を用いた複数の装置培養試験を実行することにより、前記特定の細胞の設定用装置培養条件を見付け出す試験工程と、前記第2主体により培養装置に対して前記設定用装置培養条件を設定することにより、前記第1主体に提供するカスタマイズされた培養装置として前記特定の細胞を培養する専用培養装置を生成する設定工程と、を含む。
本開示に係る支援装置は、培養装置セットアップ方法を実施する際に利用される支援装置である。前記培養装置セットアップ方法は、培養者である第1主体の手技培養試験により見付け出された特定の細胞の手技培養条件に基づいて、前記第1主体とは異なる培養装置製造及び装置培養試験を行う第2主体において前記特定の細胞の初期の試験用装置培養条件を決定する初期決定工程と、前記第2主体において、前記初期の試験用装置培養条件を含む複数の試験用装置培養条件を試験用培養装置に対して設定しながら前記試験用培養装置を用いた複数の装置培養試験を実行することにより、前記特定の細胞の設定用装置培養条件を見付け出す試験工程と、前記第2主体により培養装置に対して前記設定用装置培養条件を設定することにより、前記第1主体に提供するカスタマイズされた培養装置として前記特定の細胞を培養する専用培養装置を生成する設定工程と、を含む。前記支援装置は、複数の培養条件ペアを管理するためのデータベースを含み、前記各培養条件ペアは、過去において見付け出された手技培養条件、及び、それを基礎として過去において見付け出された装置培養条件、により構成される。前記初期決定工程では、前記データベースの利用を通じて前記初期の試験用装置培養条件が決定される。
本開示に係る培養装置は、培養装置セットアップ方法によりセットアップされた培養装置である。前記培養装置セットアップ方法は、手技培養試験により見付け出された手技培養条件に基づいて初期の試験用装置培養条件を決定する初期決定工程と、前記初期の試験用装置培養条件を含む複数の試験用装置培養条件を試験用培養装置に対して設定しながら前記試験用培養装置を用いた複数の装置培養試験を実行することにより、設定用装置培養条件を見付け出す試験工程と、培養装置に対して前記設定用装置培養条件を設定することにより、カスタマイズされた培養装置を生成する設定工程と、を含む。前記培養装置は、前記設定用装置培養条件が格納される記憶部と、前記設定用装置培養条件に従って細胞培養を制御する制御部と、を含む。
本開示に係る試験用の培養装置は、培養装置セットアップ方法で利用される試験用培養装置である。前記培養装置セットアップ方法は、培養者である第1主体の手技培養試験により見付け出された特定の細胞の手技培養条件に基づいて、前記第1主体とは異なる培養装置製造及び装置培養試験を行う第2主体において前記特定の細胞の初期の試験用装置培養条件を決定する初期決定工程と、前記第2主体において、前記初期の試験用装置培養条件を含む複数の試験用装置培養条件を試験用培養装置に対して設定しながら前記試験用培養装置を用いた複数の装置培養試験を実行することにより、前記特定の細胞の設定用装置培養条件を見付け出す試験工程と、前記第2主体により培養装置に対して前記設定用装置培養条件を設定することにより、前記第1主体に提供するカスタマイズされた培養装置として前記特定の細胞を培養する専用培養装置を生成する設定工程と、を含む。前記試験用培養装置は、前記複数の試験用装置培養条件が格納される記憶部と、前記複数の試験用装置培養条件に従って前記複数の装置培養試験を制御する制御部と、を含む。
本開示によれば、特定の装置培養条件が組み込まれた培養装置を培養者に提供する仕組みを実現できる。また、本開示によれば、そのような仕組みにおいて用いられる支援装置及び試験用培養装置を提供できる。
実施形態に係る培養装置セットアップ方法を示す概念図である。 カスタマイズされた培養装置の構成例を示すブロック図である。 培養ユニットの内部機構の一例を示す斜視図である。 培養容器及びその揺動を説明するための斜視図である。 装置培養条件としてのパラメータセットの一例を示す図である。 試験用培養装置及び支援装置を示すブロック図である。 支援装置が組み込まれた試験用培養装置を示すブロック図である。 支援装置の構成例を示すブロック図である。 データベースの構成例を示す図である。 データベースの利用方法を示す図である。 設定画面の一例を示す図である。 実施形態に係る培養装置セットアップ方法を示すフローチャートである。 支援装置の動作を示すフローチャートである。 データベースへの登録を説明するための図である。 装置培養試験の変形例を示す図である。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(1)実施形態の概要
実施形態に係る培養装置セットアップ方法は、初期決定工程、試験工程、及び、設定工程を含む。初期決定工程では、手技培養試験により見付け出された手技培養条件に基づいて初期の試験用装置培養条件が決定される。試験工程では、初期の試験用装置培養条件を含む複数の試験用装置培養条件を試験用培養装置に対して設定しながら、試験用培養装置を用いた複数の装置培養試験を実行することにより、設定用装置培養条件が見付け出される。設定工程では、培養装置に対して設定用装置培養条件を設定することにより、カスタマイズされた培養装置が生成される。
上記構成によれば、実績のある手技培養条件に基づいて初期の装置培養条件が決定されるので、初期の装置培養条件を基礎又は参考としない場合に比べ、初期の装置培養条件を良好なものにすることができる。これにより、設定用装置培養条件を見付け出すまでの時間を短縮できる。
上記方法によれば、例えば、培養装置を開発、製造及び提供する製造者、培養装置を実際に使用して細胞培養(特に大量細胞培養)を行う培養者、及び、細胞培養の専門機関、の3つの主体を有機的に連携させて、設定用装置培養条件を見付け出すための組織体を構成することが可能となる。特に、それぞれの主体が有する知識及び経験を利用する仕組みを構築することが可能となる。なお、上記の3つの主体は、技術的な観点から特定又は識別されるものである。法律的又は経済的に見て、製造者と専門機関が同じ組織に所属していてもよいし、手技培養試験を行う者とカスタマイズされた培養装置を使用する者が異なる組織に所属していてもよい。
上記方法において、各工程での判断、操作、評価及び作業は、基本的に、人間によって行われ得る。しかし、上記方法は、細胞培養という技術に関わる複数の主体を装置培養試験に関与させ、装置培養試験の繰り返しを経て、特定の装置培養条件が組み込まれた培養装置を製造する方法に他ならないから、上記方法は、それ全体として見て、自然法則を利用したものである。また、上記方法は、培養装置の製造に向けられた複数の工程によって構成され、個々の工程の内容は具体的に定義されているから、上記方法は単なる抽象的なアイディアではなく、具体的なプロセスをその実体とするものである。更に、上記方法は、専用培養装置を製造できないという技術的課題を克服するものであり、上記方法は、それ全体として見て、精神的な行為や単なる事業上の活動とは、明確に区別されるものである。
実施形態において、手技培養条件は、手技培養により特定の細胞を培養する条件である。各装置培養条件は、装置培養により特定の細胞を培養する条件である。カスタマイズされた培養装置は、特定の細胞を培養する専用培養装置である。すなわち、上記方法は、特定の細胞(特定の細胞種であってもよい)を特定の培養装置で培養するための特定の装置培養条件を見付け出し、その特定の装置培養条件を用いて、専用培養装置を生成するものである。
実施形態においては、複数の培養条件ペアがデータベース上において管理されている。各培養条件ペアは、過去において見付け出された手技培養条件、及び、それを基礎として過去において見付け出された装置培養条件、により構成される。初期決定工程では、データベースの利用を通じて初期の試験用装置培養条件が決定される。手技培養条件に対し、それを基礎として見付け出された装置培養条件を関連付けておくことにより、換言すれば、紐付けておくことにより、蓄積された過去の実績を現在の条件決定において活用することが可能となる。
実施形態においては、データベース上において培養条件ペアごとに細胞情報が付与されている。初期決定工程では、指定された細胞情報に従って、データベースに登録されている複数の培養条件ペアの中から参照対象となる培養条件ペアが選ばれる。この構成によれば、細胞(又は細胞種)を検索キーとして、データベースを検索することが可能となる。 実施形態においては、初期決定工程では、見付け出された手技培養条件が参照対象となった培養条件ペアの内の手技培養条件と比較される。続いて、参照対象となった培養条件ペアの内の装置培養条件が初期の試験用装置培養条件の決定で参照される。上記比較に当たっては、参照元となる手技培養条件と参照先となる手技培養条件との間で、同一性又は類似度が判断されてもよい。例えば、同一性又は類似度を基準として、参照対象となる培養条件ペアが絞り込まれてもよい。
実施形態においては、手技培養試験により見付け出された手技培養条件が新たな手技培養条件としてデータベースに登録される。また、装置培養試験により見付け出された装置培養条件が新たな装置培養条件としてデータベースに登録される。その場合、新たな手技培養条件及び新たな装置培養条件を相互に関連付けることにより、新たな培養条件ペアが構成される。各登録はマニュアルで実施され又は自動的に実施される。関連付けつまりペアリングは基本的に自動的に実施される。
実施形態においては、装置培養試験ごとに装置培養試験結果が要求仕様を満たすか否かが判定される。装置培養試験結果が要求仕様を満たさない場合に、その装置培養試験結果を生じさせた試験用装置培養条件の修正により、次の試験用装置培養条件が定められる。一方、装置培養試験結果が要求仕様を満たす場合に、その装置培養試験結果を生じさせた試験用装置培養条件が設定用装置培養条件として定められる。要求仕様が手技培養試験結果を基準として定められてもよい。例えば、手技培養試験結果として得られた増殖率、分化率等を基準に、要求仕様が定められてもよい。
実施形態において、試験用培養装置及びカスタマイズされた培養装置は、仕様同一性を満たす物理的に異なる装置である。一方の培養装置で採用した装置培養条件を他方の培養装置に設定して装置培養試験を行った場合、他方の培養装置で細胞培養を実質的に再現できる場合(同等の結果を得られる場合)、仕様同一性を満たすといい得る。試験用培養装置及びユーザーに提供する培養装置の物理的仕様を完全に同一としてもよい。
実施形態に係る支援装置は、培養装置セットアップ方法を実施する際に利用される装置であり、複数の培養条件ペアを管理するためのデータベースを含む。各培養条件ペアは、過去において見付け出された手技培養条件、及び、それを基礎として過去において見付け出された装置培養条件、により構成される。培養装置セットアップ方法に含まれる初期決定工程では、データベースの利用を通じて初期の試験用装置培養条件が決定される。培養装置セットアップ方法では、複数の試験用装置培養条件が順次に又は並列的に試験用培養装置に設定されつつ、複数の装置培養試験が順次に又は並列的に実行される。支援装置により試験用装置培養条件の変更又は再決定が支援されてもよい。
実施形態に係る支援装置は、手技培養試験により見付け出された手技培養条件を新たな手技培養条件として前記データベースに登録する第1登録部と、複数の装置培養試験により見付け出された装置培養条件を新たな装置培養条件としてデータベースに登録する第2登録部と、を含む。新たな手技培養条件及び新たな装置培養条件の相互の関連付けにより、新たな培養条件ペアが構成される。
実施形態に係る培養装置は、培養装置セットアップ方法によりセットアップされた培養装置である。当該培養装置は、設定用装置培養条件が格納される記憶部と、設定用装置培養条件に従って細胞培養を制御する制御部と、を含む。記憶部に格納された設定用装置培養条件が権限無く書き換えられないように、それがプロテクトされてもよい。
実施形態に係る培養装置は、培養容器を載せた揺動テーブルと、直交関係にあるx軸回り及びy軸回りにおいて揺動テーブルを揺動させる揺動機構と、を含む。各試験用装置培養条件及び設定用装置培養条件には、揺動テーブルの揺動を規定するx軸回り揺動条件及びy軸回り揺動条件が含まれる。揺動テーブルを備える培養装置において、特定の細胞を培養するに際しては、x軸回り揺動条件及びy軸回り揺動条件がそれぞれ重要なパラメータとなる。
実施形態に係る試験用培養装置は、培養装置セットアップ方法で利用される装置である。当該試験用培養装置は、複数の試験用培養条件が順次に又は同時に格納される記憶部と、複数の試験用培養条件に従って複数の装置培養試験を制御する制御部と、を含む。当該試験用培養装置は、カスタマイズされる培養装置が備える物理的構成に対して同一性を満たす物理的構成を備える。
(2)実施形態の詳細
図1には、実施形態に係る培養装置セットアップ方法が概念的に示されている。この方法は、製造者10、培養者(使用者)12及び専門機関14からなる組織体に適用され、又は、その組織体において実施されるものである。培養対象となる細胞は、例えば、ヒト又は動物の細胞である。多能性幹細胞(iPS細胞)、そこから分化した細胞、等が培養対象とされてもよい。再生医療、細胞治療、創薬等においては、大量の細胞を安定的に培養することが求められる。図1に示されるスキーム又はモデルは、そのようなニーズを背景とするものである。
製造者10は、培養装置を開発、製造及び提供する事業者である。実施形態に係る培養装置は、大量の細胞を自動的に培養する装置である。培養者12は、培養装置を使用して細胞培養を行う事業者であり、それは、例えば、再生医療企業等の医療機関である。培養者12は、手技培養を行う能力及び設備を備えていることを想定しているが、少なくとも特定の細胞について装置培養(大量培養を含む)するというニーズを有する事業者である。専門機関14は、例えば、細胞培養を専門的に行う事業者である。専門機関14の概念には、細胞培養を行う大学や研究機関が含まれ得る。例えば、培養者12と製造者10との間には、例えば、装置売買契約等が存在し、製造者10と専門機関14との間には、培養試験委託契約等が存在する。
なお、培養者12において、手技培養を行う部門12Aと、培養装置を使って実際に装置培養を行う部門12Bとが分かれていてもよい。法的に見て又は経済的に見て、部門12Aが別の主体に所属していてもよく、また、製造者10の一部が専門機関14に該当してもよい。
実施形態においては、培養者12において、特定の細胞について装置培養を行う前提として、特定の細胞を培養する手技培養試験24が繰り返し実施される。その際には、手技培養条件が順次変更される。そのような過程を経て、確立された手技培養プロトコルとしての手技培養条件26が見付け出される。なお、手技培養条件26には、論文等の公開情報に記載された情報に基づいて、培養者12が有意であると判断及び選定した手技培養条件が含まれる。
一般に、培養者12は、手技培養条件を見付け出す知識及び経験を有しているものの、特定の培養装置を用いた装置培養を行うための十分な知識及び経験までを有していない。よって、汎用的に利用できる培養装置(カスタマイズされていない培養装置)を導入しても、それを十分に使いこなせないというリスクを負う。そこで、実施形態に係る方法では、製造者10、培養者12及び、専門機関14の連携が図られている。これにより、特定の細胞を培養するカスタマイズされた培養装置44が生成され、それを培養者12に提供することが可能となる。以下、具体的に説明する。
製造者10から専門機関14へ、試験用培養装置(以下、試験装置という。)18が提供される。その提供の態様として、例えば、貸与又は販売16が挙げられる。試験装置18は、基本的に、製造者10から培養者12へ提供する、カスタマイズされた培養装置(以下、場合により最終製品ともいう。)44と基本的に同じ装置である。例えば、試験装置18の型番と最終製品44の型番は同一であり、すなわち、試験装置18の物理的仕様と最終製品44の物理的仕様は同一である。少なくとも、試験装置18での細胞培養が最終製品44において再現できるよう、最終製品44の構成と試験装置18の構成が揃えられる。
実施形態においては、後述する支援装置32及びデータロガー42も、製造者10から専門機関14へ提供される。支援装置32は専門機関14により利用される。支援装置32へのデータ登録は専門機関14によって行われるが、それが製造者10によって行われてもよい(符号10Aを参照)。データロガー42は、将来の利用に備えて又は異常解析のために各種データを蓄積する装置である。試験装置18の中に、データロガー42が組み込まれてもよい。データロガー42のメンテナンスは例えば製造者10によって行われる。
手技培養試験24により見付け出された手技培養条件26は、電子的なデータとして又は物理的なドキュメントとして、製造者10を経由して、又は、直接的に、専門機関14へわたされる。手技培養条件26は、手技により特定の細胞を培養するための複数の要素からなるものである。例えば、それには、培養プロトコルを規定する培養日数、培地の種類、培地の液量、培地の交換時期、細胞懸濁液の液量、細胞懸濁液の導入時期、試薬の種類、試薬の液量、試薬の導入時期、等が含まれ得る。温度、培養容器種別、播種条件、等が含まれてもよい。
なお、手技培養と装置培養は相対的概念であり、前者は専ら手技による培養を意味し、後者は専ら装置による培養を意味する。手技培養において一部の工程が装置によって実施されてもよく、装置培養において一部の工程が手技によって実施されてもよい。もっとも、実施形態に係る培養装置18,44では、基本的に、培養過程を構成するすべての工程が自動的に実施される。
専門機関14においては、特定の細胞についての装置培養試験20が繰り返し実施される。個々の装置培養試験20に先立って、装置培養条件(試験用装置培養条件)の決定22が行われ、決定された装置培養条件34が試験装置18に設定される。装置培養条件には試験装置18の動作を規定する複数のパラメータが含まれる。
具体的には、複数のパラメータには、使用する培養容器の個数、培地の液量、培地の送液速度、培地の交換時期、細胞懸濁液の液量、細胞懸濁液の送液速度、細胞懸濁液の導入時期、試薬の液量、試薬の導入時期、ガスの送気量、ガスの送気時期、培養容器の揺動角度、培養容器の揺動速度、培養容器の揺動回数、等が含まれ得る。更に、培地種類、試薬種類、コーティング温度、予熱温度、培養温度、排液量、排液速度、等が含まれてもよい。なお、本願明細書で挙げる項目及び数値はいずれも例示に過ぎないものである。
装置培養条件を構成する複数のパラメータは、例えば、3つのカテゴリーに分類され得る。第1カテゴリーに分類されるパラメータは、基本的に、製造者10において事前に決定し得るパラメータである。例えば、製造者10は、自ら製造又は選定した培養容器に適する送液速度や排液速度を知悉している。それらのパラメータは第1カテゴリーに属し得る。現在得られている手技培養条件26、及び、支援装置32により提供される過去の装置培養条件を参考にして、第1カテゴリーに属するパラメータが決定されてもよい。
第2カテゴリーに分類されるパラメータは、基本的に、専門機関14において自ら決定し得るパラメータである。例えば、培養容器当たりの培地の液量は、培養容器の形状や容積等に基づいて、経験則から、決定し得る場合が多い。そのようなパラメータは第2カテゴリーに属し得る。現在得られている手技培養条件26、及び、支援装置32により提供される過去の装置培養条件を参考にして、第2カテゴリーに属するパラメータが決定されてもよい。
第3カテゴリーに分類されるパラメータは、基本的に、装置培養試験20の繰り返しにより決定されるパラメータである。例えば、最適な培地交換周期は、細胞の種類、培養容器の形状、諸々の液量等の諸条件によって変わり得る。そのようなパラメータは、第3カテゴリーに分類され得る。現在得られている手技培養条件26、及び、支援装置32により提供される過去の装置培養条件を参考にして、第3カテゴリーに属するパラメータが決定されてもよい。
上記で挙げた3つのカテゴリーは例示である。他の観点から複数のカテゴリーが定義されてもよい。分類せずに個々のパラメータが管理されてもよい。
実施形態においては、培養者12が見付け出した手技培養条件26、製造者10が有する知識及び経験28、専門機関14が有する知識及び経験30、及び、過去において見付け出された装置培養条件、を基礎として、専門機関14において、試験用装置培養条件、特に初期の試験用装置培養条件が決定される。
なお、専門機関に提供する試験装置18において、一部のパラメータにデフォルト値を事前にセットしておくことにより、製造者10の知識及び経験28が専門機関14へわたされてもよい。あるいは、それらのデフォルト値が、試験装置18の提供とは別に、専門機関にわたされてもよい。
初期の装置培養条件の決定後、それが試験装置18に設定される(符号34を参照)。
その後、試験装置18において、初期の装置培養条件に従って、装置培養試験20が実行される。装置培養試験20の結果について評価36が行われ、装置培養試験の結果が培養者12からの要求仕様38を満たすか否かが判断される。装置培養試験の結果が要求仕様38を満たさない場合、装置培養条件が変更された上で、変更後の装置培養条件が試験装置18に設定される(符号34を参照)。その上で、装置培養試験20が再び実行される。装置培養条件を順次変更しながら、装置培養試験20が繰り返し実施される。装置培養条件の変更に当たっては、例えば、第3カテゴリーに属するパラメータが変更されるが、他のカテゴリーに属するパラメータが変更されてもよい。
m回目の装置培養試験の結果が要求仕様を満たす場合、m回目の装置培養試験で採用されたm番目の装置培養条件39が、例えば、電子データとして又は物理的なドキュメントとして、専門機関14から製造者10へ送られる。mは1以上の整数であり、通常3以上の整数である。装置培養条件39は、特定の細胞を特定の細胞装置で培養するためのセットアップデータである。製造者10は、その装置培養条件39を培養装置(設定未了の培養装置)へインストールし又は組み込むことにより、培養装置のセットアップ40を行う。これにより生成された培養装置44、すなわちカスタマイズされた培養装置44、が製造者10から培養者12へ提供される。その後、培養者12は、カスタマイズされた培養装置44を利用して、特定の細胞の装置培養(大量培養を含む)を行う。
手技培養条件26を参照する段階で又はその後に、支援装置32に対して手技培養条件26が登録される。一方、m回目の装置培養試験の結果が要求仕様を満たす場合、m回目の装置培養試験で採用されたm番目の装置培養条件41が支援装置32に登録される。支援装置32は、後述するデータベースを有しており、その中には、複数の培養条件ペアが格納されている。個々の培養条件ペアは、特定の細胞を培養する手技培養条件と、それを基礎として見付け出された特定の細胞を培養する装置培養条件と、により構成される。手技培養条件と装置培養条件とを関連付けておくことにより、前者から後者を直ちに特定することが可能となる。
試験装置18には複数のセンサが設けられている。また、試験装置18には、各培養容器内を撮影する可動型カメラが設けられている。データロガー42は、培養試験過程において取得された又は試験終了段階で取得された複数の検出値や複数の画像を蓄積するものである。データロガー42に蓄積された情報は、装置培養条件を自動的に推定する推定器に機械学習を行わせるための学習用データになり得る。蓄積された情報は細胞の品質評価で活用し得る。蓄積された情報に基づいて異常解析がなされてもよく、蓄積された情報がメンテナンス用のデータとして利用されてもよい。
以上のように、実施形態に係る方法によれば、製造者10、培養者12及び専門機関14を有機的に連携させ、各主体がもっている知識及び経験を活用して、特定の細胞を特定の培養装置で培養するために必要となる特定の装置培養条件を見付け出せる。これにより培養者12に対して特定の細胞を培養し得る専用培養装置を提供できる。換言すれば、培養者12において培養装置を導入する際におけるリスクを低減できる。また、初期の装置培養条件の決定に際して、手技培養条件26及び過去の装置培養条件を参照できるので、初期の装置培養条件を最初から優良化できる可能性を高められる。これにより、装置培養試験20の繰り返しに要する時間を短くすることが可能となる。
なお、図1において、製造者10から培養者12に対して培養装置を先行して提供した上で、その後において、培養者12の施設内において、製造者10により培養装置のセットアップ40が実施されてもよい。そのような場合においても、結果として、カスタマイズされた培養装置44が培養者12に提供されることに変わりはない。実施形態におけるセットアップは、上記で述べたものに限定されない。例えば、そのセットアップには装置培養条件の再設定が含まれ得る。以下で詳述する支援装置32のデータベース106が更新された場合に、提供した培養装置の装置培養条件が再設定される。培養者12の要望に応じて、異なる細胞を培養するために培養装置の装置培養条件が再設定されることもある。それらの再設定は、上記のセットアップに該当し得る。
支援装置32をインターネット上のクラウド(情報処理システム)として構成し、複数の専門機関14に対して、クラウドサービスとして、装置培養条件の決定を支援する情報を提供してもよい。試験装置18は、カスタマイズされる培養装置とは物理的に別の装置として構成されるのが望ましいが、試験装置18を、カスタマイズされた培養装置44としてそのまま利用する変形例も考えられる。
図2には、カスタマイズされた培養装置44の構成が例示されている。培養装置44は、図示の構成例において、制御ユニット46、試薬ユニット48及び培養ユニット50により構成される。個々のユニット46,48,50は、物理的な設備であり、それらはハウジングとしてのケースを有し、そのケース内に複数の機器が収容されている。
試薬ユニット48は、複数の培地ボトル、複数の細胞懸濁液ボトル、複数の試薬ボトル、複数のポンプ、送液機構、排液機構、等を有している。培養ユニット50は内部機構を備えている。その内部機構は、一定間隔をもって垂直方向に並ぶ複数のステージ、及び、複数のステージに搭載された複数の培養容器、を有している。内部機構は、個々の培養容器を揺動運動させる揺動機構も備えている。播種工程及び排液前の段階において、揺動機構が作動する。
制御ユニット46は、動作制御部52、記憶部54、入力器56及び表示器58を有している。動作制御部52は、プログラムに従って動作するプロセッサを有している。プロセッサは例えばCPUである。記憶部54には、プロセッサに与えるプログラムが格納さされており、また、装置培養条件を構成するパラメータセットが格納されている。パラメータセットは、既に説明したセットアップによりインストールされたデータである。動作制御部52は、パラメータセットに従って、細胞の自動培養を制御する。パラメータセットは、培養装置44の動作シーケンスを規定するデータでもある。
パラメータセットの内で、主要部についてはプロテクト処理が施されており、残りの部分については必要に応じてその値の変更を行える。なお、プロテクト処理された主要部の変更等を行えるのは、基本的には、製造者10である。パラメータセットの全部がプロテクト処理されてもよい。
入力器56は、培養装置の起動停止、動作条件の設定等において利用される入力デバイスである。表示器58には、現在の装置状況や現在設定されているパラメータセットが表示される。入力器56と表示器58を一体化させてタッチパネルを構成してもよい。
図3には、培養ユニット内に設けられる内部機構50Aが模式的に例示されている。X方向は第1水平方向であり、Y方向は第2水平方向であり、Z方向は垂直方向である。それらの方向は直交関係にある。
図示された構成例において、内部機構50Aは、Z方向に並ぶ複数のステージ66を有している。複数のステージ66は複数の台座として機能するものであり、それらには複数の培養容器68が載置されている。複数のステージ66は、図示の構成例において、3つの支柱60,62,64により運動可能に保持されている。個々の支柱60,62,64は、交互に配置された複数の中間部材及び複数のジョイント72により構成されている。各ジョイント72が各ステージ66を運動可能に保持している。
3つの支柱60,62,64の下部には、3つの昇降機構74A,74B,74Cが設けられている。3つの昇降機構74A,74B,74Cにより3つの支柱60,62,64を個別的に上下方向に進退させることができる。これにより、各ステージ66の姿勢が変更され、それに伴って各培養容器68の姿勢が変更される。3つの昇降機構74A,74B,74Cの協働により、以下に説明する2つの揺動運動が生成される。支柱60,62,64及び昇降機構74A,74B,74Cにより揺動機構が構成される。
図4には、1つのステージ66及びそれに保持された1つの培養容器68が示されている。図4においては、x軸及びy軸が示されている。x軸は、培養容器68の長手方向の中央を通過しその短手方向に平行である。y軸は、培養容器68の短手方向の中央を通過しその長手方向に平行である。ステージ66が水平姿勢にある場合、x軸はX方向と平行になり、y軸はY方向と平行になる。なお、x軸及びy軸が、培養容器68よりも下方又は上方を通過する態様が採用されてもよい。
実施形態においては、培養容器68をx軸回りに揺動運動させることができ(θxを参照)、また、培養容器68をy軸回りに揺動運動させることができる(θyを参照)。細胞の播種を行った後において、2つの揺動運動を組み合わせることにより、培養容器68内において、播種された細胞を広く均一に展開させることが可能となる。また、培地交換工程において培地の吸引を行う場合には、x軸回りの揺動運動を利用して細胞の集団を吸引ポートから遠ざけることが可能となる。培養過程においては、培養容器が静置状態とされる。培養容器68は、2つの水平方向(長手方向及び短手方向)に広がる平板状の形態を有している。なお、必要とする細胞の仕様又は条件に応じて、サイズや形状の異なる他の培養容器が用いられてもよい。
図5には、装置培養条件を構成するパラメータセット76が例示されている。図5においては、複数の工程80及び複数のパラメータ名82も示されている。パラメータセット76は、複数のパラメータ78により構成される。通常、個々のパラメータ78の実体は数値であるが、その実体が記号又は文字列であってもよい。複数の工程80には、例えば、前処理工程及び培養工程が含まれる。あるいは、複数の工程80には、コーティング工程、培地送液工程、細胞播種工程、培地交換工程、等が含まれる。
パラメータセット76を構成する複数のパラメータ76は、実施形態において、上記のように、3つのカテゴリーに分類される。符号84は第1カテゴリーに属するパラメータを示している。符号86は第2カテゴリーに属するパラメータを示している。符号88は第3カテゴリーに属するパラメータを示している。
図6には、試験用培養装置(試験装置)18の構成例が示されている。試験装置18は、使用者に提供される培養装置(最終製品)と同じ構成を有しており、すなわち、制御ユニット90、試薬ユニット92及び培養ユニット94を有している。制御ユニット90は、動作制御部96、記憶部98、入力器100及び表示器102を有している。図2を用いて培養装置の構成については説明済みであるので、ここでの説明を省略する。
支援装置32を利用して、試験者(試験用装置培養条件を決定する者)において、過去の培養条件を参照し得る。具体的には、例えば、細胞又は細胞種を特定する情報103を検索キーとして支援装置32に与え、培養条件ペアの検索を行うことにより、同一の細胞又は細胞種に対応付けられた培養条件ペアを特定し得る。続いて、使用者から提供された現在の手技培養条件が、参照対象となった培養条件ペアの中の過去の手技培養条件と比較される。その比較結果を考慮しながら、参照対象となった培養条件ペアの中の過去の装置培養条件が参照される。
現在の手技培養条件及び過去の装置培養条件等を参考にしつつ、試験者において、初期の装置培養条件が決定される。試験者により、入力器100を利用して、初期の装置培養条件が試験装置18へ入力される。支援装置32において初期の装置培養条件の設定が行われ、設定された装置培養条件が電子データとして試験装置18へ入力されてもよい。
図7には、試験装置の変形例が示されている。試験装置18Aは、基本的に、図6に示した試験装置18と同じ構成を有する。但し、図示された変形例においては、試験装置18Aの中に、支援装置32Aが組み込まれている。支援装置32Aは上記支援装置と同じ機能を有する。この構成によれば、データの管理及び取り扱いが容易となる。
図8には、支援装置の具体的な構成例が示されている。支援装置は、処理部104及びデータベース(DB)106を有する。DB106の実体は記憶部である。処理部104は、検索部及び登録部として機能する。処理部104は、プログラムに従って情報処理を行うプロセッサを有している。プロセッサは例えばCPUにより構成される。処理部104には、入力器108及び表示器112が接続されている。入力器108を利用して検索条件が入力される。表示器112には検索結果が表示される。
DB106への登録に際しては、データラインを介して登録データ110が処理部104に与えられる。また、処理部104による検索結果データ114を装置培養条件の決定又は設定でそのまま利用する場合、データラインを介して検索結果データ114が処理部104から培養装置へ転送される。DB106は特別な構造を備えており、それについて以下に詳述する。
図9には、DB106に格納される複数のテーブル116-1~116-nが示されている。nは1以上の整数であり、図示の例ではnは2以上の整数である。個々のテーブル116-1~116-nは、基本的に、同じ構造を有する。以下においては、テーブル116-1の内容を説明する。
テーブル116-1には、細胞又は細胞種を特定する情報118が付与されている。また、テーブル116-1は、手技培養条件120及び装置培養条件122を有する。両者は相互に関連付けられており、つまり紐づけられている。装置培養条件122は、手技培養条件120を基礎とした装置培養試験の繰り返しにより見付け出されたものである。手技培養条件120及び装置培養条件122が両者合わせて1つの培養条件ペアを構成している。
手技培養条件120の実体はパラメータセット124である。それは手技培養プロトコルを規定する複数の要素からなるものである。装置培養条件122の実体はパラメータセット126である。それは装置培養条件としての複数のパラメータにより構成される。既に説明したように、実施形態においては、複数のパラメータは、第1カテゴリーに属するパラメータ84A、第2カテゴリーに属するパラメータ86A及び第3カテゴリーに属するパラメータ88Aに大別される。
手技培養条件に基づく装置培養条件の探索を単位として、培養条件ペアが生成される。その探索の繰り返しに伴って、DB106内に培養条件ペアが蓄積されていく。ある細胞についての装置培養試験に先立って、参照価値のある1又は複数の培養条件ペアを参照できるならば、試験機関が有する知見の活用とも相俟って、より優良な装置培養条件を早期に決定できる可能性を高められる。それは最適解の探索時間の短縮という利点をもたらすものであり、ひいては、再生医療、細胞治療、創薬等の分野において、培養された細胞を真に必要としている患者へその細胞を提供するまでの時間を短縮することに繋がる。
図10には、DB106の利用が概念的に示されている。DB106には、既に説明したように、複数のテーブルが含まれる。符号130は、特定の細胞についての手技培養試験により見付け出された手技培養条件を示している。例えば、試験者により、特定の細胞を検索キーとして、データベースを検索することにより(符号134を参照)、同じ細胞に対応付けられたテーブル132が抽出される。テーブル132は細胞を特定する細胞情報136を有している。なお、手技培養条件130と、各テーブル内の手技培養条件との間で、類似度が演算され、高い類似度を生じさせた1又は複数のテーブルが検索結果として表示されてもよい。その場合、類似度の計算に当たっては、相関値演算、ベクトル間ノルム演算等を利用することができる。また、手技培養条件120を提供した培養者12に応じて、DB106の中で参照することのできるテーブル範囲が制限されてもよい。
検索後、試験者により、手技培養条件130が特定のテーブル132の中の手技培養条件138と比較される。その上で、試験者により、特定のテーブル132の中の装置培養条件140が参照され(符号142を参照)、それを参考にしつつ、試験者により、試験装置に設定する試験用の装置培養条件144が決定される。
図11には、試験用の装置培養条件を設定する画面が例示されている。この画面は、試験装置の表示器又は支援装置の表示器に表示されるものである。図示された例において、画面150内の左側には、手技培養試験により見付け出された元条件としての手技培養条件が一覧表示されている。画面150内の中央には、検索により特定された培養条件ペア154が一覧表示されている。培養条件ペア154には、手技培養条件154Aが含まれ、また、それを基礎として見付け出された装置培養条件154Bが含まれる。画面150の右側には、培養装置へ設定すべき装置培養条件が一覧表示されている。
図示の例では、画面150内に、コピーボタン162、入力ボタン164及びリセットボタン166が含まれる。2つのカーソルを動かして、装置培養条件154B中の特定のセル158を指定し、また、装置培養条件156中の特定のセル160を指定した上で、コピーボタン162を操作すると、セル158内の数値がセル160内に自動的にコピーされる。入力ボタン164は、装置培養条件156内の特定のセルがカーソルで指定されている状態において、数値を直接入力する際に操作されるボタンである。リセットボタン166は、装置培養条件156内の特定のセルがカーソルで指定されている状態において、セル内の数値をキャンセルする際に操作されるボタンである。
以上の説明は例示であり、見付け出された手技培養条件、及び、過去の装置培養条件等を参照しながら、装置培養条件を適切に決定できるように、画面内容を定めるのが望ましい。
図12には、実施形態に係る培養装置セットアップ方法がフローチャートとして示されている。S100は培養者において実行されるプロセスを示しており、S102は製造者において実行されるプロセスを示しており、S103は専門機関において実行されるプロセスを示している。
S10では、製造者から専門機関へ試験用培養装置(試験装置)が提供(貸与又は販売)される。S12は、試験装置を取得する工程を示している。S14では、使用者により手技培養条件が設定され、S16において手技培養試験が実行される。S18では手技培養試験の結果が評価される。その際の評価項目として多様なものが挙げられる。それには例えば増殖率、分化率が含まれ得る。S18の評価で不適当と判断された場合、S20を経由して、S14が再び実行される。S14での手技培養条件の設定変更を繰り返しながらS16での手技培養試験が繰り返し実行される。S18の評価において、満足できる試験結果が確認できた場合、その際に設定されていた手技培養条件が最良の手技培養条件であるとみなされる。
S22において、見付け出された手技培養条件が使用者から製造者へ提供され、更に、S24においてその手技培養条件が製造者から専門機関へ提供される。S26においては、製造者から専門機関へ一部のパラメータが提供される。もっとも、試験装置に対してそれがプリセットされている場合、S26は省略される。S28Aでは、装置培養条件が初期設定される。その際には、見付け出された手技培養条件が参照され、また支援装置が有するDBが検索される(S30を参照)。S32では、設定された装置培養条件に従って、装置培養試験が実施される。
S34では、装置培養試験の結果が評価される。その場合、培養者からの要求仕様を装置培養試験の結果が満たすか否かが判断される。例えば、手技培養試験の結果である増殖率を基準値として、その基準値の80%以上の増殖率であることが求められる。あるいは、手技培養試験の結果である分化率を基準値として、その基準値の80%以上の分化率であることが求められる。上記の基準値は例であり、基準値は細胞の特性ごとに培養者が規定する。
S34において、装置培養試験の結果が要求仕様を満たさないと判断された場合、S36を経由して、S28Bにおいて装置培養条件が再設定(変更)される。その上で、S32及びS34が再び実行される。S34で、装置培養試験の結果が要求仕様を満たすと判断された場合、その時点で設定されている装置培養条件が設定用装置培養条件であるとみなされ、それがS40で、専門機関から製造者へ通知される。
S46では、製造者において、設定用装置培養条件が培養装置に設定され、培養装置がセットアップされる。これにより、特定の細胞を培養するカスタマイズされた培養装置、つまり専用培養装置が生成される。S48では、そのカスタマイズされた培養装置が製造者から培養者へ提供される。S50は、製造者が、カスタマイズされた培養装置を取得する工程である。S50の後、カスタマイズされた培養装置を利用して細胞が装置培養(大量培養を含む)される。
設定用装置培養条件は、S42において、データベースに対して登録される。データベース上において、設定用装置培養条件が元条件としての最良の手技培養条件に対して関連付けられ、培養条件ペアが構成される。
図13には、支援装置の動作、具体的には、支援装置が有するプロセッサの動作又は制御がフローチャートとして示されている。S60では、装置培養試験を行う試験者からの検索条件が受け付けられる。検索条件は入力器を利用して入力される。検索キーとして、例えば、細胞又は細胞種を識別する情報が入力される。手技培養試験で用いた培地又は試薬の種類を特定する情報、等が検索キーとして入力されてもよい。手技培養試験に関わる複数の情報を組み合わせることにより検索キーが構成されてもよい。培養者又は製造者から送られてきた情報がネットワークを介して支援装置に取り込まれてもよい。
S62では、受け付けられた検索条件に従ってデータベースに対する検索が実行される。すなわち、検索条件を満たすテーブルすなわち培養条件ペアが探索される。S64では、ヒットした培養条件ペアの内容が画面に表示される。複数の培養条件ペアがヒットした場合、それらを表すリストが表示された上で、その中から選択された培養条件ペアの内容が表示されてもよい。
S62では、試験者により再度の検索を行うか否かが判断され、試験者から再度の検索を求める入力が受け付けられた場合、S60以降の工程が繰り返し実行される。S62において、試験者からの検索終了を指示する入力が受け付けられた場合、本ルーチンは終了する。
S62の後に、装置培養条件を設定するための設定画面を表示する工程が実行されてもよい。あるいは、検索結果が支援装置内のプロセッサから培養装置内のプロセッサへ転送され、図11に示したように、設定画面内に検索結果が表示されてもよい。いずれにしても、過去の実績を参照しながら装置培養条件の入力を行えるユーザーインターフェイスを構築するのが望ましい。
図14には、データベースへの培養条件の登録が模式的に示されている。装置培養試験に先立って、又は、その過程で、データベース106に対して、手技培養試験により見付け出された手技培養条件170が登録される(符号172を参照)。登録作業は専門機関の職員つまり試験者によって行われるが、それが自動化されてもよい。手技培養条件170の全部ではなくその一部が登録されてもよい。通常、手技培養条件170の登録に際しては、培養対象となった細胞を特定する情報も登録される。
一方、その手技培養条件170を基礎として見付け出された装置培養条件176がデータベース106に登録される(符号178を参照)。装置培養条件176は、培養装置の動作を規定する複数のパラメータを含み、それらには、既に説明したように、第1カテゴリーに属するパラメータ184、第2カテゴリーに属するパラメータ186、及び、第3カテゴリーに属するパラメータ188が含まれる。基本的に、すべてのパラメータが登録されるが、その内で一部のパラメータが登録されてもよい。装置培養条件176の登録は、試験者によって行われるが、それが自動化されてもよい。装置培養条件176の登録に際しては、培養対象となった細胞を特定する情報が登録されてもよいし、その登録が省略されてもよい。
データベースに対して登録された手技培養条件170A及び装置培養条件176Aは相互に関連付けられ(符号180を参照)、培養条件ペア182が構成される。手技培養条件170Aと装置培養条件176Aは、物理的に関連付けられてもよいし、論理的に関連付けられてもよい。培養条件ペア182には細胞又は細胞種を特定する情報174が含まれ、あるいは、培養条件ペア182に対してそのような情報174が付加される。装置培養条件の探索ごとに、データベース106内に培養条件ペアが追加され、データベース106内には、手技培養を基礎とする装置培養の実績が蓄積されていく。それに伴って、支援装置を利用した条件決定の精度が高まっていくことが期待される。
手技培養条件170の登録時に、手技培養条件170に関連付けられつつ、手技培養結果190が登録されてもよい。例えば、数値情報192や画像194がデータベース106に登録されてもよい。同様に、装置培養条件176の登録時に、装置培養条件176に関連付けられつつ、装置培養結果198が登録されてもよい。例えば、数値情報200や画像202がデータベース106に登録されてもよい。
図15には、試験装置において実施される装置培養試験の変形例が示されている。試験装置における培養ユニット内に、複数の培養容器からなる培養容器列206が設けられる。具体的には、内部機構により、個々の培養容器は揺動可能に保持される。個々の培養容器は、配管セットを介して、試薬ユニット内に設けられた複数のポンプ及び複数のボトルに接続される。
例えば、培養容器列206を第1グループ206A及び第2グループ208に二分し、それらに対して異なる装置培養条件を適用してもよい。具体的には、第1グループ206Aに対して装置培養条件(α1)208を適用し、第2グループに対して装置培養条件(α2)210を適用してもよい。第1グループ206Aの揺動条件及び第2グループ208の揺動条件は揃える必要があるが、それらに供給する試薬の種類、液量、送液速度等を異ならせることは可能である。類似した非同一の2つの装置培養条件に従って2つの装置培養試験を並列的に実行させることにより、トータルの装置培養試験期間を短縮することが可能となる。
なお、細胞容器ごとに完全に独立した装置培養条件を適用できる構成を採用することも考えられる。試験装置の複雑化を避けるためには、部分的に共通する複数の装置培養条件を受け付ける構成を採用することが望まれる。
上記構成によれば、実績のある手技培養条件に基づいて初期の装置培養条件が決定されるので、初期の装置培養条件を参考にしない場合に比べ、初期の装置培養条件を良好なものにすることができる。これにより、装置培養試験数を少なくすることができ、すなわち、設定用装置培養条件を見付け出すまでの時間を短縮できる。
上記方法によれば、例えば、培養装置を製造及び提供する製造者、培養装置を実際に使用して細胞培養を行う培養者、及び、細胞培養試験を行う専門機関、の3つの主体を有機的に連携させて組織体を構成することが可能となる。その場合、設定用装置培養条件を見付け出す過程において、各主体が有している知識及び経験を生かすことができる。
上記実施形態によれば、培養装置を製造及び提供する製造者、培養装置を実際に使用して細胞培養を行う使用者、及び、細胞培養試験を行う専門機関、の3つの主体を有機的に連携させることが可能となる。すなわち、設定用装置培養条件を見付け出す過程において、各主体が有している知識及び経験を利用することが可能となる。
上記の支援装置が図1等に示した方法又は仕組み以外で利用されてもよい。例えば、培養装置の開発、受託培養、等において上記の支援装置が利用されてもよい。上記実施形態において、装置培養条件の設定、試験装置の操作、及び、試験結果の評価は、基本的に、人間によって行われるが、それらの全部又は一部が自動化されてもよい。上記実施形態に含まれる複数の装置がネットワークを介して相互に接続されてもよい。そのネットワークにはインターネットが含まれる。例えば、支援装置がインターネット上のクラウドサービスとして構成されてもよい。
12 培養者、10 製造者、14 専門機関、18 試験用培養装置、20 装置培養試験、22 条件決定、24 手技培養試験、32 支援装置、36 評価、40 セットアップ、44 カスタマイズ済み培養装置、76 パラメータセット、104 処理部、106 データベース(DB)、116-1,116-2,116-n テーブル(培養条件ペア)。

Claims (13)

  1. 培養者である第1主体の手技培養試験により見付け出された特定の細胞の手技培養条件に基づいて、前記第1主体とは異なる培養装置製造及び装置培養試験を行う第2主体において前記特定の細胞の初期の試験用装置培養条件を決定する初期決定工程と、
    前記第2主体において、前記初期の試験用装置培養条件を含む複数の試験用装置培養条件を試験用培養装置に対して設定しながら前記試験用培養装置を用いた複数の装置培養試験を実行することにより、前記特定の細胞の設定用装置培養条件を見付け出す試験工程と、
    前記第2主体により培養装置に対して前記設定用装置培養条件を設定することにより、前記第1主体に提供するカスタマイズされた培養装置として前記特定の細胞を培養する専用培養装置を生成する設定工程と、
    を含むことを特徴とする培養装置セットアップ方法。
  2. 請求項1記載の方法において、
    複数の培養条件ペアがデータベース上において管理されており、
    前記各培養条件ペアは、過去において見付け出された手技培養条件、及び、それを基礎として過去において見付け出された装置培養条件、により構成され、
    前記初期決定工程では、前記データベースの利用を通じて前記初期の試験用装置培養条件が決定される、
    ことを特徴とする培養装置セットアップ方法。
  3. 請求項記載の方法において、
    前記データベース上において前記培養条件ペアごとに細胞情報が付与されており、
    前記初期決定工程では、指定された細胞情報に従って、前記データベースに登録されている複数の培養条件ペアの中から参照対象となる培養条件ペアが選ばれる、
    ことを特徴とする培養装置セットアップ方法。
  4. 請求項記載の方法において、
    前記初期決定工程では、前記見付け出された手技培養条件が前記参照対象となった培養条件ペアの内の手技培養条件と比較され、前記参照対象となった培養条件ペアの内の装置培養条件が前記初期の装置培養条件の決定で参照される、
    ことを特徴とする培養装置セットアップ方法。
  5. 請求項記載の方法において、
    前記手技培養試験により見付け出された手技培養条件が新たな手技培養条件として前記データベースに登録され、
    前記装置培養試験により見付け出された装置培養条件が新たな装置培養条件として前記データベースに登録され、
    前記新たな手技培養条件及び前記新たな装置培養条件により新たな培養条件ペアが構成される、
    ことを特徴とする培養装置セットアップ方法。
  6. 請求項1記載の方法において、
    前記試験工程では、前記装置培養試験ごとに装置培養試験結果が要求仕様を満たすか否かが判定され、
    前記装置培養試験結果が前記要求仕様を満たさない場合に、当該装置培養試験結果を生じさせた試験用装置培養条件の修正により次の試験用装置培養条件が定められ、
    前記装置培養試験結果が前記要求仕様を満たす場合に、当該装置培養試験結果を生じさせた試験用装置培養条件が前記設定用装置培養条件として定められる、
    ことを特徴とする培養装置セットアップ方法。
  7. 請求項記載の方法において、
    前記要求仕様は、前記手技培養試験の結果に基づいて定められる、
    ことを特徴とする培養装置セットアップ方法。
  8. 請求項1記載の方法において、
    前記試験用培養装置及び前記カスタマイズされた培養装置は、仕様同一性を満たした物理的に異なる装置である、
    ことを特徴とする培養装置セットアップ方法。
  9. 培養装置セットアップ方法を実施する際に利用される支援装置であって、
    前記培養装置セットアップ方法は、
    培養者である第1主体の手技培養試験により見付け出された特定の細胞の手技培養条件に基づいて、前記第1主体とは異なる培養装置製造及び装置培養試験を行う第2主体において前記特定の細胞の初期の試験用装置培養条件を決定する初期決定工程と、
    前記第2主体において、前記初期の試験用装置培養条件を含む複数の試験用装置培養条件を試験用培養装置に対して設定しながら前記試験用培養装置を用いた複数の装置培養試験を実行することにより、前記特定の細胞の設定用装置培養条件を見付け出す試験工程と、
    前記第2主体により培養装置に対して前記設定用装置培養条件を設定することにより、前記第1主体に提供するカスタマイズされた培養装置として前記特定の細胞を培養する専用培養装置を生成する設定工程と、
    を含み、
    前記支援装置は、複数の培養条件ペアを管理するためのデータベースを含み、
    前記各培養条件ペアは、過去において見付け出された手技培養条件、及び、それを基礎として過去において見付け出された装置培養条件、により構成され、
    前記初期決定工程では、前記データベースの利用を通じて前記初期の試験用装置培養条件が決定される、
    ことを特徴とする支援装置。
  10. 請求項記載の支援装置において、
    前記手技培養試験により見付け出された手技培養条件を新たな手技培養条件として前記データベースに登録する第1登録部と、
    前記複数の装置培養試験により見付け出された装置培養条件を新たな装置培養条件として前記データベースに登録する第2登録部と、
    を含み、
    前記新たな手技培養条件及び前記新たな装置培養条件が相互に関連付けられ、これにより新たな培養条件ペアが構成される、
    ことを特徴とする支援装置。
  11. 請求項記載の培養装置セットアップ方法において、
    前記試験用培養装置及び前記培養装置は、それぞれ、
    培養容器を載せた揺動テーブルと、
    直交関係にあるx軸回り及びy軸回りにおいて前記揺動テーブルを揺動させる揺動機構と、
    を含み、
    前記各試験用装置培養条件及び前記設定用装置培養条件には、前記揺動テーブルの揺動を規定するx軸回り揺動条件及びy軸回り揺動条件が含まれる、
    ことを特徴とする培養装置セットアップ方法。
  12. 培養装置セットアップ方法で利用される試験用培養装置であって、
    前記培養装置セットアップ方法は、
    培養者である第1主体の手技培養試験により見付け出された特定の細胞の手技培養条件に基づいて、前記第1主体とは異なる培養装置製造及び装置培養試験を行う第2主体において前記特定の細胞の初期の試験用装置培養条件を決定する初期決定工程と、
    前記第2主体において、前記初期の試験用装置培養条件を含む複数の試験用装置培養条件を試験用培養装置に対して設定しながら前記試験用培養装置を用いた複数の装置培養試験を実行することにより、前記特定の細胞の設定用装置培養条件を見付け出す試験工程と、
    前記第2主体により培養装置に対して前記設定用装置培養条件を設定することにより、前記第1主体に提供するカスタマイズされた培養装置として前記特定の細胞を培養する専用培養装置を生成する設定工程と、
    を含み、
    前記試験用培養装置は、
    前記複数の試験用装置培養条件が格納される記憶部と、
    前記複数の試験用装置培養条件に従って前記複数の装置培養試験を制御する制御部と、
    を含むことを特徴とする試験用培養装置。
  13. 請求項12記載の試験用培養装置において、
    前記試験用培養装置は、前記カスタマイズされた培養装置が備える物理的構成に対して同一性を満たす物理的構成を備える、
    ことを特徴とする試験用培養装置。
JP2019183587A 2019-10-04 2019-10-04 培養装置セットアップ方法、支援装置及び培養装置 Active JP7474576B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019183587A JP7474576B2 (ja) 2019-10-04 2019-10-04 培養装置セットアップ方法、支援装置及び培養装置
PCT/JP2020/017702 WO2021065062A1 (ja) 2019-10-04 2020-04-24 培養装置セットアップ方法、支援装置及び培養装置
US17/762,392 US20220340862A1 (en) 2019-10-04 2020-04-24 Culturing apparatus setup method, assistance apparatus, and culturing apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019183587A JP7474576B2 (ja) 2019-10-04 2019-10-04 培養装置セットアップ方法、支援装置及び培養装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021058120A JP2021058120A (ja) 2021-04-15
JP7474576B2 true JP7474576B2 (ja) 2024-04-25

Family

ID=75336856

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019183587A Active JP7474576B2 (ja) 2019-10-04 2019-10-04 培養装置セットアップ方法、支援装置及び培養装置

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20220340862A1 (ja)
JP (1) JP7474576B2 (ja)
WO (1) WO2021065062A1 (ja)

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019041656A (ja) 2017-08-31 2019-03-22 株式会社Ihi 培養支援装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2434021A1 (en) * 2010-09-27 2012-03-28 Technische Universität München Apparatus and method for evaluating characteristics of target molecules
JPWO2019044559A1 (ja) * 2017-08-30 2020-12-24 ファーマバイオ株式会社 製造装置、システム及び方法
WO2019163304A1 (ja) * 2018-02-22 2019-08-29 株式会社ニコン 培養支援装置、観察装置、及びプログラム

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019041656A (ja) 2017-08-31 2019-03-22 株式会社Ihi 培養支援装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021058120A (ja) 2021-04-15
WO2021065062A1 (ja) 2021-04-08
US20220340862A1 (en) 2022-10-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Høstgaard et al. Methods to identify, study and understand end-user participation in HIT development
Friedman What is unique about learning health systems?
JP7474576B2 (ja) 培養装置セットアップ方法、支援装置及び培養装置
Nehl et al. The RADx tech test verification core and the ACME POCT in the evaluation of COVID-19 testing devices: A model for progress and change
Wang et al. Cohort Profile: The National Institute for Health Research Health Informatics Collaborative: Hepatitis B Virus (NIHR HIC HBV) research dataset
Sakai et al. Card Sorting Techniques for Domain Characterization in Problem-driven Visualization Research.
Sharma et al. Using HTA and guideline development as a tool for research priority setting the NICE way: reducing research waste by identifying the right research to fund.
Walsh Jr et al. Practices for running a research-oriented shared cryo-EM facility
Matentzoglu et al. Phenotype Ontologies Traversing All The Organisms (POTATO) workshop aims to reconcile logical definitions across species. Workshop Report
Anguita et al. A review of methods and tools for database integration in biomedicine
CN113658676B (zh) 一种基于互联网的认知行为心理健康管理方法及系统
Muñoz et al. A systematic model for process development activities to support process intelligence
Shweikh et al. The Growing Need for Ophthalmic Data Standardization
Whelan et al. Intelligent software for laboratory automation
Triansyah et al. Design and Build a Web-Based Service Information System at the Sejahtera Medika Clinic in Rangkasbitung
Putoto et al. Harmonization of clinical laboratories in Africa: a multidisciplinary approach to identify innovative and sustainable technical solutions
Kelly et al. Collections assessment: developing sustainable programs and projects
Lim et al. Factors associated with turnover intention among hospital nurses: A systematic review and meta-analysis
García Simón et al. Characterization and treatment of the temporal dimension of genomic variations: a conceptual model-based approach
Tejan et al. IMPACT OF ARTIFICIAL INTELLIGENCE ON THE HUMAN WORLD.
Hansen et al. Model for Evaluating the Implementation of a Third Generation EHR System
Pelayo et al. Findings from the 2018 yearbook section on human factors and organizational issues
Czechowski et al. Implementing a new ERMS & link resolver to better manage E-resources
Mercadé et al. Research mapping in the teaching environment: tools based on network visualizations for a dynamic literature review
Kwon et al. Clinical decision support system for clinical nurses’ decision-making on nurse-to-patient assignment: a scoping review protocol

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220922

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230808

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231002

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20231128

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20240214

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240227

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20240301

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20240311

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20240325

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240402

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240415

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7474576

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150