JP7474065B2 - 複数の変敗原因菌の同時検出方法および複数の変敗原因菌の同時検出用組成物 - Google Patents

複数の変敗原因菌の同時検出方法および複数の変敗原因菌の同時検出用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、複数の変敗原因菌の同時検出方法および複数の変敗原因菌の同時検出用組成物に関する。
微生物の中には、芽胞を形成する細菌が存在する。芽胞形成細菌は、生存に良好な環境では活発に分裂し増殖するが、環境の栄養分が減少したり、乾燥するなど、増殖に不利な環境になると芽胞を形成する。芽胞は極めて高い耐久性を持っており、さらに環境が悪化して通常の細菌が死滅する状況に陥っても生き残ることが可能である。しかし、芽胞の状態では細菌は新たに分裂することはできず、その代謝も限られている。
芽胞は栄養細胞の中に形成される耐久型細胞であり、水分含有量が非常に低く、殆ど代謝せず、いわば休眠状態にある。この状態のときは種々のストレスに強い耐性を示し、加熱に対する抵抗性も強く、殺滅には100℃以上で所定時間以上の加熱が必要である。休眠状態にある芽胞は、生き残った芽胞が再びその細菌の増殖に適した環境に置かれると、当該芽胞が発芽して、通常の増殖・代謝能を有する菌体が作られる。
芽胞は耐熱性が強いために、加熱殺菌によって微生物の制御をしている容器詰め食品では、その存在が問題となる。芽胞は、容器詰め食品にとって最も重要な生物学的危害要因で、加熱殺菌の指標となっている。
食品材料の炭水化物や脂肪等が分解されて風味が悪くなり食用に適さなくなることを変敗というが、容器詰め食品(例えば飲料缶詰)において変敗を引き起こす事例が認められることがあった。
容器詰め食品や飲料の製造現場において、バチルス属菌やパエニバチルス属菌は変敗の原因菌(以下、変敗原因菌と称する)として、注意が必要な菌種であることが知られている(非特許文献1~3)。
バチルス属菌やパエニバチルス属菌は、食品の低温保存で問題となる変敗原因菌である。近年、市場には様々なチルド食品の上市が相次ぎ、また食品のロングライフ化商品の開発における取り組みは、食品業界でも注目を浴びている。加えて食品ロスの問題が社会的にもクローズアップされる中、食品業界の微生物学的衛生管理を適切に行っていく上で、これらの菌種についての検出方法は重要な技術であると考えられる。
低温保存されるチルド食品の殺菌は、一般的に90℃で10分以上行い、4℃以下で保管することが定められている。加熱処理が適切であれば、生残し、問題となるケースは少ないと考えられる。しかし、当該チルド食品の種類は多岐にわたり、上記のような加熱条件で十分な殺菌ができないケースもあり、その場合には他の条件(水分活性やpHなど)を細菌にとって厳しい環境に設定することによって、製品の安全性を確保している。
従って、上述した変敗原因菌の制御については、食品業界において非常に重要であると考えられる。
Durak, Z. M., Fromm, I. H., Huck, R. J., Zadoks, N. R., Boor, J. K., 2006. Development of molecular typing methods for Bacillus spp. and Paenibacillus spp. isolated from fluid milk products. Journal of Food Science 71, M50. Cabo, L. M., Torres, B., Herrera, J. J., Bernardez, M., Pastoriza, L., 2009. Application of nisin and pediocin against resistance and germination of Bacillus spores in sous vide products. Journal of Food Protection 72, 515-523. Jan, S., Brunet, N., Techer, C., Le Marechal, C., Kone, Z. A., Grosset, N., Cochet, F. M., Gillard, A., Gautier, M., Puterflam, J., Baron, F., 2011. Biodiversity of psychrotrophic bacteria of the Bacillus cereus group collected on farm and in egg product industry. Food Microbiology 28, 261-265.
上述した変敗原因菌の検出は、例えばターゲットとなる変敗原因菌に適した培養法などによって行われていたが、当該培養法は熟練の技術や時間を要していた。そのため、当該変敗原因菌を簡易かつ迅速に検出でき、客観性かつ高い再現性を担保できる技術の実用化が望まれている。また、上述した変敗原因菌において、特にバチルス属菌やパエニバチルス属菌を迅速に検出できれば、食品の品質管理やリスク評価に利用できると期待される。
従って、本発明の目的は、核酸増幅法を使用した複数の変敗原因菌の同時検出方法、および、複数の変敗原因菌の同時検出用組成物を提供することにある。
即ち、上記目的を達成するため、以下の[1]~[11]に示す発明を提供する。
[1]複数の変敗原因菌を4つのグループに分け、
当該4つのグループのうちの所定のグループと、前記所定のグループ以外の一つの他のグループとの組み合わせを、他のグループの全てにおいてそれぞれ作製する組み合わせ工程と、
被検体試料中に含まれる細菌から抽出した核酸を鋳型として、
前記所定のグループの変敗原因菌におけるターゲットポリヌクレオチドを増幅する所定のプライマー対と、組み合わせた前記他のグループの変敗原因菌におけるターゲットポリヌクレオチドを増幅する他のプライマー対と、を使用してそれぞれのターゲットポリヌクレオチドの増幅を同時に行なう増幅工程と、
前記所定のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な所定のプローブと、前記他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な他のプローブと、に基づいて前記所定のグループおよび前記他のグループの変敗原因菌を同時に検出する検出工程と、を含む処理を行い、
前記組み合わせ工程で作製した全ての組み合わせについて、それぞれ前記増幅工程および前記検出工程を行う、複数の変敗原因菌の同時検出方法。
[2]前記増幅工程および前記検出工程が、マルチプレックスリアルタイムPCRによって行われる[1]に記載の複数の変敗原因菌の同時検出方法。
[3]前記変敗原因菌がバチルス属菌およびパエニバチルス属菌の少なくとも何れかである[1]または[2]に記載の複数の変敗原因菌の同時検出方法。
[4]前記所定のグループがバチルス・サブチリスを含み、
前記3つの他のグループが、それぞれ、バチルス・セレウスを含むグループ、バチルス・シンプレックスを含むグループ、パエニバチルス属を含むグループである[3]に記載の複数の変敗原因菌の同時検出方法。
[5]前記所定のプライマー対が、バチルス・サブチリスのrpoBをコードする遺伝子に由来する配列番号1に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号2に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせであるプライマー対であり、
前記他のプライマー対が、
バチルス・セレウスのrpoBをコードする遺伝子に由来する配列番号4に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号5に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせである第一の他のプライマー対、
バチルス・シンプレックスの16S rRNAをコードする遺伝子に由来する配列番号7に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号8に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせである第二の他のプライマー対、および、
パエニバチルス属の16S rRNAをコードする遺伝子に由来する配列番号10に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号11に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせである第三の他のプライマー対、の何れかである[4]に記載の複数の変敗原因菌の同時検出方法。
[6]前記所定のプローブが、前記所定のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な配列番号3に記載された配列からなるプローブであり、
前記他のプローブが、
前記第一の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な配列番号6に記載された配列からなる第一の他のプローブ、
前記第二の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な配列番号9に記載された配列からなる第二の他のプローブ、および、
前記第三の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な配列番号12に記載された配列からなる第三の他のプローブ、の何れかである[5]に記載の複数の変敗原因菌の同時検出方法。
[7]前記所定のプローブおよび前記他のプローブが、光学的に標識されたものである[1]~[6]の何れか一項に記載の複数の変敗原因菌の同時検出方法。
[8]前記所定のプローブが、5’末端に蛍光色素としてVIC(登録商標)を含み、3’末端にMGBクエンチャーを含んでおり、
前記他のプローブが、5’末端に蛍光色素としてFAM(商標)を含み、3’末端にTAMRA(商標)クエンチャーを含んでいる[7]に記載の複数の変敗原因菌の同時検出方法。
[9]複数の変敗原因菌を4つのグループに分け、
当該4つのグループのうちの所定のグループと、前記所定のグループ以外の二つの他のグループとの組み合わせを作製する組み合わせ工程と、
被検体試料中に含まれる細菌から抽出した核酸を鋳型として、
前記所定のグループの変敗原因菌におけるターゲットポリヌクレオチドを増幅する所定のプライマー対と、組み合わせた第一の他のグループの変敗原因菌におけるターゲットポリヌクレオチドを増幅する第一の他のプライマー対と、組み合わせた第二の他のグループの変敗原因菌におけるターゲットポリヌクレオチドを増幅する第二の他のプライマー対と、を使用してそれぞれのターゲットポリヌクレオチドの増幅を同時に行なう増幅工程と、
前記所定のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な所定のプローブと、前記第一の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な第一の他のプローブと、前記第二の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な第二の他のプローブと、に基づいて前記所定のグループおよび前記二つの他のグループの変敗原因菌を同時に検出する検出工程と、を含む処理を行い、
前記組み合わせ工程で作製した全ての組み合わせについて、それぞれ前記増幅工程および前記検出工程を行う、複数の変敗原因菌の同時検出方法。
[10]バチルス・サブチリスのrpoBをコードする遺伝子に由来する配列番号1に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号2に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせである所定のプライマー対、および、配列番号3に記載された配列からなる所定のプローブのセットの混合物、を含み、
さらに、
バチルス・セレウスのrpoBをコードする遺伝子に由来する配列番号4に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号5に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせである第一の他のプライマー対、および、配列番号6に記載された配列からなる第一の他のプローブのセットの混合物、
バチルス・シンプレックスの16S rRNAをコードする遺伝子に由来する配列番号7に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号8に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせである第二の他のプライマー対、および、配列番号9に記載された配列からなる第二の他のプローブのセットの混合物、および、
パエニバチルス属の16S rRNAをコードする遺伝子に由来する配列番号10に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号11に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせである第三の他のプライマー対、および、配列番号12に記載された配列からなる第三の他のプローブのセットの混合物、からなる群から選ばれる何れかの混合物を含む、マルチプレックスリアルタイムPCRに使用する、複数の変敗原因菌の同時検出用組成物。
[11]前記所定のプローブが、5’末端に蛍光色素としてVIC(登録商標)を含み、3’末端にMGBクエンチャーを含んでおり、
前記他のプローブが、5’末端に蛍光色素としてFAM(商標)を含み、3’末端にTAMRA(商標)クエンチャーを含んでいる[10]に記載の複数の変敗原因菌の同時検出用組成物。
本発明によれば、4つのグループに分けた変敗原因菌を、グループ別に(グループ単位で)同時検出することができる。また、このような同時検出を公知の核酸増幅法(例えばマルチプレックスリアルタイムPCR)で簡便に行なうことができる。本発明では、複数の変敗原因菌を4つのグループに分け、当該4つのグループのうちの所定のグループと、所定のグループ以外の一つの他のグループとの組み合わせを、他のグループの全てにおいてそれぞれ作製する組み合わせ工程を行う。当該組み合わせ工程では同時に検出しようとする変敗原因菌のグループの組み合わせを作製する。複数の変敗原因菌を4つのグループに分ける際には、各変敗原因菌が有する特定の配列(ターゲットポリヌクレオチド)が共通のプライマー対で増幅できるように、例えば特定の遺伝子における特定の配列の類似性で分類できるもの等を考慮してグループ分けするとよい。また、当該組み合わせは所定のグループを基軸とし、所定のグループと、所定のグループ以外の一つの他のグループとの組み合わせを作製する。さらにこのような組み合わせを、他のグループの全てにおいてそれぞれ作製する。
複数の変敗原因菌はバチルス属菌およびパエニバチルス属菌の少なくとも何れかとするのがよい。本発明ではグループを4つとし、所定のグループがバチルス・サブチリスを含み、3つの他のグループが、それぞれ、バチルス・セレウスを含むグループ、バチルス・シンプレックスを含むグループ、パエニバチルス属を含むグループとするのがよい。上記の「バチルス・サブチリスを含み」とは、バチルス・サブチリスおよびバチルス・サブチリスと上述した類似性を有して同じグループに分類できる変敗原因菌を含むことをいうものとする。同様に、「バチルス・セレウスを含み」とは、バチルス・セレウスおよびバチルス・セレウスと上述した類似性を有して同じグループに分類できる変敗原因菌を含むことをいい、「バチルス・シンプレックスを含み」とは、バチルス・シンプレックスおよびバチルス・シンプレックスと上述した類似性を有して同じグループに分類できる変敗原因菌を含むことをいい、「パエニバチルス属を含み」とは、パエニバチルス属およびパエニバチルス属と上述した類似性を有して同じグループに分類できる変敗原因菌を含むことをいうものとする。
上記の場合、組み合わせ工程では、バチルス・サブチリスを含む所定のグループおよびバチルス・セレウスを含む第一の他のグループの組み合わせ、バチルス・サブチリスを含む所定のグループおよびバチルス・シンプレックスを含む第二の他のグループの組み合わせ、バチルス・サブチリスを含む所定のグループおよびパエニバチルス属を含む第三の他のグループの組み合わせ、の3つの組み合わせを作製することができる。
また、被検体試料中に含まれる細菌から抽出した核酸を鋳型として、組み合わせ工程で作製した全ての組み合わせについて、それぞれ増幅工程および検出工程を行う。増幅工程では、グループ分けしたあるグループを、他のグループと区別して特異的に検出できるプライマー対を使用する。
例えば第一の組み合わせとして、所定のグループに属する菌種(バチルス・サブチリスなど)および第一の他のグループに属する菌種(バチルス・セレウスなど)を同時に検出するため、被検体試料中に含まれる細菌から抽出した核酸を含む検体に対して、以下の同時検出用組成物を使用してマルチプレックスリアルタイムPCRを行う。当該同時検出用組成物は、バチルス・サブチリスのrpoBをコードする遺伝子に由来する所定のプライマー対(配列番号1,2)、および、所定のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な所定のプローブ(配列番号3)のセットの混合物を含み、バチルス・セレウスのrpoBをコードする遺伝子に由来する第一の他のプライマー対(配列番号4,5)、および、第一の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な第一の他のプローブ(配列番号6)のセットの混合物を含む。
増幅工程では、所定のプライマー対および第一の他のプライマー対を使用して核酸増幅を行うため、それぞれのターゲットポリヌクレオチドの増幅を同時に行なうことができる。所定のプライマー対は、バチルス・サブチリスのrpoBをコードする遺伝子においてバチルス・サブチリスに特徴的な配列に基づいて設計したため、所定のプライマー対を使用して増幅した増幅産物は、バチルス・サブチリスのrpoB由来のものとなる。即ち、グループ分けにおいて「特定の遺伝子における特定の配列の類似性」を考慮して、所定のグループがバチルス・サブチリスのrpoBにおける特定の配列を考慮したものであれば、当該増幅産物は上述した類似性を有する所定のグループに属する何れかの菌種由来であると推定することができる。
また、第一の他のプライマー対は、バチルス・セレウスのrpoBをコードする遺伝子においてバチルス・セレウスに特徴的な配列に基づいて設計したため、第一の他のプライマー対を使用して増幅した増幅産物は、バチルス・セレウスのrpoB由来のものとなる。即ち、第一の他のグループがバチルス・セレウスのrpoBにおける特定の配列を考慮したものであれば、当該増幅産物は上述した類似性を有する第一の他のグループに属する何れかの菌種由来であると推定することができる。
検出工程では、所定のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な所定のプローブと、第一の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な他のプローブと、を使用するため、所定のグループおよび前記他のグループの変敗原因菌を同時に検出することができる。
所定のプローブおよび他のプローブは、検出工程においてそれぞれを区別して検出できるように光学的に標識しておくのがよい。例えば所定のプローブが、5’末端に蛍光色素としてVIC(登録商標)を含み、3’末端にMGBクエンチャーを含んでおり、他のプローブが、5’末端に蛍光色素としてFAM(商標)を含み、3’末端にTAMRA(商標)クエンチャーを含むようにすればよい。
従って、第一の組み合わせにおいて上記の増幅工程および検出工程を行った結果、所定のプローブ(配列番号3)における蛍光標識VICの蛍光が検出されれば、被検体試料中には、所定のグループ(バチルス・サブチリスなど)に属する菌種の何れかが存在すると判断することができる。また、第一の他のプローブ(配列番号6)における蛍光標識FAMの蛍光が検出されれば、被検体試料中には、第一の他のグループ(バチルス・セレウスなど)に属する菌種の何れかが存在すると判断することができる。
本発明では、組み合わせ工程で作製した全ての組み合わせについて、それぞれ増幅工程および検出工程を行うため、残りの全ての組み合わせについてもそれぞれ増幅工程および検出工程を行う。
即ち、第二の組み合わせとして、所定のグループに属する菌種(バチルス・サブチリスなど)および第二の他のグループに属する菌種(バチルス・シンプレックスなど)を同時に検出するため、被検体試料中に含まれる細菌から抽出した核酸を含む検体に対して、以下の同時検出用組成物を使用してマルチプレックスリアルタイムPCRを行う。当該同時検出用組成物は、所定のプライマー対(配列番号1,2)および所定のプローブ(配列番号3)のセットの混合物を含み、バチルス・シンプレックスの16S rRNAをコードする遺伝子に由来する第二の他のプライマー対(配列番号7,8)および、第二の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な第二の他のプローブ(配列番号9)のセットの混合物を含む。
第二の他のプライマー対は、バチルス・シンプレックスの16S rRNAをコードする遺伝子においてバチルス・シンプレックスに特徴的な配列に基づいて設計したため、第二の他のプライマー対を使用して増幅した増幅産物は、バチルス・シンプレックスの16S rRNA由来のものとなる。即ち、第二の他のグループがバチルス・シンプレックスの16S rRNAにおける特定の配列を考慮したものであれば、当該増幅産物は上述した類似性を有する第二の他のグループに属する何れかの菌種由来であると推定することができる。
従って、第二の組み合わせにおいて上記の増幅工程および検出工程を行った結果、所定のプローブ(配列番号3)における蛍光標識VICの蛍光が検出されれば、被検体試料中には、所定のグループ(バチルス・サブチリスなど)に属する菌種の何れかが存在すると判断することができる。また、第二の他のプローブ(配列番号9)における蛍光標識FAMの蛍光が検出されれば、被検体試料中には、第二の他のグループ(バチルス・シンプレックスなど)に属する菌種の何れかが存在すると判断することができる。
また、第三の組み合わせとして、所定のグループに属する菌種(バチルス・サブチリスなど)および第三の他のグループに属する菌種(パエニバチルス属)を同時に検出するため、被検体試料中に含まれる細菌から抽出した核酸を含む検体に対して、以下の同時検出用組成物を使用してマルチプレックスリアルタイムPCRを行う。当該同時検出用組成物は、所定のプライマー対(配列番号1,2)および所定のプローブ(配列番号3)のセットの混合物を含み、パエニバチルス属の16S rRNAをコードする遺伝子に由来する第三の他のプライマー対(配列番号10,11)および、第三の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な第三の他のプローブ(配列番号12)のセットの混合物を含む。
第三の他のプライマー対は、パエニバチルス属の16S rRNAをコードする遺伝子においてパエニバチルス属に特徴的な配列に基づいて設計したため、第三の他のプライマー対を使用して増幅した増幅産物は、パエニバチルス属の16S rRNA由来のものとなる。即ち、第三の他のグループがパエニバチルス属の16S rRNAにおける特定の配列を考慮したものであれば、当該増幅産物は上述した類似性を有する第三の他のグループに属する何れかの菌種由来であると推定することができる。
従って、第三の組み合わせにおいて上記の増幅工程および検出工程を行った結果、所定のプローブ(配列番号3)における蛍光標識VICの蛍光が検出されれば、被検体試料中には、所定のグループ(バチルス・サブチリスなど)に属する菌種の何れかが存在すると判断することができる。また、第三の他のプローブ(配列番号12)における蛍光標識FAMの蛍光が検出されれば、被検体試料中には、第三の他のグループ(パエニバチルス属)に属する菌種の何れかが存在すると判断することができる。
従って、本発明の複数の変敗原因菌の同時検出用組成物を使用して本発明の複数の変敗原因菌の同時検出方法を適用すれば、複数の変敗原因菌をグループ別に同時に検出することができる。また、本方法では、例えば4つのグループに分けた変敗原因菌をグループ別に検出するために行うPCR反応は3回でよいため、変敗原因菌の定量を簡易かつ迅速に行うことができる。
尚、上記[1]~[]においては、組み合わせ工程において、所定のグループと、所定のグループ以外の一つの他のグループとの組み合わせを作製する。従って、同時に検出しようとする変敗原因菌のグループ数は二つである。また、上記[]では、組み合わせ工程において、所定のグループと組み合わせる他のグループを二つにして実施することが可能である。この場合、同時に検出しようとする変敗原因菌のグループ数は三つである。
本方法の流れ図である。 プライマーおよびプローブの特異性試験(シングルプレックスリアルタイムPCR)の結果を示した図である。 プライマーおよびプローブの特異性試験(マルチプレックスリアルタイムPCR)の結果を示した図である。 プライマーおよびプローブの特異性試験(シングルプレックスリアルタイムPCR)の結果を示した図である。 プライマーおよびプローブの特異性試験(マルチプレックスリアルタイムPCR)の結果を示した図である。 所定のグループのアライメントの結果を示した図である。 第一の他のグループのアライメントの結果を示した図である。 第二の他のグループのアライメントの結果を示した図である。 第三の他のグループのアライメントの結果を示した図である。 所定のグループおよび第一の他のグループの標準株を用いて作成された検量線を示したグラフである。 所定のグループおよび第二の他のグループの標準株を用いて作成された検量線を示したグラフである。 所定のグループおよび第三の他のグループの標準株を用いて作成された検量線を示したグラフである。 4種類の標準株について細菌数を推定するために作成された検量線を示したグラフである。 スパイク試験(ミルク、ポテトサラダ)の結果を示したグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の複数の変敗原因菌の同時検出方法では、例えば容器詰め食品中から採取した食品サンプルを被検体試料とし、当該被検体試料に変敗原因菌が含まれるか否かを判断する。また、当該被検体試料に変敗原因菌が含まれる場合は、いずれのレベルまで検出可能であるかを判断する。
本方法は、図1に示したように、複数の変敗原因菌を複数のグループに分け、当該複数のグループのうちの所定のグループと、所定のグループ以外の一つの他のグループとの組み合わせを、他のグループの全てにおいてそれぞれ作製する組み合わせ工程Aと、以下の増幅工程Bと、検出工程Cと、を含む処理を行う。
増幅工程Bは、被検体試料中に含まれる細菌から抽出した核酸を鋳型として、所定のグループの変敗原因菌におけるターゲットポリヌクレオチドを増幅する所定のプライマー対と、組み合わせた他のグループの変敗原因菌におけるターゲットポリヌクレオチドを増幅する他のプライマー対と、を使用してそれぞれのターゲットポリヌクレオチドの増幅を同時に行なう処理である。
検出工程Cは、所定のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な所定のプローブと、他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な他のプローブと、に基づいて所定のグループおよび他のグループの変敗原因菌を同時に検出する処理である。
また、組み合わせ工程Aで作製した全ての組み合わせについて、それぞれ増幅工程Bおよび検出工程Cを行う。
「変敗原因菌」は、容器詰め食品(例えば飲料缶詰)の風味が悪くなり食用に適さなくなる変敗を引き起こすと考えられる原因菌、または、当該原因菌が属する細菌属(例えばバチルス属菌、パエニバチルス属菌、モーレラ属菌、ジオバチルス属菌およびサーモアナエロバクテリウム属菌)などであれば、特に限定されるものではない。本実施形態では、変敗原因菌をバチルス属菌およびパエニバチルス属菌とする場合について説明する。
「被検体試料」は、食品・飲料などの対象物を収容容器に収容したレトルト食品・缶詰・PETボトル飲料、パウチ総菜、パック詰め飲料等のチルド食品等の容器入り食品からその一部又は全部を採取した食品サンプルである。しかし、これに限定されるものではなく、変敗原因菌を含有する可能性のあるサンプルであればよい。
組み合わせ工程Aは、同時に検出しようとする変敗原因菌のグループの組み合わせを作製する工程である。複数の変敗原因菌は、一つの細菌属(例えばバチルス属菌)から選択した複数の変敗原因菌であってもよいし、複数の細菌属(例えばバチルス属菌およびパエニバチルス属菌)のそれぞれから選択した複数の変敗原因菌であってもよい。ここで示した細菌属および細菌属の組み合わせは例示に過ぎず、これらに限定されるものではない。
このようにして選択した複数の変敗原因菌を複数のグループに分ける際には、例えば特定の遺伝子における特定の配列の類似性で分類できるもの、病原細菌に分類できるもの、特定の性質を有するもの等を考慮してグループ分けするとよいが、このような態様に限定されるものではない。同じグループに分類された複数の変敗原因菌は、特定の配列(ターゲットポリヌクレオチド)が共通のプライマー対で増幅できるようにすればよい。
実施形態では複数のグループを4つとし、所定のグループがバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)を含み、3つの他のグループが、それぞれ、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)を含むグループ、バチルス・シンプレックス(Bacillus simplex)を含むグループ、パエニバチルス属(Paenibacillus)を含むグループとする場合について説明する。
本実施形態における所定のグループは耐寒性を有する細菌を含むグループであって、バチルス・サブチリスの他に、バチルス・リケニフォルミス(B.licheniformis)、バチルス・サフェンシス(B.safensis)、バチルス・プミルス(B.pumilus)、バチルス・アミロリクエファシエンス(B.amyloliquefaciens)、バチルス・アトロファウス(B.atrophaus)などを含む場合について説明するが、このような態様に限定されるものではない。
本実施形態における第一の他のグループは病原細菌を含むグループであって、バチルス・セレウスの他に、バチルス・ウェイヘンステファネンシス(B. weihenstephanensis)、バチルス・アントラシス(B.anthrasis)、バチルス・チューリンゲンシス(B.thuringiensis)、バチルス・シュードミコイデス(B.pseudomycoides)、バチルス・サイトトキシカス(B.cytotoxicus)などを含む場合について説明するが、このような態様に限定されるものではない。
本実施形態における第二の他のグループは熱安定性毒素を産生することができる細菌を含むグループであって、バチルス・シンプレックスの他に、バチルス・メガテリウム(B.megaterium)、バチルス・フレクサス(B.flexus)などを含む場合について説明するが、このような態様に限定されるものではない。
本実施形態における第三の他のグループはパエニバチルス属菌であって、パエニバチルス・オドリファー(P.odorifer)、パエニバチルス・ラウタス(P.lautus)、パエニバチルス・アルギノリティカス(P.alginolyticus)、パエニバチルス・マクアリエンシス(P.macquariensis subsp. defensor)、パエニバチルス・パブリ(P.pabuli)、パエニバチルス・ポリミキサ(P.polymyxa)、パエニバチルス・ピニ(P.pini)、パエニバチルス・チアミノリティカス(P.thiaminolyticus)、パエニバチルス・テラエ(P.terrae)などを含む場合について説明するが、このような態様に限定されるものではない。
組み合わせ工程Aでは、4つのグループのうちの所定のグループと、所定のグループ以外の他の一つのグループとの組み合わせを、3つの他のグループ(第一の他のグループ、第二の他のグループ、第三の他のグループ)の全てにおいてそれぞれ作製する。即ち、本実施形態の組み合わせ工程Aでは、バチルス・サブチリスを含む所定のグループおよびバチルス・セレウスを含む第一の他のグループの組み合わせ、バチルス・サブチリスを含む所定のグループおよびバチルス・シンプレックスを含む第二の他のグループの組み合わせ、バチルス・サブチリスを含む所定のグループおよびパエニバチルス属を含む第三の他のグループの組み合わせ、の3つの組み合わせを作製することができる。
また、本実施形態では、被検体試料中に含まれる細菌から抽出した核酸を鋳型として、組み合わせ工程Aで作製した3つの組み合わせについて、それぞれ増幅工程Bおよび検出工程Cを行う。
本方法では、被検体試料中に含まれる変敗原因菌のrpoBまたは16S rRNAをコードする遺伝子(ターゲットポリヌクレオチド)に存在する特異的な核酸配列に基づいたプライマーを設計し、被検体試料中に含まれる細菌から抽出した核酸を鋳型としてPCR法を適用し、特定のサイズのPCR増幅産物が得られたことを指標として変敗原因菌の同定を行う。本実施形態ではターゲットポリヌクレオチドをrpoBまたは16S rRNAとした場合について説明するが、グループ分けしたあるグループを、他のグループと区別して特異的に検出できるプライマー対が設計できる遺伝子(領域)であれば、これらに限定されるものではない。
「プライマー」は、例えばPCRなどの核酸増幅法などにおける酵素的重合の開始のための決められた条件下で、1本鎖の核酸又は核酸断片とハイブリダイズし、重合酵素であるポリメラーゼによる塩基伸長反応を誘導し得る通常約20塩基のヌクレオチド鎖である。
PCR法は、好ましくは定量性を担保するマルチプレックスリアルタイムPCRとするのがよいが、これに限定されるものではない。マルチプレックスリアルタイムPCRは、一つのPCR反応系において複数のプライマー対を同時に使用することで複数のDNA領域を同時に増幅する方法であって、通常のPCR法、および、PCRの増幅量をリアルタイムでモニターし解析するリアルタイムPCR法のいずれにおいても応用できる手法である。リアルタイムPCRであれば、増幅工程Bおよび検出工程Cは略同時進行で実施されることとなる。
マルチプレックスPCR法は、サンプルの取り扱いが最小限で済むので、労力や時間、費用が節約でき、またクロスコンタミネーションの危険性を減らすことができる。しかし、一方で、複数のプライマーを添加することによりプライマーダイマーが形成されやすく、高感度の反応系の設計が非常に難しい。しかし、本発明の複数の変敗原因菌の同時検出方法で使用するプライマー対によれば、スメアやプライマーダイマーといった非特異反応を抑制することができるため、簡便に複数の変敗原因菌の同時検出を行うことができる。
また、リアルタイムPCRは、通常のPCR法と異なり基本的に電気泳動が不要で迅速性と定量性に優れている。リアルタイムPCRは、サーマルサイクラーと分光蛍光光度計を一体化したリアルタイムPCR専用の装置で行うことができる。リアルタイムPCRのモニターは蛍光試薬を用いて行う。このような蛍光モニター法として、5’末端を蛍光物質で修飾し、3’末端をクエンチャー物質で修飾したオリゴヌクレオチドをプローブとして用いた蛍光標識プローブ法(TaqManプローブ法)や、二本鎖DNAに結合することで蛍光を発する試薬(インターカレーター)をPCR反応系に加えるインターカレーター法などを適用することができる。
蛍光標識プローブ法では、ターゲットポリヌクレオチドの特定領域にハイブリダイズしたプローブが分解されると、蛍光色素がプローブから遊離し、クエンチャーによる抑制が解除されて蛍光を発するようになる。この蛍光強度を検出することにより、増幅産物の生成量をモニターできる。一方、インターカレーター法におけるインターカレーターは、PCR反応によって合成された二本鎖DNAに結合し、励起光の照射により蛍光を発する。
この蛍光強度を検出することにより、増幅産物の生成量をモニターでき、また、増幅DNAの融解温度を測定することができる。本実施形態では、蛍光標識プローブ法によるマルチプレックスリアルタイムPCRを使用した場合について説明する。マルチプレックスリアルタイムPCRで使用するプローブは、プライマーによって増幅される鋳型DNAの領域内の何れかの部分配列に特異的にハイブリダイズする塩基配列を有するように設計するとよい。
即ち、本実施形態における増幅工程Bは、所定のグループの変敗原因菌におけるターゲットポリヌクレオチドを増幅する所定のプライマー対と、組み合わせた他のグループの変敗原因菌におけるターゲットポリヌクレオチドを増幅する他のプライマー対と、を使用してそれぞれのターゲットポリヌクレオチドの増幅を同時に行なう。
所定のプライマー対は、バチルス・サブチリスのrpoBをコードする遺伝子に由来する配列番号1に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号2に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせであるプライマー対である。
また、他のプライマー対は、以下の他のプライマー対の何れかである。即ち、他のプライマー対は、・バチルス・セレウスのrpoBをコードする遺伝子に由来する配列番号4に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号5に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせである第一の他のプライマー対、・バチルス・シンプレックスの16S rRNAをコードする遺伝子に由来する配列番号7に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号8に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせである第二の他のプライマー対、および、・パエニバチルス属の16S rRNAをコードする遺伝子に由来する配列番号10に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号11に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせである第三の他のプライマー対、の何れかである。
本実施形態における検出工程Cは、所定のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な所定のプローブと、他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な他のプローブと、に基づいて所定のグループおよび他のグループの変敗原因菌を同時に検出する。
所定のプローブは、所定のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な配列番号3に記載された配列からなるプローブである。
また、他のプローブは、以下の他のプローブの何れかである。即ち、他のプローブは、・第一の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な配列番号6に記載された配列からなる第一の他のプローブ、・第二の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な配列番号9に記載された配列からなる第二の他のプローブ、および、・第三の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な配列番号12に記載された配列からなる第三の他のプローブ、の何れかである。
上述したように、本実施形態では、被検体試料中に含まれる細菌から抽出した核酸を鋳型として、組み合わせ工程Aで作製した以下の3つの組み合わせについて、それぞれ増幅工程Bおよび検出工程Cを行う。
第一の組み合わせとして、所定のグループに属する菌種(バチルス・サブチリスなど)および第一の他のグループに属する菌種(バチルス・セレウスなど)を同時に検出するため、被検体試料中に含まれる細菌から抽出した核酸を含む検体に対して、以下の同時検出用組成物を使用してマルチプレックスリアルタイムPCRを行う。当該同時検出用組成物は、所定のプライマー対(配列番号1,2)および所定のプローブ(配列番号3)のセットの混合物を含み、第一の他のプライマー対(配列番号4,5)および第一の他のプローブ(配列番号6)のセットの混合物を含む。このとき使用したプライマーおよびプローブの配列は、以下の通りである。
Figure 0007474065000001
Figure 0007474065000002
第二の組み合わせとして、所定のグループに属する菌種(バチルス・サブチリスなど)および第二の他のグループに属する菌種(バチルス・シンプレックスなど)を同時に検出するため、被検体試料中に含まれる細菌から抽出した核酸を含む検体に対して、以下の同時検出用組成物を使用してマルチプレックスリアルタイムPCRを行う。当該同時検出用組成物は、所定のプライマー対(配列番号1,2)および所定のプローブ(配列番号3)のセットの混合物を含み、第二の他のプライマー対(配列番号7,8)および第二の他のプローブ(配列番号9)のセットの混合物を含む。このとき使用したプライマーおよびプローブの配列は、以下の通りである。
Figure 0007474065000003
第三の組み合わせとして、所定のグループに属する菌種(バチルス・サブチリスなど)および第三の他のグループに属する菌種(パエニバチルス属)を同時に検出するため、被検体試料中に含まれる細菌から抽出した核酸を含む検体に対して、以下の同時検出用組成物を使用してマルチプレックスリアルタイムPCRを行う。当該同時検出用組成物は、所定のプライマー対(配列番号1,2)および所定のプローブ(配列番号3)のセットの混合物を含み、第三の他のプライマー対(配列番号10,11)および第三の他のプローブ(配列番号12)のセットの混合物を含む。このとき使用したプライマーおよびプローブの配列は、以下の通りである。
Figure 0007474065000004
プライマーは、重合酵素であるポリメラーゼ存在下で核酸増幅のために使用される。
本発明で適用するマルチプレックスリアルタイムPCRでは、rpoBまたは16S rRNAをコードする遺伝子の所望領域(ターゲットポリヌクレオチド)を特異的に増幅する。例えば配列番号1に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号2に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせである所定のプライマー対を使用し、バチルス・サブチリスのrpoBをコードする遺伝子を鋳型とすれば、260bpのPCR産物を増幅することができる。
上述したプライマー対は、ターゲットポリヌクレオチドの核酸配列に基づき、当該所望領域が増幅できるように、プライマー3プラス(http://www.bioinformatics.nl/cgi-bin/primer3plus/primer3plus.cgi)等、公知の設計プログラム等により設計するとよい(設計工程)。
rpoBまたは16S rRNAをコードする遺伝子の所望領域の核酸配列は、例えばNCBI(National Center for Biotechnology Information)が提供しているGenBank(ジェンバンク)、および、NITE Biological Resource Center(NBRC)から得たものを使用すればよい。これらより得た配列はClustalX(Thompson et al.,1997)を使用してアライメントを行い、このアライメントの結果に基づいてプライマーを設計するのがよい。また、プローブは、上記の設計プログラムを用いて設計してもよいし、前記アライメントの結果に基づいてマニュアルで設計してもよい。
本実施形態では、プライマーおよびプローブについて、配列番号1~3についてはバチルス・サブチリス(NBRC 13719T)からのrpoB遺伝子の配列に基づいて設計し、配列番号4~6についてはバチルス・セレウス(JCM 20266)からのrpoB遺伝子の配列に基づいて設計し、配列番号7~9についてはバチルス・シンプレックス(JCM 12307T)からの16S rRNA遺伝子の配列に基づいて設計し、配列番号10~12についてはパエニバチルス・オドリファー(JCM 13339)の16S rRNA遺伝子の配列に基づいて設計する場合について説明する。
一対のプライマーは、数塩基~数十塩基の断片長を有するように設計し、好ましくはターゲットとなるPCR増幅産物のTm値がプライマーダイマー自体の値より高くなるようにプライマーを設計し、化学合成等の手法により合成する。当該化学合成は、公知のDNA合成手法により行なうことができる。例えば配列番号1のフォワードプライマーの断片長は20塩基、Tm値は61であり、配列番号2のリバースプライマーの断片長は18塩基、Tm値は56である。Tm値はGC%法を使用して計算している。
核酸増幅の条件(変性温度、アニール温度およびアニール時間、サイクル数、伸延温度および伸延時間)は、設計したプライマーの長さやGC含有量等によって適宜決定する。
PCRに使用するポリメラーゼは、DNAポリメラ-ゼ・Taqポリメラ-ゼのようなDNA依存型DNAポリメラ-ゼ等、公知の重合酵素を使用すればよい。
所定のプローブおよび他のプローブは、検出工程Cにおいてそれぞれを区別して検出できるように標識しておくのがよい。当該標識は、蛍光標識、発光標識、放射性標識、金属標識および酵素標識など公知の手法によって行うことができる。本実施形態では、所定のプローブおよび他のプローブを光学的に標識する場合について説明する。
具体的には、例えば第一の組み合わせで使用する所定のプローブ(配列番号3)および第一の他のプローブ(配列番号6)が検出工程Cにおいてそれぞれを区別して検出できるように、異なる蛍光色素で標識したものを使用するのがよい。本実施形態における蛍光標識プローブ法によるマルチプレックスリアルタイムPCR(TaqManプローブ法)では、5’末端を蛍光物質(レポーター)で修飾し、3’末端をクエンチャー物質で修飾したオリゴヌクレオチドプローブを使用するのがよい。このオリゴヌクレオチドプローブは、通常の状態ではクエンチャー色素によってレポーターの蛍光が抑制されている。この蛍光標識プローブを目的遺伝子(ターゲットポリヌクレオチド)に完全にハイブリダイズさせた状態で、その外側からDNAポリメラーゼを用いてPCRを行う。DNAポリメラーゼによる伸長反応が進むと、そのエキソヌクレアーゼ活性により蛍光標識プローブが5’端から加水分解され、蛍光物質が遊離して蛍光を発する。この蛍光強度をリアルタイムでモニタリングすることにより、鋳型DNAの初期量を正確に定量することができる。
5’末端を標識する蛍光物質としてはカルボキシフルオレセイン(FAM)、2’-クロロ-7’-フェニル-1,4-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(VIC)、ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、テトラクロロフルオレセイン(TET)およびCy5等を使用することができる。3’末端を標識するクエンチャー物質としては、カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)、マイナーグルーブバインダー(MGB)およびブラックホールクエンチャー(BHQ)等を使用することができる。
本実施形態では、所定のプローブが、5’末端に蛍光色素としてVICを含み、3’末端にMGBクエンチャーを含んでおり、他のプローブが、5’末端に蛍光色素としてFAMを含み、3’末端にTAMRAクエンチャーを含んでいる場合について説明する。このように所定のプローブおよび他のプローブを異なる蛍光色素で標識することで、検出工程Cにおいてそれぞれを区別して検出することができる。この場合、蛍光の検出は、公知の分光蛍光光度計を使用するとよい。
例えば、第一の組み合わせにおいて、被検体試料中に含まれる細菌から抽出した核酸を鋳型として、増幅工程Bおよび検出工程Cを行った結果、所定のプローブ(配列番号3)における蛍光標識VICの蛍光が検出されれば、被検体試料中には、所定のグループ(バチルス・サブチリスなど)に属する菌種の何れかが存在することが判る。また、第一の他のプローブ(配列番号6)における蛍光標識FAMの蛍光が検出されれば、被検体試料中には、第一の他のグループ(バチルス・セレウスなど)に属する菌種の何れかが存在することが判る。
同様に、第二の組み合わせにおいて、被検体試料中に含まれる細菌から抽出した核酸を鋳型として、増幅工程Bおよび検出工程Cを行った結果、所定のプローブ(配列番号3)における蛍光標識VICの蛍光が検出されれば、被検体試料中には、所定のグループ(バチルス・サブチリスなど)に属する菌種の何れかが存在することが判る。また、第二の他のプローブ(配列番号9)における蛍光標識FAMの蛍光が検出されれば、被検体試料中には、第二の他のグループ(バチルス・シンプレックスなど)に属する菌種の何れかが存在することが判る。
さらに、第三の組み合わせにおいて、被検体試料中に含まれる細菌から抽出した核酸を鋳型として、増幅工程Bおよび検出工程Cを行った結果、所定のプローブ(配列番号3)における蛍光標識VICの蛍光が検出されれば、被検体試料中には、所定のグループ(バチルス・サブチリスなど)に属する菌種の何れかが存在することが判る。また、第二の他のプローブ(配列番号12)における蛍光標識FAMの蛍光が検出されれば、被検体試料中には、第三の他のグループ(パエニバチルス属)に属する菌種の何れかが存在することが判る。
尚、PCRを行なう前に、被検体試料中に含まれる細菌から核酸を抽出する。当該核酸の抽出は、バクテリアからのトータルDNAを精製する方法において、公知の核酸抽出方法により行なえばよい(核酸抽出工程)。
〔別実施形態〕
上述した実施形態では、組み合わせ工程Aにおいて、所定のグループと、所定のグループ以外の一つの他のグループとの組み合わせを作製し、組み合わせ工程Aで作製した全ての組み合わせについて、それぞれ増幅工程Bおよび検出工程Cを行う場合について説明した。即ち、上述した実施形態では、同時に検出しようとする変敗原因菌のグループ数は二つである。しかし、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、組み合わせ工程Aにおいて、所定のグループと組み合わせる他のグループを二つにして実施することが可能である。この場合、同時に検出しようとする変敗原因菌のグループ数は三つである。
即ち、本態様では、複数の変敗原因菌を複数のグループに分け、当該複数のグループのうちの所定のグループと、所定のグループ以外の二つの他のグループとの組み合わせを作製する組み合わせ工程を行う。
本実施形態における増幅工程Bは、被検体試料中に含まれる細菌から抽出した核酸を鋳型として、所定のグループの変敗原因菌におけるターゲットポリヌクレオチドを増幅する所定のプライマー対と、組み合わせた第一の他のグループの変敗原因菌におけるターゲットポリヌクレオチドを増幅する第一の他のプライマー対と、組み合わせた第二の他のグループの変敗原因菌におけるターゲットポリヌクレオチドを増幅する第二の他のプライマー対と、を使用してそれぞれのターゲットポリヌクレオチドの増幅を同時に行なう。
また、本実施形態における検出工程Cは、所定のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な所定のプローブと、第一の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な第一の他のプローブと、第二の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な第二の他のプローブと、に基づいて前記所定のグループおよび前記二つの他のグループの変敗原因菌を同時に検出する。
そして、組み合わせ工程で作製した全ての組み合わせについて、それぞれ増幅工程および検出工程を行えばよい。
増幅工程では、所定のプライマー対、第一の他のプライマー対および第二の他のプライマー対を使用して核酸増幅を行うため、それぞれのターゲットポリヌクレオチドの増幅を同時に行なうことができる。所定のプライマー対、第一の他のプライマー対および第二の他のプライマー対は、それぞれのターゲットポリヌクレオチドを特異的に増幅できるように設計すればよい。
また、検出工程では、所定のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な所定のプローブと、第一の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な第一の他のプローブと、第二の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な第二の他のプローブと、に基づいて、所定のグループおよび前記二つの他のグループの変敗原因菌を同時に検出することができる。所定のプローブ、第一の他のプローブおよび第二の他のプローブは、検出工程においてそれぞれを区別して検出できるように光学的に標識しておくのがよい。
以下に、マルチプレックスリアルタイムPCR法を利用した複数の変敗原因菌の同時検出方法の実施例について説明する。
〔実施例1〕
バチルス属菌およびパエニバチルス属菌のそれぞれから選択した複数の変敗原因菌を4つのグループに分けた。所定のグループは耐寒性を有する細菌を含むグループであって、標準株としてバチルス・サブチリスを含み、他に、バチルス・リケニフォルミス、バチルス・サフェンシス、バチルス・プミルス、バチルス・アミロリクエファシエンス、バチルス・アトロファウスを含むようにした。
第一の他のグループは病原細菌を含むグループであって、標準株としてバチルス・セレウスを含み、他に、バチルス・ウェイヘンステファネンシス、バチルス・アントラシス、バチルス・チューリンゲンシス、バチルス・シュードミコイデス、バチルス・サイトトキシカスを含むようにした。
第二の他のグループは熱安定性毒素を産生することができる細菌を含むグループであって、標準株としてバチルス・シンプレックスを含み、他に、バチルス・メガテリウム、バチルス・フレクサスを含むようにした。
第三の他のグループはパエニバチルス属菌であって、標準株としてパエニバチルス・オドリファーを含み、他に、パエニバチルス・ラウタス、パエニバチルス・アルギノリティカス、パエニバチルス・マクアリエンシス、パエニバチルス・パブリ、パエニバチルス・ポリミキサ、パエニバチルス・ピニ、パエニバチルス・チアミノリティカス、パエニバチルス・テラエを含むようにした。
即ち、本実施例の組み合わせ工程Aでは、同時に検出しようとする変敗原因菌のグループの組み合わせとして、バチルス・サブチリスを含む所定のグループおよびバチルス・セレウスを含む第一の他のグループ(第一の組み合わせ)、バチルス・サブチリスを含む所定のグループおよびバチルス・シンプレックスを含む第二の他のグループ(第二の組み合わせ)、バチルス・サブチリスを含む所定のグループおよびパエニバチルス・オドリファーを含む第三の他のグループ(第三の組み合わせ)、の3つの組み合わせを作製した。
上記の変敗原因菌(バチルス属、パエニバチルス属)の一部、近縁種および非近縁種を含む合計55の株を、プライマーおよびプローブの特異性試験に使用した。使用した菌種を図2-1~2-4に示した。これら図面において、所定のグループは(○)を付し、第一の他のグループは(1)、第二の他のグループは(2)、第三の他のグループは(3)、をそれぞれ付した。また、各グループの標準株には下線を付した。
図2-1~2-4で示した菌株において、ATCCと付してある菌株については、国際寄託機関であるAmerican Type Culture Collection(ATCC)より入手でき、NBRCと付してある菌株については、独立行政法人製品評価技術基盤機構生物遺伝資源部門(NBRC)より入手でき、JCMと付してある菌株については、独立行政法人理化学研究所バイオリソースセンター (Japan Collection of Microorganisms)より入手できる。
図2-1~2-4に示した全ての菌株においてゲノムDNAを抽出した(核酸抽出工程)。ゲノムDNAの抽出は、Ultra clean DNA isolation kit(MO BioLaboratories社)を使用した。抽出したゲノムDNAは、分光光度計(μQuant、BioTek Instrument社)を使用して濃度を決定し、使用前に適切な濃度に希釈した。
〔実施例2〕
本発明の複数の変敗原因菌の同時検出方法において使用するプライマー対およびプローブを、以下の手法によって設計した。
プライマー対およびプローブを設計するための候補となる標的遺伝子(ターゲットポリヌクレオチド)を、16S rRNA、rpoB、spo0AおよびmotBとした。250の細菌種由来の16S rRNA遺伝子配列は、NCBIのGenBankヌクレオチドデータベース、NBRCおよび理化学研究所バイオリソース研究センター(RIKEN BRC)から得た。また、212の細菌種由来のrpoB遺伝子配列、82の細菌種由来のspo0A遺伝子配列および201の細菌種由来のmotB遺伝子配列は、それぞれGenBankから得た。得られた配列に対してマルチプルアラインメントツールClustalXを用いてアラインメントを行い、その結果に基づいて、rpoBおよび16S rRNA遺伝子を標的遺伝子としてプローブおよびプライマーの設計を行った(設計工程)。
アライメントの結果を基に、手動でプローブの設計を複数個行ない、続いてプライマー3プラスを用いて複数組のプライマーの設計を行ない、得られた候補となるプライマーからさらに複数組のプライマー候補を抽出した。結果として、本発明で提供しているプローブおよびプライマーセットを用いることで、本発明の複数の変敗原因菌の同時検出方法を可能とする組み合わせが得られた。
即ち、所定のグループに属する菌種におけるターゲットポリヌクレオチド(rpoB)を増幅できる配列番号1,2に記載された配列からなる所定のプライマー対を設計し、所定のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な配列番号3に記載された配列からなる所定のプローブを設計した。所定のグループにおけるアライメントの結果、および、設計したプローブおよびプライマーの配列について図3に示した。アライメントにおける1~6行目(囲み部分)には、所定のグループに属する菌種を示した。
第一の他のグループに属する菌種におけるターゲットポリヌクレオチド(rpoB)を増幅できる配列番号4,5に記載された配列からなる第一の他のプライマー対を設計し、第一の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な配列番号6に記載された配列からなる第一の他のプローブを設計した。第一の他のグループにおけるアライメントの結果、および、設計したプローブおよびプライマーの配列について図4に示した。アライメントにおける1~6行目(囲み部分)には、第一の他のグループに属する菌種を示した。
第二の他のグループに属する菌種におけるターゲットポリヌクレオチド(16S rRNA)を増幅できる配列番号7,8に記載された配列からなる第二の他のプライマー対を設計し、第二の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な配列番号9に記載された配列からなる第二の他のプローブを設計した。第二の他のグループにおけるアライメントの結果、および、設計したプローブおよびプライマーの配列について図5に示した。アライメントにおける1~3行目(囲み部分)には、第二の他のグループに属する菌種を示した。
第三の他のグループに属する菌種におけるターゲットポリヌクレオチド(16S rRNA)を増幅できる配列番号10,11に記載された配列からなる第三の他のプライマー対を設計し、第三の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な配列番号12に記載された配列からなる第三の他のプローブを設計した。第三の他のグループにおけるアライメントの結果、および、設計したプローブおよびプライマーの配列について図6に示した。アライメントにおける1~12行目(囲み部分)には、第三の他のグループに属する菌種を示した。
上述した4種類のプローブ(TaqManプローブ:TaqMan(登録商標))は、5’末端を蛍光物質(レポーター)で修飾し、3’末端をクエンチャー物質で修飾した。具体的には、所定のプローブ(配列番号3)は、5’末端を蛍光色素VICで修飾し、3’末端をMGBクエンチャーで修飾した。また、第一~第三の他のプローブ(配列番号6,9,12)は、5’末端を蛍光色素FAMで修飾し、3’末端をTAMRAクエンチャーで修飾した。
〔実施例3〕
実施例2で設計したプローブおよびプライマーを使用して、マルチプレックスリアルタイムPCRを行った(n=3)(増幅工程B)。
PCR反応は、実施例1で作製した3つの組み合わせ毎に行った。また、PCR反応は、QuantStudio 3システム(Life Technologies社)を使用し、実施例1で抽出した2μLのDNAテンプレート(2~3ng/μL)を用いて、10μLの2×TaqMan Fast Advanced Master Mix、各プライマー(FAMで蛍光標識したプライマーは0.15μM、VICで蛍光標識したプライマーは0.6μM)、0.25μMのプローブを含んだ20μLの反応液で行った。
即ち、第一の組み合わせにおいては、所定のプライマー対(配列番号1,2)および所定のプローブ(配列番号3)のセットの混合物を含み、第一の他のプライマー対(配列番号4,5)および第一の他のプローブ(配列番号6)のセットの混合物を含む同時検出用組成物を反応液に添加した。
第二の組み合わせにおいては、所定のプライマー対(配列番号1,2)および所定のプローブ(配列番号3)のセットの混合物を含み、第二の他のプライマー対(配列番号7,8)および第二の他のプローブ(配列番号9)のセットの混合物を含む同時検出用組成物を反応液に添加した。
第三の組み合わせにおいては、所定のプライマー対(配列番号1,2)および所定のプローブ(配列番号3)のセットの混合物を含み、第三の他のプライマー対(配列番号10,11)および第三の他のプローブ(配列番号12)のセットの混合物を含む同時検出用組成物を反応液に添加した。
さらにPCR反応の条件は、初期変性95℃・20秒、95℃・1秒間および58℃・20秒間のサイクルを45回、とした。蛍光の検出はQuantStudio 3システムを使用してリアルタイムでモニタリングした(検出工程C)。
比較例として、各プライマーを単独で使用するシングルプレックスリアルタイムPCRを行った(n=3)。このシングルプレックスリアルタイムPCRは、各プライマー(0.3μM)を単独で使用すること以外の条件はマルチプレックスリアルタイムPCRと同様とした。
シングルプレックスリアルタイムPCRの結果を図2-1,2-3に示し、マルチプレックスリアルタイムPCRの結果を図2-2,2-4に示した。結果はQuantStudio Design and Analysis software v1.2(Life Technologies社)を用いて分析した。各増幅プロットから、レポーター色素の蛍光が任意の閾値を超えて検出可能であったサイクル数を表すCt値を計算した。各試料のCt値は、3回(n=3)行って得られた結果の平均を用いて決定した。
所定のグループにおいて、例えばバチルス・サブチリス、バチルス・リケニフォルミスは、シングルプレックスリアルタイムPCRおよびマルチプレックスリアルタイムPCRの両方で、Ct値は約18~19となった。
第一の他のグループにおいて、例えばバチルス・セレウス、バチルス・ウェイヘンステファネンシスは、シングルプレックスリアルタイムPCRおよびマルチプレックスリアルタイムPCRの両方で、Ct値は約19~20となった。
第二の他のグループにおいて、例えばバチルス・シンプレックス、バチルス・メガテリウムは、シングルプレックスリアルタイムPCRおよびマルチプレックスリアルタイムPCRの両方で、Ct値は約18~20となった。
第三の他のグループにおいて、例えばパエニバチルス・オドリファー、パエニバチルス・パブリは、シングルプレックスリアルタイムPCRおよびマルチプレックスリアルタイムPCRの両方で、Ct値は約15~16となった。
これらの結果より、マルチプレックスリアルタイムPCRを行って得られた結果は、シングルプレックスリアルタイムPCRを行って得られた結果と略同様であると判明した。
従って、本発明の複数の変敗原因菌の同時検出用組成物を使用して本発明の複数の変敗原因菌の同時検出方法を適用すれば、複数の変敗原因菌を区別して同時に検出することができると認められた。
〔実施例4〕
実施例1で作製した3つの組み合わせにおいて、各グループの標準株を用いて検量線の作成を行った。
それぞれの菌株から抽出したゲノムは、段階希釈(10倍希釈の7段階)を行い、リアルタイムPCR法に供した。それぞれの菌株の濃度は、バチルス・サブチリス(所定のグループ):8.7ng~0.87fg/μL、バチルス・セレウス(第一の他のグループ):9.6ng~0.96fg/μL、バチルス・シンプレックス(第二の他のグループ):9.7ng~0.97fg/μL、パエニバチルス・オドリファー(第三の他のグループ):10.1ng~1.01fg/μLとした。
マルチプレックスリアルタイムPCR法の条件は、実施例3の手法と同様とした。各グループからの標準株について、マルチプレックスリアルタイムPCR法で作成した検量線を図7~9に示した。
上述したマルチプレックスリアルタイムPCRでは、異なるターゲットポリヌクレオチド(rpoB、16S rRNA)を設定している。一つの細胞に標的遺伝子が1~2個しかない場合はあまり問題は無いが、16S rRNA遺伝子は菌種によって複数のコピー数を細胞内に有することが知られており、当該遺伝子を標的とする場合は、細胞数とのずれが生じることがある。そのため、当該マルチプレックスリアルタイムPCRで使用した4種類の標準株について初期鋳型DNAのコピー数を推定するべく、tuf遺伝子(細菌の細胞は、通常1~2個の遺伝子しか持たない)の定量キットであるBacteria tuf gene quantitative PCR kit(タカラバイオ)を用いて、各々のDNA量から細菌数を算出し、推定値とした。得られた検量線を図10に示した。
これらの結果より、各グループの標準株において作成された検量線について、Ct値と初期鋳型濃度の対数値はほぼ直線関係にあると認められ、PCRの増幅効率は適正であると認められた。これより、実施例2で設計した本発明のプライマーは効率よくターゲットポリヌクレオチド(rpoBまたは16S rRNA)を増幅できることが判明した。また、得られた検量線は未知サンプルの定量に適用できるため、被検体試料中に含まれる変敗原因菌の同定・定量を効果的に実施できることが期待される。
〔実施例5〕
本発明の方法によって食品から複数の変敗原因菌をグループ別に同時に検出可能であるかを確認するため、以下のスパイク試験を行った。
食品はミルクおよびポテトサラダを使用した。また、変敗原因菌は、バチルス・リケニフォルミス(所定のグループ)、バチルス・ウェイヘンステファネンシス(第一の他のグループ)、バチルス・メガテリウム(第二の他のグループ)およびパエニバチルス・ラウタス(第三の他のグループ)の4種類を使用した。各変敗原因菌は、約10~10CFU/mLのレベルで段階希釈した。このようにして段階希釈したサンプルをミルク、ポテトサラダのサンプルにそれぞれ添加した後、各サンプルから核酸抽出を行い、マルチプレックスリアルタイムPCR法を用いて各変敗原因菌の検出を試みた。
マルチプレックスリアルタイムPCR法において、同時に検出しようとする変敗原因菌のグループの組み合わせは、実施例1の組み合わせ工程Aで作製した3つの組み合わせと同様とした。即ち、第一の組み合わせはバチルス・リケニフォルミス(所定のグループ)およびバチルス・ウェイヘンステファネンシス(第一の他のグループ)とし、第二の組み合わせはバチルス・リケニフォルミス(所定のグループ)およびバチルス・メガテリウム(第二の他のグループ)とし、第三の組み合わせはバチルス・リケニフォルミス(所定のグループ)およびパエニバチルス・ラウタス(第三の他のグループ)とした。
第一の組み合わせにおいては、所定のプライマー対(配列番号1,2)および所定のプローブ(配列番号3)のセットの混合物を含み、第一の他のプライマー対(配列番号4,5)および第一の他のプローブ(配列番号6)のセットの混合物を含む同時検出用組成物を反応液に添加した。
第二の組み合わせにおいては、所定のプライマー対(配列番号1,2)および所定のプローブ(配列番号3)のセットの混合物を含み、第二の他のプライマー対(配列番号7,8)および第二の他のプローブ(配列番号9)のセットの混合物を含む同時検出用組成物を反応液に添加した。
第三の組み合わせにおいては、所定のプライマー対(配列番号1,2)および所定のプローブ(配列番号3)のセットの混合物を含み、第三の他のプライマー対(配列番号10,11)および第三の他のプローブ(配列番号12)のセットの混合物を含む同時検出用組成物を反応液に添加した。
これら反応液を用いてマルチプレックスリアルタイムPCRをそれぞれ行った。スパイク試験の結果を図11に示した。
ミルクのサンプルにおけるスパイク試験(破線)では、第一~第三の組み合わせにおいて、それぞれ添加した二つのグループの変敗原因菌を区別して同時に検出することができた。具体的には、何れの組み合わせにおいても、バチルス・リケニフォルミス(所定のグループ)は、約10~10CFU/mlのレベルで検出できた。また、バチルス・ウェイヘンステファネンシス(第一の他のグループ)、バチルス・メガテリウム(第二の他のグループ)およびパエニバチルス・ラウタス(第三の他のグループ)は、約10~10CFU/mLのレベルで検出できた。これより、本発明の複数の変敗原因菌の同時検出用組成物を使用して本発明の複数の変敗原因菌の同時検出方法をミルクに適用すれば、少なくとも10CFU/mLのレベルで存在する複数の変敗原因菌をグループ別に同時に検出できると認められた。
また、ポテトサラダのサンプルにおけるスパイク試験(実線)では、第一~第三の組み合わせにおいて、それぞれ添加した二つのグループの変敗原因菌を区別して同時に検出することができた。具体的には、何れの組み合わせにおいても、バチルス・リケニフォルミス(所定のグループ)は、約10~10CFU/mlのレベルで検出できた。また、バチルス・ウェイヘンステファネンシス(第一の他のグループ)は、約10~10CFU/mlのレベルで検出できた。また、バチルス・メガテリウム(第二の他のグループ)およびパエニバチルス・ラウタス(第三の他のグループ)は、約10~10CFU/mlのレベルで検出できた。これより、本発明の複数の変敗原因菌の同時検出用組成物を使用して本発明の複数の変敗原因菌の同時検出方法をポテトサラダに適用すれば、少なくとも10CFU/mLのレベルで存在する複数の変敗原因菌をグループ別に同時に検出できると認められた。
以上より、本発明の複数の変敗原因菌の同時検出用組成物を使用して本発明の複数の変敗原因菌の同時検出方法を食品や飲料に適用すれば、極めて低いレベル(10CFU/mLあるいは10CFU/mL)で存在する複数の変敗原因菌をグループ別に同時に検出できるため、食品(飲料)の品質管理やリスク評価に利用できると期待される。
尚、何れのサンプルにおいても変敗原因菌を添加しなかった場合は、蛍光は検出されなかった。
本発明の複数の変敗原因菌の同時検出方法および複数の変敗原因菌の同時検出用組成物は、食品から複数の変敗原因菌を同時に検出するために利用することができる。
A 組み合わせ工程
B 増幅工程
C 検出工程

Claims (11)

  1. 複数の変敗原因菌を4つのグループに分け、
    当該4つのグループのうちの所定のグループと、前記所定のグループ以外の一つの他のグループとの組み合わせを、他のグループの全てにおいてそれぞれ作製する組み合わせ工程と、
    被検体試料中に含まれる細菌から抽出した核酸を鋳型として、
    前記所定のグループの変敗原因菌におけるターゲットポリヌクレオチドを増幅する所定のプライマー対と、組み合わせた前記他のグループの変敗原因菌におけるターゲットポリヌクレオチドを増幅する他のプライマー対と、を使用してそれぞれのターゲットポリヌクレオチドの増幅を同時に行なう増幅工程と、
    前記所定のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な所定のプローブと、前記他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な他のプローブと、に基づいて前記所定のグループおよび前記他のグループの変敗原因菌を同時に検出する検出工程と、を含む処理を行い、
    前記組み合わせ工程で作製した全ての組み合わせについて、それぞれ前記増幅工程および前記検出工程を行う、複数の変敗原因菌の同時検出方法。
  2. 前記増幅工程および前記検出工程が、マルチプレックスリアルタイムPCRによって行われる請求項1に記載の複数の変敗原因菌の同時検出方法。
  3. 前記変敗原因菌がバチルス属菌およびパエニバチルス属菌の少なくとも何れかである請求項1または2に記載の複数の変敗原因菌の同時検出方法。
  4. 前記所定のグループがバチルス・サブチリスを含み、
    前記3つの他のグループが、それぞれ、バチルス・セレウスを含むグループ、バチルス・シンプレックスを含むグループ、パエニバチルス属を含むグループである請求項3に記載の複数の変敗原因菌の同時検出方法。
  5. 前記所定のプライマー対が、バチルス・サブチリスのrpoBをコードする遺伝子に由来する配列番号1に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号2に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせであるプライマー対であり、
    前記他のプライマー対が、
    バチルス・セレウスのrpoBをコードする遺伝子に由来する配列番号4に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号5に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせである第一の他のプライマー対、
    バチルス・シンプレックスの16S rRNAをコードする遺伝子に由来する配列番号7に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号8に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせである第二の他のプライマー対、および、
    パエニバチルス属の16S rRNAをコードする遺伝子に由来する配列番号10に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号11に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせである第三の他のプライマー対、の何れかである請求項4に記載の複数の変敗原因菌の同時検出方法。
  6. 前記所定のプローブが、前記所定のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な配列番号3に記載された配列からなるプローブであり、
    前記他のプローブが、
    前記第一の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な配列番号6に記載された配列からなる第一の他のプローブ、
    前記第二の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な配列番号9に記載された配列からなる第二の他のプローブ、および、
    前記第三の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な配列番号12に記載された配列からなる第三の他のプローブ、の何れかである請求項5に記載の複数の変敗原因菌の同時検出方法。
  7. 前記所定のプローブおよび前記他のプローブが、光学的に標識されたものである請求項1~6の何れか一項に記載の複数の変敗原因菌の同時検出方法。
  8. 前記所定のプローブが、5’末端に蛍光色素としてVIC(登録商標)を含み、3’末端にMGBクエンチャーを含んでおり、
    前記他のプローブが、5’末端に蛍光色素としてFAM(商標)を含み、3’末端にTAMRA(商標)クエンチャーを含んでいる請求項7に記載の複数の変敗原因菌の同時検出方法。
  9. 複数の変敗原因菌を4つのグループに分け、
    当該4つのグループのうちの所定のグループと、前記所定のグループ以外の二つの他のグループとの組み合わせを作製する組み合わせ工程と、
    被検体試料中に含まれる細菌から抽出した核酸を鋳型として、
    前記所定のグループの変敗原因菌におけるターゲットポリヌクレオチドを増幅する所定のプライマー対と、組み合わせた第一の他のグループの変敗原因菌におけるターゲットポリヌクレオチドを増幅する第一の他のプライマー対と、組み合わせた第二の他のグループの変敗原因菌におけるターゲットポリヌクレオチドを増幅する第二の他のプライマー対と、を使用してそれぞれのターゲットポリヌクレオチドの増幅を同時に行なう増幅工程と、
    前記所定のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な所定のプローブと、前記第一の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な第一の他のプローブと、前記第二の他のプライマー対によって増幅したポリヌクレオチドを検出可能な第二の他のプローブと、に基づいて前記所定のグループおよび前記二つの他のグループの変敗原因菌を同時に検出する検出工程と、を含む処理を行い、
    前記組み合わせ工程で作製した全ての組み合わせについて、それぞれ前記増幅工程および前記検出工程を行う、複数の変敗原因菌の同時検出方法。
  10. バチルス・サブチリスのrpoBをコードする遺伝子に由来する配列番号1に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号2に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせである所定のプライマー対、および、配列番号3に記載された配列からなる所定のプローブのセットの混合物、を含み、
    さらに、
    バチルス・セレウスのrpoBをコードする遺伝子に由来する配列番号4に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号5に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせである第一の他のプライマー対、および、配列番号6に記載された配列からなる第一の他のプローブのセットの混合物、
    バチルス・シンプレックスの16S rRNAをコードする遺伝子に由来する配列番号7に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号8に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせである第二の他のプライマー対、および、配列番号9に記載された配列からなる第二の他のプローブのセットの混合物、および、
    パエニバチルス属の16S rRNAをコードする遺伝子に由来する配列番号10に記載された配列からなるフォワードプライマーと、配列番号11に記載された配列からなるリバースプライマーとの組み合わせである第三の他のプライマー対、および、配列番号12に記載された配列からなる第三の他のプローブのセットの混合物、からなる群から選ばれる何れかの混合物を含む、マルチプレックスリアルタイムPCRに使用する、複数の変敗原因菌の同時検出用組成物。
  11. 前記所定のプローブが、5’末端に蛍光色素としてVIC(登録商標)を含み、3’末端にMGBクエンチャーを含んでおり、
    前記他のプローブが、5’末端に蛍光色素としてFAM(商標)を含み、3’末端にTAMRA(商標)クエンチャーを含んでいる請求項10に記載の複数の変敗原因菌の同時検出用組成物。
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