JP7471904B2 - 流動接触分解ガソリンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、流動接触分解ガソリンの製造方法に関する。
環境問題に対する意識の高まり、生産価格の低減に対する要求の高まりに伴い流動接触分解装置(FCC装置、RFCC装置)から得られる流動接触分解ガソリン等の得率の向上が常に求められている。
例えば、流動接触分解ガソリンの得率の向上等を目的として、バナジウム、ニッケルの蓄積量を所定の範囲内とし、ゼオライトを含有する触媒を用いることで、低硫黄分流動接触分解ガソリンを製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005-15782号公報
近年、需要者のコストに対する要求は年々厳しくなっており、より安価に流動接触分解ガソリンを提供する必要が生じており、得率の向上に対する要望は増すばかりである。そのため、特許文献1で開示されるような方法だけでは、十分に対応しきれない状況が招来しており、触媒の種類の検討によるアプローチだけでなく、他の角度からの検討を行い、更なる収率の向上を図る必要が生じている。
そこで、本発明は、流動接触分解ガソリンの得率を向上し得る、流動接触分解ガソリンの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、下記の発明により解決できることを見出した。すなわち本発明は、下記の構成を有する流動接触分解ガソリンの製造方法を提供するものである。
1.流動接触分解装置の反応塔における原料油供給部の高さを基準として反応管の直径に対する4倍の高さまでの少なくとも一の高さの水平方向の断面における複数の測定点について、
γ線照射により測定される放射線の強度を当該複数の測定点の触媒濃度として、当該断面における触媒濃度の平均値に対する当該断面における触媒濃度の標準偏差の割合が±53.5%以下となるように運転する、
流動接触分解ガソリンの製造方法。
2.前記測定点の数が、60以上である上記1に記載の流動接触分解ガソリンの製造方法。
3.前記測定点の数が、160以上である上記1に記載の流動接触分解ガソリンの製造方法。
4.前記触媒濃度の標準偏差の割合を、原料油供給部からの原料油の供給量により調整する上記1~3のいずれか1に記載の流動接触分解ガソリンの製造方法。
5.前記原料油供給部から蒸気を供給し、前記触媒濃度の標準偏差の割合を、当該蒸気の供給量により調整する上記1~4のいずれか1に記載の流動接触分解ガソリンの製造方法。
6.前記触媒濃度の標準偏差の割合を、触媒の供給量により調整する上記1~5のいずれか1に記載の流動接触分解ガソリンの製造方法。
7.前記γ線照射により測定される放射線の強度を当該複数の測定点の触媒濃度をマッピングする、上記1~6のいずれか1に記載の流動接触分解ガソリンの製造方法。
本発明によれば、流動接触分解ガソリンの得率を向上し得る、流動接触分解ガソリンの製造方法を提供することができる。
γ線照射機器及びγ線検出器を設置する態様を説明するための模式図である。 反応塔の断面における放射線の強度を測定する測定点を説明するための模式図である。
本発明における実施形態(以後、単に「本実施形態」と称する場合がある。)に係る流動接触分解ガソリンの製造方法は、流動接触分解装置の反応塔における原料油供給部の高さを基準として反応管(以下、「ライザー」とも称する。)の直径に対する4倍の高さまでの少なくとも一の高さの水平方向の断面における複数の測定点について、γ線照射により測定される放射線の強度を当該複数の測定点の触媒濃度として、当該断面における触媒濃度の平均値に対する当該断面における触媒濃度の標準偏差の割合が±53.5%となるように運転することを特徴とするものである。
従来、流動接触分解装置の反応塔のライザーにおいて原料油供給部の高さを基準として当該ライザーの直径に対する4倍の高さまでにおいて、一の高さの水平方向の断面における触媒の流動状態(「触媒の存在分布」ともいえる。)を予測することはできても、それを具体的に確認することはできなかった。本実施形態では、γ線の照射による放射線の強度の測定により、ライザー部における触媒の流動状態(触媒の存在分布)をより高い精度で予測し、当該測定により得られる触媒濃度の平均値に対する標準偏差の割合を所定の範囲内とすることで、流動接触分解ガソリンの得率を向上させることを可能とした。
また従来、CLO(分解ボトム油)の留出量を低減させるために、反応温度を上昇させることが一般的であったが、この場合、流動接触分解ガソリンの得率は向上せず、燃料ガスが増加する傾向にあった。本実施形態においては、CLO(分解ボトム油)の留出量を低減しつつ、燃料ガスの増加を抑制できるため、選択的に流動接触分解ガソリンが得られ、その得率を向上させることが可能となった。
触媒濃度の平均値に対する標準偏差の割合を±53.5%超とすると、反応塔内における触媒の流動状態にむらができ、原料油と触媒の良好な接触を図れず、未反応の原料油の割合が増加するため、流動接触分解ガソリンの得率が低下してしまう。流動接触分解ガソリンの得率を向上させる観点から、触媒濃度の平均値に対する標準偏差の割合は±53.0%以下が好ましく、より好ましくは±52.5%以下、更に好ましくは±52.0%以下、より更に好ましくは±50.0%以下、特に好ましくは±49.0%以下である。
本実施形態において、触媒濃度は以下のようにして求められるものである。
反応塔の運転を開始し、運転状態が定常状態となった時点、より具体的には原料油供給部からの原料油及び蒸気の供給量が一定となった時点で、反応塔における原料油供給部の高さを基準としてライザーの直径に対する4倍の高さまでの少なくとも一の高さの水平方向の断面において、γ線照射機器(コリメータ)とγ線検出器とを用いて、当該断面の複数の測定点について放射線の強度を測定する。すなわち、測定される放射線の強度を触媒濃度の指標ととらえ、当該複数の測定点における触媒濃度とする。当該複数の測定点における放射線の強度の平均値を触媒濃度の平均値とし、その標準偏差を触媒濃度の標準偏差とする。
また、実質的に同じ結果となるが、測定点において測定される放射線の強度に定数を乗じて仮想触媒濃度に換算し、これを測定点における触媒濃度とし、複数の測定点における当該仮想触媒濃度の平均値を触媒濃度の平均値とし、その標準偏差を触媒濃度の標準偏差としてもよい。
本実施形態においては、測定される放射線の強度を当該複数の測定点における触媒濃度としてマッピングし、一の高さの水平方向の断面における触媒濃度の分布を把握することも可能である。マッピングすることにより、断面の全体としての触媒濃度だけでなく、断面における触媒濃度の分布を把握できるので、例えば原料油、蒸気の供給箇所が複数存在する場合に、触媒濃度の高い箇所の近傍において原料油、蒸気の供給量を増加させるといった調整を行い、原料油、蒸気と触媒との接触状態を向上させることで、流動接触分解ガソリンの得率を更に向上させることが可能となる。
放射線の強度の測定について、図1及び2を用いて説明する。
図1の(1-1)に示されるように、γ線照射機器(コリメータ)11及びγ線検出器12は、少なくとも一の高さの水平方向の断面において、反応塔10の外周に沿って設けて、放射線の強度を測定する。図1の(1-1)と後述する(1-2)とは対応しており、一の高さ毎に1方向について、17ヶ所のγ線検出器を用いて測定していることが示されている。図(1-1)では、一の高さにおいて、γ線照射機器11aに対して17ヶ所のγ線検出器12a、γ線照射機器11bに対して17ヶ所のγ線検出器12b及びγ線照射機器11cに対して17ヶ所のγ線検出器12cが設置されていることが示されている。
また、図1の(1-1)には、同時に三の高さの水平方向の断面において測定する状況が示されているが、一の高さのみで測定してもよいし、一の高さの測定を、高さをかえて三回繰り返して三の高さについて測定してもよい。
γ線照射機器11及びγ線検出器12の設置の状況について、反応塔10の高さの水平方向の断面視した模式図を図1の(1-2)(上記図1の(1-1)のA-A’断面図である。)に示す。図1の(1-2)には、γ線照射機器11の1方向について、17ヶ所のγ線検出器12を10°毎にずらして設けていることが示されている。コリメータを設置する方向の数、当該方向について、一の方向に対する検出器を設置する数(ヶ所)、及びこれらから測定される測定点については、後述する。
本実施形態において放射線の強度を測定する、また測定した強度をマッピングする場合、検出された放射線の強度の数値、又は上記の仮想触媒濃度をそのまま採用し、マッピングしてもよいし、放射線の強度の数値、又は上記の仮想触媒濃度を複数段階に分けて採用し、マッピングしてもよい。複数段階に分けて採用し、マッピングする場合、マッピングの精度の向上を考慮すると、好ましくは6段階以上、より好ましくは8段階以上、更に好ましくは10段階以上である。
例えば、放射線の強度を仮想触媒濃度に換算して測定点の触媒濃度とし、かつ複数段階に分けてマッピングする場合、予め、測定された放射線の強度の所定範囲に対する仮想触媒濃度を決めておき、一の測定点で測定された放射線の強度を仮想触媒濃度に換算し、当該測定点の触媒濃度としてマッピングする、といった手法をとることができる。
放射線の強度の測定は、反応塔の規模により一概にはいえないものの、反応塔の一の高さの水平方向の断面の円周上に好ましくは12方向以上、より好ましくは18方向以上、更に好ましくは24方向以上、更に好ましくは36方向以上にγ線照射機器(コリメータ)を順次設置し、1方向当たりで好ましくは5ヶ所以上、より好ましくは9ヶ所以上、更に好ましくは11ヶ所以上、より更に好ましくは15ヶ所以上、特に17ヶ所以上で測定することが好ましい。より高い精度で調整しようとする場合、測定点は多いほど好ましいものといえるが、作業効率を考慮すると、γ線照射機器(コリメータ)の設置の上限は1方向あたりで60方向以下、より好ましくは29ヶ所以下程度である。
例えば、図2の(2-1)は、36方向でγ線照射機器(コリメータ)を順次設置し、1方向当たりで17ヶ所測定(1のγ線照射機器(コリメータ)あたり17の検出器を設置)すると、測定点の数は合計612点(=36方向×17ヶ所)となることを示すものである。この場合、断面における612の測定点において測定される放射線の強度を当該測定点の触媒濃度とし、これらの平均値を触媒濃度の平均値とし、これらの標準偏差を算出し、当該触媒濃度の平均値に対する算出された標準偏差の割合が±53.5%以下となれば、流動接触分解ガソリンの得率を向上させることが可能となる。
また例えば、図2の(2-2)は、18方向でγ線照射機器(コリメータ)を順次設置し、1方向当たりで9ヶ所測定(1のγ線照射機器(コリメータ)あたり9の検出器を設置)すると、測定点の数は合計162点(=18方向×9ヶ所)となることを示している。
断面における測定点の数は、反応塔の規模により一概にはいえないものの、好ましくは60以上、より好ましくは80以上、更に好ましくは160以上、より更に好ましくは260以上、特に好ましくは610以上であり、測定効率を考慮すると、800以下とすることが好ましい。
本実施形態において、放射線の強度の測定は、流動接触分解装置の反応塔における原料油供給部の高さを基準としてライザーの直径に対する4倍の高さまでの少なくとも一の高さの水平方向の断面における複数の測定点で行えばよく、効率よく流動接触分解ガソリンの得率を向上させる観点から、二つ以上の高さの水平方向の断面において行うことが好ましく、三つ以上の高さの水平方向の断面において行うことがより好ましく、上限としては特に制限はないが、五つ以下の高さの水平方向の断面において行えばよい。
断面の高さとしては、反応塔の規模により一概にはいえないものの、原料油供給部の高さを基準として、好ましくは反応管(ライザー)の直径に対して0.5倍以上4倍以下、より好ましくは0.6倍以上2倍以下、更に好ましくは0.6倍以上1.5倍以下である。測定点が上記範囲内であると、より効果的に触媒濃度を把握でき、原料油と蒸気と触媒との接触状態を向上させ、流動接触分解ガソリンの得率を向上させることができる。
断面の高さが原料油供給部の高さを基準として高くなればなるほど、原料油及び蒸気をライザー部内に供給することによる触媒濃度への影響は低減するため、原料油供給部近傍における触媒濃度の流動状態と異なる傾向にある。これを考慮すると、断面の高さを原料油供給部の高さからより近くして放射線の強度を測定し、原料油と蒸気と触媒との接触状態をより精度高く把握した上で、原料油及び蒸気の供給量等を調整することにより、原料油と蒸気と触媒との接触状態をより効率的に向上させ、流動接触分解ガソリンの得率を向上させることができる。
二つ以上の断面の高さで放射線の強度を測定する場合、一の高さと他の高さとの差としては、反応塔の規模により一概にはいえないものの、反応管(ライザー)の直径に対して好ましくは0.5倍以上4倍以下、より好ましくは0.6倍以上2倍以下、更に好ましくは0.6倍以上1.5倍以下である。一の高さと他の高さとの差が上記範囲内であると、より効率的に触媒濃度の状況を確認でき、流動接触分解ガソリンの得率を容易に向上させることができる。
本実施形態において、放射線の強度の測定は、常時行ってもよいし、運転状態が立上げから原料油等の供給量を増加させて、定常状態(原料油等の供給量が一定の状態)となった後に必要に応じて測定する、あるいは定期的に測定してもよい。測定の手間等を考慮すると、定常状態となった後に必要に応じて測定することが好ましい。例えば、運転状態が定常状態となった後、放射線の強度を測定し、標準偏差の割合が範囲内となっているかどうかを確認し、範囲外となっている場合は、原料油、蒸気の供給量、あるいは触媒の供給量等を調整し、再度放射線の強度を測定し、標準偏差の割合が範囲内となるまで繰り返すといった運用を行うことができる。
既述のように、本実施形態において、標準偏差の割合の調整は、例えば原料油供給部からの原料油の供給量、蒸気の供給量により行うことができる。
原料油供給部の形式は、原料油を反応塔に供給できれば特に制限はないが、メンテナンス性、供給量の調整し易さ等を考慮すると、原料油と蒸気とを同時に反応塔内に供給できる複数の原料供給ノズルにより構成されていることが好ましい。この場合、ノズル毎の供給量を調整するといった方法により標準偏差の割合の調整を行うことができる。また、標準偏差の割合は、触媒の供給量により調整することも可能である。
ノズル毎の供給量の調整の方法としては、例えば、放射線の強度を測定し、マッピングした際に、触媒濃度が相対的に低い測定点付近のノズルからの原料油、蒸気の供給量を減らすことで、触媒量と原料油及び蒸気の量とのバランスがとれ、流動接触分解ガソリンの得率を向上させる、といったことができる。本実施形態の製造方法においては、一の高さの水平方向の断面の全体としての触媒濃度を把握することで流動接触分解ガソリンの得率を向上させることが可能であるが、マッピングにより当該断面における触媒濃度の分布を把握し、ノズル毎の供給量の調整を行うことで、得率を更に向上させることも可能となる。
原料油供給部からの原料油及び蒸気の供給量の比率を調整することで、標準偏差の割合の調整を行うこともできる。その比率(蒸気/原料油、%)として、好ましくは5.0以上、より好ましくは6.0以上、更に好ましくは7.0以上、より更に好ましくは7.5以上であり、上限として好ましくは10.0以下、より好ましくは9.5以下、更に好ましくは9.0以下である。蒸気の供給量と原料油の供給量との比率(蒸気/原料油、%)が上記範囲内であると、標準偏差の割合を小さくすることができ、かつ原料油の分解反応を促進できるので、効率的に流動接触分解ガソリンの得率をより容易に向上させることができる。
(原料油)
本実施形態の流動接触分解ガソリンの製造方法において用いられる原料油としては、例えば重油直接脱硫装置で水素化脱硫処理して得られる脱硫重油(DSAR)、その他原油の常圧蒸留、減圧蒸留により得られる重質軽油(HGO)、減圧軽油(VGO)、これらの重質軽油及び減圧軽油等を間接脱硫装置で脱硫処理して得られる脱硫減圧軽油(VHHGO)、間接脱硫重油と溶剤脱れき装置から得られる脱れき油(DAO)、減圧重油(VR)、コーカーガスオイル、コーカーボトム油等の各種重質油が挙げられる。
原料油の供給量としては、特に制限はなく、製油所における需給のバランスに応じた供給量とすればよく、あるいは後述する本実施形態の製造方法を実施し得る流動接触分解装置の規模に応じた供給量とすればよい。本実施形態の流動接触分解ガソリンの製造方法は、通常10kl/day以上10000kl/day程度に対応することが可能であり、小規模から大規模の装置において採用可能である。
(流動接触分解装置)
本実施形態で用いられる流動接触分解装置は、通常製油所に設けられる流動接触分解装置と称される装置、例えば、通常の流動接触分解装置(「FCC」とも称される。)、残油流動接触分解装置(「RFCC」とも称される。)であれば特に制限なく適用可能である。例えば、流動接触分解装置は、サイクロン、分解生成物排出ライン、ストリッパー、スペント触媒トランスファーライン及びライザー等を有し、原料油の流動接触分解が行われる反応塔と、エアブロワー、エアグリッド、サイクロン、再生触媒トランスファーライン及び排ガスライン等を有し、触媒の再生を行う再生塔と、を備える装置である。
既述のように、反応塔における原料油供給部の高さを基準として反応管(ライザー)の直径に対して4倍の高さまでは、ライザーの一部分に該当する。反応塔のライザーでは、原料油と蒸気と触媒との接触により分解反応が進行する。本実施形態の流動接触分解ガソリンの製造方法では、ライザーの一部分における触媒濃度の標準偏差の割合を調整することにより、原料油と蒸気と触媒との良好な接触状態を確保し、原料油の分解反応をより促進させ、流動接触分解ガソリンの得率の向上を可能としている。
ライザーにおける分解反応により生成した分解生成物はサイクロンに供給され、サイクロンでは遠心力を利用して分解生成物と流動接触分解触媒とを分離し、分解生成物は分解生成物排出ラインより反応塔から排出され、流動接触分解触媒はスチームが供給されるストリッパーで当該触媒上の炭化水素を除去してからスペント触媒トランスファーラインより反応塔から排出され、再生塔に移送される。
再生塔では、エアブロワーからエアグリッドを経由して再生塔内に供給される空気と、スペント触媒トランスファーラインから再生塔に供給される反応塔で使用された流動接触分解触媒とを接触させて、当該触媒上の炭化水素(「コーク」とも称する。)を燃焼させることにより、流動接触分解触媒が再生される。再生された流動接触分解触媒(「再生触媒」とも称する。)と、コークの燃焼により生じた排ガスとはサイクロンで分離され、再生触媒は再生触媒トランスファーラインより再生塔から排出され、ライザーに供給される。一方、排ガスは排ガスラインから再生塔から排出される。
流動接触分解触媒としては、特に制限なく、汎用の市販品を用いることもできるし、調製したものを用いてもよい。例えば、各種ゼオライト、アルミナ、粘度鉱物、シリカ等の触媒、またはこれらを担体として金属化合物等を担持させた触媒等が挙げられる。
反応塔の運転条件としては、反応塔の出口温度として、好ましくは490℃以上、より好ましくは500℃以上、更に好ましくは510℃以上であり、上限として好ましくは550℃以下、より好ましくは540℃以下、更に好ましくは530℃以下である。このような反応条件とすると、分解反応の進行がより促進され、また流動接触分解触媒上の非蒸発の炭化水素をより低減することができ、再生塔に持ち込まれる炭化水素の量をより低減することができるので、安定した運転が可能となるので、結果として流動接触分解ガソリンの得率が向上する。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
(触媒濃度の測定)
触媒濃度は、γ線照射機器(コリメータ)及びγ線検出器を用いて、原料油供給部の高さを基準として反応管(ライザー)直径に対する0.6倍の高さの水平方向の断面における612の測定点(線源36方向、1方向当たり17ヶ所)について放射線の強度(カウント数(CPS))を測定し、測定された放射線の強度の平均値と標準偏差を算出した。
また、612の測定点で測定された放射線の強度(カウント数(CPS))を、各測定点の触媒濃度としてマッピングした。
放射線の強度の測定の、より具体的な方法について、図1及び図2を用いて説明する。
まず、図1の(1-1)及び(1-2)に示されるような形式で、反応管の外周の上記の所定の高さに、1つのγ線照射機器(コリメータ)及び17のγ線検出器(検出器)を設けた。当該コリメータ及び検出器は、コリメータを、反応管の所定の高さにおける断面形状を円としたときの、任意の直径をひいたときの、当該直径の線と円との一方の交点Aに設置し、他方の交点Bに検出器の1つを設け、残りの検出器は、交点Bを中心に左右に10°毎に8つずつ設け、合計17の検出器を設置した。コリメータ及び検出器を設置した後、コリメータよりγ線を照射し、検出器にて放射線の強度(カウント数(CPS))を測定した。次いで、交点Aより10°ずれた箇所にコリメータを移動し、上記の方法と同様にして17の検出器を設置し、コリメータよりγ線を照射し、検出器にて放射線の強度(カウント数(CPS))を測定した。これを繰り返して、コリメータを36方向、当該方向毎に17ヶ所の検出器を設けて、図2の(2-1)に示されるように、合計測定点612点における放射線の強度を測定した。
(実施例1)
以下のようにして原料油の流動接触分解反応を行った。
以下の性状を有する原料油を、下記の流動接触分解触媒を循環させる流動接触分解装置の反応塔に供給し、第1表に示される原料油及び蒸気の供給量としながら、分解反応を行った。
放射線の強度の測定は、原料油及び蒸気の供給量が一定となった(定常状態となった)時点で上記の方法に従って行い、触媒濃度の平均値、標準偏差を求め、当該平均値に対する標準偏差の割合を算出した。本分解反応により得られた分解生成物から留出された燃料ガス(GAS)、PP(プロピレン)、PS(プロパン)、BB(ブタン及びブチレン)、流動接触分解ガソリン(Gasoline)、LCO(分解軽油)及びCLO(分解ボトム油)の各々の得率を第1表に示す。
(原料油性状)
脱硫重油(DSAR):100%
(流動接触分解触媒)
成分:超安定性Y型ゼオライトを25質量%、アルミナを5質量%、粘土鉱物を60質量%、シリカ5質量%、その他不純物等5質量%を含有する触媒を用いた。
比表面積:200m/g
細孔容量:0.20cm/g
(流動接触分解装置の運転条件)
反応塔出口温度(ROT):518℃±3℃
(実施例2及び比較例1)
実施例1において、原料供給ノズルあたりの原料油及び蒸気の供給量をかえた以外は、実施例1と同様にして分解反応を行った。流動接触分解ガソリンの得率などを第1表に示す。

*1,9本のうち、1本からの原料油供給量を100kl/dayとし、他の8本からの供給量を643.4kl/dayとした。また、蒸気供給量は9本とも同じとした。
*2,全ノズルからの原料油供給量及び蒸気供給量を同じとした。
上記結果から、実施例では放射線の強度(触媒濃度)の平均値に対する標準偏差の割合が53.5%以下に調整されているため、流動接触分解ガソリン(Gasoline)の得率が47.4容量%、48.7容量%と高いことが確認された。一方、比較例では放射線の強度(触媒濃度)の平均値に対する標準偏差の割合が53.5%を超えているため、流動接触分解ガソリン(Gasoline)の得率は45.7容量%と低いことが確認された。
実施例1及び2と比較例1とを対比すると、実施例1及び2においては、CLO(分解ボトム油)の得率の減少が、流動接触分解ガソリン(Gasoline)の得率の向上につながっており、流動接触分解ガソリン(Gasoline)の得率が選択的に向上していることが分かる。
また、本実施例では一の高さにおける断面上の全ての測定点(612ヶ所)における放射線の強度をマッピングしており、一の高さの水平方向の断面における触媒濃度の傾向を把握することができている。これを参考にしながら、ノズルからの原料油、蒸気の供給量を調整する、より具体的には触媒濃度が高い箇所の近傍のノズルから他のノズルよりも多い供給量で供給することにより、より高い得率で流動接触分解ガソリンが得られる。
10.反応塔
11.γ線照射機器(コリメータ)
12.γ線検出器

Claims (7)

  1. 流動接触分解装置の反応塔における原料油供給部の高さを基準として反応管の直径に対する4倍の高さまでの少なくとも一の高さの水平方向の断面における複数の測定点について、
    γ線照射により測定される放射線の強度を当該複数の測定点の触媒濃度として、当該断面における触媒濃度の平均値に対する当該断面における触媒濃度の標準偏差の割合が±53.5%以下となるように運転する、
    流動接触分解ガソリンの製造方法。
  2. 前記測定点の数が、60以上である請求項1に記載の流動接触分解ガソリンの製造方法。
  3. 前記測定点の数が、160以上である請求項1に記載の流動接触分解ガソリンの製造方法。
  4. 前記触媒濃度の標準偏差の割合を、原料油供給部からの原料油の供給量により調整する請求項1~3のいずれか1項に記載の流動接触分解ガソリンの製造方法。
  5. 前記原料油供給部から蒸気を供給し、前記触媒濃度の標準偏差の割合を、当該蒸気の供給量により調整する請求項1~4のいずれか1項に記載の流動接触分解ガソリンの製造方法。
  6. 前記触媒濃度の標準偏差の割合を、触媒の供給量により調整する請求項1~5のいずれか1項に記載の流動接触分解ガソリンの製造方法。
  7. 前記γ線照射により測定される放射線の強度を、前記複数の測定点の触媒濃度としてマッピングする、請求項1~6のいずれか1項に記載の流動接触分解ガソリンの製造方法。
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