JP7470766B1 - 異常予兆診断装置およびプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】診断モデルの更新の要否を適切に判定できるようにする。【解決手段】監視対象設備200の状態を取得した稼働データD2と、診断モデルD3と、に基づいて、前記監視対象設備の異常予兆の発生を示す異常予兆アラート・データD6を生成する予兆検知部116と、前記監視対象設備に異常事象が発生した場合に、当該異常事象は、前記予兆検知部が対応する前記異常予兆アラート・データを事前に生成すべき検知対象であるか否かを判定する検知対象判断部127と、前記検知対象判断部の判定結果が肯定であった場合に、前記異常事象に対応する前記異常予兆アラート・データが事前に生成されていない失報が生じたか否かを判定し、前記失報が生じた場合には、前記診断モデルの更新が必要である旨を判定する検索処理部128と、を異常予兆診断装置100に設けた。【選択図】図1

Description

本発明は、異常予兆診断装置およびプログラムに関する。
本技術分野の背景技術として、下記特許文献1の要約には、「[課題]機械設備の再稼動時にも異常予兆の有無を適切に診断する異常予兆診断システム等を提供する。[解決手段]異常予兆診断システム1は、所定の機械設備の停止期間後の再稼動時において、当該機械設備の診断に用いられる正常モデルとして、当該機械設備と同機種である他の機械設備の中の一つの最新の正常モデルを選択する正常モデル選択手段162と、正常モデル選択手段162によって選択された正常モデルに基づいて、当該機械設備の異常予兆の有無を診断する診断手段163と、を備える。」と記載されている。
特開2020-035281号公報
ところで、上述した技術において、異常予兆を判定するための診断モデルをできるだけ自機のデータを使って正しく更新したほうが好ましい場合があり、診断モデルの更新の要否を適切に判定したいという要望がある。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、診断モデルの更新の要否を適切に判定できる異常予兆診断装置およびプログラムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため本発明の異常予兆診断装置は、監視対象設備の状態を取得した稼働データと、診断モデルと、に基づいて、前記監視対象設備の異常予兆の発生を示す異常予兆アラート・データを生成する予兆検知部と、前記監視対象設備に異常事象が発生した場合に、前記異常事象の種類を識別する異常事象識別情報と、前記異常事象識別情報が検知対象であるか否かを定めた検知当否情報と、を対応付けた対象事象設定テーブルを参照して、前記異常事象は、前記予兆検知部が対応する前記異常予兆アラート・データを事前に生成すべき前記検知対象であるか否かを判定する検知対象判断部と、前記検知対象判断部の判定結果が肯定であった場合に、前記異常事象に対応する前記異常予兆アラート・データが事前に生成されていない失報が生じたか否かを判定し、前記失報が生じた場合には、前記診断モデルの更新が必要である旨を判定する検索処理部と、を備え、前記検索処理部は、前記異常事象の発生時刻または前記異常事象の登録時刻から、前記異常事象の種類毎に設定した期間である検索対象時間だけ過去に遡った時刻までの期間に発生した前記異常予兆アラート・データの中から、前記異常事象に対応する前記異常予兆アラート・データが存在するか否かを判定し、判定結果が否定である場合に前記失報が生じたと判定することを特徴とする。
本発明によれば、診断モデルの更新の要否を適切に判定できる。
第1実施形態による異常予兆診断装置ブロック図である。 コンピュータのブロック図である。 信憑性判断データベースの具体例を示す図である。 データベースの要部の対応関係を示す図である。 各種テーブルの関係を示す図である。 他の各種テーブルの関係を示す図である。 制御プログラム等の内容を模式的に示したフローチャート(1/2)である。 制御プログラム等の内容を模式的に示したフローチャート(2/2)である。 異常度とセンサ・データとの関係の一例を示す図である。 異常度とセンサ・データとの関係の他の例を示す図である。 事象対応処理ルーチンのフローチャートである。 異常度の推移の一例を示す図である。 異常度の推移の他の例を示す図である。
[実施形態の概要]
一般的な異常予兆診断システムにおいて、予兆診断結果が「異常予兆あり」の場合、異常予兆アラートが発出されるが、異常予兆アラートは確報と誤報の2つに分類することができる。そのため、保守計画担当者は、過去のアラート発出状況、アラートに関連するセンサ・データなどを参照して、異常予兆アラートが確報と誤報の何れに分類されるかを、過去の運転実績等から得た経験に基づいて判断していた。そこで、この種の判断を自動化できれば好ましい。また、異常予兆アラートが誤報であった場合、その後は異常予兆診断システムから誤報が発報されないよう、異常予兆診断の診断モデルを更新することが好ましい。そこで後述する実施形態は、異常予兆ありと判断された予兆診断結果に基づいて、診断モデルの更新要否を適切に判定しようとするものである。
ここで、ガスエンジンの異常予兆診断を例として、異常予兆の信憑性を判断する意義を、さらに詳細に説明する。
(1)異常予兆診断装置が異常予兆アラートを発報した後、数日間に渡って同様のセンサ・データを伴ってアラートを発生し続ける場合がある。このようなアラートは誤報である可能性が高い。また、ある異常予兆アラートが過去に発報されたにもかかわらず、対応する故障が何も発生しなかったとする。すると、このアラートに近似するアラートも、誤報である可能性が高い。このような知見は、熟練作業者の経験や保守計画担当者の知識の中に蓄積された情報である。
熟練作業者等が「誤報である」と判定した場合には、異常予兆診断装置が発報したアラートよりも熟練作業者等の経験の方を優先し、当該アラートを無視することが好ましい場合が多い。すると、当該事象に対して「誤報」という識別を付け、そもそも当該アラートを発報させないことが望ましい。
(2)センサ・データにおいて、過去に経験した故障と同様のトレンドが発生した場合、診断モデルが異常予兆アラートを発生させる場合がある。しかし、この異常予兆アラートは、「発生が早すぎる誤報」と判断すべき場合がある。診断モデルにおいてセンサ・データに重みづけを付与する際、重みづけ係数が大きすぎることが、この種の誤報が発生する原因であることが多い。この場合、重みづけ係数を変更することによって、誤報を抑制することが可能になる。
(3)作業者等は、異常予兆アラートが正しいか否かの判断に迷った場合、反応しているセンサ・データおよび関連するセンサ・データのトレンドグラフと、センサ周辺の保守履歴や部品交換情報を参照し、誤報であるか確報であるかを判断することが多い。
また、センサ・データが正常時とは異なる傾向を示している場合や、関連するセンサ・データの連動状態が通常とは異なる場合などは、外気温、外気圧、湿度、燃料情報などの信憑性を疑うべき場合がある。また、不具合を発生させる人為的な要因(例えば、異物が吸気口を塞いでいるなど)が発生している場合がある。そこで、このような要因を推定および特定し対策を講じることが好ましい。
また、前回保守を行った時からの経過時間が短いにもかかわらず、信頼性の高い部位での異常予兆アラートが発生すると、それは誤報であると判断すべき場合が多い。
また、作業員等が異常な運転を行った場合に異常予兆アラートが発生する場合もある。但し、これは人的な情報を照合した結果として、事後になって誤報であると判明する場合が多い。また、この種のケースでは、年単位で遅れて誤報であると判明する場合が多い。
これらの場合、作業者等が診断モデルのモデル係数を変更して対処することがある。また、作業者等は、上述のような異常な推移を示すセンサ・データのトレンドの状態に紐づけて、異常予兆アラートを誤報と分類する場合もある。また、本来は発生すべき異常予兆アラートが発生しなかったことを「失報」と呼ぶ。失報が生じた場合には、その後は、同様の失報が生じにくくするように対処することが望ましい。そこで後述する実施形態においては、上述の(1)~(3)を信憑性判断データベースによって体系化するとともに、当該信憑性判断データベースに基づいて、異常予兆の確報または誤報を判定し、さらに失報を検出しやすくなるように対応できるようにした。
[第1実施形態]
〈第1実施形態の構成〉
図1は、第1実施形態による異常予兆診断装置100のブロック図である。異常予兆診断装置100は、監視対象設備200の異常予兆を診断するシステムである。監視対象設備200は、例えば、ガスエンジン発電機である。但し、監視対象設備200は、これに限定されるものではなく、化学プラント、原子力プラント、医療設備、通信設備等であってもよい。また、監視対象設備200は、全ての構成要素が近隣に設置されているものであってもよく、各構成要素が複数の離散した箇所に設置されていてもよい。
異常予兆診断装置100は、予兆分析部110と、モデル更新制御部120と、センサ部150と、DB部160と、を備えている。なお、「DB」は「データベース」を意味する。DB部160は、稼働データベース162と、モデル管理データベース164と、診断結果データベース165と、原因診断データベース166と、信憑性判断データベース168と、事象マスタデータベース172と、保守対応実績データベース174と、対象事象照合データベース176と、を備えている。上述した各データベースには、磁気ディスク装置、光ディスク装置、半導体記憶装置等を適用することができる。
また、予兆分析部110は、運転監視部112と、診断モデル選択部114と、予兆検知部116(予兆検知手段)と、原因診断部118と、を備えている。また、モデル更新制御部120(モデル更新制御手段)は、予兆経験判定部122と、予兆信憑性判定部124と、モデル更新判定部126と、検知対象判断部127(検知対象判断手段)と、検索処理部128(検索処理手段)と、を備えている。
センサ部150は、監視対象設備200の状態を計測する複数のセンサ(図示略)を備えている。稼働データベース162は、これらセンサの検出値(センサ・データ)に基づいて、稼働データD2を蓄積する。稼働データD2は、上記各センサの識別情報、監視対象設備200を構成する機器のうち各センサが設置されている機器の識別情報、各センサ・データ、検出日時等の情報を含んでいる。この稼働データD2は、予兆分析部110に供給される。
運転監視部112は、稼働データD2に基づいて、監視対象設備200の運転状態を監視する。モデル管理データベース164は、複数の予兆診断項目にそれぞれ対応する複数の診断モデルD3を記憶する。ここで予兆診断項目とは、例えば「エンジン混合気温度異常」、「冷却水圧力低下」、「油漏れ」等である。ここで、個々の診断モデルD3は、監視対象設備200の状態や、監視しようとする予兆診断項目に応じて、監視対象設備200の正常状態における動作内容を記述したデータである。診断モデル選択部114は、これら複数の診断モデルD3の中から、監視対象設備200の状態および予兆診断項目に応じた一つの診断モデルD3を選択する。
予兆検知部116は、稼働データベース162に記憶されている現在および過去の稼働データD2と、選択された診断モデルD3と、に基づいて、予兆診断項目に応じた異常度D4を出力する。ここで、異常度D4は、正常状態からの乖離の大きさを表す指標である。また、予兆検知部116は、異常度D4に基づいて、監視対象設備200の異常予兆診断を行う。ここで、「異常予兆診断」とは、監視対象設備200が稼動不能となる異常な状態に達するか否かを診断することに限らず、正常な状態の範囲で稼動可能ではあるが監視対象設備200の性能低下が起こっている場合に、その性能低下の程度を診断することも含むものである。そして、予兆検知部116は、この異常度D4に基づき、監視対象設備200の異常予兆の有無を診断し、その結果を判定データD5として出力する。判定データD5は、“0”(異常予兆なし)または“1”(異常予兆あり)の値をとる二値のデータである。
予兆検知部116は、例えば異常度D4が所定の閾値以上である場合に判定データD5を“1”(異常予兆あり)とし、それ以外の場合に判定データD5を“0”(異常予兆なし)とすることが考えられる。また、予兆検知部116は、予兆診断項目と、稼働データD2と、異常度D4との関係に基づいて、異常度D4に信憑性が有るか否かを判定し、異常度D4に信憑性があり、かつ、異常度D4が所定の閾値以上である場合に判定データD5を“1”(異常予兆あり)とし、それ以外の場合に判定データD5を“0”(異常予兆なし)とすることも考えられる。
予兆検知部116は、判定データD5が“1”(異常予兆あり)である場合に異常予兆アラート・データD6を生成し、診断結果データベース165に書き込む。この異常予兆アラート・データD6は、予兆診断項目と、稼働データD2と、異常度D4と、信憑性データD10と、を紐づけたものである。ここで、信憑性データD10は、当該異常予兆アラート・データD6について「確報」、「誤報」または「未定」の何れかを示すデータであり、異常予兆アラート・データD6が作成された時点では「未定」である。但し、信憑性データD10は、モデル更新制御部120によって、「確報」または「誤報」に変更される。
ここで、「確報」とは、異常予兆アラート・データD6に対する対策を何ら行わない場合、異常予兆アラート・データD6が生成された後、一定期間経過後に、監視対象設備200に異常状態が表出する可能性が高いことを意味する。また、「誤報」とは、異常予兆アラート・データD6に対する対策を何ら行わない場合、異常予兆アラート・データD6が生成された後、一定期間経過後も、監視対象設備200に対応する異常状態が表出しない可能性が高いことを意味する。
そして、予兆検知部116は、当該異常予兆アラート・データD6をモデル更新制御部120に供給する。ところで、異常予兆アラート・データD6に含まれる信憑性データD10は、異常予兆アラート・データD6が新たに生成された時点では「未定」である。そこで、後述する処理により、異常予兆アラート・データD6には、「確報」または「誤報」の信憑性データD10が後に追加される。このように、「確報」または「誤報」である異常予兆アラート・データD6を、「評価済異常予兆アラート・データD6A」と呼ぶことがある。
さらに、予兆検知部116は、稼働データD2を学習データとした統計的手法(データマイニング)に基づいて、監視対象設備200の稼動情報の正常範囲を示す所定の診断モデルを学習する。予兆検知部116は、その学習結果を、診断モデルD3としてモデル管理データベース164に登録する。
原因診断部118は、異常予兆アラート・データD6に対して「影響センサ」を特定する場合がある。影響センサとは、センサ部150に属する各センサのセンサ・データのうち、予兆検知部116が「異常予兆あり」と判定するに至った原因として、最も影響が大きかったセンサ・データを出力したセンサである。また、原因診断部118は、原因診断データD8を生成し、原因診断データベース166に書き込む。ここで、原因診断データD8は、予兆診断項目と、影響センサのパターンと、異常予兆アラート・データD6と、を紐づけたデータである。
上述したように、モデル更新制御部120は、異常予兆アラート・データD6を、予兆分析部110から受信する。
モデル更新制御部120の予兆経験判定部122は、原因診断データベース166に今回受信した異常予兆アラート・データD6に類似する既存の評価済異常予兆アラート・データD6A(以下、「既存類似データ」と呼ぶ)が記録されているか否かを判定する。
ここで、「類似」の意義を説明しておく。稼働データD2がn個のセンサ・データを含む場合、これらセンサ・データはn次空間内の一つの点に対応する。既存の評価済異常予兆アラート・データD6Aに含まれる稼働データD2に係るn次空間内の点と、今回受信した異常予兆アラート・データD6に含まれる稼働データD2に係るn次空間内の点との距離が所定値以下であった場合、両者の異常予兆アラート・データD6は「類似する」ものとする。
また、予兆信憑性判定部124は、新たに発生した異常予兆アラート・データD6に対する既存類似データが存在しない場合に、監視対象設備200に対する経過観察を行うことにより、当該異常予兆アラート・データD6の信憑性を判定する。さらに、予兆信憑性判定部124は、異常予兆アラート・データD6に対する既存類似データが存在する場合には、この既存類似データが「確報」であるのか「誤報」であるのかを判定する。
そして、予兆信憑性判定部124は、既存類似データに含まれる「確報」または「誤報」の信憑性データD10と同一の信憑性データD10を、新たに発生した異常予兆アラート・データD6にも追加する。これにより、当該異常予兆アラート・データD6は、評価済異常予兆アラート・データD6Aになる。また、予兆信憑性判定部124は、この評価済異常予兆アラート・データD6Aの信憑性データD10が「確報」である場合には、当該評価済異常予兆アラート・データD6Aの内容を原因診断データベース166にも格納する。
モデル更新判定部126は、新たに発生した異常予兆アラート・データD6が「誤報」である場合に、対応する診断モデルD3の更新の要否を判定する。さらに、モデル更新判定部126は、診断モデルD3を更新する場合に、その更新態様として「新規作成」または「一部更新」の何れを採用するかを決定する。
ここで、「新規作成」および「一部更新」の意義について説明しておく。診断モデルD3は、アルゴリズムと、そのアルゴリズムに適用される定数であるパラメータと、を含んでいる。ここで、アルゴリズムを変更することなく定数のみを変更することを「一部更新」と呼び、アルゴリズムそのものを変更することを「新規作成」と呼ぶ。
検知対象判断部127は、監視対象設備200において何らかの異常事象が発生した場合に、この新たな異常事象は、対応する異常予兆を事前に検知すべき対象(検知対象)であるか否かを判定する。また、検索処理部128は、検知対象判断部127によって「検知対象である」と判定された異常事象について、実際に異常予兆が事前に検知されたか否かの検索処理を行う。
図2は、コンピュータ900のブロック図である。図1に示した異常予兆診断装置100は、このコンピュータ900を備えている。
図2において、コンピュータ900は、CPU901と、RAM902と、ROM903と、HDD904と、通信I/F905と、入出力I/F906と、メディアI/F907と、を備える。通信I/F905は、通信回路915に接続される。入出力I/F906は、入出力装置916に接続される。メディアI/F907は、記録媒体917からデータを読み書きする。
ROM903には、CPUによって実行される制御プログラム、各種データ等が格納されている。CPU901は、RAM902に読み込んだアプリケーションプログラムを実行することにより、各種機能を実現する。先に図1に示した、異常予兆診断装置100の内部は、アプリケーションプログラム等によって実現される機能をブロックとして示したものである。但し、異常予兆診断装置100は、1台のコンピュータ900を用いて構成してもよく、通信回路915を介して接続した複数のコンピュータ900を用いて構成してもよい。
〈信憑性判断データベースの具体例〉
図3は、信憑性判断データベース168に記憶されている信憑性判断データD30の具体例を示す図である。
図3において、信憑性判断データD30は、予兆診断項目部30と、判断基準部34と、評価情報部36(評価情報)と、を有している。予兆診断項目部30は、複数の予兆診断項目30a,30b,30c等を記憶する。判断基準部34は、各々の予兆診断項目に対して、複数の判断基準#1~#4を記憶する。
また、評価情報部36は、これら判断基準#1~#4の組合せに応じて、「○」または「×」の評価情報を記憶する。ここで、「○」の評価情報とは、当該予兆診断項目に対して、異常予兆が発生した場合に、その異常予兆が信頼できる(確報であると考えられる)という意味である。また、「×」の評価情報とは、当該予兆診断項目に対して、異常予兆が発生した場合に、その異常予兆が信頼できない(誤報であると考えられる)という意味である。この信憑性判断データD30の内容は、熟練作業者の経験や保守計画担当者の知識を体系化したものである。
図示の例において、予兆診断項目30aは「エンジン混合気温度異常」であり、判断基準#1として、「入口温度(吸気温度)と出口温度(排気温度)の実測値差ΔT」について「所定温度k℃以上」であるか「k℃未満」であるかが挙げられている。また、当該判断基準#1の結果のそれぞれに対して、判断基準#2として、「冷却水液面高さの実測値H」について「所定高さh1以上」であるのか「h1未満」であるかが挙げられている。また、判断基準#1および判断基準#2の判断結果の各組合せに対して、判断基準#3として、「前回の保守時に冷却タンクに水を充填したか」について「Yes」か「No」か、が挙げられている。
また、予兆診断項目30bは「冷却水圧力低下」であり、判断基準#1として、「圧力低下速度Vが所定速度V1を超える」か否かが挙げられている。そして、判断基準#1について「圧力低下速度Vが所定速度V1を超える」場合に、判断基準#2として、「圧力低下の周期性有無」について「Yes」か「No」か、が挙げられている。そして、判断基準#3として、「冷却水ヒータ温度T」について、「T1<T≦T2」、「T>T2」(但し、T1,T2は所定温度)が挙げられている。
また、予兆診断項目30cは「油漏れ」であり、判断基準#1として「油圧は低下しているか」について「Yes」か「No」か、が挙げられている。そして、判断基準#1について「Yes」である場合に、判断基準#2として、冷却水量Qについて「所定値q1以上」か「q1未満」が、が挙げられている。そして、判断基準#3として、「前回保守時に弁は正常であったか」について「Yes」か「No」か、が挙げられている。
〈データベースの要部の対応関係〉
図4は、データベースの要部の対応関係を示す図である。
すなわち、図4は、図1に示した事象マスタデータベース172と、保守対応実績データベース174と、対象事象照合データベース176と、の対応関係を示す。事象マスタデータベース172には、後述する事象マスタテーブルD172が記憶されている。また、保守対応実績データベース174には、後述する保守対応実績テーブルD174と、照合済テーブルD175と、が記憶されている。
また、対象事象照合データベース176には、後述する対象事象設定テーブルD176が記憶されている。事象マスタテーブルD172、保守対応実績テーブルD174および対象事象設定テーブルD176は、後述する事象IDによって相互に対応付けられている。また、保守対応実績テーブルD174と、照合済テーブルD175とは、後述する対応IDによって対応付けられている。
図5は、各種テーブルの関係を示す図である。
図5において、保守対応実績テーブルD174は、異常事象に対応する複数のレコード(行)に対して、対応IDと、件名と、対応日と、完了日と、対応内容と、登録日と、を記憶するものである。ここで、「対応ID」とは、当該異常事象に対して作業者等が故障等の異常事象に対応する保守作業を行った場合に付与される識別情報である。また、「件名」とは、当該異常事象の内容を表現する文字列である。また、「対応日」および「完了日」は、異常事象に対応する保守作業の開始日および終了日の日付である。「対応内容」は、保守作業の内容を表現する文字列である。「登録日」とは、当該レコードを保守対応実績テーブルD174に登録した日付である。
また、照合済テーブルD175は、異常事象に対応する複数のレコード(行)に対して、対応IDと、事象ID(異常事象識別情報)と、照合状況と、を記憶するものである。ここで、「対応ID」は、保守対応実績テーブルD174のものと同様である。「事象ID」は、異常事象の種類毎に付与された識別情報である。「照合状況」とは、保守対応実績テーブルD174において、当該対応IDが付与されたレコードを、後述する対象事象設定テーブルD176(図6参照)と照合したか否かを示す情報であり、照合済(○印)または未照合(空欄)の何れかになる。
照合済テーブルD175から照合状況が空欄(照合未実行)であるレコードを抽出し、抽出したレコードの対応IDと同一の対応IDを有する保守対応実績テーブルD174内のレコードも抽出し、両者の内容をマージする。これにより、図示の照合対象データDX2が得られる。
図6は、他の各種テーブルの関係を示す図である。
図6において、対象事象設定テーブルD176は、事象種別に対応する複数のレコード(行)に対して、事象IDと、検知当否情報と、を記憶するものである。上述のように、「事象ID」は異常事象の種類毎に付与された識別情報である。
また、検知当否情報は、当該異常事象の種類が、「予兆検知部116によって対応する異常予兆を検知すべき事象種類」(以下、検知対象と呼ぶ)であるかを示す情報である。検知当否情報は、検知対象(○印)または非検知対象(×印)の何れかになる。また、事象マスタテーブルD172は、各々異常事象の種類に対応する複数のレコード(行)に対して、事象IDと、事象名称と、「事象名称」は、当該異常事象の種類の内容を表す文字列である。
事象マスタテーブルD172から任意のレコード(例えば、「油漏れ」および「燃料タイプ切替過多」)を指定し、抽出したレコードの事象IDと同一の事象IDを有する対象事象設定テーブルD176内のレコードも抽出し、両者の内容を合わせると、図示の検知対象一覧データDX4が得られる。検知対象一覧データDX4においては、事象マスタテーブルD172で指定したレコード(上記例では「油漏れ」および「燃料タイプ切替過多」)が、それぞれ、検知対象であるか否かを判別できる。
〈第1実施形態の動作〉
図7および図8は、本実施形態に適用される制御プログラム等の内容を模式的に示したフローチャートである。なお、図7および図8において、実線は主として処理の流れを示し、破線はデータの流れを示す。
図7において処理がステップS2に進むと、予兆検知部116は、新規の診断モデルD3を作成する。次に、処理がステップS4に進むと、予兆検知部116は、作成した診断モデルD3が適正か否かを判定する。ここで「No」と判定されると、処理はステップS2に戻り、予兆検知部116は診断モデルD3が再作成する。以後、診断モデルD3が適正であると判断されるまで、ステップS2,S4が繰り返される。一方、ステップS4において「Yes」と判定されると、処理はステップS6に進む。ここでは、予兆検知部116は、作成された新たな診断モデルD3をモデル管理データベース164に登録する。
次に、処理がステップS7に進むと、運転監視部112は、稼働データベース162から稼働データD2を取得する。また、診断モデル選択部114は、診断対象とする予兆診断項目に応じた診断モデルD3を選択し、モデル管理データベース164から読み出す。
次に、処理がステップS72に進むと、予兆検知部116は、選択された診断モデルD3に基づいて診断処理を行う。次に、処理がステップS74に進むと、予兆検知部116は、この診断処理の結果と、稼働データD2と、に基づいて、異常度D4を算出し、異常度D4に基づいて判定データD5を算出する。
次に、処理がステップS76に進むと、予兆検知部116は、判定データD5が“1”(異常予兆あり)であるか否かを判定する。ここで、判定データD5が“0”(異常予兆なし)であった場合、ステップS76において「No」と判定され、処理はステップS7に戻る。これにより、運転監視部112は、稼働データベース162から再び稼働データD2を取得し、ステップS72以降の処理が実行される。従って、稼働データD2において異常予兆を示すデータが含まれない場合、判定データD5は“0”(異常予兆なし)であり続けるため、ステップS7~S76の処理が繰り返される。
一方、判定データD5が“1”(異常予兆あり)であると、ステップS76において「Yes」と判定され、処理はステップS78に進む。予兆検知部116は、異常予兆アラート・データD6を生成し、生成した異常予兆アラート・データD6を診断結果データベース165およびモデル管理データベース164に登録する。なお、上述のように、異常予兆アラート・データD6は、予兆診断項目と、稼働データD2と、異常度D4とを紐づけたデータである。
次に、処理がステップS10に進むと、モデル更新制御部120の予兆経験判定部122は、既存の異常予兆アラート・データD6のうち、ステップS78において新規登録された異常予兆アラート・データD6に対して、既存類似データ(類似する既存の評価済異常予兆アラート・データD6A)が存在する否かを判定する。ステップS10において「No」と判定されると、処理は図8のステップS50に進み、経過観察処理が実行される。ここで、経過観察処理とは、所定の経過観察期間に、監視対象設備200に故障が生じたか否かを観察する処理である。
次に、処理がステップS52に進むと、予兆検知部116は、ステップS50の経過観察期間において、異常予兆アラート・データD6に係る予兆診断項目に応じた故障が発生したか否かを判定する。ここで「No」と判定されると、処理はステップS53に進み、予兆経験判定部122は、診断結果データベース165に対して、新規登録された異常予兆アラート・データD6の信憑性データD10が「誤報」であった旨を記録する。
一方、ステップS52において「Yes」と判定されると、処理がステップS54に進む。ここでは、作業員等が、故障に対応する保守作業を行う。次に、処理がステップS56に進むと、原因診断部118は、ステップS54の保守作業の結果に応じて、ステップS52,S53における異常予兆診断装置100の対応を評価する。まず、上述したように、ステップS52において、予兆検知部116は、経過観察期間において故障が発生したか否かを判定した。原因診断部118は、この判定内容を評価し、その正誤を診断結果データベース165に記憶させる。また、原因診断部118、は、異常予兆アラート・データD6に係る故障原因についてもその正誤を原因診断データベース166に記憶させる。なお、上述したステップS56の処理は、作業者等が実行してもよい。
また、図7のステップS10において、「Yes」(既存類似データあり)と判定されると、処理はステップS12に進む。ステップS12において、予兆信憑性判定部124は、信憑性判断データD30に基づいて、以下の手順により、新たに発生した異常予兆アラート・データD6が確報であるか誤報であるかを判定する。
すなわち、予兆信憑性判定部124は、予兆診断項目30a,30b,30c等(図3参照)の中から、異常予兆アラート・データD6に含まれる予兆診断項目を選択する。次に、予兆信憑性判定部124は、選択した予兆診断項目における判断基準#1~#4等と、異常予兆アラート・データD6に含まれる稼働データD2と、を照合し、評価情報部36に記憶されている評価情報に基づいて、当該異常予兆アラート・データD6に信憑性がある(確報である)、または信憑性が無い(誤報である)のかを判定する。
新たに発生した異常予兆アラート・データD6が「誤報」であった場合、ステップS12において「No」と判定され、処理はステップS13に進む。異常予兆アラート・データD6が誤報であったため、以降の処理においては、当該異常予兆アラート・データD6を生成する際に用いた診断モデルD3を更新する。但し、上述したように、診断モデルD3の更新態様には、「新規作成」または「一部更新」の2種類がある。
そこで、ステップS13において、モデル更新判定部126は、「誤報」である既存類似データに係る診断モデルD3に対する更新態様として「新規作成」または「一部更新」の何れかを選択する。なお、その選択方法の詳細については後述する。次に、処理が図8のステップS14に進むと、選択された更新態様は新規作成であるのか否かが判定される。ここで、「Yes」と判定されると、処理は図7のステップS2に戻り、予兆検知部116は、診断モデルD3を新規に作成し、その内容をモデル管理データベース164に登録する。その後、上述したステップS4以降の処理が繰り返される。
一方、診断モデルD3の更新態様として一部更新が選択された場合、処理は図8のステップS22に進み、予兆検知部116は、モデル管理データベース164に記憶されている診断モデルD3の中から、更新すべき診断モデルD3を選択する。次に、処理がステップS24に進むと、予兆検知部116は、更新すべき診断モデルD3をモデル管理データベース164に仮登録する。
次に、処理がステップS26に進むと、予兆検知部116は、稼働データベース162に記憶されている稼働データD2に基づいて、仮登録した診断モデルD3の再学習を実行する。次に、処理がステップS28に進むと、予兆検知部116は、仮登録した診断モデルD3が適正であるか否かを判定する。
ステップS28において「Yes」(適正)と判定されると、処理はステップS29に進み、予兆検知部116は、仮登録した診断モデルD3を正式登録する。一方、ステップS28において「No」(適正ではない)と判定されると、処理はステップS22に戻り、ステップS22~S28の処理が繰り返される。ステップS29の処理が終了すると、処理はステップS72に戻り、上述したステップS72以降の動作が繰り返される。
また、ステップS12において、「Yes」(新たに発生した異常予兆アラート・データD6が「確報」)と判定されると、処理はステップS30(図8参照)に進む。ここでは、予兆信憑性判定部124は、原因診断データベース166に対して、既存類似データが「確報」であった旨を登録する。次に、処理がステップS32に進むと、予兆信憑性判定部124は、入出力装置916(図2参照)に含まれるディスプレイに、所定のチェックリストを表示させる。作業者等は、このチェックリストを介して、各種データを入力する。
ところで、監視対象設備200が導入された際、監視対象設備200に対しては所定の初期調査が実行されている(S34)。次に、処理がステップS32からステップS36に進むと、予兆信憑性判定部124は、上述の初期調査の結果と、作業者等によるチェックリストへの入力内容と、に基づいて、異常予兆アラート・データD6が発生した原因を診断する。
次に、処理がステップS38に進むと、予兆信憑性判定部124は、作業者等に対して、異常予兆アラート・データD6に対応して、故障等を未然に防止する対応策を提案する。次に、処理がステップS40に進むと、作業者等は、監視対象設備200に対する保守計画を作成する。次に、ステップS54では、作業員等が、監視対象設備200に対する保守作業を行う。次に、処理がステップS56に進むと、原因診断部118は、ステップS54の保守作業の結果に応じて、ステップS30~S38における異常予兆診断装置100の対応を評価する。そして、原因診断部118は、上述したように、評価結果を診断結果データベース165および原因診断データベース166に記憶させる。
〈ステップS13の詳細〉
上述したステップS13において、診断モデルD3に対する更新態様として新規作成または一部更新を選択する方法の詳細を説明する。
上述したように、稼働データD2は、複数のセンサ・データを含んでいる。そこで、モデル更新判定部126は、異常度D4の時系列データと、異常度D4に寄与しているセンサ・データとの相関分析を行い、各々の相関度を算出する。異常度D4が大きくなる原因は、特定のセンサに紐づいた一または複数の機器の減耗による劣化である場合が多い。従って、このような場合、異常度D4の増加に伴って、センサ・データは漸増または漸減の傾向を示す。
しかし、診断モデルD3のアルゴリズムが不適切である場合には、センサ・データは漸増または漸減とは大きく外れることがある。例えば、異常度D4に対して強い相関を持つセンサ・データが診断モデルD3にそもそも含まれていなかった場合が挙げられる。また、監視対象設備200は、例えば始動、定常、停止、空転等、様々異なる運転状態になる場合がある。診断モデルD3に、運転状態に基づく突発事象が組み込まれていない場合も、異常度D4とセンサ・データとの関係が不自然なものになる。このように診断モデルD3のアルゴリズムそのものが不適切であった場合に、モデル更新判定部126は、ステップS13における更新態様として「新規作成」を選択し、それ以外の場合に「一部更新」を選択する。
図9は、異常度D4とセンサ・データとの関係の一例を示す図である。
図9の横軸は時刻tであり、縦軸はセンサ・データおよび異常度D4である。図9においてSD1は異常度D4に対する寄与度が第1位のセンサ・データである。なお、寄与度とは、異常度D4の大きさに最も影響を与えているセンサ・データの全体のセンサ・データにおける寄与の割合を示す。図示の例では、センサ・データSD1の異常度D4に対する相関度が高いため、ステップS13では、「更新態様」として「一部更新」が選択される傾向が高くなる。
図10は、異常度D4とセンサ・データとの関係の他の例を示す図である。
図10の横軸は時刻tであり、縦軸はセンサ・データおよび異常度D4である。図10においてSD1,SD2,SD3は、異常度D4に対する寄与度が第1位、第2位および第3位のセンサ・データである。そして、センサ・データSDXは、実際には診断モデルD3において参照されていないセンサ・データである。
モデル更新判定部126は、例えば以下のような場合に、「更新態様」として「新規作成」を選択する傾向が強くなる。
(1)センサ・データSD1の時刻t1,t2における突発的な変動が、診断モデルD3に組み込まれていない。
(2)センサ・データSD2の重みづけが、センサ・データSD1の重みづけと比較して極端に低い。
(3)異常度D4に対してセンサ・データSDXの相関度が高いにも関わらず、センサ・データSDXが診断モデルD3に組み込まれていない。
〈事象対応処理〉
図11は事象対応処理ルーチンのフローチャートである。
本ルーチンは、モデル更新制御部120(図1参照)において所定時間毎に起動される。
図11において処理がステップS101に進むと、検知対象判断部127は、前回に当該ステップS101を実行した時と比較して、保守対応実績データベース174の保守対応実績テーブルD174および照合済テーブルD175に新たなレコード、すなわち新たな異常事象に対するレコードが登録されているか否かを判定する。ここで「No」と判定されると、本ルーチンの処理が終了する。
ところで、監視対象設備200(図1参照)何らかの異常事象(例えば「油漏れ」)が発生すると、作業者等は監視対象設備200の状況を確認し、保守対応作業を行う。そして、保守が完了した後、保守対応日、保守完了日、および具体的な対応内容等の情報を、保守対応実績テーブルD174および照合済テーブルD175(図5参照)の新たなレコードとして追加する。
例えば、この新たなレコードが、図5の保守対応実績テーブルD174および照合済テーブルD175における「対応ID:00n-1」および「対応ID:00n」のレコードであったとする。その後に、本ルーチンが起動されると、検知対象判断部127は、ステップS101において「Yes」と判定し、処理はステップS102に進む。
ステップS102において、検知対象判断部127は、照合済テーブルD175(図5参照)から照合状況が空欄(照合未実行)であるレコードを抽出し、抽出したレコードの対応IDと同一の対応IDを有する保守対応実績テーブルD174内のレコードも抽出し、両者の内容を合わせて照合対象データDX2(図5参照)を取得する。照合対象データDX2の各レコードを、照合対象レコードと呼ぶ。図5に示した例においては、照合対象データDX2には、対応IDが「00n-1」および「00n」である二つの照合対象レコードが含まれている。
次に、処理がステップS103に進むと、検知対象判断部127は、照合対象レコードに対応する、対象事象設定テーブルD176(図6参照)と、事象マスタテーブルD172を参照し、検知当否一覧データDX4を生成する。図5に示した例においては、検知対象判断部127は、照合対象レコードにおける2つの事象ID「00n-1」および「00n」をキーとして、対象事象設定テーブルD176(図6参照)と、事象マスタテーブルD172を参照し、検知当否一覧データDX4を生成する。
そして、検知対象判断部127は、検知当否一覧データDX4に基づいて、2つの事象ID「00n-1」および「00n」照合対象レコードが検知対象であるか否かを判別する。図6の示の例では、事象ID「00n-1」の「油漏れ」は検知対象であり、事象ID「00n」の「燃料タイプ切替過多」は検知対象ではない。
次に、処理がステップS104に進むと、検知対象判断部127は、照合済テーブルD175における各レコードのうち、照合対象レコードに対応する照合状況を照合済(○)に変更する。図5の例では、検知対象判断部127は、照合済テーブルD175における対応IDが「00n-1」および「00n」レコードにおいて、照合状況を照合済(○)に変更する。
次に、処理がステップS105に進むと、検知対象判断部127は、検知対象一覧データDX4の中に検知対象となるレコードが含まれているか否かを判定する。すなわち、検知当否一覧データDX4において検知対象(○)とされているレコードが含まれているか否かを判定する。含まれていない場合はここで「No」と判定され、本ルーチンの処理は終了する。
図6に示した検知当否一覧データDX4の例においては、事象IDが「00n-1」である「油漏れ」に関する保守作業のレコードは検知対象である。従って、この場合は「Yes」と判定され、処理はステップS106に進む。
ステップS106において、検索処理部128は、照合対象データDX2の中の検知対象であるレコードについて、所定の検索期間内における異常予兆アラート・データD6を検索する。ここで、「検索期間」とは、「保守作業のレコードを保守対応実績テーブルD174に登録した時刻(または異常事象の発生時刻であってもよい)から所定の検索対象時間Tj(図12参照)だけ過去まで遡った期間」である。なお、検索対象時間Tjは、予め定めた固定的な期間であってもよく、異常事象の種類毎に個別に設定した期間であってもよい。
次に、処理がステップS107に進むと、検索処理部128は、異常予兆の失報が発生したか否かを判定する。換言すれば、検索処理部128は、診断モデルD3の更新が必要であるか否かを判定する。すなわち、異常事象に対応する異常予兆アラート・データD6が存在しない場合には、失報が発生したことになり、検索処理部128は、診断モデルD3の更新が必要である旨を判定する。一方、対応する異常予兆アラート・データD6が存在する場合は、失報は発生していないため、検索処理部128は、診断モデルD3の更新が不要である旨を判定する。すなわち、ステップS107において「No」と判定され、本ルーチンの処理は終了する。
一方、失報が発生した場合、すなわち対応する異常予兆アラート・データD6が存在しない場合には、ステップS107において「Yes」と判定され、処理はステップS13(図7参照)に進む。但し、失報が生じた場合に直ちにステップS13に進むことに代えて、失報が生じた旨を作業者等に報知し、作業者等が診断モデルD3の更新を指示した場合にステップS13以降の処理を実行するようにしてもよい。ステップS13において、モデル更新判定部126は、保守対応実績テーブルD174に追加されたレコードに対応して、診断モデルD3の更新態様(新規作成または一部更新)を決定する。以降の処理は上述したものと同様である。
例えば、「一部更新」を行う場合には、ステップS26(図8参照)において、予兆検知部116は、稼働データベース162に記憶されている稼働データD2に基づいて、仮登録した診断モデルD3の再学習を実行する。この場合における再学習の内容は、稼働データD2に基づいて、失報になった(出力されなかった)異常予兆アラート・データD6が、次回からは出力されるように、診断モデルD3の再学習を行うことである。
また、診断モデルD3の「新規作成」を行う場合は、ステップS2(図2参照)において、予兆検知部116は、新規の診断モデルD3を作成する。この場合も、予兆検知部116は、稼働データD2に基づいて、失報になった(出力されなかった)異常予兆アラート・データD6が、次回からは出力されるように、新規の診断モデルD3を作成する。
図12は、異常度D4の推移の一例を示す図である。
図12において、縦軸は異常度D4であり、横軸は時刻tである。予兆検知部116(図1参照)は、異常度D4が閾値ThDを超えた場合に異常予兆アラート・データD6を生成する。そして、時刻t10に、異常度D4に対応する異常事象が発生したとする。なお、時刻t10は、保守作業のレコードを保守対応実績テーブルD174に登録した時刻であってもよい。時刻t10から検索対象時間Tjだけ過去に遡った時刻をt4とする。図示の例では、時刻t4~t10の期間内に含まれる時刻t6,t8において異常度D4が閾値ThDを超えている。従って、時刻t6,t8において異常予兆アラート・データD6が発生するため、検索処理部128(図1参照)は「失報は発生していない」と判定する。
図13は、異常度D4の推移の他の例を示す図である。
図13においても、縦軸は異常度D4であり、横軸は時刻tであり、検索対象時間Tj、時刻t4,t10の意義も図12と同様である。図13の例においては、時刻t4以前の時刻t2において異常度D4が閾値ThDを超えており、その時点で異常予兆アラート・データD6が発生する。しかし、時刻t4以前に発生した異常予兆アラート・データD6は、時刻t10における異常事象との関連性が薄いものと考えられる。このため、本実施形態においては、図示のような状況では、「失報が発生した」と判定し、上述のように診断モデルD3を更新するようにした。
[実施形態の効果]
以上のように上述の実施形態によれば、異常予兆診断装置100は、監視対象設備200の状態を取得した稼働データD2と、診断モデルD3と、に基づいて、監視対象設備200の異常予兆の発生を示す異常予兆アラート・データD6を生成する予兆検知部116と、監視対象設備200に異常事象が発生した場合に、当該異常事象は、予兆検知部116が対応する異常予兆アラート・データD6を事前に生成すべき検知対象であるか否かを判定する検知対象判断部127と、検知対象判断部127の判定結果が肯定であった場合に、異常事象に対応する異常予兆アラート・データD6が事前に生成されていない失報が生じたか否かを判定し、失報が生じた場合には、診断モデルD3の更新が必要である旨を判定する検索処理部128と、を備える。これにより、現状の診断モデルD3によって失報が生じたか否かを判定できるため、診断モデルD3の更新の要否を適切に判定できる。
また、検知対象判断部127は、異常事象の種類を識別する異常事象識別情報(事象ID)と、異常事象識別情報(事象ID)が検知対象であるか否かを定めた検知当否情報と、を対応付けた対象事象設定テーブルD176を参照して、異常事象が検知対象であるか否かを判定すると一層好ましい。これにより、対象事象設定テーブルD176によって、検知対象とする異常事象と、それ以外の異常事象とを明確に区別できる。
また、検索処理部128は、異常事象の発生時刻または異常事象の登録時刻から所定の検索対象時間Tjだけ過去に遡った時刻までの期間に発生した異常予兆アラート・データD6の中から、異常事象に対応する異常予兆アラート・データD6が存在するか否かを判定し、判定結果が否定である場合に失報が生じたと判定すると一層好ましい。これにより、異常予兆アラート・データD6の発生から対応する異常事象が発生するまでの時間が長すぎる場合には、失報が生じたと判定できるため、診断モデルD3の更新の要否を一層適切に判定できる。
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記実施形態の構成に他の構成を追加してもよく、構成の一部について他の構成に置換をすることも可能である。また、図中に示した制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上で必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
(1)上記実施形態における異常予兆診断装置100のハードウエアは一般的なコンピュータによって実現できるため、図7、図8、図11に示したフローチャート、その他上述した各種処理を実行するプログラム等を記憶媒体に格納し、または伝送路を介して頒布してもよい。
(2)図7、図8、図11に示した処理、その他上述した各処理は、上記実施形態ではプログラムを用いたソフトウエア的な処理として説明したが、その一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit;特定用途向けIC)、あるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いたハードウエア的な処理に置き換えてもよい。
(3)上記実施形態において実行される各種処理は、図示せぬネットワーク経由でサーバコンピュータが実行してもよく、上記実施形態において記憶される各種データも該サーバコンピュータに記憶させるようにしてもよい。
100 異常予兆診断装置
116 予兆検知部(予兆検知手段)
127 検知対象判断部(検知対象判断手段)
128 検索処理部(検索処理手段)
200 監視対象設備
900 コンピュータ
D2 稼働データ
D3 診断モデル
D6 異常予兆アラート・データ
Tj 検索対象時間
D176 対象事象設定テーブル

Claims (2)

  1. 監視対象設備の状態を取得した稼働データと、診断モデルと、に基づいて、前記監視対象設備の異常予兆の発生を示す異常予兆アラート・データを生成する予兆検知部と、
    前記監視対象設備に異常事象が発生した場合に、前記異常事象の種類を識別する異常事象識別情報と、前記異常事象識別情報が検知対象であるか否かを定めた検知当否情報と、を対応付けた対象事象設定テーブルを参照して、前記異常事象は、前記予兆検知部が対応する前記異常予兆アラート・データを事前に生成すべき前記検知対象であるか否かを判定する検知対象判断部と、
    前記検知対象判断部の判定結果が肯定であった場合に、前記異常事象に対応する前記異常予兆アラート・データが事前に生成されていない失報が生じたか否かを判定し、前記失報が生じた場合には、前記診断モデルの更新が必要である旨を判定する検索処理部と、を備え、
    前記検索処理部は、前記異常事象の発生時刻または前記異常事象の登録時刻から、前記異常事象の種類毎に設定した期間である検索対象時間だけ過去に遡った時刻までの期間に発生した前記異常予兆アラート・データの中から、前記異常事象に対応する前記異常予兆アラート・データが存在するか否かを判定し、判定結果が否定である場合に前記失報が生じたと判定する
    ことを特徴とする異常予兆診断装置。
  2. コンピュータを、
    監視対象設備の状態を取得した稼働データと、診断モデルと、に基づいて、前記監視対象設備の異常予兆の発生を示す異常予兆アラート・データを生成する予兆検知手段、
    前記監視対象設備に異常事象が発生した場合に、前記異常事象の種類を識別する異常事象識別情報と、前記異常事象識別情報が検知対象であるか否かを定めた検知当否情報と、を対応付けた対象事象設定テーブルを参照して、前記異常事象は、前記予兆検知手段が対応する前記異常予兆アラート・データを事前に生成すべき前記検知対象であるか否かを判定する検知対象判断手段、
    前記検知対象判断手段の判定結果が肯定であった場合に、前記異常事象に対応する前記異常予兆アラート・データが事前に生成されていない失報が生じたか否かを判定し、前記失報が生じた場合には、前記診断モデルの更新が必要である旨を判定する検索処理手段、
    として機能させるためのプログラムであって、
    前記検索処理手段は、前記異常事象の発生時刻または前記異常事象の登録時刻から、前記異常事象の種類毎に設定した期間である検索対象時間だけ過去に遡った時刻までの期間に発生した前記異常予兆アラート・データの中から、前記異常事象に対応する前記異常予兆アラート・データが存在するか否かを判定し、判定結果が否定である場合に前記失報が生じたと判定する
    ことを特徴とするプログラム。
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