JP7470349B2 - 腎臓濾過機能再現装置、腎臓濾過機能評価装置、及び腎臓濾過機能評価方法 - Google Patents

腎臓濾過機能再現装置、腎臓濾過機能評価装置、及び腎臓濾過機能評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、腎臓濾過機能再現装置、腎臓濾過機能評価装置、及び腎臓濾過機能評価方法に関するものである。
本願は、2020年8月12日に日本に出願された特願2020-136347号、及び、2020年8月25日に日本に出願された特願2020-141828号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
下記特許文献1には、iPS細胞やES細胞等を培養し、その培養物を人に移植する再生医療の実現にあたり、多層構造の細胞の培養が可能な灌流培養装置が開示されている。
この灌流培養装置は、細胞を保持するシート状の担体の両側に圧力差を設け、この圧力差に応じて培地が当該担体を通過する。このため、多層構造の細胞の上層だけでなく下層や中間層の細胞に対しても培地を供給できる。
特開2018-64519号公報
ところで、上述した細胞培養技術は、再生医療だけでなく、創薬研究における毒性試験や病態の解明において、大きな恩恵をもたらすことが期待されている。特に、腎臓病学におけるネフローゼ症候群は、糸球体上皮細胞(ポドサイト)が障害されることにより惹起される蛋白尿・低アルブミン血症を主な症状とする症候群であり、腎代替療法を要する腎死に至る疾患群として世界的に問題となっている。そして、この症候群は、薬剤を原因とするものも多く知られ、創薬研究においては「腎毒性有無の評価」として、重要な評価項目の一つに位置付けられている。このような背景から、創薬研究における候補化合物のヒトへの毒性有無の検証に関し、動物実験に代わる方法として、人工的にヒトの腎臓の濾過機能を再現できるアプリケーションの開発が求められている。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、人工的にヒトの腎臓の濾過機能を再現できる腎臓濾過機能再現装置、及び、その腎臓濾過機能再現装置を用いた腎臓濾過機能評価装置及び腎臓濾過機能評価方法の提供を目的とする。
本発明の一態様に係る腎臓濾過機能再現装置は、液体が導入される第1容器と、前記第1容器に導入された液体を濾過するバイオフィルターと、前記バイオフィルターを通過した濾過液が導入される第2容器と、を有し、前記バイオフィルターは、前記第1容器と前記第2容器との間を仕切る透過膜と、前記透過膜の前記第2容器を向く面に配置された第2容器側フィルターと、有し、前記第2容器側フィルターは、ポドサイトから形成されている。
上記腎臓濾過機能再現装置においては、前記バイオフィルターは、前記透過膜の前記第1容器を向く面に配置された第1容器側フィルターを有してもよい。
上記腎臓濾過機能再現装置においては、前記第1容器側フィルターは、内皮細胞から形成されていてもよい。
上記腎臓濾過機能再現装置においては、前記第1容器と前記第2容器との圧力差を制御する圧力制御装置を有してもよい。
上記腎臓濾過機能再現装置においては、前記第1容器は、前記液体を収容する第1液体収容室が形成された第1容器本体と、前記第1容器本体の前記第1液体収容室を密閉する閉止体と、を有し、前記圧力制御装置は、前記閉止体を貫通し、前記第1液体収容室に挿入された給気管路及び圧力測定管路を有してもよい。
上記腎臓濾過機能評価装置においては、前記第2容器は、前記濾過液が導入される第2液体収容室と、前記第2液体収容室に連通する凹部と、を含み、前記凹部は、前記第2液体収容室の壁面の一部を外側方向に凹入させるように形成されていてもよい。
上記腎臓濾過機能評価装置においては、前記第2容器の底部は、可視光に対する透光性を有し、前記第1容器の側壁と前記第2容器の側壁との隙間に挿入され、前記第2容器の底部と対向する下面の少なくとも一部に平面部が形成された挿入部材を備えてもよい。
上記腎臓濾過機能評価装置においては、前記平面部は、前記挿入部材の下面に設けられた溝部に形成され、前記溝部を除く前記挿入部材の下面は、前記第2容器の底部に接触していてもよい。
上記腎臓濾過機能評価装置においては、前記第2容器と連通する濾過液排出槽と、前記第2容器と前記濾過液排出槽との間に形成された堰部と、前記挿入部材は、前記堰部を跨ぐように設けられ、前記第2容器から前記濾過液排出槽に前記濾過液を導く鍔部を有してもよい。
本発明の一態様に係る腎臓濾過機能評価装置は、先に記載の腎臓濾過機能再現装置を備え、前記第1容器に導入される前記液体に、前記バイオフィルターの濾過機能を評価する評価物質及び前記バイオフィルターに対する毒性の有無を検証する被験物質の少なくとも一方を添加して腎臓濾過機能を評価する。
上記腎臓濾過機能評価装置においては、前記バイオフィルターを通過した前記評価物質の通過量を測定する評価物通過量測定装置を有してもよい。
上記腎臓濾過機能評価装置においては、前記評価物質には、第1物質及び第2物質の少なくとも一方が含まれ、前記第1物質は、前記バイオフィルターが正常状態のとき、前記第2容器側フィルターを通過困難であり、前記第2物質は、前記バイオフィルターが正常状態のとき、前記第2容器側フィルターを通過容易であってもよい。
上記腎臓濾過機能評価装置においては、前記第1物質及び前記第2物質の少なくとも一方は、蛍光標識とされ、前記評価物通過量測定装置は、前記評価物質の通過量を、前記濾過液の蛍光輝度に基づいて測定してもよい。
上記腎臓濾過機能評価装置においては、前記第2容器は、透明部を有しており、前記評価物通過量測定装置は、前記透明部から前記濾過液に測定光を投光し、前記評価物質の通過量を測定してもよい。
本発明の一態様に係る腎臓濾過機能評価方法は、先に記載の腎臓濾過機能再現装置を用いた腎臓濾過機能評価方法であって、前記第1容器に導入される前記液体に、前記バイオフィルターの濾過機能を評価する評価物質及び前記バイオフィルターに対する毒性の有無を検証する被験物質の少なくとも一方を添加して腎臓濾過機能を評価する。
上記本発明の態様によれば、人工的にヒトの腎臓の濾過機能を再現できる腎臓濾過機能再現装置、及び、その腎臓濾過機能再現装置を用いた腎臓濾過機能評価装置及び腎臓濾過機能評価方法を提供できる。
第1実施形態に係る腎臓濾過機能再現装置及び腎臓濾過機能評価装置の概略構成図である。 第1実施形態に係る腎臓濾過機能評価方法(評価物通過量測定)の一例を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る腎臓濾過機能評価方法(評価物通過量測定)の他の例を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る腎臓濾過機能評価方法(評価物通過量測定)の他の例を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る腎臓濾過機能評価方法(細胞障害マーカー測定)の例を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る腎臓濾過機能評価方法(細胞障害マーカー測定)の他の例を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る腎臓濾過機能評価方法(細胞形態変化測定)の例を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る腎臓濾過機能評価方法(細胞形態変化測定)の他の例を示すフローチャートである。 第1実施形態に係る腎臓濾過機能再現装置及び腎臓濾過機能評価装置の変形例を示す概略構成図である。 第1実施形態に係る腎臓濾過機能再現装置及び腎臓濾過機能評価装置の他の変形例を示す概略構成図である。 第1実施形態の一実施例に係る腎臓濾過機能再現装置及び腎臓濾過機能評価装置の断面構成図である。 第1実施形態の一実施例に係る腎臓濾過機能再現装置及び腎臓濾過機能評価装置の分解斜視図である。 第1実施形態の一実施例に係る腎臓濾過機能評価装置の一要素(腎臓濾過機能再現装置の1つ)を拡大した断面構成図である。 図13に示す腎臓濾過機能再現装置の分解図である。 第1実施形態の一実施例に係る腎臓濾過機能再現装置が備える閉止体の斜視図である。 図15に示す閉止体の要部を拡大した斜視図である。 第1実施形態の一実施例に係る第1容器と閉止体との係合状態を示す断面図である。 第1実施形態の一実施例に係る腎臓濾過機能評価装置において、PAN毒性試験におけるアルブミン漏出評価を行った結果を示すグラフである。 第1実施形態の一実施例に係る腎臓濾過機能評価装置において、同時従圧式送液における異なる膜抵抗を有するカルチャーインサート内圧の測定結果を示すグラフである。 第1実施形態の一実施例に係る腎臓濾過機能評価装置において、プレートリーダーでアルブミン漏出試験を行った結果を示すグラフである。 第1実施形態の一実施例に係る腎臓濾過機能評価装置において、蛍光顕微鏡でアルブミン漏出試験を行った結果を示すグラフである。 従来のマルチウェルプレートのウェルにFITC溶液を満たしてウェル全体を撮影した状態を示す図である。 従来のマルチウェルプレートのウェルにFITC溶液を満たしてウェル全体を撮影した状態を示す図である。 第2実施形態に係るマルチウェルプレートの試作品を示す写真である。 第2実施形態に係るマルチウェルプレートの斜視図である。 第2実施形態に係るマルチウェルプレートのウェルの模式側断面図である。 第2実施形態に係るカルチャーインサートを挿入したウェルの蛍光輝度を測定する状態を示す図である。 第2実施形態に係るカルチャーインサートを挿入したウェルの蛍光輝度の測定結果を示す図である。 第2実施形態に係るマルチウェルプレートの底板に貼付するマスクを示す図である。 第2実施形態に係るマルチウェルプレートの底板にマスクを貼付した状態で撮影した凹部の蛍光画像である。 第2実施形態に係るFITCイヌリンを用いた段階希釈溶液の蛍光輝度測定・検量線の検証結果を示す図である。 第2実施形態に係るRITCデキストランを用いた段階希釈溶液の蛍光輝度測定・検量線の検証結果を示す図である。 第2実施形態に係るマルチウェルプレートを使用して吸光度を測定する場合のウェルの模式側断面図である。 第2実施形態の第1変形例におけるマルチウェルプレートのウェルの模式側断面図である。 第2実施形態の第2変形例におけるマルチウェルプレートのウェルの模式側断面図である。 第3実施形態に係るインサータを配置した腎臓濾過機能評価装置の断面構成図である。 図36に示す腎臓濾過機能評価装置が備えるマルチウェルプレートの平面図である。 図37に示すマルチウェルプレートの分解斜視図である。 第3実施形態に係るインサータの下面側斜視図である。 第3実施形態の第1変形例に係るインサータを配置した腎臓濾過機能評価装置の断面構成図である。 第3実施形態の第1変形例に係るインサータの上面側斜視図である。 第3実施形態の第2変形例に係るインサータを配置した腎臓濾過機能評価装置の断面構成図である。 図42に示す腎臓濾過機能評価装置が備えるマルチウェルプレートの分解斜視図である。 第3実施形態の第3変形例に係るインサータを配置した腎臓濾過機能評価装置の断面構成図である。 図44に示す腎臓濾過機能評価装置が備えるマルチウェルプレートの平面図である。 図45に示すマルチウェルプレートの分解斜視図である。 第3実施形態に係るインサータを使用した場合のFITCイヌリンを用いた段階希釈蛍光溶液の検量線及び決定係数を示すグラフである。 比較例として、プレートリーダーを使用した場合のFITCイヌリンを用いた段階希釈蛍光溶液の検量線及び決定係数を示すグラフである。 第3実施形態に係るインサータを使用した場合のRITCデキストランを用いた段階希釈蛍光溶液の検量線及び決定係数を示すグラフである。 比較例として、プレートリーダーを使用した場合のRITCデキストランを用いた段階希釈蛍光溶液の検量線及び決定係数を示すグラフである。 第3実施形態に係るインサータを使用した場合のFITCイヌリンを用いた自動観察による複数サンプルを扱う漏出試験結果を示すグラフである。 第3実施形態に係るインサータを使用した場合のRITCデキストランを用いた自動観察による複数サンプルを扱う漏出試験結果を示すグラフである。
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る腎臓濾過機能再現装置1及び腎臓濾過機能評価装置100の概略構成図である。
図1に示すように、腎臓濾過機能再現装置1は、第1容器10と、第2容器20と、バイオフィルター30と、を有している。
図1に示す腎臓濾過機能再現装置1は、ヒトの腎臓の腎小体を模擬している。具体的に、第1容器10は、腎小体の糸球体に該当する。第1容器10に導入される液体2は、血液に該当する。第2容器20は、腎小体のボーマン嚢に該当する。第2容器20に導入されるバイオフィルター30を通過した濾過液3は、原尿に該当する。バイオフィルター30は、糸球体の毛細血管係蹄壁に該当する。
バイオフィルター30は、第1容器10と第2容器20との間を仕切る透過膜31と、透過膜31の第2容器20を向く面に配置された第2容器側フィルター32と、透過膜31の第1容器10を向く面に配置された第1容器側フィルター33と、を有している。透過膜31は、毛細血管係蹄壁の糸球体基底膜に該当する。第2容器側フィルター32は、毛細血管係蹄壁のポドサイト層に該当する。第1容器側フィルター33は、毛細血管係蹄壁の糸球体内皮細胞層に該当する。
第2容器側フィルター32は、例えば細胞培養技術で培養したヒトの腎臓のポドサイトによって形成されている。ポドサイトは、細胞体より数本の突起(一次突起)が伸長し、一次突起より伸長する多数の突起(足突起)が隣のそれと絡み合った形態(スクラム構造)を有している。スクラム構造の足突起間に生じた隙間にSlit Diaphragm Proteinと称される蛋白質が保持され、血液を濾過する際には、老廃物である尿毒素や不要な電解質等と生体内にとっては必要な血漿蛋白(アルブミン等)とを選別しながら濾過するサイズバリアとして機能する(尿毒素や電解質は血漿蛋白よりも分子サイズが小さい)。このサイズバリアの消失は、ネフローゼ症候群の主要な病態生理として位置づけられており、臨床的に多量の蛋白尿を惹起する事に繋がる。
透過膜31は、ポドサイトが接着する足場であり、また、流体の通過を阻害しないように、流体に対する透過性を有している。ここで言う透過性とは、膜が種々の流体や溶質・イオンを通過させる性質を意味する。なお、濾過とは、流体に大小様々な混合物が含まれる状況において、主にサイズによって混合物が含まれる流体が、篩の性質を持つ膜により選別される(篩の目を通り抜ける事が出来る物質と出来ない物質とに分けられる)事を指し、透過現象(膜等を流体が通過する現象)の中でも狭い現象を指す。ちなみに、通過とは、透過を説明する際に、膜から見た場合の流体の挙動を指す。
透過膜31には、細胞接着を促進する「細胞外マトリクス」がコーティングされていてもよい。ここで用いられる「細胞外マトリクス」は、例えば、ラミニン521、ラミニン511、4型コラーゲン、基底膜マトリクス(ラミニン111、4型コラーゲンα1α2α3、ヘパラン硫酸、ニドゲンの四つの物質を含むゲル状細胞外マトリクス)等から選択できる。なお、細胞外マトリクスの理想は、ラミニン521・IV型コラーゲンα3α4α5・ヘパラン硫酸・ニドゲンの四種を含むゲル状細胞外マトリクス試薬になる。これは、生体内の糸球体基底膜(ポドサイトと内皮細胞の間にあるゲル状板)と全く同じ成分構成になる。これが透過膜31に塗布されている状態が理想的である。
透過膜31は、厚みが10μm程の多孔膜から形成されている。多孔膜の穴径は、好ましくはφ3.0μm(空隙率で14%)以下、より好ましくはφ0.4μm(空隙率で、PET膜の場合0.5%、若しくは、PC膜の場合12%)以下であるとよい。なお、既製品では存在しないが、多孔膜の理想の穴径は、φ0.1μm(空隙率で30%~50%)である。よって、多孔膜の穴径は、φ0.1μm以上且つφ3.0μm以下の範囲内、より好ましくは、φ0.1μm以上且つφ0.4μm以下の範囲内であるとよい。この透過膜31の素材の色は、透明でも良いが、可視光を吸収する黒や特異的な光波長のみを阻む光フィルターの特性を有していても良い。ポドサイトの細胞器官が、後述する評価物質の光波長とは異なる蛍光で標識されていた場合、透過膜31が例えば黒であれば、その蛍光標識された細胞器官の局在変化等が観察できる。また、透過膜31がある特異的な光波長のみを阻むフィルターである場合も黒と同様の理由で、細胞器官の局在変化等が観察できる。
第1容器側フィルター33は、例えば細胞培養技術で培養したヒトの腎臓の糸球体の内皮細胞によって形成されている。なお、第1容器側フィルター33は、内皮細胞の代替可能性があるものであれば細胞に限られず、例えば、サイズが直径200nmまでの物質を通過させ、また陰性荷電を帯びる事もある透析膜や、グラスナノファイバー等であっても構わない。なお、第1容器側フィルター33が細胞でなければ、上述した物質透過性を有して細胞接着の足場となる透過膜31が、第1容器側フィルター33の機能を有していても構わない。この場合は、第1容器側フィルター33を設けなくても構わないが、透過膜31は、濾過流を良好に形成する観点から、上述した理想の多孔膜のようなきめ細かいものであるとよい。
第1容器10は、液体2を収容する第1液体収容室10Aを有している。第1容器10の本体(第1容器本体)は、筒状に形成されている。第1容器10の本体の構成材料は特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン等が使用できる。第1容器10の本体は、無色透明であることが好ましい。つまり、第1容器10の本体全体は、可視光(波長380~750nm)に対する透光性を有している。第1容器10の本体が無色透明であると、第1容器10の本体内部の液量・液面や、後述する閉止体11の陥入度合い、また給気管路41、圧力測定管路42、及び導入管路51の先端位置の目視確認が可能となる。なお、第1容器10の本体は、観察光が通過しなければ、何色であっても構わない。
第1容器10の本体の底部開口は、上述したバイオフィルター30によって覆われている。また、第1容器10の本体の上部開口は、閉止体11によって閉止されている。第1容器10の本体、閉止体11、及びバイオフィルター30によって囲まれた空間が、第1液体収容室10Aとなっている。
閉止体11は、第1液体収容室10Aを閉塞し、その密閉性を高めるため、全体が弾性部材で構成されていることが好ましい。閉止体11を構成する弾性材料は特に限定されないが、例えば、ゴム(シリコーンゴム等)、エラストマ等が使用できる。閉止体11も、無色透明であることが好ましい。つまり、閉止体11の全体は、可視光(波長380~750nm)に対する透光性を有している。閉止体11が無色透明であると、後述するバイオフィルター30の濾過機能の評価において、精度の高い測定が可能となる。
第2容器20は、濾過液3が導入される第2液体収容室20Aを有している。第2容器20の本体(第2容器本体)は、有底筒状に形成されている。第2容器20の本体の構成材料は特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン等が使用できる。第2容器20の本体は、無色透明であることが好ましい。つまり、第2容器20の本体全体は、可視光(波長380~750nm)に対する透光性を有している。第2容器20の本体が無色透明であると、後述するバイオフィルター30の濾過機能の評価において、精度の高い測定が可能となる。
第2容器20の本体の上部開口は、蓋体21によって閉塞されている。つまり、第2容器20の本体、及び蓋体21によって囲まれた空間が、第2液体収容室20Aとなっている。この第2液体収容室20Aには、上述した第1容器10が配置・挿入されている。蓋体21は、例えば、第2容器20の本体に対してねじ止めによって固定され、取り外しも容易になっている。なお、第2液体収容室20Aは、第1液体収容室10Aほど密閉性が高くなくても構わない。
蓋体21を構成する弾性材料は特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン等が使用できる。蓋体21も、無色透明であることが好ましい。つまり、蓋体21の全体は、可視光(波長380~750nm)に対する透光性を有している。蓋体21が無色透明であると、後述するバイオフィルター30の濾過機能の評価において、精度の高い測定が可能となる。
腎臓濾過機能再現装置1は、第1容器10と第2容器20との圧力差を制御する圧力制御装置40と、第1液体収容室10Aに液体2を導入する液体導入装置50と、第2液体収容室20Aから濾過液3を導出する濾過液導出装置60と、を有している。圧力制御装置40は、蓋体21及び閉止体11を貫通し、第1液体収容室10Aに挿入された給気管路41及び圧力測定管路42を有している。液体導入装置50は、蓋体21及び閉止体11を貫通し、第1液体収容室10Aに挿入された導入管路51を有している。また、濾過液導出装置60は、蓋体21のみを貫通し、第2液体収容室20Aに挿入された第2導出管路61を有している。
給気管路41及び圧力測定管路42の下端は、第1液体収容室10Aにおいて液体2の液面よりも上方に配置されている。導入管路51の下端は、第1液体収容室10Aにおいて液体2の液中に配置されている。また、第2導出管路61の下端は、第2液体収容室20Aにおいて濾過液3の液中に配置されている。給気管路41、圧力測定管路42、導入管路51、及び第2導出管路61の、少なくとも蓋体21及び閉止体11を貫通する部分は、硬質管路から形成されているとよい。硬質管路としては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の硬質樹脂が好ましい。また、これら硬質管路も、無色透明であることが好ましい。なお、硬質管路は、ステンレスチューブ等の金属管であっても構わない。ステンレスチューブは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)のチューブよりもこしが強く、蓋体21及び閉止体11に対する挿入が容易になる。例えば、ステンレスチューブを蓋体21の外側で折り曲げておくことで、チューブ先端の高さ位置を厳密に統制できる。また、ステンレスチューブを蓋体21の外側において光路が邪魔されないように配設することで、後述するバイオフィルター30の濾過機能の評価において、精度の高い測定が可能となる。
圧力制御装置40、液体導入装置50、及び濾過液導出装置60は、腎臓濾過機能再現装置1においてヒトの腎臓における濾過流を形成する。濾過流とは、健康なヒトの腎臓において、糸球体(第1容器10)の毛細血管(バイオフィルター30)からボーマン嚢(第2容器20)に対して濾過圧が生じ、血液(液体2)に含まれる老廃物や水分がボーマン嚢に流れて、原尿(濾過液3)になり、血液中の生体に有用な蛋白質等の成分はそのまま血液を循環する流れである。ちなみに、導入管路51は、糸球体(第1容器10)に血液を輸送する輸入細動脈に該当する。また、第2導出管路61は、ボーマン嚢(第2容器20)に排出された原尿を輸送する尿細管に該当する。なお、濾過流に関しては、健康であっても、生体に有用な蛋白質等の成分の一部がボーマン嚢に流れるという報告がある。なお、第2導出管路61とは別に、第2容器20に図示しない第2導入管路に配置し、第2容器20内の細胞に適した培地組成の培地を灌流させてもよい。この第2導入管路から供給する培地は、第1容器10内の細胞に適した培地組成で灌流する培地とは異なる組成とすることができる。これにより、第1容器10と第2容器20の空間内の細胞を各々に適した培養条件で成熟・分化させる事が可能となる。
圧力制御装置40は、給気管路41に接続された図示しないシリンジポンプや空気加圧制御器を有している。また、圧力制御装置40は、圧力測定管路42に接続された図示しない圧力センサモジュールを有している。圧力制御装置40は、給気管路41から第1液体収容室10Aにガスを供給し、また圧力測定管路42から第1液体収容室10Aの圧力をフィードバックすることで、上記濾過流の濾過圧を形成する。この濾過圧(第1容器10と第2容器20との圧力差)は、例えば上限を10.0kPaとして、下限が0.5kPa~7.0kPaが好ましく、下限が2.5kPa~7.0kPaがより好ましい。最も好ましい理想的な濾過圧は、in vivoの糸球体内圧と同様と言われる5.0kPa以上且つ7.0kPa以下である。なお、圧力制御装置40の設定圧力と第1液体収容室10Aの実測圧力とが殆ど同一になるような場合には、圧力測定管路42は省略し、給気管路41のみとすることも可能である。
続いて、腎臓濾過機能評価装置100の構成について説明する。
腎臓濾過機能評価装置100は、上述した腎臓濾過機能再現装置1と、腎臓濾過機能再現装置1の第1容器10に導入される液体2に、バイオフィルター30の濾過機能を評価する評価物質101及びバイオフィルター30に対する毒性の有無を検証する図示しない被験物質の少なくとも一方を添加する物質添加装置70と、バイオフィルター30を通過した評価物質101の通過量を測定する評価物通過量測定装置80と、を有している。なお、物質添加装置70は、導入管路51を介して液体2に評価物質101及び被験物質の少なくとも一方を添加するものであるが、液体導入装置50もしくは導入管路51から手作業で評価物質101及び被験物質の少なくとも一方を添加してもよい。また、閉止体11及び蓋体21を取り外して、第1容器10内に評価物質101及び被験物質の少なくとも一方を直接投入してもよい。その他、液体導入装置50が評価物質101及び被験物質の少なくとも一方を添加する機能を備えることで、物質添加装置70を兼ねてもよい。さらに、液体導入装置50が、例えば、液体2の圧力を感知し、設定圧に合わせて送液を行うポンプ(例えば圧力感知型のシリンジポンプ等)を備える場合には、圧力制御装置40(給気管路41,圧力測定管路42)を兼ねてもよい。すなわち、液体導入装置50に、圧力制御装置40及び物質添加装置70の少なくとも一方が統合されてもよい。
評価物質101には、第1物質101a及び第2物質101bの少なくとも一方が含まれている(図1では、第1物質101a及び第2物質101bの両方を示している)。第1物質101aは、バイオフィルター30が正常状態のとき、第2容器側フィルター32を通過困難な物質であり、第2物質101bは、バイオフィルター30が正常状態のとき、第2容器側フィルター32を通過容易な物質である。
例えば、第1物質101aには、分子量64kDaであるアルブミン程度の中分子やアルブミン以上の高分子が該当する。アルブミンを含む血漿中の大部分の蛋白は、ポドサイト層までの過程で大部分が通過を阻まれ、極わずかの量が漏出する程度に留まる。つまり、アルブミン程度の中分子やアルブミン以上の高分子は、内皮細胞(第1容器側フィルター33)と多孔膜(透過膜31)は通過できるものの、ポドサイト層(第2容器側フィルター32)を殆ど通過できないのが正常な生理現象である。このように、第1物質101aは、バイオフィルター30が正常状態のとき、第2容器側フィルター32を完全に通過不能ではないが、通過困難である。被験物質により、ポドサイト層が障害を受ければ、この第1物質101aのリークが対照実験によって多く測定されるため、被験物質の有害性をポドサイト機能障害の現象として捉える事ができる。
例えば、第2物質101bには、分子量64kDaであるアルブミン未満の低分子であるイヌリンが該当する。イヌリン等の低分子は、内皮細胞(第1容器側フィルター33)、多孔膜(透過膜31)、及びポドサイト層(第2容器側フィルター32)を殆ど通過できるのが正常な生理現象である。なお、高分子蛋白のリークが少ない状況においても、そもそも内皮細胞が病的に透過性を失う場合があり得る。臨床的にも「管内増殖」という病理用語があり、この場合、低分子物質でさえも内皮細胞を通過できなくなる。当然この場合は、急性の経過で腎不全が増悪する。このように、低分子の第2物質101bを添加する意義は、内皮細胞から多孔膜までの透過性が適切である事を確認する事である。
なお、評価物質101には、分子量5kDa前後のイヌリン(低分子)、分子量60kDa前後のアルブミンや同程度のデキストラン(中分子)に加え、さらに分子量200kDa程度のデキストラン(高分子)の計3種類の評価物質が含まれていてもよい。3種類の評価物質101を添加しても蛍光タグの波長をずらすことで三種類の評価物質101を測定することが可能である。分子量60kDaの中分子と分子量200kDaの高分子とで漏出の差が見られた場合、より高度な腎障害が惹起されているという判断が可能となる。
評価物質101を計測する方法としては、いくつか挙げられる。例えば、濾過液3を回収し、液体クロマトグラフィー等を用いることで、分離した種々の成分の質量を分析する質量分析装置で計測することができる。また、濾過液3を回収せずに、評価物質101を計測する方法として、評価物質101にマーカーをつける方法がある。マーカーとしては、例えば、後述する蛍光標識や、細胞毒性の少ない生細胞染色キット(例えばPHK26等)で細胞を染色すること等が挙げられる。ここでは、マーカーとしては、蛍光標識を用いる方法を説明する。つまり、評価物質101は、蛍光標識とされている。蛍光標識としては、例えば、アルブミンやデキストラン等の高分子化合物をFITC(フルオレセインイソチアネート)やRITC(ローダミンBイソチアネート)を化学結合によって標識したものが挙げられる。なお、第1物質101a及び第2物質101bの両方を蛍光標識としてもよく、異なる蛍光色としてもよい。また、上記ポドサイト層の障害を明確に捉えるために第1物質101aのみを蛍光標識としてもよいし、上記内皮細胞の増殖を明確に捉えるために第2物質101bのみを蛍光標識としてもよい。
評価物通過量測定装置80は、第2容器20の底部(透明部)から濾過液3に測定光を投光し、評価物質101の通過量を測定する。評価物通過量測定装置80は、第2容器20の底部(透明部)から第1容器10が映り込まない領域においてリアルタイムで蛍光観察を行う。評価物通過量測定装置80は、測定光を投光する光源、測定光に照らされた濾過液3の蛍光輝度を測定する蛍光輝度センサ、蛍光輝度センサの測定結果に基づいて、評価物質101の通過量を算出する演算部等を有している。なお、評価物通過量測定装置80は、蛍光顕微鏡等であってもよい。ちなみに、評価物質101の測定方法としては、第2導出管路61から濾過液3をサンプリングして評価する方法もあるが、リアルタイムで蛍光観察できる評価物通過量測定装置80を用いて評価するのが理想的である。なお、評価物通過量測定装置80に関しては、蛍光顕微鏡のみならず、CCDカメラ、CMOSセンサ、光電子倍増管(Photomultiplier Tube)を用いた検出系も含む。
続いて、上記構成の腎臓濾過機能再現装置1を用いた腎臓濾過機能評価方法(腎臓濾過機能評価装置100の動作)について説明する。
図2は、第1実施形態に係る腎臓濾過機能評価方法(評価物通過量測定)の一例を示すフローチャートである。
図2に示す腎臓濾過機能評価方法では、先ずバイオフィルター30に上述した濾過圧を負荷するか否かを判断する(ステップS1)。ステップS1においてYESの場合、圧力制御装置40によって、バイオフィルター30に濾過圧を負荷する(ステップS2:濾過圧負荷工程)。なお、次のバイオフィルター30に濾過圧を負荷するか否かを判断する選択肢(ステップS5)までの各ステップでの作業のために一時的に濾過圧の負荷を止めることがあるが、基本的にはステップS5まで濾過圧の負荷を継続する。
次のステップS3では、第1容器10に導入される液体2に評価物質101を添加する(物質添加工程)。なお、ステップS1においてNOの場合、ステップS3に移行し、液体2に評価物質101を添加する。次のステップS4では、腎臓濾過機能再現装置1の実験環境内で細胞(ポドサイト、内皮細胞等)を一定期間培養する(細胞培養工程)。
次のステップS5では、バイオフィルター30に濾過圧を負荷するか否かを判断する。
ステップS5においてYESの場合、圧力制御装置40によって、バイオフィルター30に濾過圧を負荷する(ステップS6:濾過圧負荷工程)。なお、以降の各ステップでの作業のために一時的に濾過圧の負荷を止めることがあるが、基本的には測定が終了するまで濾過圧の負荷を継続する。ステップS2及びステップS5で濾過圧負荷の選択肢を設ける意義は、実験条件やステップS4における細胞の培養条件等によっては、予めバイオフィルター30に濾過圧を負荷するのが好ましくない場合もあり得るためである。
次のステップS7では、バイオフィルター30を通過した評価物質101の通過量を測定する(評価物通過量測定工程)。評価物質101の通過量は、図1に示す評価物通過量測定装置80が、第2容器20の底部(透明部)から濾過液3に測定光を投光し、濾過液3の蛍光輝度に基づいて測定する。なお、ステップS5においてNOの場合、ステップS7に移行し、同じく評価物質101の通過量を測定する。
次のステップS8では、上記評価物質101の通過量の測定を継続するか否か判断する。ステップS8においてYESの場合、ステップS7に戻り測定を継続する。一方、ステップS8においてNOの場合、本評価フローは終了となる。
図3は、第1実施形態に係る腎臓濾過機能評価方法(評価物通過量測定)の他の例を示すフローチャートである。
図3に示す腎臓濾過機能評価方法では、先ず第1容器10に導入される液体2に被験物質を添加する(ステップS9:物質添加工程)。被験物質は、バイオフィルター30に対する毒性の有無を検証する物質である。被験物質としては、例えばポドサイトに対して細胞障害を惹起するピューロマイシンヌクレオシド(PAN)等を例示できる。
次のステップS10では、バイオフィルター30に濾過圧を負荷するか否かを判断する。ステップS10においてYESの場合、圧力制御装置40によって、バイオフィルター30に濾過圧を負荷する(ステップS11:濾過圧負荷工程)。なお、次のバイオフィルター30に濾過圧を負荷するか否かを判断する選択肢(ステップS16)までの各ステップでの作業のために一時的に濾過圧の負荷を止めることがあるが、基本的にはステップS16まで濾過圧の負荷を継続する。次のステップS12では、腎臓濾過機能再現装置1の実験環境内で細胞(ポドサイト、内皮細胞等)を一定期間培養する(曝露工程)。この曝露工程は、被験物質を添加した液体2に細胞を曝す期間である。なお、ステップS10においてNOの場合、ステップS12に移行し、被験物質を添加した液体2に細胞を曝す。
次のステップS13では、実験条件に応じて被験物質を取り除くか否かを判断する。ステップS13においてYESの場合、第1容器10に導入される液体2から被験物質を取り除く(ステップS14:物質除去工程)。次のステップS15では、第1容器10に導入される液体2に評価物質101を添加する(物質添加工程)。なお、ステップS13においてNOの場合、ステップS15に移行し、液体2に評価物質101を添加する。
次のステップS16では、バイオフィルター30に濾過圧を負荷するか否かを判断する。ステップS15においてYESの場合、圧力制御装置40によって、バイオフィルター30に濾過圧を負荷する(ステップS17:濾過圧負荷工程)。なお、以降の各ステップでの作業のために一時的に濾過圧の負荷を止めることがあるが、基本的には測定が終了するまで濾過圧の負荷を継続する。ステップS10及びステップS16で濾過圧負荷の選択肢を設ける意義は、実験条件やステップS12における細胞の培養条件等によっては、予めバイオフィルター30に濾過圧を負荷するのが好ましくない場合もあり得るためである。
次のステップS18では、バイオフィルター30を通過した評価物質101の通過量を測定する(評価物通過量測定工程)。なお、ステップS16においてNOの場合、ステップS18に移行し、同じく評価物質101の通過量を測定する。
次のステップS19では、上記評価物質101の通過量の測定を継続するか否か判断する。ステップS19においてYESの場合、ステップS18に戻り測定を継続する。一方、ステップS19においてNOの場合、本評価フローは終了となる。
図4は、第1実施形態に係る腎臓濾過機能評価方法(評価物通過量測定)の他の例を示すフローチャートである。
図4に示す腎臓濾過機能評価方法では、先ず第1容器10に導入される液体2に評価物質101及び被験物質を同じタイミングで添加する(ステップS20:物質添加工程)。
次のステップS21では、バイオフィルター30に濾過圧を負荷するか否かを判断する。
ステップS21においてYESの場合、圧力制御装置40によって、バイオフィルター30に濾過圧を負荷する(ステップS22:濾過圧負荷工程)。なお、次のバイオフィルター30に濾過圧を負荷するか否かを判断する選択肢(ステップS26)までの各ステップでの作業のために一時的に濾過圧の負荷を止めることがあるが、基本的にはステップS26まで濾過圧の負荷を継続する。
次のステップS23では、腎臓濾過機能再現装置1の実験環境内で細胞(ポドサイト、内皮細胞等)を一定期間培養する(曝露工程)。なお、ステップS21においてNOの場合、ステップS23に移行し、被験物質を添加した液体2に細胞を曝す。次のステップS24では、実験条件に応じて被験物質を取り除くか否かを判断する。ステップS24においてYESの場合、第1容器10に導入される液体2から被験物質を取り除く(ステップS25:物質除去工程)。
次のステップS26では、バイオフィルター30に濾過圧を負荷するか否かを判断する。ステップS26においてYESの場合、圧力制御装置40によって、バイオフィルター30に濾過圧を負荷する(ステップS27:濾過圧負荷工程)。なお、以降の各ステップでの作業のために一時的に濾過圧の負荷を止めることがあるが、基本的には測定が終了するまで濾過圧の負荷を継続する。ステップS21及びステップS26で濾過圧負荷の選択肢を設ける意義は、実験条件やステップS23における細胞の培養条件等によっては、予めバイオフィルター30に濾過圧を負荷するのが好ましくない場合もあり得るためである。
次のステップS28では、バイオフィルター30を通過した評価物質101の通過量を測定する(評価物通過量測定工程)。なお、ステップS26においてNOの場合、ステップS28に移行し、同じく評価物質101の通過量を測定する。
次のステップS29では、上記評価物質101の通過量の測定を継続するか否か判断する。ステップS29においてYESの場合、ステップS28に戻り測定を継続する。一方、ステップS29においてNOの場合、本評価フローは終了となる。
図5は、第1実施形態に係る腎臓濾過機能評価方法(細胞障害マーカー測定)の例を示すフローチャートである。なお、本評価フローは、上記評価物通過量測定の評価フローと共に行っても構わない。
図5に示す腎臓濾過機能評価方法では、先ずバイオフィルター30に上述した濾過圧を負荷するか否かを判断する(ステップS30)。ステップS30においてYESの場合、圧力制御装置40によって、バイオフィルター30に濾過圧を負荷する(ステップS31:濾過圧負荷工程)。なお、次のバイオフィルター30に濾過圧を負荷するか否かを判断する選択肢(ステップS33)までの各ステップでの作業のために一時的に濾過圧の負荷を止めることがあるが、基本的にはステップS33まで濾過圧の負荷を継続する。
次のステップS32では、腎臓濾過機能再現装置1の実験環境内で細胞(ポドサイト、内皮細胞等)を一定期間培養する(細胞培養工程)。なお、ステップS30においてNOの場合、ステップS32に移行し、細胞を一定期間培養する。
次のステップS33では、バイオフィルター30に濾過圧を負荷するか否かを判断する。ステップS33においてYESの場合、圧力制御装置40によって、バイオフィルター30に濾過圧を負荷する(ステップS34:濾過圧負荷工程)。なお、以降の各ステップでの作業のために一時的に濾過圧の負荷を止めることがあるが、基本的には測定が終了するまで濾過圧の負荷を継続する。ステップS30及びステップS33で濾過圧負荷の選択肢を設ける意義は、実験条件やステップS32における細胞の培養条件等によっては、予めバイオフィルター30に濾過圧を負荷するのが好ましくない場合もあり得るためである。
次のステップS35では、第2容器20から第2導出管路61等を介して濾過液3の一部を回収する(濾過液回収工程)。なお、ステップS33においてNOの場合、ステップS35に移行し、濾過液3の一部を回収する。
次のステップS36では、第2容器20から回収した濾過液3に含まれる第1容器側フィルター33(内皮細胞)や第2容器側フィルター32(ポドサイト)から排出された細胞の障害マーカーを測定する(細胞障害マーカー測定工程)。具体的には、第1容器側フィルター33及び第2容器側フィルター32の少なくとも一方を予め染色しておき、第2容器20に排出された細胞(細胞障害マーカー)を含む濾過液3を細胞障害マーカー測定装置に入れ、当該濾過液3に含まれる細胞障害マーカーを検出し、細胞死を直接的に測定したり、細胞内の代謝機能を測定し、その減少をとらえて細胞毒性を見積もる。
次のステップS37では、上記細胞障害マーカーの測定を継続するか否か判断する。ステップS37においてYESの場合、ステップS32に戻り細胞の培養からステップS36の細胞障害マーカーの測定までの一連の流れを繰り返す。一方、ステップS37においてNOの場合、本評価フローは終了となる。
図6は、第1実施形態に係る腎臓濾過機能評価方法(細胞障害マーカー測定)の他の例を示すフローチャートである。
図6に示す腎臓濾過機能評価方法では、先ず第1容器10に導入される液体2に被験物質を添加する(ステップS38:物質添加工程)。次のステップS39では、バイオフィルター30に濾過圧を負荷するか否かを判断する。ステップS39においてYESの場合、圧力制御装置40によって、バイオフィルター30に濾過圧を負荷する(ステップS40:濾過圧負荷工程)。なお、次のバイオフィルター30に濾過圧を負荷するか否かを判断する選択肢(ステップS42)までの各ステップでの作業のために一時的に濾過圧の負荷を止めることがあるが、基本的にはステップS42まで濾過圧の負荷を継続する。
次のステップS41では、腎臓濾過機能再現装置1の実験環境内で細胞(ポドサイト、内皮細胞等)を一定期間培養する(曝露工程)。なお、ステップS39においてNOの場合、ステップS41に移行し、被験物質を添加した液体2に細胞を曝す。
次のステップS42では、バイオフィルター30に濾過圧を負荷するか否かを判断する。ステップS42においてYESの場合、圧力制御装置40によって、バイオフィルター30に濾過圧を負荷する(ステップS43:濾過圧負荷工程)。なお、以降の各ステップでの作業のために一時的に濾過圧の負荷を止めることがあるが、基本的には測定が終了するまで濾過圧の負荷を継続する。ステップ39及びステップS42で濾過圧負荷の選択肢を設ける意義は、実験条件やステップS41における細胞の培養条件等によっては、予めバイオフィルター30に濾過圧を負荷するのが好ましくない場合もあり得るためである。
次のステップS44では、第2容器20から第2導出管路61等を介して濾過液3の一部を回収する(濾過液回収工程)。なお、ステップS42においてNOの場合、ステップS44に移行し、濾過液3の一部を回収する。
次のステップS45では、第2容器20から回収した濾過液3に含まれる第1容器側フィルター33(内皮細胞)や第2容器側フィルター32(ポドサイト)から排出された細胞の障害マーカーを測定する(細胞障害マーカー測定工程)。
次のステップS46では、上記細胞障害マーカーの測定を継続するか否か判断する。ステップS46においてYESの場合、ステップS41に戻り細胞の培養(曝露工程)からステップS45の細胞障害マーカーの測定までの一連の流れを繰り返す。一方、ステップS46においてNOの場合、本評価フローは終了となる。
図7は、第1実施形態に係る腎臓濾過機能評価方法(細胞形態変化測定)の例を示すフローチャートである。なお、本評価フローは、上記評価物通過量測定の評価フローや、上記細胞障害マーカー測定の評価フローと共に行っても構わない。
図7に示す腎臓濾過機能評価方法では、先ずバイオフィルター30に上述した濾過圧を負荷するか否かを判断する(ステップS47)。ステップS47においてYESの場合、圧力制御装置40によって、バイオフィルター30に濾過圧を負荷する(ステップS48:濾過圧負荷工程)。なお、次のバイオフィルター30に濾過圧を負荷するか否かを判断する選択肢(ステップS50)までの各ステップでの作業のために一時的に濾過圧の負荷を止めることがあるが、基本的にはステップS50まで濾過圧の負荷を継続する。
次のステップS49では、腎臓濾過機能再現装置1の実験環境内で細胞(ポドサイト、内皮細胞等)を一定期間培養する(細胞培養工程)。なお、ステップS47においてNOの場合、ステップS49に移行し、細胞を一定期間培養する。
次のステップS50では、バイオフィルター30に濾過圧を負荷するか否かを判断する。ステップS50においてYESの場合、圧力制御装置40によって、バイオフィルター30に濾過圧を負荷する(ステップS51:濾過圧負荷工程)。なお、以降の各ステップでの作業のために一時的に濾過圧の負荷を止めることがあるが、基本的には測定が終了するまで濾過圧の負荷を継続する。ステップS47ステップS50で濾過圧負荷の選択肢を設ける意義は、実験条件やステップS49における細胞の培養条件等によっては、予めバイオフィルター30に濾過圧を負荷するのが好ましくない場合もあり得るためである。
次のステップS52では、第1容器側フィルター33(内皮細胞)及び第2容器側フィルター32(ポドサイト)の少なくとも一方の細胞形態の変化を測定する(細胞変化測定工程)。具体的には、第1容器側フィルター33及び第2容器側フィルター32の少なくとも一方を、生細胞染色キット(例えばPHK26等)で予め染色しておき、第2容器20の底部や側壁から細胞変化測定装置(例えば蛍光顕微鏡等)で観察・撮像し、直接的に細胞形態の変化を測定する。ここで細胞形態の変化を好適に観察・撮像するために、透過膜31は、可視光に対する非透光性を有してもよい。例えば、黒色の透過膜31であれば、蛍光色の細胞とのコントラストを際立たせることができる。なお、ステップS59においてNOの場合、ステップS52に移行し、細胞形態の変化を測定する。
次のステップS53では、上記細胞形態変化の測定を継続するか否か判断する。ステップS53においてYESの場合、ステップS49に戻り細胞の培養からステップS53の細胞形態変化の測定までの一連の流れを繰り返す。一方、ステップS53においてNOの場合、本評価フローは終了となる。
図8は、第1実施形態に係る腎臓濾過機能評価方法(細胞形態変化測定)の他の例を示すフローチャートである。
図8に示す腎臓濾過機能評価方法では、先ず第1容器10に導入される液体2に被験物質を添加する(ステップS55:物質添加工程)。次のステップS56では、バイオフィルター30に上述した濾過圧を負荷するか否かを判断する。ステップS56においてYESの場合、圧力制御装置40によって、バイオフィルター30に濾過圧を負荷する(ステップS57:濾過圧負荷工程)。なお、次のバイオフィルター30に濾過圧を負荷するか否かを判断する選択肢(ステップS59)までの各ステップでの作業のために一時的に濾過圧の負荷を止めることがあるが、基本的にはステップS59まで濾過圧の負荷を継続する。
次のステップS58では、腎臓濾過機能再現装置1の実験環境内で細胞(ポドサイト、内皮細胞等)を一定期間培養する(曝露工程)。なお、ステップS56においてNOの場合、ステップS58に移行し、被験物質を添加した液体2に細胞を曝す。
次のステップS59では、バイオフィルター30に濾過圧を負荷するか否かを判断する。ステップS59においてYESの場合、圧力制御装置40によって、バイオフィルター30に濾過圧を負荷する(ステップS60:濾過圧負荷工程)。なお、以降の各ステップでの作業のために一時的に濾過圧の負荷を止めることがあるが、基本的には測定が終了するまで濾過圧の負荷を継続する。ステップS56及びステップS59で濾過圧負荷の選択肢を設ける意義は、実験条件やステップS58における細胞の培養条件等によっては、予めバイオフィルター30に濾過圧を負荷するのが好ましくない場合もあり得るためである。
次のステップS61では、第1容器側フィルター33(内皮細胞)及び第2容器側フィルター32(ポドサイト)の少なくとも一方の細胞形態の変化を測定する(細胞変化測定工程)。
次のステップS62では、上記細胞形態変化の測定を継続するか否か判断する。ステップS62においてYESの場合、ステップS58に戻り細胞の培養からステップS61の細胞形態変化の測定までの一連の流れを繰り返す。一方、ステップS62においてNOの場合、本評価フローは終了となる。
以上説明したように、本実施形態の腎臓濾過機能再現装置1及び腎臓濾過機能評価装置100によれば、人工的にヒトの腎臓の濾過機能を再現でき、創薬研究における候補化合物のヒトへの毒性有無の検証に関し、動物実験に代わる方法として、大きな恩恵をもたらすことができる。また、本実施形態の腎臓濾過機能再現装置1は、従来の生体模倣システムを目的とした培養器で良く使用されているポリジメチルシロキサン(PDMS)を使用しておらず、被験物質の容器表面への収着等の問題を払拭できる。このため、スクリーニングのスループット性やユーザビリティが著しく高いという利点がある。
なお、腎臓濾過機能再現装置1及び腎臓濾過機能評価装置100は、以下に説明するような構成も採用することができる。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図9は、第1実施形態に係る腎臓濾過機能再現装置1及び腎臓濾過機能評価装置100の変形例を示す概略構成図である。
図9に示す腎臓濾過機能再現装置1は、第2容器20の本体の一部が、容器外側に突出した突出部22を有している。
突出部22は、第2容器20の本体の側壁部の一部が、容器外側に突出したものであり、その内部空間22Aは、濾過液3で満たされている。そして、評価物通過量測定装置80は、突出部22の底部からその内部空間22Aに向かって測定光を投光する配置となっている。この構成によれば、濾過液3の蛍光輝度が、濾過液3の液面におけるメニスカスの影響を受けないことから、測定精度を高めることができる。
また、図9に示す腎臓濾過機能再現装置1は、第2容器20の本体の側壁部が黒色のブラックケース90に覆われている。ブラックケース90には、突出部22の底部以外を覆う窪み91が形成されている。この構成によれば、内部空間22Aに満たされた濾過液3の背景が黒色になるため、蛍光色とのコントラストを際立たせ、測定精度をさらに高めることができる。
図10は、第1実施形態に係る腎臓濾過機能再現装置1及び腎臓濾過機能評価装置100の他の変形例を示す概略構成図である。
図10に示す腎臓濾過機能再現装置1は、第1液体収容室10Aから液体2を導出する液体導出装置110を有している。
液体導出装置110は、蓋体21及び閉止体11を貫通し、第1液体収容室10Aに挿入され、液体2を導出する第1導出管路111を有している。第1導出管路111の下端は、第1液体収容室10Aにおいて液体2の液中に配置されている。第1導出管路111の少なくとも蓋体21及び閉止体11を貫通する部分は、上述したPEEK等の硬質管路から形成されているとよい。また、第1導出管路111も、無色透明であることが好ましい。
液体導出装置110は、上述した濾過流において、糸球体(第1容器10)の毛細血管(バイオフィルター30)で濾過された血液(液体2)を生体内に戻す循環流を形成することができる。第1導出管路111は、糸球体(第1容器10)から血液を戻す輸出細動脈に該当する。この構成によれば、より生体に近い濾過流を形成することができ、創薬研究における候補化合物のヒトへの毒性有無の検証に関し、動物実験に代わる方法として、大きな恩恵をもたらすことができる。また、液体導出装置110は、従圧式灌流の際、第1液体収容室10Aの液体2の液面高さ(基底側液面高さ)の維持に有用である。液体導入装置50の送液速度よりも液体導出装置110の吸引速度が高ければ、液体2の液面高さは第1導出管路111の先端位置に維持される。これにより、液体2が閉止体11に接液することを防止でき、また、液体2の液面が下がってバイオフィルター30に達することも防止できる。このように従圧式で灌流する際には、基本的に導入管路51と第1導出管路111によって、上記のように液体2の液面高さを維持する事が望ましい。
[実施例]
以下、第1実施形態の一実施例について説明する。なお、第1実施形態は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図11は、第1実施形態の一実施例に係る腎臓濾過機能再現装置1及び腎臓濾過機能評価装置100の断面構成図である。図12は、第1実施形態の一実施例に係る腎臓濾過機能再現装置1及び腎臓濾過機能評価装置100の分解斜視図である。
図11に示す腎臓濾過機能評価装置100は、複数の腎臓濾過機能再現装置1を有している。なお、図11では、上述した圧力制御装置40のシリンジポンプ等の圧力調節機構43及び圧力センサモジュール44をブロックで図示している。
図11に示す腎臓濾過機能評価装置100は、複数の腎臓濾過機能再現装置1の第2容器20を一体化したマルチウェルプレート120を有している。マルチウェルプレート120は、複数の第2容器20の底部を一体化した底壁部121と、底壁部121の周縁部から立ち上がった側壁部122と、を備えている。マルチウェルプレート120の底壁部121は、上述した評価物通過量測定装置80や細胞変化測定装置等を一体化した測定ユニット180に支持されている。
また、第2容器20の蓋体21も一体化されており、マルチウェルプレート120の全体を覆う蓋部材130を構成している。蓋部材130は、有頂筒状に形成され、マルチウェルプレート120の上部開口全体(側壁部122及びその内側の領域)を覆う天壁部131と、マルチウェルプレート120の側壁部122に係合する周壁部132と、を有している。蓋部材130は、図示しないが、マルチウェルプレート120にねじで着脱可能に固定されている。
図12に示すように、マルチウェルプレート120は、マトリクス状に配置された複数の第2容器20(ウェル)を有している。図12に示すマルチウェルプレート120は、4×6のマトリクス状に配置された24個のウェルを有している。なお、ウェルの数は特に限定されない。ウェルの数は、上記実施形態のように1でもよいし、本実施例のように2以上であっても構わない。なお、ウェルに挿入される第1容器10(カルチャーインサート)は、ウェルと同数であるが、例外として、ウェルが複数あっても、その一部のウェルしか使用しない(カルチャーインサートを挿入しないウェルが存在する状態で実験をする)ことはある。
図13は、第1実施形態の一実施例に係る腎臓濾過機能評価装置100の一要素(腎臓濾過機能再現装置1の1つ)を拡大した断面構成図である。図14は、図13に示す腎臓濾過機能再現装置1の分解図である。図15は、第1実施形態の一実施例に係る腎臓濾過機能再現装置1が備える閉止体11の斜視図である。図16は、図15に示す閉止体11の要部を拡大した斜視図である。
図13に示すように、腎臓濾過機能再現装置1の第1容器10は、円筒部10aと、テーパ部10bと、フランジ部10cと、補強部10dと、を有している。
円筒部10aは、第1容器10の本体の下半分を構成している。円筒部10aの下端には、上述したバイオフィルター30が設けられている。円筒部10aの内径は、一定である。テーパ部10bは、円筒部10aの上端に連設され、上方に向かうに従って内径が大きくなっている。
フランジ部10cは、テーパ部10bの上端に連設され、径方向外側に延在し、第2容器20の本体の側壁頂部に載置されている。フランジ部10cには、上下方向に貫通する貫通孔10c1が形成されている。貫通孔10c1には、上述した第2導出管路61が挿入されている。補強部10dは、フランジ部10cの下面と、テーパ部10bの外周面とを接続するリブであり、周方向に間隔をあけて複数形成されている。
閉止体11は、図14に示すように、上面11aよりも下面11bが小さい逆円錐台状に形成されている。閉止体11には、上面11aから下面11bまで貫通する複数の貫通孔11d1~11d3が形成されている。貫通孔11d1には、上述した給気管路41が挿入されている。貫通孔11d2には、上述した圧力測定管路42が挿入されている。貫通孔11d3には、上述した導入管路51が挿入されている。
貫通孔11d1~11d3は、図16に示すように、千鳥状に配置されている。なお、貫通孔11d1~11d3の内径は、給気管路41、圧力測定管路42、及び導入管路51の外径と同一、もしくはやや小さいとよい。貫通孔11d1~11d3の内径が小さければ、給気管路41、圧力測定管路42、及び導入管路51の挿入によって、それぞれの内周面は弾性変形した状態で給気管路41、圧力測定管路42、及び導入管路51の外周面に密着し、シール性が高められる。なお、貫通孔11d1~11d3の内径が同一の場合でも、シール性は問題ない。閉止体11の組み付け状態では、後述する図17に示す第2定径部11c3の少なくとも一部が、第1容器10の円筒部10aまで入り込む。このため、貫通孔11d1~11d3は給気管路41、圧力測定管路42、及び導入管路51の挿入時には外側から圧迫される仕様になっている。
図14に示すように、蓋体21(蓋部材130)にも、上下方向に貫通する複数の貫通孔21a1~21a4が形成されている。貫通孔21a1には、上述した給気管路41が挿入されている。貫通孔21a2には、上述した圧力測定管路42が挿入されている。貫通孔21a3には、上述した導入管路51が挿入されている。貫通孔21a4には、上述した第2導出管路61が挿入されている。
閉止体11の周面11cは、詳細には図15に示すように、第1縮径部11c1と、第1定径部11c2と、第2定径部11c3と、第2縮径部11c4と、を有している。第1縮径部11c1は、下方に向かうに従って外径が小さくなっている。第1定径部11c2は、第1縮径部11c1の上端に連接され、第1縮径部11c1の最大径と同じ径で上方に延びている。
第2定径部11c3は、第1縮径部11c1の下端に連接され、第1縮径部11c1の最小径より小さい径で下方に延びている。つまり、第1縮径部11c1と第2定径部11c3との間には、段差が形成されている。第2縮径部11c4は、第2定径部11c3の下端に連接されている。第2縮径部11c4は、一定の比率で縮径しておらず、径方向内側に抉れるように湾曲している。このような第2縮径部11c4の形状によれば、平面視における閉止体11と第1容器10との中心点(軸)が合い易くなる。
図17は、第1実施形態の一実施例に係る第1容器10と閉止体11との係合状態を示す断面図である。
図17に示すように、閉止体11は、第1容器10のテーパ部10bの内側に係合している。これにより、平面視における閉止体11と第1容器10との中心点(軸)が合い易くなる。つまり、テーパ部10bが無い場合には、閉止体11を押し込み、第2定径部11c3と円筒部10aの内壁が接する状態にする前に、閉止体11をただ置いた状態で、第1容器10と閉止体11の軸がずれ過ぎていると、閉止体11が傾いたまま押し込むことになり、気密性を確保しにくくなるという不具合が生じる。
また、閉止体11の第1定径部11c2は、第1容器10よりも上方に突出している。これにより、閉止体11の上面11aが蓋体21によって押圧可能となる。蓋体21の押圧により、閉止体11の第1縮径部11c1が、テーパ部10bの内壁部に密着するため、第1容器10の密閉性をより高めることができる。
閉止体11の第2縮径部11c4は、第1容器10のテーパ部10bと円筒部10aとの間に形成された段差10abに上下方向で対向して配置されている。第2縮径部11c4が、段差10abに接触することで、閉止体11の第2定径部11c3が、第1容器10の円筒部10aまで入り込み易くなる。なお、第2縮径部11c4は、段差10abのエッジによる閉止体11への応力集中を緩和し、閉止体11の繰り返し使用を可能とする機能も有する。
図18は、第1実施形態の一実施例に係る腎臓濾過機能評価装置100において、PAN毒性試験におけるアルブミン漏出評価を行った結果を示すグラフである。
この実験では、基底側(第1容器側フィルター33)に糸球体内皮細胞、頂端側(第2容器側フィルター32)に温度感受性不死化ポドサイトの共培養を実施しながら、ポドサイトに対し細胞障害を惹起するピューロマイシンヌクレオシド(PAN)を基底側から曝露し、その後基底側より蛍光標識した高分子蛋白[ここではアルブミン(Rhodamine-Albumin:R-Alb)]を含む培地を灌流させた。
図18に示す実線は、PAN曝露後、R-Albを従圧式送液により灌流させた群(PAN+&Press群)の蛍光輝度の変化を示している。また、図18に示す点線は、PAN曝露後、R-Albを静水圧のみで灌流させた群(PAN+&Static群)の蛍光輝度の変化を示している。図18に示すように、R-Albを従圧式送液により灌流させた群は、R-Albを静水圧のみで灌流させた群よりも早期に頂端側の蛍光輝度が上昇しており、本装置において、より鋭敏に薬剤毒性を検出できる事がいえる。また、本装置を用いた毒性試験においては、経時的な評価(本実施例では、二時間間隔)が可能であり、このような経時的評価が可能である点も新規である。
図19は、第1実施形態の一実施例に係る腎臓濾過機能評価装置100において、同時従圧式送液における異なる膜抵抗を有するカルチャーインサート内圧の測定結果を示すグラフである。
図19に示すように、本装置においては、従圧式(圧力制御)により送液を行った際、各カルチャーインサート内には同じ圧力が負荷される事が分かる。各カルチャーインサートの透過膜31に互いに異なる空隙率(膜抵抗)の多孔膜(コーニング社製のC3413(点線で示す)とC3470(実線で示す))を使用した場合が、図19のグラフである。このグラフに示される通り、両者の内圧はほぼ同一波形かつ1kPaのプラトー圧を示しており、本装置において従圧式送液法が各サンプル間における同一の加圧が可能である事を示している。
図20は、第1実施形態の一実施例に係る腎臓濾過機能評価装置100において、プレートリーダーでアルブミン漏出試験を行った結果を示すグラフである。図21は、第1実施形態の一実施例に係る腎臓濾過機能評価装置100において、蛍光顕微鏡でアルブミン漏出試験を行った結果を示すグラフである。なお、図20及び図21に示す実線、一点鎖線、点線は、試験毎の結果を示している。
上述したように、本装置は、蛍光標識した高分子蛋白の漏出を評価する方法において、頂端側の培地をサンプリングする事なく、リアルタイムに実施する事が可能である。
図20は、比較例として上述したPAN毒性試験において頂端側培地をサンプリングした上で、それをプレートリーダー(ARVO:パーキンエルマー社製)にて蛍光標識アルブミンの蛍光輝度測定を行いグラフ化したものである。
図21は、同毒性試験において、Keyence社製オールインワン顕微鏡内で、ウェルのインサートが映り込まない領域にROI(Region of interest)を設けて蛍光輝度測定を実施しグラフ化したものである。
両モダリティの比較において、PAN曝露+圧力負荷群が他の群に比し有意に頂端側蛍光輝度が上昇する結果となり、本装置が上記実施形態で述べた通り簡便な毒性試験評価法が可能である事を示している。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
第2実施形態は、培養容器及びそれを用いた測定方法に関するものである。以下説明する培養容器は、第1実施形態の第2容器20、ブラックケース90、マルチウェルプレート120に適用可能である。また、以下説明する測定方法は、第1実施形態の腎臓濾過機能評価方法に適用可能である。
従来、各種組織の疾患の究明、治療に有効な薬剤のスクリーニング等のために各種の細胞を培養する培養容器として液体収容部であるウェルを複数備えるマルチウェルプレートが広く使用されている(例えば、特開2018-141693号公報参照。)。
培養細胞を用いた実験における培養細胞の増殖能、細胞の機能に応じたタンパク分泌や代謝産物等の評価項目に関しては、培地中における目的の化合物を蛍光標識し、培地の蛍光輝度(ウェル内蛍光)を測定する方法が広く行われている。また、蛍光輝度を定量化する方法としては、プレートリーダー(吸光度測定)、分光光度計、蛍光観察等の方法が用いられている。
しかしながら、上記従来の技術では、ウェル内の液面のメニスカスの影響によって、測定される蛍光輝度に誤差が生じてしまう。
図22は、従来のマルチウェルプレートのウェルにFITC溶液を満たしてウェル全体を撮影した状態を示す第1の図である。図23は、従来のマルチウェルプレートのウェルにFITC溶液を満たしてウェル全体を撮影した状態を示す図である。なお、図22において、(a)は48ウェルマルチウェルプレートの1つのウェル全体を撮影した蛍光画像、(b)は24ウェルマルチウェルプレートの1つのウェル全体を撮影した蛍光画像、(c)は(a)における中心線A上の蛍光輝度を示すグラフ、(d)は(b)における中心線A上の蛍光輝度を示すグラフである。また、図23において、(a)は48ウェルマルチウェルプレートの1つのウェル全体を撮影した蛍光画像、(b)は(a)における中心線A及びB上の蛍光輝度を示すグラフである。
図22は、48個のウェルを備えるマルチウェルプレートである48ウェルマルチウェルプレート、及び、24個のウェルを備えるマルチウェルプレートである24ウェルマルチウェルプレートに、タンパク質蛍光標識試薬であるFITC(フルオレセインイソチオシアネート)溶液を満たし、底面側から1つのウェル全体を撮影して得られた蛍光画像に基づいて、前記ウェルの円形の底面の直径に相当する中心線A上の蛍光輝度をグラフ化したものである。通常のマルチウェルプレートでは、各ウェル内の液面が凹型のメニスカスとなるので、該メニスカスの影響によって、図22(c)及び(d)に示されるように、中心線A上の位置により、蛍光輝度の値が変化してしまう。
また、図23は、48ウェルマルチウェルプレートに、FITC溶液を満たし、底面側から1つのウェル全体を撮影して得られた蛍光画像に基づいて、前記ウェルの円形の底面の2本の異なる中心線A及びB上の蛍光輝度をグラフ化したものである。図23(b)に示されるように、中心線A及び中心線B上の位置によって、蛍光輝度の値が変化するだけでなく、中心線A上と中心線B上とでは蛍光輝度の値の変化パターンが相違している。
このように、従来のマルチウェルプレートを用いた測定では、メニスカスの影響により、蛍光の測定対象領域であるROI(Region of Interest)の設定位置によって、計測される蛍光輝度に誤差が生じてしまう。
そこで第2実施形態では、上記従来の技術の問題点を解決して、液体収容部内の溶液の状態を、メニスカスの影響を受けずに、正確に測定することができる培養容器及びそれを用いた測定方法を提供することを目的とする。
そのために、培養容器においては、液体収容部を有する培養容器において、前記液体収容部は、液体収容部本体と、凹部とを含み、該凹部は、前記液体収容部本体の壁面の一部を外側方向に凹入させるようにして形成された部分であって、前記液体収容部本体と連絡している。
他の培養容器においては、さらに、前記凹部は液体収容部本体の下端に隣接した位置に形成され、前記凹部の底面は液体収容部本体の底面と同一平面である。
更に他の培養容器においては、さらに、前記凹部は液体収容部本体の下端に隣接した位置に形成され、前記凹部の底面は液体収容部本体の底面より上方に位置する。
更に他の培養容器においては、さらに、前記凹部の平面視における形状は概略直角二等辺三角形である。
更に他の培養容器においては、さらに、前記凹部の側面視における形状は概略矩形であり、前記凹部の天面は液体収容部本体内に収容される溶液の気液界面よりも下方に位置する。
更に他の培養容器においては、さらに、前記液体収容部内には、前記液体収容部本体と凹部との連絡を遮断する仕切壁が挿入される。
測定方法においては、液体収容部を有する培養容器であって、前記液体収容部は、液体収容部本体と凹部とを含み、該凹部は、前記液体収容部本体の壁面の一部を外側方向に凹入させるようにして形成された部分であって、前記液体収容部本体と連絡している培養容器を用意し、前記液体収容部内に溶液を供給し、前記液体収容部内に測定対象領域を設定し、前記培養容器の上方又は下方から前記凹部内の溶液の状態を測定する。
他の測定方法においては、さらに、前記溶液の状態は蛍光輝度又は吸光度である。
更に他の測定方法においては、さらに、各液体収容部の凹部内に設定された測定対象領域にそれぞれ対応する位置に形成された複数の開口を有するマスクを前記培養容器の下面に貼付し、前記培養容器の下方から前記マスクの各開口に対応する領域の蛍光画像を撮影して前記溶液の蛍光輝度を測定する。
更に他の測定方法においては、さらに、前記培養容器の下方から前記凹部を通過する光線を照射し、前記培養容器の上方において、前記凹部を通過した光線の光量を測定して前記溶液の吸光度を測定する。
第2実施形態によれば、液体収容部内の溶液の状態を、メニスカスの影響を受けずに、正確に測定することができる。
以下、第2実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図24は、第2実施形態に係るマルチウェルプレートの試作品を示す写真である。図25は、第2実施形態に係るマルチウェルプレートの斜視図である。図26は、第2実施形態に係るマルチウェルプレートのウェルの模式側断面図である。なお、図24において、(a)は斜め上方から撮影した写真、(b)は斜め下方から撮影した写真、(c)は(b)におけるC部拡大写真である。また、図25において、(a)は斜め上方から見た斜視図、(b)は斜め下方から見た斜視図真、(c)は(b)における要部拡大図である。
マルチウェルプレート210は、本実施の形態における培養容器であり、厚みのある平板状の直方体であるプレート本体211と、プレート本体211に複数形成された液体収容部としてのウェル212とを備える。
なお、本実施の形態における培養容器は、必ずしもマルチウェルプレートに限定されるものでなく、各種の細胞の培養に使用される容器であれば、いかなる種類のものであってもよく、例えば、培養皿(ディッシュ)、培養フラスコ等であってもよい。また、本実施の形態における液体収容部は、必ずしも、ウェル212のように円筒状の形状のものに限定されるものでなく、内部に液体を収容可能な形状であれば、いかなる種類の形状であってもよく、例えば、平面視における形状が多角形の筒状のものであってもよいし、側面視における形状が円錐形のものであってもよいし、全体的な形状が薄い皿状のものであってもよい。さらに、本実施の形態における液体収容部は、必ずしも、ウェル212のように複数である必要はなく、単数であってもよい。ここでは、説明の都合上、培養容器がマルチウェルプレート210であって、液体収容部が円筒状のウェル212であって、プレート本体211に複数形成されたものである場合について説明する。
上述したように、マルチウェルプレートは、複数の窪み又は穴であるウェルを備え、各種の細胞を培養する細胞培養器として市販され、広く使用されている部材であって、マイクロプレート又はマイクロタイタープレートとも称される。市販されているマルチウェルプレートは、一般に、6~384個のウェルを備え、例えば、24個のウェルを備えるマルチウェルプレートである24ウェルマルチウェルプレートと称され、48個のウェルを備えるマルチウェルプレートである48ウェルマルチウェルプレートと称されているが、ウェルの数に限定はなく、9600個のものも存在する。また、マルチウェルプレートの材質は、一般的には、透明なガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等であるが、いかなる種類のものであってもよい。
図24に示されるマルチウェルプレート210は、図25に示される図に基づいて、発明者が試作品として製作したものであり、プレート本体211が不透明な樹脂から成り、24個のウェル212を備えるものであるが、プレート本体211は透明な材質から成るものであってもよいし、ウェル212の数は、24個に限定されるものではない。
なお、本実施の形態において、マルチウェルプレート210の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、マルチウェルプレート210の各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
プレート本体211は、平坦な上面211aと、上面211aに平行な平坦な下面211bとを有し、各ウェル212は、上面211aから下面211bまで、プレート本体211の厚さ方向に延在する円柱乃至円筒状の貫通孔である液体収容部本体としてのウェル本体212cを有する。ウェル本体212cの天面212a(上端面)は上面211aにおいて開口しているが、その底面212b(下端面)は下面211bに取り付けられた平板状の透明な底板213によって閉止されている。すなわち、各ウェル212のウェル本体212cは、図26に示されるように、平底の円柱乃至円筒状の凹部である。そして、各ウェル212は、細胞培養等に使用される培養液又は培地のような溶液215をウェル本体212cの内部に収容し、下方に位置するように対物レンズ221が配設された図示されない顕微鏡によって、底板213を通して、溶液215内の細胞を観察したり、溶液215中の蛍光標識された化合物の蛍光輝度等を測定することができる。なお、蛍光輝度を測定する場合、前記顕微鏡として蛍光顕微鏡を使用する。
本実施の形態においては、各ウェル212に測定部としての凹部214が形成されている。凹部214は、ウェル本体212cの下端に隣接した円筒状の壁面、すなわち、側面の一部を外側方向、具体的には、半径方向外側に凹入させるようにして形成された部分であって、ウェル本体212cと連絡している。したがって、ウェル本体212c内に収容された溶液215は、凹部214内に流入する。平面視における凹部214の形状は、図24(c)及び図25(c)に示されるように、概略直角二等辺三角形のような形状であって、斜辺に相当する部分が前記円筒状の側面に対応する円弧状となっている。凹部214の平面視における形状が、このようになっているので、多数のウェル212を所定の面積のプレート本体211に形成する場合、スペース効率が向上する。なお、平面視における凹部214の形状は、これに限定されるものでなく、半円状であってもよいし、四角形状であってもよいし、適宜設定することができる。また、各ウェル212に形成される凹部214の数は、図24(c)及び図25(c)に示される例のように単数である必要はなく、複数であってもよい。さらに、凹部214は、ウェル本体212cの側面の一部に形成されたものである必要はなく、前記側面の全周に亘って形成されたものであってもよい。
また、側面視における凹部214の形状は、図26に示されるように矩形であり、その底面214bはウェル212(ウェル本体212c)の底面212bと同一平面である。凹部214の天面214aは、底面214bと平行な平面であって、ウェル本体212c内に収容された溶液215の上面である気液界面215a(液面)よりも下方に位置するように設定されている。これにより、凹部214内は溶液215によって満たされた状態となり、凹部214内の溶液215の上面は、凹部214の天面214aに一致し、平坦であってメニスカスが生じることがない。なお、底面214bから天面214aまでの距離、すなわち、凹部214の高さは、図24に示される試作品においては、3.5〔mm〕であるが、気液界面215aまでの距離より短ければ、いかなる値であってもよく、適宜調整することができる。
このように、凹部214内の溶液215はメニスカスの影響を受けることがないので、溶液215中における目的の化合物を蛍光標識して蛍光輝度を測定する場合、図24(c)に示されるように、平面視における凹部214内の位置に蛍光の測定対象領域であるROI216を設定することによって、蛍光輝度を誤差なく正確に測定することが可能となる。なお、溶液215をウェル212へ注入する際、凹部214での気泡発生を抑制する事を目的とした親水化処理(例えば、酸素又はアルゴンプラズマ処理、シランカップリング処理等)を、少なくとも凹部214の壁面に施す場合もある。
次に、ウェル212内にカルチャーインサートを挿入した場合について説明する。
図27は、第2実施形態に係るカルチャーインサートを挿入したウェルの蛍光輝度を測定する状態を示す図である。図28は、第2実施形態に係るカルチャーインサートを挿入したウェルの蛍光輝度の測定結果を示す図である。なお、図27において、(a)はカルチャーインサートを挿入したウェルの模式側断面図、(b)はカルチャーインサートを挿入したウェル全体を撮影した蛍光画像である。また、図28において、(a)は図27(b)におけるD部分の蛍光画像、(b)は図27(b)におけるE部分の蛍光画像、(c)は(a)における直線F上の蛍光輝度を示すグラフ、(d)は(b)における直線G上の蛍光輝度を示すグラフである。
本実施の形態におけるマルチウェルプレート210は、図26に示されるように、各ウェル212内に細胞等を含む培養液又は培地のような溶液215だけを収容した状態で使用することもできるが、図27(a)に示されるように、溶液215に加えて、内部に細胞等の組織を収容したカルチャーインサート217を挿入した状態で使用することもできる。カルチャーインサート217の材質は、透明なガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等であるが、いかなる種類のものであってもよい。なお、カルチャーインサート217のような挿入部材をウェル212のような空洞内に挿入して使用する細胞培養装置は、既に知られている(例えば、特開2018-042556号公報参照。)。
図27(a)に示されるウェル212においては、カルチャーインサート217及びウェル212には、ともに、溶液215としてFITC溶液が充填されている。そして、プレート本体211の下面211bの下方に配設された蛍光顕微鏡の対物レンズ221によって、ウェル212の底面212b側からカルチャーインサート217が挿入されたウェル212全体を撮影すると、図27(b)に示されるような蛍光画像を得ることができた。
図28(a)は、図27(b)において矩形の枠で囲まれたD部分の蛍光画像であり、図28(b)は、図27(b)において矩形の枠で囲まれたE部分の蛍光画像である。前記D部分は、図27(a)に示されるウェル212の底面212bにおけるカルチャーインサート217の円筒状の側面とウェル本体212cの円筒状の側面との間の部分にほぼ対応する領域である。前記E部分は、図27(a)に示されるウェル212の底面212bにおける凹部214にほぼ対応する領域である。なお、図28(b)に示される点線の円は、凹部214内に設定されたROI216を示している。
図28(c)は、D部分の蛍光画像である図28(a)に示される蛍光画像のほぼ中心を通る直線F上の蛍光輝度をグラフ化したものである。前記D部分は、カルチャーインサート217の円筒状の側面とウェル本体212cの円筒状の側面との間の部分にほぼ対応する領域であるので、溶液215の気液界面215aにおけるメニスカスの影響を受けて、蛍光輝度が不均一となっていることが、図28(c)から分かる。
図28(d)は、E部分の蛍光画像である図28(b)に示される蛍光画像のほぼ中心を通る直線G上の蛍光輝度をグラフ化したものである。なお、直線Gは、ROI216の中心をも通るように設定されている。前記E部分は、凹部214にほぼ対応する領域であるので、溶液215の気液界面215aにおけるメニスカスの影響を受けず、ほぼ全範囲に亘って蛍光輝度が均一となっていることが、図28(d)から分かる。特に、ROI216に対応する範囲では、蛍光輝度が実質的に均一である、と言える。
このように、ウェル212の底面212bにおける溶液215の気液界面215aに対応する領域を下方から撮影した蛍光画像の場合は、メニスカスの影響を受けるので、蛍光輝度が不均一となる。そのため、溶液215の蛍光標識評価物質濃度が同じであっても、カルチャーインサート217の挿入の仕方や、気液界面215aの高さのような因子によって、図28(c)に示されるように、蛍光輝度のグラフの波形が変わり得ることが予想される。これに対し、ウェル212の底面212bにおける凹部214に対応する領域を下方から撮影した蛍光画像の場合は、メニスカスの影響を受けないので、蛍光輝度が均一となることが分かる。したがって、溶液215の蛍光標識評価物質濃度が同じであれば、前記因子によっても、図28(d)に示されるように、蛍光輝度のグラフの波形に変化がないと予想される。
以上のように、平面視における凹部214内に蛍光の測定対象領域であるROI216を設定し、ROI216での蛍光輝度を測定することによって、各ウェル212内の溶液215の蛍光輝度を、メニスカスの影響を受けずに、常に高精度で測定することができる。
次に、マルチウェルプレート210のすべてのウェル212において、ROI216の設定位置を同様にする手段について説明する。
図29は、第2実施形態に係るマルチウェルプレートの底板に貼付するマスクを示す図である。図30は、第2実施形態に係るマルチウェルプレートの底板にマスクを貼付した状態で撮影した凹部の蛍光画像である。
図29に示すマスク222は、薄板状又はフィルム状のマスクであり、マルチウェルプレート210の透明な底板213の下面に貼付される。マスク222の材質は、不透明なガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等であるが、遮光性を有するものであれば、いかなる種類のものであってもよい。また、マスク222の全体的な寸法及び形状は、対応するマルチウェルプレート210のプレート本体211の下面211bと同様の寸法及び形状である。
そして、マスク222には、マルチウェルプレート210のすべてのウェル212のそれぞれに対応するように、複数の開口223が形成されている。各開口223は、ウェル本体212cのほぼ全体に対応する主開口223aと、凹部214内のROI216に対応する位置に形成された撮影箇所開口223bとを含んでいる。なお、光透過孔である開口223は、マスク222を板厚方向に貫通する素通しの貫通孔であってもよいし、透明フィルム等の透光性部材が貼られたものであってもよい。また、各撮影箇所開口223bは、望ましくは、直径が約1〔mm〕の円形の開口であり、凹部214の中心位置に対応するように形成される。
図30は、マスク222をマルチウェルプレート210の透明な底板213の下面に貼付し、各ウェル212に蛍光性物質を含有する溶液215を充填した状態で、1つのウェル212の凹部214に対応する領域を下方から撮影した蛍光画像である。図30において、Hで示される十文字状の点線は位置決め用のグリッドであり、該グリッドHにおいては、2本の点線の交点が画像の中心であることを示している。該画像の中心には、撮影箇所開口223bの像が存在することが分かる。
そこで、図30に示されるように、撮影箇所開口223bが画像の中心となるように、あらかじめ、蛍光顕微鏡の対物レンズ221とマルチウェルプレート210との位置関係を調整し、各ウェル212におけるROI216の箇所を蛍光顕微鏡の駆動用ソフトウェアに記憶させておくことが望ましい。これにより、各ウェル212におけるROI216の箇所を自動的に撮影することが可能となるので、実験毎に手動でROI216の箇所を位置決めする、という手順を省略することができる。
次に、溶液215として蛍光標識評価物質を含有する培地を用いた段階希釈溶液の蛍光輝度測定・検量線の検証結果について説明する。
図31は、第2実施形態に係るFITCイヌリンを用いた段階希釈溶液の蛍光輝度測定・検量線の検証結果を示す図である。図32は、第2実施形態に係るRITCデキストランを用いた段階希釈溶液の蛍光輝度測定・検量線の検証結果を示す図である。なお、図31及び図32において、(a)はウェルの凹部を撮影した蛍光画像、(b)は検量線を示すグラフである。
発明者は、試作品として製作した図24に示されるようなマルチウェルプレート210を使用して、ウェル212内に収容された溶液215の蛍光輝度を測定する実験を行った。該実験においては、蛍光輝度を測定するための顕微鏡として、株式会社キーエンスが販売するオールインワン蛍光顕微鏡(Keyence BZX-700)を使用した。そして、実際の蛍光輝度測定は、以下の(1)~(3)の手順で行われた。
(1)位置決め:実験を行う前に、底板213の下面にマスク222が貼付されたマルチウェルプレート210のウェル212に蛍光性の溶液215を満たす。そして、各ウェル212の凹部214の中心(直径が約1〔mm〕の円形の開口であるマスク222の撮影箇所開口223b)をグリッドHの点線の交点に合わせるように調整し、その位置をソフトウェアに記憶させる(Keyence BZX-700では、「多点」機能がそれに該当する。また、設定を保存することによって、次回以降同じデバイスを用いれば、記憶した位置を順番に、設定された時間間隔で撮影していくことができる「タイムラプス」機能も含んでいる。)。
(2)蛍光標識評価物質を含有する溶液215を用いた実験時の操作:マルチウェルプレート210のウェル212内に挿入されたカルチャーインサート217内に蛍光標識評価物質を含有する溶液215を充填する。そして、マルチウェルプレート210をKeyence BZX-700のステージにセットし、(1)で定めた各ウェル212における撮影箇所を所定の時間間隔で撮影する。
(3)実験終了後の画像解析(蛍光輝度測定):撮影した蛍光画像に対して、画像処理ソフトウェアであるImage J Fiji(NIH)を用いて、蛍光輝度測定を行う。具体的には、Image J Fiji(NIH)が備える「Oval」機能を用いて、画像中央に円を描き、該円を、Image J Fiji(NIH)が備える「ROI manager 」機能を用いて、すべての画像に共通する蛍光輝度評価領域としてのROI216として保存し、すべての画像において、ROI216における蛍光輝度を、Image J Fiji(NIH)が備える「Measure 」機能を用いて、定量する。そして、「Measure 」機能で得られた各値の中で、平均値をピックアップし、該平均値でもって統計処理を行い、有意差を判定する。
図31及び図32には、このようにして行われた実験によって得られた蛍光標識評価物質を含有する溶液215を用いた段階希釈溶液の蛍光輝度測定・検量線の検証結果が示されている。図31は、FITCイヌリン(分子量5.5〔kDa〕:低分子評価物質)を用いた場合の段階希釈溶液の蛍光輝度測定・検量線の検証結果を示している。図32は、RITCデキストラン(分子量70〔kDa〕:高分子評価物質)を用いた場合の段階希釈溶液の蛍光輝度測定・検量線の検証結果を示している。
図31(b)及び図32(b)に示されるように、ウェル212の凹部214の中心をROI216として蛍光輝度を測定することによって、FITCイヌリンを用いた場合も、RITCデキストランを用いた場合も、決定係数Rの値が0.99以上と、高い信頼性を示す結果となった。
これにより、本実施の形態におけるマルチウェルプレート210が、蛍光標識評価物質の蛍光輝度測定において、簡便でありながら、高い精度を提供することができることが示された。
次に、マルチウェルプレート210を使用して吸光度を測定する方法について説明する。
図33は、第2実施形態に係るマルチウェルプレートを使用して吸光度を測定する場合のウェルの模式側断面図である。
本実施の形態におけるマルチウェルプレート210は、蛍光輝度の測定のみならず、吸光度の測定にも使用することができる。例えば、図に示されるように、プレート本体211の上面211aの上方に吸光度計224を配設し、プレート本体211の下面211bの下方に配設された図示されない光源から照射された矢印で示される光線Jであってウェル212内の溶液215を通過した光線Jの光量を吸光度計224によって測定することにより、溶液215の吸光度を測定することができる。
この場合、プレート本体211は透明な材質から成るものであるとする。また、光線Jは、溶液215の上面である気液界面215aを通過せず、凹部214を通過するものとする。なお、光線Jは、図24(c)、7(b)等に示されるような凹部214におけるROI216を通過することが望ましい。これにより、溶液215の気液界面215aにおけるメニスカスの影響を受けることなく、溶液215の吸光度を高精度で測定することができる。
このように、本実施の形態におけるマルチウェルプレート210は、ウェル212を有するものであって、ウェル212は、ウェル本体212cと凹部214とを含み、凹部214は、ウェル本体212cの側面の一部を外側方向に凹入させるようにして形成された部分であって、ウェル本体212cと連絡している。
また、本実施の形態における測定方法においては、ウェル212を有するマルチウェルプレート210であって、ウェル212は、ウェル本体212cと凹部214とを含み、凹部214は、ウェル本体212cの壁面の一部を外側方向に凹入させるようにして形成された部分であって、ウェル本体212cと連絡しているマルチウェルプレート210を用意し、ウェル212内に溶液215を供給し、凹部214内にROI216を設定し、マルチウェルプレート210の上方又は下方から凹部214内の溶液215の状態を測定する。
これにより、ウェル212内の溶液215の状態を、気液界面215aのメニスカスの影響を受けずに、正確に測定することができる。
また、凹部214はウェル本体212cの下端に隣接した位置に形成され、凹部214の底面214bはウェル本体212cの底面212bと同一平面である。さらに、凹部214の平面視における形状は概略直角二等辺三角形である。さらに、凹部214の側面視における形状は概略矩形であり、凹部214の天面214aはウェル本体212c内に収容される溶液215の気液界面215aよりも下方に位置する。さらに、溶液215の状態は蛍光輝度又は吸光度である。さらに、各ウェル212の凹部214内に設定されたROI216にそれぞれ対応する位置に形成された複数の撮影箇所開口223bを有するマスク222をプレート本体211の下面211bに貼付し、マルチウェルプレート210の下方からマスク222の各撮影箇所開口223bに対応する領域の蛍光画像を撮影して溶液215の蛍光輝度を測定する。さらに、マルチウェルプレート210の下方から凹部214を通過する光線Jを照射し、マルチウェルプレート210の上方において、凹部214を通過した光線Jの光量を測定して溶液215の吸光度を測定する。
次に、第2実施形態の第1変形例について説明する。なお、上述した本実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、上述した本実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図34は、第2実施形態の第1変形例におけるマルチウェルプレートのウェルの模式側断面図である。
第2実施形態の第1変形例において、ウェル212に形成された凹部214は、上述した本実施の形態に係る凹部214と同様に、ウェル本体212cの円筒状の側面の一部を半径方向外側に凹入させるようにして形成された部分であり、側面視における形状が矩形であり、その天面214aがウェル212内に収容された溶液215の気液界面215aよりも下方に位置するように設定されている。
しかしながら、上述した本実施の形態に係る凹部214では、その底面214bがウェル212の底面212bと同一平面であるのに対し、第2実施形態の第1変形例における凹部214では、図に示されるように、その底面214bがウェル212の底面212bよりも上方に位置するように設定されている。また、第2実施形態の第1変形例において、プレート本体211は透明な材質から成るものであるとする。
なお、その他の点の構成及び動作については、上述した本実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
このように、第2実施形態の第1変形例においては、凹部214はウェル本体212cの下端に隣接した位置に形成され、凹部214の底面214bはウェル本体212cの底面212bより上方に位置する。
次に、第2実施形態の第2変形例について説明する。なお、上述した本実施の形態及び第2実施形態の第1変形例と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、上述した本実施の形態及び第2実施形態の第1変形例と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図35は、第2実施形態の第2変形例におけるマルチウェルプレートのウェルの模式側断面図である。
第2実施形態の第2変形例において、ウェル212に形成された凹部214は、上述した本実施の形態に係る凹部214と同様に、ウェル本体212cの下端に隣接した円筒状の側面の一部を半径方向外側に凹入させるようにして形成された部分であり、側面視における形状が矩形であり、その底面214bはウェル212の底面212bと同一平面であり、その天面214aがウェル212内に収容された溶液215の気液界面215aよりも下方に位置するように設定されている。
しかしながら、第2実施形態の第2変形例におけるマルチウェルプレート210では、図に示されるように、各ウェル212の内部に、凹部214とウェル本体212cとの連絡を遮断する仕切壁225が、取り外し可能に取り付けられている。仕切壁225は、上下方向から観た形状が円弧状であって、上下方向に延在する曲板状の板材であり、ウェル本体212cの円筒状の側面に沿って上下方向にスライド可能となっている。そして、仕切壁225は、上方からウェル本体212cの側面に沿うようにウェル212内に挿入され、その下端がウェル212の底面212bを閉止する底板213に当接すると、凹部214とウェル本体212cとの連絡を遮断するようになっている。
したがって、例えば、ウェル212内に収容された培地である溶液215中に細胞218を播種するような場合に、播種された細胞218が凹部214内に入り込んでしまうことを防止することができる。
なお、その他の点の構成及び動作については、上述した本実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
このように、第2実施形態の第2変形例においては、ウェル212内には、ウェル本体212cと凹部214との連絡を遮断する仕切壁225が挿入される。
上述した第2実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
液体収容部を有する培養容器において、
前記液体収容部は、液体収容部本体と、凹部とを含み、
該凹部は、前記液体収容部本体の壁面の一部を外側方向に凹入させるようにして形成された部分であって、前記液体収容部本体と連絡していることを特徴とする培養容器。
(付記2)
前記凹部は液体収容部本体の下端に隣接した位置に形成され、前記凹部の底面は液体収容部本体の底面と同一平面である付記1に記載の培養容器。
(付記3)
前記凹部は液体収容部本体の下端に隣接した位置に形成され、前記凹部の底面は液体収容部本体の底面より上方に位置する付記1に記載の培養容器。
(付記4)
前記凹部の平面視における形状は概略直角二等辺三角形である付記1~3のいずれか1項に記載の培養容器。
(付記5)
前記凹部の側面視における形状は概略矩形であり、前記凹部の天面は液体収容部本体内に収容される溶液の気液界面よりも下方に位置する付記1~4のいずれか1項に記載の培養容器。
(付記6)
前記液体収容部内には、前記液体収容部本体と凹部との連絡を遮断する仕切壁が挿入される付記1~5のいずれか1項に記載の培養容器。
(付記7)
液体収容部を有する培養容器であって、前記液体収容部は、液体収容部本体と凹部とを含み、該凹部は、前記液体収容部本体の壁面の一部を外側方向に凹入させるようにして形成された部分であって、前記液体収容部本体と連絡している培養容器を用意し、
前記液体収容部内に溶液を供給し、
前記液体収容部内に測定対象領域を設定し、前記培養容器の上方又は下方から前記凹部内の溶液の状態を測定することを特徴とする測定方法。
(付記8)
前記溶液の状態は蛍光輝度又は吸光度である付記7に記載の測定方法。
(付記9)
各液体収容部の凹部内に設定された測定対象領域にそれぞれ対応する位置に形成された複数の開口を有するマスクを前記培養容器の下面に貼付し、前記培養容器の下方から前記マスクの各開口に対応する領域の蛍光画像を撮影して前記溶液の蛍光輝度を測定する付記7に記載の測定方法。
(付記10)
前記培養容器の下方から前記凹部を通過する光線を照射し、前記培養容器の上方において、前記凹部を通過した光線の光量を測定して前記溶液の吸光度を測定する付記7に記載の測定方法。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
第3実施形態は、マルチウェルプレートの各ウェル(第2容器)とカルチャーインサート(第1容器)との隙間に挿入されるインサータ(挿入部材)に関するものである。
図36は、第3実施形態に係るインサータ420を配置した腎臓濾過機能評価装置300の断面構成図である。図37は、図36に示す腎臓濾過機能評価装置300が備えるマルチウェルプレート390の平面図である。図38は、図37に示すマルチウェルプレート390の分解斜視図である。図39は、第3実施形態に係るインサータ420の下面側斜視図である。
図36に示すように、第3実施形態では、カルチャーインサート310(第1容器)の側壁とウェル320(第2容器)の側壁との隙間に挿入される蛍光輝度測定用のインサータ420(挿入部材)を備えている。
なお、図36に示すインサータ420が配置される腎臓濾過機能評価装置300は、上述した第1実施形態と同様の構成を有しており、腎臓濾過機能再現装置301と、腎臓濾過機能再現装置301のカルチャーインサート310に導入される液体302に、バイオフィルター330の濾過機能を評価する評価物質及びバイオフィルター330に対する毒性の有無を検証する図示しない被験物質の少なくとも一方を添加する物質添加装置(図36において符号略)と、バイオフィルター330を通過した評価物質の通過量を測定する評価物通過量測定装置380と、を有している。
カルチャーインサート310は、上述した第1実施形態の図13に示す第1容器10と同様の構成を有している。具体的に、カルチャーインサート310は、底部開口に透過膜331、第2容器側フィルター332、及び第1容器側フィルター333を含むバイオフィルター330を有している。また、カルチャーインサート310の上部開口は、閉止体311によって閉塞されている。閉止体311には、蓋体321が載せられている。
蓋体321には、給気管路341、圧力測定管路342、導入管路351、及び第2導出管路361が貫通して配置されている。給気管路341、圧力測定管路342、及び導入管路351は、蓋体321を貫通し、カルチャーインサート310の内部に挿入されている。カルチャーインサート310の内部には、液体302が貯留されている。
マルチウェルプレート390は、図37に示すように、複数のウェル320を有している。第3実施形態のウェル320は、マルチウェルプレート390に二列で設けられている。ウェル320の各列の近傍には、濾過液排出槽392が設けられている。濾過液排出槽392は、ウェル320の列と平行に延びており、隣接する各ウェル320と連通流路393を介して連通している。連通流路393は、図38に示すように、ウェル320と濾過液排出槽392とを隔てるマルチウェルプレート390の隔壁を一部除去することで形成されている。これにより、ウェル320に溜まった濾過液303が、濾過液排出槽392に排出される。
図36に示すように、第3実施形態のウェル320の底部401は、可視光に対する透光性を有するカバーガラスによって形成されている。なお、ウェル320の底部401は、可視光に対する透光性を有すれば、透明な樹脂板等であってもよい。マルチウェルプレート390の底部には、Oリング402を介してカバーガラス(底部401)を配置する窪みが形成されている。なお、底部401を除くマルチウェルプレート390は、可視光に対する透光性を有してもよいし、蛍光色とのコントラストを際立たせるために、可視光に対する非透光性を有してもよい。
マルチウェルプレート390の底部には、ウェル320の底部401における液密性を保持するための固定板410が取り付けられている。固定板410には、図38に示すように、ウェル320の底部401を露出させる窓部411と、窓部411の周縁部に設けられた環状突起部412と、固定板410をマルチウェルプレート390に取り付ける図示しないネジが配置される固定孔413と、が設けられている。
窓部411は、Oリング402の内径と同程度の大きさに開口している。環状突起部412は、図36に示すように、マルチウェルプレート390の底部に設けられた窪みに挿入され、ウェル320の底部401の周縁部を押圧してOリング402を押し潰し、ウェル320の底部401における液密性を保持する。
カルチャーインサート310の側壁とウェル320の側壁との隙間には、蛍光輝度測定用のインサータ420が挿入されている。蛍光輝度測定用のインサータ420は、カルチャーインサート310の側壁とウェル320の側壁との隙間のうち、ウェル320の底部401から一定の高さの位置に挿入されている。腎臓濾過機能評価を行う系によってウェル320に溜まる濾過液303の量が変わることから、インサータ420の高さは、蛍光輝度測定が行いやすいように腎臓濾過機能評価を行う系毎に適した高さのインサータ420を使用するとよい。
インサータ420は、カルチャーインサート310を内側に挿入可能なリング状に形成されている。本実施形態のインサータ420は、カルチャーインサート310の側壁の外周に隙間なく装着することができる。なお、インサータ420とカルチャーインサート310の側壁の外周の隙間は、インサータ420を装着しやすく、濾過液303が満たされる隙間があってもよい。インサータ420は、互いに平行な上面421及び下面422を有している。なお、インサータ420の上面421は、下面422と平行な平面に限定されないが、インサータ420の下面422の一部または全ては、少なくともウェル320の底部401に対して平行かつ平面に形成されている。
図39に示すように、本実施形態のインサータ420の下面422には、溝部423が形成されている。溝部423の底面を形成する平面部も、ウェル320の底部401に対して平行かつ平面となっている。この溝部423の平面部は、図36に示す評価物通過量測定装置380の観察領域となる。溝部423を除くインサータ420の下面422は、ウェル320の底部401に接触している。一方、溝部423は、ウェル320の底部401から一定の距離をあけており、その隙間が濾過液303で満たされている。なお、インサータ420の溝部423とウェル320の底部401が平行になっていれば、インサータ420の下面422はウェル320の底部401に接触していなくてもよい。また、インサータ420の溝部423に気泡が発生し、蛍光輝度計測に支障を来す事を抑制する事を目的とした親水化処理(酸素プラズマやアルゴンプラズマ処理、シランカップリング処理等)を、少なくとも溝部423に施してもよい。
図36に示すように、ウェル320の側壁の内壁には、インサータ420に嵌合する嵌合突起391が形成されている。嵌合突起391は、ウェル320の内壁から内側に突出している。この嵌合突起391は、図37に示すように、ウェル320の平面視円形の壁面において、周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では90°間隔で4つ)設けられている。
対して、インサータ420の嵌合突起391と接触する4つの接触面424は、図39に示すように、平面状に形成されている。接触面424は、インサータ420の周面を部分的に平面化したものである。嵌合突起391とインサータ420の接触面424とを平面で接触させることで、インサータ420の回り止めが可能となる。つまり、評価物通過量測定装置380に対する溝部423(観察領域)の位置ずれを防止できる。なお、溝部423(観察領域)の位置ずれを防止できれば、ウェル320とインサータ420の嵌合場所の形や組み合わせは、特に限定されず、例えば、平面状と平面状や、突起状と突起状や、凹部と凸部によって嵌合してもよい。
上記構成のインサータ420は、樹脂製やガラス製でも良いが、理想的には化学的に安定で、高温滅菌に耐性を有する素材(ポリカーボネート、PEEK、ポリアセタール等)が好ましい。また、インサータ420の色は、透明でも、有色でも良いが、蛍光観察を目的とした場合には黒が望ましい。また、インサータ420の素材の比重は、水に浮かないように、なるべく高比重である事が望ましい。この観点からは、インサータ420の全体がステンレス鋼のような金属、または、樹脂の中に「おもし」として金属を包含しているような構造でも良い。そうすることで、溝部423と底部401との間の距離が離れずに済み、光路長の変化を防止できる。
このような第3実施形態によれば、図36に示すように、ウェル320(第2容器)の底部401が、可視光に対する透光性を有し、カルチャーインサート310(第1容器)の側壁とウェル320の側壁との隙間に挿入され、ウェル320の底部401と対向する下面422の少なくとも一部に平面部(溝部423)が形成された蛍光輝度測定用のインサータ420(挿入部材)を備える。したがって、第2実施形態のようにウェル212の壁面に凹部214を形成せずに、カルチャーインサート310とウェル320との隙間に液面のメニスカスの影響を受けない観察領域(溝部423)を形成できる。
第3実施形態の観察領域(溝部423)は、第2実施形態の凹部214のようにデッドエンド(袋小路)になっておらず、また、カルチャーインサート310の底部開口(漏出部)に近いため、カルチャーインサート310の底部開口から漏出した評価物質が、観察領域に速やかに到達する。したがって、評価物通過量測定装置380において、カルチャーインサート310からの評価物質の漏出度の上昇を検出するタイミングが早まる。また、第3実施形態においては、インサータ420の挿入によりウェル320内の体積が縮小されるため、評価物質の拡散スペースが、第2実施形態に比べて縮小されている。このため、評価物質の拡散が抑制され、評価物通過量測定装置380の検出感度の上昇をもたらす。さらに、インサータ420の着脱が可能であるため、観察領域の位置の変更等も容易である。
また、本実施形態においては、蛍光輝度測定用の平面部は、インサータ420の下面422に設けられた溝部423に形成され、溝部423を除くインサータ420の下面422は、ウェル320の底部401に接触している。この構成によれば、ウェル320の底部401から一定の距離で溝部423(観測領域)を位置決めでき、各ウェル320において同条件下で観察を行える。また、溝部423は、ウェル320の底部401から離間しているため、その隙間に評価物質が到達し易くなる。
また、本実施形態においては、インサータ420は、カルチャーインサート310の側壁に装着可能なリング状に形成されている。この構成によれば、インサータ420の内側にカルチャーインサート310を挿入できるため、カルチャーインサート310の位置決めが容易になる。
また、本実施形態においては、ウェル320の側壁には、インサータ420を嵌合する嵌合突起391が形成されている。この構成によれば、インサータ420及びカルチャーインサート310の振動や位置ずれ等を防止できる。
また、本実施形態においては、インサータ420の嵌合突起391と接触する接触面424は、平面状に形成されている。この構成によれば、インサータ420の回り止めが可能となり、溝部423(観察領域)の周方向の位置ずれを防止できる。
次に、第3実施形態の第1変形例について説明する。なお、上述した本実施形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、上述した本実施形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図40は、第3実施形態の第1変形例に係るインサータ420を配置した腎臓濾過機能評価装置300の断面構成図である。図41は、第3実施形態の第1変形例に係るインサータ420の上面側斜視図である。
図40に示すように、第3実施形態の第1変形例では、インサータ420のカルチャーインサート310の挿入部以外の部分で上面421から下面422まで貫通する貫通部425が形成されている。図40に示す例では、貫通部425に、第2導出管路361が挿入されている。
図41に示すように、貫通部425は、インサータ420の上面421から下面422に向かって延びる第1流路425aと、第1流路425aの下端からインサータ420の内周面まで延びる第2流路425bと、を有している。第1流路425aは、平面視円形の貫通孔である。第2流路425bは、インサータ420の下面422に形成された底面視矩形の溝である。
第2流路425bからは、カルチャーインサート310の底部開口から漏出する濾過液303が流入し、第1流路425aに挿入された第2導出管路361まで導かれる。このように、インサータ420に貫通部425を設けることで、第2導出管路361を介して濾過液303の排出を促進させることができる。なお、貫通部425は、溝部423の形成場所以外の場所であれば、その形成場所は特に限定されない。また、インサータ420に、1つ以上の貫通部425を形成してもよい。例えば貫通部425を複数形成することで、第2導出管路361を挿入しやすい貫通部425を選択でき、接続を容易に行うことができる。その他、第2導出管路361を複数設け、複数の貫通部425に接続して濾過液303の排出を促進させてもよい。また、貫通部425に、濾過液303中の評価物質を拡散させるチューブまたは配管を挿入してもよい。さらに、貫通部425に挿入された第2導出管路361と並行して、第2導出管路361と同様に他の貫通部425に挿入されるなどしてウェル320に配置された第2導入管路を設けてもよい。この第2導入管路からウェル320内の細胞に適した培地組成の培地を供給し、第2導出管路361からウェル320の余剰培地を廃液してもよい。
次に、第3実施形態の第2変形例について説明する。なお、上述した本実施形態及び第1変形例と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、上述した本実施形態及び第1変形例と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図42は、第3実施形態の第2変形例に係るインサータ420を配置した腎臓濾過機能評価装置300の断面構成図である。図43は、図42に示す腎臓濾過機能評価装置300が備えるマルチウェルプレート390の分解斜視図である。
図42に示すように、第3実施形態の第2変形例では、インサータ420の下面422がウェル320の底部401に接触しておらず、ウェル320の段差部394に吊り下げられた状態で支持されている。この第2変形例では、インサータ420の下面422の全体が、平面部(観察領域)となっている。この場合、インサータ420の下面422に気泡が発生し、蛍光輝度計測に支障を来す事を抑制する事を目的とした親水化処理(酸素プラズマやアルゴンプラズマ処理、シランカップリング処理等)を、少なくとも下面422に施してもよい。
段差部394は、ウェル320の側壁の内側に環状に設けられている。インサータ420は、段差部394上に載置されるフランジ部426を有する。フランジ部426は、図43に示すように、インサータ420の上端部から径方向外側に突出する環状に形成されている。このような、第2変形例(吊り下げ方式)によれば、インサータ420の下面422の全体が、平面部(観察領域)となっているため、上述した図37に示すようなインサータ420の回り止め構造は不要となるが、インサータ420を固定等のために回り止め構造があってもよい。
第2変形例のインサータ420の内径側には、図43に示すように、フィレット427が形成されている。フィレット427は、カルチャーインサート310が挿入されるインサータ420の挿入部の上端開口縁の角を丸めたものである。この構成によれば、インサータ420の内側にカルチャーインサート310を挿入し易くなり、カルチャーインサート310の底部開口のバイオフィルター330が、挿入時にインサータ420に接触し損傷してしまうことを防止することができる。
次に、第3実施形態の第3変形例について説明する。なお、上述した本実施形態及び第1~2変形例と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、上述した本実施形態及び第1~2変形例と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図44は、第3実施形態の第3変形例に係るインサータ420を配置した腎臓濾過機能評価装置300の断面構成図である。図45は、図44に示す腎臓濾過機能評価装置300が備えるマルチウェルプレート390の平面図である。図46は、図45に示すマルチウェルプレート390の分解斜視図である。
これらの図に示すように、第3実施形態の第3変形例では、インサータ420が鍔部428を有している。鍔部428は、ウェル320と濾過液排出槽392との間に形成された堰部393aを跨ぐように配置されている。堰部393aは、ウェル320と濾過液排出槽392との間を連通させる連通流路393の一部であり、ウェル320の底部401及び濾過液排出槽392の底面よりも高く形成されている。
鍔部428は、図44に示すように、インサータ420の上端部から径方向外側に延びる第1部分428aと、第1部分428aの先端から屈曲し下方に延びる第2部分428bと、を有する。堰部393aは、インサータ420の外壁と鍔部428によって囲まれた逆さU字状の隙間に挿入(配置)されている。
堰部393aとインサータ420の外壁との間、堰部393aと鍔部428の第1部分428aとの間、及び、堰部393aと鍔部428の第2部分428bとの間には、濾過液303が流通できる微小隙間が形成されている。濾過液303は、この微小隙間による毛管現象によって、図44において矢印で示すように、ウェル320から濾過液排出槽392に流出する。
なお、ウェル320内に配置された図示しない第2導出管路361と並行に、またはこの第2導出管路361に代えて、ウェル320内の細胞に適した培地組成の培地を供給する図示しない第2導入管路を配置し、ウェル320内の余剰培地を濾過液排出槽392に流出させてもよい。つまり、カルチャーインサート310(第1容器)、ウェル320(第2容器)の細胞層(バイオフィルター330)を個別の培地組成でもって共培養するという状況下において、第2導出管路361を省略してもよい。
このように第3変形例においては、ウェル320と連通する濾過液排出槽392と、ウェル320と濾過液排出槽392との間に形成された堰部393aと、インサータ420は、堰部393aを跨ぐように設けられ、ウェル320から濾過液排出槽392に濾過液303を導く鍔部428を有する。この構成によれば、ウェル320内における濾過液303の液面を一定に維持しつつ、ウェル320内から濾過液排出槽392へ濾過液303の余剰液を導出することができる。
すなわち、鍔部428が無い場合、ウェル320内の濾過液303の液面は、濾過液303の接触角が大きい理由から、インサータ420の上面421よりも高くなり、ある一定の高さを超えたところで、濾過液排出槽392に流れ出す。したがって、ウェル320内の濾過液303の液面の高さが変動し、一定でなくなる。対して、鍔部428があることで、濾過液303が、インサータ420及び鍔部428と堰部393aとの間に形成された隙間を毛管現象によって進み、濾過液排出槽392に常時に流れ出るため、ウェル320内の濾過液303の液面の高さを一定に保つことができる。これにより、同液面高さでの蛍光観察が可能となる。
次に、第3実施形態のインサータ420(図39に示す溝部423付き)を用いて、蛍光標識評価物質を含有する培地を用いた段階希釈溶液の蛍光輝度を測定した検量線の検証結果について説明する。
図47は、第3実施形態に係るインサータ420を使用した場合のFITCイヌリンを用いた段階希釈蛍光溶液の検量線及び決定係数を示すグラフである。図48は、比較例として、プレートリーダーを使用した場合のFITCイヌリンを用いた段階希釈蛍光溶液の検量線及び決定係数を示すグラフである。
図49は、第3実施形態に係るインサータ420を使用した場合のRITCデキストランを用いた段階希釈蛍光溶液の検量線及び決定係数を示すグラフである。図50は、比較例として、プレートリーダーを使用した場合のRITCデキストランを用いた段階希釈蛍光溶液の検量線及び決定係数を示すグラフである。
図48及び図50に示すように、比較例としてインサータ420を用いた検証と同様の蛍光標識評価物質を含有する培地を用いた段階希釈溶液の蛍光輝度に関する検量線及び決定係数であるが、決定係数R自体は、FITC・RITCの両者においても0.99以上と高精度ではあるが、濃度が濃くなるにつれ、標準偏差が大きくなる事が目立つ。
一方で、第3実施形態に係るインサータ420を使用した場合、図47及び図49に示すように、標準偏差は濃度が濃くなっても広がる事はなく、その点で既存のプレートリーダーより優位性があると言える。
このように、第3実施形態のインサータ420を使用することにより、下の点が解決される。
(1)インサータ420の仕様においては、第2実施形態の凹部214が形成されたマルチウェルプレート210(以下、凹部搭載マルチウェルと言う)に比べ、側壁の凹部214が無くなり、またインサータ420の体積の分、ウェル320内の溶液量は少なく済み、それにより、カルチャーインサート310から漏出若しくは輸送してきた蛍光標識化合物の拡散が抑制され、蛍光標識化合物検出感度上昇をもたらす。
(2)バイオフィルター330から、蛍光観察領域までの距離が縮まる事により、蛍光標識化合物の漏出・輸送度上昇を検出するタイミングが早まる。
(3)第2実施形態の凹部搭載マルチウェルに比べ、測定領域内にデッドエンド構造が無いため、観察領域への蛍光標識化合物の拡散が相対的に促進されやすくなる。
(4)バイオフィルターを構成する細胞群同士の液性因子分泌(Autocrine、Paracrine)を介した(相互)作用を期待した場合、その培養液の拡散スペースが縮小する事により、その効果促進が期待できる。
(5)図51及び図52に示すように、第2実施形態の凹部搭載マルチウェル同様、蛍光輝度計測エリアの座標を蛍光顕微鏡ソフトウェアへ記録し、測定頻度と測定時間を規定する事によって、第3実施形態でも複数サンプルの蛍光輝度時間変化を長時間に渡り計測する事が可能である。
図51は、第3実施形態に係るインサータ420を使用した場合のFITCイヌリンを用いた自動観察による複数サンプルを扱う漏出試験結果を示すグラフである。図52は、第3実施形態に係るインサータ420を使用した場合のRITCデキストランを用いた自動観察による複数サンプルを扱う漏出試験結果を示すグラフである。
以上、本発明の好ましい実施形態、実施例及び変形例を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
本発明は、人工的にヒトの腎臓の濾過機能を再現できる腎臓濾過機能再現装置、及び、その腎臓濾過機能再現装置を用いた腎臓濾過機能評価装置及び腎臓濾過機能評価方法を提供できる。
1 腎臓濾過機能再現装置
2 液体
3 濾過液
10 第1容器
10A 第1液体収容室
11 閉止体
20 第2容器
20A 第2液体収容室
21 蓋体
30 バイオフィルター
31 透過膜
32 第2容器側フィルター
33 第1容器側フィルター
40 圧力制御装置
41 給気管路
42 圧力測定管路
51 導入管路
61 第2導出管路
70 物質添加装置
80 評価物通過量測定装置
100 腎臓濾過機能評価装置
101 評価物質
101a 第1物質
101b 第2物質
111 第1導出管路
210 マルチウェルプレート(培養容器)
212 ウェル(第2容器)
212a 天面
212b 底面
212c ウェル本体(液体収容部本体、第2液体収容室)
213 底板
214 凹部
214a 天面
214b 底面
215a 気液界面
217 カルチャーインサート(第1容器)
225 仕切壁
303 濾過液
310 カルチャーインサート(第1容器)
320 ウェル(第2容器)
391 嵌合突起
392 濾過液排出槽
393a 堰部
394 段差部
401 底部
420 インサータ(挿入部材)
422 下面
423 溝部
424 接触面
427 フィレット
428 鍔部

Claims (12)

  1. 液体が導入される第1容器と、
    前記第1容器に導入された液体を濾過するバイオフィルターと、
    前記バイオフィルターを通過した濾過液が導入される第2容器と、を有し、
    前記バイオフィルターは、
    前記第1容器と前記第2容器との間を仕切る透過膜と、
    前記透過膜の前記第1容器を向く面に配置された第1容器側フィルターと、
    前記透過膜の前記第2容器を向く面に配置された第2容器側フィルターと、有し、
    前記第1容器側フィルターは、内皮細胞から形成され、
    前記第2容器側フィルターは、ポドサイトから形成されており、
    前記第2容器は、
    前記濾過液が導入される第2液体収容室と、
    前記第2液体収容室に連通する凹部と、を含み、
    前記凹部は、前記第2液体収容室の壁面の一部を外側方向に凹入させるように形成されている、腎臓濾過機能再現装置。
  2. 液体が導入される第1容器と、
    前記第1容器に導入された液体を濾過するバイオフィルターと、
    前記バイオフィルターを通過した濾過液が導入される第2容器と、を有し、
    前記バイオフィルターは、
    前記第1容器と前記第2容器との間を仕切る透過膜と、
    前記透過膜の前記第1容器を向く面に配置された第1容器側フィルターと、
    前記透過膜の前記第2容器を向く面に配置された第2容器側フィルターと、有し、
    前記第1容器側フィルターは、内皮細胞から形成され、
    前記第2容器側フィルターは、ポドサイトから形成されており、
    前記第2容器の底部は、可視光に対する透光性を有し、
    前記第1容器の側壁と前記第2容器の側壁との隙間に挿入され、前記第2容器の底部と対向する下面の少なくとも一部に平面部が形成された挿入部材を備える腎臓濾過機能再現装置。
  3. 前記平面部は、前記挿入部材の下面に設けられた溝部に形成され、
    前記溝部を除く前記挿入部材の下面は、前記第2容器の底部に接触している、請求項2に記載の腎臓濾過機能再現装置。
  4. 前記第2容器と連通する濾過液排出槽と、
    前記第2容器と前記濾過液排出槽との間に形成された堰部と、
    前記挿入部材は、前記堰部を跨ぐように設けられ、前記第2容器から前記濾過液排出槽に前記濾過液を導く鍔部を有する、請求項2または3に記載の腎臓濾過機能再現装置。
  5. 前記第1容器と前記第2容器との圧力差を制御する圧力制御装置を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の腎臓濾過機能再現装置。
  6. 前記第1容器は、
    前記液体を収容する第1液体収容室が形成された第1容器本体と、
    前記第1容器本体の前記第1液体収容室を密閉する閉止体と、を有し、
    前記圧力制御装置は、
    前記閉止体を貫通し、前記第1液体収容室に挿入された給気管路及び圧力測定管路を有する、請求項5に記載の腎臓濾過機能再現装置。
  7. 請求項1~6のいずれか一項に記載の腎臓濾過機能再現装置を備え、
    前記第1容器に導入される前記液体に、前記バイオフィルターの濾過機能を評価する評価物質及び前記バイオフィルターに対する毒性の有無を検証する被験物質の少なくとも一方を添加して腎臓濾過機能を評価する、腎臓濾過機能評価装置。
  8. 前記バイオフィルターを通過した前記評価物質の通過量を測定する評価物通過量測定装置を有する、請求項7に記載の腎臓濾過機能評価装置。
  9. 前記評価物質には、第1物質及び第2物質の少なくとも一方が含まれ、
    前記第1物質は、前記バイオフィルターが正常状態のとき、前記第2容器側フィルターを通過困難であり、
    前記第2物質は、前記バイオフィルターが正常状態のとき、前記第2容器側フィルターを通過容易である、請求項8に記載の腎臓濾過機能評価装置。
  10. 前記第1物質及び前記第2物質の少なくとも一方は、蛍光標識とされ、
    前記評価物通過量測定装置は、前記評価物質の通過量を、前記濾過液の蛍光輝度に基づいて測定する、請求項9に記載の腎臓濾過機能評価装置。
  11. 前記第2容器は、透明部を有しており、
    前記評価物通過量測定装置は、前記透明部から前記濾過液に測定光を投光し、前記評価物質の通過量を測定する、請求項8~10のいずれか一項に記載の腎臓濾過機能評価装置。
  12. 請求項1~6のいずれか一項に記載の腎臓濾過機能再現装置を用いた腎臓濾過機能評価方法であって、
    前記第1容器に導入される前記液体に、前記バイオフィルターの濾過機能を評価する評価物質及び前記バイオフィルターに対する毒性の有無を検証する被験物質の少なくとも一方を添加して腎臓濾過機能を評価する、腎臓濾過機能評価方法。
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