レンズユニット10Aの一例を示す斜視図である図1等の添付の図面を参照し、本発明に係るレンズユニットの詳細を説明すると、以下のとおりである。尚、図2は、図1のレンズユニット10Aの上面図であり、図3は、センサモジュール36を接続した状態で示す図2のA-A線断面図である。図4は、レンズユニット10Aの絞りの内径IDIR及び画角θを説明する部分拡大断面図である。図1では、光軸方向(前後方向)を矢印Xで示し、径方向を矢印Yで示す。
レンズユニット10A(小型レンズユニット10B~10Fを含む)は、各種のセンサモジュール36に設置される撮像系の小型レンズユニットとして好適に使用される。その一例としては、各種の内視鏡(図示せず)のセンサモジュール36(スコープ)の先端部に設置される。内視鏡としては、血管内視鏡や脳内用スコープや耳鼻咽喉用スコープ等の各種の医療用内視鏡、各種の工業用内視鏡が含まれる他、今後開発されるあらゆる内視鏡が含まれる。
レンズユニット10Aは、ホルダー11aと、それぞれ別体のレンズ12と、絞り銅板13(絞り手段)と、カバー部材14aとから形成されている。レンズユニット10Aでは、カバー部材14aの光軸方向後方に絞り銅板13が配置され、絞り銅板13の光軸方向後方にレンズ12が配置されている。カバー部材14a、絞り銅板13、レンズ12は、光軸方向へ一列(直列)に並んでいる。カバー部材14a、絞り銅板13、レンズ12は、図3に示すように、ホルダー11aの収容スペース17にそれぞれ個別に収容される。
ホルダー11aは、合成樹脂(プラスチック)から作られているが、ホルダー11aがSUSや合金等の金属から作られていてもよい。ホルダー11aは、光軸方向(前後方向)へ長い円筒状の胴部15と、胴部15につながって胴部15から光軸方向後方へ延びる脚部16と、胴部15に囲繞されて胴部15の略上半分に形成された収容スペース17と、脚部16に囲繞されて脚部16の内側に形成されたセンサモジュール収容ペース18とを有する。
ホルダー11aの胴部15は、前端19及び後端20を有し、その外径ODHL(ホルダー11aの胴部15の直径)が1.4mmである。ホルダー11aの胴部15の外径ODHLは、レンズユニット10A(小型レンズユニット10B~10Fを含む)を連結するセンサモジュール36の種類によって適宜決定される。ホルダー11aの胴部15の外径ODHL(胴部15の直径)に特に制限はないが、胴部15の外径ODHLは、0.5mm~10mmの範囲で調節される。脚部16は、胴部15と一体形成され、4つのそれが胴部15の周り方向へ等間隔離間して並んでいる。
ホルダー11aの収容スペース17は、径方向の断面形状が円形(真円)であって、ホルダー11aの胴部15の前端19(前方)から後端20(後方)に向かって延びる円筒状に形成されている。収容スペース17には、レンズ12と絞り銅板13とカバー部材14aとが収容されている。センサモジュール収容スペース18には、図3に示すように、センサモジュール36が嵌め込まれる。
ホルダー11aの胴部15(カバー部材14a、絞り銅板13、レンズ12を収容する収容スペース17)は、その内径IDHLが0.4mm以上であって8mm以下の範囲にある。ホルダー11aの胴部15の外径ODHLを0.5mm~10mmの範囲にするとともに、ホルダー11aの胴部15の内径IDHLを0.4mm以上であって8mm以下にすることで、ホルダー11aの収容スペース17にレンズ12や絞り銅板13、カバー部材14aを収容した極めて小型のレンズユニット10Aにすることができ、小型のセンサモジュール36に好適に連結することが可能なレンズユニット10Aにすることができる。
レンズ12は、透明なガラス材又は透明な合成樹脂を成形することから作られている。レンズ12は、その断面形状が円形に形成され、収容スペース17の後方に収容されている。レンズ12は、その外形L1が1.1~1.2mmの範囲にある(図4参照)。レンズ12の外形L1は、レンズユニット10A(レンズユニット10B~10Fを含む)を使用する内視鏡のセンサモジュール36の種類によって適宜決定される。レンズ12の外形L1に特に制限はないが、ホルダー11aの収容スペース17に収まる外形L1(大きさ)である必要がある。
レンズ12は、その中央に形成された円形のレンズ部21と、レンズ部21の外周縁から径方向外方へ延びる所定面積のフランジ部22とを有し、物体側(カバー部材14aの側)に位置する平坦(フラット)な前端面23と、前端面23の反対側に位置する像側の後端面24と、前後端面23,24の間に延びる側面25とを有する。
レンズ12は、その前端面23が絞り銅板13(カバー部材14aの後端面30)に対向し、前端面23の全域が絞り銅板13(カバー部材14aの後端面30)に透明な接着剤(図示せず)によって固着されている。レンズ12のフランジ部22は、その後端面24がホルダー11aの収容スペース17のフランジ当接部26に接着剤(図示せず)によって固着されている。レンズ12の側面25とホルダー11aの内周面27との間には、間隙が形成されている。
絞り銅板13(絞り手段)は、収容スペース17に嵌め込まれ(収容され)、レンズ12の光軸方向前方に位置してレンズ12の前端面23に当接している。絞り銅板13は、円板状に形成され、その厚み寸法が0.03mmである。絞り銅板13の中心には、絞り銅板13を貫通する円形の絞り28(絞り孔)が穿孔されている。絞り28(絞り孔)の内径IDIRは、0.01mm以上であって0.3mm以下の範囲にある。
絞り銅板13の大きさや厚み寸法は、レンズユニット10A(レンズユニット10B~10Fを含む)を使用する内視鏡のセンサモジュール36の種類によって適宜決定される。絞り銅板13の大きさや厚み寸法に特に制限はないが、ホルダー11aの収容スペース17に収まる大きさである必要がある。レンズ12と絞り銅板13とは、その断面形状や大きさが異なる場合、又は、その断面形状が同形同大である場合がある。
カバー部材14aは、透明なガラス材を正四角柱(四角柱)にカットすることから作られ(カバーガラス)、又は、透明な合成樹脂材を正四角柱(四角柱)に成形することから作られている(カバープラスチック)。カバー部材14aは、物体側に位置する平坦(フラット)な前端面29と、前端面29の反対側(レンズ12の側)に位置する像側の平坦(フラット)な後端面30と、前後端面29,30の間に延びる4つの側面31と、各側面31が交差する4つの角32とを有する。カバー部材14aは、物体側の前端面29から像側の後端面30に続く側面31の形状が正四角柱(四角柱)に形成され、径方向の断面形状が正四角形(四角形)に形成されている。従って、前端面29及び後端面30が正四形(四角形)である。
カバー部材14aは、前端面29と各側面31とが交差する角がカットされ、前端面29と各側面31とが交差する角が面取りされ、又は、合成樹脂材を成形することで、前端面29と各側面31とが交差する角が面取りされている。カバー部材14aの前端面29と側面31との間には、前端面29から側面31に向かって下り勾配に傾斜する4つの面取り面33が形成されている。カバー部材14aの面取り面33の径方向の長さC
S は、0.3mm以下の範囲、好ましくは、0.05mm以上であって0.3mm以下の範囲にある。前端面29は、それら面取り面33に囲繞されている。尚、前端面29と各側面31とが交差する角が面取りされていなくてもよい。
カバー部材14aは、図3に示すように、絞り銅板13の光軸方向前方に位置し、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17の前方に嵌め込まれている(収容されている)。正四角柱(四角柱)のカバー部材14aの4つの全ての角32の先端又は4つの角32のうちの複数の角32の先端は、ホルダー11aの胴部15の内周面27に当接している。ホルダー11aの胴部15は、カバー部材14aの断面正四角形の前後端面29,30の外接円となる。尚、正四角柱(四角柱)のカバー部材14aの4つの角32のうちの少なくとも2つの角32の先端がホルダー11aの胴部15の内周面27に当接していればよい。
正四角柱(四角柱)のカバー部材14aは、対角線の長さODSCG(径方向の最大径)が1.2mmであり、外形L2が略0.85mmである。カバー部材14aは、前端面29と後端面30との間の厚み寸法HCGが0.01mm以上であって0.5mm以下の範囲にある。カバー部材14aの対角線の長さODSCGや外形L2、厚み寸法HCGは、レンズユニット10A(レンズユニット10B~10Dを含む)を使用する内視鏡のセンサモジュール36の種類によって適宜決定される。カバー部材14aの対角線の長さODSCGや外形L2、厚み寸法HCGに特に制限はないが、ホルダー11aの収容スペース17に収まる対角線の長さODSCG、外形L2、厚み寸法HCGである必要がある。
レンズユニット10Aでは、ホルダー11aの断面円形の胴部15の収容スペース17に断面正四角形(四角形)のカバー部材14aが嵌め込まれる(収容される)ことで、カバー部材14aの4つの各側面31とホルダー11aの胴部15の内周面27との間に間隙34が形成され、それら4つの間隙34がレンズユニット10Aの周り方向へ並んでいる。カバー部材14aの各側面31とホルダー11aの胴部15の内周面27との間の4つの間隙34には、接着剤35(充填剤)が注入(充填)されている。接着剤35は、それら間隙34において硬化している。
それら4つの間隙34から光が進入することで、センサモジュール36(受光素子)に不要な光が差し込む場合、例えば、接着剤35を黒色や灰色とし、間隙34に光を遮断する黒色や灰色の接着剤35を充填することで、間隙34から入射する光を遮断することができ、センサモジュール36(受光素子)への不要な光の入射を防ぐことができる。
レンズユニット10A(小型のレンズユニット)では、レンズ12から絞り銅板13(絞り手段)の絞り28(絞り孔)を通ってカバー部材14aの物体側の前端面29に延びる光線の有効エリア37(EBD)がカバー部材14aの正四角形(四角形)の前端面29に表れる(図6参照)。カバー部材14aの前端面29に表れた光線の有効エリア37(EBD)は、円形(真円)である。光線の有効エリア37(EBD)は、カバー部材14aの前端面29の外周縁に囲繞された正四角形(四角形)の受光エリア38からはみ出すことなく、受光エリア38の内側に位置している。
光線の有効エリア37の図4に示す直径EBDは、以下の(式1)によって算出される。
EBD=2*HCG*tanθ+IDIR(式1)
EBD・・・光線の有効エリア37の直径
HCG・・・カバー部材14aの厚み寸法
θ・・・画角(半角)
IDIR・・・絞りの内径
EBD算出のための条件は、以下のとおりである。
(1)カバー部材14aの厚さ
0.01mm≦HCG≦0.5mm
(2)絞り28の内径
0.01mm≦IDIR≦0.3mm
(3)画角(全角)
2θ≦150°
小型のレンズユニット10Aが内視鏡のセンサモジュール36(スコープ)の先端部に設置された場合、カバー部材14aの正四角形(四角形)の前端面29(受光エリア38)の内側に位置する円形の有効エリア37(EBD)から入射した光(像)がカバー部材14aを透過して絞り銅板13(絞り手段)の絞り28(絞り孔)を通り、レンズ12に入射した後、レンズ12からセンサモジュール36の受光素子に入射することで、画像として出力(表示)され、又、光信号として出力される。
レンズユニット10Aでは、正四角柱(四角柱)に形成されたカバー部材14aの4つの各角32のうちの少なくとも1つの角32の先端がホルダー11aの胴部15の収容スペース17の内周面27から径方向内方へ所定寸法離間する場合、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17の内周面27から離間する角32の先端の離間寸法が0.1mm以下、好ましくは、0.01mm以上であって0.1mm以下の範囲にある。
図5は、カバー部材14aに関する各数値の算出の一例を説明する図である。図1のレンズユニット10Aは、以下に説明する計算によって光線の有効エリアEBDやカバー部材14aの前端面29(平面部)の有効エリアEFDS、カバー部材14aの外形DSVT2,DSHL2、カバー部材14aの対角線の長さODSCG、ホルダー11aの胴部15の内径IDHL、ホルダー11aの胴部15の外径ODHLが算出される。尚、図5の各記号が示す対象は以下のとおりである。
IDHL・・・ホルダー11aの胴部15の内径
CLS1・・・カバー部材14aの頂点(角)のバラつき許容エリア
CLS2・・・カバー部材14aの前端面29のバラつき許容エリア
SV1~4・・・カバー部材14aの頂点(角)
SV5~8・・・カバー部材14aの前端面29の頂点(角)
EFDS・・・カバー部材14aの前端面29の有効エリア37
EODS・・・カバー部材14aの外形の有効エリア
カバー部材14aの頂点のバラつき許容エリアは、CLS1≦0.1mmであり、カバー部材14aの前端面29のバラつき許容エリアは、CLS2≦1.4mmである。カバー部材14aの頂点SV1~4は、CLS1の範囲内である。
カバー部材14aの前端面29の頂点SV5~8において隣り合う頂点を結ぶ直線に、中心OSから垂直に線を繋ぐとき、その線分(PS1~PS4)の長さは、下記の条件となる。CLS2が0のときは、面取り面Cなしを表す。
PS1≧EFDS/2
PS2≧EFDS/2
PS3≧EFDS/2
PS4≧EFDS/2
図6は、図5から続くカバー部材14aに関する各数値の算出の一例を説明する図であり、図7は、算出されたカバー部材14aの外形(一辺の長さ)、厚み、面取り面Cの径方向の長さを示す図である。図6の各記号が示す対象は以下のとおりである。
IDHL・・・ホルダー11aの内径
ODHL・・・ホルダー11aの外径
WHL・・・ホルダー11aの胴部15の厚み
CLS1・・・カバー部材14aの頂点(角)のバラつき許容エリア
CLS2・・・カバー部材14aの前端面29のバラつき許容エリア
EBD・・・光線の有効エリア37の直径
EFDS・・・カバー部材14aの前端面29の受光エリア38
DSVT1・・・カバー部材14aの前端面29の外形長さ(垂直)
DSHL1・・・カバー部材14aの前端面29の外形長さ(水平)
ODSCG1・・・カバー部材14aの外形長さ(対角)
ODSCG2・・・カバー部材14aの外形長さ(対角)
光線の有効エリア37の直径EBDを基準としてカバー部材14aの各部分の大きさを決定する。DSVT1及びDSHL1は以下の条件とし、ODSCG1及びODSCG2は以下の条件とする。
DSVT1≧EFDS≧EBD+CLS1
DSHL1≧EFDS≧EBD+CLS1
IDHL≧ODSCG1≧EFDS+CLS2
IDHL≧ODSCG2≧EFDS+CLS2
以上でカバー部材14aのサイズが確定する。又、以下の(式2)によってホルダー11aの外径のサイズが確定する。
ODHL=IDHL+WHL(式2)
面取り面Cの径方向の長さCS及びホルダー11aの胴部15の厚みは以下の範囲において設定する。
カバー部材14aの面取り面Cの長さ:0mm≦CS≦0.3mm
ホルダー11aの胴部15の厚み:0.01mm≦WHL≦1mm
カバー部材14aの加工方法を考慮して公差を決定するが、この時、図5において説明した範囲から外れていないことを確認する。
正四角柱のカバー部材14aに関する各数値の算出の具体例を以下に示す。各数値の算出の具体例における条件は、以下のとおりである。
カバー部材14aの厚み寸法:HCG=0.3mm
(0.01mm≦HCG≦0.5mm)
絞り28の内径:IDIR=0.1mm
(0.01mm≦IDIR≦0.3mm)
画角(全角):2θ=90°
(θ≦150°)
カバー部材14aの面取り面Cの大きさ:CS=0.05mm
(0mm≦CS≦0.3mm)
カバー部材14a頂点のバラつき許容エリア:CLS1=0.04mm
ホルダー11aの胴部15の厚み:WHL=0.1mm
(0.01mm≦WHL≦1mm)
(1)光線の有効エリア37の直径の算出
EBD=2*HCG*tanθ+IDIR
=2*0.3*tan45°+0.1
=0.7mm
(2)カバー部材14aの前端面29の受光エリア38の算出
EFDS=EBD+CLS1*2=0.7+0.04*2
=0.78mm
(3)カバー部材14aの外形(一辺の長さ)の算出
DSVT2=DSHL2=DSVT1+CS*2
=0.78+0.05*2=0.88mm
(4)カバー部材14aの対角線の長さの算出
ODSCG=√(DSVT2^2+DSHL2^2)
=√(0.88^2+0.88^2)≒1.245mm
(5)ホルダー11aの内径の算出
IDHL=ODSCG+CLS1*2
=1.245+0.04*2=1.325mm
(6)ホルダー11aの胴部15の外径の計算
ODHL=IDHL+WHL*2
=1.325+0.1*2=1.525mm
算出したカバー部材14aの各サイズとしては、図7に示すように、カバー部材14aの外形(一辺の長さ)が0.88mm、カバー部材14aの厚みが0.3mm、面取り面Cの径方向の長さが0.05mmである。
レンズユニット10Aは、ガラス材をカットし、又は、合成樹脂材を成形することで、前端面29から後端面30に続く側面31の形状が正四角柱(四角柱)のカバー部材14a(カバーガラス又はカバープラスチック)を容易に作ることができ、図26,27に示す従来技術のレンズユニット50のように、カバーガラス55の断面形状が真円になるようにカバーガラス55の外周面を円柱状に研磨する職人の手作業は必要なく、正四角柱(四角柱)のカバー部材14aを含むレンズユニット10Aを機械的に効率よく量産することができる。
レンズユニット10Aは、ガラス材を正四角柱(四角柱)にカットし、又は、合成樹脂材を正四角柱(四角柱)に成形することでカバー部材14a(カバーガラス又はカバープラスチック)を作ることができるから、カバー部材14aを職人に頼ることなく廉価に製造することができるとともに、精度の狂いがない正四角柱(四角柱)のカバー部材14aを備えたレンズユニット10Aを廉価に製造することができ、レンズユニット10Aの生産効率を向上させることができる。
レンズユニット10Aは、正四角柱(四角柱)のカバー部材14a(カバーガラス又はカバープラスチック)の4つの各角32の少なくとも2つの角32の先端がホルダー11aの胴部15の内周面27に当接するから、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17においてカバー部材14aがずれ動くことはなく、正四角柱のカバー部材14aをホルダー11aの胴部15の収容スペース17に固定することができる。
レンズユニット10Aは、光線の円形の有効エリア37(EBD)がカバー部材14a(カバーガラス又はカバープラスチック)の前端面29の外周縁に囲繞された正四角形(四角形)の受光エリア38の内側に位置するから、光線の有効エリア37(EBD)の一部が正四角形の受光エリア38の外側にずれる(はみ出す)ことはなく、レンズユニット10Aにおいて正確な像を結ぶことができる。
レンズユニット10Aは、カバー部材14a(カバーガラス又はカバープラスチック)の側面31の形状が正四角柱(四角柱)に形成された場合に、カバー部材14aの前端面29と4つの各側面31とが交差する角をカットすることで角を容易に面取りすることができ、又は、合成樹脂材を成形することで角を容易に面取りすることができ、正四角柱(四角柱)に形成されたカバー部材14aの角が面取りされることで、カバー部材14aの角の不用意な破損や損壊を防ぐことができる。
正四角柱(四角柱)に形成されたカバー部材14aの4つの各角32のうちの少なくとも1つの角32の先端がホルダー11aの胴部15の収容スペース17の内周面27から径方向内方へ所定寸法離間する場合において、収容スペース17の内周面27から離間する角32の先端の離間寸法が0.1mmを超過すると、カバー部材14aがホルダー11aの胴部15の収容スペース17においてずれ動いたときに、光線の円形の有効エリア37(EBD)の一部がカバー部材14aの前端面29の外周縁に囲繞された正四角形(四角形)の受光エリア38の外側にずれる(はみ出す)場合があり、レンズユニット10Aにおいて正確な像を結ぶことができないが、レンズユニット10Aは、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17の内周面27から離間する角32の先端の離間寸法が0.1mm以下、好ましくは、0.01mm以上であって0.1mm以下の範囲にあるから、カバー部材14a(カバーガラス又はカバープラスチック)がホルダー11aの胴部15の収容スペース17においてずれ動いたとしても、光線の有効エリア37(EBD)の一部がカバー部材14aの前端面29の受光エリア38の外側にずれる(はみ出す)ことはなく、光線の有効エリア37(EBD)をカバー部材14aの前端面29の受光エリア38の内側に位置させることができ、レンズユニット10Aにおいて正確な像を結ぶことができる。
面取り面Cの径方向の長さCSが0.3mmを超過すると、カバー部材14aの前端面29の外周縁に囲繞された正四角形(四角形)の受光エリア38が狭小となり、光線の有効エリア37(EBD)の一部がカバー部材14aの前端面29の外周縁に囲繞された正四角形(四角形)の受光エリア38の外側に位置する(はみ出す)場合があり、レンズユニット10Aにおいて正確な像を結ぶことができないが、レンズユニット10Aは、面取り面Cの径方向の長さCSが0.3mm以下、好ましくは、0.05mm以上であって0.3mm以下の範囲にあるから、光線の有効エリア37(EBD)をカバー部材14a(カバーガラス又はカバープラスチック)の前端面29の外周縁に囲繞された正四角形(四角形)の受光エリア38の内側に位置させることができ、光線の有効エリア37(EBD)の一部がカバー部材14aの前端面29の受光エリア38の外側に位置する(はみ出す)ことはなく、レンズユニット10Aにおいて正確な像を結ぶことができる。
図8は、レンズユニット10Bの他の一例を示す図3と同様の断面図である。図8のレンズユニット10Bが図3のそれと異なるところは、絞り手段がフォトエッチングによってカバー部材の後端面にマスキングされた絞りパターン39である点にあり、その他の構成は図1のレンズユニット10Aのそれらと同一であるから、図1と同一の符号を付すとともに、図1の説明を援用することで、このレンズユニット10Bのその他の構成の詳細な説明は省略する。
レンズユニット10Bは、ホルダー11aと、それぞれ別体のレンズ12と、絞りパターン39(絞り手段)がマスキングされた正四角柱(四角柱)のカバー部材14aとから形成されている。レンズユニット10Bでは、カバー部材14aの光軸方向後方にレンズ12が配置され、カバー部材14aとレンズ12とが光軸方向へ一列(直列)に並んでいる。カバー部材14aとレンズ12とは、図8に示すように、ホルダー11aの収容スペース17にそれぞれ個別に収容される。ホルダー11aやレンズ12、カバー部材14aは、レンズユニット10Aのそれらと同一である。
絞りパターン39は、カバー部材14aの断面形状が正四角形(四角形)の後端面30の全域に形成されている。絞りパターン39は、フォトエッチングによってカバー部材14aの後端面30にマスキングされた光を遮断する色(たとえば、黒色や灰色等)のクロム膜である。絞りパターン39の中心には、円形の絞り28(絞り孔)が形成されている。絞りパターン39の絞り28(絞り孔)の内径IDIRは、0.01mm以上であって0.3mm以下の範囲にある。
絞り手段がフォトエッチングによってカバー部材14aの断面形状が正四角形(四角形)の前端面29と後端面30とにマスキングされた絞りパターン39(クロム膜)であってもよく、前端面29にマスキングされた絞りパターン39(クロム膜)であってもよい。
ホルダー11aの胴部15の外径ODHL(ホルダー11aの胴部15の直径)は、レンズユニット10Aのそれと同一であり、0.5mm~10mmの範囲で調節される。ホルダー11aの胴部15(カバー部材14aを収容する収容スペース17)の内径IDHLは、レンズユニット10Aのそれと同一であり、0.4mm以上であって8mm以下の範囲にある。
ホルダー11aの胴部15の外径ODHLを0.5mm~10mmの範囲にするとともに、ホルダー11aの胴部15の内径IDHLを0.4mm以上であって8mm以下にすることで、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17にレンズ12や絞り銅板13、カバー部材14aを収容した極めて小型のレンズユニット10Bにすることができ、小型のセンサモジュール36に好適に連結することが可能なレンズユニット10Bにすることができる。
レンズユニット10Bでは、正四角柱(四角柱)のカバー部材14aの4つの全ての角32の先端又は4つの角32のうちの複数の角32の先端がホルダー11aの胴部15の内周面27に当接している。尚、カバー部材14aの4つの角32のうちの少なくとも2つの角32の先端がホルダー11aの胴部15の内周面27に当接していればよい。カバー部材14aの各側面31とホルダー11aの胴部15の内周面27との間に間隙34が形成され、それら間隙34に光を遮断する色(たとえば、黒色や灰色等)に着色された接着剤35(充填剤)が注入(充填)され、接着剤35が間隙34において硬化している。レンズユニット10Bでは、図1のレンズユニット10Aを形成する絞り銅板13a(絞り手段)が省略されている。
レンズユニット10Bでは、レンズ12から絞りパターン39(絞り手段)の絞り28(絞り孔)を通ってカバー部材14aの物体側の前端面29に延びる光線の有効エリア37(EBD)がカバー部材14aの前端面29に表れる(図6参照)。光線の有効エリア37(EBD)は、カバー部材14aの前端面29の外周縁に囲繞された正四角形(四角形)の受光エリア38からはみ出すことなく、受光エリア38の内側に位置している。
小型のレンズユニット10Bが内視鏡のセンサモジュール36(スコープ)の先端部に設置された場合、カバー部材14aの正四角形(四角形)の前端面29の受光エリア38の内側に位置する円形の有効エリア37(EBD)から入射した光(像)がカバー部材14aを透過して絞りパターン39(絞り手段)の絞り28(絞り孔)を通り、レンズ12に入射した後、レンズ12からセンサモジュール36の受光素子に入射することで、画像として出力(表示)され、又、光信号として出力される。
レンズユニット10Bでは、正四角柱(四角柱)に形成されたカバー部材14aの4つの各角32のうちの少なくとも1つの角32の先端がホルダー11aの胴部15の収容スペース17の内周面27から径方向内方へ所定寸法離間する場合、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17の内周面27から離間する角32の先端の離間寸法が0.1mm以下、好ましくは、0.01mm以上であって0.1mm以下の範囲にある。
レンズユニット10Bは、図1のレンズユニット10Aが有する効果に加え、以下の効果を有する。レンズユニット10Bは、正四角柱(四角柱)に形成されたカバー部材14aの後端面30にフォトエッチングによって絞りパターン39(絞り手段)を形成することができ、図26,27に示す従来技術のレンズユニット50のように、絞り銅板54(絞り手段)をレンズ53とカバーガラス55との間に介在させる必要がなく、絞り銅板54を省くことができるとともに、絞り銅板54をレンズ53とカバーガラス55との間に介在させる手間と時間とを省くことができる。
図9は、他の一例として示すレンズユニット10Cの上面図であり、図10は、他の一例として示すレンズユニット10Dの上面図である。図9のレンズユニット10C及び図9のレンズユニット10Dが図1のそれと異なるところは、ホルダー11b、11cの胴部15の内周面27から径方向内方へ向かって延びる目印凸部40や目印凸部41が形成されている点にあり、その他の構成は図1のレンズユニット10Aのそれらと同一であるから、図1と同一の符号を付すとともに、図1の説明を援用することで、レンズユニット10C及びレンズユニット10Dのその他の構成の詳細な説明は省略する。
レンズユニット10C及びレンズユニット10Dは、ホルダー11b,11cと、それぞれ別体のレンズ12と、絞り銅板13(絞り手段)と、正四角柱(四角柱)のカバー部材14aとから形成されている。レンズユニット10C及びレンズユニット10Dでは、カバー部材14aの光軸方向後方に絞り銅板13が配置され、絞り銅板13の光軸方向後方にレンズ12が配置されている。カバー部材14a、絞り銅板13、レンズ12は、光軸方向へ一列(直列)に並んでいる。
カバー部材14a、絞り銅板13、レンズ12は、ホルダー11bの胴部15の収容スペース17にそれぞれ個別に収容される(図3参照)。レンズ12や絞り銅板13、カバー部材14aは、レンズユニット10Aのそれらと同一である。尚、レンズユニット10C及びレンズユニット10Dでは、図8に示すレンズユニット10Bと同様に、絞り銅板13が省かれ、フォトエッチングによってカバー部材14aの後端面30に絞りパターン39がマスキングされていてもよい。
レンズユニット10Cでは、ホルダー11bの胴部15の内周面27からホルダー11bの径方向内方へ向かって(収容スペース17に向かって)延びる直線凸状の目印凸部40がカバー部材14aの側面31とホルダー11bの胴部15の内周面27との間の間隙34(収容スペース17)に延出している。目印凸部40は、それを視認することで、内視鏡のセンサモジュール36(スコープ)の頂部(天)や底部(地)を決める目印(位置決め)となる。
レンズユニット10Dでは、ホルダー11cの胴部15の内周面27からホルダー11cの径方向内方へ向かって(収容スペース17に向かって)延びる円形凸状の目印凸部41がカバー部材14aの側面31とホルダー11cの胴部15の内周面27との間の間隙34(収容スペース17)に延出している。目印凸部41は、それを視認することで、内視鏡のセンサモジュール36(スコープ)の頂部(天)や底部(地)を決める目印(位置決め)となる。尚、目印凸部40や目印凸部41の形状に特に限定はなく、ホルダー11bやホルダー11cの胴部15の内周面27にあらゆる形状の目印凸部を形成することができる。
ホルダー11b,11cの胴部15の外径ODHL(ホルダー11b,11cの胴部15の直径)は、レンズユニット10Aのそれと同一であり、0.5mm~10mmの範囲で調節される。ホルダー11b,11cの胴部15(カバー部材14aを収容する収容スペース17)の内径IDHLは、レンズユニット10Aのそれと同一であり、0.4mm以上であって8mm以下の範囲にある。ホルダー11b,11cの胴部15の外径ODHLを0.5mm~10mmの範囲にするとともに、ホルダー11b,11cの胴部15の内径IDHLを0.4mm以上であって8mm以下にすることで、ホルダー11b,11cの胴部15の収容スペース17にレンズ12や絞り銅板13、カバー部材14aを収容した極めて小型のレンズユニット10C,10Dにすることができ、小型のセンサモジュール36に好適に連結することが可能なレンズユニット10C,10Dにすることができる。
レンズユニット10C及びレンズユニット10Dでは、カバー部材14aが絞り銅板13の光軸方向前方に位置し、カバー部材14aがホルダー11b,11cの胴部15の収容スペース17の前方に嵌め込まれている(収容されている)。正四角柱(四角柱)のカバー部材14aの4つの全ての角32の先端又は4つの角32のうちの複数の角32の先端がホルダー11b,11cの胴部15の内周面27に当接している。尚、カバー部材14aの4つの角32のうちの少なくとも2つの角32の先端がホルダー11b,11cの胴部15の内周面27に当接していればよい。
レンズユニット10C及びレンズユニット10Dでは、ホルダー11b,11cの断面円形の胴部15の収容スペース17のうちの目印凸部40,41を避けた位置に断面正四角形のカバー部材14aが嵌め込まれる(収容される)ことで、カバー部材14aの4つの各側面31とホルダー11b,11cの胴部15の内周面27との間に間隙34が形成され、それら4つの間隙34がレンズユニット10C,10Dの周り方向へ並んでいる。
カバー部材14aの各側面31とホルダー11b,11cの胴部15の内周面27との間の4つの間隙34には、接着剤35(充填剤)が注入(充填)され、接着剤35がそれら間隙34において硬化している。フォトエッチングによってカバー部材14aの後端面30に絞りパターン39がマスキングされている場合は、それら間隙34に光を遮断する色(たとえば、黒色や灰色等)に着色された接着剤35(充填剤)が注入(充填)される。
小型のレンズユニット10C及び小型のレンズユニット10Dでは、レンズ12から絞り銅板13(絞り手段)の絞り28(絞り孔)を通ってカバー部材14aの物体側の前端面29に延びる光線の有効エリア37(EBD)がカバー部材14aの正四角形(四角形)の前端面29に表れる(図6参照)。光線の有効エリア37(EBD)は、カバー部材14aの前端面29の外周縁に囲繞された正四角形(四角形)の受光エリア38から外側にはみ出すことなく、受光エリア38の内側に位置している。
レンズユニット10C,10Dのうちのいずれかが内視鏡のセンサモジュール36(スコープ)の先端部に設置された場合、カバー部材14aの正四角形(四角形)の前端面29の受光エリア38の内側に位置する円形の有効エリア37(EBD)から入射した光(像)がカバー部材14aを透過して絞り銅板13(絞り手段)の絞り28(絞り孔)を通り、レンズ12に入射した後、レンズ12からセンサモジュール36の受光素子に入射することで、画像として出力(表示)され、又、光信号として出力される。
レンズユニット10C及びレンズユニット10Dでは、正四角柱(四角柱)に形成されたカバー部材14aの4つの各角32のうちの少なくとも1つの角32の先端がホルダー11b,11cの胴部15の収容スペース17の内周面27から径方向内方へ所定寸法離間する場合、ホルダー11b,11cの胴部15の収容スペース17の内周面27(目印凸部40,41を除く)ら離間する角32の先端の離間寸法が0.1mm以下、好ましくは、0.01mm以上であって0.1mm以下の範囲にある。
レンズユニット10C及びレンズユニット10Dは、図1のレンズユニット10Aや図5のレンズユニット10Bが有する効果に加え、以下の効果を有する。レンズユニット10C及びレンズユニット10Dは、例えば、目印凸部40や目印凸部41をセンサモジュール36(スコープ)の頂部(天)又は目印凸部40や目印凸部41をセンサモジュール36の底部(地)とした場合、目印凸部40や目印凸部41を視認することでセンサモジュール36の頂部(天)やセンサモジュール36の底部(地)を容易に確認することができ、撮像モジュールの生産性や内視鏡への取り付け作業性を向上させることができる。
図11は、他の一例として示すレンズユニット10Eの斜視図であり、図12は、図11のレンズユニット10Eの上面図である。図11では、光軸方向(前後方向)を矢印Xで示し、径方向を矢印Yで示す。図10のレンズユニット10Eが図1のそれと異なるところは、カバー部材14bの物体側の前端面29から像側の後端面30に続く側面の形状が正六角柱(六角柱)に形成されている点にあり、その他の構成は図1のレンズユニット10Aのそれらと同一であるから、図1と同一の符号を付すとともに、図1の説明を援用することで、レンズユニット10Eのその他の構成の詳細な説明は省略する。
レンズユニット10Eは、ホルダー11aと、それぞれ別体のレンズ12と、絞り銅板13(絞り手段)と、正六角柱(六角柱)のカバー部材14bとから形成されている。レンズユニット10Eでは、カバー部材14bの光軸方向後方に絞り銅板13が配置され、絞り銅板13の光軸方向後方にレンズ12が配置されている。カバー部材14b、絞り銅板13、レンズ12は、光軸方向へ一列(直列)に並んでいる。
カバー部材14b、絞り銅板13、レンズ12は、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17にそれぞれ個別に収容される(図3参照)。レンズ12や絞り銅板13は、レンズユニット10Aのそれらと同一である。レンズ12は、前端面23の全域が絞り銅板13に透明な接着剤によって固着され、フランジ部22の後端面24がホルダー11aの収容スペース17のフランジ当接部26に接着剤によって固着されている。尚、レンズユニット10Eでは、図8に示すレンズユニット10Bと同様に、絞り銅板13が省かれ、フォトエッチングによってカバー部材14bの後端面30に絞りパターン39がマスキングされていてもよい。
カバー部材14bは、透明なガラス(カバーガラス)を正六角柱(六角柱)にカットすることから作られ、又は、透明な合成樹脂を正六角柱(六角柱)に成形することから作られている。カバー部材14bは、物体側に位置する平坦(フラット)な前端面29と、前端面29の反対側(レンズ12の側)に位置する像側の平坦(フラット)な後端面30と、前後端面29,30の間に延びる6つの側面31と、各側面31が交差する6つの角32とを有する。カバー部材14bは、物体側の前端面29から像側の後端面30に続く側面の形状が正六角柱(六角柱)に形成され、径方向の断面形状が正六角形(六角形)に形成されている。従って、前端面29及び後端面30が正六角形(六角形)である。
カバー部材14bは、前端面29と各側面31とが交差する角をカットすることで角が面取りされ、又は、合成樹脂材を成形することで前端面29と各側面31とが交差する角が面取りされている。カバー部材14bの前端面29と側面31との間には、前端面29から側面31に向かって下り勾配に傾斜する6つの面取り面33が形成されている。前端面29は、それら面取り面33に囲繞されている。カバー部材14bの6つの面取り面33の径方向の長さC
H は、0.3mm以下の範囲、好ましくは、0.05mm以上であって0.3mm以下の範囲にある。尚、前端面29と各側面31とが交差する角が面取りされていなくてもよい。
カバー部材14bは、絞り銅板13の光軸方向前方に位置し、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17の前方に嵌め込まれている(収容されている)。正六角柱(六角柱)のカバー部材14bの6つの全ての角32の先端又は6つの角32のうちの複数の角32の先端は、ホルダー11aの胴部15の内周面27に当接している。ホルダー11aの胴部15は、カバー部材14bの断面正六角形の前後端面29,30の外接円となる。尚、正六角柱(六角柱)のカバー部材14bの6つの角32のうちの少なくとも2つの角32の先端がホルダー11aの胴部15の内周面27に当接していればよい。
正六角柱(六角柱)のカバー部材14bは、対角線の長さODHCG(径方向の最大径)が1.2mmであり、外形L2が略1.04mmである。カバー部材14bは、前端面29と後端面30との間の厚み寸法HCGが0.01mm以上であって0.5mm以下の範囲にある。カバー部材14bの対角線の長さODHCGや外形L2、厚み寸法HCGは、レンズユニット10Eを使用する内視鏡のセンサモジュール36の種類によって適宜決定される。カバー部材14bの対角線の長さODHCGや外形L2、厚み寸法HCGに特に制限はないが、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17に収まる対角線の長さODHCG、外形L2、厚み寸法HCGである必要がある。
ホルダー11aの胴部15の外径ODHL(ホルダー11aの胴部15の直径)は、レンズユニット10Aのそれと同一であり、0.5mm~10mmの範囲で調節される。ホルダー11aの胴部15(カバー部材14bを収容する収容スペース17)の内径IDHLは、レンズユニット10Aのそれと同一であり、0.4mm以上であって8mm以下の範囲にある。ホルダー11aの胴部15の外径ODHLを0.5mm~10mmの範囲にするとともに、ホルダー11aの胴部15の内径IDHLを0.4mm以上であって8mm以下にすることで、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17にレンズ12や絞り銅板13、カバー部材14bを収容した極めて小型のレンズユニット10Eにすることができ、小型のセンサモジュール36に好適に連結することが可能なレンズユニット10Eにすることができる。
レンズユニット10Eでは、ホルダー11aの断面円形の胴部15の収容スペース17に断面正六角形(断面六角形)のカバー部材14bが嵌め込まれる(収容される)ことで、カバー部材14bの6つの各側面31とホルダー11aの胴部15の内周面27との間に間隙34が形成され、それら6つの間隙34がレンズユニット10Eの周り方向へ並んでいる。
カバー部材14bの各側面31とホルダー11aの胴部15の内周面27との間の6つの間隙34には、接着剤35(充填剤)が注入(充填)され、接着剤35がそれら間隙34において硬化している。フォトエッチングによってカバー部材14bの後端面30に絞りパターン39がマスキングされている場合は、それら間隙34に光を遮断する色(たとえば、黒色や灰色等)に着色された接着剤35(充填剤)が注入(充填)される。
レンズユニット10Eでは、レンズ12から絞り銅板13(絞り手段)の絞り28(絞り孔)を通ってカバー部材14bの物体側の前端面29に延びる光線の有効エリア37(EBD)がカバー部材14bの正六角形(六角形)の前端面29に表れる(図14参照)。カバー部材14bの前端面29に表れた光線の有効エリア37(EBD)は、円形(真円)である。光線の有効エリア37(EBD)は、カバー部材14bの前端面29の外周縁に囲繞された正六角形(六角形)の受光エリア38からはみ出すことなく、受光エリア38の内側に位置している。
レンズユニット10Eが内視鏡のセンサモジュール36(スコープ)の先端部に設置された場合、カバー部材14bの正六角形(六角形)の前端面29の受光エリア38の内側に位置する円形の有効エリア37(EBD)から入射した光(像)がカバー部材14bを透過して絞り銅板13(絞り手段)の絞り28(絞り孔)を通り、レンズ12に入射した後、レンズ12からセンサモジュール36の受光素子に入射することで、画像として出力(表示)され、又、光信号として出力される。
レンズユニット10Eでは、正六角柱(六角柱)に形成されたカバー部材14bの6つの各角32のうちの少なくとも1つの角32の先端がホルダー11aの胴部15の収容スペース17の内周面27から径方向内方へ所定寸法離間する場合、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17の内周面27から離間する角32の先端の離間寸法が0.1mm以下、好ましくは、0.01mm以上であって0.1mm以下の範囲にある。
図13は、カバー部材14bに関する各数値の算出の一例を説明する図である。図11のレンズユニット10Eは、以下に説明する計算によって光線の有効エリアEBDやカバー部材14bの前端面29(平面部)の有効エリアEFDH、カバー部材14aの外形DHHL2,DHDG3,DHDG4、カバー部材14aの対角線の長さODHCG、ホルダー11aの胴部15の内径IDHL、ホルダー11aの胴部15の外径ODHLが算出される。尚、図13の各記号が示す対象は以下のとおりである。
IDHL・・・ホルダー11aの胴部15の内径
CLH1・・・カバー部材14bの頂点(角)のバラつき許容エリア
CLH2・・・カバー部材14bの前端面29のバラつき許容エリア
HV1~6・・・カバー部材14bの頂点(角)
HV7~12・・・カバー部材14bの前端面29の頂点(角)
EFDH・・・カバー部材14bの前端面29の受光エリア38
EODH・・・カバー部材14bの外形の有効エリア
カバー部材14bの頂点のバラつき許容エリアは、CLH1≦0.1mmであり、カバー部材14bの前端面29のバラつき許容エリアは、CLH2≦0.9mmである。カバー部材14bの頂点HV1~6は、CLH1の範囲内である。
カバー部材14bの前端面29の頂点HV7~12において隣り合う頂点を結ぶ直線に、中心OHから垂直に線を繋ぐとき、その線分(PH1~PH6)の長さは、下記の条件となる。CLH2が0のときは、面取り面Cなしを表す。
PH1≧EFDH/2
PH2≧EFDH/2
PH3≧EFDH/2
PH4≧EFDH/2
PH5≧EFDH/2
PH6≧EFDH/2
図14は、図13から続くカバー部材14bに関する各数値の算出の一例を説明する図であり、図15は、算出されたカバー部材14bの外形、厚み、面取り面Cの径方向の長さを示す図である。図14の各記号が示す対象は以下のとおりである。
IDHL・・・ホルダー11aの内径
ODHL・・・ホルダー11aの外径
WHL・・・ホルダー11aの胴部15の厚み
CLH1・・・カバー部材14bの頂点(角)のバラつき許容エリア
CLH2・・・カバー部材14bの前端面29のバラつき許容エリア
EBD・・・光線の有効エリア37の直径
EFDH・・・カバー部材14bの前端面29の受光エリア38
DHHL1・・・カバー部材14bの前端面29の外形長さ(水平)
DHDG1・・・カバー部材14bの前端面29の外形長さ(斜め)
DHDG2・・・カバー部材14bの前端面29の外形長さ(斜め)
ODHCG1・・・カバー部材14bの外形長さ(対角)
ODHCG2・・・カバー部材14bの外形長さ(対角)
ODHCG3・・・カバー部材14bの外形長さ(対角)
光線の有効エリア37の直径EBDを基準としてカバー部材14bの各部分の長さ(大きさ)を決定する。DHHL1、DHDG1、DHDG2は以下の条件とし、ODHCG1、ODHCG2、ODHCG3は以下の条件とする。
DHHL1≧EFDH≧EBD+CLH1
DHDG1≧EFDH≧EBD+CLH1
DHDG2≧EFDH≧EBD+CLH1
IDHL≧ODHCG1≧EFDH+CLH2
IDHL≧ODHCG2≧EFDH+CLH2
IDHL≧ODHCG3≧EFDH+CLH2
以上でカバー部材14bのサイズが確定する。又、以下の(式2)によってホルダー11aの外径のサイズが確定する。
ODHL=IDHL+WHL(式2)
面取り面Cの径方向の長さCH及びホルダー11aの胴部15の厚みは以下の範囲において設定する。
カバー部材14bの面取り面Cの長さ:0mm≦CH≦0.3mm
ホルダー11aの胴部15の厚み:0.01mm≦WHL≦1mm
カバー部材14bの加工方法を考慮して公差を決定するが、この時、図13において説明した範囲から外れていないことを確認する。
正六角柱のカバー部材14bに関する各数値の算出の具体例を以下に示す。各数値の算出の具体例における条件は、正四角柱のカバー部材14aに関する各数値の算出の具体例における条件と同一である。尚、光線の有効エリア37の直径(EBD=0.7mm)とカバー部材14bの前端面29の受光エリア38(EFDH=0.78mm)とは、正四角柱のカバー部材14aのそれらと同一である。
(1)カバー部材14bの外形の算出
DHHL2=DHDG3=DHDG4=DHHL1+CH*2
=0.78+0.05*2=0.88mm
(2)カバー部材14bの対角線の長さの算出
ODHCG=2*(DHHL2/2)/cos30°
=2*(0.88/2)/cos30°≒1.016mm
(3)ホルダー11aの内径の算出
IDHL=ODHCG+CLS1*2
=1.016+0.04*2=1.096mm
(4)ホルダー11aの胴部15の外径の計算
ODHL=IDHL+WHL*2
=1.096+0.1*2=1.296mm
算出したカバー部材14cの各サイズとしては、図15に示すように、カバー部材14cの外形が0.88mm、カバー部材14bの厚みが0.3mm、面取り面Cの径方向の長さが0.05mmである。
レンズユニット10Eは、ガラス材をカットし、又は、合成樹脂材を成形することで、前端面29から後端面30に続く側面31の形状が正六角柱(六角柱)のカバー部材14b(カバーガラス又はカバープラスチック)を容易に作ることができ、図26,27に示す従来技術のレンズユニット50のように、カバーガラス55の断面形状が真円になるようにカバーガラス55の外周面を円柱状に研磨する職人の手作業は必要なく、正六角柱(六角柱)のカバー部材14bを含むレンズユニット10Eを機械的に効率よく量産することができる。
レンズユニット10Eは、ガラス材を正六角柱(六角柱)にカットし、又は、合成樹脂材を正六角柱(六角柱)に成形することでカバー部材14b(カバーガラス又はカバープラスチック)を作ることができるから、カバー部材14bを職人に頼ることなく廉価に製造することができるとともに、精度の狂いがない正六角柱(六角柱)のカバー部材14bを備えたレンズユニット10Eを廉価に製造することができ、レンズユニット10Eの生産効率を向上させることができる。
レンズユニット10Eは、正六角柱(六角柱)のカバー部材14b(カバーガラス又はカバープラスチック)の6つの各角32の少なくとも2つの角32の先端がホルダー11aの胴部15の内周面27に当接するから、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17においてカバー部材14bがずれ動くことはなく、正六角柱のカバー部材14bをホルダー11aの胴部15の収容スペース17に固定することができる。
レンズユニット10Eは、光線の円形の有効エリア37(EBD)がカバー部材14b(カバーガラス又はカバープラスチック)の前端面29の外周縁に囲繞された正六角形(六角形)の受光エリア38の内側に位置するから、光線の有効エリア37(EBD)の一部が正六角形の受光エリア38の外側にずれる(はみ出す)ことはなく、レンズユニット10Eにおいて正確な像を結ぶことができる。
レンズユニット10Eは、カバー部材14b(カバーガラス又はカバープラスチック)の側面31の形状が正六角柱(六角柱)に形成された場合に、カバー部材14bの前端面29と6つの各側面31とが交差する角をカットすることで角を容易に面取りすることができ、又は、合成樹脂材を成形することで角を容易に面取りすることができ、角が面取りされることでカバー部材14bの角の不用意な破損や損壊を防ぐことができる。
正六角柱(六角柱)に形成されたカバー部材14bの6つの各角32のうちの少なくとも1つの角32の先端がホルダー11aの胴部15の収容スペース17の内周面27から径方向内方へ所定寸法離間する場合において、収容スペース17の内周面27から離間する角32の先端の離間寸法が0.1mmを超過すると、カバー部材14bがホルダー11aの胴部15の収容スペース17においてずれ動いたときに、光線の円形の有効エリア37(EBD)の一部がカバー部材14bの前端面29の外周縁に囲繞された正六角形(六角形)の受光エリア38の外側にずれる(はみ出す)場合があり、レンズユニット10Eにおいて正確な像を結ぶことができないが、レンズユニット10Eは、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17の内周面27から離間する角32の先端の離間寸法が0.1mm以下、好ましくは、0.01mm以上であって0.1mm以下の範囲にあるから、カバー部材14b(カバーガラス又はカバープラスチック)がホルダー11aの胴部15の収容スペース17においてずれ動いたとしても、光線の有効エリア37(EBD)の一部がカバー部材14bの前端面29の受光エリア38の外側にずれる(はみ出す)ことはなく、光線の有効エリア37(EBD)をカバー部材14bの前端面29の受光エリア38の内側に位置させることができ、レンズユニット10Eにおいて正確な像を結ぶことができる。
面取り面Cの径方向の長さCHが0.3mmを超過すると、カバー部材14bの前端面29の外周縁に囲繞された正六角形(六角形)の受光エリア38が狭小となり、光線の有効エリア37(EBD)の一部がカバー部材14bの前端面29の外周縁に囲繞された正六角形(六角形)の受光エリア38の外側に位置する(はみ出す)場合があり、レンズユニット10Eにおいて正確な像を結ぶことができないが、レンズユニット10Eは、面取り面Cの径方向の長さCHが0.3mm以下、好ましくは、0.05mm以上であって0.3mm以下の範囲にあるから、光線の有効エリア37(EBD)をカバー部材14b(カバーガラス又はカバープラスチック)の前端面29の外周縁に囲繞された正六角形(六角形)の受光エリア38の内側に位置させることができ、光線の有効エリア37(EBD)の一部がカバー部材14bの前端面29の受光エリア38の外側に位置する(はみ出す)ことはなく、レンズユニット10Eにおいて正確な像を結ぶことができる。
図16は、他の一例として示すレンズユニット10Fの斜視図であり、図17は、図16のレンズユニット10Fの上面図である。図16では、光軸方向(前後方向)を矢印Xで示し、径方向を矢印Yで示す。図16のレンズユニット10Fが図1のそれと異なるところは、カバー部材14cの物体側の前端面29から像側の後端面30に続く側面31の形状が正八角柱(八角柱)に形成されている点にあり、その他の構成は図1のレンズユニット10Aのそれらと同一であるから、図1と同一の符号を付すとともに、図1の説明を援用することで、レンズユニット10Fのその他の構成の詳細な説明は省略する。
レンズユニット10Fは、ホルダー11aと、それぞれ別体のレンズ12と、絞り銅板13(絞り手段)と、正八角柱(八角柱)のカバー部材14cとから形成されている。レンズユニット10Fでは、カバー部材14cの光軸方向後方に絞り銅板13が配置され、絞り銅板13の光軸方向後方にレンズ12が配置されている。カバー部材14c、絞り銅板13、レンズ12は、光軸方向へ一列(直列)に並んでいる。
カバー部材14c、絞り銅板13、レンズ12は、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17にそれぞれ個別に収容される(図3参照)。レンズ12や絞り銅板13は、レンズユニット10Aのそれらと同一である。レンズ12は、前端面23の全域が絞り銅板13に透明な接着剤によって固着され、フランジ部22の後端面24がホルダー11aの収容スペース17のフランジ当接部26に接着剤によって固着されている。尚、レンズユニット10Fでは、図8に示すレンズユニット10Bと同様に、絞り銅板13が省かれ、フォトエッチングによってカバー部材14cの後端面30に絞りパターン39がマスキングされていてもよい。
カバー部材14cは、透明なガラス(カバーガラス)を正八角柱(八角柱)にカットすることから作られ、又は、透明な合成樹脂を正八角柱(八角柱)に成形することから作られている。カバー部材14cは、物体側に位置する平坦(フラット)な前端面29と、前端面29の反対側(レンズ12の側)に位置する像側の平坦(フラット)な後端面30と、前後端面29,30の間に延びる8つの側面31と、各側面31が交差する8つの角32とを有する。カバー部材14cは、物体側の前端面29から像側の後端面30に続く側面31の形状が正八角柱(八角柱)に形成され、径方向の断面形状が正八角形(八角形)に形成されている。従って、前端面29及び後端面30が正八角形(八角形)である。
カバー部材14cは、前端面29と各側面31とが交差する角をカットすることで前端面29と各側面31とが交差する角が面取りされ、又は、合成樹脂材を成形することで前端面29と各側面31とが交差する角が面取りされている。カバー部材14cの前端面29と側面31との間には、前端面29から側面31に向かって下り勾配に傾斜する8つの面取り面33が形成されている。前端面29は、それら面取り面33に囲繞されている。カバー部材14cの8つの面取り面33の径方向の長さCTは、0.3mm以下の範囲、好ましくは、0.05mm以上であって0.3mm以下の範囲にある。尚、前端面29と各側面31とが交差する角が面取りされていなくてもよい。
カバー部材14cは、絞り銅板13の光軸方向前方に位置し、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17の前方に嵌め込まれている(収容されている)。正八角柱(八角柱)のカバー部材14cの8つの全ての角32の先端又は8つの角32のうちの複数の角32の先端は、ホルダー11aの胴部15の内周面27に当接している。ホルダー11aの胴部15は、カバー部材14cの断面正八角形の前後端面29,30の外接円となる。尚、正八角柱(八角柱)のカバー部材14cの8つの角32のうちの少なくとも2つの角32の先端がホルダー11aの胴部15の内周面27に当接していればよい。
正八角柱(八角柱)のカバー部材14cは、対角線の長さODTCG(径方向の最大径)が1.2mmであり、外形L2が略1.11mmである。カバー部材14cは、前端面29と後端面30との間の厚み寸法HCGが0.01mm以上であって0.5mm以下の範囲にある。カバー部材14cの対角線の長さODTCGや外形L2、厚み寸法HCGは、レンズユニット10Fを使用する内視鏡のセンサモジュール36の種類によって適宜決定される。カバー部材14cの対角線の長さODTCGや外形L2、厚み寸法HCGに特に制限はないが、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17に収まる対角線の長さODTCG、外形L2、厚み寸法HCGである必要がある。
ホルダー11aの胴部15の外径ODHL(ホルダー11aの胴部15の直径)は、レンズユニット10Aのそれと同一であり、0.5mm~10mmの範囲で調節される。ホルダー11aの胴部15(カバー部材14cを収容する収容スペース17)の内径IDHLは、レンズユニット10Aのそれと同一であり、0.4mm以上であって8mm以下の範囲にある。ホルダー11aの胴部15の外径ODHLを0.5mm~10mmの範囲にするとともに、ホルダー11aの胴部15の内径IDHLを0.4mm以上であって8mm以下にすることで、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17にレンズ12や絞り銅板13、カバー部材14cを収容した極めて小型のレンズユニット10Fにすることができ、小型のセンサモジュール36に好適に連結することが可能なレンズユニット10Fにすることができる。
レンズユニット10Fでは、ホルダー11aの断面円形の胴部15の収容スペース17に断面正八角形(断面八角形)のカバー部材14cが嵌め込まれる(収容される)ことで、カバー部材14cの8つの各側面31とホルダー11aの胴部15の内周面27との間に間隙34が形成され、それら8つの間隙34がレンズユニット10Fの周り方向へ並んでいる。
カバー部材14cの各側面31とホルダー11aの胴部15の内周面27との間の8つの間隙34には、接着剤35(充填剤)が注入(充填)され、接着剤35がそれら間隙34において硬化している。フォトエッチングによってカバー部材14cの後端面30に絞りパターン39がマスキングされている場合は、それら間隙34に光を遮断する色(たとえば、黒色や灰色等)に着色された接着剤35(充填剤)が注入(充填)される。
レンズユニット10Fでは、レンズ12から絞り銅板13(絞り手段)の絞り28(絞り孔)を通ってカバー部材14cの物体側の前端面29に延びる光線の有効エリア37(EBD)がカバー部材14cの正八角形(八角形)の前端面29に表れる(図19参照)。カバー部材14cの前端面29に表れた光線の有効エリア37(EBD)は、円形(真円)である。光線の有効エリア37(EBD)は、カバー部材14cの前端面29の外周縁に囲繞された正八角形(八角形)の受光エリア38からはみ出すことなく、受光エリア38の内側に位置している。
レンズユニット10Fが内視鏡のセンサモジュール36(スコープ)の先端部に設置された場合、カバー部材14cの正八角形(八角形)の前端面29の受光エリア38の内側に位置する円形の有効エリア37(EBD)から入射した光(像)がカバー部材14cを透過して絞り銅板13(絞り手段)の絞り28(絞り孔)を通り、レンズ12に入射した後、レンズ12からセンサモジュール36の受光素子に入射することで、画像として出力(表示)され、又、光信号として出力される。
レンズユニット10Fでは、正八角柱(八角柱)に形成されたカバー部材14cの8つの各角32のうちの少なくとも1つの角32の先端がホルダー11aの胴部15の収容スペース17の内周面27から径方向内方へ所定寸法離間する場合、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17の内周面27から離間する角32の先端の離間寸法が0.1mm以下、好ましくは、0.01mm以上であって0.1mm以下の範囲にある。
図18は、カバー部材14cに関する各数値の算出の一例を説明する図である。図16のレンズユニット10Fは、以下に説明する計算によって光線の有効エリアEBDやカバー部材14cの前端面29(平面部)の有効エリアEFDT、カバー部材14aの外形DTVT2,DTHL2,DTDG3,DTDG4、カバー部材14aの対角線の長さODTCG、ホルダー11aの胴部15の内径IDHL、ホルダー11aの胴部15の外径ODHLが算出される。尚、図18の各記号が示す対象は以下のとおりである。
IDHL・・・ホルダー11aの胴部15の内径
CLT1・・・カバー部材14cの頂点(角)のバラつき許容エリア
CLT2・・・カバー部材14cの前端面29のバラつき許容エリア
TV1~8・・・カバー部材14cの頂点(角)
TV9~16・・・カバー部材14cの前端面29の頂点(角)
EFDT・・・カバー部材14cの前端面29の受光エリア38
EODT・・・カバー部材14cの外形の有効エリア
カバー部材14cの頂点のバラつき許容エリアは、CLT1≦0.1mmであり、カバー部材14cの前端面29のバラつき許容エリアは、CLT2≦0.6mmである。カバー部材14cの頂点TV1~8は、CLT1の範囲内である。
カバー部材14cの前端面29の頂点TV9~16において隣り合う頂点を結ぶ直線に、中心OTから垂直に線を繋ぐとき、その線分(PT1~PT8)の長さは、下記の条件となる。CLT2が0のときは、面取り面Cなしを表す。
PT1≧EFDT/2
PT2≧EFDT/2
PT3≧EFDT/2
PT4≧EFDT/2
PT5≧EFDT/2
PT6≧EFDT/2
PT7≧EFDT/2
PT8≧EFDT/2
図19は、図18から続くカバー部材14cに関する各数値の算出の一例を説明する図であり、図20は、カバー部材14cの外形、厚み、面取り面Cの径方向の長さを示す図である。図19の各記号が示す対象は以下のとおりである。
IDHL・・・ホルダー11aの内径
ODHL・・・ホルダー11aの外径
WHL・・・ホルダー11aの胴部15の厚み
CLT1・・・カバー部材14cの頂点(角)のバラつき許容エリア
CLT2・・・カバー部材14cの前端面29のバラつき許容エリア
EBD・・・光線の有効エリア37の直径
EFDT・・・カバー部材14cの前端面29の受光エリア38
DTVT1・・・カバー部材14cの前端面29の外形長さ(垂直)
DTHL1・・・カバー部材14cの前端面29の外形長さ(水平)
DTDG1・・・カバー部材14cの前端面29の外形長さ(斜め)
DTDG2・・・カバー部材14cの前端面29の外形長さ(斜め)
ODTCG1・・・カバー部材14cの外形長さ(対角)
ODTCG2・・・カバー部材14cの外形長さ(対角)
ODTCG3・・・カバー部材14cの外形長さ(対角)
ODTCG4・・・カバー部材14cの外形長さ(対角)
光線の有効エリア37の直径EBDを基準としてカバー部材14cの各部分の長さ(大きさ)を決定する。DTVT1、DTHL1、DTDG1、DTDG2は以下の条件とし、ODTCG1、ODTCG2、ODTCG3、ODTCG4は以下の条件とする。
DTVT1≧EFDT≧EBD+CLT1
DTHL1≧EFDT≧EBD+CLT1
DTDG1≧EFDT≧EBD+CLT1
DTDG2≧EFDT≧EBD+CLT1
IDHL≧ODTCG1≧EFDT+CLT2
IDHL≧ODTCG2≧EFDT+CLT2
IDHL≧ODTCG3≧EFDT+CLT2
IDHL≧ODTCG4≧EFDT+CLT2
以上でカバー部材14cのサイズが確定する。又、以下の(式2)によってホルダー11aの外径のサイズが確定する。
ODHL=IDHL+WHL(式2)
面取り面Cの径方向の長さCT及びホルダー11aの胴部15の厚みは以下の範囲において設定する。
カバー部材14bの面取り面Cの長さ:0mm≦CT≦0.3mm
ホルダー11aの胴部15の厚み:0.01mm≦WHL≦1mm
カバー部材14cの加工方法を考慮して公差を決定するが、この時、図18において説明した範囲から外れていないことを確認する。
正八角柱のカバー部材14cに関する各数値の算出の具体例を以下に示す。各数値の算出の具体例における条件は、正四角柱のカバー部材14aに関する各数値の算出の具体例における条件と同一である。尚、光線の有効エリア37の直径(EBD=0.7mm)とカバー部材14cの前端面29の受光エリア38(EBDT=0.78mm)とは、正四角柱のカバー部材14aのそれらと同一である。
(1)カバー部材14cの外形の算出
DTVT2=DTHL2=DTDG3=DTDG4=DTHL1+CT*2
=0.78+0.05*2=0.88mm
(2)カバー部材14cの対角線の長さの算出
ODTCG=2*(DTHL2/2)/cos22.5°
=2*(0.88/2)/cos22.5°
≒0.813mm
(3)ホルダー11aの内径の算出
IDHL=ODTCG+CLT1*2
=0.813+0.04*2=0.893mm
(4)ホルダー11aの胴部15の外径の計算
ODHL=IDHL+WHL*2
=0.893+0.1*2=1.093mm
算出したカバー部材14cの各サイズとしては、図20に示すように、カバー部材14cの外形が0.88mm、カバー部材14cの厚みが0.3mm、面取り面Cの径方向の長さが0.05mmである。
レンズユニット10Fは、ガラス材をカットし、又は、合成樹脂材を成形することで、前端面29から後端面30に続く側面31の形状が正八角柱(八角柱)のカバー部材14c(カバーガラス又はカバープラスチック)を容易に作ることができ、図26,27に示す従来技術のレンズユニット50のように、カバーガラス55の断面形状が真円になるようにカバーガラス55の外周面を円柱状に研磨する職人の手作業は必要なく、正八角柱(八角柱)のカバー部材14cを含むレンズユニット10Fを機械的に効率よく量産することができる。
レンズユニット10Fは、ガラス材を正八角柱(八角柱)にカットし、又は、合成樹脂材を正八角柱(八角柱)に成形することでカバー部材14c(カバーガラス又はカバープラスチック)を作ることができるから、カバー部材14cを職人に頼ることなく廉価に製造することができるとともに、精度の狂いがない正八角柱(八角柱)のカバー部材14cを備えたレンズユニット10Fを廉価に製造することができ、レンズユニット10Fの生産効率を向上させることができる。
レンズユニット10Fは、正八角柱(八角柱)のカバー部材14c(カバーガラス又はカバープラスチック)の8つの各角32の少なくとも2つの角32の先端がホルダー11aの胴部15の内周面27に当接するから、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17においてカバー部材14cがずれ動くことはなく、正八角柱のカバー部材14cをホルダー11aの胴部15の収容スペース17に固定することができる。
レンズユニット10Fは、光線の円形の有効エリア37(EBD)がカバー部材14c(カバーガラス又はカバープラスチック)の前端面29の外周縁に囲繞された正八角形(八角形)の受光エリア38の内側に位置するから、光線の有効エリア37(EBD)の一部が正八角形の受光エリア38の外側にずれる(はみ出す)ことはなく、レンズユニット10Fにおいて正確な像を結ぶことができる。
レンズユニット10Fは、カバー部材14c(カバーガラス又はカバープラスチック)の側面31の形状が正八角柱(八角柱)に形成された場合に、カバー部材14cの前端面29と8つの各側面31とが交差する角をカットすることで角を容易に面取りすることができ、又は、合成樹脂材を成形することで角を容易に面取りすることができ、角が面取りされることでカバー部材14cの角の不用意な破損や損壊を防ぐことができる。
正八角柱(八角柱)に形成されたカバー部材14cの8つの各角32のうちの少なくとも1つの角32の先端がホルダー11aの胴部15の収容スペース17の内周面27から径方向内方へ所定寸法離間する場合において、収容スペース17の内周面27から離間する角32の先端の離間寸法が0.1mmを超過すると、カバー部材14cがホルダー11aの胴部15の収容スペース17においてずれ動いたときに、光線の円形の有効エリア37(EBD)の一部がカバー部材14cの前端面29の外周縁に囲繞された正八角形(八角形)の受光エリア38の外側にずれる(はみ出す)場合があり、レンズユニット10Fにおいて正確な像を結ぶことができないが、レンズユニット10Fは、ホルダー11aの胴部15の収容スペース17の内周面27から離間する角32の先端の離間寸法が0.1mm以下、好ましくは、0.01mm以上であって0.1mm以下の範囲にあるから、カバー部材14c(カバーガラス又はカバープラスチック)がホルダー11aの胴部15の収容スペース17においてずれ動いたとしても、光線の有効エリア37(EBD)の一部がカバー部材14cの前端面29の受光エリア38の外側にずれる(はみ出す)ことはなく、光線の有効エリア37(EBD)をカバー部材14cの前端面29の受光エリア38の内側に位置させることができ、レンズユニット10Fにおいて正確な像を結ぶことができる。
面取り面Cの径方向の長さCTが0.3mmを超過すると、カバー部材14cの前端面29の外周縁に囲繞された正八角形(八角形)の受光エリア38が狭小となり、光線の有効エリア37(EBD)の一部がカバー部材14cの前端面29の外周縁に囲繞された正八角形(八角形)の受光エリア38の外側に位置する(はみ出す)場合があり、レンズユニット10Fにおいて正確な像を結ぶことができないが、レンズユニット10Fは、面取り面Cの径方向の長さCTが0.3mm以下、好ましくは、0.05mm以上であって0.3mm以下の範囲にあるから、光線の有効エリア37(EBD)をカバー部材14c(カバーガラス又はカバープラスチック)の前端面29の外周縁に囲繞された正八角形(八角形)の受光エリア38の内側に位置させることができ、光線の有効エリア37(EBD)の一部がカバー部材14cの前端面29の受光エリア38の外側に位置する(はみ出す)ことはなく、レンズユニット10Fにおいて正確な像を結ぶことができる。
図21は、平面形状が台形のカバー部材14dに関する各数値の算出の一例を説明する図であり、図22は、図21から続くカバー部材14dに関する各数値の算出の一例を説明する図である。図23は、図22から続くカバー部材14dに関する各数値の算出の一例を説明する図であり、図24は、図23から続くカバー部材14dに関する各数値の算出の一例を説明する図である。図25は、カバー部材14dの上底及び下底、脚、厚み、面取り面Cの径方向の長さを示す図である。
図5,6に基づいて説明した正四角柱(四角柱)のカバー部材14aに関する各数値の算出を元に、台形柱(四角錐台)のカバー部材14dに関する各数値を算出する。図21に示す形状を想定したときに、上底が正四角形に比較して小さくなる。仮に0.1mm小さくする場合、台形(等脚台形)の対角は、
DTRD=√((上底+0.1/2)^2+高さ^2)
=√((DTRU+0.1/2)^2+DTRV^2)
=√((0.78+0.1/2)^2+0.88^2)
≒1.210mm
ホルダー11aの胴部15の内径IDHLは1.325mmであるから、カバー部材14dとホルダー11aの胴部15の内周面27との間のクリアランスはCLS1=1.325-1.210=0.115mmとなり、CLS1≦0.1mmから外れている。この場合、例えば、カバー部材14dとホルダー11aの胴部15の内周面27との間のクリアランス小さくすることを考える。CLS1=0.02mmとすると、ホルダー11aの胴部15の内径IDHLが1.228mmとなり、カバー部材14dのサイズが変わるため、CLS1=1.228-1.153=0.075mmとなってCLS1がCLS1≦0.1mmの範囲に入る。
次に、カバー部材14dの前端面29の頂点(面取り面Cの径方向の長さCS)を考える。図22に示すように、カバー部材14dの前端面29の中心OSからカバー部材14dの外周の辺に垂直に結ぶ線PS21~PS24は、以下のとおりとなる。台形の外接円を画く。外接円がホルダー11aの胴部15の内径IDHLと仮定すると、外接円の中心と台形の中心(4つの頂点からの距離が等しい箇所)にズレが生じる。そのズレ量を予め考慮する必要がある。カバー部材14dの形状は台形であり、上底が下底と比較して0.1mm小さいとしているから、外接円の中心に対して横方向の台形の中心のズレはない。
縦方向のズレ(Y方向のズレ)(図23参照)については、以下のとおりとなる。θ=arctan(0.84/0.79)≒46.757°、この角度における2つの対角交点と円の中心とのズレが台形と円とのズレ量になる。そこで46.757°の対角線の中心(頂点からX=0.42mmの位置)におけるY方向のズレを確認する。円の中心とまったくズレが発生しないのは正四角形の時、つまり対角が45°の時なので、45°とどれくらいのズレがあるのか算出する。
YS=0.42*tan45°
=0.42mm(正四角形の場合)
YTR=0.42*tan46.757°
=0.446mm(台形の場合)
YS-YTR=0.42-0.446=-0.026mm
このように0.026mmのズレが算出される。よって、台形における面取り面Cの長さを正四角形の場合の狙い値よりも0.026mm以上小さくする必要がある。或いは、カバー部材14dのサイズを大きくすることができる場合は、カバー部材14dを0.026mm以上大きくするという選択肢もある。尚、ここでは面取り面Cの長さ(大きさ)を調整する。
図24に示すPS21~PS24を算出する。OSを原点(0,0)と考えたとき、頂点A及び頂点Bの座標は図24に示すとおりとなる。点Aと点Bとを繋ぐ関数 f(X)を算出する。
-0.42=-0.42*a+b
0.42=-0.37*a+bより、
a=84/5
b=0.42+0.37*84/5となる。
よって、点A及び点Bを結ぶ線を表す式は、
f(X)=84/5*X+0.42+0.37*84/5となる。
又、点Cにおいて、関数 f(X)と直交し、原点を通るPS21は以下の式になる。
PS21=-5/84*X
PS21の式より点Cの座標としてX=-0.394、Y=0.023が算出される。よって、PS21の長さが0.395mmとなる。
PS21=PS23であるから、PS23も0.395mmとなる。又、PS22及びPS24は、0.84mmの半分だから、0.42mmとなる。ここで、円の中心と台形の中心とのズレを考慮する。既述の計算において、Y方向に0.026mmずれていることが分かっているから、0.42mm-0.026mm=0.394mmとなる。
この結果より、光線の有効エリア37の中心からカバー部材14dの前端面(平面部)外形部までの最短距離は0.394mmとなり、光線の有効エリア0.7mm/2=0.35mmと比較すると、0.394-0.35=0.044mmとなる。よって、面取り面Cに使用可能な長さとしては、0.044mmの半分である0.022mmとなる。
算出したカバー部材14dの各サイズとしては、図25に示すように、カバー部材14dの等脚台形の上底が0.74mm、下底が0.84mm、脚が0.84mm、カバー部材14dの厚みが0.3mm、面取り面Cの径方向の長さが0.022mmである。