JP7468725B2 - 鉗子 - Google Patents

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Description

本発明は、内視鏡手術において生体組織の把持、切断などを行うための鉗子に関する。
近年、外科手術では、従来の開腹手術に変えて、低侵襲性の内視鏡手術が行わるようになってきている。内視鏡手術は、腹壁に複数個小さな穴を開け、腹腔内に内視鏡を挿入して腹腔内の映像をモニターテレビで観察しつつ、鉗子、電気メスなどを用いて行われる。内視鏡手術は開腹を必要としないことから、患者への負担が少なく術後の快復も早いという利点がある。
特許文献1には、内視鏡手術で用いられる一般的な鉗子が開示されている。この鉗子は、腹腔内に挿入される細長い挿入部と、ユーザが握って操作する一対のハンドルとを有する。挿入部の遠位端には、開閉して生体組織の把持、切断などを行うための挟持部が設けられている。ユーザが一対のハンドル部を操作することにより、挟持部を開閉させることができる。この鉗子では、一対のハンドルが互いに接するまで閉じると、挟持部が閉じて生体組織の把持等を行うことができる。
特許第2504936号明細書
ところで、内視鏡手術では、手術器具はすべて再利用を前提とした高額器具であり、テンポラリーな使い方やプロクターを招聘して施設で手技研修を行えるような環境が構築し難いので、手術器具を使い捨て可能とし、導入するハードルを下げる必要がある。また、内視鏡手術では、生体組織などの対象物をユーザが鉗子で掴んだときに、対象物を掴んだ感触をユーザが適切に感じ取れるようにすることが好ましい。しかし、細長い挿入部を備えた鉗子では、対象物を掴んだ感触が挟持部から一対のハンドル部を介してユーザに適切に伝達されないという問題がある。
そこで、本発明は、対象物を掴んだ感触を挟持部からユーザに適切に伝達することが可能な鉗子を提供することを課題とする
本発明の一態様によれば、
遠位端および近位端を有し、中空部を有し、開閉して対象物を把持するための挟持部が前記遠位端に設けられたシースと、
前記シースの近位端を支持する遠位側のフロントハンドル、および、前記フロントハンドルに対して回転可能に前記フロントハンドルに連結された近位側のリアハンドルと、
前記シースの中空部に挿入され、長手方向を有し、前記挟持部に連結された一端および前記リアハンドルに連結された他端を有し、前記リアハンドルの回転に応じて前記長手方向に移動して前記挟持部を開閉させるように構成されたシャフトとを備え、
前記フロントハンドルと前記リアハンドルは、樹脂で作られている、鉗子が提供される。
また、前記フロントハンドルと前記リアハンドルとの間には、前記挟持部が閉じるまで前記フロントハンドルに近づく方向に前記リアハンドルを回転させたときに、前記フロントハンドルの前記リアハンドルに近づく方向への更なる回転を規制するように構成されたストッパが設けられている、
鉗子が提供される。
本発明の一態様によれば、鉗子の重量の大部分を占めるフロントハンドルとリアハンドルが樹脂で作られておれば、鉗子の軽量化が実現でき、使い捨て可能とすることができる。
また、挟持部が閉じるまでフロントハンドルに近づく方向にリアハンドルを回転させたときに、リアハンドルに近づく方向へのフロントハンドルの更なる回転がストッパにより規制される。このとき、フロントハンドルとリアハンドルにおいてユーザが握って操作する部分(指環など)からストッパまでの距離が大きいほど、ストッパを支点、ユーザが握る部分を力点としてユーザから一対のハンドルに加えられる曲げモーメントが大きくなり、一対のハンドルがこれに応じて撓む。ユーザは、この撓みを通じて、挟持部により対象物を確実に掴んだ感触を得ることができる。
本発明の実施形態に係る鉗子を示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る鉗子を示す側面図である。 本発明の実施形態に係る鉗子を示す平面図である。 本発明の実施形態に係る鉗子の挟持部を示す平面図である。 図4をA-A線に沿って切って矢印の方向に見たときの断面図である。 一対のハンドルの組立図である。 挟持部を閉じた状態の鉗子を示す図2に対応する側面図である。 本発明の他の実施形態に係る鉗子を示す平面図である。 図8をB-B線に沿って切って矢印の方向に見たときの断面図である。 本発明のさらに別の実施形態に係る鉗子を示す側面図である。 本発明のさらに別の実施形態に係る鉗子を示す側面図である。 図11に記載された鉗子の部分拡大図である。 屈曲部を屈曲させる前の鉗子の部分拡大図である。 本発明のさらに別の実施形態に係る鉗子を示す側面図である。 図14に記載された鉗子の部分拡大図である。 屈曲部を屈曲させる前の鉗子の側面の部分拡大図である。 屈曲部を屈曲させる前の鉗子の平面の部分拡大図である。 本発明の実施形態にかかる鉗子に使用するシャフトの変形例を示す(a)平面図および(b)断面図である。 本発明のさらに別の実施形態に係る鉗子を示す側面写真である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。実施形態の説明において、前、後、左、右、上、下など、方向を示す用語を用いることがあるが、これらの用語は、単に説明の理解を容易にするために用いているのであって、これらの用語により本発明が限定されると理解すべきではない。
図1は、本発明の実施形態に係る鉗子1を示す斜視図であり、図2は鉗子1を示す側面図である。鉗子1は、内視鏡手術において生体組織の把持、切断などを行うために用いられる。例えば、鉗子1は、経皮的内視鏡システムを用いて行う経皮的内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術(PED:Percutaneous Endoscopic Discectomy)において、ヘルニアを把持したり切断したりして最終的に摘出するために用いられてよい。鉗子1は、ディスポーザブルな製品として利用されることを想定しているが、本発明はこれに限定されない。
鉗子1は、シース2、シャフト3、および、一対のハンドル4,5を備えている。シース2は、体腔(例えば腹腔)内に挿入される挿入部である。一対のハンドル4,5は、ユーザが手で握って操作する部分である。
[シース2]
シース2は、細長い円筒形状を有する。以下、細長いシース2において、体腔内に最初に挿入される側を遠位側(または前側)、遠位側と反対側であって一対のハンドル4,5が設けられている側を近位側(または後側)と称する。これは、鉗子1の他の部分においても同様である。このように規定される前後方向に対して直交する2つの方向のうち、図2に示す側面図において紙面に垂直な方向を左右方向と称し、図3に示す平面図において紙面に垂直な方向を上下方向と称する。シース2の前後方向を長手方向と称してもよい。図2は、鉗子1を左側から見た側面図であるとする。
この実施形態では、シース2は、前後方向に延びる中心軸101に沿って直線的に延びている。シース2は、遠位端21および近位端22を有する。以下、遠位端、近位端というときは、端点のみを指すのではなく、端点とその近傍領域とを含む領域を指すと理解すべきである。シース2は、前後方向に延びてシース2を貫通する中空部23を有する。
図4は、鉗子1の挟持部6を示す平面図であり、図5は、図4をA-A線に沿って切って矢印の方向に見たときの断面図である。挟持部6は、シース2の遠位端21に設けられている。挟持部6は、開閉して対象物を把持等する機能を有する。
挟持部6は、下側挟持片61と上側挟持片62を有する。この実施形態では、下側挟持片61はシース2と一体に設けられており、シース2に対して揺動しない。上側挟持片62には、左右方向に延びる2つの穴が設けられ、上側の穴にピン63が遊嵌され、下側の穴に64が遊嵌されている。上側のピン63はシース2に固定され、ピン64はリンク65の前端に固定されている。リンク65の後端にはピン66が固定されている。ここで、シース2の中空部23にはシャフト受け部67が配置されている。シャフト受け部67は、近位側(後側)に開口する溝部を有しており、この溝部でシャフト3を受けている。シャフト受け部67の前端には左右方向に延びる穴が設けられ、この穴にピン66が遊嵌されている。これにより、まず、上側挟持片62はピン63を回転軸としてシース2に対して揺動できる。また、リンク65は、ピン64,66を回転軸として、上側挟持片62、シャフト受け部67に対してそれぞれ揺動できる。
シャフト3を介してシャフト受け部67を近位側(後方)に移動させると、リンク65によりシャフト受け部67の直線運動が上側挟持片62の回転運動に変換され、上側挟持片62が下側挟持片61に向かって(図2では反時計回りに)回転して挟持部6が閉じる。
他の実施形態では、下側挟持片61と上側挟持片62の両方が、回転軸に対して揺動するように構成してもよい。
下側挟持片61と上側挟持片62は、それぞれ、カップ部611,621を有する。カップ部611,621は滑らかな曲線により画定された外縁部を有し、対象物の把持等に適している。
シース2は任意の材料、例えば金属で作られていてよく、その表面はフッ素樹脂でコーティングされていてよい。当該金属はステンレス鋼であってもよい。
[シャフト3]
図2から図5に示すように、シャフト3は、シース2の中空部23内に挿入されている。シャフト3は細長い平板形状を有するが、それ以外に円筒形状等でも良い。シャフト3は遠位端31(または一端)と近位端32(または他端)を有する。シャフト3はシース2の中心軸101に沿って延びる長手方向を有する。シャフト3を長手方向に対して垂直に切った断面(長方形)において、長辺の長さをシャフト3の幅、短辺の長さをシャフト3の厚さと称する。図2から図5では、シャフト3の幅方向が左右方向であるように図示しているが、これに限定されず、幅方向が上下方向であってもよい。シャフト3の遠位端31は、シャフト受け部67に固定され、シャフト受け部67を介して挟持部6に連結されている。シャフト3の近位端32には、シャフト3の幅よりも直径の大きい球状の膨出部33が設けられている。シャフト3の近位端32は、膨出部33を介してリアハンドル5に連結されている。
シャフト3は、任意の材料、例えば金属で作られていてよい。当該金属はステンレス鋼であってもよい。
[一対のハンドル4,5]
図2に示すように、一対のハンドル4,5は、遠位側(前側)のフロントハンドル4と近位側(後側)のリアハンドル5により構成されている。フロントハンドル4とリアハンドル5は、それぞれ指かけ穴が設けられた指環部41,51を有する。指環部41,51は、ユーザが握って操作する部分である。フロントハンドル4とリアハンドル5は、軽量化のため、中空形状を有することが好ましい。
フロントハンドル4とリアハンドル5は、それぞれ左右方向に延びる穴が設けられたピン受け部42,52を有する。図6に示すように、フロントハンドル4のピン受け部42は、リアハンドル5のピン受け部52を左右から挟持する一対の挟持部421,422から構成されている。ピン受け部42,52の穴には、フロントハンドル4の一方の挟持部421側から他方の挟持部422側に向かって円筒形のピン7が挿入されている。ピン7の基端には、略円柱形の摘まみ71が設けられ、ピン7の先端には雄ねじが設けられている。一方の挟持部422の穴には雌ねじが設けられている。ピン7の先端に設けられた雄ねじは、挟持部422の穴に設けられた雌ねじに噛み合っている。一方、フロントハンドル4の一方の挟持部421とリアハンドル5のピン受け部52に設けられた穴に対して、ピン7は遊嵌されている。
このようにして、リアハンドル5は、フロントハンドル4に対して回転可能に(または揺動可能に)フロントハンドル4に連結されている。以下、フロントハンドル4に近づく方向へのリアハンドル5の回転を前方への回転(図2では時計回りの回転)とし、フロントハンドル4から遠ざかる方向へのリアハンドル5の回転を後方への回転(図2では半時計回りの回転)と称する。左右方向に延びるリアハンドル5の回転軸は、ピン7により構成される。
フロントハンドル4とリアハンドル5のピン受け部42,52は、フロントハンドル4とリアハンドル5が互いに所定角度以上開いたときに、リアハンドル5のピン受け部52がフロントハンドル4のピン受け部42に当接してそれ以上の回転を規制するような形状を有する。
フロントハンドル4の上端部には、シース2の近位側の部分を支持するためのシース受け部43が設けられている。シース受け部43の遠位側にはシース固定部44が設けられている。シース2の遠位側の部分は、シース受け部43に接着されて固定されている。
リアハンドル5の上端部53には、嵌合溝54が設けられている。嵌合溝54の近位側の部分は、シャフト3の近位端32に設けられた膨出部33に相補的な球形状を有しており、その直径は膨出部33の径よりも少し大きい。嵌合溝54の遠位側の部分は、シャフト3の長手方向に延びており、シャフト3の幅よりも少し大きい幅を有する。
このようにして、シャフト3は、リアハンドル5の回転に応じて、リアハンドル5に連動して、長手方向に移動する。具体的には、リアハンドル5が前方に回転すると、シャフト3が連動して近位側(後方)に移動する。このとき、シャフト3の遠位端31が固定されたシャフト受け部67も近位側(後方)に移動して、挟持部6が閉じる。このように、リアハンドル5が前方に回転すると、挟持部6が閉じる。リアハンドル5が後方に回転すると、シャフト3が連動して遠位側(前方)に移動する。このとき、シャフト受け部67も遠位側(前方)に移動して、挟持部6が開く。このように、リアハンドル5が後方に回転すると、挟持部6が開く。
フロントハンドル4とリアハンドル5は、任意の材料、例えば樹脂で作られていてよい。当該樹脂は、ABS、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどであってもよい。
[ストッパ8および斥力生成部材9]
図2に示すように、フロントハンドル4とリアハンドル5との間には、ストッパ8が設けられている。ストッパ8は、挟持部6が閉じるまでリアハンドル5を前方に回転させたときに、フロントハンドル4とリアハンドル5に当接することにより、リアハンドル5の前方への更なる回転を規制する機能を有する。これにより握りすぎによるハンドル4,5の破損が防止できる。
この実施形態では、ストッパ8は、互いに分離した2つの規制部材81,82を有する。規制部材の数はこれに限定されることなく、1つ以上設けられていればよい。規制部材81,82は円筒形状を有する。遠位側(前側)の規制部材81は、フロントハンドル4に固定されておらず、コイルスプリング等の斥力生成部材9の周面に沿って摺動できるように構成されている。近位側(後側)の規制部材82は、リアハンドル5に固定されている。規制部材81,82を備えることで、ハンドル4、5の握りが安定する。なお、規制部材81が規制部材82に固定されていると、フロントハンドル4側でコイルスプリング9が曲がってしまい、また規制部材81がフロントハンドル4に固定されているとコイルスプリング9の設置が困難になる。このため、規制部材81は固定せずにコイルスプリング9の周面に沿って摺動できる構成としている。
図2に示すように、フロントハンドル4とリアハンドル5との間には、さらに、斥力生成部材9が設けられている。斥力生成部材9は、リアハンドル5を前方に回転させたときに、リアハンドル5がフロントハンドル4から遠ざかる方向に、一対のハンドル4,5の間に弾性力(斥力)を生成する斥力生成部材として機能する。
この実施形態では、斥力生成部材9はコイルスプリングであり、ストッパ8の中空部に挿入されている。他の実施形態では、斥力生成部材9はトーションスプリング(ねじりばね)であってもよい。斥力生成部材9がトーションスプリングである場合、斥力生成部材9はストッパ8としての機能も果たすことができる。
この実施形態では、コイルスプリング9は、挟持部6が完全に開いた状態から少し閉じた状態で自然長となる。他の実施形態では、コイルスプリング9は、挟持部6が完全に開いた状態で自然長となってもよい。
フロントハンドル4には、コイルスプリング9の前端が遊嵌される溝部45が設けられている。
リアハンドル5には、コイルスプリング9の後端が遊嵌される溝部(図示せず)が設けられている。上述のとおり、コイルスプリング9は、後端側で、規制部材82の中空部に挿入されており、当該中空部がリアハンドル5に設けられた溝部に連通している。コイルスプリング9のための溝部が設けられるフロントハンドル4とリアハンドル5の(対向している)面46,55は、平面である。
ストッパ8は、任意の材料、例えば金属で作られていてよい。当該金属はステンレス鋼であってもよい。コイルスプリング9は、任意の材料、例えばピアノ線、硬鋼線、ステンレス鋼で作られていてもよい。
図7は、挟持部6を閉じた状態の鉗子1を示す側面図である。上述のとおり、挟持部6が閉じるまでリアハンドル5を前方に回転させると、ストッパ8の規制部材81,82が互いに当接し、ストッパ8は全体としてフロントハンドル4とリアハンドル5に当接する。これにより、フロントハンドル4の前方への更なる回転が規制される。
挟持部6が開いた図2の状態から挟持部6が閉じた図7の状態に移行するまでの間、ユーザはコイルスプリング9から弾性力(斥力)を受ける。ここで、対象物において掴もうとする部分の寸法が挟持部6の最大開き角に対して大きいと、当該部分を挟持部6がうまく掴むことができないため、リアハンドル5が回転せず、ユーザはコイルスプリング9から弾性力を受けない。この場合、ユーザは対象物において掴もうとする部分を変えることができる。このように、コイルスプリング9が設けられていることにより、ユーザは、挟持部6による挟持対象(対象の部分)を適切に選択できるという効果がある。ただし、本発明において、斥力生成部材9は選択的に備えられる構成であると理解すべきである。
ストッパ8が全体としてフロントハンドル4とリアハンドル5に当接したとき、フロントハンドル4とリアハンドル5においてユーザが握って操作する指環部41,51からストッパ8までの距離が大きいほど、ストッパを支点、ユーザが握る部分を作用点として一対のハンドル4,5に加わる曲げモーメントが大きくなり、一対のハンドル4,5がこれに応じて撓む。ユーザは、この撓みを通じて、挟持部6により対象物を確実に掴んだ感触を得ることができる。フロントハンドル4とリアハンドル5が樹脂で作られていることにより、一対のハンドル4,5の撓みが大きくなるので、この効果をより顕著に得ることができる。
[他の実施形態]
本発明の範囲は、上述の実施形態の内容に限定されると理解すべきではない。また、上述の実施形態に記載された特徴を自由に組み合わせることにより、他の実施形態が構成されてよい。また、上述の実施形態には、種々の改良、設計上の変更および削除が加えられてよい。
例えば、上述の実施形態では、コイルスプリング9をストッパ8の中空部に挿入した。他の実施形態では、コイルスプリング9はストッパ8と切り離して設けてよい。例えば、コイルスプリングとストッパ8は互いに上下方向に隔てて設けてよい。
また、上述の実施形態では、挟持部6の下側挟持片61と上側挟持片62には、対象物の把持または採取に適したカップ部611,621を設けた。他の実施形態では、図8、図9に示すように、下側挟持片261と上側挟持片262を有する挟持部26において、上側挟持片262の遠位端(前端)に、対象物の切断に適した切断部263を設けてもよい。
また、上述の実施形態では、遠位端21から近位端22まで直線的に延びるシース2を設けた。他の実施形態では、図10に示すように、挟持部6が設けられた遠位端21を含む遠位側の領域が、近位側の領域に対して屈曲していてもよい。この実施形態では、シース2は、近位端22から直線的に延びる第1部分201と、遠位端21から直線的に延びる第2部分202と、第1部分と第2部分とを屈曲して接続する屈曲部203とを有する。シース2の中空部23に挿入されるシャフト3も同様に屈曲している。この実施形態によれば、体腔内で挟持部6を所望の方向に向けて生体組織の把持等をより好適に行うことができる。この実施形態では、シース2の近位側の部分は、シース受け部43に対して回転できるように、シース受け部43により支持されていてもよい。なお、屈曲部203は、外筒管内では弾性変形して略直線状に延びており、外筒管を通り抜けて人体に入った段階で屈曲する。
図11に示すように、屈曲部203を備えた鉗子1では、屈曲部203に複数のスリット210が設けられても良い。スリット210を設けることにより、シース2を屈曲部203で容易に屈曲させることができる。
図12は、図11に示された鉗子1の屈曲部203の部分拡大図である。屈曲部203には、シース2が切り込まれて形成された、5つのスリット210が設けられている。スリット210は、シース2を直線に切り込んだ直線部204と、切り込みの端部に設けられた円形部205を有する。図12ではスリット210の数を5つとしたが、これに限定されるものではない。また、図12では、シース2の屈曲角は20°としたが、これに限定されるものではない。さらに、図12では、円形部205の直径は0.4mmとしたが、これに限定されるものではない。
図12では、スリット210は、屈曲部203の、シース2が屈曲する側(図12では上側)に設けられ、屈曲部203を屈曲させた場合に、スリット210の幅が狭くなり、屈曲を容易にする。なお、スリット210の形成される位置はこれに限定されるものではなく、屈曲する側と反対側(図12では下側)に設け、屈曲時にスリットの幅が広がるようにしても良い。
図13は、屈曲部203を屈曲させる前の鉗子1の部分拡大図である。鉗子1では、シース2の直径rは3mmで、遠位側の端部からの距離lが6mmの位置から1mmのピッチpで5つのスリット210が平行に設けられている。中心軸c方向のスリット210の幅aは1mmである。スリット210は、中心軸cに垂直な方向に対して10°の傾斜角θを有している。なお、ここに記載した寸法や角度は一例であり、屈曲角やシースの曲げやすさに応じて適宜選択できる。
また、図14に示すように、屈曲部203を備えた鉗子1では、屈曲部203に、形状の異なる複数のスリット220が設けられても良い。図15は、図14に示された鉗子1の屈曲部203の部分拡大図である。また、図16、17は、湾曲部203を湾曲させる前の、シース2の側面および平面の部分拡大図である。
図16に示すように、シース2を湾曲させる前において、合計5つのスリット220のうち、遠位側の2つのスリット220は、切り込み端部(図16では下部)が遠位側に傾斜し、近位側の3つのスリット220は、切り込み端部が近位側に傾斜している。これにより、シース2の湾曲が容易になる。なお、切り込み端部が遠位側に傾斜したスリット220の数より、切り込み端部が近位側に傾斜したスリット220の数の方が多いことが好ましい。
中心軸cとスリット220との間の傾斜角αは、例えば60°である。図15に示すように、シース2を湾曲させた場合、スリット220の上部側(図15の上側)で、スリット220が狭くなって開口部が閉じられても良い。
図17に示すように、5つのスリット220のうち、スリット220bとスリット220c、220aとスリット220dとは、中心軸cに垂直な面に対してそれぞれ対称な形状となっている。スリット220dの近位側には、さらにスリット220eが設けられている。
図17から分かるように、スリット220a,220b,220c,220dでは、スリットの一部がシースの長手方向(中心軸c)に平行な方向に延びているため、軸cを中心軸としたトルクに対する強度が向上する。
図18は、本発明の実施形態にかかる鉗子1に使用するシャフト3の変形例であり、(a)は平面図、(b)は(a)をE-E線に沿って切って矢印の方向に見たときの断面図である。上述のように、本発明の実施形態では、シャフト3の断面形状について細長い平板形状を有するが、それ以外に円筒形状等でも良いと説明したが、図18に示すように、シース2の屈曲部203を挿通する部分3bのみ平板形状とし、それ以外の第1部分201、第2部分202を挿通する部分3a、3cについては円筒形状としても良い。
このように、シャフト3の屈曲部203を挿通する部分3bを断面が矩形の平板形状とすることにより、シャフト3の強度を高くしつつ、リアハンドル5を握って操作する際にユーザが感じる抵抗感を低減することができる。
また、上述の実施形態では、ストッパ8をステンレス鋼で作る例について説明した。この例を含め、ストッパ8の規制部材81,82を強磁性体(永久磁石)で作ってもよい。当該強磁性体は、フェライト、ネオジムなどであってもよい。2つの永久磁石は、同極同士が対向するように配置される。これにより、リアハンドル5を前方に回転させたときに、リアハンドル5がフロントハンドル4から遠ざかる方向に、一対のハンドル4,5の間に斥力が生成される。つまり、規制部材81,82は、ストッパ8として機能するだけでなく、斥力生成部材として機能する。この例では、斥力生成部材9は省略されてもよい。
また、上述の実施形態において、鉗子の種類、即ち挟持部等の処理部の種類や屈曲部の有無や角度のようなシースの種類、に応じてリアハンドルの色を変えても良い。図19は、鉗子の種類に応じてリアハンドルの色を変えた一例であり、(a)は処理部が把持機能を有する把持鉗子、(b)は処理部が切断機能を有するカット鉗子、(c)は把持鉗子が屈曲部を有する屈曲鉗子であり、それぞれ、リアハンドルの色が、水色、桃色、黄色となっている。このように、鉗子の種類に応じてリアハンドルの色を変えることにより、作業中の鉗子の取り違えを防止できる。なお、ここではリアハンドルの全体の色を変えたが、フロントハンドルの色、フロントハンドルとリアハンドルの双方の色、を変えても良い。また、作業者が鉗子の違いを認識できるのであれば、一部の色を変えるだけでも良い。
1 鉗子
2 シース
21 (シースの)遠位端
22 (シースの)近位端
23 (シースの)中空部
3 シャフト
31 (シャフトの)遠位端
32 (シャフトの)近位端
4 フロントハンドル
5 リアハンドル
41,51 指環部
6,26 挟持部
7 ピン
8 ストッパ
81,82 規制部材
9 斥力生成部材(コイルスプリング)
101 中心軸
201 (シースの)第1部分
202 (シースの)第2部分
203 (シースの)屈曲部
210,220 スリット
263 切断部

Claims (12)

  1. 遠位端および近位端を有し、中空部を有し、開閉して対象物を把持するための挟持部が前記遠位端に設けられたシースと、
    前記シースの近位端を支持する遠位側のフロントハンドル、および、前記フロントハンドルに対して回転可能に前記フロントハンドルに連結された近位側のリアハンドルと、
    前記シースの中空部に挿入され、長手方向を有し、前記挟持部に連結された一端および前記リアハンドルに連結された他端を有し、前記リアハンドルの回転に応じて前記長手方向に移動して前記挟持部を開閉させるように構成されたシャフトとを備え、
    前記フロントハンドルおよび前記リアハンドルは、樹脂で作られ、
    前記フロントハンドルと前記リアハンドルとの間には、少なくとも2つの規制部材を含むストッパであって、前記挟持部が閉じるまで前記フロントハンドルに近づく方向に前記リアハンドルを回転させたときに、前記規制部材が互いに当接して前記フロントハンドルの前記リアハンドルに近づく方向への更なる回転を規制するように構成されたストッパが設けられ、
    前記フロントハンドルに近づく方向に前記リアハンドルを回転させたときに、前記リアハンドルが前記フロントハンドルから遠ざかる方向に斥力を作用させる斥力生成部材が、前記フロントハンドルと前記リアハンドルとの間にさらに設けられている、
    鉗子。
  2. 前記ストッパは中空部を有し、
    前記斥力生成部材は前記ストッパの中空部に挿入されている、
    請求項に記載の鉗子。
  3. 前記規制部材のうち少なくとも1つは、前記斥力生成部材に沿って摺動できるように構成されている、
    請求項に記載の鉗子。
  4. 前記挟持部には、対象物を把持して切断するための切断片が設けられている、
    請求項1~のいずれか1項に記載の鉗子。
  5. 前記シースは、前記近位端から直線的に延びる第1部分と、前記第1部分に対して屈曲し、前記遠位端に向かって延びる第2部分とを有する、
    請求項1~のいずれか1項に記載の鉗子。
  6. 前記シースは、
    前記近位端から直線に延びる第1部分と、
    前記遠位端から直線に延びる第2部分と、
    前記第1部分と前記第2部分とを屈曲して接続する屈曲部と、を有し、
    前記屈曲部は、前記シースに切り込まれたスリットを有する、
    請求項1~のいずれか1項に記載の鉗子。
  7. 前記スリットは、前記屈曲部より近位端側のスリットと、前記屈曲部より遠位端側のスリットとを含み、
    前記屈曲部より近位端側のスリットは、前記シースの表面から前記近位端方向に傾斜して切り込まれ、前記屈曲部より遠位端側のスリットは、前記シースの表面から前記遠位端方向に傾斜して切り込まれた、
    請求項に記載の鉗子。
  8. 前記屈曲部より遠位端側のスリットの数は、前記屈曲部より近位端側のスリットの数より多い、
    請求項に記載の鉗子。
  9. 前記スリットは、前記シースの長手方向に平行な部分を含む、
    請求項6~8のいずれかに記載の鉗子。
  10. 前記スリットは、前記シースの長手方向に沿って所定のピッチで設けられた複数のスリットである、
    請求項6~9のいずれかに記載の鉗子。
  11. 前記シャフトは、前記屈曲部を挿通する部分が平板形状で、他の部分が円筒形状である、
    請求項6~10のいずれか1項に記載の鉗子。
  12. 記フロントハンドルおよび前記リアハンドルは、樹脂で作られており、
    前記リアハンドルは、前記処理部の機能および/またシースの形状に応じて所定の色に着色された、
    請求項1に記載の鉗子。
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