以下、複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第一実施形態)
図1に示す本開示の第一実施形態によるコールドチェーン管理システムは、図2に示すコールドチェーンCCに適用される情報管理システムである。コールドチェーンCCは、荷物IMd等の特定アイテムIMsを低温な状態に維持したまま、発荷主から着荷主に届ける低温物流のための輸送ネットワークである。コールドチェーンCCにおいて、特定アイテムIMsは、冷凍装置10又は冷蔵装置等を備えた保冷ボックスに収容された状態で、複数の拠点TB間を移動する。コールドチェーンCCによって低温管理される特定アイテムIMsには、例えば生鮮食品、水産物及び冷凍食品等に加えて、花き類、医薬品、化学薬品及び血液パック等が含まれる。
コールドチェーン管理システムは、図1及び図2に示すように、コールドチェーンCC内での特定アイテムIMsの流通過程にて生成されるアイテム情報を、ブロックチェーンBCの技術を用いて改竄できないように保存する。アイテム情報には、流通過程において自動又は手動にて入力される多数の流通情報、流通過程において種々のセンサにより計測された複数種類のセンサ情報等が含まれる。コールドチェーン管理システムは、保存した多数の流通情報及び複数種類のセンサ情報をエンドユーザEU等に提供する。コールドチェーン管理システムは、流通関連会社LCにより運用される拠点端末30、スタッフ端末40、モニタリング装置20等と、プラットフォーマーPFにより管理される複数のサーバ装置等とによって構築されている。コールドチェーン管理システムを構成する各要素は、それぞれ一つのノードとしてネットワークに接続されている。
拠点端末30は、流通関連会社LCによって運営された各拠点TBに設置されている。個々の拠点TBは、荷物IMdを輸送する輸送機関、例えば、航空機、船、鉄道、輸送用トラックTV及び荷車TC等が発着する中継地点である。拠点TBでは、一つの輸送手段によって搬入された多数の荷物IMdが仕分けされ、一つの冷凍装置10から別の冷凍装置10へと移し替えられる。仕分けされた荷物IMdは、特定の輸送手段から別の輸送手段へと引き渡され、別の拠点TBに輸送される。
個々の荷物IMdには、アイテムIDを記録したアイテムコードCdがそれぞれ付属されている。アイテムIDは、荷物IMdを識別する固有のデータである。アイテムIDは、予め規定されたルールに基づき生成された数字等の並びであってもよく、流通履歴を示すデータから生成されたハッシュ値等であってもよい。コールドチェーン管理システムでは、アイテムIDに紐づく形式で種々の情報が管理される。アイテムコードCdは、バーコード等の一次元コード、又はQRコード(登録商標)等の二次元コードである。アイテムコードCdは、紙媒体等に印刷された状態で、荷物IMdの外表面に貼り付けられている。アイテムコードCdの貼り付け場所は、製品本体に限定されず、パッケージ、荷札、包装及び証明書類等であってよい。さらに、アイテムIDは、荷物IMdに付属されるRFID(radio frequency identifier)又はマイクロチップ等の記録媒体に電子データとして記録されていてもよい。
拠点端末30は、それぞれの拠点TBにおいて、各拠点TBに搬入された荷物IMdを把握する。拠点端末30は、アイテムコードCdの読み取り機能を有するスキャナ31と通信可能に接続されている。拠点端末30は、スキャナ31によってアイテムコードCdから読み出されたアイテムIDを取得する。拠点端末30は、荷物IMdに紐づくアイテム情報の一つとして、ブロックチェーンBCによって保管される流通情報を、プラットフォーマーPFのサーバ装置(拠点情報処理部81)に送信する。具体的に、拠点端末30は、荷物IMdの拠点TBの通過に関連する流通情報として、アイテムID、各拠点TBを識別する拠点ID、アイテムコードCdの読み取り時刻等を含む拠点通過情報を、サーバ装置に送信する。拠点ID及び読み取り時刻等の情報は、作業者によって拠点端末30に手動入力されてもよく、又は拠点端末30に自動入力されてもよい。
スタッフ端末40は、荷物IMdに添付されたアイテムコードCdを読み込み、荷物IMdの流通履歴を登録する履歴登録装置として機能する。具体的に、スタッフ端末40は、発荷主からの荷物IMdの受け取り、冷凍装置10への荷物IMdの出し入れ、着荷主への荷物IMdの引き渡し等の記録を登録する。一例として、流通関連会社LCのスタッフ等の所持するスマートフォン、タブレット端末及び専用読取端末等が、スタッフ端末40として利用される。スタッフ端末40は、カメラ46、ディスプレイ47、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機48及び端末通信機49(図4参照)と、制御回路40aとを備えている。
カメラ46は、荷物IMdに付属するアイテムコードCd及び冷凍装置10に付属する装置コードCq(後述する)の撮像データを生成し、制御回路40aに提供する。ディスプレイ47は、液晶パネル又は有機ELパネル等を主体とする表示デバイスである。ディスプレイ47は、制御回路40aの制御に基づき、種々の画像を画面に表示する。ディスプレイ47は、ユーザ操作を受け付けるタッチパネルの機能を有している。
GNSS受信機48は、複数の人工衛星(測位衛星)から送信された測位信号を受信することにより、スタッフ端末40の現在位置を特定する。GNSS受信機48によって特定されるスタッフ端末40の位置データは、アイテムコードCd又は装置コードCqが読み込まれた場所を示す履歴情報として、読み込み時刻と共にサーバ装置(フロントサーバ70)に送信されてもよい。位置データには、測位信号から推定される緯度、経度及び高度等の値が含まれている。端末通信機49は、例えばLTE及び5G等の広域無線通信規格、又はWi-Fi(登録商標)等の通信規格に沿った移動体通信を行う。
制御回路40aは、プロセッサ41、RAM42、記憶部43、入出力インターフェース44及びこれらを接続するバス等を備え、演算処理を実施するコンピュータとして機能する。プロセッサ41は、RAM42と結合された演算処理のためのハードウェアである。記憶部43には、アイテムコードCd及び装置コードCqの情報を登録するためのアプリケーションプログラム(以下、情報登録アプリAPr)が格納されている。
モニタリング装置20は、冷凍装置10に組み合わされて、例えば輸送用トラックTV等のような荷物IMdを輸送する輸送機関に搭載されている。冷凍装置10には、荷物IMdを収容する保冷ボックスが設けられている。冷凍装置10は、保冷ボックス内の温度を、荷物IMdに対応して設定された所定の温度(低温)に維持可能である。
個々の冷凍装置10には、保冷ボックスIDを記録した装置コードCqがそれぞれ設けられている。保冷ボックスIDは、保冷ボックスを識別する固有のデータである。装置コードCqは、バーコード等の一次元コード、又はQRコード等の二次元コードである。装置コードCqは、紙媒体等に印刷された状態で、冷凍装置10の外表面等に貼り付けられている。
モニタリング装置20は、荷物IMdを収容する冷凍装置10と組み合わされることで、荷物IMdに紐づく計測情報を繰り返し取得する。モニタリング装置20は、取得した計測情報を、逐次又は一定の時間間隔でプラットフォーマーPFのサーバ装置に送信する。モニタリング装置20は、冷凍装置10と物理的に一体化されていてもよく、又は冷凍装置10とへ別体で設けられ特定の冷凍装置10とデータ上で紐付けられてもよい。モニタリング装置20は、温度センサ21、位置センサ22、コントローラ23及びデータ送信機24を備えている。
温度センサ21は、保冷ボックス内の雰囲気温度を周期的に計測する。温度センサ21は、熱電対、側温抵抗体及びサーミスタ等を用いた接触式の構成であってもよく、放射温度計等を用いた非接触式の構成であってもよい。
位置センサ22は、複数の測位衛星から送信された測位信号を受信することにより、冷凍装置10の現在位置を特定するGNSS受信機である。位置センサ22は、冷凍装置10、言い替えれば、輸送中の荷物IMd及び輸送用トラックTVの現在位置を周期的に計測する。
コントローラ23は、温度センサ21及び位置センサ22による物理量の計測を制御する。コントローラ23は、温度センサ21によって計測された温度計測情報、及び位置センサ22によって計測された位置計測情報を取得する。コントローラ23は、温度センサ21による温度計測の計測周期と、位置センサ22による位置計測の計測周期とを別々に調整する。
コントローラ23は、温度センサ21による温度計測情報の計測周期を、荷物IMdの形態に関連する形態情報に基づき変更する。形態情報は、荷物IMdの体格、サイズ及び形状等の情報であり、具体的には体積及び表面積等に関する情報である。コントローラ23は、荷物IMdの体積に対する表面積が小さくなるほど、温度計測の周期を長く調整する。コントローラ23は、荷物IMdの体積に対する表面積が大きくなるほど、温度計測の周期を短く調整する。
コントローラ23は、位置センサ22による位置計測情報の計測周期を、輸送に関連する輸送情報に基づき変更する。輸送情報は、輸送機関の速度情報及び輸送機関の種別情報等である。コントローラ23は、例えば輸送用トラックTV等の輸送の速度が高くなるほど、位置計測の周期を短く調整する。コントローラ23は、荷物IMdの輸送速度が低くなるほど、位置計測の周期を長く調整する。また、コントローラ23は、輸送機関の種別情報に基づき、例えば航空機及び船等のように直線的に移動する輸送機関で荷物IMdを輸送する場合には、位置計測の周期を長く調整する。コントローラ23は、輸送用トラックTV等の非直線的に移動する輸送機関で荷物IMdを輸送する場合に、位置計測の周期を短く調整する。
ここで、上述する温度センサ21及び位置センサ22の各計測周期は、コントローラ23及びデータ送信機24によってデータ処理サーバ60に送信される計測情報の取得周期に相当する。即ち、温度センサ21及び位置センサ22における実際の計測周期は、データ処理サーバ60に蓄積される記録上での計測周期より短くてもよい。言い替えれば、コントローラ23は、実際の計測情報を間引く処理により、温度計測情報及び位置計測情報の計測周期(取得周期)を調整してもよい。
データ送信機24は、例えばLTE及び5G等の広域無線通信規格、又はWi-Fi(登録商標)等の通信規格に沿った移動体通信を行う。データ送信機24は、プラットフォーマーPFのサーバ装置と通信可能である。データ送信機24は、コントローラ23と連携し、温度センサ21にて繰り返し計測される温度計測情報をプラットフォーマーPFのサーバ装置(温度情報処理部84)に送信する。同様に、データ送信機24は、コントローラ23と連携し、位置センサ22にて繰り返し計測される位置計測情報をプラットフォーマーPFのサーバ装置(位置情報処理部87)に送信する。温度計測情報の送信周期と位置計測情報の計測周期とは、互いに異なっていてもよい。温度計測情報及び位置計測情報には、モニタリング装置20を識別するセンサIDが紐付けられる。尚、本実施形態では、保冷ボックスIDがセンサIDを兼ねている。データ送信機24は、保冷ボックスIDと紐付く温度計測情報及び位置計測情報をサーバ装置にアップロードする。
図1~図3に示すように、プラットフォーマーPFによって管理されるサーバ装置には、複数のデータ処理サーバ60、タイムスタンプサーバ140及びアプリ配信サーバ150が含まれている。
データ処理サーバ60は、多数のモニタリング装置20、多数の拠点端末30及び多数のスタッフ端末40とネットワークを通じて通信可能である。データ処理サーバ60は、荷物IMdに関連した情報を管理する情報管理装置、及び荷物IMdに関連した情報を提供する情報提供装置として機能する。
データ処理サーバ60は、コンピュータとして機能する制御回路60aを主体としたサーバ装置である。データ処理サーバ60の制御回路60aは、プロセッサ61、RAM62、記憶部63、入出力インターフェース64、及びこれらを接続するバス等を備えている。プロセッサ61は、RAM62と結合された演算処理のためのハードウェアである。プロセッサ61は、RAM62へのアクセスにより、データの管理及び提供に関連する種々の処理を実行する。記憶部63には、データ管理に関連した機能を実現する情報管理プログラムと、データ提供に関連した機能を実現する情報提供プログラムとが格納されている。情報管理プログラムは、本開示の情報管理方法をデータ処理サーバ60に実施させるためのプログラムである。情報提供プログラムは、本開示の情報提供方法をデータ処理サーバ60に実施させるためのプログラムである。
コールドチェーン管理システムでは、機能の異なる複数のデータ処理サーバ60が用いられている。本実施形態では、フロントサーバ70、複数(3つ)の情報中継サーバ80及び複数(3つ)のブロックチェーンサーバ90が、データ処理サーバ60として設けられている。
フロントサーバ70は、スタッフ端末40及びユーザ端末110(後述する)との通信を行うデータ処理サーバ60である。フロントサーバ70は、情報管理プログラム及び情報提供プログラムに基づく機能部として、荷物情報処理部71、温度情報処理部72、位置情報処理部73、要求受付部75及びデータ提供部76を備える。
荷物情報処理部71は、荷受けした荷物IMdのアイテムIDをスタッフ端末40からの受信によって取得し、荷受け情報として情報中継サーバ80(拠点情報処理部81)に送信する。荷物情報処理部71は、アイテムIDに紐付く拠点通過情報、荷受け情報及び引渡し情報等を、情報中継サーバ80(拠点情報処理部81)から取得する。
温度情報処理部72は、荷物IMdのアイテムIDと荷物IMdを収容する冷凍装置10の保冷ボックスIDとを関連付けるセンサ連携情報を、スタッフ端末40から受信する。温度情報処理部72は、取得したセンサ連携情報を情報中継サーバ80(温度情報処理部84)に送信する。温度情報処理部72は、アイテムIDに紐付くセンサ連携情報及び温度計測情報を、情報中継サーバ80(温度情報処理部84)から取得する。
位置情報処理部73は、アイテムIDに紐付く温度計測情報を、情報中継サーバ80(位置情報処理部87)から取得する。尚、位置情報処理部73は、温度情報処理部72と同様に、スタッフ端末40から受信したセンサ連携情報を、情報中継サーバ80(位置情報処理部87)に送信してもよい。
要求受付部75は、荷物IMdに紐づく履歴情報の提供要求を、スタッフ端末40又はユーザ端末110からアイテムIDと共に取得する。要求受付部75は、各情報処理部71~73を通じて、アイテムIDに紐付く拠点通過情報、温度計測情報及び位置計測情報等の提供を、情報中継サーバ80及びブロックチェーンサーバ90に要求する。
データ提供部76は、提供要求に基づき荷物情報処理部71、温度情報処理部72及び位置情報処理部73にて収集された拠点通過情報、温度計測情報及び位置計測情報を把握する。データ提供部76は、拠点通過情報、温度計測情報及び位置計測情報を組み合わせて、提供要求の要求元に提供する提供用データを生成する。データ提供部76は、生成した提供用データを、スタッフ端末40又はユーザ端末110に送信する。
情報中継サーバ80は、モニタリング装置20及びスタッフ端末40から送信された情報を受信し、ブロックチェーンサーバ90に送信する。情報中継サーバ80は、フロントサーバ70に送信された提供要求を中継し、ブロックチェーンサーバ90によって抽出された情報をフロントサーバ70に返信する。コールドチェーン管理システムには、3つの情報中継サーバ80が設けられている。各情報中継サーバ80は、情報管理プログラム及び情報提供プログラムに基づく機能部として、それぞれ情報処理部81,84,87が設けられている。
拠点通過情報を処理する情報中継サーバ80は、拠点情報処理部81を有している。拠点情報処理部81は、荷受けされた荷物IMdのアイテムIDを荷物情報処理部71から取得し、拠点通過情報を蓄積するブロックチェーンサーバ90に送信する。拠点情報処理部81は、拠点通過情報を拠点端末30から受信し、拠点通過情報を蓄積するブロックチェーンサーバ90に送信する。拠点情報処理部81は、ブロックチェーンサーバ90にて抽出された拠点通過情報等を受信し、荷物情報処理部71に送信する。
温度計測情報を処理する情報中継サーバ80は、温度情報処理部84を有している。温度情報処理部84は、スタッフ端末40から受信するセンサ連携情報と、モニタリング装置20から受信する温度計測情報とを、温度計測情報を蓄積するブロックチェーンサーバ90に送信する。温度情報処理部84は、ブロックチェーンサーバ90にて抽出された温度計測情報等を受信し、温度情報処理部72に送信する。
位置計測情報を処理する情報中継サーバ80は、位置情報処理部87を有している。位置情報処理部87は、モニタリング装置20から受信する位置計測情報を、位置計測情報を蓄積するブロックチェーンサーバ90に送信する。位置情報処理部87は、ブロックチェーンサーバ90にて抽出された位置計測情報等を受信し、位置情報処理部73に送信する。
ブロックチェーンサーバ90は、情報中継サーバ80から受信する情報を、ブロックチェーンBCを用いて管理する。ブロックチェーンサーバ90は、ブロックチェーンBCを用いて管理している情報を、エンドユーザEU等への提供のため、情報中継サーバ80に送信する。ブロックチェーンサーバ90にて用いられるブロックチェーンBCは、プラットフォーマーPFによって管理されたプライベートチェーンであってもよく、不特定多数の参加者がデータを蓄積可能なパブリックチェーンであってもよい。ブロックチェーンサーバ90は、例えばイーサリアム、ビットコイン及びNEM等のパブリックチェーンを、情報の蓄積に利用可能である。
コールドチェーン管理システムには、3つのブロックチェーンサーバ90が設けられている。各ブロックチェーンサーバ90は、取得した情報をブロックチェーンBCに関連付けて保存する。ブロックチェーンBCに関連付けて保存する処理は、ブロックチェーンBCのブロックに取得情報の元データを埋め込む保存処理であってもよく、取得情報の元データから生成したハッシュ値をブロックチェーンBCのブロックに埋め込む保存処理であってもよい。各ブロックチェーンサーバ90は、情報管理プログラム及び情報提供プログラムに基づく機能部として、それぞれ情報取得部91,94,97、情報保存部92,95,98及び情報提供部93,96,99を有する。
拠点通過情報を管理するブロックチェーンサーバ90は、拠点情報取得部91、拠点情報保存部92及び拠点情報提供部93を有している。拠点情報取得部91は、アイテムID及び拠点通過情報等を拠点情報処理部81から取得する。拠点情報保存部92は、拠点情報取得部91にて取得された情報を、拠点情報保管チェーンBC1に関連付けて保存する。拠点情報保存部92は、アイテムIDに紐付けて拠点通過情報等を登録する。その結果、拠点情報保管チェーンBC1には、各荷物IMdの荷受け、拠点通過及び引渡しの各時刻データ及び位置データ等が記録されていく。
拠点情報提供部93は、アイテムIDをキーとして、拠点情報保管チェーンBC1に蓄積された情報の中から、アイテムIDに紐付く情報を抽出する。拠点情報提供部93は、抽出した拠点通過情報、荷受け情報及び引渡し情報等を、拠点情報処理部81に提供する。
温度計測情報を管理するブロックチェーンサーバ90は、温度情報取得部94、温度情報保存部95及び温度情報提供部96を有している。温度情報取得部94は、アイテムID及び保冷ボックスIDを含むセンサ連携情報と、保冷ボックスIDと紐付く温度計測情報とを温度情報処理部84から取得する。温度計測情報は、計測時刻データと計測温度値との組み合わせを一つのデータとしたデータ群である。温度情報保存部95は、温度情報取得部94にて取得された各情報を、温度情報保管チェーンBC2に保存する。センサ連携情報の保存により、温度情報保管チェーンBC2には、アイテムIDに紐付け可能な状態で温度計測情報が蓄積される。
温度情報提供部96は、アイテムID及びセンサ連携情報を用いることで、温度情報保管チェーンBC2に蓄積された温度計測情報の中から、アイテムIDに紐付く温度計測情報を抽出する。複数の保冷ボックスを荷物IMdが経由している場合、温度情報提供部96は、個々の保冷ボックスIDに紐付く複数の温度計測情報から、荷物IMdを収容していた期間のデータを切り出すことで、アイテムIDに紐付く一連の温度計測情報を抽出する。温度情報提供部96は、抽出した温度計測情報を、温度情報処理部84に提供する。
位置計測情報を管理するブロックチェーンサーバ90は、位置情報取得部97、位置情報保存部98及び位置情報提供部99を有している。位置情報取得部97は、保冷ボックスIDと紐付く位置計測情報を位置情報処理部87から取得する。位置計測情報は、計測時刻データと位置データとの組み合わせを一つのデータとしたデータ群である。位置データは、例えば緯度、経度及び高度を示す座標値である。位置情報保存部98は、位置情報取得部97にて取得された情報を、位置情報保管チェーンBC3に保存する。
位置情報提供部99は、保冷ボックスIDをキーとして、位置情報保管チェーンBC3に蓄積された情報の中から、アイテムIDに紐付く位置計測情報を抽出する。荷物IMdが複数の保冷ボックスを経由している場合、位置情報提供部99は、個々の保冷ボックスIDに紐付く複数の位置計測情報から、温度情報提供部96と同一期間のデータを切り出すことで、荷受けから引渡しまでの一連の位置計測情報を抽出する。位置情報提供部99は、抽出した位置計測情報を、位置情報処理部87に提供する。
タイムスタンプサーバ140は、コンピュータを主体として含むサーバ装置である。タイムスタンプサーバ140は、データ処理サーバ60に提供するタイムスタンプデータを生成する。タイムスタンプサーバ140は、一例として、ネットワークに接続されたニュース配信サーバ等より、日時を示す情報と紐付けて配信されるニュース記事を、日毎又は所定時間毎に取得する。タイムスタンプサーバ140は、取得したニュース記事から、日付情報、ニュース記事の文字列、事前指定した文字列を順に結合させた入力情報を生成する。タイムスタンプサーバ140は、例えばSHA-256等のハッシュ関数に入力情報を入力する処理により、所定のビット数(例えば、256ビット)のハッシュ値を、タイムスタンプデータとして生成する。タイムスタンプデータは、例えば各ブロックチェーンサーバ90に提供され、各情報の取得時刻又は保存時刻等の改竄の有無を検証可能なデータとして、各ブロックチェーンBCに保存される。
アプリ配信サーバ150は、コンピュータを主体として含むサーバ装置である。アプリ配信サーバ150は、情報登録アプリAPr、ログ閲覧アプリAPb(後述する)及び到着予告アプリAPa(後述する)等を、ネットワークを通じて配信する。情報登録アプリAPrは、アプリ配信サーバ150からスタッフ端末40の記憶部43にダウンロードされ、ダウンロードの完了後、スタッフ端末40に自動的にインストールされる。ログ閲覧アプリAPb及び到着予告アプリAPaは、アプリ配信サーバ150からユーザ端末110の記憶部113にダウンロードされ、ダウンロードの完了後、ユーザ端末110に自動的にインストールされる。
尚、アプリ配信サーバ150は、プラットフォーマーPFによって管理されたサーバ装置でなくてもよい。アプリ配信サーバ150は、例えばスタッフ端末40及びユーザ端末110のオペレーティングシステムのベンダーによって管理されたサーバ装置であってもよい。
以上のコールドチェーン管理システムによって管理される荷物IMdの履歴情報を、エンドユーザEUは、図1、図3及び図4に示すユーザ端末110を用いることで参照できる。ユーザ端末110は、ユーザの所有するスマートフォン、タブレット端末及び専用読取端末等である。ユーザ端末110は、カメラ116、ディスプレイ117、GNSS受信機118及び端末通信機119と、制御回路110aとを備えている。制御回路110aは、プロセッサ111、RAM112、記憶部113、入出力インターフェース114及びこれらを接続するバス等を備え、演算処理を実施するコンピュータとして機能する。以上のユーザ端末110の各構成は、上述したスタッフ端末40の各構成と実質的に同一である。
ユーザ端末110の記憶部113には、荷物IMdの履歴情報を参照するためのアプリケーションプログラムとして、上述のログ閲覧アプリAPbが格納されている。ユーザ端末110は、プロセッサ111によるログ閲覧アプリAPbの実行により、情報閲覧装置として機能する。ユーザ端末110は、ログ閲覧アプリAPbに基づく機能部として、コード抽出部121、送信処理部122、データ処理部123及び表示制御部124を有する。同様に、スタッフ端末40は、情報登録アプリAPrに基づく機能部として、コード抽出部51、送信処理部52、データ処理部53及び表示制御部54を有する。
ユーザ端末110及びスタッフ端末40において、コード抽出部121,51は、カメラ116,46にて撮影されたアイテムコードCd及び装置コードCqの撮像データを取得する。コード抽出部121,51は、撮像データの画像解析により、アイテムID及び保冷ボックスIDを抽出する。
送信処理部122,52は、コード抽出部121,51によって抽出されたアイテムID及び保冷ボックスIDの少なくとも一方を、フロントサーバ70に送信する。送信処理部122,52は、ユーザ操作に基づく履歴情報の提供要求を、フロントサーバ70に送信する。
データ処理部123,53は、提供要求に基づきフロントサーバ70から返信される提供用データを取得する。表示制御部124,54は、アイテムコードCd及び装置コードCqを読み込むためのスキャン画面GA5,GA6等を、ディスプレイ117,47に表示させる。表示制御部124,54は、データ処理部123,53によって処理された提供用データに基づき、ログ閲覧画面をディスプレイ117,47に表示させる。
次に、コールドチェーン管理システムに荷物IMdの履歴情報を蓄積するための荷受け処理、冷凍装置紐付け処理、拠点処理及び荷渡し処理の詳細を、図6~図9に基づき、図1~図5を参照しつつ、以下説明する。
図6に示す荷受け処理は、流通関連会社LCのスタッフが発荷主から荷物IMdを預かる荷受け工程(図2参照)にて、スタッフ端末40及びデータ処理サーバ60によって実施される。スタッフ端末40は、情報登録アプリAPrを起動させる操作の入力に基づき、ディスプレイ47にトップ画面GA1(図5参照)を表示させる。トップ画面GA1には、複数の選択アイコンSI1~SI4が表示される。
スタッフ端末40は、選択アイコンSI2へのタップ操作に基づき、ディスプレイ47の表示をトップ画面GA1から記録開始画面GA2(図5参照)に遷移させる(S11)。記録開始画面GA2は、荷物IMdに紐付く履歴情報の記録開始をデータ処理サーバ60に登録するインターフェース画面である。記録開始画面GA2には、スキャンアイコンSIc、開始アイコンSIs及びキャンセルアイコン等が表示される。スタッフ端末40は、スキャンアイコンSIcのタップ操作に基づき、ディスプレイ47の表示をスキャン画面GA5(図5参照)に遷移させる。スタッフ端末40は、スキャン画面GA5にて撮影したアイテムコードCdを読み取り、アイテムIDを取得する(S12)。
スタッフ端末40は、開始アイコンSIs(図5参照)へのタップ操作に基づき、読み出したアイテムIDを、現在時刻(ID読取時刻)及び位置データ等と共にデータ処理サーバ60に送信する(S13)。データ処理サーバ60では、荷物情報処理部71、拠点情報処理部81及び拠点情報取得部91等の連携により、アイテムID等を含んだ荷受け情報が拠点情報保管チェーンBC1に登録される(S14)。
図7に示す冷凍装置紐付け処理は、発荷主からの荷受け直後又は各拠点TBにて、冷凍装置10の保冷ボックスへ荷物IMdを収納する工程(図2参照)で実施される。冷凍装置紐付け処理は、スタッフ端末40及びデータ処理サーバ60によって実施される。
スタッフ端末40は、トップ画面GA1の選択アイコンSI1(図5参照)へのタップ操作に基づき、ディスプレイ47に保冷ボックス設定画面GA3(図5参照)を表示させる(S21)。保冷ボックス設定画面GA3は、アイテムIDと保冷ボックスIDとを紐付けるセンサ連携情報をデータ処理サーバ60に登録するためのインターフェース画面である。保冷ボックス設定画面GA3には、2つのスキャンアイコンSIc、登録アイコンSIr及びキャンセルアイコン等が表示される(図5参照)。
スタッフ端末40は、スキャン画面GA5にて、保冷ボックスに収容される荷物IMdのアイテムコードCdを読み取り、アイテムIDを取得する(S22)。さらに、スタッフ端末40は、スキャン画面GA5にて、荷物IMdを収容する保冷ボックスの装置コードCqを読み取り、保冷ボックスIDを取得する(S23)。スタッフ端末40は、登録アイコンSIr(図5参照)のタップ操作に基づき、取得したアイテムID及び保冷ボックスIDを含むセンサ連携情報を、現在時刻(ID読取時刻)等と共にデータ処理サーバ60に送信する(S24)。
データ処理サーバ60では、温度情報処理部72,84及び温度情報取得部94等の連携により、温度情報保管チェーンBC2にセンサ連携情報が登録される(S25)。さらに、各計測情報のアップロードを開始するモニタリング装置20の保冷ボックスIDが、温度情報処理部84及び位置情報処理部87に通知される。以上により、冷凍装置紐付け処理が完了する。これにより、モニタリング装置20から温度情報取得部94への温度計測情報の送信(S26)と、モニタリング装置20から位置情報取得部97への位置計測情報の送信(S27)とが開始される。
以上により、荷物IMdに紐付く温度センサ21にて繰り返し計測される温度計測情報と、荷物IMdに紐付く位置センサ22にて繰り返し計測される位置計測情報とを、温度情報取得部94及び位置情報取得部97がそれぞれ受信を開始する。温度情報取得部94及び位置情報取得部97は、荷物IMdに紐づくアイテム情報であり、計測の周期が互いに異なる温度計測情報及び位置計測情報をそれぞれ取得する。
温度情報保存部95は、モニタリング装置20によって送信された温度計測情報の温度情報保管チェーンBC2への保存を開始する(S28)。同様に、位置情報保存部98は、モニタリング装置20によって送信された位置計測情報の位置情報保管チェーンBC3への保存を開始する(S29)。以上により、温度計測情報及び位置計測情報は、異なる複数のブロックチェーンBCに関連付けられて、個別に保存される。
モニタリング装置20は、データ処理サーバ60へのデータ送信を継続した状態で、輸送用トラックTV等によって輸送される。これにより、温度情報取得部94は、荷物IMdが拠点TBの間を移動する輸送期間にて、荷物IMdに紐づく温度センサ21によって計測された温度計測情報(輸送中温度データ)を取得する。同様に、位置情報取得部97は、荷物IMdの輸送期間にて、荷物IMdに紐付く位置センサ22によって計測された位置計測情報(輸送中位置データ)を取得する。
図8に示す拠点処理は、各拠点TBにて、輸送機関の冷凍装置10から荷物IMdを取り出す工程で実施される。拠点処理は、スタッフ端末40、データ処理サーバ60及び拠点端末30によって実施される。
スタッフ端末40は、冷凍装置紐付け処理を実施する場合と同様に、スタッフのタップ操作に基づき、保冷ボックス設定画面GA3を表示させる(S31)。スタッフ端末40は、スキャン画面GA5にて、保冷ボックスから取り出した荷物IMdのアイテムコードCdを読み取り、アイテムIDを取得する(S32)。さらに、スタッフ端末40は、スキャン画面GA5にて、荷物IMdを取り出した保冷ボックスの装置コードCqを読み取り、保冷ボックスIDを取得する(S33)。スタッフ端末40は、登録アイコンSIr(図5参照)のタップ操作に基づき、取得したアイテムID及び保冷ボックスIDを、現在時刻(ID読取時刻)等と共にデータ処理サーバ60に送信する(S34)。
データ処理サーバ60では、温度情報処理部72,84及び温度情報取得部94等の連携により、温度情報保管チェーンBC2に、荷物IMdと保冷ボックスとの紐付けを解消するセンサ連携情報が登録される(S35)。
拠点端末30は、拠点TBにおいて保冷ボックスから取り出された荷物IMdのアイテムコードCdをスキャナ31によって読み取り、アイテムIDを取得する(S36)。拠点端末30は、取得したアイテムID、予め設定された拠点ID、及び現在時刻(拠点通過時刻)等を含んだ拠点通過情報を、データ処理サーバ60に送信する(S37)。
データ処理サーバ60では、荷物情報処理部71、拠点情報処理部81及び拠点情報取得部91等の連携により、拠点情報保管チェーンBC1に、今回の拠点TBの通過を示す拠点通過携情報が登録される(S38)。
拠点TBにて仕分けられた荷物IMdは、次の輸送機関の保冷ボックスに収容される。このとき実施される冷凍装置紐付け処理(図7参照)により、荷物IMdのアイテムIDは、次の冷凍装置10の保冷ボックスIDと紐付けられた状態となる。
図9に示す荷渡し処理は、流通関連会社LCのスタッフが荷物IMdを着荷主に引き渡す工程(図2参照)にて、スタッフ端末40及びデータ処理サーバ60によって実施される。
スタッフ端末40は、選択アイコンSI3(図5参照)へのタップ操作に基づき、ディスプレイ47の表示をトップ画面GA1から記録停止画面GA4(図5参照)に遷移させる(S41)。記録停止画面GA4は、荷物IMdに紐付く履歴情報の記録終了をデータ処理サーバ60に登録するインターフェース画面である。記録停止画面GA4には、スキャンアイコンSIc、停止アイコンSIe及びキャンセルアイコン等が表示される。
スタッフ端末40は、記録停止画面GA4から遷移させたスキャン画面GA5にて、保冷ボックスから取り出した荷物IMdのアイテムコードCdを読み取り、アイテムIDを取得する(S42)。さらに、スタッフ端末40は、スキャン画面GA5にて、荷物IMdを取り出した保冷ボックスの装置コードCqを読み取り、保冷ボックスIDを取得する(S43)。スタッフ端末40は、停止アイコンSIe(図5参照)へのタップ操作に基づき、読み出したアイテムID及び保冷ボックスIDを、現在時刻(ID読取時刻)及び位置データ等と共にデータ処理サーバ60に送信する(S44)。
データ処理サーバ60では、荷物情報処理部71、拠点情報処理部81及び拠点情報取得部91等の連携により、荷物IMdの引渡し情報が拠点情報保管チェーンBC1に登録される(S45)。以上により、一つの荷物IMdについての流通過程における履歴情報を各ブロックチェーンBCに蓄積する一連の処理が終了される。
次に、コールドチェーン管理システムに蓄積した荷物IMdの履歴情報をユーザ端末110又はスタッフ端末40に提供する情報提供処理の詳細を、図11に基づき、図10及び図1~図4を参照しつつ、以下説明する。
図11に示す情報提供処理は、ユーザ端末110又はスタッフ端末40と、データ処理サーバ60とよって実施される。ユーザ端末110は、エンドユーザEUによるログ閲覧アプリAPbの起動操作に基づき、ディスプレイ117にスキャン画面GA6(図10参照)を表示させる(S111)。こうしたスキャン画面GA6は、トップ画面GA1に表示された選択アイコンSI4(図5参照)へのタップ操作により、スタッフ端末40のディスプレイ47に表示させることも可能である。そのため、以下説明するユーザ端末110の処理は、スタッフ端末40によっても実施可能である。
ユーザ端末110は、エンドユーザEUに届けられた荷物IMdに付属するアイテムコードCdを、スキャン画面GA6にて読み取り、アイテムIDを取得する(S112)。ユーザ端末110は、取得したアイテムIDを、当該アイテムIDに紐付く履歴情報(トレーサビリティ情報)の提供要求と共に、フロントサーバ70に送信する(S113)。フロントサーバ70は、要求受付部75にて、荷物IMdに紐づく情報の提供要求を受け付ける(S114)。
要求受付部75は、荷物情報処理部71及び拠点情報処理部81を経由して、拠点情報保管チェーンBC1を管理するブロックチェーンサーバ90に、アイテムIDに紐付く拠点通過情報、荷受け情報及び引渡し情報の提供を要求する(S115)。
ブロックチェーンサーバ90では、フロントサーバ70からの要求に応じて、拠点情報提供部93が、アイテムIDに紐付く拠点通過情報と、荷受け情報及び引渡し情報とを、拠点情報保管チェーンBC1の検索によって抽出する(S116)。拠点情報提供部93は、抽出した拠点通過情報等を、フロントサーバ70のデータ提供部76に提供する(S117)。これにより、データ提供部76は、拠点情報保管チェーンBC1によって管理される多数の拠点通過情報の中から、参照対象となる荷物IMdの拠点TBの通過を記録した特定の拠点通過情報を取得する。
要求受付部75は、各温度情報処理部72,84を経由して、温度情報保管チェーンBC2を管理するブロックチェーンサーバ90に、アイテムIDに紐付くセンサ連携情報及び温度計測情報の提供を要求する(S118)。
ブロックチェーンサーバ90では、フロントサーバ70からの要求に応じて、温度情報提供部96が、アイテムIDに紐付くセンサ連携情報を、温度情報保管チェーンBC2の検索によって抽出する。さらに、温度情報提供部96は、センサ連携情報の保冷ボックスIDをキーとして、温度情報保管チェーンBC2によって管理される温度計測情報の中から、アイテムIDに紐づく温度計測情報を検索によって抽出する(S119)。温度情報提供部96は、抽出した温度計測情報等を、フロントサーバ70のデータ提供部76に提供する(S120)。これにより、データ提供部76は、荷物IMdに紐づく温度計測情報を取得する。
要求受付部75は、温度情報提供部96から取得したセンサ連携情報に基づき、位置計測情報の取得に用いる少なくとも一つの保冷ボックスIDを把握する。センサ連携情報には、アイテムIDと一つ又は複数の保冷ボックスIDの紐付け及び紐付け解消の履歴が記録されている。要求受付部75は、各位置情報処理部73,87を経由して、位置情報保管チェーンBC3を管理するブロックチェーンサーバ90に、保冷ボックスIDに紐付く位置計測情報の提供を要求する(S121)。
ブロックチェーンサーバ90では、フロントサーバ70からの要求に応じて、位置情報提供部99が、位置計測情報を抽出する。具体的に、位置情報提供部99は、保冷ボックスIDをキーとして、位置情報保管チェーンBC3によって管理される位置計測情報の中から、保冷ボックスIDに紐づく位置計測情報を検索によって抽出する(S122)。位置情報提供部99は、抽出した位置計測情報を、フロントサーバ70のデータ提供部76に提供する(S123)。これにより、データ提供部76は、荷物IMdに紐づく位置計測情報を取得する。
データ提供部76は、各ブロックチェーンサーバ90から提供された拠点通過情報、温度計測情報及び位置計測情報を組み合わせて、ユーザ端末110に提供する提供用データを生成する(S124)。一例として、データ提供部76は、荷受け情報の開始時刻から引渡し情報の終了時刻までの時間範囲で、荷物IMdについて各情報を時間軸で纏めたリストデータ、移動軌跡データ、温度推移データ等を生成する。データ提供部76は、時間軸で纏めることにより、取得周期の異なる拠点通過情報、温度計測情報及び位置計測情報を、それぞれの計測周期に応じて組み合わせることができる。データ提供部76は、生成した提供データを、ユーザ端末110に送信によって提供する(S125)。
ユーザ端末110は、データ処理部123によって提供用データを取得すると、表示制御部124によってログ表示画面をディスプレイ117に表示させる(S126)。ユーザ端末110は、ログ閲覧アプリAPbにより、図10に示す一覧表示画面GA7、ルート表示画面GA8及び温度チャート表示画面GA9等をログ表示画面としてディスプレイ117に表示させる。
一覧表示画面GA7は、リストデータに基づき生成されるログ表示画面である。一覧表示画面GA7では、拠点通過情報が登録された拠点TBの拠点名と、その拠点TBの通過時刻がと少なくとも表示される。一覧表示画面GA7では、拠点間の移動中に計測された温度情報及び位置情報の一部が、リスト中に組み入れて表示されてもよい。
ルート表示画面GA8は、移動軌跡データに基づき生成されるログ表示画面である。ルート表示画面GA8では、荷受け場所及び引渡し場所をそれぞれ始点及び終点とする荷物IMdの輸送ルートTRが、地図上に表示される。輸送ルートTRは、拠点通過情報に記録された拠点位置データの間を、位置計測情報に記録された輸送期間の輸送中位置データによって補完することで生成される。ルート表示画面GA8は、荷物IMdがどのような輸送ルートTRを辿って到着したのかを知りたいユーザニーズを叶える情報提示を実施する。ルート表示画面GA8では、例えば、輸送中の温度計測情報に基づき、輸送ルートTRの表示色が変化する表示とされてもよい。
温度チャート表示画面GA9は、温度推移データに基づき生成されるログ表示画面である。温度チャート表示画面GA9では、横軸を時間軸とし縦軸を温度軸とする折れ線グラフが表示される。温度チャート表示画面GA9には、温度変化の折れ線グラフと共に、荷物IMdの収容に用いられた保冷ボックスIDがリスト表示されてもよい。
次に、輸送中の荷物IMdの到着をユーザ端末110に予告通知する予告通知処理の詳細を、図12に基づき、図3及び図4を参照しつつ、以下説明する。予告通知処理は、ユーザ端末110及びデータ処理サーバ60によって実施される。
ユーザ端末110は、エンドユーザEUによる到着予告アプリAPaの起動操作に基づき、ディスプレイ117に通知設定画面を表示させる(S141)。通知設定画面には、エンドユーザEUによってアイテムIDが入力される。アイテムIDは、例えば流通関連会社LCからのメール等の連絡手段により、エンドユーザEUに予め連絡されている。ユーザ端末110は、エンドユーザEUによって入力されたアイテムIDを取得する(S142)。
ユーザ端末110は、通知設定画面にて配達位置を設定する(S143)。一例として、GNSS受信機118にて取得される位置データが配達位置に入力される。荷物IMdに登録された配達先住所の位置データが、配達位置に自動入力されてもよい。こうした処理であれば、ユーザ端末110での配達位置設定は省略される。ユーザ端末110は、アイテムID及び配達場所情報を、アラート要求と共にデータ処理サーバ60(フロントサーバ70)に送信する(S144)。
フロントサーバ70は、ユーザ端末110から送信されるアラート要求と、要求元となるエンドユーザEU(着荷主)の位置データ等とを、配達位置情報として取得する。そして、フロントサーバ70は、アラート要求に基づき、アイテムIDが付属する荷物IMdについてのアラート設定を行う(S145)。
フロントサーバ70は、位置情報提供部99から荷物IMdに紐付く最新の位置計測情報(現在位置情報)を取得する(S146)。フロントサーバ70は、荷物IMdに紐付く位置センサ22にて計測される現在位置情報と配達位置情報との比較に基づき、アラート要求元であるエンドユーザEUに、荷物IMdが接近したか否かを判定する(S147)。フロントサーバ70は、荷物IMdがエンドユーザEUに接近していない場合、所定の周期で現在位置情報を更新し、接近判定を繰り返す。そして、例えば荷物IMdがエンドユーザEUまで1km程度の位置まで移動すると、フロントサーバ70は、荷物IMdが接近したと判定し、到達予告通知を要求元のユーザ端末110に送信する(S148)。ユーザ端末110は、フロントサーバ70から受信した到達予告通知に基づき、エンドユーザEUへの通知を実行する(S149)。
ここまで説明した第一実施形態では、荷物IMdに紐づくアイテム情報が、ブロックチェーンBCに関連付けて保存される。故に、荷物IMdに紐づく情報の改竄リスクの低減が可能になる。
加えて第一実施形態では、アイテム情報として取得される拠点通過情報、温度計測情報及び位置計測情報は、データ入力又はデータ計測の周期が互いに異なっている。そして、入力又は計測についての周期の異なる複数のアイテム情報が、異なる複数のブロックチェーンBCに関連付けて、個別に保存される。故に、各アイテム情報の記録周期が異なることで、蓄積される情報量に大きな違いが生じても、各ブロックチェーンBCに蓄積された情報の中から、荷物IMdに紐付く情報を検索する処理が遅延し難くなる。このように蓄積された情報の検索性を高めることによれば、改竄リスクの低減を図りつつ、蓄積した情報の利便性も確保することができる。
また第一実施形態では、荷物IMdに紐付く温度センサ21にて繰り返し計測された温度計測情報は、温度情報保管チェーンBC2に関連付けて保存される。一方で、荷物IMdに紐付く位置センサ22にて繰り返し計測された位置計測情報は、位置情報保管チェーンBC3に関連付けて保存される。以上のように、計測周期の異なる温度計測情報及び位置計測情報をそれぞれ別のブロックチェーンBCを用いて管理すれば、荷物IMdに紐付く温度計測情報及び位置計測情報を検索する処理が遅くなり難い。したがって、荷物IMdに紐付く詳細な履歴情報を、利便性を確保しつつ管理することが可能になる。
さらに第一実施形態では、荷物IMdの拠点TBの通過に関連する拠点通過情報が、ブロックチェーンBCに関連付けて保存される。このように、荷物IMdに紐付くアイテム情報をセンサ情報に限定せず、流通過程で入力される流通情報もブロックチェーンBCに保存するアイテム情報に含むことで、流通過程の全体像を示す一連の情報が、改竄リスクの低い状態で保管可能になる。
加えて第一実施形態では、拠点通過情報が、温度情報保管チェーンBC2及び位置情報保管チェーンBC3とは異なる拠点情報保管チェーンBC1に関連付けて保存される。拠点通過情報の入力周期は、温度計測情報及び位置計測情報と比較して、必然的に長くなる。故に、拠点通過情報を管理する拠点情報保管チェーンBC1を、センサ情報を管理するブロックチェーンBCと分けることにより、各アイテム情報の検索処理は、いっそう円滑に実施され得る。したがって、センサ情報だけでなく、拠点通過情報等の流通情報を改竄リスクの低い状態で保管しても、利便性の確保が可能になる。
さらに第一実施形態では、位置計測情報の計測周期が、荷物IMdの輸送に関連する輸送情報に基づき変更される。こうした輸送情報に基づく計測周期の調整によれば、荷物IMdの輸送ルートTRの再現精度が確保され易くなる。その結果、荷物IMdに紐付く履歴情報の利便性が向上する。
より詳しく説明すると、物流における輸送ルートTR(図10参照)を表示する場合、長く複雑な移動軌跡を描画しようとすると、高頻度に位置データを計測及び蓄積する必要がある。その結果、ブロックチェーンサーバ90においては、位置計測情報のファイルサイズが大きくなってしまう。また、輸送中の移動速度が異なるために、一定周期で位置データを計測した場合、位置データが密になりすぎたり、位置データが疎になりすぎたりする虞がある。
一例として、図13に示す比較例1のルート表示画面GA8では、個々の位置データの示す計測ポイントPdの間を直線的に結ぶことで、輸送ルートTRxが描画されている。そのため、位置データが疎になると、表示された輸送ルートTRxは、地図上の道路から外れた形状となってしまう。
また別の一例として、図14に示す比較例2のルート表示画面GA8では、一般的なナビゲーション装置のルート検索と同様の機能を使用し、少ない位置データの計測ポイントPdから移動軌跡が再現されている。しかし、ルート検索の機能を応用した輸送ルートTRxでは、例えば高速道路に沿った一般道を移動した場合に(図14 破線参照)、あたかも高速道路に乗っているかのような誤った輸送ルートTRxが生成されてしまう。
対して第一実施形態では、輸送情報に基づき、荷物IMd輸送速度が高くなるほど、位置計測情報の計測周期が短くされる。具体的には、輸送用トラックTVのスピードに応じて、低速の際は計測頻度を下げ、高速の際は計測頻度を上げる。以上の調整によれば、位置計測情報の取得周期、言い替えれば、図15に示すような計測ポイントPdの地図上での間隔が、適切になり得る。その結果、ルート表示画面GA8に表示させる輸送ルートTRは、道路から外れ難くなり、且つ、高速道路か一般道かも正しく示すことができる。
一例として、第一実施形態では、計測ポイントPdが50m間隔程度で表示されるように、コントローラ23は、位置情報の計測周期を調整する。その結果、ルート表示画面GA8では、違和感のない輸送ルートTRの表示が実現される。
また第一実施形態では、位置計測情報の計測の周期は、荷物IMdを輸送する輸送機関の種別に応じて変更される。例えば、航空機及び船等のように直線的に移動する輸送機関で荷物IMdを輸送する場合には、計測頻度が低減される。その結果、蓄積される位置計測情報のデータ量を抑えつつ、航空機及び船等による輸送ルートTRが違和感なく表示される。一方で、輸送用トラックTV及び荷車TC等の輸送機関で荷物IMdを輸送する場合には、計測頻度が高められる。その結果、地図上の道路に沿った違和感のない輸送ルートTRの表示が可能になる(図15参照)。
さらに第一実施形態では、荷物IMdの形態に関連する形態情報に基づき、温度計測情報の計測の周期が調整される。故に、温度変化し易い荷物IMdを輸送する場合、計測頻度を高めて、低温管理を厳密に実施することが可能になる。一方、温度変化し難い荷物IMdを輸送する場合、計測頻度を低くして、温度計測情報の蓄積データ量の低減が可能になる。
加えて第一実施形態では、荷物IMdの体積に対する表面積が小さくなるほど、位置計測情報の計測の周期は長くされる。体積に対する表面積が小さくなるほど、荷物IMdの温度は変化し難くなる。対して、体積に対する表面積が大きくなるほど、荷物IMdの温度は変化し易くなる。故に、荷物IMdの体積及び表面積を指標として用いることで、低温管理の信頼性確保と蓄積データ量の抑制とのバランスが適切になり得る。尚、荷物IMdの体積及び表面積は、スタッフ端末40のカメラ46での荷物IMdの撮影により、画像解析等によって推定されてよい。
また第一実施形態では、提供要求の要求元に提供される情報が、ブロックチェーンBCを用いて管理される。故に、荷物IMdに紐づく情報の改竄リスクの低減が可能になる。
具体的に第一実施形態では、温度情報保管チェーンBC2によって管理される情報の中から荷物IMd紐づく特定の温度計測情報が取得され、別の位置情報保管チェーンBC3によって管理される情報の中から荷物IMd紐づく特定の位置計測情報が取得される。そして、温度計測情報及び位置計測情報を組み合わせて、要求元に提供する提供用データが生成される。以上のように、別々の情報保管チェーンBC2,BC3によって保管された計測情報を個別に取得すれば、一つの荷物IMdに複数種類の計測情報が紐付いていても、各計測情報の検索性が確保され易くなる。したがって、ブロックチェーンBCを用いて管理された履歴情報を提供する処理が、効率的に実施可能になる。
さらに第一実施形態では、計測周期の異なる温度計測情報及び位置計測情報を、それぞれの計測周期に応じて組み合わせる処理により、提供用データが生成される。以上のように、時間軸を基準にすれば、別々のブロックチェーンBCに保存された計測周期の異なる各計測情報であっても、データ提供部76は、整理された提供用データとして纏めることができる。その結果、エンドユーザEUにとって分かり易い情報提供が実現される。
加えて第一実施形態では、位置計測情報に、拠点TB間を移動する輸送機関にて記録された輸送中位置データが位置計測情報に含まれている。故に、個々の拠点TBで記録される大まかな情報だけでなく、荷物IMdが実際に移動した輸送ルートTRを、ルート表示画面GA8等によって、エンドユーザEUに知らせることが可能になる。その結果、エンドユーザEUによって利便性の高い情報提供が実現される。
また第一実施形態では、拠点通過情報に位置計測情報が組み合わされ、拠点通過情報に記録された各拠点TBの拠点位置データの間を、輸送期間の輸送中位置データによって補完した移動軌跡データが、提供用データとして生成される。その結果、荷物IMdが実際に移動した輸送ルートTRが、より精度良くルート表示画面GA8に表示され得る。
加えて、移動中の荷物IMdの履歴情報をユーザ端末110又はスタッフ端末40にて閲覧可能とすれば、エンドユーザEU又はスタッフは、最新の荷物IMdの現在位置を、リアルタイムに把握することができる。その結果、履歴情報の利便性は、いっそう向上する。
さらに第一実施形態では、位置センサ22にて計測される現在位置情報と、エンドユーザEUの指定する配達位置情報との比較に基づき、荷物IMdがエンドユーザEUに接近した場合に、到着予告通知が実施される。こうした到着予告通知によれば、データ処理サーバ60に高頻度で送信される荷物IMdの位置計測情報が有効に活用される。その結果、着荷主となるエンドユーザEUの利便性が、いっそう確保され易くなる。
尚、第一実施形態において、温度計測情報が「アイテム情報」,「第一情報」及び「特定第一情報」に相当し、位置計測情報が「第二計測情報」,「第二情報」及び「特定第二情報」に相当する。また、拠点通過情報が「アイテム情報」,「拠点情報」及び「特定拠点情報」に相当する。さらに、拠点情報保管チェーンBC1が「第三ブロックチェーン」に相当し、温度情報保管チェーンBC2が「第一ブロックチェーン」に相当し、位置情報保管チェーンBC3が「第二ブロックチェーン」に相当する。そして、荷物IMdが「流通アイテム」に相当し、拠点TBが「中継拠点」に相当し、データ処理サーバ60が「コンピュータ」に相当する。
(第二実施形態)
図16~図18に示す本開示の第二実施形態において、サプライチェーン管理システムは、サプライチェーンSCの管理に適用される。サプライチェーンSCは、複数の取引者を含んで構築されており、例えば工業製品、農業製品及び水産物等をエンドユーザEUに届けるための取引者同士の繋がりである。取引者には、材料採掘業者、材料生産者、加工業者及び試験業者等のサプライヤSPに加えて、アッセンブリメーカーMF、流通業者LG、リサイクル業者及び販売業者等が含まれていてよい。サプライチェーンSCにおいて、一つのサプライヤSP(例えば、採掘業者)での工程を経た製造物は、流通業者LGを通じて次のサプライヤSP(例えば、加工業者)に引き渡される。アッセンブリメーカーMFには、多数のサプライヤSPによって製造された製造物がそれぞれ流通業者LGを通じて納入される。
サプライチェーン管理システム(図17参照)は、サプライチェーンSCにおいて、各取引者間にて取引されるアイテムの取引記録等を管理する。取引記録は、取引者間で取引されるアイテムのトレーサビリティを実現する履歴情報であり、取引が発生した時間及び場所等を示す多数の情報を含んでいる。アイテムが工業製品である場合、例えば原材料に関わる情報、加工及び組立に関わる情報、並びに流通経路等が取引記録に含まれている。アイテムが食料品である場合、賞味期限又は消費期限を示す情報が取引記録にさらに含まれていてもよい。
サプライチェーン管理システムは、アイテムの製造及び流通の各過程において生成されるアイテム情報の一つとして、アイテムの製造及び流通により排出される温室効果ガスの排出量(以下、カーボンリリース量)に関連する情報の収集及び蓄積を行う。カーボンリリース量に関連する情報は、取引記録に関連付けて保存される。サプライチェーン管理システムは、取引記録と同様に、ブロックチェーンBCの技術を用いて、改竄できないようにカーボンリリース量に関連する情報を保存する。
サプライチェーン管理システムは、蓄積した情報を用いてアイテムのカーボンリリース量を算出し、カーボンフットプリントとしてエンドユーザEU等に提示可能である。サプライチェーン管理システムは、エンドユーザEUに提供される最終製品IMpのカーボンフットプリントだけでなく、取引者毎のカーボンリリース量、及び特定の取引者までの累積でのカーボンリリース量も提示可能である(図22~図25参照)。さらに、サプライチェーン管理システムは、エンドユーザEUの最終製品IMpの利用によるカーボンリリース量の収集及び蓄積と、利用分を含んだ累積のカーボンフットプリントの提示とを実施可能であってもよい。
尚、上記のアイテムの製造には、アイテムの原材料の採掘及びリサイクル等の工程が含まれていてよい。加えて、アイテムの焼却及び埋め立て等の廃棄に関連する工程でのカーボンリリース量が、サプライチェーン管理システムの管理対象とされてもよい。また、排出量が記録される温室効果ガスは、二酸化炭素のみであってもよく、二酸化炭素以外の温室効果ガス、具体的には、メタン、亜酸化窒素、ハイドロフルオロカーボン類、パーフルオロカーボン類及び六フッ化硫黄等を適宜含んでいてもよい。この場合、二酸化炭素以外の温室効果ガスの排出量は、二酸化炭素の排出量に換算されて、提示されるカーボンフットプリントの値に算入される。
サプライチェーン管理システムは、一例として、電動車両用又は産業用の充電式バッテリ(以下、バッテリBAT)に関連する情報の管理に適用され、バッテリBATに関連する取引記録及びカーボンフットプリントの提示を可能にする。バッテリBATは、複数のバッテリセルを組み合わせたバッテリモジュールであってもよく、さらに複数のバッテリモジュールを組み合わせたバッテリユニット(又はバッテリーパック)等であってもよい。個々のバッテリセルには、ニッケル水素バッテリ、リチウムイオンバッテリ及びナトリウムバッテリ等が採用可能である。またカーボンフットプリントの記録対象とされるバッテリBATは、所定の容量(例えば、2kWh)を超えるバッテリモジュールに限定されてもよく、又は所定の容量以下の構成であってもよい。
バッテリBATは、例えば一次利用として(図16 F国参照)、電気自動車、プラグインハイブリット車又は燃料電池車等に使用される。さらに、バッテリBATは、二次利用として(図16 G国参照)、災害時のバアックアップ電源又は再生可能エネルギを蓄える蓄電池として利用される。サプライチェーン管理システムは、上記のような利用が想定されたバッテリBATのライフサイクル全体にわたって、履歴情報及びカーボンリリース量等の管理を可能にする。
サプライチェーン管理システムは、サプライヤ端末230、輸送者端末240、モニタリング装置220、及びデータ処理サーバ60等によって構築されている。サプライチェーン管理システムを構成する各要素は、それぞれ一つのノードとしてネットワークに接続されている。
サプライヤ端末230は、最終製品IMp(バッテリBAT等)の製造工程に関わるサプライヤSP又はアッセンブリメーカーMFによって運用される。サプライヤ端末230は、例えばサプライヤSP及びアッセンブリメーカーMFの製造拠点に設置されている。製造拠点には、前工程のサプライヤSPの製造拠点から出荷された中間製造物が納入される。納入された中間製造物は、製造拠点において加工等の処理を施され、新たな中間製造物として後工程のサプライヤSP又はアッセンブリメーカーMFの製造拠点に出荷される。
各サプライヤSPから出荷される中間製造物及び最終製品IMp等のアイテムには、アイテムIDを記録したアイテムコードCdがそれぞれ付属されている。一例として、アイテムIDを含んだ二次元コードを紙媒体に印刷してなるアイテムコードCdが、各アイテムの本体又は梱包物等に添付される。アイテムIDは、個々のアイテムを識別する固有のデータである。アイテムIDは、予め規定されたルールに基づき生成された数字等の並びであってもよく、流通履歴を示すデータから生成されたハッシュ値等であってもよい。アイテムIDは、各サプライヤSPでの工程を経る毎に変更(更新)されてもよく、又は複数のサプライヤSPによって継続利用されてもよい。サプライチェーン管理システムでは、データ処理サーバ60からサプライヤ端末230にアイテムIDが提供され、アイテムIDに紐づく形式で、アイテム情報が管理される。
サプライヤ端末230は、第一実施形態の拠点端末30(図1参照)と同様に、アイテムコードCdを読み取り可能なスキャナ又はカメラ等と接続されており、ディスプレイ及び制御回路を備えている。スキャナ又はカメラ等は、サプライヤ端末230の構成として、サプライヤ端末230と一体化されていてもよい。サプライヤ端末230は、製造拠点において、アイテムの製造に関連して使用される電力及びエネルギ資源の少なくとも一方の使用量をサプライチェーン管理システムに登録する。
電力及びエネルギ資源の使用量を示す使用量情報は、カーボンリリース量を算出するための情報である。電力の使用量を示す使用量情報(以下、電力使用量情報)には、電力が生産(発電)された国又は地域を示す生産地情報が紐付けられる(図16参照)。生産地情報には、国又は地域等とは異なる範囲の指定が実施されていてもよい。例えば、特定の国において、再生可能エネルギの発電比率の高いエリア(州,県,特区等)が、生産地として登録されてもよい。また電力使用量情報には、例えば、水力、火力、風力、地熱、原子力及び太陽光等の発電方法を示す種別情報や、再生可能エネルギによる発電か否かを示す情報等がさらに紐付けられていてもよい。
エネルギ資源の使用量を示す使用量情報(以下、燃料使用量情報)には、エネルギの種別を示す種別情報と、エネルギ資源が生産(採掘)された国又は地域を示す生産地情報が紐付けられる(図16参照)。エネルギ資源は、例えば原油、石炭、天然ガス及び水素等の燃料である。燃料使用量情報は、エネルギ資源(燃料)の種別毎、かつ、生産地毎に、データ処理サーバ60に保存される。
サプライヤ端末230は、電力使用量情報及び燃料使用量情報に加えて、アイテムの製造に使用されたカーボンリリース量を算出し、算出したカーボンリリース量をサプライチェーン管理システムに登録可能であってもよい。アイテム毎のカーボンリリース量(Production Cost)は、製造拠点から排出される温室効果ガスの総量を、製造拠点において製造されるアイテム数で割ることによって算出される(下記の数式1を参照)
上記の数式1では、i:製造拠点の識別記号、C
f:製造拠点の秒あたりの排出量、N
f:製造拠点の秒あたりのアイテムの製造個数、をそれぞれ意味している。
サプライヤ端末230は、アイテムの製造に関連する電力使用量情報及び燃料使用量情報をデータ処理サーバ60に送信するための処理として、製造使用量保存処理(図19参照)を実施する。サプライヤ端末230は、情報登録のためのスタッフ操作に基づき、ディスプレイに記録開始画面を表示させる(S211)。記録開始画面を表示させた状態で、スキャナ等により、出荷されるアイテムに付属するアイテムコードCdが読み取られる(S212)。
サプライヤ端末230は、アイテムコードCdを読み取ったアイテムについて、製造に使用された使用量情報を取得する(S213)。サプライヤ端末230は、使用量情報に加えて、上述の生産地情報及び種別情報をさらに取得する。サプライヤ端末230は、製造拠点に設置されたセンサ群の収集情報に基づいて自動計算された使用量情報等を取得してもよく、又は製造拠点のスタッフによって入力される値を取得してもよい。サプライヤ端末230は、アイテムコードCdに記録されたアイテムIDと、使用量情報、生産地情報及び種別情報等とを、データ処理サーバ60へ向けて送信する(S214)。
データ処理サーバ60は、サプライヤ端末230から受信したアイテムID及び使用量情報等を受信によって取得する(S214)。データ処理サーバ60は、アイテムIDと紐付け可能な状態で、使用量情報等をブロックチェーンBCに関連付けて保存する(S215)。使用量情報には、使用量情報の取得時刻(受信時刻)等がさらに紐付けられていてもよい。
データ処理サーバ60は、電力及び燃料の種別毎に、生産地情報を紐付けて、電力及び燃料の使用量情報を保存する。具体的には、「A国産原油_kl」、「B国産原油_kl」、「C国産石炭_kg」、「D国産石炭_kg」、「E国産電力_kWh」といった形式で、使用量情報がブロックチェーンBCに蓄積される(図16参照)。種別毎の使用量情報は、一つのブロックチェーンBCに纏めて蓄積されてもよく、複数のブロックチェーンBCに種別及び生産地毎に蓄積されてもよい。第二実施形態では、電力使用量情報を蓄積するための電力情報保管チェーンBC21と、燃料使用量情報を蓄積するための燃料情報保管チェーンBC22とが、個別に設けられている(図18参照)。
輸送者端末240及びモニタリング装置220は、中間製造物又は最終製品等のアイテムの流通工程を担う流通業者LGによって運用される。輸送者端末240は、流通業者LGの各拠点TB(図2参照)に設置された固定端末であってもよく、輸送用トラックTV及び荷車TC(図2参照)等の輸送手段TPを操作するスタッフが携行する携帯端末であってもよい。輸送者端末240は、第一実施形態の拠点端末30及びスタッフ端末40(図1参照)に相当する機能を有している。輸送者端末240は、アイテムコードCd等を読み取るためのカメラ又はスキャナ等と、ディスプレイ及び制御回路等とを有している。
モニタリング装置220は、アイテムを搬送する輸送パレット又は輸送ボックス等に設けられている。モニタリング装置220は、多数のアイテムを収容した輸送パレット又は輸送ボックス等と共に輸送手段TPに搭載され、アイテム等と共に搬送される。輸送パレット及び輸送ボックスには、輸送IDを記録した流通コードがそれぞれ設けられている。輸送用IDは、輸送パレット及び輸送ボックスを識別する固有のデータである。流通コードは、例えばQRコード等の二次元コードであり、紙媒体等に印刷された状態で、輸送パレット又は輸送ボックス等の外表面に貼り付けられている。
モニタリング装置220は、アイテムに紐づく計測情報を繰り返し取得し、取得した計測情報をアイテム情報としてデータ処理サーバ60にアップロードする。モニタリング装置220は、第一実施形態のモニタリング装置20(図1参照)と実質同一の位置センサ22、コントローラ23及びデータ送信機24に加えて、情報インターフェース221を備えている(図18参照)。情報インターフェース221は、輸送手段TPに搭載された通信ネットワーク又は制御装置と、有線又は無線等によって通信可能に接続される。情報インターフェース221は、輸送手段TPによって消費された電力又は燃料の使用量を周期的に取得する。
ここで、情報インターフェース221によって取得される使用量情報は、輸送手段TPに搭載される動力源の種別に応じて変更される。走行用のバッテリが輸送手段TPに搭載されており、バッテリに蓄えられた電力を消費して輸送手段TPが走行する場合、情報インターフェース221は、走行に使用した電力の使用量を示す電力使用量情報を把握する。また、内燃機関又は燃料電池が輸送手段TPに搭載されており、燃料を消費して輸送手段TPが走行する場合、情報インターフェース221は、消費された燃料の種類を示す種別情報と、燃料の使用量を示す使用量情報とを把握する。燃料は、例えばガソリン、軽油、水素、液化石油ガス及び圧縮天然ガス等のエネルギ資源である。情報インターフェース221は、使用量情報等と共に、消費された燃料の生産地を示す生産地情報を取得可能であってよい。さらに、輸送手段TPが電力及び燃料の両方を走行に使用可能な場合、情報インターフェース221は、電力及び燃料の各使用量情報等を取得する。
モニタリング装置220は、第一実施形態と同様に、輸送手段TPの速度情報及び種別情報等に基づき、使用量情報及び位置情報の計測周期を、コントローラ23の制御によって逐次変更する。モニタリング装置220は、種別情報等の付属する使用量情報と現在の位置情報とを、モニタリング装置220を識別するセンサIDと紐付けて、逐次又は一定の時間間隔にてデータ処理サーバ60に送信する。第二実施形態でも、センサID及び輸送IDの一方が、他方を兼ねていてよい。即ち、センサID及び輸送IDは、同一の識別情報であってよい。モニタリング装置220は、輸送手段TPにおいてアイテムの流通に関連して使用される電力及び燃料の少なくとも一方の使用量を、サプライチェーン管理システムに登録する。
モニタリング装置220又はデータ処理サーバ60は、電力使用量情報及び燃料使用量情報に加えて、アイテムの流通に使用されたカーボンリリース量を算出し、算出したカーボンリリース量をサプライチェーン管理システムに登録可能であってもよい。アイテム毎のカーボンリリース量(Delivery Cost)は、輸送手段TPから排出される温室効果ガスの総量、アイテムの重量及び輸送距離等から算出される(下記の数式2を参照)
上記の数式2では、j:輸送手段の識別記号、C
t:重量及び距離あたりの輸送手段の排出量、w:アイテムの一つあたりの重量、d:輸送手段が移動した輸送距離、をそれぞれ意味している。輸送距離には、位置センサ22にて継続的に計測される輸送中の位置データから特定される実際の輸送ルートの距離が採用される。
輸送者端末240は、アイテムの流通に関連する電力使用量情報及び燃料使用量情報をデータ処理サーバ60に保存するための処理として、センサ登録処理(図20参照)及び登録解除処理(図21参照)を実施する。センサ登録処理は、輸送手段TP(モニタリング装置220)をアイテムに紐付けるため、製造拠点からの出荷時、言い替えれば、流通業者LGの荷受時において、アイテムID及びセンサID(又は輸送ID)を、データ処理サーバ60に通知する処理である。登録解除処理は、流通業者LGからの引き渡し時、言い替えれば、製造拠点への納入時において、モニタリング装置220とアイテムとの紐付け解除をデータ処理サーバ60に要求する処理である。
センサ登録処理において、輸送者端末240は、各IDの登録のため、スタッフ操作に基づき、ディスプレイに流通設定画面を表示させる(S221)。流通設定画面を表示させた状態で、カメラ等により、出荷されるアイテムに付属するアイテムコードCdが読み取られる(S222)。さらに、輸送パレット又は輸送ボックス等に付属する流通コードが読み取られる(S223)。各コードの読み取り順序は、適宜変更されてよい。輸送者端末240は、アイテムコードCdから抽出したアイテムIDと、流通コードから抽出した輸送ID(センサIDと同一情報)とを、センサ連携情報として、データ処理サーバ60へ向けて送信する(S224)。
データ処理サーバ60は、輸送者端末240から受信したセンサ連携情報を受信によって取得する(S224)。データ処理サーバ60は、取得したセンサ連携情報を登録する(S225)。以上により、搬送中のアイテムに、モニタリング装置220が関連付けられる。データ処理サーバ60は、アイテムと共に輸送手段TPによって輸送されるモニタリング装置220から、使用量情報及び位置計測情報を受信によって取得する(S226及びS227)。データ処理サーバ60は、アイテムIDに紐付けての使用量情報及び位置計測情報の保存を開始する(S228及びS229)。以上により、使用量情報及び位置計測情報は、電力情報保管チェーンBC21、燃料情報保管チェーンBC22及び位置情報保管チェーンBC3(図18参照)に関連付けられた状態で保存される。
登録解除処理においても、輸送者端末240は、ディスプレイに流通設定画面を表示させる(S231)。流通設定画面を表示させた状態で、カメラ等により、引き渡しされるアイテムに付属するアイテムコードCdが読み取られる(S232)。さらに、輸送パレット又は輸送ボックス等に付属する流通コードが読み取られる(S233)。各コードの読み取り順序は、適宜変更されてよい。輸送者端末240は、アイテムID及び輸送ID(センサID)を、解除要求と共にデータ処理サーバ60へ向けて送信する(S234)。データ処理サーバ60は、輸送者端末240から受信した解除要求に基づき、センサ連携情報を削除し(S235)、アイテムとモニタリング装置220との関連付けを解除する。尚、流通業者LGからアイテムが引き渡されたサプライヤSP等では、納入されたアイテムのアイテムコードCdを読み取る納入処理がサプライヤ端末230を用いて実施される。
データ処理サーバ60は、タイムスタンプサーバ140及びアプリ配信サーバ150と共にサプライチェーン管理システムのプラットフォーマーPFによって管理されるサーバ装置である。データ処理サーバ60は、第一実施形態と同様に、プロセッサ61、RAM62、記憶部63、入出力インターフェース64、及びこれらを接続するバス等を備えた制御回路60aを主体とするコンピュータである(図17参照)。データ処理サーバ60は、多数のサプライヤ端末230、多数の輸送者端末240及び多数のモニタリング装置220とネットワークを通じて通信可能である。サプライチェーン管理システムでは、フロントサーバ70と、複数(3つ)の情報中継サーバ80、及び複数(3つ)のブロックチェーンサーバ90とが、データ処理サーバ60として設けられている(図18参照)。
フロントサーバ70は、情報管理プログラム及び情報提供プログラムに基づく機能部として、第一実施形態と実質同一の位置情報処理部73、要求受付部75及びデータ提供部76と、使用量情報処理部271とを備える。使用量情報処理部271は、アイテムの製造に関連して使用される電力使用量情報及び燃料使用量情報等を、サプライヤ端末230から受信する。使用量情報処理部271は、センサ連携情報及び解除要求等を輸送者端末240から受信する。使用量情報処理部271は、受信によって取得した使用量情報及びセンサ連携情報等を、情報中継サーバ80に送信する。
情報中継サーバ80は、使用量情報及び位置計測情報等をモニタリング装置220及びフロントサーバ70から受信し、ブロックチェーンサーバ90に送信する。電力使用量情報を受信する情報中継サーバ80には、情報管理プログラム及び情報提供プログラムに基づく機能部として、電力情報処理部281が構築されている。同様に、燃料使用量情報を受信する情報中継サーバ80には、情報管理プログラム及び情報提供プログラムに基づく機能部として、燃料情報処理部284が構築されている。同様に、電力情報処理部281は、電力使用量情報を蓄積するブロックチェーンサーバ90に、受信情報を送信する。燃料情報処理部284は、燃料使用量情報を蓄積するブロックチェーンサーバ90に、受信情報を送信する。
ブロックチェーンサーバ90は、情報中継サーバ80によって中継された使用量情報又は位置計測情報等を取得し、取得した情報をブロックチェーンBCによって管理する。電力使用量情報を管理するブロックチェーンサーバ90には、情報管理プログラム及び情報提供プログラムに基づく機能部として、電力情報取得部291、電力情報保存部292及び電力情報提供部293が構築される。同様に、燃料使用量情報を管理するブロックチェーンサーバ90には、燃料情報取得部294、燃料情報保存部295及び燃料情報提供部296が構築される。
各情報取得部291,294は、アイテムID及び使用量情報等を情報処理部281,284から取得する。各情報保存部292,295は、各情報取得部291,294にて取得された使用量情報等を、電力情報保管チェーンBC21又は燃料情報保管チェーンBC22に関連付けて保存する。各情報提供部293,296は、各情報保管チェーンBC21,BC22に保管された情報の中から、アイテムIDに紐づく使用量情報を抽出する。各情報提供部293,296は、抽出した使用量情報を、情報処理部281,284を中継して、使用量情報処理部271に送信する。
次に、カーボンフットプリント参照アプリ(以下、CF参照アプリAPc)又はログ閲覧アプリAPbを利用して、アイテムのカーボンフットプリントを確認する方法を説明する。CF参照アプリAPc及びログ閲覧アプリAPbは、アプリ配信サーバ150によってユーザ端末110、サプライヤ端末230及び輸送者端末240等に配信される。
CF参照アプリAPc(図18参照)は、アイテムのカーボンフットプリントを参照するためのアプリケーションプログラムである。エンドユーザEUのユーザ端末110にインストールされたCF参照アプリAPcは、主に最終製品IMpのカーボンフットプリントを確認するために使用される。
ユーザ端末110は、エンドユーザEUによるCF参照アプリAPcの起動操作に基づき、ディスプレイ117にスキャン画面GA21(図22参照)を表示させる。エンドユーザEUは、ユーザ端末110にスキャン画面GA21を表示させた状態で、最終製品IMpに付属するアイテムコードCdを撮影する。ユーザ端末110は、スキャン画面GA21でのアイテムコードCdの撮影が成功すると、ディスプレイ117にフットプリント表示画面GA22(図22参照)を表示させる。フットプリント表示画面GA22には、最終製品IMpに設定された仕向地と、最終製品IMpのカーボンフットプリントとが表示される。フットプリント表示画面GA22には、最終製品IMpの物品名等がさらに表示されてもよい。
ここで、カーボンフットプリントの計算方法は、一義的には決められておらず、複数の条件に応じて変更される。詳記すると、最終製品IMpが使用される国又は地域、言い替えれば、最終製品IMpの仕向地に応じて、カーボンフットプリントの計算方法が異なってくる。加えて、製造又は流通に同じエネルギ資源(燃料)を使用している場合でも、エネルギ資源を生産した生産地に応じて、カーボンフットプリントの計算方法は、異なってくる。さらに、仕向地が確定した最終製品IMpであっても、例えばリサイクル(二次利用)等によって別の仕向地(図16 G国参照)に渡った場合、カーボンフットプリントの計算方法は、変更される必要がある。
以上の背景を考慮し、CF参照アプリAPcでは、仕向地を変更するユーザ操作が可能となっている。エンドユーザEUは、仕向地の横に表示された選択ボタンSBのタップ操作により、仕向地を変更できる。ユーザ端末110は、選択された仕向地に対応する計算方法で計算されたカーボンフットプリントを、フットプリント表示画面GA22に表示させる。
CF参照アプリAPcは、サプライヤ端末230又は輸送者端末240にインストールされた場合、仮設定された仕向地に対応する計算方法で計算されたカーボンフットプリントを表示可能である。これは、中間製造物の段階では、最終製品IMpの仕向地が未定である場合が多いことを考慮した機能である。尚、ユーザ端末110にインストールされるCF参照アプリAPcも、サプライヤ端末230又は輸送者端末240にインストールされるCF参照アプリAPcと同様に、仮設定された仕向地に対応したカーボンフットプリントを表示可能であってよい。
サプライヤ端末230又は輸送者端末240(以下、端末230,240)は、CF参照アプリAPcの起動操作に基づき、ユーザ端末110と同様に、スキャン画面GA21(図23参照)をディスプレイに表示させる。中間製造物又は最終製品IMpに付属されたアイテムコードCdが端末230,240によって読み取られると、ディスプレイには、フットプリント表示画面GA23~GA25(図23参照)のいずれかが表示される。
フットプリント表示画面GA23は、アイテムの仕向地が確定していない場合に表示される画面である。例えば、材料採掘又は加工を行うサプライヤSP、或いは中間製造物を搬送する流通業者LG等(図16参照)にて、カーボンフットプリントが参照された場合、フットプリント表示画面GA23が表示される。フットプリント表示画面GA23には、カーボンフットプリントを計算するために仮設定された仕向地、現工程でのカーボンフットプリント、及び現工程までの排出量を積算したカーボンフットプリントが表示される。各カーボンフットプリントは、仮設定された仕向地に対応する計算方法で算出された値である。各カーボンフットプリントの値には、仮計算された数値であることを示す表示が付記される。
フットプリント表示画面GA24は、仕向地が確定している場合に表示される画面である。例えば、最終製品IMpの組み立てを行うアッセンブリメーカーMF(図16参照)にて、カーボンフットプリントが参照された場合、フットプリント表示画面GA24が表示される。フットプリント表示画面GA24には、確定している仕向地、現工程でのカーボンフットプリント、及び現工程までの排出量を積算したカーボンフットプリントが表示される。各カーボンフットプリントの値には、確定した数値であることを示す表示が付記される。
フットプリント表示画面GA25は、同一のアイテムIDで管理されるアイテムのうちで、一部のアイテムの仕向地が確定しており、残りのアイテムの仕向地が確定していない場合に表示される画面である。例えば、同一ロットの原材料又は部品等が中間製造物として複数の国に輸出される場合に、仕向地が一部未定となる。フットプリント表示画面GA25には、未定分に対して仮設定された仕向地、現工程でのカーボンフットプリント、現工程までの排出量を積算したカーボンフットプリントに加えて、既に確定している仕向地が表示される。フットプリント表示画面GA25では、一部の仕向地が未定であることを示す表示が、仮設定された仕向地、及び各カーボンフットプリントの値に付記される。
ログ閲覧アプリAPbは、サプライチェーン管理システムに蓄積された取引記録を参照するためのアプリケーションプログラムである。ログ閲覧アプリAPbは、CF参照アプリAPcと同様の機能を有しており、カーボンフットプリントを取引記録と共に提示できる。ログ閲覧アプリAPbをインストールされたユーザ端末110、サプライヤ端末230及び輸送者端末240(以下、端末110,230,240)は、ユーザの起動操作に基づき、スキャン画面GA21(図22及び図23参照)をディスプレイに表示させる。アイテムに付属されたアイテムコードCdが端末110,230,240によって読み取られると、ディスプレイには、履歴表示画面GA26(図24参照)が表示される。
最初に表示される履歴表示画面GA26には、現在(最後)の工程の詳細が表示される。履歴表示画面GA26には、取引記録として、商品名、出荷日又は製造日、会社名、アイテム数(出荷数)、生産地、及び製造工程の実施された拠点名等が表示される。加えて履歴表示画面GA26には、表示中の工程でのカーボンフットプリント、及び表示中の工程までの排出量を積算した累計カーボンフットプリントが表示される。さらに、確定又は仮設定されたアイテムの仕向地が、仕向地を変更する選択ボタンSB(図22参照)と共に、履歴表示画面GA26、又は履歴表示画面GA26からの遷移画面に表示されてよい。
履歴表示画面GA26を表示させた状態で、工程を遡るためのスワイプ操作等が端末110,230,240に入力されると、ディスプレイは、前工程の履歴表示画面GA27(図24参照)に遷移する。例えば、組立工程にて、複数のアイテムがアッセンブリメーカーMFに納入されている場合、履歴表示画面GA27には、アッセンブリメーカーMFに納入された複数のアイテムが一覧で表示される。任意のアイテムが選択されると、端末110,230,240は、選択されたアイテムに紐づく取引記録及びカーボンフットプリントを表示する画面に、ディスプレイの表示を遷移させる。
さらに、ログ閲覧アプリAPbは、特定の流通工程における輸送ルートTRを表示するルート表示画面GA8(図15参照)を表示可能であってもよい。加えて、最終製品IMpがバッテリBATである場合、ログ閲覧アプリAPbは、例えばSOH(State of Health)等のバッテリBATの劣化度合いを示す情報を表示可能であってもよい。
次に、端末110,230,240にカーボンフットプリントを表示させるための情報提供処理の詳細を、図25に基づき、図16~図18及び図22~図24を参照しつつ、以下説明する。
端末110,230,240は、エンドユーザEU又はスタッフ等によるアプリAPb,APcの起動操作に基づき、ディスプレイにスキャン画面GA21を表示させる(S261)。端末110,230,240は、アイテムに付属するアイテムコードCdを、スキャン画面GA21にて読み取り、アイテムIDを取得する(S262)。端末110,230,240は、取得したアイテムIDを、当該アイテムIDに紐付くカーボンフットプリントの提供要求と共に、フロントサーバ70に送信する(S263)。
フロントサーバ70は、アイテムID及び提供要求等を受信し(S263)、要求受付部75にて、カーボンフットプリントの提供要求を受け付ける(S264)。フロントサーバ70は、アイテムIDに基づき、アイテムに紐付けられた仕向地を取得する(S265)。仕向地の情報は、例えばアッセンブリメーカーMFのサプライヤ端末230によってフロントサーバ70に通知される。フロントサーバ70は、ブロックチェーンBCに関連付けて、仕向地の情報を保存する。仕向地の情報は、アイテムの二次利用を考慮し、一次利用時における仕向地の情報が削除されない形式で、更新可能であってよい。仕向地の情報に更新された履歴がある場合、情報提供処理では、最新の仕向地の情報が利用される。
フロントサーバ70は、アイテムに紐付く仕向地の情報が登録されているか否かを判定する。アイテムに紐付く仕向地の情報が登録されており、かつ、全てのアイテムの仕向地が確定している場合、フロントサーバ70は、登録済みの仕向地を設定する。一方、アイテムに紐付く仕向地の情報が登録されていない場合、又は、一部のアイテムの仕向地が未定である場合、フロントサーバ70は、特定の仕向地を仮設定する。例えば、過去に仕向地として設定されたことが多い国、又はカーボンフットプリントの値が大きくなる傾向にある国等が、仮の仕向地として設定される。さらに、仮設定する仕向地の問い合わせが、端末110,230,240に対して実施されてもよい。この場合、エンドユーザEU又はスタッフ等によって選択された任意の仕向地が仮設定される。
フロントサーバ70は、電力情報処理部281及び燃料情報処理部284を経由して、アイテムIDに紐付く使用量情報、生産地情報及び種別情報の提供を、これらの情報を管理する各ブロックチェーンサーバ90に要求する(S266及びS267)。
各ブロックチェーンサーバ90は、フロントサーバ70からの要求に応じて、アイテムIDに紐付く使用量情報を抽出する。具体的に、電力情報提供部293は、アイテムIDをキーとして、電力情報保管チェーンBC21によって管理される電力使用量情報の中から、アイテムIDに紐づく電力使用量情報及び生産地情報等を検索によって抽出する(S268)。電力情報提供部293は、抽出した電力使用量情報等を、フロントサーバ70のデータ提供部76に提供する(S269)。
同様に、燃料情報提供部296は、アイテムIDをキーとして、燃料情報保管チェーンBC22によって管理される燃料使用量情報の中から、アイテムIDに紐づく燃料使用量情報、生産地情報及び種別情報等を検索によって抽出する(S270)。燃料情報提供部296は、抽出した燃料使用量情報等を、フロントサーバ70のデータ提供部76に提供する(S271)。
各ブロックチェーンBC21,BC22には、サプライチェーンSCの複数工程分の使用量を積算した使用量情報が予め準備されていてもよい。例えば、アイテムの製造が組立工程(図16参照)まで進んでいる場合、各情報提供部293,296は、材料採掘工程、流通工程及び加工工程での使用量情報を、種別及び生産地毎に合計してなる積算使用量情報を準備する。具体的には、「A国産原油 合計_kl」…、「C国産石炭 合計_kg」…、「E国産電力 合計_kWh」といった内容で、種別及び生産地毎の積算使用量情報が予め準備される。こうした事前の準備によれば、サプライチェーンSCを遡るようにして使用量情報を検索する処理が省略される。その結果、アイテムに紐付く使用量情報を抽出する処理が高速化され得る。
フロントサーバ70のデータ提供部76は、提供要求の対象であるアイテムの製造及び流通に関連して使用された電力使用量情報及び燃料使用量情報を取得する(S269及びS271)。このように、データ提供部76は、カーボンリリース量を算出するための生データとなる使用量情報であって、電力及び燃料の種別毎にブロックチェーンBCによって管理された使用量情報を取得する。電力使用量情報には、電力の生産地を示す生産地情報が紐付いており、燃料使用量情報には、燃料(エネルギ資源)の生産地を示す生産地情報が紐付いている。
データ提供部76は、アイテムに対し設定された仕向地の情報を参照し、仕向地に対応した算出方法を準備する(S272)。仕向地に対応した算出方法とは、上述したように、仕向地となる国又は地域毎の法律、法規又は規則等によって定められた算出方法のことである。具体的に、データ提供部76は、仕向地に対応した算出方法が反映された式又はデーブルを設定する。こうした式又はデーブルは、燃料の生産地情報を反映可能な内容とされている。
データ提供部76は、例えば下記の数式3に示すように、種別及び生産地毎の使用量情報から個別に算出した排出量を積算する演算処理により、アイテムのカーボンリリース量を算出する(S273)。
上記の数式3では、C
FoA:A国産の特定燃料(例えば原油)の使用量の合計値、C
FcC:C国産の特定燃料(例えば石炭)の使用量の合計値、C
EE:E国産の電力の使用量の合計値、を意味している。さらに、f
FoA,F:仕向地F国において、A国産の特定燃料の使用量からカーボンリリース量を算出する式、f
FcC,F:仕向地F国において、C国産の特定燃料の使用量からカーボンリリース量を算出する式、である。また、f
EE,F:仕向地F国において、E国産の電力の使用量からカーボンリリース量を算出する式である。
上記の各使用量の合計値の単位は、例えばkl,kg及びkWh等、それぞれ異なっていてよい。また、fFoC,F,fFcC,F,fEE,F等の式は、仕向地によって変更され、かつ、単位の異なる使用量の合計値からカーボンリリース量(単位は、kg)を算出できるよう、予め定義されている。加えて、上記の式の少なくとも一部は、使用量の合計値からカーボンリリース量を出力するテーブルに置き換えられてもよい。
データ提供部76は、上記の数式3等を用いた算出方法により、アイテムの仕向地に対応しており、かつ、生産地情報を反映したカーボンリリース量を算出する。データ提供部76は、算出したカーボンリリース量の値を、提供用データとして、要求元の端末110,230,240に送信する(S274)。
尚、サプライチェーンSCの初期の工程でカーボンフットプリントの提供要求があった場合、上記の数式1及び数式2を用いて予め算出されたカーボンリリース量が、提供用データとして、各端末に提供されてもよい。このような演算済みの値を返信することで、比較的誤差の少ない値を、各端末に迅速に表示させることが可能となる。
端末110,230,240は、フロントサーバ70から送信された提供用データを受信すると、提供用データの内容に応じて、フットプリント表示画面GA22~GA25及び履歴表示画面GA26のいずれかを表示する(S274)。即ち、端末110,230,240は、取得したカーボンリリース量を、カーボンフットプリントとしてエンドユーザEU又はスタッフ等に提示する。
さらに、サプライヤ端末230又は輸送者端末240は、カーボンフットプリントの画面表示に替えて、又は画面表示と共に、ラベル等の紙媒体に、カーボンフットプリントを印刷可能であってもよい。ラベルは、アイテムに添付されて、アイテムと共に流通する。ラベルには、記載された値がカーボンフットプリントであることを示すための所定のロゴマークがさらに印刷される。ロゴマークは、アイテムの仕向地に応じて変更される。カーボンフットプリントを記載したラベルは、アイテムコードCdを示すライベルと一体化されていてもよい。
ここまで説明した第二実施形態でも、中間製造物及び最終製品IMp等のアイテムに紐付く使用量情報が、ブロックチェーンBCに関連付けて保存される。故に、第一実施形態と同様の効果を奏し、情報の改竄リスクの低減が可能になる。
加えて第二実施形態では、計測周期の異なる位置計測情報及び各使用量情報が、それぞれ異なる複数のブロックチェーンBC3,BC21,BC22に関連付けて、個別に保存される。故に、第一実施形態と同様に、改竄リスクの低減を図りつつ、蓄積した情報の利便性が確保され易くなる。
さらに第二実施形態では、ブロックチェーンBCに関連付けて、電力及び燃料の種別毎の使用量情報が保存される。具体的には、電力使用量情報、原油についての燃料使用量情報、及び石炭についての燃料使用量情報が、個別に保存される。以上のように、カーボンフットプリントを算出するための生データが保存されていれば、カーボンフットプリントの算出方法が仕向地毎に異なっていても、仕向地が確定した段階で、確定した仕向地に対応するカーボンフットプリントの算出が可能になる。
加えて第二実施形態では、燃料の生産地を示す生産地情報が、燃料使用量情報に紐付けられている。その結果、同一種別の燃料であっても、生産地毎に区別して、燃料使用量を集計することが可能になる。以上によれば、燃料の生産地毎に異なる算出方法が適用される場合でも、正確なカーボンフットプリントの値が算出可能となる。
また第二実施形態では、電力及び燃料の種別毎にブロックチェーンBCによって管理された使用量情報が取得されると共に、アイテムに設定される仕向地に対応した算出方法が準備される。そして、種別毎の使用量情報から、準備された算出方法を用いて、アイテムのカーボンリリース量が算出される。このように、カーボンフットプリントを算出するための生データを取得できれば、カーボンフットプリントの算出方法が仕向地毎に異なっていても、仕向地が確定した時点で、確定した仕向地に対応するカーボンフットプリントの算出が可能になる。
さらに第二実施形態では、使用された燃料の生産地情報の紐付く使用量情報が取得され、生産地情報を反映したカーボンリリース量が算出される。以上によれば、燃料の生産地毎に異なる算出方法が適用される場合でも、正確なカーボンフットプリントの値が算出可能となる。
加えて第二実施形態では、アイテムに仕向地が設定されていない場合、仮設定した算出方法を用いてカーボンリリース量が算出される。故に、例えばサプライチェーンSCの前半等において、仕向地が未設定の状態でも、概算のカーボンリリース量を把握することが可能になる。
また第二実施形態では、サプライチェーン管理システムにより、バッテリBATのカーボンフットプリントが厳格に管理され得る。故に、サプライチェーンSCによって提供されるバッテリBATについて、カーボンニュートラルに配慮して製造された製品であることが保証され得る。以上によれば、サプライチェーン管理システムは、バッテリBATの付加価値の向上に寄与できる。
尚、第二実施形態では、中間製造物及び最終製品IMpが「アイテム」に相当し、燃料が「エネルギ資源」に相当する。
(第三実施形態)
本開示の第三実施形態によるコールドチェーン管理システムは、第一実施形態の変形例である。第三実施形態では、図26及び図27に示すように、コールドチェーンCCによって配送される荷物IMdに、バラシの発生が想定されている。バラシとは、配送における梱包の単位を変更する行為であり、流通を担う取引業者が梱包物を開封し、その梱包物に収容されていた複数のアイテムを、新たな荷物IMdとして流通させる行為である。バラシには、荷物IMdの梱包形態を変更する作業に加えて、コールドチェーン管理システムにバラシの発生情報を登録する作業が含まれ得る。バラシの発生情報を登録する作業は、後述するように自動化されてもよい。バラジの発生情報の登録によれば、アイテム情報は、梱包形態を変更された後の荷物IMdに紐付くように、コールドチェーン管理システムに蓄積されていく。一例として、第三実施形態では、ロットIM1、パッケージIM2及び最終製品IMpという3つのカテゴリが、梱包単位又は流通単位として設定されている。
ロットIM1は、製造元DFから出荷される際の荷物IMdの梱包単位であり、3つのうちで最も大きな流通単位である。パッケージIM2は、ロットIM1よりも小さい梱包単位である。一つのロットIM1には、複数(例えば、100個)のパッケージIM2が梱包されている。一つのロットIM1にバラシが生じると、多数のパッケージIM2の流通が開始される。最終製品IMpは、エンドユーザEUに渡る単位であり、3つのうちで最も小さな流通単位である。一つのパッケージIM2には、複数(例えば、20個)の最終製品IMpが梱包されている。一つのパッケージIM2にバラシが生じると、多数の最終製品IMpの流通が開始される。尚、コールドチェーン管理システムに設定される梱包単位のカテゴリ数は、コールドチェーンCCによって配送される荷物IMdの特性に応じて適宜変更可能である。
コールドチェーン管理システムでは、ロットIM1、パッケージIM2及び最終製品IMpのそれぞれに、異なるアイテムIDが割り当てられる。具体的には、ロットIM1には、ロットIDが割り当てられ、パッケージIM2には、パッケージIDが割り当てられ、最終製品IMpには、デリバリIDが割り当てられる。各カテゴリのアイテムIDは、第一実施形態と同様に、アイテムコードCdに組み入れられ、各カテゴリの荷物IMdと共に流通する。アイテムコードCd内には、現状の荷物IMdのバラシ前又はバラシ後に紐付くアイテムIDが組み入れられていてもよい。各カテゴリのアイテムIDは、ロットIM1の流通開始時に全て作成されてもよく、又はバラシが発生したタイミングで生成されてもよい。
コールドチェーン管理システムでは、バラシが生じる前と後とにおいて、それぞれ異なるIDに紐づけて、位置計測情報及び温度計測情報が蓄積される。具体的には、荷物IMdがバラシ前のロットIM1の状態である場合、アイテム情報は、バラシ前アイテムであるロットIM1のロットIDに紐付けられて、ブロックチェーンBCに保存される。また、荷物IMdが1回目のバラシ後のパッケージIM2の状態である場合、アイテム情報は、バラシ後アイテムであるパッケージIM2のパッケージIDに紐付けられて、ブロックチェーンBCに保存される。さらに、荷物IMdが2回目のバラシ後の最終製品IMpの状態である場合、アイテム情報は、バラシ後アイテムである最終製品IMpのデリバリIDに紐付けられて、ブロックチェーンBCに保存される。以上のように、蓄積されるアイテム情報のデータ量は、バラシが発生して、アイテムIDが増加する流通後半ほど多くなる。言い替えれば、流通前半では、バラシ前のアイテムIDによる一括の管理により、蓄積されるアイテム情報のデータ量が抑制可能となっている。
コールドチェーンCCは、製造元DF、流通業者LG、バラシ業者WS及びエンドユーザEU等の取引者によって構築されている。コールドチェーンCCは、荷物IMdの配送に関わるサプライチェーンSCに相当する。製造元DFは、最終製品IMpを製造する製造会社等である。製造元DFは、製造工場にてパッケージIM2及びロットIM1の単位に最終製品IMpを梱包し、流通業者LGに出荷する。
流通業者LGは、ロットIM1の単位のまま荷物IMdを流通させる。流通業者LGは、製造メーカ又は物流会社の各集中倉庫にて、輸送手段TP(輸送用トラックTV等)への荷物IMdの積み降ろし、保冷庫での保管、保冷庫からの持ち出し、輸送手段TPへの積み込み、次工程への引き渡し等のオペレーションを実施する。一つの輸送手段TPに積み込まれた複数のロットIM1は、特定の流通業者LGにより、複数(例えば、10箇所程度)のバラシ業者WSに配送される。
バラシ業者WSは、流通業者LGの実施する各オペレーションに加えて、荷物IMdのバラシを実施する。バラシ業者WSは、流通過程において梱包単位を変更し、一つの荷物IMdを複数の流通単位に分けるバラシを行い、次工程の取引者に流通させる。一つのロットIM1は、例えば物流会社の営業所にて、輸送手段TPへの積み込み前にバラシが行われることで、複数のパッケージIM2に分けられる。各パッケージIM2は、物流会社の営業所から、複数(例えば、5箇所程度)の卸業者等に配送される。そして、一つのパッケージIM2は、例えば卸業者の倉庫にて、輸送手段TPへの積み込み前にバラシが行われることで、複数の最終製品IMpに分けられる。各最終製品IMpは、卸業者の倉庫から、複数(例えば、5箇所程度)のエンドユーザEUに配送される。
コールドチェーン管理システムは、図28に示すように、製造元端末330、流通者端末340、モニタリング装置20、及びデータ処理サーバ60等によって構築されている。コールドチェーン管理システムを構成する各要素は、それぞれ一つのノードとしてネットワークに接続されている。
製造元端末330は、最終製品IMpを製造する製造元DFによって運用される。製造元端末330は、例えば製造元DFの製造工場(図27参照)等に設置される固定端末であってもよく、ユーザ端末110のような携帯端末であってもよい。製造元端末330は、プロセッサ331、RAM332、記憶部333、入出力インターフェース334及びこれらを接続するバス等を備えた制御回路330aを主体とするコンピュータである。
製造元端末330は、製造元DFから出荷される荷物IMdについて、ロットIM1、パッケージIM2及び最終製品IMpの関係を紐付ける情報として、紐付けテーブルTL1,TL2(図29参照)を作成する。製造元端末330は、紐付けテーブルTL1,TL2を管理し、データ処理サーバ60による紐付けテーブルTL1,TL2の参照を可能にする。紐付けテーブルTL1は、ロットIM1を識別するロットIDと、パッケージIM2を識別するパッケージIDとを紐付けるテーブルである。紐付けテーブルTL2は、パッケージIM2を識別するパッケージIDと、最終製品IMpを識別するデリバリIDとを紐付けるテーブルである。
紐付けテーブルTL1,TL2には、バラシが行われたか否かを記録するフラグ(以下、バラシフラグ)がさらに設定されている。ロットIM1からパッケージIM2へのバラシが行われた場合、紐付けテーブルTL1のバラシフラグ(図29 break_flag 参照)の値が、「False」から「True」に書き替えられる。また、パッケージIM2から最終製品IMpへのバラシが行われた場合、紐付けテーブルTL2のバラシフラグ(図29 break_flag2参照)の値が、「False」から「True」に書き替えられる。
製造元端末330は、製造元DFから出荷される荷物IMdについて、紐付けテーブルTL1,TL2をデータ処理サーバ60から参照可能に準備するため、テーブル準備処理(図30参照)を実施する。テーブル準備処理は、記憶部333に記憶された情報管理プログラムに基づき、プロセッサ331を主体として実行される。テーブル準備処理は、荷物IMdの出荷前に実施されてもよく、荷物IMdの流通に合わせて実施されてもよい。
テーブル準備処理にて、製造元端末330は、荷物IMdの梱包情報を取得する(S301)。例えば、出荷される荷物IMdの梱包単位(カテゴリ)の種類、上位の梱包単位に含まれる下位の梱包単位の個数等が、梱包情報として取得される。梱包情報は、製造工場のスタッフ等によって手動入力された情報であってもよく、又は製造工場のネットワークから受信する情報であってもよい。
製造元端末330は、取得した梱包情報に基づき、各梱包単位に識別情報として付与するアイテムID、即ち、ロットID、パッケージID及びデリバリIDを取得する(S302)。これらのIDは、製造元端末330によって生成されてもよく、又はデータ処理サーバ60によって生成されて、製造元端末330に提供されてもよい。
製造元端末330は、取得した各IDを用いてバラシフラグを含む紐付けテーブルTL1,TL2(図29参照)を生成する(S303)。製造元端末330は、生成した紐付けテーブルTL1,TL2を例えば記憶部333の記憶領域に登録する(S304)。紐付けテーブルTL1,TL2は、データ処理サーバ60にアップロードされてもよい。
流通者端末340及びモニタリング装置20は、流通業者LG及びバラシ業者WSによって運用される。流通者端末340は、流通業者LG及びバラシ業者WSの各拠点TB(図2参照)等に設置される固定端末であってもよく、ユーザ端末110のような携帯端末であってもよい。流通者端末340は、第一実施形態のスタッフ端末40(図1参照)と同様に、荷受け処理(図6参照)、冷凍装置紐付け処理(図7参照)、拠点処理(図8参照)及び次工程への荷渡し処理(図8参照)等を実施する。
流通者端末340は、上記の各処理に基づき、荷物IMdの流通に合わせて、輸送手段TP又は冷凍装置10(図2参照)と、モニタリング装置20と、拠点TBとを紐付ける紐付けテーブルTL3(図31参照)を記録する。紐付けテーブルTL3には、冷凍装置10を識別するボックスID、モニタリング装置20を識別するセンサID、拠点TBを識別するプレイスID等が保存される。紐付けテーブルTL3は、例えばルート表示画面GA8及び温度チャート表示画面GA9(図10参照)等をユーザ端末110に表示させる場合に、データ処理サーバ60によって参照される。
バラシ業者WSによって利用される流通者端末340は、荷物IMdのバラシが行われた場合に、バラシの発生をデータ処理サーバ60に通知するバラシ通知処理(図32参照)を実施する。流通者端末340は、ディスプレイにスキャン画面を表示させ(S311)、荷物IMdに添付されたアイテムコードCdを読み取る(S312)。流通者端末340は、バラシ前の荷物IMd(ロットIM1等)に添付されたアイテムコードCdを読み取ってもよく、又はバラシ後の荷物IMd(パッケージIM2等)に添付されたアイテムコードCdを読み取ってもよい。さらに、流通者端末340は、両方のアイテムコードCdを読み取ってもよい。
流通者端末340は、アイテムコードCdから読み取ったロットID、パッケージID及びデリバリIDのうちの少なくとも一つを、バラシの発生を示す通知と共にデータ処理サーバ60へ向けて送信する(S313)。データ処理サーバ60は、流通者端末340によって送信された通知及びIDを受信により取得し、バラシの発生情報として登録する(S314)。データ処理サーバ60は、バラシの発生通知を取得した場合、製造元端末330に記録された紐付けテーブルTL1,TL2を参照し、バラシの前後における情報の整合性を確認してもよい。
ここで、流通過程において、実際のオペレーションとしてバラシを行う場合、上述したように、バラシを行ったことをユーザが流通者端末340に入力する手法だけでなく、バラシの発生を自動登録することも可能である。バラシの発生を自動登録する場合、バラシ通知処理は、荷物IMdの配送情報をデータ処理サーバ60に登録する配送情報登録処理と共通化可能である。即ち、流通者端末340を用いて荷物IMdのアイテムコードCdを読み取るだけで、データ処理サーバ60が現工程でのバラシの有無を判断し、バラシの発生情報及び配送情報を適宜データベースに書き込んでいく。
バラシの発生情報を自動登録可能なバラシ通知処理では、ユーザは、バラシ後のアイテムに添付されたアイテムコードCdを、流通者端末340を用いてスキャンする(S312)。こうした作業は、上述したように、バラシを行わない場合に、配送情報を登録する作業と同一となる。流通者端末340は、アイテムコードCdから抽出したアイテムIDをデータ処理サーバ60へ向けて送信する(S313)。
データ処理サーバ60は、流通者端末340によって送信されたアイテムIDを受信すると、情報登録処理(S314,図33~図35参照)を実施する。データ処理サーバ60は、アイテムIDを取得すると(S401)、紐付けテーブルTL1,TL2(図29参照)を参照し、取得したIDを検索する。
データ処理サーバ60は、紐付けテーブルTL2を参照し、この紐付けテーブルTL2内に、取得したアイテムIDに該当するデリバリIDが存在するか否かを判定する(S402)。デリバリIDが検索された場合(S402:YES)、データ処理サーバ60は、紐付けテーブルTL2のバラシフラグ(図29 break_flag2 参照)の値を確認する(S406)。バラシフラグの値が「True」である場合(S406:YES)、即ち、前工程までにパッケージIM2から最終製品IMpへのバラシが実施済みであった場合、現工程の配送情報が、デリバリIDに紐づけて登録される(S407)。
一方、バラシフラグの値が「False」である場合(S406:NO)、データ処理サーバ60は、紐付けテーブルTL2において、デリバリIDに対応するパッケージIDを検索する(図34 S411)。データ処理サーバ60は、検索したパッケージIDが記録された紐付けテーブルTL1をさらに参照し、紐付けテーブルTL1のバラシフラグ(図29 break_flag 参照)の値を確認する(S412)。バラシフラグの値が「True」である場合(S412:YES)、データ処理サーバ60は、現工程にてパッケージIM2から最終製品IMpへのバラシが行われたと判定する。この場合、データ処理サーバ60は、紐付けテーブルTL2のバラシフラグの値を「True」に書き換えることで、バラシの発生情報を登録する(S413)。以上により、パッケージIDに紐付けての配送情報及び各計測情報等の登録は、これ以降無効化される。さらに、データ処理サーバ60は、現工程の配送情報を、デリバリIDに紐づけて登録する(S407)。
対して、バラシフラグの値が「False」である場合(S412:NO)、データ処理サーバ60は、流通者端末340にエラー値を返信する(S414)。流通者端末340は、受信したエラー値に基づき、「配送情報が登録できません」等のメッセージを表示し、ロットIM1からパッケージIM2へのバラシを経ていないために、最終製品IMpの配送情報を登録できないことを通知する。
データ処理サーバ60は、デリバリIDが検索されなかった場合(S402:NO)、紐付けテーブルTL2内にアイテムIDに該当するパッケージIDが存在するか否かを判定する(S403)。パッケージIDが検索された場合(S403:YES)、データ処理サーバ60は、紐付けテーブルTL2のバラシフラグの値を確認する(S408)。バラシフラグの値が「True」である場合(S408:YES)、データ処理サーバ60は、流通者端末340にエラー値を返信する(S409)。流通者端末340は、受信したエラー値に基づき、最終製品IMpへのバラシが既に行われたパッケージIM2のIDであることを通知する。具体的には、「既にこのパッケージはバラされています」等のメッセージがディスプレイに表示される。
一方、バラシフラグの値が「False」である場合(S408:NO)、データ処理サーバ60は、パッケージIDが記録された紐付けテーブルTL1を参照する。そして、データ処理サーバ60は、紐付けテーブルTL1のバラシフラグの値を確認する(図35 S416)。バラシフラグの値が「True」である場合(S416:YES)、データ処理サーバ60は、現工程の配送情報を、パッケージIDに紐づけて登録する(S418)。
対して、バラシフラグの値が「False」である場合(S416:NO)、データ処理サーバ60は、現工程にてロットIM1からパッケージIM2へのバラシが行われたと判定する。この場合、データ処理サーバ60は、紐付けテーブルTL1のバラシフラグの値を「True」に書き換えることで、バラシの発生情報を登録する(S417)。以上により、ロットIDに紐付けての配送情報及び各計測情報等の登録は、これ以降無効化される。さらに、データ処理サーバ60は、現工程の配送情報を、パッケージIDに紐づけて登録する(S418)。
データ処理サーバ60は、デリバリID及びパッケージIDが共に検索されなかった場合(S403:NO)、紐付けテーブルTL1内にアイテムIDに該当するロットIDが存在するか否かを判定する(S404)。ロットIDが検索されなかった場合(S404:NO)、データ処理サーバ60は、流通者端末340にエラー値を返信する(S405)。流通者端末340は、受信したエラー値に基づき、「無効なアイテムコードです」等のメッセージを表示し、読み込みを行ったアイテムコードCdが無効であることを通知する。
一方、紐付けテーブルTL1からロットIDが検索された場合(S404:YES)、データ処理サーバ60は、紐付けテーブルTL1のバラシフラグの値を確認する(図36 S420)。バラシフラグの値が「True」である場合(S420:NO)、データ処理サーバ60は、流通者端末340にエラー値を返信する(S421)。流通者端末340は、受信したエラー値に基づき、パッケージIM2へのバラシが既に行われたロットIM1のIDであることを通知する。具体的には、「既にこのロットはバラされています」等のメッセージがディスプレイに表示される。対して、バラシフラグの値が「False」である場合(S420:NO)、データ処理サーバ60は、現工程の配送情報を、ロットIDに紐づけて登録する(S422)。
モニタリング装置20は、第一実施形態と同様に、温度計測情報及び位置計測情報を逐次又は一定の時間間隔で、データ処理サーバ60へ向けて定期的に送信する。モニタリング装置20によって送信される計測データTL4(図37参照)には、計測時刻、センサID、緯度、経度及び温度等の値が含まれている。
データ処理サーバ60は、第一実施形態と同様に、タイムスタンプサーバ140及びアプリ配信サーバ150と共にコールドチェーン管理システムのプラットフォーマーPFによって管理されるサーバ装置である。データ処理サーバ60は、多数の製造元端末330、多数の流通者端末340及び多数のモニタリング装置20とネットワークを通じて通信可能である。第三実施形態でも、フロントサーバ70、情報中継サーバ80及びブロックチェーンサーバ90等が、データ処理サーバ60として設けられているが、これらの詳細は、第一実施形態と実質同一であるため省略し、データ処理サーバ60の処理として以下記載する。
データ処理サーバ60は、製造元端末330、流通者端末340及びモニタリング装置20から送信される情報を、ブロックチェーンBCに関連付けて蓄積する。データ処理サーバ60は、荷物IMdの履歴情報(取引記録,配送情報)を記録するテーブルとして、配送ステータス記録テーブルTL5及びセンサデータ保管テーブルTL6を作成する(図38参照)。配送ステータス記録テーブルTL5には、時刻情報、ボックスID、ロットID、パッケージID及びデリバリID等が記録される。配送ステータス記録テーブルTL5は、紐付けテーブルTL1,TL2(図29参照)と同様に、ロットIM1、パッケージIM2及び最終製品IMpの関係を紐付ける情報として利用されてもよい。センサデータ保管テーブルTL6には、モニタリング装置20から送信される計測データTL4(図37参照)と同様に、計測時刻、センサID、緯度、経度及び温度等の値が記録される。
ここまで説明したコールドチェーン管理システムでは、バラシが生じる前においては、冷凍装置紐付け処理(図7参照)にて、バラシ前の荷物IMd(例えば、ロットIM1)に、モニタリング装置20が紐付けられる。その結果、上述したように、データ処理サーバ60は、モニタリング装置20から受信する温度計測情報及び位置計測情報を、バラシ前の荷物IMdのアイテムID(例えば、ロットID)に紐付けて保存する。これら温度計測情報及び位置計測情報は、バラシ前アイテムに紐付く「第一アイテム情報」に相当し、第一実施形態と同様に、ブロックチェーンBCに関連付けて保存される。
一方、バラシが生じた後においては、冷凍装置紐付け処理(図7参照)にて、バラシ後の複数の荷物IMd(例えば、パッケージIM2)のそれぞれに、モニタリング装置20が紐付けられる。その結果、データ処理サーバ60は、複数のモニタリング装置20から受信する温度計測情報及び位置計測情報を、バラシ後の各荷物IMdのアイテムID(例えば、パッケージID)にそれぞれ紐付ける。これら温度計測情報及び位置計測情報は、バラシ後アイテムに紐付く「第二アイテム情報」に相当し、上記の第一アイテム情報と同様に、ブロックチェーンBCに関連付けて個別に保存される。第二アイテム情報の保管に用いられるブロックチェーンBCは、第一アイテム情報の保管に用いられるブロックチェーンBCと同一であってもよく、又は異なっていてもよい。
次に、コールドチェーン管理システムに蓄積した荷物IMdの履歴情報(取引記録)をユーザ端末110又は流通者端末340(以下、端末110,340)に提供する情報提供処理の詳細を、図39に基づき、図28及び図40を参照しつつ、以下説明する。情報提供処理は、アプリ配信サーバ150によって配信されるログ閲覧アプリAPbが予めインストールされた端末110,340と、データ処理サーバ60とよって実施される。
端末110,340は、ユーザによるログ閲覧アプリAPbの起動操作に基づき、スキャン画面GA6(図10参照)をディスプレイに表示させる(S331)。端末110,340は、最終製品IMpに付属するアイテムコードCd(図26参照)をスキャン画面GA6にて読み取り、デリバリID等のアイテムIDを取得する(S332)。スキャン画面GA6の読み取り対象となるアイテムコードCdは、ロットIM1又はパッケージIM2に付属するものであってもよい。端末110,340は、取得したアイテムIDを含む送信用データTL7(図40参照)を、当該アイテムID(荷物IMd)に紐付く履歴情報の提供要求と共に、データ処理サーバ60に送信する(S333)。
データ処理サーバ60は、端末110,340から履歴情報の提供要求を受信によって取得し、提供要求を受け付ける(S334)。データ処理サーバ60は、取得したアイテムIDの示す荷物IMdについて、バラシの履歴を確認する。データ処理サーバ60は、流通過程において複数の流通単位に分けられたバラシ後の荷物IMdであるか否かを判定する(S335)。データ処理サーバ60は、配送ステータス記録テーブルTL5(図38参照)を参照し、バラシ履歴の有無を確認してもよく、又は製造元端末330に記録された紐付けテーブルTL1,TL2(図29参照)を参照し、バラシ履歴の有無を確認してもよい。
データ処理サーバ60は、荷物IMdにバラシが生じていないと判定した場合、受信したアイテムIDに紐付くアイテム情報、具体的には、拠点通過情報、温度計測情報及び位置計測情報を、検索によって抽出する(S336~S338)。各アイテム情報を抽出する処理は、第一実施形態と同様に、フロントサーバ70、情報中継サーバ80及びブロックチェーンサーバ90等の連携によって実施されてよい(図11参照)。データ処理サーバ60は、拠点通過情報、温度計測情報及び位置計測情報を組み合わせて、端末110,340に提供する提供用データを生成する(S339)。
一方、バラシの履歴がある場合、データ処理サーバ60は、各テーブルの情報に基づき、互いに紐付けられたアイテムIDを抽出し、バラシの前後関係を把握する。具体的に、アイテムIDがデリバリIDである場合、パッケージID及びロットIDが読み出される。また、アイテムIDがパッケージIDである場合、ロットIDが読み出される。データ処理サーバ60は、各IDに紐付くアイテム情報を、検索によって抽出する(S336~S338)。具体的には、デリバリIDに紐付くアイテム情報、パッケージIDに紐付くアイテム情報、ロットIDに紐付くアイテム情報を全て抽出する。データ処理サーバ60は、各IDに紐付くアイテム情報を組み合わせて、端末110,340に提供する提供用データを生成する(S339)。具体的には、バラシの前後のアイテム情報を時系列にてつなぎ合わせることにより、製造元DFからの出荷時からエンドユーザEUに渡るまでの一連の履歴情報が生成される。
データ処理サーバ60は、生成した提供データを、端末110,340に送信によって提供する(S340)。以上により、端末110,340は、一覧表示画面GA7、ルート表示画面GA8及び温度チャート表示画面GA9等のログ表示画面を、ディスプレイに表示させる(S341)。
ここまで説明した第三実施形態のように、流通過程においてバラシが発生する場合でも、荷物IMdに紐付く情報をブロックチェーンBCに関連付けて保存すれば、第一実施形態と同様の効果を奏し、情報の改竄リスクの低減が可能になる。
加えて第三実施形態でも、データ計測の周期が互いに異なる拠点通過情報、温度計測情報及び位置計測情報が異なるブロックチェーンBCに個別に保存される。故に、第一実施形態と同様の効果を奏し、蓄積された情報の検索性が向上するため、情報の利便性が確保され得る。
また第三実施形態では、梱包単位が変わらない流通工程においては、梱包単位が管理単位とされるため、蓄積するアイテム情報のデータ量の増加が抑制され得る。その結果、ブロックチェーンBCへのデータの書き込み量も抑制され得るため、情報管理に要する処理の高速化が可能になる。
さらに第三実施形態では、ロットIM1等のバラシ前アイテムとパッケージIM2等のバラシ後アイテムとを紐付ける紐付けテーブルTL1,TL2が参照され、バラシ前アイテムに紐づく情報が、バラシ後アイテムに紐付く情報と共に取得される。そして、各アイテムに紐付く情報が組み合わされて、提供要求の要求元に提供する提供用データが生成される。以上のように、紐付けテーブルTL1,TL2の設定により、バラシが発生した場合でも、バラシの前後におけるアイテム情報の紐付けが確実に実施され得る。故に、蓄積するデータ量を抑制しても、流通工程の上流に遡って履歴情報を参照することが可能になる。
加えて第三実施形態では、取得するアイテムIDに基づき、データ処理サーバ60が、バラシの発生を自動判定する。故に、流通者端末340のユーザ、言い替えれば、バラシ業者WSのスタッフの操作に依拠することなく、バラシの発生情報が紐付けテーブルTL1,TL2に登録され得る。その結果、現場でのバラシのオペレーションを効率化しつつ、荷物IMdの配送情報を漏れなく蓄積することが可能になる。
尚、第三実施形態では、紐付けテーブルTL1,TL2及び配送ステータス記録テーブルTL5が「紐付情報」に相当する。また、ロットIM1をパッケージIM2に分ける場合、ロットIM1が「バラシ前アイテム」に相当し、パッケージIM2が「バラシ後アイテム」に相当する。同様に、パッケージIM2を最終製品IMpに分ける場合、パッケージIM2が「バラシ前アイテム」に相当し、最終製品IMpが「バラシ後アイテム」に相当する。
ここまで説明した各実施形態は、下記の技術的特徴1~7をさらに開示している。
<技術的特徴1>
コンピュータ(60)によって実施され、情報を管理する情報管理プログラムであって、
少なくとも一つのプロセッサ(61)に、
特定アイテム(IMs)に紐づく情報として、データ入力又はデータ計測の周期が互いに異なる複数のアイテム情報を取得し(S26,S27,S37,S226,S227)、
前記特定アイテムに紐付く前記アイテム情報を、異なる複数のブロックチェーン(BC)に関連付けて、個別に保存する(S28,S29,S38,S228,S229)、
ことを含む処理を実行させる情報管理プログラム。
<技術的特徴2>
コンピュータ(60)によって実施され、流通アイテム(IMd)に関連する情報を管理する情報管理プログラムであって、
少なくとも一つのプロセッサ(61)に、
前記流通アイテムに紐づく温度センサ(21)にて繰り返し計測される温度計測情報を取得し(S26)、
前記流通アイテムに紐づく位置センサ(22)にて繰り返し計測される位置計測情報を取得し(S27)、
少なくとも一つのブロックチェーン(BC)に関連付けて前記温度計測情報及び前記位置計測情報を保存する(S28,S29)、
ことを含む処理を実行させる情報管理プログラム。
<技術的特徴3>
コンピュータ(60)によって実施され、アイテムに関連する情報を管理する情報管理プログラムであって、
少なくとも一つのプロセッサ(61)に、
前記アイテムの製造及び流通の少なくとも一方に関連して使用される電力又はエネルギ資源の使用量を示す使用量情報を取得し(S214,S226)、
前記アイテムに関連する前記情報として、少なくとも一つのブロックチェーン(BC)に関連付けて、前記電力及び前記エネルギ資源の種別毎に前記使用量情報を保存する(S215,S226)、
ことを含む処理を実行させる情報管理プログラム。
<技術的特徴4>
コンピュータ(60,330)によって実施され、流通過程において複数の流通単位に分けるバラシの発生が想定された流通アイテム(IMd)に関連する情報を管理する情報管理プログラムであって、
少なくとも一つのプロセッサ(61,331)に、
前記バラシが生じる前の前記流通アイテムであるバラシ前アイテムと、前記バラシが生じた後の前記流通アイテムであるバラシ後アイテムとを紐付ける紐付情報(TL1,TL2,TL5)を準備し(S303,S304)、
前記バラシが生じる前においては、前記バラシ前アイテムに紐付く第一アイテム情報を、ブロックチェーン(BC)に関連付けて保存し(S28,S29)、
前記バラシが生じた後においては、複数の前記バラシ後アイテムにそれぞれ紐付く第二アイテム情報を、前記ブロックチェーンに関連付けて個別に保存する(S28,S29)、
ことを含む処理を実行させる情報管理プログラム。
<技術的特徴5>
コンピュータ(60)によって実施され、複数のブロックチェーン(BC)を用いて管理される情報を提供する情報提供プログラムであって、
少なくとも一つのプロセッサ(61)に、
特定アイテム(IMs)に紐づく情報の提供要求を取得し(S114)、
第一ブロックチェーン(BC2)によって管理される第一情報の中から前記特定アイテムに紐づく特定第一情報を取得し(S120)、
前記第一ブロックチェーンとは異なる第二ブロックチェーン(BC3)によって管理される第二情報の中から前記特定アイテムに紐づく特定第二情報を取得し(S123)、
前記特定第一情報及び前記特定第二情報を組み合わせて前記提供要求の要求元に提供する提供用データを生成する(S124)、
ことを含む処理を実行させる情報提供プログラム。
<技術的特徴6>
コンピュータ(60)によって実施され、ブロックチェーン(BC)を用いて管理される情報を提供する情報提供プログラムあって、
少なくとも一つのプロセッサ(61)に、
アイテムの製造及び流通に関連して使用された電力又はエネルギ資源の使用量を示す使用量情報であって、前記電力及び前記エネルギ資源の種別毎に前記ブロックチェーン(BC)によって管理される前記使用量情報を取得し(S269,S271)、
前記アイテムに設定される仕向地に対応した算出方法を準備し、当該算出方法を用いて前記種別毎の前記使用量情報から前記アイテムのカーボンリリース量を算出する(S272,S273)、
ことを含む処理を実行させる情報提供プログラム。
<技術的特徴7>
コンピュータ(60)によって実施され、ブロックチェーン(BC)を用いて管理される情報を提供する情報提供プログラムであって、
少なくとも一つのプロセッサ(61)に、
流通アイテム(IMd)に紐づく情報の提供要求を取得し(S334)、
前記流通アイテムが流通過程において複数の流通単位に分けられたバラシ後アイテムである場合に、複数に分けられる前のバラシ前アイテムと前記バラシ後アイテムとを紐付ける紐付情報(TL1,TL2,TL5)を参照し(S335)、
前記ブロックチェーンを用いて管理される情報の中から、前記バラシ前アイテムに紐づく第一アイテム情報を、前記バラシ後アイテムに紐付く第二アイテム情報と共に取得し(S336~S338)、
前記第一アイテム情報及び前記第二アイテム情報を組み合わせて前記提供要求の要求元に提供する提供用データを生成する(S339)、
ことを含む処理を実行させる情報提供プログラム。
(他の実施形態)
以上、本開示の複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
上記第一実施形態では、荷物IMdに紐付く温度計測情報及び位置計測情報がブロックチェーンBCを用いて管理されていた。しかし、ブロックチェーンBCを用いて管理する複数の計測情報は、温度計測情報及び位置計測情報に限定されない。計測周期又は取得周期の異なる複数の計測情報が複数のブロックチェーンBCを用いて分割管理されてよい。
一例として、変形例1の情報管理システムは、生徒の日毎の学習時間と、テストの成績(点数)とを、生徒に紐付く計測情報として記録する教育管理システムとして使用される。また別の一例として、変形例2の情報管理システムは、農作物に与える水の量と肥料の量とを、農作物に紐付く計測情報として記録する農業管理システムとして使用される。農業管理システムに蓄積された情報は、農作物の消費者に提供可能となる。
また別の一例として、変形例2による情報管理システムは、上記第二実施形態と同様に、複数のサプライヤによって構築されたサプライチェーンに適用される。変形例2による情報管理システムは、サプライヤ間にて実施されたアイテムの取引記録を管理するサプライチェーン管理システムとして機能する。変形例2の拠点端末30は、各サプライヤの拠点に設置され、他のサプライヤからのアイテムの納入、及び他のサプライヤへのアイテムの出荷を、拠点情報として記録する。具体的に、拠点端末30は、各サプライヤの拠点を識別する拠点ID、アイテムID、並びにアイテムの納入時刻及び出荷時刻等を拠点情報として記録する。加えて拠点端末30は、各サプライヤにて実施される加工情報、組立情報及び処理情報等を、拠点情報として記録してもよい。拠点端末30は、手動入力又は自動入力によって記録した拠点情報を、サーバ装置に送信する。尚、変形例2では、サプライヤの拠点が「中継拠点」に相当する。
上記実施形態の変形例3では、拠点通過情報、温度計測情報及び位置計測情報のうちの一つのアイテム情報が、ブロックチェーンBCに保存する対象から外されている。一例として、3つのアイテム情報のうち温度計測情報及び位置計測情報のみが、ブロックチェーンBCに関連付けて保存される。
上記第二実施形態の変形例4による情報管理システムは、製品として市場に流通するアイテムに関わる全てのカーボン排出量の計算に活用される。より具体的には、特定のアイテムの製造及びライフサイクルにおける二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量(所謂カーボンフットプリント)を記録する記録システムに、情報管理システムが適用される。
変形例4では、一つのアイテム(製品)の製造又は加工等に伴って発生したカーボン排出量(以下、製造時排出量)が、サプライチェーンに含まれる個々のサプライヤの拠点毎に把握される。一つのアイテムあたりの製造時排出量は、一例として、製造時又は加工時等に拠点にて排出される全カーボン排出量を、当該拠点にて生産されたアイテムの数で割った値とされる。
さらに、一つのアイテムを流通させるために発生したカーボン排出量(以下、流通時排出量)が、サプライヤ拠点間でのアイテムの移動毎に把握される。一つのアイテムあたりの流通時排出量は、一例として、拠点間の移動に要する全カーボン排出量、アイテムの移動距離及び重量等を用いて算出される。製造時排出量及び流通時排出量の算出処理は、拠点端末30にて実施されてもよく、いずれかのサーバ装置によって実施されてもよい。
また、製造時排出量及び流通時排出量は、入力又は計測の周期が互いに異なる複数の「アイテム情報」として、フロントサーバ70に取得され、異なる複数のブロックチェーンBCに関連付けて、個別に保存される。例えば、製造時排出量は、製造時排出量保管チェーンに保存され、流通時排出量は、流通時排出量保管チェーンに保存される。そして、提供要求に基づき、製造時排出量及び流通時排出量を組み合わせる積算処理により、一つのアイテムあたりのカーボン排出量が、提供用データとして要求元に提供される。
加えて、アイテムの廃棄又はリサイクルに伴って発生したカーボン排出量が、製造時排出量保管チェーン及び流通時排出量保管チェーンとは別のブロックチェーンBCにアイテム情報としてさらに保存されてもよい。こうした変形例4では、製造時排出量が「第一情報」及び「特定第一情報」に相当し、製造時排出量保管チェーンが「第一ブロックチェーン」に相当する。また、流通時排出量が「第二情報」及び「特定第二情報」に相当し、流通時排出量保管チェーンが「第二ブロックチェーン」に相当する。
上記第二実施形態の変形例5による情報管理システムは、電動機を走行用の動力源の少なくとも一部とする車両(xEV)に搭載されるバッテリの管理に使用される。情報管理システムは、例えばEU電池指令に基づき、バッテリの原材料の生産、バッテリセルの製造、市場での使用、さらに市場での耐用年数の経過後におけるリサイクル及び再使用等の管理を可能にする。具体的には、コバルト、ニッケル、リチウム、マンガン及びアルミニウム等の陰極材料について、出処だけでなく、環境及び健康上の実績等が情報管理システムによって管理可能である。
さらに、サプライチェーン管理システムによって提供されるカーボンフットプリントの情報(数値)は、国境炭素税の税率を算出する場合の根拠となるデータとして利用可能である。本開示による情報管理システムは、バッテリBAT等の工業製品に限定されず、例えば鉄鋼、セメント、肥料及びアルミニウム等のアイテムについて、製造及び流通によるカーボンフットプリントを保証可能である。
上記実施形態では、保冷ボックスIDがモニタリング装置20を識別するセンサIDの機能を兼ねていた。一方で、上記実施形態の変形例6では、保冷ボックスIDとセンサIDとが別々に記録される。変形例6では、スタッフ端末40によって、保冷ボックスIDとセンサIDとを紐付ける登録処理が実施される。さらに、上記実施形態の変形例7では、荷物IMdとモニタリング装置20とが一体で流通することで、アイテムIDがセンサIDを兼ねる。
上記実施形態の変形例8では、輸送情報として、道路の種別情報が用いられる。具体的に、コントローラ23は、高速道路を使用して移動中と判断した場合、位置計測情報の取得頻度を下げて、位置情報保管チェーンBC3に蓄積されるデータ量を抑制する。以上によれば、計測ポイントPdの間隔が広くても、実際の移動軌跡と同一の輸送ルートTRがルート表示画面GA8にて再現可能となる。
上記実施形態では、温度計測情報及び位置計測情報の計測周期は、コントローラ23によって制御されていた。一方で、上記実施形態の変形例9では、フロントサーバ70が計測周期を制御する。フロントサーバ70は、計測周期を指示する指令をコントローラ23に送信してもよく、モニタリング装置20から送信された計測情報の間引きの調整により、記録上における計測周期(サンプリング周期)を制御してもよい。さらに、上記実施形態の変形例10では、位置計測情報の計測周期を調整する機能が省略されている。また変形例11では、温度計測情報の計測周期を調整する機能が省略されている。
上記実施形態のコールドチェーン管理システムでは、温度計測情報及び位置計測情報が別々のブロックチェーンBCを用いて管理されていた。一方で、上記実施形態の変形例12のコールドチェーン管理システムでは、温度計測情報及び位置計測情報が、一つのブロックチェーンBCに関連付けて保存される。さらに、温度情報の計測周期及び位置情報の計測周期は、適宜設定されてよい。例えば、温度情報の計測周期は、位置情報の計測周期よりも長く設定可能である。さらに、温度情報の計測周期は、位置情報の計測周期よりも短く設定可能である。
各ブロックチェーンサーバ90の各情報保存部92,95,98によって用いられるハッシュ関数は、適宜変更されてよい。ハッシュ関数は、違う入力から同一のハッシュ値を出力することがなく、且つ、出力されたハッシュ値から入力を推測することが実質不可能という特性を有する。こうした特性を有していれば、例えば、SHA-256、SHA-1、SHA-2及びSHA-3等の暗号化アルゴリズムが、必要とされる出力長(ビット数)に合わせて適宜使用されてよい。
各ブロックチェーンサーバ90の各情報提供部93,96,99は、抽出したデータを検証する機能を有していてもよい。一例として、各情報提供部93,96,99は、アイテムIDに紐付く履歴情報を提供するタイミングで、ハッシュ関数を用いた演算を実行する。こうした検証処理によれば、改竄されていないことが検証された履歴情報が、エンドユーザEU等に提供される。
上記実施形態の変形例13では、上述のRFIDの技術を利用し、アイテムID及び保冷ボックスID等が記録されている。こうした変形例13のように流通アイテムに添付されるデータ記録媒体は、紙媒体に印刷された一次元コード又は二次元コードに替えて、RFIDタグが用いられてよい。このようなRFIDの技術の利用によれば、例えばRFIDタグが視認されない状態であっても、アイテムID及び保冷ボックスIDの遠隔での読み取りが可能になる。尚、変形例13では、スタッフ端末40及びユーザ端末110は、RFIDタグを読み取り可能なリーダ等と有線又は無線にて接続される。また、コールドチェーンCCの一部で一次元コード又は二次元コードが利用され、他の一部でRFIDタグが利用されてもよい。
さらに、アイテムコードCd等に利用される情報コードの態様も適宜変更されてよい。例えば、暗号鍵の利用により、記録された情報の公開及び非公開を設定可能なセキュアなQRコード(SQRC,登録商標)が、アイテムコードCdとして利用されてもよい。さらに、二次元コードは、特定の読取装置によってのみ読み取り可能な情報を含むカラーQRコード等であってもよく、或いは赤外線又は紫外線に照射によって読み取り可能となる二次元コードであってもよい。
上記実施形態にて、データ処理サーバ60によって提供されていた各機能は、ソフトウェア及びそれを実行するハードウェア、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの複合的な組合せによっても提供可能である。同様に、スタッフ端末40及びユーザ端末110によって提供されていた各機能も、ソフトウェア及びそれを実行するハードウェア、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの複合的な組合せによっても提供可能である。こうした機能がハードウェアとしての電子回路によって提供される場合、各機能は、多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によっても提供可能である。
上記実施形態の各プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等の演算コアを少なくとも一つ含む構成であってよい。さらに、プロセッサは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)及び他の専用機能を備えたIPコア等をさらに含む構成であってよい。
上記実施形態の各記憶部として採用され、本開示の情報管理方法及び情報提供方法の実現に関連した各プログラムを記憶する記憶媒体の形態は、適宜変更されてよい。例えば記憶媒体は、回路基板上に設けられた構成に限定されず、メモリカード等の形態で提供され、スロット部に挿入されて、コンピュータのバスに電気的に接続される構成であってよい。さらに、記憶媒体は、コンピュータへのプログラムのコピー基となる光学ディスク及びのハードディスクドライブ等であってもよい。
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。