JP7464135B2 - 移動量推定装置、移動量推定方法およびプログラム - Google Patents
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Description
しかしながら、デバイスの位置が頻繁に移動するような場合では、膨大な状況数を必要とし、新しい状況が発生するごとに、3次元空間モデルを再定義し、デバイス制御値を学習し直す必要があった。このため、最適値へ収束するまでの準備時間の増大を招き、サービス品質維持時間の低下に結びつくものであった。
これまで、画像内の物体から局所的な特徴量を抽出する手法として、SIFT(Scale Invariant Feature Transform)、SURF(Speeded-Up Robust Features)、ORB(Oriented FAST and Rotated BRIEF)、AKAZE(Accelerated KAZE)等の様々な特徴量抽出手法が開発されている。この特徴量抽出技術では、図10に示すように、エッジ(画素値が変化する境界)やコーナー(エッジの集合)を特徴点として算出する。
この特徴量抽出手法の中でも、AKAZEは、画像内からエッジやコーナーを抽出した上で、フィルタ処理を行うことにより、注目画素の近傍を考慮しつつ、フィルタサイズを変更することで近傍範囲を変化させることができる。よって、AKAZEは、画像の拡大・縮小の変化や、画像のスライド(平行移動)、画像の回転等に強いロバスト的な特徴量抽出アルゴリズムとして知られている。
そして、マッチングされた特徴点の位置の変化量を「データ間距離」とし、データ間距離が小さいほど2つの画像間の変化量も少なく、類似度が高い画像であると判定することができる。
図1に示すように、移動量推定装置1は、比較元画像である現在画像5a(新たな位置に配置されたカメラデバイスが撮影した画像)と、比較対象である過去画像5b(過去に他の位置で撮影された画像)とを取り込み、特徴量抽出アルゴリズムを用いて、それぞれの画像から特徴量を抽出する(ステップS1)。
移動量推定装置1は、現在画像5aと過去画像5bとの間で特徴点のマッチングを行い(ステップS2)、2つの画像のマッチングされた各特徴点の位置の変化からホモグラフィ行列を算出する(ステップS3)。そして、移動量推定装置1は、算出したホモグラフィ行列から画像の類似度を推定し(ステップS4)、類似度が所定のレベルよりも高い(後記する「L2ノルム」が所定の閾値以下である)画像同士で、カメラ位置の移動量の推定を行う(ステップS5)。なお、各処理の詳細は後記する。
以下、移動量推定装置1の詳細について説明する。
図2は、本実施形態に係る移動量推定装置1の構成を示すブロック図である。
移動量推定装置1は、通信ネットワーク等を介して複数のデバイス(カメラデバイス50)に接続され、当該デバイスが撮影した画像を用いて、新たに配置されるカメラデバイス50(比較元のデバイス)と配置済みのカメラデバイス50(比較対象のデバイス)との間のデバイスの移動量を推定する装置である。
この移動量推定装置1は、制御部10と、入出力部11と、記憶部12とを備える。
この記憶部12には、デバイス毎の画像データ200が記憶される(詳細は後記)。
また、記憶部12には、さらに、制御部10の各機能部を実行させるためのプログラムや、制御部10の処理に必要な情報が一時的に記憶される。
この画像認識部110は、特徴量抽出部111と移動量推定部112とを含んで構成される。
また、比較元画像となる現在画像5aを送信してきたカメラデバイス50は、既存の(過去の)カメラデバイス50の配置位置において撮影された画像ではなく、新たに配置された位置で撮影した画像を送信するデバイスであるものとする。
なお、特徴量抽出部111による特徴量の抽出手法は、AKAZEに限定されず、2つの画像間での特徴点の変動量を推定できる手法であれば、他の手法でも適用可能である。
ホモグラフィ行列100は、ある画像において、射影変換(拡大・縮小、回転、平行移動など)が行われた場合、元画像の画像座標(変換前座標:x,y)から変換後の画像座標(変換後座標:x′,y′)に射影することができる3×3の行列で表される。
変換後座標(x′,y′)は、変換前座標(x,y)とホモグラフィ行列とを用いて図3の式(1)のように表すことができる。
ここで、例えば、座標x,yに依存しない影響を示すパラメータ「h13,h23」に着目すればX軸・Y軸方向の移動量を推定することができる。また、スケールに対する影響度を示すパラメータ「h31,h32」に着目すれば、スケール(拡大・縮小)の変化量を推定することができる。よって、ホモグラフィ行列の各要素(パラメータ)を利用することにより、実際のカメラ位置の変化量を推定することが可能になる。
移動量推定部112は、ホモグラフィ行列における固有値Hの確定処理を以下に示す手順で行う。
ここで、変換前の座標を変換前座標aとし、変換後の座標を変換後座標a′とする。また、n組(ここでは、例として10組)の特徴量のペア(以下、「特徴量ペア」と称する。)があるとする。
(手順2)残り6組の特徴量ペアのそれぞれについて、(手順1)で算出されたホモグラフィ行列と座標(Ha)とを使って算出した値と実際の座標(Ha′)との差√(x2+y2)(誤差距離:変換後座標を(0,0)としたときの座標平面上の2点間の距離であり、特徴点間の座標のずれを示す。)を残り6組の特徴量ペアそれぞれについて求め、その誤差距離の総和Sを算出する。
(手順3)(手順2)で算出された誤差距離の総和Sを、全通りの特徴量ペア(ここでは、10C4通り)計算する。
(手順4)誤差距離の総和Sが最も小さい特徴量ペア(4組の特徴量ペア)で算出されたホモグラフィ行列を採用し、固有値Hとして確定する。
L2ノルムは、画像間の類似度(Sim)を示す指標であり、以下の式(2)で示される。
移動量推定部112は、確定したホモグラフィ行列の固有値HからこのL2ノルムを計算する。このL2ノルムは、値が小さいほど類似度が高いものとなる。
図4では、過去画像「05.jpg」は、他の過去画像5bに比べL2ノルムの値が低くなっている。これにより、現在画像5aと過去画像「05.jpg」の類似度が高いことが示される。
よって、この2つの過去画像5bは、現在画像5aとの類似度が高いことが示される。このとき、「05.jpg」および「04.jpg」のホモグラフィ行列の固有値は、図5の符号H5と符号H4で示される。
そして、このホモグラフィ行列の固有値H5,H4から、例えば、X軸方向の移動量を示す値(h13成分)、Y軸方向の移動量を示す値(h23成分)が示される。なお、X軸方向の移動量(h13成分:符号aで示す値)は、Y軸方向の移動量(h23成分:符号bで示す値)よりも大きな値であることがわかる。また、スケール(拡大・縮小)の変化量を示す値(h31成分,h32成分:符号cで示す値)が全体として小さな値であることがわかる。
一方、L2ノルムの値が所定の閾値を超える場合、画像間の類似度が低く、現在画像5aと過去画像5bの2つの画像が全体として様相が大きく変わっており、一致する特徴量(特徴点)が少なかったり、特徴量自身のマッピングがずれていることが起因して、推定される変動量と実際の画像との間にずれが発生しやすいものとなる。つまり、X軸方向、Y軸方向の移動量の信頼度は低いものとなる。
そして、移動量推定部112は、類似度の高い画像として抽出した、X軸方向、Y軸方向の移動量を、カメラデバイス50の移動量として推定する。
類似デバイス抽出部120は、新規に配置されたパターン(以下、「新規配置パターン」と称する。)のカメラデバイス群の画像(各現在画像5a)を移動量推定装置1が取得した場合、画像認識部110が、上記において説明した処理を行い、画像データ200に記憶された過去画像5bと比較することにより算出したデータ間距離(固有値H)およびL2ノルムを用いて、L2ノルムが所定の閾値以下の過去画像5bを抽出する。これにより、類似デバイス抽出部120は、画像間の類似度が高い、つまり、新規配置パターンのカメラデバイス50と配置位置の近いデバイスを抽出する。
同様に、デバイス「B」の近傍には、Simが所定の閾値(Th)以下(Sim<Th)であり、そのうちの最小値として選択されたデバイス「P3」が抽出される。なお、デバイス「P2」は、Simが所定の閾値(Th)を超えているので抽出されない。そして、デバイス「B」は、デバイスP3の近傍の3ホップ以内の距離にあると推定される(H(A,P1)=3)。
同様に、デバイスCの近傍には、Simが所定の閾値(Th)以下(Sim<Th)であり、そのうちの最小値として選択されたデバイス「P4」が抽出される。なお、デバイス「P5」は、Simが所定の閾値(Th)を超えているので抽出されない。そして、デバイス「C」は、デバイス「P4」の近傍の2ホップ以内の距離にあると推定される(H(A,P1)=2)。
以上より、移動量推定装置1は、類似すると判定された2映像間の距離差を、その環境下で定義されたホップ単位に変換することにより、実際のカメラデバイス50間の物理的な距離差に比例した正確なずれを算出することができる。
次に、本実施形態に係る移動量推定装置1が、現在画像5aと過去画像5bとを用いてカメラデバイス50の移動量を推定する処理(移動量推定処理)について図8を参照して説明する。
図8は、本実施形態に係る移動量推定装置1が実行する移動量推定処理の流れを示すフローチャートである。
まず、移動量推定装置1の画像認識部110(特徴量抽出部111)は、比較元画像である現在画像5aを、カメラデバイス50から取り込み、所定の特徴量抽出アルゴリズムを用いて特徴量を抽出する(ステップS10)。
具体的には、移動量推定部112は、上記のように、ランダムに4つの特徴量ペア(所定数の特徴点)を選んだ上でホモグラフィ行列を算出し、残りの特徴量ペアについて、当該ホモグラフィ行列で算出した座標と実際の座標との距離を距離誤差としてその総和Sを算出する。移動量推定部112は、全通りの特徴量ペアについての距離誤差の総和Sを算出し、総和Sが最も小さい特徴量ペア(4つの特徴量ペア)で算出されたホモグラフィ行列を、その画像間のホモグラフィ行列として算出する。
このL2ノルムの値が、所定の閾値以下の場合に、画像間の類似度が高いものとなる。なお、L2ノルムの値が、所定の閾値を超える場合には、その画像の類似度は低いものとし、画像からの移動量の推定はできない。
また、移動量推定装置1は、類似すると判定された2映像間の距離差を、その環境下で定義されたホップ単位に変換することにより、実際のカメラデバイス50間の物理的な距離差に比例した正確なずれを算出することができる。
本実施形態に係る移動量推定装置1は、例えば図9に示すようなコンピュータ900によって実現される。
図9は、本実施形態に係る移動量推定装置1の機能を実現するコンピュータ900の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ900は、CPU(Central Processing Unit)901、ROM(Read Only Memory)902、RAM903、HDD(Hard Disk Drive)904、入出力I/F(Interface)905、通信I/F906およびメディアI/F907を有する。
以下、本発明に係る移動量推定装置1等の効果について説明する。
本発明に係る移動量推定装置は、カメラデバイス50の配置位置の変化に伴う画像間の移動量を推定する移動量推定装置1であって、カメラデバイス50の過去の配置位置それぞれで撮影された比較対象となる画像を示す過去画像5bを記憶する記憶部12と、新たな配置位置のカメラデバイス50により撮影された画像を、比較元となる画像を示す現在画像5aとして取り込み、記憶部12から過去画像5bを取り込み、現在画像5aおよび過去画像5bから所定の特徴量抽出アルゴリズムを用いてそれぞれの特徴点を抽出して、当該特徴点間のマッチングを行う特徴量抽出部111と、複数のマッチングされた特徴点のうちから所定数の特徴点を選択し、選択した所定数の特徴点の位置の変化からホモグラフィ行列を算出し、算出したホモグラフィ行列を用いて、選択した所定数の特徴点以外の特徴点それぞれについての特徴点間の座標のずれを示す誤差距離を計算して当該誤差距離の総和を算出し、誤差距離の総和の算出をすべての特徴点の選択の組み合わせで行い、算出された複数の誤差距離の総和のうちの最小値を算出した際のホモグラフィ行列を、現在画像5aと過去画像5bの座標の変化を示すホモグラフィ行列として採用し、採用したホモグラフィ行列の固有値を用いて、新たな配置位置のカメラデバイス50の移動量を推定する移動量推定部と、を備えることを特徴とする。
10 制御部
11 入出力部
12 記憶部
50 カメラデバイス
100 ホモグラフィ行列
110 画像認識部
111 特徴量抽出部
112 移動量推定部
120 類似デバイス抽出部
200 画像データ
Claims (3)
- カメラデバイスの配置位置の変化に伴う画像間の移動量を推定する移動量推定装置であって、
前記カメラデバイスの過去の配置位置それぞれで撮影された比較対象となる画像を示す過去画像を記憶する記憶部と、
新たな配置位置のカメラデバイスにより撮影された画像を、比較元となる画像を示す現在画像として取り込み、前記記憶部から前記過去画像を取り込み、前記現在画像および前記過去画像から所定の特徴量抽出アルゴリズムを用いてそれぞれの特徴点を抽出して、当該特徴点間のマッチングを行う特徴量抽出部と、
複数の前記マッチングされた特徴点のうちから所定数の特徴点を選択し、選択した前記所定数の特徴点の位置の変化からホモグラフィ行列を算出し、算出したホモグラフィ行列を用いて、選択した前記所定数の特徴点以外の特徴点それぞれについての特徴点間の座標のずれを示す誤差距離を計算して当該誤差距離の総和を算出し、前記誤差距離の総和の算出をすべての特徴点の選択の組み合わせで行い、算出された複数の前記誤差距離の総和のうちの最小値を算出した際の前記ホモグラフィ行列を、前記現在画像と前記過去画像の座標の変化を示すホモグラフィ行列として採用し、採用した前記ホモグラフィ行列の固有値を用いて、前記新たな配置位置のカメラデバイスの移動量を推定する移動量推定部と、を備え、
前記移動量推定部は、採用した前記ホモグラフィ行列の固有値を用いて、値が小さい程前記現在画像と前記過去画像との類似度が高くなる指標としてのL2ノルムを算出し、
前記特徴量抽出部が、新規の配置パターンのカメラデバイス群における各カメラデバイスの複数の前記現在画像を取り込み、前記移動量推定部が複数の前記現在画像それぞれの比較対象となる過去画像について算出した前記L2ノルムのうちの最小値の前記過去画像を選択する処理を実行し、
当該選択した過去画像について前記移動量推定部が算出した複数の前記誤差距離の総和のうちの最小値を所定の距離で割った値を用いて、前記新規の配置パターンの各カメラデバイスと、その現在画像に類似する過去画像を撮影したカメラデバイスとの推定距離をホップ数として算出する類似デバイス抽出部
をさらに備えることを特徴とする移動量推定装置。 - カメラデバイスの配置位置の変化に伴う画像間の移動量を推定する移動量推定装置の移動量推定方法であって、
前記移動量推定装置は、
前記カメラデバイスの過去の配置位置それぞれで撮影された比較対象となる画像を示す過去画像を記憶する記憶部を備えており、
新たな配置位置のカメラデバイスにより撮影された画像を、比較元となる画像を示す現在画像として取り込み、前記記憶部から前記過去画像を取り込み、前記現在画像および前記過去画像から所定の特徴量抽出アルゴリズムを用いてそれぞれの特徴点を抽出して、当該特徴点間のマッチングを行う特徴量抽出ステップと、
複数の前記マッチングされた特徴点のうちから所定数の特徴点を選択し、選択した前記所定数の特徴点の位置の変化からホモグラフィ行列を算出し、算出したホモグラフィ行列を用いて、選択した前記所定数の特徴点以外の特徴点それぞれについての特徴点間の座標のずれを示す誤差距離を計算して当該誤差距離の総和を算出し、前記誤差距離の総和の算出をすべての特徴点の選択の組み合わせで行い、算出された複数の前記誤差距離の総和のうちの最小値を算出した際の前記ホモグラフィ行列を、前記現在画像と前記過去画像の座標の変化を示すホモグラフィ行列として採用し、採用した前記ホモグラフィ行列の固有値を用いて、前記新たな配置位置のカメラデバイスの移動量を推定する移動量推定ステップと、を実行し、
前記移動量推定ステップにおいて、採用した前記ホモグラフィ行列の固有値を用いて、値が小さい程前記現在画像と前記過去画像との類似度が高くなる指標としてのL2ノルムを算出し、
前記特徴量抽出ステップにおいて、新規の配置パターンのカメラデバイス群における各カメラデバイスの複数の前記現在画像を取り込み、前記移動量推定ステップにおいて複数の前記現在画像それぞれの比較対象となる過去画像について算出した前記L2ノルムのうちの最小値の前記過去画像を選択する処理を実行し、
当該選択した過去画像について前記移動量推定ステップにおいて算出した複数の前記誤差距離の総和のうちの最小値を所定の距離で割った値を用いて、前記新規の配置パターンの各カメラデバイスと、その現在画像に類似する過去画像を撮影したカメラデバイスとの推定距離をホップ数として算出する類似デバイス抽出ステップを実行すること
を特徴とする移動量推定方法。 - コンピュータを、請求項1に記載の移動量推定装置として機能させるためのプログラム。
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