JP7460086B2 - 自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法および選別システム - Google Patents

自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法および選別システム Download PDF

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Description

本発明は、自動車のボディパネル材として多用されている付加価値の高いアルミ展伸材への水平リサイクルを実現するために必要な、アルミ合金種選別方法および選別システムに関するものである。
近年、厳しくなる燃費規制を背景に、軽量化を目的とした自動車ボディパネルへのアルミ展伸材の適用が増大している。
その一方、廃自動車のリサイクルとなると、アルミ展伸材由来のアルミ解体破砕屑はアルミ鋳造部品へのカスケードリサイクルが一般的であり、付加価値の高いアルミ展伸材への水平リサイクルは未だ実現できていない。
而して、今後は環境規制の強化が益々高まることが予想されており、アルミ展伸材への水平リサイクルの実現は待ったなしの課題になっている。
WO2018/012346号公報
しかしながら、アルミ展伸材への水平リサイクルを実現するためには、その前提として、アルミ合金種の選別が必要であるが、自動車メーカーや車種毎に、部品に使用されているアルミ合金種が異なっている。しかも、表面に防錆や加飾を目的として塗装が施されており、その塗料の種類も千差万別になっている。
含まれる元素の種類とその濃度を測定して材料種を判定選別する選別機としては、特許文献1に記載の選別対象物にレーザー光を照射しながら化学組成分析を行うLIBS分析の原理を利用したものが既に存在しているが、上記のような特有の事情を背景に、この選別機にかけても、合金種を高精度に判定選別するのは難しい。
また、塗膜を湿式で完全に剥離するとなると厳しい管理が必要となり、大掛かりな設備になるが、スクラップのリサイクル業者がそのような設備を設けるのは現実的ではない。
このような事情が水平リサイクルの実現を阻んでいた。
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、湿式処理を限定的に採り入れつつ、あくまでも乾式処理を主体とし、LIBS選別機での判定選別を可能にした、新規且つ有用な自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法を提供することを、その目的とする。
また、本発明は、上記のアルミ合金種選別方法を実施できる選別システムを提供することを、その目的とする。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、[1]の発明は、自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法であって、下記(1)から(3)の各工程を有することを特徴とする選別方法である。(1)アルミ解体破砕屑から出た破砕片を中性の塗膜剥離溶剤に浸漬させて、破砕片の表面に施された塗膜の浮き上がり乃至分離を図る剥離溶剤浸漬工程、(2)前記(1)の後に、破砕片を一軸シュレッダ破砕機にかけて浮き上がった塗膜をせん断により破砕片から分離する塗膜分離工程、(3)前記(2)の後に、LIBS選別機にかけて、アルミ合金種を合金系別で判定選別する選別工程。
[2]の発明は、[1]に記載した自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法において、(1)では、中性の塗膜剥離溶剤に5~15分間浸漬させることを特徴とする選別方法である。
[3]の発明は、[1]または[2]に記載した自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法において、(3)では、アルミ合金種に含まれる合金元素の種類と各合金元素の濃度に、塗装下地皮膜に含まれる元素とその濃度を加えたデータをマッチング用に使用することを特徴とする選別方法である。
[4]の発明は、[1]または[2]に記載した自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法において、(1)の後で(2)の前に、(1)’として、アルカリ性の皮膜剥離溶剤に浸漬させ、(2)では、浮き上がった塗装下地皮膜と塗膜をせん断により破砕片から分離することを特徴とする選別方法である。
[5]の発明は、[1]から[4]のいずれかに記載した自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法において、アルミ解体破砕屑から出た破砕片には塗装下地皮膜としてリン酸亜鉛皮膜が施されていることを特徴とする選別方法である。
[6]の発明は、[1]から[5]のいずれかに記載した自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法において、アルミ合金種として5000系と6000系が想定されていることを特徴とする選別方法である。
[7]の発明は、[1]から[6]のいずれかに記載した自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法における各工程を実施できる装置で構成された選別システムである。
[8]の発明は、[7]に記載した自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別システムにおいて、(1)は、中性の塗膜剥離溶剤を溜めた溶剤槽中に連続的に浸漬させる連続式浸漬ラインで実施することを特徴とする選別システムである。
[9]の発明は、[8]に記載した自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別システムにおいて、(1)では、中性の塗膜剥離溶剤の表層が液状シール剤でシールされていることを特徴とする選別システムである。
本発明の自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法によれば、実際に回収されるアルミ解体破砕屑からアルミ合金種をLIBS選別機で合金系別に高精度に判定選別できる。
また、本発明の選別システムによれば、上記の方法を実際に事業として実施できる。
自動車用アルミボディパネル材の塗膜構成例のイメージ図である。 本発明の第1の実施の形態に係る選別方法を実施するシステムの概略的構成図である。 図1中の連続式浸漬ラインの詳細構成図である。 第1の実施の形態に係る選別方法の実施例で採用した浸漬試験の説明図である。 第1の実施の形態に係る選別方法の実施例で得られた破砕片の写真である。 第2の実施の形態に係る選別方法の実施例で得られた破砕片の写真である。
≪選別対象≫
自動車用アルミボディパネルの母材をなすアルミ合金種は、5000系(Al-Mg系)と6000系(Al-Mg-Si系)であり、強度を優先する箇所には前者が、成形性を優先する箇所には後者が用いられている。
これらのパネル材のアウターには塗装が施されている。防錆や下塗りの密着性を良くするために、リン酸塩等でアルミ素地と密着する側に化成処理が施されて塗装下地皮膜が形成されており、現在のところリン酸亜鉛が多用されている。下塗りでは、防錆や下地と塗料との馴染みを良くするために、水性の電着塗料を用いて電着塗装が施されている。中塗りでは、耐チッピング性、平滑性、光線透過制御を良くするために、微粒状の塗料を用いて静電塗装が施されている。本塗りでは、ボディカラーの塗料を用いて静電塗装が施されている。更に、最近では、仕上がり性(肌・ツヤ)、耐久性、耐候性を良くするために、ソリッドカラーの塗料を用いてクリアーコートが上塗りされているものがある。図1に示す塗膜構成例がこの一例である。
また、インナーにも電着塗装までは施されている場合が多い。
自動車の解体では、バッテリーやエアコン、ドア、バンパー、ミラー等のパーツが外され、中古部品として利用できるもの以外は、屑として回収される。この回収された屑がシュレッダ業者に破砕されて解体破砕屑になっており、本発明では5000系(Al-Mg系)と6000系(Al-Mg-Si系)のアルミ展伸材が適用されたパネル材から出た解体破砕屑が選別対象になっている。
≪アルミ合金種選別方法(第1の実施の形態)≫
本発明の第1の実施の形態に係る自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法は、図2~図3に示す選別システムによって実施されるものであり、工程毎に、工程内容を選別システムの構成設備と共に、以下で説明する。
[粗破砕工程]
回収された屑を、先ずは、二軸シュレッダ破砕機にかけて粗破砕する。
後続の工程での処理の便宜のために実施する。
二軸シュレッダ破砕機1は、回転する2つの刃の間に被破砕物であるアルミ解体破砕屑を挟み、はさみのように引き裂いて破砕する仕組みになっている。二軸シュレッダ破砕機としては、例えば、Metso Denmark社製のPreShred 4000Mを利用できる。
破砕幅は300mm以下になっている。
切断により破砕しており、プレート状のアルミ展伸材は丸められずにそのまま排出される。
[剥離溶剤浸漬工程]
粗破砕片を、中性の塗膜剥離溶剤に浸漬させて、破砕片の表面に施された塗膜の浮き上がり乃至分離を図る。
なお、「中性」と言ってもpH=7.0に限定されるわけではなく、pH=6.0~8.0の範囲であれば良い。
剥離溶剤としては、例えば、塗料剥離剤「デスコート(登録商標)SR-40T」(化学品の名称、株式会社ネオス製、成分情報「アミン類:1%未満、アルコール類:65~75%、グリコール類:10~20%、有機酸アミン類:3%未満、水:10~20%」)、塗料剥離剤「デスコート(登録商標)SR-30」(化学品の名称、株式会社ネオス製、成分情報「アルコール類:40~50%、有機酸アミン塩類:3%未満、有機酸塩類:10~20%、有機酸類:1%未満、水:35~45%、無機塩類:1%未満」)を使用できる。これらはいずれも(弱)中性(pH=7.6)である。但し、前者が後者よりも毒性が低いので管理上の便宜から前者の使用が推奨される。
相性の良い剥離溶剤を使用すれば、剥離溶剤が塗膜に浸透し、塗膜が膨潤した結果、母材との間に隙間が生じ、すなわち塗膜が浮き上がって最終的には剥離により分離するが、剥離までは通常数時間から数十時間かかる。
これに対して、本発明では、敢えて、粗破砕片を、剥離溶剤に5~15分程度の短時間だけ浸漬することを特徴とする。短時間の浸漬では塗膜の浮き上がりは期待できるが、剥離まで完全を期そうとすると不十分である。しかしながら、浮き上がって剥離し易い状態までもっていけば、後続の乾式工程で剥離を図ることができる。短時間の浸漬で済めば、処理効率を下げずに、浸漬槽をコンパクト化できるメリットもある。
剥離溶剤を85~95℃程度に加温すれば、塗膜の浮き上がりを促進できるので、加温することが好ましい。
本発明では、図3で示す連続式浸漬ライン3の使用が推奨される。この連続式浸漬ライン3では、左右に上方に向かって拡開したテーパ状の側面を有する浸漬槽3aに、搬送コンベア3bの中間部が入り込んでいる。搬送コンベア3bは矢印に示すように左右方向が搬送方向になっており、水平な中間部を挟んで上流側と下流側がそれぞれ浸漬槽3aの側面に沿って傾斜勾配になっている。浸漬槽3aには剥離溶剤Aが溜められており、この搬送コンベア3bの搬送上面は水平な中間部とそれを挟んだ傾斜部の下側では剥離溶剤Aの液中にある。
モータ駆動により、搬送コンベア3bの搬送上面が移動するので、粗破砕片をバンカー3cから順次排出して搬送方向上流側の高台に落下させれば、所定の時間浸漬された後に、搬送方向下流側の傾斜部の上側に順次上がってくる。搬送速度を調整することで、所定の浸漬時間を確保できる。また、搬送方向下流側の傾斜部の搬送上面は搬送方向に長くなるように設定されており、剥離溶剤Aの液中から出た粗破砕片がこの搬送上面に載って上がっている過程で乾燥される。上がりきったところには吸引口を設けた吸引手段が設けられており、次の工程まで運ばれるようになっている。
剥離溶剤Aは上記のものを含めて通常アルコール類が含められており、その揮発を抑えるために、液状シール剤Bで薄く覆われてシールされている。この液状シール剤Bとしては、例えば、シール剤「K-2000」(化学品の名称、株式会社ネオス製、成分情報「鉱油:90%以上」)を使用できる。
浸漬槽3aの搬送方向下流側には、油止3dが設けられており、液状シール剤Bはこの油止3dにより留め置かれるので、剥離溶剤Aの液中に没入して浸漬されていた粗破砕片が、搬送方向下流側の傾斜部の搬送上面に載って液面より上がってきたときに、液状シール剤Bが粗破砕片に付着することが阻止される。
[塗膜分離工程]
剥離溶剤Aで浸漬され乾燥された状態で、粗破砕片を、一軸シュレッダ破砕機にかけて細破砕する。
この破砕によりサイズダウンすると共に、浮き上がったが未だ分離せずに残っていた塗膜がせん断により剥離されて分離除去される。
一軸シュレッダ破砕機5は、回転するロータに取り付けられた回転刃と、本体に取り付けられた固定刃の間に被破砕物を挟み、回転刃に被破砕物を押し付けて削り取っていくようにせん断する仕組みになっている。一軸シュレッダ破砕機としては、例えば、クボタ社製のアイダル型KE400を利用できる。
破砕幅は10~100mm、好ましくは約40mmになっている。
切断により破砕しており、プレート状のアルミ展伸材は丸められずにそのまま排出される。また、排出された細破砕片からは塗膜が剥離除去されている。このサイズ及び表面状態は、後続の工程に適している。
[素材選別工程](任意)
異物が付着している場合には、後段の[選別工程]の前に、この素材選別工程を実施する。例えば、磁力選別機にかけて、鉄屑を除去し、ステンレス選別機にかけて、SUSを除去し、X線選別機にかけて、アルミ合金種以外の非磁性金属を除去する。選別対象は、ボディパネル材の解体物で、異物は解体中に紛れ込んだものであるから、上記の一般的な選別処理により綺麗に除去できる。
[選別工程]
細破砕片を、LIBS選別機7にかけて、アルミ合金種を合金系別で判定選別する。
このLIBS選別機7は、レーザー誘起ブレークダウン分光法、通称LIBSと呼ばれる選別技術を利用したものであり、例えば、SECOPTA社製の型番MOE201901を利用できる。
レーザー照射により、対象物表面にプラズマが発生するので、その光の波長から含まれる元素の種類とその濃度が計測される。マッチングは判定プログラムの実行により実施されており、予め登録された合金種の合金元素とその合金元素の濃度とのマッチングから、合金種が判定選別される。
本発明では、5000系と6000系のアルミ展伸材由来のアルミ解体破砕屑が選別対象になっており、5000系と6000系のそれぞれの登録データに、リン酸亜鉛皮膜の残留に伴うリンと亜鉛を加えてデータを修正しており、合金種を精度高く判定選別できる。
<実施例>
6000系の実際のアルミ解体破砕屑のサンプルを用意し、[粗破砕工程]に従って、破砕幅約100mmで破断し、[剥離溶剤浸漬工程]に従って、剥離溶剤として塗料剥離剤「デスコート(登録商標)SR-40T」を、図4(1)に示すように、試験用のバッチ容器に入れて、約90℃に加温した状態で、図4(2)に示すように、フックに吊下げた状態でサンプルを10分間浸漬させた後引き上げて十分に乾燥させ、[塗膜分離工程]に従って、破断幅約40mmで破断した。
図5は、外面が(電着塗装まで済み)のサンプルと、外面が(クリアーコートまで済み)の黒色、赤色着色されたサンプルについて、それぞれの外面の[剥離溶剤浸漬工程]後と、[塗膜分離工程]後の状態を比較して示す。
この図に示すように、[剥離溶剤浸漬工程]直後では(電着塗装まで済み)のサンプルの外面には、既に光沢が有った。一方、(クリアーコートまで済み)の黒色のサンプルの外面には、塗膜が剥離除去されていたが、光沢が無く、濃く曇っていた。また、(クリアーコートまで済み)の赤色のサンプルの外面には未だ塗膜が付着していた。
[塗膜分離工程]後には、(電着塗装まで済み)のサンプルの外面には、引き続き光沢が有った。一方、(クリアーコートまで済み)の黒色のサンプルの外面の曇りは薄くなっていた。また、(クリアーコートまで済み)の赤色のサンプルの外面からは塗膜が剥離除去されたが、光沢が無く濃く曇っていた。
光沢有りの場合には、アルミ素地が露出し、光沢無しで曇っているものはリン酸亜鉛皮膜が残留している状態で、残留量の大小が濃淡の違いに反映されていると推測された。
[塗膜分離工程]後のサンプルを、発光分光分析装置にかけたところ、表1の結果が得られた。
Figure 0007460086000001
この結果から、上記推測の正しさが確認された。
また、亜鉛とリンの成分量に関しては、光沢無しの場合には、Zn:0.20~10.00%、P:0.10~13.00%に収まっていた。
なお、(クリアーコートまで済み)の黒色、赤色着色されたサンプルも、内面は電着塗装まで施されており、[選別工程]で判定選別される細破砕片は外面・内面が区別されていないが、細破砕片の向きを変えて複数回発光分光分析装置にかけ、そのうち亜鉛とリンが多く出たものが、表に示されている。
また、5000系の実際のアルミ解体破砕屑のサンプルを用意し、上記と同様に試験したところ、リン酸亜鉛皮膜に関しては、6000系と同様に、光沢無しの場合には、Zn:0.20~10.00%、P:0.10~13.00%に収まっていた。
これらの結果から、5000系、6000系のそれぞれの成分波形の登録データに、亜鉛とリンの成分波形のデータを加えて検出プログラムを修正することで、5000系、6000系が混在し、それぞれの外面に塗装が施されていても、本発明の特徴的な前処理を施した上で、LIBS選別機7にかければ、5000系、6000系の合金種を高精度に判定選別できることが確認された。
≪アルミ合金種選別方法(第2の実施の形態)≫
本発明の第2の実施の形態に係る自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法も、[粗破砕工程]~[剥離溶剤浸漬工程]~[塗膜分離工程]~[選別工程]を順次実施する図2~図3に示す選別システムに追加設備を備えたもので実施されるものであり、[粗破砕工程]~[剥離溶剤浸漬工程]~[塗膜分離工程]~[選別工程]を順次実施する。
但し、[剥離溶剤浸漬工程]では、第1の実施の形態と同様に、中性の塗膜剥離溶剤に浸漬させた後に、更に、アルカリ性の剥離溶剤に浸漬させる。中性の塗膜剥離溶剤に浸漬させて電着塗装膜とリン酸亜鉛皮膜との間にできた隙間に、アルカリ性の剥離溶剤が浸透して、リン酸亜鉛皮膜も浮き上がってくる。
アルカリ性の剥離溶剤としては、pH=9.0以上で、例えば、pH=10.5の塗料剥離剤「デスコート(登録商標)SR-30K」(化学品の名称、株式会社ネオス製、成分情報「アルコール類:40~50%、有機酸塩類:15~25%、水:30~40%、無機アルカリ類:3%未満」)を使用できる。
アルカリ性の剥離溶剤を60~70℃程度に加温すれば、リン酸亜鉛皮膜の浮き上がりを促進できるので、加温することが好ましい。
浸漬時間は、上記の加温状態であれば、30分程度で十分である。終了の目安はアルミ素地の表層が露出し、強アルカリによる腐食で白色化が視認できたか否かである。
この二段目の浸漬工程も、図3で示す連続式浸漬ライン3の使用が推奨される。
また、[選別工程]では、リン酸亜鉛皮膜に関連するリンと亜鉛を加えた修正はされない。二段目の浸漬工程で、リン酸亜鉛皮膜も分離除去されているからである。
<実施例>
5000系、6000系の実際のアルミ解体破砕屑のサンプルを用意し、[粗破砕工程]では破砕幅約100mmで破断し、[剥離溶剤浸漬工程]で、剥離溶剤として、塗料剥離剤「デスコート(登録商標)SR-40T」を、図4に示す試験用のバッチ容器に入れて、90℃に加温した状態で、10分間浸漬させた後引き上げて十分に乾燥させ、更に、塗料剥離剤「デスコート(登録商標)SR-30K」を、図4に示す別のバッチ容器に入れて、60~70℃に加温した状態で、30分間浸漬させた後十分に乾燥させた。
その後、[塗膜分離工程]では破断幅約40mmで破断し、[選別工程]で判定選別した。
図6は、外面が(電着塗装まで済み)のサンプルと、外面が(クリアーコートまで済み)の種々の色で着色されたサンプルについて、更に、二段浸漬後の状態を示す。
このサンプルは図5のサンプルに対応しており、外面が(電着塗装まで済み)のサンプルと、外面が(クリアーコートまで済み)の黒色、赤色着色されたサンプルについて、それぞれの外面の[剥離溶剤浸漬工程]後の状態を示す。
この図に示すように、[剥離溶剤浸漬工程]直後では(電着塗装まで済み)のサンプルの外面は、白色化していた。(クリアーコートまで済み)の黒色のサンプルの外面も、白色化していた。但し、(クリアーコートまで済み)の赤色のサンプルの外面には未だ一部の塗膜が付着していた。
白色化の場合には、アルミ素地が露出し、その腐食が進行した状態になっていた。
[塗膜分離工程]後のサンプルは、白色部分が剥離され、全て光沢有りになっていた。
これらのサンプルを、発光分光分析装置にかけたところ、表2の結果が得られた。
Figure 0007460086000002
また、亜鉛とリンの成分量に関しては、ごく微量になっていた。
(電着塗装まで済み)のサンプルは、5000系、(クリアーコートまで済み)の黒色と赤色のサンプルは、6000系で構成されていたが、いずれも、その合金種に対応する成分表のデータになっていた。
これらの結果から、5000系、6000系のそれぞれの成分波形の登録データを利用した検出プログラムを修正せずに、5000系、6000系が混在し、それぞれの外面に塗装が施されていても、本発明の特徴的な前処理を実施した上で、LIBS選別機7にかければ、5000系、6000系の合金種を高精度に判定選別できることが確認された。
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
1…二軸シュレッダ破砕機 3…連続式浸漬ライン 3a…浸漬槽
3b…搬送コンベア 3c…バンカー 3d…油止
5…一軸シュレッダ破砕機 7…LIBS選別機
A…剥離溶剤 B…液状シール剤

Claims (9)

  1. 自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法であって、下記(1)から(3)の各工程を有することを特徴とする選別方法。
    (1)アルミ解体破砕屑から出た破砕片を中性の塗膜剥離溶剤に浸漬させて、破砕片の表面に施された塗膜の浮き上がり乃至分離を図る剥離溶剤浸漬工程、
    (2)前記(1)の後に、破砕片を一軸シュレッダ破砕機にかけて浮き上がった塗膜をせん断により破砕片から分離する塗膜分離工程、
    (3)前記(2)の後に、LIBS選別機にかけて、アルミ合金種を合金系別で判定選別する選別工程。
  2. 請求項1に記載した自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法において、
    (1)では、中性の塗膜剥離溶剤に5~15分間浸漬させることを特徴とする選別方法。
  3. 請求項1または2に記載した自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法において、
    (3)では、アルミ合金種に含まれる合金元素の種類と各合金元素の濃度に、塗装下地皮膜に含まれる元素とその濃度を加えたデータをマッチング用に使用することを特徴とする選別方法。
  4. 請求項1または2に記載した自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法において、
    (1)の後で(2)の前に、(1)’として、アルカリ性の皮膜剥離溶剤に浸漬させ、
    (2)では、浮き上がった塗装下地皮膜と塗膜をせん断により破砕片から分離することを特徴とする選別方法。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載した自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法において、
    アルミ解体破砕屑から出た破砕片には塗装下地皮膜としてリン酸亜鉛皮膜が施されていることを特徴とする選別方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載した自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法において、
    アルミ合金種として5000系と6000系が想定されていることを特徴とする選別方法。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載した自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別方法における各工程を実施できる装置で構成された選別システム。
  8. 請求項7に記載した自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別システムにおいて、
    (1)は、中性の塗膜剥離溶剤を溜めた溶剤槽中に連続的に浸漬させる連続式浸漬ラインで実施することを特徴とする選別システム。
  9. 請求項8に記載した自動車用ボディパネル由来のアルミ解体破砕屑からのアルミ合金種選別システムにおいて、
    (1)では、中性の塗膜剥離溶剤の表層が液状シール剤でシールされていることを特徴とする選別システム。
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