移載装置は、物品の移載動作を行う装置である。以下、物品の搬送や保管が行われる物品搬送設備に、当該移載装置を備えた物品搬送車が設けられている場合を例示して、移載装置の実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
まず、移載装置の第1実施形態について説明する。
図1に示すように、物品搬送設備100には、移載装置30を備えた物品搬送車1と、複数の収納部20を備えた物品収納棚2と、が設けられている。
物品搬送車1は、水平面内における特定の方向に沿って物品Wを搬送するように構成されている。本実施形態では、物品収納棚2は上下方向に複数段の棚板20Aを備えた複数段構造となっている。そして、物品搬送車1は、物品収納棚2における各段に配置されている。なお、図1では、複数の物品搬送車1のうち、物品収納棚2の最上段に設けられた物品搬送車1のみを示している。
物品収納棚2は、上下方向及び物品搬送車1の走行経路の延在方向に沿って配置された、複数の収納部20を備えている。各収納部20は、物品搬送車1から搬送された物品Wを収納するように構成されている。本実施形態では、物品収納棚2は、棚奥行方向及び物品搬送車1の走行経路の延在方向に沿うように配置された棚板20Aを、上下方向に複数備えており、各棚板20Aが収納部20を構成している。物品Wは、棚板20Aに載置されることによって収納部20に収納される。本実施形態では、このような物品収納棚2が一対設けられている。一対の物品収納棚2は、物品搬送車1の走行経路を挟んで棚奥行方向に対向するように配置されている。なお、本実施形態では、棚奥行方向は、上下方向視で、物品搬送車1の走行経路の延在方向に直交する方向である。
本実施形態では、物品搬送設備には、物品収納棚2へ物品Wを入庫するための各種装置が設けられている。具体的には、物品搬送設備には、入庫用コンベヤ3と、入庫用リフト5と、入庫用中継コンベヤ7と、が設けられている。入庫用コンベヤ3は、物品収納棚2へ入庫される物品Wを外部から搬送するように構成されている。入庫用リフト5は、昇降自在に構成されている。そして、入庫用リフト5は、入庫用コンベヤ3から物品Wを受け取ると共に当該物品Wを昇降させて入庫用中継コンベヤ7に引き渡すように構成されている。入庫用中継コンベヤ7は、入庫用リフト5から物品Wを受け取ると共に当該物品Wを物品搬送車1へ引き渡すように構成されている。本例では、入庫用中継コンベヤ7は、物品収納棚2における各段に設けられている。入庫用リフト5は、物品Wを昇降させることによって、各段の入庫用中継コンベヤ7に対して物品Wを引き渡すことが可能となっている。
本実施形態では、物品搬送設備には、物品収納棚2から物品Wを出庫するための各種装置が設けられている。具体的には、物品搬送設備には、出庫用中継コンベヤ8と、出庫用リフト6と、出庫用コンベヤ4と、が設けられている。出庫用中継コンベヤ8は、物品搬送車1から物品Wを受け取ると共に当該物品Wを出庫用リフト6へ引き渡すように構成されている。本例では、出庫用中継コンベヤ8は、物品収納棚2における各段に設けられている。出庫用リフト6は、昇降自在に構成されている。そして、出庫用リフト6は、昇降することによって各段の出庫用中継コンベヤ8から物品Wを受け取ることが可能であると共に、当該物品Wを出庫用コンベヤ4に対して引き渡すように構成されている。出庫用コンベヤ4は、出庫用リフト6から物品Wを受け取ると共に当該物品Wを外部へ搬送するように構成されている。
図2及び図3に示すように、物品搬送車1は、支持部Sと移載装置30とを備えている。移載装置30は、物品Wを支持する支持部Sと移載対象箇所Tとの間で移載方向Y(図2等参照)に沿って物品Wを移動させる移載動作を行うように構成されている。これにより、移載装置30は、支持部Sと移載対象箇所Tとの間で物品Wを移載する。本実施形態では、支持部Sは、物品搬送車1に設けられている。移載対象箇所Tとしては、収納部20、入庫用中継コンベヤ7、及び出庫用中継コンベヤ8が挙げられる。
以下では、移載装置30が移載動作を行う場合に物品Wが移動する方向を「移載方向Y」とする。そして、上下方向に沿う上下方向視で移載方向Yに対して直交する方向を「幅方向X」とし、幅方向Xの一方側を「幅方向第1側X1」とし、その反対側を「幅方向第2側X2」とする。
本実施形態では、物品搬送車1は、幅方向Xに沿って走行する走行体10と、走行体10を駆動する走行モータ10M(図4参照)と、を備えている。走行体10は、走行モータ10Mにより駆動されて、幅方向Xに沿って走行するように構成されている。本例では、走行体10に、支持部Sと移載装置30とが支持されている。
本実施形態では、支持部Sは、物品Wを下方から支持する支持板Saを備えている。支持板Saは、後述する第1出退部31及び第2出退部32のそれぞれに対応して設けられている。
移載装置30は、支持部Sに対して移載方向Yに沿って出退する第1出退部31と、第1出退部31に対して幅方向第2側X2に配置され、支持部Sに対して移載方向Yに沿って出退する第2出退部32と、第1出退部31に対して移載方向Yに沿う第1軸心Ax1まわりに揺動自在に支持された第1フック310と、第2出退部32に対して移載方向Yに沿う第2軸心Ax2まわりに揺動自在に支持された第2フック320と、第1出退部31と第2出退部32との幅方向Xの間隔を変更する間隔変更機構34と、を備えている。
本実施形態では、第1出退部31と第2出退部32とは、同等の構成を備えている。詳細には、第1出退部31及び第2出退部32のそれぞれは、出退部材30Aと、固定部材30Bと、出退部材30Aと固定部材30Bとの間に設けられた中間部材30Cと、中間部材30Cと出退部材30Aとを連動させる連動部材30Dと、を備えている。
固定部材30Bは、走行体10に固定されている。中間部材30Cは、固定部材30Bに対して移載方向Yに沿って移動自在に支持されている。出退部材30Aは、中間部材30Cに対して移載方向Yに沿って移動自在に支持されている。連動部材30Dは、中間部材30Cが固定部材30Bに対して移載方向Yに沿って出退移動した場合に、中間部材30Cが移動した側と同じ側に、出退部材30Aを中間部材30Cに対して移動させるように構成されている。
本実施形態では、移載装置30は、第1出退部31と第2出退部32とを移載方向Yに沿って出退駆動する出退機構33を備えている。本例では、出退機構33は、第1出退部31と第2出退部32とを同時に出退させるように構成されている。
本実施形態では、出退機構33は、駆動軸33Aと、駆動軸33Aを回転駆動する出退モータ33Mと、移載方向Yに沿って配置されると共に駆動軸33Aの回転によって回動するベルト33Bと、中間部材30Cに設けられると共にベルト33Bに噛み合うラック33Cと、を備えている。出退機構33は、出退モータ33Mによって駆動軸33Aを回転駆動して、ベルト33Bをその長手方向(移載方向Y)に沿って回動させる。これによって、出退機構33は、第1出退部31及び第2出退部32それぞれの中間部材30Cを移載方向Yに沿って同じ側に移動させて、第1出退部31と第2出退部32とを同じ側に出退させる。
第1フック310は、第1出退部31における移載方向Yの両端部のそれぞれに設けられている。より具体的には、第1フック310は、第1出退部31が備える出退部材30Aにおける移載方向Yの両端部のそれぞれに設けられている。第1フック310は、第1揺動モータ310Mにより駆動されて、第1軸心Ax1まわりに揺動するように構成されている。本実施形態では、第1フック310は、揺動基端部である第1基端部310aと、揺動先端部である第1先端部310bと、を備えている。第1基端部310aは、第1揺動モータ310Mの回転軸(不図示)に対して、直接的または間接的に連結されている。第1先端部310bは、第1フック310の揺動範囲である第1揺動範囲R1(図8参照)の外縁を規定する。
第1フック310は、揺動することによって、第1出退部31よりも幅方向Xの内側(幅方向第2側X2)に突出する移載姿勢と、第1出退部31よりも幅方向Xの内側(幅方向第2側X2)には突出しない退避姿勢と、に姿勢変更するように構成されている。
第1フック310は、移載姿勢において、第1出退部31よりも幅方向Xの内側(幅方向第2側X2)で支持部S又は移載対象箇所Tに支持された物品Wに対して、移載方向Y視で重複するように構成されている。第1フック310が移載姿勢になると共に第1出退部31が出退することで、第1フック310は、物品Wに接触して当該物品Wを移載方向Yに沿って押し込み又は引き込む。また本例では、第1フック310は、退避姿勢において、上下方向に沿った姿勢となる。なお、第1出退部31における移載方向Yの両端部に設けられた一対の第1フック310は、それぞれに対応して設けられた第1揺動モータ310Mによって駆動され、互いに独立して揺動する。
第2フック320は、第2出退部32における移載方向Yの両端部のそれぞれに設けられている。より具体的には、第2フック320は、第2出退部32が備える出退部材30Aにおける移載方向Yの両端部のそれぞれに設けられている。第2フック320は、第2揺動モータ320Mにより駆動されて、第2軸心Ax2まわりに揺動するように構成されている。本実施形態では、第2フック320は、揺動基端部である第2基端部320aと、揺動先端部である第2先端部320bと、を備えている。第2基端部320aは、第2揺動モータ320Mの回転軸(不図示)に対して、直接的または間接的に連結されている。第2先端部320bは、第2フック320の揺動範囲である第2揺動範囲R2(図8参照)の外縁を規定する。
第2フック320は、揺動することによって、第2出退部32よりも幅方向Xの内側(幅方向第1側X1)に突出する移載姿勢と、第2出退部32よりも幅方向Xの内側(幅方向第1側X1)には突出しない退避姿勢と、に姿勢変更するように構成されている。
第2フック320は、移載姿勢において、第2出退部32よりも幅方向Xの内側(幅方向第1側X1)で支持部S又は移載対象箇所Tに支持された物品Wに対して、移載方向Y視で重複するように構成されている。第2フック320が移載姿勢になると共に第2出退部32が出退することで、第2フック320は、物品Wに接触して当該物品Wを移載方向Yに沿って押し込み又は引き込む。また本例では、第2フック320は、退避姿勢において、上下方向に沿った姿勢となる。なお、第2出退部32における移載方向Yの両端部に設けられた一対の第2フック320は、それぞれに対応して設けられた第2揺動モータ320Mによって駆動され、互いに独立して揺動する。
上述のように、間隔変更機構34は、第1出退部31と第2出退部32との幅方向Xの間隔を変更するように構成されている。物品搬送設備では、様々な大きさの物品Wが取り扱われ、移載装置30は、大きさの異なる複数種類の物品Wを移載可能に構成されている。本実施形態では、間隔変更機構34は、物品Wの幅方向Xの寸法に応じて、第1出退部31と第2出退部32との幅方向Xの間隔を変更する。ここで、間隔変更機構34による変更可能範囲のうちで、第1出退部31と第2出退部32との幅方向Xの間隔が最も小さくなった状態での第1出退部31と第2出退部32との幅方向Xの間隔を最小出退部間隔とする。本実施形態では、幅方向Xの寸法が最小出退部間隔よりも小さい物品Wのうち、上下方向の寸法が最小である物品Wを最小物品Ws(図8参照)とする。本実施形態では、間隔変更機構34は、移載対象となる物品Wが最小物品Wsである場合に、第1出退部31と第2出退部32とを、互いの幅方向Xの間隔が最も狭くされた最狭状態とする(図8参照)。
本実施形態では、間隔変更機構34は、幅方向Xに沿って配置されたベルト34Aと、ベルト34Aをその長手方向(幅方向X)に沿って回動させる間隔変更モータ34Mと、を備えている。本例では、ベルト34Aの一部が、第2出退部32の固定部材30Bに連結されている。間隔変更機構34は、間隔変更モータ34Mによってベルト34Aを駆動することにより、ベルト34Aに連結された固定部材30Bを幅方向Xに沿って移動させるように構成されている。これにより、第1出退部31と第2出退部32との幅方向Xの間隔が変更される。このように、本実施形態では、間隔変更機構34は、第1出退部31及び第2出退部32のうち第2出退部32のみを幅方向Xに沿って移動させることにより、第1出退部31と第2出退部32との間隔を変更するように構成されている。
物品搬送車1は、図4に示すように、各部を制御する制御部Hを備えている。制御部Hは、走行体10及び移載装置30の動作を制御するように構成されている。より詳細には、制御部Hは、走行モータ10M、第1揺動モータ310M、第2揺動モータ320M、出退モータ33M、及び間隔変更モータ34Mを制御するように構成されている。制御部Hは、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各機能が実現される。
図5及び図6に示すように、移載装置30は、物品Wの移載動作として、移載対象箇所Tから支持部Sに物品Wを移載する掬い動作と、支持部Sから移載対象箇所Tに物品Wを移載する卸し動作と、を行うように構成されている。
図5に示すように、移載装置30は、掬い動作を行う場合には、第1出退部31と第2出退部32との幅方向Xの間隔を移載対象となる物品Wの幅方向Xの寸法に応じた間隔として、第1出退部31及び第2出退部32を移載対象箇所Tに向けて突出させる(図5左図参照)。その後、移載装置30は、第1フック310及び第2フック320を、移載方向Yの基準位置である掬い基準位置、すなわち移載対象箇所Tの物品Wよりも移載方向Yの奥側の位置に配置した状態とし、第1フック310及び第2フック320を退避姿勢から移載姿勢とする(図5中央図参照)。そして、移載装置30は、第1出退部31及び第2出退部32を支持部Sに向けて引退させる(図5右図参照)。これにより、移載装置30は、移載対象箇所Tの物品Wに第1フック310及び第2フック320を接触させた状態で、当該物品Wを支持部Sに向けて引き込み、掬い動作を行う。
図6に示すように、移載装置30は、卸し動作を行う場合には、第1出退部31と第2出退部32との幅方向Xの間隔を移載対象となる物品Wの幅方向Xの寸法に応じた間隔とし、第1フック310及び第2フック320を、移載方向Yの基準位置である卸し基準位置、すなわち支持部Sの物品Wよりも移載方向Yの手前側の位置に配置した状態とし、第1フック310及び第2フック320を退避姿勢から移載姿勢とする(図6左図参照)。そして、移載装置30は、第1出退部31及び第2出退部32を移載対象箇所Tに向けて突出させる(図6中央図参照)。これにより、移載装置30は、支持部Sの物品Wに第1フック310及び第2フック320を接触させた状態で、当該物品Wを移載対象箇所Tに向けて押し込み、卸し動作を行う。その後、移載装置30は、第1フック310及び第2フック320を、移載姿勢から退避姿勢とする(図6右図参照)。
このように、移載装置30は、実際に移載動作(掬い動作及び卸し動作)を行う前に、移載準備動作を行い、その後、各移載動作を行う。すなわち、移載装置30は、移載準備動作として、第1出退部31と第2出退部32との幅方向Xの間隔を物品Wの幅方向Xの寸法に応じた間隔にし、第1フック310及び第2フック320を移載方向Yの基準位置である掬い基準位置又は卸し基準位置に配置し、第1フック310及び第2フック320を揺動させて移載姿勢とする。
図7は、移載動作(掬い動作及び卸し動作)の途中において、第1フック310及び第2フック320が物品Wに接触している状態を示している。
本実施形態では、第1フック310は、第1先端部310b(図3も参照)に形成された第1テーパ部310cを備えている。第1テーパ部310cは、第1フック310が図7に示す状態において、すなわち、第1フック310が移載姿勢(概ね水平方向に沿う姿勢)の状態において、第1先端部310bの上部に設けられ、上方へ向かうに従って移載方向Yの寸法が次第に狭まるように形成されている。
同様に、第2フック320は、第2先端部320b(図3も参照)に形成された第2テーパ部320cを備えている。第2テーパ部320cは、第2フック320が図7に示す状態において、すなわち、第2フック320が移載姿勢(概ね水平方向に沿う姿勢)の状態において、第2先端部320bの上部に設けられ、上方へ向かうに従って移載方向Yの寸法が次第に狭まるように形成されている。
ここで、物品Wの種類によっては、図7に示すように、物品Wにおける第1フック310及び第2フック320が接触する部分よりも上側に、下側を向く面を有する段差Waが形成されている場合がある。このような物品Wに対して移載動作を行う場合において、移載動作中における物品Wの上下動により、物品Wと第1フック310及び第2フック320との接触位置が上下方向にずれることがある。第1テーパ部310c及び第2テーパ部320cが形成されていない場合には、第1フック310及び第2フック320が段差Waに引っ掛かる可能性がある。これは、フック(310,320)の動作不良の原因となり得る。しかし、本構成によれば、上記のような場合であっても、第1テーパ部310c及び第2テーパ部320cによって、物品Wの段差Waに対する第1フック310及び第2フック320の引っ掛かりを回避し易くなる。
図8~図10は、移載装置30が最小物品Wsを移載する場合を示している。上述のように、最小物品Wsは、幅方向Xの寸法が最小出退部間隔よりも小さい物品Wのうち上下方向の寸法が最小の物品Wである。
第1フック310は、第1軸心Ax1まわりに揺動することで、第1出退部31よりも幅方向第2側X2に突出する第1突出姿勢P1に姿勢変更可能である。また、第2フック320は、第2軸心Ax2まわりに揺動することで、第2出退部32よりも幅方向第1側X1に突出する第2突出姿勢P2に姿勢変更可能である。第1突出姿勢P1及び第2突出姿勢P2は、上述した移載姿勢に含まれる概念である。本実施形態では、第1突出姿勢P1は、第1フック310が第1揺動範囲R1における下限位置に配置された状態での当該第1フック310の姿勢である。第1フック310は、第1突出姿勢P1において、揺動先端側に向かうに従って下方に傾斜する姿勢となる。また本実施形態では、第2突出姿勢P2は、第2フック320が第2揺動範囲R2における下限位置に配置された状態での当該第2フック320の姿勢である。第2フック320は、第2突出姿勢P2において、揺動先端側に向かうに従って下方に傾斜する姿勢となる。なお、第1フック310は、第1揺動範囲R1における上限位置に配置された場合に、上述の退避姿勢となる。また、第2フック320は、第2揺動範囲R2における上限位置に配置された場合に、上述の退避姿勢となる。本実施形態では、第1フック310及び第2フック320は、退避姿勢において、上下方向に沿う姿勢となる。
第1フック310が第1突出姿勢P1となり且つ第2フック320が第2突出姿勢P2となった状態であるフック突出状態(以下、単に「フック突出状態」と称する。)で、移載方向Yに沿う移載方向Y視で第1出退部31と第2出退部32との間に配置された物品W(最小物品Ws)に対して、第1フック310及び第2フック320が重複するように配置される。移載装置30は、フック突出状態において、最小物品Wsを移載可能な状態となる。なお、「重複」とは、2つの部材(物品Wも含む)の一部同士が重複することも含む概念である。よって、ここでの「重複」とは、移載方向Y視で第1フック310の少なくとも一部が物品Wの少なくとも一部と重なることを指し、移載方向Y視で第2フック320の少なくとも一部が物品Wの少なくとも一部と重なることを指す。
フック突出状態で、第1フック310の揺動先端部である第1先端部310bが、第2フック320の揺動先端部である第2先端部320bよりも上側に配置される部分を有するように、第1フック310の揺動範囲である第1揺動範囲R1と第2フック320の揺動範囲である第2揺動範囲R2とが設定されている。すなわち本実施形態では、第1揺動範囲R1における第1フック310の下限位置が、第2揺動範囲R2における第2フック320の下限位置よりも高い位置に設定されている。
フック突出状態で、且つ、第1出退部31と第2出退部32との幅方向Xの間隔が最も狭くなった状態である最狭状態(以下、単に「最狭状態」と称する。)で、第1先端部310bと第2先端部320bとが上下方向視で重複すると共に第1先端部310bの下部と第2先端部320bの上部とが移載方向Y視で重複している。そして、第1先端部310bの下部と第2先端部320bの上部とのそれぞれにおける移載方向Y視で重複する部分を重複部分として、第1先端部310bの下部の重複部分と第2先端部320bの上部の重複部分とが、移載方向Yにおける異なる位置に配置されている。
本実施形態では、第1先端部310bの下部に凹部310dが設けられている。また、上述の第2テーパ部320cは、フック突出状態における第2先端部320bの上部に設けられている。そして、フック突出状態、且つ、最狭状態で、第2テーパ部320cの少なくとも一部が凹部310dに対して下方から挿入される。このような構成により、第2先端部320bに形成された第2テーパ部320cを利用して、第1フック310の第1先端部310bと第2フック320の第2先端部320bとを移載方向Y視で重複させることができる。なお、上述の第1テーパ部310cは、フック突出状態における第1先端部310bの上部に設けられている。すなわち本実施形態では、第1フック310は、フック突出状態における第1先端部310bの上部に設けられ、上方へ向かうに従って移載方向Yの寸法が次第に狭まるように形成された第1テーパ部310cを備えている。そして、第2フック320は、フック突出状態における第2先端部320bの上部に設けられ、上方へ向かうに従って移載方向Yの寸法が次第に狭まるように形成された第2テーパ部320cを備えている。
上記構成により、フック突出状態、且つ、最狭状態で、第1フック310における第1先端部310bと第2フック320における第2先端部320bとを移載方向Y視で重複させつつ、これらを干渉させないようにすることができる。従って、物品Wの幅方向Xの寸法に関わらず、一対のフック(310,320)の干渉を避けることができると共に、フック突出状態、且つ、最狭状態で、一対のフック(310,320)を上下方向に互いに接近させることが可能となる。これにより、上下方向におけるフック(310,320)の接触可能範囲が狭い物品W、特に最小物品Wsに対しても、第1フック310及び第2フック320の双方を物品Wに接触させることができる可能性を高めることができる。従って、物品Wの移載動作を安定的に行い易くすることができる。
本実施形態では、第1先端部310bは、第1フック310の揺動先端側に向かって開口すると共に移載方向Yに離間して配置された一対の壁部310fによって挟まれた開口端部310eを有している。本例では、開口端部310eの一部が凹部310dとされている。そして、フック突出状態、且つ、最狭状態で、第2テーパ部320cにおける凹部310dに挿入された部分が、開口端部310eにおける一対の壁部310fの間に配置される。このような構成により、第2先端部320bに形成された第2テーパ部320cを利用して、第1フック310の第1先端部310bと第2フック320の第2先端部320bとを移載方向Y視で重複させ易くなる。本実施形態では、一対の壁部310fの一部が、上述の「第1先端部310bの下部の重複部分」であり、第2テーパ部320cの一部が、上述の「第2先端部320bの上部の重複部分」である。
上記のように、フック突出状態、すなわち第1フック310が第1突出姿勢P1となると共に第2フック320が第2突出姿勢P2となる状態において、第1先端部310bの下部(本例では一対の壁部310fの一部)と第2先端部320bの上部(本例では第2テーパ部320cの一部)とが移載方向Y視で重複するように、第1フック310の第1揺動範囲R1と第2フック320の第2揺動範囲R2とが適切に設定されている。
このような設定を実現するために、本実施形態では、図8に示すように、第1出退部31は、第1フック310の揺動範囲(第1揺動範囲R1)を規制する第1規制部311を備えている。また、第1フック310は、第1突出姿勢P1となった状態で第1規制部311に当接する第1当接部312を備えている。第1当接部312が第1規制部311に当接することにより、当接方向における第1フック310のこれ以上の揺動が規制される。従って、第1揺動範囲R1が規制される。
本実施形態では、第1規制部311は、第1軸心Ax1から規定距離だけ離れた位置に配置されている。具体的には、第1規制部311は、第1フック310の第1基端部310aに設けられた第1当接部312の旋回範囲内に配置されている。図示の例では、第1規制部311は、第1揺動モータ310Mのケースに固定されている。第1規制部311は、第1当接部312に当接することで、当該当接した位置を超えて第1フック310が揺動することを規制する部材を備えている。このような部材は、第1当接部312が当接したことによってぐらつかないように固定された部材であれば何でも良く、例えば、ボルトやピンなどを用いることができる。
本実施形態では、第1当接部312は、第1フック310における第1基端部310aに配置されている。具体的には、第1フック310の揺動方向における、当該第1フック310が退避姿勢から第1突出姿勢P1となる側を揺動方向突出側として、第1当接部312は、第1基端部310aから揺動方向突出側に向けて突出するように配置されている。第1当接部312は、第1規制部311に当接することで、当該当接した位置を超えて第1フック310が揺動することを規制する部材を備えている。このような部材は、第1規制部311に当接したことによってぐらつかないように第1フック310に固定された部材であれば何でも良く、例えば、ボルトを用いることができる。
本実施形態では、移載装置30は、第1当接部312が第1規制部311に当接する位置を調節する第1調節部313を備えている。本例では、第1調節部313は、第1当接部312の側に設けられており、当該第1当接部312が第1基端部310aから揺動方向突出側へ突出する突出量を調節するように構成されている。具体的には、第1調節部313は、第1当接部312としてのボルトが螺合されるネジ穴と、当該ボルトを固定するナット等の固定部材を備えて構成されている。この構成によれば、ナットを緩めた状態で第1当接部312としてのボルトの第1基端部310aからの突出量を調節し、ナットを締めることで当該ボルトを任意の突出量で固定することができる。これにより、第1当接部312が第1規制部311に当接する位置を調節することができ、第1揺動範囲R1を適切に設定することができる。従って、物品Wにおける第1フック310の接触可能範囲の高さに応じて、第1フック310の姿勢を容易に調節することができる。
また、本実施形態では、図8に示すように、第2出退部32は、第2フック320の揺動範囲(第2揺動範囲R2)を規制する第2規制部321を備えている。また、第2フック320は、第2突出姿勢P2となった状態で第2規制部321に当接する第2当接部322を備えている。第2当接部322が第2規制部321に当接することにより、当接方向における第2フック320のこれ以上の揺動が規制される。従って、第2揺動範囲R2が規制される。
本実施形態では、第2規制部321は、第2軸心Ax2から規定距離だけ離れた位置に配置されている。具体的には、第2規制部321は、第2フック320の第2基端部320aに設けられた第2当接部322の旋回範囲内に配置されている。図示の例では、第2規制部321は、第2揺動モータ320Mのケースに固定されている。第2規制部321は、第2当接部322に当接することで、当該当接した位置を超えて第2フック320が揺動することを規制する部材を備えている。このような部材は、第2当接部322が当接したことによってぐらつかないように固定された部材であれば何でも良く、例えば、ボルトやピンなどを用いることができる。
本実施形態では、第2当接部322は、第2フック320における第2基端部320aに配置されている。具体的には、第2フック320の揺動方向における、当該第2フック320が退避姿勢から第2突出姿勢P2となる側を揺動方向突出側として、第2当接部322は、第2基端部320aから揺動方向突出側に向けて突出するように配置されている。第2当接部322は、第2規制部321に当接することで、当該当接した位置を超えて第2フック320が揺動することを規制する部材を備えている。このような部材は、第2規制部321に当接したことによってぐらつかないように第2フック320に固定された部材であれば何でも良く、例えば、ボルトを用いることができる。
本実施形態では、移載装置30は、第2当接部322が第2規制部321に当接する位置を調節する第2調節部323を備えている。本例では、第2調節部323は、第2フック320に設けられており、第2当接部322としてのボルトが螺合されるネジ穴や、当該ボルトを固定するナット等により構成されている。本例では、第2調節部323は、第2当接部322の側に設けられており、当該第2当接部322が第2基端部320aから揺動方向突出側へ突出する突出量を調節するように構成されている。具体的には、第2調節部323は、第2当接部322としてのボルトが螺合されるネジ穴と、当該ボルトを固定するナット等の固定部材を備えて構成されている。この構成によれば、ナットを緩めた状態で第2当接部322としてのボルトの第2基端部320aからの突出量を調節し、ナットを締めることで当該ボルトを任意の突出量で固定することができる。これにより、第2当接部322が第2規制部321に当接する位置を調節することができ、第2揺動範囲R2を適切に設定することができる。従って、物品Wにおける第2フック320の接触可能範囲の高さに応じて、第2フック320の姿勢を容易に調節することができる。
なお、第2突出姿勢P2の第2フック320は、第1突出姿勢P1の第1フック310よりも下方に配置される。すなわち、第2揺動範囲R2における第2突出姿勢P2側の端部(以下「第2揺動範囲R2の下限」という)は、第1揺動範囲R1における第1突出姿勢P1側の端部(以下「第1揺動範囲R1の下限」という)よりも下方に位置している。そのため、第1揺動範囲R1の下限の設定は、第2揺動範囲R2の下限の設定よりも後に、当該第2揺動範囲R2の下限の位置に基づいて設定すると好適である。これにより、第1揺動範囲R1と第2揺動範囲R2との相対的な調節を行い易い。また、このようなことから、第2揺動範囲R2の下限の位置については、特に調節する必要がない場合がある。従って、この場合には、第2調節部323は、設けられていなくても良い。
ここで、上述のように、移載装置30は、実際に移載動作(掬い動作及び卸し動作)を行う前に、移載準備動作を行う。以下、移載装置30が最小物品Ws(図8参照)に対して移載準備動作を行う場合の制御の処理手順について、図11のフローチャートを参照して説明する。
図11に示すように、移載装置30は、まず、第1出退部31と第2出退部32とを、互いの幅方向Xの間隔が最も狭くされた最狭状態とするために、第1出退部31と第2出退部32との幅方向Xの間隔を最小物品Wsの幅方向Xの寸法に応じた間隔に変更する(ステップ#1)。移載装置30は、第1出退部31と第2出退部32とが最狭状態になった後(ステップ#2:Yes)、第2フック320を第2揺動範囲R2における下限まで揺動させる(ステップ#3)。移載装置30は、ステップ#3の処理の開始から一定時間遅らせて、第1フック310を第1揺動範囲R1における下限まで揺動させる(ステップ#4)。このように、第1フック310と第2フック320とを、時期をずらして揺動させることにより、第1フック310と第2フック320とが互いの揺動中に干渉することを回避しつつ、第1フック310を第1突出姿勢P1にすると共に第2フック320を第2突出姿勢P2としたフック突出状態を実現することができる。詳細な説明は省略するが、移載装置30は、上記の処理を行った後、最小物品Wsに対して移載動作(掬い動作又は卸し動作)を行う。
〔第2実施形態〕
次に、移載装置の第2実施形態について説明する。以下の第2実施形態の説明において特に説明しない点については、上記の第1実施形態と同様である。
図12及び図13に示すように、本実施形態では、第2フック320における第2先端部320bよりも揺動基端側の部分に、第2先端部320bよりも移載方向Yの寸法が小さい絞り部320gが形成されている。絞り部320gの移載方向Yにおける寸法は、第1先端部310b(第1フック310)の開口端部310eにおける一対の壁部310fの間隔よりも小さい。本実施形態では、絞り部320gは、第2先端部320bから連続して形成されている。
このような構成により、第1先端部310bの開口端部310eにおける一対の壁部310fの間に、第2フック320における第2先端部320bよりも揺動基端側に形成された絞り部320gを挿入させることができる。これにより、第1フック310の第1先端部310bを、第2フック320における第2先端部320bよりも揺動基端側の部分に対して移載方向Y視で重複させることができる。従って、上記第1実施形態に比べて、第1フック310と第2フック320とを幅方向Xに更に近づけ易くすることができると共に、第1フック310及び第2フック320の接触可能範囲がより狭い物品Wを取り扱うことが可能となる。また、上述のように、絞り部320gは、第2先端部320bから連続して形成されている。このため、第2フック320における、第1先端部310bに対して移載方向Y視で重複可能な部分を、1つの範囲に連続して形成することができる。従って、第1フック310と第2フック320とを干渉させないようにし易い。
〔その他の実施形態〕
次に、移載装置のその他の実施形態について説明する。
(1)上記の実施形態では、第1規制部311と第1当接部312との当接によって、機械的に第1フック310の第1揺動範囲R1を規制し、第2規制部321と第2当接部322との当接によって、機械的に第2フック320の第2揺動範囲R2を規制する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、制御的に、第1揺動範囲R1及び第2揺動範囲R2を規制するようにしても良い。例えば、第1揺動モータ310Mの回転量を制御することによって、第1揺動範囲R1を規制しても良い。また、第2揺動モータ320Mの回転量を制御することによって、第2揺動範囲R2を規制しても良い。
(2)上記の実施形態では、第1調節部313が、第1当接部312としてのボルトが螺合されるネジ穴と、当該ボルトを固定するナット等の固定部材を備えて構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば、第1当接部312としてのボルトと第1基端部310aとの間にワッシャ等のスペーサを複数又は単数配置することによって、当該ボルトの突出量を調節するようにしても良い。この場合、複数又は単数のスペーサも、第1調節部313に含まれる。また、第2調節部323についても同様に、第2当接部322としてのボルトと第2基端部320aとの間に配置される複数又は単数のスペーサが、第2調節部323に含まれても良い。また、上記のような例に限定されず、例えば、第1調節部313が、第1規制部311の側に設けられており、第1規制部311における第1当接部312に当接する当接面の位置を調節するように構成されていても良い。具体的には、第1調節部313が、第1規制部311を構成する部材であって、第1軸心Ax1と平行な軸心(例えば第1規制部311としてのボルトの軸心)回りに回転するように構成された当接部材とされても好適である。ここで、当接部材は、当該当接部材の回転軸心からの半径が周方向の位置に応じて異なるような形状、例えば板カム形状とされていると良い。このような当接部材を回転させてその位相を変更することにより、第1規制部311(当接部材)と第1当接部312とが当接する位置を調節することができる。なお、説明は省略するが、第2調節部323についても同様に、第2規制部321を構成する当接部材を用いて、当該第2調節部323を構成しても良い。
(3)上記の実施形態では、第1先端部310bが、第1フック310の揺動先端側に向かって開口すると共に移載方向Yに離間して配置された一対の壁部310fによって挟まれた開口端部310eを有しており、開口端部310eの一部が凹部310dとされている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1先端部310bは、上記のような開口端部310eを有していなくても良い。この場合、第1先端部310bの下面が上方に凹むように形成され、当該凹んだ部分が、凹部310dとされると良い。
(4)上記の実施形態では、第1フック310が、第1突出姿勢P1において、揺動先端側に向かうに従って下方に傾斜する姿勢となり、第2フック320が、第2突出姿勢P2において、揺動先端側に向かうに従って下方に傾斜する姿勢となる例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1突出姿勢P1の第1フック310、及び、第2突出姿勢P2の第2フック320は、上記とは反対の向きに傾斜していても良い。すなわち、第1フック310は、第1突出姿勢P1において、揺動先端側に向かうに従って上方に傾斜する姿勢となり、第2フック320は、第2突出姿勢P2において、揺動先端側に向かうに従って上方に傾斜する姿勢となっても良い。或いは、第1突出姿勢P1の第1フック310、及び、第2突出姿勢P2の第2フック320のいずれか一方が、水平方向に沿う姿勢となっても良い。
(5)上記の実施形態では、移載装置30が移載準備動作を行う場合に下記の順序で各処理を行う例について説明した。すなわち、移載装置30は、第1出退部31と第2出退部32との幅方向Xの間隔を最小物品Wsの幅方向Xの寸法に応じた間隔に変更して(ステップ#1)、第1出退部31と第2出退部32とが最狭状態になった後(ステップ#2:Yes)、第2フック320を第2揺動範囲R2における下限まで揺動させ(ステップ#3)、第1フック310を第1揺動範囲R1における下限まで揺動させていた(ステップ#4)。しかし、このような例に限定されることなく、移載装置30は、ステップ#3→ステップ#4→ステップ#1→ステップ#2の順番で各処理を行うようにしても良い。すなわち、移載装置30は、第2フック320を第2揺動範囲R2における下限まで揺動させ(ステップ#3)、第1フック310を第1揺動範囲R1における下限まで揺動させた後に(ステップ#4)、第1出退部31と第2出退部32との幅方向Xの間隔を最小物品Wsの幅方向Xの寸法に応じた間隔に変更して(ステップ#1)、第1出退部31と第2出退部32とを最狭状態としても良い(ステップ#2)。
(6)上記の実施形態では、間隔変更機構34が、第1出退部31及び第2出退部32のうち第2出退部32のみを幅方向Xに沿って移動させることにより、第1出退部31と第2出退部32との間隔を変更するように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、間隔変更機構34は、第1出退部31と第2出退部32との間隔を変更するために、第1出退部31及び第2出退部32のうち第1出退部31のみを幅方向Xに沿って移動させるように構成されていても良い。或いは、間隔変更機構34は、第1出退部31及び第2出退部32の双方を幅方向Xに沿って移動させるように構成されていても良い。
(7)上記の実施形態では、物品収納棚2における各段に設けられた物品搬送車1のそれぞれに、移載装置30が備えられている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、移載装置30は、いわゆるスタッカークレーンに備えられ、上下方向及び水平方向の双方に沿って移動可能に構成されていても良い。
(8)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した移載装置について説明する。
物品を支持する支持部と移載対象箇所との間で移載方向に沿って物品を移動させる移載動作を行う移載装置であって、
上下方向に沿う上下方向視で前記移載方向に対して直交する方向を幅方向とし、前記幅方向の一方側を幅方向第1側とし、その反対側を幅方向第2側として、
前記支持部に対して前記移載方向に沿って出退する第1出退部と、
前記第1出退部に対して前記幅方向第2側に配置され、前記支持部に対して前記移載方向に沿って出退する第2出退部と、
前記第1出退部に対して前記移載方向に沿う第1軸心まわりに揺動自在に支持された第1フックと、
前記第2出退部に対して前記移載方向に沿う第2軸心まわりに揺動自在に支持された第2フックと、
前記第1出退部と前記第2出退部との前記幅方向の間隔を変更する間隔変更機構と、を備え、
前記第1フックは、前記第1軸心まわりに揺動することで、前記第1出退部よりも前記幅方向第2側に突出する第1突出姿勢に姿勢変更可能であり、
前記第2フックは、前記第2軸心まわりに揺動することで、前記第2出退部よりも前記幅方向第1側に突出する第2突出姿勢に姿勢変更可能であり、
前記第1フックが前記第1突出姿勢となり且つ前記第2フックが前記第2突出姿勢となった状態であるフック突出状態で、前記移載方向に沿う移載方向視で前記第1出退部と前記第2出退部との間に配置された前記物品に対して、前記第1フック及び前記第2フックが重複するように配置され、
前記フック突出状態で、前記第1フックの揺動先端部である第1先端部が、前記第2フックの揺動先端部である第2先端部よりも上側に配置される部分を有するように、前記第1フックの揺動範囲と前記第2フックの揺動範囲とが設定され、
前記フック突出状態で、且つ、前記第1出退部と前記第2出退部との前記幅方向の間隔が最も狭くなった状態である最狭状態で、前記第1先端部と前記第2先端部とが前記上下方向視で重複すると共に前記第1先端部の下部と前記第2先端部の上部とが前記移載方向視で重複し、
前記第1先端部の下部と前記第2先端部の上部とのそれぞれにおける前記移載方向視で重複する部分を重複部分として、前記第1先端部の下部の前記重複部分と前記第2先端部の上部の前記重複部分とが前記移載方向における異なる位置に配置されている。
本構成によれば、フック突出状態、且つ、最狭状態で、第1フックにおける第1先端部と第2フックにおける第2先端部とを移載方向視で重複させつつ、これらを干渉させないようにすることができる。従って、本構成によれば、物品の幅方向の寸法に関わらず、一対のフックの干渉を避けることができると共に、フック突出状態、且つ、最狭状態で、一対のフックを上下方向に互いに接近させることが可能となる。これにより、上下方向におけるフックの接触可能範囲が狭い物品に対しても、第1フック及び第2フックの双方を物品に接触させることができる可能性を高めることができる。従って、物品の移載動作を安定的に行い易くすることができる。
ここで、
前記第1フックは、前記フック突出状態における前記第1先端部の上部に設けられ、上方へ向かうに従って前記移載方向の寸法が次第に狭まるように形成された第1テーパ部を備え、
前記第2フックは、前記フック突出状態における前記第2先端部の上部に設けられ、上方へ向かうに従って前記移載方向の寸法が次第に狭まるように形成された第2テーパ部を備え、
前記第1先端部の下部に凹部が設けられており、
前記フック突出状態、且つ、前記最狭状態で、前記第2テーパ部の少なくとも一部が前記凹部に対して下方から挿入される、と好適である。
例えば、物品における第1フック及び第2フックが接触する部分よりも上側に、下側を向く面を有する段差が形成されている場合がある。このような物品Wが移載動作中に上下動すると、上記段差に第1フック及び第2フックが引っ掛かる可能性があり、フックの動作不良の原因となり得る。しかし、本構成によれば、上記のような場合であっても、第1テーパ部及び第2テーパ部によって、上記段差に対する第1フック及び第2フックの引っ掛かりを回避し易くすることができる。また、本構成によれば、フック突出状態、且つ、最狭状態で、第1先端部の下部に設けられた凹部に、第2テーパ部の少なくとも一部が下方から挿入される。この凹部と、第2テーパ部における当該凹部に挿入される部分とが、第1先端部の下部と第2先端部の上部とのそれぞれにおける移載方向視で重複する部分(上記の重複部分)となる。従って、本構成によれば、比較的簡易な構成で、第1先端部の下部と第2先端部の上部とを移載方向視で重複させることができる。
また、
前記第1出退部は、前記第1フックの揺動範囲を規制する第1規制部を備え、
前記第2出退部は、前記第2フックの揺動範囲を規制する第2規制部を備え、
前記第1フックは、前記第1突出姿勢となった状態で前記第1規制部に当接する第1当接部を備え、
前記第2フックは、前記第2突出姿勢となった状態で前記第2規制部に当接する第2当接部を備えている、と好適である。
本構成によれば、比較的簡易な機械的構造を用いて、第1フックの揺動範囲および第2フックの揺動範囲を適切に設定することができる。
また、上記構成において、
前記第1当接部が前記第1規制部に当接する位置を調節する第1調節部と、
前記第2当接部が前記第2規制部に当接する位置を調節する第2調節部と、を更に備える、と好適である。
本構成によれば、第1調節部を用いて第1フックの揺動範囲を調節することができる。また、第2調節部を用いて第2フックの揺動範囲を調節することができる。従って、物品におけるフックの接触可能範囲の高さに応じて、第1フック及び第2フックの姿勢を容易に調節することができる。
また、
前記第1先端部は、前記第1フックの揺動先端側に向かって開口すると共に前記移載方向に離間して配置された一対の壁部によって挟まれた開口端部を有し、
前記第2フックにおける前記第2先端部よりも揺動基端側の部分に、前記第2先端部よりも前記移載方向の寸法が小さい絞り部が形成され、
前記絞り部の前記移載方向における寸法が、前記開口端部における一対の前記壁部の間隔よりも小さい、と好適である。
本構成によれば、第2フックにおける第2先端部よりも揺動基端側に形成された絞り部を、第1先端部の開口端部における一対の壁部の間に挿入することができる。従って、最狭状態で、第1フックと第2フックとを幅方向に接近させても第1フックと第2フックとの干渉を回避し易くすることができる。これにより、物品におけるフックの接触可能範囲が狭い場合でも、第1フック及び第2フックの双方を物品に接触させることができる可能性を更に高めることができる。
また、
前記第1フックが、前記第1突出姿勢において、揺動先端側に向かうに従って下方に傾斜する姿勢となり、
前記第2フックが、前記第2突出姿勢において、揺動先端側に向かうに従って下方に傾斜する姿勢となる、と好適である。
本構成によれば、フックの接触可能範囲が低い位置にある物品に対する移載動作を行う場合であっても、第1フック及び第2フックの双方を当該物品の接触可能範囲に適切に接触させ易い。