JP7459806B2 - 空調装置 - Google Patents

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Description

本発明は、空調装置に関する。
従来、自動車ボディやその関連部品などのワークを製造する製造工程では、フレッシュ型の空調装置とリサイクル式の空調装置を併用する空調設備が知られている。フレッシュ型の空調装置は、新鮮な外気を取り入れて空調した後の空調風を給気するように構成されている。このフレッシュ型の空調装置は、塗装工程で揮発した有機溶剤が塗装ブース内で濃縮するのを避けるために一部排気される空気の不足分を補うのに使用される。これに対して、リサイクル式の空調装置は、有機溶剤を使わない清掃工程で清掃ブースとの間で空気の一部を循環させるのに使用される。このとき、フレッシュ型の空調装置から塗装ブースに給気される空調風の一部を抜き出し、清掃ブースとリサイクル式の空調装置との間で循環用の送風機を利用して空気を循環させる。リサイクル式の空調装置のハウジングには、送風機で加温された空気の温度を下げるために冷水が流れる冷却コイルが収容されている。
上記の空調設備によれば、リサイクル式の空調装置と清掃ブースとの間で空気を循環させることによって省エネを図ることが可能になる。ところが、この空調装置の冷却コイルの表面で結露が発生してドレン化すると湿度が徐々に下がり清掃ブース内が乾燥するためワークの品質管理上好ましくない。この場合、清掃ブース内の乾燥を防ぐために水を噴霧するなどの加湿処理が必要になる。そこで、この種の空調設備の設計に際しては、空気を冷却する一方で乾燥を防いで所望の湿度レベルを維持するのに有効な技術が求められている。
下記特許文献1には、室内循環型冷却装置(以下、単に「冷却装置」という。)が開示されている。この冷却装置のチャンバ内には、空気を供給する送風機と、冷水が流れる冷却コイルと、冷却コイルの下方に配置された気化式の加湿器と、が収容されている。送風機から給気された空気の一部は冷却コイルの表面をチャンバ出口に向けて流れ、その空気の残部は加湿器の加湿素材をチャンバ出口に向けて流れる。即ち、この冷却装置は、空気の流通経路を確保するためにチャンバ内に冷却コイルと加湿器を上下に並列配置して、空気を冷却コイル側と加湿器側に並行して流すように構成されている。このとき、冷却コイルの表面に空気の冷却によって結露が発生する。結露した水は加湿器に導入され、加湿素材を空気が流れるときに蒸散することで加湿される。
特開2006-214672号公報
上記の冷却装置は、空気を冷却コイル側と加湿器側に並行して流す構造であるため、両方の流通経路の流量バランスを調節しにくく、一般的に冷却コイル側に比べて加湿器側の方の圧力損失が大きくなり易い。このため、加湿器側の加湿素材を流通する空気量が相対的に少ない場合には所望の蒸散能力を得るのが難しい。これらの問題は、自動車関連の製造工程のみならず、その他の分野で使用される空調装置においても同様に生じ得る。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、蒸散性能に優れた空調装置を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、
空気流路を有するハウジングと、
冷媒流路を有し上記ハウジングの上記空気流路に形成される空気流を横切るように延びる冷却管と、
上記冷却管に空気の流下方向に沿って設けられた冷却フィンと、
上記冷却フィンの上記流下方向の下流側に設けられ上記冷却フィンに生じた結露水を吸水して蒸散させる調湿部と、
を備え、
上記調湿部は、上記空気流路に形成される空気流を受けてはためく可撓性の吹き流し部材を備え、上記吹き流し部材は、吸水性繊維からなるシート状の繊維シートを有する、空調装置、
にある。
上記態様の空調装置において、ハウジングの空気流路を流れる空気は、冷却管と冷却フィンによって冷却される。冷却フィンに生じた結露水は、空気流路における空気流にしたがって、冷却フィンと直列的に配置された調湿部へと流れる。調湿部では冷却フィンから流れた結露水が吸水されて蒸散することによって加湿される。
この空調装置によれば、調湿部を冷却フィンの下流側に直列的に配置する構造ゆえ、ハウジングの空気流路を流れる空気の全量を調湿部における結露水の蒸散に使用することができる。このため、冷却フィンと調湿部を並列的に配置する構造に比べて、蒸散に供する空気の流量を高めることができ、その結果、調湿部における蒸散量を増やすことが可能になる。
以上のごとく、上記態様によれば、蒸散性能に優れた空調装置を提供することができる。
実施形態1にかかる空調設備の構成図。 実施形態1の空調装置の模式図。 実施形態1の空調装置の内部構造を示す斜視図。 図3を上方からみた平面図。 図4中の渦流形成部材の周辺部の空気流について説明するための図。 実施形態2の空調装置について図4に対応した平面図。 実施形態3の空調装置について図4に対応した平面図。
上記態様の好ましい実施形態について以下に説明する。
上記態様の空調装置において、上記調湿部は、上記空気流路に形成される空気流を受けてはためく可撓性の吹き流し部材を備え、上記吹き流し部材は、吸水性繊維からなるシート状の繊維シートを有するのが好ましい。
この空調装置によれば、冷却フィンから流れた結露水は、吹き流し部材の繊維シートに吸水されたのち、可撓性の吹き流し部材が空気流路に形成される空気流を受けて展開状態ではためくことで蒸散される。このとき、繊維シートを使用することで空気との接触面積を増やすことができ、しかも吹き流し部材がはためくことで繊維シートの内部に空気を導入させ易くなり蒸散量を増やすことが可能になる。
上記態様の空調装置において、上記吹き流し部材は、上記繊維シートに積層され上記繊維シートよりも通気性の低い樹脂シートを有するのが好ましい。
この空調装置によれば、吹き流し部材は互いに積層された繊維シート及び樹脂シートを有する。この吹き流し部材では、繊維シートが吸水機能及び蒸散機能を果たす一方で、繊維シートを支持する樹脂シート自体が空気流を受けて展開状態ではためくことで繊維シートがはためくのを促進することができる。これにより、調湿部における蒸散量をさらに増やすことが可能になる。
上記態様の空調装置において、上記調湿部は、上記冷却フィンと上記吹き流し部材との境界部分に設けられた渦流形成部材を備え、上記渦流形成部材で上記空気流を部分的に遮ることで上記渦流形成部材よりも上記流下方向の下流に渦流を形成させるように構成されているのが好ましい。
この空調装置によれば、空気流路に形成される空気流を渦流形成部材で部分的に遮ることで渦流形成部材よりも流下方向の下流に渦流を形成させることができる。この渦流の中心部は流速が大きく負圧になるため周囲のものを引き寄せる作用が生じる。このため、吹き流し部材が冷却管の管軸方向の片側に偏って撓むのを渦流によって防ぐことができ、吹き流し部材をその展開状態を維持したままではためかせるのに有効である。
上記態様の空調装置において、上記渦流形成部材は、上記流下方向と上記冷却管が延びる管軸方向との両方に直交する方向を軸方向として上記冷却フィンに接合された軸状部材であるのが好ましい。
この空調装置によれば、渦流形成部材を軸状部材としてその軸方向の広範囲にわたり渦流を形成させることができる。
上記態様の空調装置において、上記渦流形成部材は、吸水性繊維からなり、且つ、上記繊維シートに接続されているのが好ましい。
この空調装置によれば、渦流形成部材は渦流を形成させる機能に加えて吸水機能を有する。これにより、冷却フィンに生じた結露水を渦流形成部材によって吸水して、吸水性繊維からなる繊維シートまで効率よく浸透させて蒸散させることができる。
以下、空調装置の具体的な実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
この実施形態を説明するための図面において、特にことわらない限り、空調装置のハウジング内の空気流路を流れる空気の流下方向を矢印Xで示し、ハウジング内に設けられる渦流形成部材の軸方向を矢印Yで示し、空気の流下方向と渦流形成部材の軸方向との両方と直交する方向を矢印Zで示すものとする。
(実施形態1)
図1に示されるように、実施形態1にかかる空調設備は、フレッシュ型の空調装置1と、リサイクル式の空調装置11と、を備えている。これらの空調装置1,11は、自動車関連の製品Wを塗装する塗装工程の塗装ブースB1と、製品Wの清掃工程の清掃ブースB2で使用される。塗装ブースB1では、揮発した有機溶剤が濃縮するのを避けるために排気ファン4によって空気の一部が屋外へ排気される。
空調装置1は、塗装ブースB1での排気による空気の不足分を補うために、また有機溶剤を使用しない清掃ブースB2に新鮮な空調風を給気するために、新鮮な外気を取り入れて空調処理した後、塗装ブースB1と清掃ブースB2との両方に給気ファン3によって給気するように構成されている。即ち、給気ファン3から塗装ブースB1に給気される空気の一部が清掃ブースB2に給気される。
特に図示しないものの、空調装置1のハウジング2内には、外気を加温するための加温部と、加温部で加温した後の外気を加湿するための調湿部と、調湿部で加湿した後の外気を冷却する冷却部と、冷却部で冷却した後の外気を加温するための加温部と、が収容されている。
実施形態1の空調装置11は、給気ファン13によって清掃ブースB2のみに空調風を給気し、且つ清掃ブースB2との間で循環ファン14を利用して空気を循環させるように構成されている。清掃ブースB2内の空気は、循環ファン14によって空調装置11に循環され、その一部が屋外へ排気される。この空調装置11によれば、清掃ブースB2との間で空気を循環させることによって省エネを図ることが可能になる。
図2及び図3に示されるように、空調装置11は、空気流路12aを有するハウジング12(図2を参照)を備えている。空気流路12aは、ハウジング12によって区画される領域である。空調装置11は、空気の冷却機能及び調湿機能を果たすために、ハウジング12内に、冷却管20、冷却フィン30及び調湿部40を含む複数の構成要素を収容している。
冷却管20は、給気ファン13及び循環ファン14(図1を参照)で加温された空気の温度を下げるために使用される。この冷却管20は、冷媒が流れる冷媒流路21を有する冷却コイルを形成している。冷却管20は、ハウジング12の空気流路12aに形成される空気流Fを横切るように延びている。即ち、冷却管20の軸方向Zと空気の流下方向Xとが概ね直交している。複数の冷却管20は間隔を隔てて互いに平行配置されている。
冷媒は、流入管24を通じてヘッダー23の流入部に流入する。その後、冷媒は各冷却コイルの冷却管20の冷媒流路21を一方向に流れたのちU字管部でUターンし冷媒流路21を逆方向に流れ、ヘッダー23の流出部から流出管25を通じて流出する。このとき、冷媒流路21を流れる冷媒で冷やされた冷却管20は、空気流路12aを流れる空気との間で熱交換される。
冷却フィン30は、プレート状部材であり、空気流路12aを流れる空気との接触面積を増やして冷却性能を高めるために、冷却管20の軸方向Zに沿って間隔を隔てて複数積層されている。複数の冷却フィン30の積層方向が各冷却フィン30の板厚方向となる。各冷却フィン30は、空気の流れを邪魔しないように冷却管20に流下方向Xに沿って設けられている。隣接する2つの冷却フィン30の間の空間は、空気を流下方向Xに流すための空間である。各冷却フィン30は、冷却管20によって冷やされた状態で、空気流路12aを流れる空気との間で熱交換される。
なお、冷却管20及び冷却フィン30の材質は特に限定されないが、空気流路12aを流れる空気の冷却性能を高めるためには、伝熱特性の高い材料(典型的には、銅、ステンレス、アルミニウム、チタンなどの金属材料)によって構成されるのが好ましい。
ところで、冷却管20及び冷却フィン30のそれぞれの表面で結露が発生してドレン化すると湿度が徐々に下がり清掃ブースB2(図1を参照)内が乾燥するためワークの品質管理上好ましくない。この場合、清掃ブースB2内の乾燥を防ぐために水を噴霧するなどの加湿処理が必要になる。
そこで、本実施形態の空調装置11は、加湿処理を行うための調湿部40を備えている。この調湿部40は、冷却フィン30に生じた結露水を吸水して蒸散させる加湿性能を有するものであり、本実施形態では冷却フィン30の流下方向Xの下流側に設けられている。
冷却フィン30には、空気中の水分が冷却フィン30自体の表面で結露して生じた結露水のほか、空気中の水分が冷却管20の表面で結露した後に冷却フィン30の表面まで流れた結露水が生じ得る。
調湿部40は、冷却フィン30のうち流下方向Xの下流に直列的に配置されている。調湿部40は、複数の吹き流し部材41と、複数の渦流形成部材44と、備えている。
吹き流し部材41は、吸水性を有し、且つ、空気流路12aに形成される空気流Fにしたがって撓み変形可能なシート部材として構成されている。この吹き流し部材41は、可撓性を有する吸水性繊維からなるシート状の繊維シート42と、可撓性を有する樹脂材料からなる樹脂シート43と、を備え、繊維シート42と樹脂シート43が互いに積層されることによって構成されている。
ここでいう「吸水性繊維」とは、液体状の水を繊維表面の穴、溝及び繊維と繊維の間に毛管現象により取り込む性質(吸水性)に優れた繊維をいう。一方で、この繊維が気体としての水(水蒸気あるいは分子状の水)を吸水する性質(吸湿性)を兼ね備えるものであってもよい。吸水性繊維として具体的には、綿、絹、麻、毛などの天然繊維、アクリル系やナイロン系の合成繊維、レーヨン、キュプラなどの植物繊維等が挙げられる。
繊維シート42は、吸水性繊維からなるため、吸水した水を、空気流Fを受けて蒸散させることが可能な蒸散機能を果たす。シート状の繊維シート42を使用することによって、吸水した水と空気との接触面積を増やすのに有効である。このとき、吹き流し部材41が空気流Fを受けてはためく(「たなびく」或いは「なびく」ともいう。)ように構成されているため、吹き流し部材41がはためくことで繊維シート42の蒸散機能が促進される。
樹脂シート43は、可撓性を有する樹脂材料からなるため、空気流Fを受けると撓み変形しながら波打ち状にはためくように動く機能を果たす。この機能を高めるために、樹脂シート43は繊維シート42よりも通気性の低い樹脂、若しくは通気性のない樹脂からなるのが好ましい。この樹脂シート43によれば、繊維シート42の表面を流れる空気の流速を高めるのに有効である。
なお、吹き流し部材41において、繊維シート42は樹脂シート43の片面のみに接合されてもよいし、或いは樹脂シート43の両面のそれぞれに接合されてもよい。また、繊維シート42は、樹脂シート43の片面或いは両面において複数に分割されていてもよい。
渦流形成部材44は、冷却フィン30と吹き流し部材41との境界部分に設けられている。調湿部40は、渦流形成部材44で空気流Fを部分的に遮ることで渦流形成部材44よりも流下方向Xの下流に渦流Faを形成させるように構成されている。
渦流形成部材44は、流下方向Xと冷却管20が延びる管軸方向Yとの両方に直交する方向を軸方向Zとして冷却フィン30に接合された軸状部材である。この渦流形成部材44は、その表面における空気の流れを円滑化するために断面形状が円形或いは楕円形状であるのが好ましい。この渦流形成部材44は、冷却フィン30のうち流下方向Xの下流側端部と、吹き流し部材41のうち流下方向Xの上流側端部と、との間に介装されている。この渦流形成部材44は、繊維シート42と同様の吸水性繊維からなり、且つ、吹き流し部材41の繊維シート42に接続されている。
図3では、説明の便宜上、1つの渦流形成部材44が接合された1つの冷却フィン30のみを示しているが、本実施形態では、複数の冷却フィン30のそれぞれに1つの渦流形成部材44が接合され、且つ、複数の渦流形成部材44のそれぞれに1つの吹き流し部材41が接合されている。これに対して、渦流形成部材44の数が冷却フィン30の数を下回るように構成された変更例を採用することもできる。この変更例では、複数の冷却フィン30の中に渦流形成部材44が接合されていないものが含まれる。
図4に示されるように、ハウジング12内の空気流路12aを流下方向Xに流れる空気に含まれる水分は、冷却管20及び冷却フィン30と接触することによって冷やされて結露水となる。冷却フィン30の表面に生じた結露水は、流下方向Xの空気流にしたがって渦流形成部材44へと流れる。
この結露水は、先ず、渦流形成部材44の吸水性繊維に、表面張力によって伝わる現象、所謂「毛細管現象」によって吸水される。その後、この結露水は、吹き流し部材41の一部を構成する繊維シート42の吸水性繊維に吸水され、毛細管現象によって蒸散部である繊維シート42の全体に概ね均一に広がる。このとき、吹き流し部材41が空気流を受けて展開状態ではためくことによって、繊維シート42に吸水されている水は蒸散によって空気流路12aの空気に溶け込み易くなる。これにより、空調装置11における空気の冷却によって湿度が低下し過ぎるのを防ぐことができ、湿度を管理範囲内に維持する調湿処理が可能になる。
なお、繊維シート42や渦流形成部材44における吸水性能を高めるためには、吸水性繊維の繊維径を細くして毛細管現象を促進するように構成するのが好ましい。
図5に示されるように、渦流形成部材44は、冷却フィン30に沿って形成される空気流Fを邪魔するように冷却フィン30との間に段差を形成している。このため、渦流形成部材44に干渉した空気は、渦流形成部材44の表面に沿うように方向を変えて流下方向Xの下流側へと流れる。このとき、空気流路12aにおける空気の流速が大きい運転領域では、渦流形成部材44よりも下流に、所謂「カルマン渦」と称呼される渦流Faが発生する。この渦流Faは、流下方向Xについて吹き流し部材41の一方面側と他方面側と交互に形成される。この渦流Faの中心部は流速が大きく負圧になる。
上述の実施形態1によれば、以下のような作用効果が得られる。
実施形態1の空調装置11において、ハウジング12の空気流路12aを流れる空気は、冷却管20と冷却フィン30によって冷却される。冷却フィン30に生じた結露水は、空気流路12aにおける空気流Fにしたがって、冷却フィン30と直列的に配置された調湿部40へと流れる。調湿部40では冷却フィン30から流れた結露水が吸水されて蒸散することによって加湿される。
この空調装置11によれば、調湿部40を冷却フィン30の下流側に直列的に配置する構造ゆえ、ハウジング12の空気流路12aを流れる空気の全量を調湿部40における結露水の蒸散に使用することができる。このため、冷却フィン30と調湿部40を並列的に配置する構造に比べて、蒸散に供する空気の流量を高めることができ、調湿部に40おける蒸散量を増やすことが可能になる。
従って、上述の実施形態1によれば、蒸散性能の高い小型の空調装置11を提供することができる。
上記の空調装置11によれば、冷却フィン30から流れた結露水は、吹き流し部材41の繊維シート42に吸水されたのち、可撓性の吹き流し部材41が空気流路12aに形成される空気流Fを受けて展開状態ではためくことで蒸散される。このとき、繊維シート42を使用することで空気との接触面積を増やすことができ、しかも吹き流し部材41がはためくことで繊維シート42の内部に空気を導入させ易くなり蒸散量を増やすことが可能になる。
上記の空調装置11によれば、吹き流し部材41は互いに積層された繊維シート42及び樹脂シート43を有する。この吹き流し部材41では、繊維シート42が吸水機能及び蒸散機能を果たす一方で、繊維シート42を支持する樹脂シート43自体が空気流Fを受けて展開状態ではためくことで繊維シート42がはためくのを促進することができる。これにより、調湿部40における蒸散量をさらに増やすことが可能になる。
上記の空調装置11によれば、空気流路12aに形成される空気流Fを渦流形成部材44で部分的に遮ることで渦流形成部材44よりも流下方向Xの下流に渦流Faを形成させることができる。この渦流Faの中心部は流速が大きく負圧になるため周囲のものを引き寄せる作用が生じる。このため、吹き流し部材41が冷却管20の管軸方向Zの片側に偏って撓むのを渦流によって防ぐことができ、吹き流し部材41をその展開状態を維持したままではためかせるのに有効である。
上記の空調装置11によれば、渦流形成部材44を軸状部材としてその軸方向Yの広範囲にわたり渦流Faを形成させることができる。
上記の空調装置11によれば、渦流形成部材44は渦流Faを形成させる機能に加えて吸水機能を有する。これにより、冷却フィン30に生じた結露水を渦流形成部材44によって吸水して、吸水性繊維からなる繊維シート42まで効率よく浸透させて蒸散させることができる。
次に、上述の実施形態1に関連する他の実施形態について図面を参照しつつ説明する。他の実施形態において、実施形態1の要素と同一の要素には同一の符号を付しており、当該同一の要素についての説明は省略する。
(実施形態2)
図6に示されるように、実施形態2の空調装置11Aは、調湿部140の構造が実施形態1の空調装置11のものと相違している。調湿部140は、実施形態1と同様の複数の吹き流し部材41を備える一方で、実施形態1の渦流形成部材44に相当する要素を備えていない。この調湿部140において、各吹き流し部材41は、各冷却フィン30のうち流下方向Xの下流側端部に直に接合されている。
その他の構成は、実施形態1と同様である。
上述の実施形態2によれば、実施形態1の調湿部40に比べて、渦流形成部材44に相当する要素を省略することで調湿部140の構造を簡素化することができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
(実施形態3)
図7に示されるように、実施形態3の空調装置11Bは、調湿部240の構造が実施形態1の空調装置11のものと相違している。調湿部240は、実施形態1と同様の複数の吹き流し部材41と、複数の吹き流し部材41に兼用の1つの渦流形成部材45と、を備えている。渦流形成部材45は、流下方向Xを板厚方向としたプレート部材であり、流下方向Xの空気の流通を許容する複数の貫通穴45aを有する。この渦流形成部材45は、実施形態1の渦流形成部材44と同様にその下流に渦流を形成させる機能を有するとともに、吸水性繊維からなり、且つ、複数の吹き流し部材41に接続されている。空調装置11Bでは、渦流形成部材45と複数の吹き流し部材41が予め一体状にモジュール化されており、複数の冷却フィン30にモジュールごと取り付けられるようになっている。
その他の構成は、実施形態1と同様である。
上述の実施形態3によれば、渦流形成部材45と複数の吹き流し部材41をモジュール化することで、実施形態1のように複数の渦流形成部材44のそれぞれに吹き流し部材41を接合する場合に比べて取付け構造を簡素化することができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
本発明は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変更が考えられる。例えば、各実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
上述の実施形態では、互いに積層された繊維シート42及び樹脂シート43によって吹き流し部材41を構成する場合について例示したが、これに代えて、可撓性を有する繊維シート42のみで吹き流し部材41を構成することもできる。
上述の実施形態では、吸水性繊維からなる渦流形成部材44,45を使用する場合について例示したが、渦流形成部材44,45は、少なくともその下流に渦流を形成させる機能を有していればよく、必要に応じて渦流形成部材44,45を吸水性の無い素材によって構成することもできる。
上述の実施形態では、調湿部40,140,240が吹き流し部材41を備える場合について例示したが、吹き流し部材41に代えて或いは加えて、吸水性繊維からなる一方で空気流によってはためくことのないブロック状の部材を使用することもできる。
上述の実施形態では、自動車関連の製品Wの清掃工程で使用する空調装置11,11A,11Bについて例示したが、必要に応じて、この空調装置11,11A,11Bによる空調技術を、空気を冷却しつつ乾燥を防ぎたいという要請の高い別工程や別分野に適用することも可能である。
11,11A,11B 空調装置
12 ハウジング
12a 空気流路
20 冷却管
21 冷媒流路
30 冷却フィン
40,140,240 調湿部
41 吹き流し部材
42 繊維シート
43 樹脂シート
44,45 渦流形成部材
F 空気流
Fa 渦流
X 流下方向
Y 軸方向
Z 管軸方向

Claims (5)

  1. 空気流路を有するハウジングと、
    冷媒流路を有し上記ハウジングの上記空気流路に形成される空気流を横切るように延びる冷却管と、
    上記冷却管に空気の流下方向に沿って設けられた冷却フィンと、
    上記冷却フィンの上記流下方向の下流側に設けられ上記冷却フィンに生じた結露水を吸水して蒸散させる調湿部と、
    を備え、
    上記調湿部は、上記空気流路に形成される空気流を受けてはためく可撓性の吹き流し部材を備え、上記吹き流し部材は、吸水性繊維からなるシート状の繊維シートを有する、空調装置。
  2. 上記吹き流し部材は、上記繊維シートに積層され上記繊維シートよりも通気性の低い樹脂シートを有する、請求項に記載の空調装置。
  3. 上記調湿部は、上記冷却フィンと上記吹き流し部材との境界部分に設けられた渦流形成部材を備え、上記渦流形成部材で上記空気流を部分的に遮ることで上記渦流形成部材よりも上記流下方向の下流に渦流を形成させるように構成されている、請求項またはに記載の空調装置。
  4. 上記渦流形成部材は、上記流下方向と上記冷却管が延びる管軸方向との両方に直交する方向を軸方向として上記冷却フィンに接合された軸状部材である、請求項に記載の空調装置。
  5. 上記渦流形成部材は、吸水性繊維からなり、且つ、上記繊維シートに接続されている、請求項またはに記載の空調装置。
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