JP7457239B2 - 磁区構造の解析方法及び解析システム - Google Patents

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Description

本発明は、磁性体の磁区構造を解析する方法及びシステムに関する。
近年、磁性体は種々のデバイスに用いられており、デバイスの性能を向上させるために、磁性体の磁区構造を評価する様々な方法が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
例えば、変圧器に方向性電磁鋼板が用いられることが知られている。方向性電磁鋼板は、Siを7質量%以下含有し、二次再結晶粒が{110}<001>方位(Goss方位)に集積した二次再結晶集合組織を有する鋼板である。方向性電磁鋼板の磁気特性は、{110}<001>方位への集積度に大きく影響される。近年の実用の方向性電磁鋼板では、結晶の<001>方向と圧延方向との角度が5°程度の範囲内に入るように制御されている。
特許第4878063号公報 特開平9-022527号公報
従来、磁区構造に着目して優れた方向性電磁鋼板の特徴について規定する技術は複数存在するものの、磁区構造に関する精緻な制御技術の開発が十分なされているとは言えない。すなわち、従来の技術では、方向性電磁鋼板の主磁区である180°磁区の平均間隔、面積率、角度等、磁区構造の平均的な情報で規定するものが多く、方向性電磁鋼板の磁区構造の空間分布や不均一性をも含めて特徴づけるものは少ない。この原因は、方向性電磁鋼板の180°磁区の平均間隔、面積率、角度等を定量的に評価する手法がないことに起因している。よって、従来、試験者の目視によって評価がなされていたため、試験者によって評価にばらつきが生じるという問題があった。
一方、近年、変圧器の特性に及ぼす要因の解析の技術は進歩しており、方向性電磁鋼板全体の鉄損や磁歪の低減だけで変圧器の無負荷損及び騒音が必ずしも低減するわけではないことが明らかとなってきている。特に、方向性電磁鋼板において、磁束密度分布の不均一性、粒界等の結晶不連続部、励磁磁束密度毎の磁歪特性の波形歪等が、変圧器の無負荷損及び騒音に大きな影響を与えることが判明している。
方向性電磁鋼板の磁区構造の大部分は180°磁区が占めており、180°磁区の幅と鉄損に相関があることは従来からよく知られている。また、180°磁区の方位(角度)は磁化容易軸と平行であり、180°磁区の角度を見ることによって結晶粒の向きを評価することができる。また、磁歪に関しても、180°磁区の幅と相関があることが指摘されている。よって、方向性電磁鋼板の低鉄損化と低騒音化を両立するためには、180°磁区の幅及び角度を定量的に評価することが必要である。
180°磁区は周期的な構造を有することから、方向性電磁鋼板の磁区構造を定量的に評価するため、磁区画像に対して、周期的な構造の解析手法である2次元フーリエ変換を施すことが考えられる。しかしながら、磁区画像を2次元フーリエ変換することによって得られるフーリエ画像では、磁区画像の位置の情報が失われるため、結晶方位や結晶粒と磁区構造との対応関係を導出することができないという課題が生じる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、磁性体の磁区画像の位置情報を保ったまま、180°磁区の幅及び角度を定量的に導出する方法及びシステムを提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る磁性体の磁区構造の解析方法は、a)2種類の色によって二値化された又は3以上の階調で表現された前記磁性体の磁区画像から、前記磁区画像の複数の位置にそれぞれ対応する複数の部分領域を切り出すステップと、b)前記複数の部分領域のそれぞれに対して2次元フーリエ変換を施すことによって複数の部分フーリエ画像を求めるステップと、c)前記複数の部分フーリエ画像のそれぞれのスポットのピーク位置に基づいて、前記磁性体の180°磁区の幅及び角度を導出するステップと、を備える。
本発明の実施形態に係る磁性体の磁区構造の解析システムは、2種類の色によって二値化された又は3以上の階調で表現された前記磁性体の磁区画像から、前記磁区画像の複数の位置にそれぞれ対応する複数の部分領域を切り出し、前記複数の部分領域のそれぞれに対して2次元フーリエ変換を施すことによって複数の部分フーリエ画像を求め、前記複数の部分フーリエ画像のそれぞれのスポットのピーク位置に基づいて、前記磁性体の180°磁区の幅及び角度を導出する演算部を備える。
本願明細書において、「180°磁区」とは、磁化方向が結晶の<100>方位であり、且つ圧延方向にほぼ平行な2つの180°磁壁に挟まれた磁区を表す。
また、180°磁区の「幅」とは、隣接する磁壁間の距離(磁壁間隔)を表す。
さらに、180°磁区の「角度」とは、基準となる磁化方向に対する180°磁区の方位を表す。一般的に方向性電磁鋼板の場合、基準となる磁化方向はRD(圧延方向)と平行である。
本発明によれば、磁区画像から、位置毎に部分領域を切り出して2次元フーリエ変換を行うことで、磁区画像の位置情報を保ったまま、180°磁区の幅及び角度を定量的に導出することが可能となる。
本発明の実施形態に係る解析システムの構成を示すブロック図である。 図1の画像取得装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 図1の解析装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 磁区画像から複数の部分領域を切り出す方法を説明する模式図である。 磁区画像から切り出された複数の部分領域のそれぞれに2次元フーリエ変換を施すことによって得られた複数の部分フーリエ画像の一例である。 粒界のないほぼ均一な磁区の画像と、粒界を伴う不均一な磁区の画像の一例である。 図6に示す2つの磁区画像のそれぞれについて短区間2次元フーリエ変換(ST2DFT)を用いて導出された180°磁区の幅の空間分布を示すグラフである。 図6に示す2つの磁区画像のそれぞれについてST2DFTを用いて導出された180°磁区の角度の空間分布を示すグラフである。 図6に示す2つの磁区画像のそれぞれについて、線分法による磁区構造の解析結果とST2DFTによる磁区構造の解析結果とを比較する表である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
<システム構成>
まず、本実施形態のシステム構成について説明する。
図1に、本実施形態に係る解析システム100の構成を示す。解析システム100は、磁性体の磁区構造を解析するシステムであり、図1に示すように、画像取得装置20と解析装置30とを備え、画像取得装置20と解析装置30は、ケーブルを介して接続されている。本実施形態が対象とする磁性体としては、例えば、方向性電磁鋼板が挙げられる。
画像取得装置20は、図2に示すように、光源部21と、磁気光学(MO)センサ23と、イメージセンサ25と、信号処理部27とを有する。
光源部21は、発光ダイオード(LED)からなる光源を有しており、MOセンサ23に対して、偏光面の揃った光を照射する。
MOセンサ23は、磁性体の構造を測定する装置であり、測定対象の磁性体試料が載置される観察面を有する。光源部21から照射された光は、MOセンサ23の内部を通って反射層で反射され、反射光はMOセンサ23の内部を再び通ってMOセンサ23の外部に出力される。磁性体試料がMOセンサ23の観察面上に載置されると、MOセンサ23の内部に、磁性体試料の自発磁化の向きに応じた漏れ磁場が生じるが、この漏れ磁場によって、反射光の偏光面が回転する。
イメージセンサ25は、Complementary Metal-Oxide-Semiconductor(CMOS)イメージセンサであり、MOセンサ23からの反射光を受光面に結像させて光電変換し、光電変換後のアナログ信号を信号処理部27に出力する。偏光面が回転した反射光をイメージセンサ25で検出することで、後述のように、漏れ磁場の空間分布を得ることができ、磁性体試料の磁区構造が明らかとなる。
信号処理部27は、アンプ、ADコンバータ、Digital Signal Processor(DSP)等を有する。イメージセンサ25から出力されたアナログ信号は、アンプにより増幅され、ADコンバータによりデジタル信号に変換される。このデジタル信号に対し、DSPにより所定のデジタル処理が施されることで画像信号が生成される。信号処理部27で生成された画像信号は、コネクタを介して解析装置30に出力される。
解析装置30は、Personal Computer(PC)等のコンピュータデバイスであり、図3に示すように、演算部31と、メモリ33と、表示部35と、入力部37と、通信I/F39とを有する。
演算部31は、Central Processing Unit(CPU)を有し、メモリ33に記憶されたプログラムに従って、磁区構造の解析方法を実行する。演算部31によって実行される磁区構造の解析方法については、後に詳細に説明する。
メモリ33は、Read Only Memory(ROM)及びRandom Access Memory(RAM)を有する。ROMは、演算部31のCPUによって実行されるプログラム及びこれらのプログラムの実行時に必要なデータを格納する。ROMに格納されたプログラム及びデータは、RAMにロードされて実行される。
なお、メモリ33は、ハードディスクドライブ(HDD)等の磁気メモリ、又は光ディスク等の光メモリを有するようにしてもよい。あるいは、解析装置30に着脱可能で、コンピュータ読み取り可能な記録媒体にプログラムやデータを格納するようにしてもよい。あるいは、演算部31で実行されるプログラムを、通信I/F39を介してネットワークから受信するようにしてもよい。
表示部35は、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、又は有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)ディスプレイ等のディスプレイを有し、画像取得装置20から出力された画像信号に基づいて画像を表示し、また、演算部31による磁区構造の解析結果を表示する。
入力部37は、マウス、キーボード等の入力デバイスを有する。
通信I/F39は、Local Area Network(LAN)、Wide Area Network(WAN)、インターネット等のネットワークを介して外部機器との間でデータの送受信を行うためのインターフェースである。
なお、演算部31として、CPU等の汎用ハードウェアの代わりに、磁区構造の解析に特化した、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)又はField Programmable Gate Array(FPGA)等の専用ハードウェアを採用してもよい。
また、画像取得装置20と解析装置30が無線通信により接続されていてもよい。
さらに、図1では、画像取得装置20と解析装置30が別々に設けられている例を示しているが、画像取得装置20と解析装置30が一体化したシステムを採用してもよい。
<磁区構造の解析方法>
次に、演算部31によって実行される磁区構造の解析方法について説明する。
方向性電磁鋼板のような周期的な磁区構造を有する磁性体を対象とする場合、フーリエ変換を用いて磁区構造を評価するのが有効である。
そこで、まず、短区間フーリエ変換(short-term Fourier transform)(以下、「STFT」と呼ぶ。)について説明する。STFTは、解析対象のデータ列に対して窓関数を移動させながら解析する手法であり、音声信号の時間・周波数解析に古くから用いられている信号処理法の一つである。
STFTでは、離散信号データ列x(k)を短区間に分割して、その周波数構造を分析するために、0≦k≦N-1(Nは自然数)の範囲の窓関数Wa(k)を用いる。窓関数Wa(k)として、Hamming窓、Hanning窓、Blackman窓などが適用可能である。
STFTでは、式(1)で表されるように、窓関数Wa(k)をnSだけシフトして離散信号データ列x(k)に乗じることにより、x(k)からnS≦k≦nS+N-1の区間を切り出したデータ列x(k―nS)が得られる。
Figure 0007457239000001
ここで、n(整数)はデータ列のインデックスを表し、S(整数)は窓関数のシフト量を表す。
切り出した区間に対してx(n´)=x(k―nS)と定義し、式(2)のような離散フーリエ変換(DFT)を行うことで、データ位置nSに対応した周波数スペクトルが得られる。
Figure 0007457239000002
ここで、fは空間周波数である。
本実施形態では、以下に説明するように、STFTを2次元領域に拡張した短区間2次元フーリエ変換(以下、「ST2DFT」と呼ぶ。)を用いて、磁性体の磁区構造を解析する。
以下では、画像取得装置20で取得された画像信号が表す画像(以下、磁区画像と呼ぶ。)を2次元座標(k-l座標)のデータ列としてx(k,l)と表記する。本実施形態において解析対象とする磁区画像は、グレースケールなど、2種類の色によって二値化された画像、又は3以上の階調(多階調)で表現された画像である。
磁性体の磁区構造を解析するため、演算部31は、以下の(A-1)、(A-2)及び(A-3)のステップを実行する。
(A-1)磁区画像から複数の部分領域を切り出すステップ;
(A-2)ST2DFTを行うステップ;
(A-3)180°磁区の幅及び角度を導出するステップ.
以下、各ステップについて詳細に説明する。
(A-1)磁区画像から複数の部分領域を切り出すステップ
磁区画像から複数の部分領域を切り出して、それぞれの周波数構造を分析するために、k方向の範囲を0≦k≦N-1、l方向の範囲を0≦l≦N-1とした矩形窓の窓関数Wa(k,l)を用いる(N及びNは自然数)。窓関数Wa(k,l)としては、Hamming窓、Hanning窓、Blackman窓などが適用可能である。
磁区画像のデータ列x(k,l)における観察位置をインデックス(n,m)で表記し、k方向及びl方向における窓関数Wa(k,l)のシフト量をそれぞれS及びSと表記すると(n、m、S、Sは整数)、式(3)のように、磁区画像からnS≦k≦nS+N-1、mS≦l≦mS+N-1の範囲を切り出した部分領域のデータ列xnm(k-nS,l-mS)が得られる。
Figure 0007457239000003
図4に、磁区画像Gから、観察位置(n,m)=(1,1)、(2,2)、(3,3)、…、(P,Q)(P及びQは自然数)のそれぞれに対応する部分領域が切り出された例を示している。
本実施形態において、窓関数Wa(k,l)の範囲を定めるN及びNは、それぞれ、部分領域におけるk方向の画素数及びl方向の画素数に対応するパラメータである。
(A-2)ST2DFTを行うステップ
部分領域のデータ列をxnm(n´, m´)=xnm(k-nS, l-mS)と定義し、xnm(n´, m´)に対して2次元フーリエ変換を施すと、式(4)のように、観察位置(n,m)の部分領域に対応する部分フーリエ画像X(f,f,n,m)が得られる。
Figure 0007457239000004
ここで、f及びfは空間周波数である。空間周波数fの分解能をΔf、空間周波数fの分解能をΔfと表記すると、それぞれ、式(5)及び式(6)のように定義される。
Figure 0007457239000005
ここで、Δk及びΔlは、それぞれ、磁区画像におけるk方向の空間分解能及びl方向における空間分解能である。
例えば、図4に示した各部分領域のデータ列xnm(k-nS,l-mS)に対して2次元フーリエ変換を施すと、図5に示すように、観察位置(n, m)ごとに部分フーリエ画像X(f,f,n,m)が得られる。
(A-3)180°磁区の幅及び角度を導出するステップ
部分フーリエ画像X(f,f,n,m)が得られると、部分フーリエ画像X(f,f,n,m)のスポットのピーク位置の座標(k成分f max(n,m)及びl成分f max(n,m))が求められる。
そして、式(5)及び式(6)で定義した空間周波数の分解能と、部分フーリエ画像のスポットのピーク位置から、式(7)のように、180°磁区の幅の空間分布L(n,m)が導出され、式(8)のように、180°磁区の角度の空間分布θ(n,m)が導出される。
Figure 0007457239000006
以上のように、本実施形態の磁区構造の解析方法によれば、短区間2次元フーリエ変換(ST2DFT)を用いることにより、磁区画像の位置情報を保ったまま、180°磁区の幅の空間分布L(n,m)と180°磁区の角度の空間分布θ(n,m)を定量的に導出することが可能となる。
次に、本実施形態の実施例として、解析システム100を用いて、以下のように、方向性電磁鋼板の2種類の磁区構造(i)及び(ii)を解析し、ST2DFTによる定量的な導出方法の有効性を、従来法である線分法と比較して検証する。
(i)粒界を伴わないほぼ均一な磁区構造;
(ii)粒界を伴う不均一な磁区構造.
MOセンサ23の観察面の大きさを55.68mm×40.37mmとし、この領域での漏れ磁場の空間分布が3200pixel×2320pixelで取得可能であるとする。この場合、磁区画像の空間分解能はΔk=Δl=17.4μmとなる。
画像取得装置20で得られる磁区画像は3200pixel×2320pixelであるが、本実施例では、(i)と(ii)での解析結果をより明確にするために、512pixel×512pixelの範囲でトリミングを行った。
図6に、画像取得装置20から得られた(i)に対応する磁区画像D00と(ii)に対応する磁区画像D01の例を示している。図6において「RD」は、方向性電磁鋼板の圧延方向を表している。磁区画像D00は、磁区構造がほぼ均一であるが、磁区画像D01は、画像中心部に粒界を含んでいるため、画像上部と下部で磁区構造が大きく異なる。
従来法では、磁区画像D00から得られた磁区構造に対して、磁区と平行な3本の線分を引き、線分法によって95%信頼区間における180°磁区の幅(平均磁区幅)を導出した。また、180°磁区の角度については、磁区と平行な線分を同様に3本引き、線分の角度から同様に95%信頼区間の角度を求めた。磁区画像D01の磁区構造に関しては、磁区の領域ごとに、磁区画像D00と同様の測定を行い、磁区ごとに平均磁区幅と角度を導出した。
磁区画像D00から線分法によって導出した180°磁区の平均磁区幅及び角度は、それぞれ、175μm~189μm、0.13°~1.5°となった。また、磁区画像D01についても同様に線分法を用いると、画像上部の180°磁区の平均磁区幅及び角度は、それぞれ、131μm~138μm、10.6°~12.5°となり、画像下部の180°磁区の平均磁区幅及び角度は、それぞれ、243μm~249μm、0.63°~1.7°となった。
一方、ST2DFTでは、次のとおりパラメータを設定した:
空間分解能:Δk=Δl=17.4μm;
磁区画像から切り出す部分領域のサイズ:N=N=64;
窓関数のシフト量:S=S=1.
ここで、磁区画像から切り出す部分領域のサイズについては、切り出す部分領域の中に少なくとも1周期以上の180°磁区が含まれていなければ解析を行うことができないため、N=N=64とした。
図7に、磁区画像D00及びD01のそれぞれについて180°磁区の幅の空間分布L(n,m)を示す。また、図8に、磁区画像D00及びD01のそれぞれについて180°磁区の角度の空間分布θ(n,m)を示す。図7に示す磁区画像D01のL(n,m)及び図8に示す磁区画像D01のθ(n,m)から、粒界を含む磁区においても、粒界部を明確に区別可能であることがわかる。
図9に、線分法による磁区構造の解析結果とST2DFTによる磁区構造の解析結果(図7及び図8)とを比較した結果を示す。
図9において、磁区画像D01の上部は、m座標が200より大きい領域を示し、磁区画像D01の下部は、m座標が0~200の領域を示している。図9におけるST2DFTによる解析結果は、磁区画像D00については、観察位置(n,m)=(200,200)での180°磁区の幅(図9で「磁区幅」と表記)及び角度を示し、磁区画像D01の上部については、観察位置(n,m)=(200,350)での磁区幅及び角度を示し、磁区画像D01の下部については、観察位置(n,m)=(200,100)での磁区幅及び角度を示している。
図9より、磁区画像D00の磁区幅と、磁区画像D01の上部の磁区幅については、線分法による導出結果とST2DFTによる導出結果に良好な一致が認められる。一方、磁区画像D01の下部については、ST2DFTから得られた磁区幅が線分法から得られた磁区幅より広いという結果が得られた。この原因として、図7に示す磁区画像D01の磁区幅の空間分布L(n,m)において、n=320~410、m=0~200の領域に存在する部分的に磁区幅が狭くなっている領域によって、線分法による平均磁区幅が低下したためだと考えられる。実際に、磁区画像D01の(n,m)=(200,100)に相当する観察位置で磁区幅を測定してみると、278μmとなり、ST2DFTによる導出結果と一致した。
一方、180°磁区の角度については、線分法とST2DFTの双方において同様の結果が認められるが、線分法の方が角度の分解能は高い。これは、角度を算出する際、式(8)に代入するn、mが整数であり、且つ原点近傍の値になりやすい傾向に起因している。180°磁区の幅を135μmと仮定すると、角度分解能は約±6°となり、実際の磁区の角度変化と比べて非常に粗い。この課題を解決するためには、部分フーリエ画像のピーク位置を取得する際に、分布を仮定して内挿したり、隣接するフーリエスポットの強度を考慮して重心をとるなどの方法が有効であると考えられる。この方法によってピーク位置を連続的に取得することができるため、180°磁区の幅及び角度の分解能を高めることが可能である。
このように、ST2DFTによる磁区構造の解析結果は、従来法である線分法と比較しても良好であり、ST2DFTによる180°磁区の幅及び角度の定量的な導出方法が有効であることがわかる。
20 画像取得装置
21 光源部
23 MOセンサ
25 イメージセンサ
27 信号処理部
30 解析装置
31 演算部
33 メモリ
35 表示部
37 入力部
39 通信I/F
100 解析システム

Claims (5)

  1. 磁性体の磁区構造の解析方法であって、
    a)2種類の色によって二値化された又は3以上の階調で表現された前記磁性体の磁区画像から、前記磁区画像の複数の位置にそれぞれ対応する複数の部分領域を切り出すステップと、
    b)前記複数の部分領域のそれぞれに対して2次元フーリエ変換を施すことによって複数の部分フーリエ画像を求めるステップと、
    c)前記複数の部分フーリエ画像のそれぞれのスポットのピーク位置に基づいて、前記磁性体の180°磁区の幅及び角度を導出するステップと、
    を備える、解析方法。
  2. 前記磁区画像を2次元座標(k、l)のデータ列で表すと、
    前記c)のステップは、以下の式のように、前記180°磁区の幅Lと、前記180°磁区の角度θとを導出し、
    Figure 0007457239000007
    Δf及びΔfは、それぞれ、前記磁区画像の空間周波数のk方向の分解能及びl方向の分解能を表し、
    Δk及びΔlは、それぞれ、前記磁区画像のk方向の空間分解能及びl方向の空間分解能を表し、
    及びNは、それぞれ、前記複数の部分領域の各々のk方向の画素数及びl方向の画素数に対応するパラメータであり、
    max及びf maxは、それぞれ、前記複数の部分フーリエ画像の各々のスポットのピーク位置のk成分及びl成分を表す、請求項1に記載の解析方法。
  3. 前記磁区画像を2次元座標(k,l)のデータ列x(k,l)で表し、
    前記磁区画像における観察位置を(n,m)、
    窓関数をWa(k,l)、
    前記窓関数のk方向及びl方向におけるシフト量を、それぞれ、S及びS
    前記複数の部分領域の各々のk方向の画素数及びl方向の画素数に対応するパラメータを、それぞれ、N及びN、と表記すると、
    前記a)のステップは、
    前記窓関数を用いて前記磁区画像からnS≦k≦nS+N-1、mS≦l≦mS+N-1の範囲を切り出すことによって、前記複数の部分領域の各々について、以下の式のようにデータ列xnm(k-nS,l-mS)を求め、
    Figure 0007457239000008
    前記c)のステップは、
    以下の式のように、前記180°磁区の幅の空間分布L(n,m)と、前記180°磁区の角度の空間分布θ(n,m)とを導出し、
    Figure 0007457239000009
    Δf及びΔfは、それぞれ、前記磁区画像の空間周波数のk方向の分解能及びl方向の分解能を表し、
    Δk及びΔlは、それぞれ、前記磁区画像のk方向の空間分解能及びl方向の空間分解能を表し、
    max(n,m)及びf max(n,m)は、それぞれ、前記複数の部分フーリエ画像の各々のスポットのピーク位置のk成分及びl成分を表す、請求項1に記載の解析方法。
  4. 前記磁性体は電磁鋼板である、請求項1~3の何れか1項に記載の解析方法。
  5. 磁性体の磁区構造の解析システムであって、
    2種類の色によって二値化された又は3以上の階調で表現された前記磁性体の磁区画像から、前記磁区画像の複数の位置にそれぞれ対応する複数の部分領域を切り出し、
    前記複数の部分領域のそれぞれに対して2次元フーリエ変換を施すことによって複数の部分フーリエ画像を求め、
    前記複数の部分フーリエ画像のそれぞれのスポットのピーク位置に基づいて、前記磁性体の180°磁区の幅及び角度を導出する演算部を備える、解析システム。


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