JP7450965B2 - 炭化水素低温改質システム、並びに水素及び/又は合成ガスの低温での製造方法 - Google Patents

炭化水素低温改質システム、並びに水素及び/又は合成ガスの低温での製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、炭化水素低温改質システム、並びに水素及び/又は合成ガスの低温での製造方法に関する。
これまで、炭化水素系材料から水素を製造する方法として、改質反応技術が知られている。水蒸気改質、COを用いるドライリフォーミング、空気・酸素による部分酸化がある。
ところで、炭化水素材料と、水蒸気やCOとを原料にして、水素及び/又はCOを製造するための改質反応は吸熱性であり、そして反応は平衡条件下で進行するために高温を必要とする。したがって、従来の方法では、燃料の燃焼によってもたらされる極めて高いエネルギー入力が必要とされ、その結果、大量のCO排出量が生じる。
プロセス温度を下げることで、炭化水素材料から水素への改質反応に必要なエネルギーを減らすことができる。そして、プロセス温度を下げることで、低温廃熱のエネルギーを、炭化水素材料から水素への改質反応のエネルギーに利用することも可能になり得る。
これまで、500℃を超える高温の廃熱を回収し、廃熱エネルギーを他のプロセスに利用することが提案されている(非特許文献1参照)。しかしながら、500℃未満の低温廃熱は、ほとんど利用されることなく化学プロセスの系外に放出されており、低温廃熱の利用技術を提案することで、省エネルギー及びCO排出量削減に繋がる余地がある。
日本国内での500℃未満の低温廃熱の総量は年間1,018ペタジュール(PJ)と試算されている。これは、日本国内で消費される総エネルギーの約10%に相当する(非特許文献1参照)。低温廃熱の損失は、日本国内のみならず世界中で共通の課題である。
炭化水素材料から水素への改質反応を低温で実現するには、化学平衡の課題を克服する必要がある。例えば、水を酸化剤とする水蒸気改質反応は、以下の反応式による。
+HO → CO(orCO)+H
しかしながら、上記反応は、吸熱反応であり、かつ、同一反応場に全ての物質(C、HO、CO、CO、H)が存在する。反応平衡の制約から、700℃以上の高温状態でないと炭化水素材料から水素への反応が進行しづらい。反応を促進するため、種々の触媒が提案されてはいるが、反応系に触媒を加えたとしても、反応平衡の制約を受けることに変わりはない。そのため、700℃未満の低温廃熱、とりわけ500℃未満の低温廃熱を熱エネルギーとして利用したとしても、水素を効率よく得ることができない。
また、二酸化炭素を酸化剤とする改質反応は、以下の反応式による。
+CO → CO+H
本改質反応もまた、吸熱反応であり、かつ、同一反応場に全ての物質(C、HO、CO、CO、H)が存在する。そのため、反応平衡の制約から、水蒸気改質反応と同様の制約を受ける。
この課題を解決するため、膜反応器を利用することが考えられる。膜反応器を用いることで、反応器内の反応場を分離することができる。
The Energy Conservation Center, Japan. https://www.asiaeec-col.eccj.or.jp/ (accessed 26 December 26, 2018)
しかしながら、膜反応器を利用したとしても、膜反応器は、炭化水素材料の大量処理には適しておらず、他のアプローチによる課題解決が望ましい。
ところで、ケミカルループという手法が古くから知られている。これにより、反応を2つに分けることが可能となり、生成物を高純度ガスとすることが可能となる。改質反応についての報告もある。また全体として弱発熱となる部分酸化についても可能である。
しかしながら、低温でこれらの反応を行うためには、低温で駆動する酸素キャリアが必要である。それが達成できていなかったため、低温でのケミカルループによる、低温吸熱的改質反応は検討されてこなかった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、700℃未満の低温廃熱を利用して、炭化水素材料を低温で改質することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、低温駆動酸素ナノキャリアを用いることで、酸化された酸素キャリアを用いて炭化水素系材料から水素と炭素酸化物とを生成する反応と、酸化剤を用いて還元された酸素キャリアを酸化させる反応とを個別に実行することで、上記の目的を実現できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的に、本発明では、以下のようなものを提供する。
第1の特徴に係る発明は、酸化された酸素キャリアと炭化水素系材料とを600℃以下で反応させ、水素と炭素酸化物とを生成する第1反応器と、前記還元された酸素キャリアと酸化剤とを反応させ、前記酸化された酸素キャリアを生成する第2反応器とを備える、ケミカルループ式炭化水素低温改質システムを提供する。
第1の特徴に係る発明によると、第1反応器において、炭化水素系材料の酸化反応と、酸素キャリアの還元反応とが起きる。このとき、酸素キャリアの格子酸素が炭化水素系材料の酸化反応に使用され、その酸化反応によって水素と炭素酸化物とが生成される。第1反応器では、水を原料としていないため、単一の反応器で炭化水素材料と水とを反応させたときに生じ得る全ての物質(C、HO、CO、CO、H)が同一反応場に存在することはない。したがって、同一反応場に全ての物質(C、HO、CO、CO、H)が存在することに起因する反応平衡の制約を回避できる。
第2反応器では、酸化剤に含まれる酸素成分が酸素キャリアを酸化する。
ところで、第2反応器での反応は、酸素キャリア材の種類にもよるが(酸化剤との酸化還元ポテンシャルの大きさで決まる)、例えばCeOを用いる場合には、発熱反応であり、第2反応器での反応生成物の1つである酸化された酸素キャリアは、発熱反応によって生じた熱を熱容量回収することが可能である。そして、酸素キャリアが第2反応器から第1反応器に向けて循環流動し、第1反応器にて廃熱を吸収した酸素キャリアと炭化水素系材料とを接触させることで、炭化水素系材料の吸熱反応に必要な熱が供給される。また、他のプロセスからの外部からの廃熱も利用できる。すなわち、第1の特徴に係る発明では、酸素キャリアを酸素の輸送源として機能させるだけでなく、熱の輸送源として機能させることも可能であり、これにより、外部から第1反応器に供給する熱量を抑えることが可能である。
逆に、第一反応器で発熱、第二反応器で吸熱となるような材料・酸化剤の組み合わせの場合にも、同様であり、発熱を酸素キャリア材の熱容量として蓄え、その熱を吸熱反応に提供することが可能となる。
加えて、膜反応器ではなく、ケミカルループ式のシステムを採用しているため、膜内の物質移動速度に律されることなく、粒子循環量で酸素移動を制御できるため、大量の炭化水素材料を処理することが可能である。
よって、第1の特徴に係る発明によると、600℃以下の低温廃熱を利用して、炭化水素材料の改質反応を短時間で大量に処理することが可能である。
第2の特徴に係る発明は、酸素キャリアが充填された複数の反応器を備え、前記複数の反応器は、炭化水素系材料又は酸化剤を導入可能に構成され、前記複数の反応器のうち、前記酸素キャリアが酸化された状態にある反応器には、前記炭化水素が導入され、600℃以下で前記炭化水素系材料を酸化させることが可能であり、前記複数の反応器のうち、前記酸素キャリアが還元された状態にある反応器には、前記酸化剤が導入され、前記酸化剤を還元させることが可能であり、前記複数の反応器のそれぞれに充填された前記酸素キャリアの状態によって、前記反応器の導入する材料を前記炭化水素系材料と前記酸化剤との間で切り替え可能である、炭化水素低温改質システムを提供する。
第2の特徴に係る発明によっても、第1の特徴に係る発明と同様に、600℃以下の低温廃熱を利用して、炭化水素材料の改質反応を短時間で大量に処理することが可能である。
第3の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係る発明において、前記酸化剤が水を含むシステムを提供する。
第3の特徴に係る発明によると、炭化水素系材料の水蒸気改質を実現でき、結果として、高純度の水素と、CO(CO)及びHの混合ガスとを回収できる。
第4の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係る発明において、前記酸化剤が二酸化炭素を含むシステムを提供する。
第4の特徴に係る発明によると、炭化水素系材料のCOドライリフォーミングを実現でき、結果として、高純度のCOと、CO(CO)及びHの混合ガスとを回収できる。
第5の特徴に係る発明は、第1又は第2の特徴に係る発明において、前記酸化剤が酸素及び/又は空気を含むシステムを提供する。
第5の特徴に係る発明によると、炭化水素系材料の部分酸化を実現できる。この場合、空気酸化と炭化水素部分酸化とを分離できるため、空気で希釈されない高濃度COと、COとHとを回収できる。
第6の特徴に係る発明は、第1から第6のいずれかの特徴に係る発明における酸素キャリアが、酸化セリウム(CeO)、クロムドープ酸化セリウム(Cr-CeO)、酸化鉄-ジルコニア系複合酸化物(FeOx-ZrO)、酸化鉄(Fe)、酸化インジウム(In)、イットリウム安定化酸化ジルコニウム(YSZ)、酸化スカンジウムドープ酸化ジルコニウム(ScSZ)、酸化スカンジウム(Sc)、酸化ランタンガリウム(LaGaO)、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)、ガドリニウムドープ酸化セリウム(Gd-CeO)、酸化モリブデン(MoO)、酸化マンガン(MnO)、ランタンストロンチウムコバルトフェライト(LSCF)、ランタンストロンチウムフェライト(LSF)、四酸化三コバルト(Co)、酸化コバルトII(CoO)、酸化バナジウム(V)、及びセリア・ジルコニア固溶体からなる群から選択される1種以上を含むシステムを提供する。
炭化水素材料の改質反応において、低温状態では反応速度が小さいことが知られている。反応速度が小さいと、より大きな反応器が必要になるため、低温状態であっても反応速度をできるだけ大きくすることが好ましい。
第6の特徴に係る発明によると、酸素キャリアが特定の材料であり、600℃以下の低温領域であっても酸素キャリアの酸素移動、すなわち、第1反応器における酸素キャリアの還元反応と、第2反応器における酸素キャリアの酸化反応とを実現することができる。これにより、第3の特徴に係る発明によると、メタノール合成あるいはアンモニア合成をはじめとした公知の発熱反応によって生成された低温廃熱を炭化水素材料の改質反応に利用でき得るため、省エネルギー及びCO排出量削減に繋がる。
第7の特徴に係る発明は、第1から第6のいずれかの特徴に係る発明において、前記反応器の内部に前記酸素キャリア及び金属助触媒が共存されている、及び/又は前記酸素キャリアに金属助触媒が担持されているシステムを提供する。
第7の特徴に係る発明によると、金属助触媒の作用によって炭化水素系材料の改質反応をより効率的に進めることができる。
第8の特徴に係る発明は、第1から第7のいずれかの特徴に係る発明における酸素キャリアの平均一次粒子径が1μm以下であるシステムを提供する。
第8の特徴に係る発明によれば、第1反応器での反応物質である炭化水素系材料及び第2反応器での反応物質である酸化剤との暴露表面積(接触可能性)が大きくなるため、酸素キャリアの酸素移動の効率が上がり、低温でも炭化水素材料の改質反応を進められるため、結果として、省エネルギー及びCO排出量削減に繋がる。
第9の特徴に係る発明は、第1から第8のいずれかの特徴に係る発明における酸素キャリアの形状が最も活性な露出面を有する形状であるシステムを提供する。
例えば、CeOの場合、酸素キャリアの形状が略八面体及び/又は略立方体であると、酸素キャリアは、(111)面及び/又は(100)面を主な露出面として有する。酸素キャリアの(100)面は不安定であり、より大きな酸素移動性(酸素貯蔵放出能)を有する。したがって、第9の特徴に係る発明によると、低温でも炭化水素材料から水素への改質反応を進められるため、結果として、省エネルギー及びCO排出量削減に繋がる。
また、例えば、酸素キャリアがFeの場合、最も不安定な、そして最も活性な面は(110)面であり、その面を露出させることで同様の効果が得られる。
第10の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明とのカテゴリー違いに相当する。また、第11の特徴に係る発明は、第2の特徴に係る発明とのカテゴリー違いに相当する。第10及び第11の特徴に係る発明によると、600℃以下の低温廃熱を利用して、炭化水素材料の改質反応を短時間で大量に処理することが可能である。
本発明によると、600℃以下の低温廃熱を利用して、炭化水素材料の改質を短時間で大量に処理することが可能である。
図1は、本実施形態に係る水素製造システム1の構成例である。 図2は、クロムドープ酸化セリウム(Cr-CeO)を合成する際に用いた合成装置30の概略模式図である。 図3は、試験例1における低温域での酸素貯蔵放出能(OSC)の評価の結果を示す図である。 図4は、試験例2におけるドープ量と酸素貯蔵放出能(OSC)との関係を示す図である。 図5は、試験例3におけるセリウム元素の原子カラムと粒子内の酸素空孔形成性との関係を示す図である。 図6は、試験例3におけるセリウム元素のTEM像を示す。 図7は、試験例3におけるセリウム元素の空隙が拡張する割合を示す図である。 図8は、試験例3でのセリウムナノ粒子における格子の拡張が認められる割合と、セリウム原子間に酸素空孔を形成するのに必要なエネルギーとの関係を示す図である。 図9(A)はケミカルルーピングシステムの模式図であり、図9(B)はサイクリックオペレーションプロセスの模式図である。図9(B)は、試験例4で使用したシステムである。 図10は、試験例4における酸素キャリア(CeOナノキューブ)の反応速度評価の結果を示す図である。 図11は、試験例4における酸素キャリア(クロムドープ酸化セリウム(Cr-CeO))の反応速度評価の結果を示す図である。3回繰り返して、再現性及び本酸素キャリアに劣化が生じていないことを示している。 図12は、試験例4における酸素キャリア(クロムドープ酸化セリウム(Cr-CeO))の繰り返し回数と酸素貯蔵放出能(OSC)との関係を示す図である。25回繰り返ししても、その劣化率は10数%程度である。 図13は、試験例4における酸素キャリア(酸化鉄-ジルコニア系複合酸化物(FeOx-ZrO))の反応速度評価の結果を示す図である。20分程度で反応は終了している。 図14は、試験例4における酸素キャリア(パラジウムを担持したCeOナノキューブ)の反応速度評価の結果を示す図である。量論的比率、H:CO=2:1で生成している。 図15は、試験例4における酸素キャリア(パラジウムを担持したCeOナノキューブ)のOSCと反応速度との関係を示す図である。 図16は、試験例5における金属助触媒との複合化による効果を示す図である。 図17は、試験例6において、二酸化炭素と水素の生成量の経時変化を示す図である。 図18は、試験例7において、酸素キャリアがCeOナノキューブであるときのバッチ反応器でのメタン-酸素キャリア反応実験を行ったときの結果を示す図である。 図19は、試験例7において、酸素キャリアが酸化鉄-ジルコニア系複合酸化物(FeOx-ZrO)であるときのバッチ反応器でのメタン-酸素キャリア反応実験を行ったときの結果を示す図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<<炭化水素改質システム>>
本実施形態における改質システム(以下、単に「システム」ともいう。)は、第1反応器と、第2反応器とを備える。システムは、酸素キャリアが第1反応器と第2反応器とを循環流動するケミカルループ式のシステムであってもよいし、ガスを交互に切り替えてスイッチングさせるサイクリックオペレーションシステムであってもよい。
システムの形態は特に限定されず、2塔循環型流動層であってもよいし、固定相反応器をスイッチングオペレーションする形態であってもよい。中でも、炭化水素材料から水素への改質をより大量に処理可能であることから、システムの形態は、2塔循環型流動層であることが好ましい。
以下、一例として、システムがケミカルループ式の2塔循環型流動層接触反応装置である場合について図面を参照しながら説明するが、これに限るものではない。図1は、システム1が2塔循環型流動層接触反応装置である場合におけるシステム1の構成例を示す。システム1は、第1反応器10と、第2反応器20とを備える。
<第1反応器10>
第1反応器10は、第1入口11と第1出口12とを有する。第1入口11からは、炭化水素系材料が供給される。そして、炭化水素系材料が第1入口11から第1出口12に向けて移動するにつれて、炭化水素系材料と、第1反応器10の内部にある酸化された酸素キャリアM(O)とが反応し、還元された酸素キャリアM( )と水素と炭素酸化物とを生成する。そして、水素と炭素酸化物は、第1出口12から排出される。一方、還元された酸素キャリアM( )は、第2反応器20の第2入口21に向けて循環流動する。
簡単のため、炭化水素系材料がメタンである場合で説明すると、第1反応器10では、以下の反応が進行する。
mM(O)+CH→mM( )+2H+CO
上記式において、M(O)は酸化された酸素キャリアを示し、M( )は還元された酸素キャリアを示す。
本実施形態に記載の発明によると、第1反応器10において、炭化水素系材料の酸化反応と、酸素キャリアの還元反応とが起きる。このとき、酸素キャリアの格子酸素が炭化水素系材料の酸化反応に使用され、その酸化反応によって水素と炭素酸化物とが生成される。第1反応器10では、水を原料としていないため、単一の反応器で炭化水素材料と水とを反応させたときに生じ得る全ての物質(C、HO、CO、CO、H)が同一反応場に存在することはない。したがって、同一反応場に全ての物質(C、HO、CO、CO、H)が存在することに起因する反応平衡の制約を回避できる。
〔酸素キャリア〕
本実施形態では、酸素キャリアの酸化還元サイクルを利用する。700℃未満で酸化還元サイクルを実現可能にするため、酸素キャリアは、固体電解質であることが好ましい。
固体電解質は、ナノ粒子サイズに微細化した材料であることが好ましく、長周期型周期表で第IIIB族のホウ素(B)- 第IVB族のケイ素(Si)-第VB族のヒ素(As)-第VIB族のテルル(Te)の線を境界としてその線上にある元素並びにその境界より、長周期型周期表において左側ないし下側にあるものを例示できる。具体的には、第VIII族の元素ではFe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt等、第IB族の元素ではCu、Ag、Au等、第IIB族の元素ではZn、Cd、Hg等、第IIIB族の元素ではB、Al、Ga、In、Tl等、第IVB族の元素ではSi、Ge、Sn、Pb等、第VB族の元素ではAs、Sb、Bi等、第VIB族の元素ではTe、Po等、そして第IA~VIIA族の元素等を例示できる。
酸素キャリアの具体例として、酸化セリウム(CeO)、クロムドープ酸化セリウム(Cr-CeO)、酸化鉄-ジルコニア系複合酸化物(FeOx-ZrO)、酸化鉄(Fe)、酸化インジウム(In)、イットリウム安定化酸化ジルコニウム(YSZ)、酸化スカンジウムドープ酸化ジルコニウム(ScSZ)、酸化スカンジウム(Sc)、酸化ランタンガリウム(LaGaO)、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)、ガドリニウムドープ酸化セリウム(Gd-CeO)、酸化モリブデン(MoO)、酸化マンガン(MnO)、ランタンストロンチウムコバルトフェライト(LSCF)、ランタンストロンチウムフェライト(LSF)、四酸化三コバルト(Co)、酸化コバルトII(CoO)、酸化バナジウム(V)、及びセリア・ジルコニア固溶体からなる群から選択される1種以上を含むことが挙げられる。これらの酸素キャリアを使用すると、メタノール合成あるいはアンモニア合成をはじめとした公知の発熱反応によって生成された低温廃熱を外部から第1反応器10への熱供給源として利用でき得るため、省エネルギー及びCO排出量削減に繋がる。
中でも、酸素キャリアは、酸化セリウム(CeO)、クロムドープ酸化セリウム(Cr-CeO)、酸化鉄-ジルコニア系複合酸化物(FeOx-ZrO)、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)及びランタンストロンチウムコバルトフェライト(LSCF)からなる群から選択される1種以上を含むことが好ましい。
これらの酸素キャリアは、一種単独であってもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
ここで、第1反応器10の内部において、酸素キャリア及び金属助触媒が共存されているか、あるいは酸素キャリアに金属助触媒が担持されていることが好ましい。第1反応器10での反応では、炭化水素系材料からの改質反応として、反応生成物であるHの生成のほか、Hがさらに酸化されてHOが生成する反応も生じる。金属助触媒の存在により、Hを金属に逃がすことができ、HからHOへの酸化を抑制させ、H回収量を増大させることができる。
金属助触媒の種類は特に限定されず、遷移金属、貴金属及びこれらの合金を例示できる。具体的には、Ni、Co、Rh、Pt、FeCo、FeNi、NiCo等を例示できる。
[平均一次粒子径]
酸素キャリアの平均一次粒子径の上限は、特に限定されないが、反応物質との暴露表面積(接触可能性)の最大化、また格子歪による酸素空孔易形成性の観点から、1μm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましく、30nm以下であることがよりさらに好ましく、10nm以下であることが特に好ましい。
酸素キャリアの平均一次粒子径の下限も特に限定されない。一般には、ナノ粒子は、圧粉成型によって二次粒子化され、二次粒子を、サイクリックオペレーション用の充填層リアクターで用いられるか、あるいは循環流動層粒子として用いられる。
本実施形態において、酸素キャリアの平均一次粒子径は、TEM(透過型電子顕微鏡)により酸素キャリア粒子の画像を撮像し、そのTEM像を画像解析・画像計測ソフトウェアにより解析して求めた値であるものとする。
[形状]
酸素キャリアの形状は、低温でのより大きな酸素移動性(OSC)を有することから、最も活性な面を露出させることが必要であり、それによって粒子形状が決まる。最活性面は酸素キャリア材の種類によって異なるが、熱力学的に最も不安定な面であり、その情報は材料データベース等から容易に入手できる。例えばCeOの場合の酸素キャリアの形状は、略立方体であり、(100)面を主な露出面とすることが好ましい。Feの場合、(110)面を主な露出面とするのが好ましい。
一例として、酸素キャリアがCeOのナノ粒子である場合について説明する。CeOのナノ粒子触媒は、八面体又は立方体の形態をとりうる。また、このとき、CeOのナノ粒子触媒は、(111)面、110面 及び/又は(100)面を主な露出面として有する。
ここで、酸素キャリアとしては、粒子表面の30%以上に活性面が露出している金属酸化物ナノ粒子が好ましい。なお、活性面とは、エネルギー的に最も不安定な面であり、CeOでは(100)面である。それにより、低温での酸素移動が可能となる。
CeOナノ粒子の表面における(100)面が露出している割合は、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。なお、CeOナノ粒子の表面における(100)面が露出している割合は、TEMにより測定される。
活性を高めるため、CeOナノ粒子には、遷移元素がドープされていることが好ましい。CeOナノ粒子にドープされる遷移元素としては、Cr、Gd、Zr等を例示できる。中でも、Cr、Gdが好ましい。
CeOナノ粒子における遷移元素のドープ量は、CeOの総質量に対して、0.1mol%以上が好ましく、4mol%以上がより好ましく、10mol%以上がさらに好ましく、15mol%以上がよりさらに好ましく、20mol%以上がいっそう好ましく、25mol%以上が特に好ましい。遷移元素のドープ量は、多ければ多いほどよいが、ドープであるには50mol%までである。
CeOのナノ構造について、6つの(100)面が低インデックスの結晶面の中でも最も大きな表面エネルギーを有することが明らかにされている。この高い表面エネルギーは、セリウムイオン間の架橋位置になる頂部層の酸素の不安定性に起因するものである。この酸素の不安定性によって、有機物の高い転化率が達成されると考えられる。立方体CeOの頂部層の酸素が、温度及び圧力に依存して放出される。この酸素種は、反応物に移動し、これを生成物に分解することが可能である。第1反応器10での反応により、4+価状態のCeは3+価状態のCeへと転化され、不安定になる。Ce3+によってセリア酸素の空位が発生することから、後述する第2反応器での反応では、還元されたセリア表面にて形成された空位が水分子との反応を引き起こし、酸素と結合して4+価状態のCeになる。場合によって、この放出された水素分子は、分解化合物へと移送されて、水素化反応を起こす。
(酸素キャリアの製造方法)
酸素キャリアの製造方法は、特に限定されるものでないが、酸素キャリアが金属酸化物ナノ粒子である場合、例えば、特許第3047110号(当該特許の発明者の一人は本発明者である)に開示されている方法によって製造することができる。
当該文献には、金属塩(IB属金属、IIA属金属、IIB属金属、IIIA属金属、IIIB属金属、IVA属金属、IVB属金属、VA属金属、VB属金属、VIB属金属、VIIB属金属、遷移金属等の金属塩)の水溶液を、水の亜臨界乃至超臨界条件である温度200℃以上、圧力160kg/cmの以上の反応帯域としての流通型反応器に連続的に供給するとともに、この金属塩の水溶液に還元性ガス(例えば水素)或いは酸化性ガス(例えば酸素)を導入することによって、金属酸化物微粒子が製造されることが開示されている。
微粒子の製造法の別法の例として、例えば、特許第3663408号(当該特許の発明者の一人は本願の発明者である)に開示されている方法が挙げられる。
当該文献には、水を加圧手段と加熱手段とを経由させて超臨界状態または亜臨界状態の高温高圧水にし、流体原料を、この高温高圧水と合流させる前に、水の臨界温度よりも低温に冷却し、次いで、高温高圧水と流体原料とを混合部で合流させ混合したのち反応器へ案内する、高温高圧水を用いる微粒子製造方法が開示されている。
また、金属酸化物ナノ粒子は、例えば、特許第3925936号(当該特許の発明者の一人は本願の発明者である)に開示されている方法によって製造後に回収・収集することができる。
当該文献に記載の方法によれば、
(i)高温高圧水を反応場として、金属化合物を水熱反応に付してCeO等の金属酸化物ナノ粒子を形成し、
(ii)高温高圧水を反応場として、金属酸化物ナノ粒子表面と有機修飾剤とを反応せしめ、置換されていてもよいし非置換のものであってよい炭化水素基を共有結合、あるいはエーテル結合、エステル結合、N原子を介した結合、S原子を介した結合、金属-C-の結合、金属-C=の結合及び金属-(C=O)-の結合からなる群から選ばれたものを介してナノ粒子の表面に結合せしめてナノ粒子の表面を有機修飾し、
(iii)(1)水溶液に分散させた金属酸化物ナノ粒子を沈殿させて回収すること、(2)水溶液に分散させた金属酸化物ナノ粒子を有機溶媒中へ移行せしめて回収すること、又は(3)有機溶媒相-水相界面に金属酸化物ナノ粒子を集めることによって、金属酸化物ナノ粒子が得られる。
以下、代表的な酸素キャリアであるCeOのナノ粒子の合成について、説明する。
八面体CeOのナノ粒子は、公知の方法で合成されうる。
立方体CeOのナノ粒子は、(1)トルエン中にて原料溶液を調製すること、(2)有機改質剤を使用し、超臨界水条件下で立方体CeOナノ粒子を合成すること、及び(3)立方体CeO2の形態を変化させずに有機改質剤を除去することを含む方法によって合成される。
具体的には、立方体CeOのナノ粒子の調製は、以下のように行うことができる。これは非限定的な例である。
トルエン中に、有機改質剤としてヘキサン酸及びCe(OH)を溶解させることにより、立方体酸化セリウムのナノ粒子前駆体溶液を調製する。その後、前駆体溶液を、清澄な溶液を得るために連続的に攪拌しつつ混合する。前駆体溶液を、脱イオン水と混合し、炉の使用により600~700Kに急速に加熱する。次いで、その混合物を冷却する。立方体酸化セリウムのナノ粒子が、水、トルエンおよび未反応の原料の混合物中の分散物として得られる。トルエン相中のナノ粒子に、エタノールを加え、遠心分離と傾瀉により精製し、それによって未反応の有機分子を除去する。この粒子をシクロヘキサンの中で分散させた後、真空下で冷凍乾燥する。粒子の表面からいかなる有機配位子も取り除くために、収集したナノ粒子を、空気中で数時間にわたり、300℃程度の高温でか焼する。か焼されたナノ粒子を、遠心分離と傾瀉によって清浄化し、次いで減圧乾燥し、それによって立方体CeOのナノ粒子を得ることができる。
[炭化水素系材料]
炭化水素系材料とは、分子中に炭素と水素とを含む化合物若しくはそれらの混合物をいい、分子中に酸素等、他の元素を含んでいてもよい。炭化水素系材料の例として、炭化水素類、アルコール類、エーテル類、バイオ燃料等が挙げられる。
炭化水素類は、脂環式炭化水素、環式、非環式の脂肪族炭化水素を単一成分又は混合成分として含む材料である。脂環式炭化水素には、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、1,3,5-トリメチルシクロヘキサン等の単環性脂環式化合物、デカリン、メチルデカリン、テトラリン(テトラヒドロナフタレン)、メチルテトラリン等の二環性脂環式化合物、テトラデカヒドロアントラセン等の三環性脂環式化合物、等が含まれる。非環式脂肪族炭化水素には、CHからなるアルカン類(メタン、エタン、プロパン、ブタン等)が含まれる。また、炭化水素類として、天然ガス、LPG(液化石油ガス)、都市ガス、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油等も挙げられる。
アルコール類として、メタノール、エタノール、2-プロパノ-ル等が挙げられる。エーテル類として、ジメチルエーテル等が挙げられる。バイオ燃料として、バイオガス、バイオエタノール、バイオディーゼル、バイオジェット等が挙げられる。
[第1反応器10での反応温度]
反応温度の上限は、特に限定されないが、低温廃熱を利用するため、上限は、600℃以下であることが好ましく、550℃以下であることがより好ましく、500℃以下であることがさらに好ましく、450℃以下であることがよりさらに好ましく、400℃以下であることが特に好ましい。
反応温度の下限は、酸素キャリアが十分な酸素移動性(酸素貯蔵放出能)を有していればよく、低温廃熱を有効に活用する観点からすると、反応温度は、低ければ低いほど好ましい。反応温度の下限の一例として、室温以上、100℃以上、150℃以上、200℃以上、250℃以上等が挙げられる。
[第1反応器10での反応時間]
反応時間の上限は、特に限定されないが、よりいっそうの短縮化を実現するため、反応時間は、50分以下であることが好ましく、33分以下であることがより好ましく、25分以下であることがさらに好ましく、20分以下であることがよりさらに好ましく、10分以下であることが特に好ましい。
反応時間の下限は、特に限定されないが、第1反応器10での反応を確実に進めるため、反応時間は、4分以上であることが好ましく、5分以上であることがより好ましい。
[第1反応器10の材質]
第1反応器10の材質は、特に限定されるものでなく、クロム-モリブデン鋼、ステンレス鋼のような温度耐性の高い材料に限らず、普通鋼であってもよい。
従来、炭化水素材料から水素への反応は、700℃以上の高温状態であることを要し、反応器の材質も、クロム-モリブデン鋼、ステンレス鋼のような温度耐性の高い材料であることを要する。しかしながら、本実施形態に記載の発明では、低温廃熱を利用可能であり、比較的温度耐性の小さな普通鋼も利用可能である。
一般に、温度耐性の高い材料は、材料を製造する際に環境に与える負荷が大きい。例えば、クロムモリブデン鋼及びステンレス鋼の製造のライフサイクル(LC-GHG)における温室効果ガス排出量は、それぞれ、2.42及び4.35kg-CO当量/kg-鋼である(非特許文献2参照)。それに対し、普通鋼の製造のライフサイクル(LC-GHG)における温室効果ガス排出量は、2.11kg-CO当量/kg-鋼にとどまる(非特許文献2参照)。
〔非特許文献2〕Inventory Database for Environmental Analysis (IDEA), TCO2 Co. Ltd., 2017. http://idea-lca.com/?lang=en (accessed 26 December 2018)
第1反応の低温化を実現することで、低温廃熱の利用に加え、第1反応器10の材質見直しによる環境負荷低減も実現でき得る。
〔第2反応器20〕
第2反応器20は、第2入口21と第2出口22とを有する。第2入口21からは酸化剤が供給される。そして、酸化剤が第2入口21から第2出口22に向けて移動するにつれて、酸化剤と、第2反応器20の内部にある還元された酸素キャリアM( )とが反応し、酸化された酸素キャリアM(O)と酸化剤の還元生成物とを生成する。そして、酸化剤の還元生成物は、第2出口22から排出される。一方、酸化された酸素キャリアM(O)は、第1反応器10の第1入口11に向けて循環流動する。
[酸化剤]
酸化剤は、還元された酸素キャリアM( )を酸化可能な材料であれば、特に限定されない。酸化剤の例として、水、二酸化炭素、酸素及び/又は空気等が挙げられる。
(水)
酸化剤が水である場合、第2反応器20において炭化水素系材料の水蒸気改質を実現できる。
簡単のため、炭化水素系材料がメタンである場合で説明すると、第2反応器20では、以下の反応が進行する。
M( )+HO→M(O)+H
上記式において、M( )は還元された酸素キャリアを示し、M(O)は酸化された酸素キャリアを示す。第2反応器20では、還元された酸素キャリアにて形成された空位が水分子との反応を引き起こし、酸素と結合して酸化状態の酸素キャリアになる。そして、放出された水素分子は、分解化合物へと移送されて、水素化反応を起こす。
したがって、第2反応器20の出口から水素が排出されるため、システム全体として、高純度の水素と、CO(CO)及びHの混合ガスとを回収できる。
なお、第2反応器20の内部においてもまた、酸素キャリア及び金属助触媒が共存されているか、あるいは酸素キャリアに金属助触媒が担持されていることが好ましい。金属助触媒の存在により、Hを金属に逃がすことができ、HからHOへの酸化を抑制させ、H回収量を増大させることができる。
(二酸化炭素)
酸化剤が二酸化炭素である場合、第2反応器20において炭化水素系材料のCOドライリフォーミングを実現できる。
したがって、第2反応器20の出口から一酸化炭素が排出されるため、システム全体として、高純度のCOと、CO(CO)及びHの混合ガスとを回収できる。
なお、この場合もまた、酸素キャリア及び金属助触媒が共存されているか、あるいは酸素キャリアに金属助触媒が担持されていることが好ましい。金属助触媒の存在により、COを金属に逃がすことができ、COからCOへの酸化を抑制させ、CO回収量を増大させることができる。
(酸素及び/又は空気)
酸化剤が酸素及び/又は空気である場合、第2反応器20において炭化水素系材料の部分酸化を実現できる。
したがって、システム全体として、空気酸化と炭化水素部分酸化とを分離できるため、空気で希釈されない高濃度COと、COとHとを回収できる。
なお、この場合もまた、酸素キャリア及び金属助触媒が共存されているか、あるいは酸素キャリアに金属助触媒が担持されていることが好ましい。金属助触媒の存在により、COを金属に逃がすことができ、COからCOへの酸化を抑制させ、CO回収量を増大させることができる。
[第2反応器20での反応温度]
第2反応器20では、酸化剤に含まれる酸素成分が酸素キャリアを酸化し、それによって酸化剤の還元生成物が生成する。第2反応器20での反応は発熱反応であり、低温でも好適に反応が進行する。したがって、第2反応器20において、反応温度は特に限定されない。
ところで、第2反応器20での反応は発熱反応であり、第2反応器20での反応生成物の1つである酸化された酸素キャリアM(O)は、発熱反応によって生じた廃熱を回収可能である。そして、酸素キャリアM(O)が第2反応器20から第1反応器10に向けて循環流動し、第1反応器10にて廃熱を吸収した酸素キャリアM(O)と炭化水素系材料とを接触させることで、炭化水素系材料の吸熱反応に必要な熱が供給される。すなわち、本実施形態に記載のシステム1は、酸素キャリアを酸素の輸送源として機能させるだけでなく、熱の輸送源として機能させることも可能であり、これにより、外部から第1反応器10に供給する熱量を抑えることが可能である。
以下、本実施形態での試験例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
<試験例1> 低温域での酸素貯蔵放出能の評価
〔実施例1-1〕 市販の酸化セリウムナノ粒子
酸素キャリアとして、酸化セリウムナノ粒子(一次粒子径:<25nm,製品番号:544841-25G,CAS番号:1306-38-3,アルドリッチ社)を使用した。
そして、CeOナノキューブについて、200℃、250℃、300℃、350℃、400℃、450℃及び500℃のそれぞれについて、酸素貯蔵放出能(OSC)を測定した。結果を図3に示す。なお、OSCとは、単位質量の酸素キャリアに含まれるの酸素のモル数をいう。
ここで、酸素キャリアのOSCは、以下の方法にて測定するものとする。
(1)500℃にて測定系内にHeガスを流す。
(2)500℃にて測定系内にOガスを流し、試料に十分量吸着させる。
(3)500℃にて測定系内にHeガスを流す。
(4)500℃にて測定系内にHガスを流し、試料を還元し吸着Oを取り除く。
(5)500℃にて測定系内にHeガスを流す。
(6)反応温度すなわち検出温度(200℃、250℃、300℃、350℃、400℃、450℃及び500℃)にて測定系内にHeガスを流す(ここまでが前処理である。)
(7)上記検出温度にて、Heガスをキャリアガスとして、Oガスをパルスで測定系内に流す。
(8)流したパルスのOガスが検出器によって検出されなくなるまで、Oガスをパルスで測定系内に流す。
(9)Oガスの全流出量から全検出量を引いた値が、Oガスの全吸着量(cm)として見積もられる。
(10)上記(9)で求めたOガスの全吸着量(cm)と試料の仕込み量(g)からOガスの単位吸着量(cm/g)を算出し、試料1gあたりの酸素モル数を求めてOSCとする。
〔実施例1-2〕 (100)面が露出したCeOナノキューブ
酸素キャリアとして、超臨界法により合成されたヘキサン酸修飾CeOナノキューブ(株式会社アイテック製,CASNo.1306-38-3,平均一次粒子径:10nm±3nm)を使用した。このナノキューブは、酸素移動性(酸素貯蔵放出能)を高めるため、有機修飾剤(本実施例ではヘキサン酸)を用いて(100)面が主な露出面になるように制御されている。そこで、ナノキューブを300℃で2時間燃焼し、ナノキューブから有機修飾剤を除去した。以下では、有機修飾剤除去後の(100)面が露出したCeOをCeOナノキューブという。
そして、酸素キャリアが当該CeOナノキューブであること以外は、実施例1-1と同じ手法にて酸素キャリアのOSCを測定した。結果を図3に示す。
〔実施例1-3〕 クロムドープ酸化セリウム(Cr-CeO
[Cr-CeOの合成]
クロムドープ酸化セリウム(Cr-CeO)は、報告されている流通式超臨界水熱合成法により合成した。Cr-CeOの合成にあたっては、図2に示す装置30を用いた。
装置30は、原料供給部31と、超臨界水供給部32と、原料及び超臨界水を混合する混合部33と、原料及び超臨界水の混合液を冷却し、容器に収容する冷却部34とを備える。
原料供給部31は、原料が収容される原料収容容器31Aと、原料収容容器31Aに収容された原料を混合部33に向かって汲み上げるポンプ31Bとを有する。原料収容容器31Aとポンプ31Bとの間、ポンプ31Bと混合部33との間は、それぞれ配管で接続されている。
原料収容容器31Aには、0.010mol/lのCe(OH)/Cr(OH)(Ce:Cr=9:1(モル比))を含有する水溶液が収容されている。また、ナノ粒子の表面を修飾し、それらの異方性成長を誘導するため、原料収容容器31Aには、0.13gのデカン酸も収容されている。
超臨界水供給部32は、水が収容される水収容容器32Aと、水収容容器32Aに収容された水を混合部33に向かって汲み上げるポンプ32Bと、ポンプ32Bと混合部33との間に設けられ、水を超臨界状態にする加熱部32Cとを有する。水収容容器32Aとポンプ32Bとの間、ポンプ32Bと加熱部32Cとの間、加熱部32Cと混合部33との間は、それぞれ配管で接続されている。
本実施例では、水を超臨界状態にし、その後、超臨界水を混合部33に供給するため、原料と水との混合物を徐々に加熱して最終的に超臨界状態にするのではなく、原料に超臨界水を直接接触させることで、極めて短時間、混合の速度で原料を超臨界状態にまで昇温させることで、昇温中の粒子生成、成長を抑制し、超臨界場での高い過飽和度でナノ粒子を合成することができる。
混合部33では、温度及び圧力を制御可能である。
本実施例では、超臨界水供給部32にて予め加熱した超臨界水を、原料収容容器31Aに設けられた配管とは別の別配管から混合部33に供給し、原料と超臨界水とを急速混合させることで、原料を超臨界状態にまで昇温した。原料には有機分子であるデカン酸が含まれているにも関わらず、超臨界状態では有機分子も無機水溶液も均一相を形成し、そこで粒子合成が生じる。混合部33における反応管出口では、冷却部34に設けられた外部水冷装置34Aにより急速冷却し、圧力はその後背圧弁(図示せず)により制御した。混合部33での反応温度は400℃、反応圧力は30MPa、反応時間は2秒以下であった。水熱反応後、反応後液が収容された容器34Bを水浴中室温で冷却した。5mlのヘキサンを用い、デカン酸変性生成物からナノ粒子(ヘキサン相)を抽出した。そして、ヘキサン相に、貧溶媒試薬として10mlのエタノールを添加し、ヘキサン相から沈殿物を沈殿させた。そして、遠心分離を行い、立方晶CrドープCeOナノ粒子を得た。
この非平衡系の合成法により、通常の低速昇温でのオートクレーブによる平衡系合成では数mol%しかドープできないCrを、数10mol%まで増大させることができた。
[OSCの測定]
酸素キャリアが上記の立方晶CrドープCeOナノ粒子であること以外は、実施例1-1と同じ手法にて酸素キャリアのOSCを測定した。結果を図3に示す。
〔実施例1-4〕 酸化鉄-ジルコニア系複合酸化物(FeOx-ZrO
[FeOx-ZrOの合成]
酸素キャリアが酸化鉄-ジルコニア系複合酸化物(FeOx-ZrO)である場合についても、図2と同様の流通系のシステムで合成した。FeSO・7HO(0.45M)及びZrO(NO・2HO(0.18M)を含有する水溶液を室温で供給し、もう一方の流路から超臨界水を供給し、急速昇温反応させた。反応温度は400℃、反応圧力は30MPa、反応時間は2秒以下であった。
得られたナノ粒子を回収し、脱イオン化された純水を用いて遠心分離とデカンテーションのサイクルを3回繰り返すことで、ナノ粒子を洗浄した。その後、回収物を48時間かけて凍結乾燥し、FeOx-ZrOを得た。
[OSCの測定]
酸素キャリアが上記の酸化鉄-ジルコニア系複合酸化物粒子であること以外は、実施例1-1と同じ手法にて酸素キャリアのOSCを測定した。結果を図3に示す。
〔結果〕
図3は、試験例1における低温域での酸素貯蔵放出能(OSC)の評価の結果を示す図である。実施例1-1の市販のCeOと比較すると、露出面制御酸化セリウム(実施例1-2)はより高く、Crドープ酸化セリウム(実施例1-3)はさらに高く、鉄ジルコニア(実施例1-4)では、4桁近くも高い値を示している。
また、いずれの酸素キャリアについても、400℃以上の温度領域で10μmol-O/g-catを超えるOSCを有することが確認された。特に、実施例1-2~1-4については、200℃であっても10μmol-O/g-catを超えるOSCを有することが確認された。
また、250℃以上の温度領域において、FeOx-ZrOが特にOSCに優れ、次いで、クロムドープ酸化セリウム(Cr-CeO)、CeOナノキューブの順に優れることが確認された。
酸素移動度は、結晶格子の歪みと関係しており、CeOにCrがドープされたことで格子歪ができ酸素空孔を作りやすくする。これがクロムドープにより、ドープされていないCeOよりも大きな酸素移動度が得られた理由と推察される。
そして、CeOと比較して、マグネタイト構造のFeの2価と3価との間の遷移はより生じやすいことが知られており、還元場では0価にまで還元される。これは、自動車触媒開発においても見出されていたが、さらに、Zrのドープにより、より酸素空孔が生じやすくなっているものと推察される。
以上の結果から、実施例の酸素キャリアは、いずれも、600℃以下の低温廃熱レベルでも十分なOSCが得られるといえる。
<試験例2> ドープ量とOSCとの関係
〔試験方法〕
実施例1-3と同様の手法にて、Crのドープ量が7mol%、23mol%、29mol%、30mol%であるCr-CeOを合成した。
これら4種類のCr-CeOについて、300℃、400℃及び500℃のそれぞれについて、酸素貯蔵放出能(OSC)を測定した。結果を図4に示す。
〔結果〕
図4より、試験例2で用いられた酸素キャリアは、いずれも、600℃以下の低温廃熱レベルでも十分なOSCが得られるといえる。また、図4より、CrのCeOへのドープ量が多いほど、より大きな酸素移動度が得られることが確認された。図3に示すように、露出面制御CeOは、市販のものと比較して、低温でも高いOSCすなわち酸素移動度がえられた。図4におけるCr0%の縦軸上の点は、実施例1-3の結果を示す。CrのDopeにより、非常に高いOSCを得ることができる。なお、通常のオートクレーブによる、バッチ型の反応装置では、CrのDope量は数%であった。しかし、流通型急速昇温合成法による非平衡系合成法によれば、数10%もの高いDope率を達成できた。これにより、非常に高いOSCが得られた。
<試験例3> 酸素キャリアにおける平均一次粒子径と粒子内の酸素空孔形成性との関係
〔試験方法〕
実施例1-2で用いたCeOナノキューブについて、TEM(透過型電子顕微鏡)により酸素キャリア粒子の画像を撮像し、そのTEM像を画像解析・画像計測ソフトウェアにより解析することで、平均一次粒子径と粒子内の酸素空孔形成性との関係を調べた。結果を図5~図8に示す。
〔結果〕
図5は、上段から平均一次粒子径が11nm、10nm、9nm、8nm、7nm、6nm、5nmであるときのセリウム元素の原子カラム(横軸)と、Ce3+/(Ce3++Ce4+)、すなわち粒子内の酸素空孔形成性(縦軸)との関係を示す。図5によると、平均一次粒子径が11nmである場合、表面付近で酸素欠陥が現れているのに対し、平均一次粒子径が小さくなればなるほど、セリウム元素の中心にまで酸素欠陥が現れていることが分かる。セリウム元素の内部にまで酸素空孔が広がることは、酸素原子が移動しており、ナノ粒子表面だけでなく、粒子全域の酸素が使えていることを意味する。これにより、酸素キャリアの平均一次粒子径が小さいほど、反応物質との暴露表面積(接触可能性)の最大化と、格子歪による酸素空孔易形成性とを実現できるといえる。そして、高いOSCが得られた要因がここに見られる。
図6(A)は、試験例3におけるセリウム元素のTEM像を示す。図12(B)は、原子間の歪を示す。明るく見えている部分は大きな歪を持っている部分である。
図6の(A)のうち、左の画像は、平均一次粒子径が11nmであるセリウム元素のTEM像であり、右の画像は平均一次粒子径が6nmであるセリウム元素のTEM像である。左右それぞれのTEM像にある点がセリウム原子を示し、4つのセリウム原子に囲まれた領域が分子内に酸素を取り込み得る領域である。
図6の(B)は、図6の(A)で示したTEM像を解析し、セリウム原子間の歪みを可視化したものである。色がグレーである場合(数値が0に近い色である場合)、原子間の歪みが小さいことを示す。そして、色が薄いほど(白色に近いほど)、原子間の空隙が拡張し、空隙に酸素を取り込み易い状態にあることを示す。他方、色が濃いほど(黒色に近いほど)、原子間の空隙が縮んでおり、空隙に酸素を取り込みづらい状態にあることを示す。図6(B)によると、平均一次粒子径が11nmであるセリウムナノ粒子では、粒子の表面では原子間の空隙の拡張が認められる一方、粒子の中心では原子間の空隙の拡張がほとんど認められない。他方、平均一次粒子径が6nmであるセリウムナノ粒子では、粒子の全体で原子間の空隙の拡張が認められる。これにより、酸素キャリアの平均一次粒子径が小さいほど、格子歪による酸素空孔易形成性を実現できるといえる。
図7は、図6の(A)で示したTEM像について、セリウム元素の左から右に向かうときの格子が拡張する割合を示す。図7の(A)は、平均一次粒子径が11nmであるセリウム元素についての状態であり、図7の(B)は、平均一次粒子径が6nmであるセリウム元素についての状態である。図7からも、酸素キャリアの平均一次粒子径が小さいほど、原子間における格子の拡張が認められ、格子歪による酸素空孔易形成性を実現できることが裏付けられる。
図8は、セリウムナノ粒子における格子の拡張が認められる割合と、セリウム原子間に酸素空孔を形成するのに必要なエネルギーとの関係を示した図である。図8によると、格子の拡張が認められる割合が大きい粒子ほど、セリウム原子間に酸素空孔を形成するのに必要なエネルギーが小さいことが分かる。したがって、酸素キャリアの平均一次粒子径が小さく、セリウム原子間における格子の拡張が元素全体に広く認められるほど、セリウム原子間に酸素空孔を形成し易いといえる。これが、図3及び図4で極めて高いOSCが得られた要因である。
図5及び図6で確認できた歪ができれば、酸素空孔を作りやすいこと酸素が移動しやすいことを示しており、図3及び図4で示した高いOSCが得られたのは、露出面制御されたナノサイズの粒子が、さらに小さくなることで粒子内全体に歪が生じ、それにより酸素移動が促進されたからであることがわかる。
<試験例4> 酸素キャリアの反応速度評価
図9の(B)に示すように、第1反応器R1と、第2反応器R1とを備え、ガスを交互に切り替えてスイッチングさせるサイクリックオペレーションシステムを使用して、図9の(A)に示すケミカルループ反応を模して酸素キャリアの反応速度を評価した。
〔実施例4-1〕 酸素キャリアがCeOナノキューブの場合
2つの反応器R1,R2に、酸素キャリアとして、実施例1-2で使用したCeOナノキューブを充填させた。反応器R1,R2は、CH又は水を導入可能に構成され、酸素キャリアが酸化された状態にある反応器では、CHを導入してCHを酸化させつつ、酸化された酸素キャリアを還元させる第1反応工程を行った。他方、酸素キャリアが還元された状態にある反応器には、水を導入し、還元された酸素キャリアを酸化させつつ、水を還元させる第2反応工程を行った。2つの反応器R1,R2のそれぞれに充填された酸素キャリアの状態によって、反応器R1,R2に導入する材料をCHと水との間で交互に切り替えた。そして、反応温度は、400℃及び350℃の2種類としてCO生成量の経時変化を測定した。結果を図10に示す。
反応器R1,R2にCHを流すと、COが生成し、CeOの還元とともにその生成量が低下する。この反応は20~30分で終了することから、反応温度が400℃及び350℃と低温領域であるにも関わらず、CeOの酸素移動がこの程度の短い時間で終了することが分かる。
〔実施例4-2〕 酸素キャリアがクロムドープ酸化セリウム(Cr-CeO)の場合
酸素キャリアを実施例1-3で使用したクロムドープ酸化セリウム(Cr-CeO)とし、反応温度を300℃として、実施例4-1と同様の手法にてCO生成量の経時変化を測定した。さらに、この測定を25回繰り返した。結果を図11及び図12に示す。
図11によると、酸素キャリアがクロムドープ酸化セリウム(Cr-CeO)であると、反応温度が300℃と実施例4-1よりもさらに低温領域であるにも関わらず、20~30分程度で反応が終了することが確認された。また、3回繰り返した場合であっても、クロムドープ酸化セリウム(Cr-CeO)の活性が維持された。
図12は、繰り返しの回数と、OSCの安定性とを示す。初回に得られたOSC量を100%にしたとき、5回の繰り返し後には約95%、10回の繰り返し後には約90%、15回の繰り返し後には約86%、20回の繰り返し後には約84%、25回の繰り返し後には約80%のOSCを得ることができた。
〔実施例4-3〕 酸素キャリアが酸化鉄-ジルコニア系複合酸化物(FeOx-ZrO)の場合
酸素キャリアを実施例1-4で使用した酸化鉄-ジルコニア系複合酸化物(FeOx-ZrO)とし、反応温度を500℃として、実施例4-1と同様の手法にてCO生成量の経時変化を測定した。結果を図13に示す。
酸素キャリアが酸化鉄-ジルコニア系複合酸化物(FeOx-ZrO)である場合についても、20分程度と極めて短時間で反応が終了することが確認された。
〔実施例4-4〕 酸素キャリアが助触媒を担持した酸化セリウム(CeO)の場合
実施例1-1で使用した酸化セリウム(CeO)100質量部に対し、助触媒として0.1質量部のPdを担持させた。そして、Pd担持CeOを酸素キャリアとして、反応温度を400℃として、実施例4-1と同様の手法にてCO生成量の経時変化を測定するとともに、H生成量の経時変化も測定した。結果を図14に示す。
図14によると、酸素キャリアがPd担持CeOである場合についても、20分程度と極めて短時間で反応が終了することが確認された。また、CO生成量に対するH生成量の割合が2.22であり、量論比に近いHを生成することが確認された。
また、これらのCO生成量からCeO中の酸素の消費量が計算できる。初めに酸化状態にありOSC分の酸素が蓄積されている。その酸素の消費積分量とOSC分とから、反応時間のそれぞれについてOSC転化率Xを評価できる。この変化速度dX/dtは反応速度であり、酸素残存率(1-X)と反応速度との関係を調べた。図15(A)は、固体側(酸素キャリア側)における反応速度を示す図である。横軸は、1-X[-]、縦軸はdX/dtである。なお、Xは、OSC転化率である。COの濃度は、CO発生速度をガス流速で割ったものであるから、気体側、メタンの反応速度も評価できる。図15(B)は、気体側(メタンの分解反応側)における反応速度を示す図である。横軸は、1-X[-]、縦軸はCH消費速度[μmol/min]である。
図15により、固体側(酸素キャリア側)であるか気体側(メタンの分解反応側)であるかによらず、酸素キャリア濃度が低くなるにつれ、反応速度が低下することを確認できた。
<試験例5> 金属助触媒との複合化による効果
〔実施例5-1〕 酸素キャリアが酸化セリウム(CeO)の場合
実施例1-1で使用した酸化セリウム(CeO)を酸化状態にし、1台の反応器に充填した。そして、CHを導入し、300℃でCHを酸化させ、二酸化炭素及び水素の生成量の経時変化を測定した。その際、反応圧力は、0.15MPaであった。結果を図16(A)に示す。
〔実施例5-2〕 酸素キャリアが助触媒を担持した酸化セリウム(CeO)の場合
実施例1-1で使用した酸化セリウム(CeO)100質量部に対し、助触媒として10質量部のNiを担持させた。そして、Ni担持CeOを酸素キャリアとして、実施例5-1と同様の手法にて二酸化炭素及び水素の生成量の経時変化を測定した。結果を図16(B)に示す。
〔結果〕
実施例5-1に関し、CeOとの反応で、理論的には、HがCOに対して2倍の量で生成するはずであるところ、H生成量がCOの生成量よりも少ない。その理由は、生成したHが燃焼し、HOになったためと推察される。
それに対し、酸素キャリアに金属助触媒が担持されていると、Hが遥かに多く生成される(実施例5-2)。理由として、金属助触媒の存在により、Hを金属に逃がすことができ、HからHOへの酸化を抑制させ、H回収量を増大させたためと推察される。
<試験例6> 反応圧力とガス生成量との関係
実施例5-2で用いたNi担持CeOを酸素キャリアとし、反応圧力を0.15MPa、0.3MPa、0.6MPa、0.9MPaの4種類として、実施例5-1と同様の手法にて二酸化炭素及び水素の生成量の経時変化を測定した。反応時間はそれぞれ20分であった。結果を図17に示す。
図17より、二酸化炭素及び水素の生成量、すなわちメタンと酸素キャリア間の反応速度が、メタン濃度(圧力)に対し1次で増大することを確認できた。
<試験例7> バッチ反応器でのメタン-酸素キャリア反応実験
〔試験例7-1〕 酸素キャリアが酸化セリウム(CeO)の場合
[CO生成]
実施例1-1で使用した酸化セリウム(CeO)を酸化状態にし、1台の反応器に充填した。そして、CHを導入し、300℃でCHを酸化させ、二酸化炭素の生成量の経時変化を測定した。その際、反応圧力は、0.6MPaであった。結果を図18(A)に示す。
[H生成]
実施例1-1で使用した酸化セリウムを還元状態にし、1台の反応器に充填した。そして、水蒸気を導入し、300℃で還元状態の酸化セリウムを酸化させ、水素の生成量の経時変化を測定した。その際、反応圧力は、8MPaであった。結果を図18(B)に示す。
〔試験例7-2〕 酸素キャリアが酸化鉄-ジルコニア系複合酸化物(FeOx-ZrO)の場合
[CO生成]
実施例4-3で使用した酸化鉄-ジルコニア系複合酸化物(FeOx-ZrO)を酸化状態にし、1台の反応器に充填した。そして、CHを導入し、400℃でCHを酸化させ、二酸化炭素の生成量の経時変化を測定した。その際、反応圧力は、0.6MPaであった。結果を図19(A)に示す。
[H生成]
実施例4-3で使用した酸化鉄-ジルコニア系複合酸化物を還元状態にし、1台の反応器に充填した。そして、水蒸気を導入し、400℃で還元状態の複合酸化物を酸化させ、水素の生成量の経時変化を測定した。その際、反応圧力は、8MPaであった。結果を図19(B)に示す。
〔結果〕
酸素キャリアが酸化セリウム(CeO)の場合、CHから二酸化炭素の生成反応における反応速度定数kは、0.060[min-1]であり、水蒸気から水素の生成反応における反応速度定数kは、0.044[min-1]であった。それに対し、酸素キャリアが酸化鉄-ジルコニア系複合酸化物の場合、CHから二酸化炭素の生成反応における反応速度定数kは、0.07[min-1]であり、水蒸気から水素の生成反応における反応速度定数kは、0.135[min-1]であった。このことからも、本反応系において、酸化鉄-ジルコニア系複合酸化物が酸素キャリアとして特に優れることが裏付けられる。
1 炭化水素低温改質システム
10 第1反応器
11 第1入口
12 第1出口
20 第2反応器
21 第2入口
22 第2出口

Claims (10)

  1. 酸化された酸素キャリアと炭化水素系材料とを、反応温度を550℃以下とし、反応時間を4分以上50分以下として反応させ、水素と炭素酸化物とを生成する第1反応器と、
    元された酸素キャリアと酸化剤とを反応させ、前記酸化された酸素キャリアを生成する第2反応器とを備え、
    前記酸素キャリアの一次粒子の平均粒子径が30nm以下であり、
    前記第2反応器での反応生成物の1つである前記酸化された酸素キャリアが前記第2反応器での反応熱を回収し、当該酸素キャリアが前記第2反応器から前記第1反応器に向けて循環流動し、前記第1反応器にて前記反応熱を回収した前記酸化された酸素キャリアと前記炭化水素系材料とを接触させることで、前記酸素キャリアを酸素の輸送源として機能させるだけでなく、熱の輸送源としても機能させる、
    ケミカルループ式炭化水素低温改質システム。
  2. 酸素キャリアが充填された複数の反応器を備え、
    前記複数の反応器は、炭化水素系材料又は酸化剤を導入可能に構成され、
    前記複数の反応器のうち、前記酸素キャリアが酸化された状態にある反応器には、前記炭化水素が導入され、反応温度を550℃以下とし、反応時間を4分以上50分以下として前記炭化水素系材料を酸化させることが可能であり、
    前記複数の反応器のうち、前記酸素キャリアが還元された状態にある反応器には、前記酸化剤が導入され、前記酸化剤を還元させることが可能であり、
    前記酸素キャリアの一次粒子の平均粒子径が30nm以下であり、
    前記複数の反応器のそれぞれに充填された前記酸素キャリアの状態によって、前記反応器に導入する材料を前記炭化水素系材料と前記酸化剤との間で切り替え可能であり、
    前記反応器に導入する材料が前記酸化剤であり、前記酸素キャリアが還元された状態にある反応器での反応生成物の1つである前記酸化された酸素キャリアが当該反応器での反応熱を回収し、前記酸素キャリアが酸化された状態にあり、前記反応器に導入する材料を前記酸化剤から前記炭化水素系材料に切り替えられた反応器にて前記反応熱を回収した前記酸化された酸素キャリアと前記炭化水素系材料とを接触させることで、前記酸素キャリアを酸素の輸送源として機能させるだけでなく、熱の輸送源としても機能させる、
    炭化水素低温改質システム。
  3. 前記酸化剤が水を含む、請求項1又は2に記載のシステム。
  4. 前記酸化剤が二酸化炭素を含む、請求項1又は2に記載のシステム。
  5. 前記酸化剤が酸素及び/又は空気を含む、請求項1又は2に記載のシステム。
  6. 前記酸素キャリアは、酸化セリウム(CeO)、クロムドープ酸化セリウム(Cr-CeO)、酸化鉄-ジルコニア系複合酸化物(FeOx-ZrO)、酸化鉄(Fe)、酸化インジウム(In)、イットリウム安定化酸化ジルコニウム(YSZ)、酸化スカンジウムドープ酸化ジルコニウム(ScSZ)、酸化スカンジウム(Sc)、酸化ランタンガリウム(LaGaO)、ランタンストロンチウムマンガナイト(LSM)、ガドリニウムドープ酸化セリウム(Gd-CeO)、酸化モリブデン(MoO)、酸化マンガン(MnO)、ランタンストロンチウムコバルトフェライト(LSCF)、ランタンストロンチウムフェライト(LSF)、四酸化三コバルト(Co)、酸化コバルトII(CoO)、酸化バナジウム(V)、及びセリア・ジルコニア固溶体からなる群から選択される1種以上を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のシステム。
  7. 前記反応器の内部に前記酸素キャリア及び金属助触媒が共存されている、及び/又は前記酸素キャリアに金属助触媒が担持されている、請求項1からのいずれか1項に記載のシステム。
  8. 前記酸素キャリアの形状が最も活性な露出面を有する形状である、請求項1からのいずれか1項に記載のシステム。
  9. 酸化された酸素キャリアと炭化水素系材料とを、反応温度を550℃以下とし、反応時間を4分以上50分以下として反応させ、水素と炭素酸化物とを生成する第1反応工程と、
    元された酸素キャリアと酸化剤とを反応させ、前記酸化された酸素キャリアを生成する第2反応工程とを含み、
    前記酸素キャリアの一次粒子の平均粒子径が30nm以下であり、
    前記第2反応工程での反応生成物の1つである前記酸化された酸素キャリアが前記第2反応工程での反応熱を回収し、当該酸素キャリアが前記第2反応工程での反応器から前記第1反応工程での反応器に向けて循環流動し、前記第1反応工程にて前記反応熱を回収した前記酸化された酸素キャリアと前記炭化水素系材料とを接触させることで、前記酸素キャリアを酸素の輸送源として機能させるだけでなく、熱の輸送源としても機能させる、水素及び/又は合成ガスの低温での製造方法。
  10. 酸素キャリアが充填された複数の反応器を備え、
    前記複数の反応器は、炭化水素系材料又は酸化剤を導入可能に構成され、
    前記複数の反応器のうち、前記酸素キャリアが酸化された状態にある反応器では、前記炭化水素を導入し、反応温度を550℃以下とし、反応時間を4分以上50分以下として前記炭化水素系材料を酸化させる第1反応工程を行い、
    前記複数の反応器のうち、前記酸素キャリアが還元された状態にある反応器には、前記酸化剤が導入され、前記酸化剤を還元させる第2反応工程を行い、
    前記酸素キャリアの一次粒子の平均粒子径が30nm以下であり、
    前記複数の反応器のそれぞれに充填された前記酸素キャリアの状態によって、前記反応器導入する材料を前記炭化水素系材料と前記酸化剤との間で切り替える切替工程を含み、
    前記第2反応工程での反応生成物の1つである前記酸化された酸素キャリアが前記第2反応工程で反応熱を回収し、前記反応器に導入する材料を前記酸化剤から前記炭化水素系材料に切り替え、当該切り替え後、前記第1反応工程として、前記反応熱を回収した前記酸化された酸素キャリアと前記炭化水素系材料とを接触させることで、前記酸素キャリアを酸素の輸送源として機能させるだけでなく、熱の輸送源としても機能させる、水素及び/又は合成ガスの低温での製造方法。
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