JP7450435B2 - 高周波電源システム - Google Patents
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Description
本開示は、このような状況に鑑みて、第1周波数が原因となる反射波を簡単な出力周波数の制御によって低減することを可能にする技術を提案する。
本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではないことを理解する必要がある。
第1の実施形態は、進行波電圧Vfと反射波電圧Vrの位相差を検出し、その位相差に基づいて電圧制御発振器における周波数シフト量を演算し、電圧制御発振器から出力される高周波信号の周波数を制御する電源供給システムについて提案する。
図1は、本実施形態による電源供給システム(高周波電源システムとも言う)1にプラズマ負荷2を接続した状態を示す図である。電源供給システム1は、電圧制御発振器(VCO:第1発振器)101、第1増幅器102、方向性結合器103、インピーダンス整合器(第1整合器)104、位相差検出器105、周波数制御器106、反射レベル計測器107、周波数検出器108、モータ制御処理部109、およびモータ群110を含むソース電源(高周波出力を供給)と、バイアス用発振器(第2発振器)201、第2増幅器202、および第2整合器203を含むバイアス電源(低周波出力を供給)と、を備え、ソース電源10から出力する進行波電力(ソース電力)、およびバイアス電源20から出力する進行波電力(バイアス電力)を重畳(例)してプラズマ負荷2に供給するシステムである。
なお、本実施形態では、電圧制御発振器101から出力する高周波信号の周波数は、40.68MHzを中心周波数としている。この電圧制御発振器101から出力する高周波信号の中心周波数は、40.68MHzに限定されるものではなく、例えば13.56MHz、27.12MHz等の工業用のRF帯(Radio Frequency)の周波数であってもよい。
また、本実施形態では、バイアス用発振器から出力する信号の周波数は、周波数400kHzであるが、この周波数に限定されるものではない。
なお、第1増幅器102から出力される高周波出力は、所謂、進行波電力Pfであり、その電圧成分は進行波電圧Vfである。また、プラズマ負荷2側から反射される反射波電力Prの電圧成分は、反射波電圧Vrである。また、第1増幅器102から出力される進行波電力Pf(進行波電圧Vf)の周波数である出力周波数は、電圧制御発振器101は発振周波数によって定まる。そのため、出力周波数も所定の範囲で変更することができるようになっている。そして、後述するインピーダンス整合器(第1整合器)104におけるインピーダンス整合とは別に、第1増幅器102の出力周波数を変更することによって、プラズマ負荷2側のインピーダンスを調整し、反射波電力Prを低減することが可能となる。
なお、方向性結合器103から出力される進行波電圧Vfおよび反射波電圧Vrは、実際には、進行波電圧Vfの検出信号及び反射波電圧Vrの検出信号であるが、説明を簡略化するために、以降では、単に進行波電圧Vf及び反射波電圧Vrとして説明する。
図2は、位相差検出器105の内部構成例を示す図である。図2に示されるように、位相差検出器105は、進行波電圧Vfの振幅を一定範囲内に制限する第1リミッタ回路1051と、反射波電圧Vrの振幅を一定範囲内に制限する第2リミッタ回路1052と、第1および第2リミッタ回路1051および1052によって振幅が制限された進行波電圧Vfと反射波電圧Vrとを乗算する乗算器1053と、乗算器1053による乗算結果から遮断周波数よりも高い周波数成分を遮断するローパスフィルタLPF1054と、進行波電圧Vfと反射波電圧Vrの位相差を演算する演算部1055と、を備える。
ここで、進行波電圧Vfの振幅をA、角周波数をω、時間をtとし、反射波電圧Vrの振幅をB、角周波数をω、時間をtとし、進行波電圧Vfと反射波電圧Vrとの位相差をφとすると、Vf=A・cos(ω・t)、Vr=B・cos(ω・t+φ)と表すことができる。このとき、ローパスフィルタLPF1054の出力sはs=cosφとなるため、演算部1055において、位相差φはφ=arccos(s)により演算される。
また、進行波電圧Vfの位相角をφf、反射波電圧Vrの位相角をφrとすると、位相差φ=φr-φfで演算することもできる。
この図3を用いて進行波電圧Vfと反射波電圧Vrの位相差φをゼロにするための説明を行う。
図3に示す例では、矢印で示される位相差φが、現時点での進行波電圧Vfと反射波電圧Vrとの位相差φであるとする。なお、位相差φは、反射係数Γを絶対値と位相角で表したときの位相角と対応関係を有する。
図3に示す例では、矢印で示される位相差φが抵抗軸よりも上方にあるため、負荷側インピーダンスが誘導性を示す。このような場合、ソース電源の出力周波数が共振周波数よりも高い領域であるので、ソース電源の出力周波数を低くすることによって、共振周波数に近づけることが可能となる。すなわち、位相差φに対応する周波数だけソース電源の出力周波数を補正することによって、ソース電源の出力周波数を共振周波数に近づけて位相差φ=0の状態にすることができる。図3に示す例では、位相差φが正(プラス)であるため、周波数補正量Δfは負(マイナス)の値となる。
つまり、周波数制御器106は、進行波電圧Vfと反射波電圧Vrとの位相差φの符号(±)に基づいて、発振周波数の増減制御を実行する。
なお、周波数補正量Δfは、例えば、位相差φに対応する周波数にすることができる。この場合は、対応する周波数を予め実験やシミュレーションによって求めておけばよい。もちろん、周波数補正量Δfは、位相差φに対応する周波数よりも小さな周波数にすることもできる。
プラズマ負荷2においてプラズマが生成されている際、バイアス電源からプラズマ負荷2に供給される進行波電力の影響を受けて、プラズマシースの厚みがバイアス電源の出力周波数に対応した周波数(例えば、バイアス電源の出力周波数と同じ周波数400kHz)で周期的に変動する。
そのためには、上記の変動の周期よりも速い周期で、位相差φを監視すると共に、ソース電源の出力周波数を制御する必要がある。例えば、バイアス電源の出力周波数が400kHzである場合、少なくとも数倍、好ましくは10倍以上の周波数(4MHz以上)に相当する周期でソース電源の出力周波数を制御すればよい。
このように、ソース電源の出力周波数は高速に変更可能なので、バイアス電源からプラズマ負荷2に供給される進行波電力に起因する上記の反射波電力の変動を低減することができる。
また、周波数検出器108は、プラズマ負荷2に供給されている進行波電圧Vfの周波数値(=ソース電源の出力周波数)を検出し、モータ制御処理部109に出力する。
なお、周波数検出器108で検出する周波数値は必ずしも必要ではなく、インピーダンス整合器104におけるインピーダンス整合動作に周波数値が必要な場合に用いればよい。そのため、周波数値が不要な場合は、周波数検出器108は必ずしも必要ではない。
上述のように、モータ制御処理部109は、反射レベル計測器107からの反射レベル量と、周波数検出器108からの進行波電力周波数値とに基づいて、インピーダンス値が適正値(例えば、50Ω)になるようにモータ群110に含まれる各モータ(例えば、モータM1からM3)の回転制御量を決定し、各モータを制御する。当該モータ制御については、例えば、次のような方法が考えられる。
複数のモータ(モータM1からM3)を同時に、例えば予め決められた所定量動かし(回転させ)、動かしたときのそれぞれの反射波電力レベルを反射レベル計測器107でモニタし、反射波電力レベルが最小値になったときのモータの回転量を採用する。その後、各モータを順番に所定量ずつ動かして(例えば、モータM1、モータM2、モータM3の順で動かす)、それぞれにおいて反射波電力レベルが最小となる回転量を採用する。
複数のモータ(モータM1からM3)を予め決めた順番で、例えば、予め決められた所定量ずつ動かし(回転させる)、それぞれで反射波電力レベルが最小となる各モータの位置(回転量)で止める。その後、反射波電力レベルを反射レベル計測器107で計測し、その値が所定の閾値(反射波電力レベルが許容される範囲にあるかみるための閾値)以下となったか否か判断し、当該閾値より大きいと判断した場合は、最初からモータ回転量制御を実行する(モータM1からM3を順番に動かして反射波電力レベルを確認する動作が再度実行される)。
複数のモータ(モータM1からM3)の任意の組み合わせ(例えば、M1とM2、M2とM3、M3とM1)でそれぞれ反射波電力レベルが最小となる各組み合わせのモータの位置(回転量)で止める。そして、全体の反射波電力が所定の閾値以下となったか否か判断し、当該閾値より大きいと判断した場合は、最初からモータ回転量制御を実行する(モータM1からM3の任意の組み合わせで反射波電力レベルを確認する動作が再度実行される)。
第1の実施形態によれば、位相差検出器105を設け、進行波電圧Vfと反射波電圧Vrの位相差φを検出し、当該位相差φを目標値(好ましくはゼロ)に近づけるように前記ソース電源の出力周波数を増減制御する。このようにすることにより、負荷側インピーダンスのリアクタンス値を予め定めた目標値に近づけることができるので、バイアス電源からプラズマ負荷2に供給される進行波電力に起因して発生する反射波電力Prの変動を抑制することができる。この制御は、位相差φを目標値に近づけるように制御するだけなので、制御が簡単である。
また、モータ制御処理部109によるインピーダンス整合器104の可変コンデンサ値および可変インダクタンス値の制御では、インピーダンス整合のための時間を短縮することが可能となる。
第1の実施形態では、進行波電圧Vfと反射波電圧Vrを用いて位相差を検出する位相差検出器105を備えた電源供給システム1について説明したが、第2の実施形態では、電流検出器(電流波形信号検出器)および電圧検出器(電圧波形信号検出器)を備え、電圧と電流の位相差を検出する構成例について説明する。
図4は、第2の実施形態による電源供給システム(高周波電源システム)100にプラズマ負荷2を接続した状態を示す図である。電源供給システム100は、第1の実施形態による電源供給システム1の方向性結合器103、位相差検出器105、周波数制御器106、反射レベル計測器107、および周波数検出器108の代わりに、第1増幅器102の出力端(第1増幅器102の出力端からインピーダンス整合器104の入力端であればよい)における電流の電流波形信号I1を検出する電流波形信号検出器1001と、第1増幅器102の出力端における電圧の電圧波形信号V1を検出する電圧波形信号検出器1002と、検出された電圧波形信号V1と電流波形信号I1とを用いて電圧(電圧波形信号V1)と電流(電流波形信号I1)との位相差θを検出すると共に反射係数を演算する制御部1003と、を備えている。
また、制御部1003は、電圧制御発振器101の発振信号の周波数を認識している。そのため、インピーダンス整合器104におけるインピーダンス整合動作に周波数値が必要な場合に、制御部1003が認識している発振信号の周波数を用いることができる。
また、制御部1003は、反射係数の情報をモータ制御処理部109に出力する。具体的に、制御部1003は、インピーダンス整合器104側のインピーダンスZ1を電流波形信号I1と電圧波形信号V1からZ1=V1/I1によって演算する。ここで、Z1=R1+jX1(jは虚数)と定義することができる。そして、制御部1003は、電圧波形信号V1と電流波形信号I1との位相差θをθ=tan-1(X1/R1)によって求める。また、制御部1003は、反射係数Γ1をΓ1=(Z1-Z0)/(Z1+Z0)によって求める。ここで、Z0は、インピーダンス整合器104とプラズマ負荷2との間の特性インピーダンスを示しており、通常50Ωである。
また、電圧波形信号V1の位相角をθv、電流波形信号I1の位相角をθiとすると、位相差θ=θi-θvで演算することもできる。
もちろん、第1の実施形態と同様に、電圧波形信号V1と電流波形信号I1との位相差θは、必ずしも0(ゼロ)になるようにソース電源の出力周波数を制御する必要はなく、他の目標値になるように制御してもよい。
しかし、位相差θが0(ゼロ)になるようにソース電源の出力周波数を制御することにより、ソース電源の出力周波数を共振周波数に近づけることができるので好ましい。
ただし、負荷側インピーダンスが容量性であると、スイッチング動作に伴って電流波形が歪むという問題が生じ易い。そのため、基準とする位相差θを0(ゼロ)よりも大きくして、電圧よりも電流が遅れるするようにしてもよい。
また、位相差θが、目標値(例えばゼロ)に対して設定された許容値内であれば、ソース電源の出力周波数を変更しないようにしてもよい。
また、モータ制御処理部109は、制御部1003からの反射係数の値が所定の閾値以上である場合、インピーダンス整合器104に含まれる可変コンデンサや可変インダクタの値を変更するためのモータ群110に含まれるモータM1からM3の回転数を決定する。なお、モータ制御処理部109の動作は上述したものと同一であるため、説明は省略する。
第2の実施形態によれば、第1増幅器102の出力端(第1増幅器102の出力端からインピーダンス整合器104の入力端であればよい)における電流及び電圧に基づいて、電圧と電流との位相差θを検出する。そして、この位相差θを目標値(好ましくはゼロ(リアクタンスゼロ))になるように制御する。
このようにすることにより、バイアス電源からプラズマ負荷2に供給される進行波電力に起因して発生する反射波電力Prの変動を抑制して安定的に高周波電力をプラズマ負荷2に供給することができるようになる。この制御は、位相差θを目標値に近づけるように制御するだけなので、制御が簡単である。
また、モータ制御処理部109によるインピーダンス整合器104の可変コンデンサ値および可変インダクタンス値の制御では、インピーダンス整合のための時間を短縮することが可能となる。
(i)電圧制御発振器101の内部構成例
図5は、変形例による周波数制御器106の内部構成例を示す図である。
なお、この変形例では、第1の実施形態と同様に、進行波電圧Vfと反射波電圧Vrとの位相差φに応じて電圧制御発振器101の発振周波数を変化させる場合を例にして説明する。
分周器1014は、フィルタ1013から出力された信号を分周するためのものであり、例えば、1/4に分周される。なお、分周比は、1/4に限定されるものではなく、他の分周比にしてもよい。また、外部からの設定信号に応じて分周比を変更できる機能を有していてもよい。
この固定発振器1015の発振信号の周波数は、電圧制御発振器101の発振信号の周波数と分周器1014の分周比によって定めている。上記の例では、電圧制御発振器101から出力する高周波信号の中心周波数が40.68MHzであり、分周器1014の分周比が1/4なので、10.17MHz(40.68MHz/4=10.17MHz)に設定している。分周器1014の分周比を変更することを考慮して、固定発振器1015の発振信号の周波数を変更できる機能を有するものにしてもよい。
なお、上記では、乗算器1016の出力信号の振幅に基づいて制御をする例を示したが、振幅は、平均値、実効値、波高値、ピークピーク値等の振幅の大きさを表すものであればよい。
この場合、位相差φが目標値であるときの振幅差情報は予め分かっているので、ゲイン調整器1017は、乗算器1016から出力された振幅差情報に基づいて、上記と同様に、周波数ずれを補正するような電圧(指令信号)を電圧制御発振器101に印加することによって、電圧制御発振器101に対して発振周波数の増減制御を行うことができる。
図6は、変形例によるインピーダンス整合器104の内部構成例を示す図である。
変形例によるインピーダンス整合器104は、固定容量の第1コンデンサ401と、固定容量の第2コンデンサ402と、固定リアクタンスのコイル403と、電子式可変容量コンデンサ404から406と、を備えている。変形例によるインピーダンス整合器104においては、第1の実施形態のようにモータM1からM3によって容量値を調整する可変コンデンサや可変リアクタを備えるのではなく、電圧印加制御によって容量値を変化させる電子式可変容量コンデンサを用いている。なお、電子式可変容量コンデンサを用いる場合には、周波数検出器108によって検出される周波数が、プラズマ負荷2の最適周波数近傍であることが望ましい。
以上のように、電子式可変容量コンデンサを用いることにより、インピーダンス整合器104を高速に制御することが可能となる。
また、上記の実施形態では、発振器として電圧制御発振器101を例示したが、これに限定されない。例えば、発振器としてダイレクト・デジタル・シンセサイザー(DDS)を用いてもよい。
また、上記の実施形態では、インピーダンス整合器104に備わっている可変素子(可変コンデンサ、可変インダクタ)が3つの例を示したが、これに限定されない。例えば、可変コンデンサが2つでもよい場合がある。
2 プラズマ負荷
101 電圧制御発振器
102 第1増幅器
103 方向性結合器
104 インピーダンス整合器(第1整合器)
105 位相差検出器
106 周波数制御器
107 反射レベル計測器
108 周波数検出器
109 モータ制御処理部
110 モータ群
201 バイアス用発振器
202 第2増幅器
203 第2整合器
1001 電流波形信号検出器
1002 電圧波形信号検出器
1003 制御部
Claims (4)
- 接続されるプラズマ負荷に対して高周波電力を提供する、高周波電源システムであって、
第1周波数でバイアス電力を出力するバイアス電源と、
前記第1周波数よりも高い第2周波数でソース電力を出力するソース電源と、
前記ソース電源側のインピーダンスと前記プラズマ負荷側のインピーダンスとの整合を取るインピーダンス整合器と、を備え、
前記ソース電源は、前記プラズマ負荷においてプラズマが生成されているときに、前記プラズマ負荷に供給する進行波電力に対応する検出信号と前記プラズマ負荷から戻ってくる反射波電力に対応する検出信号との位相差、または前記プラズマ負荷に供給する進行波電力の電流に対応する検出信号と電圧に対応する検出信号との位相差を、前記第1周波数の10倍以上の周波数に相当する周期で検出するとともに、前記位相差を予め定めた目標値に近づけるように出力周波数を前記第1周波数の10倍以上の周波数に相当する周期で増減制御することによって、プラズマ負荷側インピーダンスのリアクタンス値を予め定めた目標値に近づけ、
前記インピーダンス整合器は、前記ソース電源における出力周波数の増減制御によって前記位相差が前記目標値に対して設定された許容値以下となっている状態においてインピーダンス整合を行う、高周波電源システム。 - 請求項1において、
前記検出した位相差の信号を、分周器及び乗算器を用いて低い周波数の信号に変換し、変換後の信号に基づいて位相差を予め定めた目標値に近づけるように出力周波数を増減制御する、高周波電源システム。 - 請求項1または2において、
前記リアクタンスの目標値はゼロである、高周波電源システム。 - 請求項1から3の何れか1項において、
前記プラズマ負荷から戻ってくる反射波電力のレベルが低下するように前記インピーダンス整合器に含まれる複数の可変素子の値を変更する、高周波電源システム。
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