JP7449537B2 - パッカー装置および湧水圧測定方法 - Google Patents
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Description
水平調査ボーリングにより地下水圧を測定する場合には、ボーリング孔先端の湧水区間の近傍においてパッカーを拡張することで他の区間と区切り、パッカーにより区切られた湧水区間における湧水を測定する。
このような地下水圧測定方法として、例えば、特許文献1に開示された方法がある。特許文献1の地下水圧測定方法では、先端にパッカーを有する管材を、基端側に継ぎ足されたロッドにより押し込むことで所定の位置に配設した後、パッカーを拡張させている。
ところが、削孔距離が百メートル以上の中長距離の調査ボーリングでは、パッカー挿入時のロッドの継ぎ足し作業や、パッカー回収時のロッドの取り外し作業に手間がかかり、切羽前方の湧水区間の水圧を迅速に測定することができない。
前記採水管は、前記前方パッカーが周設された第一管材と、前記後方パッカーが周設された第二管材とを備えており、前記第一管材と前記第二管材は、前記前方パッカーおよび前記後方パッカーが拡張した状態で前記ケーシングに孔口側から引張力が作用した際に離隔するように連結されているのが望ましい。前記パッカー流路は、前記第一管材と前記第二管材とが離隔した際に分断されるように構成しておく。
前記第一管材と前記第二管材は、前記引張力が作用した際に切断される接続ピンを介して接続されているのが望ましい。
前記装置回収工程では、水の圧力により孔口側から圧送された接続部材を前記パッカー装置の基端部に接続し、前記接続部材から延設されたワイヤーを巻き取ることにより前記パッカー装置を回収するのが望ましい。
本発明のパッカー装置およびこのパッカー装置を利用した湧水圧測定方法によれば、ケーシング内の水圧の調整のみで、パッカー装置の送り込み、パッカーの拡張および湧水の取り込みが可能となる。そのため、パッカー装置用の押込みロッドを用いる必要がなく、所定位置における湧水圧の測定を迅速に実施できる。
また、第一管材と第二管材とが連結された採水管を採用した場合には、ケーシングを引っ張ることでパッカー流路が分断され、分断されたパッカー流路から前方パッカー内および後方パッカー内から水が排水されて、前方パッカーおよび後方パッカーが収縮する。すなわち、ケーシングに引張力を作用させるのみでパッカーが収縮して、パッカー装置の回収が可能になるため、簡易に回収することができる。
図1は、本実施形態のパッカー装置1を示す断面図である。図1に示すように、パッカー装置1は、採水管2、切替バルブ3、基端流路4、前方パッカー5、後方パッカー6、パッカー流路7および嵌合部材8を備えている。パッカー装置1は、湧水圧を測定する際にケーシング(図5の削孔ロッド9)内に挿入され、ケーシングの坑口側からケーシング内に送り込まれた水の圧力によってケーシングの先端(ボーリング孔の先端)に送り込まれる。
第一管材21および第二管材22は、採水管2を構成する管本体20に周設されている。すなわち、管本体20は、第一管材21および第二管材22に挿入されている。第一管材21は管本体20の先端部に配設されていて、第二管材22は第一管材21の後端(孔口側の端部)に、連結されている。
第一管材21の外周面には、前方パッカー5を設置するための凹部21bが形成されている。凹部21bは、第一管材21の周方向に連続する溝である。凹部21bの底部には、隙間21aに通じる挿通孔21cが形成されている。隙間21aを介して圧送された水(流体)は、挿通孔21cを通じて凹部21bに設けられた前方パッカー5に供給される。
第一管材21の基端部の外面には、段差21dが形成されており、段差21dよりも基端側に挿入部21eが形成されている。すなわち、挿入部21eは、第一管材21の後端に形成された縮径部分である。
第二管材22の外周面には、後方パッカー6を設置するための凹部22dが形成されている。凹部22dは、段差22aよりも後方の一般部22eにおいて、周方向に連続するように形成された溝である。
第二管材22の一般部22eの内部には、バルブ収容空間22fが形成されている。バルブ収容空間22fには、管本体20の基端部が入り込んでいる。バルブ収容空間22fは、管本体20の外径よりも大きな幅の空洞であり、バルブ収容空間22fには、切替バルブ3が収容されている。また、バルブ収容空間22fの基端側には、基端流路4が連通している。
第二管材22には、バルブ収容空間22fから凹部22dに至る第一流路22gと、凹部22dから収容部22cに至る第二流路22hとが形成されている。第一流路22gおよび第二流路22hは、パッカー流路7の一部を構成する。
切替バルブ3は、バルブ収容空間22fの内部において、前後(図1において左右)に摺動可能である。バネ材33は、前部31と後部32との段差部分に係止されていて、切替バルブ3はバネ材33により後方に付勢されている。切替バルブ3は、通常時においては、バルブ収容空間22fの後端面に当接しており、基端流路4と流路34とが連通した状態となっている。このとき、バルブ収容空間22fに面する第一流路22gの開口部は、切替バルブ3(後部32)の外周面により遮蔽された状態となる。一方、切替バルブ3が前方に移動し、後部32の後端が第一流路22gの開口部よりも前側に移動すると、第一流路22gの開口部が露出して第一流路22gと基端流路4とが連通した状態となる。
図5(a)は、第一ロッド後退作業S21の概要を示す断面図である。第一ロッド後退作業S21では、図5(b)に示すように、削孔ロッド9を後退させて、削孔ロッド9の先端とボーリング孔BHの先端面(底)との間に隙間をあける。すなわち、ボーリング孔BHの先端部は、地山Gが露出した状態となる。
図9(a)および(b)は、第二ロッド後退作業S41の概要を示す断面図である。第二ロッド後退作業S41では、図9(a)に示すように、削孔ロッド9を孔口側に引っ張ることで削孔ロッド9を後退させる。このとき、前方パッカー5および後方パッカー6は、拡張した状態が維持されている。後方パッカー6が削孔ロッド9に密着しているため、削孔ロッド9を後退させると、第二管材22が削孔ロッド9とともに後退する。一方、第一管材21は、前方パッカー5が拡張してボーリング孔BHの内面に密着しているため、ボーリング孔BHに固定された状態が維持される。その結果、削孔ロッド9を後退させる力(引張力)によって接続ピン24が切断されて、第一管材21と第二管材22とが離隔する。管本体20は、ストッパー23が第一管材21に接するまで第二管材22とともに後退する。第一管材21と第二管材22とが離隔すると、パッカー流路7(第二流路22hと隙間21a)とが分断される。パッカー流路7が分断されると、前方パッカー5内の水Wおよび後方パッカー6内の水Wがこの部分から流出するため、図9(b)に示すように、前方パッカー5および後方パッカー6が縮んだ状態となる。
図10(b)は、装置引抜作業S43の概要を示す断面図である。図10(b)に示すように、オーバーショット81をパッカー装置1に接続に接続したら、図示しないウィンチ等によりワイヤー82を巻きとることで、オーバーショット81およびパッカー装置1を回収する。
パッカー装置1を利用した湧水圧測定方法で、削孔ロッド9内の水圧の調整のみで、パッカー装置1の送り込み、パッカー(前方パッカー5および後方パッカー6)の拡張および湧水の取り込みが可能となる。そのため、孔口からパッカー装置1に至る管材(押込みロッド)を用いる必要がなく、所定位置における湧水圧の測定を迅速に実施できる。
また、削孔ロッド9を引っ張ることで、第一管材21と第二管材22とが分断されて、前方パッカー5内および後方パッカー6内の水Wが分断されたパッカー流路7を介して排水されて、前方パッカー5および後方パッカー6が収縮する。このように、孔口側から削孔ロッド9に引張力を作用させるのみでパッカーが収縮して、パッカー装置1の回収が可能になるため、簡易に回収することができる。
ストッパー23は、別部材を管本体20に固定することにより形成する場合に限定されるものではなく、例えば、管本体20の先端を加工することにより一体に形成された部分であってもよい。また、ストッパー23は、必ずしも筒状である必要はなく、間欠的に形成された突起であってもよい。
前記実施形態では、第二管材22の外面に、削孔ロッド9に係止する段差22aを有している場合について説明したが、段差22aに代えて、削孔ロッド9と係止する突起が形成されていてもよい。すなわち、第二管材22は、外径が一定の筒状部材の外面に突起が形成されていてもよい。また、第二管材22に突起が形成されている場合には、第二管材22は、突起の前後において個別の筒状部材が連設されていてもよい。
前記実施形態では、削孔ロッド9によりボーリング孔BHを形成することで、ボーリング孔BHの削孔とケーシングの設置を同時に行うものとしたが、ケーシングの設置は、ボーリング孔BHの削孔とは別に、ボーリング孔BHの形成後に行ってもよい。
パッカー流路7は、前方パッカー5と後方パッカー6に対して個別に設けられていてもよい。
前記実施形態では、基端流路4が断面視T字状の場合について説明したが、基端流路4の前部分41と後部分42の角度は限定されるものではなく、例えば、断面視Y字状に接続されていてもよい。
前記実施形態では、測定工程S3において孔口側から圧送する水Wの圧力を湧水WGの圧力よりも小さくすることで、採水管2内に取り込まれた湧水WGの圧力およびバネ材33の反力により切替バルブ3を元に戻すものとしたが、切替バルブ3は湧水WGの圧力またはバネ材33反力のいずれか一方のみで元に戻るものであってもよい。
2 採水管
20 管本体
21 第一管材
22 第二管材
23 ストッパー
24 接続ピン
3 切替バルブ
4 基端流路
5 前方パッカー
6 後方パッカー
7 パッカー流路
8 嵌合部材
9 削孔ロッド(ケーシング)
BH ボーリング孔
G 地山
W0 湧水
Claims (5)
- ボーリング孔に配管されたケーシングの先端部に設けられて、ボーリング孔先端部の湧水を前記ケーシング内に取り込むパッカー装置であって、
前記ケーシングの先端から突出するように配置される採水管と、
前記採水管の基端に接続された切替バルブと、
前記切替バルブを介して前記採水管に連結された基端流路と、
前記採水管に周設されて前記ボーリング孔先端部において拡張する前方パッカーと、
前記前方パッカーの後方で前記採水管に周設されて前記ケーシング内において拡張する後方パッカーと、
前記切替バルブから前記前方パッカー及び前記後方パッカーに至るパッカー流路と、
を備えていることを特徴とする、パッカー装置。 - 前記採水管は、前記前方パッカーが周設された第一管材と、前記後方パッカーが周設された第二管材とを備えており、
前記第一管材と前記第二管材は、前記前方パッカーおよび前記後方パッカーが拡張した状態で前記ケーシングに孔口側から引張力が作用した際に離隔するように連結されていて、
前記パッカー流路は、前記第一管材と前記第二管材とが離隔した際に、分断されることを特徴とする、請求項1に記載のパッカー装置。 - 前記第一管材と前記第二管材は、接続ピンを介して接続されており、
前記接続ピンは、前記引張力が作用した際に切断されることを特徴とする、請求項2に記載のパッカー装置。 - ボーリング孔を削孔するとともに前記ボーリング孔にケーシングを配設する削孔工程と、
前記ボーリング孔の先端部に請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のパッカー装置を配設する装置配設工程と、
前記パッカー装置の先端から前記ボーリング孔内に流入する湧水の圧力を測定する測定工程と、
前記パッカー装置を回収する装置回収工程と、を備える湧水圧測定方法であって、
前記装置配設工程では、
前記ケーシングを後退させて前記ケーシングの先端と前記ボーリング孔の先端面との間に隙間をあける作業と、
前記ケーシングの孔口側から圧送した水の圧力により前記パッカー装置の先端部を前記ケーシングの先端から突出させる作業と、
前記水の圧力を増加させることで前記切替バルブを切り替えるとともに、前記水を前記パッカー流路に誘導して前記前方パッカーおよび前記後方パッカーを拡張させる作業と、
を行い、
前記測定工程では、前記水の圧力を減少させることで前記切替バルブを元に戻し、前記前方パッカーおよび前記後方パッカーの拡張状態を維持した状態で前記湧水を前記ケーシング内に取り込むことを特徴とする、湧水圧測定方法。 - 前記装置回収工程では、水の圧力により坑口側から圧送された接続部材を前記パッカー装置の基端部に接続し、前記接続部材から延設されたワイヤーを巻き取ることにより前記パッカー装置を回収することを特徴とする、請求項4に記載の湧水圧測定方法。
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