JP7448289B2 - 粒子線治療装置、医療用超電導装置、および、超電導磁石装置 - Google Patents

粒子線治療装置、医療用超電導装置、および、超電導磁石装置 Download PDF

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Description

本発明は、超電導コイルを用いたコンパクトな磁石装置に関する。
陽子や炭素等の重粒子を加速器で加速して粒子ビームを形成し、患者の腫瘍等に照射する粒子線治療装置が知られている。粒子線治療装置では、患者に対して360度任意の角度から粒子ビームを照射するために、回転ガントリに照射ノズルを搭載して患者の周囲で回転させる。このため、加速器から照射ノズルまで粒子ビームを輸送するビーム輸送系が必要である。
ビーム輸送系は、加速器から出射された粒子ビームを、必要個所において偏向させながら回転ガントリの外周部まで輸送した後、90度偏向して半径方向に輸送し、先端の照射ノズルから回転ガントリの内側の空間に配置されている患者に向かって照射する。ビーム輸送系の粒子ビームの偏向個所には偏向磁石が配置され、粒子線ビームに対して、ビームの進行方向に直交する磁場を印加することにより偏向させる。
例えば特許文献1には、扁平な形状に巻回された複数の超電導コイルがそれぞれ、その長軸方向がビームの進行方向に平行になるように配置された偏向磁石が開示されている。
特許第6588849号公報
粒子線治療装置のビーム輸送系の偏向磁石に、超電導コイルを採用した場合、常電導コイルや永久磁石に比べてより高い磁場を発生することができるため、粒子ビームを小さな曲率半径で偏向させることができる。その一方で、超電導コイルは、低温超電導材料により構成されているため、数K程度の低温状態に維持する必要がある。低温に維持された超電導コイルに、なんらかの擾乱(エネルギー)が加わった場合には、超電導コイルは、超電導状態から常電導状態に急激に転移するクエンチがおこり、流れている超電導電流が超電導コイルにおいて大きな熱に変換される。
従来、MRI装置等の医療装置に用いられる超電導コイルは、真空断熱された容器内に配置され、容器内に満たされた液体ヘリウム冷媒に浸漬されることにより冷却されているのが一般的である。クエンチが発生した時に超電導磁石において発生する熱は、液体ヘリウムの潜熱および顕熱によって回収される。
しかしながら、冷媒で冷却する超電導コイルを粒子線治療装置のビーム輸送系の偏向磁石として用いるのは容易ではない。液体ヘリウムと超電導コイルが収容された容器を回転ガントリに搭載して回転させた場合、回転に伴って液体ヘリウムの液面が大きく揺さぶられる。これが擾乱(エネルギー)となって、超電導コイルにクエンチを生じさせる可能性がある。
一方、近年、GM(ギフォード・マクマホン型)冷凍機のような小型冷凍機を用いて、伝導冷却(冷凍機冷却)により超電導コイルを冷却する超電導磁石が開発されている。伝導冷却型の超電導磁石は、超電導コイルには、クエンチ時に使用する磁石保護回路が接続され、クエンチが発生した場合には、磁石保護回路により超電導コイルに流れる超電導電流のエネルギーを速やかに回収(消費)することにより、超電導コイルにおいて熱が発生するのを抑制する。
磁石保護回路は、例えば、超電導コイルとその励磁電源を切り離すためのスイッチ(電流ブレーカー)や超電導電流のエネルギーを熱に変換して消費するための保護抵抗などから構成される。クエンチが発生した場合には、励磁電源が超電導コイルから切り離されるとともに、保護抵抗が超電導コイルの両端に接続され、超電導コイルを流れる電流を素早く保護抵抗で消費して熱に変換する。これにより、超電導コイルの温度上昇を防ぐ。
しかしながら、超電導コイルを流れる電流を素早く保護抵抗で熱に変換するためには、抵抗値の大きな保護抵抗が必要であり、クエンチ時の保護抵抗の電圧(超電導磁石両端の電位差)は、高電圧になる。そのため、超電導磁石の対地絶縁を強化し、超電導コイルから励磁電源を切り離すスイッチ(電流ブレーカー)の耐電圧を大きくする必要がある。そのため、伝導冷却の超電導磁石には耐電圧の大きな絶縁構造が必要となり、粒子線照射装置のビーム輸送系の偏向磁石に採用すると、大掛かりな装置になる。回転ガントリに大掛かりな絶縁構造を搭載するのは現実的ではない。
本発明の目的は、粒子線のビーム輸送系等の医療用超電導装置に好適な、クエンチが生じた場合の超電導コイルの温度上昇が抑制されたコンパクトな伝導冷却超電導磁石とそのための磁石保護回路を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の粒子線治療装置は、粒子線を輸送するダクトと、ダクト内を輸送される粒子線に対して、それぞれが形成する磁場を重ね合わせて所定の強度分布の磁場を形成して印加する複数の超電導コイルと、複数の超電導コイルが内部空間に配置された断熱容器と、断熱容器に搭載され、超電導コイルを伝導冷却により冷却する1以上の冷凍機と、一端が超電導コイルの端部にそれぞれ接続され、他端が断熱容器の内部から外部に引き出された複数対のリードと、断熱容器外に配置され、リードによって断熱容器の外部に引き出された、超電導コイルを流れる電流を消費するための複数の保護要素と、超電導コイルのクエンチ時に、複数の超電導コイルにそれぞれ保護要素を直列に接続するように、複数対のリードと複数の保護要素とを接続する接続回路とを有する。
本発明によれば、クエンチ時に超電導コイルの電流を消費する保護要素の発生する電圧が小さいため、絶縁構造を簡素化できコンパクトな装置を提供することができる。
実施形態の粒子線治療装置の全体構成示すブロック図である。 図1の粒子線治療装置の偏向磁石203の側面図と回路構成を示すブロック図である。 図2のA-A’断面図と回路構成を示すブロック図である。 実施形態の超電導コイルの斜視図である。 実施形態(第3の実施形態)の偏向磁石の回路図である。 (a)および(b)実施形態の偏向磁石において超電導コイルと保護要素で生じる電位と電気的中間点と絶縁に必要な耐電圧を示すグラフ、(c)比較例の超電導コイルを分割していない場合の電位と絶縁に必要な耐電圧を示すグラフである。 実施形態の超電導コイルの基本構成を示す回路図である。 第1の実施形態の超電導コイルと励磁回路(電源ユニット)180およびエネルギー回収ユニット140の回路図である。 第2の実施形態の超電導コイルと励磁回路(電源ユニット)およびエネルギー回収ユニット140の回路図である。 第4の実施形態の超電導コイルと励磁回路(電源ユニット)およびエネルギー回収ユニット140の回路図である。 第5の実施形態の超電導コイルと励磁回路(電源ユニット)およびエネルギー回収ユニット140の回路図である。 第6の実施形態の超電導コイルと励磁回路(電源ユニット)およびエネルギー回収ユニット140の回路図である。 第7の実施形態の超電導コイルと励磁回路(電源ユニット)およびエネルギー回収ユニット140の回路図である。 第8の実施形態の超電導コイルと励磁回路(電源ユニット)およびエネルギー回収ユニット140の回路図である。
本発明の一実施形態について説明する。
ここでは、一実施形態として、粒子線治療装置について説明する。
本実施形態の粒子線治療装置の全体構成を図1に示す。図1のように、粒子線治療装置は、粒子線を形成する加速器500と、粒子線を輸送するビーム輸送系200と、患者301に粒子線を照射する照射装置300と、患者301を搭載するベッド302とを備えて構成される。
加速器500は、図1の例では、前段加速器であるライナック501と、ライナック501が形成した粒子線をさらに加速するシンクロトロン502とを備えた構成であるが、この構成に限らず、サイクロトロン等を用いることももちろん可能である。
ビーム輸送系200は、加速器500で形成された粒子線を輸送するダクト204と、ダクト204内の粒子線に偏向磁場を印加する偏向磁石201,202,203と、粒子線を収束させる磁場を印加する四極磁石211と、軌道補正磁石212とを備えている。ダクト204には、回転連結部214が設けられ、回転連結部214よりも加速器500寄りの固定部に対して、回転連結部214よりも先端側は、回転連結部214の機構によって回転可能である。回転連結部214よりも先端側のビーム輸送系200は、不図示の回転リングに搭載され、駆動部によって回転リングが回転するのに伴って、回転軸313を中心に回動する。これにより、ビーム輸送系200は、回転リングおよび駆動部とともに、回転ガントリ400を構成している。
偏向磁石201,202は、粒子線を60度偏向させ、回転リングの外周まで到達させる。偏向磁石203は、粒子線を回転リングの外周から径方向に90度偏向させる。
以下、図2、図3等を用いて、偏向磁石203の構成について説明する。偏向磁石201,202は、構成する超電導コイルの個数が偏向磁石203とは異なるが、基本的な構成は同様である。
偏向磁石203は、複数の超電導コイル101~104と、断熱容器110と、冷凍機120と、複数対のリード30a,30b,31a、31bと、保護要素40a、40b,41a,41bと、接続回路50a、50b、51a、51b、9、10を備えている。保護要素40a、40b,41a,41bと、接続回路50a、50b、51a、51bは、クエンチ時に超電導コイル101~104のエネルギーを回収(消費)するユニット140を構成している。また、複数の超電導コイル101~104に励磁電流を供給する電源8a、8bをさらに備えている。電源8a、8bと、接続回路9,10は、電源ユニット180を構成している。
エネルギー回収ユニット140は、クエンチ時に保護要素40a、40b,41a,41bが高電圧になるため、絶縁構造を備えている。
超電導コイル101~104は、それぞれが形成する磁場を重ね合わせて、ダクト204内を輸送される粒子線に対して所定の強度分布の磁場213を形成して印加する。具体的には、粒子線の進行方向214に対して直交する磁場213を印加する。これにより、磁場方向213および粒子線の進行方向214に対して直交する方向215へ粒子線を偏向させる。
なお、ここでは一例として、図4に示すように、超電導コイル101~104は、主平面内に長径と短径を有する扁平な形状に巻回され、長径がダクト204の軸方向に沿うように配置されている。長径方向は、ダクト204の湾曲に沿うように湾曲している。超電導コイル101~104は、主平面が、粒子線を偏向させる面内に平行になるように、ダクト204の周囲の4方向に配置され。超電導コイル101と102、超電導コイル103と104は、それぞれダクト204を挟んで対向している。超電導コイル101と102は、図3のように直列に接続され、超電導コイル20を構成している。超電導コイル103と104は、直列に接続され超電導コイル21を構成している。
断熱容器110は、複数の超電導コイル101~104が内部空間に配置されている。図3の例では、断熱容器110は、真空容器111とその内側に配置された輻射シールド112とを備えている。
冷凍機120は、断熱容器110に搭載されている。例えば、冷凍機120は、1段目(例えば40k)が輻射シールドに熱的に接続されており、輻射シールド112を1段目の温度まで冷却する。2段目(例えば4k)は、銅のメッシュ等(不図示)により超電導コイル101~104に熱的に接続されており、伝導冷却により超電導コイル101~104を冷却する。
複数対(ここでは2対)のリード(以下、パワーリードとも呼ぶ)30a、30b、31a、31bは、一端が超電導コイル101~104(20,21)の端部にそれぞれ接続され、他端が断熱容器110の内部から外部に引き出されている。
保護要素40a、40b,41a,41bは、断熱容器110の外に配置され、超電導コイル101~104(20,21)を流れる電流を、クエンチ時にリード30a、30b、31a、31bを介して受け取って消費する。
具体的には、保護要素40a、40b,41a,41bは、抵抗素子および半導体素子の少なくとも一方を含み、クエンチ時に、超電導コイル101~104(20,21)を流れる超電導電流を受け取って熱に変換する。抵抗素子は通常の抵抗の他、通電電流に対し抵抗値が非線形に変化する非線形抵抗素子を用いることもできる。また、半導体素子としては、例えば、通常のトランジスタや絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を用いることができる。
接続回路50a、50b、51a、51bは、超電導コイルのクエンチ時には複数の超電導コイル101~104(20,21)にそれぞれ保護要素40a、40b,41a,41bを直列に接続するように、超電導コイルが正常運転されている時には保護要素40a、40b,41a,41bがバイパスされるように、複数対のリード30a、30b、31a、31bと複数の保護要素40a、40b,41a,41bとを接続する。
これにより、例えば図5のような保護回路を構成し、接続回路50a、50b、51a、51bのスイッチをオフとし、接続回路9と10のスイッチをオンとすることによって、保護要素40a、40b、41a、41bにより、超電導コイル101、102(20)と超電導コイル103、104(21)に蓄積された磁気エネルギーを消費することができる。
また、接続回路10により、保護回路40bと41aを接続し、接続回路9により、保護回路40aと41bを接続することにより、図5のように、複数の超電導コイル20、21が保護要素40a、40b、41a、41bと交互に直列に接続され、閉ループを構成することができる。閉ループは、電気的中間点が接地されていることが望ましい。ここでいう電気的中間点とは、図6(a)の図示したよう、閉ループの超電導コイル20、21および保護要素40a,40b、41a、41bの各位置における電位を求めた場合、その最大電位と最小電位の中間電位となる点を言いう。この電気的中間点を接地することが望ましい。また、図6(b)に示したように、超電導コイル20、21のインダクタンスおよび保護要素40a,40b、41a、41bの抵抗値の値によっては、電位はこれらの要素において電位の大小方向に非対称な変化を示す場合もあるが、その場合も、当該閉ループにおける最大電位と最小電位の中間の電位となる点を電気的中間点という。図6(b)の場合、超電導コイル20のインダクタンスと超電導コイル21のインダクタンスの大小関係は、インダクタンス(超電導コイル20)>インダクタンス(超電導コイル21)となっており、保護要素(例えば抵抗)40a,40b、41a、41bの大小関係は、40a=40b>41a=41bとなるように構成される。この場合、40aと41bの間、もしくは、40bと41aの間が電気的中間点となり、この地点で接地を取ることによって対地最大電位を小さく抑えることができる。
このように、超電導コイルを複数のコイル(ここでは超電導コイル20と21)にあえて分割しているため、クエンチ時に、保護要素40a,40b、41a、41bを分割した超電導コイル20,21に超電導コイルと保護要素が交互に並ぶように直列に接続することができる。よって、図6(c)のように、接地11から見た回路における最大電位(対地電圧)を、超電導コイルを分割していない場合よりも大幅に低減することができる。
すなわち、本実施形態では、保護要素(抵抗)40a,40b、41a、41bで生じる電圧の向きが超電導コイル20,21のインダクタンスによって生じる電圧の向きの逆向きになることを利用し、超電導コイルを複数(超電導コイル20と21)に分割し、保護要素40a,40b、41a、41bと交互に直列に接続したことにより、図6(a)、(b)のように、保護要素40a,40b、41a、41bで観測される最大対地電圧を、図6(c)のように超電導コイルを分割しない場合の約半分にすることができる。
これにより、超電導磁石の対地絶縁に必要な絶縁構造を大幅に簡素化することができ、コンパクトな偏向磁石203の構造にすることができる。
以下、本実施形態の偏向磁石203についてさらに説明する。
伝導冷却の超電導コイル101~104(20,21)において、クエンチ後の再冷却時間を短縮するためには、クエンチした時に超電導コイル101~104(20,21)に蓄えられたエネルギーを速やかに断熱容器110の外部に引き出して保護要素で消費し、エネルギーが超電導コイル101~104(20,21)の巻線の温度上昇に転化されないようにすることが重要である。超電導コイル101~104(20,21)のエネルギーを断熱容器110の外部に高速に引き抜く(保護要素で一気に消費する)ためには、保護要素で大きな電圧降下が発生するように大きな抵抗等を用いるか、励磁電源などによって超電導コイルに逆向き電圧を印加する必要がある。そのため、超電導コイル101~104(20,21)の蓄積エネルギーが大きいほど(インダクタンスが大きいほど)、高電圧を発生する保護要素が必要となり、高電圧によって絶縁破壊を生じないような絶縁構造を設ける必要が生じる。
そこで、本実施形態では、超電導コイルをあえて複数の超電導コイル20と21に分割して、それぞれにパワーリード30a,30b,31a,31bを接続し、保護要素(抵抗)40a,40b、41a、41bが超電導コイル20、21と交互に直列接続となるように閉回路を構成して磁石のエネルギーを抵抗で回収する(熱に変える)。磁石のエネルギーを断熱容器110から外部に引き出された保護要素40a,40b、41a、41bで消費することによって、断熱容器110の内部、すなわち超電導コイル20,21の温度上昇を抑制する。保護要素と超電導コイルが交互に並ぶように保護回路を形成すると、対地電圧を半分に抑えることができることから、超電導コイルの対地絶縁が同一の場合には抵抗要素で発生する電圧を2倍まで許容することができる。これにより、単一の超電導コイルとして扱ってパワーリードを1対のみ配置した場合よりも、パワーリードを追加することによって断熱容器110内に侵入する熱量は増加するが、エネルギーを断熱容器110の外部に引き出して保護要素で2倍の速度で消費することができるため、クエンチ時の超電導コイルの温度上昇を抑制できる。
また、本実施形態では、超電導コイルを複数に分割しているため、単一の超電導コイルとして扱う構造よりも、複数の超電導コイル20、21の磁場を重ね合わせて、所望の磁場分布を高精度に生成することができるというメリットもある。本実施形態のように、加速器500で形成した粒子ビームを輸送する磁石201,202,203等では、高精度な磁場分布が必要である。高精度な磁場を形成するためには個々の超電導コイル巻線の寸法精度が高いこと、また、それらが高精度で組立てられていることが前提である。しかし、その上でも磁場精度が不足する場合があり一般的には磁場調整のための機構が備えつけられている。磁場調整のためには起磁力に自由度を与えることが必要であるが、本実施形態のように、超電導コイルを複数に分離することによって、分離された磁石に流れる電流の量を励磁回路(電源ユニット180)によって微調整することが可能となる。励磁電源方式によって等価的には図5、図8、図9、図10のような構成になるが、2つの磁石に対して通電電流の量を調整できるように構成されていればよく、ここの図示した形態には限定されない。
また、粒子線治療装置用のビーム輸送用の磁石201,202,203等においては、通過させるビームのエネルギーに応じて発生磁場強度を変化させる必要がある。単位時間あたりのビームの利用を考えると磁場の変更時間は短ければ短いほうが望ましい。そのためには磁石に発生する誘導電圧に打ち勝って、励磁回路(電源ユニット180)によって高い電圧で電流を変化させる必要がある。
このとき超電導コイル101~104(20,21)の通電電流の制御は、電源に内蔵された半導体素子を用いて行なわれているため、この半導体素子の耐電圧によって励磁回路(電源ユニット180)の励磁速度は制約を受けることになる。本実施形態では超電導コイルを超電導コイル20,21に分割し、それぞれに励磁回路(電源ユニット180)から電流を供給する構成であるため(図5、図10)、分割された個別の超電導コイル20,21のインダクタンスは小さくなり、電源に内蔵される半導体素子の耐電圧の制限を回避することができる。
超電導コイル20,21の発生する磁場はそれぞれ、重ねあわされた時に、所定の磁場空間にあらかじめ決められた所定の磁場分布を発生するように設計されている。それぞれの超電導コイル20,21に励磁回路(電源ユニット180)から通電する電流の比は定められており、その比は通常は1である。すなわち、通常の設計ではそれぞれのコイルには同じ電流値が流れるように設計されている。しかし、必ずしも通電電流が同じ値となるように設計する必要はなく、超電導コイルのグレーディング(経験磁場の大きさによってコイル電流密度に差をつけること)を行う場合には、ちがう大きさの電流で運転してもよい。運転状態におけるそれらの超電導コイルに流れる電流の比については、所定の磁場を発生するように予め定められ、保存されている。
それぞれの超電導コイル20,21に電流リード30a,30b,31a,31bから同じ大きさの電流を通電することにより、実質的には、2つの超電導コイルが直列接続され、ひとつの電源を用いて超電導コイル20,21を励磁したときと同じ磁場を形成することとなる。また、それぞれの超電導コイル20,21に通電する電流の比を一定に保ったまま電流の大きさを変化させると、磁場発生空間に形成された磁場分布の形状を維持したまま、その強度を変化させることができる。
それぞれの超電導コイル20,21への通電電流の大きさがほぼ等しくなるように磁場分布の設計を行った場合、クエンチ後のエネルギー回収過程で保護要素40a、40b,41a,41bと超電導コイル20,21が直列接続された閉回路を構成することができる。それぞれの保護要素40a、40b,41a,41bが超電導コイル20,21に直列接続となるように回路を構成すると、クエンチ時のエネルギー回収過程で超電導コイル20,21に流れる電流は同じに維持することができるため、超電導コイル20,21が形成する磁場の重ね合わせによって形成される磁場分布は維持されたままで磁場強度が減少する。
このように、クエンチ時の超電導コイル20,21のエネルギー回収過程で、超電導コイル20,21の磁場形状が変化しないということは、アンバランスな電磁力が発生せず、また、漏洩磁場が大きくならないという利点がある。
ただし、本実施形態は、超電導コイル20,21への通電電流の大きさが等しくなるように設計した構成に限定されるものではなく、アンバランスな電磁力が発生しても問題がない、もしくは、漏洩磁場の対策ができるのであれば、超電導コイル20,21への通電電流の大きさが異なる構成にすることも可能である。
クエンチ時に2つの超電導コイル20,21から同じ減衰時定数で電流を減衰させてエネルギーを消費するためには、2つの超電導コイル20,21と保護要素40a、40b,41a,41bとが直列接続された閉回路を構成する。そのために、開閉器9や10または電源内部の半導体素子(図示せず)のフライホイールダイオードや追加の開閉器(図示せず)を使用する。
エネルギー回収用の抵抗(保護要素40a、40b,41a,41b)を超電導コイル20,21に直列に挿入するには、予め開閉器(接続回路50a,50b,51a,51b)や半導体素子でバイパスされた保護要素40a、40b,41a,41bを設置しておくことで実現できる。通常の励消磁運転の際には、保護要素40a、40b,41a,41bは、開閉器(接続回路50a,50b,51a,51b)でバイパスされているため運転に影響を及ぼすことがなく、クエンチ時には開閉器(スイッチ50a,50b,51a,51b)を開くことによって、超電導コイル20,21の電流は、抵抗(保護要素40a、40b,41a,41b)を流れるようになる。
開閉器(接続回路50a,50b,51a,51b)などでバイパスされた抵抗(保護要素40a、40b,41a,41b)は、超電導コイル20,21のパワーリード30a,30b,31a,31bに接続される。抵抗(保護要素40a、40b,41a,41b)の大きさ、設置位置、数などは、エネルギー回収過程において抵抗(保護要素40a、40b,41a,41b)でそれぞれ発生する電圧(対地電圧)が、保護要素40a、40b,41a,41bの絶縁構造の絶縁設計電圧を越えないように決定する。
抵抗(保護要素40a、40b,41a,41b)によるエネルギー回収速度を上げるためには、絶縁設計電圧で許容される範囲で、抵抗(保護要素40a、40b,41a,41b)を最大限配置する。抵抗(保護要素40a、40b,41a,41b)の配置の仕方としては、超電導コイル20,21のインダクタンスと交互に並ぶように直列回路を形成することが望ましい。超電導コイル20,21の電流の減衰過程においてインダクタンスである超電導コイル20,21に生じる誘導性電圧と、抵抗(保護要素40a、40b,41a,41b)に生じる抵抗性電圧の極性が異なるため、まとめて一箇所に抵抗を配置するよりも、図6(a),(b)に示したように対地電圧(絶縁に必要な耐電圧)を低く抑えることが可能となる。
したがって、抵抗(保護要素40a、40b,41a,41b)および超電導コイル20,21はなるべく小さく分割して交互に配置することが望ましい。エネルギー回収用に設置する開閉器(接続回路50a,50b,51a,51b)などでバイパスされた抵抗(保護要素40a、40b,41a,41b)は、少なくとも2つ以上超電導コイル20,21に接続するように配置する。
本実施形態では、超電導コイル20,21に分割し、それぞれに複数の電源から励磁電流を供給するため、磁場調整のための電流設定の自由度が改善されるとともに、電源体格も小さくなり、電源構成を小型化することができる。
本実施形態では、超電導コイル20,21のそれぞれの励磁量を調整できる構成であるため、超電導コイル20,21の磁場調整が可能である。超電導磁石のアライメント調整などにより磁場調整が終了し、調整後の磁場で運転すればよい場合には、調整用の電源は不要となり1電源で運転することも可能である。
本実施の形態では、ビームを輸送する偏向磁石について説明してきたが、MRIやNMR装置用の静磁場発生磁石や加速器の磁石などに、本実施形態の超電導コイルと保護要素の構成を適用することも可能である。
<超電導コイルの回路構成の各種の実施形態>
上記実施形態では、図3および図5の回路構成を示したが、超電導コイル20,21の回路構成は、図3および図5の構成に限られない。以下、回路構成の各種実施形態について、図3および図5の構成も含めて、詳細に説明する。ただし、本発明はここで取り上げた実施形態に限定されることはなく、要旨を変更しない範囲で適宜組み合わせや改良が可能である。
(基本構成)
図7に本発明の超電導コイルの基本構成を示す。超電導コイル101と102が電気的に接続されて第一の超電導コイル20を構成し、超電導コイル103と104が電気的に接続されて第二の超電導コイル21を構成している。第一の超電導コイル20の両端には電流リード30a、30bが接続され、第一の超電導コイル20の両端には電流リード31a、31bが接続されている。
第一と第二の超電導コイル20、21は、断熱容器110内で伝導冷却により冷却されて超電導状態に保持されている。励磁回路(電源ユニット180)は、断熱容器110の外の室温中に設置されている。電流リード30a、30b、31a、31bは、第一と第二の超電導コイル20、21と励磁回路(電源ユニット180)とを電気的に接続するために断熱容器110を突き抜けるように配置されている。
超電導コイル101、102、103、104は、図3および図4に示したように、それぞれ平板状に巻き回され、湾曲している。超電導コイル101、102は、電気的に接続されて第一の超電導コイル20を構成している。超電導コイル103、104は、電気的に接続されて第二の超電導コイル21を構成している。
4つの超電導コイル101、102、103、104に囲まれた領域に所望の強度分布の磁場空間が形成され、この磁場空間内にビームを輸送するダクト204が配置されている。定格運転状態において磁場空間を中心における磁場強度は3.3テスラであり、エネルギー430MeV/uの重粒子線を半径2mで曲げるように構成されている。
第一および第二の超電導コイル20および21は、磁場空間に対してそれぞれ上向きの磁場を発生するように構成されており、それぞれの磁場の重ね合わせによって磁場空間にビームを輸送するための2極磁場213が形成される。2極磁場213以外の多極成分磁場については、ビーム経路に沿ったそれぞれの展開磁場の積分値が、2極磁場213の積分値(BL積)に対して1×10-4以下となるように超電導コイル20および21は設計されている。また、この超電導コイル20および21では超電導コイル20および21の中心(ダクト204)から3m離れた地点での漏洩磁場強度は1.5ガウス以下になるように設計されている。
それぞれの超電導コイル20および21が発生する磁場は、定格磁場強度3.3Tに対して、4極磁場は、ほぼゼロ、6極磁場は-2.46%、2.45%、8極磁場は-0.09%、0.10%となっており、主たる磁場成分は2極磁場である。
ビームに対する影響が大きく、超電導コイル20および21を製作する上で最も大きな強度が発生する6極磁場を調整することを考えると、第一および第二の超電導コイル20および21の電流を定格電流の約10%を変化させることによって0.5%(5×10-3)の6極磁場を変化させることができる。これは磁場強度を6極磁場の積分量を主磁場に対して1×10-3~1×10-4にするビーム輸送磁石に対して十分な磁場補正量である。
((第1の実施形態の回路構成))
図8に、第1実施形態の超電導コイルの励磁回路(電源ユニット)180およびエネルギー回収ユニット140の回路構成を示す。
2つの超電導コイル20,21には電流リード(30a、30b、31a、31b)が取り付けられ、バイパススイッチ(接続回路50a、50b、51a、51b)が並列接続された保護抵抗(保護要素40a、40b、41a、41b)がそれぞれの超電導コイルの電流リード(30a、30b、31a、31b)に接続されている。
2つの超電導コイル20,21は、主電流を供給する電源7から見ると直列接続されるように構成されている。磁場調整用小電源6a、6bは、それぞれの超電導コイル20,21に並列になるように接続される。電源7と電源6aから供給される電流の重ねあわせによって、超電導コイル20は運転される。電源7と電源6bから供給される電流の重ねあわせによって超電導コイル21は運転される。
使用する電源の種類や構造についての制約はないので自由に電源を選んでよいが、それぞれの電源6a、6b、7は、電気的に絶縁されていれば簡単に励磁電源回路を構成できて好ましい。
3つの電源6a、6b、7は、共通電位を有するような構成であってもよく、たとえば、プリレギュレータから電圧を供給し、半導体素子を用いたフルブリッジのスイッチング電源で実質的にこの回路を実現することができる。
この場合、メインの電流を供給する電源7に相当するフルブリッジのアームには、電流容量の大きなIGBTなどの半導体素子を用い、超電導コイル20,21の接続点に電流が供給できるように電流容量の小さな(調整用電流を流すためだけの)アームを設ける。回路図上では、電源が3台表現されるが実質的にはひとつの電源でこれを実現できる。
((第1の実施形態の超電導磁石の運転方法))
ここで、第1の実施形態の図8の超電導磁石の運転方法について説明する。
通常の磁場発生オペレーションとクエンチ後のエネルギー回収オペレーションの二通りがある。
(通常の運転)
通常の磁場発生オペレーションでは、各保護抵抗(保護要素40a、40b、41a、41b、以下保護要素を保護抵抗と呼ぶ)に並列に接続されているバイパススイッチ(接続回路50a、50b、51a、51b)は閉状態であり、各保護抵抗40a、40b、41a、41bは短絡されて回路上では見えなくなっている。電源7に並列接続された短絡スイッチ9は、開状態である。この構成により超電導コイル20,21に対して電源6a、6b、7は、直結した状態となり超電導コイルを運転することができる。
(クエンチ時)
一方、クエンチ後のエネルギー回収過程では、まず電源7に接続されている短絡スイッチ9を閉にする。単純にこのスイッチを閉にすると電源7が短絡されて大電流が流れることになるから、このスイッチを閉にする前には電源7の内部にて元電源からの電流の供給をカットするような処置を行なう。この処置は電源の内部構成に依存するためここでは割愛する。
電源7に接続された短絡スイッチ9が閉になると超電導コイル20,21は、エネルギー回収用の短絡回路が形成される。この後、バイパススイッチ(接続回路50a、50b、51a、51b)を開とすることにより、各保護抵抗40a、40b、41a、41bに超電導コイル20,21の電流が流れ、エネルギーを熱に変換して回収(消費)する。
(対地電圧抑制の原理)
このようにして形成されたエネルギー回収回路では、超電導コイル20,21のインダクタンスと保護抵抗40a、40b、41a、41bが交互にならんで直列接続され、閉回路を構成していることが特徴である。閉回路を一周回ったときの電位差の和はキルヒホッフの法則よりゼロであるから、超電導コイル20,21のインダクタンスの部分で発生する電圧と抵抗のところで発生している電圧の総和はゼロになっている。
超電導コイル20,21のインダクタンスによる誘導性電圧と保護抵抗40a、40b、41a、41bによる抵抗性電圧の極性は、逆となっているから、超電導コイル20,21のインダクタンスと保護抵抗40a、40b、41a、41bを細かく分割して交互にならべると対地電圧を抑制することができる。
(対地電位)
図8における励磁回路では、接地11が、回路の丁度中間点に配置されている。この場合、クエンチ後のエネルギー回収過程において誘導性電圧、抵抗性電圧の最大電位は、図6(a)と同様に、接地電位ゼロに対して対称であり、もっとも好ましい。
((第2の実施形態の回路構成))
第2の実施形態の励磁回路を図9に示す。
図9の励磁回路は、第1の実施形態の図8の構成と同様の構成であるが、バイパススイッチ50b、51bと保護抵抗40b、41bを省略して簡略化した構成である。
図9の回路構成においてもエネルギー回収過程では、超電導コイル20,21インダクタンスと保護抵抗40b、41bが交互に並んだ閉回路が構成されているから、誘導性電圧と抵抗性電圧が交互に発生し、対地電圧を抑制するのに効果がある。
接地11の位置は、保護抵抗41aの中点(電気的中間点)に配置されている。対地電圧を小さくする適切な接地位置については、電源6a,6b,9の内部構成や電位の配分の思想によるためケースバイケースとなる。重要なことは上述したように、インダクタンスと抵抗を交互にならべるようにエネルギー回収回路を構成することである。
((第3の実施形態の回路構成))
第3の実施形態として、図5に示した超電導コイルの励磁回路について詳しく説明する。
図5の構成は、2つの超電導コイル20、21に、電流リード30a、30b、31a、31bが取り付けられ、バイパススイッチ(接続回路50a、50b、51a、51b)が並列接続された保護抵抗40a、40b、41a、41bが接続されている。2つの超電導コイルは、電源8a、8bによって駆動される。
電源8a、8bと超電導コイル20,21がつくる閉回路を眺めると、ちょうど電源8a、8bと超電導コイル20,21が交互並んで直列接続されているように見える。電源8a、8bが電気的に絶縁されていれば、回路図では電源8a、8bが直列接続されているため電流は連続になる。その場合には、個々の超電導コイル20,21の励磁量の調整ができない。しかし、電源8a、8bが共通電位を有するような構成で、たとえば、プリレギュレータから電圧を供給し半導体素子を用いたフルブリッジのスイッチング電源とすると、並列な2つの電圧源で2つの超電導コイルをドライブすることと等価となり、それぞれの超電導コイルの励磁量を調整することが可能となる。
この回路では、等価な電源8a、8bで超電導コイル20,21を並列に運転することと等価であるから、電源電圧によって制約されていた超電導コイル20,21の励磁速度を改善することができる。電源8a、8bの挿入数を増やすことによって励磁速度の限界は電源を挿入した数の分だけ増加させることができる。
(運転方法)
ここでこの回路での磁石の運転方法について説明する。通常の磁場発生オペレーションとクエンチ後のエネルギー回収オペレーションの二通りがある。
(通常の運転)
通常の磁場発生オペレーションでは、各保護抵抗40a、40b、41a、41bに並列に接続されているバイパススイッチ(接続回路50a、50b、51a、51b)は閉状態、すなわち各保護抵抗40a、40b、41a、41bは短絡されて回路上では見えなくなっている。電源8aに並列接続された短絡スイッチ10、および、電源8bに接続された短絡および中点接地をするための短絡スイッチ9は、閉状態である。この構成により超電導コイル20,21に対して電源8a、8bは、インダクタンスと電源が交互に直列接続された状態となり、超電導コイル20,21を運転することができる。
(クエンチ時)
一方、クエンチ後のエネルギー回収過程では、まず電源8a、8bに接続されている短絡スイッチ9、10を閉にする。単純にこのスイッチを閉にすると電源8a、8bが短絡されて大電流が流れることになるから、このスイッチを閉にする前には電源8a、8bの内部にて元電源からの電流の供給をカットするような処置を行う。この処置は、電源の内部構成に依存するためここでは割愛する。
電源8a、8bに接続された短絡スイッチ9、10が閉になると、超電導コイル20,21のエネルギー回収用の短絡回路が形成される。この後バイパススイッチ(接続回路50a、50b、51a、51b)を開とすることにより、保護抵抗40a、40b、41a、41bに超電導コイル20,21の電流が流れ、エネルギー回収(消費)が行われる。
((第4の実施形態の回路構成))
図10に、第4の実施形態として、図5のバイパススイッチ50b、51bおよび保護抵抗40b、41bを省略して簡略化した回路を示す。この回路においてもクエンチ後のエネルギー回収過程において、インダクタンスと抵抗が交互にならんだエネルギー回収回路が構成できる。接地(11)は保護抵抗(41a)の中点に設置したが、これも前述したとおり適切な位置に設置することができる。
((第5~第8の実施形態の回路構成))
上述してきたように、本実施形態の超電導磁石では、励磁回路系統を2つ持つように超電導コイル20,21を構成することによって、追加の磁場補正手段(トリムコイルなど)を設置することなしに磁場調整機能を持たせている。
しかしながら、超電導コイル20,21の組立後に励磁試験を実施して磁場計測を行い、超電導コイルのアライメント調整などを実施することにより所定磁場分布が確立されている場合には、複数電源によって運転する必要はなく1台の電源で運転を行えばよい。1電源で構成される励磁回路の例を第5~第8の実施形態として図11乃至図14に示す。
図11乃至図14の構成においても、電源に接続されるはずだった電流リード30b、31aは無駄にならず、クエンチ時のエネルギー回収のために利用される。これにより、大きな抵抗値でエネルギーを回収することができ、伝導冷却磁石のクエンチ後の再冷却時間を短くすることができる。
本発明の超電導コイルは、高精度の磁場分布を実現し、伝導冷却で運転され、かつ、クエンチ後の再冷却時間の低減が実現できるものであり、医療装置向けの超電導磁石装置として特に有用である。
6a,6b:励磁電源
7:励磁電源
8a,8b:励磁電源
9:短絡スイッチ
10:短絡スイッチ
11:接地
20: 超電導コイル
21: 超電導コイル
30a,30b,31a,31b:リード
40a,40b,41a,41b:保護要素(エネルギー回収素子、保護抵抗)
50a,50b,51a,51b:接続回路(切替器、バイパススイッチ)
101,102,103,104:超電導コイル
110:断熱容器
111:真空容器
112:輻射シールド
120:冷凍機
140:エネルギー回収ユニット
180:電源ユニット
200:ビーム輸送系
201、202、203:偏向磁石
204:ダクト
211:四極磁石
212:軌道補正磁石
213:磁場方向(二極磁場)
214:粒子線の進行方向
215:粒子線の進行方向214に対して直交する方向215
300:照射装置
301:患者
302:ベッド
313:回転軸
500:加速器
501:ライナック

Claims (7)

  1. 粒子線を輸送し、一部が湾曲しているダクトと、
    前記ダクトの湾曲している部分を輸送される前記粒子線に対して、それぞれが形成する磁場を重ね合わせて所定の強度分布の磁場を形成して印加することにより偏向させる複数の超電導コイルと、
    複数の前記超電導コイルが内部空間に配置された断熱容器と、
    前記断熱容器に搭載され、複数の前記超電導コイルを伝導冷却により冷却する1以上の冷凍機と、
    前記断熱容器の外部に配置された、複数の前記超電導コイルのクエンチ時に複数の前記超電導コイルを流れる電流を消費するための複数の保護要素、複数の前記超電導コイルを励磁する1以上の励磁電源、および、複数の前記超電導コイルと複数の前記保護要素とを接続する接続回路と、
    一端が、前記断熱容器の内部に配置され、他端が、前記断熱容器の内部から外部に引き出され、前記接続回路に接続された複数対のリードと、
    とを有し、
    前記超電導コイルは、4つであり、いずれも、主平面内に長径と短径を有する扁平な形状に巻回されたコイルであり、長径方向は、前記ダクトの湾曲している前記部分に沿うように湾曲しており、4つの前記超電導コイルはいずれも、前記主平面を前記粒子線を偏向させる面内に平行に向けて、前記ダクトの湾曲している前記部分の周囲の4方向に配置され、4つの前記超伝導コイルのうち2つの超電導コイルは、前記ダクトを挟んで主平面が向かい合うように配置され、かつ、直列に接続されて第1の超電導コイルを構成し、残りの2つの超電導コイルは前記ダクトを挟んで側面が向かい合うように配置され、かつ、直列に接続されて第2の超電導コイルを構成し、
    前記リードは2対であり、そのうち第1対のリードの前記一端は、前記第1の超電導コイルの両端に接続され、第2対のリードの前記一端は、前記第2の超電導コイルの両端に接続され、
    前記接続回路は、前記第1対および第2対のリードの他端と接続され、前記第1および第2の超電導コイルと、複数の前記保護要素と、1以上前記励磁電源とが、直列に接続された閉回路を構成し、
    前記閉回路において、前記第1の超電導コイル、複数の前記保護要素のうちの1以上の保護要素、前記第2の超電導コイル、複数の前記保護要素のうちの残りの保護要素が、この順に直列に接続されており、
    前記閉回路の複数の前記保護要素にはそれぞれ、非クエンチ時に前記保護要素をバイパスさせて電流を通過させる保護要素用開閉器が接続され、1以上の前記励磁電源には、クエンチ時に1以上の前記励磁電源をバイパスさせて電流を通過させる励磁電源用開閉器が接続され、
    前記閉回路は、クエンチ時の、前記第1および第2の超電導コイルおよび複数の前記保護要素のそれぞれの位置における電位のうち、最大電位と最小電位の中間電位となる位置が、接地されている
    ことを特徴とする粒子線治療装置。
  2. 請求項1に記載の粒子線治療装置であって、
    1以上の前記励磁電源は、前記第1の超電導コイルと第2の超電導コイルに予め定めた電流の比で通電するように設計されていることを特徴とする粒子線治療装置。
  3. 請求項2に記載の粒子線治療装置であって、
    前記電流の比は、1であることを特徴とする粒子線治療装置。
  4. 請求項1に記載の粒子線治療装置であって、
    前記保護要素は、抵抗素子および半導体素子の少なくとも一方を含むこと
    を特徴とする粒子線治療装置。
  5. 請求項1に記載の粒子線治療装置であって、
    前記ダクトで輸送された粒子線を照射対象に照射する照射装置と、前記照射装置を搭載して、前記照射対象の周囲を回転する回転ガントリとをさらに有し、
    前記ダクトの一部と前記断熱容器と前記超電導コイルと前記冷凍機は、前記回転ガントリに搭載されている、
    ことを特徴とする粒子線治療装置。
  6. それぞれが発生する磁場を重ね合わせて所定の強度分布の磁場を形成する複数の超電導コイルと、
    複数の前記超電導コイルが内部空間に配置された断熱容器と、
    前記断熱容器に搭載され、複数の前記前記超電導コイルを伝導冷却により冷却する1以上の冷凍機と、
    前記断熱容器の外部に配置された、複数の前記超電導コイルのクエンチ時に複数の前記超電導コイルを流れる電流を消費するための複数の保護要素、複数の前記超電導コイルを励磁する1以上の励磁電源、および、前記保護要素および前記励磁電源を接続する接続回路と、
    一端が、前記超電導コイルに接続され、他端が、前記断熱容器の内部から外部に引き出され、前記接続回路に接続された複数対のリードと、
    とを有し、
    前記超電導コイルは、4つであり、4つの前記超伝導コイルのうち2つの超電導コイルは、直列に接続されて第1の超電導コイルを構成し、残りの2つの超電導コイルは、直列に接続されて第2の超電導コイルを構成し、
    前記リードは2対であり、そのうち第1対のリードは、前記第1の超電導コイルの両端に接続され、第2対のリードは、前記第2の超電導コイルの両端に接続され、
    前記接続回路は、前記第1対および第2対のリードを介して、前記第1および第2の超電導コイルと、前記保護要素のうちの2以上と、1以上の前記励磁電源とが、直列に接続された閉回路を構成し、
    前記閉回路において、前記第1の超電導コイル、1以上の前記保護要素、前記第2の超電導コイル、1以上の前記保護要素が、この順に直列に接続されており、
    前記閉回路の前記保護要素にはそれぞれ、非クエンチ時に前記保護要素をバイパスさせて電流を通過させる保護要素用開閉器が接続され、1以上の前記励磁電源には、クエンチ時に1以上の前記励磁電源をバイパスさせて電流を通過させる励磁電源用開閉器が接続され、
    前記閉回路は、クエンチ時の、第1および第2の超電導コイルおよび複数の前記保護要素のそれぞれの位置における電位のうち、最大電位と最小電位の中間電位となる位置が、接地されている
    ことを特徴とする医療用超電導装置。
  7. それぞれが発生する磁場を重ね合わせて所定の強度分布の磁場を形成する複数の超電導コイルと、
    複数の前記超電導コイルが内部空間に配置された断熱容器と、
    前記断熱容器に搭載され、複数の前記前記超電導コイルを伝導冷却により冷却する1以上の冷凍機と、
    前記断熱容器の外部に配置された、複数の前記超電導コイルのクエンチ時に複数の前記超電導コイルを流れる電流を消費するための複数の保護要素、複数の前記超電導コイルを励磁する1以上の励磁電源、および、前記保護要素および前記励磁電源を接続する接続回路と、
    一端が、前記超電導コイルに接続され、他端が、前記断熱容器の内部から外部に引き出され、前記接続回路に接続された複数対のリードと、
    とを有し、
    前記超電導コイルは、4つであり、4つの前記超伝導コイルのうち2つの超電導コイルは、直列に接続されて第1の超電導コイルを構成し、残りの2つの超電導コイルは、直列に接続されて第2の超電導コイルを構成し、
    前記リードは2対であり、そのうち第1対のリードは、前記第1の超電導コイルの両端に接続され、第2対のリードは、前記第2の超電導コイルの両端に接続され、
    前記接続回路は、前記第1対および第2対のリードを介して、前記第1および第2の超電導コイルと、前記保護要素のうちの2以上と、1以上前記励磁電源とが、直列に接続された閉回路を構成し、
    前記閉回路において、前記第1の超電導コイル、1以上の前記保護要素、前記第2の超電導コイル、1以上の前記保護要素が、この順に直列に接続されており、
    前記閉回路の前記保護要素にはそれぞれ、非クエンチ時に前記保護要素をバイパスさせて電流を通過させる保護要素用開閉器が接続され、1以上の前記励磁電源には、クエンチ時に1以上の前記励磁電源をバイパスさせて電流を通過させる励磁電源用開閉器が接続され、
    前記閉回路は、クエンチ時の、第1および第2の超電導コイルおよび複数の前記保護要素のそれぞれの位置における電位のうち、最大電位と最小電位の中間電位となる位置が、接地されていることを特徴とする超電導磁石装置。
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